(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 7/00 20060101AFI20241030BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
F25B7/00 D
F25B1/00 396D
F25B1/00 396A
F25B1/00 396G
F25B1/00 396R
F25B1/00 396Z
F25B1/00 387G
F25B1/00 387L
F25B1/00 351S
F25B1/00 385Z
(21)【出願番号】P 2022159012
(22)【出願日】2022-09-30
【審査請求日】2023-09-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】井吉 悠太
(72)【発明者】
【氏名】山野井 喜記
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-262418(JP,A)
【文献】特開2024-052348(JP,A)
【文献】特開2024-052350(JP,A)
【文献】特許第7372556(JP,B2)
【文献】国際公開第2012/128229(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/225177(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110608539(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 7/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1冷媒が循環する第1回路(5a)と、
二酸化炭素冷媒及び冷凍機油が循環する第2回路(10)と、
前記二酸化炭素冷媒を前記第1冷媒によって加熱するカスケード熱交換器(35)と、
制御部(80)と、
を備え、
前記第2回路は、
第2圧縮機(21)と、
前記第2圧縮機の吸入側に設けられ、前記二酸化炭素冷媒及び前記冷凍機油を貯留する容器(30)と、
前記第2圧縮機の吸入側と前記容器とを接続する吸入配管(23a)と、
前記容器の下部から前記吸入配管に前記冷凍機油を戻す油戻し通路(23b)と、
前記油戻し通路に設けられる弁(23c)と、
を有し、
前記制御部は、前記第1回路において前記第1冷媒を循環させ始めた後に、前記弁を開ける起動制御を実施
し、
前記制御部は、外気温が第1温度以下の時に前記起動制御を実施し、外気温が前記第1温度を超える時には、前記起動制御を実施せず、
前記第1温度は、前記容器内において前記二酸化炭素冷媒の密度が前記冷凍機油の密度よりも高くなる温度である、
冷凍サイクル装置(1)。
【請求項2】
前記制御部は、前記容器内の前記二酸化炭素冷媒及び前記冷凍機油の温度又は圧力が、前記容器内の前記二酸化炭素冷媒の密度と前記冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上になると、前記弁を開ける、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1回路において前記第1冷媒を循環させ始めた後に、前記第2回路において前記二酸化炭素冷媒を循環させ始める、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2回路において前記二酸化炭素冷媒を循環させ始めた後に、前記弁を開ける、
請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1回路の運転と、前記第2回路の運転と、を同時に開始する、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記制御部は、外気温が前記第1温度を超える時には、前記第1回路の運転と、前記第2回路の運転と、前記弁の開動作と、を同時に開始する、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記第1冷媒は、R32、R454C、プロパン、R1234yf、R1234zeまたはアンモニアを含む、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第5425221号)には、室外ユニットと室内ユニットとをガス配管及び液配管で接続し、冷媒が循環する冷媒回路を備える冷凍サイクル装置が開示されている。冷媒回路の内部には、冷媒として二酸化炭素(CO2)と、冷凍機油として二酸化炭素と非相溶性を有するポリアルキレングリコール(PAG)油と、が封入されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているように、二酸化炭素冷媒を用いる冷凍サイクル装置では、二酸化炭素冷媒と非相溶性の冷凍機油を使用すると、二酸化炭素冷媒の低温領域において、冷凍機油の密度が冷媒の密度よりも小さくなる。この場合、アキュムレータの下部に液冷媒が滞留するので、液冷媒が圧縮機へ流入する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の冷凍サイクル装置は、第1回路と、第2回路と、カスケード熱交換器と、制御部と、を備える。第1回路は、第1冷媒が循環する。第2回路は、二酸化炭素冷媒及び冷凍機油が循環する。カスケード熱交換器は、二酸化炭素冷媒を第1冷媒によって加熱する。第2回路は、第2圧縮機と、容器と、吸入配管と、油戻し通路と、弁と、を有している。容器は、第2圧縮機の吸入側に設けられ、二酸化炭素冷媒及び冷凍機油を貯留する。吸入配管は、第2圧縮機の吸入側と容器とを接続する。油戻し通路は、容器の下部から吸入配管に冷凍機油を戻す。弁は、油戻し通路に設けられている。制御部は、第1回路において第1冷媒を循環させ始めた後に、弁を開ける起動制御を実施する。
【0005】
二酸化炭素冷媒を第1冷媒によって加熱する運転の起動時に、外気温が低いため、容器内の二酸化炭素冷媒の温度が低い場合がある。このような場合、第1観点の冷凍サイクル装置では、第1回路において第1冷媒を循環させ始めることにより、カスケード熱交換器を介して、第2回路の容器内の二酸化炭素冷媒の温度を上げることができる。このため、外気温が低かったとしても、容器内において、二酸化炭素冷媒の密度が冷凍機油の密度よりも低い、正常な状態にできる。正常な状態になった後に、容器の下部から延びる油戻し通路の弁を開けるので、油戻し通路に液相の二酸化炭素冷媒(以下、「液冷媒」とも言う)が流れることを抑制できる。したがって、第2圧縮機に液冷媒が流入することを抑制することができる。
【0006】
第2観点の冷凍サイクル装置は、第1観点の冷凍サイクル装置であって、制御部は、容器内の二酸化炭素冷媒及び冷凍機油の温度又は圧力が、容器内の二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上になると、弁を開ける。
【0007】
第2観点の冷凍サイクル装置では、容器内の二酸化炭素冷媒及び冷凍機油の温度又は圧力が、容器内の二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上になると、容器内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態になったと判断できる。このため、第2圧縮機に液冷媒が流入することをより抑制することができる。
【0008】
第3観点の冷凍サイクル装置は、第1観点または第2観点の冷凍サイクル装置であって、制御部は、第1回路において第1冷媒を循環させ始めた後に、第2回路において二酸化炭素冷媒を循環させ始める。
【0009】
第3観点の冷凍サイクル装置では、第1回路の第1冷媒を循環させ始めることにより、カスケード熱交換器を介して、第2回路の容器内の冷媒の温度を上げてから、第2回路において二酸化炭素冷媒を循環させ始める。このため、第2回路の運転の効率を向上することができる。
【0010】
第4観点の冷凍サイクル装置は、第3観点の冷凍サイクル装置であって、制御部は、第2回路において二酸化炭素冷媒を循環させ始めた後に、弁を開ける。
【0011】
第4観点の冷凍サイクル装置では、第1回路において第1冷媒が循環し、さらに第2回路において二酸化炭素冷媒が循環することで、容器内の二酸化炭素冷媒の温度を効率的に上げることができる。これにより、容器内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とを正常な状態にすることが容易である。正常な状態になった後に、油戻し通路の弁を開けるので、第2圧縮機に液冷媒が流入することを容易に抑制することができる。
【0012】
第5観点の冷凍サイクル装置は、第1観点または第2観点の冷凍サイクル装置であって、制御部は、第1回路の運転と、第2回路の運転と、を同時に開始する。
【0013】
第5観点の冷凍サイクル装置のように、第1回路における第1冷媒の循環と、第2回路における二酸化炭素冷媒の循環とを、同時に行ってもよい。
【0014】
第6観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第5観点の冷凍サイクル装置のいずれかであって、制御部は、外気温が第1温度以下の時に起動制御を実施し、外気温が第1温度を超える時には、起動制御を実施しない。
【0015】
第6観点の冷凍サイクル装置では、外気温が第1温度以下に起因して、容器内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態でない場合に、起動制御を実施することによって、第2圧縮機に液冷媒が流入することを抑制できる。一方、外気温が第1温度を超えることに起因して、容器内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態である場合には、油戻し通路の弁を閉めなくても、第2圧縮機に液冷媒が流入することを抑制できる。
【0016】
第7観点の冷凍サイクル装置は、第6観点の冷凍サイクル装置であって、制御部は、外気温が第1温度を超える時には、第1回路の運転と、第2回路の運転と、弁の開動作と、を同時に開始する。
【0017】
第7観点の冷凍サイクル装置では、外気温が第1温度以下に起因して、容器内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態でない場合に、第1回路の運転を開始した後に、弁を開けることによって、第2圧縮機に液冷媒が流入することを抑制できる。一方、外気温が第1温度を超えることに起因して、容器内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態である場合には、第1回路の運転開始と、第2回路の運転開始と、油戻し通路の弁を開けることと、を、同時に実施してもよい。
【0018】
第8観点の冷凍サイクル装置は、第1観点から第7観点の冷凍サイクル装置のいずれかであって、第1冷媒は、R32、R454C、プロパン、R1234yf、R1234zeまたはアンモニアを含む。
【0019】
第8観点の冷凍サイクル装置では、第1回路にR32、R454C、プロパン、R1234yf、R1234zeまたはアンモニアを含む第1冷媒が循環することによって、カスケード熱交換器において、二酸化炭素冷媒と効率的に熱交換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】冷凍サイクル装置の概略機能ブロック構成図である。
【
図3】冷凍サイクル装置の全冷房運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
【
図4】冷凍サイクル装置の全暖房運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
【
図5】冷凍サイクル装置の冷房主体運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
【
図6】冷凍サイクル装置の暖房主体運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
【
図7】冷凍サイクル装置の全暖房運転及び暖房主体運転の起動時の制御フローを示す図である。
【
図8】変形例の冷凍サイクル装置の全暖房運転及び暖房主体運転の起動時の制御フローを示す図である。
【
図9】変形例の冷凍サイクル装置の全暖房運転及び暖房主体運転の起動時の制御フローを示す図である。
【
図10】変形例の冷凍サイクル装置の全暖房運転及び暖房主体運転の起動時の制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1)冷凍システムの構成
図1及び
図2に示す冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。
【0022】
冷凍サイクル装置1は、第1回路(一次側回路)5aと、第2回路(二次側回路)10と、カスケード熱交換器35と、を有する。本実施形態の冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の第1回路5aと蒸気圧縮式の第2回路10とからなる二元冷媒回路を有しており、二元冷凍サイクルを行う。
【0023】
第1回路5aは、第1冷媒及び第1冷凍機油が循環する。第1冷媒は、例えば、HFC系冷媒及びHFO系冷媒の少なくとも一方を含む。本実施形態の第1冷媒は、R32である。第1冷凍機油は、例えばポリビニルエーテル油である。
【0024】
第2回路10は、二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油が循環する。第2冷凍機油は、例えば、二酸化炭素と非相溶性を有する。本実施形態の第2冷凍機油は、ポリアルキレングリコール油である。
【0025】
第1回路5aと第2回路10とは、カスケード熱交換器35を介して、熱的に接続されている。
【0026】
冷凍サイクル装置1は、第1ユニット5と、カスケードユニット2と、第2ユニット4a、4b、4cと、が互いに配管を介して接続されて構成されている。第1ユニット5とカスケードユニット2とは、第1連絡配管112及び第2連絡配管111により接続されている。カスケードユニット2と複数の分岐ユニット6a、6b、6cとは、第3連絡配管7と、第4連絡配管8と、第5連絡配管9との3つの連絡配管により接続されている。複数の分岐ユニット6a、6b、6cと複数の利用ユニット3a、3b、3cとは、第1接続管15a、15b、15c及び第2接続管16a、16b、16cにより接続されている。
【0027】
第1ユニット5は、本実施形態では、1台である。カスケードユニット2は、本実施形態では、1台である。第2ユニット4a、4b、4cは、本実施形態では、3台である。詳細には、第2ユニット4a、4b、4cは、分岐ユニット6a、6b、6cと、利用ユニット3a、3b、3cと、を含む。第2ユニット4a、4b、4cの複数の利用ユニット3a、3b、3cは、第1利用ユニット3aと、第2利用ユニット3bと、第3利用ユニット3cと、の3台である。第2ユニット4a、4b、4cの複数の分岐ユニット6a、6b、6cは、第1分岐ユニット6aと、第2分岐ユニット6bと、第3分岐ユニット6cと、の3台である。
【0028】
そして、冷凍サイクル装置1では、各利用ユニット3a、3b、3cが個別に冷房運転または暖房運転を行うことが可能になっており、暖房運転を行う利用ユニットから冷房運転を行う利用ユニットに冷媒を送ることで利用ユニット間において熱回収を行うことが可能になるように構成されている。具体的には、本実施形態では、冷房運転と暖房運転とを同時に行う冷房主体運転や暖房主体運転を行うことで、熱回収が行われる。また、冷凍サイクル装置1では、上記の熱回収(冷房主体運転や暖房主体運転)も考慮した複数の利用ユニット3a、3b、3c全体の熱負荷に応じて、カスケードユニット2の熱負荷をバランスさせるように構成されている。
【0029】
(2)第1回路
第1回路5aは、第1圧縮機71と、第1切換機構72と、第1熱交換器74と、第1膨張弁76と、第1過冷却熱交換器103と、第1過冷却回路104と、第1過冷却膨張弁104aと、第2閉鎖弁108と、第2膨張弁102と、第2回路10と共有しているカスケード熱交換器35と、第1閉鎖弁109と、第1アキュムレータ105と、を有している。また、第1回路5aは、カスケード熱交換器35の第1流路35bを有している。
【0030】
第1圧縮機71は、第1冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、圧縮機モータ71aをインバータ制御することで運転容量を可変することが可能なスクロール型等の容積式圧縮機からなる。
【0031】
第1アキュムレータ105は、第1切換機構72と第1圧縮機71の吸入側とを接続する吸入流路の途中に設けられている。
【0032】
カスケード熱交換器35を第1冷媒の蒸発器として機能させる場合には、第1切換機構72は、第1圧縮機71の吸入側とカスケード熱交換器35の第1流路35bのガス側とを接続する第4接続状態となる(
図1の第1切換機構72の実線を参照)。また、第1切換機構72は、カスケード熱交換器35を第1冷媒の放熱器として機能させる場合には、第1圧縮機71の吐出側とカスケード熱交換器35の第1流路35bのガス側とを接続する第5接続状態となる(
図1の第1切換機構72の破線を参照)。このように、第1切換機構72は、第1回路5a内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。そして、第1切換機構72の切り換え状態を変更することによって、カスケード熱交換器35を第1冷媒の蒸発器または放熱器として機能させることが可能になっている。
【0033】
カスケード熱交換器35は、第1冷媒であるR32等の冷媒と、二酸化炭素冷媒と、の間で互いに混合させることなく熱交換を行わせるための機器である。カスケード熱交換器35は、例えば、プレート型熱交換器からなる。カスケード熱交換器35は、第2回路10に属する第2流路35aと、第1回路5aに属する第1流路35bと、を有している。第2流路35aは、そのガス側が第3熱源配管25を介して第2切換機構22に接続され、その液側が第4熱源配管26を介して熱源側膨張弁36に接続されている。第1流路35bは、そのガス側が、第1冷媒配管113、第1連絡配管112、第1閉鎖弁109、第1切換機構72を介して第1圧縮機71に接続され、その液側が、第2膨張弁102が設けられた第2冷媒配管114に接続されている。
【0034】
第1熱交換器74は、第1冷媒と室外空気との熱交換を行うための機器である。第1熱交換器74において、第1冷媒は、熱源としての室外空気から冷熱または温熱を取得する。第1熱交換器74のガス側は、第1切換機構72から延びる配管に接続されている。第1熱交換器74は、例えば、多数の伝熱管及びフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。
【0035】
第1膨張弁76は、第1熱交換器74の液側から第1過冷却熱交換器103まで延びる配管に設けられている。第1膨張弁76は、第1回路5aの液側の部分を流れる第1冷媒の流量の調節等を行う、開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0036】
第1過冷却回路104は、第1膨張弁76と第1過冷却熱交換器103との間から分岐し、吸入流路のうち第1切換機構72と第1アキュムレータ105との間の部分に接続されている。第1過冷却膨張弁104aは、第1過冷却回路104のうち、第1過冷却熱交換器103より上流側に設けられており、第1冷媒の流量の調節等を行う、開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0037】
第1過冷却熱交換器103は、第1膨張弁76から第2閉鎖弁108に向けて流れる冷媒と、第1過冷却回路104において第1過冷却膨張弁104aにおいて減圧された冷媒と、を熱交換させる熱交換器である。
【0038】
第1連絡配管112は、第1ユニット5とカスケードユニット2とを接続する配管である。第2連絡配管111は、第1ユニット5とカスケードユニット2とを接続する配管である。
【0039】
第2膨張弁102は、第2冷媒配管114に設けられている。第2膨張弁102は、カスケード熱交換器35の第1流路35bを流れる第1冷媒の流量の調節等を行う、開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0040】
第1閉鎖弁109は、第1連絡配管112と第1切換機構72との間に設けられている。第2閉鎖弁108は、第2連絡配管111と第1過冷却熱交換器103との間に設けられている。
【0041】
(3)第2回路
(3-1)第2回路の概要
第2回路10は、複数の利用ユニット3a、3b、3cと、複数の分岐ユニット6a、6b、6cと、カスケードユニット2と、が互いに接続されて構成されている。各利用ユニット3a、3b、3cは、対応する分岐ユニット6a、6b、6cと、1対1に接続されている。具体的には、利用ユニット3aと分岐ユニット6aとは第1接続管15a及び第2接続管16aを介して接続され、利用ユニット3bと分岐ユニット6bとは第1接続管15b及び第2接続管16bを介して接続され、利用ユニット3cと分岐ユニット6cとは第1接続管15c及び第2接続管16cを介して接続されている。また、各分岐ユニット6a、6b、6cは、カスケードユニット2と、3つの連絡配管である第3連絡配管7と第4連絡配管8と第5連絡配管9とを介して接続されている。具体的には、カスケードユニット2から延び出した第3連絡配管7と第4連絡配管8と第5連絡配管9とは、それぞれ複数に分岐して、各分岐ユニット6a、6b、6cに接続されている。
【0042】
第3連絡配管7には、運転状態に応じて、気液二相状態の冷媒と液状態の冷媒とのいずれかの冷媒が流れる。第4連絡配管8には、運転状態に応じて、ガス状態の冷媒と超臨界状態の冷媒とのいずれかの冷媒が流れる。第5連絡配管9には、運転状態に応じて、気液二相状態の冷媒とガス状態の冷媒とのいずれかの冷媒が流れる。
【0043】
第2回路10は、熱源回路12と、分岐回路14a、14b、14cと、利用回路13a、13b、13cと、が互いに接続されて構成されている。
【0044】
(3-2)熱源回路
熱源回路12は、主として、第2圧縮機21と、第2切換機構22と、第1熱源配管28と、第2熱源配管29と、吸入流路23と、吐出流路24と、第3熱源配管25と、第4熱源配管26と、第5熱源配管27と、カスケード熱交換器35と、熱源側膨張弁36と、第3閉鎖弁32と、第4閉鎖弁33と、第5閉鎖弁31と、第2アキュムレータ30と、油分離器34と、油戻し回路40と、第2レシーバ45と、バイパス回路46と、バイパス膨張弁46aと、第2過冷却熱交換器47と、第2過冷却回路48と、第2過冷却膨張弁48aと、油戻し通路23bと、油戻し弁23cと、を有している。また、第2回路10の熱源回路12は、カスケード熱交換器35の第2流路35aを有している。
【0045】
第2圧縮機21は、第2回路の熱源回路12の二酸化炭素冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、圧縮機モータ21aをインバータ制御することで運転容量を可変することが可能なスクロール型等の容積式圧縮機からなる。なお、第2圧縮機21は、運転時の負荷に応じて、負荷が大きいほど運転容量が大きくなるように制御される。
【0046】
第2切換機構22は、第2回路10の接続状態、特に、熱源回路12内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機構である。本実施形態では、第2切換機構22は、吐出側連絡部22xと、吸入側連絡部22yと、第1切換弁22aと、第2切換弁22bと、を有している。吐出側連絡部22xには、吐出流路24の第2圧縮機21側とは反対側の端部とが接続されている。吸入側連絡部22yには、吸入流路23の第2圧縮機21側とは反対側の端部とが接続されている。第1切換弁22aと第2切換弁22bとは、第2圧縮機21の吐出流路24と吸入流路23との間に互いに並列に設けられている。第1切換弁22aは、吐出側連絡部22xの一端部と、吸入側連絡部22yの一端部が接続されている。第2切換弁22bは、吐出側連絡部22xの他端部と、吸入側連絡部22yの他端部が接続されている。本実施形態において、第1切換弁22a及び第2切換弁22bは、いずれも四路切換弁により構成されている。第1切換弁22a及び第2切換弁22bは、それぞれ第1接続ポート、第2接続ポート、第3接続ポート、第4接続ポートの4つの接続ポートを有している。本実施形態の第1切換弁22a及び第2切換弁22bでは、各第4ポートが閉塞されており、第2回路10の流路接続されていない接続ポートである。第1切換弁22aは、第1接続ポートが吐出側連絡部22xの一端部と接続され、第2接続ポートがカスケード熱交換器35の第2流路35aから延びる第3熱源配管25に接続され、第3接続ポートが吸入側連絡部22yの一端部と接続されている。第1切換弁22aは、第1接続ポートと第2接続ポートが接続され、第3接続ポートと第4接続ポートが接続された切換状態と、第3接続ポートと第2接続ポートが接続され、第1接続ポートと第4接続ポートが接続された切換状態と、を切り換える。第2切換弁22bは、第1接続ポートが吐出側連絡部22xの他端部と接続され、第2接続ポートが第1熱源配管28に接続され、第3接続ポートが吸入側連絡部22yの他端部と接続されている。第2切換弁22bは、第1接続ポートと第2接続ポートが接続され、第3接続ポートと第4接続ポートが接続された切換状態と、第3接続ポートと第2接続ポートが接続され、第1接続ポートと第4接続ポートが接続された切換状態と、を切り換える。
【0047】
第2切換機構22は、カスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の放熱器として機能させつつ、第2圧縮機21から吐出される二酸化炭素冷媒が第4連絡配管8に送られることを抑制する場合には、第1切換弁22aにより吐出流路24と第3熱源配管25とが接続され、第2切換弁22bにより第1熱源配管28と吸入流路23とが接続される第1接続状態に切り換えられる。第2切換機構22の第1接続状態は、後述する全冷房運転時に採用される接続状態である。また、第2切換機構22は、カスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の蒸発器として機能させる場合には、第2切換弁22bにより吐出流路24と第1熱源配管28とが接続され、第1切換弁22aにより第3熱源配管25と吸入流路23とが接続される第2接続状態に切り換えられる。第2切換機構22の第2接続状態は、後述する全暖房運転時及び暖房主体運転時に採用される接続状態である。また、第2切換機構22は、カスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の放熱器として機能させつつ、第2圧縮機21から吐出される二酸化炭素冷媒を第4連絡配管8に送る場合には、第1切換弁22aにより吐出流路24と第3熱源配管25とが接続され、第2切換弁22bにより吐出流路24と第1熱源配管28とが接続される第3接続状態に切り換えられる。第2切換機構22の第3接続状態は、後述する冷房主体運転時に採用される接続状態である。
【0048】
カスケード熱交換器35は、上述の通り、第1回路5aを流れる第1冷媒であるR32等の冷媒と、第2回路10を流れる二酸化炭素冷媒である二酸化炭素等の冷媒と、の間で互いに混合させることなく熱交換を行わせるための機器である。なお、カスケード熱交換器35は、第2回路10の二酸化炭素冷媒が流れる第2流路35aと、第1回路5aの第1冷媒が流れる第1流路35bと、を有することで、第1ユニット5とカスケードユニット2とで共有されている。なお、本実施形態では、カスケード熱交換器35は、カスケードユニット2のカスケードケーシングの内部に配置されている。カスケード熱交換器35の第1流路35bのガス側は、第1冷媒配管113を経て、カスケードケーシング外の第1連絡配管112まで延びている。カスケード熱交換器35の第1流路35bの液側は、第2膨張弁102が設けられた第2冷媒配管114を経て、カスケードケーシング外の第2連絡配管111まで延びている。
【0049】
熱源側膨張弁36は、カスケード熱交換器35を流れる二酸化炭素冷媒の流量の調節等を行うために、カスケード熱交換器35の液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。熱源側膨張弁36は、第4熱源配管26に設けられている。
【0050】
第3閉鎖弁32、第4閉鎖弁33及び第5閉鎖弁31は、外部の機器・配管(具体的には、連絡配管7、8及び9)との接続口に設けられた弁である。具体的には、第3閉鎖弁32は、カスケードユニット2から引き出される第4連絡配管8に接続されている。第4閉鎖弁33は、カスケードユニット2から引き出される第5連絡配管9に接続されている。第5閉鎖弁31は、カスケードユニット2から引き出される第3連絡配管7に接続されている。
【0051】
第1熱源配管28は、第3閉鎖弁32と第2切換機構22とを接続する冷媒配管である。具体的には、第1熱源配管28は、第3閉鎖弁32と、第2切換機構22のうちの第2切換弁22bの第2接続ポートと、を接続している。
【0052】
吸入流路23は、第2切換機構22と第2圧縮機21の吸入側とを連絡する流路である。具体的には、吸入流路23は、第2切換機構22のうちの吸入側連絡部22yと、第2圧縮機21の吸入側と、を接続している。吸入流路23の途中には、第2アキュムレータ30が設けられている。
【0053】
吸入流路23は、吸入配管23aを含む。吸入配管23aは、第2圧縮機21の吸入側と、第2アキュムレータ30と、を接続している。ここでは、吸入配管23aの一端は、第2圧縮機21の吸入側に接続され、吸入配管23aの他端は、第2アキュムレータ30の上部に接続される。
【0054】
第2熱源配管29は、第4閉鎖弁33と吸入流路23の途中とを接続する冷媒配管である。なお、本実施形態では、第2熱源配管29は、吸入流路23のうち、第2切換機構22における吸入側連絡部22yと、第2アキュムレータ30と、の間の部分である接続箇所において、吸入流路23に接続されている。
【0055】
吐出流路24は、第2圧縮機21の吐出側と第2切換機構22とを接続する冷媒配管である。具体的には、吐出流路24は、第2圧縮機21の吐出側と、第2切換機構22のうちの吐出側連絡部22xと、を接続している。
【0056】
第3熱源配管25は、第2切換機構22とカスケード熱交換器35のガス側とを接続する冷媒配管である。具体的には、第3熱源配管25は、第2切換機構22のうちの第1切換弁22aの第2接続ポートと、カスケード熱交換器35における第2流路35aのガス側端部とを接続している。
【0057】
第4熱源配管26は、カスケード熱交換器35の液側(ガス側とは反対側、第2切換機構22が設けられている側とは反対側)と、第2レシーバ45と、を接続する冷媒配管である。具体的には、第4熱源配管26は、カスケード熱交換器35における第2流路35aの液側端部(ガス側とは反対側の端部)と、第2レシーバ45とを接続している。
【0058】
第2レシーバ45は、二酸化炭素冷媒を貯留する。第2レシーバ45は、カスケード熱交換器35の液側と、第2熱交換器52a、52b、52cとの間に設けられる。第2レシーバ45からは、第4熱源配管26と、第5熱源配管27と、バイパス回路46と、が延び出している。
【0059】
バイパス回路46は、第2熱交換器52a、52b、52cとカスケード熱交換器35との間と、後述する吸入配管23aと、を接続する。ここでは、バイパス回路46は、第2レシーバ45内部の上方の領域である気相領域と、吸入流路23と、を接続する冷媒配管である。具体的には、バイパス回路46は、吸入流路23のうち第2切換機構22と第2アキュムレータ30との間に接続されている。
【0060】
バイパス回路46には、バイパス膨張弁46aが設けられている。バイパス膨張弁46aは、開度調節により第2レシーバ45内から第2圧縮機21の吸入側に導く冷媒の量を調節可能な電動膨張弁である。
【0061】
第5熱源配管27は、第2レシーバ45と第5閉鎖弁31とを接続する冷媒配管である。
【0062】
第2過冷却回路48は、第5熱源配管27の一部と、吸入流路23と、を接続する冷媒配管である。具体的には、第2過冷却回路48は、吸入流路23のうち第2切換機構22と第2アキュムレータ30との間に接続されている。なお、本実施形態においては、第2過冷却回路48は、第2レシーバ45と第2過冷却熱交換器47との間から分岐するように延びている。
【0063】
第2過冷却熱交換器47は、第5熱源配管27に属する流路を流れる冷媒と、第2過冷却回路48に属する流路を流れる冷媒と、で熱交換を行わせる熱交換器である。本実施形態においては、第5熱源配管27のうち、第2過冷却回路48が分岐している箇所と、第5閉鎖弁31と、の間に設けられている。第2過冷却膨張弁48aは、第2過冷却回路48における第5熱源配管27からの分岐箇所と、第2過冷却熱交換器47と、の間に設けられている。第2過冷却膨張弁48aは、第2過冷却熱交換器47に対して減圧された冷媒を供給するものであり、開度調節可能な電動膨張弁である。
【0064】
第2アキュムレータ30は、第2圧縮機21の吸入側に設けられている。第2アキュムレータ30は、二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油を貯留する容器である。第2アキュムレータ30は、流入した流体を液相と気相とに分離する気液分離器である。第2アキュムレータ30からは、吸入配管23aと、後述する油戻し通路23bと、吸入流路23における第2切換機構22に繋がる部分と、が延び出している。
【0065】
第2アキュムレータ30は、本体部30aと、流入口30bと、冷媒流出口30cと、油流出口30dと、を含む。
【0066】
本体部30aは、密閉可能な形状を有する。本体部30aは、特に限定されないが、例えば、筒形状、U字形状などである。
【0067】
流入口30bは二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の混合物を本体部30aに流入させる。流入口30bは、吸入流路23における第2切換機構22に繋がる部分から二酸化炭素冷媒を本体部30aに流入させる。流入口30bは、本体部30aの上部に設けられる。
【0068】
冷媒流出口30cは、本体部30aに貯留している二酸化炭素冷媒を排出させる。冷媒流出口30cは、本体部30aの上部に設けられる。冷媒流出口30cは、二酸化炭素冷媒を吸入配管23aに戻す。
【0069】
油流出口30dは、本体部30aに貯留している冷媒機油を排出させる。油流出口30dは、本体部30aの下部に設けられる。油流出口30dは、油戻し通路23bに第2冷凍機油を送る。
【0070】
油戻し通路23bは、第2アキュムレータ30の下部と、吸入配管23aとを接続するように設けられている。油戻し通路23bは、第2アキュムレータ30の下部から吸入配管23aに第2冷凍機油を戻す。
【0071】
上記「第2アキュムレータ30の下部」は、本実施形態では、容器としての本体部30aの底面である。換言すると、第2アキュムレータ30の本体部30aの底面に、油戻し通路23bの一端が接続されている。なお、本体部30aの底面は、下向きに湾曲している構造、上向きに湾曲している構造、平らな構造等を含む。
【0072】
油戻し通路23bの途中には、油戻し弁23cが設けられている。油戻し弁23cが開状態に制御されることで、第2アキュムレータ30において分離された第2冷凍機油は、油戻し通路23bを通過して、さらに吸入配管23aを通過することによって、第2圧縮機21の吸入側に戻される。
【0073】
油戻し弁23cは、油戻し通路23bを狭くする機構を有していれば、開閉制御される電磁弁であってもよく、開度調節可能な電動弁であってもよい。本実施形態では、油戻し弁23cは、油戻し通路23bを開ける、または閉める、電磁弁である。
【0074】
油分離器34は、吐出流路24の途中に設けられている。油分離器34は、二酸化炭素冷媒に伴って第2圧縮機21から吐出された第2冷凍機油を二酸化炭素冷媒から分離して、第2圧縮機21に戻すための機器である。
【0075】
油戻し回路40は、油分離器34と吸入流路23とを接続するように設けられている。油戻し回路40は、油分離器34から延び出た流路が、吸入流路23のうち第2アキュムレータ30と第2圧縮機21の吸入側との間の部分に合流するように延びた油戻し流路41を有している。油戻し流路41の途中には、油戻し開閉弁44が設けられている。油戻し開閉弁44が開状態に制御されることで、油分離器34において分離された第2冷凍機油は、油戻し流路41を通過して、第2圧縮機21の吸入側に戻される。ここで、本実施形態では、油戻し開閉弁44は、第2回路10において第2圧縮機21が運転状態の場合には、開状態を所定時間維持し閉状態を所定時間維持することを繰り返すことにより、油戻し回路40を通じた第2冷凍機油の返油量が制御される。なお、油戻し開閉弁44は、本実施形態では開閉制御される電磁弁であるが、開度調節が可能な電動膨張弁としてもよい。
【0076】
また、第2回路10を構成する熱源回路12は、第2圧縮機21の吸入側における二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度及び圧力の少なくとも一方を測定するセンサをさらに有する。ここでは、第2圧縮機21の吸入側における二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度を測定するセンサとしての第2吸入温度センサ88、及び、第2圧縮機21の吸入側における二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の圧力を測定するセンサとしての第2吸入圧力センサ37が設けられている。
【0077】
(3-3)利用回路
以下、利用回路13a、13b、13cについて説明するが、利用回路13b、13cは利用回路13aと同様の構成であるため、利用回路13b、13cについては、利用回路13aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付すものとして各部の説明を省略する。
【0078】
利用回路13aは、主として、第2熱交換器52aと、第1利用配管57aと、第2利用配管56aと、利用側膨張弁51aと、を有している。
【0079】
第2熱交換器52aは、冷媒と室内空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管及びフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。なお、複数の第2熱交換器52a、52b、52cは、第2切換機構22と吸入流路23とカスケード熱交換器35に対して互いに並列に接続されている。
【0080】
第2利用配管56aは、その一端が第1利用ユニット3aの第2熱交換器52aの液側(ガス側とは反対側)に接続されている。第2利用配管56aの他端は、第2接続管16aに接続されている。第2利用配管56aの途中には、上述した利用側膨張弁51aが設けられている。
【0081】
利用側膨張弁51aは、第2熱交換器52aを流れる冷媒の流量の調節等を行う、開度調節が可能な電動膨張弁である。利用側膨張弁51aは、第2利用配管56aに設けられている。
【0082】
第1利用配管57aは、その一端が第1利用ユニット3aの第2熱交換器52aのガス側に接続されている。本実施形態では、第1利用配管57aは、第2熱交換器52aの利用側膨張弁51a側とは反対側に接続されている。第1利用配管57aは、その他端が、第1接続管15aに接続されている。
【0083】
(3-4)分岐回路
以下、分岐回路14a、14b、14cについて説明するが、分岐回路14b、14cは分岐回路14aと同様の構成であるため、分岐回路14b、14cについては、分岐回路14aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付すものとして各部の説明を省略する。
【0084】
分岐回路14aは、主として、合流配管62aと、第1分岐配管63aと、第2分岐配管64aと、第1調節弁66aと、第2調節弁67aと、バイパス管69aと、逆止弁68aと、第3分岐配管61aと、を有している。
【0085】
合流配管62aは、その一端が第1接続管15aに接続されている。合流配管62aの他端には、第1分岐配管63aと第2分岐配管64aとが分岐して接続されている。
【0086】
第1分岐配管63aは、合流配管62a側とは反対側が、第4連絡配管8に接続されている。第1分岐配管63aには、開閉可能な第1調節弁66aが設けられている。
【0087】
第2分岐配管64aは、合流配管62a側とは反対側が、第5連絡配管9に接続されている。第2分岐配管64aには、開閉可能な第2調節弁67aが設けられている。
【0088】
バイパス管69aは、第1分岐配管63aのうちの第1調節弁66aよりも第4連絡配管8側の部分と、第2分岐配管64aのうちの第2調節弁67aよりも第5連絡配管9側の部分と、を接続する冷媒配管である。このバイパス管69aの途中には、逆止弁68aが設けられている。逆止弁68aは、第2分岐配管64a側から第1分岐配管63a側に向かう冷媒流れのみを許容し、第1分岐配管63a側から第2分岐配管64a側に向かう冷媒流れは許容しない。
【0089】
第3分岐配管61aは、その一端が第2接続管16aに接続されている。第3分岐配管61aは、その他端が第3連絡配管7に接続されている。
【0090】
そして、第1分岐ユニット6aは、後述の全冷房運転を行う際には、第1調節弁66aを閉状態とし、第2調節弁67aを開状態にすることで、以下のように機能することができる。第1分岐ユニット6aは、第3連絡配管7を通じて第3分岐配管61aに流入する冷媒を、第2接続管16aに送る。なお、第2接続管16aを通じて第1利用ユニット3aの第2利用配管56aを流れる冷媒は、利用側膨張弁51aを通じて、第1利用ユニット3aの第2熱交換器52aに送られる。そして、第2熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって蒸発した後、第1利用配管57aを介して、第1接続管15aを流れる。第1接続管15aを流れた冷媒は、第1分岐ユニット6aの合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第1分岐配管63a側には流れず、第2分岐配管64a側に流れる。第2分岐配管64aを流れる冷媒は、第2調節弁67aを通過する。第2調節弁67aを通過した冷媒の一部は、第5連絡配管9に送られる。また、第2調節弁67aを通過した冷媒の残りは、逆止弁68aが設けられたバイパス管69aに分岐するように流れ、第1分岐配管63aの一部を通過した後、第4連絡配管8に送られる。これにより、第2熱交換器52aで蒸発したガス状態の二酸化炭素冷媒を第2圧縮機21に送る際の合計の流路断面積を大きくすることができるため、圧力損失を低減させることができる。
【0091】
また、第1分岐ユニット6aは、後述の冷房主体運転を行う際と暖房主体運転を行う際に、第1利用ユニット3aにおいて室内を冷房する場合には、第1調節弁66aを閉状態にしつつ第2調節弁67aを開状態にすることで、以下のように機能することができる。第1分岐ユニット6aは、第3連絡配管7を通じて第3分岐配管61aに流入する冷媒を、第2接続管16aに送る。なお、第2接続管16aを通じて第1利用ユニット3aの第2利用配管56aを流れる冷媒は、利用側膨張弁51aを通じて、第1利用ユニット3aの第2熱交換器52aに送られる。そして、第2熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって蒸発した後、第1利用配管57aを介して、第1接続管15aを流れる。第1接続管15aを流れた冷媒は、第1分岐ユニット6aの合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第2分岐配管64aに流れて第2調節弁67aを通過した後、第5連絡配管9に送られる。
【0092】
また、第1分岐ユニット6aは、後述の全暖房運転を行う際には、第2調節弁67aを閉状態にし、かつ、第1調節弁66aを開状態にすることで、次のように機能することができる。第1分岐ユニット6aでは、第4連絡配管8を通じて第1分岐配管63aに流入する冷媒が、第1調節弁66aを通過して、合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第1接続管15aを介して、利用ユニット3aの第1利用配管57aを流れて、第2熱交換器52aに送られる。そして、第2熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって放熱した後、第2利用配管56aに設けられた利用側膨張弁51aを通過する。第2利用配管56aを通過した冷媒は、第2接続管16aを介して、第1分岐ユニット6aの第3分岐配管61aを流れた後、第3連絡配管7に送られる。
【0093】
また、第1分岐ユニット6aは、後述の冷房主体運転を行う際と暖房主体運転を行う際とに、第1利用ユニット3aにおいて室内を暖房する場合には、第2調節弁67aを閉状態にし、かつ、第1調節弁66aを開状態にすることで、次のように機能することができる。第1分岐ユニット6aでは、第4連絡配管8を通じて第1分岐配管63aに流入する冷媒が、第1調節弁66aを通過して、合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第1接続管15aを介して、利用ユニット3aの第1利用配管57aを流れて、第2熱交換器52aに送られる。そして、第2熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって放熱した後、第2利用配管56aに設けられた利用側膨張弁51aを通過する。第2利用配管56aを通過した冷媒は、第2接続管16aを介して、第1分岐ユニット6aの第3分岐配管61aを流れた後、第3連絡配管7に送られる。
【0094】
このような機能は、第1分岐ユニット6aだけでなく、第2分岐ユニット6b、第3分岐ユニット6cも同様に有している。このため、第1分岐ユニット6a、第2分岐ユニット6b、第3分岐ユニット6cは、ぞれぞれ、各第2熱交換器52a、52b、52cについて、冷媒の蒸発器として機能させるか、または、冷媒の放熱器として機能させるか、を個別に切り換えることが可能になっている。
【0095】
(4)第1ユニット
第1ユニット5は、第2ユニット4a、4b、4c(詳細には、利用ユニット3a、3b、3c及び分岐ユニット6a、6b、6c)が配置された空間とは異なる空間に配置される。ここでは、第1ユニット5は、建物の屋上に配置されている。
【0096】
第1ユニット5は、上述の第1回路5aの一部と、第1ファン75と、各種センサと、第1制御部70と、を、第1ケーシング(図示せず)内に有して構成されている。
【0097】
第1ユニット5は、第1回路5aの一部として、第1圧縮機71と、第1切換機構72と、第1熱交換器74と、第1膨張弁76と、第1過冷却熱交換器103と、第1過冷却回路104と、第1過冷却膨張弁104aと、第2閉鎖弁108と、第1閉鎖弁109と、第1アキュムレータ105と、を有している。
【0098】
第1ファン75は、第1ユニット5内に設けられており、室外空気を第1熱交換器74に導いて、第1熱交換器74を流れる第1冷媒と熱交換させた後に、室外に排出させる、という空気流れを生じさせる。第1ファン75は、第1ファンモータ75aによって駆動される。
【0099】
また、第1ユニット5には、各種のセンサが設けられている。具体的には、第1ユニット5には、外気温度センサ77と、第1吐出圧力センサ78と、第1吸入圧力センサ79と、第1吸入温度センサ81と、第1熱交温度センサ82と、が設けられている。外気温度センサ77は、第1熱交換器74を通過する前の室外空気の温度を検出する。第1吐出圧力センサ78は、第1圧縮機71から吐出された第1冷媒の圧力を検出する。第1吸入圧力センサ79は、第1圧縮機71に吸入される第1冷媒の圧力を検出する。第1吸入温度センサ81は、第1圧縮機71に吸入される第1冷媒の温度を検出する。第1熱交温度センサ82は、第1熱交換器74を流れる冷媒の温度を検出する。
【0100】
第1制御部70は、第1ユニット5内に設けられている各部材71(71a)、72、75(75a)、76、104aの動作を制御する。そして、第1制御部70は、第1ユニット5の制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行うことや、カスケードユニット2の熱源側制御部20や分岐ユニット制御部60a、60b、60cや利用側制御部50a、50b、50cとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0101】
(5)カスケードユニット
カスケードユニット2は、第2ユニット4a、4b、4c(詳細には、利用ユニット3a、3b、3c及び分岐ユニット6a、6b、6c)が配置された空間とは異なる空間に配置される。ここでは、カスケードユニット2は、建物の屋上に配置されている。
【0102】
カスケードユニット2は、連絡配管7、8、9を介して分岐ユニット6a、6b、6cに接続されており、第2回路10の一部を構成している。また、カスケードユニット2は、連絡配管111、112を介して、第1ユニット5と接続されており、第1回路5aの一部を構成している。
【0103】
カスケードユニット2は、上述した熱源回路12と、各種センサと、熱源側制御部20と、第1回路5aの一部を構成する第2膨張弁102、第1冷媒配管113及び第2冷媒配管114と、を、カスケードケーシング(図示せず)内に有して構成されている。
【0104】
カスケードユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、カスケードユニット2には、上述した第2吸入圧力センサ37と、第2吐出圧力センサ38と、第2吐出温度センサ39と、上述した第2吸入温度センサ88と、カスケード温度センサ83と、レシーバ出口温度センサ84と、バイパス回路温度センサ85と、過冷却出口温度センサ86と、過冷却回路温度センサ87と、が設けられている。第2吸入圧力センサ37は、第2圧縮機21の吸入側における二酸化炭素冷媒の圧力を検出する。第2吐出圧力センサ38は、第2圧縮機21の吐出側における二酸化炭素冷媒の圧力を検出する。第2吐出温度センサ39は、第2圧縮機21の吐出側における二酸化炭素冷媒の温度を検出する。第2吸入温度センサ88は、第2圧縮機21の吸入側における二酸化炭素冷媒の温度を検出する。カスケード温度センサ83は、カスケード熱交換器35の第2流路35aと熱源側膨張弁36との間を流れる二酸化炭素冷媒の温度を検出する。レシーバ出口温度センサ84は、第2レシーバ45から第2過冷却熱交換器47との間を流れる二酸化炭素冷媒の温度を検出する。バイパス回路温度センサ85は、バイパス回路46におけるバイパス膨張弁46aの下流側を流れる二酸化炭素冷媒の温度を検出する。過冷却出口温度センサ86は、第2過冷却熱交換器47と第5閉鎖弁31との間を流れる二酸化炭素冷媒の温度を検出する。過冷却回路温度センサ87は、第2過冷却回路48における第2過冷却熱交換器47の出口を流れる二酸化炭素冷媒の温度を検出する。
【0105】
熱源側制御部20は、カスケードユニット2のカスケードケーシング(図示せず)の内部に設けられた各部材21(21a)、22、23c、36、44、46a、48a、102の動作を制御する。熱源側制御部20は、カスケードユニット2の制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、第1ユニット5の第1制御部70や利用ユニット3a、3b、3cの利用側制御部50a、50b、50cや分岐ユニット制御部60a、60b、60cとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0106】
なお、このように、熱源側制御部20は、第2回路10の熱源回路12を構成する各部材だけでなく、第1回路5aの一部を構成する第2膨張弁102の制御を行うことができる。このため、熱源側制御部20は、自身が制御する熱源回路12の状況に基づいて、自ら第2膨張弁102の弁開度を制御することにより、熱源回路12の状況を所望の状況に近づけることができる。具体的には、熱源回路12におけるカスケード熱交換器35の第2流路35aを流れる二酸化炭素冷媒が、カスケード熱交換器35の第1流路35bを流れる第1冷媒から受ける熱量または当該第1冷媒に与える熱量を制御することが可能になる。
【0107】
(6)第2ユニット
第2ユニット4a、4b、4cは、利用ユニット3a、3b、3cと、分岐ユニット6a、6b、6cと、第1接続管15a、15b、15cと、第2接続管16a、16b、16cと、を含む。
【0108】
(6-1)利用ユニット
利用ユニット3a、3b、3cは、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。
【0109】
利用ユニット3a、3b、3cは、連絡配管7、8、9を介してカスケードユニット2に接続されている。
【0110】
利用ユニット3a、3b、3cは、第2回路10の一部を構成する利用回路13a、13b、13cを有している。
【0111】
以下、利用ユニット3a、3b、3cの構成について説明する。なお、第2利用ユニット3b及び第3利用ユニット3cは、第1利用ユニット3aと同様の構成であるため、ここでは、第1利用ユニット3aの構成のみ説明し、第2利用ユニット3b及び第3利用ユニット3cの構成については、それぞれ、第1利用ユニット3aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0112】
第1利用ユニット3aは、主として、上述の利用回路13aと、第2ファン53aと、利用側制御部50aと、各種センサと、を有している。なお、第2ファン53aは、第2ファンモータ54aを有している。
【0113】
第2ファン53aは、利用ユニット3a内に室内空気を吸入して、第2熱交換器52aを流れる冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給する空気流れを生じさせる。第2ファン53aは、第2ファンモータ54aによって駆動される。
【0114】
利用ユニット3aには、第2熱交換器52aの液側における冷媒の温度を検出する液側温度センサ58aが設けられている。また、利用ユニット3aには、室内から取り込まれた空気であって、第2熱交換器52aを通過する前の空気の温度である室内温度を検出する室内温度センサ55aが設けられている。
【0115】
利用側制御部50aは、利用ユニット3aを構成する各部材51a、53a(54a)の動作を制御する。そして、利用側制御部50aは、利用ユニット3aの制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行うことや、カスケードユニット2の熱源側制御部20や分岐ユニット制御部60a、60b、60cや第1ユニット5の第1制御部70との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0116】
なお、第2利用ユニット3bは、利用回路13b、第2ファン53b、利用側制御部50b、第2ファンモータ54bを有している。第3利用ユニット3cは、利用回路13c、第2ファン53c、利用側制御部50c、第2ファンモータ54cを有している。
【0117】
(6-2)分岐ユニット
分岐ユニット6a、6b、6cは、ビル等の室内の天井裏の空間等に設置されている。
【0118】
分岐ユニット6a、6b、6cは、利用ユニット3a、3b、3cと1対1に対応しつつ接続されている。分岐ユニット6a、6b、6cは、連絡配管7、8、9を介してカスケードユニット2に接続されている。
【0119】
次に、分岐ユニット6a、6b、6cの構成について説明する。なお、第2分岐ユニット6b及び第3分岐ユニット6cは、第1分岐ユニット6aと同様の構成であるため、ここでは、第1分岐ユニット6aの構成のみ説明し、第2分岐ユニット6b及び第3分岐ユニット6cの構成については、それぞれ、第1分岐ユニット6aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0120】
第1分岐ユニット6aは、主として、上述の分岐回路14aと、分岐ユニット制御部60aと、を有している。
【0121】
分岐ユニット制御部60aは、分岐ユニット6aを構成する各部材66a、67aの動作を制御する。そして、分岐ユニット制御部60aは、分岐ユニット6aの制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行うことや、カスケードユニット2の熱源側制御部20や利用ユニット3a、3b、3cや第1ユニット5の第1制御部70との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0122】
なお、第2分岐ユニット6bは、分岐回路14bと分岐ユニット制御部60bを有している。第3分岐ユニット6cは、分岐回路14cと分岐ユニット制御部60cを有している。
【0123】
(7)制御部
(7-1)概要
冷凍サイクル装置1では、上述の熱源側制御部20、利用側制御部50a、50b、50c、分岐ユニット制御部60a、60b、60c、第1制御部70が、有線または無線を介して相互に通信可能に接続されることで、制御部80を構成している。したがって、この制御部80は、各種センサ37、38、39、83、84、85、86、87、88、77、78、79、81、82、58a、58b、58c、56a、56b、56c等の検出情報及び図示しないリモコン等から受け付けた指示情報等に基づいて、各部材21(21a)、22、23c、36、44、46a、48a、51a、51b、51c、53a、53b、53c(54a、54b、54c)、66a、66b、66c、67a、67b、67c、71(71a)、72、75(75a)、76、104a等の動作を制御する。
【0124】
ここでは、制御部80は、カスケード熱交換器35において、二酸化炭素冷媒を第1冷媒によって加熱する運転(本実施形態では、全暖房運転または暖房主体運転)と、二酸化炭素冷媒を第1冷媒によって冷却する運転(本実施形態では、全冷房運転または冷房主体運転)と、を切り換える。このように、カスケード熱交換器35による二酸化炭素冷媒の加熱及び冷却の切り換えを行うために、制御部80の熱源側制御部20は、第2切換機構22を制御する。具体的には、制御部80は、カスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の放熱器として機能させる第1状態と、カスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の蒸発器として機能させる第2状態とを切り換えるように、第2切換機構22を制御する。
【0125】
(7-2)起動時の制御
以下、冷凍サイクル装置1の冷凍サイクル運転の起動時の制御部80による起動制御について説明する。なお、冷凍サイクル装置1の通常の冷凍サイクル運転は、全冷房運転と、全暖房運転と、冷房主体運転と、暖房主体運転と、を含む。本実施形態では、制御部80は、カスケード熱交換器35において、二酸化炭素冷媒を第1冷媒によって加熱する運転時に、起動制御を行う。ここでは、制御部80は、全暖房運転時及び暖房主体運転時に、起動制御を行う。
【0126】
制御部80は、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始めた後に、油戻し弁23cを開ける起動制御を実施する。具体的には、制御部80は、リモコン等から暖房運転または暖房主体運転の指令を受けると、第1圧縮機71を起動して、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させた後に、油戻し弁23cの開度を大きくする制御を行う。
【0127】
全暖房運転または暖房主体運転の起動時に外気温が低いため、室外に配置された第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の温度が低い場合に、第2冷凍機油の密度が二酸化炭素冷媒の密度よりも小さいことがある。この場合、第2アキュムレータ30内において、第2冷凍機油が二酸化炭素冷媒の上方に位置する、正常でない状態となる。この正常でない状態では、制御部80は、油戻し弁23cを閉じるように制御することで、油戻し弁23cが設けられている油戻し通路23bに、二酸化炭素冷媒が流出することを防止できる。そして、起動制御を行うことによって、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始めることで、カスケード熱交換器35を介して、第2回路10の第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の温度を上げることができる。これにより、二酸化炭素冷媒の密度が第2冷凍機油の密度よりも低い、正常な状態にすることができる。換言すると、制御部80は、第2アキュムレータ30内において、第2冷凍機油が二酸化炭素冷媒の下方に位置するように制御する。さらに換言すると、制御部80は、第2アキュムレータ30内において、第2冷凍機油が二酸化炭素冷媒の下方から上方に反転することを防止する。そして、制御部80は、正常な状態になった後に、油戻し弁23cを開けるように制御することで、油戻し弁23cから油戻し通路23bに、第2冷凍機油を流出させるとともに、二酸化炭素冷媒が流出することを防止する。
【0128】
本実施形態では、制御部80は、全暖房運転または暖房主体運転の起動時に、まず、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ、次に、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ、次に、油戻し弁23cを開ける。
【0129】
具体的には、制御部80は、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始めた後に、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ始める。ここでは、制御部80は、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させて、カスケード熱交換器35における第1冷媒の凝縮温度が所定値以上に上昇したときに、第2圧縮機21を起動して、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ始める。
【0130】
さらに、制御部80は、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ始めた後に、油戻し弁23cを開ける。ここでは、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の密度と第2冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上になると、油戻し弁23cを開ける。
【0131】
なお、「所定温度又は所定圧力」は、境界温度以上の温度又は圧力であり、境界温度を超える温度又は圧力であることが好ましい。境界温度は、第2冷凍機油がポリアルキレングリコールの場合、-15℃である。
【0132】
制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が、所定温度又は所定圧力以上になったか否かを判断するために、本実施形態では、第2圧縮機21の吸入側における二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度及び圧力の少なくとも一方を測定するセンサから、吸入配管23aを流れる二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度または圧力を取得する。ここでは、制御部80は、第2吸入温度センサ88及び第2吸入圧力センサ37の少なくとも一方から、吸入配管23aを流れる二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度または圧力を取得する。そして、制御部80は、取得した温度または圧力が、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の密度と第2冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上であるかを判断する。
【0133】
また、本実施形態では、制御部80は、外気温が第1温度以下の時に起動制御を実施し、外気温が第1温度を超える時には、起動制御を実施しない。制御部80は、起動制御に関する第1温度を有している。第1温度は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の温度が低いことに起因して、二酸化炭素冷媒の密度が冷凍機油の密度よりも高くなる温度である。第1温度は、例えば、-20℃である。そして、制御部80は、外気温度センサ77から外気温を取得して、取得した外気温が第1温度以下か否かを判断する。そして、制御部80は、外気温が第1温度以下であると判断すると、起動制御を実施するとともに、外気温が第1温度を超えると判断すると、起動制御を実施しない。
【0134】
ここでは、制御部80は、外気温が第1温度を超える時には、第1回路5aの運転と、第2回路10の運転と、油戻し弁23cの開動作と、を同時に開始する。なお、「同時」は、例えば、制御部80が、第1圧縮機71の起動の指令と、第2圧縮機21の起動の指令と、油戻し弁23cの開動作の指令と、を、同じタイミングで行う。このため、第1回路5aにおける第1冷媒の循環と、第2回路10における二酸化炭素冷媒の循環と、油戻し弁23cの開動作と、が、完全に同じ時刻に開始される場合と、いずれかがわずかに先に開始される場合とを含む。
【0135】
(8)冷凍サイクル装置の動作
次に、冷凍サイクル装置1の動作について、
図3~
図6を用いて説明する。
【0136】
冷凍サイクル装置1の冷凍サイクル運転は、主として、全冷房運転と、全暖房運転と、冷房主体運転と、暖房主体運転と、に分けることができる。
【0137】
ここで、全冷房運転は、第2熱交換器52a、52b、52cが二酸化炭素冷媒の蒸発器として機能する運転を行う利用ユニットだけが存在し、利用ユニット全体の蒸発負荷に対してカスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の放熱器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0138】
全暖房運転は、第2熱交換器52a、52b、52cが二酸化炭素冷媒の放熱器として機能する運転を行う利用ユニットだけが存在し、利用ユニット全体の放熱負荷に対してカスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の蒸発器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0139】
冷房主体運転は、第2熱交換器52a、52b、52cが二酸化炭素冷媒の蒸発器として機能する運転を行う利用ユニットと、第2熱交換器52a、52b、52cが冷媒の放熱器として機能する運転を行う利用ユニットと、を混在させる運転である。冷房主体運転は、利用ユニット全体の熱負荷のうち蒸発負荷が主体である場合に、この利用ユニット全体の蒸発負荷を処理するためにカスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の放熱器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0140】
暖房主体運転は、第2熱交換器52a、52b、52cが冷媒の蒸発器として機能する運転を行う利用ユニットと、第2熱交換器52a、52b、52cが冷媒の放熱器として機能する運転を行う利用ユニットと、を混在させる運転である。暖房主体運転は、利用ユニット全体の熱負荷のうち放熱負荷が主体である場合に、この利用ユニット全体の放熱負荷を処理するためにカスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の蒸発器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0141】
なお、これらの冷凍サイクル運転を含む冷凍サイクル装置1の動作は、上記の制御部80によって行われる。
【0142】
(8-1)全冷房運転
全冷房運転では、例えば、利用ユニット3a、3b、3cの第2熱交換器52a、52b、52cの全てが冷媒の蒸発器として機能する運転を行う。また、全冷房運転では、カスケード熱交換器35が二酸化炭素冷媒の放熱器として機能する運転を行う。この全冷房運転では、冷凍サイクル装置1の第1回路5a及び第2回路10は、
図3に示すように構成される。なお、
図3の第1回路5aに付された矢印及び第2回路10に付された矢印は、全冷房運転時の冷媒の流れを示している。
【0143】
具体的には、第1ユニット5においては、第1切換機構72を第4接続状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を第1冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。なお、第1切換機構72の第4接続状態は、
図3の第1切換機構72において実線で示す接続状態である。これにより、第1ユニット5では、第1圧縮機71から吐出された第1冷媒は、第1切換機構72を通過して、第1熱交換器74において第1ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで放熱する。第1熱交換器74において放熱した第1冷媒は、全開状態に制御された第1膨張弁76を通過し、一部の冷媒が、第1過冷却熱交換器103を通じて第2閉鎖弁108に向けて流れ、他の一部の冷媒が、第1過冷却回路104に分岐して流れる。第1過冷却回路104を流れる冷媒は、第1過冷却膨張弁104aを通過する際に減圧される。第1膨張弁76から第2閉鎖弁108に向けて流れる冷媒は、第1過冷却熱交換器103において、第1過冷却膨張弁104aで減圧されて第1過冷却回路104を流れる冷媒との間で熱交換を行い、過冷却状態となるまで冷却される。過冷却状態となった第1冷媒は、第2連絡配管111を通って、第2膨張弁102を通過する際に減圧される。ここで、第2膨張弁102は、第1圧縮機71に吸入される第1冷媒の過熱度が所定条件を満たすように弁開度が制御される。第2膨張弁102で減圧された第1冷媒は、カスケード熱交換器35の第1流路35bを流れる際に、第2流路35aを流れる二酸化炭素冷媒と熱交換することで蒸発し、第1連絡配管112に向けて流れる。この第1冷媒は、第1連絡配管112と第1閉鎖弁109を通過した後、第1切換機構72に至る。第1切換機構72を通過した冷媒は、第1過冷却回路104を流れた冷媒と合流した後、第1アキュムレータ105を介して、第1圧縮機71に吸入される。
【0144】
また、カスケードユニット2においては、第2切換機構22を第1接続状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の放熱器として機能させるようになっている。なお、第2切換機構22の第1接続状態では、第1切換弁22aにより吐出流路24と第3熱源配管25とが接続され、第2切換弁22bにより第1熱源配管28と吸入流路23とが接続される。ここで、熱源側膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3利用ユニット3a、3b、3cにおいては、第2調節弁67a、67b、67cは、開状態に制御される。これにより、利用ユニット3a、3b、3cの第2熱交換器52a、52b、52cの全てが、冷媒の蒸発器として機能する。また、利用ユニット3a、3b、3cの第2熱交換器52a、52b、52cの全てとカスケードユニット2の第2圧縮機21の吸入側とは、第1利用配管57a、57b、57c、第1接続管15a、15b、15c、合流配管62a、62b、62c、第2分岐配管64a、64b、64c、バイパス管69a、69b、69c、第1分岐配管63a、63b、63cの一部、第4連絡配管8及び第5連絡配管9を介して接続された状態になっている。また、第2過冷却膨張弁48aは、第2過冷却熱交換器47の出口を第3連絡配管7に向けて流れる二酸化炭素冷媒の過冷却度が所定条件を満たすように開度制御されている。バイパス膨張弁46aは、閉状態に制御される。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。
【0145】
このような第2回路10において、第2圧縮機21で圧縮され吐出された高圧の二酸化炭素冷媒は、第2切換機構22の第1切換弁22aを通じて、カスケード熱交換器35の第2流路35aに送られる。カスケード熱交換器35では、第2流路35aを流れる高圧の二酸化炭素冷媒は放熱し、カスケード熱交換器35の第1流路35bを流れる第1冷媒は蒸発する。カスケード熱交換器35において放熱した二酸化炭素冷媒は、開度調節されている熱源側膨張弁36を通過した後、第2レシーバ45に流入する。第2レシーバ45から流出した二酸化炭素冷媒の一部は、第2過冷却回路48に分岐して流れ、第2過冷却膨張弁48aにおいて減圧された後に、吸入流路23に合流する。第2過冷却熱交換器47では、第2レシーバ45から流出した冷媒の他の一部が、第2過冷却回路48を流れる冷媒によって冷却された後、第5閉鎖弁31を通じて、第3連絡配管7に送られる。
【0146】
そして、第3連絡配管7に送られた冷媒は、3つに分岐されて、各第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cの第3分岐配管61a、61b、61cを通過する。その後、各第2接続管16a、16b、16cを流れた冷媒は、各第1~第3利用ユニット3a、3b、3cの第2利用配管56a、56b、56cに送られる。第2利用配管56a、56b、56cに送られた冷媒は、利用ユニット3a、3b、3cの利用側膨張弁51a、51b、51cに送られる。
【0147】
そして、開度調節されている利用側膨張弁51a、51b、51cを通過した二酸化炭素冷媒は、第2熱交換器52a、52b、52cにおいて、第2ファン53a、53b、53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、第2熱交換器52a、52b、52cを流れる二酸化炭素冷媒は、蒸発し、低圧のガス冷媒となる。室内空気は、冷却されて室内に供給される。これにより、室内空間が冷房される。第2熱交換器52a、52b、52cにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、第1利用配管57a、57b、57cを流れ、第1接続管15a、15b、15cを流れた後、第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cの合流配管62a、62b、62cに送られる。
【0148】
そして、合流配管62a、62b、62cに送られた低圧のガス冷媒は、第2分岐配管64a、64b、64cと、に流れる。第2分岐配管64a、64b、64cにおいて第2調節弁67a、67b、67cを通過した二酸化炭素冷媒は、一部が、第5連絡配管9に送られる。第2調節弁67a、67b、67cを通過した残りの冷媒は、バイパス管69a、69b、69cを通過して、第1分岐配管63a、63b、63cの一部を流れた後、第4連絡配管8に送られる。
【0149】
そして、第4連絡配管8及び第5連絡配管9に送られた低圧のガス冷媒は、第3閉鎖弁32、第4閉鎖弁33、第1熱源配管28、第2熱源配管29、第2切換機構22の第2切換弁22b、吸入流路23、第2アキュムレータ30及び吸入配管23aを通じて、第2圧縮機21の吸入側に戻される。
【0150】
また、第2回路10を循環する第2冷凍機油は、第2アキュムレータ30の下部から油戻し通路23b、油戻し弁23c、及び吸入配管23aを通じて、第2圧縮機21の吸入側に戻される。
【0151】
このようにして、全冷房運転における動作が行われる。
【0152】
なお、全暖房運転時には、制御部80によって、第2圧縮機21に液冷媒が流入しないために、第2圧縮機21から吐出される二酸化炭素冷媒の過熱度(吐出過熱度)に基づいて油戻し弁23cの開度を制御している。
【0153】
(8-2)全暖房運転
全暖房運転では、例えば、利用ユニット3a、3b、3cの第2熱交換器52a、52b、52cの全てが冷媒の放熱器として機能する運転を行う。また、全暖房運転では、カスケード熱交換器35が二酸化炭素冷媒の蒸発器として機能する運転を行う。この全暖房運転では、冷凍サイクル装置1の第1回路5a及び第2回路10は、
図4に示すように構成される。
図4の第1回路5aに付された矢印及び第2回路10に付された矢印は、全暖房運転時の冷媒の流れを示している。
【0154】
具体的には、第1ユニット5においては、第1切換機構72を第5接続状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を第1冷媒の放熱器として機能させるようになっている。第1切換機構72の第5接続状態は、
図4の第1切換機構72において破線で示す接続状態である。これにより、第1ユニット5では、第1圧縮機71から吐出され、第1切換機構72を通過した第1冷媒は、第1連絡配管112をさらに通過して、カスケード熱交換器35の第1流路35bに送られる。カスケード熱交換器35の第1流路35bを流れる冷媒は、第2流路35aを流れる二酸化炭素冷媒と熱交換することで凝縮する。カスケード熱交換器35において凝縮した第1冷媒は、第2冷媒配管114を流れる際に、全開状態に制御された第2膨張弁102を通過する。第2膨張弁102を通過した冷媒は、第2連絡配管111、第2閉鎖弁108、第1過冷却熱交換器103の順に流れて、第1膨張弁76において減圧される。なお、全暖房運転時には、第1過冷却膨張弁104aは閉状態に制御されることで、第1過冷却回路104には冷媒は流れないため、第1過冷却熱交換器103における熱交換も行われない。なお、第1膨張弁76は、例えば、第1圧縮機71に吸入される第1冷媒の過熱度が所定条件を満たすように弁開度が制御される。第1膨張弁76において減圧された冷媒は、第1熱交換器74において第1ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで蒸発し、第1切換機構72、第1アキュムレータ105を通過して、第1圧縮機71に吸入される。
【0155】
また、カスケードユニット2においては、第2切換機構22を第2接続状態に切り換える。これにより、カスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。第2切換機構22の第2接続状態では、第2切換弁22bにより吐出流路24と第1熱源配管28とが接続され、第1切換弁22aにより第3熱源配管25と吸入流路23とが接続される。また、熱源側膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cにおいては、第1調節弁66a、66b、66cが開状態に制御され、第2調節弁67a、67b、67cが閉状態に制御される。これにより、利用ユニット3a、3b、3cの第2熱交換器52a、52b、52cの全てが冷媒の放熱器として機能する。そして、利用ユニット3a、3b、3cの第2熱交換器52a、52b、52cとカスケードユニット2の第2圧縮機21の吐出側とは、吐出流路24、第1熱源配管28、第4連絡配管8、第1分岐配管63a、63b、63c、合流配管62a、62b、62c、第1接続管15a、15b、15c、第1利用配管57a、57b、57cを介して接続された状態になっている。また、第2過冷却膨張弁48a及びバイパス膨張弁46aは、閉状態に制御される。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。
【0156】
このような第2回路10において、第2圧縮機21で圧縮され吐出された高圧の二酸化炭素冷媒は、第2切換機構22の第2切換弁22bを通じて、第1熱源配管28に送られる。第1熱源配管28に送られた冷媒は、第3閉鎖弁32を通じて、第4連絡配管8に送られる。
【0157】
そして、第4連絡配管8に送られた高圧冷媒は、3つに分岐されて、運転中の利用ユニットである各利用ユニット3a、3b、3cの第1分岐配管63a、63b、63cに送られる。第1分岐配管63a、63b、63cに送られた高圧の二酸化炭素冷媒は、第1調節弁66a、66b、66cを通過し、合流配管62a、62b、62cを流れる。その後、第1接続管15a、15b、15c及び第1利用配管57a、57b、57cを流れた冷媒が、第2熱交換器52a、52b、52cに送られる。
【0158】
そして、第2熱交換器52a、52b、52cに送られた高圧の二酸化炭素冷媒は、第2熱交換器52a、52b、52cにおいて、第2ファン53a、53b、53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、第2熱交換器52a、52b、52cを流れる二酸化炭素冷媒は、放熱する。室内空気は、加熱されて室内に供給される。これにより、室内空間が暖房される。第2熱交換器52a、52b、52cにおいて放熱した二酸化炭素冷媒は、第2利用配管56a、56b、56cを流れて、開度調節されている利用側膨張弁51a、51b、51cを通過する。その後、第2接続管16a、16b、16cを流れた冷媒は、各分岐ユニット6a、6b、6cの第3分岐配管61a、61b、61cを流れる。
【0159】
そして、第3分岐配管61a、61b、61cに送られた二酸化炭素冷媒は、第3連絡配管7に送られて合流する。
【0160】
そして、第3連絡配管7に送られた二酸化炭素冷媒は、第5閉鎖弁31を通じて、熱源側膨張弁36に送られる。熱源側膨張弁36に送られた冷媒は、熱源側膨張弁36において流量調節された後、カスケード熱交換器35に送られる。カスケード熱交換器35では、第2流路35aを流れる二酸化炭素冷媒は蒸発して低圧のガス冷媒となって第2切換機構22に送られ、カスケード熱交換器35の第1流路35bを流れる第1冷媒は凝縮する。そして、第2切換機構22の第1切換弁22aに送られた低圧のガス冷媒は、吸入流路23、第2アキュムレータ30、及び吸入配管23a通じて、第2圧縮機21の吸入側に戻される。
【0161】
また、第2回路10を循環する第2冷凍機油は、第2アキュムレータ30の下部から油戻し通路23b、油戻し弁23c、及び吸入配管23aを通じて、第2圧縮機21の吸入側に戻される。
【0162】
このようにして、全暖房運転における動作が行われる。
【0163】
(8-3)冷房主体運転
冷房主体運転では、例えば、利用ユニット3a、3bの第2熱交換器52a、52bが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、利用ユニット3cの第2熱交換器52cが冷媒の放熱器として機能する運転を行う。また、冷房主体運転では、カスケード熱交換器35は、二酸化炭素冷媒の放熱器として機能する。この冷房主体運転では、冷凍サイクル装置1の第1回路5a及び第2回路10は、
図5に示されるように構成される。
図5の第1回路5aに付された矢印及び第2回路10に付された矢印は、冷房主体運転時の冷媒の流れを示している。
【0164】
具体的には、第1ユニット5においては、第1切換機構72を第4接続状態(
図5の第1切換機構72の実線で示された状態)に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を第1冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。これにより、第1ユニット5では、第1圧縮機71から吐出された第1冷媒は、第1切換機構72を通過して、第1熱交換器74において第1ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで凝縮する。第1熱交換器74において凝縮した第1冷媒は、全開状態に制御された第1膨張弁76を通過し、一部の冷媒が、第1過冷却熱交換器103を通じて第2閉鎖弁108に向けて流れ、他の一部の冷媒が、第1過冷却回路104に分岐して流れる。第1過冷却回路104を流れる冷媒は、第1過冷却膨張弁104aを通過する際に減圧される。第1膨張弁76から第2閉鎖弁108に向けて流れる冷媒は、第1過冷却熱交換器103において、第1過冷却膨張弁104aで減圧されて第1過冷却回路104を流れる冷媒との間で熱交換を行い、過冷却状態となるまで冷却される。過冷却状態となった冷媒は、第2連絡配管111を流れ、第2膨張弁102において減圧される。なお、この際、第2膨張弁102は、例えば、第1圧縮機71に吸入される冷媒の過熱度が所定条件を満たすように弁開度が制御される。第2膨張弁102で減圧された第1冷媒は、カスケード熱交換器35の第1流路35bを流れる際に、第2流路35aを流れる二酸化炭素冷媒と熱交換することで蒸発し、第1連絡配管112に向けて流れる。この第1冷媒は、第1連絡配管112と第1閉鎖弁109を通過した後、第1切換機構72に至る。第1切換機構72を通過した冷媒は、第1過冷却回路104を流れた冷媒と合流した後、第1アキュムレータ105を介して、第1圧縮機71に吸入される。
【0165】
また、カスケードユニット2においては、第2切換機構22について、第1切換弁22aにより吐出流路24と第3熱源配管25とが接続され、第2切換弁22bにより吐出流路24と第1熱源配管28とが接続される第3接続状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、熱源側膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cにおいては、第1調節弁66c、及び、第2調節弁67a、67bが開状態に制御され、かつ、第1調節弁66a、66b、及び、第2調節弁67cが閉状態に制御される。これにより、利用ユニット3a、3bの第2熱交換器52a、52bが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、利用ユニット3cの第2熱交換器52cが冷媒の放熱器として機能する。また、利用ユニット3a、3bの第2熱交換器52a、52bとカスケードユニット2の第2圧縮機21の吸入側とが第5連絡配管9を介して接続された状態になり、かつ、利用ユニット3cの第2熱交換器52cとカスケードユニット2の第2圧縮機21の吐出側とが第4連絡配管8を介して接続された状態になっている。また、第2過冷却膨張弁48aは、第2過冷却熱交換器47の出口を第3連絡配管7に向けて流れる二酸化炭素冷媒の過冷却度が所定条件を満たすように開度制御されている。バイパス膨張弁46aは、閉状態に制御される。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。
【0166】
このような第2回路10において、第2圧縮機21で圧縮され吐出された高圧の二酸化炭素冷媒は、その一部が、第2切換機構22の第2切換弁22b、第1熱源配管28及び第3閉鎖弁32を通じて、第4連絡配管8に送られ、残りが、第2切換機構22の第1切換弁22a及び第3熱源配管25を通じて、カスケード熱交換器35の第2流路35aに送られる。
【0167】
そして、第4連絡配管8に送られた高圧冷媒は、第1分岐配管63cに送られる。第1分岐配管63cに送られた高圧冷媒は、第1調節弁66c及び合流配管62cを通じて、利用ユニット3cの第2熱交換器52cに送られる。
【0168】
そして、第2熱交換器52cに送られた高圧冷媒は、第2熱交換器52cにおいて、第2ファン53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、第2熱交換器52cを流れる二酸化炭素冷媒は、放熱する。室内空気は、加熱されて室内に供給されて、利用ユニット3cの暖房運転が行われる。第2熱交換器52cにおいて放熱した二酸化炭素冷媒は、第2利用配管56cを流れ、利用側膨張弁51cにおいて流量調節される。その後、第2接続管16cを流れた二酸化炭素冷媒は、分岐ユニット6cの第3分岐配管61cに送られる。
【0169】
そして、第3分岐配管61cに送られた二酸化炭素冷媒は、第3連絡配管7に送られる。
【0170】
また、カスケード熱交換器35の第2流路35aに送られた高圧冷媒は、カスケード熱交換器35において、第1流路35bを流れる第1冷媒と熱交換を行うことによって放熱する。カスケード熱交換器35において放熱した二酸化炭素冷媒は、熱源側膨張弁36において流量調節された後、第2レシーバ45に流入する。第2レシーバ45から流出した二酸化炭素冷媒の一部は、第2過冷却回路48に分岐して流れ、第2過冷却膨張弁48aにおいて減圧された後に、吸入流路23に合流する。第2過冷却熱交換器47では、第2レシーバ45から流出した冷媒の他の一部が、第2過冷却回路48を流れる冷媒によって冷却された後、第5閉鎖弁31を通じて、第3連絡配管7に送られて、第2熱交換器52cにおいて放熱した冷媒と合流する。
【0171】
そして、第3連絡配管7において合流した冷媒は、2つに分岐して、分岐ユニット6a、6bの各第3分岐配管61a、61bに送られる。その後、第2接続管16a、16bを流れた冷媒は、各第1~第2利用ユニット3a、3bの第2利用配管56a、56bに送られる。第2利用配管56a、56bを流れる冷媒は、利用ユニット3a、3bの利用側膨張弁51a、51bを通過する。
【0172】
そして、開度調節されている利用側膨張弁51a、51bを通過した冷媒は、第2熱交換器52a、52bにおいて、第2ファン53a、53bによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、第2熱交換器52a、52bを流れる冷媒は、蒸発し、低圧のガス冷媒となる。室内空気は、冷却されて室内に供給される。これにより、室内空間が冷房される。第2熱交換器52a、52bにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、第1~第2分岐ユニット6a、6bの合流配管62a、62bに送られる。
【0173】
そして、合流配管62a、62bに送られた低圧のガス冷媒は、第2調節弁67a、67b及び第2分岐配管64a、64bを通じて、第5連絡配管9に送られて合流する。
【0174】
そして、第5連絡配管9に送られた低圧のガス冷媒は、第4閉鎖弁33、第2熱源配管29、吸入流路23、第2アキュムレータ30及び吸入配管23aを通じて、第2圧縮機21の吸入側に戻される。
【0175】
また、第2回路10を循環する第2冷凍機油は、第2アキュムレータ30の下部から油戻し通路23b、油戻し弁23c、及び吸入配管23aを通じて、第2圧縮機21の吸入側に戻される。
【0176】
このようにして、冷房主体運転における動作が行われる。
【0177】
(8-4)暖房主体運転
暖房主体運転では、例えば、利用ユニット3a、3bの第2熱交換器52a、52bが冷媒の放熱器として機能し、かつ、第2熱交換器52cが冷媒の蒸発器として機能する運転を行う。また、暖房主体運転では、カスケード熱交換器35は、二酸化炭素冷媒の蒸発器として機能する。この暖房主体運転では、冷凍サイクル装置1の第1回路5a及び第2回路10は、
図6に示すように構成される。
図6の第1回路5aに付された矢印及び第2回路10に付された矢印は、暖房主体運転時の冷媒の流れを示している。
【0178】
具体的には、第1ユニット5においては、第1切換機構72を第5接続状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を第1冷媒の放熱器として機能させるようになっている。第1切換機構72の第5接続状態は、
図6の第1切換機構72において破線で示された接続状態である。これにより、第1ユニット5では、第1圧縮機71から吐出され、第1切換機構72を通過して、第1閉鎖弁109を通過した第1冷媒は、第1連絡配管112を通過して、カスケード熱交換器35の第1流路35bに送られる。カスケード熱交換器35の第1流路35bを流れる冷媒は、第2流路35aを流れる二酸化炭素冷媒と熱交換することで凝縮する。カスケード熱交換器35において凝縮した第1冷媒は、全開状態に制御された第2膨張弁102を通過した後、第2連絡配管111、第2閉鎖弁108、第1過冷却熱交換器103の順に流れて、第1膨張弁76において減圧される。なお、暖房主体運転時には、第1過冷却膨張弁104aは閉状態に制御されることで、第1過冷却回路104には冷媒は流れないため、第1過冷却熱交換器103における熱交換も行われない。なお、第1膨張弁76は、例えば、第1圧縮機71に吸入される冷媒の過熱度が所定条件を満たすように弁開度が制御される。第1膨張弁76において減圧された冷媒は、第1熱交換器74において第1ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで蒸発し、第1切換機構72、第1アキュムレータ105を通過して、第1圧縮機71に吸入される。
【0179】
カスケードユニット2においては、第2切換機構22を第2接続状態に切り換える。第2切換機構22の第2接続状態では、第2切換弁22bにより吐出流路24と第1熱源配管28とが接続され、第1切換弁22aにより第3熱源配管25と吸入流路23とが接続される。これによって、カスケード熱交換器35を二酸化炭素冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。また、熱源側膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cにおいては、第1調節弁66a、66b、及び、第2調節弁67cが開状態に制御され、かつ、第1調節弁66c、及び、第2調節弁67a、67bが閉状態に制御される。これによって、利用ユニット3a、3bの第2熱交換器52a、52bは冷媒の放熱器として機能し、利用ユニット3cの第2熱交換器52cは冷媒の蒸発器として機能する。そして、利用ユニット3cの第2熱交換器52cとカスケードユニット2の第2圧縮機21の吸入側とは、第1利用配管57c、第1接続管15c、合流配管62c、第2分岐配管64c、及び第5連絡配管9を介して接続された状態になる。また、利用ユニット3a、3bの第2熱交換器52a、52bとカスケードユニット2の第2圧縮機21の吐出側とは、吐出流路24、第1熱源配管28、第4連絡配管8、第1分岐配管63a、63b、合流配管62a、62b、第1接続管15a、15b、第1利用配管57a、57bを介して接続された状態になっている。また、第2過冷却膨張弁48a及びバイパス膨張弁46aは、閉状態に制御される。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。
【0180】
このような第2回路10において、第2圧縮機21で圧縮され吐出された高圧の二酸化炭素冷媒は、第2切換機構22の第2切換弁22b、第1熱源配管28及び第3閉鎖弁32を通じて、第4連絡配管8に送られる。
【0181】
そして、第4連絡配管8に送られた高圧冷媒は、2つに分岐されて、運転中の利用ユニットである各第1利用ユニット3aと第2利用ユニット3bにそれぞれ接続されている第1分岐ユニット6aと第2分岐ユニット6bの第1分岐配管63a、63bに送られる。第1分岐配管63a、63bに送られた高圧冷媒は、第1調節弁66a、66b、合流配管62a、62b、及び第1接続管15a、15bを通じて、第1利用ユニット3aと第2利用ユニット3bの第2熱交換器52a、52bに送られる。
【0182】
そして、第2熱交換器52a、52bに送られた高圧の二酸化炭素冷媒は、第2熱交換器52a、52bにおいて、第2ファン53a、53bによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、第2熱交換器52a、52bを流れる冷媒は、放熱する。室内空気は、加熱されて室内に供給される。これにより、室内空間が暖房される。第2熱交換器52a、52bにおいて放熱した冷媒は、第2利用配管56a、56bを流れ、開度調節されている利用側膨張弁51a、51bを通過する。その後、第2接続管16a、16bを流れた冷媒は、分岐ユニット6a、6bの第3分岐配管61a、61bを介して、第3連絡配管7に送られる。
【0183】
そして、第3連絡配管7に送られた冷媒は、その一部が、分岐ユニット6cの第3分岐配管61cに送られ、残りが、第5閉鎖弁31を通じて、熱源側膨張弁36に送られる。
【0184】
そして、第3分岐配管61cに送られた冷媒は、第2接続管16cを介して、利用ユニット3cの第2利用配管56cを流れ、利用側膨張弁51cに送られる。
【0185】
そして、開度調節されている利用側膨張弁51cを通過した冷媒は、第2熱交換器52cにおいて、第2ファン53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、第2熱交換器52cを流れる冷媒は、蒸発し、低圧のガス冷媒となる。室内空気は、冷却されて室内に供給される。これにより、室内空間が冷房される。第2熱交換器52cにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、第1利用配管57cと第1接続管15cを通過し、合流配管62cに送られる。
【0186】
そして、合流配管62cに送られた低圧のガス冷媒は、第2調節弁67c及び第2分岐配管64cを通じて、第5連絡配管9に送られる。
【0187】
そして、第5連絡配管9に送られた低圧のガス冷媒は、第4閉鎖弁33、第2熱源配管29、吸入流路23、第2アキュムレータ30及び吸入配管23aを通じて、第2圧縮機21の吸入側に戻される。
【0188】
また、熱源側膨張弁36に送られた二酸化炭素冷媒は、開度調節されている熱源側膨張弁36を通過した後、カスケード熱交換器35の第2流路35aにおいて、第1流路35bを流れる第1冷媒と熱交換を行う。これにより、カスケード熱交換器35の第2流路35aを流れる冷媒は、蒸発して低圧のガス冷媒になり、第2切換機構22の第1切換弁22aに送られる。第2切換機構22の第1切換弁22aに送られた低圧のガス冷媒は、吸入流路23において第2熱交換器52cにおいて蒸発した低圧のガス冷媒と合流する。合流した冷媒は、第2アキュムレータ30及び吸入配管23aを介して、第2圧縮機21の吸入側に戻される。
【0189】
このようにして、暖房主体運転における動作が行われる。
【0190】
なお、暖房主体運転時には、制御部80によって、第2圧縮機21に液冷媒が流入しないために、第2圧縮機21から吐出される二酸化炭素冷媒の過熱度(吐出過熱度)に基づいて油戻し弁23cの開度を制御している。
【0191】
(9)起動時の制御方法
以下、
図7を参照して、上述した全暖房運転及び暖房主体運転の起動時の制御方法について説明する。本実施形態では、制御部80は、全暖房運転及び暖房主体運転の起動前に、油戻し弁23cを閉状態にしておく。
【0192】
まず、制御部80は、リモコン等から暖房運転または暖房主体運転の指令を受けると、外気温が第1温度以下か否かを判断する(ステップS1)。ステップS1において、制御部80は、外気温が第1温度を超えていると判断すると、二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態であるため、起動制御を実施せず、ステップS7に移行する。
【0193】
ステップS7では、制御部80は、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始め、かつ第2回路10において二酸化炭素を循環させ始め、かつ油戻し弁23cを開ける。ここでは、制御部80は、同じタイミングで、第1圧縮機71と第2圧縮機21を起動するとともに、油戻し弁23cを開ける。
【0194】
一方、制御部80は、外気温が第1温度以下であると判断すると、起動制御を実施する。具体的には、制御部80は、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始める(ステップS2)。このステップS2では、制御部80は、第1圧縮機71を起動する。
【0195】
次に、制御部80は、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ始める(ステップS3)。本実施形態のステップS3は、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させることによって、カスケード熱交換器35における第1冷媒の凝縮温度が所定値以上に上昇したときに、実施される。具体的には、制御部80は、第1冷媒の凝縮温度が所定値以上に上昇したか否かを判断する。制御部80は、第1冷媒の凝縮温度が所定値未満であると判断すると、第2回路10において二酸化炭素を循環させない。一方、制御部80は、第1冷媒の凝縮温度が所定値以上と判断すると、第2圧縮機21を起動して、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ始める。
【0196】
次に、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び冷凍機油の温度又は圧力が、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上か否かを判断する(ステップS4)。ここでは、制御部80は、第2吸入温度センサ88及び第2吸入圧力センサ37の少なくとも一方から、吸入配管23aを流れる二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度または圧力を取得して、上記判断を行う。
【0197】
ステップS4において、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が所定温度又は所定圧力以上であると判断すると、二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態であるため、油戻し弁23cを開ける(ステップS5)。
【0198】
一方、ステップS4において、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が所定温度又は所定圧力未満であると判断すると、第2アキュムレータ30内において二酸化炭素冷媒の密度が冷凍機油の密度と反転しているため、油戻し弁23cの閉状態を維持する(ステップS6)。そして、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が所定温度又は所定圧力以上であると判断する工程(ステップS4)に戻る。
【0199】
(10)特徴
(10-1)
本実施の形態の冷凍サイクル装置1は、第1回路5aと、第2回路10と、カスケード熱交換器35と、制御部80と、を備える。第1回路5aは、第1冷媒が循環する。第2回路10は、二酸化炭素冷媒及び冷凍機油(本実施形態では第2冷凍機油)が循環する。カスケード熱交換器35は、二酸化炭素冷媒を第1冷媒によって加熱する。第2回路10は、第2圧縮機21と、容器(本実施形態では第2アキュムレータ30)と、吸入配管23aと、油戻し通路23bと、弁(本実施形態では油戻し弁23c)と、を有している。第2アキュムレータ30は、第2圧縮機21の吸入側に設けられ、二酸化炭素冷媒及び冷凍機油を貯留する。吸入配管23aは、第2圧縮機21の吸入側と第2アキュムレータ30とを接続する。油戻し通路23bは、第2アキュムレータ30の下部から吸入配管23aに第2冷凍機油を戻す。油戻し弁23cは、油戻し通路23bに設けられている。制御部80は、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始めた後に、油戻し弁23cを開ける起動制御を実施する。
【0200】
二酸化炭素冷媒を第1冷媒によって加熱する運転(本実施形態では全暖房運転及び暖房主体運転)の起動時に、外気温が低いため、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の温度が低い場合がある。このような場合、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始めることにより、カスケード熱交換器35を介して、第2回路10の容器内の二酸化炭素冷媒の温度を上げることができる。このため、外気温が低かったとしても、第2アキュムレータ30内において、二酸化炭素冷媒の密度が冷凍機油の密度よりも低い、正常な状態にできる。正常な状態になった後に、第2アキュムレータ30の下部から延びる油戻し通路23bの油戻し弁23cを開けるので、油戻し通路23bに液相の二酸化炭素冷媒が流れることを抑制できる。したがって、第2圧縮機21に液冷媒が流入することを抑制することができる。
【0201】
このように、外気温が低かったとしても、起動制御を行うことによって、第2アキュムレータ30内において、二酸化炭素冷媒の密度が冷凍機油の密度よりも低い、正常な状態にできる。このため、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、第2アキュムレータ30を加熱するための部材を省略しても、第2圧縮機21に液冷媒が流入することを抑制することができる。
【0202】
(10-2)
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、上記(10-1)の冷凍サイクル装置1であって、制御部80は、起動制御おいて、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び冷凍機油の温度又は圧力が、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上になると、油戻し弁23cを開ける。
【0203】
ここでは、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び冷凍機油の温度又は圧力が、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上になると、第2アキュムレータ30内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態になったと判断できる。このため、第2圧縮機21に液冷媒が流入することをより抑制することができる。
【0204】
(10-3)
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、上記(10-1)または(10-2)の冷凍サイクル装置1であって、制御部80は、起動制御において、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始めた後に、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ始める。
【0205】
ここでは、第1回路5aの第1冷媒を循環させ始めることにより、カスケード熱交換器35を介して、第2回路10の第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の温度を上げてから、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ始める。このため、第2回路10の運転の効率を向上することができる。
【0206】
(10-4)
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、上記(10-3)の冷凍サイクル装置1であって、制御部80は、起動制御において、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ始めた後に、油戻し弁23cを開ける。
【0207】
ここでは、第1回路5aにおいて第1冷媒が循環し、さらに第2回路10において二酸化炭素冷媒が循環することで、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の温度を効率的に上げることができる。これにより、第2アキュムレータ30内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とを正常な状態にすることが容易である。正常な状態になった後に、油戻し通路23bの油戻し弁23cを開けるので、第2圧縮機21に液冷媒が流入することを容易に抑制することができる。
【0208】
(10-5)
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、上記(10-1)から(10-4)の冷凍サイクル装置1のいずれかであって、制御部80は、外気温が第1温度以下の時に起動制御を実施し、外気温が第1温度を超える時には、起動制御を実施しない。
【0209】
ここでは、外気温が第1温度以下に起因して、第2アキュムレータ30内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態でない場合に、起動制御を実施することによって、第2圧縮機21に液冷媒が流入することを抑制できる。一方、外気温が第1温度を超えることに起因して、第2アキュムレータ30内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態である場合には、油戻し通路23bの油戻し弁23cを閉めなくても、第2圧縮機21に液冷媒が流入することを抑制できる。
【0210】
(10-6)
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、上記(10-5)の冷凍サイクル装置1であって、制御部80は、外気温が第1温度を超える時には、第1回路5aの運転と、第2回路10の運転と、油戻し弁23cの開動作と、を同時に開始する。
【0211】
ここでは、外気温が第1温度以下に起因して、第2アキュムレータ30内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態でない場合に、第1回路5aの運転を開始した後に、油戻し弁23cを開ける起動制御によって、第2圧縮機21に液冷媒が流入することを抑制できる。一方、外気温が第1温度を超えることに起因して、第2アキュムレータ30内における冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態である場合には、第1回路5aの運転開始と、第2回路10の運転開始と、油戻し通路23bの油戻し弁23cを開けることと、を、同時に実施できる。
【0212】
(10-7)
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、上記(10-1)から(10-6)の冷凍サイクル装置1のいずれかであって、第1冷媒は、R32である。
【0213】
ここでは、第1回路5aにR32が循環することによって、カスケード熱交換器35において、二酸化炭素冷媒と効率的に熱交換を行うことができる。
【0214】
(11)変形例
(11-1)変形例1
上記実施形態では、制御部80は、全暖房運転または暖房主体運転の起動時に、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ、次に、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ、次に、油戻し弁23cを開ける起動制御を行うが、これに限定されない。本変形例では、制御部80は、全暖房運転または暖房主体運転の起動時に、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ、次に、油戻し弁23cを開け、次に、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させる起動制御を実施する。
【0215】
具体的には、
図8に示すように、まず、制御部80は、外気温が第1温度以下か否かを判断する(ステップS1)。ステップS1において、制御部80は、外気温が第1温度を超えていると判断すると、二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態であるため、第1回路5aの運転と、第2回路10の運転と、油戻し弁23cの開動作と、を同時に開始する(ステップS7)。
【0216】
一方、ステップS1において、制御部80は、外気温が第1温度以下であると判断すると、起動制御を実施する。具体的には、制御部80は、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始める(ステップS2)。
【0217】
次に、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び冷凍機油の温度又は圧力が、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上か否かを判断する(ステップS4)。
【0218】
ステップS4において、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が所定温度又は所定圧力未満であると判断すると、第2アキュムレータ30内において二酸化炭素冷媒の密度が冷凍機油の密度と反転しているため、油戻し弁23cの閉状態を維持する(ステップS6)。そして、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が所定温度又は所定圧力以上であると判断する工程(ステップS4)に戻る。
【0219】
一方、ステップS4において、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が所定温度又は所定圧力以上であると判断すると、二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態であるため、油戻し弁23cを開ける(ステップS5)。
【0220】
次に、制御部80は、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ始める(ステップS3)。
【0221】
(11-2)変形例2
上記実施形態では、制御部80は、全暖房運転または暖房主体運転の起動時に、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ、次に、第2回路10において二酸化炭素冷媒を循環させ、次に、油戻し弁23cを開ける起動制御を行うが、これに限定されない。本変形例では、制御部80は、全暖房運転または暖房主体運転の起動時に、第1回路5aの運転と第2回路10の運転と、を同時に行う起動制御を実施する。
【0222】
具体的には、
図9に示すように、まず、制御部80は、外気温が第1温度以下か否かを判断する(ステップS1)。ステップS1において、制御部80は、外気温が第1温度を超えていると判断すると、二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態であるため、第1回路5aの運転と、第2回路10の運転と、油戻し弁23cの開動作と、を同時に開始する(ステップS7)。
【0223】
一方、ステップS1において、制御部80は、外気温が第1温度以下であると判断すると、起動制御を実施するため、ステップS11に移行する。
【0224】
ステップS11では、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始めるとともに、第2回路10において二酸化炭素を循環させ始める。ここでは、第1圧縮機71と第2圧縮機21を同時に起動する。
【0225】
次に、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び冷凍機油の温度又は圧力が、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上か否かを判断する(ステップS4)。
【0226】
ステップS4において、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が所定温度又は所定圧力未満であると判断すると、第2アキュムレータ30内において二酸化炭素冷媒の密度が冷凍機油の密度と反転しているため、油戻し弁23cの閉状態を維持する(ステップS6)。そして、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が所定温度又は所定圧力以上であると判断する工程(ステップS4)に戻る。
【0227】
一方、ステップS4において、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び第2冷凍機油の温度又は圧力が所定温度又は所定圧力以上であると判断すると、二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが正常な状態であるため、油戻し弁23cを開ける(ステップS5)。
【0228】
以上説明したように、本変形例の冷凍サイクル装置1は、上記(10-1)または(10-2)の冷凍サイクル装置1であって、制御部80は、起動制御において、第1回路5aの運転と、第2回路10の運転と、を同時に開始する。
【0229】
このように、第1回路5aにおける第1冷媒の循環と、第2回路10における二酸化炭素冷媒の循環とを、同時に行ってもよい。
【0230】
なお、「同時」とは、例えば、制御部80が、同じタイミングで、第1圧縮機71及び第2圧縮機21の起動を指令することである。このため、第1回路5aにおける第1冷媒の循環と、第2回路10における二酸化炭素冷媒の循環とが、完全に同じ時刻に開始される場合と、いずれか一方がわずかに先に開始される場合とを含む。
【0231】
(11-3)変形例3
上記本実施形態では、制御部80は、全暖房運転及び暖房主体運転の起動前に、油戻し弁23cを閉状態にしているが、これに限定されない。全暖房運転及び暖房主体運転の起動前に、油戻し弁23cを開状態にしてもよい。本変形例では、カスケード熱交換器35における二酸化炭素冷媒の蒸発温度が所定値以上である場合には、第2回路10における二酸化炭素冷媒の循環前に、油戻し弁23cを開状態にする。
【0232】
(11-4)変形例4
上記実施形態では、制御部80は、外気温が第1温度を超える時には、第1回路5aの運転と、第2回路10の運転と、油戻し弁23cの開動作と、を同時に開始するが、これに限定されない。本開示の冷凍サイクル装置では、制御部80は、外気温が第1温度を超える時には、第1回路5aの運転開始と、第2回路10の運転開始と、油戻し弁23cの開動作と、の順序を、任意に指令することができる。本変形例では、外気温が第1温度を超える時には、第1回路5aと第2回路10とを同時起動するとともに、油戻し弁23cの開動作を第1回路5a及び第2回路10の起動の前または後に行う。
【0233】
(11-5)変形例5
上記実施形態及び変形例1~4では、制御部80は、外気温が第1温度以下の時に起動制御を実施するが、これに限定されない。本変形例では、制御部80は、全暖房運転または暖房主体運転の起動時に、外気温によらずに起動制御を実施する。換言すると、
図10に示すように、
図7~
図10における外気温が第1温度以下か否かを判断する工程(ステップS1)は省略される。
【0234】
(11-6)変形例6
上記実施形態及び変形例1~5では、制御部80は、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒及び冷凍機油の温度又は圧力が、第2アキュムレータ30内の二酸化炭素冷媒の密度と冷凍機油の密度とが等しくなる境界温度に対応する所定温度又は所定圧力以上になると、油戻し弁23cを開けるが、これに限定されない。本変形例では、制御部80は、第1回路5aにおいて第1冷媒を循環させ始めた後に、所定時間経過後に、油戻し弁23cを開ける。なお、所定時間は、第1冷媒を循環させることによって、第2アキュムレータ30内が正常な状態になるように、二酸化炭素冷媒の温度を上げる時間である。
【0235】
(11-7)変形例7
上記実施形態では、制御部80は、全暖房運転の起動時及び暖房主体運転の起動時に、起動制御を実施しているが、これに限定されない。本開示の冷凍サイクル装置では、制御部80は、全暖房運転の起動時または暖房主体運転の起動時に、起動制御を実施してもよい。また、本開示の冷凍サイクル装置では、制御部80は、全冷房運転時及び冷房主体運転時の少なくとも一方の起動時に、起動制御をさらに実施してもよい。
【0236】
(11-8)変形例8
上記実施形態では、第2回路10において用いられる第2冷凍機油としてポリアルキレングリコールを例に挙げて説明したが、これに限定されない。本開示の第2冷凍機油は、二酸化炭素冷媒と全く溶け合わない非相溶性であってもよく、二酸化炭素冷媒と少しは溶け合うが溶け合う量が少ない弱相溶性であってもよい。
【0237】
(11-9)変形例9
上記実施形態では、第1回路5aにおいて用いられる第1冷媒としてR32を例に挙げて説明したが、これに限定されない。第1回路5aにおいて用いられる第1冷媒としては、例えば、R32、R454C、プロパン、R1234yf、R1234ze、アンモニア、またはいずれかを含む冷媒を用いることができる。
【0238】
(11-10)変形例10
上記実施形態では、第2回路10は、3つの連絡配管7、8、9を有しているが、これに限定されない。本変形例の冷凍サイクル装置は、2つの連絡配管を有している。本変形例は、例えば、複数の利用ユニット3a、3b、3cが個別に冷房運転または暖房運転を行うことが可能でない構成、第2ユニットが1つの構成などに適用される。
【0239】
(11-11)変形例11
上記実施形態では、1つの第1ユニット5に対して1つのカスケードユニット2が接続された冷凍サイクル装置1を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本変形例の冷凍サイクル装置1は、1つの第1ユニット5に対して複数のカスケードユニット2が互いに並列に接続される。
【0240】
(11-12)変形例12
上記実施形態では、1つのカスケードユニット2に対して複数の第2ユニット4a、4b、4cが接続された冷凍サイクル装置1を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本変形例の冷凍サイクル装置は、1つのカスケードユニット2に対して1つの第2ユニットが接続される。
【0241】
(11-13)変形例13
上記実施形態では、第1ユニット5として、第1冷媒と熱交換する室外空気を第1熱交換器74に供給するための第1ファン75を有する室外ユニットを例に挙げて説明したが、これに限定されない。本変形例では、第1ユニットは、第1ファン75を有しておらず、第1熱交換器74において、第1冷媒と、熱源としての水とを熱交換させる。
【0242】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0243】
1 :冷凍サイクル装置
5a :第1回路
10 :第2回路
21 :第2圧縮機
23a :吸入配管
23b :油戻し通路
23c :油戻し弁(弁)
30 :第2アキュムレータ(容器)
35 :カスケード熱交換器
52a,52b,52c :第2熱交換器
71 :第1圧縮機
74 :第1熱交換器
80 :制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0244】