(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】筆箱
(51)【国際特許分類】
A45C 11/34 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
A45C11/34 102Z
(21)【出願番号】P 2021074190
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】593093423
【氏名又は名称】クツワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】橡尾 洋介
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210432999(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0153116(US,A1)
【文献】実開昭54-140856(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0262853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記用具を収容する収容体と、前記収容体を閉蓋する蓋体と、前記蓋体を折り曲げてなるスタンドを保持する保持体と、を備えてなり、
前記蓋体は、前記収容体の外枠部を覆う閉蓋部と、前記閉蓋部の側辺に折曲自在に設けられた支持部と、前記保持体と前記支持部とを着脱自在に係止する係止部と、を有
し、
前記支持部は、折曲部を介して閉蓋部に連設され、保持体の巻き付け位置に形成された凹部を有することを特徴とする筆箱。
【請求項2】
凹部は、支持部の長手方向の側縁に形成され、少なくとも保持体の厚み方向が収まる横幅と深さを有することを特徴とする請求項
1記載の筆箱。
【請求項3】
係止部は、保持体の一端と支持部の表面とに設けられたスナップボタンからなり、前記支持部のスナップボタンは、前記支持部の長手方向の両側縁近傍に少なくとも二つを離間して設けることを特徴とする請求項1記載の筆箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体がスタンドになる筆箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の初等中等教育において、児童や生徒に一人一台のパソコンやタブレット型情報端末を配布し、プログラミング教育、インターネットを利用した学習用資料の収集やオンライン授業などが行われている。そのため、机上において画面操作可能な板状のタブレット型情報端末を使用する場合、タブレット型情報端末自体を起立させて、使用者に画面を見やすくするタブレットスタンドが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、関連技術として、書籍を開いたまま立て掛ける書見台として使用することができる種々の筆箱が提案されている(例えば特許文献2-5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-39768号公報
【文献】実全昭49-026647号公報
【文献】実全昭50-002439号公報
【文献】実全昭50-020754号公報
【文献】実全昭56-174536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タブレット型情報端末を机上に平置きしながら使用すると、タブレット型情報端末の視野角は狭いため覗き込んで目線が下がり、正しい姿勢を維持することが出来ない。そのため、タブレットスタンドを設置することが好ましいが、学習机の限られた机上のスペースに筆箱、教科書、ノートを展開しながら、それらとは別にタブレットスタンドを設置するためのスペースを確保することが難しかった。
【0006】
また、上記特許文献に記載の書見台となる筆箱にタブレット型情報端末を立て掛けて操作したりすると、書籍に比べて重量のあるタブレット型情報端末に対して十分な安定性を備えておらず書見台が倒れてしまうおそれがあった。
【0007】
したがって、本発明は、筆箱の蓋体がスタンドになり、タブレット型情報端末や教科書、ノートの立て掛けに対して安定性の高い筆箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑み、筆記用具を収容する収容体と、前記収容体を閉蓋する蓋体と、前記蓋体を折り曲げてなるスタンドを保持する保持体と、を備えてなり、
前記蓋体は、前記収容体の外枠部を覆う閉蓋部と、前記閉蓋部の側辺に折曲自在に設けられた支持部と、前記保持体と前記支持部とを着脱自在に係止する係止部と、を有し、
前記支持部は、折曲部を介して閉蓋部に連設され、保持体の巻き付け位置に形成された凹部を有することを特徴とするものである。
【0010】
また、上述した構成に加え、凹部は、支持部の長手方向の側縁に形成され、少なくとも保持体の厚み方向が収まる幅と深さを有することが好ましい。
【0011】
また、上述した構成に加え、係止部は、保持体の一端と支持部の表面とに設けられたスナップボタンからなり、前記支持部のスナップボタンは、前記支持部の長手方向の両側縁近傍に少なくとも二つを離間して設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明によれば、筆記用具を収容する筆箱として使用することができるとともに、机上の限られたスペースにおいて蓋体をスタンドとして使用することができる筆箱を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る筆箱の一例であり、蓋体の閉蓋部と支持部とを折り重ねて、保持体の一端を蓋体に係止して通常の筆箱とする状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の保持体の一端を蓋体から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の蓋体を折り曲げてなるスタンドを起立させた状態を示した斜視図である。
【
図4】
図3のスタンドにタブレット型情報端末を立て掛けた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について
図1―5に基づいて詳細に説明する。
【0015】
(実施形態)
本発明は、
図1に示すように、筆記用具を収容する収容体20と、収容体20を閉蓋する蓋体10と、蓋体10を折り曲げてなるスタンドを保持する保持体30と、からなるものである。
【0016】
収容体20は、少なくとも上面が開口した箱状体の外枠部21と、鉛筆を保持する鉛筆ホルダと、消しゴムを入れる消しゴム収納部22と、閉蓋部11の吸着部11aを磁着する磁石23と、を有する。
【0017】
蓋体10は、少なくとも収容体20の外枠部21の外側面及び上方開口部を覆う閉蓋部11と、閉蓋部11の側辺に折曲自在に設けられた支持部12と、を有する。
【0018】
閉蓋部11は、平板状の芯材に外皮材を被覆したものであり、磁石23に吸着する金属材を主体とする吸着部11aを有するものである。この外皮材は、載置面50に対して摩擦力が生じる凹凸形状にしてもよい。
【0019】
支持部12は、折曲部12aを介して閉蓋部11に連設され、閉蓋部11と同様の平板状の芯材に外皮材を被覆したものであり、保持体30の巻き付け位置に形成された凹部12bを有する。
【0020】
凹部12bは、保持体30の巻き付け位置である支持部12の長手方向の側縁の中央付近に形成され、少なくとも保持体30の厚み方向が収まる横幅と深さを有するものである。
【0021】
折曲部12aは、外皮材のみからなり、閉蓋部11又は支持部12に比べて厚みを薄くして折り曲げ自在に形成されたものである。この折曲部12aは、閉蓋部11の表面11bと、支持部12の裏面12dとが保持体30を外した状態で鋭角をなして対向するように折癖を付けておくことが好ましい。
【0022】
保持体30は、細長い帯状体であり、一端が外枠部21の外側面を覆う部分の閉蓋部11の表面中央にカシメや溶着などによって固定され、他端が支持部12に着脱自在に係止される係止部31を有する。また、この保持体30は、スタンドの起立状態を保持しうるように、少なくとも支持部12の長手方向の幅のおおよそ5分の1程度の幅を有し、閉蓋部11と支持部12の間隔を一定に保つため、伸縮性の低い布材を主体として形成されることが好ましい。
【0023】
係止部31は、保持体30の一端と支持部12の表面12cとに設けられたスナップボタン31a、31bからなり、この支持部12の表面側のスナップボタン31aは、長手方向の両側縁近傍に少なくとも二つを離間して設ける。
【0024】
次に、上述した筆箱の蓋体10を折り曲げてスタンドとして使用する方法について
図1-5に基づいて説明する。
【0025】
まず、筆記用具を収容する通常の筆箱として使用する際には、
図1に示すように、閉蓋部11の表面11bと支持部12の裏面12dとを折り重ねた状態で、保持体30の一端のスナップボタン31bを蓋体10の支持部12における折曲部12a側のスナップボタン31aに係止して保持させる。
【0026】
次に、使用者は、
図2に示すように、蓋体10を折り曲げてスタンドとするために、保持体30の一端のスナップボタン31bを、支持部12の折曲部12a側のスナップボタン31aから外して折り重ね状態を解除する。
【0027】
そして、
図3、4、5に示すように、保持体30のスナップボタン31bを、支持部12の他方の側縁側のスナップボタン31aに係止させて付け替え、閉蓋部11と支持部12とを鋭角をなすように折り曲げることで、側面方向から見て、閉蓋部11及び支持部12を斜辺、保持体30を底辺、折曲部12aを頂点とする略二等辺三角形状の筒状体のスタンドとする。
【0028】
このとき、
図5に示すように、スタンドの保持体30の凹部12bを除く側縁全体を載置面50に当接させた起立状態において、支持部12の凹部12bによって、載置面50との間に隙間Sが生じる程度に保持体30を収めることができ、保持体30の厚みによる載置面50とスタンドとのガタツキをなくすことができる。また、
図4に示すように、この保持体30によって、閉蓋部11と支持部12との幅を一定に保つことで蓋体10をスタンドにした状態を維持することが可能である。
【0029】
したがって、上述した構成によって、筆記具を収容する通常の筆箱として使用することができるとともに、机上の限られたスペースに蓋体10を折り曲げてなるスタンドとして載置することができ、閉蓋部11の裏面11c側に対してタブレット型情報端末40を立て掛けて使用することが可能である。
【0030】
また、このスタンドを使用する場合、支持部12の側縁全体を載置面50に当接することで起立状態の安定性を向上させることができるとともに、閉蓋部11及び支持部12の間隔や傾斜角度を保持体30によって固定することができ、タブレット型情報端末40を立て掛けたり、操作したときにスタンドが倒れることを防止することが可能である。
【0031】
上記の実施形態では本発明の好ましい実施形態を例示したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で改善や変更が可能である。例えば、保持体30を複数設けてもよく、係止部31のスナップボタン31a、31bを面ファスナなどに適宜変更してもよい。また、この蓋体10を折り曲げてなるスタンドに教科書やノートを立て掛けて使用してもよい。
【符号の説明】
【0032】
10…蓋体 11…閉蓋部 11a…吸着部 11b…表面 11c…裏面 12…支持部 12a…折曲部 12b…凹部 12c…表面 12d…裏面
20…収容体 21…外枠部 22…消しゴム収納部 23…磁石
30…保持体 31…係止部 31a、31b…スナップボタン
40…タブレット型情報端末
50…載置面
S…隙間