(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電子タバコ用液体組成物及びそれを有する電子タバコ
(51)【国際特許分類】
A24B 15/167 20200101AFI20241030BHJP
A24F 40/10 20200101ALN20241030BHJP
【FI】
A24B15/167
A24F40/10
(21)【出願番号】P 2020117452
(22)【出願日】2020-07-08
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】519006850
【氏名又は名称】株式会社ワンインチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002136
【氏名又は名称】弁理士法人たかはし国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 耕佑
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0035118(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0037909(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110367581(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/167
A24F 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体組成物を加熱することによって該液体組成物に含有されている有効成分
であるカンナビノイドを放出する電子タバコ用液体組成物であって、
成熟した大麻から抽出されるカンナビジオール(CBD)を、該有効成分の主成分として含有し、更に、ピペリン、及び、溶媒を少なくとも含有
し、
該カンナビジオール(CBD)
を結晶由来のもの
とすることで、テトラヒドロカンナビノール(THC)を削減したものであることを特徴とする電子タバコ用液体組成物。
【請求項2】
テトラヒドロカンナビノール(THC)を実質的に含有しない請求項1に記載の電子タバコ用液体組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子タバコ用液体組成物(ただし、テトラヒドロカンナビノール酸合成酵素(配列識別番号21)の発現をダウンレギュレートすることによって、対照の大麻植物と比較して、Δ9-テトラヒドロカンナビノール酸を低減させた大麻植物からのものを含有する場合を除く)。
【請求項4】
前記溶媒が、アルコール系溶媒及び/又は水を含有する請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の電子タバコ用液体組成物。
【請求項5】
前記アルコール系溶媒が、グリセリン及び/又はグリコールである請求項4に記載の電子タバコ用液体組成物。
【請求項6】
前記カンナビノイドと前記ピペリンとを、質量で
9:1~7:3の範囲の比で含有する請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の電子タバコ用液体組成物。
【請求項7】
前記溶媒100質量部に対し、前記カンナビノイド1質量部以上300質量部以下、及び、前記ピペリン0.1質量部以上60質量部以下で含有する請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の電子タバコ用液体組成物。
【請求項8】
更に、カフェインを含有する請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の電子タバコ用液体組成物。
【請求項9】
前記ピペリン、及び、前記カフェインが、植物に含有されているものであり、該植物から抽出されたものである請求項8に記載の電子タバコ用液体組成物。
【請求項10】
更に、香料を含有する請求項1ないし請求項
9の何れかの請求項に記載の電子タバコ用液体組成物。
【請求項11】
請求項1ないし請求項
10の何れかの請求項に記載の電子タバコ用液体組成物を有するものであることを特徴とする電子タバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、カンナビノイド及びピペリンを含有する電子タバコ用液体組成物及びそれを有する電子タバコに関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物である麻は、大麻(たいま)、大麻草等とも呼ばれ、特にその葉と花には、ヒトに対して独特の効果を奏するテトラヒドロカンナビノール(THC)が含まれているため、麻の葉又は花を乾燥させたものは、これについても、改めて「大麻(たいま)」と呼ばれることもあり、昔から使用されてきた。
【0003】
特許文献1には、カンナビノイドである「カンナビジオール(CBD)とテトラヒドロカンナビノール(THC)の組み合わせ」を含有する「TRPチャンネルの遮断剤」が記載され、該遮断剤によって、神経障害性疼痛、炎症、血管収縮等が緩和させられることが記載されており、更に、これら2種のカンナビノイドは、大麻から抽出される(作られる)ことが記載されている。
しかしながら、この「TRPチャンネルの遮断剤」は、テトラヒドロカンナビノール(THC)を必須成分として含むものであり、TRPチャンネルの遮断も、ペトリ皿内で確かめられたものであり、ヒトの呼吸器から投与した旨の記載がない上に、前記症状の緩和もヒトで直接確かめられたものではなかった。
【0004】
特許文献2には、CBDオイルとフコイダンとを配合した健康食品が記載されており、それらの組み合わせにより相乗効果を発揮し、人体の細胞の正常化と活性化を図ることができるとしている。
しかしながら、「CBDオイル」には、一般に危険とされるテトラヒドロカンナビノール(THC)が含有されていることに加え、特許文献2には、投与が呼吸器からであることの記載がなく、電子タバコについては記載も示唆もない。
【0005】
特許文献3には、カンナビノイド、及び、テルペン/フラボノイドを含む抽出物であって、該「カンナビノイド」として、少なくとも4種のカンナビノイドを含む抽出物が記載されている。
しかしながら、特許文献3に記載の発明は、抽出方法や前記4種の含有比に特徴があるものであり、該4種の中には一般に危険とされるテトラヒドロカンナビノール(THC)が選択肢として存在するものであり、しかもその投与はジュースかスムージーによるものであった。
【0006】
特許文献4には、カンナビノイド、噴射剤、アルコール等を含有する組成物が記載されており、該組成物は、微粒分を有するエアロゾルの形態で肺投与されることも記載されている。
しかしながら、特許文献4の組成物は、テトラヒドロカンナビノール(THC)が選択肢として存在するものであり、また、神経障害性疼痛、動揺病、関節炎、「アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症等の神経変性疾患」等の病気に罹っている又は障害を持っている対象の治療方法を提供するものであり、人に対して、特に健常人に対して、覚醒効果と鎮静効果を両立させるようなものではなかった。
【0007】
一方、ピペリンは、アルカロイドの一種であり、黒胡椒の辛味の成分であり、伝統医学や殺虫剤としての用途に用いられてきた。
【0008】
引用文献5は、バニリン受容体アゴニスト(VRA)を投与する出血を制御する方法に係る発明が記載されているが、該VRAの例示化合物として、カンナビノイドとピペリンが羅列的に記載されている。
しかしながら、これらは同一効果を奏するものとして列挙されているに過ぎなく、引用文献5には、これら2種の化合物の相乗効果については記載も示唆もない。しかも、その投与方法は、損傷した血管に対して局所的に投与するものであり、電子タバコ用液体組成物とは、発明の課題・目的、効果、用途が全て異なるものである。
【0009】
引用文献6には、コア-シェルの形態である微粒子が記載されており、該コアに含有される活性薬剤として、カンナビジオール(CBD)とピペリンとが羅列的に記載されている。
しかしながら、引用文献6に記載の発明の課題・目的は、胃腸管内における標的部位に有効容量を与えるためにコア-シェルの形態にすることにあり、これら2種の化合物は、使用され得る活性薬剤の例として単に列挙されているに過ぎない。また、引用文献6の微粒子は経口投与剤であるので、電子タバコ用液体組成物とは、発明の課題・目的、効果、用途が全て異なるものである。
【0010】
近年、頭脳労働者が増えて覚醒状態が望まれている一方で、ストレスが多くなるため睡眠を十分にとれる沈静状態も望まれているが、十分にその効果を奏するものは殆どなかった。況や、良睡眠、抗疼痛、抗不安等を目的とし、該効果を奏するものとして、電子タバコをその用途として用いたものはなかった。すなわち、不安や疼痛等を、好適に簡便に軽減できる方法はなかった。
【0011】
更に、ニコチンを含むタバコへの依存を断つために禁煙を望む人も多い。タバコへの依存として、身体的依存(ニコチン依存)と心理的依存(行動依存)がある。そのうち、心理的依存は習慣や癖によるもので、喫煙期間が長くなるほど強くなる傾向がある。従来のニコチンを含まない電子タバコは、ほとんど、医学的にニコチン依存からの脱却に着目しており、前記心理的依存(行動依存)に着目したものは殆どなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2008/129258号
【文献】特開2017-079615号公報
【文献】国際公開第2016/064987号
【文献】特開2018-150334号公報
【文献】特表2007-525431号公報
【文献】特表2019-513146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、前記問題点を解決し、ヒトが体内に摂取することで、睡眠効果、不安抑制効果、鎮静効果、疼痛抑制効果、禁煙効果等を奏する液体組成物、及び、その摂取方法、摂取用具(器具)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、前記の課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、前記器具として電子タバコを採用して呼吸器(肺)から体内に摂取することとし、更に、該電子タバコ用の液体組成物(電子タバコ用リキッド)として、少なくとも、カンナビノイドとピペリンの両方を含有させることによって、睡眠効果、不安抑制効果、鎮静効果、疼痛抑制効果、禁煙効果等を奏することを見出して、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、液体組成物を加熱することによって該液体組成物に含有されている有効成分を放出する電子タバコ用液体組成物であって、
麻の茎又は種子に含有されるカンナビノイド、ピペリン、及び、溶媒を少なくとも含有することを特徴とする電子タバコ用液体組成物を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、前記カンナビノイドが、麻の茎又は種子から抽出された、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビゲロール(CBG)、及び、カンナビディバリン(CBDV)よりなる群から選択された少なくとも1種のカンナビノイドである前記の電子タバコ用液体組成物を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、電子タバコ用液体組成物に溶解されている前記カンナビノイドが、麻の茎又は種子から抽出されたカンナビジオール(CBD)の結晶由来のものである前記の電子タバコ用液体組成物を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、前記カンナビノイドと前記ピペリンとを、質量で9.5:0.5~2:8の範囲の比で含有する前記の電子タバコ用液体組成物を提供するものである。
【0019】
また、本発明は、前記溶媒100質量部に対し、前記カンナビノイド1質量部以上300質量部以下、及び、前記ピペリン0.1質量部以上60質量部以下で含有する前記の電子タバコ用液体組成物を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、更に、香料を含有する前記の電子タバコ用液体組成物を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、前記の電子タバコ用液体組成物を有するものであることを特徴とする電子タバコを提供するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、前記問題点や前記課題を解決し、カンナビノイド及びピペリンを、加熱型の電子タバコを使用して蒸発又は霧化等することで放出し、それらを肺に吸い込むことによって、それらを摂取したヒトに対し、就寝効果と起床効果よりなる睡眠効果、不安抑制効果、鎮静効果、疼痛抑制効果、禁煙効果等をもたらすことができる。
本発明は、疾患を有する人にも健常人にも適している(適用することができる)。
【0023】
具体的には、摂取日の就寝や睡眠に効果があり、翌日の目覚めが良くなる(寝つきと寝起きがスムースにでき起床効果が上がる)等と言った効果が得られ、睡眠導入剤を服用するのと類似の効果が得られる。
更に、普段、慢性的な痛みに苦しんでいる人が、本発明を実施すれば、疼痛抑制効果が得られる。
【0024】
また、本発明によれば、「ニコチンを摂取する喫煙」を代替できるので、喫煙に対する心理的依存(行動依存)を利用しつつ、ニコチン依存・喫煙依存から脱却することができる。
【0025】
ピペリンがカンナビノイドの上記効果を増強していると考えられる。ピペリンをカンナビノイドに対して併用すると、そこで使用したピペリンの量をカンナビノイドの増量に転化したときより、(同じ合計量ではあるが)カンナビノイドの優れた効果を増強することができる。また、ピペリンの含有によって、使用するカンナビノイドの量を減らすことができる。
【0026】
更に、本発明の電子タバコ用液体組成物の必須成分である、カンナビノイド、ピペリン、及び、好ましくはカフェインや香料も含め、何れも植物由来のものとすることによって、安心して使用できるようになり、また前記効果も上昇する。
本発明の電子タバコ用液体組成物に、テトラヒドロカンナビノール(THC)を含有させないことによって、医学的にも法律的(規則的)にも許容され、発明の効果についても優れたものとなる。
【0027】
また、本発明の電子タバコ用液体組成物中のカンナビノイドとピペリンの含有濃度(割合)や両者の含有比を特定の範囲とすることによって、前記効果を更に好適に奏するようになる。
【0028】
また、更にカフェインをも併用したときには、摂取直後の計算能力が上昇し、翌日の起床に効果がある(目覚めが良い等)と言った起床効果や覚醒効果も得られる。
また、特定の香料を併用すれば、更に、睡眠効果、不安抑制効果、鎮静効果、疼痛抑制効果、禁煙効果等を増強することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0030】
本発明の電子タバコ用液体組成物は、液体組成物を加熱することによって該液体組成物に含有されている有効成分を放出する電子タバコ用液体組成物であって、麻の茎又は種子に含有されるカンナビノイド、ピペリン、及び、溶媒を少なくとも含有することを特徴とする。
【0031】
<電子タバコ>
本発明における電子タバコは、液体組成物を加熱することによって該液体組成物に含有されている有効成分を放出するものであれば、どのようなものでもよく、市販の電子タバコや加熱式タバコで使用されているシステム・構造を有するものも好適に用いられる。該放出としては、特に限定はなく、霧化、蒸発・昇華による気化、エアロゾル状での放出等が挙げられる。
【0032】
加熱源としては、電池を使用したものが好ましく、ワイヤーは、カンタル、ニクロム、ステンレス、ニッケル、チタン等何れも使用可能である。また、ヴェポライザーを使用したものでもよい。
本発明の電子タバコ用液体組成物は、直接電子タバコの中に入れてもよく、カートリッジ方式でもよく、脱脂綿、不織布等の担持体に浸み込ませて使用してもよい。
【0033】
本発明は、下記する電子タバコ用液体組成物を有するものであることを特徴とする電子タバコでもある。
【0034】
<カンナビノイド>
「カンナビノイド」とは、麻(大麻草)に含まれる化学物質の総称である。
本発明の電子タバコ用液体組成物に含有されるカンナビノイドは、麻(大麻草)から抽出したものであっても、合成したものであっても、抽出したものに反応を加えて半合成したものであってもよい。
「麻から抽出したもの」の概念には、1種のカンナビノイドも含まれ(使用でき)、複数の(数十種類の)カンナビノイドの混合物も含まれ(使用でき)、(半)合成したものでは、カンナビノイド誘導体やその塩も含まれる(使用できる)。
【0035】
本発明におけるカンナビノイドは、麻(大麻草)から抽出したものが好ましい。麻の葉又は花から抽出されたものは、国によっては法的に規制があるテトラヒドロカンナビノール(THC)を含有するので、本発明におけるカンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC)を含有しない等の点から、麻の茎又は種子から抽出されたものがより好ましい。
日本国の大麻取締法を勘案するならば、テトラヒドロカンナビノール(THC)を全く含有しない等の点から、前記した「麻の茎又は種子」は、「成熟した麻の茎又は種子」に含有されているものが特に好ましい。
【0036】
テトラヒドロカンナビノール(THC)を含有すると、法的な規制がある上に、「好ましい睡眠効果、不安抑制効果、鎮静効果、疼痛抑制効果又は鎮静効果」とは言えない現象・症状・効果が生じる場合があるので、本発明における前記「カンナビノイド」としては不適の場合がある。言い換えれば、本発明の電子タバコ用液体組成物には、テトラヒドロカンナビノール(THC)は含有されていないことが好ましい。
【0037】
本発明の電子タバコ用液体組成物は、前記カンナビノイドが、麻の茎又は種子から抽出された、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビゲロール(CBG)、及び、カンナビディバリン(CBDV)よりなる群から選択された少なくとも1種のカンナビノイドを含有することが好ましい。
前記カンナビノイドは、1種が含有されていても2種以上が含有されていてもよい。
【0038】
<<カンナビジオール(CBD)>>
中でも、カンナビジオール(CBD)を、カンナビノイドの主成分として含有することがより好ましい。ここで、「主成分」とは、1種のカンナビノイドを、カンナビノイド全体に対して80質量%以上で含有することを言い、90質量%以上で含有することが好ましく、97質量%以上で含有することがより好ましく、99質量%以上で含有することが更に好ましく、99.5質量%以上で含有することが特に好ましく、99.9質量%以上で含有することが最も好ましい。
【0039】
更には、本発明の電子タバコ用液体組成物では、カンナビジオール(CBD)をカンナビノイド全体に対して100質量%で含有すること、すなわち、前記「カンナビノイド」としてカンナビジオール(CBD)のみにすることが特に好ましく、麻の茎又は種子から抽出されたカンナビジオール(CBD)の結晶を、後述する溶媒に溶解してなる電子タバコ用液体組成物が最も好ましい。結晶であることは純度が高いことを意味し、そこに含まれる不純物の作用による問題が生じる恐れがない。
すなわち、本発明の電子タバコ用液体組成物は、電子タバコ用液体組成物に溶解されている前記カンナビノイドが、麻の茎又は種子から抽出されたカンナビジオール(CBD)の結晶由来のものであることが最も好ましい。
【0040】
<ピペリン>
本発明の電子タバコ用液体組成物に含有されるピペリン(piperine)は、胡椒等から抽出した天然のものでも、(半)合成したものでもよいが、本発明の電子タバコ用液体組成物の有効成分を全て天然物にできる点、入手が容易である点等から、天然物(胡椒等)由来のものが好ましい。
【0041】
植物からピペリンを取り出す方法は、特に限定はないが、超臨界流体抽出法、亜臨界流体抽出法、水蒸気蒸留法、水溶媒抽出法、有機溶媒抽出法、加熱昇華法等によって取り出すことができる。該超臨界流体としては二酸化炭素等が挙げられる。
【0042】
本発明の電子タバコ用液体組成物に溶解されている前記ピペリンは、胡椒等の天然物から得られたピペリンの結晶であることが、純度が高い点、そこに含まれる不純物の作用による問題が生じる恐れがない点等から好ましい。結晶であることは純度が高いことを意味する。
【0043】
<溶媒>
本発明の電子タバコ用液体組成物は、溶媒を必須成分として含有する。すなわち、電子タバコ用液体組成物は、少なくともカンナビノイドとピペリンとが該溶媒に溶解されてなるものである。
【0044】
前記溶媒は、アルコール系溶媒及び/又は水を含有することが好ましい。アルコール系溶媒を主成分としてもよく、水を主成分としてもよく、「水とアルコール系溶媒の混合溶媒」を主成分としてもよい。中でも、アルコール系溶媒を主成分としているものが好ましい。ここで「主成分」とは、前記した定義と同じように定義される。
ここで、アルコール系溶媒は、1種を用いてもよく2種以上を用いてもよい。
【0045】
該アルコール系溶媒としては、食品添加物として認可されているものが好ましく、また、例えば植物性グリセリン等の「天然由来のアルコール系溶媒」が好ましい。
該アルコール系溶媒としては、具体的には、グリセリン及び/又はグリコールが好ましい。該「グリセリン」には、ジグリセリン等のポリグリセリンも含まれる。該グリコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が好ましいものとして挙げられる。
該グリコールとしては、プロピレングリコールより沸点が高いものが好ましい。該グリセリンとしては1種を用いてもよく2種以上を用いてもよい。該グリコールとしては1種を用いてもよく2種以上を用いてもよい。
【0046】
<カフェイン>
本発明の電子タバコ用液体組成物には、特に限定はないが、更にカフェインを含有することも好ましい。該カフェインは、所謂「純カフェイン」であっても、「純カフェイン」でなくてもよいが、「植物に含有されており該植物から抽出されたもの」が、製造が容易であり、また、天然由来であることで、本発明の電子タバコ用液体組成物に含有される成分を「全て天然由来にできる」ことからも好ましい。
【0047】
中でも、前記カフェインが植物に含有されていたものが好ましく、コーヒーノキ、ガラナ、カカオノキ等の実に含まれる種子;茶葉;等の植物(の一部)に含有されていたものが、製造が容易であり、また、天然由来であることで、本発明の電子タバコ用液体組成物に含有される成分を「全て天然由来にできる」ことからもより好ましい。
【0048】
前記カフェインとしては、コーヒー、コーヒー飲料、ガラナ、ガラナ飲料、緑茶、ウーロン茶、紅茶、マテ茶、ココア、チョコレート等の飲食品に含有されるカフェインをそのまま使用することも好ましい。
その際、電子タバコ用液体組成物には、これら飲食品に含有されている「水」や「カフェイン以外の成分」をそのまま含有していてもよく、これらに含有されている水は、後述する「溶媒」としても使用可能である(「溶媒(の1つ)」と見なすこともできる)。
【0049】
植物からカフェインを取り出す方法は、特に限定はないが、超臨界流体抽出法、亜臨界流体抽出法、水蒸気蒸留法、水溶媒抽出法、有機溶媒抽出法、加熱昇華法等によって取り出すことができる。該超臨界流体としては二酸化炭素等が挙げられる。
【0050】
本発明の電子タバコ用液体組成物に、更にカフェインを含有すると、摂取直後の「演算速度」が顕著に上昇し、翌日の起床にも効果がある(起床効果(目覚めが良い等))、また、覚醒効果が、本来の睡眠効果・鎮静効果と同時に(並列して)得られる。
【0051】
<香料>
本発明の電子タバコ用液体組成物は、特に限定はないが、更に香料を含有することが好ましい。該香料としては、天然香料、合成香料、調合香料の何れも使用できる。また、フレーバー(食品添加物)でも、フレグランス(化粧品香料)でも使用できる。
該香料の香りの種類としては、シトラス系、フローラル系、フルーツ系、ミルク系、シプレー系、オリエンタル系、(嗜好)飲食品系、既製(嗜好)喫煙具系、バニラ系、ミント系、甘味料系、スパイス系、ナッツ系、酒類系が挙げられる。
【0052】
中でも、シトラス系、フルーツ系、ミント系等の清涼感を感じる香料;チョコレート、ミルク、コーヒー等の(嗜好)飲食品系等のリラックスを感じる香料;バニラ系、フローラル系、甘味料系等の甘味を感じる香料;等が好ましい。
【0053】
限定はされないが、該香料は、リモネン、β-カリオフィレン等のテルペン類;テルペノイド;等を含有するものが特に好ましい。
【0054】
また、前記香料としては、スペアミント抽出物、メンソール、大麻の風味(香り)を有する物質、たばこの風味(香り)を有する物質等も好ましい。
前記「大麻の風味(香り)を有する物質」としては、「成熟した麻の茎又は種子に含有される物質」以外の物質であることが好ましく、麻由来でない物質であることが特に好ましい。また、前記「たばこの風味(香り)を有する物質」としてはニコチン以外の物質であることが好ましい。
【0055】
香料の配合によって、睡眠効果(就寝効果、起床効果等)、不安抑制効果、沈静効果、禁煙効果等を、更に高めることができ、嗜好効果も高めることができる。
【0056】
<その他の成分>
本発明の電子タバコ用液体組成物には、前記したものの他、「その他の成分」を含有させることができる。「その他の成分」としては、ホホバ油、グレープシード油、セサミ油、ココナッツ油、オリーブ油等の食用油;ミツロウ、糖、オキシトシン、チロシン、トリプトファン、メラトニン等の天然にも存在する成分;植物由来の漢方薬;等が挙げられる。
【0057】
<含有量、含有比>
本発明の電子タバコ用液体組成物においては、前記カンナビノイドと前記ピペリンとを、質量で9.5:0.5~2:8の範囲の比で含有することが好ましく、より好ましくは質量で9.4:0.6~3:7の範囲の比、更に好ましくは質量で9.3:0.7~5:5の範囲の比、特に好ましくは質量で9.2:0.8~6:4の範囲の比、最も好ましくは質量で9:1~7:3で含有することである。
【0058】
カンナビノイドとピペリンの合計量に対して、上記比よりカンナビノイドが少な過ぎると、カンナビノイドの有する効果が得られ難く、その場合、相対的にピペリンの量が多くはなるが、その増量したピペリンによって、「カンナビノイドの効果」が増強でき難い等の場合がある。
逆に、カンナビノイドとピペリンの合計量に対して、上記比よりピペリンが少な過ぎると、ピペリンによる「カンナビノイドの効果」の増強効果が得られない等の場合がある。
【0059】
前記溶媒100質量部に対し、前記カンナビノイドは、1質量部以上300質量部以下で含有することが好ましく、1.3質量部以上200質量部以下で含有することがより好ましく、2質量部以上100質量部以下で含有することが更に好ましく、3質量部以上30質量部以下で含有することが特に好ましく、4質量部以上10質量部以下で含有することが最も好ましい。なお、上記「溶媒の質量部」には、例えば香料を予め希釈して使用又は入手するとき等は、そこに含有されている希釈溶媒の質量も含まれるものとする。
上記下限以上であると、睡眠効果、不安抑制効果、鎮静効果、疼痛抑制効果、禁煙効果等が好適に得られ、上記上限以下であると、上記効果が出過ぎることによる障害がなく、また、カンナビノイドが無駄にならない。
【0060】
また、前記溶媒100質量部に対し、前記ピペリンは、0.1質量部以上60質量部以下で含有することが好ましく、0.2質量部以上40質量部以下で含有することがより好ましく、0.4質量部以上20質量部以下で含有することが更に好ましく、0.6質量部以上10質量部以下で含有することが特に好ましく、1質量部以上5質量部以下で含有することが最も好ましい。
上記下限以上であると、カンナビノイドが有する上記効果を増大することができる。すなわち、カンナビノイドとピペリンとの相乗効果が奏される。一方、上記上限以下であると、ピペリンの雑味が気にならず風味を損ねない。また、上記上限を超える量のピペリンを使用しても、ピペリンによる「カンナビノイドの効果」を増強できる訳ではなく、ピペリンが無駄になる場合がある。
【0061】
また、更に、カフェインを含有する場合には、前記溶媒100質量部に対し、前記カフェインを、0.01質量部以上10質量部以下で含有することが好ましく、0.03質量部以上4質量部以下で含有することがより好ましく、0.1質量部以上2質量部以下で含有することが更に好ましく、0.2質量部以上1質量部以下で含有することが特に好ましい。
上記上限より多いと、カンナビノイドが有する睡眠効果、不安抑制効果、鎮静効果、疼痛抑制効果、禁煙効果等が十分に発揮できない等の場合がある。
【0062】
また、更に、香料を含有する場合には、前記溶媒100質量部に対し、前記香料は、0.001質量部以上2質量部以下で含有することが好ましく、0.01質量部以上1.3質量部以下で含有することがより好ましく、0.1質量部以上1質量部以下で含有することが特に好ましい。
該香料は、略1質量%に前記溶媒で希釈し、該希釈液を上記値の100倍量を配合することも好ましい。
【0063】
<製造方法>
本発明の電子タバコ用液体組成物は、カンナビノイド、ピペリン、及び、好ましくはカフェイン及び/又は香料を、溶媒に溶解させて製造することができる。
該カンナビノイドは、それを含有する抽出物やオイルの形態で配合することもできるし、カンナビジオール(CBD)結晶等のカンナビノイド結晶(混合物)の形態(単一化合物の形態)で配合して溶解させて使用することもできる。前記した理由で、結晶を用いる(配合する)ことが好ましい。
【0064】
ピペリンも、前記した理由で、結晶を用いる(配合する)ことが好ましい。
【0065】
カフェインを配合するときは、それを含有する抽出物や、カフェイン飲料の形で配合することもできるし、純カフェインの形で配合して溶解させて使用することもできる。
【0066】
前記した香料や「その他の成分」の含有がある場合は、その配合方法は、特に限定はなく、常法に従って行われる。
前記各成分は、同時に配合して撹拌して溶解させてもよいし、1つの成分を先に配合して溶解させてから別の成分を配合して溶解させてもよい。
【0067】
溶解温度、溶解時間、撹拌条件等は、特に限定はなく、常法に従って行われるが、溶解温度は、0℃以上120℃以下が好ましく、15℃以上100℃以下がより好ましく、30℃以上80℃以下が特に好ましい。
溶解時間又は撹拌時間は、1分以上2時間以下が好ましく、2分以上1時間以下がより好ましく、5分以上40分以下が特に好ましい。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
調製例1
<カンナビノイドとピペリンを含有>
植物から得たグリセリン1.5質量部とプロピレングリコール6.0質量部と精製水0.5質量部を混合して溶媒を調製し、液温を30℃~50℃の範囲に保ちつつ、その溶媒の中に、麻の茎と種子から抽出されたカンナビジオール(CBD)の結晶0.50質量部を加えて20分撹拌した。次いで、ピペリンの結晶0.10質量部を加えて20分撹拌した。
その後、有効成分1質量%のエタノール溶液であるグリーンアップル香料(高砂香料工業(株)製)(有効成分が約1質量%のアルコール溶液)2.0質量部を加え、均一に混合・撹拌することによって、電子タバコ用液体組成物(1)を調製した。
【0070】
調製例2
<カンナビノイドを含有(ピペリンを不含有)>
調製例1において、ピペリンを用いずに、カンナビジオール(CBD)の結晶4.0質量部を用いた以外は、調製例1と同様にして電子タバコ用液体組成物(2)を調製した。
【0071】
調製例3
<ピペリンを含有(カンナビノイドを不含有)>
調製例1において、カンナビジオール(CBD)を用いずに、ピペリンの結晶4.0質量部を用いた以外は、調製例1と同様にして電子タバコ用液体組成物(3)を調製した。
【0072】
調製例4
<カンナビノイド、ピペリンの両方を不含有>
調製例1において、カンナビジオール(CBD)もピペリンも用いずに、調製例1と同様にして電子タバコ用液体組成物(4)を調製した。すなわち、電子タバコ用液体組成物(4)は溶媒(グリセリンとプロピレングリコールと水)と前記香料のみである。
【0073】
調製例5
<カンナビノイドとピペリンを含有(香料を不含有)>
調製例1において、香料を用いない以外は、調製例1と同様にして電子タバコ用液体組成物(5)を調製した。
【0074】
評価例1
<電子タバコ用液体組成物(1)と(2)の評価方法>
電子タバコ用液体組成物(1)~(5)の5種を、VPOCERA社製の、充電式、筒状式の電子タバコ器具に充填し、評価項目ごとに以下に示す症状を訴えている「それぞれ複数の被験者」に吸引してもらった。被験者には内容を知らせずに吸引してもらった。
【0075】
<A群:睡眠効果(就寝効果及び寝起きのスムースさ(起床効果)の被験者と評価方法>
普段から不眠を自覚していて、日常的に入眠薬(睡眠導入剤)を服用している人2名(A群の被験者)に対し、以下のように吸引してもらった。なお、評価中は、入眠薬(睡眠導入剤)は断薬してもらった。
最初の1~3日目には、電子タバコ用液体組成物(2)を吸引してもらった。
次の4~5日目は何も吸引せずに、間を開けてもらった。
次の6~8日目に、電子タバコ用液体組成物(1)を吸引してもらった。
評価結果を表1に示す。
【0076】
<A群:睡眠効果(就寝効果及び寝起きのスムースさ(起床効果)の判定基準>
<<就寝効果(就寝状況)>>
◎:素早く就寝することができた
○:比較的早めに就寝することができた
△:正常の人と同程度に就寝できた(寝入ることができた)
×:寝つきが悪くなかなか就寝できなかった(効果がなかった)
【0077】
<<起床効果(起床状況)>>
◎:とても早く気分よく起床できた
○:比較的早く起床できた
△:正常の人と同程度に起床できた(目覚めることができた)
×:なかなか起床ができず、気分がすぐれなかった
【0078】
<B群:疼痛抑制効果の被験者と評価方法>
普段から慢性的な疼痛で通院している人3名(B群の被験者)に対し、上記睡眠効果を評価したA群の被験者と同様に、まず電子タバコ用液体組成物(2)を吸引してもらい、2日の間を開けて、電子タバコ用液体組成物(1)を吸引してもらった。なお、評価中は、鎮痛剤等は断薬してもらった。
【0079】
<B群:疼痛抑制効果の判定基準>
◎:疼痛を全く感じなくなった
○:疼痛を殆ど感じなくなった
△:疼痛を感じるが、普段よりは感じなくなった
×:疼痛を感じ、普段と変わらなかった(疼痛抑制の効果がなかった)
【0080】
<C群:不安抑制効果(抗不安効果、鎮静効果)の被験者と評価方法>
普段から不安障害がある不安神経症の人2名(C群の被験者)に対し、前記睡眠効果を評価したA群の被験者と同様に、まず電子タバコ用液体組成物(2)を吸引してもらい、2日の間を開けて、電子タバコ用液体組成物(1)を吸引してもらった。なお、評価中は、精神安定剤、鎮静剤等は断薬してもらった。
【0081】
<C群:不安抑制効果(抗不安効果、鎮静効果)の判定基準>
◎:不安を全く感じなくなった
○:不安を殆ど感じなくなった
△:不安を感じるが、普段よりは感じなくなった
×:不安を感じ、普段と変わらなかった(不安抑制の効果がなかった)
【0082】
<D群:禁煙効果の被験者と評価方法>
普段から常習的に喫煙している人3名(D群の被験者)に対し、前記睡眠効果を評価したA群の被験者と同様に、まず電子タバコ用液体組成物(2)を吸引してもらい、2日の間を開けて、電子タバコ用液体組成物(1)を吸引してもらった。
【0083】
<D群:禁煙効果の判定基準>
◎:全く喫煙しようとは思わなくなった(完全に禁煙に成功した)
○:喫煙しようとはあまり思わなくなった(禁煙に成功した)
△:喫煙したい思うときがあった(やや禁煙の効果があった)
×:喫煙したいと思い普段と変わらなかった(禁煙の効果がなかった)
【0084】
評価例2
<電子タバコ用液体組成物(1)と(5)の評価方法>
前記評価例1において、電子タバコ用液体組成物(1)に代えて電子タバコ用液体組成物(5)とした以外は評価例1と同様にして、前記した評価項目を評価して、それぞれ同様の前記判定基準で判定した。
すなわち、最初の1~3日目には電子タバコ用液体組成物(2)を吸引してもらった。
次の4~5日目は何も吸引せずに、間を開けてもらった。
次の6~8日目に、電子タバコ用液体組成物(5)を吸引してもらった。
評価結果を表1に示す。
【0085】
評価例3
<電子タバコ用液体組成物(3)と(4)の評価方法>
電子タバコ用液体組成物(3)と(4)は、電子タバコ用液体組成物(1)と比較しての評価が必要となる程、効果を奏さないので(圧倒的に悪く、比較評価する必要がないので)、最初の1~3日から電子タバコ用液体組成物(3)と(4)を吸ってもらった。
それぞれの評価項目を同様に評価して、それぞれ同様の前記判定基準で判定した。
評価結果を表1に示す。
【0086】
【0087】
<電子タバコ用液体組成物(1)~(5)の評価例1~3による評価結果(表1)>
評価した全ての項目について、CBD単独(電子タバコ用液体組成物(2))より、CBDとピペリンを組み合わせたもの(電子タバコ用液体組成物(1))の方が、全ての評価項目でその効果が上昇していた(より優れた効果が得られた)。
なお、経口摂取より肺からの摂取の方が、ピペリンによる増強効果が高いことも確かめた。
【0088】
ピペリンを含有しCBDを含有しないもの(電子タバコ用液体組成物(3))では、全く効果を示さなかった。ピペリンの含有は、CBDの上記種々の効果を高めていることが分かった。
電子タバコ用液体組成物(1)から香料を抜くと(電子タバコ用液体組成物(5)では)、全ての評価項目で、電子タバコ用液体組成物(1)よりも、若干効果が落ちたが、それでも極めて良い結果であった。
【0089】
調製例6
上記調製例1、2、5で、「麻の茎と種子から抽出されたカンナビジオール(CBD)の結晶」を配合したことに代えて、成熟した麻の茎と種子から抽出され、テトラヒドロカンナビノール(THC)を含まず、他のカンナビノイドを含む、所謂「フルスペクトラム」を、調製例1、2、5と同様に、カンナビノイド換算で同量配合し、それ以外は、調製例1~5と同様にして、電子タバコ用液体組成物(1’)(2’)(5’)を調製した。
【0090】
<結晶でないCBD含有の評価結果>
電子タバコ用液体組成物(1’)(2’)(5’)を評価例1に従って評価したところ、表1の電子タバコ用液体組成物(1)(2)(5)の評価結果に比べて、若干劣っていたが、表1に示した結果とほぼ同様の結果が得られた。
【0091】
調製例11
<カンナビノイドとピペリンを含有>
植物性グリセリン7gとプロピレングリコール3gを混合して溶媒を調製し、液温を30℃~80℃の範囲に保ちつつ、その溶媒の中に、麻の茎と種子から抽出されたカンナビジオール(CBD)の結晶0.4gを加えて20分撹拌した。
その後、ピペリンの結晶0.1gを加えて、均一に混合・撹拌することによって、電子タバコ用液体組成物(11)を調製した。
【0092】
調製例12
<カンナビノイドを含有>
調製例11において、ピペリン結晶を加えない以外は調製例11と同様にして、電子タバコ用液体組成物(12)を調製した。
【0093】
調製例13
<カンナビノイドとピペリンとカフェインを含有>
調製例11において、更に純カフェイン0.03gを加えた以外は、調製例11と同様にして、電子タバコ用液体組成物(13)を調製した。
その後、コーヒー香料(capella社製)をスポイトで3滴(0.1g)加え、均一に混合・撹拌することによって、電子タバコ用液体組成物(13)を調製した。
【0094】
調製例14
<カンナビノイドとカフェインを含有>
調製例13において、ピペリン結晶を加えない以外は、調製例13と同様にして電子タバコ用液体組成物(14)を調製した。
【0095】
評価例11
<評価方法>
電子タバコ用液体組成物(11)~(14)の4種を、JUSTFOG社製の、H113.5×W20×D20mm、82.9g、充電式、筒状式の電子タバコ器具に充填し、5人の被験者に吸引してもらった。被験者には内容を知らせずに、4種をそれぞれ吸引してもらった。
評価は2回に分けて行い(3日間行い)、それぞれ、その日の就寝状況(就寝効果)と翌日の起床状況(起床効果)を記録してもらった。
【0096】
<<就寝状況(就寝効果)の判定基準>>
☆:極めて素早く就寝することができた
◎:素早く就寝することができた
○:比較的早めに就寝することができた
△:通常と同様に就寝できた(寝入ることができた)
×:寝つきが悪くなかなか就寝できなかった
【0097】
<<起床状況(起床効果)の判定基準>>
◎:とても気分よく起床できた
○:比較的早く起床できた
△:通常と同様に起床できた(目覚めることができた)
×:なかなか起床ができず、気分がすぐれなかった
【0098】
<調製例11~14の電子タバコ用液体組成物についての評価例11の結果>
電子タバコ用液体組成物(11)~(14)の4種について、評価例11の結果を以下の表2にまとめた。
なお、評価例11では、睡眠効果(就寝効果と起床効果)について、「評価方法・判定基準のみの違い」のために(評価例1の方が評価例11より厳しい評価方法と判定基準のために)、評価例11は前記評価例1より良方向に判定される傾向にある。
【0099】
【0100】
カフェインの含有の有無によらず、ピペリンの使用によって、ピペリンを使用していないものと比較して、就寝効果と起床効果が増大した(睡眠効果が増強した)。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の電子タバコ用液体組成物を使用した電子タバコは、加熱して蒸発又は霧化等することで本発明の電子タバコ用液体組成物を放出し、それらを肺に吸い込むことによって、それらを摂取したヒトに対し、睡眠効果、不安抑制効果、鎮静効果、疼痛抑制効果、禁煙効果等をもたらすことができる。従って、本発明は、疾患を有する人にも健常人にも適しているので、電子タバコ分野のみならず、医療看護分野、禁煙製品分野、嗜好品分野、スポーツ分野、資格受験分野、ビジネス分野等において、広く利用されるものである。