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特許7578829特定の目標塗装方法に適合させるための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】特定の目標塗装方法に適合させるための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/00 20060101AFI20241029BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20241029BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20241029BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B05D3/00 D
B05B12/00 Z
B05C11/10
B05D5/06 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023535665
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2021084676
(87)【国際公開番号】W WO2022122776
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】20213635.4
(32)【優先日】2020-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ビショフ,グイド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニョーロ,カルロス
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-003297(JP,A)
【文献】特開2002-236850(JP,A)
【文献】特表2010-528284(JP,A)
【文献】特開昭63-067529(JP,A)
【文献】国際公開第2016/172316(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05B 1/00-17/08
B05C 1/00-21/00
G01J 3/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々の色成分の特定の光学データを含むデータベース(120、220、320、520)を使用し、カラーマッチング方法に対する所定の目標塗装方法の影響を補正するために、及び/又は色予測方法での所定の目標塗装方法の影響を考慮するために、塗布適合パラメータ(105、205、305、505)を提供する方法であって、前記個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、前記基準塗料コーティングは、それぞれ、基準塗装方法を使用して基材上に適用され、前記方法は:
A. 所定の目標塗装方法を用いて基材にサンプル塗料コーティング(101,401)を塗布するステップと、
B. 少なくとも1つのコンピュータプロセッサの少なくとも1つのインターフェース(111、211、311、511)を介して、前記サンプル塗料コーティングの色配合のデータを受信するステップと、
C. 前記データベース(120、220、320、520)から、前記サンプル塗料コーティング(101,401)の色配合に使用された個々の色成分の特定の光学データを検索するステップと、
D. 前記少なくとも1つのインターフェース(111、211、311、511)を介して、前記所定の目標塗装方法を用いて基材上に塗布された前記サンプル塗料コーティング(101,401)の測定色(103、403)を受信するステップと、
E. 数値的方法(130、330)及び物理モデル(140、240、340、540)を提供するステップであって、前記数値的方法は、初期塗布適合パラメータの所定のセットから開始して所定のコスト関数を最小化することによって塗布適合パラメータを最適化するように構成され、前記所定のコスト関数は、測定された色(103、403)と前記サンプル塗料コーティング(101、401)の予測された色との間の色距離として選択され、前記物理モデル(140、240、340、540)は、前記サンプル塗料コーティング(101、401)の色配合(102、402)と、前記サンプル塗料コーティング(101、401)の色配合(102、402)に使用された個々の色成分の検索された特定の光学データと、最適化の過程で得られたそれぞれの予備的な塗布適合パラメータを入力パラメータとして使用することによって前記サンプル塗料コーティング(101、401)の色を予測するように構成される、ステップと、
F. 前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用し、前記プロセッサ(110、310、510)上に実装され実行される前記数値的方法(130、330)及び前記物理モデル(140、240、340、540)を使用し、前記所定のコスト関数が所定の閾値を下回るまで、前記サンプル塗料コーティング(101、401)の再帰的に予測された色と前記サンプル塗料コーティング(101、401)の測定された色とを比較することによって、前記塗布適合パラメータを計算するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
複数の異なる所定の目標塗装方法に対して実行され、前記複数の異なる所定の目標塗装方法のそれぞれの1つに対して計算されたそれぞれの塗布適合パラメータ(105、205、305)は、リポジトリに検索可能に保存され、方法固有の塗布適合パラメータとして、前記複数の異なる所定の目標塗装方法のそれぞれの1つに割り当てられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の目標塗装方法は、利用可能な塗装方法の群から選択され、前記利用可能な塗装方法のそれぞれは、方法固有の塗布適合パラメータのセットを割り当てられ、各塗布適合パラメータは、それぞれの塗装方法によって前記基準塗装方法に関して変化するそれぞれの変数を考慮しており、各塗布適合パラメータは利用可能な塗装方法のそれぞれについて方法固有の値をとる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各塗布適合パラメータ(105、205、305、505)は、多数の異なる適合手段の1つの適合手段に割り当てられ、前記多数の異なる適合手段は:層厚の適合、効果フレーク配向分布の適合、ソリッド色成分の効果の適合、効果色成分の効果の適合のうち少なくとも1つを含む、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(110、310)及びデータベース(120、220、320、520)上で実行される色配合計算アルゴリズムを使用し、所定の目標塗装方法を用いて基材上に塗布される、所定の目標色(201、301)にマッチングする目標塗料コーティングの目標色配合(202、302)を決定するための、コンピュータ実装のカラーマッチング方法であって、該方法は:
- 前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサの少なくとも1つのインターフェースを(211、311)介して、前記所定の目標色(201、301)を受信することと、
- 前記少なくとも1つのインターフェース(211、311)を介して、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法を使用して計算された塗布適合パラメータ(205、305)を受信することと、
- 前記所定の目標色(201,301)及び前記受信した塗布適合パラメータ(205、305)を前記色配合計算アルゴリズムの入力パラメータとして用いて、前記目標塗料コーティングが前記所定の目標塗装方法を用いて基材上に塗布される場合の前記目標塗料コーティングの目標色配合として、個々の色成分の濃度を最適化された濃度とともに色配合(202、302)を計算することと、
を含む、方法。
【請求項6】
前記色配合計算アルゴリズムは、数値的方法(330)及び物理モデル(340)によって実現され、前記数値的方法(330)は、所定の初期色配合から開始して、所定のコスト関数を最小化することによって、目標色(201、301)に関連して予備的な色配合の個々の色成分の濃度を最適化するように構成され、前記所定のコスト関数は、受信した目標色と予備的な色配合の予測色との間の色距離として選択され、前記物理モデル(240、340)は、入力パラメータとして、予備的な色配合に使用される個々の色成分の濃度、前記色配合に使用される個々の色成分の特定の光学データ、及び前記受信した塗布適合パラメータ(205、305)を使用することによって、前記予備的な色配合の色を予測するように構成され、前記色成分の最適化された濃度は、前記所定のコスト関数が所定の閾値を下回るまで、前記予備的な色配合の再帰的に予測された色を前記目標色(201、301)と比較することによって計算される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ上で実行される色予測物理モデル及びデータベースを使用して、目標塗料コーティングの反射率データを予測し、前記目標塗料コーティングは、所定の目標塗装方法を使用して基材上に塗布される、コンピュータ実装方法であって、前記方法は:
a. 少なくとも1つのコンピュータプロセッサの少なくとも1つのインターフェース(511)を介して、前記目標塗料コーティングの色配合(502)のデータを受信することと、
b. 前記データベース(520)から、前記目標塗料コーティングの前記色配合(502)に使用された個々の色成分の特定の光学データを検索するステップと、
c. 少なくとも1つのインターフェース(511)を介して、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法に従って提供される塗布適合パラメータ(505)を受信することと、
d. 前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサに実装され実行される物理モデル(540)を用いて前記目標塗料コーティングの反射率データ(506)を計算し、前記目標塗料コーティングの色配合(502)の受信データ、前記色配合(502)に使用される個々の色成分の検索された特定の光学データ、及び前記受信した塗布適合パラメータ(505)は、入力パラメータとして前記物理モデル(540)に入力され、塗料配合計算のさらなる使用のために、及び/又は自動車コーティング及び/又は自動車補修コーティングの開発のために、少なくとも1つのコンピュータプロセッサにおいて、前記目標塗料コーティングの予測された反射率データ(506)を利用可能にすることと、
を含む、方法。
【請求項8】
目標塗料コーティングの所定の目標色が利用可能な塗装方法によって製造可能であるかどうかを決定するために、請求項1~4のいずれか1項に記載された少なくとも1つのコンピュータプロセッサ上で実行されるカラーシミュレーションアルゴリズムとデータベースとを用いて、利用可能な塗装方法のカラーシミュレーションを行うコンピュータ実装方法であって、前記方法は:
- 少なくとも1つのコンピュータプロセッサの少なくとも1つのインターフェースを介して、所定の目標色を受信することと、
- 前記データベースから、目標塗料コーティングの色配合に使用される個々の色成分の特定の光学データを検索することと、
- 前記少なくとも1つのインターフェースを介して、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法を使用して計算される、前記利用可能な塗装方法のための塗布適合パラメータを受信することと、
- 前記目標塗料コーティングの前記色配合に使用される個々の色成分の検索された特定の光学データと前記受信した塗布適合パラメータを、前記カラーシミュレーションアルゴリズムの入力パラメータとして使用し、前記目標色に関する前記個々の色成分の最適化された濃度を有する色配合を計算し、前記計算された色配合のそれぞれの塗料コーティングが、利用可能な塗装方法を使用して基材上に塗布される場合の前記計算された色配合に関連する色を予測することと、
- 前記予測された色と前記目標色を、色距離を決定することによって比較することと、
- 前記予測された色と前記目標色との差、色距離が所定の許容範囲内にある場合に、前記目標色が利用可能な塗装方法で製造可能であることを示すことと、
を含む、方法。
【請求項9】
少なくとも:
- 顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分と、それぞれの個々の色成分に関連する特定の光学データとを含むデータベース(120、220、320、520)であって、前記個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、前記基準塗料コーティングはそれぞれ基準塗装方法を使用して基材に塗布される、データベース(120、220、320、520)と、
- 前記データベース(120、220、320、520)と通信可能に接続され、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実行するようにプログラムされた、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(310)と、
を含む、システム。
【請求項10】
プログラムコードを有するコンピュータプログラムを有する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、前記プログラムコードは、前記コンピュータプログラムが、顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分、及びそれぞれの個々の色成分に関連付けられた特定の光学データを含み、前記個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、前記基準塗料コーティングは、それぞれ基準塗装方法を用いて基材上に塗布される、データベース(120、220、320、520)と通信可能に接続された少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(310)によって、ロードされ実行されるときに、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されプログラムされている、非一過性のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーマッチング方法に対する所定の目標塗装方法の影響を補正する方法及びシステム、及び/又は、色予測方法における所定の目標塗装方法の影響を考慮する方法及びシステムに関する。本発明はまた、それぞれの非一過性のコンピュータ可読媒体にも関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのコンピュータ支援カラーマッチング方法は、光と散乱媒体又は吸収媒体(例えば、塗料層の着色剤)との相互作用を記述する物理モデルに基づいている。各塗料層は、含まれる着色剤によって特定の光反射特性を有する。これらの着色剤は、それぞれ特定の光学定数/特定の光学データによって表される特定の光学特性を有する。物理モデルは、含まれる着色剤に関する情報(それぞれの配合に関する情報にそれぞれ基づく)と、対応する特定の光学特性(それぞれ、対応する特定の光学定数)とともに、塗料層/塗料コーティングの光反射特性(色)を予測することができる。
【0003】
着色剤の光学定数は、例えば、よく知られている「クベルカ/ムンク(Kubelka/Munk)」モデルにおけるK/S値のように、物理モデルの環境における着色剤の吸収及び散乱特性(又は効果フレーク配向)を記述する。しかし、塗料層の反射特性は、単に配合にのみ依存するわけではない。塗装方法、一般に塗料が下地にどのように塗布されたかにも強く依存する。
【0004】
着色剤の特定の光学特性は、共通の基準塗装方法によって基材上に塗布された既知の配合と既知の反射率データを有する既存のレットダウン/試験片のサンプルデータに基づいて決定される。物理モデルの色予測とカラーマッチング方法は、常にこの基準塗装方法と関連している。着色剤の特定の光学定数は、最終塗料コーティングのそれぞれの最終塗料層の反射特性に対する基準塗装方法の影響をも含む。
【0005】
異なる目標塗装方法に対するカラーマッチング方法は、著しいシステム的エラーと、低い精度に晒される。特に、異なる目標塗装方法に対するゼロからのマッチングは、かなり不正確になる可能性がある。
【0006】
基材に塗料を塗布する利用可能ないくつかの方法がある:塗装方法のいくつかの例としては:
- 自動又は手動での噴霧方法、
- ラボ又は自動車車体修理工場におけるスプレーガンの異なるタイプ又は種類や構成、
- OEM(相手先商標製造会社)の顧客サイトにおけるさまざまなスプレーライン又は乾燥プロセス、
- 色展開ラボでのドローダウン方法、
がある。
【0007】
同じ塗料(同じ原料)でも異なる方法で塗装されると、塗料層(塗料コーティング)の結果として得られる色は、それぞれの塗装方法によって大きな影響を与えられることがある。色の変化の理由は:
- 塗料層内の効果フレークの異なる配向、
- 特に大型の効果フレークにおけるオーバースプレーによる効果フレークの損失、
- 塗料層内の効果フレークの沈降、
- 非隠蔽塗料層の膜厚変化、
- 着色強度のばらつき(剪断効果又は凝集)
である。
【0008】
そのため、着色剤の光学定数、着色剤の特定の光学データをそれぞれ計算するためのトレーニングデータ(レットダウン)の作成には、1つの共通の基準塗装方法を使用することが重要である。
【0009】
自動車産業の自動車生産現場などにおける自動塗装方法では、塗料の色は塗装方法のタイプと構成に依存する。ある特定の色の塗装方法のそれぞれの設定は、通常、OEMの顧客によって与えられる。通常、ある特定の色は、多数の異なるスプレーライン(「塗装方法」)、例えば、車体、バンパー、サイドミラー、サイドドアの別々のスプレーラインで塗布されなければならない。したがって、多数の個別の配合(各スプレーラインに対して1つ)は、要求されたすべての塗装方法で同じ単一目標色を得るように、マッチングされなければならない。結論として:異なる配合は、最終的に同じ色になるさまざまな塗装方法にマッチングされる。1つの自動塗装方法の変動は、一般的に小さい。自動塗装方法の噴霧プロファイルは、主に噴霧装置(及び条件)と構成に依存する。
【0010】
例えばスプレーガンを使用した手動式塗装の場合、得られる色は、噴霧装置のタイプ及び構成に加えて、噴霧器の個々の噴霧特性(「フィンガープリント」)にも依存する。1つの塗装方法における変動は、一般的に、自動塗装方法よりも手動塗装方法の方が大きくなる。手動塗装方法の噴霧プロファイルは、噴霧装置(及び条件)、構成、及び噴霧器の個々の噴霧特性(「フィンガープリント」)に依存する。
【0011】
さらに、物理モデルの色予測精度には限界がある。予測には、システム的エラーと統計的エラーが含まれる。統計的エラーは、測定器によって、又は測定方法によって、引き起こされることがあり、例えば、サンプル上の測定器の位置のばらつきなどである。システム的エラーとは、例えば物理モデルのバイアス、及びそれぞれの目標塗装方法と基準塗装方法の違いによって生じるバイアスなどである。そのため、新しい色は反復的なカラーマッチング方法内で開発される。マッチング方法は、所定の目標色に対して、ゼロからのマッチング又は配合データベースでの検索から開始する。
【0012】
「ゼロからのマッチング」という用語は、既存のサンプルコーティングに関する情報なしに第1ソリューションとして処理するカラーマッチング方法を含む。この方法は、例えば、配合データベースが利用できない場合、又は配合データベースで適切な第1ソリューションが見つからない場合に適用される。実際には、「ゼロからのマッチング」方法は、目標色に存在すると予想される成分の事前選択ステップから開始することが多い。この事前選択ステップは必須ではない。「ゼロからのマッチング」方法/アルゴリズムは、第1ソリューションとして目標色に対する1つ以上の予備的なマッチング配合を計算する。この/これらの予備的なマッチング配合(複数可)は、次のステップで噴霧及び/又は調整されることができる。
【0013】
物理モデルの色予測精度を向上させるために(例えば「サンプルオフセット」の分析によるモデルエラーの近似に基づいて)使用される第1ソリューションとしてのサンプルコーティングが利用できる「色調整方法」と比較すると、「ゼロからのマッチング」方法の精度は、一般的に低くなる。
【0014】
第1ソリューションは、典型的には、目標色に十分に近くない。第1ソリューションの調整は、第1ソリューションの予測反射率データと測定反射率データとの間のオフセットが考慮される場合に適用される。
【0015】
したがって、調整された配合は、目標色と、予測反射率データと第1ソリューションの測定反射率データの間のオフセットと、の関数である。第1ソリューションの測定反射率データが、塗装方法の変動によって引き起こされるバイアスを含む場合、このエラーは、反復的なカラーマッチング方法内の次の配合に伝播する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、カラーマッチング方法及び/又は色予測方法に対する塗装方法のあり得る影響を考慮こと、特にこの影響を補正すること、の可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的は、それぞれの独立請求項の特徴を有する方法及びシステムによって解決される。さらなる実施形態は、以下の説明とそれぞれの従属請求項によって示されている。
【0018】
本開示は、カラーマッチング方法及び/又は色予測方法に対する所定の目標塗装方法の影響を補正するための塗布適合パラメータを提供する方法に関する。一般に、カラーマッチング方法ならびに色予測方法の両方の方法は、個々の色成分の特定の光学データを含むデータベースを使用し、該個々の色成分の特定の光学データはそれぞれ、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングは、それぞれ、基準塗装方法を使用して基材上に適用される。請求される方法は、少なくとも以下のステップ:
A. 所定の目標塗装方法を用いて基材にサンプル塗料コーティングを塗布するステップと、
B. 少なくとも1つのコンピュータプロセッサの少なくとも1つのインターフェースを介して、サンプル塗料コーティングの色配合のデータを受信するステップと、
C. データベースから、サンプル塗料コーティングの色配合に使用された個々の色成分の特定の光学データを検索するステップと、
D. 少なくとも1つのインターフェースを介して、所定の目標塗装方法を用いて基材上に塗布されたサンプル塗料コーティングの測定色を受信するステップと、
E. 数値的方法及び物理モデルを提供するステップであって、数値的方法は、初期塗布適合パラメータの所定のセットから開始して所定のコスト関数を最小化することによって塗布適合パラメータを最適化するように構成され、所定のコスト関数は、測定された色とサンプル塗料コーティングの予測された色との間の色距離として特に選択され、物理モデルは、サンプル塗料コーティングの色配合とサンプル塗料コーティングの色配合で使用された個々の色成分の検索された特定の光学データとを入力パラメータとして使用することによってサンプル塗料コーティングの色と、最適化の過程で得られるそれぞれの予備的な塗布適合パラメータと、を予測するように構成されるステップと、
F. 少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用し、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ上に実装され実行される数値的方法及び物理モデルを使用し、所定のコスト関数が所定の閾値を下回るまで、サンプル塗料コーティングの再帰的に予測された色とサンプル塗料コーティングの測定された色とを比較することによって、塗布適合パラメータを計算するステップと、
を含む。
【0019】
提案された方法は、少なくとも部分的にコンピュータに実装される。
【0020】
「個々の色成分の特定の光学データ(specific optical data of individual color components)」、「個々の色成分の特定の光学データ(specific optical data of the individual color components)」又は「着色剤の特定の光学データ(specific optical data of the colorants)」という用語は、本明細書において同義的に使用され、それぞれの個々の色成分、すなわち着色剤の特定の光学特性及び特定の光学定数を含む。塗料コーティングの色配合において使用される個々の色成分は、少なくとも:色顔料、すなわちいわゆる固体顔料、効果顔料、結合剤、溶剤及び添加剤、例えばマットペーストからなる群から選択される。「配合物」、「色配合」及び「塗料配合」は、本明細書において同義的に使用される。「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」という用語は、本明細書において同義的に使用される。
【0021】
放射伝達モデルに基づく色配合計算の既知のアプローチは、文献に見出だすことができ、例えば、Georg A.Kleinの「Farbenphysik fuer industrielle Anwendungen」を参照することができる。
【0022】
色配合計算の基本的な考え方は、以前に較正されたコーティングに基づいて、すなわちそのような較正コーティングのそれぞれの測定に基づいて、特定の光学データ、すなわち、すべての関連する個々の色成分(例えばすべてのカラーペースト/着色剤)の光学特性及び/又は光学定数、の特性評価である。これらの較正コーティングは、それぞれ、既知の配合と既知の反射率データを有する既存のレットダウン(これらはすべて共通の基準塗装方法によって塗布された)に対応する。物理モデルを使用した色予測、及びカラーマッチング方法は、常にこの基準塗装方法と関連している。着色剤の特定の光学定数は、それぞれの最終塗料コーティング/層の予測される反射特性に対する基準塗装方法の影響を含む。
【0023】
所定の初期塗布適合パラメータのセットから出発して、最適化される塗布適合パラメータは、反復的に、すなわち一連の中間の予備的な塗布適合パラメータを経由して計算される。初期塗布適合パラメータは中立的なパラメータである。つまり、初期塗布適合パラメータの使用は、基準塗装方法を使用した場合と同等の色予測を得る。
【0024】
本発明によれば、塗料コーティングの反射特性(基準塗装方法に関連する)、すなわち塗料コーティングの色の予測のための物理モデルは、追加の塗布適合モジュールによって拡張されている:追加の塗布適合モジュールは、物理モデルと相互作用して動作し、予測された反射率データを特定の目標塗装方法に適合させるように構成されている。追加モジュールは、前述した方法のステップF.より計算され得る目標塗布適合パラメータの入力によって構成可能である。これらの塗布適合パラメータは、それぞれの基準塗装方法と比較した目標塗装方法の間の差異を記述する。塗布適合パラメータの例は:
- 塗料層の厚さ適合:厚くする/薄くする
(非隠蔽塗料層に適用可能;塗料層の隠蔽力を調整する)
- 効果フレーク配向の適合:より良いフレーク配向/より悪いフレーク配向
(効果色に適用可能;塗料層の明度/カラーフロップを調整する)
- ソリッド着色剤の効果:より高い効果/より低い効果
(剪断効果によって及び凝集物などによって生じ得るソリッド着色剤の着色力差を調整する)
- 効果着色剤の効果:より高い効果/より低い効果
(オーバースプレー又は沈降もしくは残留効果によって生じ得る効果着色剤の反射力の差を調整する)
である。
【0025】
提案された方法によって、所定の目標塗装方法の塗布適合パラメータは、所定の目標塗装方法で塗布された既存のサンプルコーティング(複数可)(例えば、カラーマッチング方法の1つ以上の既存の着色ステップ(複数可))の分析に基づいて暗に決定されることができる。また、(所定の目標塗装方法、特に個々の人間の噴霧器を使用する場合に関連している)データベースからの既存のサンプルコーティングのリストも、それぞれの目標塗布適合パラメータの決定のために使用されることができる。
【0026】
提案された方法の一実施形態によれば、本方法は、複数の異なる所定の目標塗装方法に対して実行され、該複数の異なる所定の目標塗装方法のそれぞれの1つに対して計算されたそれぞれの塗布適合パラメータは、リポジトリに検索可能に保存され、方法固有の塗布適合パラメータとして複数の異なる所定の目標塗装方法のそれぞれの1つに割り当てられる。これらの方法固有の塗布適合パラメータは、その後、要求に応じていつでもリポジトリから呼び出されることができる。
【0027】
方法固有の塗布適合パラメータの提供は、割り当てられた目標塗布適合パラメータがリポジトリに保存されている任意の特定の所定目標塗装方法に対するカラーマッチング及び調整プロセスの実行を可能にする。
【0028】
上述のように、塗布適合パラメータは、それぞれ分類システムに分類され、「塗料層の厚さの適合」、「効果フレーク配向の適合」などの、一般的用語でそこに包含され得る。各塗布適合パラメータは、特定の目標塗装方法に対して特定の値をとる。したがって、マトリックスAをマトリックス要素ai,jで作成することができ、該マトリックスでは、その下にそれぞれの塗布適合パラメータを包含することができるそれぞれの一般項が、それぞれの列iに割り当てられ、目標塗装方法がそれぞれの行jに割り当てられ、又はその逆もあり、これにより、それぞれの塗布適合パラメータがそれぞれの目標塗装方法に対してとるそれぞれの値を、マトリックス要素ai,jに正確に保存し及び検索することができる。表1は、たった1つの目標塗装方法について簡略化した例を示しており、各塗布適合パラメータ、適合パラメータ、適合パラメータ、適合パラメータ、・・・、適合パラメータは、それぞれ方法固有の値、値1、、値、・・・、値nを取る。
【0029】
【表1】
【0030】
提案された方法のさらに別の実施形態によれば、所定の目標塗装方法は、利用可能な塗装方法の群から選択され、利用可能な塗装方法のそれぞれは、方法固有の塗布適合パラメータのセットを割り当てられ、各塗布適合パラメータは、基準塗装方法に関連してそれぞれの塗装方法で変化するそれぞれの変数を考慮し、各塗布適合パラメータは利用可能な塗装方法のそれぞれの方法固有の値をとる。
【0031】
既に上述したように、各塗布適合パラメータは、多数の異なる適合手段の1つの適合手段に割り当てられ、多数の異なる適合手段は:層厚の適合、効果フレーク配向分布の適合、ソリッド色成分の効果性の適合、効果色成分の効果性の適合のうち少なくとも1つを含む。
【0032】
本発明の第2の態様は、プロセッサ上で実行される塗料色配合計算アルゴリズムと、個々の色成分の特定の光学データを含むデータベースとを用いたコンピュータ実装のカラーマッチング方法であって、該個々の色成分の特定の光学データは、それぞれ、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングは、それぞれ、基準塗装方法を用いて基材上に塗布されるコンピュータ実装のカラーマッチング方法に関する。提案されたカラーマッチング方法は、所定の目標塗装方法を用いて基材上に塗布された所定の目標色にマッチングする目標塗料コーティングの目標色配合を決定することを狙いとしており、該方法は:
- 少なくとも1つのインターフェースを介して、所定の目標色を受信することと、
- 少なくとも1つのインターフェースを介して、手動で入力され、リポジトリから検索され、及び/又は本明細書に記載の方法を使用して計算された、(目標)塗布適合パラメータを受信することと、
- 所定の目標色及び受信した塗布適合パラメータを塗料色配合計算アルゴリズムの入力パラメータとして用いて、目標塗料コーティングを基材上に所定の目標塗装方法を用いて塗布した場合の目標塗料コーティングの目標色配合として、個々の色成分の最適化された濃度を有する色配合を計算することと、
を含む。
【0033】
塗料色配合計算アルゴリズムは、受信した目標塗布適合パラメータを考慮して、所定のコスト関数(目標コーティングとそれぞれの配合の理論的予測色との間の色距離など)を最小化することにより、すべての利用可能な色成分の濃度を最適化する数値的方法を使用する。
【0034】
各数値的方法は、多数の逐次近似ステップを含む。各近似ステップでは、予備的な塗料コーティングが想定/提供され、それぞれの反射率データを予測し、該反射率データがその後コスト関数を使用して目標塗料コーティングの反射率データ(目標色)と比較されるために、予備的な塗料コーティングが物理モデルに入力される。
【0035】
好ましい実施形態において、塗料色配合計算アルゴリズムは、数値的方法及び物理モデルによって実現され、数値的方法は、所定の初期色配合から開始して、所定のコスト関数を最小化することによって、目標色に関して予備的な色配合の個々の色成分の濃度を最適化するように構成され、該所定のコスト関数は、受信した目標色と予備的な色配合の予測色との間の色距離として特に選択され、該物理モデルは、入力パラメータとして、予備的な色配合に使用される個々の色成分の濃度、色配合に使用される個々の色成分の特定の光学データ、及び受信した塗布適合パラメータを使用することによって、予備的な色配合の色を予測するように構成され、色成分の最適化された濃度は、所定のコスト関数が所定の閾値を下回るまで、予備的な色配合の再帰的に予測された色を目標色と比較することによって計算される。
【0036】
本発明の第3の態様は、目標塗料コーティングの反射率データを予測するためのコンピュータ実装方法に関するものであって、目標塗料コーティングは、所定の目標塗装方法を用いて基材上に塗布される、コンピュータ実装方法に関する。提案された方法は、プロセッサ上で実行される色予測物理モデルと、個々の色成分の特定の光学データを含むデータベースとを使用するものであって、個々の色成分の特定の光学データは、それぞれ、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングは、それぞれ、基準塗装方法を用いて基材上に塗布される、ものである。本方法は、少なくとも以下のステップ:
a. 少なくとも1つのインターフェースを介して、目標塗料コーティングの色配合のデータを受信するステップと、
b. データベースから、目標塗料コーティングの色配合に使用される個々の色成分の特定の光学データを検索するステップと、
c. 少なくとも1つのインターフェースを介して、手動で入力され、リポジトリから検索され、及び/又は本明細書に記載の方法を使用して計算された、(目標)塗布適合パラメータを受信するステップと、
d. プロセッサに実装され実行される物理モデルを用いて目標塗料コーティングの反射率データを計算し、そこでは目標塗料コーティングの色配合の受信データ、色配合に使用される個々の色成分の検索された特定の光学データ、及び受信した目標塗布適合パラメータを入力パラメータとしてモデルに入力し、塗料配合計算におけるさらなる使用のため及び/又は自動車コーティング及び/又は自動車補修コーティングの開発のためにプロセッサにおいて目標塗料コーティングの予測された反射率データを利用可能にする、ステップと、
を含む。
【0037】
既に前述したように、本発明によれば、塗料コーティング(基準塗装方法に関連する)の反射特性の予測のための、すなわち塗料コーティングの色の予測のための物理モデルは、追加の塗布適合モジュールによって拡張され:追加の塗布適合モジュールは、物理モデルと相互作用して動作し、予測された反射率データを所定の目標塗装方法に適合させるように構成されている。追加モジュールは、(目標)塗布適合パラメータの入力によって構成可能である。
【0038】
本発明の第4の態様は、プロセッサ上で実行されるカラーシミュレーションアルゴリズムと、個々の色成分の特定の光学データを含むデータベースとを用いる、利用可能な塗装方法のカラーシミュレーションのためのコンピュータ実装方法に関するものであって、個々の色成分の特定の光学データは、それぞれ、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングはそれぞれ、基準塗装方法を用いて基材上に適用される、コンピュータ実装方法に関する。シミュレーション方法は、目標塗料コーティングの所定の目標色が、利用可能な塗装方法で生成可能であるかどうかを決定することを目的とし、該方法は、少なくとも:
- 少なくとも1つのインターフェースを介して、所定の目標色を受信することと、
- データベースから、目標塗料コーティングの色配合に使用される個々の色成分の特定の光学データを検索することと、
- 少なくとも1つのインターフェースを介して、手動で入力され、リポジトリから検索され、及び/又は本明細書に記載の方法を使用して計算された、利用可能な塗装方法のための塗布適合パラメータを受信することと、
- 目標塗料コーティングの色配合に使用される個々の色成分の検索された特定の光学データと、カラーシミュレーションアルゴリズムの入力パラメータとして受信した塗布適合パラメータを使用して、目標色に関して個々の色成分の最適化された濃度を有する色配合を計算し、計算された色配合のそれぞれの塗料コーティングが、利用可能な塗装方法を使用して基材上に塗布される場合の計算された色配合に関連する色を予測することと、
- 予測された色と目標色を、特に色距離を決定することによって比較することと、
- 予測された色と目標色との差、特に色距離が所定の許容範囲内にある場合に、目標色が利用可能な塗装方法で生成可能であることを示すことと、
を含む。
【0039】
本発明はまた、システムにも関し、該システムは少なくとも:
- 顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分と、それぞれの個々の色成分に関連する特定の光学データとを含むデータベースであって、個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングはそれぞれ基準塗装方法を使用して基材に塗布される、データベースと、
- 少なくとも1つのコンピュータプロセッサであって、データベースと通信可能に接続され、前記請求項のいずれか1項に記載の方法を実行するようにプログラムされた、コンピュータプロセッサと、
を含む。
【0040】
本システムは、USBなどの適切なインターフェースを介して、データの入力を受信するように構成された入力デバイスをさらに備えることができる。このような入力装置は、コンピュータのキーボード、マイク、ビデオカメラ、データキャリア、又はそれらの任意の組み合わせであってよい。本システムは、上記の方法の1つを実行することによって計算されたそれぞれの結果を出力し、特に表示するように構成された出力装置をさらに備えることができる。出力装置は、少なくとも音響装置、触覚装置、表示装置及びそれらの任意の組み合わせを含む群のうちの1つである。出力装置は、それぞれのインターフェースを介して、少なくとも1つのコンピュータプロセッサと通信可能に接続されている。
【0041】
さらに、本発明は、コンピュータプログラムを備えた非一過性のコンピュータ可読媒体に関するものであって、該コンピュータプログラムは、顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分、及びそれぞれ個々の色成分に関連付けられた特定の光学データを含むデータベースと通信可能に接続されている少なくとも1つのコンピュータプロセッサによってロードされ実行されると、本明細書に記載の方法のいずれか1つを実行する構成されプログラムされたプログラムコードを有し、ここで、個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングは、それぞれ基準塗装方法を用いて基材上に塗布される、コンピュータ可読媒体に関する。
【0042】
異なる構成要素間の各通信接続は、それぞれ、直接接続又は間接接続であってよい。各通信接続は、有線接続、又は、無線接続であってよい。各適切な通信技術が使用されてよい。データベース、及び少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、それぞれ相互に通信するための1つ以上の通信インターフェースを含んでよい。このような通信は、ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、デジタル加入者回線(DSL)、イーサネット(登録商標)、非同期転送モード(ATM)又はその他の有線伝送プロトコルなどの有線データ伝送プロトコルを用いて実行されてよい。あるいは、通信は、汎用パケット無線サービス(GPRS)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、符号分割多重アクセス(CDMA)、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)、及び/又はその他の任意の無線プロトコルなど、さまざまなプロトコルのいずれかを使用して、無線通信ネットワークを介して無線で行われてよい。それぞれの通信は、無線通信及び有線通信を組み合わせたものであってもよい。
【0043】
コンピュータプログラム命令(すなわちプログラムコード)及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体には、あらゆる形態の不揮発性メモリ及びメモリデバイスが含まれ、それらは、例として、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)及びフラッシュメモリ装置などの半導体メモリデバイス;内部ハードディスク又はリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;光ディスク;及びCD-ROM、DVD+R、DVD-R、DVD-RAM、及びDVD-ROMディスク、又はそれらの1つ以上の組み合わせを含む。このようなメモリデバイスは、キャッシュ、クラス、アプリケーション、バックアップデータ、ジョブ、ウェブページ、ウェブページテンプレート、データベーステーブル、動的情報を保存するリポジトリ、及び任意のパラメータ、変数、アルゴリズム、命令、規則、制約、及び/又はそれらの参照を含む他の適切な情報を含む、様々なオブジェクト又はデータを保存してよい。さらに、メモリは、ポリシー、ログ、セキュリティ又はアクセスデータ、レポートファイル、及びその他などの任意の他の適切なデータを含むことができる。コンピュータプロセッサ及びメモリは、特殊用途の論理回路によって補完され、又は特殊用途の論理回路に組み込まれることができる。
【0044】
コンピュータプログラム命令は、プログラムソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコードとすることができ、コンパイル言語又はインタープリタ言語、あるいは宣言型言語又は手続き型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、又はコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてなど任意の形式で展開されることができる。一実施形態では、本開示のコンピュータ実行可能命令(すなわち、プログラムコード)は、HTML、TS(TypeScript)、及びCSS(Cascading Style Sheets)で書かれる。
【0045】
コンピュータプログラムは、それぞれのファイルシステムにおけるファイルに対応することができるが、そうである必要はない。コンピュータプログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部、例えば、マークアップ言語文書に保存された1つ以上のスクリプト内、当該コンピュータプログラム専用の単一ファイル内、又は複数の調整ファイル、例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を保存するファイル内に保存されることができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトに位置する、又は複数のサイトに分散し、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開されることができる。コンピュータプログラムの一部は、様々なオブジェクト、方法、又は他のプロセスを通じて様々な特徴及び機能を実装する個々のモジュールとして設計されることができる。あるいは、コンピュータプログラムは、代わりに、多数のサブモジュール、サードパーティサービス、コンポーネント、ライブラリなどを適宜含むことができる。逆に、様々なコンポーネントの特徴及び機能を、適宜、単一のコンポーネントに組み合わせることができる。
【0046】
本開示の方法の実行に適したシステムは、汎用又は特殊用途のマイクロプロセッサ、その両方、又は任意の他の種類のCPUに基づくことができる。一般に、CPUは、読み取り専用メモリ(ROM)又はランダムアクセスメモリ(RAM)又はその両方から、命令及びデータを受け取ることになる。システムの必須要素は、命令(すなわちプログラムコード)を実行又は実行するためのCPUと、命令(すなわちプログラムコード)及びデータを保存するための1つ以上のメモリデバイス(データベースなど)である。一般に、システムは、少なくとも1つのメモリデバイスを含み、又は少なくとも1つのメモリデバイスに動作的に結合され、データを保存するための1つ以上のメモリデバイスからデータを受信するか、又は1つ以上のメモリデバイスにデータを転送するか、又はその両方をするように構成され、少なくとも1つのメモリデバイスは、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクを含み得る。しかし、システムは、このようなメモリデバイスを有する必要はない。さらに、ほんの数例を挙げると、システムは、他の装置、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、又はポータブル記憶装置、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ、に組み込むことができる。
【0047】
本明細書に記載された塗布適合方法のための1つの主要な態様は、既存のカラーマッチング及び調整方法を、特定の顧客の目標塗装方法、例えば、特定のOEM顧客の基準塗装方法に個別に適合させることであった。それは、最初のマッチングで既に特定の特性(例えば、塗料中の効果顔料の特別な明度特性又はカラーフロップ特性など)を考慮することを可能にする。ゼロからのマッチングは、所定の目標色に近づけることができる。カラーマッチング方法はより速く収束することができる。色開発及び顧客サービスのマッチングのためのラボ労力を削減できる。
【0048】
新しく開発された塗布適合方法のさらなる潜在的に可能な使用ケースは:
- 個々の噴霧器によるそれぞれ特定の塗装方法によって噴霧された既存色のデータの分析;個々の噴霧器のそれぞれ噴霧プロファイルの校正データの生成:校正データ/噴霧プロファイルは、対応する塗装方法の配合を最適化するために、目標塗布適合パラメータとして使用されることができる;これにより、現在の色開発方法だけでなく、将来のカラーマッチングも直接的に改善される。
【0049】
- 色開発方法内の統計的及びシステム的な塗布方法の変動に関する既存色のデータ分析:目的は、塗装方法の再現性に関する情報を抽出することである;この情報は、色開発方法を改善すること、及び/又は次の色調整ステップがどの程度意味を有するかを知る色調整プロセスの終点に関する基準を導き出すことに役立つことができる。
【0050】
以下の説明は、1つ以上の特定の実施の文脈で示され、提供される。開示された実施に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の実施及び用途に適用され得る。
【0051】
本開示に記載される主題及び機能的な操作の実施は、デジタル電子回路に、有形に具現化されたコンピュータソフトウェアに、本開示に開示される構造及びそれらの構造的等価物を含むコンピュータハードウェアに、又はそれらの1つ以上の組み合わせに実装されることができる。本開示に記載された主題の実施は、1つ以上のコンピュータプログラム、すなわち、少なくとも1つのコンピュータプロセッサによる実行のための有形非一過性のコンピュータ可読媒体上にエンコードされたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装され得る。代替的に又は追加的に、コンピュータプログラム命令は、人工的に生成された伝播信号、例えば、機械生成の電気、光、又は少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって実行される適切な受信装置に送信するための情報を符号化するために生成される電磁信号上にエンコードされることができる。コンピュータ記憶媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基材、ランダムアクセス又はシリアルアクセスメモリ装置、又はそれらの1つ以上の組み合わせであり得る。
【0052】
この開示の主題の1つ以上の実施の詳細は、添付の図面及び説明に記載される。主題の他の特徴、態様、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明によるアプリケーション適合パラメータを提供する方法の一実施形態を示す概略ブロック図である。
図2】本発明によるカラーマッチング方法の一実施形態を示す概略ブロック図である。
図3】本発明によるカラーマッチング方法の他の実施形態を示す概略ブロック図である。
図4】本発明による色調整方法の一実施形態を示す概略ブロック図である。
図5】本発明によるカラーシミュレーション方法の一実施形態を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図面の詳細な説明
同一のユニット又はコンポーネントには、すべての図にわたって同一の参照符号が与えられている。
【0055】
図1は、本発明によるシステムの一実施形態を示す。本システムは、コンピュータプロセッサ110とデータベース120を備える。データベース120は、顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分、着色剤、着色剤、着色剤、...、着色剤、及びそれぞれの個々の色成分に関連付けられた特定の光学データ、定数、定数、定数、...、定数を含み、個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングは、それぞれ基準塗装方法を使用して基材上に塗布されている。コンピュータプロセッサ110は、データベース120と通信可能に接続され、本明細書に記載されるような塗布適合パラメータを提供するための方法の実施形態を実行するようにプログラムされている。このような塗布適合パラメータは、カラーマッチング方法に対する所定の目標塗装方法の影響を補正するために、及び/又は色予測方法内で所定の目標塗装方法の影響を考慮するために役立つ。
【0056】
塗布適合パラメータは、既存のサンプル塗料コーティング101のそれぞれ既存の着色ステップのデータに基づいて計算され得る。
【0057】
これらのサンプル塗料コーティング101は、所定の目標塗装方法を用いて基材上に塗布される。サンプル塗料コーティング101のそれぞれの色103が測定される。それぞれのサンプル塗料コーティングのそれぞれの色配合102のデータが提供される。それぞれの色配合102は、含まれるすべての着色剤、着色剤、着色剤、着色剤、・・・着色剤とそれぞれの濃度、c、c、c、・・・、cを規定する。
【0058】
サンプル塗料コーティング101の色配合102のデータは、コンピュータプロセッサ110の少なくとも1つのインターフェース111を介して受信される。さらに、サンプル塗料コーティング101の測定された色103は、コンピュータプロセッサ110の少なくとも1つのインターフェース111を介して受信される。
【0059】
数値的方法130及び物理モデル140が提供され、コンピュータプロセッサ110上で実施される。数値的方法130は、所定の初期塗布適合パラメータのセットから開始して所定のコスト関数を最小化することによって塗布適合パラメータを最適化するように構成される。初期塗布適合パラメータは、中立パラメータである。つまり、初期塗布適合パラメータの使用は、基準塗装方法を使用した場合と等しい色予測を生じることを意味する。所定のコスト関数は、既存のサンプル塗料コーティング101のそれぞれ1つの測定色103とそれぞれのサンプル塗料コーティングの予測色との間の色距離として選択される。物理モデルは、入力パラメータとして、それぞれのサンプル塗料コーティングの色配合102、それぞれのサンプル塗料コーティングの色配合102に使用される個々の色成分の特定の光学データ、及び最適化の過程で生じるそれぞれの予備的な塗布適合パラメータを用いることによって、それぞれのサンプル塗料コーティングの色を予測するように構成される。特定の光学データは、データベース120から検索される。既に前述したように、着色剤の特定の光学特性は、すべてが共通の基準塗装方法によって基材上に塗布された既知の配合と既知の反射率データを有する既存のレットダウン/試験片のデータに基づいて決定される。したがって、物理モデルの色予測は、この基準塗装方法と関連している。着色剤の光学定数/データは、最終塗料層の反射特性に対する基準塗装方法の影響を含んでいる。
【0060】
コンピュータプロセッサ110を使用し、コンピュータプロセッサ110上で実装され実行される数値的方法130及び物理モデル140を使用することにより、塗布適合パラメータ105は、サンプル塗料コーティングについて、サンプル塗料コーティングのそれぞれの1つの再帰的に予測された色を、所定のコスト関数が所定の閾値を下回るまで、それぞれの1のサンプル塗料コーティングの測定色103と比較することにより計算される。
【0061】
計算された最適化塗布適合パラメータ105は、利用可能にされ、さらなるインターフェース112を介して、ディスプレイなどの出力装置に、任意に出力される。これらの計算された最適化塗布適合パラメータ105は、1つの特定の目標塗装方法に対して特徴的である。本方法は、複数の異なる所定の目標塗装方法について実行されてよく、複数の異なる所定の目標塗装方法のそれぞれの1つについて計算されたそれぞれの塗布適合パラメータは、次に、リポジトリに検索可能に保存され、方法固有の塗布適合パラメータとして、複数の異なる所定の目標塗装方法のそれぞれの1つに、割り当てられ得る。これらの方法固有塗布適合パラメータは、その後、要求に応じていつでもリポジトリから検索されることができる。
【0062】
マッチングプロセスは、所定の目標色201に対して、ゼロからのマッチング、あるいは配合データベースでの検索から始まる。
【0063】
物理モデル240の色予測は、物理モデル240が色予測の基礎としてデータベース220を使用するため、常に基準塗装方法と関連している。データベース220は、顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分、着色剤、着色剤、着色剤、...、着色剤、及びそれぞれの個々の色成分に関連付けられた特定の光学データ、定数、定数、定数、...、定数を含む。着色剤の特有の光学特性は、すべて共通の基準塗装方法によって基材上に塗布された既知の配合と既知の反射率データを有する既存のレットダウン/試験片のサンプルデータに基づいて決定される。着色剤の特定の光学定数は、最終的な塗料層の反射特性に対する基準塗装方法の影響を含んでいる。しかし、塗料コーティングが基準塗装方法以外の目標塗装方法を用いて基材上に塗布される目標色201と色がマッチングする塗料コーティングの配合202を探している場合、基準塗装方法と比較した目標塗装方法の特性を考慮しなければならない。
【0064】
したがって、物理モデル240を使用して見つけられる塗料コーティングの色の予測は、追加の塗布適合モジュールによって拡張される:追加の塗布適合モジュールは、物理モデル240と相互作用して動作し、予測された反射率データを目標塗装方法に適合させるように構成される。追加のモジュールは、図1に例示的に記載されているように計算される目標塗布適合パラメータ205の入力によって構成可能である。これらの塗布適合パラメータ205は、それぞれの基準塗装方法と比較した目標塗装方法の差異を記述する。塗布適合パラメータの例は:
- 塗料層の厚さの適合:より厚く/より薄く
(非隠蔽塗料層に適用可能;塗料層の隠蔽力を調整する)
- 効果フレーク配向の適合:より良いフレーク配向/より悪いフレーク配向
(効果色に適用可能;塗料層の明度/カラーフロップを調整する)
- ソリッド着色剤の効果:より高い効果/より低い効果
(剪断効果によって及び凝集物などによって生じ得るソリッド着色剤の着色力差を調整する)
- 効果着色剤の効果:より高い効果/より低い効果
(オーバースプレー損失又は沈降もしくは残留効果によって生じ得る効果着色剤の反射力の差を調整する)
である。
【0065】
目標色201及び目標塗布適合パラメータ205は、インターフェース211を介して、コンピュータプロセッサ上で実装及び実行される物理モデル240によって受信される。目標塗装方法を用いて基材上に塗布される場合の、色が目標色201にマッチングする塗料コーティングの配合202を決定するために、物理モデル240は、目標色201、目標塗布適合パラメータ205及びデータベース220からの利用可能な着色剤の特定の光学定数を用いて、含まれるすべての着色剤、着色剤、着色剤、着色剤、...着色剤をそれぞれの濃度c、c、c、...、cで規定する最適化配合202を計算する。目標塗装方法を用いて塗布されるこの配合202とその予測色206は、インターフェース212を介して、出力装置に出力されることができる。
【0066】
マッチングプロセスは、所定の目標色301に対して、ゼロからのマッチング、あるいは配合データベースでの検索から開始する。
【0067】
第1ソリューションは、典型的には、目標色301に十分に近くない。したがって、物理モデル340は、反復によって最適化された配合302を得るために、数値的方法、すなわち数値最適化アルゴリズム330と組み合わされて使用される。物理モデル340は、また、色予測のための基礎としてデータベース320を使用する。データベース320は、顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分、着色剤、着色剤、着色剤、...、着色剤、及びそれぞれの個々の色成分に関連付けられた特定の光学データ、定数、定数、定数、...、定数を含む。着色剤の光学特性は、共通の基準塗装方法によって基材上に塗布された既知の配合と既知の反射率データを有する既存のレットダウン/試験片のサンプルデータに基づいて決定される。しかし、塗料コーティングが基準塗装方法以外の目標塗装方法を用いて基材上に塗布される、色が目標色301とマッチングする塗料コーティングの配合302を探している場合、基準塗装方法と比較した目標塗装方法の特性は、図1に例示的に記載されているように計算される目標塗料塗布パラメータ305を提供することによって、考慮される必要がある。
【0068】
目標色301及び目標塗布適合パラメータ305は、インターフェース311を介して、物理モデル340及び数値最適化アルゴリズム330が実装され実行されているコンピュータプロセッサ310によって、受信される。目標塗装方法を用いて基材上に塗布される、色が目標色301にマッチングする塗料コーティングの配合302を決定するために、目標色301、目標塗布適合パラメータ305、及びデータベース320からの利用可能な着色剤の特定の光学定数が用いられ、最適化された配合302が反復的に決定される。配合302は、含まれるすべての着色剤、着色剤、着色剤、着色剤、・・・着色剤とそれぞれの濃度、c、c、c、・・・、cを規定する。目標塗装方法を使用して塗布される、この配合302とその予測色306は、インターフェース312を介して、出力デバイスに出力され得る。予測色306は、目標塗装方法を用いて基材上に塗布されたときの最適化された配合302の真の色307と、モデルバイアス309に対応するシステムバイアス308とからなる。計算に目標塗布適合パラメータ305が含まれているため、塗装方法バイアス309は存在しない。
【0069】
マッチングプロセスは、所定の目標色301に対して、ゼロからのマッチング、又は配合データベースでの検索から開始する。
【0070】
前に既に示したように、第1ソリューション401は、典型的には、目標色301に十分に近くない。第1ソリューション401の調整は、第1ソリューション401について、予測反射率データ、すなわち予測される色406と測定反射率データ403との間のオフセット410が考慮される場合に適用される。
【0071】
つまり、調整された配合は、目標色301と、第1ソリューション401についての予測された反射率データ406と測定された反射率データ403との間のオフセット410、の関数である。第1ソリューション401の測定された反射率データ403が、塗装方法の変動によって引き起こされるバイアスを含む場合、このエラーは、反復カラーマッチング方法内の次の配合に伝播することになる。
【0072】
そこで、最初の反復ステップ、すなわち第1ソリューション401を検討する際に、既に塗装方法の多様性を考慮することにより、このような塗装方法のバイアス309を回避することが提案される。
【0073】
塗装方法に依存しないオフセット410は、第1ソリューション401に基づいて計算される。第1ソリューション401の色配合402は既知である。第1ソリューション401は、目標塗装方法を用いて基材上に塗料コーティングとして塗布され、その色が測定される。第1ソリューション401の測定された色403が提供される。さらに、物理モデル340が、既知の配合402に基づいて、第1ソリューション401の色を予測するために使用される。物理モデル340はデータベース320を使用し、したがって、基準塗装方法に関連しているため、目標塗装方法が、物理モデル340を目標塗布適合パラメータ305と組み合わせることによって、考慮される。第1ソリューション401の予測色406は、今や、基礎となる配合402が目標塗装方法を用いて基材上に塗料コーティングとして塗布されるという仮定によって予測される。したがって、測定された色403と予測された色406の両方は、同じ目標塗装方法を参照する。したがって、測定された色403と予測された色406との間の差としてのオフセット410は、基礎となる目標塗装方法とは独立である。このオフセット410は、今や、反復調整プロセスに使用されることができ、インターフェース311を介して物理モデル340へのさらなる入力パラメータとして提供される。
【0074】
図5は、本発明による目標塗料コーティングの反射率データを予測するためのコンピュータ実装方法の一実施形態を概略的に示す。目標塗料コーティングは、所定の目標塗装方法を用いて基材上に塗布される。提案された方法は、色予測モデル、すなわち、コンピュータプロセッサ上で動作する物理モデル540(上記の図に関連して既に説明したとおり)と、顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分、着色剤、着色剤、着色剤、...、着色剤、及びそれぞれの個々の色成分に関連付けられた特定の光学データ、定数、定数、定数、...、定数を含むデータベース520(上記の図に関連して既に説明したとおり)とを使用し、個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングは、それぞれ、基準塗装方法を使用して基材上に塗布される。提案された方法によれば、目標塗料コーティングの色配合502のデータは、少なくとも1つのインターフェース511を介して、コンピュータプロセッサによって受信される。目標塗料コーティングの色配合502に使用される個々の色成分の特定の光学データは、データベース520から検索される。配合502は、含まれるすべての着色剤、着色剤、着色剤、着色剤、・・・着色剤とそれぞれの濃度、c、c、c、・・・、cを規定する。目標塗布適合パラメータ505は、目標塗料コーティングが目標塗装方法を使用して基材上に塗布されることを考慮するために、少なくとも1つのインターフェース511を介して受信される。目標塗布適合パラメータ505は、手動で入力され、リポジトリから検索され、及び/又は、例えば図1に記載されているような方法を用いて計算され得る。目標塗料コーティングの反射率データは、コンピュータプロセッサ上に実装され実行される物理モデル540を使用して、計算される。目標塗料コーティングの予測された反射率データ506は、塗料配合計算におけるさらなる使用のために、及び/又は自動車コーティング及び/又は自動車補修コーティングの開発のために、コンピュータプロセッサで利用可能にされる。予測された色506は、インターフェース512を介して、例えば、ディスプレイ上に出力されることができる。
【0075】
既に前述したように、本発明によれば、塗料コーティング(基準塗装方法に関連する)の反射特性の予測、すなわち塗料コーティングの色の予測のために、物理モデル540は、予測された反射率データを所定の目標塗装方法に適合させるように構成された追加の塗布適合モジュールで拡張される。この追加のモジュールは、(目標)塗布適合パラメータ505の入力によって構成可能である。
【符号の説明】
【0076】
101 サンプル
102 サンプルの配合
103 サンプルの測定色
105 塗布適合パラメータ
110 コンピュータプロセッサ
111 (入力)インターフェース
112 (出力)インターフェース
120 データベース
130 数値最適化アルゴリズム
140 物理モデル
201 目標色
202 最適化された目標配合
205 目標塗布適合パラメータ
206 目標塗布方法の予測色
211 (入力)インターフェース
212 (出力)インターフェース
220 データベース
240 物理モデル
301 目標色
302 最適化された目標配合
305 目標塗布適合パラメータ
306 目標塗布方法の予測色
307 目標塗布方法の真の色
308 システム的バイアス
309 モデルバイアス
309 塗布方法バイアス
310 コンピュータプロセッサ
311 (入力)インターフェース
312 (出力)インターフェース
320 データベース
330 数値最適化アルゴリズム
340 物理モデル
401 サンプルコーティング
402 サンプル配合
403 測定サンプル色
406 目標塗布方法の予測サンプルカラー
410 オフセット
502 目標配合
505 目標塗布適合パラメータ
511 (入力)インターフェース
512 (出力)インターフェース
520 データベース
540 物理モデル
図1
図2
図3
図4
図5