(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】アーティスト支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241030BHJP
G06Q 30/02 20230101ALI20241030BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/02
(21)【出願番号】P 2024106601
(22)【出願日】2024-07-02
【審査請求日】2024-07-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524250639
【氏名又は名称】合同会社ラオラオホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】田野 善章
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-220029(JP,A)
【文献】特開2014-120146(JP,A)
【文献】特開2001-229275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザがそれぞれ応援するアーティストを支援するアーティスト支援システムであって、
前記複数のユーザの中の一人であり所定のアーティストを応援するファンが所望のポイントを購入するポイント購入処理部と、
前記ファンが前記ポイントの一部又は全部を前記所定のアーティストに提供することで前記所定のアーティストを応援するポイント応援処理部と、
前記ポイント応援処理部によって提供された前記ポイント数に応じたリターンを前記ファンに還元するリターン処理部と、
前記ファンが前記ポイントの一部又は全部を利用して他のユーザが閲覧する表示部に前記所定のアーティストに関する情報を表示させて共有する情報共有処理部と、
を備えることを特徴とするアーティスト支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアーティスト支援システムにおいて、
前記ファンが前記ポイント応援処理部又は前記情報共有処理部により使用した前記ポイント数に応じて他のファンとの間における順位付けを行い、順位に応じた特典を前記ファンに与えるランキング処理部を備えることを特徴とするアーティスト支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載のアーティスト支援システムにおいて、
前記情報共有処理部は、前記他のユーザに対する一人当たりのポイント数が高いほど目立ちやすい位置に前記情報を表示することを特徴とするアーティスト支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーティスト支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンの普及などにより、音楽を手軽に聞くことが出来る。本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、メモリと、前記メモリにアクセス可能なプロセッサとを備え、前記メモリは、複数の顧客と、各々の前記顧客に付与されたポイント数であって特定の対象に対応するポイント数とを対応付けて記憶し、前記プロセッサは、 前記顧客のユーザアカウントを登録し、前記特定の対象に対する活動を前記顧客がしたことを検出し、前記顧客が前記活動をしたことを検出したときに、前記顧客に対応する前記ポイント数を更新し、あらかじめ定められた規則にしたがって、前記顧客の保有する前記ポイント数に応じて、前記特定の対象に関連する特典が得られる所定の顧客を決定し出力する、顧客管理システムが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、所定の活動を行う団体を応援する個々の利用者が閲覧可能な前記団体に関するデジタルコンテンツを管理する管理部と、前記デジタルコンテンツ上に、前記団体に対する応援又は援助目的での贈り物として送付可能な商品に関する商品情報として、前記団体のスポンサーにより設定された前記スポンサーの商品に関する商品情報を提示する提示部と、提示された商品情報が選択された場合は、選択された商品情報に対応する商品を購入可能なページに遷移して、前記団体を固定の宛先として前記商品の決済処理を行う決済処理部と、を備えることを特徴とする情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-71847号公報
【文献】特開2024-22749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の音楽業界のビジネスモデルの1つとして、アーティストが演奏する音楽をCDにしてファンに販売することにより収益を得ていた。しかしながら、音楽のデジタル化が普及して、CDを購入することなく音楽を容易に楽しむことができるような環境となった。これにより、音楽業界が得られる収入が激減しているため、今後、音楽業界が衰退していく可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、音楽業界を支える新たなビジネスモデルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るアーティスト支援システムは、複数のユーザがそれぞれ応援するアーティストを支援するアーティスト支援システムであって、前記複数のユーザの中の一人であり所定のアーティストを応援するファンが所望のポイントを購入するポイント購入処理部と、前記ファンが前記ポイントの一部又は全部を前記所定のアーティストに提供することで前記所定のアーティストを応援するポイント応援処理部と、前記ポイント応援処理部によって提供された前記ポイント数に応じたリターンを前記ファンに還元するリターン処理部と、前記ファンが前記ポイントの一部又は全部を利用して他のユーザが閲覧する表示部に前記所定のアーティストに関する情報を表示させて共有する情報共有処理部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るアーティスト支援システムにおいて、前記ファンが前記ポイント応援処理部又は前記情報共有処理部により使用した前記ポイント数に応じて他のファンとの間における順位付けを行い、順位に応じた特典を前記ファンに与えるランキング処理部を備えることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るアーティスト支援システムにおいて、前記情報共有処理部は、前記他のユーザに対する一人当たりのポイント数が高いほど目立ちやすい位置に前記情報を表示することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱狂的なファンがアーティストを応援することで音楽業界を支える新たなビジネスモデルとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る実施形態のアーティスト支援システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0013】
図1は、本発明に係る実施形態のアーティスト支援システム10を示す図である。アーティスト支援システム10は、ユーザ4が推しているアーティスト6をそれぞれ支えるためのシステムである。アーティスト支援システム10は、複数のユーザ4及び複数のアーティスト6とネットワーク2を介して接続される。
【0014】
アーティスト支援システム10は、ポイント購入処理部12と、ポイント応援処理部14と、リターン処理部16と、情報共有処理部17と、ランキング処理部18と、記憶部20とを備えている。
【0015】
ポイント購入処理部12は、複数のユーザ4の中の一人であり所定のアーティスト6を応援するファンが所望のポイントを購入するための処理を行う機能を有する。1ポイント1円で販売している場合に、ユーザ4は、10万ポイントを10万円で購入することができ、この場合にユーザ4のポイント口座には10万ポイントが付与される。もちろん、1ポイント1円は例示であり、1ポイントを10円、100円、1000円など適宜割り当てることができる。
【0016】
ユーザ4は、システム上に登録したクレジットカード等を用いて、必要なポイント数を購入する。したがって、上記一例の10万ポイントに限らず、1万ポイントや100万ポイントであってもよい。ここでは、ユーザ4の購入したポイントのうち、一部の費用をシステム運営費用として差し引いた上で残りのポイントをユーザ4のポイント口座に付与するようにしてもよい。
【0017】
ポイント応援処理部14は、ファン(ユーザ4)がポイントの一部又は全部をユーザ4自身が応援するアーティスト6に提供することで当該アーティスト6を経済的に応援することが出来る。
【0018】
例えば、10万ポイントを購入した金額のうち、2万ポイントをアーティスト6に提供するように操作することで、当該ユーザ4のポイント口座から取り出された2万ポイントがアーティスト6のポイント口座に付与される。これにより、アーティスト6は、例えば、2万ポイントを2万円と交換して現金化することができることができ、経済的利益を得ることが出来る。
【0019】
リターン処理部16は、ポイント応援処理部14によって提供されたポイント数に応じたリターンをファン(ユーザ4)に還元する機能を有する。リターンの内容は、アーティスト6自身が決定することができ、例えば、サイン入りのTシャツ、うちわ等といった比較的安価な物でもよく、ポイント数が非常に多い場合にはサイン入りギターなどの楽器でもよい。また、ファンがアーティスト6と一緒に食事する権利などを発行してリターンとして渡すことも可能である。
【0020】
情報共有処理部17は、ファン(ユーザ4)がポイントの一部又は全部を利用して他のユーザ4が閲覧する表示部(例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォンやタブレット端末の画面等)に所定のアーティスト6に関する情報を表示させることで共有する機能を有する。
【0021】
情報共有処理部17は、他のユーザ4に対する一人当たりのポイント数が高いほど目立ちやすい位置に所定のアーティスト6に関する情報を表示する。なお、情報共有処理部17を利用して消費されたポイント数の一部又は全部は、対応するアーティスト6のポイント口座に付与される。
【0022】
具艇的には、ファン(ユーザ4)は、自分が推し活動を行っているアーティスト6の情報、例えば、ファン(ユーザ4)は、最新の音楽や最新の活動情報等を他のユーザ4に知らせるため、他のユーザ4一人当たりに使用するポイント数の単価をファン(ユーザ4)が設定する。
【0023】
例えば、ファン(ユーザ4)はが1000ポイントの予算がある際に、他のユーザ4一人当たりに使用する単価を100ポイントに設定した場合、10人のユーザ4がこのアーティスト6の情報の詳細情報をクリックして閲覧すると100×10=1000ポイント消化する。予算のポイントを消化した後は、このアーティストに関する情報は表示されなくなる。
【0024】
また、他のユーザ4一人当たりに使用する単価を1ポイントに設定した場合、1000人のユーザ4がこのアーティスト6の情報の詳細情報をクリックして閲覧すると1×1000=1000ポイント消化する。
【0025】
一人当たりに使用する単価が高いほど、アーティスト6に関する情報が表示される位置が目立ちやすい位置に表示されるが、予算が少ない場合には閲覧可能な人数が少なくなる。これに対し、一人当たりに使用する単価が低くなるとアーティスト6に関する情報が表示される位置が目立たなくなるものの閲覧可能な人数が多くなる。
【0026】
ランキング処理部18は、ファン(ユーザ4)がポイント応援処理部14又は情報共有処理部17により使用したポイント数に応じて他のファン(ユーザ4)との間における順位付けを行い、順位に応じた特典をファン(ユーザ4)に与える機能を有する。
【0027】
例えば、順位が1位の特典としては、アーティスト6のコンサートで最も近くで観覧できるプレミアムチケットなどを設定することができる。アーティスト6のファン(ユーザ4)でありアーティスト支援システム10を利用して推しのアーティスト6を応援しようと考えている人は、所謂熱狂的なファンであることが多く、ランキングを上手く活用することで競争心を上手く煽ることが出来る。
【0028】
記憶部20は、各ユーザ4及び各アーティスト6に関する情報や各ユーザ4及び各アーティスト6の所有するポイント口座や、各ユーザ4のクレジット情報を記憶することが出来る。
【0029】
アーティスト支援システム10において、記憶部20以外の各機能は、ハードウェア構成、ソフトウェア構成の何れによっても実現することが可能である。
【0030】
例えば、ソフトウェアによって実現する場合、これらの機能は、実際にはCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成されたサーバー装置上において、RAMやROM、ハードディスク等の記録媒体に記憶されたプログラム(アプリケーションソフトウェア)が動作することによって実現することができる。
【0031】
続いて、上記構成のアーティスト支援システム10の作用について説明する。日本の音楽市場においては1990年代に、再生機器の普及が進み、人気テレビドラマやCMとのタイアップ戦略やカラオケブーム等で、若者層を中心とする旺盛な音楽需要に支えられ空前の好景気時代が到来した。
【0032】
1997年、シングル年間販売数が1億6782万7000枚を記録、翌1998年は、CDアルバムの年間販売数が3億291万300枚とピークを記録すると共にミリオンセラー作品が続出、後世マスコミで「CDバブル」とも回顧される活況となった。しかし翌1999年以降は売上が減少していき、さながらバブル崩壊の様相を呈した。
【0033】
CDの年間販売数は、1998年をピークに漸減し続けており、10年後の2008年には2億4221万2000枚、2018年には1億3720万5000枚と、20年間で半分以下まで縮小している。
【0034】
シングルCDにおいては、2006年以降は音楽配信によるデジタル・ダウンロードへ移行が進んだ。アルバムCDは、シングルCDに比べてさらに深刻で、統計を始めた1999年の2億7627万9000枚から漸減、2019年には8896万4000枚と、1億枚を割り込み、ピーク時の3分の1の状況となった。その上にデジタル・ダウンロードへの移行も2010年代に入ると伸び悩み、総需要の減少に歯止めがかかっていない。
【0035】
2015年以降は、全般的に低迷傾向となったダウンロード販売に代わりサブスクリプション方式による定額制の音楽配信(ストリーミング配信)が普及、2018年以降ダウンロード販売の売上を上回る状況が続いている。世界的傾向から見ても、それは顕著であり、全米レコード協会によれば、2019年上半期のストリーミングサービス売上高は43億米ドルを計上、同国市場全体の80%を占めるに至った。これは若年層を中心に価値観が変化、音楽が「所有するもの」から「共有するもの」になったと捉えることができる。
【0036】
日本においては、CD不況だけでなく、海外で流行しているサブスクリプションも馴染まないため、この状態が続くと日本の音楽産業が衰退していく虞がある。このため、音楽業界を支える新たなビジネスモデルの構築が望まれている。このような課題に対し、本発明に係る実施形態のアーティスト支援システム10は顕著な効果を発揮する。
【0037】
アーティスト支援システム10によれば、推しの対象のアーティスト6を、システムを利用して応援したいと考える熱狂的なファン(ユーザ4)が使用する。ここで、ファン同士がポイント応援処理部14や情報共有処理部17を用いてアーティスト6を応援したポイント数がランキング処理部18の機能により順位付けされるため、熱狂的なファンは、例えば、アーティスト6のコンサートのプレミアムチケット欲しさに競い合うため、ファンは追加でポイント数を支払う可能性が高く、アーティスト6のポイント口座に付与されるポイント数が増えるため、アーティスト6にとっての収益源となる。これにより、熱狂的なファンが推しのアーティスト6を支えることができ、ひいては、音楽業界を支えていく新たなビジネスモデルとなる。
【符号の説明】
【0038】
2 ネットワーク、4 ユーザ、6 アーティスト、10 アーティスト支援システム、12 ポイント購入処理部、14 ポイント応援処理部、16 リターン処理部、17 情報共有処理部、18 ランキング処理部、20 記憶部、22 情報共有処理部。
【要約】
【課題】音楽業界を支える新たなビジネスモデルを提供することである。
【解決手段】複数のユーザ4がそれぞれ応援するアーティスト6を支援するアーティスト支援システム10であって、複数のユーザ4の中の一人であり所定のアーティスト6を応援するファンが所望のポイントを購入するポイント購入処理部12と、ファンがポイントの一部又は全部を所定のアーティスト6に提供することで所定のアーティスト6を応援するポイント応援処理部14と、ポイント応援処理部14によって提供されたポイント数に応じたリターンをファンに還元するリターン処理部16と、ファンがポイントの一部又は全部を利用して他のユーザ4が閲覧する表示部に所定のアーティスト6に関する情報を表示させて共有する情報共有処理部17と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1