(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】がんの診断における後成的染色体相互作用の応用
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6886 20180101AFI20241030BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20241030BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20241030BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20241030BHJP
【FI】
C12Q1/6886 Z ZNA
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
C12N15/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022183117
(22)【出願日】2022-11-16
(62)【分割の表示】P 2019528462の分割
【原出願日】2017-11-30
【審査請求日】2022-12-16
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518389864
【氏名又は名称】オックスフォード バイオダイナミックス パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Oxford BioDynamics PLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グランド,フランシス ヘクター
(72)【発明者】
【氏名】ラマダス,アラウル セルヴァム
(72)【発明者】
【氏名】アコウリチェフ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ハンター,ユアン
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-500031(JP,A)
【文献】特表2010-515449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における
神経膠腫または急性骨髄性白血病の予後
の指標を提供する方法であって、当該方法が、
前記対象由来の試料において、FIP1L1
およびPDGFRA
遺伝子に関連する
4番染色体上の少なくとも1つの後成的染色体相互作用の有無を検出する
ことによるものであり、
前記後成的染色体相互作用が、
(i)以下のプローブ
:
(f)
位置番号54231931-54236063および55143356-55145047によって形成される染色体相互作用を検出するための5’-TATGCTTGTGGGACATCGACAAAAGCAATTATGC-3
’
(k)
位置番号54278879-54279091および53379986-533880176によって形成される染色体相互作用を検出するための5’-TCAGCAAGGACCTCGAAAAGATAAAACA-3’
(l)
位置番号53361094-53361416および54281778-54281990によって形成される染色体相互作用を検出するための5’-ATTTATTCGAAAACCCTGGGACCC-3’
の何れか;または
(ii)以下のプライマーペア:
(m)
位置番号53379986-53380174および54294960-54295285によって形成される染色体相互作用を検出するためのTTCCACGTGGCCTACCACAGおよびCAGCTGCGAGGTTTTCTTTT
(n)
位置番号53379986-53380318および54285685-54285944によって形成される染色体相互作用を検出するためのTGGGAGTGGGTGGAGTGAGAおよびACGGACTGACATCTTTAGCTTCC
(o)
位置番号53379986-53380176および54278879-54279091によって形成される染色体相互作用を検出するためのGCAGCTGCGAGGTTTTCTTTおよびGCCATGTGGCTTGGGCATAC
(p)
位置番号53379986-53380194および54281532-54281784によって形成される染色体相互作用を検出するためのAGTACTTCCTCTCCCCTCCCAおよびGCAGCTGCGAGGTTTTCTTTT
(q)
位置番号53361094-53361416および54281778-54281990によって形成される染色体相互作用を検出するためのCCTCTCCCACACAAACCTGCTAおよびACATGGAGCACACATACAAGCTAC
(r)
位置番号53369589-53369898および54281778-54282010によって形成される染色体相互作用を検出するためのAAATGATGAGGCACGGGTGAAおよびCATGGAGCACACATACAAGCTAC
の何れか
によって検出されるものであり、
前記後成的染色体相互作用の有無を検出することが:
(i)一緒になって染色体相互作用をして架橋核酸を形成する染色体領域をインビトロ架橋するステップと;
(ii)前記架橋核酸を酵素による制限消化切断に供して架橋切断核酸末端を形成するステップと;
(iii)前記架橋切断核酸末端をライゲートしてライゲート産物を形成するステップと;
(iv)選択された前記プローブまたはプライマーペアによって前記ライゲート産物を検出するステップと
を備える方法によって実施され、それによって前記後成的染色体相互作用の有無を決定し、前記後成的染色体相互作用の存在は、前記神経膠腫または急性骨髄性白血病がチロシンキナーゼ阻害剤療法
に応答性
であることを示すことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、プローブが検出に使用され、フルオロフォアが前記プローブの5’末端に共有結合していることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、プローブが検出に使用され、クエンチャーが前記プローブの3’末端に共有結合していることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において
、前記フルオロフォアが、HEX、Texas RedおよびFAMから選択されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は染色体相互作用に関する。
【背景技術】
【0002】
世界の人口は増大して、あらゆる技術面において、特に医療の分野で急速かつ効果的なサービスを期待するようになっている。個別化療法における改善は、多くの場合、タンパク質、mRNA、抗体およびSNPマーカーなどのバイオマーカーの使用に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、がんの予後における染色体相互作用の役割を調査した。彼らの研究は、特異的染色体相互作用が、療法に対する応答性などの特定の結果と関連づけられることを示している。この研究の一部として、本発明者らは染色体相互作用を検出する過程で生じるライゲートされた核酸の検出に特に適した新しい後成的試験アッセイも開発した。
【0004】
したがって、本発明は、サブグループを区別するがんの予後コンパニオン後成的試験に関連する後成的染色体相互作用の決定方法であって、サブグループからの核酸の第1セットを、染色体相互作用のインデックス集団を代表する核酸の第2セットと接触させ、そして相補配列をハイブリダイズさせることを含み、核酸の第1および第2セット中の核酸は、一緒になって後成的染色体相互作用する染色体領域の両方からの配列を含むライゲート産物を代表し、そして核酸の第1および第2セット間のハイブリダイゼーションのパターンによって、どの後成的染色体相互作用が集団中のサブグループに対して特異的であるかの判定が可能になり、サブグループは、予後に関連する少なくとも1つの特性が異なる。典型的には、サブグループはチロシンキナーゼ阻害剤療法の応答性に関して異なる、および/またはがんはキナーゼ遺伝子および/またはチロシンキナーゼレセプター遺伝子からの異常発現と関連付けられる、および/またはがんは、以下の遺伝子:FIP1L1、PDGFRA、Flt3、ABL1、FGFR1およびcKITの1以上における遺伝子変化または後成的変化と関連づけられる。
【0005】
本発明はまた、がんの予後を判定する方法であって:(a)前記方法によって特定された染色体相互作用を分類し、および/または(b)(i)チロシンキナーゼ阻害剤療法に対する応答性、および/または(ii)キナーゼ遺伝子および/またはチロシンキナーゼレセプター遺伝子からの異常発現、および/または(iii)以下の遺伝子:FIP1L1、PDGFRA、Flt3、ABL1、FGFR1およびcKITの1以上に関連する少なくとも1つの後成的染色体相互作用の存在または非存在を検出することを含む方法を提供する。
【0006】
本発明はさらに、PCR反応の間の活性化に際して検出可能であるプローブを使用して染色体相互作用に関連するライゲートされた配列を定量的に検出するための方法を提供し、前記ライゲートされた配列は、一緒になって後成的染色体相互作用する2つの染色体領域からの配列を含み、前記方法は、PCR反応の間にライゲートされた配列をプローブと接触させ、そしてプローブの活性化の程度を検出することを含み、前記プローブがライゲーション部位と結合する。この方法によって、二重標識蛍光加水分解プローブを使用してMIQEに準拠した方法で特定の相互作用を検出することが可能になる。
【0007】
出願人の研究は、腫瘍学的状況における予後を決定するためのMIQEに準拠した染色体コンフォメーション(3C)アッセイを初めて産業界に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、3Cプロセスの概略図である。3Cとは、クロマチンコンフォメーションキャプチャ、または染色体コンフォメーションキャプチャを意味する。
【
図2】
図2は、ライゲートされた配列1の配列位置に対する曲率および曲げ性のグラフである。10.5bpヘリカルターン当たりの度で表した予想される曲率を黒色で示し(左側のY軸上の0~9の目盛り)、a.u.で表した曲げ性を灰色で示す(右側のY軸上の4~6.5の目盛り)。0~500の塩基対で表した配列数をX軸上に示す。
【
図3】
図3はライゲートされた配列2の配列位置に対する曲率および曲げ性のグラフである。10.5bpヘリカルターンあたりの度で表した予想される曲率を黒色で示し(左側のY軸上の0~12の目盛り)、a.u.で表した曲げ性を灰色で示す(右側のY軸上の3~6.5の目盛り)。0~700の塩基対で表した配列数をX軸に示す。
【
図4】
図4は、ライゲートされた配列3の配列位置に対する曲率および曲げ性のグラフである。10.5bpヘリカルターンあたりの度で表した予想される曲率を黒色で示し(左側のY軸上の0~9の目盛り)、およびa.u.で表した曲げ性を灰色で示す(右側Y軸上の4~6の目盛り)。0~450の塩基対で表した配列数をX軸上に示す。
【
図5】
図5はライゲートされた配列4の配列位置に対する曲率および曲げ性のグラフである。10.5bpヘリカルターンあたりの度で表した予想される曲率を黒色で示し(左側のY軸上の0~10の目盛り)、そしてa.u.で表した曲げ性を灰色で示す(右側のY軸上の3~7の目盛り)。0~500の塩基対で表した配列数をX軸上に示す。
【
図6】
図6は、ライゲートされた配列5の配列位置に対する曲率および曲げ性のグラフである。10.5bpヘリカルターンあたりの度で表した予想される曲率を黒色で示し(左側のY軸上の0~9の目盛り)、そしてa.u.で表した曲げ性を灰色で示す(右側のY軸上の3~6.5の目盛り)。0~700の塩基対で表した配列数をX軸上に示す。
【
図7】
図7は、ライゲートされた配列6の配列位置に対する曲率および曲げ性のグラフである。10.5bpヘリカルターンあたりの度で表した予想される曲率を黒色で示し(左側のY軸上の0~12の目盛り)、そしてa.u.で表した曲げ性を灰色で示す(右側のY軸上の3~6.5の目盛り)。0~600の塩基対で表した配列数をX軸上に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、特に着実な定量試験を用いて特定の異常なプロセスを特定することに関する。本発明は、特に以下のものを含むいくつかの異なる態様を有する:
異なるサブグループに関連する後成的染色体相互作用を特定するための方法
個体のサブグループを特定するための方法
染色体相互作用に関連するライゲートされた配列を定量的に検出する方法
PCR反応の間の活性化に際して検出可能な加水分解プローブであって、ライゲートされた核酸のライゲーション部位と結合する加水分解プローブ
PCR反応での使用のためにプライマーおよびプローブを選択する方法
がんを治療する方法
がんの治療で使用する核酸
治療薬を特定する方法。
【0010】
本発明に関連するがん
本発明は、がん、例えば、酵素における変異(DNAの脱メチル反応の原因となるものを含む)などの異なる遺伝機構に起因するか、または選択的遺伝子スプライシングもしくはブレイクポイント変異に起因するがんに関連する後成的相互作用に関する。がんは、レセプターの上方調節に起因する可能性がある。がんは、キナーゼ遺伝子および/またはチロシンキナーゼレセプター遺伝子、例えば細胞質キナーゼ遺伝子および/またはセリン/トレオニンキナーゼ遺伝子からの異常発現と関連付けることができる。がんは、以下の遺伝子:FIP1L1、PDGFRA、Flt3、ABL1、FGFR1およびcKITの1以上における遺伝子変化または後成的変化と関連付けることができる。がんは、ATP模倣物、場合によってABL1、ブルトン型チロシンキナーゼ、cKIT、FGFR1、PDGFRAおよびPDGFRBなどのチロシンキナーゼ遺伝子に対して感受性であるタンパク質における遺伝子変化または後成的変化と関連付けることができる。チロシンキナーゼ遺伝子(ABL1、Brutons、cKIT、FGFR1、およびPDGFRA)は、発現されると機能的にがん遺伝子と分類されることが多い。ATP模倣物に対して感受性であるタンパク質における遺伝子変化または後成的変化は、ATP模倣物に対して感受性であるタンパク質の上方調節を引き起こす遺伝子の発現における変化のためであり得る。例えば、FIP1L1はPDGFRA mRNA発現を直接上方調節すると考えられる。
【0011】
がんは、白血病、骨髄増殖性腫瘍、腫瘍、肺がんまたは卵巣がんであり得る。がんは、突発性過好酸性症候群(iHES)、慢性および急性好酸球性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、PDGFRA陽性非小細胞がん(NSCLC)、神経膠芽腫(多形性膠芽腫および星状細胞腫を含む)、前立腺がん、進行卵巣がん、消化管間質腫瘍(GIST)および腎細胞がんから選択される。
【0012】
分類された染色体相互作用
本発明は、染色体相互作用、例えばがん、および/またはチロシンキナーゼ阻害剤療法に対する応答性と関連づけられるものの分類に関する。染色体相互作用は、本明細書中で言及する疾患状態のいずれかにおいてのように、疾患の態様に影響を及ぼすかまたは関連づけられる。染色体相互作用は、疾患に対する感受性、療法に対する応答性または再発の可能性に影響を及ぼし得るかまたは関連づけられ得る。染色体相互作用は、患者および/または患者のサブグループの予後に影響を及ぼし得るかまたは関連づけられ得る。特異的染色体相互作用、遺伝子および領域を本明細書中で開示し、一実施形態では、それらの染色体相互作用、またはそれらの遺伝子および領域における染色体相互作用を分類することができる。好ましい領域は、表la中の範囲として開示されている。具体的なライゲートされた配列を本明細書中に開示する。染色体相互作用の分類は、そのようなライゲートされた配列またはそれらのホモログおよび/もしくはフラグメントの検出を必要とし得る。
【0013】
好ましい染色体相互作用、遺伝子および領域(ゲノム位置)は、表5、6、7、8、9、10、11、12、13および14を含む表中で示す。さらなる好ましい染色体相互作用は、本明細書中で言及される任意の核酸、例えばプローブまたはプライマー対を用いて規定または検出することができるものである。
【0014】
分類される染色体相互作用は、遺伝子(コーディング配列を含む)とその調節領域、例えばプロモーターとの間に存在するものであってもよいし、そうでなくてもよい。
【0015】
染色体相互作用は、遺伝子の調節解除、例えばエンハンサーにおける活性の変化(例えば増加または減少)と関連づけることができる。染色体相互作用は、融合ゲノム(染色体)産物(活性が変更された融合タンパク質の発現に至る可能性があるかまたは至らない可能性がある)をもたらす変異、例えばブレイクポイント変異と関連づけることができる。
【0016】
ブレイクポイント変異は:
-本明細書中で記載する任意の変異であり得るか、または
-本明細書中で記載する任意の遺伝子の範囲内であり得るか、及び得るか、もしくは含み得るか、または
-がんと関連づけられるかもしくはがんを引き起こすブレイクポイント変異
であり得る。
【0017】
ブレイクポイント変異は、少なくとも1,000ヌクレオチド、10,000ヌクレオチド、50,000ヌクレオチド、100,000ヌクレオチド、500,000ヌクレオチド、例えば少なくとも800,000ヌクレオチドの長さであり得、これは、欠失したフラグメントの長さを表す。
【0018】
予後
本明細書中で使用する場合、予後とは、1以上の転帰などの医学的状態の起こり得る過程を予測することに関する。予後の因子は、例えば治療されたまたは未治療の個体において、客観的に測定可能であり、がん疾患の起こり得る転帰に関する情報を提供する、臨床的または生物学的特性である。予測因子は、治療から受け得る恩恵に関する情報を提供することができる(例えば、腫瘍縮小または生存のいずれかの観点で)。そのような予測因子は、与えられた療法から恩恵を受ける可能性が最も高い患者の亜集団を特定するために使用できる。マーカーは、予後に関連し、また治療から恩恵を受けやすいことを予測する特性を有し得る。
【0019】
キナーゼ
本発明は、キナーゼ遺伝子またはキナーゼレセプター遺伝子改変における変化、例えば発現における変化および/または後成的形態における変化および/または遺伝子(ゲノム配列)変化に関連する可能性があり、これは、がんに関連する、および/またはがんを引き起こす。したがって、典型的にはがんはキナーゼ遺伝子および/またはチロシンキナーゼレセプターの異常発現と関連付けることができる。一実施形態において、がんは細胞質チロシンキナーゼ(例えば、ABL1)および/または細胞質キナーゼ(例えば、セリン/トレオニンキナーゼ)の異常発現と関連付けられる。「異常発現」という用語は、上方調節もしくは下方調節を包含し得るか、または異なるタンパク質の発現を包含し得る。
【0020】
この文脈で、「キナーゼ」は、核、細胞質中もしくは細胞膜で、または細胞外の位置を含む任意の他の細胞の位置で、ATPから他のタンパク質へ移行する間にコンフォメーション変化を受けるとして機能的に定義することができる。関連するキナーゼファミリーの例としては、細胞表面上にあるレセプターチロシンキナーゼ(例えば、PDGFRA)、および非レセプターキナーゼ、例えば細胞質チロシンキナーゼ(例えば、ABL1)およびセリン/トレオニンキナーゼが挙げられる。
【0021】
後成的相互作用
本明細書中で使用する場合、「後成的」相互作用という用語は、典型的には、染色体上の遠位領域間の相互作用を指し、前記相互作用は、一実施形態では動的であり、染色体の領域の状態に応じて変更、形成、または破壊される。
【0022】
本発明の特定の方法では、染色体相互作用は、相互作用の一部である染色体の両領域からの配列を含むライゲートされた核酸をまず生成することによって、検出される。そのような方法において、領域は任意の好適な手段によって架橋することができる。好ましい実施形態において、相互作用は、ホルムアルデヒドを用いて架橋されるが、任意のアルデヒド、またはD-ビオチノイル-e-アミノカプロン酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルもしくはジゴキシゲニン-3-O-メチルカルボニル-e-アミノカプロン酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルによって架橋することもできる。パラホルムアルデヒドを使用することができ、4オングストローム離れたDNA鎖を架橋することができる。
【0023】
染色体相互作用は、例えば、生理学的状態の変化に応答して転写されているかまたは抑制されている場合、染色体の領域の状態を反映する可能性がある。本明細書中で定義するようなサブグループに対して特異的である染色体相互作用は、安定であり、したがって、2つのサブグループ間の差異を測定する信頼性のある手段を提供することが判明している。
【0024】
加えて、特性(疾患状態など)に対して特異的な染色体相互作用は、通常、例えばヒストンタンパク質のメチル化または結合に対する変化などの他の後成的マーカーと比較して、生物学的プロセスにおいてより早期に起こる。したがって、本発明の方法は、生物学的プロセスの早期段階で検出することができる。これによって早期介入(例えば治療)が可能になり、結果としてより効果的であり得る。さらに、同じサブグループ内の個体間で関連する染色体相互作用にばらつきはほとんどない。
【0025】
後成的相互作用の位置および原因
後成的染色体相互作用はオーバーラップするかまたは関連するかまたは記載されていない遺伝子をコードすることが示されている染色体の領域を含み得るが、等しく遺伝子間領域であり得る。本発明で検出される染色体相互作用は、環境因子、DNAメチル化、非コーディングアンチセンスRNA転写物、非変異原性発がん物質、ヒストン修飾、クロマチンリモデリングおよび特異的局所DNA相互作用による、基礎となるDNA配列に対する変更によって引き起こされ得る。同じ染色体相互作用が、異なる対象において異なる因子によって引き起こされ得る。例えば、特定の染色体相互作用は、例えば、相互作用が観察される場所とは異なる染色体の領域におけるIDHの変異に起因する、DNAメチル化における変化によって引き起こされ得る。同じ染色体相互作用が、例えば、相互作用が観察されるのと同じ染色体領域における欠失などの、基礎となる配列に対する変化によって引き起こされ得る。
【0026】
染色体相互作用をもたらす変化は、それ自体は遺伝子産物または遺伝子発現の様式に直接影響を及ぼさない、基礎となる核酸配列に対する変化によって引き起こされ得る。そのような変化は、例えば、遺伝子の内部および/または外部のSNP、遺伝子融合および/または遺伝子間DNAの欠失、microRNA、および非コーディングRNAであり得る。例えば、SNPのほぼ20%が非コーディング領域中にあることが知られており、したがって、記載される方法は非コーディング状況において有用である。一緒になって相互作用を形成する染色体の領域は、同じ染色体上で5kb、3kb、1kb、500塩基対または200塩基対未満離れている可能性がある。一緒になって相互作用を形成する染色体の領域は、同じ染色体上で5kb、10kb、50kb、100kb、200kb、500kb、または800kb超離れている可能性があり、例えば800kb~1,200kb、例えば900kb~1,000kb離れている可能性がある。本明細書中で開示する任意のそのような値および範囲は、正常な染色体(ブレイクポイント変異のない)またはブレイクポイント変異を有する染色体を指す。
【0027】
検出される染色体相互作用は、好ましくは本明細書中で言及する遺伝子のいずれかの内部である。しかしながら、遺伝子の上流または下流、例えば遺伝子またはコーディング配列から最大50,000、最大30,000、最大20,000、最大10,000または最大5000塩基上流または下流でもあり得る。
【0028】
臨床状況のタイプ
本発明の目的は、集団中のサブグループを規定する特性に関連する染色体相互作用の検出を可能にすることである。例えば、このテクノロジーは、特異的表現型(例えば、医学的状態に関連する)のバイオマーカーに基づいた、すなわち、特定の染色体コンフォメーションシグネチャーおよび/またはその特定のシグネチャーにおける変化を認識することによって、階層化を可能にする。サブグループを規定する特性は、がんの予後に関連する。本発明の方法を、治療に対する応答性、最も効果的な療法/薬物の特定、疾患の過程のモニタリング、疾患に対する素因の特定、余病の存在および/または再発の可能性の特定などの疾患に関連する特異的特性の関連で使用することができる。したがって、方法を、特定の状態の存在の診断のために使用してもよいし、しなくてもよい。一実施形態において、本発明を使用して、例えば、継続的に治療に対する応答をモニタリングすることができる。本発明の方法を使用して、疾患のメカニズムが未知であるか、不明であるか、または複雑である座位を分類することができる。染色体相互作用の検出は、異なる調節レベルでの変化を追従する効率的な方法を提供し、その一部は複雑である。例えば、場合によって、約37,000の非コーディングRNAを単一のインパルスによって活性化することができる。
【0029】
予後に関連する特性
特性はチロシンキナーゼ阻害剤療法に対して応答性であり得る。特性は、キナーゼ遺伝子から、および/またはチロシンキナーゼ遺伝子からの異常発現であり得、例えば、特性はチロシンキナーゼ発現の上方調節であり得る。がんの予後に関連することが知られているキナーゼとしては、細胞表面上にあるレセプターチロシンキナーゼ(例えば、PDGFRA)、非レセプターキナーゼ、細胞質チロシンキナーゼ(例えば、ABL1)およびセリン/トレオニンキナーゼが挙げられる。特性は、公知の阻害剤、例えばチロシンキナーゼ阻害剤に対して応答性であるか、または応答性である遺伝子産物をコードするキナーゼ遺伝子からの異常発現であり得る。特性は、チロシンキナーゼ阻害剤に対して応答性であるか、または応答性である遺伝子産物をコードする遺伝子における遺伝子変化または後成的変化であり得る。特性は、以下の遺伝子:FIP1L1、PDGFRA、Flt3、ABL1、FGFR1およびcKITの1以上における遺伝子変化または後成的変化であり得る。
【0030】
特性は、ATP模倣物である薬物に対する応答性であり得る。チロシンキナーゼ遺伝子(例えば、ABL1、Brutons、cKIT、FGFR1、PDGFRAおよびPDGFRB)は、ATP模倣物に対して感受性であるタンパク質をコードする。
【0031】
特性は、特異的治療および/または予防(特に特異的薬品治療および/または予防)、例えばチロシンキナーゼ阻害剤に対する応答であり得、場合によって薬物はレセプターチロシンキナーゼ、例えばPDGFRAを標的とすることが知られて、好ましくはダサチニブ、クレノラニブ、ドビチニブおよびイマチニブを含む群からの1以上である。チロシンキナーゼ阻害剤は、セジラニブ、クレノラニブ、ダサチニブ(Sprycel);ドビチニブ、イマチニブ(Gleevec);IMC-3G3(オララツマブ、LY3012207)Lartruvo(PDGFRA);マシチニブ(AB1010)、ニロチニブ(Tasigna);パゾパニブ;PKC412(ミドスタウリン、CGP41251);キザルチニブ;レゴラフェニブ;ソラフェニブ(Nexavar);スニチニブ(Sutent);バタラニブ;S116836であってよい。特性は、特定の状態、場合によって過好酸球増加症に対する素因であり得る。
【0032】
サブグループおよび個別化治療
本明細書中で使用する場合、「サブグループ」は、好ましくは、集団サブグループ(集団におけるサブグループ)を指し、さらに好ましくは、特定の真核生物、または哺乳類(例えば、ヒト、非ヒト、非ヒト霊長類、または齧歯類、例えばマウスもしくはラット)などの特定の動物の集団におけるサブグループを指す。最も好ましくは、「サブグループ」は、ヒト集団におけるサブグループを指す。
【0033】
本発明は、集団における特定のサブグループを検出することおよび治療することを含む。そのようなサブグループ内で、本明細書において考察する特性(治療に対する応答性など)が存在するかまたは存在しない。染色体に関する後成的相互作用の相違は、一般的に、ゲノムレベルで存在する構造的相違である。本発明者らは、これらが所与の集団においてサブセット(例えば、2つまたは少なくとも2つのサブセット)間で異なることを見出した。これらの相違を特定することにより、医師は方法で記載するように集団の1つのサブセットの一部として患者を分類することが可能になるであろう。したがって、本発明は医師に、後成的染色体相互作用に基づいて患者の医薬を個別化する方法を提供し、また、特に前記サブグループの一部として特定されている結果として予後が影響を受ける患者のサブグループにとって、より効果的な、代替的治療法を提供する。
【0034】
典型的には、サブグループは集団の少なくとも1%、5%、10%、30%、50%または80%である。集団は一般的な集団であり得る。集団はがん患者群であり得、この場合、がんは場合によって以下のがんのいずれか1つであってよい:iHES、慢性および急性好酸球性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、PDGFRA陽性非小細胞がん(NSCLC)、多形性膠芽腫および星状細胞腫を含む神経膠芽腫、前立腺がん、進行卵巣がん、消化管間質腫瘍(GIST)および腎細胞がん。さらに多くのサブグループの1つは、先に列挙したがんのいずれかであり得、がんの予後を決定する方法は、前記がんのいずれかを有する対象に関して実施することができる。
【0035】
ライゲートされた核酸の生成
本発明のある特定の実施形態はライゲートされた核酸、特にライゲートされたDNAを利用する。これらは、一緒になって染色体相互作用をする領域の両方からの配列を含み、したがって、相互作用に関する情報を提供する。本明細書中で記載するEpiSwitch(商標)方法は、そのようなライゲートされた核酸の生成を使用して染色体相互作用を検出する。
【0036】
したがって、本発明の方法は:
(i)染色体座位に存在する後成的染色体相互作用のインビトロ架橋すること;
(ii)場合によって、前記染色体座位から架橋したDNAを単離すること;
(iii)前記架橋したDNAを、例えば、少なくとも1回切断する酵素(特に前記染色体座位内で少なくとも1回切断する酵素)での制限消化による切断に供すること;
(iv)前記架橋し切断したDNA末端をライゲートすること(特にDNAループを形成するため);そして
(v)前記ライゲートされたDNAおよび/または前記DNAループの存在を、特にPCR(ポリメラーゼ鎖反応)などの技術を使用して特定して、特異的染色体相互作用の存在を特定すること
によってライゲートされた核酸(例えば、DNA)を生成するステップを含み得る。
【0037】
PCRを用いて、ライゲートされた核酸を検出または特定することができ、例えば産生されたPCR産物のサイズは、存在する特異的染色体相互作用を示すものであり得、したがって、座位の状態を特定するために使用することができる。当業者は、関心対象内の染色体座位内のDNAを切断するために使用できる多くの制限酵素を知っているであろう。使用する特定の酵素が、研究対象の座位およびその中に位置するDNAの配列に依存することは明らかであろう。本発明で記載するようなDNAを切断するために使用できる制限酵素の非限定例はTaqIである。
【0038】
EpiSwitch(商標)テクノロジーなどの実施形態
EpiSwitch(商標)テクノロジーは、表現型に対して特異的な後成的染色体コンフォメーションシグネチャーの検出におけるマイクロアレイEpiSwitch(商標)マーカーデータの使用に関する。本明細書中で記載するような方法でライゲートされた核酸を利用するEpiSwitch(商標)などの実施形態はいくつかの利点を有する。それらは低レベルの確率的ノイズを有し、例えば、本発明の核酸の第1セットからの核酸配列が、核酸の第2セットとハイブリダイズするかまたはハイブリダイズできないかのいずれかであるためである。これにより、後成的レベルで複雑なメカニズムを測定するための比較的簡単な方法を可能にする二次元的結果がもたらされる。EpiSwitch(商標)テクノロジーはまた、処理時間が短く低コストである。一実施形態において、処理時間は3~6時間である。
【0039】
試料および試料処理
試料は個体由来のDNAを含む。通常は、細胞を含む。一実施形態において、試料は低侵襲性手段によって得られ、例えば血液であってよい。DNAを抽出し、標準的制限酵素で切断することができる。これは、どの染色体コンフォメーションが保持され、EpiSwitch(商標)プラットフォームで検出されるかをあらかじめ決定することができる。試料が患者から前もって得られた血液試料である一実施形態では、記載した方法は、手順が低侵襲性であるので有利である。水平伝播を含む組織と血液との間の染色体相互作用の同期化のために、血液試料を使用して、疾患に関連する組織などの組織における染色体相互作用を検出することができる。がんなどのある特定の状態に関して、変異に起因する遺伝子ノイズ(genetic noise)は関連する組織における染色体相互作用「シグナル」に影響を及ぼす可能性があり、したがって血液を使用するのが有利である。
【0040】
本発明に関連する核酸の特性
本発明の実施形態で作製または検出される核酸は、本明細書中で言及する第1および第2核酸と同じであり得るか、または第1および第2核酸の特性のいずれかを有し得る。本発明の核酸は、典型的には、各々、一緒になって染色体相互作用をする染色体の2つの領域の一方からの配列を含む、2つの部分を含む。典型的には、各部分は、少なくとも8、10、15、20、30または40ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長である。好ましい核酸は、表のいずれかで言及する遺伝子のいずれかからの配列を含む。好ましい核酸は本明細書中で言及する任意の特異的プローブまたはプライマー配列と結合する。好ましくは、核酸はDNAである。特異的配列が規定される場合、本発明は特定の実施形態で必要とされるような相補配列を使用し得ると理解される。
【0041】
核酸の第2セット-「インデックス」配列
核酸配列の第2セットは、インデックス配列のセットであるという機能を有し、本質的に、サブグループ特異的配列を特定するのに適した核酸配列のセットである。それらは、「バックグラウンド」染色体相互作用を表す場合があり、また何らかの方法で選択されるかもしくは選択されなくてもよい。それらは概して、あらゆる可能な染色体相互作用のサブセットである。
【0042】
核酸の第2セットは任意の好適な方法によって誘導することができる。それらはコンピューター計算から誘導することができるか、またはそれらは個体における染色体相互作用に基づく可能性がある。それらは典型的には核酸の第1セットよりも大きな集団群を表す。一つの特定の実施形態において、核酸の第2セットは遺伝子の特定のセットにおけるあらゆる可能な後成的染色体相互作用を表す。別の特定の実施形態において、核酸の第2セットは、本明細書中で記載する集団中に存在するあらゆる可能な後成的染色体相互作用の大部分を示す。一つの特定の実施形態において、核酸の第2セットは、少なくとも20、50、100または500の遺伝子において、例えば20~100または50~500の遺伝子において、後成的染色体相互作用の少なくとも50%または少なくとも80%を示す。
【0043】
核酸の第2セットは、典型的には集団における疾患状態/表現型を場合によって修飾、調節または何らかの形で媒介してもよい少なくとも100の可能な後成的染色体相互作用を表す。核酸の第2セットは、例えば、サイトカイン、キナーゼ、または任意の疾患状態、疾患に対する素因もしくは疾患表現型と関連するレギュレーターをコードする核酸配列を含む、種における疾患状態に影響を及ぼす染色体相互作用を表し得る。核酸の第2セットは、典型的には、サブグループを定義する特性に関連する後成的相互作用および関連しない後成的相互作用を表す配列を含む。
【0044】
特定の一実施形態において、核酸の第2セットは、集団において自然発生的な配列から少なくとも部分的に誘導され、典型的にはコンピューターによる方法によって得られる。前記核酸は、自然発生的な核酸において存在する核酸の対応する部分と比較して、単一または複数の変異をさらに含んでもよい。変異は、1以上のヌクレオチド塩基対の欠失、置換および/または付加を含む。一つの特定の実施形態において、核酸の第2セットは、自然発生的な種において存在する核酸の対応する部分に対して少なくとも70%の配列同一性を有するホモログおよび/またはオルトログを表す配列を含み得る。別の特定の実施形態において、自然発生的な種において存在する核酸の対応する部分に対して少なくとも80%の配列同一性または少なくとも90%の配列同一性が提供される。
【0045】
核酸の第2セットの特性
一つの特定の実施形態において、核酸の第2セットには、少なくとも100の異なる核酸配列、好ましくは少なくとも1000、2000または5000の異なる核酸配列があり、最大100,000、1,000,000または10,000,000の異なる核酸配列がある。典型的な数は100~1,000,000、例えば1,000~100,000の異なる核酸配列である。これらの全部、または少なくとも90%もしくは少なくとも50%は、異なる染色体相互作用に相当する。
【0046】
一つの特定の実施形態において、核酸の第2セットは、少なくとも20の異なる座位もしくは遺伝子、好ましくは少なくとも40の異なる座位もしくは遺伝子、そしてさらに好ましくは少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000または少なくとも5000の異なる座位もしくは遺伝子、例えば100~10,000の異なる座位または遺伝子における染色体相互作用を表す。核酸の第2セットの長さは、ワトソンクリック塩基対合に従って核酸の第1セットに対して特異的にハイブリダイズさせて、サブグループに対して特異的な染色体相互作用の特定を可能にするために好適である。典型的には、核酸の第2セットは、一緒になって染色体相互作用をする二つの染色体領域に配列において対応する2つの部分を含む。核酸の第2セットは、典型的には少なくとも10、好ましくは20、そしてさらに好ましくは30塩基(ヌクレオチド)長の核酸配列を含む。別の実施形態において、核酸配列は、最大で500、好ましくは最大で100、そしてさらに好ましくは最大で50塩基対長であり得る。好ましい実施形態において、核酸の第2セットは、17~25塩基対の核酸配列を含む。一実施形態において、核酸配列の第2セットの少なくとも100、80%または50%が前記のような長さを有する。好ましくは、異なる核酸は重複配列も有さず、例えば核酸の少なくとも100%、90%、80%または50%は少なくとも5つの近接ヌクレオチドにわたって同じ配列を有さない。
【0047】
核酸の第2セットが「インデックス」として作用すると仮定すると、第2の核酸の同じセットを、異なる特性のサブグループを代表する第1核酸の異なるセットとともに使用することができる、すなわち、核酸の第2セットは、
異なる特性に関連する染色体相互作用を特定するために使用できる核酸の「ユニバーサル」なコレクションを表す可能性がある。
【0048】
核酸の第1セット
核酸の第1セットは、通常、予後コンパニオン後成的試験に関連する特性、例えば本明細書中で言及する任意のそのような特性の有無によって規定される2以上の異なるサブグループにあることが知られている個体由来である。第1核酸は特性のいずれかおよび本明細書中で言及する核酸の第2セットの特性を有し得る。核酸の第1セットは、通常、本明細書中で記載するような治療および処理、特にEpiSwitch(商標)架橋および切断ステップを受けた個体からの試料に由来する。典型的には、核酸の第1セットは、個体から採取された試料中に存在する染色体相互作用の全部または少なくとも80%もしくは50%である。
【0049】
典型的には、核酸の第1セットは、核酸の第2セットによって表される染色体相互作用と比較して、核酸の第2セットによって表される座位または遺伝子にわたる染色体相互作用のより小さな集団を表す、すなわち、核酸の第2セットは座位または遺伝子の所定のセットにおける相互作用のバックグラウンドまたはインデックスセットを表す。
【0050】
一実施形態において、核酸の第1セットは標識され、典型的には異なるサブグループからの核酸は異なる標識で標識される。これによって、検出方法においてそれらを識別することが可能になる。
【0051】
核酸
本明細書中で記載する核酸は、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000または少なくとも10000の異なる本発明の核酸、例えば「第2の」核酸を含む核酸のライブラリの形態であり得る。本発明は、典型的には少なくとも200の異なる核酸を含む核酸の特定のライブラリを提供する。ライブラリは、アレイに結合した核酸の形態であり得る。
【0052】
ハイブリダイゼーション
本発明は、核酸の第1セットおよび核酸の第2セットからの全体的または部分的に相補的な核酸配列をハイブリダイズさせる手段を必要とする。一実施形態において、核酸の第1セットのすべてを単一のアッセイにおいて、すなわち、単一のハイブリダイゼーションステップにおいて、核酸の第2セットの全部と接触させる。しかしながら、任意の好適なアッセイを使用できる。
【0053】
標識された核酸およびハイブリダイゼーションのパターン
本明細書中で言及する核酸は、好ましくは、ハイブリダイゼーション検出の成功を支援するフルオロフォア(蛍光分子)または放射性標識などの独立した標識を使用して標識してもよい。ある特定の標識はUV光下で検出できる。例えば本明細書中で記載するアレイ上のハイブリダイゼーションのパターンは、2つのサブグループ間の後成的染色体相互作用における差異を表し、したがって、後成的染色体相互作用を比較する方法と、どの後成的染色体相互作用が本発明の集団におけるサブグループに対して特異的であるかの決定とを提供する。
【0054】
「ハイブリダイゼーションのパターン」という用語は、核酸の第1および第2セット間のハイブリダイゼーションの有無、すなわち、第1セットからのどの特定の核酸が第2セットからのどの特定の核酸とハイブリダイズするかを広範に対象とし、したがって、任意の特定のアッセイもしくは技術、または「パターン」を検出することができる表面もしくはアレイを有する必要性に限定されない。
【0055】
サブグループの特定の状態および選択
染色体相互作用、および染色体相互作用における変化に焦点を合わせることによって、本発明者らは、通常の診断法の使用では見逃される可能性がある、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を使用する潜在的な救命的診断治療介入に応答できる患者群を特定した。
【0056】
一実施形態において、本発明の方法は、チロシンキナーゼ阻害剤療法、例えばATP模倣物である阻害剤に対する応答性を検出する。好ましくは、がんのチロシンキナーゼ阻害剤療法に対する応答性は、好酸球が増大した患者において検出される。好ましくは、がんは、iHES,慢性および急性好酸球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、PDGFRA陽性非小細胞がん、多形性膠芽腫および星状細胞腫を含む神経膠芽腫、前立腺がん、進行卵巣がんまたは消化管間質腫瘍(GIST)である。そのような実施形態において、PDGFRAおよび/またはFIP1L1における染色体相互作用、例えば本明細書中で記載する任意の特異的相互作用の検出が好ましい(例えば、特異的プライマーおよび/またはプローブへの参照による)。
【0057】
好ましくは、本明細書中で言及する任意の関連する遺伝子内での任意の染色体相互作用の存在または非存在が、例えば少なくとも1、2、3、4、5または6の遺伝子において検出される。好ましくは、本明細書中で開示する任意の特異的プライマーおよび/またはプローブ配列によって表される染色体相互作用の有無は、当該方法で決定される。これらの数の遺伝子または染色体相互作用は、本明細書中で言及する異なる実施形態のいずれかで使用することができる。
【0058】
本発明は、個体における特性の有無を判定するために、染色体相互作用、典型的には1~5、または5~20、または5~500のそのような相互作用の有無を検出することを含む方法を提供する。好ましくは、染色体相互作用は本明細書中で言及する遺伝子のいずれかにおけるものである。
【0059】
3C相互作用およびがん
本発明の異なる実施形態は、本明細書中で言及する任意のがんまたは遺伝子、例えば以下に列挙するものに関するものであってよい。
【0060】
本発明者らは、乳がん、卵巣がん、白血病、神経膠腫、リンパ腫、およびがん腫を含むがんに関連するABL1、ブルトン型チロシンキナーゼ、cKIT、FGFR1、FlPLl、FLT3およびPDGFRAにおける3C相互作用を見出した。
【0061】
典型的には、本明細書中に記載する方法に関連するか、または本明細書中に記載する方法を使用して同定される相互作用は、以下の状態のいずれかと関連する:急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、CML-急性転化、消化管間質腫瘍(GIST)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性障害(骨髄増殖性腫瘍、MPN)、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、B細胞悪性腫瘍、NHL、リンパ腫(全種類)、骨髄腫、再発性成熟B細胞腫瘍、慢性移植片対宿主病、再発性有毛細胞白血病、再発性または難治性固形腫瘍、難治性マントル細胞リンパ腫、増幅食道胃がん、慢性関節リウマチ、肥満細胞症、肥満細胞性白血病、前立腺腫瘍、進行性黒色腫、変異悪性黒色腫、二次的(2nd Line)、切除不能または転移性消化管間質腫瘍(GIST)、発現(Expressing)悪性中皮腫、進行型、白金-難治性卵巣がん、再発性卵巣上皮癌、卵管、または原発性腹膜癌、卵巣低悪性度潜在的腫瘍、子宮乳頭漿液性がん、進行期小細胞肺がん、局所進行性鼻咽頭がん、再発性/難治性非ホジキンリンパ腫、転移性腎細胞がん、転移性膵消化管神経内分泌腫瘍、再発性卵巣明細胞癌、食道扁平上皮癌、持続性子宮がん、乳がん、甲状腺がん、口腔腺腫、急性白血病、前立腺腫瘍、転位置FGFR1-3、変異、または増幅された再発性頭頸部がん、FGFR-TACC遺伝子融合を発現する再発性悪性神経膠腫、進行非小細胞肺がん。
【0062】
一実施形態において、本明細書中に記載する方法に関連するか、または本明細書中に記載する方法を使用して特定される相互作用は、以下の状態のいずれかと関連づけられる:iHES、非小細胞肺がん(NSCLC)、結腸直腸がん、転移性黒色腫、腎細胞がん、難治性ホジキンリンパ腫、以前に治療された卵巣がん、局所進行性鼻咽頭がん、難治性慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、スミチニブ不成功(Sumitinib-failed)消化管間質腫瘍(GIST)。好ましい状態は、神経膠腫、急性骨髄性白血病および乳がん、iHESおよび慢性白血病である。
【0063】
例えば9q34に位置する細胞質チロシンキナーゼ遺伝子であるABL1における相互作用は、以下の疾患と関連づけられる:急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、乳がん、(GIST)、骨髄異形成症候群(MDS)または骨髄増殖性障害(骨髄増殖性腫瘍、MPN)。
【0064】
ブルトン型チロシンキナーゼ、例えばXq22.1に位置する細胞質チロシンキナーゼ遺伝子における相互作用は以下の疾患に関連づけられる:X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、B細胞悪性腫瘍、NHL、リンパ腫(全種類)、骨髄腫、慢性リンパ球性白血病、再発性成熟B細胞腫瘍、慢性移植片対宿主病、再発性有毛細胞白血病、再発性または難治性固形腫瘍、難治性マントル細胞リンパ腫、増幅食道胃がんおよび慢性関節リウマチ。
【0065】
cKIT、例えば4q12に位置するレセプターチロシンキナーゼ遺伝子における相互作用は以下の疾患に関連づけられる:肥満細胞症および肥満細胞性白血病ならびに前立腺腫瘍、進行性黒色腫、変異悪性黒色腫、二次的切除不能または転移性消化管間質腫瘍(GIST)、発現悪性中皮腫。進行型、白金-難治性卵巣がん、再発性卵巣上皮癌、卵管、または原発性腹膜癌、または卵巣低悪性度潜在的腫瘍、進行期小細胞肺がん、局所進行性鼻咽頭がん、再発性/難治性非ホジキンリンパ腫、転移性腎細胞がん、転移性膵消化管神経内分泌腫瘍、再発性卵巣明細胞癌、食道扁平上皮癌、持続性子宮がんおよび乳がん。
【0066】
例えば8pllに位置するレセプターチロシンキナーゼ遺伝子であるFGFR1における相互作用は以下の疾患に関連づけられる:甲状腺がん、口腔腺腫、慢性白血病、急性白血病、前立腺腫瘍および乳がん、転位置FGFR1-3、変異、または増幅された再発性頭頸部がん、FGFR-TACC遺伝子融合を発現する再発性悪性神経膠腫、進行非小細胞肺がん。
【0067】
しばしばPDGFRA(例えば4q12)に融合するポリアデニル化特異性因子であるFIP1L1における相互作用は以下の疾患と関連づけられる:iHES、慢性白血病。
【0068】
例えば13q11-12.2に位置するFLT3レセプターチロシンキナーゼ遺伝子における相互作用は以下の疾患に関連づけられる:慢性白血病、急性骨髄性白血病および乳がん、iHES、慢性白血病、非小細胞肺がん(NSCLC)、結腸直腸がん、転移性黒色腫または腎細胞がん、神経膠腫、難治性ホジキンリンパ腫、以前に治療された卵巣がん、局所進行性鼻咽頭がん、難治性慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、スミチニブ不成功消化管間質腫瘍(GIST)。
【0069】
例えば4q12に位置するレセプターチロシンキナーゼ遺伝子であるPDGFRAにおける相互作用は以下の疾患に関連づけられる:神経膠腫、慢性白血病、急性骨髄性白血病、乳がん、iHES。
【0070】
試験した個体
試験される個体は本明細書中で言及される任意の疾患状態または特性のいずれかの症状を有していてもよいし、有していなくてもよい。個体は、任意のそのような状態または特性の危険にさらされ得る。個体は、当該特性のために危険にさらされ得る。個体は、当該特性のためにより悪い予後を有する可能性があり、当該特性に対して特異的な療法を必要とする可能性がある。個体は、状態または特性から回復し得るか、または回復の途上にあり得る。個体は、好ましくは哺乳類、例えば霊長類、ヒト、非ヒト哺乳類または齧歯類である。個体は、オスであっても、メスであってもよい。個体は30歳以上であってよい。個体は29歳以下であってよい。
【0071】
本明細書中で検討する遺伝子、座位、領域および核酸のいずれも、本明細書中で言及される個体のタイプのいずれかを有するものであり得るか、またはそれに由来するものであり得る。
【0072】
好ましい遺伝子領域、座位、遺伝子および染色体相互作用
本発明のすべての態様について、好ましい遺伝子領域、座位、遺伝子および染色体相互作用が本明細書中で言及されている。典型的には、本発明の方法において、染色体相互作用は、本明細書中で列挙されている少なくとも1、2、3、4、5、または6つの関連する遺伝子から検出される。好ましくは、本明細書中で言及されているプライマーおよび/またはプローブ配列によって表される、少なくとも1、2、3、4、5または6つの関連する特異的染色体相互作用の存在または非存在が検出される。
【0073】
領域は、本明細書中で言及する遺伝子のいずれかの上流または下流であり得、例えばコーディング配列から、例えば、50kb上流または20kb下流であり得る。
【0074】
一実施形態において、検出される染色体相互作用は、表中に示される位置のいずれかまたは領域のいずれかで存在する。ライゲート産物が当該方法で検出される場合は、本明細書中で開示されるプライマーまたはプローブ配列のいずれかに示される配列を検出することができる。したがって、典型的には、ライゲート産物の両領域から(すなわち、染色体相互作用の両部位から)の配列を検出することができた。好ましい実施形態では、本明細書中で開示されるプライマーおよび/またはプローブと同じかまたは相補的の配列を含むかまたはそれからなるプライマーおよび/またはプローブが当該方法で用いられる。いくつかの実施形態において、本明細書中で示されるプライマーおよび/またはプローブ配列のいずれかに対して相同性である配列を含むプライマーおよび/またはプローブを使用する。
【0075】
定量的PCR(qPCR)によるライゲート産物の検出
一実施形態において、染色体相互作用に関連するライゲートされた配列は、例えば蛍光検出を使用して定量的に検出される。この実施形態は、本明細書中で開示されるか、または本明細書中で開示される分類/検出方法に関連する任意のライゲートされた配列に関して実施することができるが、そのような配列または方法に限定されない。したがって、qPCRに関連する実施形態を実施して、一緒にされて任意の染色体相互作用をする染色体の領域からの配列を含む、本明細書中で言及される任意の特性を有し得る任意のライゲートされた配列を検出することができる。
【0076】
従って、本発明は、PCR反応の間に活性化に際して検出可能であるプローブを使用して染色体相互作用に関連するライゲートされた配列を定量的に検出するための方法であって、前記ライゲートされた配列は、一緒になって後成的染色体相互作用をする二つの染色体領域からの配列を含み、PCR反応の間にライゲートされた配列をプローブと接触させ、そしてプローブの活性化の程度を検出することを含み、前記プローブがライゲーション部位と結合する方法を提供する。
【0077】
プライマーおよびプローブ配列は、任意のそのような開示された特異的配列または特異的配列のホモログおよび/もしくはフラグメントであり得る。プライマー配列は、典型的には、3CまたはEpiSwitch(商標)法、例えば本明細書中で開示するような任意のかかる方法またはライゲート産物などの染色体相互作用を検出するプロセスで作製されるライゲート産物を増幅することができる。プライマーは、典型的には単方向性である。場合によって、プライマー配列は、問題となる3C相互作用のライゲート産物に特有であるように設計される。プローブは、典型的には、ライゲーション部位を含むライゲート産物中の配列と特異的に結合できる。プローブは、典型的には、PCR反応の間に標識を活性化するために、これから1以上の部分を切断/放出することができる「加水分解」プローブである。
【0078】
ライゲートされた配列は、核酸の試料を架橋し、続いて核酸をさらに小さな断片に、例えば酵素消化によって、または物理的せん断プロセスによって分解することによって調製することができる。ライゲーションステップを次に実施する。ライゲートされた配列は、典型的には、本明細書中で記載するような治療および処理、特にEpiSwitch(商標)架橋および切断ステップを受けた個体または細胞株から誘導される。ライゲートされた配列は、前記方法のいずれかで定義されるかまたは前記方法のいずれかによって作製されるライゲート産物であり得る。ライゲートされた配列のライゲーション部位は、架橋した核酸を切断するために使用した制限酵素の制限酵素認識配列を含んでいてもよい。好ましい制限酵素はTaqIまたはTaqIの任意の修飾形態(例えば同じ制限部位を認識するもの)である。ライゲートされたDNA分子は、10~100ヌクレオチド塩基長、または10~400ヌクレオチド塩基長、または10~500ヌクレオチド塩基長、または200~600ヌクレオチド塩基長、または200~800ヌクレオチド塩基長または200~1000ヌクレオチド塩基長の核酸配列を含み得る。
【0079】
好ましくは、1セットのプライマー(すなわち、一緒に増幅できる2つのPCRプライマー)だけを検出で使用し、1セットより多いプライマーを用いたネステッドPCRは実施しない。好ましくは、プライマーは単方向性である。なお一層好ましくは、プライマー配列は、問題となる3C相互作用に特有であるように選択される。一実施形態において、検出方法は、増幅されていない、および/またはプローブが結合しない他の核酸(例えば他のライゲート産物)の存在下で実施される。典型的には、他の核酸(例えばライゲート産物)は、存在する核酸またはライゲート産物の少なくとも10%、30%または少なくとも50%であってよい。
【0080】
qPCRによって検出される状況
本明細書中で記載するqPCR法を使用して、それらが関連する任意の状況、例えば記載される任意の状況において染色体相互作用を検出することができる。それを典型的には使用して、たとえば本明細書中で定義するようなサブグループに関連する染色体相互作用を検出することができる。それを使用して、染色体相互作用における変化および/または変異に関連する染色体相互作用、遺伝子からの発現における変化もしくは遺伝子の調節解除を検出することができる。
【0081】
本明細書中で記載するqPCR法を使用して染色体相互作用を検出することができ、ここで、一緒になって後成的染色体相互作用をする二つの染色体領域からの配列は、染色体において少なくとも1000塩基対離れているかまたは少なくとも10,000塩基対離れているかまたは少なくとも100,000塩基対離れている。本明細書中で記載するqPCR法は、一緒になって後成的染色体相互作用をする二つの染色体領域からの配列が100,000塩基対超離れてあり、したがって相互作用は100キロベース超、場合によって500キロベース超、好ましくは900キロベース超のDNAループを生成する長範囲(long range)染色体相互作用を検出するために使用できる。本明細書中で記載するqPCR法は、チロシンキナーゼ阻害剤療法に対して応答する遺伝子、例えばPDGFRAにおける遺伝子変化または後成的変化と関連付けられる長範囲染色体相互作用を検出するために使用することができる。
【0082】
qPCRプローブの設計/構造
qPCR反応で使用するためのプローブは、ライゲーション部位に近接したライゲートされたDNA分子と、ライゲーション部位を含み、場合によって前記染色体領域の各々からの配列に相補的な配列を有するライゲートされたDNA分子上の部位で特異的に結合させるように設計することができる。プローブは、両フラグメントの接合部に及び、例えばライゲーション部位に対して5’および3’の少なくとも5、10または20ヌクレオチド塩基と結合する配列を有する。プローブは、10~40ヌクレオチド塩基長の核酸配列を含み得、または好ましくは10~35ヌクレオチド塩基長の核酸配列を含み得、またはさらに好ましくは20~30ヌクレオチド塩基長の核酸配列を含み得る。プローブは、ライゲートされたDNA分子の配列に対して少なくとも70%の相同性/同一性または本明細書中で定義するような同一性の他のレベルを有する配列を有し得る。
【0083】
qPCRプローブの標識
プローブは、概して、活性化された場合にのみ検出されるように、不活性および活性状態を有する検出可能な標識で標識されている。活性化の程度は、PCR反応において存在する鋳型(ライゲーションされた産物)の程度に関連するであろう。検出は、PCRの全部または一部の間、例えばPCRのサイクルの少なくとも50%または80%の間に実施することができる。
【0084】
プローブは、オリゴヌクレオチドの一端に共有結合したフルオロフォアと、ヌクレオチドの他端に結合したクエンチャーとを含み得、その結果、フルオロフォアの蛍光がクエンチャーによって消光される。一実施形態において、フルオロフォアはオリゴヌクレオチドの5’末端に結合し、クエンチャーはオリゴヌクレオチドの3’末端に共有結合する。本発明の方法で使用できるフルオロフォアとしては、FAM、TET、JOE、Yakima Yellow、HEX、Cyanine3、ATTO550、TAMRA、ROX、Texas Red、Cyanine3.5、LC610、LC640、ATTO647N、Cyanine5、Cyanine5.5およびATTO680が挙げられる。適切なフルオロフォアとともに使用できるクエンチャーとしては、TAM、BHQ1、DAB、Eclip、BHQ2およびBBQ650が挙げられ、場合によって前記フルオロフォアは、HEX、Texas RedおよびFAMから選択される。フルオロフォアとクエンチャーとの好ましい組み合わせとしては、FAMとBHQ1およびTexas RedとBHQ2が挙げられる。他の好ましい組み合わせを表3に示す。
【0085】
qPCRアッセイにおけるプローブの使用
本発明の加水分解プローブは、典型的には、濃度が適合したネガティブ対照で最適化された温度勾配である。好ましくは、シングルステップPCR反応が至適である。より好ましくは、標準曲線が算出される。ライゲートされた配列の接合部にわたって結合する特異的プローブを使用する利点は、ライゲートされた配列に対する特異性が、ネステッドPCRアプローチを使用することなく達成できることである。本明細書中に記載する方法によって低コピー数標的の正確かつ精密な定量化が可能になる。標的ライゲートされた配列を温度勾配最適化の前に精製することができ、例えば、ゲル精製することができる。標的ライゲートされた配列を配列決定することができる。好ましくは、PCR反応は、約10ng、または5~15ng、または10~20ng、または10~50ng、または10~200ngの鋳型DNAを使用して実施される。順および逆プライマーは、一方のプライマーがライゲートされたDNA配列で表される染色体領域のうちの1つの配列と結合し、他方のプライマーが、例えば、配列に対して相補的であることによってライゲートされたDNA配列において表される他の染色体領域と結合するように設計される。
【0086】
ライゲートされたDNA標的の選択
本発明は、本明細書中で定義するようなPCR法で使用するためのプライマーおよびプローブを選択する方法であって、プライマーがライゲートされた配列と結合し増幅する能力に基づいてプライマーを選択し、プローブ配列が結合する標的配列の特性、特に標的配列の曲率に基づいて、プローブ配列を選択することを含む方法を提供する。
【0087】
プローブは、典型的には、制限部位に及ぶ並置された制限フラグメントであるライゲートされた配列と結合するように設計/選択される。本発明の一実施形態において、特定の染色体相互作用に関連する可能なライゲートされた配列の予想される曲率は、例えば本明細書中で参照する特定のアルゴリズムを使用して算出される。曲率は、ヘリカルターンあたりの度として、例えばヘリカルターンあたり10.5°として表すことができる。ライゲートされた配列は、ライゲートされた配列がヘリカルターンあたり少なくとも5°、典型的にはヘリカルターンあたり少なくとも10°、15°または20°、例えばヘリカルターンあたり5°~20°の曲率傾向ピークスコアを有する場合を標的とする目に選択される。好ましくは、ヘリカルターンあたりの曲率スコアは、ライゲーション部位の少なくとも20、50、100、200または400塩基、例えば20~400塩基上流および/または下流について算出される。したがって、一実施形態において、ライゲート産物中の標的配列は、曲率のこれらのレベルのいずれかを有する。標的配列はまた、最低の熱力学的構造自由エネルギーに基づいて選択することができる。
【0088】
試料調製および染色体相互作用検出のための好ましい実施形態
試料調製および染色体コンフォメーション検出の方法を本明細書中に記載する。これらの方法の最適化(従来型)バージョンを、例えばこの節で記載するようにして使用することができる。
【0089】
典型的には、試料は少なくとも2×105 細胞を含む。試料は最大で5×105の細胞を含み得る。一実施形態において、試料は2×105~5.5×105細胞を含む。
染色体座位において存在する後成的染色体相互作用の架橋は本明細書中で記載されている。これは、細胞溶解が起こる前に実施することができる。細胞溶解は、3~7分、例えば4~6または約5分間実施することができる。いくつかの実施形態では、細胞溶解は少なくとも5分間かつ10分未満実施される。
【0090】
DNAを制限酵素で消化することは本明細書中で記載されている。典型的には、DNA制限は、約55℃~約70℃、例えば約65℃で、約10~30分の期間、例えば約20分間実施される。
【0091】
好ましくは、高頻度カッター(frequent cutter)制限酵素が使用され、これは最大4000塩基対の平均フラグメントサイズを有するライゲートされたDNAをもたらす。場合によって、制限酵素は、約200~300塩基対、例えば約256塩基対の平均フラグメントサイズを有するDNAのフラグメントをもたらす。一実施形態では、典型的なフラグメントサイズは、200塩基対~4,000塩基対、例えば400~2,000または500~1,000塩基対である。
【0092】
EpiSwitch方法の一実施形態において、DNA沈降ステップは、DNA制限消化ステップとDNAライゲーションステップとの間で実施されない。
【0093】
DNAライゲーションは本明細書中で記載されている。典型的には、DNAライゲーションは、5~30分間、例えば約10分間実施される。
【0094】
試料中のタンパク質は、例えばプロテイナーゼ、場合によってプロテイナーゼKを使用して、酵素により消化することができる。タンパク質は、約30分~1時間、例えば約45分間、酵素によって消化することができる。一実施形態において、タンパク質の消化後、例えばプロテイナーゼK消化後、架橋逆転(cross-link reversal)またはフェノールDNA抽出ステップはない。
【0095】
一実施形態において、PCR検出は、好ましくはライゲートされた核酸の存在/非存在に関する二元的リードアウトを用いてライゲートされた核酸の単一コピーを検出することができる。
【0096】
療法および治療薬の同定
本発明者らは、がんの治療で使用される化合物がどのようにして3C染色体コンフォメーションに対しても直接作用することができるかなど、染色体相互作用ががんの療法にどのように関連するかを見出した。例えば、活性化されたチロシンキナーゼに対して直接作用することが知られているATP模倣イマチニブは、cKITなどのイマチニブ応答性遺伝子において3C染色体コンフォメーションに対して直接作用することが見いだされている。
【0097】
したがって、公知治療薬の標的に関連する染色体コンフォメーションにおける変化の同定またはモニタリングは、コンフォメーションにおいて同じ変化をもたらし、同じ治療効果を有する化合物を同定するために使用できる。したがって、公知治療薬の標的に関連した染色体コンフォメーションにおける変化の同定またはモニタリングは、染色体コンフォメーションにおける変化も引き起こし得る治療薬または他の治療薬による治療に感受性である対象、または細胞を特定するために使用することができる。
【0098】
さらに、本発明は、関連する染色体相互作用を、例えば本明細書中で言及するように変更することによってがんを予防または治療するために使用することができる治療用核酸を提供する。そのような核酸は、DNAまたはRNAであり得、「干渉」によって機能し得る、RNAiなどである。
【0099】
ホモログおよびフラグメント
本発明は、本明細書中で開示する特定の配列を含む、本明細書中で言及する核酸のホモログおよび/またはフラグメントの使用を含む。そのようなホモログおよび/またはフラグメントは、例えば関連するライゲート産物と特異的に結合できるなど、元の核酸と同じ結合特性を有し得る。
【0100】
ポリヌクレオチド/核酸(例えば、DNA)のホモログは、典型的には、例えば少なくとも10、15、20、30、100もしくはそれ以上の近接ヌクレオチドの領域にわたって、または染色体相互作用に関与する染色体の領域由来である核酸の部分にわたって、少なくとも70%の相同性、好ましくは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の相同性を有する。相同性は、ヌクレオチド同一性(「ハード相同性」と称する場合もある)に基づいて算出してもよい。
【0101】
例えば、UWGCG Packageは、相同性および/または%配列同一性を算出するために使用できるBESTFITプログラムを提供する(例えばそのデフォルト設定で使用)(Devereux et al (1984)Nucleic Acids Research 12,p387-395)。PILEUPおよびBLASTアルゴリズムは、相同性および/または%配列同一性および/またはラインナップ(line up)配列を計算するために使用できる(例えば、Altschul S.F.(1993)J Mol Evol 36:290-300;Altschul,S,F et al(1990)J Mol Biol 215:403-10に記載されているようにするなど、同等または対応する配列の同定(典型的にはそれらのデフォルト設定に基づく)。
【0102】
BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、典型的には、全米バイオテクノロジー情報センターから公的に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、データベース配列中の同じ長さのワードと整列させた場合、ある正の値の閾値スコアTとマッチするかまたは満足するクエリ配列中の長さWの短いワードを同定することによって高スコアの配列対(HSP)を同定することを含む。Tは近傍ワードスコア閾値と称する(Altschul et al、上記)。これらの最初の近傍ワードヒットは、それらを含むHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして作用する。ワードヒットは、累積アライメントスコアを増加させることができる限り、各配列が沿って両方向に伸長される。各方向におけるワードヒットの伸長は、累積アライメントスコアが到達した最大値から量Xだけ低下した場合;1以上の負のスコアリング残余アライメントの蓄積のために、累積スコアが0以下になる場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合に停止される。BLASTアルゴリズムパラメータW5TおよびXはアライメントの感受性および速度を決定する。BLASTプログラムはデフォルトとして11のワード長さ(W)、50のBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用する(Henikoff and Henikoff(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919を参照)アライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4、および両鎖の比較を使用する。
【0103】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計分析を実施する;例えば、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5787を参照。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(smallest sum possibility)(P(N))であり、これは2つのポリヌクレオチド配列間のマッチが偶然起こる確率の指標を提供する。例えば、ある配列は、第一配列を第二配列と比較した最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、さらに好ましくは約0.01未満、そして最も好ましくは約0.001未満である場合に、別の配列に類似しているとみなされる。
【0104】
相同性配列は、典型的には、1、2、3、4またはそれ以上の塩基、例えば10、15または20未満の塩基(ヌクレオチドの置換、欠失または挿入であり得る)で異なる。これらの変化は、相同性および/または%配列同一性の算出に関連して前述した領域のいずれかにわたって測定することができる。
【0105】
フラグメントは、典型的には、もとの配列の少なくとも90%、80%または50%である長さを有する。それらは、5’および/または3’末端から少なくとも5、8または10ヌクレオチドのトランケーションを有し得る。
【0106】
アレイ
核酸の第2セットはアレイに結合することができ、そして一実施形態において、好ましくは少なくとも300、900、2000または5000座位を表す、アレイに結合した、少なくとも15,000、45,000、100,000または250,000の異なる第2の核酸がある。一実施形態において、第2の核酸の異なる集団の一つもしくはそれ以上、またはすべてが、アレイの一つより多くの異なる領域に結合して、事実上、アレイ上で繰り返されて、エラー検出を可能にする。アレイはAgilent SurePrint G3 Custom CGHマイクロアレイプラットフォームに基づくものであり得る。第1核酸のアレイへの結合の検出は、二色システムによって実施することができる。
【0107】
治療薬
治療薬は本明細書中で言及されている。本発明は、関連する状態の予防または治療に使用するための薬剤を提供する。これは、必要とする個体に治療上効果的な量の薬剤を投与することを含み得る。本発明の方法は、治療のために個体を選択するために使用することができる。本発明の方法、特に予後コンパニオン後成的試験を実施するための方法は、方法によって特定される個人に、次いで関連する状態を予防または治療する薬剤、例えばチロシンキナーゼ阻害剤、好ましくは、セジラニブ、クレノラニブ、ダサチニブ(Sprycel);ドビチニブ、イマチニブ(Gleevec);IMC-3G3(オララツマブ、LY3012207)Lartruvo(PDGFRA);マシチニブ(AB1010)、ニロチニブ(Tasigna);パゾパニブ;PKC412(ミドスタウリン、CGP41251);キザルチニブ;レゴラフェニブ;ソラフェニブ(Nexavar);スニチニブ(Sutent);バタラニブ;S116836を含む公知チロシンキナーゼ阻害剤の群からのもの、さらに好ましくはダサチニブ、クレノラニブ、ドビチニブおよびイマチニブを含む群からの1以上を投与することができる治療ステップを含み得る。
【0108】
薬剤の処方は薬剤の性質に依存する。薬剤は、薬剤および医薬的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物の形態で提供される。好適な担体および希釈剤には、等張食塩水溶液、例えばリン酸塩緩衝食塩水が含まれる。典型的な経口投薬組成物としては、錠剤、カプセル、溶液および懸濁液が挙げられる。薬剤は、非経口、静脈内、筋肉内、皮下、経皮または経口投与用に処方することができる。
【0109】
薬剤の用量は、様々なパラメータに従って、特に使用する物質;治療する個体の年齢、体重および状態;投与経路;ならびに必要とされるレジメンに従って決定することができる。医師は、任意の特定の薬剤について必要とされる投与経路および投薬量を決定することができるであろう。しかしながら、好適な用量は、0.1~100mg/kg体重、例えば1~40mg/kg体重であり得、例えば、1日につき1~3回摂取される。
【0110】
本明細書中で言及される物質の形態
本明細書中で言及される、核酸または治療薬などの任の物質は、精製または単離された形態であってよい。それは天然で見出されるものとは異なる形態であり得、例えば、それらは天然でともに存在しない他の物質との組み合わせで存在し得る。核酸(本明細書中で定義する配列の部分を含む)は、例えば相同性に関する節で記載したように配列において少なくとも1、2、3、4またはそれ以上のヌクレオチド変化を有する、天然で見出されるものと異なる配列を有し得る。核酸は5’または3’末端で異種配列を有し得る。核酸は、天然で見出されるものと化学的に異なり得、例えばそれらは何らかの方法で修飾することができるが、好ましくは依然としてワトソンクリック塩基対合が可能である。必要に応じて、核酸は二本鎖または一本鎖形態で提供される。本発明は、一本鎖または二本鎖形態で、本明細書中で言及される特定の核酸配列のすべてを提供し、したがって、開示された任意の配列に対して相補的な鎖を含む。
【0111】
本発明はまた、特定のサブグループと関連する染色体相互作用の検出を含む、本発明の任意のプロセスを実施するためのキットも提供する。そのようなキットは、本発明のプロセスによって生成されるライゲートされた核酸を検出することができる薬剤などの、関連する染色体相互作用を検出できる特異的結合剤を含み得る。キット中に存在する好ましい薬剤には、ライゲートされた核酸またはプライマー対とハイブリダイズすることができるプローブ、例えばPCR反応またはqPCR反応においてライゲートされた核酸を増幅できる、本明細書中で記載するような加水分解性プローブが含まれる。
【0112】
本発明はまた、関連する染色体相互作用を検出できるデバイスを提供する。デバイスは、好ましくは、本明細書中で記載する任意のそのような薬剤、プローブまたはプライマー対などの、染色体相互作用を検出できる任意の特異的結合剤、プローブまたはプライマー対を含む。
【0113】
本明細書中で言及する核酸はDNAの形態であってよい。
【0114】
具体的な実施形態
EpiSwitch(商標)プラットフォームテクノロジーは、座位での正常状態と異常状態との間の調整変化の後成的調整シグネチャーを検出する。EpiSwitch(商標)プラットフォームは、染色体コンフォメーションシグネチャーとしても公知のヒト染色体の調整高次構造と関連する遺伝子調節の基本的後成的レベルを特定しモニタリングする。染色体シグネチャーは、遺伝子調節解除のカスケードにおける明確な最初のステップである。それらは、後期後成的および遺伝子発現バイオマーカー、例えばDNAメチル化およびRNAプロファイリングを利用するバイオマーカープラットフォームに対して独自の利点のセットを有する高次バイオマーカーである。
【0115】
EpiSwitch(商標)アレイアッセイ
カスタムEpiSwitch(商標)アレイスクリーニングプラットフォームは、15K、45K、100K、および250Kの独自の染色体コンフォメーションの4種の密度で供給され、各キメラフラグメントはアレイ上で4回繰り返され、各々60K、180K、400Kおよび1000000の効果的な密度を作製する。
【0116】
カスタム設計のEpiSwitch(商標)アレイ
15K EpiSwitch(商標)アレイは、EpiSwitch(商標)Biomarker発見テクノロジーを用いて調べた約300座位を含む全ゲノムをスクリーニングできる。EpiSwitch(商標)アレイをAgilent SurePrint G3 Custom CGH マイクロアレイプラットフォーム上に構築する;このテクノロジーは、60K、180K、400Kおよび1000000プローブの4種の密度を提供する。アレイ当たりの密度は、各EpiSwitch(商標)プローブが四連で提示され、したがって再現性の統計的評価を可能にするので、15K、45K、100Kおよび250Kに減少される。遺伝子座位ごとに調べた潜在的なEpiSwitch(商標)マーカーの平均数は50である;したがって、調査できる座位の数は、300、900、2000、および5000である。
【0117】
EpiSwitch(商標)カスタムアレイパイプライン
EpiSwitch(商標)アレイは、1セットの試料を有する二色システムであり、EpiSwitch(商標)ライブラリ生成の後、Cy5で標識され、他方の試料(対照)は比較/分析・Cy3で標識される。Agilent SureScan Scannerを使用してアレイをスキャンし、得られた特徴を、Agilent Feature抽出ソフトウェアを用いて抽出する。次に、RにおいてEpiSwitch(商標)アレイ処理スクリプトを使用してデータを処理する。アレイを、RにおけるBioconductor:Limma*において標準的二色パッケージを使用して処理する。アレイの正規化は、Limma*における正規化アレイ内関数を使用して実施し、これは、オンチップAgilentポジティブ対照およびEpiSwitch(商標)ポジティブ対照を使用して実施する。データは、Agilent Flagコールに基づいてフィルタリングされ、Agilent対照プローブを除去し、技術的複製プローブを平均して、Limma*を用いてそれらを分析する。プローブを、比較される2つのシナリオ間のそれらの差異に基づいてモデル化し、次にFalse Discovery Rateを用いて補正する。<=-1.1または=>1.1であり、p<=0.1 FDRp値に合格する、変動係数(CV)<=30%を有するプローブをさらなるスクリーニングのために使用する。プローブセットを減少させるために、RにおけるFactorMineRパッケージを使用してさらなる多因子分析を実施する。
*注:LIMMAはマイクロアレイ実験における差次的発現変動を評価するための線形モデルおよび経験的ベイズプロセスである。Limmaは、マイクロアレイまたはRNA-Seqから得られる遺伝子発現データの分析のためのRパッケージである。
【0118】
プローブのプールをまず、最終ピッキングについて調節されたp値、FCおよびCV<30%(任意のカットオフポイント)パラメータに基づいて選択した。さらなる分析および最終リストは最初の2つのパラメータ(adj.p値;FC)のみに基づいて描画される。
【0119】
統計パイプライン
EpiSwitch(商標)スクリーニングアレイを、EpiSwitch(商標)PCRプラットフォーム上への翻訳用に高値のEpiSwitch(商標)マーカーを選択するために、RにおいてEpiSwitch(商標)分析パッケージを使用して処理する。
【0120】
ステップ1
プローブを、改変された線形回帰モデルの積である、補正されたp値(False Discovery Rate、FDR)に基づいて選択する。p値<=0.1以下のプローブを選択し、次にそれらの後成的比率(ER)によってさらに減少させ、さらなる分析のために選択するためにはプローブERは<=-1.1または=>1.1でなければならない。最後のフィルターは変動係数(CV)であり、プローブは<=0.3以下でなければならない。
【0121】
ステップ2
統計的リストからの上位40のマーカーを、PCR翻訳のためのマーカーとしての選択のためにそれらのERに基づいて選択する。最高の負のERロードを有する上位20のマーカーと最高の正のERロードを有する上位20のマーカーとでリストは構成されている。
【0122】
ステップ3
ステップ1から得られたマーカー、統計的に有意なプローブは、超幾何学的濃縮(HE)を使用する濃縮分析の基礎を形成する。この分析により、有意なプローブリストからのマーカーを減らすことが可能になり、ステップ2からのマーカーとともに、EpiSwitch(商標)PCRプラットフォームに翻訳されたプローブのリストを形成する。
【0123】
統計的プローブをHEによって処理して、どの遺伝子位置が統計的に有意なプローブの濃縮を有するかを判定して、どの遺伝子位置が後成的差異の中心であるかを示す。
【0124】
補正されたp値に基づく最も有意な濃縮座位をプローブリスト作成のために選択する。0.3または0.2のp値の遺伝子位置を選択する。ステップ2からのマーカーを使用したこれらの遺伝子位置に対する統計的プローブマッピングによって、EpiSwitch(商標)PCR翻訳のための高価値マーカーが形成される。
【0125】
アレイ設計および処理
1.遺伝子座は、SIIソフトウェア(現在v3.2)を使用して処理して:
a.これらの特定の遺伝子座(上流に50kbおよび下流に20kbを有する遺伝子配列)でゲノムの配列を取り出す
b.この領域内の配列がCCに含まれる確率を明示する
c.特異的REを使用して配列を切断する
d.どの制限フラグメントがある特定の配向において相互作用する可能性が高いかを判定する
e.異なるCCが互いに相互作用する可能性をランク付けする。
2.アレイサイズ、そして利用可能なプローブ位置の数(x)を決定する。
3.x/4相互作用を抜き出す。
4.各相互作用について、パート1からの制限部位に対しては30bpの配列、パート2の制限部位については30bpの配列を規定する。これらの領域が繰り返し配列でないことを調べ、もしそうならば除外して、次の相互作用をリストに載せる。両30bpを合わせてプローブを規定する。
5.x/4プローブ+規定した対照プローブのリストを作製し、4回複製して、アレイ上に作成されるリストを作成する。
6.プローブのリストをカスタムCGHアレイ用のAgilent Sureデザインウェブサイトにアップロードする。
7.プローブ群を使用して、AgilentカスタムCGHアレイを設計する。
【0126】
アレイ処理
1.鋳型産生用のEpiSwitch(商標)SOPを使用して試料を処理する。
2.アレイ処理実験室によるエタノール沈降で浄化する。
3.Agilent SureTagコンプリートDNA標識キット-血液、細胞または組織のゲノムDNA分析酵素標識のためのAgilentオリゴヌクレオチドアレイベースのCGHにしたがって試料を処理する。
4.Agilent特徴抽出ソフトウェアを使用するAgilent C Scannerを用いてスキャンする。
【0127】
刊行物
本明細書中で言及されすべての刊行物の内容は、参照により本明細書中に組み込まれ、本発明に関連する特徴をさらに定義するために使用され得る。
【実施例】
【0128】
実施例1.がんにおける染色体相互作用の分析
序文
ゲノムDNAに基づく現行のがん診断法は、効果であり、半定量的であり、全てのブレイクポイント変異体を捕捉することはできない。ネステッドRT-PCRに基づく診断法は、生細胞を必要とし、他の方法を使用して確認しなければならず、複雑なRNA処理ステップを有する。本研究で開発された方法は、全てのブレイクポイント変異体を捕捉し、定量的であり、RNA安定性の問題がなく、少量の試料を使用し、処理時間が速い。したがって、この方法は誤診や誤った治療を施す可能性を減らす。
【0129】
本研究はまた、チロシンキナーゼ阻害剤に対して治療的に応答性である3C相互作用を特定する。これは、チロシンキナーゼ阻害剤で治療可能な患者を検出するために使用できる予後検査の基礎をなす。現行の検査は、例えばブレイクポイントの変動のために正確ではないか、または感受性ではない。誤診によって、患者はチロシンキナーゼ阻害剤療法を受けないで、その代わりに無応答性であるステロイドを受けることになるであろう。例えば未治療のiHES患者の予後は悪い。
【0130】
我々はがんに関連する後成的相互作用およびチロシン-キナーゼ阻害剤での治療に関する患者の階層化におけるそれらの有用性を調査した。EpiSwitchTMとして公知の高分解能染色体-コンフォメーションキャプチャまたは3C分析プラットフォームおよび定量的PCRを使用して、我々は、IDH変異の有無にかかわらず神経膠腫細胞株におけるFIP1L1とPDGFRAとの間のコンフォメーション的並置をマッピングし、評価し、定量した。4q12での中間部欠失によるPDGFRAの調節解除と慢性好酸球性白血病に関連するFIP1L1への融合によって、我々のグループは同じ染色体コンフォメーション相互作用がEOL-1および他の白血球細胞株で存在するか否かも調査した。
【0131】
EpiSwitchTMとして公知の高分解能染色体コンフォメーションキャプチャまたは3C分析プラットフォームを使用することによって、変異に関連する3C後成的-相互作用の選択を特定した。プライマーを最適化するために、我々はQjagen QIAgility High-Precision Automated PCR Systemを使用する96ウェルプレートアッセイで温度勾配を使用し、36の別個の温度勾配PCRにおいて72のプライマーを試験した。合計20の個々のOBD予測3C相互作用をスクリーニングした。可能な場合は、予想される相互作用各々について複数のプライマーセットを使用した。我々は、2つのAML細胞株EOL-1およびHL-60からの10ngの標的-3C鋳型を使用してシングルステップPCRを最適化した。SYBR検出および濃度がマッチしたネガティブ対照を使用して、(標的の)PCR増幅を実施した。ネガティブ対照は、3C試料として処理したホルムアルデヒドを含まないEOL-1(消化およびライゲーションを伴う)、および正常なゲノムDNAを含んでいた。すべてのPCR産物をLabChipに掛けた。予想されるサイズのPCR産物を、ゲル(Invitrogen)を使用して精製し、順および逆プライマー配向で配列決定した。プライマーは、100bpあたり1ng/μLの鋳型濃度で、反応あたり3.2pmol/μLで使用した。予想される3Cフラグメントに対して100%の相同性を示す産物をqPCRデザインに進めた。
【0132】
IDH1 SNP rsll554137およびIDH1 R132H変異についてスクリーニングするために、10ngの3C鋳型を学術出版から誘導される従来型IDH1ゲノムプライマーとともにしようした;これらのプライマー配列は外部で設計され、本願には含まれない。
【0133】
濃度マッチしたネガティブ対照を用いた加水分解-プローブに基づくqPCRを使用してシングルステップqPCRを実施した。次いで、標的化3C DNAフラグメントの接合領域に対して設計された加水分解プローブを使用してB7 462bp相互作用の検出を最適化した。qPCRアッセイで使用するプローブは3C DNAフラグメントに対して特異的である。EOL-1鋳型(10ng)を使用して、温度勾配に基づくqPCR(58~68℃)においてプローブを最適化した。プライマーを加水分解プローブqPCRアッセイ開発のために選択した。B7産物を使用して、3C フラグメント特異的qPCRを設計した。5’-FAM/BHQl-3’または5’Texas Red/BHQ2-3’で標的化した二重標識加水分解プローブを使用して、配列決定された相互作用を検出した。プローブは3Cフラグメントの接合領域に及ぶように設計され、それによって3C産物の検出がFIPL1L1およびPDGFRA相互作用について特異的であることを確実にした。qPCR標準曲線(106-1コピー)を配列決定された産物から産生した。
【0134】
二重標識5’FAM-BHQl-3’標識された加水分解プローブを使用して配列決定された相互作用を検出した。すべての試料を20ngでスクリーニングし、MMP1コピー数を記録した。配列決定されたPCR産物B7を使用して、qPCRスクリーニングのための標準曲線を作成した。20ngの3CライブラリDNAに対して調節したqPCR鋳型を濃度マッチしたネガティブ対照とともに使用した。対照は、脂肪生検および正常な血液から誘導される3Cライブラリを含んでいた。さらなるネガティブ対照は、ホルムアルデヒド固定化をしていない細胞株材料、消化しライゲートされたライブラリ材料、および正常なゲノムDNAを含んでいた。この研究は米国血液学会のガイドラインにしたがって実施した。細胞株はATCCから提供された。倫理上の同意を得た患者材料はTissue Solutions(Oxford BioDynamics TSD-OBD2273)から提供された。
【0135】
同定された6つのFIP1L1-PDGFRA 3C配列配向配列のうち、2つが再発した(表1)。具体的には、ゲノム配列標識されたGBA461GB_GBA496A6を4回同定した。ゲノム配列FH147946_FH149AA7を2回同定した。シングルステップPCRを使用して、これらの6つの相互作用をAML細胞株EOL-1で増幅した。FIP1L1 PDGFRA 3C B7相互作用はシングルステップPCRを使用してAML細胞株(急性骨髄性好酸球性白血病)EOL-1(n=2、加水分解プローブアッセイ)において再現可能に見いだされた。EOL-1においてFIP1L1とPDGFRAとの間のトポロジー遮蔽の喪失は、欠失によって部分的に媒介され得る。
【0136】
462塩基対B7相互作用を2つのイマチニブ感受性細胞株:GDM-1(n=1)およびHL-60(n=2)において増幅した。FIP1L1およびPDGFRA遺伝子間のトポロジー遮蔽喪失のメカニズムはわかっていないが、どちらの細胞株もイマチニブに応答する。神経膠芽腫細胞株DBTRG-05MG(n=2 qPCRアッセイ)およびU-373(n=1 qPCRアッセイ)もB7相互作用について陽性である。DBTRG-05MGで見いだされる最大コピー数は29.89コピーであった(20ngの鋳型、表2)。IDH1変異またはSNP rsll554137が同定されていない1つの神経膠腫試料は1.19(20ngあたり)のFIPL1-PDGFRA 3Cフラグメントを有していた。IDH1 R132H変異が同定された2つの神経膠腫試料はFIPL1-PDGFRA 3Cフラグメントについて陽性であった。
【0137】
qPCR標準曲線(106-1コピー)を配列決定されたPCR産物から作製した。qPCRデータの分析はCFXマネジャーソフトウェア(BioRad)を使用して実施した。MMP1における安定な3C相互作用を用いて正規化を実施した。標準曲線は、シングルステップqPCRを使用したAMLおよび神経膠芽腫試料におけるB7相互作用の選択的増幅を示した。
【0138】
染色体コンフォメーションを使用して、神経膠芽腫およびAML-細胞株におけるFLIPL1およびPDGFRA間のインシュレータ機能の喪失に関連するDNA配列の検出に成功した。FIP1L1およびPDGFRA遺伝子間の遮蔽の喪失は、qPCRを用いてAMLおよび神経膠芽腫において検出可能である3C変更に至る。これらの相互作用は従来型シーケンシング法を使用して検出できない。
【0139】
実施例2.定量的PCRアッセイの開発
MIQEガイドラインで取り扱われるqPCRのデータおよび技術的要件に適合するために、我々はqPCRを用いた3Cの増幅および検出のための新規技術を開発した。定量的リアルタイムPCR(qPCR)によって、標的試料において高感受性でDNAコピー数の決定が可能になる。これは、染色体相互作用の検出に関連する核酸産物の分析の要求に特に適していることが判明した。
【0140】
MIQEガイドラインはqPCR実験について報告されなければならない最低限の情報についての明細を提供して、その関連性、正確性、正しい解釈、および再現性を確実にする。MIQE(定量的リアルタイムPCR実験の公開のための最低限の情報)は、DNAマイクロアレイ分析、プロテオミクス実験、ゲノム配列明細、ならびにRNA干渉研究およびメタボロミクスについて議論中のものについて作成された同様のガイドラインに基づいてモデル化され、これらはすべてMIBBIの傘下で調整されたイニシアチブである(生物学的および生物医学的調査のための最低限の情報)
【0141】
従来、蛍光に基づくPCRアプローチが使用される場合の3C分析では、3Cフラグメントの複雑なDNAの所定の「定常」領域において設計される。しかしながら、そのようなアプローチはqPCRのMIQE原理に固着せず、技術的にはネステッドPCRの派生物である。そのようなアプローチは、相互作用の少なくとも半分が知られていることを必要とする。
【0142】
従来型検出技術では、DNAポリメラーゼは既知DNA標的とハイブリダイズするプローブのみ、そして逆PCRプライマーが同じ3Cライブラリフラグメントと結合する場合に切断する。蛍光の増加は、標的がプローブに対して相補的であり、PCR中に増幅される場合にのみ起こる。これらの要件のために、非特異的増幅は検出されない。
【0143】
ライゲーション産物を検出するために必要なゲノムDNAの量から、ある座位特異的ライゲーション事象が、1/2,000~1/20,000の哺乳類細胞においてのみ起こり得ると推定される。したがって、従来型アプローチを用いたライゲーション産物の信頼性のある定量化は、大量のDNA(すなわち、多くのゲノム等価物)が従来型技術において各PCRに添加される場合にのみ可能である。しかしながら、我々は、我々が開発した新規技術を用いたPCRにつき20~100ngの3C鋳型(約3.2×l04~1.6×105ゲノム当量)をルーチン的に使用する。我々のテクノロジーは、3C加水分解性プローブがライゲーション接合部にわたって結合することを必要とする。これもまた、マイクロアレイ分析がPCR分析と適合性であることを必要とする。
【0144】
なぜ既存のテクノロジーは従来の技術を用いて機能しないのであろうか?3Cコピー数の検出および定量化の特異性に関連する技術的問題。
従来型アプローチは2セットのプライマー、および2ラウンドのPCRを必要とする。技術的には、これは蛍光に基づく検出を用いるネステッドPCRの派生物である。他のアプローチはこれを模倣するが、1つのプライマーセットを用い、45サイクルのPCRの間である。試料間で差異が見られる場合があるが、アプローチは定量的とはいえず、多くの重大な技術的問題を含んでいる:
(a)ネステッドPCRは非定量的として受け入れられ、プライマーセットとある反応においてプラトー期に到達するPCRとの間の効率の差のために低コピー数の正確・精密な定量化は不可能になる。
(b)非特異的産物はネステッドプライマーを用いて増幅することができる。
(c)アッセイは多くの場合配列決定されない。
(d)2ラウンドのPCRアプローチが「真性」でないと、コピー数に関する絶対的定量化はデータから得ることができる。
(e)標準曲線は作成されず(1ラウンドのPCRを必要とする)、低コピー数の正確・精密な定量化は不可能になる。
(f)既存のキットは安全な臨床的qPCRアッセイのために確立されたがインドラインに適合しない。
(g)TaqMan PCRはしばしば複数のPCR産物を増幅し、産物の特異性に関する重大な技術的問題を引き起こす。
(h)ポイント(g)3Cの検出のための加水分解プローブの使用に関して、プローブは「定常領域」に位置する。
(i)定常領域は3CフラグメントまたはTaqI部位の両方について配列特異的領域ではない-加水分解プローブによって検出されるPCR産物が3Cフラグメントであるという任意の特異性主張はしたがって疑わしい。
【0145】
従来型アプローチは以下の対照を使用する:
対照1.すべてのライゲーション産物を等しい量で含む対照鋳型を作製する。この鋳型を使用して、プライマー効率の差異について正規化する。
【0146】
対照2.ランダムな相互作用の頻度を推定するためにゲノム距離を増大させることによって分離した部位間の相互作用を決定する。良好な出発点は0~100kbの範囲のゲノム距離によって分離された部位間の約1ダースの相互作用を試験する。
【0147】
対照3.2つの異なる細胞型または2つの異なる状態を比較する場合、この2つの場合で類似したコンフォメーションを有すると推定されるゲノム領域における相互作用を決定する。関心対象の領域から得られるデータが定量的に比較されるように正規化のためにこのデータセットを使用する。
【0148】
特異的相互作用は、プライマー効率の正規化後(対照1)、相互作用頻度における局所的ピークが観察される場合(対照2)に、検出される。関連しないゲノム領域(対照3)の分析をその後使用して、異なる細胞または細胞状態を比較して、特異的相互作用が座位の転写などの生物学的活性と相関するかどうかを確立することができる。
【0149】
しかしながら、我々が開発した技術はそのような対照が適所にあることを必要としない。特異的増幅および検出は、蛍光クエンチャー標識システムの使用と組み合わされた、プライマーおよびプローブの結合標的の選択のために達成される。例えば、表3はいくつかの好適な蛍光プローブおよびクエンチャーを列挙する。
【0150】
実施例3.標的配列の特性
EpiSwitch(商標)qPCRテクノロジーは、ライゲートされた並置DNAフラグメントにおけるTaqI制限部位にわたって及ぶ標的を加水分解プローブの検出のために独自に利用する(表4)。通常、加水分解プローブを用いる検出のために選択された部位は、プローブに対するハイブリダイゼーションの効率、および二次構造の形成についてのそれらの傾向およびプローブハイブリダイゼーションプロセスを干渉し得る他の生物物理学的特性、例えばフォールディングおよび屈曲特性および最低自由エネルギーレベルについて選択される。これは、これまでのところ、3C検出の関連で加水分解プローブの任意の使用が、何故ライゲーションフラグメントの一部内のプローブを標的とし、両方とオーバーラップしなかったかの説明となる。これは、標的配列内のライゲートされたフラグメントおよびライゲートされていないフラグメントのすべてに対してライゲート産物のみの検出の特異性を強力に弱体化させる。
【0151】
TaqI制限部位の周りのCheck Point Charlie(CC)部位のライゲートされた並置でのDNAの曲率および最低自由エネルギーレベルは、加水分解プローブハイブリダイゼーションのための従来型標的化配列を区別する二次構造コンフォメーションを示す。プローブは、制限部位に及ぶ並置TaqIフラグメント上に設計されている。DNAの曲率は、BENDアルゴリズム1により、ジヌクレオチドのジオメトリのロール角、チルト角およびツイスト角を合計することによって算出する。曲率は、ヘリカルターンあたりの度として、例えばヘリカルターンあたり10.5°または塩基対あたり1°として表される。TaqI制限部位での最低自由エネルギーΔGはZuker2アルゴリズムにより最近傍エネルギーパラメータ3を使用したエネルギー最小化の推定で算出する。
【0152】
EpiSwitch(商標)テクノロジーでは、我々はTaqI部位からの上流および下流配列の最大400塩基対をスキャンし、DNAの曲率を算出する。高二次構造の2つのCCをあわせてライゲートする結果として、ライゲーション部位を標的とする配列は、加水分解プローブハイブリダイゼーションのための従来型標的配列と比較しての曲率傾向における量的差異を示す。テクノロジーはヘリカルターンあたり>5°を上回る曲率傾向ピークスコアを求める。ヘリカルターンあたり5°より低い近傍配列の谷と比較した値は、DNAが曲率したコンフォメーションと取り得ることを示し得る。
【0153】
また、我々は、TaqI制限部位の配列の上流および下流配列の最大20塩基をスキャンし、Zukerアルゴリズムで記載されるようなオリゴ補正をして0mM Na+および4.5mM Mg++のイオン状態において60℃にて線状DNAの最低自由エネルギーΔGを算出する。60℃で自由エネルギーレベルが1.15kcal/mol未満の熱力学的構造を有する配列をプローブデザインのために選択する。
【0154】
プロモーター、イントロン、ターミネータのような遺伝子の調節領域に存在するそのような配列は、曲率および自由エネルギー値を算出することによってEpiSwitch(商標)プラットフォームにより同定される二次構造コンフォメーションを示す。プローブは、上述の曲率傾向および最低自由エネルギーレベルで選択された配列上のTaqI制限部位に及ぶように設計した。
【0155】
加水分解プローブの従来型使用は、CC部位のライゲートされた接合点でそのような生物物理学的に拘束された配列を標的化ハイブリダイゼーションに対して利用しないが、EpiSwitch処理および検出の関連で、我々は全てのqPCR対照とのTaqIライゲーション部位オーバーラップについて特異的に加水分解プローブを使用することができ、非特異的対照に対するコピー数によってライゲート産物の効率的かつ比例的な検出を示す。これは、予定および効果的なプローブ検出のための温度勾配試験に基づいて設計された、EpiSwitchアッセイの関連で実施された、3Cオーバーラップを標的とする加水分解プローブの最初の実用的使用である。
【0156】
以下の実施例で方法論を説明する:
配列1
TTCCACGTGGCCTACCACAGCATGTCAGGCCTGGGGGCAGAATCTTGCCATACTGTGCAGCCCAAATTTGAATGCCAAAGGCTTTCGTTTGTCTCTGGGGGGCCACAGTCTAGGTCTAGTTCTGTGCAGGAGTTGTAATATTTGCTCTTCTCTCCCTCCTCCAGCTCGCAGACCTCTGAAGAGAGTGCCATTGAGACGGGTTCCAGCAGTTCCACCTTCATCAAGAGAGAGGACGAGACCATTGAAGACATCGAAAAGATAAAACAGGTGTTAGTGAGGATATGGGGAAATAAAACCCTCATACACTTCTGGTGGGATTGTAAAATGGTGCAGCTGCTTTGAAGAACAGCCTGGCCATTTTCTCAAATGGTGAAACATGGAGTTACCATGTGAGTCCTCCACCTTAGAGGAATGAAAACATATTCAGACAAAAACTTGTACGTGAATATTCATAGCAGCATTATTCTTAATAGAAAGTGGAAAAAGAAAACCTCGCAGCTG
【0157】
配列の曲率傾向プロフィールを以下にプロットする。ここで、プロフィールは50~100塩基で5°を超える曲率傾向の大きさを示し、そのあとに低いスコアの谷が続く。これは、DNAの曲率コンフォメーションを示す。TaqI領域を取り巻く配列のDNAフォールディングおよび自由エネルギーの推定によって、60℃、4.5mM Mg++イオン状態で1.13kcal/molの最低の熱力学的構造自由エネルギーΔGを得た。この領域はFIP1L1のイントロン領域およびPDGFRA遺伝子の3’末端に相当し、高調節領域を示す。この並置TaqIフラグメントを選択し、制限部位に及ぶプローブを設計した。配列におけるTaqI制限部位を黒の背景に対して白で示す。
【0158】
配列2
TGGGAGTGGGTGGAGTGAGAACCTGGGAGAAGGCCAGCCCTTTATATCCAGGCAGACAGCTCCAAGTGCCACCATGGATCAGCCAGTCTTGCAGGGGTGATGCTATTCAGCTACAGATGGCTTGATCCTGAGTCATTTCTTCCTTTTCCATGCAGTGTGTCCACCGTGATCTGGCTGCTCGCAACGTCCTCCTGGCACAAGGAAAAATTGTGAAGATCTGTGACTTTGGCCTGGCCAGAGACATCATGCATGATTCGAAAAGATAAAACAGGTGTTAGTGAGGATATGGGGAAATAAAACCCTCATACACTTCTGGTGGGATTGTAAAATGGTGCAGCTGCTTTGAAGAACAGCCTGGCCATTTTCTCAAATGGTGAAACATGGAGTTACCATGTGAGTCCTCCACCTTAGAGGAATGAAAACATATTCAGACAAAAACTTGTACGTGAATATTCATAGCAGCATTATTCTTAATAGAAAGTGGAAAAAGAAAACCTCGCAGCTGCATCAACTGATGAATGGATAGATTAAATGTGTTATATCCATACAGCGGAATATTATTTGGCAAGGACAATAAAATGAAGTACTGGTAGATGTTACAACACGGATGAACCTTACAAATGTGGAAGCTAAAGATGTCAGTCCGT
【0159】
2つの並置フラグメントのTaqIのまわりの647bpの配列のスキャンは、低スコアの谷を取り巻く約210bpの位置でヘリカルターンあたり5°を上回る曲率傾向の大きさを示す。TaqI領域を取り巻く44bp配列のDNAフォールディングおよび自由エネルギー推定は、60℃、4.5mM Mg++イオン状態で0.78kcal/molの最低の熱力学的構造自由エネルギーΔGを得た。
【0160】
配列3
GCAGCTGCGAGGTTTTCTTTTTCCACTTTCTATTAAGAATAATGCTGCTATGAATATTCACGTACAAGTTTTTGTCTGAATATGTTTTCATTCCTCTAAGGTGGAGGACTCACATGGTAACTCCATGTTTCACCATTTGAGAAAATGGCCAGGCTGTTCTTCAAAGCAGCTGCACCATTTTACAATCCCACCAGAAGTGTATGAGGGTTTTATTTCCCCATATCCTCACTAACACCTGTTTTATCTTTTCGAGGTCCTTGCTGAACCTGGACCTATAAATGACGTCAATGATAGTGATCCCTACTGCAGAAATCTACAAGTGGCTATAAAGAACTCTGTAGGTAAGAAATTCTGTAAGATCAGAAAGTACAATGAATTCACTTCATAATAAATTACTTGGTGGACACCAAATGGGTGCTAAATTGATTGGGTAGAAGGAATTGTATGCCCAAGCCACATGGC
【0161】
TaqI制限部位の上流および下流に及ぶ462bpの配列のスキャンは、約400および450bp間で、ヘリカルターンあたり5°を上回る傾向度の大きさと、ヘリカルターンあたり5°未満の周囲配列の値を示した。TaqI領域を取り巻く44bp配列のDNAフォールディングおよび自由エネルギー推定により、60℃、4.5mM Mg++イオン状態で-0.93kcal/molの最低熱力学的構造自由エネルギーΔGを得た。
【0162】
配列4
AGTACTTCCTCTCCCCTCCCATATTGTTAAAAATAGTTTACATTGCTTCCCAGGCTGGGCTGGTGGAGTTGGCACGAGATGTCAGAGGAACCTGAGTCATGCTCAGGCCCAAGCCCTGTTGGCAGGCAGACCACTGCTTTCTGGCCTTCCGTGACTATCTGAAAAAAATCGTGAATGGCTAGAGCTACTCTTCACTTGCTGAACATTTTCAAAAAGAATTGAGAACTTCTGGATTAAATTGCCTTCTTCCTCGAAAAGATAAAACAGGTGTTAGTGAGGATATGGGGAAATAAAACCCTCATACACTTCTGGTGGGATTGTAAAATGGTGCAGCTGCTTTGAAGAACAGCCTGGCCATTTTCTCAAATGGTGAAACATGGAGTTACCATGTGAGTCCTCCACCTTAGAGGAATGAAAACATATTCAGACAAAAACTTGTACGTGAATATTCATAGCAGCATTATTCTTAATAGAAAGTGGAAAAAGAAAACCTCGCAGC
【0163】
TaqI制限部位の上流および下流に及ぶ499bpの配列のスキャンによって、約160および240bpで2つの曲率傾向ピークが示された。TaqI領域を取り巻く44bp配列のDNAフォールディングおよび自由エネルギー推定によって、60℃、4.5mM Mg++イオン状態で1.14kcal/molの最低熱力学的構造自由エネルギーΔGが得られた。
【0164】
配列5
CCTCTCCCACACAAACCTGCTACTGAGTACCTTCGCTAACTTAACCATTCATTCACCCTGGAAGACCACCTACTAGCAGAAGGATTCTTAACAAATGTAAAGAAAGTAAGGACTTTACACTAACAATACAAAACTAACTCTCTCTTTGACAATTCAAAAAACAAAAGATGTTGAACTTTGACATTTACAGAATTAAATGTCAAATGTGACACAATACCATCACATCTGGCTAACTAACTCTTATGCTTTTTTTAGTAAGGAACAACTTTTGAGCCTCAATATCTTAATTCTTAAAATGATAAAGAACACTTAACTCAATTTGTTGAGATCAAATAAGGTAATGTAAAAGTGGGATTTTTATTTTTACTTATTTATTCGAAAACCCTGGGACCCTTCCAGATGGGACTAACTGGGGAAAGTGGACAAGTTACAAACAAAGAAACTCAAAGGAAAGTCATTGGCACTGATCTCTAAGATGCTATCACATGTGATTGGTGGTTGATTTTATTAACAAATTATAAGCAAAGTACTACAAAGGTGGCTTTAAAAAGAAAATAAAGCAATTCACAGAAACTACTTTTTCATGTAGCTTGTATGTGTGCTCCATGT
【0165】
TaqI制限部位の上流および下流に及ぶ609bpの配列のスキャンによって、約200および500bpで2つの曲率傾向ピークと、低スコアの谷が示された。TaqI領域を取り巻く44bp配列のDNAフォールディングおよび自由エネルギーの推定によって、60℃、4.5mM Mg++イオン状態で0.51kcal/molの最低熱力学的構造自由エネルギーΔGが得られた。
【0166】
配列6
AAATGATGAGGCACGGGTGAATAAGATAGTTGGAAGTGACACATACAGATTTCAAATAATTCCCTAAAGGTGTATGGTTTTCTTTCCCTACAAATCCTACTTTCAGTTCTTTTGTACATGGACCCAGAGTGGAATTGCTGGATCATATGATAATTCTATTTTTAACTTCTTGATGGACCTCTGTTTTTGTTTTGTTTTTTACAGAGGCTGCAACATTTTATATTCCTACTAATAATGCACAGGGGTTCGGATTTCTCCACATCCTTGCCAACACTTGATATTTCCTGGGTTTTTTGATAATGGCCATCCTAATAGGTGTGGGGACATGAGGTTTTCAATATGCTTGTGGGACATCGAAAACCCTGGGACCCTTCCAGATGGGACTAACTGGGGAAAGTGGACAAGTTACAAACAAAGAAACTCAAAGGAAAGTCATTGGCACTGATCTCTAAGATGCTATCACATGTGATTGGTGGTTGATTTTATTAACAAATTATAAGCAAAGTACTACAAAGGTGGCTTTAAAAAGAAAATAAAGCAATTCACAGAAACTACTTTTTCATGTAGCTTGTATGTGTGCTCCATG
【0167】
TaqI制限部位の上流および下流に及ぶ586bpの配列のスキャンによって、約300および500bpで2つの曲率傾向ピークと低スコアの谷が示された。TaqI領域を取り巻く44bp配列のDNAフォールディングおよび自由エネルギー推定によって、60℃、4.5mM Mg++イオン状態で0.51kcal/molの最低の熱力学的構造自由エネルギーΔGが得られた。
【0168】
参考文献:
1.Goodsell,D.S.and Dickerson,R.E.(1994)“Bending and curvature calculations in B-DNA”Nuc.Acids Res.22,5497-5503
2.Zuker (2003). Mfold web server for nucleic acid folding and hybridization prediction. Nuc.Acids Res.31,3406-3415
3.SantaLucia,Jr(1998)A unified view of polymer, dumbbell and oligonucleotide DNA nearest-neighbor thermodynamics.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95,1460-1465
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
実施例4 さらなる研究
異所性チロシンキナーゼ活性化の検出は、複数の適応症で従来型診断法(例えば、シーケンシング)では現在不首尾に終わっている。
チロシンキナーゼ阻害剤、例えばダサチニブ、イマチニブおよびイブルチニブ/イムブルビカ(Janssen-Cilag Ltd)が多くの悪性腫瘍(慢性)および体質性障害のために開発されている。ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤の潜在的な非悪性症状の例には関節炎が含まれる。
【0176】
臨床医は、チロシンキナーゼ阻害剤の処方に先立って標的チロシンキナーゼにおける分子的損傷の証拠を要求する。チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を使用する潜在的に救命的診断治療介入は、従来型診断法の使用では不首尾に終わるであろう。
【0177】
薬物治療に関する本発明の態様:
(a)イマチニブは治療上3Cコンフォメーションを標的とする:
【0178】
我々は、直接的に活性化されたチロシンキナーゼに対して作用することが知られているATP模倣イマチニブが、cKITなどのイマチニブ応答性遺伝子における3C染色体コンフォメーションに対しても直接作用することを証明する。
(b)GSKは3Cコンフォメーションを治療上標的とする:
【0179】
IDH1阻害剤GSK864について、この薬物が複数の細胞株において染色体コンフォメーションを直接阻害することを示すデータを提示する。効果的な治療のためのがん患者の階層化は、チロシンキナーゼ遺伝子における活性化変異と、他の経路で獲得された変化を同定活性化することによって実施した。このようにして患者を階層化するのに役立つ診断手順は潜在的に多大な利点を有するものである。FIP1L1およびPDGFRAエンハンサー領域に対するコンフォメーション変化は、IDH1 R132H変異を有する神経膠腫患者におけるPDGFRA発現を上方調節する。異所性PDGFRA過剰発現はイマチニブで治療可能である。
【0180】
以下のデータは3Cマーカーおよび機能的qPCRアッセイにおけるそれらの使用に関する。ABL1およびcKITは、非悪性試料と細胞株との間の二元的差異を示す。
【0181】
RC=逆総補体。真性逆プライマー配列はRC配列に隣接する。
【0182】
3C相互作用が特定された遺伝子とそれらが関与する適応症:
1.ABL1、9q34に位置する細胞質チロシンキナーゼ遺伝子:適応症:急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、乳がん。慢性骨髄性白血病(CML)およびCML-急性転化または消化管間質腫瘍(GIST)。骨髄異形成症候群(MDS)または骨髄増殖性障害(骨髄増殖性腫瘍、MPN)。
2.ブルトン型チロシンキナーゼ、Xq22.1に位置する細胞質チロシンキナーゼ遺伝子:適応症:
X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、B細胞悪性腫瘍。NHL、リンパ腫(全種類)、骨髄腫。慢性リンパ球性白血病。再発性成熟B細胞腫瘍に罹っている患者。慢性移植片対宿主病。再発性有毛細胞白血病。再発性または難治性固形腫瘍。難治性マントル細胞リンパ腫。増幅食道胃がんおよび慢性関節リウマチ。
3.cKIT、4q12に位置するレセプターチロシンキナーゼ遺伝子 適応症:
肥満細胞症および肥満細胞性白血病および前立腺腫瘍。進行性黒色腫、変異悪性黒色腫、二次的、切除不能または転移性消化管間質腫瘍(GIST)、発現悪性中皮腫。進行型、白金-難治性卵巣がん。再発性卵巣上皮癌、卵管、または原発性腹膜癌、または卵巣低悪性度潜在的腫瘍。子宮乳頭漿液性がん、進行期小細胞肺がん、局所進行性鼻咽頭がん、再発性/難治性非ホジキンリンパ腫を有する患者。転移性腎細胞がん、転移性膵消化管神経内分泌腫瘍、再発性卵巣明細胞癌、食道扁平上皮癌、持続性子宮がんおよび乳がん。
4.FGFR1、8pllに位置するレセプターチロシンキナーゼ遺伝子:適応症:甲状腺がん、口腔腺腫、慢性白血病、急性白血病、前立腺腫瘍および乳がん。
転位置FGFR1-3、変異、または増幅された再発性頭頸部がん。FGFR-TACC遺伝子融合を発現する再発性悪性神経膠腫。進行非小細胞肺がんの患者。
5.FIP1L1、PDGFRAにしばしば融合するポリアデニル化特異性因子(4q12)。非チロシンキナーゼ遺伝子:iHES、慢性白血病。
6.13q11-12.2に位置するFLT3レセプターチロシンキナーゼ遺伝子:適応症:慢性白血病、急性骨髄性白血病および乳がん、iHES、慢性白血病。非小細胞肺がん(NSCLC)。結腸直腸がん、転移性黒色腫または腎細胞がん、神経膠腫、難治性ホジキンリンパ腫。以前に治療された卵巣がん。局所進行性鼻咽頭がん。難治性慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)。スミチニブ不成功消化管間質腫瘍(GIST)。
7.PDGFRA 4q12に位置するレセプターチロシンキナーゼ遺伝子:適応症:神経膠腫。慢性白血病、急性骨髄性白血病および乳がん、iHES、慢性白血病。
【0183】
>ORF1_9_130700600_130703071_130719461_130720884_FR
GCAAGCTCCACCTCCTGGGTTCAAGTGATTCTCCTGCCTCAGCCTCCTGAGTAGCTGGGATTACAGGTGTGCCCCACCATGCTCTGCTAATTTATCTATTTTTAGTAGAGATGGGGTTTCACCATGTTGGTCAGGCTGGTCTTGAATTCCTGACCTTGTGATCCACCCGCCTCGGCCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAGACATGAGACACTGCACCCTGCCCCATTCCTTTTAATCTCCCTTGGAATTAGCTGTTTGGTTGATTTGGAGTTCCAGGGTGATACTGTCTGAGTCATAAATGATTTATTTGTGAATTTCTGTGGCTGGTCACGTATTTTGGTCCTGTTTGTATTTCCCTTCCCCTCTCTGTGTCTCCTTATAGCCTGTCTCTCTTGCTGATCGAGGTTGCAACGAGCTGAGATTGCACGCCACTGCACTCCCAGCCTGGGCGACGGAGTGAGACTCCATCTCANNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTGATGACAGCCCAACCTGTCACTTTTTTCAGATCCCTTTTTATGAAAGAATTTGCTTAAGTTGTGTCTGAAGACAAACCAATTTCTTTGGACCCTGGGTATTCTTTTTCTAAGGGAATACCATGTTATTTTGTGTTACAGATTGTTTGCGATCTTTCATAGGCTGATCTTTCTAGAGTTGGTTAATATCCATGTAGGTTAGATTGAAAAACTTGAATTCAGAAATGTACGGTGTTGGAGCAGACATGGATCTGGAAGCCAAGAATAGCGTTGGTGTTGTTGTTGATGGTGAATCTG
【0184】
Lab Chipデータは、正常な物質(患者375)においては3C相互作用の増幅を示すが、慢性骨髄性白血病急性転化細胞株K562(68℃プライマーアニーリング温度)では示さない。このパターンはまた、アニーリング温度67.5℃および66.4℃でも見られた。予想される産物のサイズ:515bp。
【0185】
【0186】
>ORF1_9_130700600_130703071_130719461_130720884_RF
CCACTGCACCAGAGCAAAGAGCAAAAGGAGAGATGCAGGAGGTAAAATGGAGGGTGGGAAGAGAATGGCTGAAGGAGAGGGTGGCCTTATTGGCCCATTTCAAGGATTTTGACTTTGATTCATATGATGTGGGAAGGCCTTGGAGAATTTTCCGAGGGGACTATACTATCTGATGTATGTTTCAGTATGAAATAGAATCTCTCTGGCTGCTATGATCTGAAGGAGGACAAGGGAGCAGGGATTCCACGGGGGCATTGATTGCACAGAGCCAGGTAAGAGTGATGATGCTTGGACCAAAGTGGTGGCACTGGGTGGAGGGTCAGAACCGACAAGATTTGCTCTCGGATTAGATGTGGGATATGGGGGTGTGAGAGGGGCCAAGTGTGACTCTCAGGTTTTCGACCTGCCTCAGCCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAGGTGTGAGCCACCGCACCTGGCCTTCTGTCTGTATTTTTAAAAAAAAGATATTCATGACAACCAAGGGGAGAGGTAAGGTCACAGTGATGTGCTCTGGGTCAAAGATTGTTGAGCCTGGACCATTGGAGAGGGGAGGAAAAGATGGAGGTGTGGGGTCAAGGGGAGAGGCTGCAGAGGACAGGACAGTGTGTGGCCAAGGCTGCTGTTTGTTCCTTCATCACCCTGGCCAGGCTGAGGTCCAGGCAGTGTTCTCTGACGGAGCTGTCTCTTTGCACACGAGGAGCCTGAAATATGGAAAAGTAAGTCGGGCTCTTGATGTTCCTGTTTGCTGACTGAGACTACAAGGCTATTTTTGAATCCCCAT
【0187】
Lab Chipデータは、67.5℃にて、正常な物質(患者375)では3C相互作用の増幅を示すが、悪性物質では示さない(細胞株K562由来)では示さない。予想される産物サイズ:676bp。
【0188】
【0189】
B細胞悪性腫瘍=ブルトン型チロシンキナーゼを含むと考えられる悪性腫瘍
【0190】
>ORF2_X_101355470_101357976_101407183_101408846_FR
ATGAGTCCTGAAACAGAGAGAGAGGTCATGCTGTTGGTGTGGTGTAGGAGGTGGGATGCC
TCACACATCCTCACTTAAAGCCTCACACTTCCGGTGTGTATCTTTCTAGTACATTTTGAA
TCCCAGAAGACCTCCATGAACCCACATATTTCCAGAGGTTTCTCCTCTCACAAAATACTT
TTCAGGGACAAAAAAGAGAAAATACTAATTGAAATACACTGCCTAACTGAATATATTCCC
ACCTCCCAGCCCAGGCTTAGCTCACATCCTACCTTCTTGATGAAGCTGTTCCCCCATATC
CATGCCCTCACTAATGTCTCAGTTTTTAGAAATTTTACAGTGCTTATAAACTTTCTTCTG
ATGTTGTCTAACCTGTATGTTCTTTGAGGACAAGGACCTCGAGATACTGCCGAGAAATCC
ACGACCCCAAAAGGAGAAAAAATGGCACGAATCTTAGTTCCCCATTCCTCCTACCCACCC
TAGATGTTCTAACGGTTAGCACCCGGCAGAGGAAGAGCAGAAGTTCACAAGAAGGGTCTG
【0191】
Lab Chipデータは、このアニーリング温度でのみ細胞株において3C相互作用の増幅を示す。予想される産物サイズ:155bp。
【0192】
*これらのプライマーの組み合わせは、シングルステップ産物を産生し、ネステッドPCRに使用しなかったことに留意されたい。
【0193】
1>ORF3_4_54711719_54715167_54736749_54740853_FR
TCCCATTTTGAAAGCTTATCCTTTAATGACGAGCTTCAGCCAGTGCGGTGGGAGTACTGT
GATCCTCACGTGGTGGTGACGGGGAGGCAGACATTGAGAACTGAAGGGCTCCCTTTGATC
ATTAGCCTTACATAGGATGCCTTTAATGTTGAGCTAGATTGGAAGCCCAAGTGACTGCTG
AAGTGCACCAAATTAACTCAGAAGTCACCAATTTCACTCCATTTATGGAAGGGTATTAAC
AGGGGGTTGAGAAACAATTTAAGGAAATGTTAAATAATGTATTATTTCCAAATCACTGCA
TCATATAATTAACATCCTACCTGTTGTTAGCAATTATTTATAGGTCATACAGTATACCAA
AATCAGCCAAAGCAATAAATCACCCAGAATAAGGCTTCTCGATTCTAAGTTCTACAAGAT
GATCAAGGAAGGCTTCCGGATGCTCAGCCCTGAACACGCACCTGCTGAAATGTAAGAGCC
AAAAAATTTTTCCTTTAGGTCACGTTTTCCCTTTTATTTTTCTTTTTAGAGACAGAAACC
CAGATGTTGAGGGTTTTCATAACACAGTTTGAAATGTCACTTGGATTCTTTATGACACAC
TGGTCAAATGTCATTTCTGTAGTTTATTTTCATAATCTCTTGTCACCAAAAATACAGAAA
GTTTCAGTAATATTTCATACATGCAGTGTTTTATGTTATCTATATGTCAGTCCATATGTC
CAGTTGCATAGCCCTGGAATTATTACTGAAGTTGCTGGATGCCCATACATTTGAAAACAA
GCTGAGGGCATTGAGGAGGG
【0194】
Lab Chipデータは、正常な物質では3C相互作用の増幅を示すが、悪性物質(細胞株EOL1由来)では示さない。予想される産物サイズは429bpである。
【0195】
【0196】
>ORF4_8_38427499_38430449_38480545_38486034_FF(5)
GAGCCGCACCATCCTGGGCATCACTTACTGGAGGCTACTGAGCCAGGGCAGTGGGAATTGGAGCATGGGTCAGTGGGGAAAACAGCTGGCTGCCTGGGAACCCCCATCTCTTTTCCACCCCACTCCTCCAAAAGTCAAAGGAAGAAAGAGGCAAAGTTAGGAAGCAGCTGTAGCAGCATTAAGCGCATTTCATTTCCCCCATCCTAAGGGGAAAGGTCGGCCCTCCCCAGGACTTCTTTGTGTCCGGAGTTGCCCCCTCCCCAGATGCTCAGTTCTTTGCCAAGATTGCCACTTGCCAGAGGAACACCCCATTTCCTTTGGGATAGCTCAGCCTCACCCTTCCCTAGCAACAGCTGAACAAACCCCGCCCCTCAAAACCCCAGCAGCCCCTGCCCAAGTCGAGGGAGCAGCTCCCCACCCAGCCCCAGGATCTGGGTCCAGCAGACCTGGAGAGTCTGCCCTGGCTGCACAGACCGTGGTGGGACTGTCTGGCGGAACTGTTGTCTGGAGACAATGCAGCCCATGTGACAGGCCTTAATGAGTCCCTTCTGGAATCCCACAATGGCCAAGTGGCACAGGCTCTCTGAATAGGTTGCTGTTTTTCAGCAGTGGCAGGGGCTGTGTTGTGGCAACCTCCTCTCTTATTCAACCTCCGGCATCTCTCTTCTTTTCCTTTCTTTCTTACCTTTGTCTTTTATCTACTTTAACTCTCCTGTTCCCTTTTGATCTCTTCCTTCTCCTCCACCCTCCTGATTTCTGTTGTTTCTTAGACACAAAATCGCCCTTCACTCCTGCCCTGT
【0197】
Lab Chipデータは、68℃で、正常な物質(患者375)において3C相互作用の増幅を示すが、悪性物質(細胞株CCL30)では示さない。予想される産物サイズ:460bp。
【0198】
【0199】
>FIP1L1PDGFRA_4_54231931_54236063_55143356_55145047_FR
CAGCTAAAGACTACTTTTCCAAGCCTCTTGCAGCTAGCTATGGACAAATGATGAGGCACG
GGTGAATAAGATAGTTGGAAGTGACACATACAGATTTCAAATAATTCCCTAAAGGTGTAT
GGTTTTCTTTCCCTACAAATCCTACTTTCAGTTCTTTTGTACATGGACCCAGAGTGGAAT
TGCTGGATCATATGATAATTCTATTTTTAACTTCTTGATGGACCTCTGTTTTTGTTTTGT
TTTTTACAGAGGCTGCAACATTTTATATTCCTACTAATAATGCACAGGGGTTCGGATTTC
TCCACATCCTTGCCAACACTTGATATTTCCTGGGTTTTTTGATAATGGCCATCCTAATAG
GTGTGGGGACATGAGGTTTTCAATATGCTTGTGGGACATCGACAAAAGCAATTATGCTAA
TTTCCTTCCCTGTGGGCTCAATTCCTTTTTTGACACGATGACTTGGAGGAGTCATTATGA
TTACTCCAAACAGGAAAGACACTCGCCCAGCTGTCCGCCCGCAGAGAGCTGGCTACGGTG
CAGAAAGCTGAGGAGGCGTCTGGAGTTTTTGGGTGTTAATGATTCTGCCTGCCCACAGGT
CGGGTCTTGGGGTCTGGAGCGTTTGGGAAGGTGGTTGAAGGAACAGCCTATGGATTAAGC
CGGTCCCAACCTGTCATGAAAGTTGCAGTGAAGATGCTAAAACGTAAGTGCTCCTTCCTG
GGGATTTTTTGAGCACGGGGATTTTTTGAGCATGGGGATATTAAGGGAATTTCTCAAAAT
CATGCAGCTAGTAAATAAGA
【0200】
【0201】
>ORF5_13_28025286_28026644_28116701_28118054_RF
TAATTGCATCACTGCACTCCAGCCTGGGCAACAGTGAGAACTTGTCTTAAAGAAACAAAGCAGGTTCTTTCCTCTCAGAAGCCCCTCTCTCTTACTAGAGAGAGAGCTGTTCTCCTCTCTCTTTCTTCTATTAAACCTCCGCTCCTAAAAACACANNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCCCTAAAAAACTAGCCTGGGCAACATGGTAAAACCCTGTCTCTACAAAAAACACAAATAAACTAGCCAGGCCTGGTGGTATGTGCCTGTAGTCCCAACTATTCAGGGAAGCTGAGGTGGGAGGTTTGCTTGAGACCGGGAAGTCCAGGCTGCAGTGAGCCGAGATGGCGCCACTGCACTCTAGCCTCGGCGACAGAGTGAGACTCTGTCGATCTCATTCTTTGGTTTCTGAACTCAGCCCACTTTCCCTCACATAATACAGATCTTCCCGAGAGTCCCGTAAGCGTTTCACCATCCTTCTTTTTTCCAGTTTGCCTTTGTAAAGCTCATTTCTTTTTACTGTGAAATTAATAAATAGCAATAATACAAATCTCTTTTAAGGTATATAAAAATTCTTCCCTGAGGAGCTCTGTAGGAATTATAAGTAGATCACGATTCAATTTATTCTAATATACGAGTTTAACCCAATTTACAATTTACATATCTTTAGGAAATGGCTTCATGCTTTCAGACCACAAATATTCCAAAAGGAATAATTTCAGTGTATTTAATATTCCAGTGAACAGAACGAATCAAAGGGGCTAAGTACTGACCAGTGGATACTGGTCAC
【0202】
Lab Chipデータ-B列。これは、67.5℃で、正常な物質(患者376)において3C相互作用の増幅を示すが、悪性物質(AML患者277由来)においては示さない。予想される産物サイズ:223bp。
【0203】
【0204】
No 3 >ORF5_13_28025286_28026644_28116701_28118054_FF
NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNAAGAATGCTCCAAGGCTCAACGAATGCCTCCATCAGAATGCCTGGGAATCCATTCAGAGAAAGGTGCTACAAAGCCATGATGCTCAAGTAATTAGCAAGAAAGTTCAAGGATGAGGAGGAGATCCAGCAAACTCCTACAGCCCTCATTTATGCCCGCTAAAGCAATAAATCCCTGCAGGACCAAGCATCTCTCAGGATCCCCATGGATGCGGAGGATAAACACAGAGCAGAGACAAGGTTACTGCTACTTTACTGTGTCCCCATCACGTGTCGACAGAGTCTCACTCTGTCGCCGAGGCTAGAGTGCAGTGGCGCCATCTCGGCTCACTGCAGCCTGGACTTCCCGGTCTCAAGCAAACCTCCCACCTCAGCTTCCCTGAATAGTTGGGACTACAGGCACATACCACCAGGCCTGGCTAGTTTATTTGTGTTTTTTGTAGAGACAGGGTTTTACCATGTTGCCCAGGCTAGTTTTTTAGGGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNTGTGTTTTTAGGAGCGGAGGTTTAATAGAAGAAAGAGAGAGGAGAACAGCTCTCTCTCTAGTAAGAGAGAGGGGCTTCTGAGAGGAAAGAACCTGCTTTGTTTCTTTAAGACAAGTTCTCACTGTTGCCCAGGCTGGAGTGCAGTGATGCAATTA
【0205】
Lab Chipデータは、68.0℃で、正常な物質において3C相互作用の増幅を示す(患者376)が、悪性物質では示さない(AML患者277由来)。予想される産物サイズ:204bp。
【0206】
【0207】
>ORF5_13_28025286_28026644_28116701_28118054_RR
GTGACCAGTATCCACTGGTCAGTACTTAGCCCCTTTGATTCGTTCTGTTCACTGGAATATTAAATACACTGAAATTATTCCTTTTGGAATATTTGTGGTCTGAAAGCATGAAGCCATTTCCTAAAGATATGTAAATTGTAAATTGGGTTAAACTCGTATATTAGAATAAATTGAATCGTGATCTACTTATAATTCCTACAGAGCTCCTCAGGGAAGAATTTTTATATACCTTAAAAGAGATTTGTATTATTGCTATTTATTAATTTCACAGTAAAAAGAAATGAGCTTTACAAAGGCAAACTGGAAAAAAGAAGGATGGTGAAACGCTTACGGGACTCTCGGGAAGATCTGTATTATGTGAGGGAAAGTGGGCTGAGTTCAGAAACCAAAGAATGAGATCGAGTGATTGCTAGGTGATGGACCTGTAGGGAGAGATCACTAGATGAGTTCAGGTGGTAAATAGAAAACTCCTGTTGGGGTGCAGTGAGAGATGAAGGTAGTGAAATGAAAGGATGGGGATCAATTTTATATGAGGGCTTTAATTTGAAATGGGAATTTGGTGATATTCTCAGAGCAGCACAAGTTTTCATGCCATGGAAAAGCAGCAGGAAAAATGTAAACCTTGCCAATAACACGGGAAAGTCTCCAAGGGTGCCCAGTGACTTACTTGCCTATAAACAAAGCCATTCCTGAGCACTTCTGGCTATGAAATTTCAAAATACATGTTTTAGAGAATTTTACTGACACTTTTATGATTTTAGAGGATAATTTAGATTTCATAAATTTTGTTTCCTTCCCTT
【0208】
Lab Chipデータは、68.0℃で、正常な物質において3C相互作用の増幅を示す(患者376)が、悪性物質では示さない(AML患者277由来)。予想される産物サイズ:173bp。
【0209】
【0210】
>ORF5_13_28009061_28014204_28025286_28026644_FR
CACACTCATGCTTCATAAGAAAGGGCTAGTGGCTTCTGGAGGCCAGGGATTATTTTTATTTAGTTTTATTTAGTTGTCTACTTCACTGCACTGAACTCTTAAGAGCTTTTAATTTATTAATCATTTGGCTGAAATCAGGAAAGGTGTTTTTTTTCCCTAAAAACATTTTTATCAATATGTCTTAGGGCAGGCAGAGGAGCTCATGCCCTGTGATCCCAGCACTTTGGGAGGCTGAGGTGGGGGAATCGCTTGAGCCCAGGAGTTCAAGACCAGCCTGGGCAATACAGTGATACCCTATTTCTACAAAAAATAAAAAACTTAGCCTGGCGTGGTGCTGCCCTCCCATGGTCCTAGCTACTTGGAAGGCCGTGGCTGGAGGATTGCTTGAGCTTGGGAGGTCGATCTCATTCTTTGGTTTCTGAACTCAGCCCACTTTCCCTCACATAATACAGATCTTCCCGAGAGTCCCGTAAGCGTTTCACCATCCTTCTTTTTTCCAGTTTGCCTTTGTAAAGCTCATTTCTTTTTACTGTGAAATTAATAAATAGCAATAATACAAATCTCTTTTAAGGTATATAAAAATTCTTCCCTGAGGAGCTCTGTAGGAATTATAAGTAGATCACGATTCAATTTATTCTAATATACGAGTTTAACCCAATTTACAATTTACATATCTTTAGGAAATGGCTTCATGCTTTCAGACCACAAATATTCCAAAAGGAATAATTTCAGTGTATTTAATATTCCAGTGAACAGAACGAATCAAAGGGGCTAAGTACTGACCAGTGGATACTGGTCAC
【0211】
Lab Chipデータは、68℃で、正常な物質において3C相互作用の増幅を示す(患者376)が、悪性物質では示さない(AML患者277由来)。予想される産物サイズ:742bp。
【0212】
追加データ
温度勾配データのコンフォメーションを以下に提示する。アルファベット順に各遺伝子について選択された相互作用を以下に提示し、20ng中の各相互作用の平均コピー(反応ごと=96ウェルプレートあたり1ウェル)が含まれている。
1.K562細胞株および正常な血液(10ng/反応)由来の材料のABL1 ABL1-515 SYBRに基づくqPCRアッセイ
K562は、正常な血液中の20ngあたりコピー33.24667、SD+/-35.04153と比較して、20ngで減少した平均コピー数(12.36333、SD+/-15.67294)を示す(p=0.143245T試験)。
2.ブルトン型チロシンキナーゼ
ORF2_X_101355470_101357976_101407183_101408846_FR
細胞株(BT142、EOL1およびHL60)は、正常な血液中、20ngあたりコピー43.83277 SD+/-72.808926と比較して、20ngで減少した平均コピー数(20.99338 SD+/-43.413166)を示す(0.41426T試験)。
3.cKIT実験:非常に有意な差
ORF3_4_54711719_54715167_54736749_54740853_FR
悪性細胞株(BT142、EOL1およびHL60)は、正常な血液中、20ngあたりコピー2.639932(SD+/-1.742175)と比較して、20ngで減少した平均コピー数(0.205135SD+/-0.453526)を示す。(p=0.001294T試験)。これは、細胞株と非悪性試料との間で非常に有意な差である。
4.FGFR1
ORF4_8_38427499_38430449_38480545_38486034_F
悪性細胞株CCL30は、正常な血液中20ngあたりコピー1.242222(SD+/-1.715319)と比較して(p=0.314743 T試験)20ngで増大した平均コピー数2.05(SD+/-0.843267)を示す。
5.FIP1L1実験
FIP1L1PDGFRA 4 54231931 54236063 55143356 55145047 FR
悪性細胞株(BT142、EOL1およびHL60)は、正常な血液における20ngについてのコピー32.61117(SD+/-38.58252)と比較して、20ngで減少した平均コピー数13.07325(SD+/-19.46042)を示す(p=0.147896T試験)。
6.FLT3実験:
ORF5_13_28009061_28014204_28025286_28026644_F:有意差
悪性患者物質は、コピー6.587778、正常な血液中20ngあたりSD+/-7.672794と比較して、20ngで減少した平均コピー数0.427619(SD+/-0.667599)を示す(p=0.043238T試験)。
【0213】
薬物感受性およびイマチニブ
イマチニブ(Glivec)は、ABL1、cKITおよびPDGFRAを含む複数のチロシンキナーゼに対して活性を示す。慢性骨髄性白血病における臨床試験の成功は、薬理遺伝学的戦略の同定のための機動力を提供した。
以下のイマチニブ応答性の選択された遺伝子におけるイマチニブの作用に関する新規データの実施例を以下に記載する。20ngの鋳型をイマチニブで処理した試料のために各ウェルに添加した。
前記cKIT相互作用(ORF3_4_54711719_54715167_54736749_54740853_FR)およびイマチニブ:
cKITおよび例示的データ。BT142細胞を1μmのイマチニブで処理した。20ngの鋳型を各ウェルにロードした。cKIT 3C相互作用はイマチニブで処理した細胞株では完全に存在していなかったことに留意されたい(以下を参照)。
【0214】
ウェルCI中の産物は、先に列挙したcKIT相互作用(ORF3_4_54711719_54715167_54736749_54740853_FR)として確認されている。このデータは、cKIT 3C染色体コンフォメーションに関するイマチニブの直接作用を示す。
【0215】
BT142細胞株におけるMMP1相互作用を以下に示す。これによって、試料の品質が確認される。これは加水分解プローブに基づくアッセイである。
【0216】
【0217】
処理された細胞株に対するGSK864の作用
非固定化対照およびホルムアルデヒドで処理した試料を用いたMMP-1 3C定量化。本願で使用する例示的細胞株は:
(a)DBTRG-05MG(神経膠芽腫)
(b)HL-60(急性骨髄性白血病)
である。
【0218】
これらの細胞株をIDH1阻害剤GSK864で24時間および48時間にわたって処理した。二元的差異が細胞株DBTRGで観察され、量的差異が、MMP1染色体コンフォメーションに対する化合物の直接作用を示すHL60で観察される(
図8参照)。
【0219】
【0220】
HL60細胞株をIDH1阻害剤GSK864で24時間および48時間にわたって処理した。二元的量的差異が、MMP1染色体コンフォメーションに対する化合物の直接作用を示す細胞株HL60中の3C MMP1コピー数において観察される(
図9参照)。
【0221】
【0222】
まとめ
SYBRグリーン検出を使用するこれらのシングルステップアッセイは、正常な血液と悪性物質とを識別する(前記表で記載した細胞株を参照されたい)。qPCR 3Cコピー数は、正常な物質(例えば、cKITおよびFLT3)と比較した場合に悪性細胞株において有意に減少し得るか、または例えばCCL30 FGFR1細胞株は増加し得る。
【0223】
薬物イマチニブ(Glivec:Novartis PLC)はBCR-ABL タンパク質に対して作用すると考えられている。我々は、遺伝子cKITにおいて特定された3Cコンフォメーション相互作用に対するイマチニブの新規直接的作用を示す。データは、イマチニブの3Cコンフォメーションに対する直接的治療効果を示す。
【0224】
さらに、GSK864(IDHl変異阻害剤)は、細胞株DBTRGおよびHL60において1μmで3C MMPlコピー数に対して直接作用を示す。
【配列表】