(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-28
(45)【発行日】2024-11-06
(54)【発明の名称】研修フォローアップシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20241029BHJP
【FI】
G06Q50/20 300
(21)【出願番号】P 2024135468
(22)【出願日】2024-08-14
【審査請求日】2024-08-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524193978
【氏名又は名称】片山 正基
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】片山 正基
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053144(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0011769(KR,A)
【文献】特開2004-061743(JP,A)
【文献】特開2022-122599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研修を受講した受講者が電子機器端末を利用して他の受講者に関する情報を閲覧できるようにネットワーク上で複数の前記受講者が繋がるための研修フォローアップシステムであって、
前記受講者が前記受講した前記研修に関する情報について前記電子機器端末を用いて入力するための入力部と、
前記受講者が受講した前記研修の内容を前記受講者に定着させるための定着プログラムの達成度に応じて前記受講者にポイントを付与する定着達成度ポイント処理部と、
を備え
、
前記受講者は、企業に所属する社員であり、
前記研修は、前記企業の社員教育のためのコンテンツであり、
前記研修を修了した際における前記受講者全員の研修受講目的達成率を算出し、(前記研修のために投じられた費用×前記研修受講目的達成率)/(前記研修の時間×前記受講者の人数)から求められた評価値に基づいて、研修投資対効果を測定する投資対効果測定部を備えることを特徴とする研修フォローアップシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の研修フォローアップシステムにおいて、
前記入力部は、前記受講者が複数の研修の中からお薦めの研修に関する情報を入力することを特徴とする研修フォローアップシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の研修フォローアップシステムにおいて、
前記お薦めの研修に関する情報の入力内容に応じて、前記入力を行った前記受講者に前記ポイントを付与する推薦ポイント処理部を備えることを特徴とする研修フォローアップシステム。
【請求項4】
請求項
1に記載の研修フォローアップシステムにおいて、
前記投資対効果測定部は、前記評価値と、前記企業の平均年収の単位時間当たりの人件費とを比較することで前記研修投資対効果を測定することを特徴とする研修フォローアップシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研修フォローアップシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業では社員のスキルアップなどのために研修を実施している。本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、複数の研修の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の対象者について、前記複数の研修の夫々の開始時に、現時点の能力レベルに基づいて、さらに開始される研修が2回目以降の場合にはそれに加えて前回の研修の開始時点の前記能力レベルに基づいて、開始される当該研修の到達目標レベルを設定する到達レベル設定手段と、前記複数の研修の夫々の終了後に、前記対象者が実際に到達した前記能力レベルである実到達レベル、及び前記到達目標レベルに基づいて、終了した当該研修後に前記対象者が実行すべき課題を設定する課題設定手段と、を備える情報処理装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、コンテンツ提供装置が、講師の肉声による講話を含むボイスコンテンツを音声ファイル又は動画ファイルとして研修受講者の再生装置に配信するとともに、前記講話の全部又は要約を含むテキストコンテンツを電子メールとして前記研修受講者の電子メールアドレスに宛てて送信する過程を含む研修方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第7485395号公報
【文献】特開2008-233571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
研修は受講した後に研修の内容が定着しているか否かが重要であるが、研修の内容を定着させるために受講者自身が自ら繰り返して学習するのは億劫になることがあるため、受講者が研修の内容を定着させるための学習を行う意欲を高めるようなシステムの開発が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、受講者が受講した研修の内容を定着させるために継続して学習するための意欲を高めるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る研修フォローアップシステムは、研修を受講した受講者が電子機器端末を利用して他の受講者に関する情報を閲覧できるようにネットワーク上で複数の前記受講者が繋がるための研修フォローアップシステムであって、前記受講者が前記受講した前記研修に関する情報について前記電子機器端末を用いて入力するための入力部と、前記受講者が受講した前記研修の内容を前記受講者に定着させるための定着プログラムの達成度に応じて前記受講者にポイントを付与する定着達成度ポイント処理部と、を備え、前記受講者は、企業に所属する社員であり、前記研修は、前記企業の社員教育のためのコンテンツであり、前記研修を修了した際における前記受講者全員の研修受講目的達成率を算出し、(前記研修のために投じられた費用×前記研修受講目的達成率)/(前記研修の時間×前記受講者の人数)から求められた評価値に基づいて、研修投資対効果を測定する投資対効果測定部を備えることを特徴とします。
【0008】
また、本発明に係る研修フォローアップシステムにおいて、前記入力部は、前記受講者が複数の研修の中からお薦めの研修に関する情報を入力することが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る研修フォローアップシステムにおいて、前記お薦めの研修に関する情報の入力内容に応じて、前記入力を行った前記受講者に前記ポイントを付与する推薦ポイント処理部を備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る研修フォローアップシステムにおいて、前記投資対効果測定部は、前記評価値と、前記企業の平均年収の単位時間当たりの人件費とを比較することで前記研修投資対効果を測定することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受講者が研修の内容を定着させるために継続して学習するための意欲を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る実施形態の研修フォローアップシステムを示す図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の研修フォローアップシステムにおいて、研修プログラム実施後の学習内容の定着促進プログラムの進捗一覧表を示す図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の研修フォローアップシステムを利用する受講者の携帯端末の画面の例を示す図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の研修フォローアップシステムを利用する受講者の携帯端末の画面の例を示す図である。
【
図5】本発明に係る実施形態の研修フォローアップシステムを利用する受講者の携帯端末の画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0015】
図1は、本発明に係る実施形態の研修フォローアップシステム10を示す図である。
図2は、本発明に係る実施形態の研修フォローアップシステム10において、研修プログラム実施後の学習内容の定着促進プログラムの進捗一覧表を示す図である。
【0016】
図3~5は、本発明に係る実施形態の研修フォローアップシステム10を利用する受講者4の携帯端末の画面の例を示す図である。
【0017】
研修フォローアップシステム10は、研修を受講した受講者4が電子機器端末を利用して他の受講者4に関する情報を閲覧できるようにネットワーク上で複数の受講者4が繋がるためのシステムである。
【0018】
受講者4は、企業等の組織に所属する社員等であるが、正社員だけでなく、契約社員、派遣社員、パートなどであってもよい。受講者4の電子機器端末とは、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末や、パーソナルコンピュータなどがあるが、もちろん、その他の端末も含まれる。
【0019】
研修は、企業等の組織の社員等の教育のためのコンテンツである。コンテンツは、例えば、オフィス勤務者向けの研修として、主として簿記入門を学ぶ内容の研修であったり、工場勤務者向けの研修として、主として5Sを学ぶ内容の研修であったりする。
【0020】
その他のコンテンツとして、例えば、ビジネスマナー研修、ビジネスマインド研修、コミュニケーション研修、ビジネスシンキング研修、ハラスメント研修、コンプライアンス研修、ITスキル・情報セキュリティ研修、職種別研修、マネジメント研修、チームビルディング研修、コーチング研修、OJTトレーナー・メンター研修、人事評価研修、経営戦略研修などが該当し得る。
【0021】
研修フォローアップシステム10は、入力部12と、定着達成度ポイント処理部14と、推薦ポイント処理部16と、投資対効果測定部17と、記憶部18とを備えている。研修フォローアップシステム10は、ネットワーク2を介して複数の受講者4と接続されているソーシャルネットワーキングサービスとして機能する。
【0022】
入力部12は、受講者4が受講した研修に関する情報について電子機器端末を用いて入力する機能を有する。また、入力部12は、受講者4が複数の研修の中からお薦めの研修に関する情報を入力する。
【0023】
受講者4は、Sign inとSing upの機能を使ってアクセスする。
図3に示される「Sign in(サインイン)」がサービス利用の認証手続きであるのに対し、「Sing up(サインアップ)」は、サービスを利用するための登録手続きとなっている。
【0024】
つまり、「サインアップ」は入会の段階で、ユーザー名(実名)やパスワード(パスコード)などの身分情報はここで登録される。続いて実際にサービスを利用する際に、それらを用いた「サインイン」を行う。
【0025】
原則、受講者4の実名ではなくニックネームを表示するが、初回利用登録の際は、実名と所属組織名等の登録も行う。
【0026】
なお、
図3に示される「各種SNS連携」とは、例えば、一般的に広く普及しているソーシャルネットワーキングサービスとの連携機能を示している。また、
図3に示されるように、受講者4がSign upを行った後にSign inした後は、例えば、
図3の右図に示されるように、受講者4の氏名(ニックネーム)と獲得済みのポイント数や、その内訳などが表示される。
【0027】
また、受講者4は、受講した研修に関する情報について電子機器端末を用いて入力するが、具体的には、研修受講日時、研修提供元会社名、研修名、研修に対するコメント(例えば、どのあたりがお薦めポイントとなるか等)といった内容を入力する。
【0028】
受講者4が入力した情報は、記憶部18に記録されるとともに、当該入力を行った受講者4以外の受講者4にも電子情報端末を介して表示されることで共有される。これにより、受講者4は他の受講者4の投稿を見ることでお勧めの研修を知ることが出来るとともに、他の受講者4の投稿に対して「いいね!」を押すことが出来る。「いいね!」が押されると、
図5の左図に示されるように、ハートマークの数が増える。
【0029】
定着達成度ポイント処理部14は、受講者4が受講した研修の内容を受講者4に定着させるための定着プログラムの達成度に応じて受講者4にポイントを付与する機能を有する。
【0030】
定着プログラムの達成度とは、受講者4が研修を受講した後に知識の定着を図るためのフォローアッププログラムのレベルの到達度である。
図2に示されるように、縦方向には定着のレベルが7段階まであり、最終段階の指導レベルまでくると8段階のレベルとなる。
【0031】
具体的には、「言葉」「内容」「実践」の3つに分けられており、それぞれの要件を満たすとポイントが付与される。例えば、2日後のフェーズ1の段階で「言葉」「内容」「実践」の要件をクリアすると、10ポイントが加算され、7日後のフェーズ2の段階で「言葉」「内容」「実践」の要件をクリアすると、20ポイント加算される。
【0032】
また、30日後のフェーズ3の段階で「言葉」「内容」「実践」の要件をクリアすると、30ポイントが加算され、60日後のフェーズ4の段階で「言葉」「内容」「実践」の要件をクリアすると、40ポイント加算される。
【0033】
さらに、90日後のフェーズ5の段階で「言葉」「内容」「実践」の要件をクリアすると、50ポイントが加算され、120日後のフェーズ6の段階で「言葉」「内容」「実践」の要件をクリアすると、60ポイント加算される。
【0034】
150日後のフェーズ7の段階で「言葉」「内容」「実践」の要件をクリアすると、70ポイントが加算され、180日後のフェーズ8の段階において研修プログラムで学習した内容を他者に「指導」出来る水準となる要件をクリアすると、100ポイント加算される。
【0035】
上述したように、一つのフェーズが終了する度に、所定のポイントを獲得する。ポイント獲得のためには、「言葉」「内容」「実践」の各定着進捗のコンサル受講を完了した後、アプリケーションソフトウェア上において受講者4自身で振り返りコメント入力を行い、コンサル指導担当者から「いいね!」をもらうことを条件とする。
【0036】
なお、「言葉」「内容」については、研修テキストとテストによって管理がなされる。また、「実践」と「指導」は、職場の同僚に対する説明と、アンケート結果によって管理がなされる。
【0037】
より具体的には、オフィス勤務者向けの研修として、主として簿記入門を学ぶ内容の研修を例に説明する。ここでの前提条件として、1.研修で配布されたテキスト又はスライド資料を活用し、2.テキスト又はスライド資料の枚数は、計100ページとし、3.テキスト又はスライド資料の15ページまでは、主として「貸借対照表」「損益計算書」について解説し、4.研修受講者は、営業部で勤務するAさんとする。
【0038】
「言葉」については、フェーズ1/7の段階で、テキスト又はスライド資料中概ね15ページまでに表れる専門用語について、自分の言葉で正しく説明(口頭でも可)できるようにコンサルティングをする。
【0039】
定着確認方法として、確認テスト(計10問)を行い、コンサル終了後、テキスト又はスライド資料15ページまでの「貸借対照表」「損益計算書」に関連する専門用語について、6問まで正解できるようにする。
【0040】
テストの例として、「問い:資産の部、負債の部、純資産の部という各用語の意味について説明してください」といった問題がある。次段階のフェーズ2/7までに、10問全部正しく回答できるまで、メール等で、毎日Aさんに、同じ確認テストを送付する。
【0041】
「内容」については、フェーズ1/8の段階で、テキスト又はスライド資料中概ね15ページまでの内容について、自分の言葉で正しく説明(口頭でも可)できるようにコンサルする。
【0042】
定着確認方法として、確認テスト(計10問)を行い、コンサル終了後、テキスト又はスライド資料15ページまでの「貸借対照表」「損益計算書」に関連する内容について、6問まで正解できるようにする。
【0043】
テストの例として、「問い:貸借対照表はなぜ作成されるのでしょうか?」といった問題がある。次段階のフェーズ2/7までに、19問全部正しく回答できるまで、メール等で、毎日Aさんに、同じ確認テストを送付する。
【0044】
「実践」については、フェーズ1/7の段階で、テキスト又はスライド資料中概ね15ページまでに表れる「言葉」「内容」について、Aさんが自分の言葉で正しく、同じ職場の任意の一人の上司・同僚に説明(口頭でも可)できるようにコンサルする。
【0045】
定着確認方法として、同じ職場の任意の一人の上司・同僚にアンケート(計10問)を行い、テキスト又はスライド資料15ページまでの「貸借対照表」「損益計算書」に関連する専門用語・内容と、Aさんの担当職務に関連付けて、Aさんが6問まで説明できていることを、Yes or Noで確認する。
【0046】
アンケートの例として、「問い:あなたの同僚のAさんは、先日○○社の「簿記入門」研修を受講しました。Aさんの研修内容の定着確認のため、アンケート回答にご協力ください。貴社人事部にも本件活動につき、承諾を得ております。よろしくお願い申し上げます。あなたの同僚のAさんは、日常業務で、他社の貸借対照表を参照することの意義を、職場の仲間に説明できていますか?」といったアンケートである。
【0047】
次段階のフェーズ2/7の段階で、同じ人物に同じアンケートを実施し、10問全部OK回答してもらうように、メール等で毎日Aさんに、同アンケート内容項目について、職場で行動変容するよう促す。
【0048】
「指導」については、全フェーズの定着をふまえて、Aさんが自分の言葉で正しく、同じ職場の任意の一人の部下・後輩に指導(口頭でも可)できるようにコンサルする。
【0049】
定着確認方法として、同じ職場の任意の一人の部下・後輩にアンケート(計10問)を行い、テキスト又はスライド資料100ページまでの専門用語・内容と、Aさんの担当職務に関連付けて、Aさんが8問まで指導できていることを確認する。
【0050】
アンケートの例として、「問い:あなたの上司のAさんは、先日○○社の「簿記入門」研修を受講しました。Aさんの研修内容の定着確認のため、アンケート回答にご協力ください。貴社人事部にも本件活動につき、承諾を得ております。よろしくお願い申し上げます。あなたの上司のAさんは、あなたが日常業務で、なぜ他社の貸借対照表を参照するのかについて、分かりやすく指導しましたか?」といったアンケートである。
【0051】
コンサル終了後、人事部または経営者からの効果承認(口頭でも可)を得ることができれば、「指導」フェーズは定着したものとする。
【0052】
工場勤務者向けの研修として、主として5S入門を学ぶ内容の研修を例に説明する。ここでの前提条件として、1.研修で配布されたテキスト又はスライド資料を活用し、2.テキスト又はスライド資料の枚数は、計100ページとし、3.テキスト又はスライド資料の15ページまでは、主として「5Sの定義」について解説し、4.研修受講者は、製造部で勤務するBさんとする。
【0053】
「言葉」について、フェーズ1/7の段階で、テキスト又はスライド資料中概ね15ページまでに表れる専門用語について、自分の言葉で正しく説明(口頭でも可)できるようにコンサルする。
【0054】
定着確認方法として、確認テスト(計10問)を行い、コンサル終了後、テキスト又はスライド資料15ページまでの「5Sの定義」に関連する専門用語について、6問まで正解できるようにする。
【0055】
テストの例として、「問い:5つのSの意味について説明してください」といった問題がある。次段階のフェーズ2/7までに、10問全部正しく回答できるまで、メール等で、毎日Bさんに、同じ確認テストを送付する。
【0056】
「内容」について、フェーズ1/8の段階で、テキスト又はスライド資料中概ね15ページまでの内容について、自分の言葉で正しく説明(口頭でも可)できるようにコンサルする。
【0057】
定着確認方法として、確認テスト(計10問)を行い、コンサル終了後、テキスト又はスライド資料15ページまでの「5Sの定義」に関連する内容について、6問まで正解できるようにする。
【0058】
テストの例として、「問い:なぜ5Sを行う必要があるのでしょうか?」といった問題がある。次段階のフェーズ2/7までに、10問全部正しく回答できるまで、メール等で、毎日Bさんに、同じ確認テストを送付する。
【0059】
「実践」は、フェーズ1/7の段階で、テキスト又はスライド資料中概ね15ページまでに表れる「言葉」「内容」について、Bさんが自分の言葉で正しく、同じ職場の任意の一人の上司・同僚に説明(口頭でも可)できるようにコンサルする。
【0060】
定着確認方法として、同じ職場の任意の一人の上司・同僚にアンケート(計10問)を行い、テキスト又はスライド資料中15ページまでの「5Sの定義」に関連する専門用語・内容と、Bさんの担当職務に関連付けて、Bさんが6問まで説明できていることを、Yes or Noで確認する。
【0061】
アンケートの例として、「問い:あなたの同僚のBさんは、先日○○社の「5S入門」研修を受講しました。Bさんの研修内容の定着確認のため、アンケート回答にご協力ください。貴社人事部にも本件活動につき、承諾を得ております。よろしくお願い申し上げます。あなたの同僚のBさんは、日常業務で5Sを実践することの意義を、職場の仲間に説明できていますか?」といったアンケートである。
【0062】
次段階のフェーズ2/7の段階で、同じ人物に同じアンケートを実施し、10問全部OK回答してもらうように、メール等で毎日Bさんに、同アンケート内容項目について、職場で行動変容するよう促す。
【0063】
「指導」について、全フェーズの定着をふまえて、Bさんが自分の言葉で正しく、同じ職場の任意の一人の部下・後輩に指導(口頭でも可)できるようにコンサルする。
【0064】
定着確認方法として、同じ職場の任意の一人の部下・後輩にアンケート(計10問)を行い、テキスト又はスライド資料100ページまでの専門用語・内容と、Bさんの担当職務に関連付けて、Bさんが8問まで指導できていることを確認する。
【0065】
アンケートの例として、「問い:あなたの先輩のBさんは、先日○○社の「5S入門」研修を受講しました。Bさんの研修内容の定着確認のため、アンケート回答にご協力ください。貴社人事部にも本件活動につき、承諾を得ております。よろしくお願い申し上げます。あなたの先輩のBさんは、あなたが日常業務で、なぜ5Sを実践するのかについて、分かりやすく指導しましたか?」といったアンケートである。
【0066】
コンサル終了後、人事部または経営者からの効果承認(口頭でも可)を得ることができれば、「指導」フェーズは定着したものとする。
【0067】
推薦ポイント処理部16は、お薦めの研修に関する情報の入力内容に応じて、入力を行った受講者4にポイントを付与する。例えば、受講者4が研修情報の新規投稿を行うと1ポイント加算され、コメントを入力すると3ポイント加算される。
【0068】
ここで、実際に研修を受講した3人の受講者4を例に検討する。3人のうちの一人のAさんはフェーズ1の定着コンサルを受講のみを修了したため、10ポイントを獲得している。
【0069】
3人のうちのもう一人のBさんは何らかの3つの研修をフェーズ8まで完了しているため、380ポイント×3=1140ポイントを獲得している。3人のうち残り一人のCさんはある一つの研修をフェーズ7の定着コンサルを受講まで完了し、また別の研修についてフェーズ5の定着コンサルまで受講を完了しているため、280+150=430ポイントを獲得している。
【0070】
ここで、Aさん、Bさん、Cさんは、同じ組織であってもよいが異なる組織に所属していてもよい、それぞれが共有した推しの研修情報に対して「いいね!」などの相互称賛を行うことでポイントを獲得することが出来る。
【0071】
定着達成度ポイント処理部14及び推薦ポイント処理部16で獲得したポイントは、ECサイト等で活用できたり、ギフトカードに交換可能したりすることが出来る。
【0072】
投資対効果測定部17は、研修を修了した際における受講者4全員の研修受講目的達成率を算出し、(研修のために投じられた費用×研修受講目的達成率)/(研修の時間×受講者の人数)から求められた評価値に基づいて、研修投資対効果を測定する。
【0073】
投資対効果測定部17は、評価値と、企業の平均年収の単位時間当たりの人件費とを比較することで研修投資対効果を測定する。
【0074】
投資対効果測定部17による研修プログラムの投資対効果測定方法として、次の6つの工程を有している。第1の工程として、研修プログラムの研修目的を決める。
【0075】
第2の工程として、研修プログラムの研修目的の達成度合いについて、次の通り基準を設ける。
◎80点以上……………研修目的を十分に達成できた。
○70点以上80点未満…研修目的を達成できた。
△60点以上70点未満…研修目的をなんとか達成できた。
×60点未満……………研修目的を達成したとは言いがたい。
【0076】
第3の工程として、研修プログラムの参加人数を決める。第4の工程として、 研修プログラムの研修目的の達成度合いを測定する方法として、次の手法を組み合わせて、研修に実際に参加した受講者4を100点満点でスケールする。
・研修講師による参加者の研修中のパフォーマンス(発言内容)評価…20点
・研修講師による参加者の研修中のパフォーマンス(発言回数)評価…10点
・研修講師による参加者の研修中のパフォーマンス(受講態度)評価…10点
・研修参加者間の匿名性360度相互評価…10点
・研修事前課題を提出期限内に講師または事務局まで提出したか…5点
・研修事前課題の文字数・分量…5点
・研修事前課題の内容…10点
・研修事後課題を提出期限内に講師または事務局まで提出したか…5点
・研修事後課題の文字数・分量…5点
・研修事後課題の内容…10点
・研修アンケート結果(研修参加者自身による理解の度合いの自己評価)…10点
【0077】
第5の工程として、60点以上の者/研修参加者=研修目的達成率を算出する。第6の工程として、(A)(投入研修費用×研修目的達成率)/(研修時間(h)×研修参加者数)と、(B)研修参加者が属する企業の平均年収ベース時間当たりの人件費を比較する。
【0078】
第5の工程において、(A)≧(B)の場合、研修参加者の1時間あたりの人件費に比較して、今般研修は投資した価値があったものとして測定する。また、(A)<(B)の場合、研修参加者の1時間あたりの人件費に比較して、今般研修は投資した価値がなかったものとして測定する。
【0079】
記憶部18は、受講者4が研修に関する情報などを入力した情報等を記録する。また、研修フォローアップシステム10の記憶部18以外の機能は、ハードウェア構成、ソフトウェア構成の何れによっても実現することが可能である。例えば、ソフトウェアによって実現する場合、これらの機能は、実際にはCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成されたサーバ装置上において、RAMやROM、ハードディスク等の記録媒体に記憶されたアプリケーションソフトウェアが動作することによって実現することができる。例えば、受講者4のスマートフォン等にインストールされて動作するアプリケーションソフトとして機能することが出来る。
【0080】
続いて、上記構成の研修フォローアップシステム10の作用について説明する。研修フォローアップシステム10によれば、定着促進プログラムのフェーズが進むたびにポイントが加算されて、このポイントを利用してECサイトなどで購入することができるため、受講者4は定着促進プログラムを率先して進めていこうというモティベーションに繋がる。
【0081】
そして、受講者4は、ソーシャルネットワーキングサービスとして機能する研修フォローアップシステム10により他の受講者4と繋がることができ、相互に推しの研修を共有し合える。このとき、推しの研修に関するお勧めする理由などを記載することでポイントを取得できたり、他の受講者4へのコメントなど相互に称賛し合えたりする環境があるため、より一層定着促進プログラムをクリアしていこうという意欲に繋がる利点がある。
【0082】
また、研修フォローアップシステム10によれば、投資対効果測定部17の機能を用いて、研修参加者の1時間あたりの人件費に比較して、今般研修は投資した価値があったか否かを測定することが出来る。これにより、企業の経営者・幹部や人事部などが今後の研修を検討していくにあたっての指標にすることが出来るという顕著な効果を奏する。
【符号の説明】
【0083】
2 ネットワーク、4 受講者、10 研修フォローアップシステム、12 入力部、14 定着達成度ポイント処理部、16 推薦ポイント処理部、17 投資対効果測定部、18 記憶部。
【要約】
【課題】受講者が受講した研修の内容を定着させるために継続して学習するための意欲を高めるシステムを提供することである。
【解決手段】研修フォローアップシステム10は、研修を受講した受講者4が電子機器端末を利用して他の受講者4に関する情報を閲覧できるようにネットワーク2上で複数の受講者4が繋がるための研修フォローアップシステムであって、受講者4が受講した研修に関する情報について電子機器端末を用いて入力するための入力部12と、受講者4が受講した研修の内容を受講者4に定着させるための定着プログラムの達成度に応じて受講者4にポイントを付与する定着達成度ポイント処理部14と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1