(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ及びマイクロスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241029BHJP
G01J 1/02 20060101ALI20241029BHJP
G01J 1/04 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G01J1/02 Q
G01J1/04 B
(21)【出願番号】P 2023504407
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 CN2021110237
(87)【国際公開番号】W WO2022033353
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】202010820373.9
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010820381.3
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010821286.5
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502192546
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
【住所又は居所原語表記】Tsinghua University,Haidian District,Beijing 100084,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲開▼宇
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 家▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 翊▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 巍
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 雪
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲倣▼
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110346313(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111490060(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111505820(CN,A)
【文献】中国実用新案第211122509(CN,U)
【文献】特開2015-121417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
G01J 1/02
G01J 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CISウェーハと、光変調層と、信号処理回路とを含み、
前記光変調層は、前記CISウェーハの感光領域の表面に設けられた複数のマイクロナノ構造ユニットを含み、各マイクロナノ構造ユニットは1つ又は複数のマイクロナノ構造アレイを含み、少なくとも1つのマイクロナノ構造ユニットにおけるマイクロナノ構造アレイは異なる形状の内部ユニットから構成される2次元格子であり、少なくとも1つのマイクロナノ構造ユニットにおけるマイクロナノ構造アレイは、ランダム形状の内部ユニットから構成される2次元格子であり、前記ランダム形状の内部ユニットは少なくとも2種類の曲率を有することを特徴とする異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ。
【請求項2】
前記1つ又は複数のマイクロナノ構造アレイの各々はいずれも異なる形状の内部ユニットから構成される2次元格子であることを特徴とする請求項1に記載の異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ。
【請求項3】
前記複数のマイクロナノ構造ユニットは同一の繰り返しユニットであり、異なるマイクロナノ構造ユニット中における対応する位置に位置するマイクロナノ構造アレイは同じであり、及び/又は、異なるマイクロナノ構造ユニット中の少なくとも1つの対応する位置にマイクロナノ構造アレイが存在せず、及び/又は、前記複数のマイクロナノ構造ユニットの各々のサイズは0.5μm
2~40000μm
2であり、及び/又は、前記複数のマイクロナノ構造アレイの各々の周期は20nm~50μmであることを特徴とする請求項1に記載の異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ。
【請求項4】
前記複数のマイクロナノ構造ユニットの各々に含まれるマイクロナノ構造アレイの数は動的に調整可能であり、及び/又は、前記複数のマイクロナノ構造ユニットはC4対称性を持っていることを特徴とする請求項1に記載の異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ。
【請求項5】
各マイクロナノ構造アレイは、前記CISウェーハにおける1つ又は複数のピクセルに対応することを特徴とする請求項1に記載の異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ。
【請求項6】
前記信号処理回路は、電気的接触を介して前記CISウェーハに接続されることを特徴とする請求項1に記載の異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ。
【請求項7】
前記CISウェーハは光検出層及び金属配線層を含み、前記光検出層は金属配線層の下方に設置され、前記光変調層は金属配線層上に集積され、又は、前記光検出層は金属配線層の上方に設置され、前記光変調層は光検出層上に集積されることを特徴とする請求項1に記載の異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ。
【請求項8】
前記光変調層は単層、二層又は多層の構造であり、各層の厚さは50nm~2μmであり、前記光変調層の材料は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム材料、シリコンの化合物、ゲルマニウムの化合物、金属又はIII-V族材料のうちの少なくとも1つであり、そのうち、シリコンの化合物は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、及び炭化ケイ素のうちの少なくとも1つを含み、及び/又は、前記光変調層が二層又は多層である場合、少なくとも1層は貫通しないことを特徴とする請求項1に記載の異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ。
【請求項9】
前記光変調層とCISウェーハとの間に光透過媒体層が設けられ、前記光透過媒体層の厚さは50nm~2μmであり、光透過媒体層の材料は二酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1に記載の異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ。
【請求項10】
前記マイクロスペクトルチップには、マイクロレンズ及び/又はフィルタが集積され、前記マイクロレンズ及び/又はフィルタは、前記光変調層の上方又は下方に設置されることを特徴とする請求項1に記載の異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ。
【請求項11】
スペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法であって、
前記スペクトルチップは、ウエハレベルの画像センサを含み、前記ウエハレベルの画像センサの感光領域の上面には、光変調層が製造され、前記光変調層は、複数のマイクロナノユニットからなるユニットアレイを含み、各マイクロナノユニットはウエハレベルの画像センサ上の1つ又は複数の画素点に対応し、前記マイクロナノユニットは複数組のマイクロナノ構造アレイを含み、各組のマイクロナノ構造アレイは2次元格子構造で形成され、各マイクロナノユニットの複数組のマイクロナノ構造アレイにおける2次元格子構造は、入射光を変調し、前記入射光のスペクトル情報をウエハレベルの画像センサの異なる画素点に符号化し、前記入射光のスペクトル情報を含む図像を得るためのものであり、
前記スペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法は、前記2次元格子構造を生成するステップを含み、前記2次元格子構造は、ランダム形状構造の周期配列により形成され、
前記2次元格子構造を生成するステップは、
前記2次元格子構造におけるランダム形状構造の配列周期を確定することと、
下記の処理手順に従って、前記2次元格子構造における各ランダム形状構造を生成することとを含み、
前記処理手順は、
前記配列周期内の領域をメッシュ分割して、複数のメッシュ領域を取得することと、
前記複数のメッシュ領域に対して、画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得することであって、異なる画素値は、対応するメッシュ領域が異なる屈折率を持つことを示すことと、
前記初期パターンに対して2値化処理を行って、第1の2値化パターンを取得することであって、前記第1の2値化パターンは1つのランダム形状構造に対応し、前記第1の2値化パターンにおける0及び1はそれぞれ、空気及び媒体を表すこととを含むことを特徴とするスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法。
【請求項12】
前記初期パターンに対して2値化処理を行う前に、前記初期パターンに対してフィルタ平滑化処理を予め行うことを特徴とする請求項11に記載のスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法。
【請求項13】
前記第1の2値化パターンを取得した後に、
前記第1の2値化パターンに対して、ぼかし処理及び2値化処理を順次に行って、第2の2値化パターンを取得し、それに対応して、
前記第2の
2値化パターンは1つのランダム形状構造に対応するステップを更に含むことを特徴とする請求項12に記載のスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法。
【請求項14】
前記複数のメッシュ領域に対して、画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得することは、
複数のメッシュ領域をグループ化して、複数組のメッシュを取得することであって、複数のメッシュ領域をグループ化する際に、1つ又は複数のメッシュ領域を1組としてグループ化することと、
各組のメッシュに対して標準正規分布に従って画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得することであって、組内の各メッシュ領域の画素値は同じであることとを含むことを特徴とする請求項12に記載のスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法。
【請求項15】
前記第1の2値化パターン又は
前記第2の2値化パターンを取得した後に、前記第1の2値化パターン又は
前記第2の2値化パターンに対して対称性処理を行って、対称性を備えるパターンを取得し、それに対応して、対称性を備える前記パターンは1つのランダム形状構造に対応することを更に含み、
前記対称性処理は、二重回転対称性処理、Y軸に関する鏡像対称性処理、X軸に関する鏡像対称性処理、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性処理、四重回転対称性処理、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性及び四重回転対称性の処理のうちの1種又は複数種を含み、
取得した対称性を備えるパターンは、二重回転対称性を備えるパターン、Y軸に関する鏡像対称性を備えるパターン、X軸に関する鏡像対称性を備えるパターン、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性を備えるパターン、四重回転対称性を備えるパターン、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性及び四重回転対称性を備えるパターンのうちの1種又は複数種を含むことを特徴とする請求項
13に記載のスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法。
【請求項16】
前記第1の2値化パターン又は
前記第2の2値化パターンを取得した後に、プロセス製造中のエッチング不足又はオーバーエッチングの状況をシミュレーションするように、前記第1の2値化パターン又は
前記第2の2値化パターンに対して、膨張又は腐食の操作を行うことを更に含むことを特徴とする請求項
13に記載のスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法。
【請求項17】
前記スペクトルチップは、前記ウエハレベルの画像センサに接続された信号処理回路を更に含み、
前記信号処理回路は、前記入射光のスペクトル情報を含む図像を処理して、前記入射光のスペクトル情報を取得するためのものであり、
前記光変調層と前記ウエハレベルの画像センサとの間には光透過媒体層が設けられており、
前記ウエハレベルの画像センサは、表面照射型であり、上から下に設置された金属線層と光検出層とを含み、前記光変調層は前記金属線層の前記光検出層から離れた面に集積され、又は、
前記ウエハレベルの画像センサは、裏面照射型であり、上から下に設置された光検出層と金属線層とを含み、前記光変調層は前記光検出層の前記金属線層から離れた面に集積されていることを特徴とする請求項12に記載のスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法。
【請求項18】
前記スペクトルチップは、マイクロレンズ及び/又はフィルタを更に含み、
前記マイクロレンズは、光変調層のウエハレベルの画像センサから離れた面に設けられ、又は、前記マイクロレンズは、光変調層のウエハレベルの画像センサに近い面に設けられ、
前記フィルタは、光変調層のウエハレベルの画像センサから離れた面に設けられ、又は、前記フィルタは、光変調層のウエハレベルの画像センサに近い面に設けられていることを特徴とする請求項12に記載のスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年8月14に提出された、出願番号が202010821286.5、発明の名称が「異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ」である中国特許出願、2020年8月14に提出された、出願番号が202010820381.3、発明の名称が「ランダム形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ」である中国特許出願、及び2020年8月14に提出された、出願番号が202010820373.9、発明の名称が「スペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、スペクトルイメージングの技術分野に関し、特に、異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップ及びスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の分光計では、分光素子により入射光の異なる波長成分を空間的に分離してから検出を行う必要があり、精密な分光素子は通常、体積が大きいため、分光計の小型化が制限される。また、入射光は、規則的な繰り返し形状のユニットのマイクロナノ構造アレイによって変調され、更にアルゴリズムにより、検出器の応答から入射光のスペクトル情報は復元できる。しかしながら、この技術案は、規則的な形状のユニットを採用しており、周期やデューティなどのパラメータを変更することにより実現できる広帯域変調関数は限られているため、スペクトル回復の精度が制限され、且つ、デバイスのサイズを更に小さくすることが困難である。そのため、スペクトルチップの高精度化・小型化の実現は非常に重要である。
【0004】
従来の分光計は、精密な分光素子が必要であり、設備が複雑で、体積が大きいが、現在のマイクロ分光計は、規則形状のユニットのマイクロナノ構造アレイによって入射光を変調し、更にアルゴリズムにより、検出器の応答から入射光のスペクトル情報を復元する。例えば、
図30に示すように、光変調層の各ユニットには、基板内に穿孔された変調孔がいくつか設けられ、変調孔の断面形状は、円形、楕円形、十字形、正多角形、星形又は矩形を含む。この方法は、規則的な形状のユニットを採用しており、周期、デューティ、角度などの構造パラメータを変更することにより実現できるスペクトル変調機能は限られているため、スペクトル回復の精度が制限され、且つ、デバイスのサイズを更に小さくすることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、従来技術のスペクトルチップによって実現できる広帯域変調機能が限られているため、スペクトル回復の精度が制限され、且つ、デバイスのサイズを更に小さくすることが困難であるという課題を解決するために、スペクトルチップの高精度化・小型化を実現することができる、異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップを提供する。
【0006】
本発明の実施形態は、従来技術のスペクトルチップによって実現できる広帯域変調関数が限られているため、スペクトル回復の精度が制限され、且つ、デバイスのサイズを更に小さくすることが困難であるという課題を解決するために、より高精度でより小型のスペクトルチップを実現することができる、ランダム形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップを提供する。
【0007】
従来技術に存在している問題に対して、本発明の実施形態はスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、CIS(CMOS(相補型金属酸化物半導体)イメージセンサ)ウェーハと、光変調層とを含み、前記光変調層は、前記CISウェーハの感光領域の表面に設けられた複数のマイクロナノ構造ユニットを含み、各マイクロナノ構造ユニットは複数のマイクロナノ構造アレイを含み、各マイクロナノ構造ユニットにおいて、異なるマイクロナノ構造アレイは異なる形状の内部ユニットから構成される2次元格子である異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップを提供する。
【0009】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおいて、前記複数のマイクロナノ構造ユニットは同一の繰り返しユニットであり、異なるマイクロナノ構造ユニット中における対応する位置に位置するマイクロナノ構造アレイは同じであり、及び/又は、異なるマイクロナノ構造ユニット中の少なくとも1つの対応する位置にマイクロナノ構造アレイが存在せず、及び/又は、各前記マイクロナノ構造ユニットのサイズは0.5μm2~40000μm2であり、及び/又は、各前記マイクロナノ構造アレイの周期は20nm~50μmである。
【0010】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおいて、各前記マイクロナノ構造ユニット内に含まれるマイクロナノ構造アレイの数は動的に調整可能であり、及び/又は、前記複数のマイクロナノ構造ユニットはC4対称性を持っている。
【0011】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおいて、各マイクロナノ構造アレイは、前記CISウェーハにおける1つ又は複数のピクセルに対応する。
【0012】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおいて、電気的接触を介して前記CISウェーハに接続される信号処理回路を更に含む。
【0013】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおいて、前記CISウェーハは光検出層及び金属配線層を含み、前記光検出層は金属配線層の下方に設置され、前記光変調層は金属配線層上に集積され、又は、前記光検出層は金属配線層の上方に設置され、前記光変調層は光検出層上に集積される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおいて、前記光検出層が前記金属配線層の上方にある場合、光変調層は、CISウェーハの光検出層にエッチングにより製造され、且つ、エッチング深さは50nm~2μmである。
【0015】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおいて、前記光変調層は単層、二層又は多層の構造であり、各層の厚さは50nm~2μmであり、前記光変調層の材料は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム材料、シリコンの化合物、ゲルマニウムの化合物、金属又はIII-V族材料のうちの少なくとも1つであり、そのうち、シリコンの化合物は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、及び炭化ケイ素のうちの少なくとも1つを含み、及び/又は、前記光変調層が二層又は多層である場合、少なくとも1層は貫通しない。
【0016】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおいて、前記光変調層とCISウェーハとの間に光透過媒体層が設けられ、前記光透過媒体層の厚さは50nm~2μmであり、光透過媒体層の材料は二酸化ケイ素であり、化学気相堆積法、スパッタリング、又はスピンコーティングの方法によりCISウェーハに前記光透過媒体層を製造し、更に、前記光透過媒体層の上方に光変調層の堆積、エッチングを行い、又は、光透過媒体層に光変調層を製造してから、光透過媒体層、光変調層を前記CISウェーハに移動する。
【0017】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおいて、前記マイクロスペクトルチップには、マイクロレンズ及び/又はフィルタが集積され、前記マイクロレンズ及び/又はフィルタは、前記光変調層の上方又は下方に設置される。
【0018】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップによれば、CISウェーハと、光変調層とを含み、前記光変調層は、前記CISウェーハの感光領域の表面に設けられた複数のマイクロナノ構造ユニットを含み、各マイクロナノ構造ユニットは複数のマイクロナノ構造アレイを含み、少なくとも1つのマイクロナノ構造ユニットにおいて、異なるマイクロナノ構造アレイはランダム形状の内部ユニットから構成される2次元格子である。
【0019】
本発明の一実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップによれば、前記ランダム形状の内部ユニットは少なくとも2種類の曲率を有する。
【0020】
本発明の実施形態は、スペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法を提供し、前記スペクトルチップは、
ウエハレベルの画像センサを含み、前記ウエハレベルの画像センサの感光領域の上面には、光変調層が製造され、前記光変調層は、複数のマイクロナノユニットからなるユニットアレイを含み、各マイクロナノユニットはウエハレベルの画像センサ上の1つ又は複数の画素点に対応し、前記マイクロナノユニットは複数組のマイクロナノ構造アレイを含み、各組のマイクロナノ構造アレイは2次元格子構造で形成され、各マイクロナノユニットの複数組のマイクロナノ構造アレイにおける2次元格子構造は、入射光を変調し、前記入射光のスペクトル情報をウエハレベルの画像センサの異なる画素点に符号化し、前記入射光のスペクトル情報を含む図像を得るためのものであり、
前記スペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法は、前記2次元格子構造を生成するステップを含み、ここで、前記2次元格子構造は、ランダム形状構造の周期配列により形成され、
前記した、前記2次元格子構造を生成するステップは、具体的に、
前記2次元格子構造におけるランダム形状構造の配列周期を確定することと、
下記の処理手順に従って、前記2次元格子構造における各ランダム形状構造を生成することとを含み、
前記処理手順は、前記配列周期内の領域をメッシュ分割して、複数のメッシュ領域を取得することと、
前記複数のメッシュ領域に対して、画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得することであって、異なる画素値は、対応するメッシュ領域が異なる屈折率を持つことを示すことと、
前記初期パターンに対して2値化処理を行って、第1の2値化パターンを取得することであって、前記第1の2値化パターンは1つのランダム形状構造に対応し、前記第1の2値化パターンにおける0及び1はそれぞれ、空気及び媒体を表すこととを含む。
【0021】
更に、前記初期画像に対して2値化処理を行う前に、前記初期画像に対してフィルタ平滑化処理を予め行う。
【0022】
更に、第1の2値化パターンを取得した後に、前記方法は、
前記第1の2値化パターンに対して、ぼかし処理及び2値化処理を順次に行って、第2の2値化パターンを取得し、それに対応して、第2の二値化パターンは1つのランダム形状構造に対応するステップを更に含む。
【0023】
更に、前記複数のメッシュ領域に対して、画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得することは、
複数のメッシュ領域をグループ化して、複数組のメッシュを取得することであって、複数のメッシュ領域をグループ化する際に、1つ又は複数のメッシュ領域を1組としてグループ化することと、
各組のメッシュに対して標準正規分布に従って画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得することであって、組内の各メッシュ領域の画素値は同じであることとを含む。
【0024】
更に、前記2次元格子構造における各ランダム形状構造を生成する際に、メッシュ分割の操作に対応するメッシュ分割パラメータ、画素値ランダム割り当ての操作に対応するランダム割り当てパラメータ、フィルタ平滑化処理の操作に対応するフィルタ平滑化パラメータ、ぼかし処理の操作に対応するぼかしパラメータのうちの1種又は複数種を制御することにより、前記ランダム形状構造の最小サイズが予め設定された閾値より大きく、前記ランダム形状構造における媒体と空気の比が予め設定された制約条件を満たすようにする。
【0025】
更に、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンを取得した後に、前記方法は、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対して対称性処理を行って、対称性を備えるパターンを取得し、それに対応して、対称性を備える前記パターンは1つのランダム形状構造に対応することを更に含み、
前記対称性処理は、二重回転対称性処理、Y軸に関する鏡像対称性処理、X軸に関する鏡像対称性処理、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性処理、四重回転対称性処理、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性及び四重回転対称性の処理のうちの1種又は複数種を含み、
それに対応して、取得した対称性を備えるパターンは、
二重回転対称性を備えるパターン、Y軸に関する鏡像対称性を備えるパターン、X軸に関する鏡像対称性を備えるパターン、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性を備えるパターン、四重回転対称性を備えるパターン、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性及び四重回転対称性を備えるパターンのうちの1種又は複数種を含む。
【0026】
更に、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンを取得した後に、前記方法は、プロセス製造中のエッチング不足又はオーバーエッチングの状況をシミュレーションするように、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対して、膨張又は腐食の操作を行うことを更に含む。
【0027】
更に、前記スペクトルチップは、前記ウエハレベルの画像センサに接続された信号処理回路を更に含み、
前記信号処理回路は、前記入射光のスペクトル情報を含む図像を処理して、前記入射光のスペクトル情報を取得するためのものである。
【0028】
更に、前記光変調層と前記ウエハレベルの画像センサとの間には光透過媒体層が設けられている。
【0029】
更に、前記ウエハレベルの画像センサは、表面照射型であり、上から下に設置された金属線層と光検出層とを含み、前記光変調層は前記金属線層の前記光検出層から離れた面に集積され、又は、
前記ウエハレベルの画像センサは、裏面照射型であり、上から下に設置された光検出層と金属線層とを含み、前記光変調層は前記光検出層の前記金属線層から離れた面に集積されている。
【0030】
更に、前記スペクトルチップは、マイクロレンズ及び/又はフィルタを更に含み、
前記マイクロレンズは、光変調層のウエハレベルの画像センサから離れた面に設けられ、又は、前記マイクロレンズは、光変調層のウエハレベルの画像センサに近い面に設けられ、
前記フィルタは、光変調層のウエハレベルの画像センサから離れた面に設けられ、又は、前記フィルタは、光変調層のウエハレベルの画像センサに近い面に設けられている。
【発明の効果】
【0031】
上記した技術案から分かるように、本発明の実施形態に係るスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法は、配列周期内の領域をメッシュ分割して、複数のメッシュ領域を取得した後、複数のメッシュに対して画素値ランダム割り当てを行って、初期パターンを取得し、その後、初始図像に対して平滑化フィルタ及び2値化処理を行って、ランダム形状構造を更に取得し、各組のマイクロナノ構造アレイ、即ち、各2次元格子構造はいずれも、このようにランダムに生成されたランダム形状構造からなるため、複数組のマイクロナノ構造アレイを含む光変調層には、様々なランダム形状構造が含まれ、従って、光変調層に入射光に対して豊かな広帯域変調特性を持たせ、それによって、スペクトル回復の精度の制限を克服し、入射光スペクトルに対する高精度測定を実現し、スペクトル回復の精度を向上させることに有利である。
【0032】
本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップでは、各マイクロナノ構造ユニットにおいて、異なるマイクロナノ構造アレイにおける内部ユニットの形状が異なり、各組のマイクロナノ構造アレイは、異なる波長の光に対して異なる変調効果を有し、「形状」の自由さを十分に活かすことで、入射光に対して様々な変調効果を取得し、スペクトル回復の精度を向上させると共に、ユニットのサイズを小さくすることができ、異なる形状の内部ユニットに基づく2次元格子構造により、入射光に対して豊かな広帯域変調特性を有し、入射光スペクトルに対する高精度測定を実現する。
本発明の実施形態又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下に説明する図面は、本発明の複数の実施形態であり、当業者にとって、創造的な労力を要しない前提で、これらの図面に基づいてその他の図面を更に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの横方向構造の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの縦方向構造の概略図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層の横方向構造の概略図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層の横方向構造の概略図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層の横方向構造の概略図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける表面照射型CISウェーハの縦方向構造の概略図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける裏面照射型CISウェーハの縦方向構造の概略図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層が単層格子である縦方向構造の概略図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層が単層格子である縦方向構造の概略図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層が多層格子である縦方向構造の概略図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層が多層格子であり、そのうちの1層が貫通しない縦方向構造の概略図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層及び裏面照射型CISウェーハのエッチングの縦方向構造の概略図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの横方向構造の概略図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層の横方向構造の概略図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの縦方向構造の概略図である。
【
図16】本発明の実施形態に係るマルチスペクトル画像取得のフローチャートである。
【
図17】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層の横方向構造の概略図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの縦方向構造の概略図である。
【
図19】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの縦方向構造の概略図である。
【
図20】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層の縦方向構造の概略図である。
【
図21】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける光変調層の縦方向構造の概略図である。
【
図22】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおけるCISウェーハの縦方向構造の概略図である。
【
図23】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの縦方向構造の概略図である。
【
図24】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの縦方向構造の概略図である。
【
図25】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの縦方向構造の概略図である。
【
図26】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの縦方向構造の概略図である。
【
図27】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの縦方向構造の概略図である。
【
図28】本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップの縦方向構造の概略図である。
【
図29】本発明の実施形態に係るランダム形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップにおける、ランダムに生成された不規則な形状の概略図である。
【
図30】本本発明の従来技術に係るスペクトルチップの構造の概略図である。
【
図31】本発明の一実施形態に係るスペクトルチップの構造の概略図である。
【
図32】本発明の一実施形態に係るスペクトルチップの断面図である。
【
図33】本発明の一実施形態に係る2次元格子構造を生成するフローチャートである。
【
図34】本発明の一実施形態に係る2次元格子構造を生成する概略図である。
【
図35】本発明の別の実施形態に係る2次元格子構造を生成する概略図である。
【
図36】本発明の別の実施形態に係る2次元格子構造を生成する概略図である。
【
図37】本発明の一実施形態に係る二重回転対称性を備えるパターンの概略図である。
【
図38】本発明の一実施形態に係るY軸の鏡像対称性を備えるパターンの概略図である。
【
図39】本発明の一実施形態に係るX軸の鏡像対称性を備えるパターンの概略図である。
【
図40】本発明の一実施形態に係るY軸とX軸の鏡像対称性を備えるパターンの概略図である。
【
図41】本発明の一実施形態に係る四重回転対称性を備えるパターンの概略図である。
【
図42】本発明の一実施形態に係るY軸とX軸の鏡像対称性及び四重回転対称性を備えるパターンの概略図である。
【
図43】本発明の一実施形態に係るランダム形状構造の概略図である。
【
図44】本発明の一実施形態に係る媒体領域に対して腐食の操作を行った後のランダム形状構造の概略図である。
【
図45】本発明の一実施形態に係る媒体領域に対して膨張の操作を行った後のランダム形状構造の概略図である。
【
図46】本発明の一実施形態に係るスペクトルチップの動作手順の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態の目的、技術案及び利点をより明確にするために、本発明の実施形態の図面を参照しながら、本発明の実施形態における技術案を明確かつ完全に説明する。勿論、説明する実施形態は、すべての実施形態ではなく、本発明の実施形態の一部の実施形態に過ぎない。本発明における実施形態に基づいて創造的な労力を要しない前提で当業者によって得られたすべての他の実施形態は、本出願の保護範囲に含まれる。
【0035】
以下、
図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップを説明し、当該異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップは、CISウェーハ2、光変調層1を含み、前記光変調層1は、前記CISウェーハ2の感光領域の表面に設けられた複数のマイクロナノ構造ユニットを含み、各マイクロナノ構造ユニットは複数のマイクロナノ構造アレイを含み、各マイクロナノ構造ユニットにおいて、異なるマイクロナノ構造アレイは異なる形状の内部ユニットから構成される2次元格子である。更に、本発明は、異なる形状の前記内部ユニットを説明し、本発明における異なる形状の前記内部ユニットは、形状が一致しないこと、及び/又は寸法が一致しないことを指し、即ち、原則として、前記マイクロスペクトルチップは、使用中に、同じ光に対して、異なる形状の内部ユニットによって変調された後に出力するスペクトル信号が一致しない。
【0036】
本発明に係る異なる形状のユニットに基づく高精度マイクロスペクトルチップは、その構造概略図が
図1に示され、光変調層1、CISウェーハ2、及び信号処理回路3を含む。入射光は、光変調層1を通過した後、CISウェーハ2で電気信号に変換され、更に、信号処理回路3で処理されて出力される。光変調層1は、複数の繰り返しマイクロナノ構造ユニットを含み、各マイクロナノ構造ユニットは、複数組のマイクロナノ構造アレイから構成され、各マイクロナノ構造ユニットに含まれるアレイ組の数は8以上であってもよく、その全体のサイズは0.5μm
2~40000μm
2である。各マイクロナノ構造ユニットにおいて、異なるマイクロナノ構造アレイは異なる形状の内部ユニットを有し、各マイクロナノ構造アレイの周期は20nm~50μmであり、異なる形状の内部ユニットは、異なる波長の光に対して異なる変調効果を持ち、各組のマイクロナノ構造アレイは、垂直方向においてCISウェーハの1つ又は複数の感光性ピクセルに対応する。入射光は、光変調層1を通過した後、ユニット内の各組のマイクロナノ構造アレイによって変調され、変調された光信号は、その強度がCISウェーハ2によって検出されて電気信号に変換され、更に、信号処理回路3によって処理され、アルゴリズムにより入射光のスペクトル情報が復元して得られる。光変調層1はCISウェーハ上にモノリシック集積により設けられる。本発明は、異なる形状のユニットに基づく2次元格子構造により、「形状」の自由さを活かすことで、入射光に対して様々な変調効果を取得し、スペクトル回復の精度を向上させると共に、ユニットのサイズを小さくすることができる。異なる形状の内部ユニットに基づく2次元格子構造により、入射光に対して豊かな広帯域変調特性を有し、入射光スペクトルに対する高精度測定を実現する。異なる形状のユニットに基づく光変調層とイメージセンサがモノリシック集積され、個別素子がないため、デバイスの安定性を向上させるのに役立ち、イメージング分光計の小型化と軽量化が大幅に推進され、小型衛星やドローン(UAV)などの小型プラットフォームへの応用には幅広い見通しがある。ウェーハレベルでモノリシック集積を実現することで、センサと光変調層との間の距離を最小限に抑えることができ、ユニットのサイズを小さくし、より高いスペクトル分解能を実現し、パッケージングコストを削減することに役立つ。
【0037】
変形の実施形態では、前記光変調層は1つのマイクロナノ構造ユニットのみとして定義することができ、前記マイクロナノ構造ユニットは複数組のマイクロナノ構造アレイからなり、ここで、異なる領域のマイクロナノ構造アレイ形状は同じであってもよく、異なっていてもよく、例えば、前記光変調層は、前記したある設計又はランダムに生成された複数の異なる内部ユニットを一定の規則に沿って配列することによって得られ、例えば、複数の異なる内部ユニットを複製して配列することによって得られる。
【0038】
別の変形の実施形態では、少なくとも2つのマイクロナノ構造ユニットは同じではなく、理解できるように、前記マイクロナノ構造ユニットが異なることは、内部に含まれるマイクロナノ構造アレイの数が異なることであってもよく、マイクロナノ構造アレイにおける内部ユニットの配列方式及び/又は形状が異なることであってもよく、もちろん、どちらも異なることであってもよい。この実施形態により、スペクトル全体により多くのスペクトル信号を生成させ、精度を更に向上させることができる。更に、すべてのマイクロナノ構造ユニットはいずれも異なってもよい。なお、当該変形実施形態では、多くの場合は、個別のマイクロナノ構造ユニットは、例えば、より良いスペクトル情報を得ること、加工をより良くすること、画像情報を取得することなどの、複数の特定の要求を実現する必要があるため、個別のマイクロナノ構造ユニットを個別に設計及び/又は選択する。従って、本変形の実施形態では、少なくとも2つの前記マイクロナノ構造ユニットの構造及び変調効果が異なり、例えば、画像情報を取得するために、少なくとも1つの前記マイクロナノ構造ユニットを貫通エッチング又は処理をしないことにより、光は、変調されずにそのまま前記光変調層を透過し、これにより、CISは、図像情報を直接受信することができ、一方、前記マイクロナノ構造ユニットの一部は変調してスペクトル情報を取得する。
【0039】
更に、本発明の効果をより良くするために、本発明は、前記マイクロナノ構造ユニットが 少なくとも4種類の内部ユニットを含むことを確保する必要があり、即ち、前記マイクロスペクトルチップは、同一の光の入力の場合、少なくとも4つの異なるスペクトル信号を発生する。つまり、本発明は、異なる形状の内部ユニットの異なる波長光に対する変調作用が異なることを確保し、より多くのスペクトル信号を生成することができ、光が各ユニットを通過した後に発生したスペクトル信号を検出することによって、アルゴリズムにより測定すべき光のスペクトル情報を回復することができ、本発明のスペクトル信号は相対的に豊かであるため、回復されたスペクトル情報はより正確である。好ましくは、前記光変調層は、少なくとも9種類の異なる前記内部ユニットを含み、それにより、光が変調された後の情報が豊かであることを確保することができ、計算されたスペクトルをより正確にすることができる。なお、前記光変調層の前記マイクロナノ構造ユニットは、二乗数個(例えば、4個、9個、16個等)マイクロナノ構造アレイを含むことが好ましく、これにより、設計及び加工が容易になると共に、当該設計はスペクトル計算の難易度を低減することができる。
【0040】
縦方向から見ると、
図2に示すように、光変調層1にける各組のマイクロナノ構造アレイは、異なる形状の内部ユニット11に基づく2次元格子であり、CISウェーハ2上に1層又は複数層の媒体又は金属材料を直接成長させ、更にエッチングを行うことによって製造することができる。11の幾何学的形状を変えることで、各組のマイクロナノ構造アレイは、ターゲット範囲内の異なる波長の光に対して異なる変調効果を持つことができる。光変調層1の厚さは50nm~2μmであり、光変調層1にける各組のマイクロナノ構造アレイはCISウェーハ2上の1つ又は複数のピクセルに対応する。光変調層1はCISウェーハ2上に直接製造され、CISウェーハ2と信号処理回路3とは電気的接触を介して接続される。本発明は、ウエハレベルでCISウェーハ2上に光変調層1を直接モノリシック集積し、CMOSプロセスを用いて1回のテープアウトで当該スペクトルチップの製造を完了することができる。従来のスペクトルイメージング装置と比較すると、本発明は、異なる形状のユニットに基づく光変調層1とCISウェーハ2がモノリシック集積され、個別素子がないため、デバイスの安定性を向上させ、デバイスの体積とコストを削減するのに役立つ。
【0041】
理解できるのは、上述の実施形態で言及された異なる形状の内部ユニットに基づくマイクロスペクトルチップでは、前記内部ユニットは、必要に応じて発明者によって設計されてもよく、例えば、アルゴリズムなどによりランダムに生成されてもよく、必要に応じて、アルゴリズムによりランダムに生成された上で調整されてもよいことが理解でき、さらに、前記光変調層の前記内部ユニットは、人為的に設計及び/又はランダムに生成することができる。
【0042】
本発明の1つの好適な実施形態では、高精度マイクロスペクトルチップは、ランダム形状の内部ユニットから構成され、その構造概略図が
図1に示され、光変調層1、CISウェーハ2及び信号処理回路3を含む。入射光は、光変調層1を通過した後、CISウェーハ2によって電気信号に変換され、更に、信号処理回路3によって処理されて出力される。光変調層1は、複数の繰り返しのマイクロナノ構造ユニットを含み、各マイクロナノ構造ユニットは、複数組のマイクロナノ構造アレイからなり、各マイクロナノ構造ユニットに含まれるアレイ組の数は8個以上であってもよく、その全体寸法は0.5μm
2~40000μm
2である。各マイクロナノ構造ユニットにおいて、異なるマイクロナノ構造アレイが有する内部ユニットの形状は、部分的に同じであってもよく、お互いに異なっていてもよく、内部ユニットの形状はランダムに形成され、不規則であり、好ましくは、異なるマイクロナノ構造アレイが有する内部ユニットの形状はそれぞれ異なり、各マイクロナノ構造アレイの周期は20nm~50μmであり、異なる形状の内部ユニットは、異なる波長の光に対して異なる変調作用を持ち、光がユニットを通過した後の応答を検出することによって、アルゴリズムにより測定すべき光のスペクトル情報を回復することができ、各組のマイクロナノ構造アレイは、1つ又は複数のCISウェーハ感光画素に垂直方向に対応する。入射光は、光変調層1を通過した後、ユニット内の各組のマイクロナノ構造アレイによって変調され、変調された光信号強度は、CISウェーハ2によって検出されて電気信号に変換され、更に、信号処理回路3によって処理され、アルゴリズムにより入射光のスペクトル情報が回復して得られる。光変調層1はモノリシック集積方式でCISウェーハ上に設けられる。本発明は、ランダム形状のユニットに基づく2次元格子構造により、「形状」の自由さを十分に活かすことで、入射光に対して様々な変調効果を取得し、スペクトル回復の精度を向上させると共に、ユニットのサイズを小さくすることができる。ランダム形状の内部ユニットは、予め設定された条件に基づいてランダムに生成された多数のお互いに異なる不規則な形状であるため、入射光に対して様々な変調効果が発生することができ、スペクトル回復の精度が向上するのに役立つ。ランダム形状の内部ユニットに基づく2次元格子構造により、入射光に対して豊かな広帯域変調特性を有し、入射光スペクトルに対する高精度測定を実現する。ランダム形状のユニットに基づく光変調層とイメージセンサをモノリシック集積され、個別素子がないため、デバイスの安定性を向上させるのに役立ち、イメージング分光計の小型化と軽量化を大幅に推進され、小型衛星やドローンなどの小型プラットフォームへの応用には幅広い見通しがある。ウエハレベルでモノリシック集積を実現することで、センサと光変調層との距離を最小限に抑えることができ、ユニットのサイズを小さくし、より高いスペクトル分解能を実現し、パッケージングコストを削減することに役立つ。
【0043】
上記の不規則な形状は、アルゴリズムによって生成されたランダム形状であってもよく、アルゴリズムのプロセスは次のとおりである。まず、1つの周期内の領域を均一にメッシュ分割し、メッシュのサイズは柔軟に設定できる。次に、特定の分布法則に従ってメッシュにおける各格子点に屈折率を割り当て、通常、標準正規分布を採用して割り当を行う。ただし、ここで割り当てられた屈折率は単なる数値であり、実際の材料の屈折率を表すものではない。次に、屈折率分布に対して画像のフィルタ平滑化処理、2値化処理を行い、このとき得られた屈折率分布には0と1の2つの値しかなく、それぞれ、空気と媒体を表す。プロセス製造を容易にするように、構造内のサイズの小さ過ぎる部分を排除するために、ぼかし処理と2値化処理も必要である。最終的に生成された画像では、値0と1はそれぞれ空気と媒体の領域を表し、且つサイズの小さ過ぎる構造は含まれないため、プロセス加工に便利である。更に、生成されたランダムな構造に特定の制約を加えることができる。例えば、構造に特定の対称性が求められる場合、アルゴリズムでは屈折率分布を対称化処理することができる。更に、アルゴリズムにおけるパラメータを変更することで、生成されたランダム形状の最小特徴サイズなどの特性を調整することができる。
【0044】
図29は、当該アルゴリズムによって生成されたランダム形状の一部を示し、その中の数字0と1は、それぞれ空気と媒体の領域を表す。これらのことから分かるように、当該アルゴリズムにより多数の異なる不規則な形状を生成できるため、入射光に対して豊か変調効果が発生し、スペクトル回復の精度が向上するのに役立つ。
【0045】
縦方向から見ると、
図2に示すように、光変調層1にける各組のマイクロナノ構造アレイは、ランダム形状の内部ユニット11に基づく2次元格子であり、CISウェーハ2上に1層又は複数層の媒体又は金属材料を直接成長させ、更にエッチングを行うことによって製造することができる。11の幾何学的形状を変えることで、各組のマイクロナノ構造アレイは、ターゲット範囲内の異なる波長の光に対して異なる変調効果を持つことができる。光変調層1の厚さは50nm~2μmであり、光変調層1にける各組のマイクロナノ構造アレイはCISウェーハ2上の1つ又は複数のピクセルに対応する。光変調層1はCISウェーハ2上に直接製造され、CISウェーハ2と信号処理回路3とは電気的接触を介して接続される。本発明は、ウエハレベルでCISウェーハ2上に光変調層1を直接モノリシック集積し、CMOSプロセスを用いて1回のテープアウトで当該スペクトルチップの製造を完了することができる。従来のスペクトルイメージング装置と比較すると、本発明は、ランダム形状のユニットに基づく光変調層1とCISウェーハ2がモノリシック集積され、個別素子がないため、デバイスの安定性を向上させ、デバイスの体積とコストを削減するのに役立つ。
【0046】
光変調層1は、異なる形状の構造を内部ユニットとする2次元格子から構成される様々なマイクロナノ構造アレイが刻まれており、受けた光を変調し、異なる構造が異なる変調効果を有する。横方向から見ると、光変調層1は、次の3つの形態があり得る。
【0047】
形態1:
図3に示すように、例えば11、22、33、44、55、66などの複数の繰り返しマイクロナノ構造ユニットがプレートにあり、各ユニットは複数組のマイクロナノ構造アレイから構成され、異なるユニットにおける同じ位置にあるマイクロナノ構造アレイは同じであり、例えば、マイクロナノ構造ユニット11に含まれるマイクロナノ構造アレイは、第1の形状を有する第1組の2次元格子110、第2の形状を有する第2組の2次元格子111、第3の形状を有する第3組の2次元格子112、第4の形状を有する第4組の2次元格子113を含み、更に例えば、マイクロナノ構造ユニット44に含まれるマイクロナノ構造アレイは、第1の形状を有する第1組の2次元格子440、第2の形状を有する第2組の2次元格子443、第3の形状を有する第3組の2次元格子442、第4の形状を有する第4組の2次元格子444を含む。これから分かるように、異なるマイクロナノ構造アレイの内部ユニットの形状は異なり、同一のマイクロナノ構造アレイの、2次元格子を構成する内部ユニットの形状は同じであり、内部ユニットは、実際には、2次元格子を構成する内部格子ユニットである。マイクロナノ構造ユニット内の各組のマイクロナノ構造アレイは、異なる波長の光に対して異なる変調効果を持ち、また、各組のマイクロナノ構造はそれぞれ、入力光に対して異なる変調効果を持ち、具体的な変調方法は、散乱、吸収、干渉、表面プラズモン、共鳴増強などを含むが、これらに限定されない。ユニットの形状を変えることにより、光が異なる組のマイクロナノ構造を通過した後、対応する透過スペクトルが異なる。各組のマイクロナノ構造アレイの下方に対応するセンサがあり、光は、マイクロナノ構造アレイによって変調された後、光の強度が下方の光センサによって検出される。各ユニットとその下方の光センサは一つのピクセル点を構成し、従来技術の復元アルゴリズムによって、各ピクセル点におけるスペクトル情報、即ち各波長の強度分布を得ることができ、複数のピクセル点はスペクトル情報を含む画像を構成する。
【0048】
形態2:
図4に示すように、例えば11、22、33、44、55、66などの複数の繰り返しマイクロナノ構造ユニットがプレートにあり、各ユニットは複数組の異なるマイクロナノ構造アレイを含み、異なるユニットにおける同じ位置にあるマイクロナノ構造アレイは同じであり、各組のマイクロナノ構造アレイの下方に対応するセンサがある。例えば、マイクロナノ構造ユニット11に含まれるマイクロナノ構造アレイは、第1の形状を有する第1組の格子110、第2の形状を有する第2組の格子111、第3の形状を有する第3組の格子112を含み、第4組113は空であり、更に例えば、マイクロナノ構造ユニット44に含まれるマイクロナノ構造アレイは、第1の形状を有する第1組の格子440、第2の形状を有する第2組の格子443、第3の形状を有する第3組の格子442を含み、第4組444は空である。これから分かるように、当該形態で採用されるマイクロナノ構造アレイは、下記の違い以外、形態1と同じであり、その違いは、そのうちの1組の箇所にマイクロナノ構造が存在しないことである。これは、入射光が直進し、ユニットの直進光強度のキャリブレーション及び/又はイメージングに使用できる。なお、本発明の
図4は単に理解しやすいための一例に過ぎず、個別の実施形態における前記マイクロナノ構造が存在しない位置は2組以上であってもよいことを理解すべきである。
【0049】
形態3:
図5に示すように、例えば11、22、33、44、55、66、77、88などの複数のマイクロナノ構造ユニットがプレートにあり、各マイクロナノ構造ユニットは複数組の異なるマイクロナノ構造アレイを含み、各組のマイクロナノ構造アレイの下方に対応するセンサがある。当該形態と形態1との違いは、各マイクロナノ構造ユニット内に含まれるマイクロナノ構造アレイの数が動的に調整可能であることであり、例えば、
図5の左側は、各ユニット内に9組のマイクロナノ構造アレイが含まれることを示し、右側は、各マイクロナノ構造ユニット内に4組のマイクロナノ構造アレイが含まれることを示している。各マイクロナノ構造ユニット内に含まれるアレイが多いほど、スペクトル回復の精度が高くなり、耐ノイズ性能が向上するが、スペクトルピクセルの密度は低くなる。この動的な組み合わせ形態により、スペクトル回復の精度とスペクトルピクセルの密度とのバランスを実現できる。更に、前記マイクロナノ構造ユニットには同じマイクロナノ構造アレイが存在してもよいことを理解すべきである。
【0050】
異なるニーズに応じて、CISウェーハ2の具体的なの構造は、2つの選択可能な形態があり得る。
【0051】
形態1:
図6に示すように、CISウェーハ2は表面照射型であり、光検出層21は金属配線層22の下方にあり、CISウェーハにマイクロレンズ及びフィルタが集積されておらず、金属配線層22に光変調層1が直接集積されている。
【0052】
形態2:
図7に示すように、CISウェーハ2は裏面照射型であり、光検出層21は金属配線層22の上方にあり、CISウェーハにマイクロレンズ及びフィルタが集積されておらず、光検出層21に光変調層1が直接集積されている。
【0053】
縦方向から見ると、光変調層1は、1層又は複数層の材料から構成されてもよい。これにより、入射光に対する光変調層1のスペクトル変調能力及びサンプリング能力を高め、スペクトル回復の精度を向上させるのに役立つ。光変調層1は、縦方向において次の4つの形態があり得る。
【0054】
形態1:
図8に示すように、光変調層1は単一材料の単層格子の構造であり、格子ユニットは形状の異なる構造であり、厚さは50nm~2μmである。具体的な材料は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム材料、シリコンの化合物、ゲルマニウムの化合物、金属、III-V族材料などを含んでもよく、そのうち、シリコンの化合物は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、及び炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。
【0055】
形態2:
図9及び
図10に示すように、光変調層1は2層又は複数層の材料から構成されてもよく、そのうち、11、12、13はいずれも異なる材料であり、各層の厚さは50nm~2μmである。具体的な材料は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム材料、シリコンの化合物、ゲルマニウムの化合物、金属、III-V族材料などを含んでもよく、そのうち、シリコンの化合物は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、及び炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。
【0056】
形態3:
図11に示すように、光変調層1は複数層又は混合材料から構成されてもよく、そのうち、11、12は異なる材料であり1つ又は複数の層が貫通していなくてもよく、
図11において、12は貫通しておらず、各層の厚さは50nm~2μmである。具体的な材料は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム材料、シリコンの化合物、ゲルマニウムの化合物、金属、III-V族材料、シリコンとSiNとの混合スパッタリング材料などを含み、そのうち、シリコンの化合物は、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、及び炭化ケイ素などを含むが、これらに限定されない。
【0057】
形態4:
図12に示すように、光変調層1は、裏面照射型CISウェーハの光検出層21上にその構造を直接エッチングすることにより製造され、エッチング深さは50nm~2μmである。
【0058】
以下、具体的な実施形態を参照しながら、本発明の異なる形状のユニットに基づくマイクロスペクトルチップを更に説明する。
【0059】
実施形態1:
図13に示すように、スペクトルチップは、光変調層1、CISウェーハ2、及び信号処理回路3を含む。光変調層1はCISウェーハ上に直接製造され、その横方向の構造は上記形態1を採用し、具体的な構造は
図14及び
図15に示す。光変調層1は、複数の繰り返しマイクロナノ構造単位を含み、各マイクロナノ構造ユニットの内部は9組の異なるマイクロナノ構造アレイ110~118に分割され、各組のマイクロナノ構造アレイは異なる形状のユニットに基づく格子であり、格子の形状は、円状、リング状、多角形状、十字状などの規則的な形状、又は他のプリセットされた不規則な形状であってもよく、各組のマイクロナノ構造アレイの周期はそれぞれ20nm~50μmであり、各組のマイクロナノ構造アレイは入射光に対して異なる広帯域変調効果を持ち、異なるマイクロナノ構造ユニットにおける対応する位置にあるマイクロナノ構造アレイは同じであり、各ユニットの全体的なサイズは0.5μm
2~40000μm
2である。光変調層1における媒体材料は多結晶シリコンであり、厚さは50nm~2μmである。
【0060】
上記の不規則な形状は、アルゴリズムによって生成されたランダム形状であってもよいが、本発明を限定するものではなく、本発明のランダム形状は、少なくとも1つのアルゴリズムによって得られるか、又は人為的な調整とアルゴリズムを組み合わせて得られることが理解でき、ここで、本発明は、1つのアルゴリズムを提供し、そのプロセスは次のとおりである。まず、1つの周期内の領域を均一にメッシュ分割し、メッシュのサイズは柔軟に設定できる。次に、特定の分布法則に従ってメッシュにおける各格子点に屈折率を割り当て、通常、標準正規分布を採用して割り当を行う。ただし、ここで割り当てられた屈折率は単なる数値であり、実際の材料の屈折率を表すものではない。次に、屈折率分布に対して画像のフィルタ平滑化処理、2値化処理を行い、このとき得られた屈折率分布には0と1の2つの値しかなく、それぞれ、空気と媒体を表す。プロセス製造を容易にするように、構造内のサイズの小さ過ぎる部分を排除するために、ぼかし処理と2値化処理も必要である。最終的に生成された画像では、値0と1はそれぞれ空気と媒体の領域を表し、且つサイズの小さ過ぎる構造は含まれないため、プロセス加工に便利である。更に、生成されたランダムな構造に特定の制約を加えることができる。例えば、構造に特定の対称性が求められる場合、アルゴリズムでは屈折率分布を対称化処理することができる。更に、アルゴリズムにおけるパラメータを変更することで、生成されたランダム形状の最小特徴サイズなどの特性を調整することができる。
【0061】
図29は、当該アルゴリズムによって生成されたランダム形状の一部を示し、その中の数字0と1は、それぞれ空気と媒体の領域を表す。これらのことから分かるように、当該アルゴリズムにより多数の異なる不規則な形状を生成できるため、入射光に対して様々な変調効果が発生し、スペクトル回復の精度が向上するのに役立つ。
【0062】
CISウェーハ2の具体的な構造は、
図6に示すように、21がシリコン検出器層であり、22は金属配線層であり、応答範囲は可視から近赤外帯域までであり、CISウェーハがむき出しの状態であり、その上にベイヤーフィルタアレイとマイクロレンズアレイが製造されない。各組のマイクロナノ構造は、CISウェーハ2における1つ又は複数の光センサユニットに対応する。
【0063】
マルチスペクトル画像取得の完全なプロセスは、
図16に示すように、広帯域光源100が対象物200を照射し、そして、反射光をスペクトルチップ300によって収集するか、対象物から直接放射された光をスペクトルチップ300で収集する。各マイクロナノ構造アレイとその下方の光センサは一つのピクセル点を構成し、復元アルゴリズムにより各ピクセル点におけるスペクトル情報を取得することができ、複数のピクセル点がスペクトル情報を含む画像を構成する。光変調層1とCISウェーハ2はいずれも、半導体CMOS集積プロセスによって製造することができ、ウェーハレベルでモノリシック集積を実現することで、センサと光変調層との間の距離を短くし、デバイスの体積を減らすのに役立ち、より高いスペクトル分解能が実現されると共に、パッケージングコストが削減される。
【0064】
実施形態2:
実施形態2では、
図17に示すように、実施形態1との主な違いは、横方向構造にあり、具体的には、光変調層1を構成する複数のマイクロナノ構造ユニットはC4対称性を有し、つまり、90°、180°、又は270°回転させた後、回転させていない場合の元の構造と重なり、このように、構造に偏光に依存しない特性を持たせることができる。
【0065】
実施形態3:
実施形態3では、
図18に示すように、実施形態1との主な違いは、マイクロスペクトルチップの縦方向構造にあり、具体的には、光変調層1とCISウェーハ2との間に光透過媒体層4が追加され、光透過媒体層4の厚さは50nm~2μmであり、材料は二酸化ケイ素であってもよい。直接堆積成長のプロセス案を採用する場合、CISウェーハ上に化学気相堆積法、スパッタリング、スピンコーティングなどの方法によって当該光透過媒体層を製造し、次にその上方に光変調層構造の堆積及びエッチングをすればよい。移動のプロセス案を採用する場合、まず二酸化ケイ素上にマイクロナノ構造を製造し、次にこの2つの部分を全体としてCISウェーハ上に移動することができる。スペクトルチップの製造は、CMOSプロセスにより1回のテープアウトで完了することができ、デバイスの故障率を減らし、デバイスの歩留まりを改善すると共に、コストを削減するのに役立つ。
【0066】
実施形態4:
実施形態4では、
図19に示すように、実施形態1との違いは、光変調層1における格子が部分的にエッチングされた構造であり、その孔がプレートを完全に貫通せず、ある程度の深さを有する。マイクロナノ構造の厚さは50nm~2μmであり、プレート全体の厚さは100nm~4μmであり、且つ、この構造は、1と2の間に透光性媒体層を追加してもよい。
【0067】
実施形態5:
実施形態5では、
図20に示すように、実施形態1との違いは、光変調層1が2層構造であり、11がシリコン層、12が窒化ケイ素層であり、2層構造の厚みがいずれも50nm~2μmであり、且つ、この構造の下層材料は、
図21に示すように、貫通されない部分エッチング構造を採用することもできる。
【0068】
実施形態6:
実施形態6では、
図22に示すように、実施形態1との違いは、CISウェーハが裏面照射型であり、光検出層21が金属配線層22の上方にあるため、入射光に対する金属配線層の影響が減少し、デバイスの量子効率が改善される。
【0069】
実施形態7:
実施形態7では、実施形態1との違いは、スペクトルチップにマイクロレンズ又はフィルタ又はその両方が集積されることである。
図23及び24に示すように、スペクトルチップにマイクロレンズ4が集積され、マイクロレンズは光変調層の上方(
図23)又は下方(
図24)にあってもよく、
図25及び26に示すように、スペクトルチップにフィルタ5が集積され、フィルタは光変調層の上方(
図25)又は下方(
図26)にあってもよく、
図27及び28に示すように、スペクトルチップにマイクロレンズ4及びフィルタ5が集積され、その位置は光変調層の上方(
図27)又は下方(
図28)にあってもよい。
【0070】
更に、本発明は、スペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法を提供し、本発明の本実施形態の研究目的は、ランダム方式でランダム形状構造を生成し、当該ランダム形状構造に基づく2次元格子構造に入射光に対して豊かな広帯域変調特性を持たせることで、スペクトル回復の精度を向上させるのに役立つことである。本発明の、ランダム方式でランダム形状構造を生成することは、アルゴリズムによって得られてもよく、人為的調整とアルゴリズムの組み合わせ、例えば、アルゴリズムによって生成されてから人為的に調整されることによって得られてもよいことが理解できる。更に、本発明は、アルゴリズムによってランダムに生成することを例として説明する。
【0071】
図31は本発明の一実施形態に係るスペクトルチップの構造の概略図である。
図31に示すように、前記スペクトルチップは、ウエハレベルの画像センサ2を含み、前記ウエハレベルの画像センサ2の感光領域の上面には、光変調層1が製造され、前記光変調層1は、複数のマイクロナノユニット4からなるユニットアレイを含み、各マイクロナノユニット4は、ウエハレベルの画像センサ2上の1つ又は複数の画素点に対応し、前記マイクロナノユニット4は複数組のマイクロナノ構造アレイを含み、各組のマイクロナノ構造アレイは2次元格子構造で形成され、各マイクロナノユニット4の複数組のマイクロナノ構造アレイにおける2次元格子構造は、入射光を変調し、前記入射光のスペクトル情報をウエハレベルの画像センサ2の異なる画素点に符号化して、前記入射光のスペクトル情報を含む図像を得るためのものである。
前記スペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法は、前記2次元格子構造を生成するステップを含み、ここで、前記2次元格子構造は、ランダム形状構造の周期配列により形成され、ここで、同一組のマイクロナノ構造アレイにおけるランダム形状構造は、同一であってもよく、異なっていてもよく、異なる組のマイクロナノ構造アレイにおけるランダム形状構造は、同一であってもよく、異なっていてもよく、
前記した、前記2次元格子構造を生成するステップは、具体的に、
前記2次元格子構造におけるランダム形状構造の配列周期を確定することと、
下記の処理手順に従って、前記2次元格子構造における各ランダム形状構造5を生成することとを含み:
前記処理手順は、前記配列周期内の領域をメッシュ分割して、複数のメッシュ領域を取得することと、
前記複数のメッシュ領域に対して、画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得することであって、異なる画素値は、対応するメッシュ領域が異なる屈折率を持つことを示すことと、
前記初期パターンに対して2値化処理を行って、第1の2値化パターンを取得することであって、前記第1の2値化パターンは1つのランダム形状構造5に対応し、前記第1の2値化パターンにおける0及び1はそれぞれ、空気及び媒体を表すこととを含む。最終に得られたランダム形状輪郭をより滑らかにするために、前記初期パターンに対してフィルタ平滑化処理を行ってから、2値化処理を行うことができる。
【0072】
以下、本実施形態に係るスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法を説明する。本発明の研究目的は、ランダム方式でランダム形状構造を生成し、当該ランダム形状構造に基づく2次元格子構造に入射光に対して豊かな広帯域変調特性を持たせることで、スペクトル回復の精度を向上させるのに役立つことである。
【0073】
本実施形態では、スペクトルチップの構造概略図は、
図31に示され、スペクトルチップは、ウエハレベルの画像センサ2を含み、ウエハレベルの画像センサ2の感光領域の上面には、光変調層1が製造され、例えば、ウエハレベルの画像センサ2の感光領域上に1層又は複数層の媒体又は金属材料の層を直接成長させ、更にエッチング、製造プロセスを行って光変調層1を得ることができる。
【0074】
本実施形態では、ウエハレベルの画像センサ2は、CISウェーハを採用して実現することができる。
【0075】
光変調層1は、複数のマイクロナノユニット4からなるユニットアレイを含み、各マイクロナノユニット4はウエハレベルの画像センサ上の1つ又は複数の画素点に垂直方向に対応し、マイクロナノユニット4は複数組のマイクロナノ構造アレイを含み、各組のマイクロナノ構造アレイは2次元格子構造で形成され、入射光は、光変調層1を通過した後、各マイクロナノユニット4の複数組のマイクロナノ構造アレイにおける2次元格子構造によって変調され、変調された光信号は、その強度がウエハレベルの画像センサ2によって検出されて電気信号に変換される。
【0076】
なお、本実施形態では、入射光は光変調層1を通過した後、光変調層1における2次元格子構造は、入射光を変調し、入射光のスペクトル情報をウエハレベルの画像センサの異なる画素点に符号化して、前記入射光のスペクトル情報を含む図像を得る。つまり、入射光は、光変調層1を通過した後、ウエハレベルの画像センサ2によって電気信号に変換されて、前記入射光のスペクトル情報を含む図像が形成され、最後に、ウエハレベルの画像センサ2に接続される信号処理回路によって前記入射光のスペクトル情報を含む図像が処理されて、前記入射光のスペクトル情報が得られる。
【0077】
図33は本発明の一実施形態に係る2次元格子構造を生成するフローチャートであり、
図33に示すように、本発明の実施形態に係る2次元格子構造を生成することは、下記のステップ101~ステップ104を含む。
【0078】
ステップ101:前記2次元格子構造におけるランダム形状構造の配列周期を確定する。
【0079】
本ステップでは、前記2次元格子構造におけるランダム形状構造の配列周期を確定する目的は、ステップ102で1つの周期内の領域をメッシュ分割するように指導することであり、例えば、配列周期を300nmと仮定すると、300nm内の領域をメッシュ分割する。
【0080】
ステップ102~ステップ104の処理手順に従って、前記2次元格子構造における各ランダム形状構造を生成する。
【0081】
ステップ102:前記配列周期内の領域をメッシュ分割して、複数のメッシュ領域を取得する。
【0082】
本ステップでは、
図5の(1)を参照して、配列周期内の領域をメッシュ分割し、例えば、1周期内に100*100のメッシュに分割する。なお、メッシュのサイズは柔軟に設定でき、メッシュが小さいほど、得られたランダム形状のエッジがより滑らかになる。
【0083】
ステップ103:前記複数のメッシュ領域に対して、画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得し、ここで、異なる画素値は、対応するメッシュ領域が異なる屈折率を持つことを示す。
【0084】
本ステップでは、複数のメッシュ領域に対して、画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得し(
図34の(2)に示すように)、
図34の(2)を参照して、異なるメッシュ領域の色の濃淡の程度は異なる画素値に対応し、画素値に応じて対応する屈折率を割り当て、画素値の異なるメッシュ領域が備える屈折率も異なるようにし、また、画素値は複数のメッシュ領域にランダムに割り当てられるため、屈折率の割り当てにもランダム性がある。ただし、本ステップにおける割り当てられた屈折率は単なる数値であり、実際の材料の屈折率を表すものではない。
【0085】
ステップ104:前記初期パターンに対して2値化処理を行って、第1の2値化パターンを取得し、ここで、前記第1の2値化パターンは1つのランダム形状構造に対応し、前記第1の2値化パターンにおける0及び1はそれぞれ、空気及び媒体を表す。最終に得られたランダム形状輪郭をより滑らかにするために、前記初期パターンに対してフィルタ平滑化処理を行ってから、2値化処理を行うことができる。
【0086】
例えば、本ステップでは、初期パターン(
図34の(2)に示すように)に対してフィルタ平滑化処理を行ってパターン(
図34の(3)に示すように)を取得し、2値化処理を行って第1の2値化パターン(
図34の(4)に示すように)を取得する。本ステップでは、2値化処理は、例えば、「屈折率がある閾値より大きい領域をすべて1、屈折率がこの閾値未満の領域をすべて0とする」という方法によって二値化することができ、このとき得られた屈折率分布には0と1の2つの数値しかなく、0と1はそれぞれ空気と媒体を表す。本ステップでは、初期パターンは、複数のメッシュ領域に対して画素値のランダム割り当てを行って得られるため、ランダム形状構造を生成することができる。
【0087】
理解できるのは、第1の2値化パターンを取得した後、第1の2値化パターン上の空気と媒体の分布状況に応じて、対応する媒体を用いて前記第1の2値化画像に従ってエッチングして、対応するランダム形状構造を得ることができる。
【0088】
本実施形態では、理解できるのは、
図32に示すスペクトルチップの断面図を参照し、スペクトル変調層における各組のマイクロナノ構造アレイは2次元格子構造に基づいて形成され、2次元格子構造のランダム形状構造5を変更することによって、マイクロナノ構造アレイは、目標波長帯域の入射光に対して異なる変調作用を持つ。
【0089】
上記の技術案から分かるように、本発明の実施形態に係るスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法は、配列周期内の領域をメッシュ分割して、複数のメッシュ領域を取得した後、複数のメッシュに対して画素値ランダム割り当てを行って、初期パターンを取得し、その後、初始図像に対して平滑化フィルタ及び2値化処理を行って、ランダム形状構造を更に取得し、各組のマイクロナノ構造アレイ、即ち、各2次元格子構造はいずれも、このようにランダムに生成されたランダム形状構造からなるため、複数組のマイクロナノ構造アレイを含む光変調層には、様々なランダム形状構造が含まれ、従って、光変調層に入射光に対して豊かな広帯域変調特性を持たせ、それによって、スペクトル回復の精度の制限を克服し、入射光スペクトルに対する高精度測定を実現し、スペクトル回復の精度を向上させることに有利である。
【0090】
上記実施形態に加えて、本実施形態では、第1の2値化パターンを取得した後に、前記方法は、
前記第1の2値化パターンに対して、ぼかし処理及び2値化処理を順次に行って、第2の2値化パターンを取得し、それに対応して、第2の二値化パターンは1つのランダム形状構造に対応するステップを更に含む。
【0091】
本実施形態では、
図35を参照して、第1の2値化パターンを取得した後に、ランダム形状構造におけるサイズの小さ過ぎる部分を除去して、プロセス加工を便利にするために、前記第1の2値化パターンに対して、ぼかし処理及び2値化処理を順次に行って、第2の2値化パターンを生成し、第2の2値化パターンは、1つのランダム形状構造に対応し、当該第2の2値化パターンに対応するランダム形状構造は、サイズの小さ過ぎる構造を含まず、プロセス加工に便利である。
【0092】
また、アルゴリズムなどの手段によってランダム形状構造におけるサイズの小さ過ぎる部分及び/又は大き過ぎる部分を直接選別して除去することもでき、プロセス加工に便利である。
【0093】
上記実施形態に加えて、本実施形態では、前記複数のメッシュ領域に対して、画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得することは、
複数のメッシュ領域をグループ化して、複数組のメッシュを取得することであって、複数のメッシュ領域をグループ化する際に、1つ又は複数のメッシュ領域を1組としてグループ化することと、
各組のメッシュに対して標準正規分布に従って画素値のランダム割り当てを行って、前記ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得することであって、組内の各メッシュ領域の画素値は同じであることとを含む。
【0094】
本実施形態では、
図36を参照して、例えば、2次元格子構造におけるランダム形状構造の配列周期を300nmと確定し、1周期内に100*100のメッシュに分割して、グループ化し(例えば10*10の大きなメッシュでグループ化し、即ち、10個の格子点を1つの大きなメッシュとして分ける)、各組のメッシュに対して標準正規分布に従って画素値のランダム割り当てを行って、ランダム形状構造に対応する初期パターンを取得する(
図36に破線枠で示すように)。
【0095】
上記の技術案から分かるように、本発明の実施形態に係るスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法は、各組のメッシュに対して標準正規分布に従って画素値のランダム割り当てを行い、組内の各メッシュ領域の画素値を同じにして、同じランダム形状構造を取得する。
【0096】
上記実施形態に加えて、本実施形態では、前記2次元格子構造における各ランダム形状構造を生成する際に、メッシュ分割の操作に対応するメッシュ分割パラメータ、画素値ランダム割り当ての操作に対応するランダム割り当てパラメータ、フィルタ平滑化処理の操作に対応するフィルタ平滑化パラメータ、ぼかし処理の操作に対応するぼかしパラメータのうちの1種又は複数種を制御することにより、前記ランダム形状構造の最小サイズが予め設定された閾値より大きく、前記ランダム形状構造における媒体と空気の比が予め設定された制約条件を満たすようにする。更に、個別の実施形態では、この方法により、前記ランダム形状構造の最大サイズが予め設定された閾値より小さく、前記ランダム形状構造における媒体と空気の比が予め設定された制約条件を満たすように制御する必要もある。
【0097】
本実施形態では、理解できるのは、アルゴリズムパラメータ(例えば、メッシュ分割パラメータ、ランダム割り当てパラメータ、フィルタ平滑化パラメータ、ぼかしパラメータのうちの1種又は複数種)を調整することにより、最小特徴サイズが予め設定された閾値よりも大きいランダム形状構造を生成するように制御し、例えば、生成されたランダム形状構造の最小特徴サイズが30nmより大きくなるように制御し、また、アルゴリズムパラメータを調整することにより、ランダム形状構造における媒体と空気の比は、例えば、媒体領域の割合が20%~80%であるような特定の範囲内にあって、制約条件を満たすように制御することができる。
【0098】
上記の技術案から分かるように、本発明の実施形態に係るスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法は、アルゴリズムパラメータ、例えばメッシュ分割パラメータ、ランダム割り当てパラメータ、フィルタ平滑化パラメータ、ぼかしパラメータ等を調整することにより、生成されたランダム形状構造に対して特定の制限を行うことができ、プロセス製造の要求に応じて、生成されたランダム形状の最小特征サイズを制御して、プロセス製造の加工精度の要求を満たし、それにより、難易度を低減する。それと共に、ランダム形状構造を生成する過程における関連処理パラメータを制御することによって、ランダム形状構造のサイズを縮小するように容易に制御することができるので、スペクトルチップの体積とコストを容易に縮小することができることが理解できる。
【0099】
更に、複数の実施形態では、前記アルゴリズムによって生成されたランダム形状は、円形、四角形、十字形などの規則形状よりも豊かな曲率変化を有し、好ましくは、生成可能な形状は2種類以上の異なる曲率を有し、それによって、光変調効果がより良好になる。更に例を挙げると、異なる曲率を特定し、例えば、1種類の曲率を含む円はその曲率が特定されたが、扇形は、0(直線)、無限大(頂点)、及び特定の数値(円弧)の3種類の曲率を含む。理解できるのは、構造の曲率が豊かであればあるほど、入射光に対する散乱、屈折などの効果がより顕著になり、更に、光変調効果がより良好になるため、本発明では、好ましくは、前記ランダム形状の内部ユニットは、2つ、3つ、4つ、5つ以上の曲率を含むことができる。
【0100】
上記実施形態に加えて、本実施形態では、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンを取得した後に、前記方法は、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対して対称性処理を行って、対称性を備えるパターンを取得し、それに対応して、対称性を備える前記パターンは1つのランダム形状構造に対応することを更に含み、
ここで、前記対称性処理は、二重回転対称性処理、Y軸に関する鏡像対称性処理、X軸に関する鏡像対称性処理、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性処理、四重回転対称性処理、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性及び四重回転対称性の処理のうちの1種又は複数種を含み、
それに対応して、取得した対称性を備えるパターンは、
二重回転対称性を備えるパターン、Y軸に関する鏡像対称性を備えるパターン、X軸に関する鏡像対称性を備えるパターン、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性を備えるパターン、四重回転対称性を備えるパターン、同時にY軸とX軸に関する鏡像対称性及び四重回転対称性を備えるパターンのうちの1種又は複数種を含む。
【0101】
本実施形態では、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンを取得した後に、対応する対称性処理関数を用いて前記第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対して対称性処理を行うことにより、対称性を備えるパターンを得ることができる。異なる対称性処理には異なる対称性処理関数を採用する必要があることが理解できる。例えば、二重回転対称性処理には、二重回転対称性処理関数を採用して実現する必要があり、即ち、二重回転対称性処理関数を用いて、得られた第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンを処理して、二重回転対称性を備えるパターンを得ることができる。また、処理手順を簡略化するために、上記処理をMATLAB(登録商標)で直接行うことができる。例えば、MATLAB(登録商標)ソフトウェアに基づいて、対応する対称性処理関数を呼び出することで、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対する対称性処理を実現することができる。例えば、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対して四重回転対称性処理を行う必要があると仮定すると、四重回転対称性処理関数を呼び出することで、四重回転対称性を備えるパターンを得る。同様に、例えば、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対してY軸に関する鏡像対称性処理を行う必要があると仮定すると、Y軸に関する鏡像対称性処理関数を呼び出することで、Y軸に関する鏡像対称性を備えるパターンを得る。
【0102】
本実施形態では、
図37~
図42を参照して、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対して対称性制限を与える。例えば、
図37において、二重回転対称性処理を行って二重回転対称性を備えるパターンを取得し、
図38において、Y軸に関する鏡像対称性処理を行ってY軸に関する鏡像対称性を備えるパターンを取得し、
図39において、X軸に関する鏡像対称性処理を行ってX軸に関する鏡像対称性を備えるパターンを取得し、
図40において、Y軸とX軸に関する鏡像対称性処理を同時に行ってY軸とX軸に関する鏡像対称性を同時に備えるパターンを取得し、
図41において、四重回転対称性処理を行って四重回転対称性を備えるパターンを取得し、
図42において、Y軸とX軸に関する鏡像対称性及び四重回転対称性の処理を同時に行ってY軸とX軸に関する鏡像対称性及び四重回転対称性を同時に備えるパターンを取得する。
【0103】
ここで、マイクロナノ構造アレイにおける2次元格子構造を偏光無依存特性を有する格子構造とするために、1つの実現形態では、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対して四重回転対称性処理を行って四重回転対称性を備えるパターンを取得することができる。なお、マイクロナノ構造アレイにおける2次元格子構造は四重回転対称性を満たすため、光変調層は入射光の偏光に敏感ではない。
なお、本実施形態では、従来の分光計では、分光素子により入射光入射光の異なる波長成分を分離してから検出を行う必要があるが、分光素子は、異なる角度、異なる偏光の入射光に対して異なる応答を持つことが多い。実際の使用では、測定すべき光の入射角度と偏光特性を事前に知ることができないため、従来の分光計は通常、コリメート素子、偏光板を追加する必要があり、これは、デバイスの体積とコストを増加させるだけでなく、デバイスの動作安定性を低下させる。従って、入射角度、偏光のいずれにも敏感でないスペクトルデバイスを実現することは、実際の使用上で重要な意義がある。このため、本発明の実施形態は、スペクトルチップを提供し、当該スペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成過程で得られた第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対して四重回転対称性処理を行って、四重回転対称性を備えるランダム形状構造を取得する。これにより、当該スペクトルチップは、入射光のスペクトル情報測定することができ、一定の範囲内で入射角度、入射光の偏光特性の影響を受けない、即ち、当該スペクトルチップは、入射角度、偏光に敏感ではないため、スペクトル測定結果は測定すべき光の入射角度と偏光特性の影響を受けず、更に、スペクトル測定性能の安定性を確保することができると共に、本発明の実施形態に係るスペクトルチップは、入射角度、偏光に敏感ではない光変調層とウエハレベルの画像センサをモノリシック集積し、別個の素子がなく、コリメート素子、偏光板などの複雑な光学デバイスを追加する必要がないため、デバイスの安定性を向上させ、デバイスの体積とコストを削減するのに役立つ。
【0104】
上記の技術案から分かるように、本発明の実施形態に係るスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法は、2値化パターンに対して対称性制限を与えることにより、生成されたランダム形状構造が異なる対称性の要求を満たすようにすることができる。
【0105】
上記実施形態に加えて、本実施形態では、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンを取得した後に、前記方法は、プロセス製造中のエッチング不足又はオーバーエッチングの状況をシミュレーションするように、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対して、膨張又は腐食の操作を行うことを更に含む。
【0106】
本実施形態では、
図43~
図45を参照して、第1の2値化パターン又は第2の2値化パターンに対して膨張又は腐食の操作を行い、
図43はランダム形状の2値化パターンであり、
図44は、2値化パターンに対して腐食の操作を行い、例えば、媒体領域を10nm腐食した後のランダム形状の2値化パターンであり、
図45は、2値化パターンに対して膨張の操作を行い、例えば、媒体領域を10nm膨張10nmした後のランダム形状の2値化パターンである。
【0107】
上記の技術案から分かるように、本発明の実施形態に係るスペクトルチップにおけるマイクロナノ構造アレイの生成方法は、プロセス製造中のエッチング不足又はオーバーエッチングの状況をシミュレーションすることができ、後続の電磁シミュレーションにより、エッチング不足又はオーバーエッチングが構造スペクトル特性に与える影響を分析することができ、構造の耐プロセス誤差特性の分析を容易にし、それによって耐プロセス誤差特性の比較的に良いランダム形状構造を選別することができる。
【0108】
上記実施形態に加えて、本実施形態では、前記スペクトルチップは、前記ウエハレベルの画像センサ2に接続された信号処理回路3を更に含み、
前記信号処理回路3は、前記入射光のスペクトル情報を含む図像を処理して、前記入射光のスペクトル情報を取得するためのものである。
【0109】
本実施形態では、光変調層は、複数の繰り返しユニットを含み、各ユニットに対応する信号処理回路は当該ユニットでのスペクトル情報を回復することができる。信号処理回路の入力は、CISウェーハの各感光画素が検出した光強度信号であり、これらの光強度値を利用して、事前に実験で測定した各組のマイクロナノ構造アレイの透過スペクトルを組み合わせることで、対応するアルゴリズムにより、入力光のスペクトル情報を回復することができる。実際の応用において、必要に応じて、異なるアルゴリズムを用いて、前記入射光のスペクトル情報を含む図像を処理して、前記入射光のスペクトル情報を得ることができる。
【0110】
本実施形態では、マルチスペクトル図像の収集の完全な流れは、
図46に示すように、可視光から近赤外までの広帯域光源100が対象物体200に照射した後、その反射光はスペクトルチップ300によって収集されるか、又は、対象物体から外に直接放射された光はスペクトルチップ300よって収集される。各ユニットはその下の光センサと共に1つの画素点を構成し、回復アルゴリズムにより各画素点上のスペクトル情報を得ることができ、複数の画素点はスペクトル情報を含む画像を構成する。光変調層1とウエハレベルの画像センサ2は、いずれも半導体CMOS集積プロセスによって製造し、ウエハレベルでモノリシック集積を実現することができ、センサと光変調層との間の距離を短くし、デバイスの体積を減らし、より高いスペクトル分解能を実現し、パッケージングコストを削減することに役立つ。
【0111】
本実施形態では、
図31を参照して、スペクトルチップは、ウエハレベルの画像センサ2に接続された信号処理回路3を更に含み、信号処理回路3は、入射光のスペクトル情報を含む図像を処理して、入射光のスペクトル情報を回復して取得する。
【0112】
上記実施形態に加えて、本実施形態では、前記光変調層1と前記ウエハレベルの画像センサ2との間には光透過媒体層が設けられている。
【0113】
本実施形態では、前記光変調層と前記ウエハレベルの画像センサとの間に光透過媒体層を設けることにより、光変調層ウエハレベルの画像センサを効果的に分離して、両者の相互干渉を回避することができる。
【0114】
ここで、光透過媒体層の厚さは50nm~1μmとすることができ、材料はシリカであってもよい。直接堆積成長のプロセス案である場合、化学気相堆積法、スパッタリング、又はスピンコーティングの方法によりウエハレベルの画像センサ上に当該光透過媒体層を製造し、更に、その上方に光変調層構造の堆積、エッチングを行えばよい。転移のプロセス案である場合、シリカ上にマイクロナノ構造の製造を行ってから、その2つの部分を全体的にウエハレベルの画像センサに移動することができる。
【0115】
上記実施形態に加えて、本実施形態では、前記ウエハレベルの画像センサ2は、表面照射型であり、上から下に設置された金属線層と光検出層とを含み、前記光変調層1は前記金属線層の前記光検出層から離れた面に集積され、又は、
前記ウエハレベルの画像センサ2は、裏面照射型であり、上から下に設置された光検出層と金属線層とを含み、前記光変調層1は前記光検出層の前記金属線層から離れた面に集積されている。
【0116】
なお、裏面照射型ウエハレベルの画像センサでは、光検出層は金属線層の上方にあるため、金属線層による入射光への影響を低減することができ、デバイスの量子効率を高めることができる。
【0117】
上記実施形態に加えて、本実施形態では、前記スペクトルチップは、マイクロレンズ及び/又はフィルタを更に含み、
前記マイクロレンズは、光変調層1のウエハレベルの画像センサ2から離れた面に設けられ、又は、前記マイクロレンズは、光変調層1のウエハレベルの画像センサ2に近い面に設けられ、
前記フィルタは、光変調層1のウエハレベルの画像センサ2から離れた面に設けられ、又は、前記フィルタは、光変調層1のウエハレベルの画像センサ2に近い面に設けられている。
【0118】
また、本発明では、「第1」、「第2」等の用語は、説明するためのものに過ぎず、比較的な重要性を指示又は暗示するか、或いは、示された技術的特徴の数を黙示的に明示すると理解されるものではない。このため、「第1」、「第2」が限定されている特徴はこの特徴を少なくとも1つ含むことを明示又は暗示することができる。本発明の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、例えば2つ、3つ等、少なくとも2つであることを意味する。
【0119】
なお、本発明では、「第1」と「第2」等の関係用語は、1つのエンティティ又は操作を別のエンティティ又は操作から区別するためのものに過ぎず、必ずしもこれらのエンティティ又は操作の間にはそのような実際の関係や順序があることを要求又は示唆するものではない。そして、「備える」、「含む」又はその任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しているため、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、又はデバイスは、それらの要素だけでなく、明示されていない他の要素も含み、又はこのプロセス、方法、物品、又はデバイスに固有の要素も含む。これ以上の制限がない場合、「1つの…を含む」という文で定義された要素は、その要素を含むプロセス、方法、物品、又はデバイス内の他の同じ要素の存在を除外しない。
【0120】
また、本明細書の説明において、「一実施形態」、「複数の実施形態」、「例」、「具体的な例」、又は「複数の例」などの用語を参照する説明は、実施形態又は例を参照しながら説明される具体的な特徴、構造、材料、又は特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の概略的な表現は、必ずしも同じ実施形態又は例に向けられているわけではない。更に、説明される具体的な特徴、構造、材料、又は特徴は、任意の1つ又は複数の実施形態又は例において、適切な方法で組み合わせることができる。なお、当業者は、本明細書に説明された異なる実施形態又は例、ならびに異なる実施形態又は例の特徴を、互いに矛盾することなく結合及び組み合わせることができる。
【0121】
上記の説明は、本願の好ましい実施形態であり、適用される技術原理の説明に過ぎない。当業者は、本願に係る開示の範囲が、上記の技術的特徴の特定の組み合わせによって形成される技術案に限定されず、同時に、上記の開示されたアイデアから逸脱することなく、上記の技術的特徴又はそれらの等価物の任意の組み合わせによって構成される他の技術案もカバーすることを理解すべきである。例えば、上記の特徴を本願に開示された技術的特徴(それに限定されない)と類似した機能を有する技術的特徴に置き換えることによって形成される技術案が挙げられる。
【0122】
上記実施形態は、単に本発明の原理及び効果を例示的に説明するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に改善又は変更を加えることができる。従って、本発明に開示された精神及び技術的思想から逸脱することなく、本技術分野の通常の知識を有する者によってなされたすべての同等の改善又は変更は、依然として本発明の特許請求の範囲に含まれる。