(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】入庫制御システム、入庫制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20241029BHJP
G06Q 40/02 20230101ALI20241029BHJP
【FI】
G06Q40/04
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2023220679
(22)【出願日】2023-12-27
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501044644
【氏名又は名称】楽天証券株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 卓弥
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-158835(JP,A)
【文献】特開2002-279168(JP,A)
【文献】特開平07-085183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
税制優遇制度の対象となる第1口座に入庫された金融商品の入庫額に関する入庫額情報を取得する入庫額情報取得部と、
株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する株式の取得額に関する取得額情報を取得する取得額情報取得部と、
前記入庫額情報と、前記取得額情報と、に基づいて、前記取得額のうち、前記第1口座の枠を超えない分の前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記取得額のうち、前記枠を超える分の前記株式を、前記ユーザの第2口座に入庫するための制御を実行する入庫制御部と、
を含む入庫制御システム。
【請求項2】
前記第1口座は、非課税となる口座であり、
前記第2口座は、課税対象となる口座である、
請求項1に記載の入庫制御システム。
【請求項3】
前記入庫額情報は、所定の期間内に前記ユーザが入庫した前記金融商品の額と、前記ユーザが保有している前記金融商品の額と、を示し、
前記入庫制御部は、前記取得額のうち、前記期間内に前記ユーザが入庫可能な前記金融商品の額に関する第1枠を超えず、かつ、前記ユーザが保有可能な前記金融商品の額に関する第2枠を超えない分の前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記第1枠及び前記第2枠の少なくとも一方を超えた分の前記株式を、前記第2口座に入庫するための前記制御を実行する、
請求項1又は2に記載の入庫制御システム。
【請求項4】
前記入庫制御部は、前記取得額のうち、前記枠を超えない分の単元未満株を含む前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記枠を超える分の単元未満株を含む前記株式を、前記第2口座に入庫するための前記制御を実行する、
請求項1又は2に記載の入庫制御システム。
【請求項5】
前記入庫制御部は、前記取得額のうち、前記枠を超えない分の前記単元未満株であって、小数点以下の単位を含む前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記枠を超える分の前記単元未満株であって、小数点以下の単位を含む前記株式を、前記第2口座に入庫するための前記制御を実行する、
請求項4に記載の入庫制御システム。
【請求項6】
前記株式報酬及び前記持株会の少なくとも一方では、前記ユーザが取得可能な前記株式の数が所定の単位に基づいて定められており、
前記入庫制御システムは、
前記株式の時価に基づいて、前記第1口座に入庫可能な前記株式の単位数を計算する単位数計算部と、
前記ユーザに対し、前記単位数に関する単位数情報を提示する単位数情報提示部と、
を更に含む請求項1又は2に記載の入庫制御システム。
【請求項7】
前記単位数計算部は、前記単位数を繰り返し計算し、
前記入庫制御システムは、
最新の前記時価に基づいて計算された前記単位数と、直近の前記時価に基づいて計算された前記単位数と、が異なるか否かを判定する単位数判定部と、
前記ユーザに対し、前記単位数判定部の判定結果を提示する判定結果提示部と、
を更に含む請求項6に記載の入庫制御システム。
【請求項8】
前記株式報酬は、前記ユーザに付与されたポイントに基づいて権利行使が行われるストックオプションであり、
前記入庫制御システムは、
前記ユーザに付与された前記ポイントのうち、前記第1口座に入庫可能な前記株式を前記ユーザが取得するための前記ポイントを計算するポイント計算部と、
前記ユーザに対し、前記ポイント計算部により計算された前記ポイントに関するポイント情報を提示するポイント情報提示部と、
を更に含む請求項1又は2に記載の入庫制御システム。
【請求項9】
前記入庫制御システムは、前記ユーザの操作に基づいて、前記第1口座の税制優遇制度上で定められた額よりも低い前記枠を設定する枠設定部を更に含み、
前記入庫制御部は、前記枠設定部により設定された前記枠に基づいて、前記制御を実行する、
請求項1又は2に記載の入庫制御システム。
【請求項10】
前記入庫制御システムは、前記ユーザの操作に基づいて、前記株式報酬及び前記持株会の少なくとも一方によって前記ユーザが取得する複数の前記株式の少なくとも1つに優先順位を設定する第1優先順位設定部を更に含み、
前記取得額情報取得部は、前記複数の株式の各々の前記取得額情報を取得し、
前記入庫制御部は、前記複数の株式の少なくとも1つの前記優先順位に更に基づいて、前記制御を実行する、
請求項1又は2に記載の入庫制御システム。
【請求項11】
前記入庫制御システムは、前記ユーザの操作に基づいて、前記株式報酬における複数のタイプの少なくとも1つに優先順位を設定する第2優先順位設定部を更に含み、
前記取得額情報取得部は、前記複数のタイプの各々で取得される前記株式の前記取得額情報を取得し、
前記入庫制御部は、前記複数のタイプの少なくとも1つの前記優先順位に更に基づいて、前記制御を実行する、
請求項1又は2に記載の入庫制御システム。
【請求項12】
コンピュータが、
税制優遇制度の対象となる第1口座に入庫された金融商品の入庫額に関する入庫額情報を取得する入庫額情報取得ステップと、
株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する株式の取得額に関する取得額情報を取得する取得額情報取得ステップと、
前記入庫額情報と、前記取得額情報と、に基づいて、前記取得額のうち、前記第1口座の枠を超えない分の前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記取得額のうち、前記枠を超える分の前記株式を、前記ユーザの第2口座に入庫するための制御を実行する入庫制御ステップと、
を
実行する入庫制御方法。
【請求項13】
税制優遇制度の対象となる第1口座に入庫された金融商品の入庫額に関する入庫額情報を取得する入庫額情報取得部、
株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する株式の取得額に関する取得額情報を取得する取得額情報取得部、
前記入庫額情報と、前記取得額情報と、に基づいて、前記取得額のうち、前記第1口座の枠を超えない分の前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記取得額のうち、前記枠を超える分の前記株式を、前記ユーザの第2口座に入庫するための制御を実行する入庫制御部、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入庫制御システム、入庫制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日本国では、個人投資家のための税制優遇制度であるNISA(Nippon Individual Savings Account)が知られている。日本国以外の他国にも、金融商品に関する税制優遇制度が存在する。例えば、特許文献1には、株式報酬の一例であるストックオプションの権利行使条件を設定し、権利行使条件に含まれる株の売却希望価格と、株式市場における株の時価と、を比較し、時価が売却希望価格以上になった場合に、所定の条件に基づいて、権利行使に関するシナリオを選択し、当該選択されたシナリオを外部システムと連携によって実行する権利行使支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を始めとする従来の技術では、ユーザが株式報酬によって取得した株式は、課税対象となる特定口座又は一般口座に入庫されていた。このため、従来の技術では、税制が優遇されるNISA口座への入庫を希望するユーザの希望に沿うことができなかった。この点は、株式報酬に限られず、ユーザが持株会によって取得する株式も同様である。更に、NISAとは異なる新たな税制優遇制度が将来的に日本国で誕生した場合にも、同様のことが懸念される。日本以外の他国でも、同様のことが懸念される。
【0005】
本開示の目的の1つは、株式報酬及び持株会の少なくとも一方を利用するユーザの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る入庫制御システムは、税制優遇制度の対象となる第1口座に入庫された金融商品の入庫額に関する入庫額情報を取得する入庫額情報取得部と、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する株式の取得額に関する取得額情報を取得する取得額情報取得部と、前記入庫額情報と、前記取得額情報と、に基づいて、前記取得額のうち、前記第1口座の枠を超えない分の前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記取得額のうち、前記枠を超える分の前記株式を、前記ユーザの第2口座に入庫するための制御を実行する入庫制御部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、株式報酬及び持株会の少なくとも一方を利用するユーザの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】入庫制御システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】入庫制御システムが実行する処理の概要を示す図である。
【
図3】入庫制御システムで実現される機能の一例を示す図である。
【
図5】入庫制御システムで実行される処理の一例を示す図である。
【
図6】変形例で実現される機能の一例を示す図である。
【
図7】単位数情報が表示される様子の一例を示す図である。
【
図8】単位数判定部の判定結果が提示される様子の一例を示す図である。
【
図9】ポイント情報が表示される様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.入庫制御システムのハードウェア構成]
本開示に係る入庫制御システム、入庫制御方法、及びプログラムの実施形態の一例を説明する。
図1は、入庫制御システムのハードウェア構成の一例を示す図である。例えば、入庫制御システム1は、サーバ10及びユーザ端末20を含む。サーバ10及びユーザ端末20の各々は、インターネット又はLAN等のネットワークNに接続される。
【0010】
サーバ10は、証券会社等の金融機関のサーバコンピュータである。例えば、サーバ10は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を含む。制御部11は、少なくとも1つのプロセッサを含む。記憶部12は、RAM等の揮発性メモリと、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリと、の少なくとも一方を含む。通信部13は、有線通信用の通信インタフェースと、無線通信用の通信インタフェースと、の少なくとも一方を含む。
【0011】
ユーザ端末20は、金融機関に口座を有するユーザのコンピュータである。例えば、ユーザ端末20は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、又はウェアラブル端末である。ユーザ端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、及び表示部25を含む。制御部21、記憶部22、及び通信部23のハードウェア構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様であってよい。操作部24は、タッチパネル又はマウス等の入力デバイスである。表示部25は、液晶又は有機EL等のディスプレイである。
【0012】
なお、記憶部12,22に記憶されるプログラムは、ネットワークNを介して、サーバ10又はユーザ端末20に供給されてもよい。また、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、メモリカードスロット)と、外部機器とデータの入出力をするための入出力部(例えば、USBポート)と、の少なくとも一方が、サーバ10又はユーザ端末20に含まれてもよい。例えば、情報記憶媒体に記憶されたプログラムが、読取部及び入出力部の少なくとも一方を介して、サーバ10又はユーザ端末20に供給されてもよい。
【0013】
また、入庫制御システム1は、少なくとも1つのコンピュータを含めばよい。入庫制御システム1に含まれるコンピュータは、
図1の例に限られない。例えば、入庫制御システム1は、サーバ10だけを含んでもよい。この場合、ユーザ端末20は、入庫制御システム1の外部に存在する。例えば、入庫制御システム1は、サーバ10と、
図1に示さない他のコンピュータと、を含んでもよい。
【0014】
[2.入庫制御システムの概要]
本実施形態では、ユーザは、株式報酬及び持株会の少なくとも一方の制度がある組織に所属する。例えば、ユーザは、従業員、親会社の従業員、子会社の従業員、社内取締役、社外取締役、社内監査役、社外監査役、又はその他の者である。ユーザは、株式報酬及び持株会の両方を利用してもよいし、株式報酬又は持株会の何れか一方だけを利用してもよい。ユーザが所属する組織は、株式報酬及び持株会の両方の制度があってもよいし、株式報酬又は持株会の何れか一方の制度だけがあってもよい。
【0015】
株式報酬は、組織が株式によってユーザに報酬を渡す制度である。ストックオプション又は譲渡制限付き株式は、株式報酬の一例である。ストックオプションは、ユーザが所定の価格で株式を購入できる権利である。譲渡制限付き株式は、譲渡に所定の制限が設けられている株式である。例えば、業績連動型株式(PS:Performance Share)、譲渡制限付株式(RS:Restricted Stock)、業績連動型株式ユニット(PSU:Performance Share Unit)、又は譲渡制限付株式ユニット(RSU:Restricted Stock Unit)は、譲渡制限付き株式の一例である。株式報酬は、公知の種々のタイプであってよい。
【0016】
例えば、組織の人事担当者が、金融機関が提供する金融サービスに自身のコンピュータからログインして、ストックオプションの発行のための操作を行うと、入庫制御システム1は、ユーザにストックオプションを付与するための処理を実行する。入庫制御システム1は、ユーザに付与されたストックオプションを示すデータを管理する。ユーザは、任意のタイミングでストックオプションの権利を行使できる。例えば、ユーザが、ユーザ端末20を操作して金融サービスにログインして、ストックオプションの権利を行使するための操作を行うと、入庫制御システム1は、必要に応じて人事担当者への問い合わせ等を行ったうえで、ユーザの口座に株式を入庫する。ストックオプションによる株式の取得の流れは、公知の流れと同様であってよい。ユーザがストックオプションで取得した株式の売却の流れも公知の流れと同様であってよい。
【0017】
例えば、組織の人事担当者が、金融サービスに自身のコンピュータからログインして譲渡制限付き株式をユーザに支給するための操作を行うと、入庫制御システム1は、ユーザに譲渡制限付き株式を付与するための処理を実行する。ユーザは、複数のタイプの譲渡制限付き株式を取得することもできる。例えば、ユーザは、PS、RS、PSU、及びRSUのうちの任意の組み合わせの譲渡制限付き株式を取得してもよい。譲渡制限付き株式の取得及び売却の流れは、公知の流れと同様であってよい。
【0018】
持株会は、持ち株制度によりユーザが株式を取得する組織である。例えば、ユーザは、持株会によって、給与又は賞与のうちの所定額の分だけ株式を取得する。ユーザは、持株会が定めたインセンティブを受け取ることができる。例えば、組織の人事担当者が、金融サービスに自身のコンピュータからログインして株式の買付のための操作を行うと、入庫制御システム1は、ユーザに応じた額の分だけの株式を、ユーザに付与する。持株会における株式の取得及び売却の流れは、公知の流れと同様であってよい。
【0019】
例えば、ユーザは、金融機関に、証券口座の一例である第1口座及び第2口座を有する。第1口座は、税制優遇制度の対象となる口座である。第1口座は、非課税となる口座、又は、第2口座よりも税率が低い口座である。例えば、日本国におけるNISA口座は、第1口座に相当する。第2口座は、第1口座の税制優遇制度の対象にならない口座である。第2口座は、課税対象となる口座、又は、第1口座よりも税率が高い口座である。例えば、日本国における特定口座又は一般口座は、第2口座に相当する。
【0020】
本実施形態では、第1口座は、非課税となり、かつ、第2口座は、課税対象となる場合を例に挙げる。例えば、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得した株式の全てが第2口座に入庫されたとすると、当該株式の全てが、課税対象になる。そこで、入庫制御システム1は、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得した株式を、非課税である第1口座に優先的に入庫する。ただし、第1口座は、株式の入庫が無制限に許可されるわけではなく、所定の制限が設けられている。第1口座の制限は、入庫制御システム1が適用される国に応じて異なることがある。
【0021】
本実施形態では、入庫制御システム1が日本国に適用される場合を例に挙げる。このため、第1口座は、日本国におけるNISA口座である。第2口座は、日本国における特定口座又は一般口座である。NISAの制度は、2024年に変更予定である。本実施形態では、2024年以降のNISAの制度が適用される場合を例に挙げる。本願の出願日以降に、NISAの更なる制度変更が生じた場合、又は、日本国でNISA以外の税制優遇制度が誕生した場合も、本実施形態と同様の入庫制御システム1が適用されてよい。NISAの更なる制度変更が生じた場合、又は、日本国でNISA以外の税制優遇制度が誕生した場合にも、金融サービスの当業者は、本実施形態の処理を適用可能である。
【0022】
例えば、2024年以降のNISAの制度では、年間投資枠(年間投資上限額)と、総枠(非課税保有限度額)と、が第1口座に定められている。年間投資枠は、ユーザが当年で第1口座に入庫可能な額である。ユーザが、ある年にある株式を第1口座に入庫して、その年にその株式を売却したとしても、年間投資枠の残りの枠が復活するわけではない。年間投資枠は、その年の積算額の枠ということができる。年間投資枠として、成長投資枠及び積立投資枠が存在するが、本実施形態の年間投資枠は、主に成長投資枠を意味する。
【0023】
総枠は、ユーザが第1口座で保有中の金融商品のトータルの額である。ユーザが、ある株式を第1口座に入庫して、その株式を売却したとすると、総枠の残りの枠が復活する。総枠は、年間投資枠よりも大きい。年間投資枠及び総枠の少なくとも一方を超えるような第1口座への入庫は、認められない。年間投資枠及び総枠は、公知の定義であってよい。将来的に年間投資枠及び総枠の定義が変わったとしても、本実施形態の入庫制御システム1は、変更後の定義のもとで、以降説明する処理を実行可能である。なお、以降の説明では、年間投資枠及び総枠を特に区別する必要のない時は、単に第1口座の枠という。また、第1口座及び第2口座を特に区別する必要のない時は、単に口座という。
【0024】
図2は、入庫制御システム1が実行する処理の概要を示す図である。
図2では、年間投資枠の判定が示されているが、総枠の判定についても同様にして行われる。例えば、ユーザが、株式報酬の一例である譲渡制限付き株式で取得した株式が、6000株であり、かつ、1株あたり500円だったとする。この場合、株式の取得額は、300万円である。更に、ユーザが、当年で第1口座を利用していなかったとする。ストックオプションでは、株数ではなく個数と呼ばれることがあるので、
図2では、(個)等の併記をする。
【0025】
例えば、入庫制御システム1は、第1口座の利用可能額を計算する。
図2の例では、数式(1)のように、成長投資枠の240万円から、当年の利用済みの額を引いた額が、利用可能額になる。
図2の例では、ユーザが、当年で第1口座を利用していないので、利用済みの額は、0円である。利用可能額は、成長投資枠と同じ240万円になる。当年の利用済みの額は、サーバ10で管理されているものとする。
【0026】
例えば、数式(2)のように、ユーザが第1口座で受け取る受取株数は、数式(1)で計算される値を、付与時の1株あたりの株価で割った値となる。
図2の例では、数式(1)で計算される値が240万円であり、付与時の1株あたりの株価が500円なので、240万を500で割った4800株が、第1口座での受取株数になる。これ以上の株式を第1口座に入庫すると、成長投資枠を超えてしまう。
【0027】
そこで、
図2の数式(3)のように、ユーザが第2口座で受け取る受取株数は、付与株数から、数式(2)で計算される値を引いた額となる。
図2の例では、付与株数が6000株であり、数式(2)で計算される値が4800株なので、6000株から4800株を引いた1200株が、第2口座での受取株数になる。ユーザが第1口座で受け取った4800株は、非課税となる。ユーザが第2口座で受け取った1200株は、課税対象となる。
【0028】
なお、
図2の例では、年間投資枠の判定だけを例に挙げたが、入庫制御システム1が第1口座に4800株を入庫すると、総枠を超えてしまうことがある。例えば、総枠は、1200万円の予定であり、ユーザが総枠を1000万円分使用していたとすると、総枠の利用可能額は、200万円分しか残っていない。この場合、入庫制御システム1が、年間の成長投資枠だけを考慮して第1口座への株式の入庫数を決定すると、総枠を超えてしまう。このため、入庫制御システム1は、200万円を株価の500円で割った4000株だけを第1口座に入庫する。入庫制御システム1は、6000株から4000株を引いた2000株を第2口座に入庫する。
【0029】
例えば、ストックオプションの行使時と、持株会によってユーザが株式を取得した時と、についても、数式(1)~(3)と同様の数式によって、利用可能額、第1口座での受取株数、及び第2口座での受取株数が計算される。これらの時にも、年間の成長投資枠と、総枠と、の両方のチェックが行われる。このように、入庫制御システム1は、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得した株式を、第1口座に優先的に入庫させることによって、ユーザの利便性を高めるようになっている。以降、入庫制御システム1の詳細を説明する。
【0030】
[3.入庫制御システムで実現される機能]
図3は、入庫制御システム1で実現される機能の一例を示す図である。
【0031】
[3-1.サーバで実現される機能]
例えば、サーバ10は、データ記憶部100、入庫額情報取得部101、取得額情報取得部102、及び入庫制御部103を含む。データ記憶部100は、記憶部12により実現される。入庫額情報取得部101、取得額情報取得部102、及び入庫制御部103の各々は、制御部11により実現される。
【0032】
[データ記憶部]
データ記憶部100は、金融機関がユーザに金融サービスを提供するために必要なデータを記憶する。例えば、データ記憶部100は、ユーザデータベースDBを記憶する。
【0033】
図4は、ユーザデータベースDBの一例を示す図である。ユーザデータベースDBは、ユーザに関する各種情報が格納されたデータベースである。例えば、ユーザデータベースDBには、ユーザ識別情報、第1口座情報、及び第2口座情報が格納される。ユーザデータベースDBには、ユーザが所属する組織等の他の情報が格納されてもよい。ユーザ識別情報は、ユーザを識別可能な情報である。例えば、ユーザが金融サービスにログインするためのID、メールアドレス、又は電話番号は、ユーザ識別情報の一例である。
【0034】
第1口座情報は、第1口座に関する情報である。例えば、第1口座情報は、第1口座の口座番号、第1口座に入庫された金融商品の情報(例えば、銘柄コード、株数、総額、購入時の価格)、又はこれらの組み合わせを示す。第1口座には、株式以外の他の金融商品(例えば、投資信託)も入庫されてよい。第1口座情報は、後述の入庫額情報を含んでもよい。第1口座情報は、第1口座に関する任意の情報を含めばよく、第1口座情報が含む情報は、本実施形態の例に限られない。例えば、第1口座情報は、第1口座に定められた税制優遇制度上の枠(例えば、年間投資枠及び総枠)を示していてもよい。第1口座情報は、税制優遇制度上の枠から、ユーザの現在の利用額を引いた値(利用可能額)を示してもよい。第1口座情報は、第1口座に対する入庫と、第1口座からの出庫と、の各々の履歴を示してもよい。
【0035】
第2口座情報は、第2口座に関する情報である。例えば、第2口座情報は、第2口座の口座番号、第2口座に入庫された金融商品の情報(例えば、銘柄コード、株数、総額、購入時の価格)、又はこれらの組み合わせを示す。第2口座には、株式以外の他の金融商品(例えば、投資信託)も入庫されてよい。第2口座情報は、第2口座に関する任意の情報を含めばよく、第2口座情報が含む情報は、本実施形態の例に限られない。例えば、第2口座情報は、第2口座に対する入庫と、第2口座からの出庫と、の各々の履歴を示してもよい。ユーザデータベースDBには、公知の金融サービスで利用されているデータ形式の第1口座情報及び第2口座情報が格納されてよい。
【0036】
なお、データ記憶部100に記憶されるデータは、上記の例に限られない。データ記憶部100は、金融サービスに必要なデータを記憶すればよい。例えば、データ記憶部100は、証券取引所で取引されている各銘柄の時価等に関するデータが格納されたデータベースを記憶してもよい。データ記憶部100は、ユーザによる株式報酬及び持株会の少なくとも一方の利用状況に関するデータが格納されたデータベースを記憶してもよい。
【0037】
[入庫額情報取得部]
入庫額情報取得部101は、税制優遇制度の対象となる第1口座に入庫された金融商品の入庫額に関する入庫額情報を取得する。例えば、入庫額情報は、当年(現時点が属する年)で第1口座に入庫された金融商品の積算額と、ユーザが第1口座で保有中の金融商品の総額と、の少なくとも一方を示す。ユーザが第1口座の金融商品を売却しても、当年で第1口座に入庫された金融商品の積算額は減らない。ユーザが第1口座の金融商品を売却すると、ユーザが第1口座で保有中の金融商品の総額は、減少する。
【0038】
本実施形態では、入庫額情報が第1口座情報に含まれるものとする。このため、入庫額情報取得部101は、ユーザデータベースDBを参照し、ユーザ識別情報に関連付けられた第1口座情報の入庫額情報を取得する。第1口座に対する入庫と、第1口座からの出庫と、の少なくとも一方が行われた場合に、サーバ10は、第1口座情報を更新する。例えば、第1口座に新たな株式が入庫される場合に、サーバ10は、当該新たな株式の証券コード、株数、総額、購入時の価格を示すように、第1口座情報を更新する。第1口座の株式が売却される場合に、サーバ10は、当該株式の情報が削除されるように、第1口座情報を更新する。
【0039】
例えば、第1口座がNISA口座である場合には、当年の入庫額の積算値に関する年間投資枠と、第1口座で保有中の金融商品のトータルの額である総枠と、がある。このため、入庫額情報取得部101は、当年の入庫額の積算値と、第1口座で保有中の金融商品のトータルの額と、を入庫額として示す入庫額情報を取得する。ユーザがまだ第1口座を一切利用していない状態であれば、入庫額情報取得部101は、いずれも0円であることを示す入庫額情報を取得する。入庫額情報取得部101は、当年の入庫額の積算値、又は、第1口座で保有中の金融商品のトータルの額の何れか一方だけを、入庫額として示す入庫額情報を取得してもよい。
【0040】
なお、入庫額情報取得部101は、ユーザデータベースDBに格納された第1口座の入庫及び出庫の履歴に基づいて、第1口座に入庫された金融商品の入庫額を計算し、その場で入庫額情報を取得してもよい。例えば、入庫額情報取得部101は、当年における第1口座の入庫額の合計額を計算することによって、当該合計額を示す入庫額情報を取得してもよい。入庫額情報取得部101は、過去の全期間における第1口座の入庫額の合計額から出庫額の合計額を引くことによって、現在の入庫額を示す入庫額情報を取得してもよい。入庫額情報取得部101は、単純にユーザが第1口座で現在保有中の株式の合計額を計算することによって、合計額情報を取得してもよい。
【0041】
[取得額情報取得部]
取得額情報取得部102は、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する株式の取得額に関する取得額情報を取得する。本実施形態では、ユーザが株式報酬及び持株会の両方によって株式を取得する場合を例に挙げるが、ユーザは、株式報酬又は持株会の何れか一方によって株式を取得してもよい。取得額情報は、ユーザデータベースDBに予め格納されていてもよいが、本実施形態では、取得額情報取得部102は、下記のようにして取得額情報を取得する。
【0042】
例えば、ユーザが、株式報酬の一種である譲渡制限付き株式によって株式を取得する場合には、ユーザが勤務する組織の担当者は、金融機関に対し、譲渡制限付き株式の付与を要求する。担当者が、自身のコンピュータから、譲渡制限付き株式の付与を要求する場合には、当該要求に取得額情報が含まれていてもよい。この場合、取得額情報取得部102は、担当者のコンピュータから取得額情報を取得する。担当者が取得額を指定せずに株数だけを指定する場合には、取得額情報取得部102は、担当者が指定した株数に、対象となる銘柄の時価を乗じた値を、取得額情報として取得してもよい。担当者が、自身のコンピュータからではなく書面等によって、金融機関に対し、譲渡制限付き株式の付与を要求する場合には、金融機関がユーザデータベースDBに譲渡制限付き株式の取得額情報を登録してもよい。この場合、取得額情報取得部102は、ユーザデータベースDBから、取得額情報を取得する。
【0043】
例えば、ユーザが、株式報酬の一種であるストックオプションによって株式を取得する場合には、ユーザが勤務する組織の担当者は、金融機関に対し、ストックオプションの発行を要求する。担当者が、自身のコンピュータから、ストックオプションの発行を要求する場合には、当該要求に取得額情報が含まれていてもよい。この場合、取得額情報取得部102は、担当者のコンピュータから取得額情報を取得する。担当者が、自身のコンピュータからではなく書面等によって、金融機関に対し、ストックオプションの発行を要求する場合には、金融機関がユーザデータベースDBにストックオプションで取得される株式の取得額情報を登録してもよい。この場合、取得額情報取得部102は、ユーザデータベースDBから、取得額情報を取得する。更に、取得額情報取得部102は、ストックオプションの発行ではなく、権利行使時に、取得額情報を取得してもよい。
【0044】
例えば、ユーザが持株会によって株式を取得する場合には、持株会の担当者は、金融機関に対し、持株会における株式の買付を要求する。担当者が、自身のコンピュータから、持株会における株式の買付を要求する場合には、当該要求に取得額情報が含まれてもよい。この場合、取得額情報取得部102は、担当者のコンピュータから取得額情報を取得する。担当者が、自身のコンピュータからではなく書面等によって、金融機関に対し、持株会における株式の買付を要求する場合には、金融機関がユーザデータベースDBに持株会で取得される株式の取得額情報を登録してもよい。この場合、取得額情報取得部102は、ユーザデータベースDBから、取得額情報を取得する。
【0045】
なお、ユーザは、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によって、株式を繰り返し取得することがある。この場合には、取得額情報取得部102は、ユーザが株式を取得するたびに、当該株式の取得額を示す取得額情報を取得すればよい。同様に、入庫額情報取得部101は、ユーザが株式を取得するたびに、その時点における最新の入庫額情報を取得すればよい。後述の入庫制御部103も、ユーザが株式を取得するたびに、最新の入庫額情報及び取得額情報に基づいて、入庫の制御を実行すればよい。
【0046】
[入庫制御部]
入庫制御部103は、入庫額情報と、取得額情報と、に基づいて、取得額情報が示す取得額のうち、第1口座の枠を超えない分の株式を、第1口座に入庫し、取得額のうち、当該枠を超える分の株式を、ユーザの第2口座に入庫するための制御を実行する。入庫は、口座で金融商品を管理することである。入庫制御システム1で口座を識別可能な情報に、入庫の対象となる金融商品を識別可能な情報を関連付けることは、入庫に相当する。
【0047】
入庫制御部が実行する制御は、第1口座の入庫分と、第2口座の入庫分と、を決定する処理である。別の言い方をすれば、当該制御は、ユーザが取得する株式のうち、第1口座情報に記録する分と、第2口座情報に記録する分と、を決定する処理である。当該制御は、第1口座情報が示す第1口座の金融商品と、第2口座情報が示す第2口座の金融商品と、を更新する処理ということもできる。
【0048】
例えば、入庫制御部103は、入庫額情報と、第1口座の枠と、に基づいて、利用可能額を計算する。利用可能額は、ユーザが第1口座を利用可能な残りの額である。利用可能額は、第1口座の枠から、入庫額情報が示す入庫額を引いた値である。入庫制御部103は、取得額情報が示す取得額が利用可能額よりも多いか否かを判定する。取得額が利用可能額以下であると判定された場合には、入庫制御部103は、ユーザが取得した全ての株式を第1口座に入庫するための制御を実行する。
【0049】
例えば、取得額が利用可能額よりも多いと判定された場合には、入庫制御部103は、ユーザが取得した株式のうち、利用可能額と同じ又はそれ未満の額の株式を第1口座に入庫し、残りの額の学部式を第2口座に入庫するための制御を実行する。この場合の具体的な計算式は、
図2の(1)~(3)の通りである。本実施形態では、入庫制御部103は、数式(1)に基づいて利用可能額を計算し、数式(2)及び(3)に基づいて、第1口座に対する入庫分と、第2口座に対する入庫分と、を決定する。
【0050】
なお、入庫制御部103は、
図2のように、第1口座の利用可能額のぎりぎりまで第1口座に株式を入庫できるとは限らない。この場合、入庫制御部103は、第1口座の利用可能額にある程度をもたせるように、第1口座に入庫する株式の株数(個数)を決定してもよい。例えば、入庫制御部103は、第1口座の利用可能額のぎりぎりになるように、第1口座に入庫する株式の株数(個数)をひとまず計算し、その株数(個数)の十の位以下を切り捨てた株数(個数)を、第1口座に入庫する株式の株数(個数)として計算してもよい。入庫制御部103は、何れの計算方法だったとしても、ユーザが取得する株式の株数(個数)から、第1口座に入庫する株式の株数(個数)を引いた株数(個数)を、第2口座に入庫する株式の株数(個数)として計算すればよい。
【0051】
本実施形態では、入庫制御部103は、取得額のうち、所定の期間内にユーザが入庫可能な金融商品の額に関する第1枠を超えず、かつ、ユーザが保有可能な金融商品の額に関する第2枠を超えない分の株式を、第1口座に入庫し、第1枠及び第2枠の少なくとも一方を超えた分の株式を、第2口座に入庫するための制御を実行する。所定の期間は、第1口座に入庫された金融商品の積算額の計算対象となる期間である。本実施形態では、所定の期間が1年間である場合を例に挙げるが、所定の期間は、任意の期間であってよい。例えば、所定の期間は、1ヶ月、半年、又は2年といった他の期間であってもよい。所定の期間は、税制優遇制度で定められた期間であればよい。
【0052】
本実施形態では、第1枠に基づいて、第1利用可能額が計算される。第1利用可能額は、所定の期間内に第1口座に入庫可能な金融商品の残りの額である。第1口座には、株式以外にも、投資信託等の金融商品が入庫されてもよい。第1利用可能額は、株式以外の他の金融商品の額も考慮されてもよい。第1口座に設定された年間投資枠から、第1口座に入庫された金融商品の価格の積算額を引いた値が、第1利用可能額に相当する。ユーザが当年でまだ第1口座に何も入庫していない場合には、年間投資枠がそのまま第1利用可能額に相当する。
【0053】
例えば、第1口座がNISA口座である場合には、第1枠は、年間投資枠のうちの成長投資枠である。このため、成長投資枠について説明している箇所は、第1枠と読み替えることができる。将来的にNISA制度が変わった場合、又は、NISA以外の他の制度が開始した場合には、第1枠は、成長投資枠以外の他の名前で呼ばれることがある。年間投資枠のうちの成長投資枠で規定される額(例えば、240万円)は、第1利用可能額に相当する。日本国以外の他国であれば、他国の税制優遇制度で定められた額が第1利用可能額であればよい。第1枠の額は、予め定められた額であればよい。第1枠の額を示すデータは、データ記憶部100に予め記憶されているものとする。
【0054】
本実施形態では、第2枠に基づいて、第2利用可能額が計算される。第2利用可能額は、ユーザがトータルで保有できる金融商品の残りの額である。第2利用可能額は、株式以外の他の金融商品の額も考慮されてもよい。第1口座に設定された総枠から、第1口座でユーザが保有中の金融商品の総額を引いた値が、第2利用可能額に相当する。ユーザがまだ第1口座に何も入庫していない場合には、総枠がそのまま第2利用可能額になる。ユーザが第1口座の金融商品を売却したとしても、第1利用可能額が復活しないのに対し、第2利用可能額は復活する。
【0055】
例えば、第2口座がNISA口座である場合には、第2枠は、総枠である。このため、総枠について説明している箇所は、第2枠と読み替えることができる。将来的にNISA制度が変わった場合、又は、NISA以外の他の制度が開始した場合には、第2枠は、総枠以外の他の名前で呼ばれることがある。総枠で規定される額(例えば、1200万円)は、第2利用可能額に相当する。日本国以外の他国であれば、他国の税制優遇制度で定められた額が第2利用可能額であればよい。第2枠の額は、予め定められた額であればよい。第2枠の額を示すデータは、データ記憶部100に予め記憶されているものとする。
【0056】
[3-2.ユーザ端末で実現される機能]
例えば、ユーザ端末20は、データ記憶部200、操作受付部201、及び表示制御部202を含む。データ記憶部200は、記憶部22により実現される。操作受付部201及び表示制御部202は、制御部21により実現される。
【0057】
[データ記憶部]
データ記憶部200は、金融機関が提供する金融サービスをユーザが利用するために必要なデータを記憶する。例えば、データ記憶部200は、金融アプリを記憶する。ユーザが金融アプリではなくブラウザから金融サービスを利用する場合、データ記憶部200は、ブラウザを記憶する。
【0058】
[操作受付部]
操作受付部201は、ユーザの各種操作を受け付ける。例えば、操作受付部201は、サーバ10に対し、ユーザの操作内容を示すデータを送信する。
【0059】
[表示制御部]
表示制御部202は、各種画面を表示部25に表示させる。例えば、表示制御部202は、金融アプリ又はブラウザ上で、金融サービスの画面を表示部25に表示させる。
【0060】
[4.入庫制御システムで実行される処理]
図5は、入庫制御システム1で実行される処理の一例を示す図である。
図5では、サーバ10で実行される処理が示されている。制御部11が記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、
図5の処理が実行される。譲渡制限付き株式又は持株会でユーザが株式を取得する場合には、譲渡制限付き株式に定められた条件が満たされたタイミング、又は、持ち株会で定められたタイミング(例えば、毎月の所定の日)で、
図5の処理が実行される。ユーザがストックオプションで株式を取得する場合には、ユーザがユーザ端末20からストックオプションの権利を行使する旨の操作を行ったタイミングで、
図5の処理が実行される。
【0061】
図5のように、制御部11は、ユーザデータベースDBに基づいて、入庫額情報を取得する(S1)。制御部11は、ユーザが所属する組織における人事担当者のコンピュータ等から、取得額情報を取得する(S2)。制御部11は、入庫額情報と、取得額情報と、に基づいて、取得額の全ての株式を第1口座に入庫したと仮定すると、第1口座の利用可能額を超えるか否かを判定する(S3)。S3において、利用可能額を超えると判定されない場合(S3:N)、制御部11は、ユーザが取得する株式の全てを、第1口座に入庫するための制御を実行し(S4)、本処理は終了する。
【0062】
S3において、利用可能額を超えると判定された場合(S3:Y)、制御部11は、取得額情報が示す取得額のうち、利用可能額を超えない分の株式を、第1口座に入庫し、取得額情報が示す取得額のうち、利用可能額を超える分の株式を、第2口座に入庫するための制御を実行し(S5)、本処理は終了する。なお、既に利用可能額に達していた場合には、S3の判定が実行されずに、制御部11は、ユーザが取得する株式の全てを、第2口座に入庫するための制御を実行してもよい。
【0063】
[5.実施形態のまとめ]
本実施形態の入庫制御システム1は、入庫額情報と、取得額情報と、に基づいて、取得額情報が示す取得額のうち、第1口座の枠を超えない分の株式を、第1口座に入庫し、取得額のうち、枠を超える分の株式を、ユーザの第2口座に入庫するための制御を実行する。入庫制御システム1は、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する株式の少なくとも一部を第1口座に入庫できるので、ユーザの利便性を高めることができる。入庫制御システム1は、ユーザによる税負担を軽減できる。例えば、ユーザが特段の操作をしなくても、入庫制御システム1側で第1口座に株式を優先的に入庫する制御を実行するので、入庫制御システム1は、ユーザの利便性を高めることができる。
【0064】
また、第1口座は、非課税となる口座である。第2口座は、課税対象となる口座である。入庫制御システム1は、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得した株式を、非課税となる第1口座に優先的に入庫することによって、ユーザによる税負担を軽減できる。例えば、入庫制御システム1は、ユーザが特段の操作をしなくても、ユーザが取得した株式を第1口座に自動的に入庫するので、ユーザに第1口座を積極的に活用させることができる。
【0065】
また、入庫制御システム1は、取得額情報が示す取得額のうち、年間投資枠を超えず、かつ、総枠を超えない分の株式を、第1口座に入庫し、年間投資枠及び総枠の少なくとも一方を超えた分の株式を、第2口座に入庫するための制御を実行する。入庫制御システム1は、第1口座に年間投資枠及び総枠が設定されていたとしても、何れの枠も超えないように制御することができる。
【0066】
[6.変形例]
本開示は、以上に説明した実施形態に限定されない。本開示は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0067】
図6は、変形例で実現される機能の一例を示す図である。例えば、変形例のサーバ10は、単位数計算部104、単位数情報提示部105、単位数判定部106、判定結果提示部107、ポイント計算部108、ポイント情報提示部109、枠設定部110、第1優先順位設定部111、及び第2優先順位設定部112を含む。単位数計算部104、単位数情報提示部105、単位数判定部106、判定結果提示部107、ポイント計算部108、ポイント情報提示部109、枠設定部110、第1優先順位設定部111、及び第2優先順位設定部112の各々は、制御部11によって実現される。
【0068】
[6-1.変形例1]
例えば、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する株式は、単元未満株に対応していることもある。単元未満株は、1単元に満たない株式である。例えば、1単元が100株だったとすると、100株未満の株式は、単元未満株に該当する。単元未満株の株数は、整数ではなくてもよく、小数点以下を含んでもよい。例えば、ユーザが小数点以下を含む株数の株式を取得できるようにしてもよい。
【0069】
変形例1の入庫制御部103は、取得額情報が示す取得額のうち、第1口座の枠を超えない分の単元未満株を含む株式を、第1口座に入庫し、第1口座の枠を超える分の単元未満株を含む株式を、第2口座に入庫するための制御を実行する。例えば、第1口座の利用可能額が115万円であったとする。ユーザが、1株あたりの株価が599円の株式を3000株取得したとする。この場合、株価の総額は、179万7千円である。ユーザが取得した株式の全てを第1口座に入庫しようとすると、第1口座の利用可能額をオーバーするので、入庫制御部103は、115万円分の株式を第1口座に入庫するための制御を行う。
【0070】
例えば、入庫制御部103は、取得額情報が示す取得額のうち、第1口座の枠を超えない分の単元未満株であって、小数点以下の単位を含む株式を、第1口座に入庫し、第1口座の枠を超える分の単元未満株であって、小数点以下の単位を含む株式を、第2口座に入庫するための前記制御を実行する。小数点以下の単位を含む株式とは、株数が小数点以下の数値を含むことである。即ち、株数が整数ではないことである。上記の例であれば、115万円を599円で割ると、1919.8664・・・(以下、省略)になる。入庫制御部103は、少数点以下の所定の位以下を切り捨てる。例えば、入庫制御部103は、小数点第5位以下を切り捨てて、1919.8664株を第1口座に入庫すると決定する。第1口座には、115万円分の株式が入庫される。入庫制御部103は、残りの株数の株式を第2口座に入庫すると決定する。例えば、入庫制御部103は、ユーザが取得した3000株から1919.8664株を引いた1080.1336株の株式を第2口座に入庫すると決定する。第2口座には、64万7千円分の株式が入庫される。
【0071】
なお、小数点以下の株数の株式に対応していない銘柄の場合には、入庫制御部103は、整数の単元未満株を第1口座及び第2口座の少なくとも一方に入庫するための制御を実行してもよい。例えば、ユーザが単元未満株を購入するか否かを設定できるようにしてもよい。この場合、入庫制御部103は、ユーザが単元未満株の購入を希望した場合に、第1口座の枠の範囲内で、単元未満株を含む株式を第1口座に入庫するための制御を実行してもよい。更に、ユーザが、小数点以下の単元未満株まで購入するか否かを設定できるようにしてもよい。この場合、入庫制御部103は、ユーザが小数点以下の単元未満株の購入を希望した場合に、第1口座の枠の範囲内で、単元未満株を含み、かつ、小数点以下の単元未満株を含む株式を第1口座に入庫するための制御を実行してもよい。
【0072】
変形例1の入庫制御システム1は、取得額のうち、枠を超えない分の単元未満株を含む株式を、第1口座に入庫し、枠を超える分の単元未満株を含む株式を、第2口座に入庫するための制御を実行する。これにより、入庫制御システム1は、単元未満株によって、第1口座の枠をフル活用できるので、ユーザの利便性を効果的に高めることができる。なお、ユーザが取得した株式が単元未満株に対応していない場合には、変形例1の処理が実行されなくてもよい。1単元が100株だったとすると、入庫制御システム1は、ユーザが100株単位で取得した株式を、第1口座及び第2口座の各々に分配する。
【0073】
また、入庫制御システム1は、取得額のうち、枠を超えない分の単元未満株であって、小数点以下の単位を含む株式を、第1口座に入庫し、枠を超える分の単元未満株であって、小数点以下の単位を含む株式を、第2口座に入庫するための前記制御を実行する。これにより、入庫制御システム1は、小数点以下の単位を含むぎりぎりまで第1口座に入庫できるので、ユーザの利便性を効果的に高めることができる。即ち、入庫制御システム1は、第1口座の枠の摺り切りいっぱいになるまで、第1口座を有効活用することができる。
【0074】
[6-2.変形例2]
例えば、株式報酬及び持株会の少なくとも一方では、ユーザが取得可能な株式の数が所定の単位に基づいて定められていてもよい。変形例2では、所定の単位が1単元(例えば、100株)である場合を説明するが、所定の単位は、1単元以外の他の単位(例えば、50株)であってもよい。所定の単位は、銘柄に対して指定されていてもよいし、ユーザの勤務先の組織によって指定されてもよい。所定の単位を示すデータは、データ記憶部100に予め記憶されているものとする。
【0075】
変形例2の入庫制御システム1は、単位数計算部104及び単位数情報提示部105を含む。単位数計算部104は、株式の時価に基づいて、第1口座に入庫可能な株式の単位数を計算する。変形例2では、ユーザが取得する株式の総額が指定されているものとする。例えば、ユーザの勤務先の組織、又は、ユーザが、株式の総額を指定する。株式報酬又は持株会がポイント制である場合には、株式の総額は、ポイントに応じた額になる。単位数計算部104は、株式の総額を株式の時価で割ることによって、ユーザが取得可能な株式の単位数を計算する。例えば、株式の総額が30万円であり、株式の時価が520円だったとすると、単位数計算部104は、30万円を520円で割った値(576.92・・・)を計算し、所定の単位の株数(ここでは、100株)で割ることによって単位数(ここでは、5個)を計算する。単位数情報提示部105は、ユーザに対し、当該計算された単位数に関する単位数情報を提示する。
【0076】
図7は、単位数情報が表示される様子の一例を示す図である。例えば、ユーザがユーザ端末20を操作して金融サービスにログインすると、ユーザ端末20は、金融サービスにおける各種情報を管理するための管理画面SCを、表示部25に表示させる。例えば、単位数情報提示部105は、単位数計算部104により取得された単位数に関する単位数情報I1を、管理画面SCに表示させる。
図7の例では、単位数情報提示部105は、ストックオプションの残高を管理する部分に、単位数を示す単位数情報I1を表示させる。単位数情報I1は、ユーザが知覚可能な画像又はテキストである。単位数情報I1は、金融サービスの任意の画面に表示されてよい。単位数情報提示部105は、金融サービスの画面ではなく、電子メール等の手段を利用して、ユーザに単位数情報I1を提示してもよい。
【0077】
変形例2の入庫制御システム1は、株式の時価に基づいて、第1口座に入庫可能な株式の単位数を計算すると、ユーザに対し、単位数に関する単位数情報を提示する。これにより、入庫制御システム1は、ユーザの利便性を高めることができる。例えば、ユーザは、第1口座に入庫される単位数を把握することができるため、個人的な買い注文により取得した株式を第1口座に入庫することを控えるなど、事前に第1口座に入庫させる株式の量を調整することができる。例えば、株式報酬又はストックオプションにより入庫可能な単位数が2又は3単位の近辺である場合には、買い注文により第1口座の買付可能額が減少して単位数が3単位から2単位へ減少することを防止することができる。
【0078】
[6-3.変形例3]
例えば、単位数計算部104は、変形例2で説明した単位数を繰り返し計算してもよい。単位数計算部104は、単位数を計算すべき計算タイミングが訪れるたびに、その時の最新の時価に基づいて、単位数を計算する。計算タイミングは、任意のタイミングであってよい。変形例3では、管理画面SCが表示されるタイミングが計算タイミングである場合を例に挙げる。計算タイミングは、他のタイミングであってもよい。例えば、計算タイミングは、予め定められた日時、ユーザが所定の操作を行ったタイミング、又はその他のタイミングであってもよい。
【0079】
例えば、計算タイミングによっては、ユーザが取得する株式の時価が変わることがある。このため、ユーザが取得可能な株式の単位数が変わることがある。株式の時価が下がると、ユーザが同じ値段で取得可能な株式の単位数が増えることがある。株式の時価が上がると、ユーザが同じ値段で取得可能な株式の単位数が減ることがある。このような場合に、ユーザに情報を提示してもよい。
【0080】
変形例3の入庫制御システム1は、単位数判定部106及び判定結果提示部107を含む。単位数判定部106は、最新の時価に基づいて計算された単位数と、直近の時価に基づいて計算された単位数と、が異なるか否かを判定する。即ち、単位数判定部106は、ユーザが取得可能な株式の単位数に変化があったか否かを判定する。変形例3では、単位数計算部104が過去に計算した単位数の履歴を示すデータがユーザデータベースDBに格納されているものとする。単位数判定部106は、当該データを参照して直近の時間に基づいて計算された単位数を取得する。
【0081】
例えば、単位数判定部106は、最新の時価に基づいて計算された単位数と、直近の時価に基づいて計算された単位数と、が一致するか否かを判定する。別の言い方をすれば、単位数判定部106は、最新の時価に基づいて計算された単位数が、直近の時価に基づいて計算された単位数よりも多い又は少ないか否かを判定する。判定結果提示部107は、ユーザに対し、単位数判定部106の判定結果を提示する。例えば、判定結果提示部107は、最新の時価に基づいて計算された単位数と、直近の時価に基づいて計算された単位数と、が異なると判定された場合に、これらが異なることを示す情報を、ユーザに提示する。判定結果提示部107は、これらが異なると判定されない場合には、当該情報をユーザに提示しない、又は、これらが同じであることを示す情報をユーザに提示する。
【0082】
図8は、単位数判定部106の判定結果が提示される様子の一例を示す図である。
図8のように、ユーザに対して更なるストックオプションの権利が付与されて、単位数計算部104により計算された単位数が2000株(20単位)である状態から2100株(21単位)である状態に変わったとすると、判定結果提示部107は、ユーザが取得可能な株式の単位数に変化があったことを示す情報I2を、管理画面SCに表示させる。判定結果提示部107は、単位数が2000株の状態のまま変わらなければ、情報I2を管理画面SCに表示させない。情報I2は、ユーザが知覚可能な画像又はテキストである。単位数情報I1は、金融サービスの任意の画面に表示されてよい。判定結果提示部107は、金融サービスの画面ではなく、電子メール等の手段を利用して、ユーザに情報I2を提示してもよい。
【0083】
変形例3の入庫制御システム1は、最新の時価に基づいて計算された単位数と、直近の時価に基づいて計算された単位数と、が異なるか否かの判定結果を、ユーザに提示する。これにより、入庫制御システム1は、ユーザの利便性を高めることができる。例えば、ユーザは、非課税口座に入庫可能なまとまった株式の量が切り替わる際の株価を事前に把握できる。
【0084】
[6-4.変形例4]
例えば、株式報酬は、ユーザに付与されたポイントに基づいて権利行使が行われるストックオプションであってもよい。ユーザには、ポイント制でストックオプションが付与さされる。1ポイント当たりの株数は、任意の株数であってよい。変形例4では、1ポイントあたりの株数が10株である場合を例に挙げる。1ポイントあたりの株数を示すデータは、データ記憶部100に予め記憶されているものとする。1ポイントあたりの株数は、全ての銘柄で共通であってもよいし、銘柄ごとに定められていてもよい。ユーザが保有するポイントを示すデータは、ユーザデータベースDBに格納されるものとする。ユーザにストックオプションが付与されると、ユーザが保有するポイントが増えるように、当該データが更新される。ユーザがストックオプションの権利行使を行うと、ユーザが保有するポイントが減るように、当該データが更新される。ユーザデータベースDBには、ユーザによるポイントの利用履歴を示すデータが格納されていてもよい。
【0085】
変形例4の入庫制御システム1は、ポイント計算部108及びポイント情報提示部109を含む。ポイント計算部108は、ユーザに付与されたポイントのうち、第1口座に入庫可能な株式をユーザが取得するためのポイントを計算する。例えば、ポイント計算部108は、第1口座の利用可能額を、1ポイントあたりの株数で割り、更に、対象となる銘柄の時価で割る。利用可能額が115万円であり、1ポイントあたりの株数が10株であり、時価が598円だったとすると、ポイント計算部103は、115万円を10株で割り、更に598円で割った192.3ポイントを、第1口座に入庫可能な株式をユーザが取得するためのポイントとして計算する。ユーザが保有するポイントが200ポイントだったとすると、そのうちの192.3ポイントが、第1口座に入庫可能な株式をユーザが取得するためのポイントである。
【0086】
なお、ポイント計算部108は、小数点以下の所定の桁のポイントまで計算すればよい。所定の桁は、予め定められているものとする。ポイント計算部108は、小数点以下のポイントを計算せずに、整数のポイントを計算してもよい。即ち、ポイント計算部108は、小数点以下のポイントを切り捨ててもよい。ポイント計算部108により計算されたポイントに関するポイント情報は、ポイント情報提示部109の制御によってユーザに提示される。
【0087】
図9は、ポイント情報が表示される様子の一例を示す図である。ポイント情報提示部109は、ユーザに対し、ポイント計算部108により計算されたポイントに関するポイント情報I3を提示する。
図9の例では、ポイント情報提示部109は、金融サービスの管理画面SCに、ポイント情報I3を表示させる。ポイント情報I3は、ユーザが知覚可能な画像又はテキストである。ポイント情報I3は、金融サービスの任意の画面に表示されてよい。ポイント情報提示部109は、金融サービスの画面ではなく、電子メール等の手段を利用して、ユーザにポイント情報I3を提示してもよい。
【0088】
変形例4の入庫制御システム1は、ユーザに付与されたポイントのうち、第1口座に入庫可能な株式をユーザが取得するためのポイントを計算する。入庫制御システム1は、ユーザに対し、ポイント情報I3を提示する。これにより、入庫制御システム1は、ユーザの利便性を高めることができる。例えば、ユーザは、第1口座に入庫可能なぎりぎりのポイント数を把握できるので、ユーザの利便性を高めることができる。
【0089】
[6-5.変形例5]
例えば、ユーザは、第1口座の枠の全てを、株式報酬及び持株会の少なくとも一方に利用するのではなく、ある程度の部分を、自身の好きな金融商品(株式報酬及び持株会の少なくとも一方で取得する株式以外の他の金融商品、例えば、ユーザの勤務先以外の他の企業の株式)のために利用したいと思うことがある。このため、ユーザは、税制優遇制度上の枠の全部を、株式報酬及び持株会の少なくとも一方のためにフル活用するのではなく、枠のどの程度を利用するかを自由に指定できるようにしてもよい。
【0090】
更に、ユーザは、年間の成長投資枠のうちのどの程度を株式報酬及び持株会の少なくとも一方で利用するかと、総枠のうちのどの程度を株式報酬及び持株会の少なくとも一方で利用するかと、の2つを指定できるようにしてもよい。別の言い方をすれば、ユーザは、年間の成長投資枠のうちのどの程度を自身の好きな金融商品のために利用するかと、総枠のうちのどの程度を自身の好きな金融商品のために利用するかと、を指定できるようにしてもよい。
【0091】
変形例5の入庫制御システム1は、枠設定部110を含む。枠設定部110は、ユーザの操作に基づいて、第1口座の税制優遇制度上で定められた額よりも低い枠を設定する。例えば、NISA口座で定められた成長投資枠は、240万円である。ユーザが、株式報酬及び持株会の少なくとも一方のために、100万円を利用したいが、残りの枠は、自身の好きな金融商品で使いたいと考えたとする。この場合には、ユーザは、株式報酬及び持株会の少なくとも一方のために100万円を利用すること、又は、自身の好きな金融商品で140万円を利用することを指定する。
【0092】
変形例5では、ユーザが、成長投資枠のうち、株式報酬及び持株会の少なくとも一方で利用したい金額を指定するものとする。ユーザは、ユーザ端末20を操作して金融サービスにログインし、成長投資枠の240万円よりも少ない金額を指定する。ここでは、ユーザが100万円を指定したとする。枠設定部110は、ユーザが指定した金額を示すデータを、ユーザデータベースDBに格納することによって、設定を行う。ユーザは、自身の設定を事後的に変更可能である。ユーザが、株式報酬及び持株会の少なくとも一方で利用したい金額ではなく、自身の好きな金融商品で利用したい金額を入力する場合も同様に、ユーザが指定した金額を示すデータが、ユーザデータベースDBに格納される。
【0093】
入庫制御部103は、枠設定部110により設定された枠に基づいて、実施形態で説明した制御を実行する。枠が実施形態とは異なるが、入庫制御部103が実行する制御は、実施形態で説明した通りである。
図2の例であれば、変形例5では、数式(1)の成長投資枠に代えて、枠設定部110が設定した枠が利用される。例えば、ユーザが、株式報酬及び持株会の少なくとも一方で利用したい金額として、100万円を指定したとすると、入庫制御部103は、100万円の範囲内で、株式報酬及び持株会の少なくとも一方でユーザが取得した株式が第1口座に優先的に入庫されるように、実施形態で説明した制御を実行する。
【0094】
なお、上記の例では、ユーザが、成長投資枠のうちの一部の枠を、株式報酬及び持株会の少なくとも一方で利用したい金額として指定する場合を例に挙げたが、ユーザは、総枠のうちの一部の枠を、株式報酬及び持株会の少なくとも一方で利用したい金額として指定してもよい。この場合、入庫制御部103は、ユーザが取得した株式の額と、ユーザが現時点で保有する株式の総額と、の合計額が、ユーザが指定した額(総枠よりも少ない額)を超える場合には、超えた分については、第2口座に株式を入庫するための制御を実行する。ユーザは、成長投資枠のうちの一部の枠と、総枠のうちの一部の枠と、の両方の額を指定してもよい。
【0095】
変形例5の入庫制御システム1は、ユーザの操作に基づいて、第1口座の税制優遇制度上で定められた額よりも低い枠を設定する。入庫制御システム1は、枠設定部110により設定された枠に基づいて、制御を実行する。これにより、入庫制御システム1は、ユーザの利便性を高めることができる。例えば、ユーザは、株式報酬及び持株会の少なくとも一方のために使う枠と、自身の好きな金融商品で使う枠と、を使い分けることができる。
【0096】
[6-6.変形例6]
例えば、ユーザは、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によって、複数の株式を取得することがある。例えば、企業A,Bの両方に勤務しているユーザが、企業A,Bが提供する株式報酬及び持株会の少なくとも一方によって、企業Aの株式と、企業Bの株式と、を取得することがある。この場合でも、実施形態と同様にして、企業Aの株式と、企業Bの株式と、が第1口座に優先的に入庫されるようにしてもよい。基本的には、企業A及びBのうち、ユーザが株式を取得した順に、第1口座に優先的に入庫されるが、ユーザは、企業A及びBの各々に対し、優先順位を指定してもよい。
【0097】
入庫制御システム1は、第1優先順位設定部111を含む。第1優先順位設定部111は、ユーザの操作に基づいて、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する複数の株式の少なくとも1つに優先順位を設定する。優先順位は、第1口座への入庫が優先される順位である。優先順位が設定されなかった株式は、第1口座には入庫されないようにしてもよい。即ち、ユーザが株式報酬及び持株会の少なくとも一方によって取得した株式だったとしても、優先順位が設定されなかった株式は、実施形態で説明した処理が実行されず、第2口座に入庫されるようにしてもよい。優先順位が設定された株式は、実施形態で説明した処理が実行されて、第1口座に優先的に入庫されるようにしてもよい。
【0098】
例えば、ユーザは、ユーザ端末20を操作して金融サービスにログインすると、株式報酬及び持株会の少なくとも一方で自身が取得可能な複数の株式の少なくとも1つに優先順位を指定する。ユーザ端末20は、ユーザが指定した優先順位を示すデータをサーバ10に送信する。第1優先順位設定部111は、ユーザ端末20から受信した当該データをユーザデータベースDBに格納することによって、ユーザが取得する複数の株式の少なくとも1つに優先順位を設定する。第1優先順位設定部111は、ユーザデータベースDB以外の他のデータベースに当該データを格納することによって、ユーザが取得する複数の株式の少なくとも1つに優先順位を設定してもよい。
【0099】
変形例6の取得額情報取得部102は、複数の株式の各々の取得額情報を取得する。個々の取得額情報の取得方法は、実施形態で説明した通りである。ユーザが、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によって、複数の株式を同時に取得しないこともあるので、この場合には、取得額情報取得部102は、ユーザが取得することが決まった株式から順番に、当該株式の取得額情報を取得する。ユーザが、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によって、複数の株式を同時に取得する場合には、取得額情報取得部102は、複数の株式の各々の取得額情報を取得する。
【0100】
変形例6の入庫制御部103は、複数の株式の少なくとも1つの優先順位に更に基づいて、制御を実行する。複数の株式に優先順位が設定された場合には、入庫制御部103は、相対的に優先順位が高い株式が第1口座に優先して入庫され、相対的に優先順位が低い株式が第2口座に優先して入庫されるように、制御を行う。例えば、入庫制御部103は、優先順位が閾値以上の株式を第1口座に入庫し、優先順位が閾値未満の株式を第2口座に入庫するように、制御を行ってもよい。例えば、入庫制御部103は、優先順位が高い順に可能な限りの株式を第1口座に入庫し、第1口座の利用可能額にまだ余裕がある場合に、優先順位が相対的に低い株式を第1口座に入庫してもよい。
【0101】
変形例6の入庫制御システム1は、ユーザの操作に基づいて、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する複数の株式の少なくとも1つに優先順位を設定する。入庫制御システム1は、複数の株式の各々の取得額情報を取得する。入庫制御システム1は、複数の株式の少なくとも1つの優先順位に更に基づいて、制御を実行する。これにより、入庫制御システム1は、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によって複数の株式を取得したユーザの利便性を高めることができる。例えば、ユーザは、所望の株式を非課税の第1口座に優先的に入庫できるので、より柔軟な入庫が可能になる。
【0102】
[6-7.変形例7]
例えば、実施形態では、株式報酬として、ストックオプション及び譲渡制限付き株式といった2つのタイプを説明した。更に、譲渡制限付き株式には、業績連動型株式(PS:Performance Share)、譲渡制限付株式(RS:Restricted Stock)、業績連動型株式ユニット(PSU:Performance Share Unit)、及び譲渡制限付株式ユニット(RSU:Restricted Stock Unit)といったタイプがある。これらのタイプに優先順位が設定されてもよい。
【0103】
入庫制御システム1は、第2優先順位設定部112を含む。第2優先順位設定部112は、ユーザの操作に基づいて、株式報酬における複数のタイプの少なくとも1つに優先順位を設定する。優先順位の意味は、変形例6で説明した通りである。変形例6では、株式(銘柄)に対して優先順位が設定されるのに対し、変形例7では、PS、RS、PSU、及びRSUといったタイプに対して優先順位が設定される。
【0104】
例えば、ユーザは、ユーザ端末20を操作して金融サービスにログインすると、株式報酬における複数のタイプの少なくとも1つに優先順位を指定する。ユーザ端末20は、ユーザが指定した優先順位を示すデータをサーバ10に送信する。第2優先順位設定部112は、ユーザ端末20から受信した当該データをユーザデータベースDBに格納することによって、ユーザが取得する複数の株式の少なくとも1つに優先順位を設定する。第2優先順位設定部112は、ユーザデータベースDB以外の他のデータベースに当該データを格納することによって、株式報酬における複数のタイプの少なくとも1つに優先順位を設定してもよい。
【0105】
取得額情報取得部102は、複数のタイプの各々で取得される株式の取得額情報を取得する。個々の取得額情報の取得方法は、実施形態で説明した通りである。ユーザが、株式報酬における複数のタイプの各々で株式を同時に取得しないこともあるので、この場合には、取得額情報取得部102は、ユーザが取得することが決まった株式から順番に、当該株式の取得額情報を取得する。ユーザが、株式報酬における複数のタイプの各々で株式を同時に取得する場合には、取得額情報取得部102は、複数のタイプの各々で取得される株式の取得額情報を取得する。
【0106】
変形例7の入庫制御部103は、複数のタイプの少なくとも1つの優先順位に更に基づいて、制御を実行する。複数のタイプに優先順位が設定された場合には、入庫制御部103は、相対的に優先順位が高いタイプの株式が第1口座に優先して入庫され、相対的に優先順位が低いタイプの株式が第2口座に優先して入庫されるように、制御を行う。例えば、入庫制御部103は、優先順位が閾値以上のタイプの株式を第1口座に入庫し、優先順位が閾値未満のタイプの株式を第2口座に入庫するように、制御を行ってもよい。例えば、入庫制御部103は、優先順位が高い順に可能な限りの株式を第1口座に入庫し、第1口座の利用可能額にまだ余裕がある場合に、優先順位が相対的に低い株式を第1口座に入庫してもよい。
【0107】
変形例7の入庫制御システム1は、ユーザの操作に基づいて、株式報酬における複数のタイプの少なくとも1つに優先順位を設定する。入庫制御システム1は、複数のタイプの各々で取得される株式の取得額情報を取得する。入庫制御システム1は、複数のタイプの少なくとも1つの優先順位に更に基づいて、制御を実行する。これにより、入庫制御システム1は、タイプに応じた柔軟な入庫を実現することで、ユーザの利便性を高めることができる。例えば、ユーザは、所望のタイプの株式報酬で取得した株式を非課税の第1口座に優先的に入庫できるので、より柔軟な入庫が可能になる。
【0108】
[6-8.その他の変形例]
例えば、上記変形例を組み合わせてもよい。
【0109】
例えば、サーバ10で実現されるものとして説明した機能は、ユーザ端末20又は他のコンピュータで実現されてもよい。サーバ10で実現されるものとして説明した処理は、複数のコンピュータで分担されてもよい。
【0110】
[7.付記]
例えば、入庫制御システムは、下記のような構成も可能である。
(1)
税制優遇制度の対象となる第1口座に入庫された金融商品の入庫額に関する入庫額情報を取得する入庫額情報取得部と、
株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する株式の取得額に関する取得額情報を取得する取得額情報取得部と、
前記入庫額情報と、前記取得額情報と、に基づいて、前記取得額のうち、前記第1口座の枠を超えない分の前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記取得額のうち、前記枠を超える分の前記株式を、前記ユーザの第2口座に入庫するための制御を実行する入庫制御部と、
を含む入庫制御システム。
(2)
前記第1口座は、非課税となる口座であり、
前記第2口座は、課税対象となる口座である、
(1)に記載の入庫制御システム。
(3)
前記入庫額情報は、所定の期間内に前記ユーザが入庫した前記金融商品の額と、前記ユーザが保有している前記金融商品の額と、を示し、
前記入庫制御部は、前記取得額のうち、前記期間内に前記ユーザが入庫可能な前記金融商品の額に関する第1枠を超えず、かつ、前記ユーザが保有可能な前記金融商品の額に関する第2枠を超えない分の前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記第1枠及び前記第2枠の少なくとも一方を超えた分の前記株式を、前記第2口座に入庫するための前記制御を実行する、
(1)又は(2)に記載の入庫制御システム。
(4)
前記入庫制御部は、前記取得額のうち、前記枠を超えない分の単元未満株を含む前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記枠を超える分の単元未満株を含む前記株式を、前記第2口座に入庫するための前記制御を実行する、
(1)~(3)の何れかに記載の入庫制御システム。
(5)
前記入庫制御部は、前記取得額のうち、前記枠を超えない分の前記単元未満株であって、小数点以下の単位を含む前記株式を、前記第1口座に入庫し、前記枠を超える分の前記単元未満株であって、小数点以下の単位を含む前記株式を、前記第2口座に入庫するための前記制御を実行する、
(4)に記載の入庫制御システム。
(6)
前記株式報酬及び前記持株会の少なくとも一方では、前記ユーザが取得可能な前記株式の数が所定の単位に基づいて定められており、
前記入庫制御システムは、
前記株式の時価に基づいて、前記第1口座に入庫可能な前記株式の単位数を計算する単位数計算部と、
前記ユーザに対し、前記単位数に関する単位数情報を提示する単位数情報提示部と、
を更に含む(1)~(5)の何れかに記載の入庫制御システム。
(7)
前記単位数計算部は、前記単位数を繰り返し計算し、
前記入庫制御システムは、
最新の前記時価に基づいて計算された前記単位数と、直近の前記時価に基づいて計算された前記単位数と、が異なるか否かを判定する単位数判定部と、
前記ユーザに対し、前記単位数判定部の判定結果を提示する判定結果提示部と、
を更に含む(6)に記載の入庫制御システム。
(8)
前記株式報酬は、前記ユーザに付与されたポイントに基づいて権利行使が行われるストックオプションであり、
前記入庫制御システムは、
前記ユーザに付与された前記ポイントのうち、前記第1口座に入庫可能な前記株式を前記ユーザが取得するための前記ポイントを計算するポイント計算部と、
前記ユーザに対し、前記ポイント計算部により計算された前記ポイントに関するポイント情報を提示するポイント情報提示部と、
を更に含む(1)~(7)の何れかに記載の入庫制御システム。
(9)
前記入庫制御システムは、前記ユーザの操作に基づいて、前記第1口座の税制優遇制度上で定められた額よりも低い前記枠を設定する枠設定部を更に含み、
前記入庫制御部は、前記枠設定部により設定された前記枠に基づいて、前記制御を実行する、
(1)~(8)の何れかに記載の入庫制御システム。
(10)
前記入庫制御システムは、前記ユーザの操作に基づいて、前記株式報酬及び前記持株会の少なくとも一方によって前記ユーザが取得する複数の前記株式の少なくとも1つに優先順位を設定する第1優先順位設定部を更に含み、
前記取得額情報取得部は、前記複数の株式の各々の前記取得額情報を取得し、
前記入庫制御部は、前記複数の株式の少なくとも1つの前記優先順位に更に基づいて、前記制御を実行する、
(1)~(9)の何れかに記載の入庫制御システム。
(11)
前記入庫制御システムは、前記ユーザの操作に基づいて、前記株式報酬における複数のタイプの少なくとも1つに優先順位を設定する第2優先順位設定部を更に含み、
前記取得額情報取得部は、前記複数のタイプの各々で取得される前記株式の前記取得額情報を取得し、
前記入庫制御部は、前記複数のタイプの少なくとも1つの前記優先順位に更に基づいて、前記制御を実行する、
(1)~(10)に記載の入庫制御システム。
【符号の説明】
【0111】
1 入庫制御システム、N ネットワーク、10 サーバ、11,21 制御部、12,22 記憶部、13,23 通信部、20 ユーザ端末、24 操作部、25 表示部、DB ユーザデータベース、I1 単位数情報、I2 情報、SC 管理画面、100 データ記憶部、101 入庫額情報取得部、102 取得額情報取得部、103 入庫制御部、104 単位数計算部、105 単位数情報提示部、106 単位数判定部、107 判定結果提示部、108 ポイント計算部、109 ポイント情報提示部、110 枠設定部、111 第1優先順位設定部、112 第2優先順位設定部、200 データ記憶部、201 操作受付部、202 表示制御部。
【要約】
【課題】株式報酬及び持株会の少なくとも一方を利用するユーザの利便性を高める。
【解決手段】入庫制御システム(1)の入庫額情報取得部(101)は、税制優遇制度の対象となる第1口座に入庫された金融商品の入庫額に関する入庫額情報を取得する。取得額情報取得部(102)は、株式報酬及び持株会の少なくとも一方によってユーザが取得する株式の取得額に関する取得額情報を取得する。入庫制御部(103)は、入庫額情報と、取得額情報と、に基づいて、取得額のうち、第1口座の枠を超えない分の株式を、第1口座に入庫し、取得額のうち、枠を超える分の株式を、ユーザの第2口座に入庫するための制御を実行する。
【選択図】
図3