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特許7578966光硬化性ジェルネイル用組成物、及びジェルネイル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】光硬化性ジェルネイル用組成物、及びジェルネイル方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/87 20060101AFI20241030BHJP
   A61Q 3/02 20060101ALI20241030BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241030BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
A61K8/87
A61Q3/02
A61K8/73
A61K8/81
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020124914
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021394
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】392008024
【氏名又は名称】十条ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】尾島 豪
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108434019(CN,A)
【文献】特開2011-032259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C08G18/00-18/87
C08G71/00-71/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ウレタンアクリレート樹脂、(B)セルロース系樹脂、(C)(メタ)アクリレートモノマー成分、及び、(D)光重合開始剤を含む、光硬化性ジェルネイル用組成物(但し、全体量の40質量%~60質量%のジ[ヒドロキシエチルトリメタクリリック]トリメチルヘキシルジカルバメートを除く。)であって、
前記(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して、
前記(B)セルロース系樹脂の含有量を25~75重量部の範囲内の値とし、
前記(C)成分の含有量を90~150重量部の範囲内の値とし、
前記(D)成分の含有量を10~50重量部の範囲内の値とし、
前記(A)ウレタンアクリレート樹脂が、重量平均分子量が異なる二種のウレタンアクリレート樹脂として、第一のウレタンアクリレート樹脂(a1)と、第二のウレタンアクリレート樹脂(a2)とを、含有し、前記第一のウレタンアクリレート樹脂(a1)と、前記第二のウレタンアクリレート樹脂(a2)との合計量を100重量%としたときに、前記第一のウレタンアクリレート樹脂(a1)が60~99重量%の範囲内の値、第二のウレタンアクリレート樹脂(a2)が1~40重量%の範囲内の値であって、
かつ、前記(B)セルロース系樹脂の数平均分子量を1000~50000の範囲内の値とすることを特徴とする光硬化性ジェルネイル用組成物。
【請求項2】
前記重量平均分子量の異なる少なくとも二種のウレタンアクリレート樹脂が、重量平均分子量が500~30000の範囲内のウレタンアクリレート樹脂(a1)、及び、重量平均分子量が5000未満のウレタンアクリレート樹脂(a2)であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性ジェルネイル用組成物。
【請求項3】
前記(B)セルロース系樹脂が、セルロースアセテートブチレート樹脂、及びセルロースアセテートプロピオネート樹脂、あるいは、いずれか一方であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光硬化性ジェルネイル用組成物。
【請求項4】
前記(C)(メタ)アクリレートモノマー成分が、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの中から選ばれる一種、又は二種以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光硬化性ジェルネイル用組成物。
【請求項5】
前記(D)光重合開始剤が、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の中から選ばれる一種、又は二種以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光硬化性ジェルネイル用組成物。
【請求項6】
前記光硬化性ジェルネイル用組成物が、さらに(E)成分として有機系溶媒を含み、その含有量を、前記(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して10~50重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の光硬化性ジェルネイル用組成物。
【請求項7】
前記(E)有機系溶媒が、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルの中から選ばれる一種、又は二種以上であることを特徴とする請求項6に記載の光硬化性ジェルネイル用組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の光硬化性ジェルネイル用組成物を用いてなるジェルネイル方法であって、下記工程(1)~(4)を含むことを特徴とするジェルネイル方法。
(1)前記光硬化性ジェルネイル用組成物を準備する工程
(2)前記光硬化性ジェルネイル用組成物を塗布し、塗布層を形成する工程
(3)前記塗布層を光硬化させ、硬化膜とする工程
(4)使用後の硬化膜を、除去剤を用い摩擦剥離する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性ジェルネイル用組成物、及びジェルネイル方法に関する。
特に、自爪等の基材への塗布が容易であって、硬化性に優れるとともに、使用後には簡単に剥離が可能となる光硬化性ジェルネイル用組成物、及びジェルネイル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、爪の装飾に用いられる組成物としては、ニトロセルロース、又はアクリル樹脂を主成分とし、トルエン、酢酸ブチル、酢酸エチル等の有機溶剤に樹脂を溶解させたマニキュア組成物が知られている。
しかしながら、マニキュアには有機溶剤が多量に含まれているために、使用者が溶剤臭気を吸う可能性があり、中毒により、めまいや頭痛等を引き起こす場合があった。
又、マニキュアは、揮発成分が飛散するのに、通常、数十分を要することから、マニキュアの塗布後、乾燥するまでの時間、指先を自由に使うことができないという問題があった。
【0003】
そこで、有機溶剤を含まず、硬化反応が速く、マニキュアと比べて取扱い性が良好であるとともに、安全性に優れていることから、光硬化性ジェルネイルが盛んに開発、上市されるようになった。
このような光硬化性ジェルネイルとして、ウレタンアクリレート樹脂と、(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤と、からなる本出願人による光硬化性無溶剤型ジェルネイルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、ポリエーテル骨格ウレタンアクリレートオリゴマーと、単官能、及び多官能(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤と、をそれぞれ所定量含む光硬化型のジェルネイルが、自爪等の基材との密着性に優れるとともに、剥離時には容易に剥離可能としたものである。
【0004】
又、繁雑な除去プロセスを必要とすることなく、リムーバーで直接拭き取ることができるジェルポリッシュが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
より具体的には、樹脂成分として脂肪族ウレタンアクリレートと、アクリレートオリゴマーと、アクリレートモノマー成分としてプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートと、光重合開始剤としてトリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドと、を含むジェルポリッシュである。
【0005】
又、酸素透過性に優れるとともに、高光沢であるジェルポリッシュ組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
より具体的には、多官能シリコーンウレタンアクリレートオリゴマーと、反応性アクリレートオリゴマー、及びアクリレートモノマーと、光開始剤と、を含むジェルポリッシュ組成物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-043853号公報(特許請求の範囲等)
【文献】特開2017-061446号公報(特許請求の範囲等)
【文献】特表2017-535512号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された光硬化型のジェルネイルは、密着性には効果があるものの、ジェルネイル使用後の剥離が容易でなく、ネイル表面の研磨、リムーバー等の浸潤、メタルプッシャー等での削ぎ落としなど、少なくとも3つの工程を含む、繁雑な工程が必要であった。
【0008】
又、特許文献2に記載されたジェルポリッシュは、ジェルポリッシュ層の剥離に際して繁雑な工程を必要とせず、ポリッシュリムーバーを塗布した布、コットン、又はティッシュペーパーを用いて直接拭き取ることが可能となるものではあるが、ジェルポリッシュの耐久性が良好でないという問題が見られた。
すなわち、ジェルポリッシュからなるジェルポリッシュ層に関して、ジェルポリッシュ層の剥離性を向上させようとすると、密着性や、耐久性が低下するという問題が見られた。
【0009】
又、特許文献3に記載されたジェルポリッシュ組成物は、多官能シリコーンウレタンアクリレートオリゴマーを含むことで酸素透過性に優れ、自爪に損傷を与えにくく、高光沢なジェルポリッシュ層を形成することができるが、ジェルポリッシュ組成物の粘度が比較的高粘度であるために、塗布の際の取扱いが良好でなく、剥離性については何ら検討されてはいなかった。
【0010】
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、所定のウレタンアクリレート樹脂と、所定のセルロース系樹脂と、を所定割合で配合した光硬化性ジェルネイル組成物であれば、塗布が容易であって、硬化性に優れるとともに、使用後には簡単に剥離が可能となることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち本発明は、硬化性に優れるとともに、使用後には簡単に剥離が可能となる光硬化性ジェルネイル用組成物、及びジェルネイル方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、(A)ウレタンアクリレート樹脂、及び(B)セルロース系樹脂を含む光硬化性ジェルネイル用組成物であって、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して、(B)セルロース系樹脂を1~50重量部の範囲内の値で含有することで上述した問題を解決することができる。
すなわち、このように所定量の(A)ウレタンアクリレート樹脂を含むことで、光硬化性ジェルネイル用組成物の、硬化性を向上させるだけでなく、密着性を高め、爪等の基材への塗布を容易なものとすることができる。
又、(B)成分としてセルロース系樹脂を所定量含有することで、硬化膜を形成した場合に、硬化膜の平滑性を良好なものとするだけでなく、剥離性を向上させ、剥離にかかる時間等を削減することが可能となる。
【0012】
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物を構成するにあたり、(A)ウレタンアクリレート樹脂が、少なくとも重量平均分子量500~30000の範囲内のウレタンアクリレート樹脂(a1)を含有することが好ましい。
このように構成することで、光硬化性ジェルポリッシュ用組成物として、好適な密着性を維持しつつ、硬化性や耐摩耗性を向上させ、硬化膜として適度な耐久性を得ることができる。
【0013】
又、本発明の光硬化性ジェルポリッシュ用組成物を構成するにあたり、(A)ウレタンアクリレート樹脂が、重量平均分子量5000未満のウレタンアクリレート樹脂(a2)を、さらに含有し、重量平均分子量の異なる少なくとも二種のウレタンアクリレート樹脂からなることが好ましい。
このように構成することで、ウレタンアクリレート樹脂(a1)の添加効果だけでなく、ウレタンアクリレート樹脂(a2)の添加による接着性や、硬化膜の柔軟性の向上効果を得ることができる。
【0014】
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物を構成するにあたり、(B)セルロース系樹脂が、数平均分子量1000~50000の範囲内のセルロースエステル系樹脂であることが好ましい。
このように構成することで、光硬化性ジェルネイル用組成物として、密着性を良好なものとしつつ、適度な透明性を付与することが可能となる。
【0015】
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物を構成するにあたり、(B)セルロース系樹脂が、セルロースアセテートブチレート樹脂、及びセルロースアセテートプロピオネート樹脂、あるいは、いずれか一方であることが好ましい。
このように構成することで、各種の(メタ)アクリレート成分に均一に溶解させることができ、得られる硬化膜の平滑性、剥離性を向上させることができる。
【0016】
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物を構成するにあたり、光硬化性ジェルネイル用組成物が、さらに(C)成分として、(メタ)アクリレートモノマー成分を含み、その含有量を、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して50~150重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することで、密着性、剥離性を良好なものとしつつ、光硬化性ジェルネイル用組成物の取り扱い性、爪等の基材に塗布する際の安全性を向上させることができる。
【0017】
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物を構成するにあたり、(C)(メタ)アクリレートモノマー成分が、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの中から選ばれる一種、又は二種以上であることが好ましい。
このように構成することで、光硬化性ジェルネイル用組成物を、爪等の基材に塗布する際の安全性を、より向上させることができる。
【0018】
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物を構成するにあたり、光硬化性ジェルポリッシュ用組成物が、さらに(D)成分として、光重合開始剤を含み、その含有量を、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して5~50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することで、光硬化性ジェルネイル用組成物の硬化性をより良好なものとすることができ、爪等の基材に塗布する際の取り扱い性を高めることができる。
【0019】
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物を構成するにあたり、(D)光重合開始剤が、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の中から選ばれる一種、又は二種以上であることが好ましい。
このように構成することで、樹脂成分との反応性が向上し、光硬化性ジェルネイル用組成物の硬化性を、より好適なものとすることができる。
【0020】
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物を構成するにあたり、光硬化性ジェルネイル用組成物が、さらに(E)成分として有機系溶媒を含み、その含有量を、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して5~50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することで、硬化膜の剥離性を好適なものとしつつ、光硬化性ジェルネイル用組成物の粘度を好適な範囲に調整でき、爪等の基材へ塗布する際の取り扱い性を向上させることができる。
【0021】
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物を構成するにあたり、(E)有機系溶媒が、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルの中から選ばれる一種、又は二種以上であることが好ましい。
このように構成することで、(E)有機系溶媒の配合に起因する臭気や、爪等への刺激等を抑制することができ、光硬化性ジェルネイル用組成物の使用における安全性を向上させることができる。
【0022】
又、本発明の別の態様は、前述したいずれかの光硬化性ジェルネイル用組成物を用いてなるジェルネイル方法であって、下記工程(1)~(4)を含むことを特徴とするジェルネイル方法。
(1)光硬化性ジェルネイル用組成物を準備する工程
(2)光硬化性ジェルネイル用組成物を塗布し、塗布層を形成する工程
(3)塗布層を光硬化させ、硬化膜とする工程
(4)使用後の硬化膜を剥離する工程
このように実施することにより、従来のジェルネイル等を使用した場合と比較し、爪等の装飾における安全性や、剥離の容易さを向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、自爪等の基材に対して容易に塗布することができ、硬化性に優れるとともに、使用後には簡単に剥離が可能となる光硬化性ジェルネイル用組成物を提供することができる。
特に、所定の(A)成分に対して、所定の(B)成分を所定割合で含んだ光硬化性ジェルネイル用組成物であれば、密着性、及び剥離性に対して、非予測的な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1(a)~(c)は、単層構造の硬化膜の形成方法を説明するために供する図である。
図2図2(a)~(d)は、多層構造の硬化膜の形成方法を説明するために供する図である。
図3図3は、セルロース系樹脂の配合量と、硬化膜の剥離性との関係性を説明するために供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、(A)ウレタンアクリレート樹脂、及び(B)セルロース系樹脂を含む光硬化性ジェルネイル用組成物であって、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して、(B)セルロース系樹脂を1~50重量部の範囲内の値で含有することを特徴とする光硬化性ジェルネイル用組成物である。
以下、第1の実施形態の各構成要件について具体的に説明する。
【0026】
1.(A)ウレタンアクリレート樹脂
(1)種類
本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物は、(A)成分としてウレタンアクリレート樹脂を含有することを特徴とする。
この理由は、(A)成分としてウレタンアクリレート樹脂を用いることにより、光硬化型ジェルネイル用組成物の反応性を所定の範囲で抑制し、自爪等の基材に対する密着性を向上させることができるためである。
【0027】
又、このようなウレタンアクリレート樹脂としては、ポリエーテル骨格を有するウレタンアクリレート樹脂であることが好ましい。
この理由は、ポリエーテル骨格ウレタンアクリレート樹脂であれば、後述する(B)~(E)成分等との組み合わせにより、自爪等の基材に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性についても向上させることができるためである。
【0028】
ここで、ポリエーテル骨格ウレタンアクリレート樹脂を得るためのポリエーテル骨格ポリオールの種類については、特に制限されるものではないが、工業的に容易に入手でき、比較的安価であることから、ポリエーテル骨格ジオール化合物であることが好ましい。
【0029】
又、ポリエーテル骨格ウレタンアクリレート樹脂を得るための有機ポリイソシアネート化合物の種類としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど、無黄変型のものが好ましい。
又、ポリエーテル骨格ウレタンアクリレート樹脂を得るためのヒドロキシアクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性-2-ヒドロキシエチルアクリレートなどが好ましい。
ただし、本発明においては、これらのポリエーテル骨格ウレタンアクリレート樹脂を単独使用しても構わないが、本発明の効果がより得られる範囲において、他のウレタンアクリレート樹脂、例えば、ポリエステル骨格ウレタンアクリレート樹脂、ポリカプロラクトン骨格ウレタンアクリレート樹脂、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレート樹脂等を併用することも好ましい。
【0030】
(2)重量平均分子量(Mw)
又、(A)ウレタンアクリレート樹脂の重量平均分子量を500~30000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような重量平均分子量を有するウレタンアクリレート樹脂を使用することにより、自爪等の基材に対する密着性を保持しつつも、硬化性を向上させて、硬化膜に所定の硬さを得ることができるためである。
すなわち、ウレタンアクリレート樹脂の重量平均分子量が500未満の値になると、硬化性が低下して、自爪等の基材との密着不良を起こしやすくなるとともに硬化膜表面にタックが生じやすくなる場合があるためである。
一方、ウレタンアクリレート樹脂の重量平均分子量が30000を超えると、硬化時間が長くなり、硬化膜として所定の硬さを得ることが困難となる場合があるためである。
したがって、ウレタンアクリレート樹脂の重量平均分子量を1000~25000の範囲内とすることが好ましく、2000~20000の範囲内とすることがさらに好ましい。
【0031】
(3)配合量
又、(A)ウレタンアクリレート樹脂の配合量を、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物の全体量(100重量%)に対して、20~60重量%の範囲内とすることが好ましい。
この理由は、後述する第二のウレタンアクリレート樹脂(a2)と相まって、爪に対する密着性を保持しつつも、硬化膜としての所定の硬さを得ることができるためである。
すなわち、ウレタンアクリレート樹脂の配合量が20重量%未満となると、硬化時間が過度に長くなり、硬化膜としての耐摩耗性、及び耐久性を得ることが困難となるためである。
一方、ウレタンアクリレート樹脂の配合量が60重量%を超えると、硬化性が過度に低下して、自爪等の基材との密着不良を起こしやすくなるためである。
したがって、ウレタンアクリレート樹脂の配合量を、光硬化性ジェルネイル用組成物の全体量(100重量%)に対して、25~55重量%の範囲内とすることが好ましく、30~50重量%の範囲内とすることが更に好ましい。
【0032】
(4)酸価
又、本発明に用いる(A)ウレタンアクリレート樹脂の酸価が10mgKOH/g以下であることが好ましい。
この理由は、ウレタンアクリレート樹脂の酸価をこのような値とすることで、得られる光硬化性ジェルネイル用組成物により形成された硬化膜が分解することで発生するアウトガスを抑制できるとともに、被着体である爪やプラスチック基材が腐食することを防止することができるためである。
なお、本発明において、粘着性樹脂の酸価は、JIS K0070に準拠して測定された値を意味する。
したがって、ウレタンアクリレート樹脂の酸価が5mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以下であることが更に好ましい。
【0033】
(5)NCO含有量
又、(A)ウレタンアクリレート樹脂は、その製法に由来して、反応に寄与しなかったイソシアネート基(-N=C=O)が含有する場合がある。
その為、イソシアネートを吸入、又は皮膚接触することによる健康への影響の観点から、ウレタンアクリレート樹脂中のイソシアネート基の含有量(NCO含有量)は、0.3%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、0であることが理想である。
したがって、NCO含有量をこのような値とすることで、爪、及び周囲の皮膚に対する刺激性が低く、又、熱や経時による黄変を抑制できる(A)ウレタンアクリレート樹脂とすることができる。
【0034】
なお、これら(A)ウレタンアクリレート樹脂としては、例えば、ダイセルオルネクス社のEBECRYLシリーズ、KRMシリーズ、根上工業社のアートレジン(登録商標)シリーズ等の中から選択して使用することができる。
【0035】
(6)複数のウレタンアクリレート樹脂
(6)-1 種類
又、ウレタンアクリレート樹脂が、重量平均分子量の異なる少なくとも二種のウレタンアクリレート樹脂からなり、前述したウレタンアクリレート樹脂を、第一のウレタンアクリレート樹脂(a1)とした場合に、第二のウレタンアクリレート樹脂(a2)をさらに含有することが好ましい。
この理由は、少なくとも二種のウレタンアクリレート樹脂を含有することで、それぞれのウレタンアクリレート樹脂の添加効果を得ることができ、光硬化性ジェルネイル用組成物の接着性や、硬化膜の柔軟性を向上させることができるためである。
このようなウレタンアクリレート樹脂(a2)として、後述する重量平均分子量を有する2~7官能のポリエステル骨格ウレタンアクリレート樹脂、あるいは、ポリカプロラクトン系ウレタンアクリレート樹脂、ポリカーボネート系ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル系ウレタンアクリレート樹脂等が挙げられる。
【0036】
(6)-2 重量平均分子量(Mw)
又、ウレタンアクリレート樹脂(a2)の重量平均分子量を5000未満の値とすることが好ましい。
この理由は、ウレタンアクリレート樹脂(a2)の重量平均分子量が5000以上の値になると、硬化性が低下し、硬化時間が過度に長くなり、硬化膜としての耐久性と柔軟性を得ることが困難となるためである。
したがって、ウレタンアクリレート樹脂(a2)の重量平均分子量を500~4500の範囲内とすることがより好ましく、1000~4000の範囲内とすることが更に好ましい。
なお、ウレタンアクリレート樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0037】
(6)-3 配合量
又、ウレタンアクリレート樹脂(a2)の配合量を、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物の全体量(100重量%)に対して、1~30重量%の範囲内とすることが好ましい。
この理由は、ウレタンアクリレート樹脂(a2)の配合量が1重量%未満の値となると、ウレタンアクリレート樹脂(a2)の添加効果が現れず、爪に対する密着不良を起こしやすくなるとともに、硬化膜にタックが生じやすくなるためである。
一方、ウレタンアクリレート樹脂(a2)の配合量が30重量%を超えた値となると、硬化性が過度に低下し、硬化膜としての耐久性を得ることが困難となるためである。
したがって、ウレタンアクリレート樹脂(a2)の配合量を、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物の全体量に対して、5~25重量%の範囲内とすることが好ましく、10~20重量%の範囲内とすることが更に好ましい。
【0038】
(6)-4 配合割合
又、(A)ウレタンアクリレート樹脂が、ウレタンアクリレート樹脂(a1)、及びウレタンアクリレート樹脂(a2)の二種からなる場合、二種のウレタンアクリレート樹脂の配合割合を、(a1)+(a2)=100としたときに(a1)が60~99の範囲内の値、(a2)が1~40の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、主に硬化性、及び硬化膜の硬さや耐摩耗性に寄与するウレタンアクリレート樹脂(a1)に対して、主に接着性、及び硬化膜の柔軟性に寄与するウレタンアクリレート樹脂(a2)をこのような割合で含有することで、人の爪に塗布した場合の硬化性、及び密着性に優れた光硬化性ジェルネイル用組成物となるからである。
更には、このような割合で含有することによって、剥離性に優れた光硬化性ジェルネイル用組成物が得られるからである。
したがって、ウレタンアクリレート樹脂(a1)、及びウレタンアクリレート樹脂(a2)の配合割合を、(a1)+(a2)=100とした場合に(a1)が65~95の範囲内、(a2)が5~35の範囲内とすることが好ましく、(a1)が70~90の範囲内、(a2)が10~30の範囲内とすることが更に好ましい。
【0039】
2.(B)セルロース系樹脂
(1)種類
光硬化性ジェルネイル用組成物は、(B)成分として、セルロース系樹脂を含有することを特徴とする。
この理由は、セルロース系樹脂を含有することにより、自爪等の基材に積層して、硬化膜を形成した場合に、硬化膜に平滑性を与えることができるとともに、好適な剥離性を与えることができるためである。
又、セルロース系樹脂は、極性が比較的高く、上述した(A)ウレタンアクリレート樹脂に対して良好な相溶性を示すためである。
【0040】
セルロース系樹脂の種類としては特に制限されるものでないが、例えば、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル樹脂を、一種、又は二種以上を組み合わせて使用するのが好ましい。
この理由は、セルロースアセテート樹脂等であれば、(A)ウレタンアクリレート樹脂と幅広い範囲で良好に相溶させることができるとともに、自爪等の基材に対する密着性、及び無黄変性、又、耐水性を維持しやすくできるためである。
【0041】
又、これらのセルロース系樹脂の中でも、セルロースアセテートブチレート樹脂、又はセルロースアセテートプロピオネート樹脂であることがより好ましい。
この理由は、これらのセルロースアセテートブチレート樹脂等であれば、各種の(メタ)アクリレート成分に均一に溶解させることができるためである。
したがって、後述する2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマーに対しても、同様に適用して溶液化することができ、得られる硬化膜において平滑性と、剥離性を得ることができる。
【0042】
(2)数平均分子量(Mn)
又、セルロース系樹脂の数平均分子量を、1000~50000の範囲内とすることが好ましい。
この理由は、数平均分子量が1000未満の値になると、基材との密着不良を起こしやすくなるとともに硬化膜の透明性が低下する場合があるためである。
一方、数平均分子量が50000を超えると、硬化膜の表面硬度が過度に硬くなり柔軟性が低下する場合があるためである。
したがって、セルロース系樹脂の数平均分子量を2000~40000の範囲内とすることよりが好ましく、3000~30000の範囲内とすることがさらに好ましい。
なお、セルロース系樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0043】
(3)配合量
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物においては、(B)セルロース系樹脂の配合量を、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して、1~50重量部の範囲内とすることを特徴とする。
この理由は、図3に示すように、かかる(B)セルロース系樹脂の配合量が1重量部未満になると、添加効果が現れない場合があって、基材との密着不良を起こしやすくなったり、剥離性の向上効果や、硬化膜の平滑性が得られ難くなったりするためである。
一方、かかる(B)セルロース系樹脂の配合量が50重量部を超えると、硬化膜の柔軟性が低下するとともに、透明性が得られなくなるためである。
したがって、(B)セルロース系樹脂の配合量を、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して、5~45重量部の範囲内とすることが好ましく、10~40重量部の範囲内とすることが更に好ましい。
【0044】
また、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物において、硬化膜を、図2に示すような、下地層、中間層、保護層等からなる多層構造とする場合、層を構成する組成物の、(B)セルロース系樹脂の配合量を、層ごとに変化させることが好ましい。
この理由は、多層構造からなる硬化膜の、(B)セルロース系樹脂の配合量を層ごとに変化させることによって、それぞれの層が好適な物性を発揮でき、硬化膜全体として、密着性、剥離性、表面平滑性等を優れたものとすることができるためである。
したがって、例えば、下地層における(B)セルロース系樹脂の配合量を10~40重量部の範囲内、中間層における(B)セルロース系樹脂の配合量を1~20重量部の範囲内、保護層における(B)セルロース系樹脂の配合量を1~50重量部の範囲内とすることが好ましい。
【0045】
なお、セルロース系樹脂としては、例えば、イーストマンケミカル社のCABシリーズ、及びCAPシリーズ等から選択して使用することができる。
【0046】
3.(C)(メタ)アクリレートモノマー
(1)種類
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物には、(C)成分として、(メタ)アクリレートモノマー成分を所定量配合することが好ましい。
この理由は、所定の(メタ)アクリレートモノマー成分を含有することにより、光硬化性ジェルポリッシュ用組成物の取扱い性を調整するとともに、人の爪に塗布する際の安全性を良好にできるためである。
【0047】
又、(C)(メタ)アクリレートモノマーの種類としては、単官能、又は多官能の公知のものを使用することができる。
したがって、例えば、単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等、2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等、3官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、4官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等、5官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等、6官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、等を使用することが可能であり、本発明においてはこれら(メタ)アクリレートモノマー成分を一種、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
又、これらの中でも、PII値が1.0以下であって、(A)ウレタンアクリレート樹脂、及び(B)セルロース系樹脂との相溶性が良好であるとともに硬化時の発熱を抑制できることから、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、から選ばれる単官能(メタ)アクリレートモノマーを使用することが好ましい。
ここで、皮膚刺激性(PII値:Primary Irritation Index)とは、化学物質の皮膚への刺激、かぶれ等の皮膚障害の度合いを示すものとして広く用いられ、ドレーズ法により測定される。測定値は0~8の範囲で表示され、PII値が1.0以下であることは低刺激性を表す。
【0049】
(2)配合量
又、(C)(メタ)アクリレートモノマーの配合量を、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して40~150重量部の範囲内とすることが好ましい。
この理由は、(C)(メタ)アクリレートモノマーをこのような割合で配合することで、爪との密着性を向上させることができるとともに、ジェルネイル使用後の剥離性に優れた硬化膜が得られやすいためである。
【0050】
すなわち、(C)(メタ)アクリレートモノマーの配合量が40重量部未満の値となると、硬化性の制御が困難となり、爪との密着不良を起こしやすくなるとともに取り扱いが困難となる場合があるためである。
一方、かかる(C)(メタ)アクリレートモノマーの配合量が150重量部を超えた値となると、硬化性が低下し、硬化時間が過度に長くなり、硬化膜表面にタックが生じやすくなる場合があるためである。
したがって、(C)(メタ)アクリレートモノマーの配合量を、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して、50~140重量部の範囲内とすることが好ましく、60~130重量部の範囲内とすることが更に好ましい。
【0051】
なお、これら(メタ)アクリレートモノマーは、共栄社化学社、大阪有機化学工業社、日立化成社等より上市されている。
【0052】
4.(D)光重合開始剤
(1)種類
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物には、(D)成分として、光重合開始剤を所定量配合することが好ましい。
この理由は、所定の光重合開始剤を含有することにより、光硬化性ジェルネイル組成物において、良好な硬化性が得られやすくなるためである。
【0053】
(D)光重合開始剤の種類としては、紫外線によりラジカルを発生し、そのラジカルがウレタンアクリレート樹脂や、(メタ)アクリレートモノマーを重合反応させるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル〕-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-4’-ヒドロキシエトキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン}等のα-ヒドロキシケトン系光重合開始剤、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤等の一種、又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0054】
このような(D)光重合開始剤の中でも、α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤は、紫外線によりラジカルを発生し、そのラジカルが光重合オリゴマー、及び光重合性モノマーと効率的に反応することにより硬化反応が促進されるため好ましい。
【0055】
(2)配合量
又、(D)光重合開始剤の配合量は、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して、5~50重量部の範囲内とすることが好ましい。
この理由は、(D)光重合開始剤の配合量が5重量部未満となると、硬化性が過度に低下し、硬化膜としての耐久性が低下する場合があるためである。
一方、(D)光重合開始剤の配合量が50重量部を超えると、硬化性が過度に増大し、爪に対する密着不良を起こしやすくなり、取り扱いが困難になる場合があるためである。
したがって、(D)光重合開始剤の配合量が10~45重量部の範囲内であることが好ましく、15~40重量部の範囲内であることが更に好ましい。
【0056】
なお、これら(D)光重合開始剤は、IGM Resins b.V.社、BASF社等より上市されている。
【0057】
5.(E)有機系溶媒
(1)種類
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物は、爪等の基材に塗布する際の取扱い性、及びジェルネイル使用後の剥離性を得るために、(E)成分として、有機系溶媒を含有することが好ましい。
【0058】
(E)有機系溶媒の種類としては、本発明の光硬化性ジェルネイル組成物を構成する成分に対する相溶性を有すれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びブタノール等の低分子量のアルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族系溶媒、酢酸プロピル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の酢酸エステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒等が挙げられる。
これらの中でも、相溶性に優れるとともに、比較的臭気が穏やかであって、爪等の基材に対する刺激が少ないことから、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルから選ばれる一種、又は二種以上の有機系溶媒であることが好ましい。
【0059】
(2)配合量
又、(E)有機系溶媒の配合量は、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して、10~50重量部の範囲内とすることが好ましい。
この理由は、(E)有機系溶媒の配合量が10重量部未満となると、本発明の光硬化性ジェルポリッシュ組成物の粘度が高くなりすぎ、取扱い性が悪化するためである。
一方、(E)有機系溶媒の配合量が50重量部を超えると、逆に粘度が低くなりすぎ、塗布の際にダレが発生したり、硬化膜が薄膜になりすぎてしまうためである。
したがって、(E)有機系溶媒の配合量が15~45重量部の範囲内であることが好ましく、20~40重量部の範囲内であることが更に好ましい。
【0060】
6.(F)着色剤
又、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物には、美観や装飾性の向上のため、(F)成分として、着色剤を配合することができる。
かかる(F)着色剤としては、化粧品に一般的に用いられる無機系着色顔料、有機系着色顔料、有機色素、染料、パール顔料、ラメ色剤等を添加することができる。
すなわち、好ましい着色剤として、厚生労働省が定めた法定色素(有機合成タール色素)、又、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、クナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料の有機系着色顔料等およびチタン系顔料、カーボンブラック系顔料等の無機系着色顔料等が挙げられる。
又、パール顔料としては、魚鱗箔等の天然パール、及び金属酸化物被覆雲母系、酸塩化ビスマス系、塩基性炭酸鉛等の合成パール顔料等が挙げられる。
又、ラメ色剤としては、ポリエステルフィルムにアルミ蒸着を施し、その上にカラー層を設けたメタリック調のフィルムを均一の形に裁断したもの等が挙げられる。
又、(F)着色剤の配合量は、光硬化速度が阻害されない範囲であればよく、例えば、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して、1~30重量部の範囲内で使用することができる。
【0061】
7.(G)添加剤
又、光硬化性ジェルネイル用組成物中には、硬化性、粘性、及び塗布適性を調整する目的で、(G)添加剤として、有機溶剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、蛍光増白剤、顔料湿潤剤、分散剤、流動調整剤、重合禁止剤等から選ばれる少なくとも一つを配合することができる。
これら(G)添加剤の添加量は、本発明の硬化性や剥離性を低下させない範囲であればよく、通常、(A)ウレタンアクリレート樹脂100重量部に対して、0.1~10重量部の範囲内で使用することができる。
【0062】
8.粘度
又、本発明の光硬化性ジェルネイルの粘度を100~10000mPa・sの範囲内の値とすることが好ましい。光硬化性ジェルネイル組成物の粘度がこのような範囲内であると、取り扱いが良好であるとともに、塗布膜厚を調整しやすくすることができるためである。
したがって、光硬化性ジェルネイル組成物の粘度を200~8000mPa・sの範囲内の値とすることが好ましく、300~5000mPa・sの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、光硬化性ジェルネイルの粘度は25℃環境下、B型回転粘度計(回転数60rpm)により測定した値である。
【0063】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、光硬化性ジェルネイル用組成物を用いてなるジェルネイル方法であって、下記工程(1)~(4)を含むことを特徴とするジェルネイル方法である。
(1)光硬化性ジェルネイル用組成物を準備する工程
(2)光硬化性ジェルネイル用組成物を塗布し、塗布層を形成する工程
(3)塗布層を光硬化させ、硬化膜とする工程
(4)使用後の硬化膜を剥離する工程
以下、図1、及び図2を参照しつつ、本発明の第2の実施形態のジェルネイル方法について詳細に説明する。
【0064】
1.準備工程:工程(1)
図1(a)に示すように、硬化膜を形成する基材10としての指10´の爪を準備する。
その際、指10´の爪の表面が汚れているような場合には、市販のネイルプレップ(Sofirah(登録商標))等で洗浄することが好ましい。
又、硬化膜を形成する基材は、通常、自爪であるが、ABS、アクリルシート等の合成プラスチック製基材であっても良い。
すなわち、ABSシート等の合成プラスチック製基材に本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物を用いて、硬化膜を形成することにより、人工爪や、つけ爪として構成することもできる。
【0065】
また、第1の実施形態で説明した光硬化性ジェルネイル用組成物を準備する。
すなわち、光硬化性ジェルネイル用組成物は、公知の混合方法によって準備することができる。
例えば、配合成分につき、プロペラミキサー、プラネタリーミキサー、ビーズミル、ジェットミル、三本ローラー、ニーダー等の各種混合装置を用いて均一に混合することにより、光硬化性ジェルネイル用組成物を作成することができる。
【0066】
又、第2の実施形態のジェルネイル方法を実施するに際して、中間層16を形成するために、(F)着色剤を含んだカラー光硬化性ジェルネイル用組成物からなる硬化膜を形成する工程とすることも好ましい。
この理由は、このように実施することによって、ジェルネイルに立体感が得られ、装飾性や美観にさらに優れたカラージェルネイルを得ることができるためである。
【0067】
2.塗布工程:工程(2)
次いで図1(b)に示すように、光硬化性ジェルネイル用組成物を、基材(爪)10の上に塗布し、塗布層13を形成する。
ここで、光硬化性ジェルネイル用組成物の基材(爪)10に対する塗布方法については特に制限されるものではないが、例えば、はけ、ブラシ、ヘラ、ローラー、スポイト等を用いることができる。
又、かかる塗布層13の厚さは、デザインにもよるが、通常10μm~5mmの範囲内とすることが好ましく、30μm~3mmの範囲内とすることがより好ましく、50μm~2mmの範囲内とすることが更に好ましい。
【0068】
3.光硬化工程:工程(3)
次いで、図1(c)に示すように、塗布層13に、紫外線照射装置14を用いて所定波長の紫外線14aを照射し、光硬化性ジェルネイル用組成物を硬化させ、硬化膜20を形成する。
硬化膜20は、図1(c)に示すような、単層構造であってもよいが、二層以上の多層構造であってもよく、例えば、基材10側から、下地層12(ベース)、中間層16(カラー)、保護層18(トップ)の順に積層する三層構造であることが好ましい。
【0069】
このような三層構造の硬化膜20´´を形成する場合には、図2(b)に示すように、基材10に対して、クリアな光硬化性ジェルネイル用組成物を塗布した後、紫外線照射によって光硬化させ、厚さ100~1000μmのクリアな下地層12を形成する。
次いで、図2(c)に示すように、下地層12の上に、着色剤を含んだカラー光硬化性ジェルネイル用組成物を塗布した後、さらに、所定量の紫外線照射を行い、光硬化させ、厚さ100~1000μmの中間層16を形成する。
更に、図2(d)に示すように、中間層16の上に、クリアな光硬化性ジェルネイル用組成物を塗布した後、更に、所定量の紫外線照射を行い、光硬化させ、厚さ100~1000μmのクリアな保護層18を形成する。
よって、多層構造の硬化膜20において、下地層12によって、基材10である爪に対する密着性にも優れ、着色剤を含有する中間層16によって、優れた装飾性が得られ、更に、保護層18によって、中間層16等の耐久性を更に高めることができる。
なお、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物は、下地層12(ベース)、中間層16(カラー)、保護層18(トップ)それぞれに適用することが可能であるが、特に、下地層(ベース)に用いることで、取扱性、密着性、及び剥離性に更に優れた光硬化性ジェルネイル用組成物として適用することができる。
【0070】
また、上述の光硬化工程においては、塗布層13に照射する紫外線14aの照射量を300~800mJ/cm2の範囲内とすることが好ましく、硬化膜を二層以上の多層構造とする場合、一層ごとに、同程度の量の紫外線を照射するのが好ましい。
光硬化工程は、例えば、基材(爪)10上に塗布された光硬化性ジェルネイル用組成物12´に対して、ジェルネイル硬化器14(例えばUV-LED硬化器、32W、波長405nm)から、所定量のUV-LEDを照射、光硬化させて硬化膜20を、基材(爪)10の上に形成することができる。
【0071】
4.剥離工程:工程(4)
剥離工程は、アセトンなどの溶媒を含むリムーバーを染み込ませた布やコットンで硬化膜を拭き、硬化膜を剥離する工程である。
その際、必要であれば、ファイル(やすり)で硬化膜を削り、リムーバーを浸透しやすくすることもできる。
又、硬化膜が剥離し難い場合には、リムーバーを染み込ませた布やコットンを爪上に配置した後に、指先を包む大きさにカットしておいたアルミホイルで、コットンが硬化膜の上からずれないように包み込み数分間(好ましくは5分以内)放置した後に、アルミホイル、及びコットンを外し、リムーバーが浸透して外れやすくなった硬化膜をウッドスティックやプッシャーで突いて落とす方法も適用することもできる。
【実施例
【0072】
以下、本発明を、実施例に基づいて詳細に説明するが、特に理由なく、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0073】
[実施例1]
1.光硬化性ジェルネイル用組成物の作成
容器内に、下記(A)~(E)成分を、表1に示す割合となるように配合した後、撹拌装置を用いて、均一になるまで混合し、透明色の光硬化性ジェルネイル用組成物を得た。
得られた光硬化性ジェルネイル用組成物の粘度は2000mPa・s(測定温度:25℃)であった。
【0074】
(A)ウレタンアクリレート樹脂
(a1-1)ウレタンアクリレート樹脂(7官能、重量平均分子量5000)
(a1-2)ウレタンアクリレート樹脂(重量平均分子量15000)
(a2)ウレタンアクリレート樹脂(重量平均分子量3000)
(B)セルロース系樹脂
(b1)セルロースアセテートブチレート樹脂
(数平均分子量6000、Tg75℃、水酸基価50mgKOH/g)
(C)(メタ)アクリレートモノマー
(c1)2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
(c2)イソボルニルアクリレート
(c3)2-ヒドロキシエチルメタクリレート
(c4)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(D)光重合開始剤
(d1)1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン
(d2)ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド
(E)有機系溶媒
(e1)酢酸ブチル
(e2)酢酸エチル
【0075】
2.光硬化性ジェルネイル用組成物の評価
(1)光硬化性
基材としての爪に、ジェルネイル専用刷毛を用いて、光硬化性ジェルネイル用組成物を塗布し、厚み0.1mmの塗布層を形成した。
次いで、形成された塗布層に、ジェルネイル用UV装置を使用して、紫外線を400mJ/cm2照射し、塗布層を光硬化させ、単層の硬化膜を得る過程で、下記基準により、光硬化性ジェルネイル用組成物の光硬化性を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:照射時間15秒でタックレスとなった。
○:照射時間30秒でタックレスとなった。
△:照射時間30秒でややタック感が残った。
×:照射時間30秒で未硬化であった。
【0076】
(2)密着性1(耐外力性)
光硬化性ジェルネイル用組成物の光硬化により、基材としての爪上に形成された単層の硬化膜に対し、爪による引掻き試験を行うことにより、密着性を評価した。
すなわち、硬化膜が形成された爪を、他の爪にて10回引掻いて、その外観変化を、下記の基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:硬化膜と爪との外観に変化がない。
○:硬化膜と爪との間に、若干の剥離が確認された。
△:硬化膜と爪との間に、一部の剥離が確認され、外観の一部に白化が確認された。
×:硬化膜と爪との間に、顕著な剥離が確認され、外観の全体に白化が確認された。
【0077】
(3)密着性2(耐温水性)
光硬化性ジェルネイル用組成物の光硬化により、基材としての爪上に形成された単層の硬化膜につき、約25℃の温水で手洗いを行うことにより、密着性を評価した。
すなわち、爪上に硬化膜が形成された状態の手を、石鹸等を使用せずに温水(約25℃)のみで洗い、タオル性素材により拭き取る作業を1日に20回行い、これを3日間の継続した後、その外観変化を、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:3日を超える日数が経過しても、硬化膜と爪との外観に変化がない。
○:3日以内に、硬化膜と爪との間に、若干の剥離が確認された。
△:1日以内に、硬化膜と爪との間に、一部の剥離が確認され、外観の一部に白化が確認された。
×:1日以内に、硬化膜と爪との間に、顕著な剥離が確認され、外観の全体に白化が確認された。
【0078】
(4)剥離性
光硬化性ジェルネイル用組成物の光硬化により、基材としての爪上に形成された単層の硬化膜に対し、アセトンが主成分のリムーバー(Sofirah(登録商標))を用い摩擦することで、下記基準に沿って剥離性を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:5分未満の摩擦で、硬化膜を剥離除去することができた。
○:5~10分未満の摩擦で、硬化膜を剥離除去することができる。
△:10~15分未満の摩擦で、硬化膜を剥離除去することができる。
×:15分以上摩擦しても、硬化膜を剥離除去することができなかった。
【0079】
[実施例2~5、比較例1~2]
実施例2~5、及び比較例1~2では、表1に示すように、(A)~(E)成分の配合比を変えたほかは、実施例1と同様に、光硬化性ジェルネイル用組成物を得るとともに、それを光硬化させて、光硬化性等を評価した。
【0080】
【表1】
【0081】
[実施例6~8、比較例3~4]
実施例6~8、及び比較例3~4では、表2に示すように、硬化膜を下地層、中間層保護層からなる多層構造として構成し、実施例1と同様に光硬化性等を評価した。得られた評価を表2に示す。
すなわち、第1工程として、基材としての爪に、実施例1、2、5、及び比較例1、2と同様の組成の光硬化性ジェルネイル用組成物を塗布した後、それぞれ光硬化させ、下地層を形成した。
次いで、第2工程として、下地層の上に、実施例1、及び比較例2と同様の組成の光硬化性ジェルネイル組成物に、(F)着色剤としてペリレン系の赤色顔料(Pigment Red 149)を20重量部配合した、カラー光硬化性ジェルネイル組成物を塗布し、光硬化させて、中間層を形成した。
次いで、第3工程として、中間層の上に、実施例1、3、4、及び比較例1、2と同様の光硬化性ジェルネイル用組成物を塗布した後、光硬化させ、保護層を形成した。
なお、表2においては、それぞれの層を形成する光硬化性ジェルネイル用組成物の組成を、実施例1~5と同様とする場合は組成1~5、比較例1、2と同様とする場合は組成6、7とし、着色剤の含む場合はその旨を記載した。
【0082】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物によれば、所定のウレタンアクリレート樹脂と、所定のセルロース系樹脂と、を所定比で配合することにより、ジェルネイルの塗布が容易であって、硬化性に優れるとともに、使用後には簡単に剥離が可能となった。
特に、使用後における剥離の際に、単層構造の硬化膜はもちろんのこと、多層構造の硬化膜であっても容易に剥離できることから、短時間で剥離処理することができるようになった。
したがって、本発明の光硬化性ジェルネイル用組成物、及びそれを用いたジェルネイル方法は、自然爪のみならず、人工爪や、つけ爪においても好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 :基材(爪)
10´:指
12 :下地層
13 :塗布層
14 :ジェルネイル硬化器(紫外線照射装置)
14a:放射線(紫外線)
16 :中間層
18 :保護層
20 :単層の硬化膜
20´:多層構造(2層)の硬化膜
20´´:多層構造(3層)の硬化膜
図1
図2
図3