(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】電子ペン
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20241029BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241029BHJP
G06F 3/046 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G06F3/03 400C
G06F3/044
G06F3/046 A
(21)【出願番号】P 2024000673
(22)【出願日】2024-01-05
(62)【分割の表示】P 2019151644の分割
【原出願日】2019-08-22
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】尾形 衛
(72)【発明者】
【氏名】二宮 健一
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/043214(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/198489(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3196073(JP,U)
【文献】特開2005-102149(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0181223(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/044
G06F 3/046
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体内に、電子ペン機能が搭載された電子ペン用本体部を収納して構成される電子ペンであって、
前記電子ペン用本体部には、当該電子ペン用本体部の筐体である第2の筐体の側面に露呈した操作子を有するサイドスイッチ部が設けられており、
前記第1の筐体の側面には、前記第2の筐体の側面に露呈した前記操作子を操作可能にするための操作用開口部が設けられており、
前記第1の筐体の前記側面に設けられている前記操作用開口部は、前記第1の筐体の長手方向に所定の長さを有するように形成されており、
前記第1の筐体の内部には、押し込み用のノック棒を有するノック機構が設けられ、前記ノック機構と前記電子ペン用本体部が接続され、前記ノック棒を押し込むことで、ペン先側となる前端方向に押し出すようにして、前記電子ペン用本体部を摺動移動させると共に、前記操作用開口部を通じて、前記第2の筐体の側面に露呈した前記操作子を操作可能とする
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ペンであって、
前記ノック機構のノック棒を押し込むことで、前記電子ペン用本体部のペン先が前記第1の筐体の
前端から突出し、
前記電子ペン用本体部の前記ペン先が、前記第1の筐体の前端から突出している状態を保持する状態保持機構部を備え、
前記状態保持機構部は、前記ペン先が前記第1の筐体の前端から突出している状態の解除操作がされた場合には、前記ペン先が前記第1の筐体内に収納されるように、前記電子ペン用本体部を前記ペン先側とは反対の後端方向に摺動移動させる
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項3】
請求項1に記載の電子ペンであって、
前記電子ペン用本体部のペン先側には、ペン先を構成する芯体を備えると共に、前記芯体の側面の周囲にフェライトコアが設けられている
ことを特徴とする電子ペン。
【請求項4】
請求項1に記載の電子ペンであって、
前記電子ペン用本体部を形成する前記第2の筐体には、インダクタとキャパシタからなる共振回路を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項5】
請求項4に記載の電子ペンであって、
前記電子ペン用本体部を形成する前記第2の筐体が備える前記共振回路に対して発振させる信号の周波数を変更するコンデンサが接続可能に設けられており、前記操作子に対する操作に応じて、前記コンデンサを前記共振回路に接続するか否かの切り替えができることを特徴とする電子ペン。
【請求項6】
請求項1に記載の電子ペンであって、
前記電子ペン用本体部を形成する前記第2の筐体には、発信回路を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項7】
請求項6に記載の電子ペンであって、
前記電子ペン用本体部を形成する前記第2の筐体が備える前記発信回路に対して出力する信号の周波数を変更するコンデンサが接続可能に設けられており、前記操作子に対する操作に応じて、前記コンデンサを前記発信回路に接続するか否かの切り替えができることを特徴とする電子ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、位置検出センサに対して、座標を指示することにより情報の入力を行うようにする電子ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導方式や静電容量方式の位置検出センサ(座標検出センサ)を備え、電子ペンにより指示された座標位置の入力を受け付ける位置入力装置(座標入力装置)が、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置の入力デバイスとして利用されている。なお、電磁誘導方式の座標検出センサの一例については、後に記す特許文献1などに開示されており、また、静電容量方式の座標検出センサの一例については、後に記す特許文献2などに開示されている。
【0003】
近年において位置検出センサは、スマートフォンなど呼ばれる高機能携帯電話端末やタブレットPC(Personal Computer)などと呼ばれる携帯情報端末にも搭載され、これらの機器に対して座標位置を指示して情報を入力する場合にも電子ペンが利用される。このように、電子ペンが広く一般に利用されるようになるに伴って、電子ペンを市販のボールペンなどと同様の手軽さで利用できるようにすることが求められている。
【0004】
後に記す特許文献3には、電子ペンを細型に構成するための発明が開示されている。特許文献3に開示された発明は、電子ペンとしての機能を搭載し、例えばボールペンのリフィル(替え芯)と同程度のサイズ、形状に構成した電子ペン用本体部を実現するものである。更に、特許文献4には、例えば特許文献3に記載の発明により構成される電子ペン用本体部を、ボールペンの外側ケース(筐体)に収納して使用する場合に、いわゆるサイドスイッチを設けて使用できるようにする発明が開示されている。
【0005】
これにより、電子ペン機能を搭載した電子ペン用本体部をボールペンの外側ケース内に装着して使用することができるので、携帯にも便利で、ボールペンと変わらない使い勝手の電子ペンを実現できる。また、電子ペンとしての機能を使用していない場合には、外側ケースの先端から露呈する電子ペン用本体部の芯体を外側ケース内に収納することができるので、細型化により外的負荷に対する強度の弱い電子ペン用本体部の芯体を適切に保護できる。また、上述した特許文献4に開示された技術を用いることにより、サイドスイッチの利用も可能になるため、電子ペンの機能が搭載され、細型化された電子ペン用本体部を利用するメリットは大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平07-044304号公報
【文献】特開平07-295722号公報
【文献】国際公開第2016/143498号
【文献】国際公開第2017/043214号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4に開示された発明の場合、外側ケースに設けられた操作子を操作することによって、電子ペン用本体部に設けられた電気的な接点間を接続する構成を有する。このため、ノック式のボールペンと同様に、ペン先を外側ケースの先端から出し入れする構成の電子ペンの場合には、何等かの原因によって外側ケースに設けられる操作子と電子ペン用本体部に設けられ接点との間に位置的なずれが生じる可能性がある。この場合には、接点間の接続が不安定となる可能性がある。そこで、細型化された電子ペン用本体部を利用する場合に、より安定して操作が可能なサイドスイッチの実現が求められている。
【0008】
以上のことに鑑み、この発明は、細型化された電子ペン用本体部を利用する場合において、その利点を縮減することなく、より安定にサイドスイッチを機能させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、
第1の筐体内に、電子ペン機能が搭載された電子ペン用本体部を収納して構成される電子ペンであって、
前記電子ペン用本体部には、当該電子ペン用本体部の筐体である第2の筐体の側面に露呈した操作子を有するサイドスイッチ部が設けられており、
前記第1の筐体の側面には、前記第2の筐体の側面に露呈した前記操作子を操作可能にするための操作用開口部が設けられており、
前記第1の筐体の前記側面に設けられている前記操作用開口部は、前記第1の筐体の長手方向に所定の長さを有するように形成されており、
前記第1の筐体の内部には、押し込み用のノック棒を有するノック機構が設けられ、前記ノック機構と前記電子ペン用本体部が接続され、前記ノック棒を押し込むことで、ペン先側となる前端方向に押し出すようにして、前記電子ペン用本体部を摺動移動させると共に、前記操作用開口部を通じて、前記第2の筐体の側面に露呈した前記操作子を操作可能とする
ことを特徴とする電子ペンを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態の電子ペンの構成例を説明するための図である。
【
図2】実施の形態の電子ペン用本体部の外観を説明するための図である。
【
図3】実施の形態の電子ペン用本体部に設けられるサイドスイッチ部の構成例と当該電子ペン用本体部の等価回路を説明するための図である。
【
図4】実施の形態の電子ペン用本体部に設けられるサイドスイッチ部の他の構成例と当該電子ペン用本体部の等価回路を説明するための図である。
【
図5】実施の形態の電子ペン用本体部に設けられるサイドスイッチ部の操作子の他の例を説明するための図である。
【
図6】実施の形態の電子ペンの他の構成例を説明するための図である。
【
図7】この発明を適用した実施の形態の静電容量方式の電子ペン用本体部の等価回路を示す図である。
【
図8】実施の形態の電子ペン用本体部の変形例の等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照しながらこの発明の電子ペンと電子ペン用本体部の一実施の形態について説明する。この実施の形態の電子ペン1は、第1の筐体(外側筐体)2の内部に電磁誘導方式の電子ペン機能が搭載された電子ペン用本体部3を装着(装填)して構成される。
図1は、電子ペン1の構成例を説明するための図である。
図1において、
図1(A)、(B)は、第1の筐体2を長手方向に沿って半分に切断し、その前側部分を取り除いて内部の構成が見えるようにした図である。
図1(C)は、電子ペン1の外観図である。
【0012】
図1(A)、(B)、(C)に示すように、第1の筐体2は、筒状に形成されたものである。第1の筐体2のペン先側となる前端部は端部開口部2h1となっており、その反対側の後端部は閉じられている。第1の筐体2の側面には、3つの開口部2h2、2h3、2h4が設けられている。また、第1の筐体2の後端側の内壁面には、中心軸方向にリング状に張り出した張り出し部21が設けられている。
【0013】
図2は、実施の形態の電子ペン用本体部3の外観を説明するための図であり、市販のノック式ボールペンの替え芯と比較して示した図である。すなわち、
図2(A)は、市販のボールペンの替え芯5を示し、また、
図2(B)は、この実施形態の電子ペン用本体部3の構成例を示している。市販のボールペンの替え芯5は、
図2(A)に示すように、ボールが先端に配設されているペン先部51と、インク収納部52とが、結合部53で結合されて一体化された周知の構成を備える。
【0014】
電子ペン用本体部3は、
図1(A)、(B)、
図2(B)に示すように、筒状のフェライトコア32の周囲にコイル31を巻回すると共に、フェライトコア32を挿通する芯体34を備え、芯体34の先端部34aがペン先として機能する。これらのペン先部の後端側には、電子ペン用本体部3の筐体である第2の筐体(内側筐体)33が連結される。第2の筐体33の内部には、図示しないが、芯体34にかかる筆圧を検出するための筆圧検出部やコンデンサなどの種々の回路部品からなる回路部が搭載されている。芯体34は、フェライトコア32を貫通し、軸心方向に移動可能になっており、第2の筐体33内に設けられた筆圧検出部を、使用者によって掛けられる筆圧に応じて押圧する。これにより、筆圧検出部によって、芯体34にかけられた筆圧の検出が可能となる。
【0015】
更に、電子ペン用本体部3の第2の筐体33には、第2の筐体33の側面から露呈することにより使用者によって操作される操作子を含むサイドスイッチ部35が設けられている。サイドスイッチ部35は、ポインティングデバイスであるいわゆるマウスの左クリックや右クリックと同様の機能を実現するなどのために、電子ペンが備える構成として重要なものである。サイドスイッチ部35の操作子は、
図1に示したように、第1の筐体2の側面に設けられた開口部2h2を介して使用者によって操作にされる。また、第2の筐体33の後端部には、第1の筐体2内に電子ペン用本体部3を装着するための嵌合穴36が設けられている。
【0016】
図2(A)及び
図2(B)に示すように、電子ペン用本体部3の寸法は、ボールペンの替え芯5の寸法とほぼ等しくなるように構成されている。すなわち、電子ペン用本体部3の全長L1は、ボールペンの替え芯5の全長L1と同じであり、電子ペン用本体部3の第2の筐体33の直径R1は、ボールペンの替え芯5の直径R1と同じである。具体例を挙げると、電子ペン用本体部の全長L1は、例えば、11.2mmであり、直径R1は、例えば、6mmである。なお、ここに挙げた具体例は、あくまでも例であり、全長L1、直径R1は、種々の値とすることができる。
【0017】
このような構成の電子ペン用本体部3を、上述した第1の筐体2内に取り付けるための機構部として状態保持機構部4が、第1の筐体2内に設けられる。状態保持機構部4は、保持部41と、挿通部42と、バネ止め43と、コイルバネ44とを備えて構成される。保持部41と挿通部42とバネ止め43とは、この実施の形態では例えば硬質樹脂により構成され、容易に変形することが無いように構成されている。
【0018】
保持部41は、円筒状に形成され内側は中空になったものであり、ペン先側の端面には嵌合突起41aが設けられている。嵌合突起41aに対して電子ペン用本体部3の第2の筐体33の後端面にある嵌合穴36が嵌合することにより、電子ペン用本体部3が状態保持機構部4に取り付けられる。保持部41の側面には、外側(第1の筐体2側)に突出した係止用突起41bと解除用突起41cとが、軸心方向に一直線上に並べられて設けられている。この実施の形態において、係止用突起41bと解除用突起41cとの横幅(これらの突起部が並べられている方向と交差する方向の幅)は同じである。
【0019】
図1(C)において、開口部2h3の周囲に点線で示したように、保持部41の係止用突起41bと解除用突起41cとが設けられた長方形状部分41pのペン先側とは反対の後端側と、軸心方向に沿う方向の左右のそれぞれの側には切り込みが入れられている。すなわち、係止用突起41bと解除用突起41cとが設けられた長方形状部分41pは、点線で示した3つの辺に沿って切り込みが入れられていると共に、所定の厚みを有することにより、いわゆる板バネとして作用する。これにより、
図1(A)、(B)において矢印aが示すように、内側に向かう方向の力が掛かることにより、係止用突起41bは、保持部41の内側方向に押し込まれ、また、当該内側に向かう方向の力が解除されれば、元の位置に復帰する。
【0020】
挿通部42は、保持部41からペン先とは反対側である後端側に延伸された棒状の部分であり、保持部41よりも短い直径を有する。挿通部42に対しては、
図1(A)、(B)に示すように、コイルバネ44が挿通される。バネ止め43は、挿通部42の後端部に設けられた円盤状の部分であり、当該バネ止め43よりも後端側にコイルバネ44が位置することを規制する。この実施の形態では、挿通部42とバネ止め43とは一体に構成され、挿通部42にコイルバネ44が挿通された後に、挿通部42が保持部41の後端に固定されて、状態保持機構部4が構成される。
【0021】
状態保持機構部4は、
図1(A)、(B)に示すように、第1の筐体2の内側面に設けられているリング状の張り出し部21を、保持部41の後端面と挿通部42に挿通されたコイルバネ44とで挟み込むことにより、第1の筐体2内に取り付けられる。この実施の形態において、第1の筐体2は、
図1(A)、(B)に示したように長手方向に2つに分離し結合し直すことができるもの、あるいは、市販されているボールペンと同様にペン先側と後端側との2つに分離し結合し直すことができるものである。従って、電子ペン用本体部3を第1の筐体2に取り付けた後に、2つに分離した第1の筐体2を結合し直せば、
図1(C)に示した電子ペン1が構成できる。
【0022】
このように構成される電子ペン1において、コイルバネ44に何も負荷がかかっておらず、コイルバネ44が自然長である場合には、
図1(A)に示すように、保持部41に装着された電子ペン用本体部3の全体を第1の筐体2内に収納する状態となる。この状態が電子ペン1の非使用状態となる。この場合、張り出し部21によって係止されるコイルバネ44が、バネ止め43にも作用して、保持部41に装着された電子ペン用本体部3の全体を第1の筐体2内に保持する状態となり、この状態を維持する。
【0023】
この状態の時には、保持部41の係止用突起41bは、第1の筐体2の開口部2h4に嵌合した状態となり、解除用突起41cは、第1の筐体2の開口部2h3に嵌合した状態になる。従って、係止用突起41bと解除用突起41cとが設けられた長方形状の板バネ部分にも負荷は掛からない状態となる。この場合、コイルバネ44にも大きな負荷は掛かっていないので、電子ペン用本体部3の全体を安定して第1の筐体2内に収納した状態を保持(維持)できる。この状態のときには、電子ペン用本体部3の全体は、第1の筐体2内に位置しているので、電子ペン1を落としたり、ぶつけたりしても、電子ペン用本体部3のペン先が損傷するなどの不都合を生じさせることはない。
【0024】
図1(C)に示すように、第1の筐体2の開口部2h2は、第1の筐体2内の状態保持機構部4に取り付けられた電子ペン用本体部3のサイドスイッチ部35をスライド操作したり、押下操作したりするためのものである。このため、開口部2h2は、軸心方向(縦方向)の長さが、サイドスイッチ部35の軸心方向の長さ(縦幅)よりも長く、軸心方向に交差する方向の長さ(横幅)は、サイドスイッチ部35の軸心方向に交差する方向の長さよりも長くなっている。
【0025】
図1(A)に示したように、電子ペン用本体部3の全体が第1の筐体2内に収納された状態にある場合には、電子ペン用本体部3のサイドスイッチ部35の操作子は、開口部2h2の後端側(ペン先とは反対側)に位置している。
図1(C)においては、開口部2h2内において点線で示した位置が、電子ペン用本体部3の全体が第1の筐体2内に収納された状態にある場合のサイドスイッチ部35の操作子の後端側の位置となる。
【0026】
このため、電子ペン用本体部3の全体が第1の筐体2内に収納された状態にある場合、
図1(A)において、サイドスイッチ部35の近傍の矢印bが示すように、電子ペン用本体部3のサイドスイッチ部35の操作子をペン先側にスライド移動させるように操作する。これにより、
図1(B)、(C)に示すように、第1の筐体2内の電子ペン用本体部3は、ペン先側にスライド移動し、芯体34の先端部34aを含むペン先部が第1の筐体2から突出する。この状態が電子ペン1の使用状態である。従って、サイドスイッチ部35の操作子が、いわゆるスライドバーとして機能することになる。
【0027】
この場合、係止用突起41bは、
図1(A)、(B)に示したように、ペン先側に傾斜が設けられ、ペン先側とは反対側は軸心方向に直交する端面となった構成を有している。このため、係止用突起41bは、開口部2h4のペン先側の端部に当たって、矢印aが示すように内側に押し下げられてペン先方向に移動する。これにより、
図1(A)に示すように、係止用突起41bは、開口部2h4に嵌合した状態から、
図1(B)に示すように開口部2h3内に移動する。これにより、係止用突起41bのペン先側と反対側の端面が、開口部2h3のペン先側とは反対側の端部に当接する。また、解除用突起41cは、開口部2h3内にあるがペン先側に位置が変えられる(移動する)。
【0028】
従って、
図1(B)、(C)に示した状態にあるときには、コイルバネ44は、バネ止め43によってペン先側に押されるので、負荷がかかり、バネ長が短くなって、元に戻ろうとする力が大きくなる。しかし、係止用突起41bの後端側の端面が、開口部2h3の後端側の端部に当接して係止され、第1の筐体2内での状態保持機構部4の位置が維持される。これにより、第1の筐体2の端部開口部2h1から電子ペン用本体部3のペン先を突出させた使用状態を安定して維持できる。
【0029】
この後、電子ペン1の使用が完了し、
図1(B)、(C)に示した状態である使用状態を解除するときには、解除用突起41cを軸心方向(電子ペン1の内側方向)に押圧する操作を行う。これにより、係止用突起41bもまた軸心方向に押し下げられ、開口部2h3の後端側の端部との係止状態が解除されるので、コイルバネ44の復元力により、電子ペン用本体部3が取り付けられている状態保持機構部4が、後端側の位置に戻すようにされる。
【0030】
これにより、状態保持機構部4が、
図1(A)に示した非使用状態に戻り、電子ペン用本体部3の全体が第1の筐体2内に収納される。このように、この実施の形態の電子ペン1の場合には、第1の筐体2の側面に設けられた開口部2h2を通じて、電子ペン用本体部3のサイドスイッチ部35の操作子をペン先側にスライド移動させることにより、使用状態にすることができる。この使用状態のときには、サイドスイッチ部35の操作子を押下操作することにより、電子ペン1において、サイドスイッチの機能を利用できる。
【0031】
また、使用状態にあるときに、解除用突起41cを押下操作することにより、係止用突起41bの開口部2h3の後端部との係合を解除する。この場合、コイルバネ44の復帰力により、電子ペン用本体部3の全体を第1の筐体2内に収納した非使用状態に遷移させ、係止用突起41bは、開口部2h4に嵌合して、非使用状態を安定に維持できるようにされる。このように、この実施の形態の電子ペン1は、電子ペン用本体部3の側面に設けられているサイドスイッチ部35の操作子を、開口部2h2を通じてペン先側にスライド移動させることにより非使用状態から使用状態にすることができる。また、解除用突起41cを押下操作することにより、コイルバネ44の作用により、使用状態から非使用状態にすることができる。
【0032】
また、上述の説明からも分かるように、第1の筐体2の側面に設けられた開口部2h2は、電子ペン用本体部3の側面に設けられたサイドスイッチ部35の操作子を操作するための操作用開口部である。また、第1の筐体2に設けられた開口部2h3は、使用状態を維持するために状態保持機構部4の係止用突起41bが係合すると共に、使用状態を解除するために解除用突起41cを操作するための係止用開口部である。また、第1の筐体2に設けられた開口部2h4は、第1の筐体2の内部に電子ペン用本体部3の全体を収納した場合に、状態保持機構部4の係止用突起41bが嵌合し、収納状態を安定に保持するための収納用開口部である。
【0033】
[サイドスイッチ部の構成例と電子ペン用本体部の等価回路]
図3は、電子ペン用本体部3に設けられるサイドスイッチ部35の構成例(
図3(A))と、サイドスイッチ部35を備えた電子ペン用本体部3の等価回路(
図3(B))とを説明するための図である。
【0034】
操作子35aは、例えば、合成樹脂などにより形成され、硬化した状態ではある程度の弾性力を備える。このため、力を加えない状態では、その形状を維持するが、例えば脚部ft1、ft2にある程度の力を加えると、その力が加わる方向に脚部ft1、ft2を偏倚させることができる。また、
図3(A)に示すように、操作子35aの2つの脚部ft1、ft2の側面には、外側に張り出した突起pr1、pr2が設けられている。
【0035】
第2の筐体33の操作子35aの取り付け位置には、操作子35aを取り付けるための孔部HLが設けられている。この孔部HLは、操作子35aの押圧部(上面)35auより縦方向及び横方向ともやや大きな開口部となっている。脚部ft1、ft2の先端を孔部HLに挿入し、操作子35aの押圧部35auを押圧すると、脚部ft1、ft2は内側に偏倚し、
図3(A)に示したように、突起pr1、pr2を含む脚部ft1、ft2を孔部HL内に押し込むことができる。
【0036】
脚部ft1、ft2の突起pr1、pr2は、第2の筐体33と例えば板バネなどの偏倚部材x1、x2との間に位置して、操作子35aが、第2の筐体33に取り付けられる。第2の筐体33に取り付けられた操作子35aの押圧部35auを押圧すると、操作子35aを第2の筐体33内に押し込むことができる。この後、操作子35aの押圧部35auへの押圧を解除することにより、偏倚部材x1、x2の作用によって、脚部ft1、ft2は押し上げられ、操作子35aは元の状態に戻るようになっている。
【0037】
このように、操作子35aは、偏倚部材x1、x2によって、第2の筐体33に対して容易に外れることがないように取り付けられる。取り付けられた操作子35aは、押圧部35auを押圧することにより、電子ペン用本体部3の長手方向と交差する方向に押し下げることができる。また、操作子35aに対する押圧を解除することにより、偏倚部材x1、x2の作用により、操作子35aは、押し上げられて元の状態に復帰することができる。
【0038】
これにより、操作子35aは、使用者によって押下操作されていない状態では、
図3(A)に示したように、突起pr1、pr2が第2の筐体33の内側壁面に当たる所定の位置にとどまる。これに対して、操作子35aは、使用者によって押下操作されると、押し下げられ、導線35bで接続された接触部T1、T2を、電子ペン用本体部3の端子BT1、BT2に接触させることができる。接触部T1、T2と端子BT1、BT2はいずれも、導体で構成されたものである。
【0039】
このように、この実施形態の電子ペン用本体部3においては、操作子35aと、偏倚部材x1、x2と、電子ペン用本体部3の端子BT1、BT2とによってサイドスイッチ部35を構成している。そして、サイドスイッチ部35を有するこの実施形態の電子ペン用本体部3の等価回路は、
図3(B)に示すようなものとなる。
【0040】
すなわち、この実施形態の電子ペン用本体部3は、コイル(インダクタ)31と、コンデンサ(キャパシタ)Cfと、筆圧検出部を構成する可変容量コンデンサCvと、周波数変更用のコンデンサC1とが並列に接続された共振回路の構成を有する。これに加えて、コンデンサC1を当該共振回路に接続するか否かを切り替えるためのサイドスイッチ部35を構成する回路部を備える。当該回路部は、操作子35aの脚部ft1、ft2に設けられ、導線35bにより電気的に接続された接触部T1、T2と、電子ペン用本体部3の第2の筐体33の内部に設けられた端子BT1、BT2とからなる部分である。
【0041】
これにより、サイドスイッチ部35のオン/オフ操作によって、コンデンサC1の共振回路への接続/非接続を切り替えることができる。したがって、コンデンサC1を共振回路に接続した場合と、接続しない場合とで、共振回路が生じさせる信号の周波数を変えることができ、コンデンサC1を共振回路に接続していない場合と、接続している場合との2状態を位置検出装置側に通知できる。
【0042】
従って、電子ペン用本体部3を第1の筐体2内に装着し、サイドスイッチ部35を、操作用開口部2h2を通じてスライド操作することにより、非使用状態から使用状態にすることができる。このように、第1の筐体2内に電子ペン用本体部3を装着することにより、電子ペン1を構成し、これを使用することができる。また、電子ペン1が使用状態にある時には、サイドスイッチ部35の操作子35aを押下操作することにより、サイドスイッチ部35の使用状態(オン/オフの2値)を位置検出装置に通知することができる。
【0043】
[サイドスイッチ部の他の構成例と電子ペン用本体部の等価回路]
図4は、電子ペン用本体部3に設けられるサイドスイッチ部35の他の構成例であるサイドスイッチ部35A(
図4(A))と、当該サイドスイッチ部35Aを備えて構成される電子ペン用本体部3Aの等価回路(
図4(B))とを説明するための図である。なお、この例の電子ペン用本体部3Aは、サイドスイッチ部35Aを除き、その他の部分は、外観およびサイズも含め、
図1、
図2を用いて説明した電子ペン用本体部3と同様に構成される。このため、
図3において、上述した電子ペン用本体部3の場合と同様に構成される部分には、同じ参照符号を付し、当該部分の説明は省略する。
【0044】
操作子35Aaは、3つの脚部ft3、ft4、ft5を備え、3つの脚部ft3、ft4、ft5の端部には導体で構成された接触部T3、T4、T5が設けられて、これらが導線35Abで接続されて構成されている。操作子35Aaもまた、合成樹脂などにより形成され、硬化した状態ではある程度の弾性力を備える。このため、力を加えない状態では、その形状を維持するが、例えば脚部ft3、ft5にある程度の力を加えると、その力が加わる方向に脚部ft3、ft5を偏倚させることができる。
【0045】
また、操作子35Aaの脚部ft3、ft5の側面には、外側に張り出した突起pr3、Pr4が設けられている。第2の筐体33の操作子35Aaの取り付け位置には、操作子35Aaを取り付けるための孔部HAが設けられている。この孔部HAは、操作子35Aaの押圧部Aauより縦方向及び横方向ともやや大きな開口部を有するものである。このため、操作子35Aaの脚部ft3、ft4、ft5を孔部HAに挿入するよう押し付けて、脚部ft3、ft5を内側に偏倚させながら孔部HAに押し込む。これにより、脚部ft3、ft5の突起pr3、pr4は、第2の筐体33の内部に押し込まれて第2の筐体33と偏倚部材x3、x4との間に位置し、内側に偏倚した脚部ft3、ft5は元の状態に戻る。このようにして、操作子35Aaを第2の筐体33に対して容易に外れることがないように取り付けることができる。
【0046】
図4(A)に示したように、第2の筐体33の孔部HAの左右に設けられた、例えば板バネなどの偏倚部材x3、x4が、突起pr3、pr4に当たって、操作子35Aaを第2の筐体33の外側、
図4(A)においては、図の上側に押し上げるように作用する。これにより、操作子35Aaは、使用者によって押下操作されていない状態では、
図4(A)に示したように、突起pr3、pr4が第2の筐体33の内側壁面に当たる所定の位置にとどまる。
【0047】
操作子35Aaをその押圧部Aauに対して押下操作を行うことによって、いわゆるシーソー式に操作できる。これにより、操作子35Aaの接触部T3、T4と電子ペン用本体部3Aの端子BT3、BT4とを接触させれば、端子BT3と端子BT4を電気的に接続できる。逆に、操作子35Aaの接触部T4、T5と電子ペン用本体部3Aの端子BT4、BT5とを接触させれば、端子BT4と端子BT5を電気的に接続できる。
【0048】
端子BT3と端子BT4とを接続した場合には、周波数変更用のコンデンサC2が共振回路に接続され、端子BT4と端子BT5とを接続した場合には、周波数変更用のコンデンサC3が共振回路に接続される構成になっている。これにより、電子ペン用本体部3Aに搭載されている共振回路に対して、コンデンサC2を並列に接続した状態と、コンデンサC3を並列に接続した状態と、コンデンサC2もコンデンサC3も接続しない状態とを形成することができる。
【0049】
このように、この例の電子ペン用本体部3Aにおいては、操作子35Aaと、偏倚部材x3、x4と、電子ペン用本体部3Aの端子BT3、BT4、BT5とによってサイドスイッチ部35Aを構成している。サイドスイッチ部35Aを有するこの例の電子ペン用本体部3Aの等価回路は、
図4(B)に示すようなものとなる。
【0050】
この例の電子ペン用本体部3Aは、コイル(インダクタ)31と、コンデンサ(キャパシタ)Cfと、筆圧検出部を構成する可変容量コンデンサCvと、周波数変更用のコンデンサC2、C3とが並列に接続された構成を有する。また、操作子35Aaと、電子ペン用本体部3Aの第2の筐体33の内部に設けられる端子BT3、BT4、BT5とによってサイドスイッチが構成されている。
【0051】
そして、操作子35Aaを操作しない場合には、電子ペン用本体部3Aの端子BT3、BT4、BT5のいずれも電気的に接続しない状態とすることができる。また、操作子35Aaを操作することによって、コンデンサC2を共振回路に対して並列に接続する場合と、コンデンサC3を共振回路に対して並列に接続する場合とを切り替えることができる。したがって、コンデンサC2、C3のいずれも共振回路に接続しない場合と、コンデンサC2を共振回路に対して接続した場合と、コンデンサC3を共振回路に接続した場合とでで、共振回路が生じさせる信号の周波数を変えることができ、これらの3状態を位置検出装置に対して通知できる。
【0052】
この例の電子ペン用本体部3Aも、上述した電子ペン用本体部3と同様に、第1の筐体2内に装着し、サイドスイッチ部35Aを、操作用開口部2h2を通じてスライド操作することにより、非使用状態から使用状態にすることができる。このように、第1の筐体2内に電子ペン用本体部3Aを装着することにより、電子ペン1Aを構成し、これを電子ペンとして使用することができる。また、電子ペン1Aが使用状態にある時には、サイドスイッチ部35Aの操作子35Aaを押下操作することにより、サイドスイッチ部35Aの使用状態(オフ/コンデンサC2がオン/コンデンサC3がオンの3値)を位置検出装置に通知することができる。
【0053】
[サイドスイッチ部の操作子の構成例]
なお、サイドスイッチ部35、35Aは、電子ペン用本体部3、3Aの第2の筐体33の側面に操作子35a、35Aaが設けられる。このため、第1の筐体2の操作用開口部2h2を通じて操作しやすいように、操作子35a、35Aaは、第1の筐体2側に張り出すように構成することが望まれる。
図5は、実施の形態の電子ペン用本体部に設けられるサイドスイッチ部の操作子の構成例を説明するための図である。
【0054】
第1の筐体2が、
図1(A)、(B)に示したように長手方向に2つに分離し結合し直すことができるものである場合には、操作子35a、35Aaが第1の筐体2側に張り出していても、第1の筐体2への装着に際して邪魔になることはない。このため、
図5(A)に示すように、第1の筐体2側に張り出した操作子35Bを構成し、これを用いることができる。
【0055】
しかし、第1の筐体2が、市販されているボールペンと同様にペン先側と後端側との2つに分離し結合し直すことができるものである場合には、操作子35a、35Aaが第1の筐体2側に張り出していると、第1の筐体2への装着に際して邪魔になる。そこで、
図5(B)に示すように、操作子35Cは、第1の筐体2側に張り出すことがないように形成されるが、その上面には凹部を設けておく。
【0056】
操作子35Cを備える電子ペン用本体部を第1の筐体2に装着し後に、操作用開口部2h2から後付け操作子35Dを、その底面に設けられている凸部を操作子35Cの凹部に嵌め込むようにして取り付ける。これにより、
図5(B)に示したように、第1の筐体2側に張り出して、操作用開口部2h2から操作しやすい態様となった操作子35Dを通じて、操作子35Dと一体となった操作子35Cを操作できる。
【0057】
なお、ここでは、
図3(A)に示した構成のサイドスイッチ部35と同様に、2つの脚部を備える操作子を用いてサイドスイッチ部を構成する場合を説明したが、これに限るものではない。
図4(A)に示した構成の3つの脚部を備える操作子を用いてサイドスイッチ部を構成する場合にも、同様に構成することが可能である。
【0058】
[ノック式の第1の筐体を用いた電子ペン]
図6は、実施の形態の電子ペンの他の構成例を説明するための図である。この例の電子ペン1Xは、上述した実施の形態の電子ペン1の場合と同様に、第1の筐体2Xに電子ペン用本体部3(
図3)、3A(
図4)を装着して使用するものである。しかし、この例の第1の筐体2Xは、市販されている多くのボールペンの場合と同様に、後端部をノック操作することにより、使用状態と非使用状態とを切り替えるいわゆるノック式のものである。
【0059】
図6に示す電子ペン1Xは、第1の筐体2Xの中空部2Xa内に、電子ペン用本体部3が収納され、ノックカム機構部7により、電子ペン用本体部3のペン先側が、第1の筐体2Xの長手方向の一端の開口2Xb側から出し入れされるノック式の構成を備える。この例において、電子ペン用本体部3は、
図1~
図3を用いて説明した構成を有するものである。但し、電子ペン用本体部3は、第1の筐体2Xのサイズに合わせて、全長L1や直径R1を適宜調整して形成することが可能である。
【0060】
図6(A)は、電子ペン用本体部3の全体が第1の筐体2Xの中空部2Xa内に収容されている状態を示し、
図6(B)は、ノックカム機構部7により電子ペン用本体部3のペン先側が、第1の筐体2Xの開口2Xbから突出した状態を示している。なお、
図6の例では、電子ペン1Xの第1の筐体2Xを長手方向に半分に切断し、その一方を取り除いて第1の筐体2Xの内部が見えるようにした場合として示している。この例の電子ペン1Xは、市販のノック式ボールペンと互換性が取れる構成とされている。
【0061】
第1の筐体2X及び当該第1の筐体2X内に設けられるノックカム機構部7は、周知の市販のノック式ボールペンと同一の構成とされると共に、寸法関係も同一に構成される。換言すれば、第1の筐体2X及びノックカム機構部7は、市販のノック式のボールペンの筐体及びノックカム機構部をそのまま用いることもできる。但し、第1の筐体2Xの側面には、
図6(A)、(B)に示すように、操作用開口部2Xhが設けられる。
【0062】
ノックカム機構部7は、
図6に示すように、カム本体71と、ノック棒72と、回転子73とが組み合わされた周知の構成とされている。カム本体71は、筒状の第1の筐体2Xの内壁面に形成されている。ノック棒72は、使用者のノック操作を受け付けることができるように、端部72aが、第1の筐体2Xのペン先側とは反対側の開口2Xcから突出するようにされている。回転子73は、電子ペン用本体部3のペン先側とは反対側の端部が嵌合される嵌合部73aを備える。
【0063】
図6(A)の状態において、ノック棒72の端部72aが押下されると、ノックカム機構部7により、電子ペン用本体部3は、第1の筐体2X内において
図6(B)の状態にロックされる。これにより、電子ペン用本体部3のペン先側が、第1の筐体2Xの開口2Xbから突出する状態になる。この
図6(B)の状態から、ノック棒72の端部72aが再度押下されると、ノックカム機構部7によりロック状態が解除され、復帰用バネ6により、電子ペン用本体部3の第1の筐体2X内の位置は、
図6(A)の状態に戻る。ノックカム機構部7の詳細な構成及びその動作は、周知であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0064】
図6(A)に示したように、電子ペン用本体部3の全体が第1の筐体2X内に収納された状態(非使用状態)のときには、電子ペン用本体部3に設けられているサイドスイッチ部35は、第1の筐体2Xの操作用開口部2Xhからは露呈しない。すなわち、
図6(A)に示した非使用状態のときには、サイドスイッチ部35は操作不能とされる。これに対して、
図6(B)に示したように、電子ペン用本体部3のペン先側が第1の筐体2Xの開口2Xbから突出した状態(使用状態)のときには、電子ペン用本体部3に設けられているサイドスイッチ部35が、第1の筐体2Xの操作用開口部2Xhから露呈する。すなわち、
図6(B)に示した使用状態のときには、サイドスイッチ部35は操作可能とされる。
【0065】
このように、ノックカム機構部7を備えた第1の筐体2Xを用いて電子ペン1Xを構成する場合にもこの発明を適用できる。
図6に示した例の場合には、使用状態(
図6(B))のときにはサイドスイッチ部35の操作は可能であるが、非使用状態(
図6(A))のときには使用不能である。従って、電子ペンとして機能することができ、サイドスイッチ部35に対する操作が必要な場合にだけサイドスイッチ部35の操作ができるという利点がある。
【0066】
[静電容量方式の電子ペンへの適用]
上述した実施の形態では、電磁誘導方式の電子ペンにこの発明を適用した場合を例にして説明したが、この発明は、静電容量方式の電子ペンにも適用できる。すなわち、外観上の構成は、第1の筐体2、2Xに操作用開口部2h2、2Xhを設ける。この第1の筐体に装着する静電容量方式の電子ペン用本体部3Bの第2の筐体の側面にサイドスイッチ部35、35Aを設ける。この静電容量方式の電子ペン用本体部3Bを第1の筐体2、2Xに装着して、使用状態にしたときに、操作用開口部2h2、2Xhを通じて、サイドスイッチ部35、35Aの押下操作が可能なように構成すればよい。
【0067】
図7は、静電容量方式の電子ペンの例としてアクティブ静電ペンとしての機能を備えた電子ペン用本体部3Bの等価回路を示す図である。なお、
図7に示したアクティブ静電ペンは、充電を電磁誘導で行うものでありあり、このため、コイル86を備えている。電子ペン用本体部3Bにおいて、芯体30Xは、導体、例えば導電性金属や導電性粉末を混入した硬質樹脂からなる電極芯の構成とされる。以下の説明では、芯体30Xを、電極芯30Xと称する。この例では、プリント基板に形成されている電子回路は、
図7に示すように、信号発信回路81と、この信号発信回路81を駆動するための駆動電圧(電源電圧)を発生する蓄電素子の例としての電気二重層コンデンサ82と、整流用ダイオード83と、電圧変換回路84とを含む回路構成を有する。信号発信回路81は、この例では発振回路で構成されている。
【0068】
電極芯30Xは、上述の実施形態の電子ペン用本体部3の場合と同様にして、フェライトコアの貫通孔を挿通して、筆圧検出モジュールの押圧部材(圧力伝達部材)に嵌合され、この押圧部材を介して筆圧を感圧部に伝達する。そして、電極芯30Xは、接続線85により、プリント基板の信号発信回路81と電気的に接続されている。
【0069】
そして、筆圧検出モジュールの2個の端子部材91a及び91bは、
図7に示すように、プリント基板に形成されている信号発信回路81に電気的に接続されている。信号発信回路81を構成する発振回路は、筆圧検出モジュールの感圧部の可変容量コンデンサ91の容量に応じて周波数が変化する信号を発生し、その発生した信号を電極芯30Xに供給する。
【0070】
さらに、信号発信回路81に対して並列に、コンデンサC1及びサイドスイッチ部35が接続される。サイドスイッチ部35は、
図3(A)を用いて説明した構成のものである。これにより、サイドスイッチ部35のオン/オフに応じて、信号発信回路81へのコンデンサC1の接続/非接続を切り替え、信号発信回路81から発生させる信号の周波数を変更することができる。
【0071】
この例の電子ペン用本体部3Bは、第1の筐体2、2Xに装着された状態で、図示しない充電器に装着したときに、充電器が発生する交番磁界によりコイル86には誘導起電力が発生して、ダイオード83を介して電気二重層コンデンサ82を充電する。上述もしたように、コイル86は充電用のものである。電圧変換回路84は、電気二重層コンデンサ82に蓄えられた電圧を一定の電圧に変換して信号発信回路81の電源として供給する。
【0072】
電子ペン用本体部3Bが通常動作するとき(充電動作を行わないとき)は、コイル86は固定電位(この例では接地電位(GND))となるため、電極芯30Xの周囲に設けたシールド電極として作用する。なお、電子ペン用本体部3Bが通常動作するときのコイル86の固定電位は、接地電位に限らず、電源のプラス側電位であっても良いし、電源のプラス側電位と接地電位との中間の電位であっても良い。
【0073】
信号発信回路(発振回路)81は、筆圧検出モジュールの感圧部で構成される可変容量コンデンサ91の容量と、サイドスイッチ部35により信号発信回路81へ接続されている場合のコンデンサC1の容量とに応じて周波数が変化する信号を発生し、その発生した信号を電極芯30Xに供給する。信号発信回路81からの信号は、電極芯30Xよりその信号に基づく電界として放射される。この例の電子ペン用本体部3Bのよる指示位置(座標位置)を検出する位置検出装置では、この信号の周波数より電極芯30Xに加えられた筆圧やサイドスイッチのオン/オフの状態を求めることができる。
【0074】
なお、スイッチ92は、
図1(B)、(C)、
図6(B)に示したように、この例の電子ペン用本体部3Bのペン先が、第1の筐体2、2Xの端部開口部2h1、2Xbか突出して使用状態になった場合に「オン」となり、非使用状態のときにh「オフ」となる。これにより、使用状態のときにのみ、サイドスイッチ部35、35Aへの押圧操作が有効となるようにされる。
【0075】
このように、
図7に示した等価回路に応じた構成を備え、外観的には
図1、
図6に示した場合と同様の構成となる静電容量方式の電子ペンを構成することができる。この場合、市販のボールペンと同様に、使用状態と非使用状態とを切り替えて使用することができると共に、電子ペン用本体部3Bの側面に設けられたサイドスイッチ部35、35Aに対する操作を、第1の筐体2、2Xの操作用開口部2h2、2Xhを通じて行うことができる。
【0076】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の電子ペンによれば、細型化された電子ペン用本体部3、3A、3Bを、第1の筐体2、2X内に装着して使用することができる。この場合、電子ペン用本体部3、3A、3Bのペン先部が第1の筐体2、2Xの先端から突出する使用状態と、電子ペン用本体部3、3A、3Bの全体が第1の筐体2、2X内に収納された非使用状態とを切り替えて使用できる。すなわち、替え芯(リフィル)の交換が可能な市販されているボールペンと同様の使用態様で、電子ペンを使用することができる。また、持ち運びにも便利である。
【0077】
さらに、電子ペン用本体部3、3A、3Bに設けられるサイドスイッチ部35、35Aを、第1の筐体2、2Xの側面に設けられた操作用開口部2h2、2Xhを通じて直接に操作することができる。これにより、サイドスイッチ部を適切に、かつ、確実に操作して、サイドスイッチ機能を常時安定に機能させることができる。
【0078】
[変形例]
図8は、電子ペン用本体部3の変形例の等価回路を示す図である。
図8(A)に示すように、使用状態のときにはオンとなり、非使用状態のときにはオフとなるスイッチSW1を電子ペン用本体部3に設けるようにする。これにより、電子ペン1が使用状態のときだけに、サイドスイッチ機能を機能させるようにできる。
【0079】
また、
図8(B)に示すように、使用状態のときにはオンとなり、非使用状態のときにはオフとなるスイッチSW2を電子ペン用本体部3に設けるようにする。これにより、電子ペン1が使用状態のときだけに、サイドスイッチ機能をも含めた電子ペン機能を機能させるようにできる。
【0080】
このように、スイッチSW1、SW2の用に、スイッチを設ける位置に応じて、サイドスイッチ機能を機能させる状態のオン/オフと、電子ペン機能を機能させる状態のオン/オフを制御できる。なお、スイッチSW1、SW2は、電子ペン用本体部3にスイッチSW1、SW2を設け、使用状態になった場合にスイッチSW1、SW2を押圧してオン状態にする突起を第1の筐体の内壁面に設けるようにすればよい。これ以外の構成により、スイッチSW1、SW2を実現してももちろんよい。また、
図8(A)、(B)に示したのと同様の構成を、
図4(B)に示した構成の電子ペン用本体部3Aにも適用可能である。
【0081】
また、電子ペン用本体部3、3A、3Bのサイズ、第1の筐体2、2Xのサイズは、上述した実施の形態のものに限るものではなく、種々のサイズで実現可能である。
【0082】
また、サイドスイッチ部の構成は、
図3、
図4を用いて説明したものに限るものではなく、少なくともオン/オフが可能な種々の構成とすることが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1、1A、1X…電子ペン、2…第1の筐体、2h1…端部開口部、2h2…操作用開口部、2h3…係止用開口部、2h4…収納用開口部、21…張り出し部、3、3A、3B…電子ペン用本体部、31…コイル、32…フェライトコア、33…第2の筐体、34…芯体、34a…先端部、35、35A…サイドスイッチ部、35a、35Aa…操作子、35au、Aau…押圧部、HL、HA…孔部、35b、35Ab…導線、ft1~ft5…脚部、T1~T5…接触部、x1~x4…偏倚部材、BT1~BT5端子、C1~C3…コンデンサ