(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20241029BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G02F1/1339
G02F1/1368
(21)【出願番号】P 2023198705
(22)【出願日】2023-11-23
(62)【分割の表示】P 2021198454の分割
【原出願日】2017-05-30
【審査請求日】2023-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2016111555
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016193718
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】中野 賢
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/100713(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0079683(KR,A)
【文献】特開2007-272222(JP,A)
【文献】特開2016-014777(JP,A)
【文献】特開2009-175568(JP,A)
【文献】特開2009-069391(JP,A)
【文献】特開2013-025088(JP,A)
【文献】特開2006-243696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G02F 1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画素と、第2の画素とを有し、
前記第1の画素は、第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタと電気的に接続された第1の液晶素子と、を有し、
前記第2の画素は、第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタと電気的に接続された第2の液晶素子と、を有する液晶表示装置であって、
前記第1のトランジスタのゲート電極としての機能と、前記第2のトランジスタのゲート電極としての機能と、走査線としての機能と、を有する第1の導電層と、
前記第1のトランジスタのソース電極又はドレイン電極の一方としての機能と、第1のソース信号線としての機能と、を有する第2の導電層と、
前記第2のトランジスタのソース電極又はドレイン電極の一方としての機能と、第2のソース信号線としての機能と、を有する第3の導電層と、
前記第2の導電層の上方に位置する領域と、前記第3の導電層の上方に位置する領域と、を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の上方に位置する領域を有する第2の絶縁層と、
前記第2の導電層との重なりを有し、且つギャップスペーサとしての機能を有する第1の構造体と、
前記第2の導電層との重なりを有し、且つギャップスペーサとしての機能を有する第2の構造体と、を有し、
前記第1の絶縁層は、前記第2の絶縁層と重ならない領域を有し、且つ該領域において前記第1の構造体との重なりを有し、
前記第2の絶縁層は、前記第1の構造体の下方に位置する領域と、前記第2の構造体の下方に位置する領域と、を有し、
平面視において、前記第1の導電層は第1の方向に延在する領域を有し、
平面視において、前記第2の導電層は、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在する領域を有し、
平面視において、前記第1の構造体は、前記第2の導電層を前記第1の方向に横断する形状を有し、且つ前記第1の方向における前記第1の構造体の幅は、前記第2の方向における前記第1の構造体の幅よりも大きく、
平面視において、前記第2の構造体の前記第1の方向の幅は、前記第1の構造体の前記第1の方向の幅よりも小さく、且つ前記第2の構造体の前記第2の方向の幅は、前記第1の構造体の前記第2の方向の幅よりも大きく、
前記第1の構造体は、前記第2の構造体との重なりを有さず、且つ前記第3の導電層との重なりを有さない、液晶表示装置。
【請求項2】
請求項
1において、
前記第1のトランジスタは、酸化物半導体を有し、
前記第2のトランジスタは、酸化物半導体を有する、液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。本発明の一態様は、表示装置の作製方法に関す
る。特に、本発明の一態様は、液晶素子を有する表示装置、及び表示装置の作製方法に関
する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発
明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置
、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方
法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる
装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路、演算装置、記憶装置等は半導体装置の一態
様である。また、撮像装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池
等を含む)、及び電子機器は半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0004】
表示装置の一つとして、液晶素子を備える液晶表示装置がある。例えば、画素電極をマ
トリクス状に配置し、画素電極の各々に接続するスイッチング素子としてトランジスタを
用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置が注目を集めている。
【0005】
例えば、画素電極の各々に接続するスイッチング素子として、金属酸化物をチャネル形
成領域とするトランジスタを用いるアクティブマトリクス型液晶表示装置が知られている
。(特許文献1及び特許文献2)
【0006】
アクティブマトリクス型液晶表示装置には大きく分けて透過型と反射型の二種類のタイ
プが知られている。
【0007】
透過型の液晶表示装置は、冷陰極蛍光ランプやLED(Light Emitting
Diode)などのバックライトを用い、液晶の光学変調作用を利用して、バックライ
トからの光が液晶を透過して液晶表示装置外部に出力される状態と、出力されない状態と
を選択し、明と暗の表示を行わせ、さらにそれらを組み合わせることで、画像表示を行う
ものである。
【0008】
また、反射型の液晶表示装置は、液晶の光学変調作用を利用して、外光、即ち入射光が
画素電極で反射して装置外部に出力される状態と、入射光が装置外部に出力されない状態
とを選択し、明と暗の表示を行わせ、さらにそれらを組み合わせることで、画像表示を行
うものである。反射型の液晶表示装置は、透過型の液晶表示装置と比較して、バックライ
トを使用しないため、消費電力が少ないといった長所を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-123861号公報
【文献】特開2007-96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
表示装置に表示される画像として、より鮮明なものが求められており、これに応じて高
精細な表示装置が求められている。
【0011】
また特に携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ等の携帯用途
においては、これらに組み込まれる表示装置として、厚さの低減、軽量化、低消費電力駆
動可能なことなどが求められている。
【0012】
本発明の一態様は、高精細化に適した表示装置、及びその作製方法を提供することを課
題の一とする。または、低消費電力駆動が可能な表示装置を提供することを課題の一とす
る。または、厚さの薄い表示装置を提供することを課題の一とする。または、軽量な表示
装置を提供することを課題の一とする。
【0013】
また、本発明の一態様は、表示装置の表示品位を高めることを課題の一とする。または
、使用環境によらず、高い表示品位で映像を表示することを課題の一とする。
【0014】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様
は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。また、明細書等の記載から上
記以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、第1の電極と、液晶層と、遮光層と、絶縁層と、を有する表示装置
である。第1の電極は、可視光を反射し、且つ紫外線を遮光する機能を有し、絶縁層上に
設けられる。液晶層は、第1の電極と重なる第1の部分と、第1の部分の一部を囲って設
けられる第2の部分と、を有する。第2の部分は、遮光層と重なる。第1の部分は、モノ
マーと、液晶を含む。また、第2の部分は、モノマーが重合したポリマーを含むことを特
徴とする。
【0016】
本発明の一態様は、第1の電極と、第2の電極と、液晶層と、遮光層と、絶縁層と、を
有する表示装置である。第1の電極及び第2の電極は、それぞれ可視光を反射し、且つ紫
外線を遮光する機能を有する。第1の電極と第2の電極は、それぞれ離間して絶縁層上に
設けられる。絶縁層は、凹部を有し、第1の電極及び第2の電極は、凹部と重ならない位
置に設けられる。遮光層は、第1の電極と第2の電極の間、及び凹部と重なる部分を有す
る。液晶層は、第1の部分と、第2の部分と、を有し、第1の部分は、第1の電極と重な
り、第2の部分は、第1の電極と第2の電極の間、凹部、及び遮光層と重なる。第1の部
分は、モノマーと、液晶を含み、第2の部分は、モノマーが重合したポリマーを含む。
【0017】
また、上記ポリマーと接して、絶縁性を有する構造体を有することが好ましい。構造体
は、遮光層、及び凹部と重なる部分を有することが好ましい。
【0018】
また、上記第1の電極と液晶層を挟んで重なる第3の電極を有することが好ましい。第
3の電極は、可視光を透過する機能を有することが好ましい。またこのとき、第1の電極
を覆う第1の配向膜と、第3の電極を覆う第2の配向膜と、を有し、液晶層の第2の部分
は、第1の配向膜及び第2の配向膜のそれぞれと接して設けられていることが好ましい。
また、このとき、構造体は、第1の配向膜、または第2の配向膜と接して設けられている
ことが好ましい。
【0019】
また、上記において、第1の基板と第2の基板とを有することが好ましい。このとき、
第1の電極及び第2の電極は、第1の基板と液晶層の間に位置し、遮光層は、第2の基板
と液晶層の間に位置することが好ましい。また、第1の基板及び第2の基板は、それぞれ
可撓性を有することが好ましい。
【0020】
また、上記において、発光素子、を有することが好ましい。このとき、絶縁層は、発光
素子と液晶素子との間に位置し、発光素子は、絶縁層側から、可視光を透過する第4の電
極、発光性の物質を含む層、及び第5の電極の積層構造を有し、発光素子は、絶縁層側に
光を射出する機能を有することが好ましい。このとき、第1の電極と電気的に接続し、可
視光を透過する導電膜を有することが好ましい。
【0021】
また、上記において、第1の電極と電気的に接続する第1のトランジスタと、第4の電
極と電気的に接続する第2のトランジスタと、を有することが好ましい。このとき、第1
のトランジスタと第2のトランジスタとは、同一面上に設けられていることが好ましい。
または、第1のトランジスタと第2のトランジスタとは、異なる面上に設けられているこ
とが好ましい。
【0022】
また、本発明の他の一態様は、第1の基板上に絶縁層を形成し、当該絶縁層上に、それ
ぞれ可視光を反射し、且つ紫外線を遮光する機能を有する第1の電極及び第2の電極を、
離間して形成する第1のステップと、絶縁層の、第1の電極及び第2の電極と重ならない
部分の一部をエッチングし、凹部を形成する第2のステップと、第2の基板上に、遮光層
を形成する第3のステップと、第1の基板と第2の基板を、液晶、モノマー及び重合開始
剤を含む液晶層を挟んで貼り合せる第4のステップと、第1の基板側から光を照射し、第
1の電極及び第2の電極に遮光されない領域において、液晶層中のモノマーを重合させる
第5のステップと、を有する、表示装置の作製方法である。
【0023】
また、本発明の他の一態様は、第1の支持基板上に、第1の絶縁層を形成する第1のス
テップと、第1の絶縁層上に、それぞれ可視光を反射し、且つ紫外線を遮光する機能を有
する第1の電極及び第2の電極を、離間して形成する第2のステップと、第1の絶縁層の
、第1の電極及び第2の電極と重ならない部分の一部をエッチングし、凹部を形成する第
3のステップと、第2の支持基板上に、第2の絶縁層を形成する第4のステップと、第2
の絶縁層上に、遮光層を形成する第5のステップと、第1の支持基板と第2の支持基板を
、液晶、モノマー及び重合開始剤を含む液晶層を挟んで貼り合せる第6のステップと、第
1の支持基板側から光を照射し、第1の電極及び第2の電極に遮光されない領域において
、液晶層中のモノマーを重合させる第7のステップと、第1の支持基板と第1の絶縁層の
間で剥離し、第1の絶縁層に第1の接着層を介して第3の基板を貼り合せる第8のステッ
プと、第2の支持基板と第2の絶縁層の間で剥離し、第2の絶縁層に第2の接着層を介し
て第4の基板を貼り合せる第9のステップと、を有する、表示装置の作製方法である。
【0024】
また、本発明の他の一態様は、第3の支持基板上に、それぞれ可視光を反射し、且つ紫
外線を遮光する機能を有する第1の電極及び第2の電極と、第1の電極及び第2の電極を
覆う第3の絶縁層を形成する第1のステップと、第3の絶縁層に、第1の電極に達する開
口を形成する第2のステップと、第3の絶縁層上に、第1の電極と電気的に接続する第1
の導電層、及び可視光を透過する第4の電極を形成する第3のステップと、第4の電極上
に、発光性の物質を含む層と、第5の電極を積層して形成する第4のステップと、第5の
電極を覆うように、第1の基板を第3の接着層を介して貼り合せる第5のステップと、第
3の支持基板と第4の絶縁層の間で剥離し、第1の電極及び第2の電極の一部を露出させ
る第6のステップと、第4の絶縁層の、第1の電極及び第2の電極と重ならない部分の一
部をエッチングし、凹部を形成する第7のステップと、第2の基板上に、遮光層を形成す
る第8のステップと、第1の基板と第2の基板を、液晶、モノマー及び重合開始剤を含む
液晶層を挟んで貼り合せる第9のステップと、第1の基板側から光を照射し、第1の電極
及び第2の電極に遮光されない領域において、液晶層中のモノマーを重合させる第10の
ステップと、を有する、表示装置の作製方法である。
【0025】
また、本発明の他の一態様は、第4の支持基板上に、可視光を透過する第4の電極と、
第4の電極を覆う第5の絶縁層を形成する第1のステップと、第5の絶縁層に、第4の電
極に達する開口を形成する第2のステップと、第5の絶縁層上に、第4の電極に電気的に
接続する第2の導電層、ならびに、それぞれ可視光を反射し、且つ紫外線を遮光する機能
を有する第1の電極及び第2の電極を形成する第3のステップと、第5の絶縁層の、第1
の電極及び第2の電極と重ならない部分の一部をエッチングし、凹部を形成する第4のス
テップと、第2の基板上に、遮光層を形成する第5のステップと、第4の支持基板と第2
の基板を、液晶、モノマー及び重合開始剤を含む液晶層を挟んで貼り合せる第6のステッ
プと、第4の支持基板側から光を照射し、第1の電極及び第2の電極に遮光されない領域
において、液晶層中のモノマーを重合させる第7のステップと、第4の支持基板と第5の
絶縁層の間で剥離し、第4の電極の一部を露出させる第8のステップと、第4の電極を覆
って、発光性の物質を含む層と、第5の電極を順に形成する第9のステップと、を有する
、表示装置の作製方法である。
【0026】
また、本発明の他の一態様は、第5の支持基板上に、それぞれ可視光を反射し、且つ紫
外線を遮光する機能を有する第1の電極及び第2の電極と、第1の電極及び第2の電極を
覆う第6の絶縁層を形成する第1のステップと、第5の支持基板と第6の絶縁層の間で剥
離し、第1の電極及び第2の電極の一部を露出させる第2のステップと、第6の絶縁層の
、第1の電極及び第2の電極と重ならない部分の一部をエッチングし、凹部を形成する第
3のステップと、第2の基板上に、遮光層を形成する第4のステップと、第6の絶縁層と
第2の基板を、液晶、モノマー及び重合開始剤を含む液晶層を挟んで貼り合せる第5のス
テップと、第6の絶縁層側から光を照射し、第1の電極及び第2の電極に遮光されない領
域において、液晶層中のモノマーを重合させる第6のステップと、第1の基板上に、第4
の電極、発光性の物質を含む層、第5の電極を積層して形成する第7のステップと、第2
の基板と、第1の基板とを、第4の接着層を介して貼り合せる第8のステップと、を有す
る、表示装置の作製方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様によれば、高精細化に適した表示装置、及びその作製方法を提供できる
。または、低消費電力駆動が可能な表示装置を提供できる。または、厚さの薄い表示装置
を提供できる。または、軽量な表示装置を提供できる。
【0028】
なお、本発明の一態様は、必ずしもこれらの効果の全てを有する必要はない。なお、明
細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図10】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図11】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図12】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図13】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図14】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図15】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図16】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図17】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図18】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図19】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図20】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図21】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図22】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図23】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図24】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図25】実施の形態に係る、表示装置の作製方法を説明する図。
【
図32】実施の形態に係る、トランジスタの構成例。
【
図35】実施の形態に係る、表示装置の回路図と、画素の構成例。
【
図36】実施の形態に係る、表示モジュールの構成例。
【
図37】実施の形態に係る、電子機器及び照明装置の一例を示す図。
【
図38】実施の形態に係る、電子機器の一例を示す図。
【
図39】実施の形態に係る、電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0031】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には
同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様
の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0032】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0033】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避ける
ために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0034】
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制
御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは
、IGFET(Insulated Gate Field Effect Trans
istor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor
)を含む。
【0035】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例、および表示装置の作製方法に
ついて説明する。
【0036】
本発明の一態様の表示装置は、複数の反射型の液晶素子を含む。液晶素子は、一対の電
極と、液晶層を有する。一対の電極の少なくとも一方には、可視光を反射し、且つ紫外線
を遮光(反射または吸収)する材料を用いることができる。液晶層は、一対の基板の間に
設けることができる。
【0037】
液晶層は、上記可視光を反射し、且つ紫外線を遮光する電極(以下、反射電極と呼ぶ場
合がある)と重なる第1の部分と、隣接する2つの反射電極の間の領域と重なる第2の部
分を有する。第1の部分は、モノマー及び液晶を含み、第2の部分は、当該モノマーが重
合したポリマーを含む。第2の部分において、ポリマーは一対の基板を接着する柱状の隔
壁の主要部を構成する。また、第2の部分は、隣接画素間の混色を抑制するために設けら
れる遮光層と重ねて配置されることが好ましい。また第2の部分には、液晶が含まれてい
てもよいし、柱状の隔壁がポリマーと液晶を含んでいてもよい。
【0038】
液晶層の第2の部分に設けられた、ポリマーを含む柱状の隔壁は、隣り合う2つの液晶
素子の間に配置され、2つの液晶素子の液晶層を分離する機能を有する。そのため、当該
ポリマーを含む柱状の隔壁はポリマーウォールとも呼ぶこともできる。1つの液晶素子は
第1の部分において、当該隔壁と、一対の基板とに取り囲まれた液晶を有する構成とする
ことができる。隔壁により、隣の液晶素子が有する液晶の配向状態の影響を受けにくくな
るため、コントラストなどが向上し、より鮮やかな表示が可能な表示装置を実現できる。
なお、1つの液晶素子の液晶は、隣接する液晶素子の液晶と完全に分離されている必要は
なく、隣接する2つの液晶素子間に少なくとも一つ以上の隔壁が存在している構成とすれ
ばよい。
【0039】
本発明の一態様の表示装置を作製する際、一対の基板に挟持する液晶層には、液晶と、
モノマーと、重合開始剤を含む材料を用いる。そして、液晶層の一部に対して光を照射す
ることにより、モノマーが重合してポリマーに変化する。このとき、反射電極を遮光マス
クとして用いることで、液晶層の反射電極と重ならない領域にポリマーが形成される。こ
れにより、隣接する反射電極の間に位置し、ポリマーを含む隔壁を、遮光マスクなどを用
いずに自己整合的に形成することができる。
【0040】
本発明の一態様の表示装置は、一対の基板を接着するポリマーを含む隔壁を、隣接画素
間に配置することが可能となるため、基板間の接着強度が極めて高い。また隔壁は一対の
基板間の距離を保持するためのギャップスペーサとして機能させることもできる。そのた
め、表示面を押す、または表示装置を曲げるなどの外力が加わった際や、表示装置を振動
させたときなどに、液晶素子のセルギャップが変化しにくいため、セルギャップが変化す
ることによる干渉縞や色の変化などが生じにくい。
【0041】
また上述した方法を用いることで、反射電極で遮光されない領域、すなわち反射液晶素
子を用いた表示に影響しない領域に、自己整合的にポリマーを形成することができるため
、例えば、遮光マスクなどを用いてポリマーを形成する場合に比べて、径の小さな隔壁を
高密度に配置することが可能となる。そのため、極めて高精細な表示装置を作製すること
が可能となる。例えば、表示部の精細度が300ppi以上、または500ppi以上、
または800ppi以上、または1000ppi以上であって、3000ppi以下の極
めて高精細な表示装置にも適用することが可能である。
【0042】
また、反射電極は絶縁層上に設けられる。ここで、隣り合う2つの反射電極の間と重な
る領域において、当該絶縁層に凹部が形成されていることが好ましい。すなわち、絶縁層
は、反射電極と重ならない部分において、反射電極と重なる部分よりも上面の高さが低い
領域を有する、または、絶縁層は、その上面の一部が他の部分よりも基板面に近い領域を
有する、などと言い換えることもできる。
【0043】
ここで、上記柱状の隔壁が、絶縁層の凹部と重なる位置に設けられることが好ましい。
例えば、柱状の隔壁が、絶縁層の凹部に嵌合するように設けられていることが好ましい。
これにより、柱状の隔壁の絶縁層側の接着面の面積が増大するため、基板間の接着強度を
高めることができる。
【0044】
また、第1の基板側または第2の基板側には、柱状の隔壁と接して凸状の構造体を有す
ることが好ましい。凸状の構造体は、例えば一対の基板間の距離を保持するためのギャッ
プスペーサとして機能する構造体を用いることができる。柱状の隔壁が、凸状の構造体と
接して設けられていることで、柱状の隔壁の接着面の面積が増大するため、アンカー効果
が生じ、接着強度をさらに高めることができる。特に、柱状の隔壁の内側に凸状の構造体
が位置すると、より効果的に基板間の接着強度を高めることができる。
【0045】
また、凹部が形成された絶縁層を有する場合、凸状の構造体は、当該凹部と重なる位置
に設けられていることが好ましい。絶縁層の凹部と、凸状の構造体の両方が設けられた部
分に柱状の隔壁が設けられることで、よりアンカー効果が強まり、基板間の接着強度を相
乗的に高めることができる。
【0046】
また、本発明の一態様は、反射型の表示素子と、発光素子の両方を有し、発光モード、
反射モード、およびハイブリッドモードの表示を行うことのできる、表示装置(表示パネ
ル)であることが好ましい。このような表示パネルを、ER-Hybrid Displ
ay(Emission and Reflection Hybrid Displa
y、または、Emission/Reflection Hybrid Display
)とも呼ぶことができる。
【0047】
本明細書等において、ハイブリッド表示(ハイブリッドモード)とは、1つのパネルに
おいて、反射光と、自発光とを併用して、色調または光強度を互いに補完して、文字また
は画像を表示する方法である。または、ハイブリッド表示とは、同一画素または同一副画
素において複数の表示素子から、それぞれの光を用いて、文字または画像を表示する方法
である。ただし、ハイブリッド表示を行っているハイブリッドディスプレイを局所的にみ
ると、複数の表示素子のいずれか一を用いて表示される画素または副画素と、複数の表示
素子の二以上を用いて表示される画素または副画素と、を有する場合がある。
【0048】
なお、本明細書等において、上記構成のいずれか1つまたは複数の表現を満たすものを
、ハイブリッド表示という。
【0049】
また、ハイブリッドディスプレイは、同一画素または同一副画素に複数の表示素子を有
する。なお、複数の表示素子としては、例えば、光を反射する反射型素子と、光を射出す
る自発光素子とが挙げられる。なお、反射型素子と、自発光素子とは、それぞれ独立に制
御することができる。ハイブリッドディスプレイは、表示部において、反射光、及び自発
光のいずれか一方または双方を用いて、文字または画像を表示する機能を有する。
【0050】
以下では、本発明の一態様の表示装置の構成例、及び作製方法の例について、図面を参
照して説明する。
【0051】
なお、以下では「上」、「下」などの向きを示す表現は、基本的には図面の向きと合わ
せて用いるものとする。しかしながら、説明を容易にするためなどの目的で、明細書中の
「上」または「下」が意味する向きが、図面とは一致しない場合がある。一例としては、
積層体等の積層順(または形成順)などを説明する場合に、図面において当該積層体が設
けられる側の面(被形成面、支持面、接着面、平坦面など)が当該積層体よりも上側に位
置していても、その向きを下、これとは反対の向きを上、などと表現する場合がある。
【0052】
[構成例1]
図1(A)は、本発明の一態様の表示装置10の斜視概略図である。表示装置10は、
基板21と基板31とが貼り合わされた構成を有する。
図1(A)では、基板31を破線
で明示している。
【0053】
表示装置10は、表示部32、回路34、配線35等を有する。基板21には、例えば
回路34、配線35、及び表示部32に含まれ、画素電極として機能する導電層23が設
けられる。また
図1(A)では基板21上にIC37とFPC36が実装されている例を
示している。そのため、
図1(A)に示す構成は、表示モジュールとも呼ぶことができる
。
【0054】
回路34は、例えば走査線駆動回路として機能する回路を用いることができる。
【0055】
配線35は、表示部32や回路34に信号や電力を供給する機能を有する。当該信号や
電力は、FPC36を介して外部から配線35に入力されるか、またはIC37から配線
35に入力される。
【0056】
また、
図1(A)では、COG(Chip On Glass)方式等により、基板2
1にIC37が設けられている例を示している。IC37は、例えば信号線駆動回路など
としての機能を有するICを適用できる。なお表示装置10が信号線駆動回路として機能
する回路を備える場合や、信号線駆動回路として機能する回路を外部に設け、FPC36
を介して表示装置10を駆動するための信号を入力する場合などでは、IC37を設けな
い構成としてもよい。また、IC37を、COF(Chip On Film)方式等に
より、FPC36に実装してもよい。
【0057】
図1(A)には、表示部32の一部の拡大図を示している。表示部32には、複数の表
示素子が有する導電層23がマトリクス状に配置されている。導電層23は、例えば画素
電極として機能する。ここで、導電層23は、可視光を反射し、且つ紫外線を遮光する機
能を有する。
【0058】
図2は、表示装置10を有するタッチパネル10aの一例を示している。
【0059】
タッチパネル10aは、タッチセンサパネル15が表示面側に設けられている。また、
表示装置10とタッチセンサパネル15との間に、表示装置10側から拡散板38と、偏
光板39と、を有する。
【0060】
拡散板38は、可視光を拡散する機能を有するフィルムを好適に用いることができる。
例えば、半球レンズやマイクロレンズアレイが形成されたフィルム、凹凸構造が施された
フィルム、光拡散フィルム等を用いることができる。例えば、基板31または当該フィル
ムと同程度の屈折率を有する接着剤等を用いて、このようなフィルムを表示装置10に接
着することで、光取り出し構造を形成することができる。
【0061】
偏光板39としては、例えば、直線偏光板または円偏光板を用いればよい。特に表示部
32が反射型の液晶素子を有する場合には、円偏光板を好適に用いることができる。円偏
光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることがで
きる。円偏光板を用いることにより、外光反射を好適に抑制する効果を付加することがで
きる。
【0062】
タッチセンサパネル15は、指やスタイラス等の被検知体が触れること、または近づく
ことを検知する機能を有する。また、被検知体の位置情報を出力する機能を有していても
よい。
図2では、タッチセンサパネル15に、FPC16が実装されている例を示してい
る。なお、タッチセンサパネル15またはFPC16に、タッチセンサパネル15の駆動
を制御する機能や、タッチセンサパネル15からの信号から位置情報などを演算する機能
等を有するIC等が実装されていてもよい。
【0063】
タッチセンサパネル15が有する検知素子(センサ素子ともいう)としては、指やスタ
イラスなどの被検知体がタッチセンサパネル15の表面に触れること、または近づくこと
を検知することのできる様々なセンサを適用することができる。
【0064】
例えばセンサの方式としては、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方
式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。
【0065】
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また、投
影型静電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用い
ると、同時多点検出が可能となるため好ましい。
【0066】
図2では、別々に作製された表示装置10とタッチセンサパネル15とを貼り合わせる
構成としたが、これに限られない。例えば、表示装置10の基板21と基板31の一方ま
たは双方に検知素子を構成する電極等を設ける、いわゆるオンセル型またはインセル型の
タッチパネルとしてもよい。
【0067】
また、タッチセンサパネル15に用いるフィルムに、反射防止フィルムを用いることが
好ましい。または、タッチセンサパネル15に重ねて、表示面側に反射防止フィルムを貼
り付けることが好ましい。これにより、タッチパネル10aの表面の外光反射が抑制され
、視認性を向上させることができる。
【0068】
また表示装置10の表示面側には、上記以外に反射防止フィルム、偏光フィルム、位相
差フィルム、光拡散フィルム、または集光フィルム等の機能フィルム、ゴミの付着を抑制
する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハ
ードコート膜、傷を自己回復する機能を有する膜等を含む機能フィルムを設けてもよい。
【0069】
〔断面構成例1-1〕
図1(B)に、
図1(A)中の切断線A1-A2に対応する断面の一例を示す。
図1(
B)には、隣接する2つの画素(副画素)を含む領域の断面を示している。またここでは
、表示素子として、反射型の液晶素子40を適用した場合の例を示している。
図1(B)
において、基板31側が表示面側となる。
【0070】
表示装置10は、基板21と基板31の間に液晶層24が挟持された構成を有している
。また液晶素子40は、基板21側に設けられた導電層23と、基板31側に設けられた
導電層25と、これらに挟持された液晶層24と、を有する。ここで導電層25は、可視
光を透過する機能を有する。導電層25は、共通電極などとして機能する。
【0071】
基板21上には、導電層23と電気的に接続するトランジスタ70が設けられている。
一方、基板31の基板21側には、着色層51a、着色層51b、遮光層52、絶縁層6
1、導電層25等が設けられている。また導電層23と液晶層24の間に配向膜53aが
設けられ、導電層25と液晶層24の間に配向膜53bが設けられている。なお、配向膜
53a及び配向膜53bは、不要であれば設けなくてもよい。
【0072】
トランジスタ70は、ゲートとして機能する導電層71、半導体層72、ゲート絶縁層
として機能する絶縁層73、ソース又はドレインの一方として機能する導電層74a、ソ
ース又はドレインの他方として機能する導電層74b等を有する。
【0073】
トランジスタ70を覆って絶縁層81が設けられている。また絶縁層81上に導電層2
3が設けられている。導電層23と導電層74bとは、絶縁層81に設けられた開口を介
して電気的に接続している。トランジスタ70及び導電層23は、画素(副画素)ごとに
配置されている。
【0074】
また、絶縁層81は、凹部50を有する。凹部50は、導電層23と重ならない部分に
設けられている。言い換えると、絶縁層81は、導電層23と重ならず、且つ導電層23
と重なる部分よりも厚さが薄い部分を有する。配向膜53aは、絶縁層81の凹部50を
覆って設けられている。配向膜53aの上面は、凹部50の形状に沿った凹形状を有する
。
【0075】
ここで、
図1(B)では配向膜53aが凹部50の側面及び上面を覆って設けられてい
る例を示している。なお、配向膜53aの被覆性が低い場合には、配向膜53aの凹部5
0の側面に接する部分が他の部分(例えば導電層23と重なる部分)よりも薄い場合や、
凹部50の側面を被覆しきれずに分断されている場合もある。
【0076】
着色層51a、着色層51bは、それぞれ異なる導電層23と重ねて配置されている。
また遮光層52は、隣り合う2つの導電層23の間の領域と重なる部分を有する。
図1(
B)に示すように、遮光層52の一部と導電層23の端部とを重ねて配置することが好ま
しい。
【0077】
液晶層24は、導電層23と重なる領域において、液晶12と、モノマー13を有する
。また液晶層24は、隣り合う2つの導電層23の間と重なる領域において、隔壁11を
有する。また、隔壁11と遮光層52は、互いに重なる部分を有していることが好ましい
。
【0078】
モノマー13は、重合することによりポリマーとなる材料である。また、隔壁11は、
モノマー13が重合することにより得られるポリマーを含んで構成される。隔壁11の内
部には、液晶12と同じ材料が含まれていてもよい。
【0079】
モノマー13としては、重合性モノマーを用いることができる。例えば光により重合が
進行する光重合性(光硬化性)や、熱により重合が進行する熱重合性(熱硬化性)を有す
る重合性モノマーを用いることができる。特に、光重合性を有する材料を用いることが好
ましい。また、液晶層24は、モノマー13に加えて、例えば重合度が2以上100以下
のオリゴマーも含んでいてもよい。このとき、当該オリゴマーは、光重合性または熱重合
性を有することが好ましい。
【0080】
モノマー13としては、例えば、アクリレート、メタクリレートなどの単官能モノマー
、ジアクリレート、トリアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレートなどの多
官能モノマーなどを用いることができる。また、単官能モノマーや多官能モノマーを、2
種類以上混合させたものでもよい。また、モノマー13としては液晶性の材料、非液晶性
の材料、またはこれらが混合された材料を用いることができる。
【0081】
液晶層24の、導電層23と重なる領域において、残存した重合開始剤が含まれていて
もよい。重合開始剤は、例えば光や熱などの外的刺激によりモノマーの重合のきっかけと
なる物質に変化する材料である。重合開始剤としては、例えば紫外線などの光または熱に
よってラジカルが生成するラジカル重合開始剤等を用いることができる。なお、重合開始
剤は液晶やモノマーに比べて極微量であればよく、例えば重合開始剤は、液晶、モノマー
及び重合開始剤等が混合された組成物の総重量に対する重量比が、1wt%以下の比率で
混合されていればよい。また、重合開始剤はモノマー13の材料に応じて適宜選択するこ
とができる。モノマー13の材料によっては、ラジカル重合開始剤に代えて、カチオン重
合開始剤、アニオン重合開始剤などを用いてもよい。
【0082】
モノマー13は、使用する重合開始剤により重合が開始される材料を選択すればよい。
特に、モノマー13及び重合開始剤の組み合わせとして、紫外線により重合が開始され、
且つ重合が進行する材料の組み合わせを用いることが好ましい。
【0083】
また液晶層24には、液晶12、モノマー13、重合開始剤等の他に、カイラル剤を含
んでいてもよい。
【0084】
隔壁11は、モノマー13が重合することにより得られるポリマーを含む。例えば、モ
ノマー13としてアクリレートを用いた場合には、隔壁11がポリアクリレートを含む。
【0085】
隔壁11は、ポリマーだけでなく、液晶層24に含まれる成分(液晶12、重合されな
かったモノマー13、反応されずに残った重合開始剤、カイラル剤等)を含んでいてもよ
い。
【0086】
また、ポリマーの重合度は、その形成条件やモノマー13の材料に応じて変化する。ま
た隔壁11の体積密度も同様に、ポリマーの形成条件や、モノマー13の材料等によって
変わるが、例えば70%以上100%以下、好ましくは80%以上100%以下、より好
ましくは90%以上100%以下とすることができる。
【0087】
隔壁11は、基板21と基板31を接着することが好ましい。より具体的には、隔壁1
1は、基板21側に設けられ、液晶層24と接する層と、基板31側に設けられ、液晶層
24と接する層を接着する機能を有する。
図1(B)においては、配向膜53aの一部と
、配向膜53bの一部とを、隔壁11が接着している。なお、配向膜53aや配向膜53
bを設けない場合では、絶縁層81の一部と、導電層25の一部とを隔壁11が接着する
構成となる。
【0088】
また、隔壁11は、絶縁層81の凹部50と重ねて設けられている。より具体的には、
隔壁11が凹部50の上面を覆う配向膜53aの一部と、凹部50の側面を覆う配向膜5
3aの一部と、に接して設けられている。これにより、隔壁11と配向膜53aとの接触
面積が増大することに伴いアンカー効果が生じ、これらの密着強度を高めることができる
。隔壁11が凹部50を埋めるように設けられていると、より効果的に密着強度を高める
ことができるため好ましい。
【0089】
なお、配向膜53aが絶縁層81の凹部50の側面を被覆しきれずに分断されている場
合や、配向膜53aを設けない場合などでは、隔壁11と絶縁層81とが接している部分
があってもよい。
【0090】
本発明の一態様の表示装置10は、隔壁11により、基板21と基板31との接着強度
が高められており、破損しにくく、信頼性の高い表示装置である。さらに、隔壁11は、
絶縁層81に設けられた凹部50に少なくとも一部が重なるように設けられ、アンカー効
果により接着強度がさらに高められている。また隔壁11によって外力に対する物理的強
度が高められたことに加え、外力によるセルギャップの変化が抑制された表示装置である
。
【0091】
ここで、隔壁11と凹部50の位置関係、及びそれぞれの形状などは、
図1(B)に示
す構成に限られない。
【0092】
図3(A)は、
図1(B)における隔壁11及びその近傍を拡大した断面概略図である
。
【0093】
図3(B)は、導電層23と重ならない部分に、絶縁層81が設けられていない場合の
例を示している。具体的には、配向膜53aが絶縁層81の側面、及び絶縁層73の上面
に接して設けられている。このような構成とすることで、隔壁11と、これと接する層と
の接触面積がより増大するため、接着強度をより高められる。
【0094】
図3(C)は、凹部50と重なる位置に、導電層74aの一部が延在して設けられてい
る場合の例を示している。隔壁11は、導電層23及び導電層74aのいずれにも重なら
ない領域に設けられている。
【0095】
図3(D)は、
図3(C)において、導電層23と重ならない部分に、絶縁層81が設
けられていない場合の例を示している。配向膜53aは、導電層74aの一部、及び絶縁
層73の一部と接して設けられている。
【0096】
図3(E)は、
図3(D)において、導電層74aを覆う絶縁層85が設けられている
例を示している。絶縁層85により導電層74aを保護することができる。また導電層7
4aが露出することによる電気的なショートなどの不具合を抑制できる。
【0097】
ここで、隔壁11は、光の照射により自己整合的に形成されるため、光が理想的な平行
光である場合には、基本的には遮光性の部材と重なる部分には形成されない。しかしなが
ら、光の散乱や、光源の指向性などに起因して、遮光性の部材と重なる部分にも隔壁11
が形成される場合もある。
図3(F)では、
図3(A)において、導電層23の一部を覆
って隔壁11が設けられている場合の例を示している。
【0098】
なお、
図3(A)~(F)では、配向膜53aの厚さが均一であるように描いてあるが
、実際には凹部50の側面近傍では他の部分よりも薄い、または分断されている場合があ
る。また、
図3(A)~(F)では、絶縁層81の凹部50の側面が、膜面方向に対して
概略垂直である場合の例を示しているが、実際には絶縁層81の加工方法や条件に応じて
垂直とはならない場合がある。例えば、平面視において、底部が上部の内側に位置する形
状、底部が上部よりも広がった形状となる場合や、断面において側面の一部がくびれた形
状、または広がった形状となる場合もある。
【0099】
以上が断面構成例1-1についての説明である。
【0100】
〔画素のレイアウト例〕
図4(A)に、表示面側から見たときの画素のレイアウトの一例を示す。ここでは、基
板21側に設けられる各導電層、隔壁11、及び構造体14a、構造体14b等を示して
いる。また絶縁層等の一部の構成要素は明示していない。
【0101】
図4(A)に示す画素は、トランジスタ70と容量素子75を有する。トランジスタ7
0は、導電層71a、半導体層72、絶縁層73(図示しない)、導電層74a、導電層
74b等を有する。また、容量素子75は、導電層74bと導電層71bとが絶縁層73
(図示しない)を介して積層された構成を有する。また、画素は、導電層74bと電気的
に接続し、画素電極として機能する導電層23を有する。導電層23は、可視光を反射し
、且つ紫外線を遮光する。
【0102】
ここで、導電層74aの一部は信号線として機能し、導電層71bの一部は容量線とし
て機能し、導電層71aの一部は走査線として機能する。
【0103】
図4(A)では、隔壁11が設けられる領域にハッチングパターンを付している。隔壁
11は、上述した各導電層が設けられていない部分に形成される。
【0104】
図4(A)に示すように、隣接する2つの導電層23の間には配線等が設けられている
ため、当該配線と重なる部分には隔壁11は形成されない。したがって、隔壁11は導電
層23を完全に囲うのではなく、導電層23の輪郭の一部に沿った島状に形成される。な
お、隔壁11の形成時に照射する光の照射条件や、当該光が散乱することなどにより、上
記導電層23の一部や、上記配線の一部に重ねて、隔壁11が形成される場合もある。
【0105】
なお、
図4(A)で示した画素の構成は一例であり、様々な構成の画素に本発明の一態
様の表示装置の作製方法を適用できる。ここでは画素が1つのトランジスタと1つの容量
素子を有する簡単な構成を例示したが、画素の構成はこれに限られず、2以上のトランジ
スタや容量素子を有していてもよい。
【0106】
また、
図4(A)では、構造体14a及び構造体14bが設けられている例を示してい
る。構造体14a及び構造体14bは、導電層23が設けられていない領域に設けられ、
隔壁11と一部が接して設けられている。
【0107】
ここで、構造体14aは、上面形状が概略円対称である例を示している。一方、構造体
14bは、横方向に長い上面形状を有している。後述するように、構造体14aと構造体
14bの幅を異ならせて形成することで、自己整合的にその高さを異ならせることができ
る。
【0108】
図4(B1)(B2)は、構造体14aを含む領域における断面の一例である。
図4(
B1)は
図4(A)中の切断線B1-B2に、
図4(B2)は切断線B3-B4にそれぞ
れ対応する。切断線B1-B2と切断線B3-B4は、構造体14aと重なる部分におい
て直交する。
【0109】
構造体14aは、導電層25側に形成され、その一部を配向膜53bが被覆している。
また、構造体14aの頂部(
図4(B1)、(B2)においては、底部)が、配向膜53
bと接して設けられている。また、構造体14aは、その側面の一部が隔壁11に覆われ
るように設けられている。また、
図4(B2)に示すように、遮光性を有する導電層74
aと重なる領域では隔壁11が形成されないため、構造体14aの一部が液晶12と接し
ていてもよい。
【0110】
また、
図4(C1)(C2)は、構造体14bを含む領域における断面の一例である。
図4(C1)は
図4(A)中の切断線C1-C2に、
図4(C2)は切断線C3-C4に
それぞれ対応する。
図4(C1)は構造体14bの短軸方向の断面に対応し、
図4(C2
)は構造体14bの長軸方向の断面に対応する。
【0111】
構造体14bは、構造体14aと同様に導電層25側に設けられ、その一部を配向膜5
3bが被覆している。また導電層74aと重なる部分において、液晶12と接する部分を
有する。
【0112】
また、構造体14bは、短軸方向の幅が構造体14aより小さく、またその高さも構造
体14aよりも低い。そのため、構造体14bの頂部は、配向膜53aと接さず、隔壁1
1に覆われている。
【0113】
なお、ここでは構造体14aが円対称の形状である例を示したが、構造体14aは四角
形を含む多角形形状、角の丸い多角形形状などとしてもよい。また、構造体14bは、横
長の形状である例を示したが、少なくとも構造体14aよりも幅(または径)の小さい部
分を有していればよく、円形や多角形形状であってもよい。
【0114】
以上が画素のレイアウト例についての説明である。
【0115】
以下では、本発明の一態様の表示装置の他の構成例、及び作製方法例について説明する
。なお、上記と重複する部分については説明を省略し、相違する部分について説明する。
【0116】
〔断面構成例1-2〕
図5に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図5に示す構成は主に、構造体
14a及び構造体14bを有する点で、
図1(B)に示す構成と相違している。
【0117】
構造体14a及び構造体14bは、導電層25と配向膜53bの間に設けられている。
配向膜53bは、構造体14a及び構造体14bを覆って設けられている。また構造体1
4a及び構造体14bは、それぞれ隣接する2つの導電層23の間に位置する。また構造
体14a及び構造体14bは、それぞれ遮光層52、及び絶縁層81の凹部50と重なる
部分を有する。また、隔壁11は、構造体14a及び構造体14bを取り囲むように設け
られている。
【0118】
構造体14は、基板21と基板31を貼り合せる際に、これらが必要以上に近づくこと
を抑制し、液晶素子40のセルギャップを調整するための、スペーサとして機能する。
【0119】
また、隔壁11が、構造体14aや構造体14bを取り囲むように設けられることで、
図1(B)に示す例に比べて接着強度がより高められている。
【0120】
〔断面構成例1-3〕
図6(A)に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図6(A)に示す構成は
、主に、基板21に代えて基板41a、接着層42a、絶縁層82を有する点、及び基板
31に代えて基板41b、接着層42b、及び絶縁層62を有する点で、
図5に示す構成
と相違している。
【0121】
絶縁層82は、トランジスタ70等の被形成面を成す絶縁層である。基板41aは、接
着層42aにより絶縁層82の一方の面に貼り付けられている。絶縁層82の他方の面上
には、トランジスタ70や、導電層23等が設けられている。
【0122】
絶縁層62は、遮光層52や着色層51a、着色層51b等の被形成面を成す絶縁層で
ある。基板41bは、接着層42bにより絶縁層62の一方の面に貼り付けられている。
絶縁層62の他方の面側には、着色層51a、着色層51b、遮光層52、絶縁層61、
構造体14a、構造体14b、導電層25、及び配向膜53b等が設けられている。
【0123】
基板41a及び基板41bとしては、薄く、軽い材料を用いることができる。好適には
、基板41bとして可撓性を有する材料を用いることができる。さらに、基板41bと基
板41aの両方に可撓性を有する材料を用いることにより、曲げることのできる表示装置
を実現することができる。
【0124】
例えば、基板41a及び基板41bとして、厚さが1μm以上300μm以下、好まし
くは3μm以上200μm以下、より好ましくは5μm以上150μm以下、さらに好ま
しくは10μm以上100μm以下の薄いシート状の材料を用いることができる。
【0125】
〔断面構成例1-4〕
図6(B)に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図6(B)に示す構成は
、基板41a、接着層42a及び絶縁層82に代えて基板21を有する点で、
図6(A)
に示す構成と相違している。
【0126】
図6(B)に示す構成は、表示面側に厚さの薄い基板41bを用い、表示面側とは反対
側に、基板41bよりも剛性の高い基板21が設けられている。したがって、
図5に示し
た構成よりも厚さの薄い表示装置を実現できる。また、表示面側の基板41bの厚さが薄
いため、例えば比較的厚い(例えば0.3mmよりも厚い)ガラス基板等を用いた場合に
比べて、表示のコントラスト、色再現性、視野角依存性などの光学特性に優れた表示装置
を実現できる。
【0127】
〔断面構成例1-5〕
図6(C)に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図6(C)に示す構成は
主に、基板21に代えて基板41a、接着層42a、樹脂層45aを有する点、基板31
に代えて樹脂層45b、絶縁層62を有する点、並びに構造体14a及び構造体14bが
絶縁層81に接して設けられている点で、
図5に示す構成と相違している。
【0128】
樹脂層45aは、トランジスタ70等を支持する絶縁性の層である。樹脂層45aとし
ては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミ
ド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂等を用いることが
できる。特に、ポリイミド樹脂は、耐熱性に優れ、また線熱膨張係数が低いため好ましい
。
【0129】
樹脂層45aは、例えば厚さが0.01μm以上200μm以下、好ましくは0.1μ
m以上100μm以下とすることが好ましい。これにより、可撓性を有し、曲げることの
できる表示装置を実現できる。
【0130】
基板41aは、接着層42aにより、樹脂層45aの一方の面に貼り付けられている。
また樹脂層45aの他方の面上には、絶縁層82が設けられている。
【0131】
樹脂層45bは、透光性を有する樹脂材料を用いることができる。好ましくは、厚さ1
μm以上200μm以下のフィルム状またはシート状の材料を用いることができる。
【0132】
このように、樹脂層45bに直接的に着色層51a、着色層51b、遮光層52、絶縁
層61、導電層25、及び配向膜53b等が設けられる構成とすることで、作製工程を簡
略化することができる。
【0133】
樹脂層45bの一方の面側には、絶縁層62が設けられている。なお、絶縁層62は不
要であれば設けなくてもよい。
【0134】
構造体14a及び構造体14bは、それぞれ凹部50に設けられ、絶縁層81の上面に
接して設けられている。また構造体14a及び構造体14bの少なくとも側面の一部を覆
って配向膜53aが設けられている。
【0135】
このような構成とすることで、樹脂層45b側の構成を簡略化することができる。例え
ば、島状の形状を有する着色層51a、着色層51bや、開口を有する遮光層52等を印
刷法により形成することができる。これにより、樹脂層45b側の構成を、ロールトゥロ
ール法を用いて安価に作製することができる。
【0136】
以上が構成例1についての説明である。
【0137】
[構成例2]
以下では、本発明の一態様の表示装置の例として、反射型の液晶素子と、発光素子の両
方を有し、発光モード、反射モード、およびハイブリッドモードの表示を行うことのでき
る、表示装置(表示パネル)の例を説明する。このような表示パネルを、ER-Hybr
id Display(Emission and Reflection Hybri
d Display、または、Emission/Reflection Hybrid
Display)とも呼ぶことができる。
【0138】
このような表示パネルの一例としては、可視光を反射する電極を備える液晶素子と、発
光素子とを積層して配置した構成が挙げられる。このとき、可視光を反射する電極が開口
を有し、当該開口と発光素子とが重ねて配置されていることが好ましい。これにより、発
光モードでは当該開口を介して発光素子からの光が射出されるように駆動することができ
る。なお、可視光を反射する電極と重ならない領域に発光素子の発光領域が配置されてい
る構成とし、可視光を反射する電極の隙間から発光素子からの光が射出される構成として
もよい。液晶素子と発光素子とを積層して配置することで、平面視において、液晶素子と
発光素子を並べて配置した場合と比べて、液晶素子と発光素子の両方を有する画素(画素
ユニットともいう)の大きさを小さくすることができるため、より高精細な表示装置を実
現できる。
【0139】
このような表示パネルは、屋外など外光の明るい環境では反射モードで表示することに
より、極めて電力消費が低い駆動を行うことができる。また夜間や室内など外光が暗い環
境では、発光モードで表示することにより、最適な輝度で画像を表示することができる。
さらに、発光と反射光の両方を用いたモード(ハイブリッドモードともいう)で表示する
ことにより、外光の明るさが不十分な環境であっても従来の表示パネルに比べて、低い消
費電力で、且つコントラストの高い表示を行うことができる。また、反射モード及びハイ
ブリッドモードでは、環境光の揺らぎを反映した表示を行うことが可能なため、ユーザが
より自然に感じる表示を行うことができる。
【0140】
〔断面構成例2-1〕
図7(A)に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図7(A)に示す構成は
、液晶素子40と、発光素子90が絶縁層83を介して重ねて配置されている。
図7(A
)に示す構成では、基板31側が表示面側に相当する。
【0141】
表示装置は、絶縁層83の一方の面上に形成された、トランジスタ70aとトランジス
タ70bを有する。トランジスタ70aは、液晶素子40と電気的に接続し、トランジス
タ70bは、発光素子90と電気的に接続する。
【0142】
トランジスタ70aとトランジスタ70bを覆う絶縁層81の基板21側には、導電層
91が設けられ、導電層91の端部を覆って絶縁層84が設けられている。導電層91と
トランジスタ70bのソース又はドレインの一方とは、絶縁層81に設けられた開口を介
して電気的に接続されている。絶縁層84は、平坦化層として機能する。絶縁層84の基
板21側には、EL層92、導電層93a、及び導電層93bが設けられている。導電層
91、EL層92、導電層93a、及び導電層93bにより、発光素子90が構成されて
いる。
【0143】
導電層91及び導電層93aは、可視光を透過する機能を有する。導電層93bは、可
視光を反射する機能を有する。したがって、発光素子90は、導電層91側に光を射出す
る、ボトムエミッション型の発光素子である。
【0144】
また、絶縁層83の基板31側には、導電層23aと導電層23bが積層して設けられ
ている。また導電層23aと液晶層24の間に、配向膜53aが設けられている。液晶層
24、及び液晶層24と基板31の間の構成は、構成例1を援用できるため、説明を省略
する。
【0145】
また表示装置は、絶縁層83の両面に設けられる導電層同士を電気的に接続する接続部
80を有する。
図7(A)では、端子部が絶縁層83に設けられた開口と、当該開口に位
置し、トランジスタ70a等のゲートと同一の導電膜を加工して得られた導電層と、を有
する構成を示している。トランジスタ70aのソース又はドレインの一方と導電層23b
は、接続部80を介して電気的に接続されている。
【0146】
導電層23aは、可視光を透過する機能を有する。また導電層23bは、可視光を反射
する機能を有する。したがって液晶素子40は、反射型の液晶素子として機能する。
【0147】
また、可視光を反射する導電層23bには、発光素子90と重なる領域において、開口
が設けられている。発光素子90から射出された光は、当該開口を介して、基板31側に
射出される。
【0148】
図7(A)に示す表示装置は、液晶素子40と電気的に接続するトランジスタ70aと
、発光素子90と電気的に接続するトランジスタ70bを有するため、液晶素子40と発
光素子90をそれぞれ独立に制御することが可能である。また、トランジスタ70aとト
ランジスタ70bは、同一面上に同一工程を経て形成することが可能であるため、工程が
簡略化され、高い歩留りで作製することができる。
【0149】
また、
図7(A)に示すように、可視光を反射する導電層93bには、隔壁11と重な
る領域に開口が設けられている。また、導電層93aは、紫外線を透過する機能を有する
。隔壁11を形成するための光の照射を行う際は、当該開口を介して液晶層24に光を照
射することができる。
【0150】
また、2つの導電層23aの間の領域において、絶縁層83に凹部50が形成されてい
る。複数の隔壁11のうち、2つの導電層23aの間に設けられる隔壁11は、その一部
が凹部50と重ねて設けられている。
【0151】
また導電層25の基板21側の面には、当該凹部50と重なる位置に構造体14が設け
られている。また構造体14は隔壁11と重ねて設けられている。
【0152】
〔変形例1〕
図7(B)には、
図7(A)と一部の構成が異なる例を示している。具体的には、基板
31に代えて、絶縁層62、接着層42b、及び基板41bを有し、また基板21に代え
て基板41aを有する。
【0153】
このような構成とすることで、曲げることのできる表示装置を実現できる。
【0154】
〔断面構成例2-2〕
図8(A)に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図8(A)に示す構成は
、
図7(A)で例示した構成と比較し、トランジスタ70a及びトランジスタ70bが、
絶縁層83よりも基板31側に設けられている点で主に相違している。また
図8(A)で
は、高さの異なる2つの構造体(構造体14a、構造体14b)を有する例を示している
。
【0155】
トランジスタ70aは、ソース又はドレインの一方が絶縁層81に設けられた開口を介
して、絶縁層81上に設けられた導電層23と電気的に接続されている。また導電層23
上には配向膜53aが設けられている。
【0156】
トランジスタ70bは、接続部80を介して導電層91と電気的に接続されている。導
電層91を覆って、EL層92、導電層93b、及び導電層93aが積層して設けられて
いる。
【0157】
ここで、導電層91の基板21側の表面と、絶縁層83の基板21側の表面は、概略一
致しており、これらの境界における段差は極めて小さい。そのため、
図7(A)等で例示
した、導電層91の端部を覆う絶縁層(絶縁層84)を設けない構成とすることができる
。なお、絶縁層84を設けてもよい。
【0158】
また、ここでは可視光を透過する導電層93aが、可視光を反射する導電層93bより
も基板21側に設けられている例を示している。例えば金属酸化物を含む導電層93aに
より、金属または合金を含む導電層93bの表面を覆って設けることで、導電層93bの
酸化を抑制し、信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0159】
また、
図8(A)に示すように、隔壁11が、遮光層52等と重なる領域だけでなく、
発光素子90と重なる領域にも設けられていてもよい。このとき、発光素子90からの光
は、導電層23に設けられた開口、隔壁11、及び着色層51a等を介して、基板31側
から外部に射出される。
【0160】
〔変形例2〕
図8(B)には、
図8(A)と一部の構成が異なる例を示している。具体的には、基板
31に代えて、絶縁層62、接着層42b、及び基板41bを有し、また基板21に代え
て基板41aを有する。
【0161】
このような構成とすることで、曲げることのできる表示装置を実現できる。
【0162】
〔断面構成例2-3〕
図9(A)に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図9(A)に示す構成は
、主にトランジスタ70bがトランジスタ70aとは異なる絶縁層上に設けられている点
、また、トランジスタ70aとトランジスタ70bとの間に接着層99を有する点で、図
7(A)に示す構成と相違している。
【0163】
トランジスタ70bは、絶縁層86の一方の面側に設けられている。また絶縁層86の
他方の面は、接着層99を介してトランジスタ70aを覆う絶縁層81と接着されている
。
【0164】
また絶縁層86の一方の面側には、絶縁層87、絶縁層88を有する。絶縁層87は、
その一部がトランジスタ70bのゲート絶縁層として機能する。また絶縁層88は、トラ
ンジスタ70bを覆って設けられている。絶縁層84は絶縁層88を覆って設けられてい
る。
【0165】
また、ここではトランジスタ70aが第2のゲートとして機能する導電層78と、第2
のゲート絶縁層として機能する絶縁層79を有する例を示している。導電層78としては
、可視光を遮光する導電性材料を用いることが好ましい。
【0166】
なお、ここでは基板21と基板31を有する例を示したが、これらを可撓性を有する基
板に置き換えてもよい。例えば
図7(B)に示すように、基板21に代えて可撓性を有す
る基板41aを用いることができる。また基板31に代えて絶縁層62、接着層42b、
及び基板41bを用いることができる。これにより、曲げることのできる表示装置を実現
できる。
【0167】
〔断面構成例2-4〕
図9(B)に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図9(B)に示す構成は
、主に発光素子90がトップエミッション型の発光素子である点、絶縁層87から発光素
子90までの積層構造の向きが上下逆転している点、接着層99を有さない点などで、図
9(A)に示す構成と相違している。
【0168】
基板21と基板31とは、接着層89により貼り合わされている。また、接着層89は
、発光素子90を覆って設けられ、発光素子90を封止する機能を有する。
【0169】
以上が構成例2についての説明である。
【0170】
[作製方法例1]
〔作製方法例1-1〕
続いて、
図1(B)に示した表示装置10の作製方法の一例について説明する。
図10
及び
図11に示す各図は、表示装置10の作製方法に係る、工程の各段階における断面概
略図である。
【0171】
なお、表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法
、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、
真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposit
ion)法、原子層成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)
法等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PEC
VD)法や、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、有機金属化学気相堆積(MO
CVD:Metal Organic CVD)法を使ってもよい。
【0172】
また、表示装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、デ
ィップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印
刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等
の方法により形成することができる。
【0173】
また、表示装置を構成する薄膜を加工する際には、フォトリソグラフィ法等を用いて加
工することができる。または、遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を形成し
てもよい。または、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄
膜を加工してもよい。フォトリソグラフィ法としては、加工したい薄膜上にレジストマス
クを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法と
、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加
工する方法と、がある。
【0174】
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、
g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用い
ることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いる
こともできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光と
して、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra-violet)やX線を用い
てもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外
光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。な
お、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは
不要である。
【0175】
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト
法などを用いることができる。
【0176】
〈トランジスタ70の形成〉
まず、基板21上に導電層71を形成する。導電層71は、導電膜を成膜した後、レジ
ストマスクを形成し、当該導電膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することに
より形成できる。
【0177】
続いて、絶縁層73を成膜する。
【0178】
続いて、半導体層72を形成する。半導体層72は、半導体膜を成膜した後、レジスト
マスクを形成し、当該半導体膜をエッチングした後にレジストマスクを除去することによ
り形成できる。
【0179】
続いて、導電層74a及び導電層74bを形成する。導電層74a及び導電層74bは
、導電層71と同様の方法により形成できる。
【0180】
以上の工程により、トランジスタ70を形成することができる。
【0181】
〈絶縁層81の形成〉
続いて、絶縁層81を形成する(
図10(A))。絶縁層81に感光性の材料を用いる
ことで、フォトリソグラフィ法等により開口を形成することができる。なお絶縁層81を
成膜した後にフォトリソグラフィ法等によりレジストマスクを形成し、絶縁層81の一部
をエッチングすることで開口を形成してもよい。絶縁層81は、有機絶縁材料を用いると
、その上面の平坦性を高めることができるため好ましい。
【0182】
また、絶縁層81を、無機絶縁膜と有機絶縁膜の積層構造としてもよい。
【0183】
〈導電層23、凹部50の形成〉
続いて、絶縁層81上に、導電層23となる導電膜を成膜する。続いて、導電層23上
にレジストマスク95を形成する。その後、導電膜のレジストマスク95に覆われていな
い部分をエッチングすることにより、導電層23を形成する(
図10(B))。
【0184】
続いて、絶縁層81に凹部50を形成する(
図10(C))。凹部50は、レジストマ
スク95をエッチングマスクとして用い、絶縁層81の上部の一部をエッチングすること
により形成することができる。
【0185】
凹部50の形成は、ドライエッチング法を用いることが好ましい。特に絶縁層81に有
機絶縁材料を用いたときは、酸素を含む雰囲気におけるプラズマ処理(アッシング処理)
を用いることが好ましい。アッシング処理で絶縁層81を加工することで、導電層23と
のエッチング速度の選択比を高くでき、導電層23がエッチングされてしまうことを抑制
できる。
【0186】
なお、凹部50の形成時、レジストマスク95をマスクとして用いてもよいし、レジス
トマスク95を除去し、導電層23をハードマスクとして用いてもよい。
【0187】
〈配向膜53aの形成〉
続いて、配向膜53aを形成する(
図10(D))。配向膜53aとなる薄膜を成膜し
た後に、ラビング処理を行うことにより、配向膜53aを形成することができる。
【0188】
〈遮光層52、着色層51a、着色層51bの形成〉
続いて、基板31上に遮光層52を形成する。遮光層52は、導電膜を加工して、導電
層71等と同様の方法により形成してもよいし、金属材料や顔料や染料を含む樹脂材料を
用いて、絶縁層81等と同様の方法により形成してもよい。
【0189】
続いて、着色層51a、着色層51b等をそれぞれ形成する。着色層51a、着色層5
1bは、絶縁層81等と同様の方法により形成できる。
【0190】
なお、遮光層52よりも先に、着色層51a及び着色層51bを形成してもよい。この
とき、遮光層52の一部が、着色層51a及び着色層51bの端部を覆うように形成する
ことが好ましい。
【0191】
〈絶縁層61、導電層25、配向膜53bの形成〉
続いて、遮光層52、着色層51a及び着色層51b等を覆って絶縁層61を成膜する
。絶縁層61は、着色層51a等に含有された不純物等が液晶層24に拡散することを防
ぐオーバーコートとしての機能を有する。また絶縁層61は、遮光層52、着色層51a
及び着色層51b等の表面の段差を被覆する平坦化層としての機能を有していてもよい。
なお、絶縁層61は不要であれば設けなくてもよい。
【0192】
続いて、絶縁層61上に導電層25を形成する。導電層25は、導電層71等と同様の
方法により形成することができる。または、遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の
導電層25を形成してもよい。
【0193】
続いて、導電層25上に配向膜53bを形成する(
図10(E))。配向膜53bは、
配向膜53aと同様の方法により形成することができる。
【0194】
なお、上述した基板21側の工程と、基板31側の工程は、それぞれ独立に進めること
ができる。
【0195】
〈基板21と基板31の貼り合せ〉
続いて、基板21と基板31のいずれか一方、または両方に、これらを接着する接着層
(図示しない)を形成する。接着層は、画素が配置されている領域を囲むように形成する
。接着層は、例えばスクリーン印刷法や、ディスペンス法等により形成することができる
。接着層としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂等を用いることができる。また、紫外
線により仮硬化した後に、熱を加えることにより硬化する樹脂などを用いてもよい。また
は、接着層として、紫外線硬化性と熱硬化性の両方を有する樹脂などを用いてもよい。
【0196】
続いて、液晶層24となる組成物をディスペンス法等により接着層に囲まれた領域に滴
下する。具体的には、液晶12、モノマー13、及び重合開始剤を含む組成物を滴下する
。また、当該組成物にカイラル剤等が含まれていてもよい。
【0197】
続いて、液晶層24となる組成物を挟むように基板21と基板31とを貼り合せ、接着
層を硬化する。貼り合せは、減圧雰囲気下で行うと基板21と基板31の間に気泡等が混
入することを防ぐことができるため好ましい。
【0198】
なお、液晶層24となる組成物は、基板21と基板31を貼り合せた後に、減圧雰囲気
下において、接着層に設けた隙間から注入する方法を用いてもよい。また、液晶層24と
なる組成物の滴下後に粒状のギャップスペーサを画素が配置されている領域や、当該領域
の外側に配置してもよいし、当該ギャップスペーサを含む組成物を滴下してもよい。
【0199】
この時点で、導電層23、導電層25及び液晶12を含む液晶素子40が形成される(
図11(A))。なおこの時点では、隔壁11が形成されておらず、また液晶層24に含
まれるモノマー13の濃度が高い状態である。
【0200】
続いて、基板21側から、光20を照射する(
図11(B))
【0201】
光20は、重合開始剤が反応する波長、及び強度の光を用いることができる。例えば、
光20は、波長100nm~400nmの紫外線を用いることができる。波長200nm
~400nmの光を用いると、大気による吸収が抑制できるため好ましい。代表的には、
波長254nmの光や、波長365nmの光、波長385nmの光などがある。光20は
、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等
の光源を用いて生成することができる。また、ランプやLEDの他に、エキシマレーザ等
のレーザを、光源として用いてもよい。
【0202】
光20は、基板21の表面に対して垂直に入射されるように、出来るだけ平行に近い光
を用いることが好ましい。特に基板21が大きい場合などで、複数の光源を用いる場合に
は、光が斜め方向から入射されてしまう恐れがある。その場合、光源と基板21との間に
、光源からの光を平行光に近づけるためのスリット等を設けることが好ましい。
【0203】
図11(B)に示すように、導電層23が設けられていない領域において、光20は液
晶層24に照射される。一方、導電層23が設けられる領域では、光20は導電層23に
より遮光され、液晶層24に到達しない。また、光20は、導電層23だけでなく、導電
層71や導電層74a、導電層74bなどでも遮光される。
【0204】
なお、ここではトランジスタ70として、ゲートとして機能する導電層71が基板21
側に位置するボトムゲート構造のトランジスタを示している。したがって、光20は導電
層71によって遮光され、半導体層72に照射されないため、トランジスタ70の電気特
性の変動が生じてしまうことを防ぐことができる。なお、トランジスタ70としてトップ
ゲート構造のトランジスタを用いる場合では、半導体層72の下に、光20を遮光する部
材を配置する、または半導体層72の下に第2のゲートとして機能する導電層を配置する
ことが好ましい。
【0205】
図12には、
図11(B)中に一点鎖線で示す領域の拡大図を示す。
図12は、光20
の照射が開始され、モノマー13の重合が進んでいく過程における概念図である。
【0206】
導電層23等に遮光されず、光20が照射される領域を照射領域30とする。照射領域
30では、光20が照射されることにより、液晶層24中の重合開始剤がラジカルを生成
し、これによりモノマー13が重合を開始する。重合が進行することにより、
図12に示
すようにポリマーを含む隔壁11が成長する。
【0207】
ここで、モノマー13の重合に伴い、照射領域30およびその近傍の液晶層24に含ま
れるモノマー13の濃度が低下し、照射領域30から離れるほどモノマー13の濃度が高
くなるような濃度分布が生じる場合がある。モノマー13は、当該濃度分布を均一にする
ように、濃度の高いほうから濃度の低い方に拡散する性質を有する場合がある。このとき
、モノマー13の一部は、
図12に示すように照射領域30に向かって液晶層24中を拡
散する。これにより、光20の照射前に比べて照射後では、導電層23と重なる領域にお
ける液晶層24中のモノマー13の濃度が低い状態となる。また、光20の照射前の液晶
層24中に含まれるモノマー13の濃度が十分に低い場合や、モノマー13が液晶層24
中を拡散しやすい場合などでは、光20を照射した後におけるモノマー13の濃度が、検
出されない程度に低い状態となる場合もある。
【0208】
光20を照射する前における、液晶層24中のモノマー13の最適な濃度は、光20の
照射領域30の面積に応じて決定することができる。例えば、画素が配列している領域(
表示領域ともいう)に対する、照射領域30の面積比率をα%(α>0)としたとき、液
晶層24中のモノマー13の重量濃度を(α-x)wt%以上、(α+x)wt%以下の
範囲内に設定することが好ましい。または、液晶層24中のモノマー13の体積濃度を(
α-x)%以上、(α+x)%以下の範囲内に設定することが好ましい。ここで、x=0
.5α、好ましくはx=0.3α、より好ましくはx=0.2αを満たす。これにより、
光20を照射した後における、液晶素子40として機能する部分の液晶層24中のモノマ
ー13の濃度を低減することができる。
【0209】
モノマー13の重合が進行することで、照射領域30内において、配向膜53aと配向
膜53bの両方と接する隔壁11が形成される。隔壁11は、配向膜53a及び配向膜5
3bを接着する機能を有する。
【0210】
また、
図12に示すように、絶縁層81の凹部50は導電層23の間に位置するため、
光20は凹部50を通ることとなる。したがって、隔壁11は凹部50と重なる領域で成
長する。これにより、光20の照射後において、隔壁11は凹部50に嵌合するような形
状、または凹部50を埋めるような形状に成長させることができるため、接着強度を極め
て高いものとすることができる。
【0211】
なお、
図12では隔壁11が配向膜53a側から配向膜53b側に向かって成長する場
合の例を示しているが、あくまでも概念図であり、隔壁11の成長過程は様々な形態を取
りうる。例えば、液晶層24中に形成された無数の小さなポリマーが連結しながら成長す
る場合もある。または、光20の強度が強く、光20が配向膜53bまで十分な強度で到
達する場合や、遮光層52によって光20が反射され、液晶層24に再度照射される場合
などでは、配向膜53a側からだけでなく配向膜53b側からもポリマーが成長し、配向
膜53a側から成長したポリマーと繋がって一体となることで隔壁11が形成される場合
もある。どのような成長過程を経て隔壁11が形成されたかは、隔壁11の断面形状等か
ら推定することができる。
【0212】
以上の工程により、表示装置10を作製することができる(
図11(C))。
図11(
C)は、
図1(B)と同じ図である。
【0213】
なお、上述した作製方法において、光20の照射条件や、光20が散乱することなどに
より、導電層23の輪郭より内側の領域と重なる領域にも、隔壁11が形成される場合も
ある。同様に、導電層74a、導電層74b、及び導電層71等の、光20を遮光する部
材と重なる領域にも、隔壁11の一部が重ねて配置されていてもよい。
【0214】
ここで、導電層23と重なる領域において、モノマー13は、隔壁11に近いほど濃度
が低く、隔壁11から遠いほど濃度が高い濃度分布を有している場合がある。
【0215】
また、導電層23と重なる領域において、未反応の重合開始剤が残存している場合もあ
る。このとき、液晶層24中にモノマー13と重合開始剤の両方が残存している場合には
、外光に含まれる紫外線などにより、モノマー13の重合反応が生じてしまう恐れがある
。しかしながら、表示装置10では、液晶層24よりも表示面側には着色層51a等が設
けられており、これにより外光に含まれる紫外線が液晶層24に到達することを防ぐこと
ができる。したがって、モノマー13や重合開始剤が残存していたとしても、使用環境下
で重合反応が生じてしまうようなことはなく、信頼性の高い表示装置を実現することがで
きる。
【0216】
以上が、表示装置の作製方法例1-1についての説明である。
【0217】
〔作製方法例1-2〕
以下では、断面構成例1-2で例示した表示装置の作製方法の例について
図13の各図
を用いて説明する。
【0218】
まず、作製方法例1-1と同様に、基板21上に導電層71から配向膜53aまで順に
形成する。
【0219】
また、基板31上に、遮光層52から導電層25まで順に形成する。
【0220】
続いて、導電層25上に構造体14a及び構造体14bを形成する。まず構造体14a
及び構造体14bとなる絶縁膜を成膜する。当該絶縁膜は、感光性の樹脂を用いることが
好ましい。絶縁膜は、例えばスピンコート法等により形成することができる。
【0221】
続いて、フォトマスクを介して絶縁膜を露光し、現像処理の後にベークすることで構造
体14a及び構造体14bを形成することができる。
【0222】
ここで、絶縁膜として、光が照射されない部分が現像後に残る、ポジ型の感光性材料を
用いることが好ましい。さらに、構造体14bが構造体14aよりも幅が小さくなるよう
なフォトマスクを用いることが好ましい。これにより、構造体14bとなる領域において
、露光に用いる光が回り込みやすくなる。その結果、構造体14aよりも高さの低い構造
体14bを自己整合的に形成することができる。
【0223】
なお、高さの異なる構造体14aと構造体14bを形成する方法として、上記以外に、
ハーフトーンマスク、またはグレートーンマスク等の多階調マスクを用いた露光技術、ま
たは2以上のフォトマスクを用いた多重露光技術を用いてもよい。
【0224】
続いて、構造体14a、構造体14b及び導電層25を覆って配向膜53bを形成する
(
図13(A))。
【0225】
続いて、作製方法例1-1と同様に基板21と基板31を貼り合せる。
【0226】
続いて、基板21側から光20を照射する(
図13(B))。
【0227】
光20は、導電層23等に遮蔽されない領域に照射される。ここで構造体14a及び構
造体14bが導電層23と重ならない位置に設けられているため、光20は構造体14a
及び構造体14bの側面を含む領域に照射される。そのため、構造体14a及び構造体1
4bを取り囲むように、隔壁11が形成される。
【0228】
モノマー13が重合してポリマーを生成する際、モノマー13が分散された液晶層24
と接する面からポリマーが成長することがある。ここでは構造体14a及び構造体14b
が配向膜53bと導電層25の間に設けられているため、光20が照射される領域におけ
る、配向膜53bと液晶層24との接触面積は、構造体14a及び構造体14bを有さな
い場合と比較して大きくなる。その結果、構造体14a及び構造体14bを有さない場合
に比べて、ポリマーが形成されやすいため、形成される隔壁11はより高密度で強度の高
いポリマーとなりやすい。
【0229】
以上の工程により、表示装置を作製することができる(
図13(C))。
図13(C)
は、
図5と同じ図である。
【0230】
図13(C)等に示す構成では、隔壁11と、隔壁11の内側に位置する構造体14a
及び構造体14bにより、基板21と基板31の距離を保持することができる。したがっ
て、より外力に対する物理的強度が高められたことに加え、外力によるセルギャップの変
化が抑制された表示装置である。
【0231】
以上が作製方法例1-2についての説明である。
【0232】
〔作製方法例1-3〕
以下では、断面構成例1-3で例示した表示装置の作製方法の例について
図14及び図
15の各図を用いて説明する。
【0233】
まず、支持基板44a上に剥離層43aと絶縁層82を順に形成する。
【0234】
支持基板44aとしては、装置内または装置間における搬送が容易な程度に剛性を有す
る基板を用いることができる。また、作製工程にかかる熱に対して耐熱性を有する基板を
用いる。例えば、厚さ0.3mm以上1mm以下のガラス基板を用いることができる。
【0235】
剥離層43a及び絶縁層82に用いる材料としては、剥離層43aと絶縁層82の界面
、または剥離層43a中で剥離が生じるような材料を選択することができる。
【0236】
例えば、剥離層43aとしてタングステンなどの高融点金属材料を含む層と、当該金属
材料の酸化物を含む層を積層して用い、絶縁層82として、窒化シリコン、酸化シリコン
、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどの無機絶縁材料の層を積層して用いることが
できる。なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の
含有量が多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多
い材料を指す。剥離層43aに高融点金属材料を用いると、その後の工程において、高い
温度での処理が可能となるため、材料や形成方法の選択の自由度が高まるため好ましい。
【0237】
剥離層43aとして、タングステンと酸化タングステンの積層構造を用いた場合では、
タングステンと酸化タングステンの界面、酸化タングステン中、または酸化タングステン
と絶縁層82の界面で剥離することができる。
【0238】
なお、剥離層43aやその上の被剥離層の構成については、これに限られず様々な材料
を選択できる。
【0239】
続いて、絶縁層82上に、作製方法例1-1と同様に、導電層71から配向膜53aま
で順に形成する。
【0240】
この段階における断面概略図が、
図14(A)に相当する。
【0241】
続いて、支持基板44b上に剥離層43b及び絶縁層62を順に形成する。
【0242】
支持基板44bは、支持基板44aと同様の材料を用いることができる。剥離層43b
は、剥離層43aと同様の方法により形成できる。絶縁層62は、絶縁層82と同様の方
法により形成できる。
【0243】
続いて、絶縁層62上に遮光層52、着色層51a及び着色層51b、絶縁層61、導
電層25、構造体14a及び構造体14b、並びに配向膜53bを、上記と同様の方法に
より形成する。
【0244】
この段階における断面概略図が、
図14(B)に相当する。
【0245】
続いて、支持基板44aと支持基板44bを貼り合せる。貼り合せは、上記と同様の方
法により行うことができる。
【0246】
続いて、支持基板44a側から光20(図示しない)を照射し、隔壁11を形成する(
図14(C))。
【0247】
ここで、光20の照射は、剥離層43aを介して液晶層24に光20が到達するように
行う必要がある。例えば剥離層43aとして、金属を含む材料を用いた場合には、光20
が遮光され、液晶層24にまで十分に光20が到達しない場合もある。そのため、剥離層
43aに金属を含む材料を用いた場合には、剥離層43aとして、光20が透過する程度
に薄い膜を用いること、また剥離層43aによる反射や吸収を考慮して、光20の照射条
件を適切なものとすること、が重要である。
【0248】
例えば剥離層43aとして、タングステン膜と酸化タングステン膜の積層構造を用いた
場合、タングステン膜の厚さを1nm以上50nm以下、好ましくは1nm以上30nm
以下、より好ましくは1nm以上20nm以下の厚さとすることで、特別な照射装置を用
いることなく、隔壁11を形成することができる。
【0249】
また、照射装置の出力、及び照射時間を調整し、液晶層24に到達する光のエネルギー
が0.1J/cm2以上100J/cm2以下、好ましくは1J/cm2以上50J/c
m2以下となるような条件で、光20を照射することが好ましい。
【0250】
続いて、絶縁層62と剥離層43bとの間で剥離することにより、支持基板44b及び
剥離層43bを除去する(
図15(A))。
【0251】
このように、剥離を行うよりも前に、隔壁11を形成することが好ましい。ここで、基
板21と絶縁層62を接合する隔壁11は、隣接画素間に複数配置されているため、基板
21と絶縁層62との接着強度が高められている。したがって、剥離を行う工程において
、液晶層24の内部で剥離されてしまうことが抑制され、より高い歩留りで支持基板44
bを剥離することができる。
【0252】
絶縁層62と支持基板44bとを剥離する方法としては、機械的な力を加えることや、
剥離層をエッチングすること、または液体を滴下する、または液体に含浸させるなどし、
剥離界面に液体を浸透させることなどが、一例として挙げられる。または、剥離界面を形
成する2層の熱膨張率の違いを利用し、加熱または冷却することにより剥離を行ってもよ
い。
【0253】
また、剥離を行う前に、剥離界面の一部を露出させる処理を行ってもよい。例えばレー
ザや鋭利な部材などにより、剥離層43b上の絶縁層62の一部を除去する。これにより
、絶縁層62が除去された部分を出発点(起点)として、剥離を進行させることができる
。
【0254】
剥離を終えた後、絶縁層62の表面に剥離層43bの一部が残存している場合がある。
その場合、残存した剥離層43bを洗浄やエッチング、拭き取りなどを行うことにより除
去してもよい。また、残存した剥離層43bが可視光に対する透過性が高く、視認性に影
響ない場合には、除去しなくてもよい。その場合には、絶縁層62と後述する接着層42
bとの間に、剥離層43bに含まれる元素を含む層が残存する。
【0255】
続いて、絶縁層62と基板41bとを接着層42bによって接着する。接着層42bと
しては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂等を用いることができる。
【0256】
続いて、上記と同様の方法により、絶縁層82と剥離層43aとの間で剥離することに
より、支持基板44a及び剥離層43aを除去する(
図15(B))。
【0257】
その後、絶縁層82と基板41aとを接着層42aによって接着する。接着層42aは
、接着層42bと同様の材料を用いることができる。
【0258】
以上の工程により、表示装置を作製することができる(
図15(C))。
図15(C)
は、
図6(A)と同じ図である。
【0259】
なお、ここでは支持基板44bと剥離層43bを除去し、基板41bを貼り合せる工程
を先に行うこととしたが、反対に支持基板44aと剥離層43aを除去し、基板41aを
貼り合せる工程を先に行ってもよい。またこれらを同時に行ってもよい。
【0260】
本発明の一態様の表示装置の作製方法において、トランジスタ70や導電層23の作製
時には、比較的厚い支持基板44aを用いるため、搬送が容易であり、高い歩留りで作製
することができる。また、薄い基板41a上に直接、トランジスタ70等を形成する方法
に比べて、トランジスタ70やその周囲の絶縁層を形成する際に、高温の処理を行うこと
ができるため、トランジスタ70内、及びその近傍の不純物が低減され、極めて信頼性の
高いトランジスタ70を実現できる。
【0261】
また、着色層51aや遮光層52等の作製時には、比較的厚い支持基板44bを用いる
ため、搬送が容易であり、高い歩留りで作製することができる。また支持基板44bを用
いることにより、着色層51aや遮光層52等の形成時に高い温度をかけることができる
ため、不純物の濃度が低減され、信頼性の高い表示装置とすることができる。また薄い基
板41b上に直接、着色層51aや遮光層52等を形成する方法に比べて、熱による支持
基板44bの膨張、収縮の影響を抑制できる。また支持基板44aと支持基板44bの貼
り合せの際、これらが剛性を有しているため、高い位置精度で貼り合せを行うことができ
る。そのため液晶素子40と着色層51a等の位置ずれを防ぐことができ、極めて高精細
な表示装置を実現できる。
【0262】
また、支持基板44bを剥離し、少なくとも支持基板44bよりも厚さの薄い基板41
bを貼り付けることで、厚さが薄く、軽量な表示装置を実現できる。また、着色層51a
や遮光層52等を形成した後に、薄い基板41bを貼り付けることができるため、基板4
1bとして耐熱性に乏しい材料を用いることができ、材料の選択の幅が広がり、様々な材
料を基板41bに用いることができる。また、表示面側の基板41bの厚さが薄いため、
例えば比較的厚い(例えば0.3mmよりも厚い)ガラス基板等を用いた場合に比べて、
表示のコントラスト、色再現性、視野角依存性などの光学特性に優れた表示装置を実現で
きる。
【0263】
以上が作製方法例1-3についての説明である。
【0264】
〔作製方法例1-4〕
図6(B)で例示した表示装置は、作製方法例1-3における支持基板44a側の工程
(剥離層43aの形成工程から、配向膜53aの形成工程まで)を、作製方法例1-1と
同様の方法に置き換えることで作製することができる。
【0265】
以上が、作製方法例1-4についての説明である。
【0266】
〔作製方法例1-5〕
以下では、断面構成例1-5及び
図6(C)で例示した表示装置の作製方法の例につい
て説明する。
【0267】
まず、樹脂層45b上に絶縁層62、遮光層52、着色層51a、着色層51b、絶縁
層61、導電層25、及び配向膜53bを形成する(
図16(A))。
【0268】
また、支持基板44dを準備する。支持基板44dは、上記支持基板44a等と同様の
材料を用いることができる。
【0269】
続いて、支持基板44d上に、樹脂層45aを形成する。
【0270】
樹脂層45aの形成は、まず樹脂層45aとなる材料を支持基板44d上に塗布する。
塗布は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スク
リーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテ
ンコート、ナイフコート等の方法を用いることができる。
【0271】
当該材料は、熱により重合が進行する熱硬化性(熱重合性ともいう)を発現する重合性
モノマーを有する。さらに、当該材料は、感光性を有していてもよい。また当該材料は、
粘度を調整するための溶媒が含まれていることが好ましい。
【0272】
当該材料には、重合後にポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹
脂となる、重合性モノマーを含むことが好ましい。すなわち、形成された樹脂層45aは
、これら樹脂材料を含む。特に当該材料に、イミド結合を有する重合性モノマーを用いる
ことで、ポリイミド樹脂に代表される樹脂を樹脂層45aに用いると、耐熱性や耐候性を
向上させることができるため好ましい。
【0273】
続いて、支持基板44dを加熱し、塗布した材料を重合させることで樹脂層45aを形
成する。このとき、加熱により材料中の溶媒は除去される。また加熱は、後のトランジス
タ70等の作製工程にかかる最高温度よりも高い温度で加熱することが好ましい。例えば
200℃以上700℃以下、または300℃以上600℃以下、好ましくは350℃以上
550℃以下、より好ましくは400℃以上500℃以下、代表的には450℃で加熱す
ることが好ましい。樹脂層45aの形成時に、表面が露出した状態でこのような温度で加
熱することにより、樹脂層45aから脱離しうるガスを除去することができるため、トラ
ンジスタ70等の作製工程中にガスが脱離することを抑制できる。
【0274】
また、樹脂層45aの熱膨張係数は、0.1ppm/℃以上20ppm/℃以下である
ことが好ましく、0.1ppm/℃以上10ppm/℃以下であることがより好ましい。
樹脂層45aの熱膨張係数が低いほど、加熱による膨張または収縮に伴う応力により、ト
ランジスタ等が破損することを抑制できる。
【0275】
続いて、樹脂層45a上に絶縁層82を形成する。その後、絶縁層82上に、上記作製
方法例1-1と同様に、導電層71から導電層23まで順に形成する。
【0276】
続いて、絶縁層81上に構造体14a及び構造体14bを形成する。このとき、構造体
14a及び構造体14bの少なくとも一部が、凹部50と重なるように形成することが好
ましい。
【0277】
その後、導電層23、絶縁層81、構造体14a及び構造体14b等を覆う配向膜53
bを形成する。
【0278】
この段階における断面概略図が、
図16(B)に相当する。
【0279】
続いて、支持基板44dと、樹脂層45bを貼り合せる。貼り合せは、上記と同様の方
法により行うことができる。
【0280】
続いて、支持基板44d側から光20(図示しない)を照射し、隔壁11を形成する(
図16(C))。
【0281】
続いて、支持基板44d側から、光20aを照射する(
図17(A))。光20aの照
射により、樹脂層45aの支持基板44d側の表面近傍、または樹脂層45aの内部の一
部が改質され、支持基板44dと樹脂層45aとの密着性が低下する。
【0282】
光20aとしては、レーザ光を好適に用いることができる。例えば、レーザ光に線状の
レーザを用い、これを走査することにより、レーザ光を照射することが好ましい。これに
より、支持基板44dの面積を大きくした際の工程時間を短縮することができる。なお、
レーザ光と同等のエネルギーを照射可能であれば、フラッシュランプ等を用いてもよい。
【0283】
ここで、樹脂層45aの密着性を低下させるために用いる光20aと、隔壁11を形成
するために用いる光20とに、波長の異なる光を用いることが好ましい。特に、隔壁11
を形成するために用いる光20は、樹脂層45aに吸収されにくい波長の光を用いること
が好ましい。より具体的には、光20aとして、光20よりも波長の短い光を用いること
が好ましい。
【0284】
例えば、隔壁11を形成するために用いる光20として、波長350nm以上の光を用
い、樹脂層45aの密着性を低下させるために用いる光20aとして、350nm未満の
光を好適に用いることができる。例えば光20としては、Nd:YAGレーザの第三高調
波である波長355nmのUVレーザなどの固体UVレーザ(半導体UVレーザともいう
)のほか、波長365nm、波長375nm、または波長380nmなどの固体UVレー
ザを用いてもよい。また、光20aとしては、波長308nmのエキシマレーザを好適に
用いることができる。エキシマレーザは、生産性に優れるため好ましい。またエキシマレ
ーザは、LTPSにおけるレーザ結晶化にも用いるため、既存のLTPS製造ラインの装
置を流用することができ、新たな設備投資を必要としないため好ましい。
【0285】
また、レーザとして、CW(Continuous wave)レーザを用いてもよい
し、パルスレーザを用いてもよい。パルスレーザとしては、ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒
等の短時間のパルスレーザ、またはそれよりも長時間(例えば数100Hz以下)のパル
スレーザを用いることができる。
【0286】
光20aとして、線状のレーザ光を用いる場合には、支持基板44dと光源とを相対的
に移動させることで光20aを走査し、剥離したい領域に亘って光20aを照射する。こ
の段階では、樹脂層45aが配置される全面に亘って照射すると、樹脂層45a全体が剥
離可能となり、後の分離の工程で支持基板44dの外周部をスクライブ等により分断する
必要がない。または、樹脂層45aが配置される領域の外周部に光20aを照射しない領
域を設けると、当該領域は、密着性は高いままであるため、光20aの照射時に樹脂層4
5aと支持基板44dとが分離してしまうことを抑制できるため好ましい。
【0287】
続いて、支持基板44dと樹脂層45aとを分離する(
図17(B))。
【0288】
分離は、樹脂層45bをステージに固定した状態で、支持基板44dに垂直方向に引っ
張る力をかけることにより行うことができる。例えば支持基板44dの上面の一部を吸着
し、上方に引っ張ることにより、引き剥がすことができる。ステージは、樹脂層45bを
固定できればどのような構成でもよいが、例えば真空吸着、静電吸着などが可能な吸着機
構を有していてもよいし、樹脂層45bを物理的に留める機構を有していてもよい。また
は、支持基板44dをステージに固定した状態で、樹脂層45bに垂直方向に引っ張る力
をかけることで分離してもよい。
【0289】
また、分離は表面に粘着性を有するドラム状の部材を支持基板44dまたは樹脂層45
bの上面に押し当て、これを回転させることにより行ってもよい。このとき、剥離方向に
ステージを動かしてもよい。
【0290】
続いて、樹脂層45aと基板41aとを接着層42aにより貼り合せる。なお、樹脂層
45aが十分な厚さと機械的強度を有する場合には、基板41aを貼り合せなくてもよい
。
【0291】
以上の工程により、表示装置を作製することができる(
図17(C))。
図17(C)
は、
図6(C)と同じ図である。
【0292】
以上が作製方法例1についての説明である。
【0293】
[作製方法例2]
〔作製方法例2-1〕
以下では、
図7(A)に示した表示装置の作製方法の例について、
図18及び
図19の
各図を用いて説明する。
【0294】
まず、支持基板44c上に、剥離層43cを形成する。支持基板44cは、上記支持基
板44a及び支持基板44bと同様の基板を用いることができる。また剥離層43cは、
上記剥離層43a及び剥離層43bと同様の方法により形成することができる。
【0295】
続いて、剥離層43c上に、導電層23aを形成する。導電層23aとしては、酸化物
導電性材料を用いることが好ましい。導電層23aとして酸化物導電性材料を用いること
で、導電層23aと剥離層43cの界面で好適に剥離を行うことができる。導電層23a
としては、例えば金属酸化物や、低抵抗化された酸化物半導体材料を用いることができる
。
【0296】
導電層23aに酸化物半導体材料を用いる場合には、プラズマ処理や熱処理等により、
酸化物半導体材料中に酸素欠損を生じさせることによりキャリア密度を高めてもよい。ま
た酸化物半導体材料中に、水素や窒素の他、アルゴンなどの希ガス等の不純物を導入する
ことによりキャリア密度を高めてもよい。また導電層23a上に形成する導電層23bと
して、酸素が拡散しやすい材料を用いることで、酸化物半導体中の酸素を低減させてもよ
い。なお、上述した方法を二以上適用してもよい。
【0297】
続いて、導電層23a上に導電層23bを形成する。導電層23bとしては、金属、ま
たは合金材料を含む単層構造、または積層構造を用いることができる。導電層23bとし
て積層構造を用いる場合には、導電層23aと接する層に反射率の高い材料を用いること
が好ましい。
【0298】
このとき、導電層23bは剥離層43cと接しないように、導電層23aのパターンよ
りも内側に配置されるように加工することが好ましい。導電層23bと剥離層43cとが
接すると、その部分で剥離の不良が発生する場合がある。
【0299】
続いて、剥離層43c、導電層23a及び導電層23bを覆って絶縁層83を形成する
。このとき、絶縁層83の一部に、導電層23bに達する開口を形成する。
【0300】
この段階における断面概略図が、
図18(A)に相当する。
【0301】
続いて、絶縁層83上にトランジスタ70a及びトランジスタ70bを形成する。これ
らは、構成例1と同様の方法により、形成することができる。
【0302】
このとき、トランジスタ70a及びトランジスタ70bのゲートを形成する工程におい
て、導電膜を成膜した後に加工するときに、絶縁層83に設けられた開口を介して導電層
23bと電気的に接続する導電層を同時に形成する。これにより、接続部80を形成する
ことができる。
【0303】
また、トランジスタ70aのソース又はドレインの一方が、接続部80と電気的に接続
するように、トランジスタ70a等のゲート絶縁層として機能する絶縁層に、開口を形成
する。
【0304】
続いて、トランジスタ70a及びトランジスタ70bを覆う絶縁層81を形成する。こ
のとき、絶縁層81には、トランジスタ70bのソース又はドレインの一方に達する開口
を形成する。その後、絶縁層81上に、導電層91を形成する。
【0305】
この段階における断面概略図が、
図18(B)に相当する。
【0306】
続いて、導電層91の端部を覆い、且つ導電層91と重なる部分に開口を有する絶縁層
84を形成する。絶縁層84は、導電層91の端部を被覆すると共に、平坦化層としての
機能を有する。絶縁層84としては、有機樹脂を用いることが好ましい。また絶縁層84
は、端部がテーパ形状を有することが好ましい。
【0307】
続いて、導電層91及び絶縁層84上に、EL層92、導電層93aを順に形成する。
その後、導電層93a上に導電層93bを形成する。
【0308】
導電層93bは、光20を透過させるための開口を有するように形成することが好まし
い。たとえば、メタルマスクなどのシャドウマスクを用い、蒸着法やスパッタリング法な
どの成膜方法を用いることにより、開口を有する導電層93bを形成することができる。
【0309】
ここでは、導電層93bを導電層93aの後に形成する例を説明したが、導電層93a
を導電層93bの後に形成してもよい。
【0310】
また、ここでは示さないが、導電層93a及び導電層93bを覆って、バリア膜として
機能する絶縁層を形成してもよい。当該絶縁層は、スパッタリング法やALD法などの、
形成温度を低くしても緻密な膜を形成できる成膜方法を用いることが好ましい。また、無
機絶縁材料を含む膜と、有機絶縁材料を含む膜の積層構造としてもよい。
【0311】
続いて導電層93a及び導電層93bと、基板21とを接着層89を介して貼り合せる
。
【0312】
この段階における断面概略図が、
図18(C)に相当する。
【0313】
続いて、剥離層43cと絶縁層83との間、及び剥離層43cと導電層23aとの間で
剥離し、支持基板44c及び剥離層43cを除去する(
図18(D))。
【0314】
ここで、剥離を終えた後、導電層23aの表面、及び絶縁層83の表面に、剥離層43
cの一部が残存し、薄膜が形成されてしまう場合がある。例えば当該残存した膜が導電性
を有する場合には、隣接画素間における2つの導電層23a同士や、導電層23aと同一
の導電膜を加工して形成した端子同士などが、電気的にショートしてしまう恐れがある。
また、当該薄膜が絶縁性を有していると、導電層23aや上記端子等の表面が露出せず、
これらの電極や端子としての機能が失われてしまう場合がある。そのため、剥離を終えた
後に、洗浄やエッチング、拭き取りなどを行うことが好ましい。エッチングとしては、ウ
ェットエッチングまたはドライエッチングを用いることができる。
【0315】
続いて、導電層23aをハードマスクとして用い、絶縁層83の一部をエッチングによ
り除去することにより、凹部50を形成する。
【0316】
その後、導電層23a及び絶縁層83上に、配向膜53aを形成する。
【0317】
続いて、あらかじめ基板31上に着色層51a、着色層51b、遮光層52、絶縁層6
1、導電層25、構造体14、及び配向膜53bを形成した基板を準備する。そして、基
板31と基板21とを、液晶層24を挟んで貼り合せる(
図19(A))。
【0318】
このとき、導電層93bが有する開口が、隣接する2つの導電層23bの間の領域と重
なるように配置することができる。また導電層93bが有する開口は、遮光層52と重な
ることが好ましい。
【0319】
また、構造体14が凹部50と重なるように貼り合せを行うことが好ましい。構造体1
4が凹部50に嵌合するように貼り合せることで、貼り合せの際の位置ずれを抑制するこ
とができる。
【0320】
その後、基板21側から、光20を照射する(
図19(B))。このとき、光20は、
液晶層24の導電層93bの開口と重なる部分に自己整合的に照射することができる。ま
た、発光素子90は、基板21側に導電層93bが設けられているため、基板21側から
光20を照射しても、発光素子90中のEL層92等に光20が照射されることが抑制さ
れ、発光素子90が劣化してしまうことを防ぐことができる。
【0321】
また、ここでは示さないが、導電層23bや配線等が、導電層93bの開口と重なる領
域に配置された場合には、光20の一部は、当該導電層23bや配線によって遮光される
。すなわち、隔壁11は、導電層23b、導電層93b、及び配線等と重ならない領域に
形成される。
【0322】
以上の工程により、
図7(A)に示す表示装置を作製することができる。
【0323】
〔変形例1〕
図7(B)に示す表示装置を作製する方法の例について説明する。例えば、上記作製方
法例2-1中の、基板21を接着層89により貼り合せる工程において、基板21に代え
て基板41aを貼り合せればよい。また、基板31に代えて、支持基板上に剥離層、絶縁
層62を積層して形成した基板を用い、隔壁11を形成した後に、当該支持基板と剥離層
を除去し、絶縁層62と、基板41bとを接着層42bにより貼り合せればよい。
【0324】
なお、
図7(A)において、基板21はそのまま用い、基板31側のみを、絶縁層62
、接着層42b、及び基板41bの積層構造に代えた構成としてもよい。
【0325】
以上が変形例1についての説明である。
【0326】
〔作製方法例2-2〕
以下では、
図8(A)に示した表示装置の作製方法の例について、
図20及び
図21の
各図を用いて説明する。
【0327】
まず、支持基板44c上に、剥離層43cを形成し、剥離層43c上に導電層91を形
成する。導電層91は、上記導電層23aと同様の材料を用い、同様の方法により形成す
ることができる。
【0328】
続いて、導電層91及び剥離層43cを覆って絶縁層83を形成する。その後、絶縁層
83に導電層91に達する開口を形成する。
【0329】
続いて、絶縁層83上にトランジスタ70a及びトランジスタ70bを形成する。この
とき、トランジスタ70a及びトランジスタ70bのゲートを形成する工程において、導
電層91と電気的に接続する導電層を同時に形成し、接続部80を形成する。
【0330】
続いて、絶縁層81を形成した後、絶縁層81上に導電層23を形成する。ここで、導
電層23を加工する際に同時に絶縁層81の一部をエッチングにより除去して凹部50を
形成する。その後、導電層23及び絶縁層81を覆って配向膜53aを形成する。
【0331】
この段階における断面概略図が、
図20(A)に相当する。
【0332】
続いて、上記と同様の方法により、支持基板44cと基板31を、液晶層24を挟んで
貼り合せる(
図20(B))。
【0333】
その後、支持基板44c側から、光20を照射し、液晶層24中に隔壁11を形成する
(
図20(C))。
【0334】
このとき、導電層23の開口と重なる領域において、支持基板44cと液晶層24との
間に、光20を遮る部材が無いため、
図20(C)に示すように、当該領域と重なる液晶
層24の一部にも、光20が照射される。その結果、導電層23の開口と重なる隔壁11
が形成される。
【0335】
続いて、剥離層43cと絶縁層83との間、及び剥離層43cと導電層91との間で剥
離し、支持基板44c及び剥離層43cを除去する(
図21(A))。この直後、剥離し
た表面に対して洗浄などの処理を行ってもよい。
【0336】
続いて、導電層91及び絶縁層83を覆って、EL層92、導電層93b、及び導電層
93aを形成する(
図21(B))。
【0337】
このとき、導電層93aよりも導電層93bを後に形成してもよい。また導電層93a
及び導電層93bを形成した後に、バリア膜として機能する絶縁層を形成してもよい。
【0338】
続いて、導電層93aと基板21とを、接着層89を用いて貼り合せる。
【0339】
以上の工程により、
図8(A)に示す表示装置を作製することができる。
【0340】
〔変形例2〕
図8(B)に示す表示装置を作製する方法の例について説明する。例えば、上記作製方
法例2-2中の、基板21を接着層89により貼り合せる工程において、基板21に代え
て基板41aを貼り合せればよい。また、基板31に代えて、支持基板上に剥離層、絶縁
層62を積層して形成した基板を用い、隔壁11を形成した後に、当該支持基板と剥離層
を除去し、絶縁層62と、基板41bとを接着層42bにより貼り合せればよい。
【0341】
なお、
図8(A)において、基板21はそのまま用い、基板31側のみを、絶縁層62
、接着層42b、及び基板41bの積層構造に代えた構成としてもよい。
【0342】
以上が変形例2についての説明である。
【0343】
〔作製方法例2-3〕
以下では、断面構成例2-3で例示した表示装置の作製方法の例について、
図22乃至
図24の各図を用いて説明する。
【0344】
まず、上記作製方法例2-1と同様に、支持基板44c上に剥離層43c、導電層23
a、導電層23b、及び開口を有する絶縁層83を形成する(
図22(A))。
【0345】
続いて、絶縁層83上にトランジスタ70aを形成し、その後トランジスタ70aを覆
って絶縁層81を形成する(
図22(B))。
【0346】
続いて、接着層46aを用いて、支持基板44eを絶縁層81と貼り合せる(
図22(
C))。支持基板44eは、上記支持基板44a等と同様の材料を用いることができる。
また、接着層46aは、後に容易に剥がすことのできる材料を用いることが好ましい。た
とえば、接着層46aとして粘着性の材料、両面テープ、シリコーンシート、または水溶
性の接着剤などを用いることができる。
【0347】
続いて、剥離層43cと絶縁層83との間、及び剥離層43cと導電層23aとの間で
剥離し、支持基板44c及び剥離層43cを除去する(
図22(D))。
【0348】
続いて、導電層23aをハードマスクとして用い、絶縁層83の一部をエッチングによ
り除去することにより、凹部50を形成する。
【0349】
その後、導電層23a及び絶縁層83上に、配向膜53aを形成する(
図22(E))
。
【0350】
続いて、あらかじめ基板31上に着色層51a、着色層51b、遮光層52、絶縁層6
1、導電層25、構造体14、及び配向膜53bを形成した基板を準備する。そして、基
板31と基板21とを、液晶層24を挟んで貼り合せる。
【0351】
その後、支持基板44e側から光20(図示しない)を照射し、隔壁11を形成する(
図23(A))。
【0352】
続いて、接着層46aと支持基板44eを除去する(
図23(B))。
【0353】
また、上記とは別に、支持基板44fを準備する。支持基板44f上に剥離層43d、
絶縁層86、トランジスタ70b(絶縁層87を含む)、絶縁層88、導電層91、絶縁
層84、発光素子90を順に形成する。その後、接着層89を用いて発光素子90を覆う
基板21を貼り合せる(
図24(A))。
【0354】
続いて、剥離層43d及び支持基板44fを除去する(
図24(B))。
【0355】
その後、基板21と基板31とを、接着層99を用いて貼り合せる(
図24(C))。
【0356】
以上の工程により、表示装置を作製することができる。
図24(C)は、
図9(A)と
同じ図である。
【0357】
このような作製方法を用いることにより、配向膜53aを形成する際に、発光素子90
を有さないため、配向膜53aを高い温度(例えば100℃以上の温度)で形成すること
ができる。これにより、より良質な配向膜53aを形成することができる。
【0358】
〔作製方法例2-4〕
以下では、断面構成例2-4で例示した表示装置の作製方法の例について、
図25の各
図を用いて説明する。ここでは、作製方法例2-3と相違する部分について説明する。
【0359】
図25(A)に示すように、基板21上にトランジスタ70b(絶縁層87を含む)、
絶縁層88、導電層91、絶縁層84、EL層92、導電層93を順次形成する。
【0360】
続いて、基板21と基板31とを、接着層89により貼り合せることで、表示装置を作
製することができる(
図25(B))。
図25(B)は、
図9(B)と同じ図である。
【0361】
以上が作製方法例2についての説明である。
【0362】
[各構成要素について]
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
【0363】
表示装置が有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。表示素子から
の光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セ
ラミック、サファイヤ、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0364】
厚さの薄い基板を用いることで、表示装置の軽量化、薄型化を図ることができる。さら
に、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示装置を実現で
きる。
【0365】
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙
げた基板の他に、金属基板等を用いることもできる。金属基板は熱伝導性が高く、基板全
体に熱を容易に伝導できるため、表示装置の局所的な温度上昇を抑制することができ、好
ましい。可撓性や曲げ性を得るためには、金属基板の厚さは、10μm以上200μm以
下が好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0366】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニ
ッケル等の金属、もしくはアルミニウム合金またはステンレス等の合金などを好適に用い
ることができる。
【0367】
また、金属基板の表面を酸化する、又は表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処理
が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、電
着法、蒸着法、又はスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰囲
気で放置する又は加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形成し
てもよい。
【0368】
可撓性及び可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、可撓性を有する程度
の厚さのガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメ
チルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PE
S)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げら
れる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30
×10-6/K以下であるポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用
いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機
樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。このような材料を用いた
基板は、重量が軽いため、該基板を用いた表示装置も軽量にすることができる。
【0369】
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強
度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のこ
とを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリア
ミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキ
サゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラ
ス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布
または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を、可
撓性を有する基板として用いてもよい。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からな
る構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好ま
しい。
【0370】
または、可撓性を有する程度に薄いガラス、金属などを基板に用いることもできる。ま
たは、ガラスと樹脂材料とが接着層により貼り合わされた複合材料を用いてもよい。
【0371】
可撓性を有する基板に、表示装置の表面を傷などから保護するハードコート層(例えば
、窒化シリコン、酸化アルミニウムなど)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、アラ
ミド樹脂など)等が積層されていてもよい。また、水分等による表示素子の寿命の低下等
を抑制するために、可撓性を有する基板に透水性の低い絶縁膜が積層されていてもよい。
例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化
アルミニウム等の無機絶縁材料を用いることができる。
【0372】
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とする
と、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0373】
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として
機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する
絶縁層と、を有する。上記では、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合を示し
ている。
【0374】
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例
えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよい
し、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型
のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設け
られていてもよい。
【0375】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、
結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領
域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トラン
ジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0376】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、第14族の元素(シリコン
、ゲルマニウム等)、化合物半導体又は酸化物半導体を半導体層に用いることができる。
代表的には、シリコンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む酸
化物半導体などを適用できる。
【0377】
特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好ましい。
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると
、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0378】
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面
、または半導体層の上面に対し概略垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界が確認
できない酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0379】
このような酸化物半導体は、結晶粒界を有さないために表示パネルを湾曲させたときの
応力によって酸化物半導体膜にクラックが生じてしまうことが抑制される。したがって、
可撓性を有し、湾曲させて用いる表示装置などに、このような酸化物半導体を好適に用い
ることができる。
【0380】
また半導体層としてこのような結晶性を有する酸化物半導体を用いることで、電気特性
の変動が抑制され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0381】
また、シリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を用いたトランジスタは、
その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長
期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用すること
で、各画素の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極め
て消費電力の低減された表示装置を実現できる。
【0382】
また、半導体層と導電層は、上記酸化物のうち同一の金属元素を有していてもよい。半
導体層と導電層を同一の金属元素とすることで、製造コストを低減させることができる。
例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで、製造コストを低減させ
ることができる。また半導体層と導電層を加工する際のエッチングガスまたはエッチング
液を共通して用いることができる。ただし、半導体層と導電層は、同一の金属元素を有し
ていても、組成が異なる場合がある。例えば、トランジスタ及び容量素子の作製工程中に
、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
【0383】
半導体層を構成する酸化物半導体は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2
.5eV以上、より好ましくは3eV以上であることが好ましい。このように、エネルギ
ーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減すること
ができる。
【0384】
半導体層を構成する酸化物半導体がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化
物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M
、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の
原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In
:M:Zn=3:1:2、4:2:4.1等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原
子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原
子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0385】
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、半導体層は
、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下、さ
らに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以下、
さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上の酸化物
半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高
純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。これにより不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため
、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0386】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効
果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とす
るトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥
密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好まし
い。
【0387】
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素
が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導
体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2
×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下と
する。
【0388】
また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生
成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導
体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属
の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/
cm3以下にする。
【0389】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子
が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物
半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層にお
ける二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3
以下にすることが好ましい。
【0390】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、CAAC
-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Sem
iconductor、または、C-Axis Aligned and A-B-pl
ane Anchored Crystalline Oxide Semicondu
ctor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において
、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0391】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さな
い。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さ
ない。
【0392】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAA
C-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混
合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積
層構造を有する場合がある。
【0393】
<CAC-OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(C
loud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0394】
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以
下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構
成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏
在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以
上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状と
もいう。
【0395】
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムお
よび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イッ
トリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲ
ルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、
タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含
まれていてもよい。
【0396】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-
Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化
物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛
酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数
)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とす
る。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、およ
びZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状と
なり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布し
た構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0397】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2
、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物
である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比
が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第
2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0398】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう
場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn
(1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で
表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0399】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお
、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面におい
ては配向せずに連結した結晶構造である。
【0400】
一方、CAC-OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、G
a、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観
察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれ
モザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC-OSにおいて、結晶
構造は副次的な要素である。
【0401】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする
。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含
まない。
【0402】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1
が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0403】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウ
ム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデ
ン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグ
ネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一
部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とす
るナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成
をいう。
【0404】
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形
成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガス
として、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれた
いずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素
ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ま
しくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0405】
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法の
ひとつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したとき
に、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領
域のa-b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0406】
またCAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を
照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該
リング領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC-OS
の結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano-
crystal)構造を有することがわかる。
【0407】
また例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X
線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectro
scopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域
と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合
している構造を有することが確認できる。
【0408】
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、I
GZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分
である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互
いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0409】
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX
3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2Zn
Y2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、金
属酸化物としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2OZ2、またはInOX
1が主成分である領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移
動度(μ)が実現できる。
【0410】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInO
X1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3など
が主成分である領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なス
イッチング動作を実現できる。
【0411】
従って、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と
、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用する
ことにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現すること
ができる。
【0412】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、
ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0413】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、シリコンを用いることが好ま
しい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリ
コンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコ
ンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温
で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備え
る。このような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることがで
きる。また極めて高精細な表示部とする場合であっても、ゲート駆動回路とソース駆動回
路を画素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減す
ることができる。
【0414】
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるた
め好ましい。またこのときアモルファスシリコンを用いることで、多結晶シリコンよりも
低温で形成できるため、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐
熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例え
ば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。一方、トップゲート型
のトランジスタは、自己整合的に不純物領域を形成しやすいため、特性のばらつきなどを
低減することができるため好ましい。このとき特に、多結晶シリコンや単結晶シリコンな
どを用いる場合に適している。
【0415】
〔導電層〕
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線お
よび電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロ
ム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタ
ングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの
材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを
含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タン
グステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合
金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン
膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミ
ニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三
層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または
銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造
等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。ま
た、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい
。
【0416】
また、透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、イ
ンジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物または
グラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タ
ングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの
金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒
化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそ
れらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材
料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とイン
ジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。
これらは、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層や、表示素子が有する導
電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0417】
〔絶縁層〕
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの
樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シ
リコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0418】
また発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。こ
れにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑
制できる。
【0419】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を
含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、
酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0420】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m2・day)
]以下、好ましくは1×10-6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×1
0-7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m2・d
ay)]以下とする。
【0421】
〔液晶素子〕
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)
モードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(
Multi-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(
Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Adv
anced Super View)モードなどを用いることができる。
【0422】
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例え
ばVAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In
-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Sw
itching)モード、ASM(Axially Symmetric aligne
d Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensat
ed Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric L
iquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric
Liquid Crystal)モード、ECB(Electrically Con
trolled Birefringence)モード、ゲストホストモード等が適用さ
れた液晶素子を用いることができる。
【0423】
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素
子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の
電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶とし
ては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:
Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネット
ワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Cryst
al)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、
条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック
相、等方相等を示す。
【0424】
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく
、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
【0425】
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を
採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相
の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転
移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範
囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる
。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方
性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不
要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不
要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作
製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
【0426】
また、液晶素子として、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、または半透過型の液晶
素子などを用いることができる。
【0427】
本発明の一態様では、特に反射型の液晶素子を用いることができる。
【0428】
透過型または半透過型の液晶素子を用いる場合、一対の基板を挟むように、2つの偏光
板を設ける。また一方の偏光板よりも外側に、バックライトを設ける。バックライトとし
ては、直下型のバックライトであってもよいし、エッジライト型のバックライトであって
もよい。LEDを備える直下型のバックライトを用いると、ローカルディミングが容易と
なり、コントラストを高めることができるため好ましい。また、エッジライト型のバック
ライトを用いると、バックライトを含めたモジュールの厚さを低減できるため好ましい。
【0429】
反射型の液晶素子を用いる場合には、表示面側に偏光板を設ける。またこれとは別に、
表示面側に光拡散板を配置すると、視認性を向上させられるため好ましい。
【0430】
〔発光素子〕
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流又は電圧によって輝
度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、発光ダイオード(LED)、有機
EL素子、無機EL素子等を用いることができる。
【0431】
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型
などがある。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を
取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0432】
本発明の一態様では、特にボトムエミッション型の発光素子を用いることができる。
【0433】
EL層は少なくとも発光層を有する。発光層は少なくとも発光性の物質を含む。EL層
は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロッ
ク材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子
輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0434】
EL層には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合
物を含んでいてもよい。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)
、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0435】
陰極と陽極の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極側か
ら正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層におい
て再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0436】
発光素子として、白色発光の発光素子を適用する場合には、EL層に2種類以上の発光
物質を含む構成とすることが好ましい。例えば2以上の発光物質の各々の発光が補色の関
係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例えば、
それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物質、
またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質のうち、
2以上を含むことが好ましい。また、発光素子からの発光のスペクトルが、可視光領域の
波長(例えば350nm~750nm)の範囲内に2以上のピークを有する発光素子を適
用することが好ましい。また、黄色の波長領域にピークを有する材料の発光スペクトルは
、緑色及び赤色の波長領域にもスペクトル成分を有する材料であることが好ましい。
【0437】
EL層は、一の色を発光する発光材料を含む発光層と、他の色を発光する発光材料を含
む発光層とが積層された構成とすることが好ましい。例えば、EL層における複数の発光
層は、互いに接して積層されていてもよいし、いずれの発光材料も含まない領域を介して
積層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と燐光発光層との間に、当該蛍光発光層また
は燐光発光層と同一の材料(例えばホスト材料、アシスト材料)を含み、且ついずれの発
光材料も含まない領域を設ける構成としてもよい。これにより、発光素子の作製が容易に
なり、また、駆動電圧が低減される。
【0438】
また、発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層
が電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0439】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウ
ム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができ
る。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン
、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む
合金、又はこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に
薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電層として用いる
ことができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用
いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい
。
【0440】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タング
ステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又
はこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ラン
タン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、チタン、ニッケル
、またはネオジムと、アルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)を用いてもよい。ま
た銅、パラジウム、マグネシウムと、銀を含む合金を用いてもよい。銀と銅を含む合金は
、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜に接し
て金属膜又は金属酸化物膜を積層することで、酸化を抑制することができる。このような
金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタンや酸化チタンなどが挙げられる。また、上
記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とイン
ジウム錫酸化物の積層膜、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを
用いることができる。
【0441】
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、イ
ンクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、又はメッキ法を用いて形
成することができる。
【0442】
なお、上述した、発光層、ならびに正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電
子輸送性の高い物質、及び電子注入性の高い物質、バイポーラ性の物質等を含む層は、そ
れぞれ量子ドットなどの無機化合物や、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリ
マー等)を有していてもよい。例えば、量子ドットを発光層に用いることで、発光材料と
して機能させることもできる。
【0443】
なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、
コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。また
、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を
用いてもよい。または、カドミウム、セレン、亜鉛、硫黄、リン、インジウム、テルル、
鉛、ガリウム、ヒ素、アルミニウム等の元素を含む量子ドット材料を用いてもよい。
【0444】
〔接着層〕
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着
剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としては
エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミ
ド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、E
VA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性
が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を
用いてもよい。
【0445】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸
化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用い
ることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を
吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入
することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
【0446】
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出
し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジ
ルコニウム等を用いることができる。
【0447】
〔接続層〕
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Condu
ctive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic C
onductive Paste)などを用いることができる。
【0448】
〔着色層〕
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含
まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0449】
〔遮光層〕
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、
金属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層
は、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。ま
た、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の
光を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料
を含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで
、装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
【0450】
以上が各構成要素についての説明である。
【0451】
[作製方法例]
ここでは、可撓性を有する基板を用いた表示装置の作製方法の例について説明する。
【0452】
ここでは、表示素子、回路、配線、電極、着色層や遮光層などの光学部材、及び絶縁層
等が含まれる各層をまとめて素子層と呼ぶこととする。例えば、素子層は表示素子を含み
、表示素子の他に表示素子と電気的に接続する配線、画素や回路に用いるトランジスタな
どの素子を備えていてもよい。
【0453】
また、ここでは、表示素子が完成した(作製工程が終了した)段階において、素子層を
支持し、可撓性を有する部材のことを、基板と呼ぶこととする。例えば、基板には、厚さ
が10nm以上300μm以下の、極めて薄いフィルム等も含まれる。
【0454】
可撓性を有し、絶縁表面を備える基板上に素子層を形成する方法としては、代表的には
以下に挙げる2つの方法がある。一つは、基板上に直接、素子層を形成する方法である。
もう一つは、基板とは異なる支持基板上に素子層を形成した後、素子層と支持基板を剥離
し、素子層を基板に転置する方法である。なお、ここでは詳細に説明しないが、上記2つ
の方法に加え、可撓性を有さない基板上に素子層を形成し、当該基板を研磨等により薄く
することで可撓性を持たせる方法もある。
【0455】
基板を構成する材料が、素子層の形成工程にかかる熱に対して耐熱性を有する場合には
、基板上に直接、素子層を形成すると、工程が簡略化されるため好ましい。このとき、基
板を支持基板に固定した状態で素子層を形成すると、装置内、及び装置間における搬送が
容易になるため好ましい。
【0456】
また、素子層を支持基板上に形成した後に、基板に転置する方法を用いる場合、まず支
持基板上に剥離層と絶縁層を積層し、当該絶縁層上に素子層を形成する。続いて、支持基
板と素子層の間で剥離し、素子層を基板に転置する。このとき、支持基板と剥離層の界面
、剥離層と絶縁層の界面、または剥離層中で剥離が生じるような材料を選択すればよい。
この方法では、支持基板や剥離層に耐熱性の高い材料を用いることで、素子層を形成する
際にかかる温度の上限を高めることができ、より信頼性の高い素子を有する素子層を形成
できるため、好ましい。
【0457】
例えば剥離層として、タングステンなどの高融点金属材料を含む層と、当該金属材料の
酸化物を含む層を積層して用い、剥離層上の絶縁層として、酸化シリコン、窒化シリコン
、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを複数積層した層を用いることが好ましい。
なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が
多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を
指す。
【0458】
素子層と支持基板とを剥離する方法としては、機械的な力を加えることや、剥離層をエ
ッチングすること、または剥離界面に液体を浸透させることなどが、一例として挙げられ
る。または、剥離界面を形成する2層の熱膨張率の違いを利用し、支持基板を加熱または
冷却することにより剥離を行ってもよい。
【0459】
また、支持基板と絶縁層の界面で剥離が可能な場合には、剥離層を設けなくてもよい。
【0460】
例えば、支持基板としてガラスを用い、絶縁層としてポリイミドなどの有機樹脂を用い
ることができる。このとき、レーザ光等を用いて有機樹脂の一部を局所的に加熱する、ま
たは鋭利な部材により物理的に有機樹脂の一部を切断、または貫通すること等により剥離
の起点を形成し、ガラスと有機樹脂の界面で剥離を行ってもよい。
【0461】
または、支持基板と有機樹脂からなる絶縁層の間に発熱層を設け、当該発熱層を加熱す
ることにより、当該発熱層と絶縁層の界面で剥離を行ってもよい。発熱層としては、電流
を流すことにより発熱する材料、光を吸収することにより発熱する材料、磁場を印加する
ことにより発熱する材料など、様々な材料を用いることができる。例えば発熱層としては
、半導体、金属、絶縁体から選択して用いることができる。
【0462】
なお、上述した方法において、有機樹脂からなる絶縁層は、剥離後に基板として用いる
ことができる。
【0463】
以上が可撓性を有する表示装置を作製する方法についての説明である。
【0464】
[構成例3]
以下では、本発明の一態様の表示装置のより具体的な構成例について、図面を参照して
説明する。
【0465】
〔断面構成例3-1〕
図26は、以下で例示する表示装置の断面概略図である。
図1(A)におけるFPC3
6を含む領域、回路34を含む領域、表示部32を含む領域などの断面の一例を示してい
る。
【0466】
基板21と基板31とは、接着層141によって貼り合わされている。また基板21、
基板31、及び接着層141に囲まれた領域に、液晶112が封止されている。また、基
板31の外側の面には、偏光板130を有する。
【0467】
図26では、液晶素子40が導電層111と、導電層113の一部と、これらの間に挟
持された液晶112により構成されている。また液晶112と導電層111の間に配向膜
133aが設けられ、液晶112と導電層113の間に配向膜133bが設けられている
。
【0468】
また、基板21と基板31の間には、液晶112中にモノマー13が分散されている。
また基板21と基板31の間には、隔壁11が設けられている。
【0469】
また、図示しないが、偏光板130よりも外側に、フロントライトを設けることができ
る。フロントライトとしては、エッジライト型のフロントライトを用いることが好ましい
。LEDを備えるフロントライトを用いると、消費電力を低減できるため好ましい。
【0470】
基板31には、着色層131、遮光層132、絶縁層121、及び液晶素子40の共通
電極として機能する導電層113、配向膜133b等が設けられている。
【0471】
基板21には、液晶素子40の画素電極として機能する導電層111、配向膜133a
、トランジスタ201、トランジスタ202、容量素子203、接続部204、配線35
等が設けられている。トランジスタ201は、例えば上述したトランジスタ70と対応す
る。
【0472】
基板21上には、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214等の絶縁
層が設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として
機能し、また他の一部は、容量素子203の誘電体として機能する。絶縁層212、絶縁
層213、及び絶縁層214は、各トランジスタや容量素子203を覆って設けられてい
る。絶縁層214は、平坦化層としての機能を有する。なお、ここではトランジスタ等を
覆う絶縁層として、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214の3層を有する場合につ
いて示しているが、これに限られず4層以上であってもよいし、単層、または2層であっ
てもよい。また平坦化層として機能する絶縁層214は、不要であれば設けなくてもよい
。
【0473】
また、トランジスタ201及びトランジスタ202は、一部がゲートとして機能する導
電層221、一部がソース又はドレインとして機能する導電層222、半導体層231を
有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパター
ンを付している。
【0474】
ここで、トランジスタ202の一対の導電層222のうち、導電層111と電気的に接
続されていない方の導電層222は、信号線の一部として機能してもよい。また、トラン
ジスタ202のゲートとして機能する導電層221は、走査線の一部として機能してもよ
い。
【0475】
図26では、表示部32の例として、2つの画素(副画素)の断面を示している。例え
ば1つの副画素は、トランジスタ202と、容量素子203と、液晶素子40と、着色層
131と、を有する。例えば着色層131を選択的に形成して赤色を呈する副画素、緑色
を呈する副画素、青色を呈する副画素を配列することで、フルカラーの表示を行うことが
できる。
【0476】
図26では、回路34の例としてトランジスタ201が設けられている例を示している
。
【0477】
図26では、トランジスタ201及びトランジスタ202の例として、1つのゲートを
設ける構成を示したが、チャネルが形成される半導体層231を2つのゲートで挟持する
構成を適用してもよい。このような構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧を制
御することができる。このとき、2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給する
ことによりトランジスタを駆動してもよい。このようなトランジスタは他のトランジスタ
と比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させることができ
る。その結果、高速駆動が可能な回路を作製することができる。さらには、回路部の占有
面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用することで、表
示装置を大型化、または高精細化したときに配線数が増大したとしても、各配線における
信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することができる。
【0478】
なお、回路34が有するトランジスタと、表示部32が有するトランジスタは、同じ構
造であってもよい。また回路34が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であって
もよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。また、表示部32が
有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジス
タを組み合わせて用いてもよい。
【0479】
各トランジスタを覆う絶縁層212、絶縁層213のうち少なくとも一方は、水や水素
などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。すなわち、絶縁層212また
は絶縁層213はバリア膜として機能させることができる。このような構成とすることで
、トランジスタに対して外部から不純物が拡散することを効果的に抑制することが可能と
なり、信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0480】
絶縁層214上には、導電層111が設けられている。導電層111は、絶縁層214
、絶縁層213、絶縁層212等に形成された開口を介して、トランジスタ202のソー
ス又はドレインの一方と電気的に接続されている。また導電層111は、容量素子203
の一方の電極と電気的に接続されている。
【0481】
基板31側において、着色層131、遮光層132を覆って絶縁層121が設けられて
いる。絶縁層121は、平坦化層としての機能を有していてもよい。絶縁層121により
、導電層113の表面を概略平坦にできるため、液晶112の配向状態を均一にできる。
【0482】
また、
図26において、隔壁11は2つの隣接する導電層111の間の領域と重なる領
域に位置する。また隔壁11は、配向膜133a、配向膜133b、導電層113等と重
ねて配置されている。また隔壁11は、導電層221や導電層222と重ならないように
配置されている。
【0483】
また絶縁層214には凹部50が形成されている。隔壁11は、凹部50と重なる領域
を有する。また、導電層113と接して高さの異なる構造体14aと構造体14bがそれ
ぞれ設けられている。構造体14aと構造体14bは、それぞれ凹部50と重ねて配置さ
れ、また隔壁11に覆われるように設けられている。
【0484】
液晶素子40において、導電層111は可視光を反射する機能を有し、導電層113は
可視光を透過する機能を有する。基板31側から入射した光は、偏光板130により偏光
され、導電層113及び液晶112を透過し、導電層111で反射する。そして液晶11
2及び導電層113を再度透過して、偏光板130に達する。このとき、導電層111と
導電層113の間に与える電圧によって液晶112の配向を制御し、光の光学変調を制御
することができる。すなわち、偏光板130を介して射出される光の強度を制御すること
ができる。また光は着色層131によって特定の波長領域以外の光が吸収されることによ
り、取り出される光は、例えば赤色を呈する光となる。
【0485】
ここで、偏光板130として直線偏光板を用いてもよいが、円偏光板を用いることもで
きる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用い
ることができる。これにより、外光反射を抑制することができる。また、偏光板130の
種類に応じて、液晶素子40に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整
することで、所望のコントラストが実現されるようにすればよい。
【0486】
導電層113は、基板31の端部に近い部分において、基板21側に設けられた導電層
と接続体243により電気的に接続されている。これにより、基板21側に配置されるF
PCやIC等から導電層113に電位や信号を供給することができる。
【0487】
接続体243としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子とし
ては、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることが
できる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。ま
たニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を
用いることが好ましい。また接続体243として、弾性変形、または塑性変形する材料を
用いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体243は、
図26に示すよう
に上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体243と、これと電
気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良など
の不具合の発生を抑制することができる。
【0488】
接続体243は、接着層141に覆われるように配置することが好ましい。例えば、硬
化前の接着層141に接続体243を分散させておけばよい。
【0489】
基板21の端部に近い領域には、接続部204が設けられている。接続部204は、接
続層242を介してFPC36と電気的に接続されている。
図26に示す構成では、配線
35の一部と、導電層111と同一の導電膜を加工して得られた導電層を積層することで
接続部204を構成している例を示している。
【0490】
以上が断面構成例3-1についての説明である。
【0491】
〔断面構成例3-2〕
以下では、本発明の一態様の表示装置の例として、タッチセンサを備えるタッチパネル
の構成例について説明する。
【0492】
図27は、以下で例示する表示装置の断面概略図である。
【0493】
基板31の基板21側の面に、絶縁層161、絶縁層162、絶縁層163が順に積層
されている。絶縁層161と絶縁層162の間に導電層151及び導電層152が設けら
れ、絶縁層162と絶縁層163の間に導電層153が設けられている。また絶縁層16
3の基板21側には、遮光層132、着色層131等が設けられている。
【0494】
導電層151と導電層152はそれぞれ静電容量方式のタッチセンサを構成する配線と
して機能する。
【0495】
図27では、導電層151と導電層152の交差部を明示している。導電層153は、
絶縁層162に設けられた開口を介して、導電層152を挟む2つの導電層151と電気
的に接続されている。
【0496】
導電層151と導電層152は、表示部において、遮光層132と重なる位置に設けら
れている。また
図27では、導電層151が液晶素子40と重ならないように配置されて
いる例を示している。言い換えると、導電層151は液晶素子40と重なる開口を有する
メッシュ形状を有する。このような構成により、外部から入射し、液晶素子40により反
射されて再度外部に射出される光の経路上に、導電層151が配置されないため、導電層
151を配置することによる輝度の低下は実質的に生じず、視認性が高く、且つ消費電力
が低減された表示装置を実現できる。なお、導電層152や導電層153も同様の構成と
することができる。
【0497】
また、導電層151、導電層152、導電層153が液晶素子40と重ならないため、
これらに比較的低抵抗な金属材料を用いることができる。そのためこれらに透光性の導電
性材料を用いた場合に比べて、タッチセンサの感度を向上させることができる。
【0498】
また、
図27では、導電層151と導電層152(及び導電層153)よりも基板31
側に、これらと重ねて遮光層135が設けられている例を示している。遮光層135によ
り、導電層151等に金属材料を用いた場合であっても、これらの外光反射を抑制できる
ため、より視認性の高いタッチパネルを実現できる。なお、ここでは遮光層132と遮光
層135の2つの遮光層を設ける例を示したが、いずれか一方のみを配置する構成として
もよい。
【0499】
また、基板31上の偏光板130を設けず、基板31を指またはスタイラスなどの被検
知体が直接触れる基板として用いてもよい。このとき、基板31上に保護層(セラミック
コート等)を設けることが好ましい。保護層は、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム
、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの無機絶縁材料を用い
ることができる。また、基板31に強化ガラスを用いてもよい。強化ガラスは、イオン交
換法や風冷強化法等により物理的、または化学的な処理が施され、その表面に圧縮応力を
加えたものを用いることができる。タッチセンサを強化ガラスの一面に設け、その反対側
の面を例えば電子機器の最表面に設けてタッチ面として用いることにより、機器全体の厚
さを低減することができる。
【0500】
図27に示すように、液晶素子40、複数のトランジスタ、及びタッチセンサを構成す
る導電層等を、基板21と基板31の間に配置することで、部品点数が削減されたタッチ
パネルを実現することができる。このような構成を、インセル型のタッチパネルと呼ぶこ
とができる。
【0501】
なお、タッチパネルとして機能する表示装置の構成はこれに限られず、例えばタッチセ
ンサを構成する導電層等が設けられた基板を、例えば
図26等に示す表示装置と重ねてタ
ッチパネルを構成してもよい。
【0502】
以上が断面構成例3-2についての説明である。
【0503】
〔断面構成例3-3〕
図28に、タッチセンサを構成する導電層151、導電層152等を、基板31の基板
21側とは反対側に形成した例を示している。このような構成を、オンセル型のタッチパ
ネルと呼ぶことができる。
【0504】
基板31上には、導電層151、導電層152等が形成され、これらを覆って絶縁層1
63が設けられている。また、絶縁層163上に導電層153が設けられている。
【0505】
基板170は、タッチ面として機能する基板であり、例えば表示装置を電子機器に組み
込んだ際の筐体の一部、または保護ガラスなどとして機能する。基板170と基板31と
は、接着層165によって貼り合わされている。
【0506】
ここで、
図28では、導電層151が遮光層132と重なる領域だけでなく、液晶素子
40、着色層131等と重なる領域にも配置されている例を示している。このとき、導電
層151には、可視光を透過する材料を用いることができる。例えば金属酸化物を含む膜
や、グラフェンを含む膜、または金属や合金を含み、可視光を透過する程度に薄い膜など
を、導電層151に用いることができる。なお、導電層152についても同様である。ま
た、導電層153も同様の可視光を透過する材料を用いてもよいが、導電層153が遮光
層132と重ねて配置される場合や、導電層153の面積が極めて小さい場合には、金属
や合金など、可視光を遮光する材料を用いてもよい。
【0507】
以上が断面構成例3-3についての説明である。
【0508】
[構成例4]
以下では、構成例2で例示した、反射型の液晶素子と、発光素子の両方を有し、透過モ
ードと反射モードの両方の表示を行うことのできる、表示装置のより具体的な断面構成例
について説明する。
【0509】
〔断面構成例4-1〕
図29に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図29に示す表示装置は、図
7(A)で例示した表示装置に対応する。
【0510】
表示装置は、基板21と基板31の間に、絶縁層220を有する。また基板21と絶縁
層220の間に、発光素子60、トランジスタ205、トランジスタ206、着色層13
4等を有する。また絶縁層220と基板31の間に、液晶素子40、着色層131、隔壁
11、構造体14等を有する。また基板31と絶縁層220は接着層141を介して接着
され、基板21と絶縁層220は接着層142を介して接着されている。また絶縁層22
0は凹部50を有する。
【0511】
液晶素子40は反射型の液晶素子である。液晶素子40は、導電層111a、液晶11
2、導電層113が積層された積層構造を有する。また導電層111aの基板21側に接
して、可視光を反射する導電層111bが設けられている。導電層111bは開口251
を有する。また導電層111a及び導電層113は可視光を透過する材料を含む。
【0512】
発光素子60は、ボトムエミッション型の発光素子である。発光素子60は、絶縁層2
20側から導電層191、EL層192、及び導電層193bの順に積層された積層構造
を有する。また導電層193bを覆って導電層193aが設けられている。導電層193
bは可視光を反射する材料を含み、導電層191及び導電層193aは可視光を透過する
材料を含む。発光素子60が発する光は、着色層134、絶縁層220、開口251、導
電層113等を介して、基板31側に射出される。
【0513】
また導電層191の端部を覆う絶縁層216上には、絶縁層217が設けられている。
絶縁層217は、絶縁層220と基板21が必要以上に接近することを抑制するスペーサ
としての機能を有する。またEL層192や導電層193aを遮蔽マスク(メタルマスク
)を用いて形成する場合には、当該遮蔽マスクが被形成面に接触することを抑制する機能
を有していてもよい。なお、絶縁層217は不要であれば設けなくてもよい。
【0514】
トランジスタ205のソース又はドレインの一方は、導電層224を介して発光素子6
0の導電層191と電気的に接続されている。
【0515】
トランジスタ206のソース又はドレインの一方は、接続部207を介して導電層11
1bと電気的に接続されている。導電層111bと導電層111aは接して設けられ、こ
れらは電気的に接続されている。ここで、接続部207は、絶縁層220に設けられた開
口を介して、絶縁層220の両面に設けられる導電層同士を接続する部分である。
【0516】
基板21と基板31が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部2
04は接続部207と同様の構成を有している。接続部204の上面は、導電層111a
と同一の導電膜を加工して得られた導電層が露出している。これにより、接続部204と
FPC36とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0517】
接着層141が設けられる一部の領域には、接続部252が設けられている。接続部2
52において、導電層111aと同一の導電膜を加工して得られた導電層と、導電層11
3の一部が、接続体243により電気的に接続されている。したがって、基板31側に形
成された導電層113に、基板21側に接続されたFPC36から入力される信号または
電位を、接続部252を介して供給することができる。
【0518】
以上が断面構成例4-1についての説明である。
【0519】
〔断面構成例4-2〕
図30に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図30に示す表示装置は、図
8(A)で例示した表示装置に対応する。
【0520】
表示装置は、基板21と基板31の間に、絶縁層220を有する。また基板21と絶縁
層220の間に、発光素子60を有する。また絶縁層220と基板31の間に、液晶素子
40、トランジスタ205、トランジスタ206、着色層134、着色層131、遮光層
132、隔壁11等を有する。
【0521】
図30では、液晶素子40が、トランジスタ206と導電層224を介して電気的に接
続する導電層111bと、当該導電層111bを覆う導電層111aを有する場合の例を
示している。
【0522】
またここでは、隔壁11が、発光素子60と重ねて配置されている例を示している。隔
壁11は、着色層134、着色層131、導電層191等と重ねて配置されている。発光
素子60が発する光は、着色層134、絶縁層220、開口251、隔壁11、導電層1
13等を介して、基板31側に射出される。
【0523】
以上が、断面構成例4-2についての説明である。
【0524】
〔断面構成例4-3〕
図31に、以下で例示する表示装置の断面概略図を示す。
図31に示す表示装置は、図
3(A)で例示した表示装置に対応する。
【0525】
また、
図31に示した表示装置は、
図29で例示した構成と比較して、以下の点で主に
相違している。表示装置は、トランジスタ201に代えてトランジスタ201a、トラン
ジスタ201bを有する。また表示装置は、FPC36及び接続層242に代えて、FP
C36a、FPC36b、接続層242a及び接続層242bを有する。また表示装置は
、接着層143を有する。また表示装置は、配線35に代えて、配線35a及び配線35
bを有する。また表示装置は、絶縁層261、絶縁層262、絶縁層263、絶縁層26
4、絶縁層265を有する。
【0526】
トランジスタ201aは、トランジスタ206等を含む画素回路を駆動するトランジス
タである。またトランジスタ201bは、トランジスタ205等を含む画素回路を駆動す
るトランジスタである。
【0527】
FPC36aは、接続層242aを介して配線35aと電気的に接続されている。また
FPC36bは、接続層242bを介して配線35bと電気的に接続されている。
【0528】
接着層143は、絶縁層214と絶縁層261とを接着している。また、絶縁層261
の接着層143とは反対側の面に、絶縁層262、絶縁層263、絶縁層264、絶縁層
265等が積層して設けられる。絶縁層262の一部は、トランジスタ201b及びトラ
ンジスタ205のゲート絶縁層として機能する。絶縁層263、絶縁層264、絶縁層2
65は、トランジスタ201b及びトランジスタ205を覆って設けられる。
【0529】
以上が断面構成例4-3についての説明である。
【0530】
[トランジスタについて]
以下では、上記表示装置に適用可能なトランジスタの構成例について説明する。
【0531】
図32(A)で例示したトランジスタ310は、ボトムゲート構造のトランジスタの例
である。
【0532】
トランジスタ310は、ゲート電極として機能する導電層311と、ゲート絶縁層とし
て機能する絶縁層332の一部と、半導体層312と、ソース電極またはドレイン電極の
一方として機能する導電層313aと、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能
する導電層313bと、を有する。
【0533】
図32(A)では、絶縁層331上にトランジスタ310が設けられている。またトラ
ンジスタ310を覆って絶縁層334が設けられ、絶縁層334上に導電層321が設け
られている。導電層321は絶縁層334に設けられた開口を介して導電層313bと電
気的に接続され、画素電極として機能する。また
図32(A)では、導電層321の端部
を覆う絶縁層335を有する例を示している。
【0534】
トランジスタ310は、ゲート電極として機能する導電層311が、半導体層312よ
りも被形成面側(絶縁層331側)に位置する。また、絶縁層332が導電層311を覆
って設けられている。また半導体層312は、導電層311を覆って設けられている。半
導体層312の導電層311と重なる領域が、チャネル形成領域に相当する。また、導電
層313a及び導電層313bは、それぞれ半導体層312の上面及び側端部に接して設
けられている。
【0535】
なお、トランジスタ310は、導電層311よりも半導体層312の幅が大きい場合の
例を示している。このような構成により、導電層311と導電層313aまたは導電層3
13bの間に半導体層312が配置されるため、導電層311と導電層313aまたは導
電層313bとの間の寄生容量を小さくすることができる。
【0536】
トランジスタ310は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、トランジスタの占有
面積を縮小することが比較的容易であるため、高精細な表示装置に好適に用いることがで
きる。
【0537】
図32(B)に示したトランジスタ310aは、トランジスタ310と比較して、導電
層314及び絶縁層336を有する点で相違している。導電層314は、絶縁層333上
に設けられ、半導体層312と重なる領域を有する。また絶縁層336は、導電層314
及び絶縁層333を覆って設けられている。
【0538】
導電層314は、半導体層312を挟んで導電層311とは反対側に位置している。導
電層311を第1のゲート電極とした場合、導電層314は、第2のゲート電極として機
能することができる。導電層311と導電層314に同じ電位を与えることで、トランジ
スタ310aのオン電流を高めることができる。また導電層311及び導電層314の一
方にしきい値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで
、トランジスタ310aのしきい値電圧を制御することができる。
【0539】
ここで、導電層314として、酸化物を含む導電性材料を用いることが好ましい。これ
により、導電層314を構成する導電膜の成膜時に、酸素を含む雰囲気下で成膜すること
で、絶縁層333に酸素を供給することができる。好適には、成膜ガス中の酸素ガスの割
合を90%以上100%以下の範囲とすることが好ましい。絶縁層333に供給された酸
素は、後の熱処理により半導体層312に供給され、半導体層312中の酸素欠損の低減
を図ることができる。
【0540】
特に、導電層314には低抵抗化された酸化物半導体を用いることが好ましい。このと
き、絶縁層336に水素を放出する絶縁膜、例えば窒化シリコン膜等を用いることが好ま
しい。絶縁層336の成膜中、またはその後の熱処理によって導電層314中に水素が供
給され、導電層314の電気抵抗を効果的に低減することができる。
【0541】
図32(C)に示すトランジスタ310bは、トップゲート構造のトランジスタである
。
【0542】
トランジスタ310bは、ゲート電極として機能する導電層311が、半導体層312
よりも上側(被形成面側とは反対側)に設けられている。また、絶縁層331上に半導体
層312が形成されている。また半導体層312上には、絶縁層332及び導電層311
が積層して形成されている。また、絶縁層333は、半導体層312の上面及び側端部、
絶縁層333の側面、及び導電層311を覆って設けられている。導電層313a及び導
電層313bは、絶縁層333上に設けられている。導電層313a及び導電層313b
は、絶縁層333に設けられた開口を介して、半導体層312の上面と電気的に接続され
ている。
【0543】
なお、ここでは絶縁層332が、導電層311と重ならない部分に存在しない場合の例
を示しているが、絶縁層332が半導体層312の上面及び側端部を覆って設けられてい
てもよい。
【0544】
トランジスタ310bは、導電層311と導電層313aまたは導電層313bとの物
理的な距離を離すことが容易なため、これらの間の寄生容量を低減することが可能である
。
【0545】
図32(D)に示すトランジスタ310cは、トランジスタ310bと比較して、導電
層315及び絶縁層337を有している点で相違している。導電層315は絶縁層331
上に設けられ、半導体層312と重なる領域を有する。また絶縁層337は、導電層31
5及び絶縁層331を覆って設けられている。
【0546】
導電層315は、上記導電層314と同様に第2のゲート電極として機能する。そのた
め、オン電流を高めることや、しきい値電圧を制御することなどが可能である。
【0547】
図32(E)には、トランジスタ310とトランジスタ310dとを積層した構成を示
している。トランジスタ310dは、一対のゲート電極を有するトランジスタである。
【0548】
トランジスタ310dは、第1のゲート電極として機能する導電層313bの一部と、
第1のゲート絶縁層として機能する絶縁層333の一部と、半導体層312aと、ソース
電極及びドレイン電極の一方として機能する導電層313cと、ソース電極及びドレイン
電極の他方として機能する導電層313dと、第2のゲート絶縁層として機能する絶縁層
336の一部と、第2のゲート電極として機能する導電層314aと、を有する。
【0549】
このような構成は、特に発光素子と電気的に接続される回路に好適に適用することがで
きる。すなわち、トランジスタ310を、画素の選択、非選択状態を制御するトランジス
タ(スイッチングトランジスタ、または選択トランジスタともいう)に用い、トランジス
タ310dを発光素子60に流れる電流を制御するトランジスタ(駆動トランジスタとも
いう)に用いることが好ましい。
【0550】
図32(E)に示す構成では、導電層314aは、絶縁層336に設けられた開口を介
して導電層313cと電気的に接続されている。また、導電層321は、絶縁層334に
設けられた開口を介して、導電層314aと電気的に接続されている。このとき、導電層
314aと半導体層312aの間の容量成分(ゲート容量ともいう)を、画素の保持容量
として利用することができる。
【0551】
以上がトランジスタについての説明である。
【0552】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0553】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置のより具体的な例について説明する。以
下で例示する表示装置は、反射型の液晶素子と、発光素子の両方を有し、透過モードと反
射モードの両方の表示を行うことのできる、表示装置である。
【0554】
[構成例]
図33(A)は、表示装置400の構成の一例を示すブロック図である。表示装置40
0は、表示部362にマトリクス状に配列した複数の画素410を有する。また表示装置
400は、回路GDと、回路SDを有する。また方向Rに配列した複数の画素410、及
び回路GDと電気的に接続する複数の配線G1、複数の配線G2、複数の配線ANO、及
び複数の配線CSCOMを有する。また方向Cに配列した複数の画素410、及び回路S
Dと電気的に接続する複数の配線S1及び複数の配線S2を有する。
【0555】
なお、ここでは簡単のために回路GDと回路SDを1つずつ有する構成を示したが、液
晶素子を駆動する回路GD及び回路SDと、発光素子を駆動する回路GD及び回路SDと
を、別々に設けてもよい。
【0556】
画素410は、反射型の液晶素子と、発光素子を有する。画素410において、液晶素
子と発光素子とは、互いに重なる部分を有する。
【0557】
図33(B1)は、画素410が有する導電層311bの構成例を示す。導電層311
bは、画素410における液晶素子の反射電極として機能する。また導電層311bには
、開口451が設けられている。
【0558】
図33(B1)には、導電層311bと重なる領域に位置する発光素子360を破線で
示している。発光素子360は、導電層311bが有する開口451と重ねて配置されて
いる。これにより、発光素子360が発する光は、開口451を介して表示面側に射出さ
れる。
【0559】
図33(B1)では、方向Rに隣接する画素410が異なる色に対応する画素である。
このとき、
図33(B1)に示すように、方向Rに隣接する2つの画素において、開口4
51が一列に配列されないように、導電層311bの異なる位置に設けられていることが
好ましい。これにより、2つの発光素子360を離すことが可能で、発光素子360が発
する光が隣接する画素410が有する着色層に入射してしまう現象(クロストークともい
う)を抑制することができる。また、隣接する2つの発光素子360を離して配置するこ
とができるため、発光素子360のEL層をシャドウマスク等により作り分ける場合であ
っても、高い精細度の表示装置を実現できる。
【0560】
また、
図33(B2)に示すような配列としてもよい。
【0561】
非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が大きすぎると、液晶素子を用
いた表示が暗くなってしまう。また、非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比
の値が小さすぎると、発光素子360を用いた表示が暗くなってしまう。
【0562】
また、反射電極として機能する導電層311bに設ける開口451の面積が小さすぎる
と、発光素子360が射出する光から取り出せる光の効率が低下してしまう。
【0563】
開口451の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状とする
ことができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、
開口451を隣接する画素に寄せて配置してもよい。好ましくは、開口451を同じ色を
表示する他の画素に寄せて配置する。これにより、クロストークを抑制できる。
【0564】
[回路構成例]
図34は、画素410の構成例を示す回路図である。
図34では、隣接する2つの画素
410を示している。
【0565】
画素410は、スイッチSW1、容量素子C1、液晶素子340、スイッチSW2、ト
ランジスタM、容量素子C2、及び発光素子360等を有する。また、画素410には、
配線G1、配線G2、配線ANO、配線CSCOM、配線S1、及び配線S2が電気的に
接続されている。また、
図34では、液晶素子340と電気的に接続する配線VCOM1
、及び発光素子360と電気的に接続する配線VCOM2を示している。
【0566】
図34では、スイッチSW1及びスイッチSW2に、トランジスタを用いた場合の例を
示している。
【0567】
スイッチSW1は、ゲートが配線G1と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S
1と接続され、ソース又はドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、及び液晶素子3
40の一方の電極と接続されている。容量素子C1は、他方の電極が配線CSCOMと接
続されている。液晶素子340は、他方の電極が配線VCOM1と接続されている。
【0568】
またスイッチSW2は、ゲートが配線G2と接続され、ソース又はドレインの一方が配
線S2と接続され、ソース又はドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、トランジ
スタMのゲートと接続されている。容量素子C2は、他方の電極がトランジスタMのソー
ス又はドレインの一方、及び配線ANOと接続されている。トランジスタMは、ソース又
はドレインの他方が発光素子360の一方の電極と接続されている。発光素子360は、
他方の電極が配線VCOM2と接続されている。
【0569】
図34では、トランジスタMが半導体を挟む2つのゲートを有し、これらが接続されて
いる例を示している。これにより、トランジスタMが流すことのできる電流を増大させる
ことができる。
【0570】
配線G1には、スイッチSW1を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えるこ
とができる。配線VCOM1には、所定の電位を与えることができる。配線S1には、液
晶素子340が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。配線CSC
OMには、所定の電位を与えることができる。
【0571】
配線G2には、スイッチSW2を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えるこ
とができる。配線VCOM2及び配線ANOには、発光素子360が発光する電位差が生
じる電位をそれぞれ与えることができる。配線S2には、トランジスタMの導通状態を制
御する信号を与えることができる。
【0572】
図34に示す画素410は、例えば反射モードの表示を行う場合には、配線G1及び配
線S1に与える信号により駆動し、液晶素子340による光学変調を利用して表示するこ
とができる。また、透過モードで表示を行う場合には、配線G2及び配線S2に与える信
号により駆動し、発光素子360を発光させて表示することができる。また両方のモード
で駆動する場合には、配線G1、配線G2、配線S1及び配線S2のそれぞれに与える信
号により駆動することができる。
【0573】
なお、
図34では一つの画素410に、一つの液晶素子340と一つの発光素子360
とを有する例を示したが、これに限られない。
図35(A)は、一つの画素410に一つ
の液晶素子340と4つの発光素子360(発光素子360r、360g、360b、3
60w)を有する例を示している。
図35(A)に示す画素410は、
図34とは異なり
、1つの画素でフルカラーの表示が可能な画素である。
【0574】
図35(A)では
図34の例に加えて、画素410に配線G3及び配線S3が接続され
ている。
【0575】
図35(A)に示す例では、例えば4つの発光素子360を、それぞれ赤色(R)、緑
色(G)、青色(B)、及び白色(W)を呈する発光素子を用いることができる。また液
晶素子340として、白色を呈する反射型の液晶素子を用いることができる。これにより
、反射モードの表示を行う場合には、反射率の高い白色の表示を行うことができる。また
透過モードで表示を行う場合には、演色性の高い表示を低い電力で行うことができる。
【0576】
また、
図35(B)には、画素410の構成例を示している。画素410は、導電層3
11が有する開口部と重なる発光素子360wと、導電層311の周囲に配置された発光
素子360r、発光素子360g、及び発光素子360bとを有する。発光素子360r
、発光素子360g、及び発光素子360bは、発光面積がほぼ同等であることが好まし
い。
【0577】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0578】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製することができる表示モジュールにつ
いて説明する。
【0579】
図36に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002と
の間に、FPC6003に接続されたタッチパネル6004、FPC6005に接続され
た表示パネル6006、フレーム6009、プリント基板6010、及びバッテリ601
1を有する。
【0580】
本発明の一態様を用いて作製された表示装置は、例えば、表示パネル6006に用いる
ことができる。
【0581】
上部カバー6001及び下部カバー6002は、タッチパネル6004及び表示パネル
6006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0582】
タッチパネル6004としては、抵抗膜方式又は静電容量方式のタッチパネルを表示パ
ネル6006に重畳して用いることができる。また、タッチパネル6004を設けず、表
示パネル6006に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。
【0583】
フレーム6009は、表示パネル6006の保護機能の他、プリント基板6010の動
作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレ
ーム6009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0584】
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信
号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であって
も良いし、別途設けたバッテリ6011による電源であってもよい。バッテリ6011は
、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0585】
また、表示モジュール6000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追
加して設けてもよい。
【0586】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0587】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器及び照明装置について、図面を用いて説
明する。
【0588】
本発明の一態様の表示装置を用いて、電子機器や照明装置を作製できる。本発明の一態
様の表示装置を用いて、曲面を有し、信頼性の高い電子機器や照明装置を作製できる。ま
た、本発明の一態様の表示装置を用いて、可撓性を有し、信頼性の高い電子機器や照明装
置を作製できる。
【0589】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパ
ーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオ
カメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再
生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0590】
本発明の一態様の電子機器または照明装置は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、
または、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
【0591】
本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を用いて
、二次電池を充電することができると好ましい。
【0592】
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイ
オンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機
ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられ
る。
【0593】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信す
ることで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ
及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0594】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転
数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力
、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を
有していてもよい。
【0595】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報
(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレ
ンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行
する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す
機能等を有することができる。
【0596】
さらに、複数の表示部を有する電子機器においては、一つの表示部を主として画像情報
を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報を表示する機能、または複数の表示部に
視差を考慮した画像を表示することで立体的な画像を表示する機能等を有することができ
る。さらに、受像部を有する電子機器においては、静止画または動画を撮影する機能、撮
影した画像を自動または手動で補正する機能、撮影した画像を記録媒体(外部または電子
機器に内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能等を有することがで
きる。なお、本発明の一態様の電子機器が有する機能はこれらに限定されず、様々な機能
を有することができる。
【0597】
図37(A)~(E)に、湾曲した表示部7000を有する電子機器の一例を示す。表
示部7000はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うこと
ができる。なお、表示部7000は可撓性を有していてもよい。
【0598】
表示部7000は、本発明の一態様の表示装置等を用いて作製される。本発明の一態様
により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い電子機器を提供できる。
【0599】
図37(A)、(B)に携帯電話機の一例を示す。
図37(A)に示す携帯電話機71
00及び
図37(B)に示す携帯電話機7110は、それぞれ、筐体7101、表示部7
000、操作ボタン7103、外部接続ポート7104、スピーカ7105、マイク71
06等を有する。
図37(B)に示す携帯電話機7110は、さらに、カメラ7107を
有する。
【0600】
各携帯電話機は、表示部7000にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字
を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部7000に触れることで
行うことができる。
【0601】
また、操作ボタン7103の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部7000
に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メイ
ンメニュー画面に切り替えることができる。
【0602】
また、携帯電話機内部に、ジャイロセンサまたは加速度センサ等の検出装置を設けるこ
とで、携帯電話機の向き(縦か横か)を判断して、表示部7000の画面表示の向きを自
動的に切り替えるようにすることができる。また、画面表示の向きの切り替えは、表示部
7000を触れること、操作ボタン7103の操作、またはマイク7106を用いた音声
入力等により行うこともできる。
【0603】
図37(C)、(D)に携帯情報端末の一例を示す。
図37(C)に示す携帯情報端末
7200及び
図37(D)に示す携帯情報端末7210は、それぞれ、筐体7201及び
表示部7000を有する。さらに、操作ボタン、外部接続ポート、スピーカ、マイク、ア
ンテナ、カメラ、またはバッテリ等を有していてもよい。表示部7000にはタッチセン
サを備える。携帯情報端末の操作は、指やスタイラスなどで表示部7000に触れること
で行うことができる。
【0604】
本実施の形態で例示する携帯情報端末は、例えば、電話機、手帳または情報閲覧装置等
から選ばれた一つまたは複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとしてそれぞ
れ用いることができる。本実施の形態で例示する携帯情報端末は、例えば、移動電話、電
子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなど
の種々のアプリケーションを実行することができる。
【0605】
携帯情報端末7200及び携帯情報端末7210は、文字及び画像情報等をその複数の
面に表示することができる。例えば、
図37(C)、(D)に示すように、3つの操作ボ
タン7202を一の面に表示し、矩形で示す情報7203を他の面に表示することができ
る。
図37(C)では、携帯情報端末の上面に情報が表示される例を示し、
図37(D)
では、携帯情報端末の側面に情報が表示される例を示す。また、携帯情報端末の3面以上
に情報を表示してもよい。
【0606】
なお、情報の例としては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の通知
、電子メールや電話などの着信を知らせる表示、電子メールなどの題名もしくは送信者名
、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報が表示さ
れている位置に、情報の代わりに、操作ボタン、アイコンなどを表示してもよい。
【0607】
例えば、携帯情報端末7200の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末7200
を収納した状態で、その表示(ここでは情報7203)を確認することができる。
【0608】
具体的には、着信した電話の発信者の電話番号または氏名等を、携帯情報端末7200
の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末7200をポケットから
取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0609】
図37(E)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7300は、筐体7
301に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7303により筐体7
301を支持した構成を示している。
【0610】
図37(E)に示すテレビジョン装置7300の操作は、筐体7301が備える操作ス
イッチや、別体のリモコン操作機7311により行うことができる。または、表示部70
00にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることで操作して
もよい。リモコン操作機7311は、当該リモコン操作機7311から出力する情報を表
示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7311が備える操作キーまたはタッ
チパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示さ
れる映像を操作することができる。
【0611】
なお、テレビジョン装置7300は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信
機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または
無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または
双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能で
ある。
【0612】
図37(F)に、湾曲した発光部を有する照明装置の一例を示す。
【0613】
図37(F)に示す照明装置が有する発光部は、本発明の一態様の表示装置等を用いて
作製される。本発明の一態様により、湾曲した発光部を備え、且つ信頼性の高い照明装置
を提供できる。
【0614】
図37(F)に示す照明装置7400の備える発光部7411は、凸状に湾曲した2つ
の発光部が対称的に配置された構成となっている。したがって照明装置7400を中心に
全方位を照らすことができる。
【0615】
また、照明装置7400が備える発光部は可撓性を有していてもよい。発光部を可塑性
の部材または可動なフレームなどの部材で固定し、用途に合わせて発光部の発光面を自在
に湾曲可能な構成としてもよい。
【0616】
照明装置7400は、操作スイッチ7403を備える台部7401と、台部7401に
支持される発光部を有する。
【0617】
なおここでは、台部によって発光部が支持された照明装置について例示したが、発光部
を備える筐体を天井に固定する、または天井からつり下げるように用いることもできる。
発光面を湾曲させて用いることができるため、発光面を凹状に湾曲させて特定の領域を明
るく照らす、または発光面を凸状に湾曲させて部屋全体を明るく照らすこともできる。
【0618】
図38(A)~(I)に、可撓性を有し、曲げることのできる表示部7001を有する
携帯情報端末の一例を示す。
【0619】
表示部7001は、本発明の一態様の表示装置等を用いて作製される。例えば、曲率半
径0.01mm以上150mm以下で曲げることができる表示装置等を適用できる。また
、表示部7001はタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7001に触れるこ
とで携帯情報端末を操作することができる。本発明の一態様により、可撓性を有する表示
部を備え、且つ信頼性の高い電子機器を提供できる。
【0620】
図38(A)、(B)は、携帯情報端末の一例を示す斜視図である。携帯情報端末75
00は、筐体7501、表示部7001、引き出し部材7502、操作ボタン7503等
を有する。
【0621】
携帯情報端末7500は、筐体7501内にロール状に巻かれた可撓性を有する表示部
7001を有する。引き出し部材7502を用いて表示部7001を引き出すことができ
る。
【0622】
また、携帯情報端末7500は内蔵された制御部によって映像信号を受信可能で、受信
した映像を表示部7001に表示することができる。また、携帯情報端末7500にはバ
ッテリが内蔵されている。また、筐体7501にコネクターを接続する端子部を備え、映
像信号及び電力を有線により外部から直接供給する構成としてもよい。
【0623】
また、操作ボタン7503によって、電源のON、OFF動作や表示する映像の切り替
え等を行うことができる。なお、
図38(A)、(B)では、携帯情報端末7500の側
面に操作ボタン7503を配置する例を示すが、これに限られず、携帯情報端末7500
の表示面と同じ面(おもて面)や、裏面に配置してもよい。
【0624】
図38(B)には、表示部7001を引き出した状態の携帯情報端末7500を示す。
この状態で表示部7001に映像を表示することができる。また、表示部7001の一部
がロール状に巻かれた
図38(A)の状態と表示部7001を引き出した
図38(B)の
状態とで、携帯情報端末7500が異なる表示を行う構成としてもよい。例えば、
図38
(A)の状態のときに、表示部7001のロール状に巻かれた部分を非表示とすることで
、携帯情報端末7500の消費電力を下げることができる。
【0625】
なお、表示部7001を引き出した際に表示部7001の表示面が平面状となるように
固定するため、表示部7001の側部に補強のためのフレームを設けていてもよい。
【0626】
なお、この構成以外に、筐体にスピーカを設け、映像信号と共に受信した音声信号によ
って音声を出力する構成としてもよい。
【0627】
図38(C)~(E)に、折りたたみ可能な携帯情報端末の一例を示す。
図38(C)
では、展開した状態、
図38(D)では、展開した状態または折りたたんだ状態の一方か
ら他方に変化する途中の状態、
図38(E)では、折りたたんだ状態の携帯情報端末76
00を示す。携帯情報端末7600は、折りたたんだ状態では可搬性に優れ、展開した状
態では、継ぎ目のない広い表示領域により一覧性に優れる。
【0628】
表示部7001はヒンジ7602によって連結された3つの筐体7601に支持されて
いる。ヒンジ7602を介して2つの筐体7601間を屈曲させることにより、携帯情報
端末7600を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。
【0629】
図38(F)、(G)に、折りたたみ可能な携帯情報端末の一例を示す。
図38(F)
では、表示部7001が内側になるように折りたたんだ状態、
図38(G)では、表示部
7001が外側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末7650を示す。携帯情報
端末7650は表示部7001及び非表示部7651を有する。携帯情報端末7650を
使用しない際に、表示部7001が内側になるように折りたたむことで、表示部7001
の汚れ及び傷つきを抑制できる。
【0630】
図38(H)に、可撓性を有する携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末7700は
、筐体7701及び表示部7001を有する。さらに、入力手段であるボタン7703a
、7703b、音声出力手段であるスピーカ7704a、7704b、外部接続ポート7
705、マイク7706等を有していてもよい。また、携帯情報端末7700は、可撓性
を有するバッテリ7709を搭載することができる。バッテリ7709は例えば表示部7
001と重ねて配置してもよい。
【0631】
筐体7701、表示部7001、及びバッテリ7709は可撓性を有する。そのため、
携帯情報端末7700を所望の形状に湾曲させること、及び携帯情報端末7700に捻り
を加えることが容易である。例えば、携帯情報端末7700は、表示部7001が内側ま
たは外側になるように折り曲げて使用することができる。または、携帯情報端末7700
をロール状に巻いた状態で使用することもできる。このように筐体7701及び表示部7
001を自由に変形することが可能であるため、携帯情報端末7700は、落下した場合
、または意図しない外力が加わった場合であっても、破損しにくいという利点がある。
【0632】
また、携帯情報端末7700は軽量であるため、筐体7701の上部をクリップ等で把
持してぶら下げて使用する、または、筐体7701を磁石等で壁面に固定して使用するな
ど、様々な状況において利便性良く使用することができる。
【0633】
図38(I)に腕時計型の携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末7800は、バン
ド7801、表示部7001、入出力端子7802、操作ボタン7803等を有する。バ
ンド7801は、筐体としての機能を有する。また、携帯情報端末7800は、可撓性を
有するバッテリ7805を搭載することができる。バッテリ7805は例えば表示部70
01またはバンド7801等と重ねて配置してもよい。
【0634】
バンド7801、表示部7001、及びバッテリ7805は可撓性を有する。そのため
、携帯情報端末7800を所望の形状に湾曲させることが容易である。
【0635】
操作ボタン7803は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オ
フ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を
持たせることができる。例えば、携帯情報端末7800に組み込まれたオペレーティング
システムにより、操作ボタン7803の機能を自由に設定することもできる。
【0636】
また、表示部7001に表示されたアイコン7804に指等で触れることで、アプリケ
ーションを起動することができる。
【0637】
また、携帯情報端末7800は、通信規格に準拠した近距離無線通信を実行することが
可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフ
リーで通話することもできる。
【0638】
また、携帯情報端末7800は入出力端子7802を有していてもよい。入出力端子7
802を有する場合、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うこ
とができる。また入出力端子7802を介して充電を行うこともできる。なお、本実施の
形態で例示する携帯情報端末の充電動作は、入出力端子を介さずに非接触電力伝送により
行ってもよい。
【0639】
図39(A)に自動車7900の外観を示す。
図39(B)に自動車7900の運転席
を示す。自動車7900は、車体7901、車輪7902、フロントガラス7903、ラ
イト7904、フォグランプ7905等を有する。
【0640】
本発明の一態様の表示装置は、自動車7900の表示部などに用いることができる。例
えば、
図39(B)に示す表示部7910乃至表示部7917に本発明の一態様の表示装
置を設けることができる。
【0641】
表示部7910と表示部7911は、自動車のフロントガラスに設けられている。本発
明の一態様では、表示装置が有する電極を、透光性を有する導電性材料で作製することに
よって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置とすることができる
。シースルー状態の表示装置であれば、自動車7900の運転時にも視界の妨げになるこ
とがない。よって、本発明の一態様の表示装置を自動車7900のフロントガラスに設置
することができる。なお、表示装置に、トランジスタなどを設ける場合には、有機半導体
材料を用いた有機トランジスタ、または酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性
を有するトランジスタを用いるとよい。
【0642】
表示部7912はピラー部分に設けられている。表示部7913はダッシュボード部分
に設けられている。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部7912に映
し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補完することができる。同様に、表示部7
913では、ダッシュボードで遮られた視界を補完することができ、表示部7914では
、ドアで遮られた視界を補完することができる。すなわち、自動車の外側に設けられた撮
像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。
また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認
を行うことができる。
【0643】
また、表示部7917は、ハンドルに設けられている。表示部7915、表示部791
6、または表示部7917はナビゲーション情報、スピードメーター、タコメーター、走
行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その他様々な情報を提供することがで
きる。また、表示部に表示される表示項目及びレイアウトなどは、使用者の好みに合わせ
て適宜変更することができる。なお、上記情報は、表示部7910乃至表示部7914に
も表示することができる。
【0644】
なお、表示部7910乃至表示部7917は照明装置として用いることも可能である。
【0645】
本発明の一態様の表示装置が適用される表示部は平面であってもよい。この場合、本発
明の一態様の表示装置は、曲面及び可撓性を有さない構成であってもよい。
【0646】
図39(C)、(D)に、デジタルサイネージ(Digital Signage:電
子看板)の一例を示す。デジタルサイネージは、筐体8000、表示部8001、及びス
ピーカ8003等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操
作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0647】
図39(D)は円柱状の柱に取り付けられたデジタルサイネージである。
【0648】
表示部8001が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表
示部8001が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることが
できる。
【0649】
表示部8001にタッチパネルを適用することで、表示部8001に画像または動画を
表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報
もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によ
りユーザビリティを高めることができる。
【0650】
図39(E)に示す携帯型ゲーム機は、筐体8101、筐体8102、表示部8103
、表示部8104、マイクロフォン8105、スピーカ8106、操作キー8107、ス
タイラス8108等を有する。
【0651】
図39(E)に示す携帯型ゲーム機は、2つの表示部(表示部8103と表示部810
4)を有する。なお、本発明の一態様の電子機器が有する表示部の数は、2つに限定され
ず1つであっても3つ以上であってもよい。電子機器が複数の表示部を有する場合、少な
くとも1つの表示部が本発明の一態様の表示装置を有していればよい。
【0652】
図39(F)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体8111、表示部811
2、キーボード8113、ポインティングデバイス8114等を有する。
【0653】
表示部8112に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0654】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0655】
10 表示装置
10a タッチパネル
11 隔壁
12 液晶
13 モノマー
14 構造体
14a 構造体
14b 構造体
15 タッチセンサパネル
16 FPC
20 光
20a 光
21 基板
23 導電層
23a 導電層
23b 導電層
24 液晶層
25 導電層
30 照射領域
31 基板
32 表示部
34 回路
35 配線
35a 配線
35b 配線
36 FPC
36a FPC
36b FPC
37 IC
38 拡散板
39 偏光板
40 液晶素子
41a 基板
41b 基板
42a 接着層
42b 接着層
43a 剥離層
43b 剥離層
43c 剥離層
43d 剥離層
44a 支持基板
44b 支持基板
44c 支持基板
44d 支持基板
44e 支持基板
44f 支持基板
45a 樹脂層
45b 樹脂層
46a 接着層
50 凹部
51a 着色層
51b 着色層
52 遮光層
53a 配向膜
53b 配向膜
60 発光素子
61 絶縁層
62 絶縁層
70 トランジスタ
70a トランジスタ
70b トランジスタ
71 導電層
71a 導電層
71b 導電層
72 半導体層
73 絶縁層
74a 導電層
74b 導電層
75 容量素子
78 導電層
79 絶縁層
80 接続部
81 絶縁層
82 絶縁層
83 絶縁層
84 絶縁層
85 絶縁層
86 絶縁層
87 絶縁層
88 絶縁層
89 接着層
90 発光素子
91 導電層
92 EL層
93 導電層
93a 導電層
93b 導電層
95 レジストマスク
99 接着層
111 導電層
111a 導電層
111b 導電層
112 液晶
113 導電層
121 絶縁層
130 偏光板
131 着色層
132 遮光層
133a 配向膜
133b 配向膜
134 着色層
135 遮光層
141 接着層
142 接着層
143 接着層
151 導電層
152 導電層
153 導電層
161 絶縁層
162 絶縁層
163 絶縁層
165 接着層
170 基板
191 導電層
192 EL層
193a 導電層
193b 導電層
201 トランジスタ
201a トランジスタ
201b トランジスタ
202 トランジスタ
203 容量素子
204 接続部
205 トランジスタ
206 トランジスタ
207 接続部
211 絶縁層
212 絶縁層
213 絶縁層
214 絶縁層
216 絶縁層
217 絶縁層
220 絶縁層
221 導電層
222 導電層
224 導電層
231 半導体層
242 接続層
242a 接続層
242b 接続層
243 接続体
251 開口
252 接続部
261 絶縁層
262 絶縁層
263 絶縁層
264 絶縁層
265 絶縁層
310 トランジスタ
310a トランジスタ
310b トランジスタ
310c トランジスタ
310d トランジスタ
311 導電層
311b 導電層
312 半導体層
312a 半導体層
313a 導電層
313b 導電層
313c 導電層
313d 導電層
314 導電層
314a 導電層
315 導電層
321 導電層
331 絶縁層
332 絶縁層
333 絶縁層
334 絶縁層
335 絶縁層
336 絶縁層
337 絶縁層
340 液晶素子
360 発光素子
360b 発光素子
360g 発光素子
360r 発光素子
360w 発光素子
362 表示部
400 表示装置
410 画素
451 開口
6000 表示モジュール
6001 上部カバー
6002 下部カバー
6003 FPC
6004 タッチパネル
6005 FPC
6006 表示パネル
6009 フレーム
6010 プリント基板
6011 バッテリ
7000 表示部
7001 表示部
7100 携帯電話機
7101 筐体
7103 操作ボタン
7104 外部接続ポート
7105 スピーカ
7106 マイク
7107 カメラ
7110 携帯電話機
7200 携帯情報端末
7201 筐体
7202 操作ボタン
7203 情報
7210 携帯情報端末
7300 テレビジョン装置
7301 筐体
7303 スタンド
7311 リモコン操作機
7400 照明装置
7401 台部
7403 操作スイッチ
7411 発光部
7500 携帯情報端末
7501 筐体
7502 部材
7503 操作ボタン
7600 携帯情報端末
7601 筐体
7602 ヒンジ
7650 携帯情報端末
7651 非表示部
7700 携帯情報端末
7701 筐体
7703a ボタン
7703b ボタン
7704a スピーカ
7704b スピーカ
7705 外部接続ポート
7706 マイク
7709 バッテリ
7800 携帯情報端末
7801 バンド
7802 入出力端子
7803 操作ボタン
7804 アイコン
7805 バッテリ
7900 自動車
7901 車体
7902 車輪
7903 フロントガラス
7904 ライト
7905 フォグランプ
7910 表示部
7911 表示部
7912 表示部
7913 表示部
7914 表示部
7915 表示部
7916 表示部
7917 表示部
8000 筐体
8001 表示部
8003 スピーカ
8101 筐体
8102 筐体
8103 表示部
8104 表示部
8105 マイクロフォン
8106 スピーカ
8107 操作キー
8108 スタイラス
8111 筐体
8112 表示部
8113 キーボード
8114 ポインティングデバイス