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特許7578783テープリフター機構、および磁気テープ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】テープリフター機構、および磁気テープ装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 15/67 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
G11B15/67
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023195160
(22)【出願日】2023-11-16
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】土屋 学
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/078245(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/151995(WO,A1)
【文献】特開2009-211754(JP,A)
【文献】特開2016-95888(JP,A)
【文献】特開2015-191681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0039731(US,A1)
【文献】特開平11-296827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 15/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スレッディングされた磁気テープと接触するリフターブロックを備え、
2つのガイドピンを有しており、
前記2つのガイドピンが前記リフターブロックを両端から支持し、
前記リフターブロックは、前記磁気テープの巻き送りまたは巻き戻し時に、前記磁気テープと前記リフターブロックとの間の動摩擦を軽減するためのリフターローラーを有している
テープリフター機構。
【請求項2】
第1のガイド溝が設けられたリフターカバーをさらに備え、
前記リフターカバーの一端に設けられた第1のガイドピンは、前記第1のガイド溝に沿って摺動する
ことを特徴とする請求項1に記載のテープリフター機構。
【請求項3】
前記リフターカバーが固定されているプレートと、
前記プレートの上を摺動するリフタースイングアーム及びリフターアームと、を備え、
前記リフターカバーは、前記リフタースイングアーム及び前記リフターアームを覆うように、前記プレートに固定されている
ことを特徴とする請求項2に記載のテープリフター機構。
【請求項4】
前記リフターブロックには、ヘッドブラシが付設されており、
前記磁気テープの走行に応じて、前記リフターローラーが回転する時、前記ヘッドブラシは、前記磁気テープに保存されたデータを読み書きするための磁気ヘッドと接触することにより、前記磁気ヘッドをクリーニングする
ことを特徴とする請求項1に記載のテープリフター機構。
【請求項5】
第2のガイド溝が設けられたリフターブロックをさらに備え、
前記リフターブロックのもう一端に設けられた第2のガイドピンは、前記第2のガイド溝に沿って摺動する
ことを特徴とする請求項1に記載のテープリフター機構。
【請求項6】
前記リフターブロックには、前記リフターローラーが、シャフトを介して、回転自由に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のテープリフター機構。
【請求項7】
前記リフターアームは、前記リフタースイングアームの先端で、前記リフタースイングアームに連結されており、前記リフタースイングアームの揺動に連動して、前記プレートの上を摺動する
ことを特徴とする請求項3に記載のテープリフター機構。
【請求項8】
リフターローラーは、複数のシャフトを介して、前記リフターブロックに対して、回転自由に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のテープリフター機構。
【請求項9】
前記リフタースイングアームが揺動することによって、前記磁気テープと、前記磁気テープに保存されたデータを読み書きするための磁気ヘッドとの間に、前記リフターブロックが進入し、前記リフターブロックは、前記磁気テープと前記磁気ヘッドの接触を妨げる
ことを特徴とする請求項3に記載のテープリフター機構。
【請求項10】
カートリッジに収納された磁気テープを巻き取るためのテイクアップリールと、
前記磁気テープに保存されたデータを読み書きするための磁気ヘッドと、
テープリフター機構と、を備え、
前記テープリフター機構は、前記カートリッジに挿入された前記磁気テープと接触するリフターブロックを備え、2つのガイドピンを有しており、前記2つのガイドピンが前記リフターブロックを両端から支持し、前記リフターブロックは、前記磁気テープの巻き送りまたは巻き戻し時に、前記磁気テープと前記リフターブロックとの間の動摩擦を軽減するためのリフターローラーを有している
磁気テープ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テープリフター機構、および磁気テープ装置に関し、特に、磁気テープを巻き送りまたは巻き戻しするためのテープリフター機構、および磁気テープ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シングルリールカートリッジ(以下、カートリッジ)は、磁気記録媒体(あるいはテープ媒体)として使用される。磁気テープは、カートリッジリールに巻かれた状態で、カートリッジ内部に収納されている。磁気テープの一端は、カートリッジの本体に固定されており、磁気テープのもう一端には、リーダーピンが取り付けられている。カートリッジを磁気テープ装置に挿入すると、カートリッジが磁気テープ装置内の然る位置に移動する(ローディング)。その後、磁気テープの先端に取り付けられたリーダーピンが、リーダブロックと係合して、所定の経路に沿って移動することにより、磁気テープが、磁気テープ装置のテイクアップリールに巻き取られる(スレッディング)。その後に、磁気テープ装置内で、磁気テープが走行可能になる。
【0003】
近年、単位記録媒体あたりのデータ容量が益々増加している背景から、磁気テープ上のデータを読み書きするための磁気テープの巻き送りまたは巻き戻しの頻度、及び速度が従来よりも高くなってきている。そのため、磁気テープの摩耗の進行が顕著になってきた。この摩耗を軽減するべく、磁気テープの巻き送りまたは巻き戻し時に、磁気テープが磁気ヘッドと接触することを防止するためのテープリフター機構が、磁気テープ装置に導入されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載の関連する技術では、テープリフター機構は、走行停止中の磁気テープをその走行経路から引き離し、磁気ヘッドと磁気テープとの間の接触を妨げる機能を持つ。磁気ヘッドは、磁気テープ上の任意のデータ格納場所を特定するために、磁気テープ上のサーボトラックを常時監視している。
【0005】
テープリフター機構により、磁気ヘッドと磁気テープとの間の接触がなくなると、磁気ヘッドは、サーボトラックを読み込むことができず、データ格納場所が判らなくなる。そのため、関連する技術では、テープリフター機構が動作した後の磁気テープと磁気ヘッドとの接触が回復した時に、磁気テープ上のサーボトラックサーチを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-95888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
テープリフター機構のリフターブロックは、磁気テープと直接に接触して、それを持ち上げる(リフト)。関連する技術では、リフターブロックが片持ち支持構造であるため、テープテンションの影響で、リフターブロックの姿勢が崩れ、その結果、機構部の動摩擦が増大し、それに伴って、部品の摩耗が誘発される可能性がある。
【0008】
加えて、関連する技術では、テープリフター機構が動作している時、リフターブロックと磁気テープとの間の動摩擦が比較的大きいので、極薄なフィルム状の磁気テープは、リフターブロックの表面に比較的吸着し易い。そのため、リフターブロックの移動に磁気テープが意図せず追随し、結果的に、テープリフター機構が動作する前後で、磁気テープの長手方向の位置と磁気ヘッドの位置との間にずれが発生する可能性がある。
【0009】
これにより、テープリフター機構が動作した後、磁気ヘッドが磁気テープ上のデータを読み書きすることを再開することが遅れるという問題がある。
【0010】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、磁気テープ装置のテープリフター機構の安定した動作を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様に係るテープリフター機構は、スレッディングされた磁気テープと接触するリフターブロックを備え、2つのガイドピンを有しており、前記2つのガイドピンが前記リフターブロックを両端から支持し、前記リフターブロックは、前記磁気テープの巻き送りまたは巻き戻し時に、前記磁気テープと前記リフターブロックとの間の動摩擦を軽減するためのリフターローラーを有している。
【0012】
本開示の一態様に係る磁気テープ装置は、カートリッジに収納された磁気テープを巻き取るためのテイクアップリールと、前記磁気テープに保存されたデータを読み書きするための磁気ヘッドと、テープリフター機構とを備え、前記テープリフター機構は、前記カートリッジに挿入された前記磁気テープと接触するリフターブロックを備え、2つのガイドピンを有しており、前記2つのガイドピンが前記リフターブロックを両端から支持し、前記リフターブロックは、前記磁気テープの巻き送りまたは巻き戻し時に、前記磁気テープと前記リフターブロックとの間の動摩擦を軽減するためのリフターローラーを有している。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様によれば、磁気テープ装置のテープリフター機構の安定した動作を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る磁気テープ装置の外観を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係る磁気テープ装置の外観を示す斜視図である。
図3】一実施形態に係る磁気テープ装置の内部構造を示す図である。
図4】一実施形態に係るテープリフター機構の構成を示す図である。
図5】一実施形態に係るテープリフター機構の構成を示す図である。
図6】一実施形態に係るテープリフター機構の一部(リフターブロック)の構成を示す図である。
図7】一実施形態に係るテープリフター機構の一部(リフターブロック)の構成を示す図である。
図8】動作前のテープリフター機構の状態を示す図である。
図9】動作中のテープリフター機構の状態を示す図である。
図10】動作中のテープリフター機構の状態を示す図である。
図11A】一実施形態に係るテープリフター機構の動作時に、リフターブロックが移動する様子を段階的に示す第1の図である。
図11B】一実施形態に係るテープリフター機構の動作時に、リフターブロックが移動する様子を段階的に示す第2の図である。
図11C】一実施形態に係るテープリフター機構の動作時に、リフターブロックが移動する様子を段階的に示す第3の図である。
図11D】一実施形態に係るテープリフター機構の動作時に、リフターブロックが移動する様子を段階的に示す第4の図である。
図12】一実施形態に係る磁気テープ装置の全部または一部の機能を実現するためのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、本開示のいくつかの実施形態を説明する。
【0016】
〔実施形態1〕
図1から図3を参照して、本開示の実施形態2について説明する。
【0017】
(磁気テープ装置100の構成)
図1から図3を参照して、本実施形態1に係る磁気テープ装置100の構成を説明する。
【0018】
図1は、磁気テープ装置100の構造を示す斜視図である。本実施形態1に係る磁気テープ装置100は、カートリッジ200に収納された磁気テープ202を巻き取るためのテイクアップリール103と、磁気テープ202に保存されたデータを読み書きするための磁気ヘッド101と、テープリフター機構とを備えている。テープリフター機構を構成する第1のシャフトA301は、プレート300に固定されている。テープリフター機構を構成するリフタースイングアーム302は、第1のシャフトA301に回転自由に取り付けられ、プレート300面上で揺動可能である。リフタースイングアーム302の先端には、リフターアーム304が連結されており、リフターアーム304は、リフタースイングアーム302の揺動に連動して、プレート300面の上を摺動する。
【0019】
図2は、磁気テープ装置100の構造を示す斜視図である。図2に示すように、リフターアーム304に付設される第1のガイドピンA306は、リフターカバー307上の第1のガイド溝A308と係合し、それに沿って摺動する。リフターカバー307は、リフタースイングアーム302及びリフターアーム304を覆うように、プレート300に固定されている。プレート300上では、リフタースイングアーム302及びリフターアーム304が摺動する。その摺動中に、リフターカバー307は、図中の上側から、リフタースイングアーム302及びリフターアーム304を押さえている。さらに、リフターカバー307は、穴A303と第2のシャフトB305との間の係合、第1のガイドピンA306と第1のガイド溝A308との間の係合、及び、第2のガイドピンB310と第2のガイド溝B314との間の係合を拘束する役割を果たす。
【0020】
図3は、磁気テープ装置100(図1)内における磁気テープ202の走行経路を示す。図3に示すように、カートリッジ200内のカートリッジリール201から引き出された磁気テープ202は、ガイドローラー102を介して、テイクアップリール103に巻き取られる。磁気テープ202の走行経路の途中には、磁気ヘッド101が配置されている。磁気ヘッド101は、磁気テープ202と接触して、磁気テープ202上に保存されたデータを読み書きする。
【0021】
磁気テープ202は、磁気テープ装置100内で所定の経路に沿って走行する。その走行中、磁気ヘッド101は、磁気テープ202と接触して、磁気テープ202上の任意の位置へ、データを読み書きすることができる。磁気テープ装置100は、磁気ヘッド101と磁気テープ202との間の相互接触が緩まないよう、適度な張力(以下、テープテンション)を磁気テープ202の長手方向に作用させるように、カートリッジリール201及びテイクアップリール103の回転をモータ制御する。
【0022】
図3に示すように、テープリフター機構は、カートリッジ200(図1)にスレッディングされた磁気テープ202と接触するリフターブロック309を備えている。リフターブロック309の両端には、ガイドピン(図示せず)が設けられている。リフターブロック309の両端に設けられたガイドピンは、リフターブロック309を両端から支持する。リフターブロック309は、磁気テープ202の巻き送りまたは巻き戻し時に、磁気テープ202とリフターブロック309との間の動摩擦を軽減するためのリフターローラー(図示せず)を有している。
【0023】
なお、テープリフター機構の構造及び動作の一例を、後述する実施形態2において、詳細に説明する。
【0024】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、磁気テープ装置100は、カートリッジ200に収納された磁気テープ202を巻き取るためのテイクアップリール103と、磁気テープ202に保存されたデータを読み書きするための磁気ヘッド101と、テープリフター機構とを備え、テープリフター機構は、カートリッジ200にスレッディングされた磁気テープ202と接触するリフターブロック309を備え、2つのガイドピンを有しており、これらのガイドピンがリフターブロック309を両端から支持する。リフターブロック309は、磁気テープ202の巻き送りまたは巻き戻し時に、磁気テープ202とリフターブロック309との間の動摩擦を軽減するためのリフターローラーを有している。
【0025】
これにより、磁気テープ装置100のテープリフター機構の動作に関する信頼性及び耐久性を向上させることができる。
【0026】
〔実施形態2〕
図4から図11Dを参照して、本開示の実施形態2について説明する。本実施形態2では、前記実施形態1において説明した磁気テープ装置100(図1)が備えたテープリフター機構の構成の一例を説明する。
【0027】
(テープリフター機構10の構成)
図4から図7を参照して、磁気テープ装置100(図1)が備えたテープリフター機構10の構成を説明する。
【0028】
図4に示すように、テープリフター機構は、リフタースイングアーム302、リフターアーム304、第1のガイドピンA306、リフターブロック309、第2のガイドピンB310、およびリフターローラー312で構成される。
【0029】
図5に示すように、リフタースイングアーム302は、その先端に、穴A303を有している。リフタースイングアーム302の穴A303は、リフターアーム304に付設される第2のシャフトB305と回転自由に係合する。リフターアーム304の先端には、リフターブロック309が付設されている。
【0030】
図6に示すように、リフターブロック309には、リフターローラー312が、複数の第3のシャフトC313を介して、回転自由に取り付けられている。
【0031】
図7に示すように、リフターブロック309の底面には、第2のガイドピンB310が付設されている。第2のガイドピンB310は、第2のガイド溝B314(図8)と係合する。リフターブロック309には、リフターローラー312が付設される面と反対の面に、ヘッドブラシ311が付設されている。
【0032】
(テープリフター機構10の動作)
図8から図10は、磁気テープ装置100が備えたテープリフター機構の斜視図である。図8は、テープリフター機構10が動作する前のリフタースイングアーム302の状態を示す。図9および図10は、テープリフター機構10が動作しているときのリフタースイングアーム302の状態を示す。なお、図9では、磁気テープ202の図示を省略している。
【0033】
図8に示すように、テープリフター機構10が動作する前、磁気テープ202は、磁気ヘッド101と接触している一方で、リフターブロック309上のリフターローラー312と磁気テープ202とは、離れている。
【0034】
図9に示すように、テープリフター機構10が動作するとき、リフタースイングアーム302が揺動することによって、リフターブロック309が磁気ヘッド101の正面に移動する。磁気ヘッド101と磁気テープ202との間にリフターブロック309が進入することで、磁気テープ202と磁気ヘッド101の接触を妨げる。
【0035】
図10に示すように、リフターブロック309の底面に付設される第2のガイドピンB310が、第2のガイド溝B314に沿って動作する。磁気テープ202は、リフターブロック309上のリフターローラー312と接触しており、磁気テープ202の走行に応じて、リフターローラー312が回転する。この時、ヘッドブラシ311は、磁気ヘッド101と接触することにより、磁気ヘッド面をクリーニングすることができる。
【0036】
(リフターブロック309の動作)
図11Aから図11Dは、上述したテープリフター機構10の動作時に、リフターブロック309が移動する様子を段階的に示す。
【0037】
図11Aに示すように、リフタースイングアーム302が、不図示の手段で第1のシャフトA301を回転中心に揺動すると、それに連結するリフターアーム304が、第2のガイド溝B314に沿って移動する。図11Bに示すように、リフターアーム304に連動して、リフターアーム304先端に付設されるリフターブロック309及びリフターブロック309の底面に付設される第2のガイドピンB310が、第2のガイド溝B314に沿って移動する。
【0038】
リフターブロック309の移動経路、即ち第2のガイド溝B314の軌跡は、磁気テープ202の走行経路と交差している。
【0039】
図11Cに示すように、リフタースイングアーム302が揺動することにより、リフターブロック309が移動すると、リフターブロック309の移動経路と、磁気テープ202の走行経路とが交差する位置で、リフターブロック309上のリフターローラー312が磁気テープ202と接触する。リフターローラー312は、磁気テープ202を持ち上げて、走行経路から引き離す。
【0040】
図11Dに示すように、リフタースイングアーム302がさらに揺動を進めると、最終的に、リフターブロック309は、磁気ヘッド101の正面まで移動し、磁気ヘッド101と磁気テープ202との間に進入することで、両者の接触を妨げる(テープリフト状態)。
【0041】
この間、リフターローラー312は、磁気テープ202と接触しており、リフターローラー312がリフターブロック309の移動に追従して回転することによって、磁気テープ202を相対的に受け流す。
【0042】
リフターブロック309が磁気ヘッド101の正面に移動した後も、リフターローラー312は磁気テープ202と接触しており、磁気テープ202の巻き送りまたは巻き戻し動作時に、磁気テープ202の走行方向に応じて、正方向または逆方向に回転する。磁気テープ202の走行が停止した状態で、前述とは逆のプロセス、即ちリフタースイングアーム302が往路とは逆方向へ揺動することで、テープリフト状態を解除(すなわち、磁気ヘッド101と磁気テープ202の接触を回復)するプロセスが実現する。尚、テープリフト状態時は、リフターブロック309に付設されるヘッドブラシ311が磁気ヘッド101に接触し、不図示の手段で磁気ヘッド101が上下動することで、磁気ヘッド面をクリーニング可能である。
【0043】
(変形例)
前記実施形態1では、リフターアーム304に固定されるリフターブロック309にリフターローラー312を内蔵させた構成を説明した。
【0044】
一変形例では、リフターブロック309を、リフターアーム304に対して回転自由な単一円筒形状のローラーに変えてもよい。この場合、ローラー回転中心の固定軸が、第2のガイド溝B314と係合する第2のガイドピンB310の役割を代替することができる。
【0045】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、テープリフター機構10は、カートリッジ200にスレッディングされた磁気テープ202と接触するリフターブロック309を備え、2つのガイドピンを有しており、これらのガイドピンがリフターブロック309を両端から支持する。リフターブロック309は、磁気テープ202の巻き送りまたは巻き戻し時に、磁気テープ202とリフターブロック309との間の動摩擦を軽減するためのリフターローラー312を有している。
【0046】
リフターブロック309が移動している間、第2のガイドピンB310を第2のガイド溝B314に係合させ、上端側のリフターアーム304と共にテープテンションに対する反力の作用点とし、リフターブロック309の姿勢倒れを抑制させる。これにより、リフターアーム304のねじれ及びそれに伴うテープリフター機構10の動作負荷を軽減し、動作耐久性を改善することができる。
【0047】
さらに、本実施形態の構成によれば、リフターブロック309の磁気テープ202と接触する面に回転自由なリフターローラー312を付設することにより、磁気テープ202とリフターブロック309との接触面積を削減するとともに、磁気テープ202とリフターブロック309との間の動摩擦を軽減する。これにより、関連する技術で発生していたような、リフターブロック309に磁気テープ202が吸着する事象を発生しにくくすることができる。また、テープリフター機構10が動作した前後で、磁気テープ202と磁気ヘッド101との間における相対的な位置ずれを軽減させることができる。なお、リフターブロック309の姿勢倒れを抑制する効果は、リフターブロック309に付設されるヘッドブラシ311の姿勢倒れを抑制する効果と同意である。すなわち、テープリフト時において、磁気テープ202とヘッドブラシ311の磁気ヘッド101との間の接触を、関連する技術よりも安定させる効果を期待することができる。
【0048】
以上のようにして、本実施形態の構成によれば、磁気テープ装置100のテープリフター機構10の安定した動作を提供することができる。
【0049】
前記実施形態1で説明した磁気テープ装置100の構成要素の一部又は全部は、例えば図12に示すような情報処理装置により実現される。図12は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
図12に示すように、コンピュータ110は、CPU(Central Processing Unit)111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、又はCPU111に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていてもよい。
【0051】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置である。また、本実施形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。
【0052】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置があげられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0053】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0054】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)などの汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)などの磁気記録媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体があげられる。
【0055】
(付記)
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0056】
(付記1)
スレッディングされた磁気テープと接触するリフターブロックを備え、
2つのガイドピンを有しており、
前記2つのガイドピンが前記リフターブロックを両端から支持し、
前記リフターブロックは、前記磁気テープの巻き送りまたは巻き戻し時に、前記磁気テープと前記リフターブロックとの間の動摩擦を軽減するためのリフターローラーを有している
テープリフター機構。
【0057】
(付記2)
第1のガイド溝が設けられたリフターカバーをさらに備え、
前記リフターカバーの一端に設けられた第1のガイドピンは、前記第1のガイド溝に沿って摺動する
ことを特徴とする付記1に記載のテープリフター機構。
【0058】
(付記3)
前記リフターカバーが固定されているプレートと、
前記プレートの上を摺動するリフタースイングアーム及びリフターアームと、を備え、
前記リフターカバーは、前記リフタースイングアーム及び前記リフターアームを覆うように、前記プレートに固定されている
ことを特徴とする付記2に記載のテープリフター機構。
【0059】
(付記4)
前記リフターブロックには、ヘッドブラシが付設されており、
前記磁気テープの走行に応じて、前記リフターローラーが回転する時、前記ヘッドブラシは、前記磁気テープに保存されたデータを読み書きするための磁気ヘッドと接触することにより、前記磁気ヘッドをクリーニングする
ことを特徴とする付記1に記載のテープリフター機構。
【0060】
(付記5)
第2のガイド溝が設けられたリフターブロックをさらに備え、
前記リフターブロックのもう一端に設けられた第2のガイドピンは、前記第2のガイド溝に沿って摺動する
ことを特徴とする付記1に記載のテープリフター機構。
【0061】
(付記6)
前記リフターブロックには、前記リフターローラーが、シャフトを介して、回転自由に取り付けられている
ことを特徴とする付記1に記載のテープリフター機構。
【0062】
(付記7)
前記リフターアームは、前記リフタースイングアームの先端で、前記リフタースイングアームに連結されており、前記リフタースイングアームの揺動に連動して、前記プレートの上を摺動する
ことを特徴とする付記3に記載のテープリフター機構。
【0063】
(付記8)
リフターローラーは、複数のシャフトを介して、前記リフターブロックに対して、回転自由に取り付けられている
ことを特徴とする付記1に記載のテープリフター機構。
【0064】
(付記9)
前記リフタースイングアームが揺動することによって、前記磁気テープと、前記磁気テープに保存されたデータを読み書きするための磁気ヘッドとの間に、前記リフターブロックが進入し、前記リフターブロックは、前記磁気テープと前記磁気ヘッドの接触を妨げる
ことを特徴とする付記3に記載のテープリフター機構。
【0065】
(付記10)
カートリッジに収納された磁気テープを巻き取るためのテイクアップリールと、
前記磁気テープに保存されたデータを読み書きするための磁気ヘッドと、
テープリフター機構と、を備え、
前記テープリフター機構は、前記カートリッジに挿入された前記磁気テープと接触するリフターブロックを備え、2つのガイドピンを有しており、前記2つのガイドピンが前記リフターブロックを両端から支持し、前記リフターブロックは、前記磁気テープの巻き送りまたは巻き戻し時に、前記磁気テープと前記リフターブロックとの間の動摩擦を軽減するためのリフターローラーを有している
磁気テープ装置。
【0066】
(付記11)
第1のガイド溝が設けられたリフターカバーをさらに備え、
前記リフターカバーの一端に設けられた第1のガイドピンは、前記第1のガイド溝に沿って摺動する
ことを特徴とする付記10に記載の磁気テープ装置。
【0067】
(付記12)
前記リフターカバーが固定されているプレートと、
前記プレートの上を摺動するリフタースイングアーム及びリフターアームと、を備え、
前記リフターカバーは、前記リフタースイングアーム及び前記リフターアームを覆うように、前記プレートに固定されている
ことを特徴とする付記11に記載の磁気テープ装置。
【0068】
(付記13)
前記リフターブロックには、ヘッドブラシが付設されており、
前記磁気テープの走行に応じて、前記リフターローラーが回転する時、前記ヘッドブラシは、前記磁気テープに保存されたデータを読み書きするための磁気ヘッドと接触することにより、前記磁気ヘッドをクリーニングする
ことを特徴とする付記10に記載の磁気テープ装置。
【0069】
(付記14)
第2のガイド溝が設けられたリフターブロックをさらに備え、
前記リフターブロックのもう一端に設けられた第2のガイドピンは、前記第2のガイド溝に沿って摺動する
ことを特徴とする付記10に記載の磁気テープ装置。
【0070】
(付記15)
前記リフターブロックには、前記リフターローラーが、シャフトを介して、回転自由に取り付けられている
ことを特徴とする付記10に記載の磁気テープ装置。
【0071】
(付記16)
前記リフターアームは、前記リフタースイングアームの先端で、前記リフタースイングアームに連結されており、前記リフタースイングアームの揺動に連動して、前記プレートの上を摺動する
ことを特徴とする付記10に記載の磁気テープ装置。
【0072】
(付記17)
リフターローラーは、複数のシャフトを介して、前記リフターブロックに対して、回転自由に取り付けられている
ことを特徴とする付記10に記載の磁気テープ装置。
【0073】
以上、いくつかの実施の形態を参照して本開示を説明した。しかしながら、本開示は上記実施の形態に限定されない。各実施の形態は、適宜他の実施の形態と組み合わせることができる。また、上記実施形態の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示は、例えば、磁気テープ装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
100 磁気テープ装置
101 磁気ヘッド
102 ガイドローラー
103 テイクアップリール
200 カートリッジ
201 カートリッジリール
202 磁気テープ
300 プレート
301 第1のシャフトA
302 リフタースイングアーム
303 穴A
304 リフターアーム
305 第2のシャフトB
306 第1のガイドピンA
307 リフターカバー
308 第1のガイド溝A
309 リフターブロック
310 第2のガイドピンB
311 ヘッドブラシ
312 リフターローラー
313 第3のシャフトC
314 第2のガイド溝B
【要約】
【課題】 磁気テープ装置のテープリフター機構の安定した動作を提供する。
【解決手段】 テープリフター機構は、スレッディングされた磁気テープと接触するリフターブロックを備え、2つのガイドピンを有しており、これらのガイドピンがリフターブロックを両端から支持し、リフターブロックは、磁気テープの巻き送りまたは巻き戻し時に、磁気テープとリフターブロックとの間の動摩擦を軽減するためのリフターローラーを有している。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12