(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】搬送システム検査装置
(51)【国際特許分類】
B65G 43/02 20060101AFI20241030BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B65G43/02 Z
G01B7/30 B
(21)【出願番号】P 2021011402
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】523192004
【氏名又は名称】株式会社LoPAS
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】浅妻 裕己
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-142928(JP,A)
【文献】特開2020-190487(JP,A)
【文献】特開2020-027095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00 - 43/10
G01M 99/00
G01B 7/00 - 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路によって搬送可能な搬送体と、
前記搬送体に設けられた検査機構と、
前記搬送路の搬送方向に対する前記搬送体の角度を検出する角度検出機構と、
前記搬送体に設けられ、
前記角度検出機構によって検出された前記角度に応じて、前記搬送路の搬送方向に対する前記搬送体の角度を変化させる角度制御機構と、を備えることを特徴とする搬送システム検査装置。
【請求項2】
搬送路によって搬送可能な搬送体と、
前記搬送体に設けられた検査機構と、
前記搬送体に設けられ、前記搬送路の搬送方向に対する前記搬送体の角度を変化させる角度制御機構と、を備え、
前記角度制御機構は、回転体と前記回転体を回転させるモーターを含み、前記回転体の回転速度が増加又は減少する際に前記搬送体に加わる反作用によって前記角度を変化させることを特徴とする
搬送システム検査装置。
【請求項3】
前記搬送体に設けられ、前記角度を検出する角度検出機構をさらに備え、
前記角度制御機構は、前記角度検出機構によって検出された前記角度に応じて前記回転体の回転方向を切り替えることを特徴とする請求項2に記載の搬送システム検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送システム検査装置に関し、特に、搬送路を搬送させながら検査することが可能な搬送システム検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤやローラコンベヤなどの搬送路の異常を検知する方法としては、特許文献1に記載されているように、カメラや温度センサを有する検査装置を実際に搬送しながら各種データを取得する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、正確な検査を行うためには、搬送路の搬送方向に対する検査装置の角度が正しい角度である必要があり、搬送路の搬送方向に対する検査装置の角度に大きなズレが生じている場合には、正確な検査を行うことができなかった。
【0005】
したがって、本発明は、搬送体に検査機構が設けられた構造を有する搬送システム検査装置において、正しい角度で検査を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による搬送システム検査装置は、搬送路によって搬送可能な搬送体と、搬送体に設けられた検査機構と、搬送体に設けられ、搬送路の搬送方向に対する搬送体の角度を変化させる角度制御機構とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、搬送体自体に角度制御機構が設けられていることから、正しい角度で搬送路の検査を行うことが可能となる。
【0008】
本発明において、角度制御機構は回転体と回転体を回転させるモーターを含み、回転体の回転速度が増加又は減少する際に搬送体に加わる反作用によって角度を変化させるものであっても構わない。これによれば、搬送体に外力を加えることなく、角度を変化させることが可能となる。この場合、搬送システム検査装置は、搬送体に設けられ、前記角度を検出する角度検出機構をさらに備え、角度制御機構は、角度検出機構によって検出された角度に応じて回転体の回転方向を切り替えても構わない。これによれば、搬送体の角度を速やかに制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明によれば、搬送体に検査機構が設けられた構造を有する搬送システム検査装置において、正しい角度で検査を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、搬送システム検査装置10の外観を示す略斜視図である。
【
図2】
図2は、情報処理部13の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、搬送体11の位置及び角度とカメラ12に求められる視野角の関係を説明するための模式図である。
【
図4】
図4は、モーターローラー2のy方向における幅とカメラ12に求められるカバーレンジとの関係を示すグラフである。
【
図5】
図5は、搬送体11の向きBを補正する方法を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、搬送体11の向きBを判定する別の方法を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、搬送システム検査装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、搬送システム検査装置10の外観を示す略斜視図である。
【0013】
本実施形態による搬送システム検査装置10は、ベルトコンベヤやローラコンベヤなどの搬送路1の異常を検知するものであり、搬送路1によって搬送可能な搬送体11と、搬送体11に設けられたカメラ12、情報処理部13、モーター14及び回転体15を備えている。
図1に示す例では、搬送路1が複数のモーターローラー2によって構成されている。モーターローラー2は、内蔵されたモーターによって自転する回転ローラーであり、y方向の回転軸を有している。モーターローラー2の軸方向における両端は、フレーム3によって支持されている。このようなモーターローラー2がx方向に複数配列されており、これにより各モーターローラー2を一方向に回転させることによって搬送路1上の荷物コンテナが矢印Aで示す方向に搬送される。但し、一部のモーターローラー2についてはフリーローラーに置き換えても構わない。
【0014】
搬送システム検査装置10は、荷物コンテナと同様に搬送路1によって搬送されながら、カメラ12によって個々のモーターローラー2の異常を検知するものである。搬送体11はコンテナ状であり、その内部に情報処理部13、モーター14及び回転体15が収容されている。カメラ12は、搬送体11の前方に取り付けられた検査機構であり、搬送体11の近傍に位置するモーターローラー2を撮影する。本発明において検査機構がカメラ12である必要はなく、モーターローラー2の異常を検知可能な各種センサを用いることができる。
【0015】
情報処理部13は、
図2に示すように、加速度センサ21とコントローラ22を含んでいる。加速度センサ21は、搬送システム検査装置10が加減速する際の加速度の方向を検知する角度検出機構であり、その出力値はコントローラ22に供給される。これによりコントローラ22は、搬送システム検査装置10が搬送路1上においてどのような傾きを有しているのか判定することができる。コントローラ22は、カメラ12及びモーター14の制御も行う。
【0016】
カメラ12によってモーターローラー2を正しく撮影するためには、カメラ12が搬送方向と同じ方向を向いていることが好ましい。また、カメラ12に求められる視野角(カバーレンジ)は、搬送路1のy方向における幅に依存するのはもちろんのこと、搬送路1の搬送方向に対する搬送体11の位置や角度にも依存する。
図3(a)には、搬送体11がモーターローラー2のy方向の中央に配置され、且つ、搬送体11の向きBが搬送方向であるx方向と一致している状態が示されている。搬送体11の向きBは、カメラ12の正面方向である。この場合、所定の距離に位置するモーターローラー2及びフレーム3をカメラ12によって撮影するためには、片側にθ
1の視野角が求められる。つまり、合計で2×θ
1の視野角が必要となる。ここで、矢印Cは、カメラ12に求められるカバーレンジを示している。また、
図3(b)に示すように、搬送体11がy方向にオフセットして配置されている場合、片側の視野角がθ
2(>θ
1)に拡大する。さらに、
図3(c)に示すように、搬送体11の向きBが搬送方向であるx方向に対して傾きを有している場合、片側の視野角はさらにθ
3(>θ
2)に拡大する。
【0017】
このように、カメラ12に求められる視野角は搬送体11の位置や角度によって変化する。特に、
図3(c)に示すように、搬送体11が傾いて配置されるケースを想定すると、非常にカバーレンジの大きい広角カメラを用いる必要がある。例えば、搬送体11のy方向における幅を400mm、x方向における長さを600mmとした場合、モーターローラー2のy方向における幅とカメラ12に求められるカバーレンジとの関係は、
図4に示すとおりとなる。
図4において、実線は搬送体11に傾きがない場合を示し、破線は搬送体11に傾きがある場合を示している。
図4に示すように、搬送体11が傾いている場合、カメラ12に求められるカバーレンジが極端に増加することが分かる。また、搬送体11の傾きによっては、モーターローラー2の正確な撮影自体が困難となる。
【0018】
このような問題を解決すべく、本実施形態による搬送システム検査装置10は、搬送方向に対する搬送体11の角度を自立的に補正する機能を有している。かかる機能は、モーター14及び回転体15からなる角度制御機構によって実現される。モーター14は、コントローラ22の制御のもと回転体15を回転させる。本実施形態においては回転体15が円盤状であり、その回転軸はz方向である。回転体15は、搬送システム検査装置10の重心位置に配置されることが好ましい。
【0019】
モーター14及び回転体15からなる角度制御機構は、回転体15の回転速度が増加又は減少する際に搬送体11に加わる反作用によって、搬送体11の角度を変化させる。例えば、
図5に示すように、搬送方向であるx方向に対して搬送体11が左側に傾いている場合、回転体15を矢印Dで示す反時計回り方向に急加速するよう回転させる。これにより、回転体15を支持する搬送体11には、反作用によって時計回り方向のトルクが発生し、搬送体11の傾きが補正される。回転体15の回転を停止させる際には、強い反作用が生じないよう、ゆるやかに減速させる必要がある。或いは、矢印Eで示す時計回り方向に回転する回転体15を急減速させることによって、搬送体11に時計回り方向のトルクを与えても構わない。この場合、停止状態にある回転体15を回転させる際には、強い反作用が生じないよう、ゆるやかに加速させる必要がある。このような原理により、搬送方向であるx方向に対する搬送体11の向きBの角度θdが小さくなり、理想的にはゼロとなる。
【0020】
搬送体11の現在の向きBは、上述の通り、加速度センサ21によって判定することができる。つまり、搬送システム検査装置10が加減速する際の加速度の方向xを加速度センサ21によって検知し、これを基準となる方向Bと比較することによって、搬送体11が左右いずれの方向に傾いているのか、判定することが可能となる。或いは、
図6に示すように、搬送体11に複数の近接センサ23を設け、各近接センサ23によってフレーム3までの距離を測ることにより、搬送体11の現在の向きBを判定しても構わない。
【0021】
図7は、本実施形態による搬送システム検査装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0022】
まず、角度θdを初期化した後(ステップS1)、加速度センサ21による測定を行う(ステップS2)。そして、加速度信号が取得されると(ステップS3)、コントローラ22による演算を行い、角度θdを算出する(ステップS4)。そして、角度θdが正の値であれば(ステップS5:Yes)、モーター14によって回転体15を時計回り方向に急加速するよう回転させる(ステップS6)。これにより、搬送体11の角度が反時計回り方向に補正される。その後、回転体15の回転をゆるやかに停止させ(ステップS7)、所定の制御周期tの経過を待つ(ステップS8)。一方、角度θdが負の値であれば(ステップS9:Yes)、モーター14によって回転体15を反時計回り方向に急加速するよう回転させる(ステップS10)。これにより、搬送体11の角度が時計回り方向に補正される。その後、回転体15の回転をゆるやかに停止させ(ステップS11)、所定の制御周期tの経過を待つ(ステップS8)。
【0023】
そして、停止指示(ステップS12)がない限り、所定の制御周期tが経過する度に上記の動作を繰り返し実行することにより、角度θdをゼロに近づける。停止指示(ステップS12)は、オペレーターの操作によるものであっても構わないし、角度θdが所定の範囲内に収まった場合に自動的に停止指示を発生させても構わない。
【0024】
このように、本実施形態による搬送システム検査装置10は、搬送方向であるx方向に対する搬送体11の向きBの角度θdが自立的に補正されることから、カメラ12によってモーターローラー2を正しく撮影することができるとともに、カメラ12に求められる視野角(カバーレンジ)を狭くすることが可能となる。
【0025】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0026】
1 搬送路
2 モーターローラー
3 フレーム
10 搬送システム検査装置
11 搬送体
12 カメラ
13 情報処理部
14 モーター
15 回転体
21 加速度センサ
22 コントローラ
23 近接センサ