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特許7579025ナノサテライトシステム用統一プラットフォーム
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  • 特許-ナノサテライトシステム用統一プラットフォーム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】ナノサテライトシステム用統一プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/10 20060101AFI20241030BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20241030BHJP
   B64G 1/44 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B64G1/10 700
B64G1/66 C
B64G1/44 300
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023516718
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 BG2021000007
(87)【国際公開番号】W WO2022082275
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】113251
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BG
(73)【特許権者】
【識別番号】522244067
【氏名又は名称】エンデュロサット ジョイント ストック カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ENDUROSAT JOINT STOCK COMPANY
【住所又は居所原語表記】Manastirski Livadi,1A’Flora’Street,’Obsidian’Business Building BG-1404 Sofia BULGARIA
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】チャットジス,アントニオス ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】ナイデノフ,ミレン ヴァレシフ
(72)【発明者】
【氏名】クラチマロフ,ゲオルギ ヴァレシフ
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0389602(US,A1)
【文献】特開2015-168422(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0253284(US,A1)
【文献】特表2013-507870(JP,A)
【文献】特開2004-074926(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108153183(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110002005(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/10
B64G 1/22- 1/68
H04B 7/14- 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノサテライトシステム用統一プラットフォームであって、
電源モジュール(2)、オンボードコンピュータ(3)、及び通信モジュール(5)が双方向に接続された通信バス(7.1,7.2,7.3,7.4)を備え、
UHFトランシーバ(5.1)を備え、
前記プラットフォームは、展開型ソーラーパネル(1.1-1.4)を備え、
前記ソーラーパネルは、前記電源モジュール(2)に単方向に接続され、姿勢決定・制御モジュール(4)に双方向に接続され、
前記姿勢決定・制御モジュール(4)は、通信バス(7.1)、(7.2)に双方向に接続され、
前記オンボードコンピュータ(3)は、追加インターフェース(9.1)、(9.2)に双方向で接続され、
前記通信モジュール(5)は、UHFアンテナ(6.1)を含むアンテナユニット(6)に双方向に接続され、
前記UHFアンテナ(6.1)は、追加インターフェース(9.2)に接続され、
前記プラットフォームは、通信バス(7.3)、(7.4)及び追加インターフェース(9.1)、(9.2)の両方に双方向に接続されたペイロード(8.1-8.n)を備えることが可能であり、
展開型ソーラーパネル(1.1-1.4)、電源モジュール(2)、オンボードコンピュータ(3)、姿勢決定・制御モジュール(4)、及び通信モジュール(5)のそれぞれには、冗長回路(10)が搭載されている、
ナノサテライトシステム用統一プラットフォーム。
【請求項2】
請求項1に記載のナノサテライトシステム用統一プラットフォームにおいて、
前記通信モジュール(5)は、Sバンドレシーバ(5.3)に接続されたSバンドトランスミッタ(5.2)及び/又は追加高速無線通信デバイスを備えることが可能であり、
アンテナブロック(6)は、Sバンドアンテナ(6.2)、Xバンドアンテナ(6.3)及び/又は他の周波数用のアンテナが可能であって、
Sバンドトランスミッタ(5.2)及びSバンドレシーバ(5.3)は、Sバンドアンテナ(6.2)に接続され、
追加高速無線通信デバイス5.4は、Xバンドトランスミッタ、Kaバンドトランスミッタ、W/Vバンドトランスミッタのタイプであり、Xバンドアンテナ6.3及び/又は他の周波数用のアンテナに接続されている、
ナノサテライトシステム用統一プラットフォーム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナノサテライトシステム用統一プラットフォームにおいて、
Sバンドトランスミッタ(5.2)、Sバンドレシーバ(5.3)、及び追加高速無線通信デバイス(5.4)は、通信バス(7.1、7.2、7.3、7.4)と双方向に接続されている、
ナノサテライトシステム用統一プラットフォーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙技術や人工衛星産業の分野で応用できるナノサテライトシステム用統一プラットフォームに関するものであり、特に地上からプラットフォームのペイロードにアクセスし、地上局からプラットフォームに送られるタスクやコマンドを実行するためのものである。
【背景技術】
【0002】
宇宙開発及び関連インフラは、今日の世界においてますます重要性を増している。宇宙分野は驚異的な速度で進化しており、これは、今後数年間で多くの産業に大規模な変化をもたらすであろう。今後10年間で、7,000機以上の新しいナノサテライトが世界中で打ち上げられると予想されている。
【0003】
ナノサテライトは、地球観測、通信目的、情報伝達、研究及び訓練にますます活用されている。専門家によると、IoT(Internet of Things)ネットワークの活性化には、実際に更新できない旧式のシステムを持つ大型衛星よりも、ナノサテライトの方が適しており効果的だという。IoTとは、家庭用機械からコンピュータ、さらには物まで、まだ未開発のデジタルポテンシャルを持つあらゆる種類のデバイスのネットワークである。ネットワーク接続があれば、人間の手を煩わせることなく、互いに情報を交換することができる。これには、ほぼすべての場所にモバイルネットワークが必要であり、このサービスは、人工衛星及び人工衛星プラットフォームによって最適に提供される。
【0004】
人工衛星プラットフォームは、ラジオやテレビ番組の放送、遠隔作業、遠隔医療、オンライントレーニング、エネルギーや輸送(航空、船舶等)を含むさまざまな産業分野へのサービスにも使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、自律的で、インテリジェントで、安全で、安定した人工衛星の制御及び地上局との通信の両方を提供し、プラットフォーム上に位置するペイロードとの間でデータをダウンロード及びアップロードできる、ナノサテライトシステム用統一プラットフォームを作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、電源モジュール、オンボードコンピュータ、最小限のUHFトランシーバを備えた通信モジュールが双方向に接続された通信バスを備えたナノサテライトシステム用統一プラットフォームを構築することで解決された。また、プラットフォームは、拡張可能なソーラーパネルを備え、拡張可能なソーラーパネルは、電源モジュールに単方向に接続され、通信バスに双方向に接続された姿勢決定・制御モジュールに双方向に接続されている。オンボードコンピュータは、追加インターフェースと双方向に接続されています。通信モジュールは、補助インターフェースに接続されたUHFアンテナを備えたアンテナユニットと双方向に接続されている。
【0007】
このプラットフォームは、通信バス及び追加インターフェースの両方に双方向に接続されたペイロードを備えることが可能である。展開型ソーラーパネル、電源モジュール、オンボードコンピュータ、姿勢決定・制御モジュール、及び通信モジュールのそれぞれは、冗長回路を備えている。
【0008】
一実施形態において、通信モジュールは、Sバンドレシーバに接続されたSバンドトランスミッタ及び/又は追加高速無線通信デバイスを備えることが可能である。アンテナユニットは、Sバンドアンテナ、Xバンドアンテナ、及び/又は他の周波数用のアンテナを備えることが可能である。Sバンドトランスミッタ及びSバンドレシーバは、Sバンドアンテナに接続され、追加高速無線通信デバイスは、Xバンドトランスミッタ、Kaバンドトランスミッタ、W/Vバンドトランスミッタといったタイプであり、Xバンドアンテナ、及び/又は他の周波数用のアンテナに接続されている。
【0009】
Sバンドトランスミッタ、Sバンドレシーバ、及び追加高速無線通信デバイスは、通信バスに双方向で接続されている。
【0010】
このナノサテライトシステム用統一プラットフォームの利点は、プラットフォームの全モジュール間に構築された統一通信構造により、最大70%のリソースを失っても動作可能な非常に高いレベルの冗長性を持つプラットフォームのペイロードへの地球からのアクセスを提供することである。また、各モジュールに冗長回路が実装されており、放射線障害でマイクロコントローラのメモリが完全に消去された場合でも、メモリの主要部分が復元されるため、マイクロコントローラが、完全に自己回復及び/又は再プログラミングできるのも利点である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明によるナノサテライトシステム用統一プラットフォームの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、作成されたナノサテライトシステム用統一プラットフォームは、通信バス7.1、7.2、7.3、7.4を備え、これらの通信バスに双方向に、電源モジュール2、オンボードコンピュータ3、及びUHFトランシーバ5.1を含む通信モジュール5が接続されている。また、このプラットフォームは、展開型ソーラーパネル1.1-1.4を備え、これらは、電源モジュール2に単方向に接続され、姿勢決定・制御モジュール4に単方向に接続され、姿勢決定・制御モジュール4は、通信バス7.1、7.2に双方向に接続されている。オンボードコンピュータ3は、追加インターフェース9.1、9.2と双方向に接続されている。通信モジュール5は、UHFアンテナ6.1を備えたアンテナユニット6と双方向に接続され、UHFアンテナ6.1は、追加インターフェース9.2と接続されている。
【0013】
このプラットフォームは、通信バス7.3、7.4、及び追加インターフェース9.1、9.2と双方向に接続されたペイロード8.1-8.nを備えることができる。
【0014】
展開型ソーラーパネル1.1-1.4、電源モジュール2、オンボードコンピュータ3、姿勢決定・制御モジュール4、通信モジュール5のそれぞれは、冗長回路10を備えている。
【0015】
一実施形態では、通信モジュール5は、Sバンドレシーバ5.3に接続されたSバンドトランスミッタ5.2、及び/又は追加高速無線通信デバイス5.4を備えることができる。アンテナユニット6は、Sバンドアンテナ6.2、Xバンドアンテナ6.3、及び/又は他の周波数用のアンテナを備えることができる。Sバンドトランスミッタ5.2及びSバンドレシーバ5.3は、Sバンドアンテナ6.2に接続され、追加高速無線通信デバイス5.4は、Xバンドトランスミッタ、Kaバンドトランスミッタ、W/Vバンドトランスミッタのタイプであり、Xバンドアンテナ6.3及び/又は他の周波数用のアンテナに接続されている。
【0016】
Sバンドトランスミッタ5.2、Sバンドレシーバ5.3、及び追加高速無線通信デバイス5.4は、通信バス7.1、7.2、7.3、7.4と双方向に接続されている。
【0017】
作成されたナノサテライトシステム用統合プラットフォームのモジュールは、以下のような機能及び特徴を有している。展開型ソーラーパネル1.1-1.4は、太陽エネルギーを電気に変換し、電源モジュール2の入力に供給される。ソーラーパネル1.1-1.4は、ソーラーセル、光センサ、ジャイロスコープ、マイクロコントローラ、コネクタを備えている。
【0018】
電源モジュール2は、ソーラーパネルからの入力電力変換器、充電器、平衡装置、バッテリー、発熱体、出力電力変換器を備えている。電源モジュール2は、プラットフォームのすべてのモジュールに電源を供給し、ソーラーパネル1.1-1.4から受け取った電力を分配し、電圧レベルの異なるモジュールへの電源に適した電気的パラメータを持つようにする。エネルギーの一部は、電源モジュール2のバッテリーに蓄えられる。
【0019】
オンボードコンピュータ3は、プラットフォームソフトウェアの主要な部分が実行されるモジュールである。オンボードコンピュータ3は、プラットフォーム全体の主要な動作モードを司る。オンボードコンピュータ3は、4つのマイクロコントローラ(メインのデュアルコア2個及び前者2個のプログラミングデバイスとして機能する2個)、コネクタ、外部メモリ、2個のメモリカードスロットを備えている。
【0020】
姿勢決定・制御モジュール4は、地球やその他の基準物に対し、人工衛星を所望の方向に正しく向ける役割を担っている。姿勢決定・制御モジュールは、メインマイクロコントローラを搭載した制御基板、作動装置(リアクションホイール)を搭載した基板、及びセンサ(2台のカメラ、磁場センサ、高精度光センサ)を搭載した基板を備えている。
【0021】
通信モジュール5は、地球からの人工衛星の基本的な接続及び制御のために、UHFトランシーバ5.1を備える必要がある。UHFトランシーバ5.1は、20Kbpsという低速を維持し、地球へのポインティングを必要としない。UHFトランシーバ5.1は、コネクタ、マイクロコントローラ、無線回路を備えている。
【0022】
通信モジュール5は、より高速なダウンリンク-5Mbit/sを維持し、人工衛星から地球に大きなデータやテレメトリを送信するために使用されるSバンドトランスミッタ5.2を備えることができる。Sバンドトランスミッタ5.2は、コネクタ、マイクロコントローラ、2つのメモリカードスロット、変調器、無線回路を備えている。通信モジュール5は、Sバンドレシーバ5.3も備えることができ、より高速のアップリンク-5Mbpsをサポートし、プラットフォームモジュール用の新しいソフトウェア用のファイルなど、より大きなファイルをアップロードし、地球から人工衛星を制御するために使用される。Sバンドレシーバ5.3は、コネクタ、マイクロコントローラ、2つのメモリカードスロット、復調器、無線回路を備えている。通信モジュール5は、Xバンドトランスミッタ、Kaバンドトランスミッタ、W/Vバンドトランスミッタ等の他の追加高速無線通信デバイス5.4を備える可能性を有する。追加高速無線通信デバイス5.4は、無線周波数スペクトルの異なるバンドで、人工衛星から地球まで150Mbpsから数Gbpsの高いデータレートを維持する。追加高速無線通信デバイス5.4は、人工衛星から地球へ、写真や動画等の大量の情報を素早く転送する役割を担っている。追加高速無線通信デバイス5.4は、コネクタ、マイコン、2個のメモリカードスロット、変調信号発生用デジタル部、無線回路を備えている。
【0023】
アンテナユニット6は、必然的にUHFアンテナ6.1を備え、UHFアンテナ6.1は、機械的フレーム、制御用マイクロコントローラ及びコネクタを搭載した基板、並びに展開機構を備えた金属アンテナを備えている。
【0024】
アンテナユニット6は、Sバンドアンテナ6.2、Xバンドアンテナ6.3、及び/又は他の周波数用のアンテナを備えることが可能であり、これらは別々の金属パッチを有する基板及びコネクタを備えている。アンテナは、通信モジュール5からの通信機器の動作に必要なインフラの一部であり、それぞれ、いずれかの周波数が必要でない場合(Sバンド、Xバンド、Kaバンド等)、それぞれのアンテナは配置されない。
【0025】
通信バス7.1、7.2、7.3、7.4は、プラットフォームの全モジュール間、及びプラットフォームのセキュリティに追加の制約がある外部モジュールとのデータ交換を保証するものである。通信バス7.1、7.2、7.3、7.4は、合計4つの通信チャネルを提供する。通信バス7.1、7.2は、システムバスであり、プラットフォームモジュールにのみ利用可能であり、通信バス7.3、7.4は、ペイロードにも対応可能であり、プラットフォームモジュールに加えて、ペイロード8.1-8.nも通信バス7.3、7.4に接続されている。通信バス7.1、7.2、7.3、7.4は、4重予約で、すべてのモジュール間で高速及び低速の両方のデータ交換速度をサポートしている。通信バス7.1、7.2、7.3、7.4は、制御及びデータ交換の両方に適している。また、バスの1つに障害が検出された場合、プラットフォームの一般的な状態に影響を与えることなく、次に機能するバスに通信を転送し、データ交換を継続するようなメカニズムがプラットフォームに実装されている。
【0026】
ペイロード8.1-8.nは、宇宙から地球を探査する手段、宇宙環境を探査する手段、又は軌道上で計測及び/又は実験を行う装置であるサードパーティ製クライアントデバイスである。ペイロード8.1-8.nは、写真・ビデオカメラ、赤外線カメラ、地球及び/又は別の人工衛星への無線又は光接続を有する通信モジュールであってもよい。また、宇宙空間での研究の対象となる電子機器、機構、その他の種類のカーゴであってもよい。
【0027】
追加インターフェース9.1、9.2は、ペイロード8.1-8.nとプラットフォームとの接続に使用され、その場合、負荷の安定性は低下する。UART、I2C、SPIインターフェースがサポートされている。
【0028】
冗長回路10は、メインマイクロコントローラ2個及び補助マイクロコントローラ2個の2組で構成される制御・監視回路である。メインマイクロコントローラは、完全に互換性のある機能を持ち、2つのうち1つに不具合が生じた場合、他方がその機能を100%引き継ぐ。補助マイクロコントローラは、耐放射線性のメモリを有し、それぞれのメインマイクロコントローラの外部プログラミングデバイスの役割を果たす。メインマイクロコントローラのメモリを削除及び/又は変更しても、補助マイクロコントローラがそれを復元することができる。メインマイクロコントローラの回復及び/又は再プログラミングのこの機能は、それぞれのモジュール内のローカルレベルのみに限定されるものではない。すなわち、あるモジュールのメインマイクロコントローラ及び/又は補助マイクロコントローラは、通信バス7.1、7.2、7.3、7.4を介して、別のモジュールにあるメインマイクロコントローラ及び/又は補助マイクロコントローラを再プログラミングすることができる。
【0029】
プラットフォームの機能は以下の通りである。軌道上でプラットフォームがキャリアから分離した直後、電源ユニット2が起動し、プラットフォームの全モジュールの電源が活性化される。次に、各モジュールに信号が送信され、モジュールがオンになる。分離後30分までは、軌道にもよるが、オンボードコンピュータ3から信号が送信され、UHFアンテナ6.1及びソーラーパネル1.1-1.4が開かれる。プラットフォームの姿勢を安定させるためのシステムは、オンボードコンピュータ3及び姿勢決定・制御モジュール4により起動される。通信モジュール5は、UHFトランシーバ5.1を介してプラットフォーム固有の信号を一定の間隔で送信することでモードに入り、地上局によって傍受することができる。プラットフォームとの接続を確立した後、通常の動作モードに入り、その間、ミッションに提供されるタスク及び/又は地上局からプラットフォームへ送信されるコマンドが実行される。
【0030】
プラットフォームを構成する各モジュールには、ソフトウェア及びハードウェアレベルのロジックが実装されており、プラットフォームの自律的な機能を提供する。プラットフォームは、サブシステムの基本指標及び重要指標に基づいて推定を行い、所定の瞬間にどの動作モードが最も効果的又は適切であるかを決定する。
【0031】
プラットフォームのインテリジェンスは、地上局から割り当てられたタスクに応じて、タスクの準備のためにさまざまなプロセスを開始するタイミングを事前に計画することである。これには、衛星の正しい向き、必要なエネルギーの取得、ペイロードの指示及び起動(カメラ、無線、実験等)といった操作が含まれる。
【0032】
このプラットフォームのセキュリティは、ナノサテライトとの通信のためのすべての無線チャンネルが暗号化されていることにある。これにより、複数のペイロードを異なる顧客に展開でき、各顧客が自分のペイロードのみにアクセスすることができるようになる。
【0033】
これは、「機能共有」を実現するプラットフォームのアーキテクチャと、プラットフォーム内のすべてのモジュール間で構築された統一的な通信構造とによって可能になった。つまり、あるモジュールが破損しても、他のモジュールがその機能の一部をカバーすることができる。さらに、各モジュールにはプログラマーが実装されており、マイクロコントローラのメモリが放射線障害により完全に消去された場合でも、メモリの主要部分を復元できるため、マイクロコントローラは完全に機能する状態に自己回復することができる。

図1