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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】鍛造成形装置及び鍛造成形方法
(51)【国際特許分類】
   B21J 5/12 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
B21J5/12 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024055750
(22)【出願日】2024-03-29
【審査請求日】2024-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207816
【氏名又は名称】大豊精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏孝
(72)【発明者】
【氏名】築山 悦久
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-057341(JP,A)
【文献】特開平07-112234(JP,A)
【文献】特許第3906998(JP,B2)
【文献】特開平07-009066(JP,A)
【文献】特開平11-138232(JP,A)
【文献】特開2008-126231(JP,A)
【文献】特開2019-038032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 5/06 - 5/12
B21K 1/30
F16H 55/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材に鍛造成形を施す成形ダイと、
前記素材を成形方向にて前方に配置された前記成形ダイに向けて押し込むパンチと、を備え、
前記成形ダイが、
前記素材における前記鍛造成形に伴い前記素材に生じる材料流動のうち前記成形方向に直交する方向に沿った分流によって前記素材の外面を成形するものであって、前記鍛造成形後の外形寸法よりも小さな外形寸法の前記素材に対し、前記材料流動のうち前記成形方向に直交する方向に沿った分流によって前記素材の外面を成形するものであり、
前記素材から中間形状を有する中間成形物を成形する第一成形ダイと、
前記中間成形物から前記中間形状の外形寸法よりも小さな外形寸法の最終形状を有する最終成形物を成形する第二成形ダイと、を含み、
前記パンチが、
前記素材と当接する当接側の端部にて、前記鍛造成形に伴い前記素材に生じた前記材料流動のうち前記成形方向にて後方に向けた分流によって前記素材に生じた余剰部を収容する収容部を有する、鍛造成形装置。
【請求項2】
前記収容部が、
前記成形方向に沿って延設された、請求項1に記載の鍛造成形装置。
【請求項3】
前記収容部が、
前記余剰部が生じる方向に沿って延設された、請求項2に記載の鍛造成形装置。
【請求項4】
前記第一成形ダイが、
前記素材に対して前記中間形状を成形する成形対象部分において前記成形方向に直交する方向に沿った前記素材の断面積に対する前記中間成形物の断面積の比を表す第一断面減少率が10%から40%となるように、前記素材に対して前記中間形状を成形し、
前記第二成形ダイが、
前記中間成形物に対して前記最終形状を成形する成形対象部分において前記成形方向に直交する方向に沿った前記中間成形物の断面積に対する前記最終成形物の断面積の比を表す第二断面減少率が10%から40%となるように、前記中間成形物に対して前記最終形状を成形する、請求項1に記載の鍛造成形装置。
【請求項5】
前記パンチが、
前記成形ダイに向けて複数の前記素材を押し込む、請求項1に記載の鍛造成形装置。
【請求項6】
請求項1-5の何れか一項に記載の前記鍛造成形装置を用いて前記素材に前記鍛造成形を施す鍛造成形方法であって、
前記素材に鍛造成形を施すことによって前記素材から前記中間成形物を成形する第一鍛造成形工程と、
前記中間成形物に鍛造成形を施すことによって前記中間成形物から前記最終成形物を成形する第二鍛造成形工程と、を備えた、鍛造成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造成形装置及び鍛造成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1に開示された鍛造成形方法及び鍛造成形装置(以下、「鍛造成形方法等」と称呼する。)が知られている。従来の鍛造成形方法等は、一つの鍛造成形工程において、ダイの成形空間に押し込まれる前の素材の外径を拘束して成形空間に素材を押し込んで鍛造成形を完了するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-38032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の鍛造成形方法等においては、一つの鍛造成形工程において、図11に示すように、パンチPが複数の素材Ma及び素材MbをダイSの成形空間に押し込んで鍛造成形する場合、押し込み方向にて後方に位置する素材Mbにおいて、材料流動によって余剰部Mwが生じる場合がある。この場合、パンチPとダイSとの嵌め合い部分において生じた余剰部Mwが切断される場合がある。このため、例えば、連続的に製品を鍛造成形する場合、鍛造成形工程において、ダイSの内部に残る切断された余剰部Mwを除去する除去工程を設ける必要がある。このように、除去工程が増える場合には、生産効率に影響を与える虞があるため、改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、生産効率の向上を図ることができる鍛造成形装置及び鍛造成形方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鍛造成形装置は、素材に鍛造成形を施す成形ダイと、素材を成形方向にて前方に配置された成形ダイに向けて押し込むパンチと、を備え、成形ダイが、素材における鍛造成形に伴って素材に生じる材料流動のうち成形方向に直交する方向に沿った分流によって素材の外面を成形するものであって、鍛造成形後の外形寸法よりも小さな外形寸法の素材に対し、材料流動のうち成形方向に直交する方向に沿った分流によって素材の外面を成形するものであり、素材から中間形状を有する中間成形物を成形する第一成形ダイと、中間成形物から中間形状の外形寸法よりも小さな外形寸法の最終形状を有する最終成形物を成形する第二成形ダイと、を含み、パンチが、素材と当接する当接側の端部にて、鍛造成形に伴い素材に生じた材料流動のうち成形方向にて後方に向けた分流によって素材に生じた余剰部を収容する収容部を有する。
【0007】
又、本発明の鍛造成形方法は、上記した鍛造成形装置を用いて、素材に鍛造成形を施すことによって素材から中間成形物を成形する第一鍛造成形工程と、中間成形物に鍛造成形を施すことによって中間成形物から最終成形物を成形する第二鍛造成形工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パンチに設けられた収容部が、鍛造成形において生じた余剰部を収容することができる。これにより、鍛造成形中において余剰部が切断されることが抑制され、その結果、生じた余剰部は、鍛造成形後において素材と共に成形ダイの外部に排出される。これにより、連続的に製品を鍛造成形する場合であっても、鍛造成形工程において、成形ダイの内部に余剰部が残ることが抑制されるため、除去工程を設ける必要がない。従って、鍛造成形装置を用いた場合、換言すれば、鍛造成形装置を用いた鍛造成形方法においては、鍛造成形の生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一鍛造成形工程及び第二鍛造成形工程を実施する鍛造成形装置を説明するための図である。
図2】素材を説明するための図である。
図3】パンチの収容部を説明するための図である。
図4】第一成形ダイを説明するための断面図である。
図5】第二成形ダイを説明するための断面図である。
図6】中間成形物を説明するための図である。
図7】最終成形物(製品)を説明するための図である。
図8】収容部が余剰部を収容した状態を説明するための図である。
図9】成形ダイから排出された状態の余剰部を説明するための図である。
図10】成形ダイから排出された状態の余剰部を説明するための図である。
図11】従来の鍛造成形方法等において余剰部が切断される状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
鍛造成形装置10の構成について、図1を参照して説明する。鍛造成形装置10は、パンチ11、マンドレル12、駆動装置13、テーブル14及び圧力板15と、成形ダイ20と、を備えており、被成形物に対して鍛造成形、より詳しくは、冷間鍛造成形を施す。ここで、本実施形態においては、被成形物として、図2に示すように、貫通孔M1を有する環状の素材Mを例示し、素材Mの側部M2の外周面に対して冷間鍛造成形を施して製品であるピニオンギヤWを成形する場合を例示する。
【0011】
ここで、素材Mの外形寸法Dm(本実施形態においては素材Mが環状であるため外径寸法Dm)は、冷間鍛造成形が施されて成形されるピニオンギヤWの外径寸法Dfよりも小さく設定される。又、本実施形態においては、素材Mには、軸線方向にて両端部に所定の大きさの面取り部M3が予め成形されている。
【0012】
尚、本実施形態においては、鍛造成形装置10が素材Mから製品としてピニオンギヤWを冷間鍛造成形する場合を例示する。しかし、鍛造成形装置10が鍛造成形する製品としては、冷間鍛造成形による素材の軸方向及び外方に向けた材料流動のうち、素材の外方に向けた材料流動(分流)を利用して成形される製品であれば良い。従って、鍛造成形装置10は、例えば、軸状の素材に対してスプラインを冷間鍛造成形したり、軸状又は環状の素材にキー溝やキーを冷間鍛造成形したりすることができる。
【0013】
パンチ11は、駆動装置13によって軸線方向に沿って駆動されて、成形ダイ20に向けて外形を拘束することなく素材Mを押し込むための部材である。パンチ11は、図3に示すように、ピニオンギヤWの形状に合わせて、より詳しくは、後述する成形ダイ20を構成する第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22の各々の成形空間212及び成形空間222の形状に合わせて、周方向に沿って等間隔に設けられた複数の小径部111を有している。小径部111は、パンチ11の軸線方向に沿って延設されている。これにより、パンチ11のうちの小径部111の形成された部分は、第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22を素材M(後述する中間成形物Fi)と共に通過することができる。
【0014】
更に、パンチ11は、冷間鍛造成形時に軸線方向にて素材Mに当接する当接側の端部、即ち、マンドレル12が連結される側の端部にて、軸線方向に沿って延設された凹形状の収容部112を有する。収容部112は、後述するように、冷間鍛造成形に伴い素材M及び中間成形物Fiに生じた材料流動のうち成形方向にて後方に向けた分流によって素材M及び中間成形物Fiに生じたバリ等の余剰部M6(図8を参照)を切断することなく収容する。ここで、本実施形態において、収容部112は、図3に示すように、小径部111に設けられる。しかし、収容部112については、例えば、冷間鍛造成形する製品に応じて、パンチ11において小径部111以外の部分(小径部111よりも大径の一般部分)に設けることも可能である。
【0015】
ここで、以下の説明においては、パンチ11が素材Mを成形ダイ20に向けて押し込む方向を「成形方向」と称呼する。尚、本実施形態においては、図1に示すように、鉛直方向に沿った成形方向にて、パンチ11が素材Mを成形ダイ20に押し込む場合を例示する。しかしながら、成形方向については、鉛直方向に沿った方向に限られず、例えば、水平方向に沿った方向であっても良い。
【0016】
又、図1において、理解を容易とするために、軸線を境にしてパンチ11を仮想的に二つに分割して示す。この場合、図において左側はパンチ11が上昇した状態を示し、図において右側はパンチ11が下降した状態を示す。尚、実際のパンチ11は、左右で分割されておらず、駆動装置13によって一体で上昇又は下降することは言うまでもない。
【0017】
マンドレル12は、パンチ11の先端側に設けられ、冷間鍛造成形中において素材Mの貫通孔M1に挿通される。ここで、マンドレル12については、素材Mが中空状、例えば、環状である場合にパンチ11に取り付けられるようにしても良いし、環状の素材Mの冷間鍛造成形専用としてパンチ11と一体となるように設けられていても良い。汎用性を考慮する場合には、別体のマンドレル12がパンチ11に取り付けられる方式を採用することが好ましい。
【0018】
駆動装置13は、パンチ11を軸線方向即ち成形方向に沿って駆動する。駆動装置13は、例えば、図示を省略する油圧機構や、電動機構、油圧機構及び電動機構を合わせた機構等を主要素として備え、これらの機構が発生した駆動力をパンチ11に伝達するようになっている。尚、本実施形態においては、成形方向である鉛直方向に沿って上昇又は下降させるように、駆動装置13がパンチ11に駆動力を伝達する。
【0019】
テーブル14は、パンチ11に対して、成形方向にて前方、即ち、本実施形態においては鉛直方向にて下方に配置される板状部材であり、駆動装置13を支持する。又、テーブル14は、中央部分に貫通孔を有しており、環状(筒状)の成形ダイ20、圧力板15及び保持板16を貫通孔に対して同軸的に支持する。更に、テーブル14は、後述する冷間鍛造成形において発生する成形荷重も支持する。
【0020】
圧力板15は、内側に貫通孔を有する環状部材である。圧力板15は、成形方向にて後方に配置される成形ダイ20を支持する。又、後述するように、圧力板15は、テーブル14に支持された状態でテーブル14の貫通孔と同軸的に配置された貫通孔を介して、成形ダイ20によって冷間鍛造成形の施されたピニオンギヤWを排出させる。
【0021】
次に、成形ダイ20の構成を説明する。成形ダイ20は、下記の式に示すように成形前の断面積に対する成形後の断面積の比を表す断面減少率が、例えば、10%から40%となるように、素材M及び中間成形物Fi(図6を参照)に冷間鍛造成形を施す。ここで、断面減少率は、絞りを伴う冷間鍛造成形を行う際の変形の難しさ(断面減少率が大きいほど、変形が難しい)を示している。
断面減少率={1-(成形後の断面積/成形前の断面積)}×100[%]
【0022】
尚、断面減少率が10%未満になると、例えば、素材Mから中間成形物Fiを成形する際の材料流動が少なくて成形荷重が小さくなるものの、中間成形物Fiから最終成形物Ff即ちピニオンギヤWを成形する際の材料流動が多くなって成形荷重が大きくなる。その結果、成形ダイ20に押し込まれる前の中間成形物Fiが据え込まれて外方に向けて広がる(太る)ため、冷間鍛造成形が不能になる。又、断面減少率が10%未満に設定された場合おいては、素材M及び中間成形物Fiの外方に向けて流動する材料が不足し、その結果、最終成形物Ff即ちピニオンギヤWにおける最終形状である平歯M5(図7を参照)の肉張りが十分実現できなくなる。
【0023】
他方、断面減少率が40%よりも大きくなると、例えば、素材Mから中間成形物Fiを成形する際の材料流動が多くなって成形荷重が大きくなる。その結果、成形ダイ20に押し込まれる前の素材Mが据え込まれて外方に向けて広がるため、鍛造成形が不能になる。又、断面減少率が40%よりも大きく設定された場合においては、成形ダイ20に押し込まれる前の中間成形物Fiが据え込まれて外方に向けて広がるため、最終成形物Ff即ちピニオンギヤWの鍛造成形が不能になる。
【0024】
ここで、断面減少率については、上述したように、鍛造成形可能性の観点から10%から40%となるように設定されることが好ましいが、成形荷重の低減及び肉張りの観点から10%から30%となるように設定されることがより好ましく、更には10%から20%となるように設定されることがより好ましい。
【0025】
本実施形態においては、図1に示すように、成形ダイ20は、第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22を含んで構成される。又、成形ダイ20は、第一成形ダイ21と第二成形ダイ22とが直列に配置された際に、適切に離間されるように配置されるスペーサ23を含んで構成される。
【0026】
第一成形ダイ21は、素材Mに対して中間形状(図6を参照)を成形する成形対象部分において成形方向に直交する方向に沿った素材Mの断面積に対する中間成形物Fiの断面積の比を表す第一断面減少率が10%から40%となるように、素材Mに対して中間形状を成形する。このため、第一成形ダイ21は、図4に示すように、成形方向にて後方(本実施形態においては鉛直方向にて上方)に配置されるガイド部211と、ガイド部211に対して成形方向にて前方(本実施形態においては鉛直方向にて下方)に配置される成形空間212と、を有する。
【0027】
ガイド部211は、成形方向にて前方(鉛直方向にて下方)に前進する素材Mを安定して挿通させて成形空間212に案内するように、内周面にて軸線方向に沿った保持部211Aを有する。成形空間212は、素材Mの側部M2に回転軸に対して平行な暫定外歯M4(図6を参照)を成形するように、内周面にて軸線方向に沿った成形部212Aを有する。
【0028】
ここで、図4に示すように、ガイド部211における保持部211Aの内径寸法D0は、素材Mの外径寸法Dm(図2を参照)と略等しく設定される。又、図4に示すように、ガイド部211の保持部211Aの内径寸法D0は、成形空間212の内径寸法D1よりも大きく設定される。そして、成形空間212の内径寸法D1は、素材Mの側部M2における第一断面減少率が上述した10%から40%の範囲内となるように設定される。
【0029】
これにより、素材Mが第一成形ダイ21に押し込まれた場合、先ずガイド部211の保持部211Aが素材Mをガタツキなく保持する。そして、保持部211Aに保持されて成形空間212に進入した素材Mに対して、成形空間212の成形部212Aが回転軸に平行な暫定外歯M4を有する中間成形物Fiを成形する。尚、保持部211Aの内径寸法D0が素材Mの外径寸法Dmよりも小さく設定された場合、保持部211Aは、素材Mの側部M2に案内溝を成形することも可能である。
【0030】
第二成形ダイ22は、中間成形物Fiに対して最終形状(図7を参照)を成形する成形対象部分において成形方向に直交する方向に沿った中間成形物Fiの断面積に対する最終成形物Ffの断面積の比を表す第二断面減少率が10%から40%となるように、中間成形物Fiに対して最終形状を成形する。このため、第二成形ダイ22は、図5に示すように、成形方向にて後方(本実施形態においては鉛直方向にて上方)に配置されるガイド部221と、ガイド部221に対して成形方向にて前方(本実施形態においては鉛直方向にて下方)に配置される成形空間222と、を有する。
【0031】
ガイド部221は、成形方向にて前方(鉛直方向にて下方)に前進する中間成形物Fiの側部M2に形成された暫定外歯M4に嵌合するように内周面にて軸線方向に沿って設けられて、成形空間222に案内するための案内部221Aを有する。成形空間222は、中間成形物Fiの暫定外歯M4に冷間鍛造成形としての絞り加工を施すことによって最終成形物Ff即ち製品Wの回転軸に対して平行な平歯M5(図7を参照)を成形するように、内周面にて軸線方向に沿った成形部222Aを有する。
【0032】
ここで、図5に示すように、第二成形ダイ22のガイド部221における案内部221Aの内径寸法D2は、第一成形ダイ21のガイド部211における成形部211Aの内径寸法D1(図4を参照)よりも僅かに大きく設定される。又、図5に示すように、第二成形ダイ22の成形空間222の内径寸法D3は、第一成形ダイ21の成形空間212の内径寸法D1よりも小さく設定される。そして、成形空間222の内径寸法D3は、素材Mの側部M2における第二断面減少率が上述した10%から40%の範囲内となるように設定される。
【0033】
これにより、中間成形物Fiの暫定外歯M4が第二成形ダイ22に押し込まれた場合、先ず、ガイド部221の案内部221Aが暫定外歯M4と嵌合して暫定外歯M4を成形空間222に向けて案内する。そして、成形空間222の成形部222Aが、案内されて成形空間222に進入した暫定外歯M4に対して絞り加工を施し、最終形状である平歯M5を成形する。
【0034】
尚、本実施形態の鍛造成形装置10においては、図1に示すように、第一成形ダイ21と第二成形ダイ22とが成形方向(鉛直方向)に沿って直列に配置される。つまり、鍛造成形装置10においては、素材Mは、パンチ11によって第一成形ダイ21に押し込まれ、続いて、パンチ11によって第二成形ダイ22に押し込まれる。これにより、素材Mには、暫定外歯M4と平歯M5とが連続して成形される。
【0035】
ここで、冷間鍛造成形中の中間成形物Fiにおいて、例えば、成形方向にて前方が第二成形ダイ22に進入し、且つ、成形方向にて後方が第一成形ダイ21を通過している状況を想定すると、第一成形ダイ21による暫定外歯M4の成形荷重と第二成形ダイ22による平歯M5の成形荷重の両方がパンチ11に作用することになる。又、上述したように、第二成形ダイ22の内径寸法D3が第一成形ダイ21の内径寸法D1よりも小さいため、成形方向にて後方に材料流動が生じることにより、中間成形物Fiが第一成形ダイ21に据え込まれる場合もある。この場合、成形荷重が増加し、第一成形ダイ21等の型寿命に影響を及ぼす可能性がある。
【0036】
このため、鍛造成形装置10においては、図1に示すように、第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22が成形方向にて互いに離間するように、スペーサ23が設けられる。具体的に、スペーサ23は、中間成形物Fi(素材M)の軸線方向の寸法、即ち、中間成形物Fi(素材M)の厚み寸法よりも大きな距離となるように、第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22を離間させる。これにより、スペーサ23は、冷間鍛造成形中の中間成形物Fiにおいて、成形方向にて前方が第二成形ダイ22に進入し、且つ、成形方向にて後方が第一成形ダイ21を通過している状況が生じることを防止することができ、成形荷重の増加を抑制することができる。
【0037】
ここで、本実施形態においては、後述するように、マンドレル12に二つの素材Mを挿通させた状態で、第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22に押し込まれて、冷間鍛造成形が施される場合を例示する。従って、本実施形態において、スペーサ23は、二つの中間成形物Fi(素材M)の厚み寸法よりも大きな距離となるように、第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22を離間させる。
【0038】
次に、上述した鍛造成形装置10及び成形ダイ20を用いた鍛造成形方法について説明する。本実施形態の鍛造成形方法においては、上述したように、鍛造成形装置10に対して、成形方向にて後方(鉛直方向にて上方)に第一成形ダイ21を配置すると共に成形方向にて第一成形ダイ21よりも前方にスペーサ23を介して第二成形ダイ22を配置する、つまり、成形方向に沿って直列となるように第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22を取り付ける。そして、鍛造成形方法は、鍛造成形装置10を用いて、素材Mの側部M2に冷間鍛造成形を施して中間成形物Fiを成形する第一鍛造成形工程と、中間成形物Fiに冷間鍛造成形を施して最終成形物Ff即ち製品Wを成形する第二鍛造成形工程と、を連続して実施する。
【0039】
又、鍛造成形方法においては、図1に示すように、マンドレル12に挿通された二つの素材M(以下、二つの素材Mを区別するために一方の素材Mを「素材MA」と称呼し、他方の素材Mを「素材MB」と称呼する。)を第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22の各々に押し込む。つまり、鍛造成形方法においては、第一鍛造成形工程にて素材MA及び素材MBを第一成形ダイ21に押し込むことによって二つの中間成形物FiA及び中間成形物FiBを成形し、第二鍛造成形工程にて成形された中間成形物FiA及び中間成形物FiBを第二成形ダイ22に押し込むことによって二つの最終成形物FfA及び最終成形物FfB即ち二つのピニオンギヤWを成形する。
【0040】
第一鍛造成形工程においては、先ず、素材MAが第一成形ダイ21のガイド部211の保持部211Aに当接するようにセットされた状態で、成形方向にて前方(鉛直方向にて下方)に向けて、駆動装置13がパンチ11に駆動力を伝達する。これにより、パンチ11は、マンドレル12と共に成形方向にて前進(鉛直方向にて下降)し、成形方向にて後方に位置する素材MBを介して、保持部211Aによって案内される素材MAを成形空間212に向けて押し込む。又、パンチ11がマンドレル12と共に成形方向にて前進(鉛直方向にて下降)することにより、素材MBが第一成形ダイ21のガイド部211の保持部211Aに当接するようになる。
【0041】
成形空間212に押し込まれた素材MAは、成形空間212の成形部212Aに対して相対移動する過程において、側部M2に図6に示すような暫定外歯M4が成形される。つまり、第一鍛造成形工程を経ることにより、成形方向にて前方に位置する素材MAは、側部M2に暫定外歯M4を有する中間成形物FiAとして成形される。
【0042】
中間成形物FiAは、パンチ11によって更に成形方向にて前進(鉛直方向にて下降)し、第一成形ダイ21の成形空間212から排出され、中間成形物FiAの第一鍛造成形工程が終了する。そして、第一鍛造成形工程が終了した中間成形物FiAは、更にパンチ11によって成形方向にて前進(鉛直方向にて下降)し、スペーサ23を通過して第二成形ダイ22に到達する。
【0043】
他方、素材MAに対して成形方向にて後方に位置する素材MBは、素材MAが第一成形ダイ21の成形空間212を通過している状態で、パンチ11によって成形空間212に押し込まれる。つまり、素材MBは、第一鍛造成形工程において、先行する素材MAを成形方向にて後方から前方に向けて押しながら成形空間212の成形部212Aに対して相対移動する。
【0044】
そして、成形空間212に押し込まれた素材MBは、素材MAを押しながら成形空間212の成形部212Aに対して相対移動する過程において、側部M2に図6に示すような暫定外歯M4が成形される。つまり、第一鍛造成形工程を経ることにより、成形方向にて素材MAの後方に位置する素材MBは、側部M2に暫定外歯M4を有する中間成形物FiBとして成形される。
【0045】
中間成形物FiBは、パンチ11によって更に成形方向にて前進(鉛直方向にて下降)し、第一成形ダイ21の成形空間212から排出され、中間成形物FiBの第一鍛造成形工程が終了する。そして、第一鍛造成形工程が終了した中間成形物FiBは、更にパンチ11によって成形方向にて前進(鉛直方向にて下降)し、スペーサ23を通過して中間成形物FiAを第二成形ダイ22に押し付ける。
【0046】
スペーサ23を通過して第二成形ダイ22に到達すると、中間成形物FiAの第二鍛造成形工程が実行される。第二鍛造成形工程においては、鍛造成形装置10のパンチ11が、成形方向にて前進(鉛直方向にて下降)し、中間成形物FiAを第二成形ダイ22のガイド部221に押し込む。これにより、ガイド部221の案内部221Aは、中間成形物FiAの暫定外歯M4と嵌合して、暫定外歯M4を成形空間222に向けて案内する。
【0047】
そして、パンチ11は、成形方向にて後方に位置する中間成形物FiBを介して、中間成形物FiAの暫定外歯M4を第二成形ダイ22の成形空間222に対して押し込む。これにより、暫定外歯M4が成形空間222の成形部222Aに対して相対移動する過程において、暫定外歯M4に絞り加工が施されることにより、図7に示すような平歯M5が成形される。つまり、第二鍛造成形工程を経ることにより、最終形状である平歯M5を有する最終成形物FfA即ちピニオンギヤWが成形される。そして、最終成形物FfAは、パンチ11が更に成形方向にて前進(鉛直方向にて下降)することによって、第二成形ダイ22の成形空間222から排出されて第二鍛造成形工程が終了する。
【0048】
他方、中間成形物FiAに対して成形方向にて後方に位置する中間成形物FiBは、スペーサ23を通過して第二成形ダイ22に到達すると、第二鍛造成形工程が実行される。第二鍛造成形工程においては、鍛造成形装置10のパンチ11が成形方向にて前進(鉛直方向にて下降)することにより、中間成形物FiBは、中間成形物FiAを押しながら第二成形ダイ22のガイド部221に押し込まれる。これにより、ガイド部221の案内部221Aは、中間成形物FiBの暫定外歯M4と嵌合して、暫定外歯M4を成形空間222に向けて案内する。
【0049】
そして、パンチ11は、先行する中間成形物FiAの暫定外歯M4と共に中間成形物FiBの暫定外歯M4を第二成形ダイ22の成形空間222に対して押し込む。これにより、中間成形物FiBが中間成形物FiAを押しながら、中間成形物FiBの暫定外歯M4が成形空間222の成形部222Aに対して相対移動する過程において、暫定外歯M4に絞り加工が施されることにより、図7に示すような平歯M5が成形される。
【0050】
つまり、第二鍛造成形工程を経ることにより、最終形状である平歯M5を有する最終成形物FfB即ちピニオンギヤWが成形される。そして、最終成形物FfBは、最終成形物FfAと同様に、パンチ11が更に成形方向にて前進(鉛直方向にて下降)することによって、第二成形ダイ22の成形空間222から排出されて第二鍛造成形工程が終了する。
【0051】
ここで、第一鍛造成形工程及び第二鍛造成形工程において、素材MBよりも先行する素材MAは、成形方向にて前方に何も存在しないため、第一成形ダイ21の成形空間212を通過する際及び第二成形ダイ22の成形空間222を通過する際、即ち、冷間鍛造成形中において背圧を受けることない。しかしながら、素材MAを後方から押す素材MBは、第一成形ダイ21の成形空間212を通過する際及び第二成形ダイ22の成形空間222を通過する際、即ち、冷間鍛造成形中において先行する素材MAから背圧を受ける。
【0052】
この場合、上述したように、断面減少率が10%から40%となるように内径寸法D1及び内径寸法D3が設定されて、成形荷重の増加が抑制される場合であっても、成形方向にて前方から背圧を受ける場合、素材MBに生じる材料流動のうち、軸線方向に沿った分流は、成形方向にて後方、即ち、パンチ11に向けた方向に優先的に生じる。これにより、背圧を受ける素材MBには、図8図9及び図10に示すように、パンチ11との当接側において、バリ等の余剰部M6が発生する。特に、余剰部M6は、図9に示すように、第一成形ダイ21の成形部212A及び第二成形ダイ22の成形部222Aによって絞り加工が施される小径部分に発生しやすい。
【0053】
ところで、パンチ11には、素材MBと当接する当接側の端部において余剰部M6を収容する収容部112が小径部111に設けられる。そして、発生した余剰部M6は、図8に示すように、成形方向にて後方に設けられた収容部112に収容される。これにより、収容部112に収容された余剰部M6は、図11に示したようなパンチ11と第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22との嵌め合い部分において切断されない。
【0054】
そして、切断されない余剰部M6は、図10に示すように、最終的に製品Wと共に第二成形ダイ22の外部に排出される。これにより、連続的に製品Wを鍛造成形する場合であっても、第一鍛造成形工程及び第二鍛造成形工程において、第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22の内部に余剰部M6が残ることが抑制されるため、別途、除去工程を設ける必要がなく、仮に除去工程を設けた場合であっても実行頻度を低減することができる。尚、切断されることなく製品Wと共に排出された余剰部M6は、鍛造成形後の後工程において、例えば、切削加工等によって切除される。
【0055】
以上の説明からも理解できるように、鍛造成形装置10は、素材Mに鍛造成形を施す成形ダイ20と、素材Mを成形方向にて前方に配置された成形ダイ20に向けて押し込むパンチ11と、を備え、パンチ11が、素材Mと当接する当接側の端部にて、鍛造成形に伴い素材Mに生じた材料流動のうち成形方向にて後方に向けた分流によって素材Mに生じた余剰部M6を収容する収容部112を有する。この場合、パンチ11が、成形ダイ20に向けて複数の素材MA,MBを押し込む。
【0056】
この場合、収容部112が、成形方向に沿って延設される。この場合、より具体的には、収容部112が、余剰部M6が生じる方向に沿って延設される。
【0057】
又、この場合、成形ダイ20が、素材MA,MBにおける材料流動のうち成形方向に直交する方向に沿った分流によって素材MA,MBの外面M2を成形する。
【0058】
この場合、成形ダイ20が、鍛造成形後のピニオンギヤWの外形寸法Df(外径寸法Df)よりも小さな外形寸法Dm(外径寸法Dm)の素材MA,MBに対し、鍛造成形に伴って素材MA,MBに生じる材料流動のうち成形方向に直交する方向に沿った分流によって素材MA,MBの外面である側部M2を成形するものであり、素材MA,MBから中間形状を有する中間成形物FiA,FiBを成形する第一成形ダイ21と、中間成形物FiA,FiBから中間形状の外形寸法(外径寸法)よりも小さな外形寸法(外径寸法)の最終形状を有する最終成形物FfA,FfBを成形する第二成形ダイ22と、を含む。
【0059】
そして、この場合、第一成形ダイ21が、素材MA,MBに対して中間形状を成形する成形対象部分において成形方向に直交する方向に沿った素材MA,MBの断面積に対する中間成形物FiA,FiBの断面積の比を表す第一断面減少率が10%から40%となるように、素材MA,MBに対して中間形状を成形し、第二成形ダイ22が、中間成形物FiA,FiBに対して最終形状を成形する成形対象部分において成形方向に直交する方向に沿った中間成形物FiA,FiBの断面積に対する最終成形物FfA,FfBの断面積の比を表す第二断面減少率が10%から40%となるように、中間成形物FiA,FiBに対して最終形状を成形する。
【0060】
又、これらの鍛造成形装置10を用いて素材MA,MBに前記鍛造成形を施す鍛造成形方法であって、第一成形ダイ21を用いて素材MA,MBに鍛造成形を施すことによって素材MA,MBから中間成形物FiA,FiBを成形する第一鍛造成形工程と、第二成形ダイ22を用いて中間成形物FiA,FiBに鍛造成形を施すことによって中間成形物FiA,FiBから最終成形物FfA,FfBを成形する第二鍛造成形工程と、を備える。
【0061】
鍛造成形装置10によれば、パンチ11に設けられた収容部112が、鍛造成形において生じた余剰部M6を収容することができる。これにより、鍛造成形中において余剰部M6が切断されることが抑制され、その結果、生じた余剰部M6は、鍛造成形後において素材MA,MB、より詳しくは、最終成形物FfA,FfBであってピニオンギヤWと共に成形ダイ20の第二成形ダイ22の外部に排出される。これにより、連続的にピニオンギヤWを鍛造成形する場合であっても、鍛造成形工程において、成形ダイ20即ち第一成形ダイ21及び第二成形ダイ22の内部に余剰部M6が残ることが抑制されるため、別途、除去工程を設ける必要がない。従って、鍛造成形装置10を用いた場合、換言すれば、鍛造成形装置10を用いた鍛造成形方法では、鍛造成形の生産効率を向上させることができる。
【0062】
本発明の実施に当たっては、上述した実施形態に場合に限定されず、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施できる。
【0063】
例えば、上述した実施形態においては、鍛造成形装置10を用いて、素材Mから回転軸に平行な平歯M5を有するピニオンギヤWを成形する場合を例示した。しかしながら、鍛造成形装置10を用いて、素材Mから回転軸に対してツルマキ線状(螺旋状)のはす歯を成形することも可能である。この場合、ハンチ11に設けられる収容部は、例えば、はす歯の歯すじに合わせて、パンチ11の軸に対してツルマキ線状(螺旋状)となるように設けられる。これにより、はす歯の成形に伴ってバリ等の余剰部が生じた場合であっても、上述した実施形態と同様に、収容部は余剰部を収容することができる。従って、この場合においても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
又、上述した実施形態においては、被成形物として円環状の素材Mを用いて、ピニオンギヤWを成形する場合を例示した。しかしながら、被成形物としては、軸線方向に直交する断面形状が、例えば、円板状や、多角形状等を例示することができる。又、製品としては、歯車、スプライン軸、キー溝、キー等を例示することができる。更に、「外形寸法」としては、素材及び製品の断面形状が円板状や円環形状の場合には「外径寸法」が対応し、素材M及び製品Wの断面形状が多角形状の場合には「幅寸法」が対応する。
【0065】
ここで、本発明の第一形態の鍛造成形装置は、素材に鍛造成形を施す成形ダイと、素材を成形方向にて前方に配置された成形ダイに向けて押し込むパンチと、を備え、パンチが、素材と当接する当接側の端部にて、鍛造成形に伴い素材に生じた材料流動のうち成形方向にて後方に向けた分流によって素材に生じた余剰部を収容する収容部を有する。
【0066】
又、本発明の第二形態の鍛造成形装置は、上記第一形態の鍛造成形装置において、収容部が、成形方向に沿って延設される。
【0067】
又、本発明の第三形態の鍛造成形装置は、上記第二形態の鍛造成形装置において、収容部が、余剰部が生じる方向に沿って延設される。
【0068】
又、本発明の第四形態の鍛造成形装置は、上記第一形態-第三形態の何れか一つの鍛造成形装置において、成形ダイが、素材における材料流動のうち成形方向に直交する方向に沿った分流によって素材の外面を成形する。
【0069】
又、本発明の第五形態の鍛造成形装置は、上記第四形態の鍛造成形装置において、成形ダイが、鍛造成形後の外形寸法よりも小さな外形寸法の素材に対し、鍛造成形に伴って素材に生じる材料流動のうち成形方向に直交する方向に沿った分流によって素材の外面を成形するものであり、素材から中間形状を有する中間成形物を成形する第一成形ダイと、中間成形物から中間形状の外形寸法よりも小さな外形寸法の最終形状を有する最終成形物を成形する第二成形ダイと、を含む。
【0070】
又、本発明の第六形態の鍛造成形装置は、上記第五形態の鍛造成形装置において、第一成形ダイが、素材に対して中間形状を成形する成形対象部分において成形方向に直交する方向に沿った素材の断面積に対する中間成形物の断面積の比を表す第一断面減少率が10%から40%となるように、素材に対して中間形状を成形し、第二成形ダイが、中間成形物に対して最終形状を成形する成形対象部分において成形方向に直交する方向に沿った中間成形物の断面積に対する最終成形物の断面積の比を表す第二断面減少率が10%から40%となるように、中間成形物に対して最終形状を成形する。
【0071】
又、本発明の第七形態の鍛造成形装置は、上記第一形態-第六形態の何れか一つの鍛造成形装置において、パンチが、成形ダイに向けて複数の素材を押し込む。
【0072】
更に、本発明の鍛造成形方法は、上記第一形態-上記第七形態の何れか一つの鍛造成形装置を用いて素材に鍛造成形を施す鍛造成形方法であって、素材に鍛造成形を施すことによって素材から中間成形物を成形する第一鍛造成形工程と、中間成形物に鍛造成形を施すことによって中間成形物から最終成形物を成形する第二鍛造成形工程と、を備える。
【符号の説明】
【0073】
10…鍛造成形装置、11…パンチ、111…小径部、112…収容部、12…マンドレル、13…駆動装置、14…テーブル、15…圧力板、20…成形ダイ、21…第一成形ダイ、211…ガイド部、211A…保持部、212…成形空間、212A…成形部、22…第二成形ダイ、221…ガイド部、221A…案内部、222…成形空間、222A…成形部、23…スペーサ、M…素材、M6…余剰部、Fi…中間成形物、Ff…最終成形物、W…ピニオンギヤ、P…パンチ、S…成形ダイ、Mw…余剰部
【要約】
【課題】生産効率の向上を図ることができる鍛造成形装置を提供すること。
【解決手段】鍛造成形装置10は、素材Mに鍛造成形を施す成形ダイ20と、素材Mを成形方向にて前方に配置された成形ダイ20に向けて押し込むパンチ11と、を備え、パンチ11が、素材Mと当接する当接側の端部にて、鍛造成形に伴い素材Mに生じた材料流動のうち成形方向にて後方に向けた分流によって素材Mに生じた余剰部M6を収容する収容部112を有する。この場合、パンチ11が、成形ダイ20に向けて複数の素材MA,MBを押し込む。
【選択図】図1
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11