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特許7579031保温防水高強度包装袋及びその製造プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】保温防水高強度包装袋及びその製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20241030BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20241030BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241030BHJP
   B32B 37/12 20060101ALN20241030BHJP
   B32B 29/00 20060101ALN20241030BHJP
【FI】
B65D65/40 D
C09J175/04
C09J11/06
B32B37/12
B32B29/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024032508
(22)【出願日】2024-03-04
【審査請求日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】202410099462.7
(32)【優先日】2024-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524083141
【氏名又は名称】東莞市泰鴻包装制品有限公司
【氏名又は名称原語表記】DONGGUAN TAIHONG PACKAGING CO., LTD
【住所又は居所原語表記】NO. 66, Xinglang Road, Huangjiang Town, Dongguan, Guangdong 523767, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】呂徳冉
(72)【発明者】
【氏名】藍海江
(72)【発明者】
【氏名】徐超
(72)【発明者】
【氏名】謝龍
(72)【発明者】
【氏名】王文秀
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-128688(JP,U)
【文献】特開平05-294341(JP,A)
【文献】実開昭59-129770(JP,U)
【文献】特開2020-200392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
C09J 175/04
C09J 11/06
B32B 37/12
B32B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合紙で製造され、前記複合紙は、順に貼り合わせて設置された外防水層、外紙層、断熱緩衝層、内紙層及び内防水層を含み、前記外紙層と前記断熱緩衝層は、第1の接着層により貼り合わせ、前記内紙層と前記断熱緩衝層は、第2の接着層により貼り合わせ、前記第1の接着層と前記第2の接着層は、いずれも弾性を有する接着層であり、
前記外防水層の断熱緩衝層に近い一側面に第1の緩衝構造を有し、前記第1の緩衝構造は、いくつかの凸設部で構成され、前記凸設部の水平高さは、外紙層の中部領域から周辺縁領域に沿って徐々に増大する、ことを特徴とする保温防水高強度包装袋。
【請求項2】
前記内防水層の断熱緩衝層に近い一側面に第2の緩衝構造を有し、前記第1の緩衝構造と前記第2の緩衝構造は、同じであり、前記第1の緩衝構造と前記第2の緩衝構造は、対称に設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の保温防水高強度包装袋。
【請求項3】
前記凸設部の分布密度は、外紙層の中部領域から周辺縁領域に沿って徐々に減少する、ことを特徴とする請求項1に記載の保温防水高強度包装袋。
【請求項4】
前記断熱緩衝層は、エアロゲル綿、シリコーン綿、ウレタンのいずれかである、ことを特徴とする請求項1に記載の保温防水高強度包装袋。
【請求項5】
前記第1の接着層と第2の接着層は、いずれも接着剤で硬化して形成され、前記接着剤は、
ポリウレタンエマルジョン 40~60部
増粘剤 12~22部
浸潤剤 4~8部
長鎖アルキルシランカップリング剤 0.5~2部
水 20~30部という重量部の原料で調製される、ことを特徴とする請求項1に記載の保温防水高強度包装袋。
【請求項6】
前記増粘剤は、
重量部で計算し、10~18部の澱粉を80~120部の水に加え、0.3~0.8部の1~2mol/Lの塩酸水溶液を滴下し、65~85℃まで昇温し、30~60min撹拌し、澱粉加水分解物を調製するステップA1、及び
澱粉加水分解物に0.2~0.5部のジエチレングリコール、0.1~0.3部のアクリル酸エステル系共重合体及び1~3部のケイ酸マグネシウムアルミニウムを加え、均一に撹拌し、増粘剤を調製するステップA2によって調製される、ことを特徴とする請求項5に記載の保温防水高強度包装袋。
【請求項7】
前記浸潤剤は、オレイルアミンポリオキシエチレンエーテルとポリビニルアルコールで構成され、前記オレイルアミンポリオキシエチレンエーテルと前記ポリビニルアルコールの重量比は、1:(0.2~0.6)である、ことを特徴とする請求項5に記載の保温防水高強度包装袋。
【請求項8】
前記接着剤は、
浸潤剤を水に加え、均一に撹拌し、混合液を調製するステップB1、及び
混合液にポリウレタンエマルジョン、増粘剤及び長鎖アルキルシランカップリング剤を加え、均一に撹拌し、接着剤を調製するステップB2によって調製される、ことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の保温防水高強度包装袋。
【請求項9】
接着剤を断熱緩衝層の一面に塗布し、第1の接着層を形成し、外紙層を貼り合わせ、保温し、乾燥するステップS1と、
接着剤を断熱緩衝層の外紙層から離れる一面に塗布し、第2の接着層を形成し、その後に内紙層を貼り合わせ、保温し、乾燥するステップS2と、
防水剤を内紙層に塗布し、内防水層を形成し、防水剤を外紙層に塗布し、外防水層を形成し、乾燥し、複合紙を製造するステップS3と、
複合紙を裁断し、組み合わせ、保温防水高強度包装袋を製造するS4と、を含む、
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の保温防水高強度包装袋の製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、包装材料の分野に関し、より具体的には、それは保温防水高強度包装袋及びその製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋は、物品包装に用いられ、異なる種類の物品は、異なる需要機能の包装袋を使用する必要がある。
【0003】
包装袋の環境保護性及びリサイクル可能性を向上させるために、一般的にクラフト紙、段ボールなどのリサイクル可能な紙を用いて包装袋を作製し、現在、通常の環境保護型包装袋は、以下のいくつかの種類に分けられ、第1の種類は、単層クラフト紙で作製された包装袋であり、このような包装袋は、軽量であるという利点を有するが、保温性能、防水性能及び耐圧強度は、いずれも低く、第2の種類は、複合段ボールで作製された包装袋であり、このような包装袋は、良好な耐圧強度を有するが、保温性及び防水性が普通であり、第3の種類は、クラフト紙と保温発泡体を複合して作製された包装袋であり、このような包装袋は、良好な保温性能を有するが、環境に優しくなく、且つ輸送中に、包装袋にシワと破損の状況が発生しやすく、防水性も低く、物品に対する防護性能を低下させ、そのため、現在の環境保護型包装袋に対して、さらに改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の環境保護型包装袋の保温性能及び防水性能が低く、輸送中にシワ及び破損の状況が発生しやすく、物品に対する防護性能が低下するという問題を解決するために、本願は、保温防水高強度包装袋及びその製造プロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本願は、保温防水高強度包装袋を提供し、以下の技術的解決手段を採用する。
【0006】
保温防水高強度包装袋であって、複合紙で製造され、前記複合紙は、順に貼り合わせて設置された外防水層、外紙層、断熱緩衝層、内紙層及び内防水層を含み、前記外紙層と前記断熱緩衝層は、第1の接着層により貼り合わせ、前記内紙層と前記断熱緩衝層は、第2の接着層により貼り合わせ、前記第1の接着層と前記第2の接着層は、いずれも弾性を有する接着層である。
【0007】
上記技術的解決手段を採用することにより、本願の包装袋は、複合紙で組み合わせて製造され、そのうち、内紙層と外紙層は、包装袋の支持性を向上させるという役割を果たし、包装袋の耐圧強度を改善し、包装袋が破損しにくく、断熱緩衝層は、内外部の空気流動を阻止することができ、良好な断熱と保温作用を果たし、しかも良好な緩衝効果を有し、包装袋が外部圧力を受ける時に、シワ及び破損が発生しにくく、包装物品に対する保護作用を向上させ、外防水層と内防水層は、防水の作用を有し、さらに水分と空気流動を遮断し、さらに包装袋の防水と断熱性を向上させ、第1の接着層は、外紙層と断熱緩衝層を貼り合わせる作用を果たし、第2の接着層は、内紙層と断熱緩衝層を貼り合わせる作用を果たし、第1の接着層と第2の接着層を、弾性を有する接着層として設置し、断熱緩衝層と協働することができ、包装袋が外部圧力を受ける時に、外紙層、断熱緩衝層及び内紙層の作用で、外部圧力に対して均一に分散と反発を行い、内紙層と外紙層がシワになりやすいという問題を低減させ、包装袋の耐圧強度を向上させ、包装袋が破損しにくい。
【0008】
好ましくは、前記外防水層の断熱緩衝層に近い一側面に第1の緩衝構造を有し、前記内防水層の断熱緩衝層に近い一側面に第2の緩衝構造を有し、前記第1の緩衝構造と前記第2の緩衝構造は、同じであり、前記第1の緩衝構造と前記第2の緩衝構造は、対称に設置される。
【0009】
上記技術的解決手段を採用することにより、第1の緩衝構造と第2の緩衝構造は、対称に設置され、且つ第1の緩衝構造と第2の緩衝構造の構造は、同じであり、包装袋が外部圧力を受ける時に、外紙層の第1の緩衝構造と内紙層の第2の緩衝構造は、断熱緩衝層と協働し、包装袋の表面が外部圧力に対して均一に緩衝及び反発を行い、さらに包装袋の耐圧性能を向上させ、包装袋にシワ及び破損が発生する状況を低減させる。
【0010】
好ましくは、前記第1の緩衝構造は、いくつかの凸設部で構成され、前記凸設部の水平高さは、外紙層の中部領域から周辺縁領域に沿って徐々に増大する。
【0011】
上記技術的解決手段を採用することにより、外紙層の中部領域に近い凸設部の水平高さが低く、外紙層の周辺縁領域に近い凸設部の水平高さが高く、外紙層の中部領域と断熱緩衝層との間の第1の接着層の厚さを厚くさせ、外紙層の周辺縁領域と断熱緩衝層との間の第1の接着層の厚さを薄くさせ、一般的な包装袋の中部領域が押圧されてシワになりやすく、そのため、外紙層の中部領域に対応する第1の接着層と断熱緩衝層は、良好な協働作用を果たし、外紙層の中部領域に対して緩衝作用を発生し、外紙層が受けようとする押圧作用を周囲に分散させ、包装袋の耐圧強度を向上させ、さらに包装袋がシワになりにくく、破損しにくい。
【0012】
さらに、本願における外紙層の中部領域の凸設部の水平高さは、外紙層の高さの1/3~3/4であり、外紙層が良好な隔離性能を有すると同時に、さらに良好な緩衝弾性を有し、包装袋にシワ及び破損が発生する状況を低減させる。
【0013】
好ましくは、前記凸設部の分布密度は、外紙層の中部領域から周辺縁領域に沿って徐々に減少する。
【0014】
上記技術的解決手段を採用することにより、包装袋の中部領域は、外部から押圧されてシワになりやすく、そのため、外紙層の中部領域の凸設部の分布密度を増加させることにより、圧力を均一に分散することができ、シワ及び破損の状況の発生を低減させ、第1の緩衝構造は、第1の接着層及び断熱緩衝層と協働作用を形成し、圧力を均一に分散して放出し、包装袋の縁領域は、組み合わせる過程で、包装袋自体は、シワを行う必要があり、そのため外紙層の周辺縁領域の厚さを厚く制御し、定型しやすく、包装袋を立体的な形状に保持させることができ、緩衝性能を有するとともに、変形しにくい。
【0015】
好ましくは、前記断熱緩衝層は、エアロゲル綿、シリコーン綿、ウレタンのいずれかである。
【0016】
上記技術的解決手段を採用することにより、上記断熱緩衝層は、優れた断熱と緩衝弾性を有し、製造された包装袋の保温と緩衝性能を向上させることができる。
【0017】
好ましくは、前記第1の接着層と第2の接着層は、いずれも接着剤で硬化して形成され、前記接着剤は、
ポリウレタンエマルジョン 40~60部
増粘剤 12~22部
浸潤剤 4~8部
長鎖アルキルシランカップリング剤 0.5~2部
水 20~30部という重量部の原料で調製される。
【0018】
上記技術的解決手段を採用することにより、製造された保温防水高強度包装袋の耐圧強度及び耐シワ性能をさらに向上させるとともに、多層間の貼り合わせ安定性を実現するために、本願の接着剤を使用し、本願の接着剤は、ポリウレタンエマルジョンを樹脂本体とし、ポリウレタンエマルジョンは、良好な付着性を有し、硬化後に良好な弾性及び靭性を有し、増粘剤は、粘着性を向上させる作用を果たし、ポリウレタンエマルジョンを支持することができ、調製された接着剤の粘着性をさらに向上させ、浸潤剤は、増粘剤と良好な相乗効果を生成することができ、調製された接着剤の断熱緩衝層表面における均一な分散性能を向上させ、第1の緩衝構造と第2の緩衝構造との隙間に均一に浸潤して分散することができ、外紙層、断熱緩衝層及び内紙層を安定的に粘着させることができ、長鎖アルキルシランカップリング剤は、長炭素鎖を有し、ポリウレタンエマルジョンと増粘剤、浸潤剤との間の分散安定性をさらに向上させることができ、それにより調製された接着剤は、硬化後に良好な粘着安定性と弾性を有する。
【0019】
好ましくは、前記増粘剤は、
重量部で計算し、10~18部の澱粉を80~120部の水に加え、0.3~0.8部の1~2mol/Lの塩酸水溶液を滴下し、65~85℃まで昇温し、30~60min撹拌し、澱粉加水分解物を調製するステップA1、及び
澱粉加水分解物に0.2~0.5部のジエチレングリコール、0.1~0.3部のアクリル酸エステル系共重合体及び1~3部のケイ酸マグネシウムアルミニウムを加え、均一に撹拌し、増粘剤を調製するステップA2によって調製される。
【0020】
上記技術的解決手段を採用することにより、まず酸性条件で澱粉を加水分解し、澱粉の分子構造をほぐれと安定的にさせ、澱粉の吸水と膨潤作用を向上させ、ポリウレタンエマルジョンへの支持作用を向上させ、その後にジエチレングリコール、アクリル酸エステル系共重合体及びケイ酸マグネシウムアルミニウムを加えて澱粉加水分解物と調合し、ジエチレングリコールは、柔軟な長鎖エーテル鎖セグメントを有し、アクリル酸エステル系共重合体とケイ酸マグネシウムアルミニウムの澱粉加水分解物における分散性を向上させることができ、アクリル酸エステル系共重合体とケイ酸マグネシウムアルミニウムの加えは、澱粉加水分解物の流動性と吸着性能をさらに向上させることができ、調製された増粘剤は、ポリウレタンエマルジョンに対して安定的に吸着することができ、しかも良好な粘着安定性を有する。
【0021】
好ましくは、前記浸潤剤は、オレイルアミンポリオキシエチレンエーテルとポリビニルアルコールで構成され、前記オレイルアミンポリオキシエチレンエーテルと前記ポリビニルアルコールの重量比は、1:(0.2~0.6)である。
【0022】
上記技術的解決手段を採用することにより、好適な割合のオレイルアミンポリオキシエチレンエーテルとポリビニルアルコールは、良好な相乗効果を有し、調製された接着剤の濡れ性と粘着性能を向上させることができ、さらに包装袋の外紙層、断熱緩衝層と内紙層との間の粘着安定性を向上させる。
【0023】
好ましくは、前記接着剤は、
浸潤剤を水に加え、均一に撹拌し、混合液を調製するステップB1、及び
混合液にポリウレタンエマルジョン、増粘剤及び長鎖アルキルシランカップリング剤を加え、均一に撹拌し、接着剤を調製するステップB2によって調製される。
【0024】
上記技術的解決手段を採用することにより、まず浸潤剤を水に溶解させ、均一に分散する混合液を形成し、浸潤剤の作用で、ポリウレタンエマルジョン、増粘剤及び長鎖アルキルシランカップリング剤を均一に分散させ、体系が安定的で、粘着性能に優れる接着剤を調製する。
【0025】
第2の態様において、本願は、保温防水高強度包装袋の製造プロセスを提供し、以下の技術的解決手段を採用する。
【0026】
保温防水高強度包装袋の製造プロセスであって、
接着剤を断熱緩衝層の一面に塗布し、第1の接着層を形成し、その後に外紙層を貼り合わせ、保温し、乾燥するステップS1と、
接着剤を断熱緩衝層の外紙層から離れる一面に塗布し、第2の接着層を形成し、その後に外紙層を貼り合わせ、保温し、乾燥するステップS2と、
防水剤を内紙層に塗布し、内防水層を形成し、防水剤を外紙層に塗布し、外防水層を形成し、乾燥し、複合紙を製造するステップS3と、
複合紙を裁断し、組み合わせ、保温防水高強度包装袋を製造するS4と、を含む。
【0027】
上記技術的解決手段を採用することにより、保温性能に優れ、防水性に優れ、且つシワ、変形及び破損しにくい包装袋を製造する。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本願は、以下の有益な効果を有する。
【0029】
1、本願の保温防水高強度包装袋は、外防水層、外紙層、第1の接着層、断熱緩衝層、第2の接着層、内紙層及び内防水層で構成され、良好な保温性能及び防水性能を有し、シワ変形及び破損しにくく、包装物品に対して良好な防護作用を有し、適用範囲が広い。
【0030】
2、外防水層の断熱緩衝層に近い一側面に第1の緩衝構造を設置し、内防水層の断熱緩衝層に近い一側面に第2の緩衝構造を設置することにより、第1の緩衝構造と第2の緩衝構造の構造は、同じであり、第1の緩衝構造は、複数の凸設部で構成され、凸設部の水平高さは、外紙層の中部領域から周辺縁領域に沿って徐々に増大し、凸設部の分布密度は、外紙層の中部領域から周辺縁領域に沿って徐々に減少し、外紙層の中部領域と断熱緩衝層との間の第1の接着層の厚さを厚くさせるが、外紙層の周辺縁領域と断熱緩衝層との間の第1の接着層の厚さを薄くさせ、包装袋が外部圧力を受ける時に、外紙層、第1の接着層、断熱緩衝層、第2の接着層及び内紙層は、協働構造を形成し、圧力を均一に分散することができ、シワと破損の状況の発生を低減させ、包装袋の縁領域は、組み合わせる過程で、自体がシワを行う必要があり、そのため外紙層の周辺縁領域の厚さを厚く制御し、定型しやすく、包装袋を立体的な形状に保持させることができ、緩衝性能を有するとともに、変形しにくい。
【0031】
3、ポリウレタンエマルジョン、増粘剤、浸潤剤、長鎖アルキルシランカップリング剤及び水を用いて接着剤を調製し、そのうち、増粘剤は、澱粉、ジエチレングリコール、アクリル酸エステル系共重合体及びケイ酸マグネシウムアルミニウムで構成され、浸潤剤は、オレイルアミンポリオキシエチレンエーテルとポリビニルアルコールで構成され、増粘剤と浸潤剤は、良好な相乗効果を生成し、ポリウレタンエマルジョンを安定的に吸着し、それにより調製された接着剤は、良好な粘着安定性を有し、硬化後に形成された第1の接着層と第2の接着層は、良好な弾性を有し、包装袋の強度と緩衝性能をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本願の実施例1の保温防水高強度包装袋の複合紙の層間構造概略図である。
図2】本願の実施例4の保温防水高強度包装袋の複合紙の層間構造概略図である。
図3】本願の実施例5の保温防水高強度包装袋の複合紙の層間構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面1~3及び実施例を参照して本願についてさらに詳細に説明する。
【0034】
以下、本願の一部の原料の由来及び仕様であり、本願の調製例及び実施例における原料は、いずれも市販により取得することができ、本願に使用される原料は、以下に開示される具体的な型番及びメーカーを含むがそれらに限定されず、同じ仕様パラメータ及び性能を有する原料は、いずれも使用することができ、
1、澱粉について、トウモロコシ澱粉、工業グレード、含有量が99%であり、
2、アクリル酸エステル系共重合体について、カルボマーU21、路博潤というブランドであり、
3、ケイ酸マグネシウムアルミニウムについて、325メッシュで、含有量が99%であり、pH=6.3、白色度が90%であり、
4、カオリンについて、カオリンを焼成し、325メッシュで、密度が2.54~2.60g/cmであり、
5、ポリウレタンエマルジョンについて、ベイヤーというブランドであり、含有量が40~50%であり、25摂氏度で粘度が700~1500mPa・sであり、pH=7~9であり、密度が1.04~1.09g/cmであり、
6、オレイルアミンポリオキシエチレンエーテルについて、オレイルアミンポリオキシエチレン(2)エーテルであり、
7、ポリビニルアルコールについて、分子量が2.5~3.5万ダルトンであり、含有量が99%であり、pH=4.5~6.5である。
【0035】
増粘剤の調製例について
調製例1
調製例1は、増粘剤を開示し、以下のステップで調製され、
A1において、1kgの澱粉を8kgの水に加え、0.03kgの1mol/Lの塩酸水溶液を滴下し、65℃まで昇温し、30min撹拌し、澱粉加水分解物を調製し、
A2において、澱粉加水分解物に0.02kgのジエチレングリコール、0.01kgのカルボマーU21及び0.1kgのケイ酸マグネシウムアルミニウムを加え、撹拌速度が300r/minの条件で20min撹拌し、増粘剤を調製した。
【0036】
調製例2~3
調製例2~3が調製例1と異なる点は、原料使用量及び調製条件が異なることであり、具体的には下記の表1を参照する。
【0037】
【0038】
調製比較例1
調製比較例1が調製例1と異なる点は、ジエチレングリコールをポリエチレングリコール400に同量置き換えることであり、その他は、調製例1と同じである。
【0039】
調製比較例2
調製比較例2が調製例1と異なる点は、ケイ酸マグネシウムアルミニウムをカオリンに同量置き換えることであり、その他は、調製例1と同じである。
【0040】
調製比較例3
調製比較例3が調製例1と異なる点は、カルボマーU21をヒドロキシエチルメチルセルロースに同量置き換えることであり、その他は、調製例1と同じである。
【0041】
調製比較例4
調製比較例4が調製例1と異なる点は、ケイ酸マグネシウムアルミニウムをカルボマーU21に同量置き換えることであり、その他は、調製例1と同じである。
【0042】
接着剤の調製例
調製例4
調製例4は、接着剤を開示し、以下のステップで調製され、
B1において、0.4kgのポリビニルアルコールを浸潤剤として2kgの水に加え、温度が60℃で、撹拌速度が300r/minの条件で、20min撹拌し、均一に撹拌し、混合液を調製し、
B2において、混合液に4kgのポリウレタンエマルジョン、1.2kgのヒドロキシエチルメチルセルロースを増粘剤として及び0.05kgのドデシルトリメトキシシランをシランカップリング剤として加え、撹拌速度が500r/minの条件で、30min撹拌し、均一に撹拌し、接着剤を調製した。
【0043】
調製例5~6
調製例5~6が調製例1と異なる点は、原料使用量及び調製条件が異なることであり、具体的には下記表2を参照する。
【0044】
【0045】
調製例7~13
調製例7~13が調製例4と異なる点は、増粘剤の由来が異なることであり、具体的には、下記表3を参照する。
【0046】
【0047】
調製例14
調製例14が調製例7と異なる点は、浸潤剤が異なり、調製例14における浸潤剤がオレイルアミンポリオキシエチレンエーテル及びポリビニルアルコールで構成され、オレイルアミンポリオキシエチレンエーテルの使用量が0.33kgであり、ポリビニルアルコールの使用量が0.07kgであることであり、その他は、調製例7と同じである。
【0048】
調製例15
調製例15が調製例7と異なる点は、調製例15における浸潤剤がオレイルアミンポリオキシエチレンエーテル及びポリビニルアルコールで構成され、オレイルアミンポリオキシエチレンエーテルの使用量が0.25kgであり、ポリビニルアルコールの使用量が0.15kgであることであり、その他は、調製例7と同じである。
【0049】
調製比較例5
調製比較例5が調製例7と異なる点は、長鎖アルキルシランカップリング剤をメチルトリエトキシシランカップリング剤に同量置き換えることであり、その他は、調製例14と同じである。
【0050】
(実施例1)
実施例1は、保温防水高強度包装袋を開示し、複合紙を裁断し、組み合わせて製造され、図1を参照し、複合紙は、順に貼り合わせて設置された外防水層、外紙層、断熱緩衝層、内紙層及び内防水層を含み、外紙層及び断熱緩衝層は、第1の接着層を介して貼り合わせ、内紙層及び断熱緩衝層は、第2の接着層を介して貼り合わせ、外防水層及び内防水層は、PE防水層であり、外紙層及び内紙層は、いずれもクラフト紙であり、クラフト紙の厚さは、0.1~1mmであり、本実施例におけるクラフト紙の厚さは、0.5mmであり、断熱緩衝層は、エアロゲル綿であり、シリコーン綿、ウレタンなどであり、本実施例における断熱緩衝層は、シリコーン綿であり、断熱緩衝層の厚さは、0.1~2mmであり、本実施例における断熱緩衝層の厚さは、1mmであり、第1の接着層と第2の接着層は、いずれも弾性を有する接着層であり、接着剤の硬化により調製される。
【0051】
当該保温防水高強度包装袋は、以下のステップで製造され、
S1において、市販の接着剤を断熱緩衝層の一面に塗布し、塗布量を30g/mに制御し、第1の接着層を形成し、その後に外紙層を貼り合わせ、温度が40℃の条件で20min保温し、その後に温度が100℃の条件で乾燥し、
S2において、市販の接着剤を断熱緩衝層の外紙層から離れる一面に塗布し、塗布量を30g/mに制御し、第2の接着層を形成し、その後に外紙層を貼り合わせ、温度が40℃の条件で20min保温し、その後に温度が100℃の条件で乾燥し、
S3において、PE材料を溶融し、PE防水剤を形成し、内紙層に流延塗布し、内防水層を形成し、PE防水剤を外紙層に塗布し、外防水層を形成し、PE防水剤の塗布量を10g/mに制御し、温度が20℃の条件で乾燥し、乾燥時間が30minであり、複合紙を製造し、
S4において、複合紙を裁断し、組み合わせ、保温防水高強度包装袋を製造し、
そのうち、市販の接着剤について、水性ポリウレタン粘着剤であり、締邦納米科技というブランドであり、25摂氏度で粘度が100~450cpsであり、固形分含有量が40%であり、pH=7.0~8.5であり、
PE材料について、低密度ポリエチレンであり、陶氏化学というブランドであり、型番が4203であり、
エアロゲル綿について、熱伝導率が0.02W/(m・K)であり、耐圧強度が18MPaであり、密度が180~220kg/mであり、
シリコーン綿について、熱伝導率が0.02W/(m・K)であり、密度が120~160kg/mであり、
ウレタンについて、EPE発泡綿であり、熱伝導率が0.02W/(m・K)であり、密度が28~35kg/mである。
【0052】
(実施例2~3)
実施例2~3が実施例1と異なる点は、製造プロセスパラメータも異なり、接着剤の由来が異なることであり、具体的には、下記表4を参照する。
【0053】
【0054】
(実施例4)
実施例4が実施例1と異なる点は、図2を参照し、複合紙の構造が異なり、外防水層の断熱緩衝層に近い一側面が第1の緩衝構造を有し、内防水層の断熱緩衝層に近い一側面が第2の緩衝構造を有し、第1の緩衝構造と第2の緩衝構造が対称に設置され、そのうち、第1の緩衝構造がいくつかの凸設部で構成され、凸設部の水平高さが外紙層の中部領域から周辺縁領域に沿って徐々に増大し、第1の緩衝構造と前記第2の緩衝構造が同じであり、凸設部の分布密度が同じであることであり、その他は、実施例1と同じである。
【0055】
(実施例5)
実施例5が実施例4と異なる点は、図3を参照し、実施例4の上で、凸設部の分布密度が外紙層の中部領域から周辺縁領域に沿って徐々に減少し、内紙層の凸設部の分布密度が外紙層と同じであることであり、その他は、実施例4と同じである。
【0056】
(実施例6~18)
実施例6~18が実施例5と異なる点は、接着剤の由来が異なることであり、具体的には、下記表5を参照する。
【0057】
【0058】
性能検出試験
以下、実施例1~18で製造された保温防水高強度包装袋に対して性能テストを行い、
(1)耐折度テスト
GB/T 13024-2003におけるテスト方法に基づき、保温防水高強度包装袋の耐折度(単位:回)をテストし、検出結果を検出して記録し、
(2)耐破壊強度テスト
GB/T 13024-2003におけるテスト方法に基づき、保温防水高強度包装袋の耐破壊指数(単位:kPa・m/g)をテストし、検出結果を検出して記録し、
(3)剥離強度テスト
GB/T 34444-2017におけるテスト方法を参照し、保温防水高強度包装袋の剥離強度(単位:N/cm)をテストし、検出結果を検出して記録し、
以下、実施例1~18で製造された保温防水高強度包装袋の性能テストデータであり、具体的には、下記表6を参照する。
【0059】
【0060】
実施例1~5を参照して表6を参照して見られるように、本願の外紙層の第1の緩衝構造と内紙層の第2の緩衝構造は、断熱緩衝層と協働し、製造された包装袋の強度を向上させることができ、層間粘着がより安定的で、且つシワ及び変形が発生しにくく、実施例2における凸設部は、均一に分布するが、実施例3における凸設部は、中部領域から周辺縁領域まで分布密度が順に減少し、データから分かるように、実施例2における剥離強度は、実施例3における剥離強度よりもやや大きく、均一に分布する凸設部を用いて貼り合わせにより有利である可能性があるが、実施例2における耐折性と耐破壊指数は、いずれも実施例3よりも明らかに大きく、凸設部の分布密度の違いは、製造された包装袋の強度を向上させることができ、総合的に見ると、実施例3における包装袋の性能がより良好である。
【0061】
実施例1~5及び実施例6~15を参照して表6を参照して見られるように、本願の増粘剤を用いて調製された接着剤の粘着安定性をさらに向上させ、製造された包装袋の強度を向上させることができるが、実施例12~15において澱粉、ジエチレングリコール、カルボマーU21及びケイ酸マグネシウムアルミニウムを用いて調合せず、製造された包装袋の強度が低下し、且つ耐折性も低下し、澱粉、ジエチレングリコール、カルボマーU21及びケイ酸マグネシウムアルミニウムは、良好な相乗効果を生成し、製造された包装袋の強度は、良好であることを説明する。
【0062】
実施例9~11及び実施例16~17を参照して表6を参照して見られるように、本願の好適な割合のオレイルアミンポリオキシエチレンエーテルとポリビニルアルコールを調合して使用し、増粘剤と良好な相乗効果を生成することができ、さらに包装袋の層間の粘着安定性を向上させ、製造された包装袋の強度を向上させる。
【0063】
実施例16~17及び実施例18を参照して表6を参照して分かるように、長鎖アルキルシランカップリング剤を用いて製造された包装袋の強度を向上させることができる。
【0064】
以上をまとめると、本願において、外防水層、外紙層、第1の接着層、断熱緩衝層、第2の接着層、内紙層及び内防水層を貼り合わせることにより複合紙を形成し、この複合紙で製造された包装袋は、良好な保温性能、防水性能及び強度を有し、しかも本願の接着剤を用いて硬化して第1の接着層と第2の接着層を形成し、良好な弾性と粘着性を有し、外部圧力を受けた後にシワ及び変形が発生しにくく、さらに製造された包装袋の緩衝性能と強度を向上させる。
【0065】
本具体的な実施例は、単に本願を説明するものであり、それは本願を限定するものではなく、当業者は本明細書を読んだ後に必要に応じて本実施例に創造的な貢献がない修正を行うことができるが、本願の特許請求の範囲内であればいずれも専利法の保護を受ける。
【符号の説明】
【0066】
1...外防水層、2...外紙層、21...第1の緩衝構造、3...第1の接着層、4...断熱緩衝層、5...第2の接着層、6...内紙層、61...第2の緩衝構造、7...内防水層。
【要約】      (修正有)
【課題】保温性と防水性が良く、強度が高く、シワ、変形及び破損しにくく、物品に対する防護性が良く、適用範囲が広い包装袋を提供する。
【解決手段】保温防水高強度包装袋は、複合紙で製造され、複合紙は、順に設置された外防水層、外紙層、第1の接着層、断熱緩衝層、第2の接着層、内紙層及び内防水層を含み、第1の接着層と第2の接着層は、弾性を有する接着層であり、製造プロセスは、第1の接着層を断熱緩衝層に貼り合わせ、その後に外紙層を貼り合わせ、保温し、乾燥し、第2の接着層を断熱緩衝層に貼り合わせ、その後に外紙層を貼り合わせ、保温し、乾燥し、防水剤を外紙層と内紙層にそれぞれ塗布し、外防水層と内防水層を形成し、乾燥し、複合紙を製造し、複合紙を裁断し、組み合わせ、保温防水高強度包装袋を製造する。
【選択図】図1
図1
図2
図3