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特許7578762高抵抗率層を含む半導体構造を製作するための方法、および関連する半導体構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】高抵抗率層を含む半導体構造を製作するための方法、および関連する半導体構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20241029BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01L27/12 B
H01L21/02 B
H01L21/02 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023101912
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2021125773の分割
【原出願日】2017-01-12
(65)【公開番号】P2023112087
(43)【公開日】2023-08-10
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】1650333
(32)【優先日】2016-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507088071
【氏名又は名称】ソイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イオヌット ラドゥ
(72)【発明者】
【氏名】エリック デボネ
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104681562(CN,A)
【文献】特開昭61-054674(JP,A)
【文献】特開2003-289106(JP,A)
【文献】特表2007-507093(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0371905(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造を形成する方法であって、
初期基板上にデバイス層を形成するステップであって、前記初期基板は、バルク基板として構成され、該ステップと、
前記デバイス層の第1の面を一時的基板に取り付けるステップと、
前記初期基板に、高抵抗率層を形成するステップであって、前記高抵抗率層を形成するステップは、
前記初期基板の一部を除去するステップと、
前記初期基板の残存部分を通って延びる複数のビアを形成するステップと、
前記初期基板の前記残存部分の上に、前記複数のビアを満たすように高抵抗率材料を形成するステップであって、前記高抵抗率層は、前記初期基板の前記残存部分、前記複数のビア、および近似的に10000オームcmよりも高い電気抵抗率値を有する前記高抵抗率材料を含む、該ステップと、
前記一時的基板を除去するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記初期基板の前記残存部分を通る複数のビアを形成するステップは、
前記初期基板の前記残存部分の露出された面上にマスキング層を形成するステップと、
前記初期基板のマスクされていない残存部分を通るビアをエッチングするステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マスキング層は、複数のマスキング要素を含み、前記複数のマスキング要素の総表面積を、前記初期基板の前記残存部分の前記露出された面の総表面積の75パーセントよりも小さくなるように選択するステップをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
最終基板を前記高抵抗率層に取り付けるステップであって、前記最終基板を前記複数のビアに取り付けて、前記最終基板と前記デバイス層との間に複数のキャビティを形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
シリコン酸化物、シリコン窒化物、高抵抗率ポリマ、ポリイミド、またはセラミック接着剤のうちの少なくとも1つを含むように前記高抵抗率材料を選択するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
バルク基板である最終基板
前記最終基板上に配置された高抵抗率層であって、前記高抵抗率層は、初期基板の残存部分、前記残存部分を通って延びる複数のビア、および、近似的に10000オームcmよりも高い電気抵抗率値を有する高抵抗率材料を含む、高抵抗率層と、
前記高抵抗率層上に配置された無線周波数電子デバイス層と
を備え、前記初期基板よりも有利な電気絶縁性を有する前記最終基板を前記高抵抗率層に取り付けることによって、前記初期基板の低抵抗率経路の役割を果たす前記残存部分に高抵抗率経路を形成する
ことを特徴とする半導体構造。
【請求項7】
前記高抵抗率層は、前記初期基板の残存部分と、複数のキャビティとを含むことを特徴とする請求項6に記載の半導体構造。
【請求項8】
前記高抵抗率材料は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、高抵抗率ポリマ、ポリイミド、またはセラミック接着剤のうちの1または複数を含むことを特徴とする請求項6に記載の半導体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、高抵抗率層を含む半導体構造を製作するために使用されてよい方法、ならびにそのような方法を使用して製作された半導体構造およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
RF CMOSデバイスなどの、無線周波数(RF)電子スイッチングデバイスの性能は、それらがそれから製作される基板の電気抵抗率に依存することができる。最近、例えば、高抵抗率シリコンオンインシュレータ(HR-SOI)などの、高度な半導体オンインシュレータ(SeOI)基板が、高められた性能を有するRF CMOSデバイスを製作するために利用されている。例えば、HR-SOIから製作されたRFデバイスは、低減されたRF損失を有することが実証された。
【0003】
デバイスの活性層のダブル(またはデュアル)層転写(DLT)は、初期基板を、その上に形成されたデバイスの改善されたRF性能を提供するのにより適した最終基板で置換することを可能にすることができる。
【0004】
手短に言えば、例えば複数のRF CMOSデバイスを含むデバイス層は、初期基板内にまたは初期基板上に製作されてよい。デバイス層は、その後、一時的基板に取り付けられてよい。デバイス層が一時的基板に取り付けられると、初期基板の一部は、除去され、高められたRF性能により適した最終基板で置換されてよい。デバイス層が、ひとたび最終基板に取り付けられると、一時的基板は、除去されてよく、デバイス層のDLT処理を完了する。例えば、RF CMOSのためのDLTが、初期SOI種類基板を利用して実証された。
【0005】
初期SOI種類基板を利用する場合、SOI種類基板のバルクシリコンキャリア部分は、DLT処理中に完全に除去されて、RF性能を落とすことがある望ましくない低抵抗率経路を除去する。しかしながら、標準的なバルク基板から製作されるRF CMOSデバイスの場合、製作プロセスの結果として、初期基板の残存厚さが、RF CMOSデバイスに隣接して残ることがある。初期基板の残った残存厚さは、低抵抗率経路の役割を果たすことがあり、RF損失およびデバイス層のRF性能の低下をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、高抵抗率層を含む半導体構造を製作するための改善された方法、および関連する半導体構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この概要は、簡略化された形式で、概念の抜粋を導入するために提供される。これらの概念は、以下の本開示の例示的な実施形態についての詳細な説明において、さらに詳細に説明される。この概要が特許請求される主題の重要な特徴または必須の特徴を識別することは、意図されておらず、それが特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも、意図されていない。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示は、半導体構造を製作する方法を含む。半導体構造を形成する方法は、
- 初期基板上にデバイス層を形成するステップと、
- デバイス層の第1の面を一時的基板に取り付けるステップと、
- 高抵抗率層を形成するステップであって、高抵抗率層を形成することは初期基板の一部を除去するステップを含み、高抵抗率層は初期基板の残存部分を含む、ステップと、
- 最終基板(132、232)を高抵抗率層(136、236)に取り付けるステップと、
- 一時的基板(114、214)を除去するステップと
を含む。
【0009】
本発明のさらなる非限定的な特徴によれば、以下のことが、単独で、またはいずれか技術的に実現可能な組み合わせで取り入れられる。
【0010】
・ 初期基板の一部を除去するステップは初期基板の一部を薄化するステップを含む、
・ 初期基板の一部を除去するステップは初期基板の残存部分を通って延びる複数のビア(vias)を形成するステップを含む、
・ 初期基板(102)の残存部分を通る複数のビアを形成するステップは、
・ 初期基板の残存部分の露出された面上にマスキング層を形成するステップと、
・ 初期基板のマスクされていない残存部分を通るビアをエッチングするステップと
を含む、
・ マスキング層は、複数のマスキング要素を含み、該方法は、複数のマスキング要素の総表面積を、初期基板の残存部分の露出された面の総表面積の75パーセントよりも小さくなるように選択するステップを含む、
・ 最終基板を高抵抗率層に取り付けるステップは、最終基板を複数のビアに取り付けて、最終基板とデバイス層との間に複数のキャビティ(cavities)を形成するステップを含む、
・ 方法は、複数のビア上に高抵抗率材料を形成するステップを含む、
・ 方法は、10000オームcmよりも高い電気抵抗率を有するように高抵抗率材料を選択するステップを含む、
・ 方法は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、高抵抗率ポリマ、ポリイミド、またはセラミック接着剤(glue)のうちの少なくとも1つを含むように高抵抗率材料を選択するステップを含む。
【0011】
本開示は、
- 最終基板と、
- 最終基板上に配置された高抵抗率層であって、高抵抗率層は初期基板の残存部分、および
- 前記残存部分を通って延びる複数のビア
を含む、高抵抗率層と、
- 高抵抗率層上に配置された無線周波数電子デバイスと
を備える半導体構造をさらに含む。
【0012】
本発明のさらなる非限定的な特徴によれば、以下のことが、単独でまたはいずれか技術的に実現可能な組み合わせで取り入れられる。
【0013】
・ 高抵抗率層は、近似的に10000オームcmよりも高い平均電気抵抗を有する層を含む、
・ 高抵抗率層は、初期基板の残存部分と、複数のキャビティとを含む、
・ 高抵抗率層は、複数のビア間に配置された高抵抗率材料を含む、
・ 高抵抗率材料は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、高抵抗率ポリマ、ポリイミド、またはセラミック接着剤のうちの1または複数を含む、
・ 高抵抗率材料は、近似的に10000オームcmよりも高い電気抵抗率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書は、本発明の実施形態と見なされるものを特に指摘し、明確に特許請求する、特許請求の範囲で終了するが、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読まれた場合の、本開示の実施形態のある例についての説明から、より容易に確かめられることがある。
図1A】本開示の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された図であって、その上に形成されたデバイス層を含む初期基板を示す図である。
図1B】本開示の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された図であって、初期基板の反対側のデバイス層の露出された面に接合された一時的基板を示す図である。
図1C】本開示の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された図であって、初期基板の一部の薄化を示す図である。
図1D】本開示の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された図であって、初期基板の残存部分上へのマスキング層の形成を示す図である。
図1E】本開示の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された図であって、その上にマスキング層を有する初期基板の残存部分の平面図である。
図1F】本開示の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された図であって、初期基板の残存部分を通る複数のビアを形成することによる高抵抗率層の形成を示す図である。
図1G】本開示の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された図であって、最終基板の高抵抗率層への取り付けを示す図である。
図1H】本開示の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された図であって、一時的基板の除去を示す図である。
図2A】本開示の別の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された断面図であって、一時的基板と、デバイス層と、複数のビアを含む初期基板の残存部分とを含む半導体構造を示す図である。
図2B】本開示の別の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された断面図であって、複数のビア上への高抵抗率材料の適用による高抵抗率層の形成を示す図である。
図2C】本開示の別の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された断面図であって、最終基板の高抵抗率層への取り付けを示す図である。
図2D】本開示の別の実施形態に従って利用されてよい半導体構造およびデバイスの製作を説明する簡略化され概略的に示された断面図であって、図2Cの半導体構造からの一時的基板の除去を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で提示される図は、いずれか特定の半導体構造、デバイス、システム、または方法についての実際の図であることは、意図されておらず、本開示の実施形態を説明するために使用される理想化された表現であるにすぎない。
【0016】
本明細書で使用されるいかなる表題も、以下の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物によって定義される本発明の実施形態の範囲を限定すると見なされるべきではない。いかなる特定の表題で説明される概念も、一般に、本明細書全体を通して他のセクションでも適用可能である。
【0017】
本発明の実施形態が、図1Aから図1Hを参照して説明される。図1Aを参照すると、実施形態は、初期基板102上にデバイス層100を形成することを含んでよい。
【0018】
より詳細には、デバイス層100は、複数の電子デバイス104を含んでよく、そのような電子デバイスは、スイッチングデバイスの他に、例えば、ロジックデバイス、発光デバイス、および受光デバイスなどの、さらなる電子デバイス種類を含んでよい。ある実施形態では、複数の電子デバイス104は、RF CMOSデバイスなどの、複数の無線周波数デバイスを含んでよい。デバイス層100は、相互接続層106も含んでよく、それは、層間誘電材料110内に配置された導電性要素108を含んでよい。複数の電子デバイス104は、当技術分野で知られている標準的なエレクトロニクス製作方法を使用して、初期基板102上および/または初期基板102内に形成されてよい。
【0019】
実施形態は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイド、III-V族材料、またはII-VI族材料のうちの少なくとも1つを含むように、初期基板102を選択することを含んでよい。さらなる実施形態は、近似的に約5オームcmと約30オームcmとの間の抵抗率を示すように、初期基板を選択することを含んでよい。初期基板102は、その最終用途に応じて、例えば、300mm、200mmの直径を有してもよく、または他の直径が、利用されてよい。
【0020】
デバイス層100は、露出された面112を含んでよく、この露出された面112は、図1Bに示されるように、半導体構造118を形成するために、一時的基板114に取り付けられてよい。実施形態は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイド、III-V族材料またはII-VI族材料、ガラスなどのうちの少なくとも1つを含むように、一時的基板114を選択することを含んでよい。ある実施形態では、初期基板102および一時的基板114は、基本的に、同じ材料を含んでよい。初期基板102と一時的基板114の材料がそのように互いに一致することは、デバイス層100を一時的基板114に取り付けるためのプロセスを改善することがある。例えば、初期基板102の熱膨張の係数および一時的基板114の熱膨張の係数は、取り付けプロセス中の望ましくない応力を防止するために、基本的に同じ値となるように選択されてよい。さらなる実施形態では、初期基板102の熱膨張の係数と一時的基板114の熱膨張の係数との間の差は、約10パーセントよりも小さくなるように選択されてよい。
【0021】
デバイス層100の一時的基板114への取り付けは、接合プロセスを利用して事前形成されてよい。例えば、デバイス層100の露出された面112は、一時的基板114の面116に接合されてよい。デバイス層100の一時的基板114への接合は、(例えば、近似的に20℃と30℃との間の)室温における分子付着プロセスによって互いに接合することによって実施されてよい。
【0022】
当技術分野で知られているように、直接接合と呼ばれる、分子付着による接合の原理は、2つの面(例えば、デバイス層100の露出された面112と一時的基板114の面116と)を直接的に、すなわち、特定の接合材料(接着剤、ワックス、はんだなど)を使用せずに、接触させる原理に基づいている。そのような接合プロセスは、接合される面が十分に平滑で、そこに粒子または汚染物がないこと、およびそれらが、一般に数ナノメートルよりも短い距離で接触を開始することが可能なように、十分に接近させられていることを必要とする。この場合、2つの面間の引力は、分子付着(接合される2つの面の2つの原子または分子の間の電子相互作用の引力(ファンデルワールス力)の和によって引き起こされる接合)を引き起こすほど十分に大きい。
【0023】
分子付着による接合は、初期基板102、デバイス層100、および一時的基板114によって形成される、(図1Bの)半導体構造118の少なくとも1つの位置上における圧力点の印加によって開始されてよい。一時的基板114とデバイス層100との間の接合波は、その後、圧力が印加された点から伝搬させられる。そのような圧力の印加は、しかしながら、接合波の伝搬を開始するのに必須であるわけではない。
【0024】
分子付着による接合の後、一時的基板114とデバイス層100との接合を強化するために、アニーリングが、適温(好ましくは100℃以下)で半導体構造118に対して実施されてよい。
【0025】
さらなる実施形態では、一時的基板114をデバイス層100の露出された面112に取り付けるための接合プロセスは、室温における圧迫下で実行されてよい。またさらなる実施形態では、接合プロセスは、100℃以下の温度における圧迫下で実行されてよい。
【0026】
さらなる実施形態では、接合層(図示せず)が、一時的基板114とデバイス層100との間に配置されてよい。接合層は、デバイス層100および一時的基板114の一方または両方の接合面上、すなわち、露出された面112および116上に形成されてよい。接合層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、またはシリコン酸窒化物のうちの1または複数を含んでよい。接合層は、デバイス層100を一時的基板114に取り付けるための接合プロセスの信頼性を改善するために利用されてよい。
【0027】
一時的基板114をデバイス層100に取り付けると、デバイス層100を構成する複数のデバイス104のRF性能を改善するための高抵抗率層を形成するために、さらなる処理が利用されてよい。高抵抗率層の形成は、デバイス層100の反対側の初期基板102の一部を除去することを含んでよい。例えば、図1Cを参照すると、デバイス層100の反対側の初期基板102の一部は、初期基板102の残存部分102’を残すように、薄化プロセスを利用することによって除去されてよい。初期基板102の一部の薄化は、エッチング、削り、および磨きプロセスのうちの1または複数を含んでよい。例えば、初期基板102は、近似的に1000ミクロンよりも薄い初期厚さを、もしくは800ミクロンよりも薄い初期厚ささえ有してよく、またはある実施形態では、500ミクロンよりも薄い初期厚ささえ有してよい。薄化プロセスは、初期基板102の露出された後面の一部を除去するために使用されてよく、それによって、初期基板102の厚さを近似的に100ミクロンよりも、もしくは20ミクロンよりも薄くし、またはある実施形態では、近似的に5ミクロンよりも薄くする。
【0028】
初期基板102の一部を薄化すると、図1Dに示されるように、マスキング層122が、デバイス層100の反対側の初期基板の残存部分102’の露出された後面120上に形成されてよい。マスキング層122は、標準的なフォトリソグラフィ方法など、半導体業界でよく知られた方法を使用して、初期基板102の残存部分102’の露出された後面120上に形成されてよい。例えば、マスキング層122は、ポリマ、シリコン酸化物、シリコン窒化物、または金属層のうちの1または複数を含んでよい。
【0029】
図1Dに示されるように、マスキング層122は、初期基板102の残存部分102’の後面120上に配置された、複数のマスキング要素124および複数のマスク開口126を含む。初期基板102の残存部分102’の後面120上のマスキング層122のレイアウトについての例示的な実施形態が、図1Eの平面断面図に示されている。例えば、図1Eの示された例のように、マスキング層122を構成する複数のマスキング要素124は、長方形、円、または他の適切なマスキング幾何形状など、選択された幾何形状を有してよい。本発明のいくつかの実施形態では、複数のマスキング要素124の総表面積は、初期基板102の残存部分102’の後面120の総面積の75パーセントよりも小さく、他の実施形態では、複数のマスキング要素124の総表面積は、初期基板102の残存部分102’の後面120の総面積の60パーセントよりも小さく、またはいくつかの実施形態では、複数のマスキング要素124の総表面積は、初期基板102の残存部分102’の後面120の総面積の50パーセントよりも小さい。
【0030】
マスキング層122を形成すると、初期基板102の残存部分102’のマスクされていない後面を通って延びる複数のビア128を形成するために、エッチングプロセスが、実行されてよく、図1Fに示されるような、半導体構造130を形成する。例えば、エッチングプロセスは、(プラズマエッチングプロセスなどの)ドライエッチプロセスまたは(ウェット酸エッチなどの)ウェットエッチプロセスのうちの1または複数を含んでよい。本発明のある実施形態では、エッチングプロセスは、複数のビア128が、近似的に5ミクロンよりも深い深さ、もしくは20ミクロンよりも深い深さになるまで、または100ミクロンよりも深い深さにさえなるまで、実行されてよい。エッチングプロセスは、デバイス層100に侵犯する前に停止させられ、それによって、デバイス層100を構成する複数のデバイス104に対するいかなる望ましくない損傷も防止する。エッチングプロセスを完了すると、マスキング層122は、化学エッチまたは溶剤洗浄などのよく知られた方法を利用して除去されてよい。
【0031】
初期基板102の残存部分102’を通って延びる複数のビア128を形成した後、最終基板132が、複数のビア上に取り付けられてよく、図1Gに示されるように、最終基板132とデバイス層100との間に複数のキャビティ134を形成し、複数のキャビティ134および初期基板102の残存部分102’は、高抵抗率層136を形成する。
【0032】
より詳細には、本発明の実施形態は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイド、III-V族材料、またはII-VI族材料のうちの少なくとも1つを含むように、最終基板132を選択することを含んでよい。さらなる実施形態では、最終基板132は、セラミック、誘電体、または絶縁体のうちの1または複数を含んでよい。最終基板は、さらに、単結晶材料を含んでよく、またはあるいは、多結晶もしくは非結晶材料を含んでよい。さらなる実施形態は、近似的に約10オームcmと約1000000オームcmとの間の抵抗率を示すように、最終基板132を選択することを含んでよい。
【0033】
最終基板132は、複数のビア128上に取り付けられてよく、一時的基板114のデバイス層100への接合を参照して先に説明されたような接合プロセスを使用して、初期基板102の残存部分102’と接触させることによって、複数のキャビティ134を形成する。加えて、先に説明されたように、例えば、先に上で詳細に説明されたような分子接合による、接合プロセスを改善するために、接合層(図示せず)が、最終基板132および初期基板102の残存部分102’の1または複数上に形成されてよい。
【0034】
初期基板102の残存部分102’を通って延びる複数のビア128上への最終基板132の取り付けは、高抵抗率層136を形成し、高抵抗率層136は、最終基板132とデバイス層100との間に配置される。高抵抗率層136は、したがって、複数のキャビティ134と、初期基板102の残存部分102’とを含む。ある実施形態では、複数のビア128上への最終基板132の取り付けは、複数のキャビティ134が、基本的に大気を含む複数のエアギャップを構成するように、分子接合プロセスによって実行されてよい。本発明のさらなる実施形態では、分子接合プロセスは、複数のキャビティ134が選択された雰囲気で満たされ、キャビティ内が様々な気体圧力になることがあるように、異なる気体雰囲気の下で利用されてよい。
【0035】
高抵抗率層136は、高抵抗率層136が、近似的に10000オームcmよりも高い、もしくは近似的に100000オームcmよりも高い平均電気抵抗率を有するように、または1000000オームcmよりも高い平均電気抵抗率さえ有するように製作されてよい。最終基板132とデバイス層100との間に配置される高抵抗率層136の製作は、デバイス層100内に製作されるRFデバイスの最適な性能を保証する。
【0036】
高抵抗率層136を製作すると、本発明の実施形態は、図1Hに示されるように、一時的基板114の除去によって進行してよい。一時的基板114は、エッチング、削り、または磨きプロセスのうちの1または複数によって除去されてよい。一時的基板114の除去プロセスは、一時的基板114の全部が除去されるまで実行され、それによって、デバイス層100を再露出させ、特に、層間誘電体110および導電性要素106を含む相互接続層106を露出させる。
【0037】
上で説明されたような本発明の実施形態は、初期基板の残存部分と複数のキャビティとを含む高抵抗率層を形成するための方法および構造について教示する。以下で説明される本発明のさらなる実施形態では、高抵抗率層は、初期基板の残存部分の他に、その上に形成された追加の高抵抗率材料を含んでよい。
【0038】
さらに詳細には、図2Aを参照すると、半導体構造230が、形成され、それは、一時的基板214と、デバイス層200と、初期基板の残存部分202’と、初期基板の残存部分202’を通って延びる複数のビア228とを含む。図2Aの半導体構造230は、図1Fの半導体構造130と基本的に同じ半導体構造であり、図1Fの半導体構造130の形成において上で先に説明されたものと基本的に同じ方法を使用して形成されてよい。
【0039】
図2Aの半導体構造230を製作する場合、実施形態は、初期基板の残存部分202’と追加の高抵抗率材料238とを含む高抵抗率層236の形成によって進行してよい。本発明のいくつかの実施形態では、高抵抗率材料238は、初期基板の残存部分202’上に配置されてよく、図2Bに示されるように、複数のビア228を満たしてもよい。
【0040】
数々のプロセスが、高抵抗率材料238の形成のために利用されてよく、例えば、付着プロセス(例えば、化学蒸着、物理蒸着など)またはスピンオンプロセスのうちの1または複数が、高抵抗率材料238の形成のために利用されてよい。高抵抗率材料238は、露出された平面高抵抗率面239を形成するために、コンフォーマル形成プロセスおよびその後の平坦化を利用して形成されてよい。高抵抗率面239を形成するための平坦化プロセスは、化学的磨き、削り、またはエッチングプロセスのうちの1または複数を利用して実行されてよい。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、高抵抗率材料238は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、高抵抗率ポリマ、ポリイミド、またはセラミック接着剤など、誘電材料の1または複数を含んでよい。高抵抗率材料238は、近似的に10000オームcmよりも高い、もしくは近似的に100000オームcmよりも高い電気抵抗率値を有する、または1000000オームcmよりも高い電気抵抗率値を有する高抵抗率材料を含んでよい。
【0042】
高抵抗率層236を形成すると、図2Cに示されるように、最終基板232が、高抵抗率層236に取り付けられてよい。高抵抗率層236の最終基板232への取り付けは、一時的基板114のデバイス層100への接合を参照して先に説明されたような接合プロセスを利用して実行されてよい。加えて、先に説明されたように、例えば、先に上で詳細に説明されたような分子接合による、接合プロセスを改善するために、接合層(図示せず)が、最終基板232および高抵抗率層236の1または複数上に形成されてよい。
【0043】
高抵抗率層236を製作すると、本発明の実施形態は、図2Dに示されるように、一時的基板214の除去によって進行してよい。一時的基板214は、エッチング、削り、または磨きプロセスのうちの1または複数によって除去されてよい。一時的基板214の除去プロセスは、一時的基板214の全部が除去されるまで実行され、それによって、デバイス層200を再露出させ、特に、層間誘電体および導電性要素を含む相互接続層を露出させる。
【実施例1】
【0044】
図1Aから図1Hを参照して説明された)第1の例示的な実施によれば、RFスイッチを含むデバイス層100が、抵抗率が5オームcm、直径が300mm、および厚さが800ミクロンの、シリコンから作成された初期基板102上に生成される(図1A)。
【0045】
直径が300mm、および厚さが800ミクロンの、シリコンから作成された一時的基板114が、デバイス層100の露出された面への分子付着接合によって組み立てられる。接合の前に、デバイス層100の露出された面は、分子付着による接合の目的で必要とされる平坦さ、低レベルの粗さ、および清浄さを面に与えるために、化学機械平坦化と、それに続く洗浄とを施されていてよい。その次に、一時的基板114も、適切な面特性をそれに提供するために、(例えば、オゾン+RCAによる)マイクロエレクトロニクス洗浄を施されていてよい。組み立てられた半導体構造118(図1B)が、その結果として、獲得される。初期基板102の後側(すなわち、デバイスの層100を担う側の反対側)は、その後、5ミクロンの残存厚さが達成されるまで、例えば、機械的削りによって、次に、化学機械的磨きによって薄化される(図1C)。薄化ステージの前に、組み立てられた半導体構造118は、一時的基板114とデバイス層100との間の界面における接合力を高めるために、例えば、約100~150℃で、熱処理を施されてよい。
【0046】
その後、マスキング層122を初期基板102の薄化された後側に適用して、マスクされたエリア124およびマスクされないエリア126を定めるのに、フォトリソグラフィステージが役立つ(図1Dおよび図1E)。例として、マスクされたエリア124は、辺の寸法が10×20ミクロンの四角形である。マスクされたエリア124の表面積は、初期基板102の薄化された側の総表面積の50%よりも狭く、すなわち、例えば、40%である。ビア128を形成するために、化学エッチングステージが、その後、初期基板102のマスクされないエリア126をエッチングするために使用される(図1F)。マスキング層122は、除去される。
【0047】
例えば、厚さが500ミクロンの、アルミニウム窒化物から成る最終基板132が、その後、初期基板102の薄化された後側上へのその組み立ての目的で準備される。組み立てられた面の準備は、面を活性化すること、およびその後の接合に低温で高い付着エネルギーを提供することを可能にする、(酸素または窒素の下での)プラズマ処理を含んでよい。組み立ては、制御された雰囲気の下で直接接合技法を使用して実行される。例として、接合チャンバの雰囲気は、大気圧における空気、または選択された圧力における気体(例えば、窒素もしくはアルゴン、または別の気体)であってよい。組み立てに続いて(図1G)、高抵抗率層136が形成され、それは、初期基板102の残存部分102’と、選択された圧力の空気または選択された気体で満たされたキャビティ134とから成る。初期基板102の薄化された側と最終基板132との間の接合エネルギーを高めるために、(組み立てられた一時的基板と最終基板の熱膨張係数の間に大きい差があることを前提として、100℃のオーダの)低温熱処理が実行されてよい。
【0048】
最終ステージは、一時的基板114の除去を含む。それは、機械的削りおよび化学エッチングによって後者を除去することによって、または優先的には、分解によって、すなわち、一時的基板114とデバイス層100との間の接合界面に機械適応力を印加することによって実行されることができる。
【0049】
その結果として獲得された構造140は、初期基板102のそれらよりも有利な電気絶縁特性を有する最終基板の存在のおかげで、デバイスの層100内に含まれるスイッチに良好なRF性能を与え、さらに、初期基板102の残存部分102’は、高抵抗率層136の形成のおかげで、導電路を生成することによって、デバイスの性能を損なわない。
【0050】
本発明による製造技法は、したがって、より高価なSOI基板の代わりに、初期シリコン基板を使用すること、ならびに層のダブル転写および高抵抗率層136の製造に続いて、その特性がRF用途に適した構造を獲得することを可能にする。
【実施例2】
【0051】
図2Aから図2Dを参照して説明された)第2の例示的な実施によれば、RFスイッチを含むデバイス層200が、抵抗が30オームcm、直径が300mm、および厚さが800ミクロンの、シリコンから作成された初期基板上に生成される。直径が300mm、および厚さが800ミクロンの、シリコンから作成された一時的基板214が、デバイスの層200の露出された面への直接接合によって組み立てられる。接合の前に、デバイス層200の露出された面は、分子付着による接合の目的で必要とされる平坦さ、低レベルの粗さ、および清浄さを面に与えるために、化学機械平坦化と、それに続く洗浄とを施されていてよい。その次に、一時的基板214も、正しい面特性をそれに提供するために、(例えば、オゾン+RCAによる)マイクロエレクトロニクス洗浄を施されていてよい。初期基板の後側(すなわち、デバイスの層200を担う側の反対側)は、その後、20ミクロンの残存厚さが達成されるまで、例えば、機械的削りによって、次に、化学機械的磨きによって薄化される。
【0052】
その後、マスキング層を初期基板の薄化された後側(残存部分202’)に適用して、マスクされたエリアおよびマスクされないエリアを定めるのに、フォトリソグラフィステージが役立つ。例として、マスクされたエリアは、辺の寸法が10×20ミクロンの長方形である。マスクされたエリアの表面積は、初期基板202の薄化された側の総表面積の75%よりも狭く、すなわち、例えば、55%である。ビア228を形成するために、化学エッチングステージが、その後、初期基板の残存部分202’のマスクされないエリアをエッチングするために使用される(図2A)。マスキング層は、除去される。
【0053】
高抵抗率材料238の層が、その後、ビア228内に付着させられて、後者を満たし(すなわち、初期基板の残存部分202’の残存厚さに少なくとも等しい厚さになり)、適切な場合には、(図2Bに示されるように)初期基板の残存部分202’上に付着させられる。この高抵抗率材料は、例えば、シリコン酸化物であり、またはあるいは、それは、高抵抗率(すなわち、好ましくは10000オームcmよりも抵抗率が高い)ポリマから作成されてよい。その後、直接接合の目的で、例えば、化学機械平坦化と、それに続くRCA洗浄との適用によって、高抵抗率材料238の露出された面239を準備することが可能である。
【0054】
例えば、厚さが500ミクロンの、ガラスから作成された最終基板232が、その後、初期基板(残存部分202’)の薄化された後側上へのその組み立ての目的で準備される。組み立てられた面の準備は、面を活性化すること、およびその後の接合に低温で高い付着エネルギーを提供することを可能にする、(酸素または窒素の下での)プラズマ処理を含んでよい。組み立ては、直接接合技法を使用して実行される。組み立てに続いて(図2C)、高抵抗率層236が形成され、それは、初期基板の残存部分202’と、高抵抗率材料238とから成る。初期基板の薄化された側と最終基板232との間の接合エネルギーを高めるために、(組み立てられた一時的基板と最終基板の熱膨張係数の間に大きい差があることを前提として、100℃のオーダの)低温熱処理が実行されてよい。
【0055】
最終ステージは、一時的基板214の除去を含む(図2D)。それは、機械的削りおよび化学エッチングによって後者を除去することによって、または優先的には、剥離によって、すなわち、例えば、一時的基板214とデバイスの層200との間の接合界面に機械適応力を印加することによって実行されることができる。
【0056】
その結果として獲得された半導体構造240は、初期基板のそれらよりも有利な電気絶縁特性を有する最終基板232の存在のおかげで、デバイス層200内に含まれるスイッチに良好なRF性能を与え、さらに、初期基板の残存部分202’の残存厚さは、高抵抗率層236の形成のおかげで、導電路を生成することによって、デバイスの性能を損なわない。
【0057】
上で説明された本開示の例示的な実施形態は、これらの実施形態は本発明の実施形態の例であるにすぎないので、本発明の範囲を限定せず、それは、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物の範囲によって確定される。いずれの等価な実施形態も本発明の範囲内にあることが、意図されている。実際に、本明細書で示され、説明されたものに加えて、説明された要素の代替的な有益な組み合わせなど、本開示の様々な変更が、本説明から当業者に明らかになる。言い換えると、本明細書で説明された1つの例示的な実施形態の1または複数の特徴は、本開示のさらなる実施形態を提供するために、本明細書で説明された別の例示的な実施形態の1または複数の特徴と組み合わされてよい。そのような変更および実施形態も添付の特許請求の範囲内に包含されることが、意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図2D