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特許7578812無線ネットワークにおける2つまたはそれ以上のサイトについての測定に基づくユーザ機器(UE)移動状態推定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】無線ネットワークにおける2つまたはそれ以上のサイトについての測定に基づくユーザ機器(UE)移動状態推定
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20241029BHJP
   H04W 8/22 20090101ALI20241029BHJP
【FI】
H04W64/00 171
H04W8/22
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023523581
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 SE2020051001
(87)【国際公開番号】W WO2022086378
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【弁理士】
【氏名又は名称】小梶 晴美
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(72)【発明者】
【氏名】ウィグレン, トーブジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, ヴァルテル
【審査官】▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-131088(JP,A)
【文献】特表2009-533990(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0060810(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0206075(US,A1)
【文献】Anthony F. Ganovese,The Interacting Multiple Model Algorithm for Accurate State Estimation of Maneuvering Targets,Johns Hopkins APL Technical Digest,2001年,VOLUME 22, NUMBER 4,pp.614-623
【文献】Ashraf Tahat,A Look at the Recent Wireless Positioning Techniques With a Focus on Algorithms for Moving Receivers,IEEE Access,2016年09月07日,volume 4, 2016,pp.6652-6680
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線アクセスネットワーク(RAN)において動作するユーザ機器(UE)の移動状態を決定するための方法であって、前記方法は、
前記RANにおける複数の送信ポイント(TP)から受信された信号上で測位測定を実施すること(1940)であって、前記測位測定が、
第1のTPからの信号のドップラーシフトの第1の測定と、
前記第1のTPから空間的に分離された第2のTPからの信号のドップラーシフトの第2の測定と、
第3のTPからの信号の第3の測定と
を含む、測位測定を実施すること(1940)と、
前記測位測定と対話型複数モデル(IMM)とに基づいて、UE移動状態を決定すること(1950)であって、前記IMMが、
第1のほぼ一定速度モデルと、
第2の操作速度モデルと、
前記第1のモデルと前記第2のモデルとに共通のドップラーシフトバイアスと
を含む、UE移動状態を決定すること(1950)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記第3の測定が、信号ラウンドトリップタイム(RTT)のものであり、
前記第3のTPが、前記第1のTPまたは前記第2のTPと同じである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3の測定が、前記UEについての以下、すなわち、
1次セル(PCell)と、
1次2次セル(PSCell)と、
2次セル(SCell)と
のいずれかに関するUEタイミングアドバンスに基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の測定が、ドップラーシフトのものであり、
前記第3のTPが、前記第1のTPからおよび前記第2のTPから空間的に分離された、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記UE移動状態が、
2次元(2D)水平位置と、
2D水平速度と、
ドップラーシフトバイアスと
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記IMMが、前記UE移動状態の逐次更新中の前記第1のモデルおよび前記第2のモデルのいずれかの間の前記UEのそれぞれの遷移確率を備える隠れマルコフモデル(HMM)をも含み、
各遷移確率が、前記UE移動状態の逐次更新間の持続時間に依存する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記IMMが、前記第1のモデルおよび前記第2のモデルに関連する推定確率をも含み、
前記UE移動状態を決定することが、
それぞれの前記第1のモデルおよび前記第2のモデルに基づいて、前記UEについての第1の移動状態および第2の移動状態を決定すること(1951)と、
前記推定確率に従って、前記第1の移動状態および前記第2の移動状態を前記UE移動状態に組み合わせること(1952)と
を含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の移動状態および前記第2の移動状態が、それぞれの拡張カルマンフィルタ(EKF)を使用して決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のTPおよび前記第2のTPのうちの一方が、前記RANにおける前記UEのためのサービングセルに関連し、
前記第1のTPおよび前記第2のTPのうちの他方が、前記RANにおける前記UEのためのネイバーセルに関連する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のTPおよび前記第2のTPのうちの少なくとも1つに関連するRANノードから、測位測定設定を受信することをさらに含み、前記測位測定設定が、以下、すなわち、
UE移動状態の決定を始動するための要求と、
UE移動状態の決定を始動するための1つまたは複数の第1のトリガイベントと、
測定されるべき信号の1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)の識別情報と、
前記UEと前記RANノードに関連するTPとの間の推定信号ラウンドトリップタイム(RTT)と、
前記推定信号RTTに関連する前記TPの識別情報と、
ドップラーシフト測定のための複数の候補TPの識別情報と、
前記複数の候補TPによって使用されるダウンリンクキャリア周波数の識別情報と、
前記複数の候補TPについてのそれぞれのロケーションと、
ドップラーシフト測定のためのTPを選択するための1つまたは複数のルールまたは基準と、
UE移動状態を報告するための1つまたは複数の第2のトリガイベントと、
UE移動状態の報告を停止するための1つまたは複数の第3のトリガイベントと、
UE移動状態の周期的報告のための報告間隔と
のうちの1つまたは複数を含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数の第3のトリガイベントが、前記測位測定設定において識別されたそれぞれの前記1つまたは複数の第2のトリガイベントから暗黙的である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記UE移動状態を決定することが、
前記RANノードから受信された前記推定信号RTTに基づいて、前記UE移動状態の第1の値を決定すること(1953)と、
その後、前記UEと前記第1のTPまたは前記第2のTPとの間の信号RTTのUE測位測定に基づいて、前記UE移動状態の1つまたは複数の第2の値を決定すること(1954)と
を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数の第2のトリガイベントが、以下、すなわち、
エリアの内部または外部の位置と、
位置変化しきい値と、
速さまたは速度しきい値と、
速さまたは速度変化しきい値と
のいずれかを含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記RANノードから、移動状態決定のUE能力についての要求を受信すること(1910)と、
前記RANノードに、前記UEは移動状態決定が可能であるという指示を送ること(1920)と
をさらに含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
指示を送ること(1920)の後に、前記測位測定設定が受信され、
前記測位測定を実施すること(1940)が、前記測位測定設定を受信すること(1930)に応答したものである、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記RANノードに1つまたは複数の測定報告を送ること(1960)をさらに含み、各測定報告が、以下、すなわち、第2のトリガイベントと第3のトリガイベントと前記報告間隔とのうちの1つまたは複数に応答したものである、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数の測定報告が、
前記第2のトリガイベントに応答した第1の測定報告と、
前記第1の測定報告の後および前記第3のトリガイベントの発生までのそれぞれの1つまたは複数の報告間隔における1つまたは複数の第2の測定報告と
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各測定報告が、
特定の測定時間において決定された前記UE移動状態の少なくとも一部と、
前記特定の測定時間と、
含まれる前記UE移動状態が決定された前記測位測定において使用されたTPとキャリア周波数と信号とのうちの1つまたは複数の識別情報と
を含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
無線アクセスネットワーク(RAN)(100、499、920、2330)において動作しながら移動状態を決定するように設定されたユーザ機器(UE)(120、405、910、1810、2100、2310)であって、前記UEは、
RANノード(105、110、115、410、420、921、922、1820、2200)と通信することと、前記RANから受信された信号上で測定を実施することとを行うように設定された無線トランシーバ回路(2140)と、
前記無線トランシーバ回路に動作可能なように結合された処理回路(2110)であって、それにより、前記処理回路と前記無線トランシーバ回路とが、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法に対応する動作を実施するように設定された、処理回路(2110)と
を備える、ユーザ機器(UE)(120、405、910、1810、2100、2310)。
【請求項20】
無線アクセスネットワーク(RAN)(100、499、920、2330)において動作しながら移動状態を決定するように設定されたユーザ機器(UE)(120、405、910、1810、2100、2310)であって、前記UEが、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法に対応する動作を実施するようにさらに構成された、ユーザ機器(UE)(120、405、910、1810、2100、2310)。
【請求項21】
無線アクセスネットワーク(RAN)(100、499、920、2330)において動作しながら移動状態を決定するように設定されたユーザ機器(UE)(120、405、910、1810、2100、2310)の処理回路(2110)によって実行されたとき、前記UEを、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法に対応する動作を実施するように設定するコンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体(2120)。
【請求項22】
無線アクセスネットワーク(RAN)(100、499、920、2330)において動作しながら移動状態を決定するように設定されたユーザ機器(UE)(120、405、910、1810、2100、2310)の処理回路(2110)によって実行されたとき、前記UEを、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法に対応する動作を実施するように設定するコンピュータ実行可能命令を備えるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無線ネットワークに関し、詳細には、無線ネットワークにおける2つまたはそれ以上の空間的に分離されたサイト(たとえば、送信ポイント)によって送信された信号のUE測定に基づいて、ユーザ機器(エアリアルUE(aerial UE)を含む、UE)についての2次元移動状態を推定することに関する。
【背景技術】
【0002】
Long Term Evolution(LTE)は、エボルブドUniversal Mobile Telecommunications System(UMTS)地上無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)としても知られる、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)内で開発され、リリース8(Rel-8)およびリリース9(Rel-9)において最初に規格化された、いわゆる第4世代(4G)無線アクセス技術のための包括的用語である。LTEは、様々なライセンス済み周波数帯域をターゲットにしており、エボルブドパケットコア(EPC)ネットワークを含む、一般にシステムアーキテクチャエボリューション(SAE)と呼ばれる非無線態様に対する改善が付随する。LTE E-UTRANは、複数のエボルブドノードB(eNB)を備え、それらの各々が、1つまたは複数のセルを介してUEと通信する。
【0003】
LTEネットワークとユーザ機器(UE)との間の通信は、マルチレイヤプロトコルスタックに基づく。LTE PHYのための多元接続方式は、ダウンリンク(DL)、たとえば、E-UTRANからユーザ機器(UE)へでは、サイクリックプレフィックス(CP)を用いた直交周波数分割多重(OFDM)に基づき、アップリンク(UL)、たとえば、UEからE-UTRANへでは、サイクリックプレフィックスを用いたシングルキャリア周波数分割多元接続(SC-FDMA)に基づく。
【0004】
LTEは、3GPPと、無線アクセスネットワーク(RAN)ワーキンググループ(WG)を含む3GPPのWGおよびサブワーキンググループ(たとえば、RAN1、RAN2など)とを伴う規格セッティングプロセスに従って開発される後続のリリースを通して発展し続ける。LTE Rel-10は、20MHzよりも大きい帯域幅をサポートする。Rel-10に関する1つの重要な要件は、LTE Rel-8とのバックワードコンパチビリティである。これは、(たとえば、20MHzよりも広い)広帯域LTE Rel-10キャリアが、LTE Rel-8(「レガシー」)端末(「ユーザ機器」またはUE)にとって複数のキャリアのように見えるべきである、スペクトルコンパチビリティをも含む。そのような各キャリアは、コンポーネントキャリア(CC)と呼ばれることがある。効率的な使用のために、レガシー端末は、広帯域LTE Rel-10キャリアのすべての部分においてスケジュールされ得る。これは、キャリアアグリゲーション(CA)によって行われ得、Rel-10端末は、各々がRel-8キャリアと同じ構造を有する、複数のCCを受信する。LTE Rel-12は、デュアルコネクティビティ(DC)を導入し、それにより、UEが同時に2つのネットワークノードに接続され、それにより、接続ロバストネスおよび/または容量を改善し得る。
【0005】
3GPP規格は、LTEネットワークにおいて動作するUEを測位する(たとえば、それらのUEの、位置を決定する、位置特定を行う、および/またはロケーションを決定する)ための様々なやり方を提供する。概して、(エボルブドサービングモバイルロケーションセンタ(「E-SMLC」また「ロケーションサーバ」と呼ばれる)LTE測位ノードは、1つまたは複数の測位方法に従って1つまたは複数の測位測定を実施するように、ターゲットデバイス(たとえば、UE)、eNB、および/または測位測定に専用の無線ネットワークノード(たとえば、「ロケーション測定ユニット」または「LMU」)を設定する。たとえば、測位測定は、UE、ネットワーク、および/または衛星送信に関するタイミング(および/またはタイミング差)測定を含むことができる。測位測定は、ターゲットデバイスのロケーションを決定するために、ターゲットデバイス(たとえば、UE)、測定ノード、および/またはE-SMLCによって使用される。また、(「ロケーションサービス」またはLCSとも呼ばれる)UE測位は、NRネットワークのための重要な特徴であることが予想される。
【0006】
現在、新無線(New Radio:NR)とも呼ばれるセルラシステムの第5世代(「5G」)が、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)内で規格化されている。NRは、多くの異なる使用事例をサポートするための最大フレキシビリティのために開発される。これらは、モバイルブロードバンドと、マシン型通信(MTC)と、超低レイテンシクリティカル通信(URLCC)と、サイドリンクD2D(device-to-device)と、いくつかの他の使用事例とを含む。第5世代NR技術は、特にプロトコルレイヤおよび無線インターフェースに関して、第4世代LTEと多くの類似性を共有する。LTEの場合のように、セルを介したカバレッジを提供することに加えて、NRネットワークは、「ビーム」を介したカバレッジをも提供する。たとえば、DL「ビーム」は、UEによって測定または監視され得るネットワークの送信した参照信号(RS)のカバレッジエリアであり得る。ULビームは、同様の様式でUEによって送信される。DLビームは、すべての近接UEにとって利用可能である(「共通」)か、またはネットワークへの特定のUEの接続をサポートするように調整され得る(「専用」)。
【0007】
測位が、5G/NRネットワークについての重要な適用例であることも予想される。これらのネットワークは、LTEにおいてサポートされるものと同様の、ただし、NR測位測定に基づく、測位方法をサポートすることになる。NRは、LTEネットワークにおいて使用されるものとは異なるタイプの測定に基づく1つまたは複数の追加の測位方法をもサポートすることになる。しかしながら、現在想定されるLTEおよびNR測位方法のいずれも、緊急ロケーションと、個人の安全と、無人航空機(たとえば、エアリアルUEまたはドローン)とを含むいくつかの使用事例のために必要とされる(たとえば、屋内を含む)正確さと利用可能性との組合せを提供しない。
【発明の概要】
【0008】
本開示の実施形態は、上記で要約され、以下でより詳細に説明される例示的な問題を克服するためのソリューションを提供すること、可能にすること、および/または容易にすることなどによって、RANにおいて動作するUEについての移動状態(たとえば、2D位置および速度)を決定することに対する特定の改善を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態が、無線アクセスネットワーク(RAN)において動作するユーザ機器(UE)の移動状態を決定するための方法(たとえば、プロシージャ)を含む。これらの例示的な方法は、RAN(たとえば、E-UTRAN、NG-RAN)において動作するUE(たとえば、無線デバイス、エアリアルUEなど)によって実装され得る。
【0010】
これらの例示的な方法は、RANにおける複数の送信ポイント(TP)から受信された信号上で測位測定を実施することを含むことができる。測位測定は、以下、すなわち、
・ 第1のTPからの信号のドップラーシフトの第1の測定と、
・ 第1のTPから空間的に分離された第2のTPからの信号のドップラーシフトの第2の測定と、
・ 第3のTPからの信号の第3の測定と
を含むことができる。
【0011】
これらの例示的な方法は、測位測定と対話型複数モデル(IMM:interacting multiple-model)とに基づいて、UE移動状態を決定することをも含むことができ、IMMは、第1のほぼ一定速度(almost-constant velocity)モデルと、第2の操作速度モデルと、第1のモデルと第2のモデルとに共通のドップラーシフトバイアス状態とを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、第3の測定は、信号ラウンドトリップタイム(RTT)のものであり、第3のTPは、第1のTPまたは第2のTPと同じである。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第3の測定は、UEについての以下、すなわち、1次セル(PCell)と、1次2次セル(PSCell)と、2次セル(SCell)とのいずれかに関するUEタイミングアドバンス(TA)に基づく。
【0013】
他の実施形態では、第3の測定は、ドップラーシフトのものであり、第3のTPは、第1のTPからおよび第2のTPから空間的に分離される。
【0014】
いくつかの実施形態では、決定されたUE移動状態は、2次元(2D)水平位置と、2D水平速度と、ドップラーシフトバイアスとを含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、IMMモデルは、UE移動状態の逐次更新中の第1のモデルおよび第2のモデルのいずれかの間のUEのそれぞれの遷移確率を備える隠れマルコフモデル(HMM)をも含む。そのような実施形態では、各遷移確率が、UE移動状態の逐次更新間の持続時間に依存する。
【0016】
いくつかの実施形態では、IMMモデルは、第1のモデルおよび第2のモデルに関連する推定確率を含むことができる。そのような実施形態では、決定する動作は、それぞれの第1のモデルおよび第2のモデルに基づいて、UEについての第1の移動状態および第2の移動状態を決定することと、推定確率に従って、第1の移動状態および第2の移動状態をUE移動状態に組み合わせることとを含むことができる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1の移動状態および第2の移動状態は、それぞれの拡張カルマンフィルタ(EKF)を使用して決定され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のTPおよび第2のTPのうちの一方が、RANにおけるUEのためのサービングセルに関連し得、第1のTPおよび第2のTPのうちの他方が、RANにおけるUEのためのネイバーセルに関連する。
【0018】
いくつかの実施形態では、これらの例示的な方法は、第1のTPおよび第2のTPのうちの少なくとも1つに関連するRANノードから、測位測定設定を受信することをも含むことができ、測位測定設定は、以下、すなわち、
・ UE移動状態の決定を始動するための要求と、
・ UE移動状態の決定を始動するための1つまたは複数の第1のトリガイベントと、
・ 測定されるべき信号の1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)の識別情報と、
・ UEとRANノードに関連するTPとの間の推定信号ラウンドトリップタイム(RTT)と、
・ 推定RTTに関連するTPの識別情報と、
・ ドップラーシフト測定のための複数の候補TPの識別情報と、
・ 複数の候補TPによって使用されるダウンリンク(DL)キャリア周波数の識別情報と、
・ 複数の候補TPについてのそれぞれのロケーションと、
・ ドップラーシフト測定のためのTPを選択するための1つまたは複数のルールまたは基準と、
・ UE移動状態を報告するための1つまたは複数の第2のトリガイベントと、
・ UE移動状態の報告を停止するための1つまたは複数の第3のトリガイベントと、
・ UE移動状態の周期的報告のための報告間隔と
のうちの1つまたは複数を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第3のトリガイベントは、測位測定設定において識別されたそれぞれの1つまたは複数の第2のトリガイベントから暗黙的である。
【0020】
様々な実施形態では、決定する動作は、RANノードから受信された推定信号RTTに基づいて、UE移動状態の第1の値を決定することと、その後、UEと第1のTPまたは第2のTPとの間の信号RTTのUE測位測定に基づいて、UE移動状態の1つまたは複数の第2の値を決定することとを含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第2のトリガイベントは、以下、すなわち、
・ エリアの内部または外部の位置と、
・ 位置変化しきい値と、
・ 速さ(スカラ)または速度(ベクトル)しきい値と、
・ 速さ(スカラ)または速度(ベクトル)変化しきい値と
のいずれかを含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、これらの例示的な方法は、RANノードから、移動状態決定のUE能力についての要求を受信することと、RANノードに、UEは移動状態決定が可能であるという指示を送ることとをも含むことができる。いくつかの実施形態では、測定設定は、指示を送ることの後に受信され得る。同様に、測位測定を実施することは、測定設定を受信することに応答したものであり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、これらの例示的な方法は、RANノードに1つまたは複数の測定報告を送ることをも含むことができ、各測定報告は、受信された測位測定設定からの以下、すなわち、第2のトリガイベントと第3のトリガイベントと報告間隔とのうちの1つまたは複数に応答したものである。たとえば、第1の測定報告は、第2のトリガイベントに応答して送られ得、1つまたは複数の第2の測定報告は、第1の測定報告の後および第3のトリガイベントの発生までのそれぞれの1つまたは複数の報告間隔において送られ得る。いくつかの実施形態では、各測定報告は、
・ 特定の測定時間において決定されたUE移動状態の少なくとも一部と、
・ 特定の測定時間と、
・ 含まれるUE移動状態がそこから決定された、測位測定において使用されたTP、キャリア周波数、および/または信号の識別情報と
を含むことができる。
【0024】
他の実施形態は、移動状態のユーザ機器(UE)決定を容易にするための方法(たとえば、プロシージャ)を含む。これらの例示的な方法は、RAN(たとえば、E-UTRAN、NG-RAN)におけるセルをサーブするRANノード(たとえば、基地局、eNB、gNB、ng-eNB、en-gNBなど)によって実装され得る。
【0025】
これらの例示的な方法は、RANノードに関連する第1の送信ポイント(TP)において、ドップラーシフトの第1のUE測定を容易にする1つまたは複数の信号を送信することを含むことができる。これらの例示的な方法は、UEから、
・ ドップラーシフトの第1のUE測定と、
・ 第1のTPから空間的に分離された第2のTPによって送信された信号のドップラーシフトの第2のUE測定と、
・ 第3のTPからの信号の第3の測定と、
・ 対話型複数モデル(IMM)と
に基づいてそれぞれの1つまたは複数の測定時間において決定されたUE移動状態の少なくとも一部を含む1つまたは複数の測定報告を受信することであって、IMMが、
○ 第1のほぼ一定速度モデルと、
○ 第2の操作速度モデルと、
○ 第1のモデルと第2のモデルとに共通のドップラーシフトバイアス状態と
を含む、1つまたは複数の測定報告を受信することをも含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、第3の測定は、信号ラウンドトリップタイム(RTT)のものであり、第3のTPは、第1のTPまたは第2のTPと同じである。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第3の測定は、UEについての以下、すなわち、1次セル(PCell)と、1次2次セル(PSCell)と、2次セル(SCell)とのいずれかに関するUEタイミングアドバンス(TA)に基づく。
【0027】
他の実施形態では、第3の測定は、ドップラーシフトのものであり、第3のTPは、第1のTPからおよび第2のTPから空間的に分離される。
【0028】
いくつかの実施形態では、UE移動状態は、2次元(2D)水平位置と、2D水平速度と、ドップラーシフトバイアスとを含むことができる。たとえば、2D水平位置および2D水平速度は、(1つまたは複数の)受信された測定報告中に含まれ得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1のTPは、RANにおけるUEのためのサービングセルに関連し得、第2のTPは、RANにおけるUEのためのネイバーセルに関連し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、例示的な方法は、UEに、UE実施形態に関して上記で要約された特徴のいずれかを含む測位測定設定を送ることをも含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、例示的な方法は、UEに、移動状態決定のUE能力についての要求を送ることと、UEから、UEは移動状態決定が可能であるという指示を受信することとをも含むことができる。いくつかの実施形態では、測定設定は、指示を受信することの後に送られ得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の測定報告は、
・ RANノードによって決定された推定信号RTTに基づいて決定されたUE移動状態の少なくとも一部を含む、第1の測定報告と、
・ UEと第1のTPとの間の信号RTTのUE測位測定に基づいて決定されたUE移動状態の少なくとも一部を含む、1つまたは複数の後続の第2の測定報告と
を含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、各測定報告は、UE実施形態について上記で要約されたものと同様の様式で、測位測定設定中に含まれる第2のトリガイベント、第3のトリガイベント、および/または報告間隔に応答したものであり得る。いくつかの実施形態では、各測定報告は、以下、すなわち、
・ 含まれるUE移動状態に対応する測定時間と、
・ 含まれるUE移動状態がそこから決定された、UE測位測定において使用されたTP、キャリア周波数、および/または信号の識別情報と
をも含むことができる。
【0034】
他の実施形態は、本明細書で説明される例示的な方法のいずれかに対応する動作を実施するように設定されたUE(たとえば、無線デバイス、エアリアルUEなど、またはそれらの構成要素)と、RANノード(たとえば、基地局、eNB、gNB、ng-eNB、ng-gNBなど、またはそれらの構成要素)とを含む。他の実施形態は、処理回路によって実行されたとき、そのようなUEまたはRANノードを、本明細書で説明される例示的な方法のいずれかに対応する動作を実施するように設定するプログラム命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含む。
【0035】
本明細書で開示される実施形態のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、以下で手短に説明される図面に鑑みて以下の発明を実施するための形態を読むと明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】3GPPによって規格化されたようなLong-Term Evolution(LTE)拡張UTRAN(E-UTRAN)およびエボルブドパケットコア(EPC)ネットワークの例示的なアーキテクチャの高レベルブロック図である。
図2】UEとeNBとMMEとの間の例示的なLTE制御プレーン(CP)プロトコルスタックを示す図である。
図3】LTEネットワークにおけるUE測位のための高レベルアーキテクチャを示す図である。
図4】本開示の様々な例示的な実施形態による、例示的な5Gネットワークアーキテクチャの高レベル図である。
図5】NRユーザプレーン(UP)および制御プレーン(CP)プロトコルスタックの例示的な設定を示す図である。
図6】UEと基地局との間のラウンドトリップタイム(RTT)を測定することの原理を示す図である。
図7】カルマンフィルタの例示的な流れ図である。
図8】並列に動作するr個の対話型拡張カルマンフィルタ(EKF:enhanced Kalman filter)を含む、対話型複数モデル(IMM)アルゴリズムの1つの動作サイクルを示すブロック図である。
図9】本開示の様々な例示的な実施形態による、例示的なUE移動状態推定システムのブロック図である。
図10】A~Bは、本開示のいくつかの実施形態による、2つのドップラーシフト測定にラウンドトリップタイム(RTT)測定を追加する場合および追加しない場合のUE移動状態推定システムの可観測性を示す図である。
図11A】それらの実施形態のシミュレーションにおいて使用される、水平平面における実際のUE位置のプロットの図である。
図11B】それらの実施形態のシミュレーションにおいて使用される、水平平面における実際のUE速度のプロットの図である。
図12A】それらの実施形態のシミュレーションによる、UEドップラーシフト測定標準偏差とRTT測定標準偏差との関数としての推定水平位置の平均2乗誤差(MSE)を示す図である。
図12B】それらの実施形態のシミュレーションによる、UEドップラーシフト測定標準偏差とRTT測定標準偏差との関数としての推定水平速度のMSEを示す図である。
図12C】それらの実施形態のシミュレーションによる、UEドップラーシフト測定標準偏差とRTT測定標準偏差との関数としての推定UE周波数バイアスのMSEを示す図である。
図13A】それらの実施形態のシミュレーションにおいて使用される7つのサイトに関連するRTT測定を示す図である。
図13B】それらの実施形態のシミュレーションにおいて使用される7つのサイトに関連するUEドップラー測定を示す図である。
図14A】推定UE水平位置に関するそれらの実施形態のシミュレーションについての結果を示す図である。
図14B】推定UE水平速度に関するそれらの実施形態のシミュレーションについての結果を示す図である。
図14C】推定UEドップラーバイアスに関するそれらの実施形態のシミュレーションについての結果を示す図である。
図14D】IMMのモード確率に関するそれらの実施形態のシミュレーションについての結果を示す図である。
図15】本開示のさらなる実施形態による、第3のドップラーシフト測定を追加することによるUE移動状態推定システムの可観測性を示す図である。
図16A】さらなる実施形態のシミュレーションによる、UEドップラーシフト測定標準偏差とサンプリング期間との関数としての、推定水平位置のMSEを示す図である。
図16B】さらなる実施形態のシミュレーションによる、UEドップラーシフト測定標準偏差とサンプリング期間との関数としての推定水平速度のMSEを示す図である。
図16C】さらなる実施形態のシミュレーションによる、UEドップラーシフト測定標準偏差とサンプリング期間との関数としての推定UE周波数バイアスのMSEを示す図である。
図17A】推定UE水平位置に関するさらなる実施形態のシミュレーションについての結果を示す図である。
図17B】推定UE水平速度に関するさらなる実施形態のシミュレーションについての結果を示す図である。
図17C】推定UEドップラーバイアスに関するさらなる実施形態のシミュレーションについての結果を示す図である。
図17D】IMMのモード確率に関するさらなる実施形態のシミュレーションについての結果を示す図である。
図18】本開示の様々な例示的な実施形態による、UEとRANノードとコアネットワーク(CN)ノードとの間の様々な動作の信号フロー図である。
図19】本開示の様々な例示的な実施形態による、ユーザ機器(UE、たとえば、無線デバイス、エアリアルUEなど)のための例示的な方法(たとえば、プロシージャ)を示す流れ図である。
図20】本開示の様々な例示的な実施形態による、無線アクセスネットワーク(RAN)ノード(たとえば、基地局、eNB、gNB、ng-eNB、en-gNBなど、またはそれらの構成要素)のための例示的な方法(たとえば、プロシージャ)を示す流れ図である。
図21】本開示の様々な例示的な実施形態による、例示的な無線デバイスまたはUEのブロック図である。
図22】本開示の様々な例示的な実施形態による、例示的なネットワークノードのブロック図である。
図23】本開示の様々な例示的な実施形態による、ホストコンピュータとUEとの間のオーバーザトップ(OTT)データサービスを提供するように設定された例示的なネットワークのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、添付の図面を参照しながら、本明細書で企図される実施形態のうちのいくつかがより十分に説明される。しかしながら、他の実施形態は、本明細書で開示される主題の範囲内に含まれており、開示される主題は、本明細書に記載される実施形態のみに限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、当業者に主題の範囲を伝達するために、例として提供される。
【0038】
概して、本明細書で使用されるすべての用語は、異なる意味が、明確に与えられ、および/またはその用語が使用されるコンテキストから暗示されない限り、関連のある技術分野における、それらの用語の通常の意味に従って解釈されるべきである。1つの(a/an)/その(the)エレメント、装置、構成要素、手段、ステップなどへのすべての言及は、別段明示的に述べられていない限り、そのエレメント、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの事例に言及しているものとしてオープンに解釈されるべきである。本明細書で開示されるいずれの方法および/またはプロシージャのステップも、ステップが、別のステップに後続するかまたは先行するものとして明示的に説明されない限り、および/あるいはステップが別のステップに後続するかまたは先行しなければならないことが暗黙的である場合、開示される厳密な順序で実施される必要はない。本明細書で開示される実施形態のいずれかの任意の特徴は、適切であればいかなる場合も、任意の他の実施形態に適用され得る。同様に、実施形態のいずれかの任意の利点は、任意の他の実施形態に適用され得、その逆も同様である。同封の実施形態の他の目標、特徴、および利点は、以下の説明から明らかになる。
【0039】
さらに、以下の用語が、以下で与えられる説明全体にわたって使用される。
・ 無線ノード:本明細書で使用される「無線ノード」は、「無線アクセスノード」または「無線デバイス」のいずれかであり得る。
・ 無線アクセスノード:本明細書で使用される「無線アクセスノード」(または等価的に、「無線ネットワークノード」、「無線アクセスネットワークノード」、または「RANノード」)は、信号を無線で送信および/または受信するように動作する、セルラ通信ネットワークの無線アクセスネットワーク(RAN)における任意のノードであり得る。無線アクセスノードのいくつかの例は、限定はしないが、基地局(たとえば、3GPP第5世代(5G)NRネットワークにおける新無線(NR)基地局(gNB)、あるいは3GPP LTEネットワークにおける拡張またはエボルブドノードB(eNB))と、基地局分散構成要素(たとえば、集中型ユニット(CU)および分散ユニット(DU))と、高電力またはマクロ基地局と、低電力基地局(たとえば、マイクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、またはホーム基地局など)と、無線アクセスバックホール統合伝送(IAB)ノードと、送信ポイント(TP)と、送信受信ポイント(TRP)と、リモートラジオユニット(RRU)またはリモート無線ヘッド(RRH)と、リレーノードとを含む。
・ コアネットワークノード:本明細書で使用される「コアネットワークノード」は、コアネットワークにおける任意のタイプのノードである。コアネットワークノードのいくつかの例は、たとえば、モビリティ管理エンティティ(MME)、サービングゲートウェイ(SGW)、パケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(P-GW)、ポリシおよび課金ルール機能(PCRF)、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)、セッション管理機能(SMF)、ユーザプレーン機能(UPF)、課金機能(CHF)、ポリシ制御機能(PCF)、認証サーバ機能(AUSF)、ロケーション管理機能(LMF)などを含む。
・ 無線デバイス:本明細書で使用される「無線デバイス」(または略して「WD」)は、ネットワークノードおよび/または他の無線デバイスと無線で通信することによって、セルラ通信ネットワークへのアクセスを有する(すなわち、セルラ通信ネットワークによってサーブされる)任意のタイプのデバイスである。無線で通信することは、空中で情報を伝達するのに好適な、電磁波、電波、赤外波、および/または他のタイプの信号を使用して無線信号を送信および/または受信することを伴うことができる。別段に記載されていない限り、「無線デバイス」という用語は、本明細書では「ユーザ機器」(または略して「UE」)と互換的に使用される。無線デバイスのいくつかの例は、限定はしないが、スマートフォン、モバイルフォン、セルフォン、ボイスオーバーIP(VoIP)フォン、無線ローカルループ電話、デスクトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、無線カメラ、ゲーミングコンソールまたはデバイス、音楽記憶デバイス、再生器具、ウェアラブルデバイス、無線エンドポイント、移動局、タブレット、ラップトップコンピュータ、ラップトップ組込み機器(LEE)、ラップトップ搭載機器(LME)、スマートデバイス、無線顧客構内機器(CPE)、モバイル型通信(MTC)デバイス、モノのインターネット(IoT)デバイス、車両搭載無線端末デバイス、エアリアルUE(または、ドローン)などを含む。
・ ネットワークノード:本明細書で使用される「ネットワークノード」は、無線アクセスネットワーク(たとえば、上記で説明された無線アクセスノードまたは等価な名称)または、セルラ通信ネットワークのコアネットワーク(たとえば、上記で説明されたコアネットワークノード)のいずれかの一部である任意のノードである。機能的に、ネットワークノードは、無線デバイスと、ならびに/あるいは、無線デバイスへの無線アクセスを可能にし、および/または提供するための、および/または、セルラ通信ネットワークにおいて他の機能(たとえば、アドミニストレーション)を実施するための、セルラ通信ネットワーク中の他のネットワークノードまたは機器と、直接または間接的に通信することが可能な、そうするように設定された、構成された、および/または動作可能な機器である。
・ 基地局:本明細書で使用される「基地局」は、無線信号の送信を送信または制御する物理または論理ノード、たとえば、eNB、gNB、ng-eNB、en-gNB、集中型ユニット(CU)/分散ユニット(DU)、送信無線ネットワークノード、送信ポイント(TP)、送信受信ポイント(TRP)、リモート無線ヘッド(RRH)、リモートラジオユニット(RRU)、分散アンテナシステム(DAS)、リレーなどを含み得る。
・ 測位ノード:本明細書で使用される「測位ノード」は、測位機能、たとえば、支援データを提供すること、測位測定を要求すること、測定測位に基づいてロケーションを計算すること、および/あるいは計算されたロケーションを他のネットワークノードにまたは外部クライアントに提供することを行うアビリティ(ability)をもつ、ネットワークノードを指すことができる。
・ 測位信号:本明細書で使用される「測位信号」は、DL参照信号、測位参照信号(PRS)、同期信号ブロック(SSB)、同期信号、復調用参照信号(DM-RS)、チャネル状態情報参照信号(CSI-RS)、サウンディング参照信号(SRS)、衛星信号など、測位測定を実施するためにUEまたはネットワークノードによって受信されるべき任意の信号またはチャネルを含み得る。
・ 測位測定:本明細書で使用される「測位測定」は、測位方法(たとえば、OTDOA、拡張セルID(E-CID)、支援GNSS(A-GNSS)など)のために設定された、タイミング測定(たとえば、到達時間差(TDOA)、RSTD、到達時間(TOA)、Rx-Tx時間差、ラウンドトリップタイム(RTT)など)、周波数関係測定(たとえば、ドップラーシフト)、電力ベース測定(たとえば、参照信号受信電力(RSRP)、参照信号受信品質(RSRQ)、信号対干渉プラス雑音比(SINR)、パスロスなど)、識別子検出/測定(たとえば、セルID、ビームIDなど)、および/または、他のセンサー測定(たとえば、気圧)を含み得る。UE測位測定は、ネットワークノードに報告され得るか、またはUEによって測位目的のために使用され得る。
【0040】
上記の規定は、排他的であることが意図されない。言い換えれば、上記の用語のうちの様々な用語が、同じまたは同様の専門用語を使用して本開示における他の場所で解説および/または説明され得る。それにもかかわらず、そのような他の解説および/または説明が上記の規定と矛盾する限り、上記の規定が支配するべきである。
【0041】
本明細書で与えられる説明は3GPPセルラ通信システムに焦点を当て、したがって、3GPP専門用語または3GPP専門用語に類似した専門用語がしばしば使用されることに留意されたい。しかしながら、本明細書で開示される概念は、3GPPシステムに限定されない。さらに、「セル」という用語が本明細書で使用されるが、(特に5G NRに関して)セルの代わりにビームが使用され得、したがって、本明細書で説明される概念がセルとビームの両方に等しく適用されることを理解されたい。
【0042】
手短に上記で述べられたように、現在想定されるLTEおよびNR測位方法のいずれも、緊急ロケーションと、個人の安全と、無人航空機(たとえば、エアリアルUEまたはドローン)とを含むいくつかの使用事例のために必要とされる(たとえば、屋内を含む)正確さと利用可能性との組合せを提供しない。これは、LTEおよび5G/NRネットワークアーキテクチャと、LTEおよびNR測位アーキテクチャとの以下の説明の後により詳細に説明される。
【0043】
LTEとSAEとを備えるネットワークの全体的な例示的なアーキテクチャが、図1に示されている。E-UTRAN100は、eNB105、110、および115など、1つまたは複数のエボルブドノードB(eNB)と、UE120など、1つまたは複数のユーザ機器(UE)とを含む。3GPP規格内で使用される「ユーザ機器」または「UE」は、第3世代(「3G」)および第2世代(「2G」)3GPP RANが通常知られているような、E-UTRANならびにUTRANおよび/または汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)GSM進化型高速データレート(EDGE)無線アクセスネットワーク(GERAN)を含む、3GPP規格準拠ネットワーク機器と通信することが可能である、任意の無線通信デバイス(たとえば、スマートフォンまたはコンピューティングデバイス)を意味する。
【0044】
3GPPによって指定されているように、E-UTRAN100は、無線ベアラ制御、無線アドミッション制御、無線モビリティ制御、スケジューリング、およびアップリンクおよびダウンリンクにおけるUE(たとえば、UE120)へのリソースの動的割り当て、ならびにUEとの通信のセキュリティを含む、ネットワークにおけるすべての無線関係機能の役目を果たす。これらの機能は、eNB105、110、および115など、eNB中に存在する。eNBの各々は、それぞれ、eNB105、110、および115によってサーブされるセル106、111、および116を含む、もう1つのセルを含む地理的カバレージエリアをサーブすることができる。
【0045】
E-UTRANにおけるeNBは、図1に示されているように、X2インターフェースを介して互いと通信する。eNBはまた、EPC130へのE-UTRANインターフェースの役目を果たし、詳細には、図1中で、MME/S-GW134および138としてまとめて示されている、モビリティ管理エンティティ(MME)およびサービングゲートウェイ(SGW)へのS1インターフェースの役目を果たす。概して、MME/S-GWは、UEの全体的制御と、UEとEPCの残りとの間のデータフローの両方をハンドリングする。より詳細には、MMEは、非アクセス階層(NAS)プロトコルとして知られる、UEとEPCとの間のシグナリング(たとえば、制御プレーン)プロトコルを処理する。SGWは、UEとEPCとの間のすべてのインターネットプロトコル(IP)データパケット(たとえば、データまたはユーザプレーン)をハンドリングし、UE120が、eNB105、110、および115など、eNB間を移動するとき、データベアラのためのローカルモビリティアンカーとして働く。
【0046】
EPC130はまた、ユーザ関係情報およびサブスクライバ関係情報を管理する、ホーム加入者サーバ(HSS)131を含むことができる。HSS131はまた、モビリティ管理、呼セットアップおよびセッションセットアップ、ユーザ認証、ならびにアクセス許可におけるサポート機能を提供することができる。HSS131の機能は、レガシーホームロケーションレジスタ(HLR)の機能と認証センタ(AuC)機能または動作とに関し得る。HSS131はまた、それぞれのS6aインターフェースを介して、MME/S-GW134および138と通信することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、HSS131は、Udインターフェースを介して、図1中でEPC-UDR135と標示された、ユーザデータリポジトリ(UDR)と通信することができる。EPC-UDR135は、ユーザ証明がAuCアルゴリズムによって暗号化された後に、ユーザ証明を記憶することができる。これらのアルゴリズムは、規格化されず(すなわち、ベンダー固有)、したがって、EPC-UDR135に記憶された暗号化された証明は、HSS131のベンダー以外の他のベンダーによってアクセス不可能である。
【0048】
図2は、UEとeNBとMMEとの間の例示的な制御プレーン(CP)プロトコルスタックのブロック図を示す。例示的なプロトコルスタックは、UEとeNBとの間の物理(PHY)レイヤと、媒体アクセス制御(MAC)レイヤと、無線リンク制御(RLC)レイヤと、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)レイヤと、無線リソース制御(RRC)レイヤとを含む。PHYレイヤは、LTE無線インターフェース上のトランスポートチャネル上でデータを転送するために、特性がどのように使用されるか、およびどんな特性が使用されるかに関係する。MACレイヤは、論理チャネル上で、データ転送サービスを提供し、論理チャネルをPHYトランスポートチャネルにマッピングし、これらのサービスをサポートするためにPHYリソースを再割り当てする。RLCレイヤは、上位レイヤにまたは上位レイヤから転送されるデータの、誤り検出および/または訂正と、連結と、セグメンテーションと、リアセンブリと、並べ替えとを提供する。PDCPレイヤは、CPとユーザプレーン(UP)の両方について暗号化/解読と完全性保護とを提供し、ならびに、ヘッダ圧縮など、他のUP機能を提供する。例示的なプロトコルスタックは、UEとMMEとの間の非アクセス階層(NAS)シグナリングをも含む。
【0049】
RRCレイヤは、無線インターフェースにおけるUEとeNBとの間の通信、ならびにE-UTRANにおけるセル間のUEのモビリティを制御する。UEが電源投入された後に、UEは、ネットワークとのRRC接続が確立されるまで、RRC_IDLE状態にあることになり、RRC接続が確立されたときに、UEは、RRC_CONNECTED状態に遷移することになる(たとえば、ここで、データ転送が行われ得る)。UEは、ネットワークとの接続が解放された後に、RRC_IDLEに戻る。RRC_IDLE状態において、UEの無線機は、上位レイヤによって設定された間欠受信(DRX)スケジュール上でアクティブである。(「DRXオン持続時間」とも呼ばれる)DRXアクティブ期間中に、RRC_IDLE UEは、サービングセルによってブロードキャストされたシステム情報(SI)を受信し、セル再選択をサポートするためにネイバーセルの測定を実施し、eNBを介したEPCからのページについてPDCCH上のページングチャネルを監視する。RRC_IDLE状態にあるUEは、EPCにおいて知られており、割り振られたIPアドレスを有するが、サービングeNBに知られていない(たとえば、記憶されたコンテキストがない)。
【0050】
図3は、LTEネットワーク内の例示的な測位アーキテクチャを示す。LTE測位アーキテクチャの3つの重要な機能エレメントは、LCSクライアント、LCSターゲット、およびLCSサーバである。LCSサーバは、(たとえば、図3においてE-SMLCまたはSLPによって具現された)物理または論理エンティティであり、このエンティティは、測位測定および他のロケーション情報を収集することと、必要なときに測位測定において端末を支援することと、LCSターゲットロケーションを推定することとによって、(たとえば、図3においてUEによって具現された)LCSターゲットについての測位を管理する。
【0051】
概して、LCSサーバは、コアネットワーク(CN、たとえば、EPC)中に位置し、MME、S-GW、およびパケットデータネットワークゲートウェイ(P-GW)などの他のCNノードおよび/または機能と通信し、および/またはそれらの他のCNノードおよび/または機能を介して通信する。E-SMLCは、制御プレーン(CP)測位の役目を果たし、異なるプロトコルを使用して様々なエンティティと通信する。たとえば、E-SMLCは、LCSアプリケーションプロトコル(LCS-AP)を介してMMEと通信し、(MMEに対して透過的であり得る)LTE測位プロトコルA(LPPa)を介してRAN(たとえば、E-UTRAN)と通信し、(RANとMMEの両方に対して透過的であり得る)LTE測位プロトコル(LPP)を介してLCSターゲットと通信する。対照的に、SLPは、ユーザプレーン(UP)測位プロシージャの役目を果たす。SLPは、LPPおよび/またはセキュアユーザプレーンロケーション(SUPL)プロトコルを介してUEと通信し、それらのプロトコルは、RANとS-GWとP-GWとを含む他のUPエンティティに対して透過的であり得る。RANとUEとの間のLTE無線インターフェースは、LTE-Uuとも呼ばれる。
【0052】
LCSクライアントは、図3中のUEなどの1つまたは複数のLCSターゲット(すなわち、測位されているエンティティ)についてのロケーション情報を取得する目的でLCSサーバと対話する、ソフトウェアおよび/またはハードウェアエンティティである。LCSクライアントはまた、LCSターゲット自体中に存在し得る。LCSクライアントは、ロケーション情報を取得するための要求をLCSサーバに送り、LCSサーバは、受信された要求を処理およびサーブし、測位結果と随意に速度推定とをLCSクライアントに送る。測位要求は、端末またはネットワークノードまたは外部クライアントから発生することができる。たとえば、外部LCSクライアントは、SUPLを介してSLPと通信し、ゲートウェイモバイルロケーションセンタ(GMLC)およびMMEを介してE-SMLCと通信することができる。
【0053】
図3に示されているLTEアーキテクチャでは、たとえば、LCSサーバ(たとえば、E-SMLCまたはSLP)によって、またはLCSターゲット(たとえば、UE)によって、位置計算が行われ得る。前者の手法は、それがUE測位測定に基づくときUE支援測位モードに対応し、後者は、UEベース測位モードに対応する。以下の測位方法が、LTEにおいてサポートされる。
・ 拡張セルID(E-CID)。UEをサービングセルの地理的エリアに関連付けるための情報と、さらに、より細かいグラニュラリティ位置を決定するための追加情報とを利用する。以下の測位測定、すなわち、到達角(AoA)(基地局のみ)、UE Rx-Tx時間差、タイミングアドバンス(TA)タイプ1および2、参照信号受信電力(RSRP)、ならびに参照信号受信品質(RSRQ)が、E-CIDについてサポートされる。
・ 支援GNSS(A-GNSS)。UEは、E-SMLCからUEに提供された支援情報によってサポートされる、グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)信号を受信および測定する。
・ OTDOA(観測到達時間差)。UEは、E-SMLCからUEに提供された支援情報によってサポートされる、(eNBと無線ビーコンとを含む)RANによって送信されたLTE信号を受信および測定する。
・ UTDOA(アップリンクTDOA)。UEは、知られている位置における(スタンドアロンであるか、コロケートされるか、またはeNBに組み込まれ得る)複数のロケーション測定ユニット(LMU)によって検出される、特定の波形を送信することを要求される。これらの測位測定は、マルチラテレーションのためにE-SMLCにフォワーディングされる。
【0054】
LCSターゲット(たとえば、UE)によって受信された無線信号に基づく測位方法をさらに向上させるために、地上波ビーコンシステム(TBS)が使用され得る。TBSは、測位目的のためにのみ、信号をブロードキャストする地上ベース送信機のネットワークを含むことができる。これらは、以下でより詳細に説明される、(非LTE)メトロポリタンビーコンシステム(MBS)信号ならびにLTE測位参照信号(PRS)を含むことができる。
【0055】
さらに、上記でリストされた測位方法の各々において、以下の測位モードのうちの1つまたは複数が利用され得る。
・ UE支援:UEは、ネットワークからの支援を受けてまたは受けずに測位測定を実施し、これらの測定を、位置計算が行われ得るE-SMLCに送る。
・ UEベース:UEは、ネットワークからの支援を受けて、測位測定を実施し、UE自体の位置を計算する。
・ スタンドアロン:UEは、ネットワーク支援を受けずに、測位測定を実施し、UE自体の位置を計算する。
【0056】
詳細な支援データは、ネットワークノードロケーション、ビーム方向、衛星軌道およびクロックなどに関する情報を含み得る。支援データは、ユニキャストを介してまたはブロードキャストを介して、UEに提供され得る。
【0057】
上述のように、測位が、5Gネットワークについての重要な適用例であることも予想される。図4は、次世代無線アクセスネットワーク(NG-RAN)499と5Gコア(5GC)498とを含む例示的な5Gネットワークアーキテクチャの高レベル図を示す。図に示されているように、NG-RAN499は、それぞれのXnインターフェースを介して互いと相互接続されるgNB410(たとえば、410a、b)とng-eNB420(たとえば、420a、b)とを含むことができる。gNBおよびng-eNBは、NGインターフェースを介して5GC598にも接続され、より詳細には、それぞれのNG-Cインターフェースを介してAMF(アクセスおよびモビリティ管理機能)430(たとえば、AMF430a、b)に接続され、それぞれのNG-Uインターフェースを介してUPF(ユーザプレーン機能)440(たとえば、UPF440a、b)に接続される。その上、AMF430a、bおよびUPF440a、bは、1つまたは複数のロケーション管理機能(LMF、たとえば、LMF450a、b)およびセッション管理機能(SMF、たとえば、SMF460a、b)と通信することができる。AMF、UPF、LMF、およびSMFは、以下でさらに説明される。
【0058】
gNB410の各々は、周波数分割複信(FDD)、時分割複信(TDD)、またはそれらの組合せを含む、NR無線インターフェースをサポートすることができる。対照的に、ng-eNB420の各々は、LTE無線インターフェースをサポートすることができるが、(図1に示されているものなどの)従来のLTE eNBとは異なり、NGインターフェースを介して5GCに接続することもできる。gNBおよびng-eNBの各々は、図4に例示として示されているセル411a~bおよび421a~bを含む、1つまたは複数のセルを含む地理的カバレッジエリアをサーブすることができる。上述のように、gNBおよびng-eNBはまた、それぞれのセルにおいてカバレッジを提供するために様々な方向性ビームを使用することができる。UE405がその中に位置する特定のセルに応じて、UE405は、それぞれ、NRまたはLTE無線インターフェースを介して、その特定のセルをサーブするgNBまたはng-eNBと通信することができる。
【0059】
gNB410の各々は、複数の送信受信ポイント(TRP)を含み、および/または複数のTRPに関連し得る。各TRPは、一般に、1つまたは複数のアンテナエレメントをもつアンテナアレイであり、特定の地理的ロケーションに位置する。このようにして、複数のTRPに関連するgNBは、TRPの各々から同じ信号または異なる信号を送信することができる。たとえば、gNBは、単一のUEに、複数のTRP上で同じ信号の異なるバージョンを送信することができる。TRPの各々はまた、上記で説明されたように、gNBによってサーブされるUEに向かう送信および受信のためのビームを採用することができる。
【0060】
UPF440a、bは、パケット検査および異なる施行アクション(たとえば、イベント検出および報告)を含む、SMF460a、bから受信されたルールに基づくユーザプレーントラフィックのハンドリングをサポートする。UPFは、N3参照ポイントを介してRAN(たとえば、NG-RAN)と通信し、N4参照ポイントを介してSMFと通信し、N6参照ポイントを介して外部パケットデータネットワーク(PDN)と通信する。N9参照ポイントは、2つのUPF間の通信のためのものである。
【0061】
SMF460a、bは、分離されたトラフィック(または、ユーザ)プレーンと対話し、たとえば、イベント報告のために、プロトコルデータユニット(PDU)セッションを作成すること、更新すること、および削除することと、UPFとのセッションコンテキストを管理することとを含む。たとえば、SMFは、(たとえば、ポリシおよび課金制御(PCC)ルール中に含まれるフィルタ規定に基づく)データフロー検出、オンラインおよびオフライン課金対話、ならびにポリシ施行を実施する。
【0062】
AMF430a、bは、RAN CPインターフェースを終端し、(EPCにおけるMMEと同様に)UEのすべてのモビリティおよび接続管理をハンドリングする。AMFは、N1参照ポイントを介してUEと通信し、N2参照ポイントを介してRAN(たとえば、NG-RAN)と通信する。
【0063】
LMF450a、bは、UEについてのロケーション決定と、以下、すなわち、UEからのDL測位測定またはロケーション推定とNG RANからのUL測位測定とNG RANからの非UE関連支援データとのいずれかを取得することとを含む、UEロケーションの決定に関係する様々な機能をサポートする。
【0064】
図5は、図4に示されているものなど、UEとgNBとAMFとの間のNRユーザプレーン(UP)および制御プレーン(CP)プロトコルスタックの例示的な設定を示す。UEとgNBとの間のPHYレイヤ、MACレイヤ、RLCレイヤ、およびPDCPレイヤは、UPおよびCPに共通である。PDCPレイヤは、CPとUPの両方について、暗号化/解読と、完全性保護と、シーケンス番号付けと、並べ替えと、重複検出とを提供する。さらに、PDCPは、UPデータについてのヘッダ圧縮および再送信を提供する。
【0065】
UP側で、インターネットプロトコル(IP)パケットが、サービスデータユニット(SDU)としてPDCPレイヤに到達し、PDCPは、RLCに配信するためにプロトコルデータユニット(PDU)を作成する。各IPパケットが到達するとき、PDCPは廃棄タイマーを開始する。このタイマーが満了するとき、PDCPは、関連するSDUと、対応するPDUとを廃棄する。PDUがRLCに配信された場合、PDCPは、RLCにも廃棄を指示する。
【0066】
RLCレイヤは、論理チャネル(LCH)を通してMACにPDCP PDUを転送する。RLCは、上位レイヤに/から転送されるデータの、誤り検出/訂正と、連結と、セグメンテーション/リアセンブリと、シーケンス番号付けと、並べ替えとを提供する。RLCが、PDCP PDUに関連するから廃棄指示を受信した場合、RLCは、対応するRLC SDU(または、それの任意のセグメント)を、それが下位レイヤに送られなかった場合、廃棄することになる。
【0067】
MACレイヤは、LCHとPHYトランスポートチャネルとの間のマッピングと、LCH優先度付けと、トランスポートブロック(TB)への多重化またはTBからの多重化解除と、ハイブリッドARQ(HARQ)誤り訂正と、動的スケジューリングとを提供する(gNB側)。PHYレイヤは、MACレイヤにトランスポートチャネルサービスを提供し、たとえば、変調、コーディング、アンテナマッピング、およびビームフォーミングを介して、NR無線インターフェース上の転送をハンドリングする。
【0068】
UP側で、サービスデータ適応プロトコル(SDAP)レイヤが、サービス品質(QoS)をハンドリングする。これは、QoSフローとデータ無線ベアラ(DRB)との間のマッピングと、ULおよびDLパケット中のQoSフロー識別子(QFI)をマーキングすることとを含む。CP側で、非アクセス階層(NAS)レイヤが、UEとAMFの間にあり、UE/gNB認証と、モビリティ管理と、セキュリティ制御とをハンドリングする。
【0069】
RRCレイヤが、UEにおけるNASの下にあるが、AMFではなくgNBにおいて終端する。NR RRCレイヤは、多くのやり方で、上記で説明されたLTE RRCレイヤと同様である。RRC_IDLE状態およびRRC_CONNECTED状態に加えて、NR RRCレイヤは、サービングgNBによって(たとえば、UEコンテキストを介して)UEが知られている、RRC_INACTIVE状態を含む。RRC_INACTIVEは、LTEにおいて使用される「中断(suspended)」条件と同様のいくつかのプロパティを有する。
【0070】
一般的な動作では、AMFが、別のエンティティ(たとえば、ゲートウェイモバイルロケーションセンタ(GMLC))から、特定のターゲットUEに関連するロケーションサービスについての要求を受信することができるか、または、AMF自体が、(たとえば、UEからの緊急呼の場合)特定のターゲットUEに代わって何らかのロケーションサービスを始動することができる。AMFは、次いで、ロケーションサービス(LS)要求をLMFに送る。LMFは、UEベースおよび/またはUE支援測位を支援するために支援データをターゲットUEに転送すること、ならびに/あるいはターゲットUEの測位を含み得る、LS要求を処理する。LMFは、次いで、AMFに、またはLSを要求した別のエンティティ(たとえば、GMLC)に、LSの結果(たとえば、UEについての位置推定および/またはUEに転送される任意の支援データの指示)を返す。
【0071】
LMFは、LMFが、たとえば、ターゲットUEによって取得されたダウンリンク測位測定を使用してE-UTRA OTDOA測位をサポートするために、E-UTRANからの情報にアクセスすることを可能にする、E-SMLCへのシグナリング接続を有し得る。LMFは、SLPと、ユーザプレーン測位の役目を果たすLTEエンティティとへのシグナリング接続をも有することができる。
【0072】
様々なインターフェースおよびプロトコルが、NR測位のために使用されるか、またはNR測位に関与する。LTE測位プロトコル(LPP)は、ターゲットデバイス(たとえば、制御プレーンにおけるUE、またはユーザプレーンにおけるSET)と測位サーバ(たとえば、制御プレーンにおけるLMF、ユーザプレーンにおけるSLP)との間で使用される。LPPは、基礎をなすトランスポートとして制御プレーンプロトコルまたはユーザプレーンプロトコルのいずれかを使用することができる。NR測位プロトコル(NRPP)は、ターゲットデバイスとLMFとの間で終端される。RRCプロトコルは、(NR無線インターフェースを介して)UEとgNBとの間で使用され、(LTE無線インターフェースを介して)UEとng-eNBとの間で使用される。
【0073】
さらに、NR測位プロトコルA(NRPPa)は、NG-RANノードとLMFとの間で情報を搬送し、AMFに対して透過的である。したがって、AMFは、関与するLMFに対応するルーティングIDに基づいて、NG-Cインターフェース上でNRPPa PDUを透過的に(たとえば、関与するNRPPaトランザクションについての知識なしに)ルーティングする。より詳細には、AMFは、UE関連モードまたは非UE関連モードのいずれかでNG-Cインターフェース上でNRPPa PDUを搬送する。AMFとNG-RANノード(たとえば、gNBまたはng-eNB)との間のNGAPプロトコルは、NG-Cインターフェース上でLPPおよびNRPPaメッセージのためのトランスポートとして使用される。NGAPはまた、NG-RAN関係の測位プロシージャを誘発および終了するために使用される。
【0074】
LPP/NRPPは、測位ノード(たとえば、ロケーションサーバ)からUEに、測位能力要求、OTDOA測位測定要求、およびOTDOA支援データなどのメッセージを配信するために使用される。LPP/NRPPはまた、たとえば、UE能力、UE支援OTDOA測位のためのUE測定測位、追加の支援データについてのUE要求、UE固有のOTDOA支援データを作成するために使用されるべき(1つまたは複数の)UE設定パラメータなどを含むメッセージを、UEから測位ノードに配信するために使用される。NRPPaは、ng-eNB/gNBとLMFとの間で両方向に情報を配信するために使用される。これは、LMFが何らかの情報をng-eNB/gNBに要求することと、ng-eNB/gNBが何らかの情報をLMFに提供することとを含むことができる。たとえば、これは、UEによってOTDOA測位測定のために使用されるべきである、ng-eNB/gNBによって送信されたPRSに関する情報を含むことができる。
【0075】
NRネットワークは、LTE E-CID、OTDOA、およびTDOAと同様の、ただし、NR測位測定に基づく、測位方法をサポートすることになる。NRは、以下の位置方法のうちの1つまたは複数をもサポートし得る。
・ マルチRTT:デバイス(たとえばUE)は、UE Rx-Tx時間差を算出し、gNBは、gNB Rx-Tx時間差を算出する。結果は、ラウンドトリップタイム(RTT)計算に基づいてUE位置を見つけるために組み合わせられる。
・ DL離脱角(DL-AoD):gNBまたはLMFは、(たとえば、ネットワークノードによって送信されたPRSの)UE DL RSRP測定結果に基づいて、UE角度位置を計算する。
・ UL到達角(UL-AoA):gNBは、UEのUL SRS送信の測位測定に基づいて、UL AoAを計算する。
【0076】
NR測位方法の各々は、上記で説明されたLTEと同様に、UE支援モード、UEベースモード、またはUEスタンドアロンモードにおいてサポートされ得る。
【0077】
OTDOA測位では、UEが、参照セルによって送信されたRSと、少なくとも2つのネイバーセルによって送信されたRSとの間の参照信号時間差(RSTD)を測定する。UEは、様々なセル(またはTRP)によって送信された、RSについての到達時間(TOA)を測定する。各測定は、セル(たとえば、eNBまたはgNB)が、測定されたRSを送信した時間と、セルとUEアンテナとの間の伝搬距離とに依存する。
【0078】
OTDOAは相対的に正確であり得るが、OTDOAは概して、A-GNSSよりもはるかに正確でない。OTDOAの主要な利点は、OTDOAが、A-GNSSの利用可能性が極めて限定される屋内で、高精度測位を提供することである。しかしながら、OTDOAは、2次元UEロケーションを決定するために、少なくとも3つのセル上でのRSタイミング測定を必要とし、3次元UEロケーションを決定するために、少なくとも4つのセル上でのRSタイミング測定を必要とする。さらに、許容できる正確さを達成するために、さらにより多くのセル上での測定が必要とされ得、これは、多くの状況において可能でないおよび/または実現可能でないことがある。
【0079】
A-GNSSは、米国全地球測位システム(GPS)、ロシアグローバルナビゲーション衛星システム(GLONASS)、欧州Galileoシステム、ならびに中国CompassおよびBeiduシステムを含む、いくつかの国内または地域ナビゲーションシステムのアグリゲーションである。各々は、タイミング測定を容易にするプロパティをもつ測位信号を送信する、比較的多数の衛星を含む。各々はまた、受信機が、任意の測定された信号に関連する衛星位置と送信タイミングとを正確に決定することができるように、高度に正確な衛星軌道パラメータを提供する。この情報が与えられれば、受信機は、GNSS時間からの受信機の知られていない時間オフセットを含む、測定された各衛星までの「擬似レンジ(pseudorange)」を決定することができる。十分な擬似レンジが与えられれば、受信機は、超高正確さをもつ、受信機自体の位置と時間オフセットとを決定することができる。概して、GNSS受信機は、たとえば、以下でさらに説明されるように状態推定のために使用される、局所地球接線座標系におけるデカルト位置(Cartesian position)に容易に変換され得る、位置結果を生成する。
【0080】
従来のUEは、3GPP A-GNSS技法に基づく位置測定を提供することができるが、エアリアルUEのオペレータは、しばしば、そのような特徴を無効にする。そのような場合、ネットワーク(たとえば、E-SMLC、LMF)は、RANノードによって行われた測位測定に基づいて、位置測定を決定し、および/またはエアリアルUEの現在状態を推定しなければならない。
【0081】
概して、TDOA方法は、局所地形に対して相対的に不十分な、UE高度の推定を生成する。これは、サイト間測定ジオメトリによるものであり、詳細には、基地局送信/受信アンテナがすべて同様の高度に位置することによるものである。さらに、エアリアルUEは、しばしば、アンテナとほぼ同じ高度で飛んでいる。これらのTDOA測定に関与するすべてのエンティティが、ほぼ1つの平面にあるので、エアリアルUE高度の小さい変動が、TOA測定の雑音または不確実性によって不明瞭にされ、不十分な高度正確さを生じる。この影響は、垂直位置決定誤差対レンジ測定誤差の比を指す、高垂直地理的精度低下率(GDOP:geographical dilution of precision)としても知られる。
【0082】
高度正確さを改善するために、他の測位測定が使用され得る。1つの可能性は、高度変動を指示することができる気圧測定を用いて、TDOA測定を増補することである。そのような測定は、LTEおよびNRにおいて規格化されており、多くのUEブランドにおいて利用可能である。気圧測定は、支援GNSSなどの他の測位方法を増補するためにも使用され得る。
【0083】
RTT(ラウンドトリップタイム)測定は、基地局からUEまでの往復の電波の移動時間(travel time)を表す。RTT測定が与えられれば、レンジRは、次のように算出され得る。
ここで、cは光速を示す。図6は、RTT測定の原理を示す。図6に示されているように、RTT値は、
RTT=t-t-UE RxTx
として取得され、ここで、UE RxTXは、
UE RxTx=t-t
としてUEにおいて測定され、RRCまたはMACプロトコルを介して基地局に折り返し報告される。
【0084】
Rにおける主な不正確さは、UEおよび基地局における信号受信プロセスによるものである。1つのそのような測定の理論的不正確さは、自由空間伝搬において、次のように、測定帯域幅に反比例する。
30MHzの例示的な測定帯域幅の場合、考えられる最良の時間不正確さ(1つの標準偏差)は、2.65nsであり、これは光速での距離において1mよりもわずかに小さい。RTTのために2つの依存しない測定プロセスが使用されるので、40MHz測定帯域幅が、約1mの組み合わせられたRTT測定不正確さを生じることになる。
【0085】
さらに、ドップラーシフト測定が、E-UTRANおよび/またはNG-RANにおけるUEまたは基地局によって行われ得る。ドップラーシフト(またはドップラー周波数)は、無線ソース(たとえば、基地局)への方向または無線ソースからの方向におけるUEの速さに関係し、次のように算出される。
ここで、fはドップラー周波数であり、vは、基地局に対するUEの(離れる)速度であり、cは光速であり、fはキャリア周波数である。
【0086】
ドップラーシフト測定は、いくつかのやり方で取得され得る。1つの手法は、LTEシステムおよびNRシステムにおいてOFDM受信中に実施されるフーリエ変換を使用することである。フーリエ変換関係式
は、その場合、互いの後の、たとえば2つOFDMシンボル上の参照信号間の位相シフトを比較するために、アップリンクにおいて活用され得る。これはまた、複数基地局ドップラーシフト測定を可能にする。
【0087】
LTEとNRの両方において、UEによる物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)送信は、基地局によってドップラーシフトについて測定され得、サウンディング参照信号(SRS)は、同じくNR基地局(たとえば、gNB)によって測定され得る。UEは、PRSとセル固有RS(CRS)とを含む様々なDL RSに関するドップラーシフトを測定することができる。たとえば、NR UEは、参照信号受信電力(RSRP)測定のために使用される同じシンボルに基づいて、ドップラーシフトを推定し得る。さらに、1つのgNBまたはTRPは、UEがビーム固有参照信号(たとえば、SSB)に関するドップラーシフトを正確に測定することができるように、十分に空間的に分離し得る異なる方向においてビームを送信し得る。
【0088】
UEデカルト2次元(2D)位置および速度(すなわち、垂直高度および速度なし)の正確な推定が重要である、多くの使用事例がある。これらは、以下を含む。
・ A-GNSSおよび正確なネットワークベース方法に依存しない、シームレスな高正確さパーソナルナビゲーション。
・ A-GNSSおよび正確なネットワークベース方法に依存しない、シームレスな個人の安全およびE-911位置特定。
・ トラフィックフロー(traffic flow)分析。この使用事例は、大規模移動パターンの推定、たとえば、都市におけるトラフィックフロー、より大きい事故または社会不安における群衆移動などに関連する。この使用事例は、A-GNSS利用可能性なしのエリアにおいて正確でシームレスな2D位置および速度推定から利益を得る。
・ 予測ハンドオーバまたは条件付きハンドオーバなどのネットワーク機能のシームレスサポート。この使用事例は、ハンドオーバが完了されるか、さらには始動され得る前に、その接続をドロップし得る、迅速に移動するUEに関連する。ハンドオーバの予測のために、UE位置および速度の正確な推定が必要とされる。関連のあるシナリオは、しばしば、屋内で、列車またはバスの中で、トンネル内でなど、発生し、それらのすべては、A-GNSS利用不可能性という欠点がある。OTDOA方法およびU-TDOA方法は、必要とされる速度情報を提供しない。
【0089】
さらに、エアボーン無線制御ドローン(すなわち、無人航空機または略してUAV)が、ますます一般的になっている。従来、ドローンは、ドローンオペレータによって使用される専用または関連するコントローラからの無線信号の伝搬レンジ内で動作するように限定されている。しかしながら、最近、ドローンがセルラネットワーク上で遠隔制御されることを可能にする機能が、ドローンのレンジをかなり増大させている。しかしながら、最近の傾向は、LTE UEをアタッチし、そのUEをドローンのナビゲーションシステムに結合し、それにより「エアボーンUE」または「エアリアルUE」を作成することによって、ドローン動作レンジを拡大することである。この構成では、ドローンは、複数のセルをカバーするはるかに広いレンジにわたって制御され、主にドローンのバッテリー容量によって限定され得る。? いくつかのマーケットでは、これは、このようにしてドローンにアタッチされたUEが、エアリアルUEとして登録されることを必要とすることなどによって、すでに規制されている。たとえそうでも、多くのオペレータが、自分のエアリアルUEを登録することに失敗し(または登録することを拒否し)、したがって、これらのドローンは「ローグドローン(rogue drone)」になる。以下では、「エアリアルUE」および「ドローン」という用語は、別段に記載されていない限り、互換的に使用される。
【0090】
エアリアルUEは、様々な理由で、飛行中に制限される必要がある。たとえば、エアリアルUEは、地上のまたは地上に近い従来のUEによって経験される無線伝搬条件とは異なる無線伝搬条件を経験し得る。エアリアルUEが基地局アンテナ高さに対して低い高度において飛んでいるとき、エアリアルUEは、従来のUEのように挙動する。しかしながら、エアリアルUEが基地局アンテナ高さをかなり上回って飛んでいるとき、エアリアルUEからのアップリンク信号は、この高さにおいて妨害がないことが、極めて好都合な(たとえば、見通し線)伝搬条件をもたらすので、複数の(たとえば、多くの)セルによって受信され得る。
【0091】
したがって、エアリアルUEからのアップリンク信号は、ネイバーセルにおける干渉を増加させることがある。増加された干渉は、地上のまたは地上近くの従来のUE(たとえば、スマートフォン、モノのインターネット(IoT)デバイスなど)に悪影響を及ぼす。したがって、ネットワークは、従来のUEの性能への影響を制限するために、ネットワークにおけるエアリアルUEのアドミッションを限定する必要があり得る。さらに、基地局アンテナビームパターンは、一般に、地上レベルにおいてまたは地上レベルの近くでUEをサーブするために下に傾けられる(たとえば、負の仰角)ので、従来のUEは、一般に、アンテナパターンのメインローブから受信する/そのメインローブに送信する。しかしながら、アンテナ高さを著しく上回って飛ぶエアリアルUEは、小さいエリア内で著しく変動することがある、アンテナパターンのサイドローブによってサーブされる可能性がある。したがって、エアリアルUEは、オペレータがドローンの制御を失うことを引き起こすことがある、急激な信号損失を経験し得る。
【0092】
さらに、エアリアルUEは、空域のいくつかの部分において違法に飛ぶとき、危険な状況をもたらすことがある。たとえば、ローグドローンは、主要空港の近くの制限された空域において飛ぶことによって、商業エアトラフィックを危険にさらしており、多くのそのような事象が欧州と米国の両方において報告されている。2019年には、ヒースロー、ガトウィック、およびニューアーク国際空港を一時的に閉鎖した、いくつかのそのような事象があった。他の危険な状況は、軍事的制限されたエリアへの進入と、墜落がおそらく人間の負傷を引き起こすであろう、人口密度の高いエリア上の空域への進入とを含む。
【0093】
したがって、そのようなシナリオにおいて「ローグドローン」として動作するエアリアルUEを制限および/または限定することは、有益であり得る。これらおよび他のソリューションの必須条件は、エアリアルUEの現在の位置、速さ、および方向方位(directional bearing)(まとめて「状態」)のネットワーク知識である。2D位置および速度さえも、制限された空域に対するエアリアルUE位置/移動を決定するために有益であろう。しかしながら、ローグドローンオペレータは、しばしば、A-GNSS機能を無効にし、上述のように、既存のOTDOA方法およびU-TDOA方法は、速度情報を提供しない。
【0094】
要約すると、既存の3GPP規格化された測位技法は、上記で説明された使用事例に関して、以下の問題、問題点、および/または困難を有する。
・ A-GNSSは、UEが特定のA-GNSS受信機ハードウェアを有することに依拠し、そのハードウェアは、いくつかのUEにおいて利用可能でないかまたは有効にされないことがある。A-GNSSはまた、衛星カバレッジが妨害され得る特定の屋内または他の状況において、不良な信号利用可能性を有する。
・ U-TDOAは、測位ノード(たとえば、LMF、E-SMLC)において実施されるべきUE位置計算を必要とし、速度情報を提供しない。UTDOAはまた、UE信号を測定することが可能である少なくとも4つの空間的に分離された送信ポイントの要件により、不良な利用可能性を有する。
・ OTDOAは、速度情報を提供せず、UEが少なくとも4つの空間的に分離された送信ポイントからの信号を測定することが可能であることの要件により、不良な利用可能性を有する。
【0095】
予測不可能な外乱をモデル化する加算性白色ガウス雑音を用いた線形ベクトル差分式によって記述される、離散時間線形動的システムの状態を推定するために、カルマンフィルタが使用され得る。カルマンフィルタの動的モデルは、
x(k+1)=F(k)x(k)+v(k)
によって与えられ、ここで、x(k)は、n次元状態ベクトルであり、v(k),k=0,1,・・・は、共分散を伴う、ゼロ平均白色ガウス過程雑音のシーケンス(同じくnベクトル)である。
測定式は、
z(k)=H(k)x(k)+w(k) k=1,・・・
であり、w(k)は、共分散を伴う、ゼロ平均白色ガウス測定雑音のシーケンスである。
【0096】
行列F、H、Q、およびRは、知られていると仮定され、場合によっては時間変動する。言い換えれば、システムは時間変動し、雑音非定常であり得る。概して知られていない、初期状態x(0)は、知られている平均と共分散とを用いてガウス分布された、ランダム変数としてモデル化される。2つの雑音シーケンスと初期状態とは、互いに独立していると仮定され、これは「線形ガウス(LG)仮定」とも呼ばれる。
【0097】
条件付き平均は、次のように規定される。
ここで、Z={z(j),j≦k}は、時間kにおいて利用可能な観測のシーケンスを示し、j=kである場合、状態の推定であり、j>kである場合、状態の予測された値である。データZまたは推定に関連する共分散が与えられた、x(j)の条件付き共分散行列は、以下である。
【0098】
図7は、カルマンフィルタの例示的な流れ図を示す。推定アルゴリズムは、利用可能であると仮定される、x(0)の初期推定
と、関連する初期共分散P(0|0)とで開始する。第2の(条件付け)インデックス0は、Z、初期情報を表す。したがって、動的推定アルゴリズム、カルマンフィルタ(KF)の1つのサイクルが、以下の推定を取得するための算出からなることになる。
これは、時間kを含む、時間kまでの観測と、関連する共分散行列とが与えられた、時間k(現在の段階)における状態の条件付き平均である。
【0099】
拡張カルマンフィルタ(EKF)は、現在の平均および共分散の推定に関して線形化する、カルマンフィルタの非線形バージョンである。EKFモデルは、線形状態空間差分式(たとえば、離散時間における微分式)および非線形測定式である。微分式は、次いで、以下で説明されるように離散化される。測定更新は、EKFのための基礎としてカルマンフィルタが使用される場合、線形化測定行列を必要とするので、結果として、線形化は、予測された測定の周りの、測定式のものになり、すなわち、
EKFの基礎をなす状態空間モデルは、以下によって与えられる。
上記では、上付き文字iは(以下でより詳細に説明される)移動モードインデックスであり、h(x)は測定式であり、Fは離散時間システム行列である。さらに、量w(t)および量e(t)は、それぞれ、システム雑音および測定雑音である。それらの共分散行列は、以下によって与えられる。
モードiについてのEKFの1つの反復は、以下の式によって与えられる。
【0100】
いくつかの車両の移動状態をモデル化するためにカルマンフィルタが使用され得るが、従来のカルマンフィルタは、ドローンなどのエアリアルUEの状態をモデル化するには不十分である。より詳細には、ドローンは、測定処理のために適用される最適推定器によって反映される必要がある、移動の極めて特定のモードを有する。たとえそうでも、複数の動的移動モードを有するドローンなどの物体の状態推定のための様々な方法がある。
【0101】
そのような推定を実施するための一般的な技法は、物体の状態の同時確率分布(joint probability distribution)に基づく。概して、時間的に順方向の物体の状態の伝搬が、フォッカー-プランク(Fokker-Planck)偏微分方程式によって管理される。この測定処理は、測定の尤度(likelihood)と事前確率分布とから、事後確率状態分布を取得するための多次元統合によって実施される。このプロセスは、より一般的にはベイズ推定と呼ばれる。しかしながら、概して、実装は、算出要件およびメモリ要件に関して極めて複雑であり得る。ベイズ推定方法は、確率密度関数が「粒子」として離散化される「粒子フィルタ」としての近似によって、ある程度簡略化され得る。たとえそうでも、粒子フィルタ処理の実装は、極めて複雑であり得る。
【0102】
極端な簡略化として、物体の移動モードの各々が、別々にモデル化および推定され得、アドホック論理が、任意の所与の時間において適用可能な移動モードを選択するために使用される。たとえば、従来の飛行機の状態を推定するために、2つの移動モード、すなわち、一定速度(constant velocity)モード(すなわち、直線移動)と、一定速度モードよりもはるかに高いアジリティを伴って測定に応答することができる操作モードとが使用され得る。操作検出器は、操作モードが、一定速度モードよりも良く、着信測定にマッチすると見なされる場合、操作モードを選択することができる。操作が終了された後に、再初期化された一定速度モードが、状態推定のために使用され得る。この手法に関する1つの問題、問題点、および/または困難は、操作検出器のための適切なしきい値の選択である。
【0103】
マルチ移動モード状態推定問題に対する別の手法は、対話型複数モデル(IMM)フィルタである。IMMアルゴリズムは、システムが有限数のモデルのうちの1つに従って挙動すると仮定する。これらのモデルは、異なる状態次元および知られていない入力を有することなど、雑音レベルおよび/または構造において異なることがある。IMM手法では、時間kにおいて、状態推定は、r個のフィルタを使用して各可能なモデルについて算出され、各フィルタが、前のモデル条件付き(model-conditioned)推定の異なる組合せ、いわゆる「混合初期条件(mixed initial condition)」を使用する。したがって、状態推定の混合は、フィルタ更新サイクルの始まりにおいて実施される。
【0104】
図8は、並列に動作するr個の対話型EKFを含む、IMMアルゴリズムの1つの動作サイクルを示す。IMMアルゴリズムの全体的構造が、以下によって与えられる。
(N;N)=(r;r)、
ここで、Nは、アルゴリズムのサイクルの開始における推定の数であり、Nはフィルタの数である。アルゴリズムの1つのサイクルは、以下の動作を含む。
1. 状態対話。初期条件をモードマッチドフィルタ処理(mode matched filtering)に提供するために、前の反復の状態および共分散行列が、混合される必要がある。この混合は、モード遷移確率行列と前の反復のモード確率とに基づき、いわゆる混合確率、μi|j、i,j=1,...rによって与えられる。この規定は、時間tk-1までのデータZk-1を条件として、モードMが事実上時間tにあることが与えられれば、モードMが事実上時間tk-1にあった確率に基づく。結果は、以下になる。
2. 混合(j=1,・・・r)。
で開始して、M(k)にマッチしたフィルタについての混合初期条件を次のように算出する。
上記に対応する共分散は、以下によって与えられる。
3. モードマッチドフィルタ処理(j=1,・・・r)。ステップ2において取得された推定および共分散は、それぞれのモードにマッチしたr個のEKFへの入力として使用される。EKF算出の反復が、上記で説明されたように各モードについて実施される。r個のフィルタに対応する尤度関数が、次のように、混合初期条件と、関連する共分散とを使用して算出される。
4. モデル確率更新(j=1,・・・,r)。尤度関数が与えられれば、モデル確率は、以下に従って更新される。
ここで、
が、上記で与えられ、
は、正規化ファクタである。
5. 推定と共分散との組合せ。モデル条件付きの推定と共分散との組合せが、以下の混合式に従って行われる。
【0105】
上記で説明された計算を実施するより前に、IMMフィルタをセットアップするために以下の3つの選定が行われなければならない。
・ 移動モードの規定。各移動モードについて、これは、状態空間モデルの規定、すなわち、ダイナミクスを規定するあるベクトル差分式と、測定への状態のマッピングを規定する別の静的ベクトル式との規定に相当する。さらに、測定式と動的状態モデルとの不正確さが、不確実性の共分散行列に関して規定される。
・ 遷移確率の規定。これらは、モードがどのように対話するかを説明する。一般に、これは、時間の2つの離散インスタンス間の推定される物体のモード遷移の確率を表す、隠れマルコフモデルとして与えられる。
・ フィルタ初期条件の選択。これは、各モデルの予想される初期状態および共分散を規定することに相当する。
【0106】
本開示の例示的な実施形態は、UEのサービング基地局(たとえば、eNB/gNB)および/またはサービングセルに関連するアンテナ、ならびにネイバー基地局および/またはネイバーセルに関連するアンテナなど、RANにおける2つの空間的に分離された送信ポイント(TP)からの信号上のUEドップラーシフト測定に基づく、新規のIMMベース状態推定技法を提供することによって、これらおよび他の問題、問題点、および/または困難に対処することができる。この技法は、以下、すなわち、
・ UEと、UEのサービングセルに関連するTPとの間の信号RTTの測定、または
・ 第3の空間的に分離されたTP(たとえば、第2のネイバーセル)からの信号のUEドップラーシフト測定
のうちの1つにも基づく。
【0107】
いずれの場合も、これらの技法は、UEがサービング基地局からRTTを入手し得るか、または、UEが、t-t図6参照)とUL遅延がDL遅延に等しいという仮定とをUEが使用することができるように、UEのタイミングアドバンス(TA)が調節されたと仮定することができるので、UEにおいてのみ実装され得る。これらの実施形態は、以下を含む、様々な利益および/または利点を提供する。
・ 高正確さもつ2D水平位置の推定、たとえば、誤差≦15m、
・ 高正確さをもつ2D速度推定の推定、たとえば、誤差≦1.5m/s、
・ 推定が、UEのすべての適用例および特徴によって使用可能である、
・ 衛星信号への依拠なし、および2~3個の空間的に分離されたTPからの受信のみを必要とするので、優れた屋内利用可能性、
・ 特殊なUEハードウェアおよび/またはソフトウェア必須条件なし、
・ 任意のUE世代(たえば、3G、4G、5Gなど)において実装され得る、ならびに
・ 以下などの様々な新しい使用事例を容易にする。
○ A-GNSSおよび他の高正確さネットワークベース方法に依存しない、シームレスな高正確さパーソナルナビゲーション、
○ A-GNSSおよび他の高正確さネットワークベース方法に依存しない、シームレスな個人の安全およびE-911位置特定、
○ 位置ベース商業サービス、たとえば、トラフィックフロー分析、ならびに
○ 位置ベースネットワーク機能、たとえば、予測ハンドオーバ。
【0108】
一例として、緊急(たとえば、E-911)測位は、一般に、OTDOAまたはU-TDOAへのフォールバックを伴って、高正確さのためにA-GNSSに依拠する。この使用事例では、屋内利用可能性と高正確さ位置の両方が重要であるが、速度情報も、移動している車両の事故の場合に有用であり得る。通常、緊急測位は、事故が発生した後に始動され、したがって、事故前のA-GNSS位置および速度推定は、概して、利用不可能である。しかしながら、実施形態が、UEについての2D位置および速度を継続的に推定するアビリティを提供し、それにより、より速いおよび拡張されたログ記録されたE-911測位を可能にする。これは、屋内のような、A-GNSS利用可能性なしの場合に特に有用であろう。
【0109】
別の例として、実施形態は、たとえば雪崩を起こしやすい地勢において、個人の安全適用例のために使用され得る。UEは、2D位置および速度をログ記録し、事故の場合、場合によっては高電力リピータと連携して、そのような情報を緊急センタに転送して、カバレッジを拡張し得る。代替的に、2D位置および速度は、E-911シナリオについて上記で説明されたのと同様にして、事故の前でも周期的にアプリケーションサーバに送られ得る。
【0110】
図9は、本開示の様々な例示的な実施形態による、例示的なエアリアルUE(またはドローン)状態推定システムのアーキテクチャを示すブロック図である。特に、図9は、(921~922と標示された)少なくとも2つのRANノードと、随意に(923と標示された)第3のRANノードとを含む、RAN920と通信する2つのUE910a、bを示す。特に、UE910aは従来の地球上のUE(たとえば、スマートフォン)を表し、UE910bはエアリアルUE(たとえば、ドローン)を表す。以下の説明では、UE910a、UE910bのいずれかを表すために、UE910が使用される。
【0111】
RANノードは、ドローン910によって送信されたUL信号(たとえば、SRS)上で測位測定を行い、および/あるいは、UE910による測位測定を容易にするためにPRSまたは他の信号を送信し得る。いずれの場合も、RANノードまたはUEによる雑音の多い測定が、状態推定器930に入力され、状態推定器930は、複数のUE移動モードに対応する、
と呼ばれる、時間インスタンスkにおけるUE状態推定を生成するために、以下でより詳細に説明される技法に従って、雑音の多い測定に対して動作する。
【0112】
いくつかの実施形態では、状態推定器930は、UE910中に位置し得、これは、UE910が、RANノードによって送信されたDL RS上で測定を実施するとき、特に有利であり得る。他の実施形態では、状態推定器930はRANノードのうちの1つ中に位置し得、これは、RANノードが、UE910によって送信されたUL RS上で測定を実施するとき、特に有利であり得る。他の実施形態では、状態推定器930は、上記で説明されたE-SMLCまたはLMFなど、コアネットワーク機能中に位置するか、またはコアネットワーク機能に関連し得る。
【0113】
随意に、状態推定器930の出力が、ドローン検出器940に入力され得、ドローン検出器940は、条件付きドローン確率メトリック、
を生成するためにこの情報に対して動作する。ドローン検出器940は、(たとえば、RANノードまたはコアネットワーク機能中で)状態推定器930とコロケートされるか、あるいは、別個のノードまたは機能中にあり得る。
【0114】
上述のように、EKFモデルは、ポイントの周りで線形化される、非線形測定モデルに基づく。様々な非線形測定モデルが、個々にまたは組み合わせてのいずれかで使用され得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、非線形レンジ測定モデルが、RTT測定に基づいて、使用され得る。たとえば、これは、LTEにおけるサービングセルタイミングアドバンス(TA)であるか、または基地局(たとえば、gNB)による実際のRTT測定であり得る。RTTベースレンジ測定モデルは、以下によって与えられる。
ここで、
は、ゼロ垂直高度の仮定とともに、水平座標についてのk番目の推定位置状態を示す。項xs,i、i=1,2,3はサイトsの3D位置を示し、定数cは光速である。測定モデルの導関数(ヤコビアン)が、(以下で説明されるように)ホバリングモードのために使用され、レンジ測定のために以下のように規定される。
RTT測定はスカラであり、不規則に実施されるので、測定共分散行列もスカラであり、rに等しい。
【0116】
UEの移動によるドップラーシフトは、受信されたDL信号における周波数シフトとして現れる。ドップラーシフトがなければs(t)としてUEに達する信号が、代わりに、周波数シフトfを伴う
として受信される。OFDMシステムにおいて周波数シフトを推定するためのいくつかのやり方がある。たとえば、2つの同等の送信信号が、受信の後に相関され得、2つの同等の信号間の位相変化が、次いで、周波数シフトを推定するために使用される。
【0117】
周波数シフトを、伝搬チャネルの一部、h(t;τ)であると見なすことも可能であり、ここで、tは時間であり、τは遅延である。その場合、周波数シフトの影響は、h(t;τ)が
によって置き換えられることである。
【0118】
物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)または物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)に関連する復調用参照信号(DM-RS)、セル固有参照信号(CRS)、測位参照信号(PRS)、チャネル状態情報参照信号(CSI-RS)、同期信号/PBCHブロック(SSB)などを含む、様々なDL信号またはチャネルが、周波数シフト推定のために使用され得る。
【0119】
エアリアルUEの場合、チャネルは、一般に非分散性であり、したがって、h(t)として記述され得る。Φ=∠h(ti)(すなわち、時間tにおけるチャネルの位相)であるとし、「^」を、推定を示すものとする。その場合、周波数シフトfは、次のように、(たとえば、PUSCHに関連する)2つの異なる参照信号についての2つのチャネル推定を使用して推定される。
ここで、ΔT=t-tは、2つのチャネル推定間の時間差である。推定正確さは、
とΔTの両方の正確さに依存する。
ここで、
は、それぞれ、
についての分散、および
についての分散である。
は、信号対雑音比(SNR)の増加とともに減少する。
【0120】
受信されたSNRを増加させるための1つのやり方は、SSBおよび/またはCRSの繰返しなど、測定のために使用される信号繰返しの数を増加させることである。しかしながら、これは、状態推定が更新され得るレートをも限定する。受信されるSNRを増加させるための別の方法は、測定された信号を送るために使用される送信電力を増加させることである。これは、PDSHCなどのUE固有送信について可能であり得るが、これはまた、ネイバーセルへの干渉を増加させることがある。
【0121】
上述のように、UE周波数シフトバイアスは、ランダムウォークとしてモデル化され、モード状態は、ドップラーシフトバイアスxbiasをモデル化する1つの余分の状態を伴って増補される。ドップラーシフト測定は、次のようにモデル化される。
ここで、v(t)は、サイトsとエアリアルUEとの間の距離が増加する速さを示す。cは光速を示す。負の符号は、UEが基地局に接近するとき、ドップラーシフトが正であることを指示する。上記で説明されたように、ドップラーバイアスは、UE発振器不正確さによって左右され、すべてのRANノードによって観測されるものと同じである。
【0122】
測定されたドップラー周波数シフトを測定式における推定状態に関係付けるために、
と、サイトsと
の方向ベクトルと、の間の単純なスカラ積算出が、以下につながることに留意されたい。
これは、UEがゼロ高度において移動するという仮定に基づく。サイトsからの信号上でUEによって行われる1つのドップラーシフト測定のための測定式は、以下である。
測定式は、上記のEKF反復式において指示されているように、予測された状態を使用して評価されるが、時間依存性はここで示されていない。測定式を使用すると、状態に関する偏導関数が算出されて、線形化された測定式を規定し得、すなわち、
これは、以下の関係を生じる。
上記で説明された実施形態、測定更新は、不規則およびスカラであり、したがって、測定共分散行列も、スカラであり、rに等しい。
【0123】
本開示の実施形態は、ドップラーシフトの測定のみに基づくUE状態推定のために、2移動モードIMMモデルを利用することができる。モデルは、駆動加速度雑音(driving acceleration noise)を伴う2つの連続時間一定速度モードに関して含み、より詳細には、
・ 極めて小さい加速度雑音とUEドップラーバイアス状態とを伴う、2D(ほぼ一定)速度ウィーナー過程。
・ 大きい加速雑音とUEドップラーバイアス状態とを伴う、2D(操作)速度ウィーナー過程。
【0124】
ドップラーバイアス状態は、両方のモデルについて同じであり、ランダムウォークとしてモデル化され得ることに留意されたい。UEのドップラーシフトバイアスは、UEの参照発振器における不正確さから生じ、同じ値が、すべてのドップラーシフト測定において観測されることになる。上記の2移動モードについての連続時間式が、以下によって与えられ、ここで、上付き文字がモードを示す。
【0125】
上記において、xは、状態ベクトルを示す。状態ベクトル成分は、第1の位置座標としてのxと、第2の位置座標としてのxと、第1の速度座標としてのxと、第2の速度座標としてのxと、UE周波数バイアスとしてのxとである。さらに、wはシステム雑音を示し、q11はx次元における加速度雑音の分散であり、q22はy次元における加速度雑音の分散であり、qbiasはUEドップラーバイアスのドリフトレートの分散であり、δ(t-s)はディラックのデルタ関数を示す。上付き文字は、(指数ではなく)上記で説明されたモードを示す。
【0126】
可変サンプリング間隔(すなわち、逐次サンプル間)を示すためにT=t-tk-1を使用して、上記のモデルの形式的サンプリングが、以下の関係式を与える。
【0127】
規則的/周期的測定更新を仮定して、モード遷移行列は、標準IMMフィルタにおいて固定である。いくつかの実施形態では、測定更新は不規則および/または非周期であり得、これは、性能に影響を及ぼすことがある。特に、IMMフィルタのモード混合は、1秒当たり極めて高くなることになり、場合によっては、直線移動モードの過少活用につながる。
【0128】
この潜在的問題点をハンドリングするために、いくつかの実施形態が、連続時間モード遷移確率モデルを提供し、これは、次いでサンプリングされる。このモデルのパラメータは、次いで、測定更新時間の間の所与の差について、うまく働くモード遷移行列から決定され得、この差は、以下で「サンプリング期間」と示される。次いで、新しい測定が到達するたびに、連続時間モデルが、再サンプリングされ(再離散化され)得る。
【0129】
連続時間モデルは、各モード確率の純増加が、他のモードからの拡散された確率の和-同じモードからの拡散に等しいことを反映するべきである。モードiからの拡散されたモード確率についての妥当なモデルが、モード独自の拡散レートパラメータλijと、時間増分hと、発信モードのモード確率μ(t)との積である。これは、ベクトルモデルを与える。
再構成は以下を与える。
次いで、導関数の規定は常微分式を与え、
以下の解を伴う。
ここで、τは時間を示す。結果は、複雑であり、3つの未知数を算出するための数値解を必要とする。しかしながら、2つの他の有用な制約がある。第1に、定常非ゼロ解の場合、導関数は0であり、確率は合計して1(unity)になり、これは、以下につながる。
λ11=-λ12
λ22=-λ21
第2に、上記で使用された離散化されたモード遷移行列の対角エレメントが同じであり、これは、以下の式が、さらに次のように解を制限するために使用するのが時々可能であることを意味する。
λ11=λ22
これらの関係を利用することは、以下を与える。
【0130】
不規則にサンプリングされた測定に適用可能なIMM実施形態では、モード切替え行列のサンプリングされたバージョンが必要とされる。これは、可変サンプリング間隔(すなわち、逐次サンプルの間)を表すために、τをT=t-tk-1と置き換えることによって取得され得る。したがって、混合確率は、以下によって与えられる。
追加の条件が課された、簡略化された事例では、上記は以下になる。
したがって、連続時間パラメータとサンプリング期間とが与えられれば、時間変動する離散時間遷移確率行列が算出され得る。これは、逐次測定時間の間の変動に関するモード混合不変式を作る。
【0131】
線形システム可観測性の概念は、実施形態が、空間的に分離された送信ポイントからの信号上の1つのRTT測定と2つのUEドップラーシフト測定とに基づいて、2D UE移動状態推定をどのように取得することができるかを示すために使用され得る。次数nの線形システム、たとえば、
は、以下の条件で観測可能である。
ここで、Oは、可観測性行列と呼ばれる。
【0132】
可観測性行列Oは、2つモードのうちの1つについて、線形化された測定式とともに上記の線形状態式を使用して評価された。可観測性行列の最小特異値sが、特に対数測度の形式において、可観測性の扱いやすい測度として使用された。以下のTP位置に基づく例示的な2サイト構成が使用された。
=(200 100 5)m、S=(100 40 110)
さらに、UE移動は、一定速度、特に以下であると仮定された。
【0133】
特異値sの対数測度は、以下によって与えられる。
1010log(s+10-20
ここで、最後の項は、測度を、-200を上回るように限定することによって、数値問題を回避することが意図される。可観測性行列の最小特異値は非負であるので、-200に等しい測度は、システムが観測可能でないことを示し、-200よりも高い値は、システムが観測可能であることを指示する。
【0134】
図10Aは、sの対数測度のプロットであり、システムが観測可能でないことを指示する。しかしながら、RTT測定が、TPまたはサイト(たとえば、UEサービングセル)のうちの1つについてのUEドップラー測定に追加されるとき、システムは観測可能になる。これは、図10Bに示されているsの対数測度のプロットによって示される。
【0135】
言い換えれば、図10Bは、(UE周波数バイアスを含む)2D UE移動状態推定が、第1のTPに関するドップラーシフトおよびRTT測定と、空間的に分離された第2のTPに関するドップラーシフト測定との組合せに基づいて取得され得るという、基礎をなす原理を示す。言い換えれば、これらの実施形態によれば、有効な2D UE移動状態推定を取得するために、2つの空間的に分離されたサイトのみが必要とされる。
【0136】
以下は、上記で説明された例示的な実施形態の性能を確認するために使用され得る、シミュレーション技法について説明する。これらの技法では、シミュレートされるUE軌道、速度、および基地局位置が作り出され得る。さらに、シミュレートされるUEは、2つの最も近い基地局からの信号上で測定を実施するように設定され得る。以下の7つの基地局位置が、例示的なシミュレーションにおいて使用された。
=(200 100 5)m、
=(100 40 110)m、
=(800 -50 70)m、
=(500 -100 50)m、
=(50 200 180)m、
=(0 245 60)m、
=(-50 0 75)m。
シミュレーションは、70HzのUEドップラーシフトバイアスをも使用した。図11Aは、アスタリスク(*)によって指示された水平平面における7つの基地局の上記の位置とともに、シミュレーションにおいて使用された水平平面における実際のUE軌道または経路のプロットである。図11Bは、シミュレーションにおいて使用された水平平面における実際のUE速度成分のプロットである。
【0137】
以下の表2は、例示的なシミュレーションにおける2モードIMM状態推定器のために使用されたパラメータを示す。
【0138】
性能は、(たとえば、実際の値からの)UEドップラーシフト測定標準偏差とRTT測定標準偏差とのいくつかの組合せについて、上記で説明されたパラメータに基づいて評価された。300nsのRTT標準偏差が、50mのレンジ標準偏差に対応する。2.0sのサンプリング期間が使用された。
【0139】
図12Aは、UEドップラーシフト測定標準偏差とRTT測定標準偏差との関数としての推定水平位置の平均2乗誤差(MSE)を示す。図12Bは、UEドップラーシフト測定標準偏差とRTT測定標準偏差との関数としての推定水平速度のMSEを示す。図12Cは、UEドップラーシフト測定標準偏差とRTT測定標準偏差との関数としての推定UE周波数バイアスのMSEを示す。これらの結果に基づいて、2つのUEドップラー測定と1つのRTT測定とに基づく実施形態は、測定不正確さの大きいレンジにわたって極めてよく機能すると結論付けられ得る。15m未満の位置MSEおよび1.5m/s未満の速度MSEが、しばしば達成される。
【0140】
図13A図13Bは、シミュレーションの過程中のすべての7つのサイトからの、それぞれ、RTT測定の軌道および時間発展と、UEドップラー測定の軌道および時間発展とを示す。これらは、2.0sのサンプリング期間と、200nsのRTT測定標準偏差と、6Hzのドップラー測定標準偏差とに基づく。図14A図14Dは、図13A図13Bに示されている測定に基づく、UE移動状態推定器のこれらの実施形態のシミュレートされた性能を示す。
【0141】
特に、図14Aは、図11Aに示されている実際のUE水平経路でオーバーレイされた推定UE水平経路を示す。同様に、図14Bは、図11Bに示されている実際のUE水平速度成分でオーバーレイされた推定UE水平速度成分を示す。さらに、図14Cは、推定UEドップラーバイアスが70Hzの実際のUEドップラーバイアスのほうへどのように収束するかを示す。最終的に、図14Dは、シミュレーションの過程にわたる2つのIMMモードのモード確率の発展を示す。
【0142】
上記で説明された線形システム可観測性原理はまた、実施形態が、空間的に分離された送信ポイントからの信号上の3つのUEドップラーシフト測定に基づいて、2D UE移動状態推定をどのように取得することができるかを示すために使用され得る。図10Aが、システムが2つのサイトからのUEドップラーシフト測定に基づいて観測可能でないことを示すことを、想起されたい。
【0143】
しかしながら、空間的に分離されたサイトにおける第3のUEドップラーシフトのとき、システムは観測可能になる。この原理を示すために、以下のサイト
=(800 -50 70)’
が、前の可観測性分析のために使用された2つサイトに追加された。得られたシステムの可観測性は、図15に示されているsの対数測度のプロットによって示される。言い換えれば、図15は、(UE周波数バイアスを含む)2D UE移動状態推定が、第1、第2、および第3の空間的に分離されたTPに関するドップラーシフト測定に基づいて取得され得るという、基礎をなす原理を示す。
【0144】
以下は、これらの実施形態の性能を確認するために使用され得る、シミュレーション技法について説明する。特に、これらの技法は、上記で説明され、図11A図11Bに示されている、同じシミュレートされたUE軌道、UEドップラーシフトバイアス、UE速度、および基地局位置を使用する。さらに、シミュレーションは、上記の表2に示されている、2モードIMM状態推定器についての同じパラメータを使用する。ただし、この場合、シミュレートされるUEは、3つの最も近いサイトからの信号上で測定を実施するように設定される。
【0145】
図16Aは、UEドップラーシフト測定標準偏差とサンプリング期間との関数としての推定水平位置の平均2乗誤差(MSE)を示す。図16Bは、UEドップラーシフト測定標準偏差とサンプリング期間との関数としての推定水平速度のMSEを示す。図16Cは、UEドップラーシフト測定標準偏差とサンプリング期間との関数としての推定UE周波数バイアスのMSEを示す。これらの結果に基づいて、3つのUEドップラー測定に基づく実施形態は、測定不正確さの大きいレンジにわたって極めてよく機能すると結論付けられ得る。25m未満の位置MSEおよび1.5m/s未満の速度MSEが、しばしば達成される。さらに、ドップラーシフト測定正確さは、状態推定正確さのために、サンプリング期間よりも重要であるように見える。
【0146】
このシミュレーションにおいて使用されたすべての7つのサイト(すなわち、各測定時間における最も近い3つのサイト)からのUEドップラー測定は、図13Bに示されているものと同じである。図17A図17Dは、図13Bに示されている測定に基づく、UE移動状態推定器のこれらの実施形態のシミュレートされた性能を示す。
【0147】
特に、図17Aは、図11Aに示されている実際のUE水平経路でオーバーレイされた推定UE水平経路を示す。同様に、図17Bは、図11Bに示されている実際のUE水平速度成分でオーバーレイされた推定UE水平速度成分を示す。さらに、図17Cは、推定UEドップラーバイアスが70Hzの実際のUEドップラーバイアスのほうへどのように収束するかを示す。最終的に、図17Dは、シミュレーションの過程にわたる2つのIMMモードのモード確率の発展を示す。
【0148】
他の実施形態は、上記で説明されたUE移動状態推定をサポートするための様々なネットワークシグナリング技法を含む。概して、そのような実施形態は、UE測定制御および測定報告のための既存のLTEおよび/またはNRシグナリング技法に基づくが、いくつかの追加、拡張、および/または修正を伴い得る。NRのためのいくつかの既存のシグナリング、測定、および報告技法の説明が、以下の3GPP仕様において与えられる。
・ 3GPP TS38.300セクション5.3.5.3(ULタイミング制御)、9.2.4(測定)、9.2.6(ランダムアクセスプロシージャ)、および9.2.9(タイミングアドバンス)、ならびに、
・ 3GPP TS38.331セクション5.5(測定)、5.6(UE能力)、6.2.2(メッセージ規定)、6.3.2(MeasConfig、MeasId、MeasObjectNR、MeasResults、MeasResult2NR、PhysCellId、QuantityConfig、ReportConfigNRを含む、RRC情報エレメント(IE))、6.3.3(UE能力情報エレメント)。
【0149】
以下は、UE移動状態決定および報告のサポートを容易にするための、上記のリストされた仕様において説明される様々なメッセージおよびIEに対するいくつかの例示的な更新である。
・ UE能力情報のためのRRCおよび他のプロトコルメッセージが、UEベース移動状態推定のためのUE能力を指示するように更新され得る。このコンテキストにおけるUE移動状態は、2D水平位置および2D水平速度である。
・ RRC IEのMeasConfigは、UE状態推定が開始または停止するべきであることと、報告のタイプ、たとえば周期的またはイベントベースとを指示するように更新され得る。MeasConfig IEは、さらに、以下の3つのIEに分割される。
○ MeasObjectNR:測定すべき(1つまたは複数の)周波数と、測定すべきセル(WhiteCellList)と、測定すべきでないセル(BlackCellList)とを規定する。
○ ReportConfigNR:どのように報告すべきかと、どんなセル上でイベント評価を行うべきか(WhiteCellList)とを規定する。
○ QuantityConfig:測定のために使用されるRSのタイプと、RSから推定されるべき量と、イベント評価および報告の前に、の測定L3フィルタ処理がどのような行われるべきであるかを規定する。
・ RRCメッセージ、測定報告は、位置および/または速さイベント履行、推定UE移動状態、ならびに随意に、含まれた移動状態を決定するための基礎としてどのセル/TP/信号が測定されたかに関する情報を含むように更新され得る。
【0150】
UE移動状態推定をサポートするためのネットワークシグナリング技法の様々な実施形態が、図18によってさらに示されており、図18は、様々な例示的な実施形態による、UE1810とRANノード1820(たとえば、eNB、gNBなど)とCNノード1830(たとえば、MME、AMFなど)との間の様々な動作を示す信号フロー図である。簡潔のために、以下の説明は、これらのエンティティをこれらの参照番号指示子なしに指すことになる。
【0151】
図18に示されているシナリオでは、UEは、最初に、gNBによってサーブされるセルにアクセスするために、ランダムアクセス(RA)プロシージャを実施する。(「msg4」~「msg1」と標示された)4つのメッセージの交換に関与する例示的な4ステップRAプロシージャが示されているが、2つのステップまたはメッセージに関与する他のRAプロシージャも使用され得る。UEは、RAプロシージャ中にサービングセルについての初期タイミングアドバンス(TA)を取得することができる。
【0152】
その後、UEは、RANノードがCNノードへフォワーディングするNASサービス要求を含むことができる、RRC接続セットアップ完了メッセージをRANノードに送る。これは、UEとCNノードとの間の認証を引き起こし得る。その後、AMFは、随意に、本明細書で説明される実施形態による、移動状態推定のためのUEの能力を指示するUE能力情報 IEを含む、コンテキストセットアップ要求をRANノードに送る。
【0153】
代替的に、RANノードは、本明細書で説明される実施形態による、移動状態推定のためのUEの能力について照会するために、RRC UE能力照会メッセージをUEに送り得る。UEは、その照会に従って、能力を指示するRRC UE能力情報メッセージで応答することができる。この能力指示に基づいて、RANノードは、UEドップラー測定についての設定情報を含んでいるMeasurementConfig IEを含む、RRC接続再設定メッセージをUEに送ることができる。この設定情報は、以下、すなわち、
・ 測定されるべき信号の1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)の識別情報、たとえば、UMTS、LTE、NRなど、
・ RANノードによって決定された、UEとRANノードに関連するTPとの間の推定RTT。UE TAが使用され得るとネットワークが決定する、PCell、PSCell、SCellなどの任意のセル、
・ 推定RTTに関連するTPの識別情報(たとえば、サービングセルID)、
・ ドップラーシフト測定のための複数の候補TPの識別情報(たとえば、ネイバーセルID、SSBインデックスなど)、
・ 複数の候補TPによって使用されるDLキャリア周波数の識別情報、
・ 複数の候補TPについてのそれぞれのロケーション、
・ 最も高い受信SSB信号電力を有する、およびブラックリストに載せられていないまたはホワイトリストに載せられた、X個の候補ネイバーセルなど、ドップラーシフト測定のためにTPを(すなわち、候補TPから)選択するための1つまたは複数のルールまたは基準、
・ UE移動状態の決定を始動するための1つまたは複数の第1のトリガイベント、
・ UE移動状態を報告するための1つまたは複数の第2のトリガイベント、
・ UE移動状態の報告を停止するための1つまたは複数の第3のトリガイベント、ならびに
・ UE移動状態の周期的報告のための報告間隔
のいずれかを含むことができる。
【0154】
いくつかの実施形態では、各第3のトリガイベントは、MeasurementConfig IEにおいて明示的に識別された対応する第2のトリガイベントから暗黙的であり得る。たとえば、第2のトリガイベントは、UEが、UEのためのサービングセル(たとえば、PCell)に対応するTPから少なくともしきい値距離にあることであり得る。UEが、移動状態を報告することを停止することを引き起こす、関係する第2のイベントは、UEが同じTPからのしきい値距離未満にあることであり得る。この関係する第2のイベントは、暗黙的であり、および/またはMeasurementConfig IEにおいて明示的に識別され得る第2のトリガイベントから推論され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、測定設定は、2つ以上のメッセージによってUEに伝達され得る。たとえば、RANノードは、第1のメッセージ中で複数の候補TPおよび関連するDLキャリア周波数を識別するが、すべての候補TPのそれぞれのロケーションを第1のメッセージ中に含めるのを控えることができる。UEは、その後、各キャリア周波数上の最も強いTPを(すなわち、候補の中から)識別し、各提供されたキャリア周波数の最も強いTPのIDをRANノードに報告することができる。その後、RANノードは、報告されたTP IDに対応するTPロケーションを含む第2のメッセージをUEに送ることができ、UEは、これを使用して、UEの移動状態を決定することができる。
【0156】
いくつかの実施形態では、MeasurementConfig IEの受信は、UE移動状態の決定を始動するための要求として、UEによって解釈され得る。他の実施形態では、MeasurementConfig IEは、UE移動状態の決定を始動するための明示的要求を含むことができる。いずれの場合も、UEは、たとえば、上記で説明された2.0秒ごとになど、周期的に、移動状態の決定を始動する。
【0157】
いくつかの実施形態では、MeasurementConfig IEの受信はまた、決定されたUE移動状態の報告を始動するための要求として、UEによって解釈され得る。他の実施形態では、UEは、MeasurementConfig IEにおいて識別された第2のトリガイベントを検出することに基づいて、報告を始動することができる。
【0158】
他の実施形態では、移動状態のUE決定をトリガおよび/または始動するために、いくつかの無線リンク監視(RLM)イベントが使用され得る。これらは、3GPP TS38.331セクション5.5.4において規定されている以下、すなわち、
・ イベントA1(サービングがしきい値よりも良好になる)、
・ イベントA2(サービングがしきい値よりも不良になる)、
・ イベントA3(ネイバーがSpCellよりもオフセットだけ良好になる)、
・ イベントA4(ネイバーがしきい値よりも良好になる)、
・ イベントA5(SpCellがしきい値1よりも不良になり、ネイバーがしきい値2よりも良好になる)、
・ イベントA6(ネイバーがSCellよりもオフセットだけ良好になる)、
・ イベントB1(RAT間ネイバーがしきい値よりも良好になる)、
・ イベントB2(PCellがしきい値1よりも不良になり、RAT間ネイバーがしきい値2よりも良好になる)、
・ イベントI1(干渉がしきい値よりも高くなる)、
・ イベントC1(NRサイドリンクチャネルビジー率がしきい値を上回る)、および
・ イベントC2(NRサイドリンクチャネルビジー率がしきい値を下回る)。
のいずれかを含むことができる。
【0159】
いくつかの実施形態では、同じまたは異なるRLMイベントが、決定されたUE移動状態の報告をトリガすることができる。UE移動状態の決定および/または報告をトリガするために、イベント組合せも使用され得る。
【0160】
いずれの場合も、UEは、メッセージを送る前に、直近に決定されたUE移動状態の値を含む測定報告メッセージを、RANノードに送る。その後、UEは、それぞれのさらなるメッセージを送る前に、直近に決定されたUE移動状態のそれぞれの値を含むさらなる測定報告メッセージを送ることができる。たとえば、メッセージは、MeasurementConfig IEにおいて受信された報告間隔に従って、時間的に離間され得る。後で、UEは、MeasurementConfig IEにおいて識別された第3のトリガイベントを検出することができ、これは、UEが、UE移動状態の値の報告を中止することを引き起こす。
【0161】
UEは、図18中の送られた各測定報告メッセージ中に以下、すなわち、
・ (たとえば、測位測定、IMM、およびTPロケーションからの)特定の測定時間において決定された2D水平位置、
・ 特定の測定時間において決定された2D水平速度、
・ 特定の測定時間(たとえば、推定が終わり、報告のためにUE RRCレイヤに提供されたとき)、および
・ 含まれる位置および速度がそこから決定された、UEドップラー(および随意にRTT)測定のために使用された、TP(たとえば、ネイバーセル)、キャリア周波数、および/または信号(たとえば、RSのタイプ)の識別情報
を含めることができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、移動状態報告以外のUE動作を始動するために、いくつかのトリガイベントが使用され得る。たとえば、特定のトリガイベントの発生時に、UEは、最も強い観測信号をもつTP、あるいはRANノードからのMeasurementConfig IEまたは別のメッセージにおいて識別された特定の周波数上の特定のTPなど、特定のTPへのランダムアクセスを実施することができる。この動作の結果として、UEは、以下でより詳細に説明されるように、TPについてのRTTを決定することができる。
【0163】
別の例として、UE決定された2D速度が、ある速さしきい値に達したとき、UEは、RSRP、RSRQなどのサンプリングなど、無線リンク監視(RLM)のレートを変更することができる。より具体的な例として、UEは、測定された速さ(すなわち、2D速度の大きさ)がしきい値未満に減少するにつれて、RLMレートを低減し、それにより、UEエネルギー消費を低減することができる。
【0164】
上述のように、いくつかの実施形態において使用されるRTT測定は、UEによってまたはネットワーク(たとえば、サービングRANノード)によって実施され得る。たとえば、RTTは、以下に基づいて、UEによって推定され得る。
・ UEは、受信された送信フレームおよびシンボルタイミングを使用して、UEのUL送信タイミング参照を調節する。
・ セルにおいてRAプリアンブル(たとえば、msg1)を送信するとき、UEは、最初に、UEのULタイミング参照の、所定の時間前に、送信する。
・ セルをサーブするRANノードは、UE UL送信が、セルにおけるすべてのRRC_CONNECTED UEを使用されるRANノード受信ウィンドウと時間整合されるように、(たとえば、UEにTAコマンドを送ることによって)UEのTAを調節する。
・ RANノードは、UE移動が信号伝搬遅延を変更するときなど、必要に応じてUEのTAを調節することによって、この受信時間整合を維持する。変更が必要とされるとき、RANノードは、UEにTA更新を提供する。
・ UEにおける最新のTA値は、UEとサービングセル(たとえば、アンテナ)との間の現在の一方向信号遅延の2倍を表し、したがって、これは、UEラウンドトリップタイム(RTT)測定として働くことができる。
【0165】
別の例として、RTTは、以下に基づいて、セルをサーブするRANノードによって推定され得る。
・ RANノードは、UE UL送信が、セルにおけるすべてのRRC_CONNECTED UEを使用されるRANノード受信ウィンドウと時間整合されるように、(たとえば、UEにTAコマンドを送ることによって)UEのTAを調節する。
・ RANノードは、DL送信とUE UL受信ウィンドウとの間の所定の遅延を使用する。
・ 時間整合された受信が、UEのUL送信について達成された後に、ネットワーク決定されたTA値は、UEとサービングセル(たとえば、アンテナ)との間の現在の一方向信号遅延の2倍を表し、したがって、これは、UEラウンドトリップタイム(RTT)測定として働くことができる。
【0166】
上記で説明された実施形態は、それぞれ、UEおよびRANノードのための例示的な方法(たとえば、プロシージャ)を図示する、図19図20を参照しながらさらに示され得る。言い換えれば、以下で説明される動作の様々な特徴は、上記で説明された様々な実施形態に対応する。図19図20に示されている例示的な方法は、本明細書で説明される様々な例示的な利益および/または利点を提供するために協働的に使用され得る。図19図20は、特定の順序で特定のブロックを示すが、それぞれの方法の動作は、示されているのとは異なる順序で実施され得、示されているのとは異なる機能を有するブロックに組み合わせられ、および/または分割され得る。随意のブロックまたは動作が、破線によって指示される。
【0167】
特に、図19は、本開示の様々な例示的な実施形態による、無線アクセスネットワーク(RAN)において動作するユーザ機器(UE)の移動状態を決定するための例示的な方法(たとえば、プロシージャ)の流れ図を示す。例示的な方法は、他の図を参照しながら本明細書で説明されるUEなど、RAN(たとえば、E-UTRAN、NG-RAN)において動作するUE(たとえば、無線デバイス、エアリアルUEなど)によって実施され得る。
【0168】
例示的な方法は、ブロック1940の動作を含むことができ、UEは、RANにおける複数の送信ポイント(TP)から受信された信号上で測位測定を実施することができる。測位測定は、以下、すなわち、
・ 第1のTPからの信号のドップラーシフトの第1の測定と、
・ 第1のTPから空間的に分離された第2のTPからの信号のドップラーシフトの第2の測定と、
・ 第3のTPからの信号の第3の測定と
を含むことができる。
【0169】
例示的な方法は、ブロック1950の動作をも含むことができ、UEは、測位測定と対話型複数モデル(IMM)とに基づいて、UE移動状態を決定することができ、IMMは、第1のほぼ一定速度モデルと、第2の操作速度モデルと、第1のモデルと第2のモデルとに共通のドップラーシフトバイアス状態とを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、第3の測定は、信号ラウンドトリップタイム(RTT)のものであり、第3のTPは、第1のTPまたは第2のTPと同じである。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第3の測定は、UEについての以下、すなわち、1次セル(PCell)と、1次2次セル(PSCell)と、2次セル(SCell)とのいずれかに関するUEタイミングアドバンス(TA)に基づく。
【0171】
他の実施形態では、第3の測定は、ドップラーシフトのものであり、第3のTPは、第1のTPからおよび第2のTPから空間的に分離される。
【0172】
いくつかの実施形態では、(たとえば、ブロック1950において決定された)UE移動状態は、2次元(2D)水平位置と、2D水平速度と、ドップラーシフトバイアスとを含むことができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、IMMモデルは、UE移動状態の逐次更新中の第1のモデルおよび第2のモデルのいずれかの間のUEのそれぞれの遷移確率を備える隠れマルコフモデル(HMM)をも含む。そのような実施形態では、各遷移確率が、UE移動状態の逐次更新間の持続時間に依存し得る。そのようなHMMの例は、上記でより詳細に説明された。
【0174】
いくつかの実施形態では、IMMモデルは、第1のモデルおよび第2のモデルに関連する推定確率を含むことができる。そのような実施形態では、ブロック1950の決定動作は、サブブロック1951~1952の動作を含むことができる。サブブロック1951において、UEは、それぞれの第1のモデルおよび第2のモデルに基づいて、UEについての第1の移動状態および第2の移動状態を決定することができる。サブブロック1952において、UEは、推定確率に従って、第1の移動状態および第2の移動状態をUE移動状態に組み合わせることができる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1の移動状態および第2の移動状態は、上記でより詳細に説明されたものなど、それぞれの拡張カルマンフィルタ(EKF)を使用して決定され得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、第1のTPおよび第2のTPのうちの一方が、RANにおけるUEのためのサービングセルに関連し得、第1のTPおよび第2のTPのうちの他方が、RANにおけるUEのためのネイバーセルに関連する。
【0176】
いくつかの実施形態では、例示的な方法は、ブロック1930の動作をも含むことができ、ここで、UEは、第1のTPおよび第2のTPのうちの少なくとも1つに関連するRANノードから、測位測定設定を受信することができ、測位測定設定は、以下、すなわち、
・ UE移動状態の決定を始動するための要求と、
・ UE移動状態の決定を始動するための1つまたは複数の第1のトリガイベントと、
・ 測定されるべき信号の1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)の識別情報と、
・ UEとRANノードに関連するTPとの間の推定信号ラウンドトリップタイム(RTT)と、
・ 推定RTTに関連するTPの識別情報と、
・ ドップラーシフト測定のための複数の候補TPの識別情報と、
・ 複数の候補TPによって使用されるダウンリンク(DL)キャリア周波数の識別情報と、
・ 複数の候補TPについてのそれぞれのロケーションと、
・ ドップラーシフト測定のためのTPを選択するための1つまたは複数のルールまたは基準と、
・ UE移動状態を報告するための1つまたは複数の第2のトリガイベントと、
・ UE移動状態の報告を停止するための1つまたは複数の第3のトリガイベントと、
・ UE移動状態の周期的報告のための報告間隔と
のうちの1つまたは複数を含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第3のトリガイベントは、測位測定設定において識別されたそれぞれの1つまたは複数の第2のトリガイベントから暗黙的である。
【0178】
様々な実施形態では、ブロック1950の決定動作は、サブブロック1953~1954の動作を含むことができる。サブブロック1953において、UEは、(たとえば、ブロック1930において受信された測位測定設定における)RANノードから受信された推定信号RTTに基づいて、UE移動状態の第1の値を決定することができる。サブブロック1954において、UEは、その後、UEと第1のTPまたは第2のTPとの間の信号RTTのUE測位測定に基づいて、UE移動状態の1つまたは複数の第2の値を決定することができる。
【0179】
いくつかの実施形態では、(たとえば、ブロック1930において受信された測位測定設定において識別された)1つまたは複数の第2のトリガイベントは、以下、すなわち、
・ 多角形形状によって規定された絶対的エリア、またはUEにサービングセルを提供する(たとえば、第1または第2の)TPからの距離によって規定された相対的エリアなど、エリアの内部または外部の位置と、
・ 位置変化しきい値と、
・ 速さ(スカラ)または速度(ベクトル)しきい値と、
・ 速さ(スカラ)または速度(ベクトル)変化しきい値と
のいずれかを含むことができる。
【0180】
いくつかの実施形態では、例示的な方法は、ブロック1910~1920の動作をも含むことができる。ブロック1910において、UEは、RANノードから、移動状態決定のUE能力についての要求を受信することができる。ブロック1920において、UEは、RANノードに、UEは(たとえば、ブロック1950における)移動状態決定が可能であるという指示を送ることができる。いくつかの実施形態では、測定設定は、ブロック1920において指示を送ることの後に(たとえば、ブロック1930において)受信され得る。同様に、ブロック1940において測位測定を実施することは、ブロック1930において測定設定を受信することに応答したものであり得る。
【0181】
いくつかの実施形態では、例示的な方法は、ブロック1960の動作をも含むことができ、ここで、UEは、RANノードに1つまたは複数の測定報告を送ることができ、各測定報告は、受信された測位測定設定からの以下、すなわち、第2のトリガイベントと第3のトリガイベントと報告間隔とのうちの1つまたは複数に応答したものである。たとえば、第1の測定報告は、第2のトリガイベントに応答して送られ得、1つまたは複数の第2の測定報告は、第1の測定報告の後および第3のトリガイベントの発生までのそれぞれの1つまたは複数の報告間隔において送られ得る。一例として、第1のトリガイベントおよび第3のトリガイベントは、同じしきい値(たとえば、距離)に関係し得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、各測定報告は、
・ 特定の測定時間において決定されたUE移動状態の少なくとも一部と、
・ 特定の測定時間と、
・ 含まれるUE移動状態がそこから決定された、UE測位測定において使用された以下、すなわち、(たとえば、セルIDによる)TPとキャリア周波数と信号(たとえば、SSBインデックス)とのうちの1つまたは複数の識別情報と
を含む。
【0183】
さらに、図20は、本開示の様々な例示的な実施形態による、移動状態のユーザ機器(UE)決定を容易にするための例示的な方法(たとえば、プロシージャ)の流れ図を示す。例示的な方法は、他の図を参照しながら本明細書で説明されるRANノードなど、RAN(たとえば、E-UTRAN、NG-RAN)におけるセルをサーブするRANノード(たとえば、基地局、eNB、gNB、ng-eNB、en-gNBなど、またはそれらの構成要素)によって実施され得る。
【0184】
例示的な方法は、ブロック2040の動作を含むことができ、ここで、RANノードは、RANノードに関連する第1の送信ポイント(TP)において、ドップラーシフトの第1のUE測定を容易にする1つまたは複数の信号を送信することができる。例示的な方法は、ブロック2050の動作をも含むことができ、ここで、RANノードは、UEから、
・ ドップラーシフトの第1のUE測定と、
・ 第1のTPから空間的に分離された第2のTPによって送信された信号のドップラーシフトの第2のUE測定と、
・ 第3のTPからの信号の第3の測定と、
・ 対話型複数モデル(IMM)と
に基づいてそれぞれの1つまたは複数の測定時間において決定されたUE移動状態の少なくとも一部を含む1つまたは複数の測定報告を受信することができ、IMMは、
○ 第1のほぼ一定速度モデルと、
○ 第2の操作速度モデルと、
○ 第1のモデルと第2のモデルとに共通のドップラーシフトバイアス状態と
を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、第3の測定は、信号ラウンドトリップタイム(RTT)のものであり、第3のTPは、第1のTPまたは第2のTPと同じである。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第3の測定は、UEについての以下、すなわち、1次セル(PCell)と、1次2次セル(PSCell)と、2次セル(SCell)とのいずれかに関するUEタイミングアドバンス(TA)に基づく。
【0186】
他の実施形態では、第3の測定は、ドップラーシフトのものであり、第3のTPは、第1のTPからおよび第2のTPから空間的に分離される。
【0187】
いくつかの実施形態では、UE移動状態は、2次元(2D)水平位置と、2D水平速度と、ドップラーシフトバイアスとを含むことができる。たとえば、2D水平位置および2D水平速度は、(1つまたは複数の)受信された測定報告中に含まれ得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、第1のTPは、RANにおけるUEのためのサービングセルに関連し得、第2のTPは、RANにおけるUEのためのネイバーセルに関連し得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、例示的な方法は、ブロック2030の動作をも含むことができ、ここで、RANノードは、UEに、測位測定設定を送ることができ、測位測定設定は、以下、すなわち、
・ UE移動状態の決定を始動するための要求と、
・ UE移動状態の決定を始動するための1つまたは複数の第1のトリガイベントと、
・ 測定されるべき信号の1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)の識別情報と、
・ UEと第1のTPとの間の推定信号ラウンドトリップタイム(RTT)と、
・ 推定RTTに関連する第1のTPの識別情報と、
・ ドップラーシフト測定のための複数の候補TPの識別情報と、
・ 複数の候補TPによって使用されるDLキャリア周波数の識別情報と、
・ 複数の候補TPについてのそれぞれのロケーションと、
・ ドップラーシフト測定のためのTPを選択するための1つまたは複数のルールまたは基準と、
・ UE移動状態を報告するための1つまたは複数の第2のトリガイベントと、
・ UE移動状態の報告を停止するための1つまたは複数の第3のトリガイベントと、
・ UE移動状態の周期的報告のための報告間隔と
のうちの1つまたは複数を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の第3のトリガイベントは、測位測定設定において識別されたそれぞれの1つまたは複数の第2のトリガイベントから暗黙的である。
【0191】
いくつかの実施形態では、(たとえば、ブロック2030における測位測定設定において識別された)1つまたは複数の第2のトリガイベントは、以下、すなわち、
・ 多角形形状によって規定された絶対的エリア、またはUEにサービングセルを提供する(たとえば、第1または第2の)TPからの距離によって規定された相対的エリアなど、エリアの内部または外部の位置と、
・ 位置変化しきい値と、
・ 速さ(スカラ)または速度(ベクトル)しきい値と、
・ 速さ(スカラ)または速度(ベクトル)変化しきい値と
のいずれかを含むことができる。
【0192】
いくつかの実施形態では、例示的な方法は、ブロック2010~2020の動作をも含むことができる。ブロック2010において、RANノードは、UEに、移動状態決定のUE能力についての要求を送ることができる。ブロック2020において、RANノードは、UEから、UEは移動状態決定が可能であるという指示を受信することができる。いくつかの実施形態では、測位測定設定は、ブロック2020において指示を受信することの後に(たとえば、ブロック2030において)送られ得る。
【0193】
いくつかの実施形態では、(たとえば、ブロック2050において受信された)1つまたは複数の測定報告は、
・ (たとえば、ブロック2030において)RANノードから受信された推定信号RTTに基づいて決定されたUE移動状態の少なくとも一部を含む、第1の測定報告と、
・ UEと第1のTPとの間の信号RTTのUE測位測定に基づいて決定されたUE移動状態の少なくとも一部を含む、1つまたは複数の後続の第2の測定報告と
を含むことができる。
【0194】
いくつかの実施形態では、各測定報告は、測位測定設定中に含まれる以下、すなわち、第2のトリガイベントと第3のトリガイベントと報告間隔とのうちの1つまたは複数に応答したものであり得る。たとえば、1つまたは複数の測定報告は、
・ 第2のトリガイベントに応答した第1の測定報告と、
・ 第1の測定報告の後および第3のトリガイベントの発生までのそれぞれの1つまたは複数の報告間隔における1つまたは複数の第2の測定報告と
を含むことができる。
【0195】
いくつかの実施形態では、各測定報告は、以下、すなわち、
・ 含まれるUE移動状態に対応する測定時間と、
・ 含まれるUE移動状態がそこから決定された、UE測位測定において使用された以下、すなわち、TPとキャリア周波数と信号とのうちの1つまたは複数の識別情報と
をも含むことができる。
【0196】
様々な実施形態が、上記では方法、技法、および/またはプロシージャに関して説明されたが、そのような方法、技法、および/またはプロシージャが、様々なシステム、通信デバイス、コンピューティングデバイス、制御デバイス、装置、非一時的コンピュータ可読媒体、コンピュータプログラム製品などにおいて、ハードウェアとソフトウェアとの様々な組合せによって具現され得ることを、当業者は容易に理解されよう。
【0197】
図21は、他の図を参照しながら上記で説明されたものを含む、本開示の様々な実施形態による、例示的な無線デバイスまたは(以下で「UE2100」と呼ばれる)ユーザ機器(UE)2100のブロック図を示す。たとえば、UE2100は、コンピュータ可読媒体に記憶された命令の実行によって、上記で説明された例示的な方法および/またはプロシージャのうちの1つまたは複数に対応する動作を実施するように、設定され得る。
【0198】
UE2100は、並列アドレスおよびデータバス、シリアルポート、あるいは当業者に知られている他の方法および/または構造を備えることができる、バス2170を介してプログラムメモリ2120および/またはデータメモリ2130に動作可能に接続され得る(「処理回路」とも呼ばれる)プロセッサ2110を含むことができる。プログラムメモリ2120は、プロセッサ2110によって実行されたとき、以下で説明される動作を含む様々な動作を実施するようにUE2100を設定し、および/またはUE2100がそれらの動作を実施することを容易にすることができる、(図21ではまとめてコンピュータプログラム製品2121として示されている)ソフトウェアコード、プログラム、および/または命令を記憶することができる。たとえば、そのような命令の実行は、5G/NR、LTE、LTE-A、UMTS、HSPA、GSM、GPRS、EDGE、1xRTT、CDMA2000、802.11 WiFi、HDMI、USB、Firewireなどとして一般に知られているものなど、3GPP、3GPP2、またはIEEEによって規格化された1つまたは複数の無線通信プロトコル、あるいは無線トランシーバ2140、ユーザインターフェース2150、および/または制御インターフェース2160とともに利用され得る任意の他の現在のまたは将来のプロトコルを含む、1つまたは複数の有線または無線通信プロトコルを使用して通信するようにUE2100を設定し、および/または例示的なUE2100がそれらのプロトコルを使用して通信することを容易にすることができる。
【0199】
別の例として、プロセッサ2110は、(たとえば、NRおよび/またはLTEのために)3GPPによって規格化されたMAC、RLC、PDCP、およびRRCレイヤプロトコルに対応する、プログラムメモリ2120に記憶されたプログラムコードを実行することができる。さらなる例として、プロセッサ2110は、無線トランシーバ2140とともに、直交周波数分割多重(OFDM)、直交周波数分割多元接続(OFDMA)、およびシングルキャリア周波数分割多元接続(SC-FDMA)など、対応するPHYレイヤプロトコルを実装する、プログラムメモリ2120に記憶されたプログラムコードを実行することができる。別の例として、プロセッサ2110は、無線トランシーバ2140とともに、他の適合デバイスおよび/またはUEとのD2D(device-to-device)通信を実装する、プログラムメモリ2120に記憶されたプログラムコードを実行することができる。
【0200】
プログラムメモリ2120は、無線トランシーバ2140、ユーザインターフェース2150、および/またはホストインターフェース2160など、様々な構成要素を設定および制御することを含む、UE2100の機能を制御するためにプロセッサ2110によって実行されるソフトウェアコードをも含むことができる。プログラムメモリ2120は、本明細書で説明される例示的な方法および/またはプロシージャのいずれかを具現するコンピュータ実行可能命令を備える、1つまたは複数のアプリケーションプログラムおよび/またはモジュールをも備えることができる。そのようなソフトウェアコードは、たとえば、実装される方法ステップによって規定される所望の機能が保持される限り、たとえば、Java、C++、C、Objective C、HTML、XHTML、機械コード、およびアセンブラなど、任意の知られているまたは将来の開発されるプログラミング言語を使用して指定されるか、または書き込まれ得る。追加として、または代替として、プログラムメモリ2120は、UE2100からリモートにある外部ストレージ構成(図示せず)を備えることができ、その外部ストレージ構成から、命令は、そのような命令の実行を可能にするように、UE2100内に位置するかまたはUE2100に取外し可能に結合されたプログラムメモリ2120にダウンロードされ得る。
【0201】
データメモリ2130は、本明細書で説明される例示的な方法および/またはプロシージャのいずれかに対応するかまたはそのいずれかを含む動作を含む、UE2100のプロトコル、設定、制御、および他の機能において使用される変数を、プロセッサ2110が記憶するためのメモリエリアを含むことができる。その上、プログラムメモリ2120および/またはデータメモリ2130は、不揮発性メモリ(たとえば、フラッシュメモリ)、揮発性メモリ(たとえば、スタティックまたはダイナミックRAM)、またはそれらの組合せを含むことができる。さらに、データメモリ2130は、1つまたは複数のフォーマットのリムーバブルメモリカード(たとえば、SDカード、メモリスティック、コンパクトフラッシュなど)が挿入および取り外され得る、メモリスロットを備えることができる。
【0202】
プロセッサ2110が、上記で説明された機能の一部分を各々が実装する、(たとえば、マルチコアプロセッサを含む)複数の個々のプロセッサを含むことができることを、当業者は認識されよう。そのような場合、複数の個々のプロセッサは、プログラムメモリ2120およびデータメモリ2130に共通に接続されるか、あるいは複数の個々のプログラムメモリおよび/またはデータメモリに個々に接続され得る。より一般的には、UE2100の様々なプロトコルおよび他の機能が、限定はしないが、アプリケーションプロセッサ、信号プロセッサ、汎用プロセッサ、マルチコアプロセッサ、ASIC、固定および/またはプログラマブルデジタル回路、アナログベースバンド回路、無線周波数回路、ソフトウェア、ファームウェア、ならびにミドルウェアを含む、ハードウェアとソフトウェアとの異なる組合せを含む多くの異なるコンピュータ構成において実装され得ることを、当業者は認識されよう。
【0203】
無線トランシーバ2140は、UE2100が、同様の無線通信規格および/またはプロトコルをサポートする他の機器と通信することを容易にする、無線周波数送信機および/または受信機機能を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、無線トランシーバ2140は、UE2100が、3GPPおよび/または他の標準化団体による規格化のために提案された様々なプロトコルおよび/または方法に従って通信することを可能にする、1つまたは複数の送信機と1つまたは複数の受信機とを含む。たとえば、そのような機能は、他の図に関して本明細書で説明されるような、OFDM、OFDMA、および/またはSC-FDMA技術に基づくPHYレイヤを実装するために、プロセッサ2110と協働して動作することができる。
【0204】
いくつかの例示的な実施形態では、無線トランシーバ2140は、UE2100が、3GPPによって公表された規格に従って様々なLTE、LTEアドバンスト(LTE-A)、および/またはNRネットワークと通信することを容易にすることができる、1つまたは複数の送信機と1つまたは複数の受信機とを含む。本開示のいくつかの例示的な実施形態では、無線トランシーバ2140は、UE2100が、同じく3GPP規格に従って様々なNR、NR-U、LTE、LTE-A、LTE-LAA、UMTS、および/またはGSM/EDGEネットワークと通信するために必要な、回路、ファームウェアなどを含む。いくつかの実施形態では、無線トランシーバ2140は、UE2100と他の適合デバイスとの間のD2D通信をサポートする回路を含むことができる。
【0205】
いくつかの実施形態では、無線トランシーバ2140は、UE2100が、3GPP2規格に従って様々なCDMA2000ネットワークと通信するために必要な、回路、ファームウェアなどを含む。いくつかの実施形態では、無線トランシーバ2140は、2.4、5.6、および/または60GHzの領域中の周波数を使用して動作するIEEE802.11 WiFiなど、未ライセンス周波数帯域中で動作する無線技術を使用して通信することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、無線トランシーバ2140は、IEEE802.3イーサネット技術を使用することなどによる有線通信が可能であるトランシーバを含むことができる。これらの実施形態の各々に特有の機能は、データメモリ2130と連携したおよび/またはデータメモリ2130によってサポートされるプログラムメモリ2120に記憶されたプログラムコードを実行するプロセッサ2110など、UE2100中の他の回路に結合され、および/または他の回路によって制御され得る。
【0206】
いくつかの実施形態では、無線トランシーバ2240は、本明細書で説明される様々な実施形態に従って、ドップラーシフト、RTTなどの測定など、無線ネットワーク(たとえば、E-UTRAN、NG-RAN)によって送信された様々な信号上で測定を実施するために使用され得る。
【0207】
ユーザインターフェース2150は、UE2100の特定の実施形態に応じて様々な形態をとることができるか、またはまったくUE2100にないことがある。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース2150は、マイクロフォン、ラウドスピーカー、スライド可能ボタン、押下可能なボタン、ディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ、機械的または仮想キーパッド、機械的または仮想キーボード、および/あるいはモバイルフォン上で一般に見られる任意の他のユーザインターフェース特徴を備えることができる。他の実施形態では、UE2100は、より大きいタッチスクリーンディスプレイを含むタブレットコンピューティングデバイスを備えることができる。そのような実施形態では、ユーザインターフェース2150の機械的特徴のうちの1つまたは複数が、当業者によく知られているように、タッチスクリーンディスプレイを使用して実装される同等のまたは機能的に等価な仮想ユーザインターフェース特徴(たとえば、仮想キーパッド、仮想ボタンなど)によって置き換えられ得る。他の実施形態では、UE2100は、特定の例示的な実施形態に応じて統合されるか、デタッチされるか、または着脱可能であり得る、機械的キーボードを備える、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーションなど、デジタルコンピューティングデバイスであり得る。そのようなデジタルコンピューティングデバイスはタッチスクリーンディスプレイをも備えることができる。タッチスクリーンディスプレイを有するUE2100の多くの例示的な実施形態は、本明細書で説明されるかまたはさもなければ当業者に知られている例示的な方法および/またはプロシージャに関係する入力など、ユーザ入力を受信することが可能である。
【0208】
いくつかの実施形態では、UE2100は、UE2100の特徴および機能によって様々なやり方で使用され得る、配向センサーを含むことができる。たとえば、UE2100は、配向センサーの出力を使用して、ユーザがUE2100のタッチスクリーンディスプレイの物理的配向をいつ変えたかを決定することができる。配向センサーからの指示信号が、UE2100上で実行する任意のアプリケーションプログラムにとって利用可能であり得、その結果、アプリケーションプログラムは、指示信号がデバイスの物理的配向の約90度変化を指示したとき、自動的にスクリーンディスプレイの配向を(たとえば、縦方向から横方向に)変えることができる。この例示的な様式では、アプリケーションプログラムは、デバイスの物理的配向にかかわらず、ユーザによって可読である様式でスクリーンディスプレイを維持することができる。さらに、配向センサーの出力は、本開示の様々な例示的な実施形態とともに使用され得る。
【0209】
UE2100の制御インターフェース2160が、UE2100の特定の例示的な実施形態、ならびにUE2100が通信および/または制御することが意図される他のデバイスの特定のインターフェース要件の特定の例示的な実施形態に応じて、様々な形態をとることができる。たとえば、制御インターフェース2160は、RS-232インターフェース、USBインターフェース、HDMIインターフェース、Bluetoothインターフェース、IEEE(「Firewire」)インターフェース、ICインターフェース、PCMCIAインターフェースなどを備えることができる。本開示のいくつかの例示的な実施形態では、制御インターフェース2160は、上記で説明されたように、IEEE802.3イーサネットインターフェースを備えることができる。本開示のいくつかの例示的な実施形態では、制御インターフェース2160は、たとえば、1つまたは複数のデジタルアナログ(D/A)および/またはアナログデジタル(A/D)変換器を含む、アナログインターフェース回路を備えることができる。
【0210】
特徴、インターフェース、および無線周波数通信規格の上記のリストが、例にすぎず、本開示の範囲を限定しないことを、当業者は認識することができる。言い換えれば、UE2100は、たとえば、ビデオおよび/または静止画像カメラ、マイクロフォン、メディアプレーヤおよび/またはレコーダなどを含む、図21に示されているものよりも多くの機能を備えることができる。その上、無線トランシーバ2140は、Bluetooth、GPS、および/または他のものを含む追加の無線周波数通信規格を使用して通信するために必要な回路を含むことができる。その上、プロセッサ2110は、そのような追加の機能を制御するために、プログラムメモリ2120に記憶されたソフトウェアコードを実行することができる。たとえば、GPS受信機から出力された方向性速度および/または位置推定が、本開示の様々な例示的な実施形態による様々な例示的な方法および/またはコンピュータ可読媒体を含む、UE2100上で実行する任意のアプリケーションプログラムにとって利用可能であり得る。
【0211】
図22は、他の図を参照しながら上記で説明されたものを含む、本開示の様々な実施形態による、例示的なネットワークノード2200のブロック図を示す。たとえば、例示的なネットワークノード2200は、コンピュータ可読媒体に記憶された命令の実行によって、上記で説明された例示的な方法および/またはプロシージャのうちの1つまたは複数に対応する動作を実施するように、設定され得る。いくつかの例示的な実施形態では、ネットワークノード2200は、基地局、eNB、gNB、またはそれらの1つまたは複数の構成要素を備えることができる。たとえば、ネットワークノード2200は、3GPPによって指定されたNR gNBアーキテクチャに従って、中央ユニット(CU)および1つまたは複数の分散ユニット(DU)として設定され得る。より一般的には、ネットワークノード2200の機能は、様々な物理デバイスおよび/または機能ユニット、モジュールなどにわたって分散され得る。
【0212】
ネットワークノード2200は、並列アドレスおよびデータバス、シリアルポート、あるいは当業者に知られている他の方法および/または構造を含むことができる、バス2270を介してプログラムメモリ2220およびデータメモリ2230に動作可能に接続された(「処理回路」とも呼ばれる)プロセッサ2210を含むことができる。
【0213】
プログラムメモリ2220は、プロセッサ2210によって実行されたとき、様々な動作を実施するようにネットワークノード2200を設定し、および/またはネットワークノード2200がそれらの動作を実施することを容易にすることができる、(図22ではまとめてコンピュータプログラム製品2221として示されている)ソフトウェアコード、プログラム、および/または命令を記憶することができる。たとえば、そのような記憶された命令の実行が、上記で説明された1つまたは複数の例示的な方法および/またはプロシージャを含む、本開示の様々な実施形態によるプロトコルを使用して1つまたは複数の他のデバイスと通信するようにネットワークノード2200を設定することができる。プログラムメモリ2220は、LTE、LTE-A、および/またはNRのために3GPPによって規格化されたPHY、MAC、RLC、PDCP、およびRRCレイヤプロトコル、あるいは無線ネットワークインターフェース2240およびコアネットワークインターフェース2250とともに利用される任意の他の上位レイヤプロトコルのうちの1つまたは複数など、他のプロトコルまたはプロトコルレイヤを使用して、ネットワークノード2200が1つまたは複数の他のデバイスと通信することを容易にし、特に、それを行うようにネットワークノード2200を設定することができる、プロセッサ2210によって実行されるソフトウェアコードをも備えることができる。例として、および限定はしないが、3GPPによって規格化されたように、コアネットワークインターフェース2250はS1インターフェースを備えることができ、無線ネットワークインターフェース2240はUuインターフェースを備えることができる。プログラムメモリ2220は、無線ネットワークインターフェース2240およびコアネットワークインターフェース2250など、様々な構成要素を設定および制御することを含む、ネットワークノード2200の機能を制御するためにプロセッサ2210によって実行されるソフトウェアコードをさらに備えることができる。
【0214】
データメモリ2230は、ネットワークノード2200のプロトコル、設定、制御、および他の機能において使用される変数を、プロセッサ2210が記憶するためのメモリエリアを備えることができる。したがって、プログラムメモリ2220およびデータメモリ2230は、不揮発性メモリ(たとえば、フラッシュメモリ、ハードディスクなど)、揮発性メモリ(たとえば、スタティックまたはダイナミックRAM)、ネットワークベース(たとえば、「クラウド」)ストレージ、またはそれらの組合せを備えることができる。プロセッサ2210が、上記で説明された機能の一部分を各々が実装する、複数の個々のプロセッサ(図示せず)を含むことができることを、当業者は認識されよう。そのような場合、複数の個々のプロセッサは、プログラムメモリ2220およびデータメモリ2230に共通に接続されるか、あるいは複数の個々のプログラムメモリおよび/またはデータメモリに個々に接続され得る。より一般的には、ネットワークノード2200の様々なプロトコルおよび他の機能が、限定はしないが、アプリケーションプロセッサ、信号プロセッサ、汎用プロセッサ、マルチコアプロセッサ、ASIC、固定デジタル回路、プログラマブルデジタル回路、アナログベースバンド回路、無線周波数回路、ソフトウェア、ファームウェア、およびミドルウェアを含む、ハードウェアとソフトウェアとの多くの異なる組合せにおいて実装されることを、当業者は認識されよう。
【0215】
無線ネットワークインターフェース2240は、送信機と、受信機と、信号プロセッサと、ASICと、アンテナと、ビームフォーミングユニットと、ネットワークノード2200が、いくつかの実施形態において、複数の適合ユーザ機器(UE)などの他の機器と通信することを可能にする、他の回路とを備えることができる。いくつかの実施形態では、インターフェース2240はまた、ネットワークノード2200が、衛星通信ネットワークの適合衛星と通信することを可能にすることができる。いくつかの例示的な実施形態では、無線ネットワークインターフェース2240が、LTE、LTE-A、LTE-LAA、NR、NR-Uなどのために3GPPによって規格化された、PHY、MAC、RLC、PDCP、および/またはRRCレイヤプロトコル、本明細書において上記で説明されたようなそれらのプロトコルの改善、あるいは無線ネットワークインターフェース2240とともに利用される任意の他の上位レイヤプロトコルなど、様々なプロトコルまたはプロトコルレイヤを備えることができる。本開示のさらなる例示的な実施形態によれば、無線ネットワークインターフェース2240は、OFDM、OFDMA、および/またはSC-FDMA技術に基づくPHYレイヤを備えることができる。いくつかの実施形態では、そのようなPHYレイヤの機能は、無線ネットワークインターフェース2240と(メモリ2220中のプログラムコードを含む)プロセッサ2210とによって協働的に提供され得る。
【0216】
いくつかの実施形態では、無線ネットワークインターフェース2240は、本明細書で説明される様々な実施形態に従って、ドップラーシフト、RTTなどのUE測定を容易にする様々な信号を送信するために使用され得る。
【0217】
コアネットワークインターフェース2250は、送信機と、受信機と、ネットワークノード2200が、いくつかの実施形態において、回線交換(CS)および/またはパケット交換コア(PS)ネットワークなどのコアネットワーク中の他の機器と通信することを可能にする、他の回路とを備えることができる。いくつかの実施形態では、コアネットワークインターフェース2250は、3GPPによって規格化されたS1インターフェースを備えることができる。いくつかの実施形態では、コアネットワークインターフェース2250は、3GPPによって規格化されたNGインターフェースを備えることができる。いくつかの例示的な実施形態では、コアネットワークインターフェース2250は、当業者に知られている、GERAN、UTRAN、EPC、5GC、およびCDMA2000コアネットワーク中で見られる機能を備える、1つまたは複数のAMF、SMF、SGW、MME、SGSN、GGSN、および他の物理デバイスへの1つまたは複数のインターフェースを備えることができる。いくつかの実施形態では、これらの1つまたは複数のインターフェースは単一の物理インターフェース上で一緒に多重化され得る。いくつかの実施形態では、コアネットワークインターフェース2250の下位レイヤが、非同期転送モード(ATM)、インターネットプロトコル(IP)オーバーイーサネット、光ファイバー上のSDH、銅線上のT1/E1/PDH、マイクロ波無線機、あるいは当業者に知られている他の有線または無線送信技術のうちの1つまたは複数を備えることができる。
【0218】
いくつかの実施形態では、ネットワークノード2200は、他のeNB、gNB、ng-eNB、en-gNB、IABノードとなど、RANにおける他のネットワークノードと通信するようにネットワークノード2200を設定し、および/または、ネットワークノード2200がそれを行うことを容易にする、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを含むことができる。そのようなハードウェアおよび/またはソフトウェアは、無線ネットワークインターフェース2240および/またはコアネットワークインターフェース2250の一部であり得、あるいは、そのようなハードウェアおよび/またはソフトウェアは、別個の機能ユニット(図示せず)であり得る。たとえば、そのようなハードウェアおよび/またはソフトウェアは、3GPPによって規格化されたように、X2またはXnインターフェースを介して他のRANノードと通信するようにネットワークノード2200を設定し、および/またはネットワークノード2200がそれを行うことを容易にすることができる。
【0219】
OA&Mインターフェース2260が、送信機と、受信機と、ネットワークノード2200が、ネットワークノード2200またはネットワークノード2200に動作可能に接続された他のネットワーク機器の運用アドミニストレーション保守のための外部ネットワーク、コンピュータ、データベースなどと通信することを可能にする、他の回路とを備えることができる。OA&Mインターフェース2260の下位レイヤが、非同期転送モード(ATM)、インターネットプロトコル(IP)オーバーイーサネット、光ファイバー上のSDH、銅線上のT1/E1/PDH、マイクロ波無線機、あるいは当業者に知られている他の有線または無線送信技術のうちの1つまたは複数を備えることができる。その上、いくつかの実施形態では、無線ネットワークインターフェース2240と、コアネットワークインターフェース2250と、OA&Mインターフェース2260とのうちの1つまたは複数が、上記でリストされた例のように、単一の物理インターフェース上で一緒に多重化され得る。
【0220】
図23は、本開示の1つまたは複数の例示的な実施形態による、ホストコンピュータとユーザ機器(UE)との間のオーバーザトップ(OTT)データサービスを提供するように設定された例示的な通信ネットワークのブロック図である。UE2310が、無線インターフェース2320上で無線アクセスネットワーク(RAN)2330と通信することができ、これは、たとえば、LTE、LTE-A、および5G/NRを含む、上記で説明されたプロトコルに基づき得る。たとえば、UE2310は、上記で説明された他の図に示されているように設定および/または構成され得る。
【0221】
RAN2330は、ライセンス済みスペクトル帯域において動作可能な1つまたは複数の地上波ネットワークノード(たとえば、基地局、eNB、gNB、コントローラなど)、ならびに2.4GHz帯域および/または5GHz帯域など、(たとえば、LAAまたはNR-U技術を使用する)未ライセンススペクトルにおいて動作可能な1つまたは複数のネットワークノードを含むことができる。そのような場合、RAN2330を備えるネットワークノードは、ライセンス済みスペクトルおよび未ライセンススペクトルを使用して協働的に動作することができる。いくつかの実施形態では、RAN2330は、衛星アクセスネットワークを備える1つまたは複数の衛星を含むか、またはそれとの通信が可能であり得る。
【0222】
RAN2330は、さらに、上記で説明された様々なプロトコルおよびインターフェースに従ってコアネットワーク2340と通信することができる。たとえば、RAN2330を備える1つまたは複数の装置(たとえば、基地局、eNB、gNBなど)が、上記で説明されたコアネットワークインターフェース1650を介してコアネットワーク2340に通信することができる。いくつかの例示的な実施形態では、RAN2330およびコアネットワーク2340は、上記で説明された他の図に示されているように設定および/または構成され得る。たとえば、E-UTRAN2330を備えるeNBは、図1に示されているものなど、S1インターフェースを介してEPCコアネットワーク2340と通信することができる。別の例として、NR RAN2330を備えるgNBは、NGインターフェースを介して5GCコアネットワーク2330と通信することができる。
【0223】
コアネットワーク2340は、さらに、当業者に知られている様々なプロトコルおよびインターフェースに従って、インターネット2350として図23に示されている外部パケットデータネットワークと通信することができる。例示的なホストコンピュータ2360など、多くの他のデバイスおよび/またはネットワークも、インターネット2350に接続し、インターネット2350を介して通信することができる。いくつかの例示的な実施形態では、ホストコンピュータ2360は、媒介としてインターネット2350、コアネットワーク2340、およびRAN2330を使用して、UE2310と通信することができる。ホストコンピュータ2360は、サービスプロバイダの所有および/または制御下のサーバ(たとえば、アプリケーションサーバ)であり得る。ホストコンピュータ2360は、OTTサービスプロバイダによって、またはサービスプロバイダの代わりに別のエンティティによって動作させられ得る。
【0224】
たとえば、ホストコンピュータ2360は、コアネットワーク2340およびRAN2330の設備を使用して、UE2310にオーバーザトップ(OTT)パケットデータサービスを提供することができ、UE2310は、ホストコンピュータ2360への/からの発信/着信通信のルーティングに気づいていないことがある。同様に、ホストコンピュータ2360は、ホストコンピュータからUEへの送信のルーティング、たとえば、RAN2330を通した送信のルーティングに気づいていないことがある。たとえば、ホストコンピュータからUEへの(単方向)オーディオおよび/またはビデオ、ホストコンピュータとUEとの間の対話型(双方向)オーディオおよび/またはビデオ、対話型メッセージングまたはソーシャル通信、対話型仮想または拡張現実などをストリーミングすることを含む、様々なOTTサービスが、図23に示されている例示的な設定を使用して提供され得る。
【0225】
図23に示されている例示的なネットワークは、本明細書で開示される例示的な実施形態によって改善されるデータレート、レイテンシおよび他のファクタを含む、ネットワーク性能メトリックを監視する測定プロシージャおよび/またはセンサーをも含むことができる。例示的なネットワークは、測定結果の変動に応答してエンドポイント(たとえば、ホストコンピュータとUEとの)間のリンクを再設定するための機能をも含むことができる。そのようなプロシージャおよび機能は、知られており、実施され、ネットワークが、OTTサービスプロバイダから無線インターフェースを隠すかまたは抽象化した場合、測定が、UEとホストコンピュータとの間のプロプライエタリシグナリングによって容易にされ得る。
【0226】
本明細書で説明される例示的な実施形態は、RANにおける最小2つの空間的に分離された送信ポイントから信号を受信することに基づく、移動状態(たとえば、2D位置および速度)のUE決定のための技法を提供する。UE(たとえば、UE2310)およびRANノード(たとえば、RAN2330を備えるgNB)において使用されるとき、本明細書で説明される例示的な実施形態は、特殊なUEハードウェアを必要とすることなしに、屋内または他の難しい伝搬条件においてさえ、高度に正確な位置および速度推定を含む、様々な改善、利益、および/または利点を提供することができる。これは、シームレスな高正確さの個人の安全およびナビゲーションなど、OTTサービスプロバイダからエンドユーザへの様々な新しいサービスを可能にする。したがって、実施形態は、エンドユーザとOTTサービスプロバイダの両方に顕著な価値を提供することができる。
【0227】
上記は、本開示の原理を示すにすぎない。本明細書の教示に鑑みて、説明される実施形態の様々な修正および改変が当業者に明らかになろう。したがって、本明細書で明示的に示されず、または説明されないが、本開示の原理を具現し、したがって、本開示の趣旨および範囲内にあり得る、多数のシステム、構成、およびプロシージャを、当業者は考案することができることが諒解されよう。当業者によって理解されるべきであるように、様々な例示的な実施形態が、互いに一緒に、ならびに互いに互換的に使用され得る。
【0228】
本明細書で使用されるユニットという用語は、エレクトロニクス、電気デバイス、および/または電子デバイスの分野での通常の意味を有することができ、たとえば、本明細書で説明されるものなど、それぞれのタスク、プロシージャ、算出、出力、および/または表示機能を行うための、電気および/または電子回路、デバイス、モジュール、プロセッサ、メモリ、論理固体および/または個別デバイス、コンピュータプログラムまたは命令などを含むことができる。
【0229】
本明細書で開示される任意の適切なステップ、方法、特徴、機能、または利益は、1つまたは複数の仮想装置の1つまたは複数の機能ユニットまたはモジュールを通して実施され得る。各仮想装置は、いくつかのこれらの機能ユニットを備え得る。これらの機能ユニットは、1つまたは複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含み得る、処理回路、ならびに、デジタル信号プロセッサ(DSP)、専用デジタル論理などを含み得る、他のデジタルハードウェアを介して実装され得る。処理回路は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリデバイス、光記憶デバイスなど、1つまたはいくつかのタイプのメモリを含み得る、メモリに記憶されたプログラムコードを実行するように設定され得る。メモリに記憶されたプログラムコードは、1つまたは複数の通信および/またはデータ通信プロトコルを実行するためのプログラム命令、ならびに本明細書で説明される技法のうちの1つまたは複数を行うための命令を含む。いくつかの実装形態では、処理回路は、それぞれの機能ユニットに、本開示の1つまたは複数の実施形態による、対応する機能を実施させるために使用され得る。
【0230】
本明細書で説明されるように、デバイスおよび/または装置が、半導体チップ、チップセット、あるいはそのようなチップまたはチップセットを備える(ハードウェア)モジュールによって表され得るが、これは、デバイスまたは装置の機能が、ハードウェア実装される代わりに、プロセッサ上での実行のためのまたはプロセッサ上で稼働されている実行可能ソフトウェアコード部分を備えるコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品などのソフトウェアモジュールとして実装される可能性を、除外しない。さらに、デバイスまたは装置の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの任意の組合せによって実装され得る。デバイスまたは装置はまた、機能的に互いと協働するのか互いとは無関係であるのかにかかわらず、複数のデバイスおよび/または装置のアセンブリと見なされ得る。その上、デバイスおよび装置は、デバイスまたは装置の機能が保持される限り、システム全体にわたって分散して実装され得る。そのようなおよび同様の原理は当業者に知られていると見なされる。
【0231】
別段に規定されていない限り、本明細書で使用される(技術用語および科学用語を含む)すべての用語は、本開示が属する技術の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術のコンテキストにおけるそれらの用語の意味に従う意味を有するものとして解釈されるべきであり、明確にそのように本明細書で規定されていない限り、理想的なまたは過度に形式的な意味において解釈されないことをさらに理解されよう。
【0232】
さらに、その明細書、図面、および例示的な実施形態を含む、本開示で使用されるいくつかの用語は、限定はしないが、たとえば、データおよび情報を含めて、いくつかの事例では同義的に使用され得る。互いに同義であり得るこれらの単語および/または他の単語が本明細書で同義的に使用され得るが、そのような単語が同義的に使用されないことが意図され得る事例があり得ることを、理解されたい。さらに、従来技術の知識が上記で参照により本明細書に明示的に組み込まれていない限り、従来技術の知識は、その全体が本明細書に明示的に組み込まれる。参照されるすべての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
図20
図21
図22
図23