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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20241029BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241029BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023509732
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2021072854
(87)【国際公開番号】W WO2022038150
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】2012831.0
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リア, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】テイラー, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン, ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ホジソン, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル, ジェレミー
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0353805(US,A1)
【文献】国際公開第2020/126908(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0029319(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス本体と、
前記デバイス本体に形成され、エアロゾル生成材料を含む物品の一部が前記デバイス本体から突き出すように、前記物品を部分的に受容するように構成されたチャンバと、
壁により境界が定められ、前記物品の突出部を受容するように構成された通路を備えたマウスピースと、
前記マウスピースを前記デバイス本体に対して取り外し可能に取り付け、前記マウスピースを前記デバイス本体と係合させるように構成された取り付け手段と、
を備え、
前記マウスピースが前記デバイス本体と係合した場合に、前記物品の前記突出部が前記通路の前記壁に接触するように構成されたエアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記取り付け手段が、前記物品が前記通路に圧入されるように前記マウスピース及び前記デバイス本体を相互に支承させる力を生成するように構成された、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記取り付け手段が、前記デバイス本体又は前記マウスピースそれぞれに形成された磁石を含む、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記取り付け手段が、前記デバイス本体又は前記マウスピースの一方に形成された磁石と、前記マウスピースの前記デバイス本体の他方に形成された鉄鋼材料の領域と、を含む、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
各磁石が、前記デバイス本体又は前記マウスピースそれぞれにおいて凹部配置された、請求項3又は4に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記マウスピースの前記通路が、第1の断面積を有する第1の部分及び第2の断面積を有する第2の部分を含み、前記第1の断面積が前記第2の断面積よりも大きく、前記エアロゾル供給デバイスが、前記物品が前記通路の前記第1の部分において前記通路の前記壁に接触するように構成された、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記デバイス本体に形成され、前記エアロゾル供給デバイスの前記チャンバが裸出するように、前記マウスピースを取り外し可能に受容するように構成された第2の取り付け手段をさらに備えた、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記第2の取り付け手段が、1つ若しくは複数の磁石又は鉄鋼材料を含む、請求項7に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記デバイス本体内に配設され、前記チャンバと連通して前記物品からエアロゾルを生成する1つ又は複数のエアロゾル生成器をさらに備えた、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記1つ又は複数のエアロゾル生成器が、加熱器を備えた、請求項9に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
前記加熱器が、前記チャンバの内部と熱的に連通した抵抗加熱器である、請求項10に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
前記加熱器が、前記チャンバの内部と熱的に連通したサセプタと、磁場を前記サセプタに誘導するように構成された磁場生成器と、を備えた、請求項10に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
前記デバイス本体内に配設され、前記加熱器と電気的に連通して前記加熱器に給電する電源をさらに備えた、請求項10~12のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
前記デバイス本体において、前記電源と電気的に連通した電気接続部をさらに備えた、請求項13に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
本体と、前記本体に形成され、前記エアロゾル供給デバイスを受容するようにサイズ規定されたキャビティと、を備えたキャリーケースと、
を備えたシステム。
【請求項16】
前記キャリーケースが、前記キャリーケースの前記本体中に配設された電源と、前記エアロゾル供給デバイスが前記キャビティ中に存在する場合に、電力を前記エアロゾル供給デバイス本体の電源に伝送するデバイスと、を備えた、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
電力を伝送する前記デバイスが、前記キャリーケースの前記キャビティ中に配設された電気又は無線接続部と、前記エアロゾル供給デバイス本体中に配設された対応する電気又は無線接続部と、を備え、前記エアロゾル供給デバイスが前記キャビティ内に受容された場合に、前記電気又は無線接続部が相互に接続されるように構成された、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記キャリーケースの外面に形成され、前記エアロゾル供給デバイスの前記チャンバが露出するように、前記エアロゾル供給デバイスの前記マウスピースを取り外し可能に受容するように構成された第3の取り付け手段をさらに備えた、請求項15~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記第3の取り付け手段が、1つ若しくは複数の磁石又は鉄鋼材料を含む、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイス、エアロゾル供給デバイスを備えたエアロゾル供給システム、及びエアロゾル供給デバイスを構成する方法に関する。
【背景】
【0002】
シガレット、シガー等の喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させて、タバコ煙を生成する。燃焼なしに化合物を放出させる製品の創出によって、これらの物品の代替物を提供しようとする試みがなされている。このような製品の例は、いわゆる「非燃焼加熱式」製品又はタバコ加熱デバイス若しくは製品であり、材料を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出させる。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品が考えられ、ニコチンを含んでいてもよいし、又は含んでいなくてもよい。
【概要】
【0003】
本開示の第1の態様によれば、
デバイス本体と、
デバイス本体に形成され、エアロゾル生成材料を含む物品の一部がデバイス本体から突き出すように、物品を部分的に受容するように構成されたチャンバと、
内壁により境界が定められ、物品の突出部を受容するように構成された通路を備えたマウスピースと、
マウスピースをデバイス本体に取り付け、マウスピースをデバイス本体と係合させるように構成された取り付け手段と、
を備え、
マウスピースがデバイス本体と係合した場合に、チャンバ内に部分的に受容された物品の突出部が通路の内壁に接触するように構成されたエアロゾル供給デバイスが提供される。
【0004】
本開示の第2の態様によれば、
第1の態様に記載のエアロゾル供給デバイスと、
本体と、本体に形成され、デバイスを受容するようにサイズ規定されたキャビティと、を備えたキャリーケースと、
を備えたエアロゾル供給デバイスシステムが提供される。
【0005】
本発明の別の特徴及び利点については、本発明の好適な実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろうが、これは、添付の図面を参照しつつ、一例として示しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1a】一実施形態に係る、デバイスの斜視図である。
図1b図1aのデバイスの別の斜視図である。
図1c図1aのデバイスの部分拡大図である。
図2a】一実施形態に係る、デバイスシステムの斜視図である。
図2b図2aのデバイスシステムの斜視図である。
【詳細な説明】
【0007】
本明細書において、用語「エアロゾル生成材料(aerosol generating material)」は、通常はエアロゾルの形態で、加熱時に揮発成分を与える材料を含む。エアロゾル生成材料には、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、エアロゾル生成材料としては、他の非タバコ製品も挙げられ、製品によっては、ニコチンを含んでいてもよいし、又は含んでいなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば固体、液体、ゲル、ワックス等の形態であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、材料の組み合わせ又は混合であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、「喫煙材」として知られる場合もある。
【0008】
エアロゾル生成器を用いることにより、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する装置が知られている。エアロゾルの生成として特に一般的なのは、エアロゾル生成材料の加熱による方法である。このような装置において、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料を加熱して前記エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させることにより、通常はエアロゾル生成材料の燃焼(burn又はcombust)なく吸引可能なエアロゾルを形成する加熱器である。このような装置は、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」、又は「タバコ加熱デバイス」等として記載される場合がある。同様に、通常は液体の形態のエアロゾル生成材料(ニコチンを含む場合もあれば、又は含まない場合もある)を気化させる、いわゆるeシガレットデバイスが存在する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入可能なロッド、カートリッジ、又はカセット等の一部の形態であってもよいし、一部として提供されるようになっていてもよい。エアロゾル生成材料を揮発させるエアロゾル生成器は、装置の「永久」部品として設けられていてもよいし、又は交換品若しくは消耗品としてエアロゾル生成材料と組み合わせることも可能である。本開示においては、加熱器であるエアロゾル生成器に焦点を当てるが、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する代替方法も利用可能であることが了解されるものとする。
【0009】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品を受容して加熱することができる。これに関連して、「物品」は、使用時にエアロゾル生成材料を具備又は含有し、加熱されてエアロゾル生成材料及び任意選択として使用中の他の成分を揮発させるコンポーネントである。ユーザが物品をエアロゾル供給デバイスに挿入した後、前記エアロゾル供給デバイスが加熱されて、ユーザが後で吸引するエアロゾルが生成されるようになっていてもよい。物品は、例えば前記物品を受容するようにサイズ規定されたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された予め定められたサイズであってもよいし、又は特定のサイズであってもよい。或いは、エアロゾル生成材料は単に、デバイスの加熱チャンバにおける自由な配置又は制約のない配置も可能であり、例えば葉タバコをこのように使用することも可能である。
【0010】
図1a及び図1bは、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイス2を示している。エアロゾル供給デバイス2は、エアロゾル生成材料を含む交換式物品4(又は、消耗品)を受容して、前記デバイスのユーザが吸引する材料からエアロゾル又は吸引可能媒体を生成するように構成されている。
【0011】
エアロゾル供給デバイス2は、内部にある前記デバイス2の様々な構成要素を囲んで収容するハウジング8(又は、外カバー)を有する本体6を備える。デバイス2は、物品4を前記デバイス2に受容するためのチャンバ10をハウジング8内に備える。本体6は、実質的に平坦又は平面状の表面を有し得る第1の端部12を有する。第1の端部12は、デバイスの使用時にユーザに最も近いため、近位端と称する場合もある。本体6は、反対の第2の端部(すなわち、遠位端)14をさらに含む。
【0012】
本体6の第1の端部12には、チャンバ10をハウジング8の外部に接続する開口16がハウジング8に形成されている。この第1の端部12の開口16を通じて、物品4がチャンバ10に挿入されるようになっていてもよい。チャンバ10は、滑り嵌めにて物品4を受容するようにサイズ規定及び成形されている。チャンバ10は、対象とする物品4に対応する形状(例えば、円筒形状)を有していてもよく、また、滑り嵌めにて物品4を受容して保持するため、物品4よりもわずかに大きな断面積を有するようにサイズ規定されていてもよい。
【0013】
物品4は、挿入状態において、チャンバ10に一部のみが受容される。すなわち、物品4の一部がチャンバ10から開口16を通って突き出し、本体6の第1の端部12から離れる方向にハウジング8の外方へと延びる。
【0014】
デバイス2は、本体6のハウジング8内に1つ又は複数のエアロゾル生成器(図示せず)をさらに備える。使用時、エアロゾル生成器は、物品4との相互作用によってエアロゾルを生成する。一実施形態において、1つ又は複数のエアロゾル生成器は、物品4を加熱してエアロゾルを生成するように構成された加熱器を備える。1つ又は複数のエアロゾル生成器は、抵抗加熱器、赤外線加熱器、又はセラミック加熱器のうちの1つ又は複数を備えていてもよい。この代替又は追加として、1つ又は複数のエアロゾル生成器は、誘導加熱器を備えていてもよい。誘導加熱器は、鉄鋼材料を含み、物品4が受容されるチャンバ10と熱的に連通したサセプタを備えていてもよい。誘導加熱器は、磁場をサセプタに生成してサセプタを加熱することによりチャンバ10及び内部の物品4を加熱する磁場生成器(例えば、誘導コイル)をさらに備える。
【0015】
デバイス2は、本体6のハウジング8内に配設された電源(図示せず)をさらに備える。電源は、バッテリ(例えば、充電式バッテリ)を備えていてもよい。電源は、1つ又は複数のエアロゾル生成器と連通し、前記1つ又は複数のエアロゾル生成器への給電によって物品4からエアロゾルを生成させる。
【0016】
また、デバイス2は、ボタン又はスイッチを含む、押された場合に前記デバイス2を動作させる入力インターフェース(図示せず)を具備していてもよい。例えば、ユーザは、入力インターフェースの操作によって、デバイス2をオンするようにしてもよい。入力インターフェースは、ハウジング8の一部として形成されていてもよい。入力インターフェースによれば、ユーザは、上述のように1つ又は複数のエアロゾル生成器を起動可能となる。
【0017】
また、デバイス2は、ソケット/ポート等、ケーブルを受容して、本体6に配設された前記デバイス2の電源(例えば、充電式バッテリ)を充電可能な電気的コネクタ/構成要素(図示せず)を備えていてもよい。例えば、ソケットは、USB充電ポート等の充電ポートであってもよい。いくつかの例において、ソケットは、上記の追加又は代替として、デバイス2とコンピュータデバイス等の別のデバイスとの間のデータの転送に用いられるようになっていてもよい。ソケットは、ハウジング8に配置されていてもよい。
【0018】
デバイス2は、本体6のハウジング8とその第1の端部12で係合するマウスピース18をさらに備える。マウスピース18は、本体6の第1の端部12の実質的に平坦な表面に隣接する実質的に平坦な表面を構成する第1の端部(すなわち、遠位端)20を含む。マウスピース18は、第1の端部20から、ユーザが銜えてエアロゾルを吸引するように構成された第2の端部(すなわち、近位端)22まで延びている。
【0019】
図示の実施形態のマウスピース18は、ユーザによって、ハウジング8からの完全な取り外し及び再配置が可能である。デバイス2のマウスピース18は、本体6の第1の端部12から取り外された場合、本体6又はそのハウジング8の如何なる部分にも取り付けられない。マウスピース18は、本体6上に再配置された場合、本体6の第1の端部12でハウジング8と再係合可能である。
【0020】
他の実施形態において、マウスピース18は、ユーザによって、本体6から部分的に取り外し可能であってもよい。デバイス2のマウスピース18は、本体6の第1の端部12から部分的に取り外された場合、例えばハウジング8及びマウスピース18に取り付けられたヒンジによって、本体6に部分的に取り付けられた状態に保たれる。マウスピース18はその後、ユーザによって、本体6の第1の端部12から完全に再係合されるようになっていてもよい。
【0021】
他の実施形態において、マウスピースは、部分的に取り外され、ヒンジ以外の機構によって、デバイス本体に部分的に接続されるようになっていてもよい。一実施形態において、マウスピースは、摺動機構によってデバイス本体に接続されていてもよく、これによりマウスピースは、この機構を介してデバイス本体に取り付けられたままで本体に対して摺動可能となる。別の実施形態において、マウスピースは、デバイス本体に対する回転又は捻転により伸縮可能であってもよい。この機構によれば、マウスピースがデバイス本体から部分的に取り外された伸長位置において、物品を本体のチャンバに挿入可能となる。
図1cに最も良く見られるように、マウスピース18は、第1の遠位端20の第1の開口26から第2の近位端22の第2の開口28まで延びた通路24を含む。マウスピース18が本体6の第1の端部12に係合され、物品4の一部がハウジング8のチャンバ10に受容された場合、物品4のその他の部分すなわち突出部は、第1の遠位端20の第1の開口26を通じてマウスピース18の通路24に受容される。
【0022】
通路24は、前記通路24の境界を定める内壁30を規定する。マウスピース18が本体6の第1の端部12に係合された場合、物品4は、通路24の内壁30に接触して、内壁30と封止部を構成する。物品4は、内壁30の実質的に全周で内壁30に接触することにより、通路24の境界を完全に定める封止接触部を構成するようにしてもよい。物品4と内壁30との間の係合は、通路24の一部又は全部を封止して、封止接触部を越えた部分の通路24におけるエアロゾル又は空気の自由な移動を制限又は防止するものであってもよい。
【0023】
物品4は、側壁を有する。側壁は、物品の表面を規定する。側壁は、円周方向に延びている。マウスピース18中に突き出た物品4の部分の側壁は、表面周りの内壁30に接触する。側壁及び内壁は、長手方向に延びた長さに沿って接触する。側壁は、少なくとも内壁30の実質的に全周で接触して延びることにより、通路24の境界を完全に定める封止接触部を構成するようにしてもよい。実施形態において、側壁は、実質的に通路24の第1の部分32の長さに沿って内壁30と接触して平行に延びることにより、通路24の第1の部分32の長さに沿って封止構成体を構成する。物品4の側壁と内壁30との間の係合は、通路24の一部又は全部を封止して、封止接触部を越えた部分の通路24におけるエアロゾル又は空気の自由な移動の制限又は防止を補助するものであってもよい。
【0024】
封止接触部は、物品4に対する通路24の形状及びサイズにより形成されていてもよい。通路24は、物品4を受容するように、物品4の断面形状に対応する断面形状を有していてもよい。例えば、通路24及び物品4の両者が円形断面を有することにより、それぞれが円筒形状を構成していてもよい。通路24の断面サイズを物品4の断面サイズよりもわずかに小さくして、物品4を通路24の内壁30に対して圧入することにより、上述のような封止接触部を構成するようにしてもよい。
【0025】
通路24は、遠位端開口26と近位端開口28との間の長さに沿って断面が変化していてもよい。図示の例において、通路24は、第1の断面の第1の部分(すなわち、遠位部)32及び第2の断面の第2の部分(すなわち、近位部)36を備えており、第1の断面の面積が第2の断面の面積よりも大きい。通路24の第1の部分32は、遠位端開口26から通路24の全長に沿って、内壁30の途中の遷移部34まで延びている。第2の部分36は、内壁30の遷移部34から近位端開口28まで延びている。
【0026】
図示の実施形態において、内壁30の遷移部34は、通路24の方向と大略垂直な内壁30の部分を含み、支台部を構成する。他の実施形態において、遷移部34は、通路24の方向に対して角度が付いた内壁30の部分を含むことにより、緩やかな傾斜部を構成していてもよい。物品4は、遷移部34において、例えば支台部又は傾斜部に対して内壁30と封止接触部を構成していてもよい。
【0027】
通路24の第1の部分32は、物品4を受容して、前記第1の部分の内壁30が上述のように物品4に接触するように構成されていてもよい。このため、通路24の第1の部分32は、物品4の断面サイズよりもわずかに小さな断面サイズを有することにより、封止接触部を構成するようにサイズ規定されていてもよい。第2の部分36は、物品4が通路24全体に挿入されてマウスピース18の第2の近位端22から延出することがないように、第1の部分32よりも小さくサイズ規定されている。
【0028】
デバイス2は、マウスピース18をハウジング8に対して取り外し可能に取り付ける取り付け手段38を備える。取り付け手段38は、本体6の第1の端部12及びマウスピース18の第1の遠位端20において、マウスピース18をハウジング8に支承させる力を生成する。マウスピース8をデバイス本体6のハウジング8に支承させることにより、取り付け手段38は、マウスピース通路24の内壁30と物品4との間の接触部ひいては封止接触部を構成するのに役立つ。
【0029】
実施形態において、取り付け手段38は、磁石を含んでいてもよい。図示の実施形態において、取り付け手段38は、複数の磁石40を含む。図示の複数の磁石40には、本体6の第1の端部12においてハウジング8中又はハウジング8上に配設された複数の磁石40と、マウスピース18の第1の遠位端20に配設された複数の磁石(図示せず)と、を含む。これら二組の複数の磁石は、反対の極性を有することにより、相互に付着するように配置されていてもよく、本体6の第1の端部12において、マウスピース18の第1の遠位端20をハウジング8に支承させる。
【0030】
磁石40は、本体6のハウジング8及びマウスピース18がそれぞれの表面に沿って平らな接触部を構成し得るように、それぞれ本体6の第1の端部12及びマウスピース18の遠位端20に凹部配置されている。他の実施形態においては、本体6の第1の端部12におけるハウジング8の表面の下側及びマウスピース18の第1の遠位端20の表面の下側に1つ若しくは複数の磁石又は鉄鋼材料が配設され、表面に覆われて見え難くなっていてもよい。磁石はこの場合にも、覆われてはいるものの、マウスピース18及びハウジング8を取り付けて一体化することになる。
【0031】
マウスピースの第1の遠位端20の複数の磁石は、そこに形成された第1の開口26の周りでリング状に配置されており、デバイス本体6の第1の端部12におけるハウジング8の複数の磁石40も同様に、チャンバ10への開口16の周りでリング状に配置されている。ハウジング8及びマウスピース18の複数の磁石40は、マウスピース18がハウジング8と係合した場合に、ハウジング8の各磁石40の位置がマウスピース18の各磁石と一致するように、相互に対応して配置されている。図示の実施形態においては、デバイス本体6の第1の端部12及びマウスピース18の第1の遠位端20それぞれにおいて、4つの磁石が配設されている。
【0032】
他の実施形態においては、マウスピース18又は本体6のハウジング8の一方だけが1つ又は複数の磁石を含んでいてもよい。このような実施形態においては、ハウジング8又はマウスピース18の他方が、本体6の第1の端部12又はマウスピース18の第1の遠位端20に鉄鋼材料の領域を含むことにより、他方の磁石と係合する。鉄鋼材料の領域には、本体6の第1の端部12又はマウスピース18の第1の遠位端20において凹部配置された鉄鋼材料のストリップを含んでいてもよい。或いは、本体6の第1の端部12又はマウスピース18の第1の遠位端20の実質的な全表面に鉄鋼材料を含むことも可能である。
【0033】
本開示の範囲内で他の取り付け手段も考えられる。例えば、ハウジング8及びマウスピース18は、それぞれが雄雌ねじ接続部を含むことによって、螺合接続による支承も可能となる。
【0034】
使用時、ユーザは、デバイス2のハウジング8からマウスピース18を取り外して、第1の端部12及びチャンバ10の開口16を露出させる。ユーザは、この開口16を通じて、物品4をチャンバ10に挿入する。その後、ユーザは、本体6の第1の端部12において、マウスピース18をハウジング8上に再配置する。これにより、マウスピース18の第1の遠位端20に形成された第1の開口26を通じて、物品4の突出部がマウスピース18の通路24内に受容され、本体6の第1の端部12において、マウスピース18の第1の遠位端20が取り付け手段38によりハウジング8に支承される。物品4は、上述のように、マウスピース18の通路24の内面と封止接触部を構成する。
【0035】
その後、ユーザは、デバイス2をオンにするか、或いは他の様式でデバイス2に1つ又は複数のエアロゾル生成器を起動させるようにしてもよい。上述の通り、1つ又は複数のエアロゾル生成器は、チャンバ10内に配設された物品4の部分と相互作用してエアロゾルを形成する。エアロゾルは、物品4を上方に通過し、近位方向の封止接触部を越えた位置で物品から出てマウスピース18の通路24に入る。封止接触部によって、エアロゾルは、マウスピース通路24を第1の遠位端20へと下方に戻る代わりに、マウスピース18の第2の近位端22及び第2の開口28に向かうため、ユーザがエアロゾルを吸引可能となる。
【0036】
ユーザがデバイス2の使用又はセッションを終えたら、マウスピース18を再びハウジング8から取り外し、物品4をチャンバ10から取り出して廃棄することができる。こうして、デバイス2は、後続の使用のために別の物品4を受容する準備が整う。
【0037】
マウスピース18の一部のみをハウジング8から取り外し可能な実施形態において、上述のマウスピース18を取り外すステップには、マウスピース18の部分的な取り外しによるチャンバ10の露出を含んでいてもよいことが了解されるものとする。
【0038】
消耗品4をマウスピース18に直接受容することにより、デバイス2は、コンパクトなエアロゾル生成ソリューションを提供可能である。物品4とマウスピース18との間の接触によって、生成エアロゾルのユーザに向かう方向が与えられ、ユーザ体験が向上する。マウスピース18の使用によって、消耗品とユーザとが分離され(例えば、ユーザにとって不快となるレベルを下回るようにエアロゾルの熱が抑えられ)、ユーザ体験がさらに向上し得る。
【0039】
取り付け手段の使用により、ユーザによるデバイス本体6及びマウスピース18の接触が容易且つ確実となって、ユーザがデバイス2を動作させる場合に封止部が形成されることを確実にする。磁気取り付け手段は特に、前記取り付け手段による磁力によってマウスピース18が自動的に適所に配置されるため、ユーザによるマウスピース18の正しい位置への適正な嵌合を確実にするのに役立つ。また、磁気取り付け手段は、物品4に対してマウスピース18を支承させるための適当な力を与え、物品4をマウスピース18に圧入することで必要な封止接触部を構成することにより、ユーザエラーの可能性を低減する。
【0040】
一実施形態において、デバイ2は、本体6の第1の端部12以外の本体6上の箇所でマウスピース18をハウジング8に取り付ける第2の取り付け手段42を備えていてもよい。例えば、第2の取り付け手段42は、本体6の側面において、ハウジング8中又はハウジング8上に配置されていてもよい。
【0041】
また、取り付け手段38が1つ又は複数の磁石を含む実施形態において、第2の取り付け手段42は、ハウジング8中又はハウジング8上に配設された1つ若しくは複数の磁石又は鉄鋼材料の領域を含んでいてもよい。したがって、ハウジング8中に配設されて取り付け手段38の一部を構成する1つ若しくは複数の磁石又は鉄鋼材料によれば、本体6の第1の端部12から離れた場所で、マウスピース18をハウジング8に取り付けることができる。
【0042】
使用時、ユーザは、本体6の第1の端部12でハウジング8からマウスピース18を取り外した後、物品4をチャンバ10に挿入する前に、第2の取り付け手段42を使用して、マウスピース18をハウジング8に保持するようにしてもよい。このように、第2の取り付け手段42は、ユーザが使用のためにデバイス2を準備している間、マウスピース18を保持するための便利な構成となる。
【0043】
図2a及び図2bは、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するエアロゾル供給デバイスシステム44を示している。システム44は、デバイス2を受容するキャリーケース46を備える。デバイス2は、上述のものに類似する。
【0044】
キャリーケース46は、ケース本体48と、本体48に形成されたキャビティ50と、を備える。キャリーケース46は、上側の第1の表面(すなわち、近位面)52を規定するとともに、下側の第2の表面(すなわち、遠位面)54まで延びている。
【0045】
キャビティ50は、キャリーケース46の上面52に形成され、キャリーケース46の途中の長さまで下面54に向かって下方に延びている。キャビティ50は、滑り嵌めにてデバイス本体6を受容するように成形及びサイズ規定されているため、デバイス2のマウスピース18は、キャリーケース46の上面52の上側に少なくとも一部が突き出る。図示の例においては、後述の通り、ユーザによる使用の容易化のため、マウスピース18全体が上面52の上側に延びている。
【0046】
キャビティ50は、ソケット/ポート等、デバイス2がキャビティ50に配設された場合にデバイス2の電気コネクタとのインターフェースとなるように構成された電気的コネクタ/構成要素(図示せず)を備えていてもよい。キャリーケースの本体48には、電源(例えば、バッテリ)を備えていてもよく、デバイス本体6がキャビティ内にある間にデバイス2の電源を充電する。代替実施形態において、キャリーケース46は、例えば無線充電の使用等、デバイス2のバッテリを充電する他の手段を備えていてもよい。
【0047】
キャリーケース46は、前記キャリーケース46の外面56上に配設された別の電気的コネクタ/構成要素(図示せず)を備えていてもよい。コネクタは、ソケット/ポートであってもよく、ケーブルを受容してキャリーケースの電源を充電することができる。或いは、キャリーケース46の電源は、無線充電可能であってもよい。
【0048】
デバイス2は、上記実施形態に関する記載と同じように使用可能である。ユーザは、最初にキャリアケース46のキャビティ50から取り出し、デバイス2の使用に関して上述したステップを実行することによってデバイス2を使用した後、キャリアケース46のキャビティ50にデバイス2を再配置するようにしてもよい。
【0049】
或いは、ユーザは、如何なる段階においてもキャリーケース46から取り出すことなく、上述のようにデバイス2を使用するようにしてもよい。マウスピース18は、この種の使用がより便利となるように、上述の通り、キャリーケース46の上面52の上側に全体が突き出ていてもよい。
【0050】
キャリーケース46の使用によって、例えばキャリーケース本体48に電源を設けることにより、デバイス2の電源の蓄電要件が抑えられることでデバイス2のサイズを縮小可能となり得る。デバイス2のサイズが小さくなると、使用がより便利になり得る。
【0051】
一実施形態において、キャリーケース46は、マウスピース18用の第3の取り付け手段58を備えていてもよい。第3の取り付け手段58としては、上記実施形態に関して記載の第2の取り付け手段42と同じものも可能であるが、デバイス2のハウジング8ではなくキャリーケース46の外面56中又は外面56上に配設されていることから、デバイス2がキャリーケース46のキャビティ50内にある間のマウスピース18の保持に用いられるよういになっていてもよい。第3の取り付け手段58は、第2の取り付け手段42に関して記載したような1つ若しくは複数の磁石又は鉄鋼材料を含むことも可能である。この第3の取り付け手段58は、デバイス2の第2の取り付け手段42に追加で設けることも可能である。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b