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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】車両及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/01 20060101AFI20241030BHJP
   A01K 23/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
A01K1/01 B
A01K1/01 D
A01K23/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024089290
(22)【出願日】2024-05-31
【審査請求日】2024-06-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000150453
【氏名又は名称】株式会社中嶋製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 功雄
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 祐治
(72)【発明者】
【氏名】谷口 悠二
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特表2023-515179(JP,A)
【文献】登録実用新案第3231886(JP,U)
【文献】登録実用新案第3234053(JP,U)
【文献】特公昭56-025294(JP,B2)
【文献】実公昭62-013474(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00-3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜産動物の糞尿を回収する回収容器と、
回収容器にて回収した糞尿の高さをならす均し機能と
を備える、車両。
【請求項2】
畜産動物の糞尿を回収する回収容器を備え、
回収容器が、車両本体内にて、搬送用ローラ上に固定されている、車両。
【請求項3】
自動運転が可能である、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項4】
回収容器にて回収した糞尿の高さをならす均し機能を備える、請求項に記載の車両。
【請求項5】
回収容器が、車両本体内に備えられ、
車両本体の側面のいずれかを開放することにより、回収容器を取り出すことが可能である、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項6】
回収容器が、車両本体内に備えられ、
車両本体に、外部から回収容器へ糞尿を供給することを可能とする開口が設けられる、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項7】
外部から回収容器へ糞尿を供給するための供給部を収納することが可能である収納部を備える、請求項1又は2に記載の車両。
【請求項8】
少なくとも一の進行方向へ移動可能な床と、
前記床にいる畜産動物を回収する動物回収部と、
畜産動物が前記床に排出した糞尿を回収する回収容器を備える車両と
を備えるシステムであって、
動物回収部が、前記進行方向の延長線上に設置されており、
前記床が進行方向へ移動することにより、前記床にいる畜産動物の動物回収部への移動が補助され、
回収容器にて、動物回収部の直前位置で下方へ移動した前記床から糞尿を回収する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
畜産用の鶏や豚などの畜産動物を出荷する際には、畜産動物を畜舎から移動させる必要がある。また、畜産動物を畜舎から移動させた後には、糞尿の回収作業や畜舎の清掃作業を行う必要がある。これらの作業は、人間にとっては重労働であり、作業負担が大きいものである。
【0003】
例えば、特許文献1には、各畜房に収容する家畜の成育状況に応じて適切な環境に維持しつつ、当該家畜の糞尿を効率良く回収して排出する畜舎が開示されている。特許文献1の畜舎は、簀の子状の床面を有する複数の畜房と、この簀の子状の床面の下方において複数の畜房間を連通するように設けられ簀の子状の床面から落下した家畜の糞尿を排出する排出ピットとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-004768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の少なくとも1つの目的は、畜産動物の糞尿を回収する車両又はシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、
[1]畜産動物の糞尿を回収する回収容器を備える、車両;
[2]自動運転が可能である、前記[1]に記載の車両;
[3]回収容器にて回収した糞尿の高さをならす均し機能を備える、前記[1]又は[2]に記載の車両;
[4]回収容器が、車両本体内に備えられ、車両本体の側面のいずれかを開放することにより、回収容器を取り出すことが可能である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の車両;
[5]回収容器が、車両本体内にて、搬送用ローラ上に固定されている、前記[1]~[4]のいずれかに記載の車両;
[6]回収容器が、車両本体内に備えられ、車両本体に、外部から回収容器へ糞尿を供給することを可能とする開口が設けられる、前記[1]~[5]のいずれかに記載の車両;
[7]外部から回収容器へ糞尿を供給するための供給部を収納することが可能である収納部を備える、前記[1]~[6]のいずれかに記載の車両;
[8]少なくとも一の進行方向へ移動可能な床と、前記床にいる畜産動物を回収する動物回収部と、畜産動物が前記床に排出した糞尿を回収する回収容器を備える車両とを備えるシステムであって、動物回収部が、前記進行方向の延長線上に設置されており、前記床が進行方向へ移動することにより、前記床にいる畜産動物の動物回収部への移動が補助され、回収容器にて、動物回収部の直前位置で下方へ移動した前記床から糞尿を回収する、システム;
により達成することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、畜産動物の糞尿を回収する車両又はシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態にかかる畜舎の一例を表す概略図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる装置及び車両の一例を表す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態にかかる装置及び車両の一例を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、効果に関する記載は、本発明の実施の形態の効果の一側面であり、ここに記載するものに限定されない。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0010】
なお、以下では、床2が装置100に回収されるために移動する方向を前後方向と定義する。上下方向は、装置100の上下方向を意味する。前後方向は、上下方向に直交している。前後方向及び上下方向に直交する方向を左右方向と定義する。なお、左右方向及び前後方向は、説明の便宜上定義した方向である。従って、左右方向及び前後方向は、装置100の使用時の左右方向及び前後方向と一致していなくてもよい。左方向と右方向とが入れ替わってもよく、前方向と後方向とが入れ替わってもよい。
【0011】
本実施の形態において、装置100は、畜産動物を移動させることができる。また、装置100は、畜産動物が床の上に排出した糞尿を床から分離させ、該糞尿を車両200へ運搬することができる。車両200は、装置100から運搬された糞尿を回収することができる。本実施の形態において、畜産動物は、畜産用の動物であれば特に限定されない。以下では、装置100及び車両200を、飼育対象が家禽である鶏に適用した場合を説明する。鶏は、畜産動物の一例である。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態にかかる畜舎1の一例を表す概略図である。図1は、畜舎1を上から下方向に見た概略図である。本実施の形態において、畜舎1は、装置100と、車両200と、床2とを備える。
【0013】
畜舎1は、複数の床2(床2a、2b)を備えていてもよい。また、図示していないが、畜舎1は、複数の装置100と、複数の車両200とを備えていてもよい。なお、図1では、畜舎1の左右方向における中央部に床2が設置されているが、装置100及び床2が設置される位置、範囲、及び数は、特に限定されない。
【0014】
装置100は、床2a又は床2bの前方に設置される。車両200は、装置100の前方に位置する。装置100は、車両200と連結可能であり、車両200から取り外しが可能である。
【0015】
床2は、シート状であり、畜舎1の床面の上に設置される。畜舎1で飼育される鶏4は、床2の上で、飼育される。床2は、少なくとも一の進行方向D1へ移動可能である。床2は、前方向に移動し、装置100において回収される。床2の上には、生分解性のシート又はフィルムが設置されてもよい。床2の上に生分解性のシート又はフィルムを設置することで、後述の分離部120において、糞尿5が床2から分離しやすくなる。
【0016】
床2は、複数のシート状の床部材21を含む。例えば、床2aは、床部材21a~21fを含んでいる。なお、床2aが含む床部材21の数は、畜舎1の大きさに応じて、適宜変更可能である。例えば、床2aが含む床部材21の数と、床2bが含む床部材21の数が異なっていてもよい。
【0017】
床部材21a~21fは、前後方向に並んでいる。隣り合う床部材21が連結することで、床部材21a~21fは、一体となっている。これにより、床部材21fが前方向に移動すると、連動して床部材21a~21eも前方向に移動する。
【0018】
床部材21は、所定の柔軟性を有する部材であることが好ましい。さらに、床部材21は、所定の剛性を有する部材であることが好ましい。床部材21の材質としては、特に限定されないが、柔軟性のある樹脂であることが好ましい。床部材21は、畜舎1の床面に対して、滑りやすい素材であることが好ましい。或いは、床部材21の少なくとも下方の面が滑り性を有してもよい。例えば、床部材21の上方の面及び/又は下方の面は、滑り性を付与することが可能なコーティング剤でコーティングされてもよく、床部材21の上方の面及び/又は下方の面に、滑り性のよい樹脂を積層させてもよい。
【0019】
なお、床2と畜舎1の床面との間に、移動を補助する補助部材が設けられてもよい。補助部材は、例えば、円柱状又は球状を有するコロであってもよく、潤滑油といった液体であってもよい。
【0020】
床部材21は、上から下方向に見て、長方形状を有する。床部材21は、連結部22と、連動部23とを含む(図2)。連結部22は、床部材21の前辺部、及び/又は、後辺部に設けられる。連結部22は、床部材21を他の床部材21と連結させる。例えば、床部材21aの前辺部に設けられた連結部22と、床部材21bの後辺部に設けられた連結部22とを連結させることで、床部材21aと床部材21bとが連結する。
【0021】
連結部22は、他の床部材21と連結可能なものであれば特に限定されず、例えば、マジックテープ(登録商標)等の面ファスナーのような部材であってもよく、磁石であってもよく、他の床部材21と係合可能な凹凸形状を有していてもよい。
【0022】
なお、床部材21a~21fは、分離可能でなくてもよい。床部材21a~21fは、1つの部材であってもよい。このとき、連結部22は、左右方向に延びる折り畳むためのガイドとして機能する。つまり、床2は、折り畳み可能な構造を有していてもよい。連結部22は、床2を折り畳み可能なように、他の部位よりも薄く、柔軟性を有するものであればよい。床2は、床回収部160において、山折りと谷折りを繰り返すように折り畳まれて回収される。
【0023】
連動部23は、床2を前方向に移動させるために利用される。連動部23は、床部材の左辺部、及び/又は、右辺部に設けられる。連動部23は、例えば、後述の回転部140と係合することで、床部材21を前方向に移動させる。連動部23は、例えば、ギアスプロケット(回転部140)と係合することが可能な形状を有する。例えば、床部材21aの右辺部に設けられた連動部23は、左方向に凹む凹部が前後方向に複数並んでいる。また、例えば、床部材21aの左辺部に設けられた連動部23は、右方向に凹む凹部が前後方向に複数並んでいる。
【0024】
畜舎1の外部には、糞尿貯蔵部3が設置されている。糞尿貯蔵部3は、車両200が回収した糞尿を貯蔵する。糞尿貯蔵部3は、畜舎1の内部に設置されてもよい。糞尿貯蔵部3は、例えば、タンクである。糞尿貯蔵部3には、車輪が設けられ、糞尿貯蔵部3は、自動又は手動で移動可能なものであってもよい。なお、糞尿貯蔵部3は、省略されてもよい。
【0025】
[装置]
図2及び図3は、本発明の実施の形態に係る装置100及び車両200の一例を表す斜視図である。図2は、床2が前方向に移動し、装置100及び車両200を利用して、鶏4及び糞尿5を回収している状態を示している。図3は、糞尿5を車両200が回収した後に、車両200から回収容器220を取り出す状態を示している。
【0026】
装置100は、動物回収部110と、支持部111と、分離部120と、運搬部130と、回転部140と、駆動部(不図示)とを備える。
【0027】
動物回収部110は、床2の上にいる鶏4を回収する。動物回収部110は、底面部、前側面部、右側面部、及び左側面部を含む。動物回収部110は、後側面部を含まない。動物回収部110の形状は、特に限定されないが、鶏4が落下しないように、設計されることが好ましい。動物回収部110は、床2の進行方向D1の延長線上に設置されている。前方向に移動している床2と動物回収部110の後辺部との間の最短距離は、所定の長さ(例えば、2cm)以下である。前方向に移動している床2と動物回収部110の後辺部との間の最短距離は、動物回収部110と回転部140との位置を調整することにより、調整できる。
【0028】
支持部111は、動物回収部110を支持する。支持部111の下端近傍は、運搬部130のコンベア131に固定され、支持部111の上端近傍は、動物回収部110に固定される。これにより、動物回収部110と運搬部130との間に空間を設けることができる。支持部111は、装置100の右側と左側にそれぞれ複数設けられている。
【0029】
分離部120は、動物回収部110の直前位置で下方へ移動した床2から糞尿5を分離する。分離部120は、床2の上方の面と接触する。或いは、分離部120と床2の上方の面との最短距離が、所定の距離(例えば、5mm)内としてもよい。分離部120は、回転部140の右側、かつ、運搬部130の左側に設けられる。分離部120が床2と接触又は近接する部分は、上下方向において、回転部140の最上端と運搬部130の左端との間に位置する。分離部120は、左右方向に延び、移動する床2に接触又は近接する部材である。分離部120は、例えば、スクイジーである。分離部120の材質は、特に限定されないが、例えば、ゴム、樹脂、金属等である。
【0030】
運搬部130は、床2から分離された糞尿5を後述の回収容器220に移動させる。運搬部130は、コンベア131とコンベア132とを含む。コンベア131及びコンベア132は、例えば、ベルトコンベアである。コンベア131、132は、それぞれ、左右方向に延びる中心軸を有する円柱状の回転部を含む。回転部が回転することで、コンベア131、132が稼働し、運搬部130の上面が前方向に移動する。回転部は、動力伝達部であり、駆動部により回転する。駆動部は、例えば、モータである。
【0031】
コンベア131、132は、前後方向に延びており、コンベア131の前方にコンベア132が位置する。コンベア131、132は、一体となったベルトコンベアでもよく、それぞれ独立したベルトコンベアであってもよい。コンベア131、132は、互いに分離して収納可能である。なお、運搬部130は、コンベア131を含み、コンベア132を含まなくてもよい。
【0032】
回転部140は、回転することで床2を前方向に移動させる。回転部140は、動力伝達部であり、駆動部により回転する。回転部140を駆動させる駆動部と、コンベア131、132の回転部を駆動させる駆動部は、異なる駆動部であってもよい。回転部140は、上下方向において、動物回収部110と運搬部130の間に位置し、動物回収部110と運搬部130の後端部の後側に位置する。回転部140は、左右方向に延びる中心軸を有する円柱状を有する。回転部140は、例えば、ギアスプロケットである。回転部140は、左面及び右面に歯車を含む。回転部140の歯車が、床部材21の連動部23と噛み合う。それにより、回転部140が回転することで、床2が前方向に移動する。また、床2は、回転部140の外周に沿って、前下方向に移動する。このように、装置100は、前方向へ移動した床2が、動物回収部110の直前位置で下方へ移動可能となる構造を有する。
【0033】
装置100は、床回収部160を備えていてもよい。床回収部160は、前方向に移動してきた床2を回収する。床回収部160は、回転部140の下方に設けられ、コンベア131の下側に位置している。床回収部160は、回収部本体161と、車輪162とを含んでいる。回収部本体161の上に、移動してきた床部材21が積み重なる。床回収部160は、車輪162により、移動できる。
【0034】
なお、装置100は、規制部(不図示)を備えていてもよい。規制部は、床2の移動を規制する。規制部は、床2を動物回収部110の直前位置で下方へ移動させ、床回収部160へ移動させる。規制部は、運搬部130の下側に設けられてもよい。規制部は、左右方向に延びている。規制部は、左右方向に延びる中心軸を有する円柱形を有していてもよい。規制部は、該中心軸を中心に回転できてもよい。
【0035】
[車両]
車両200は、車両本体210と、回収容器220と、均し機能部230と、収納部240とを備えている。
【0036】
車両本体210は、車輪211、212を含んでいる。そのため、車両200は、自動又は手動で移動が可能である。車両200は、制御装置等を備え、自動運転が可能であってもよい。制御装置は、制御部、ストレージ部、RAM、通信部などを備えていてもよい。車両200は、所定の移動経路、及び/又は、操作入力にしたがって、畜舎1の内部又は外部を移動することが可能であってよい。
【0037】
車両本体210は、内側に空間を有する直方体状を有する。また、車両本体210は、図2に示すように、後側面に開口Op1が設けられ、上面に開口Op2が設けられている。車両本体210の後側面は、前上方向に延びるように傾斜している。
【0038】
回収容器220は、鶏4が床2に排出した糞尿を回収する。回収容器220は、運搬部130の前方に設置される。回収容器220は、上面が開口する直方体状を有する。回収容器220には、運搬部130から運搬され、コンベア132から落下した糞尿5が溜まる。運搬部130、コンベア131又はコンベア132は、外部から回収容器220へ糞尿5を供給するための供給部の一例である。回収容器220は、車両本体210内に備えられる。
【0039】
開口Op1又は開口Op2は、車両本体210に、外部から回収容器220へ糞尿5を供給することを可能とする。コンベア132の前端部は、回収容器220の開口上又は回収容器220の後端部上に位置する。例えば、本実施の形態の車両200において、コンベア132が開口Op1から挿入されるように構成し、開口Op1を経由して、回収容器220へ糞尿5を供給してもよい。また、例えば、本実施の形態の車両200において、コンベア132の下方の面が車両本体210の後上辺部に接触するように構成し、開口Op2を経由して、回収容器220に糞尿5を供給するようにしてもよい。
【0040】
本実施の形態において、車両200は、車両本体210の側面のいずれかを開放することにより、回収容器220を取り出すことが可能である。図3では、車両本体210の後側面が開放され、開口Op1が設けられている。回収容器220は、開口Op1から取り出される。なお、開口Op1は、右側面、左側面、又は、前側面に設けられてもよい。
【0041】
回収容器220は、車両本体210内にて、搬送用ローラ221上に固定されている。
回収容器220は、1又は複数の搬送用ローラ221上に載置されていてもよい。搬送用ローラ221は、例えば、円柱状又は球状を有するコロであってもよい。回収容器220の車両本体210内での固定は、解除することができる。例えば、回収容器220の取り出し時に、手動又は自動で、該固定を解除することができる。
【0042】
搬送用ローラ221は、回収容器220と補助部222の間に位置する。補助部222は、回収容器220を開口Op1から外部に取り出す際に、回収容器220の移動を補助する。補助部222は、長方形状を有し、回収容器220の下側に位置する。例えば、回収容器220の取り出し時に、補助部222の前端部が上方向に上昇する。これにより、搬送用ローラ221が回転し、回収容器220が後方向に移動する。
【0043】
均し機能部230は、回収容器220にて回収した糞尿5の高さをならす均し機能を有している。均し機能部230は、例えば、左右方向に延びる部材を含み、車両本体210の上部に取り付けられる。均し機能部230は、前後方向に移動可能である。また、均し機能部230は、左右方向において、回収容器220の左右方向の長さよりも短い均し部材を含む。均し部材の下端部は、均し機能部230を車両本体210に取り付けた状態で、回収容器220の内部に位置する。
【0044】
収納部240は、装置100の少なくとも一部を収納することが可能である。収納部240に収納される装置100の部位としては、例えば、動物回収部110、支持部111、分離部120、コンベア131、コンベア132、及び/又は、回転部140である。例えば、図3では、動物回収部110、支持部111、分離部120、コンベア131、及び、回転部140が収納部240に収納されている。
【0045】
なお、支持部111は、コンベア131、及び動物回収部110にて連結された部位を中心に、回転可能に取り付けられていてもよい。これにより、コンベア131と動物回収部110との間の空間を縮めることができ、装置100を収納部240にコンパクトに収納することができる。
【0046】
収納部240は、図2に示すように、車両本体210の後方に位置する。また、収納部240は、図3に示すように、車両本体210の後面の上辺を含む軸を中心として、回転可能である。収納部240の前面の上辺近傍は、車両本体210の後面の上辺近傍と連結部材を介して連結している。連結部材は、例えば、ヒンジであってもよい。
【0047】
収納部240は、図3に示すように、板状部241を備えていてもよい。板状部241は、収納部240の前面を形成する。板状部241は、収納部240から取り外すことができる。図2においては、板状部241が取り外され、収納部240の後面には、開口Op3が設けられている。
【0048】
開閉部250は、回収容器220の開口を覆うこと、及び、回収容器220の開口を開放することが可能である。開閉部250は、糞尿5の回収時(図2)では、回収容器220の開口を開放している。開閉部250は、回収容器220の取り出し時(図3)では、回収容器220の開口を覆っている。開閉部250は、自動又は手動により、開口を覆う状態と開口を開放する状態とを切り替えることができる。
【0049】
[使用方法]
次に、本実施の形態において、装置100及び車両200を用いて、鶏4を移動させ、糞尿5を回収するシステムの例について説明する。図2に示すシステム10は、装置100と、車両200と、床2とを備えている。システム10は、少なくとも、動物回収部110と、車両200と、床2とを備えていればよい。
【0050】
鶏4の移動と糞尿5の回収は、例えば、鶏4の出荷時に実行される。作業者は、車両200の収納部240から、装置100を取り出す。次に、作業者は、図2に示す状態に、装置100を組み立てる。なお、システム10は、畜舎1の床面に対して、動物回収部110及び運搬部130を支持する支持部を設けてもよい。
【0051】
次に、作業者は、床2の前端部を装置100の回転部140に接触させる。床2の移動前において、床2の少なくとも一部が畜舎1の床面に接触している。しかし、床2に含まれる所定の位置から、回転部140までの間において、床2は、畜舎1の床面から離れ、前上方向に延びるように傾斜している。システム10は、所定の位置から回転部140までの間に、床2を支持する支持部を設けてもよい。
【0052】
次に、作業者は、駆動部を駆動させ、回転部140を回転させる。また、作業者は、運搬部130も同様に駆動させる。回転部140が回転すると、床2が前方向(進行方向D1)に移動する。床2が前方向へ移動することにより、床2にいる鶏4の動物回収部110への移動が補助される。具体的には、床2の前方向の移動により、床2の上に位置する鶏4は、動物回収部110の手前まで自動的に運ばれ、動物回収部110に移動する。作業者は、動物回収部110に移動した鶏4をかごに入れて、鶏4をトラックに積み込む。
【0053】
前方向に移動する床2は、動物回収部110の直前位置で下方へ移動する。より具体的には、床2は、動物回収部110と回転部140との間を通過して、動物回収部110の後端部に対して、前下方向に移動する。
【0054】
回収容器220にて、動物回収部110の直前位置で下方へ移動した床2から糞尿5を回収する。具体的には、前下方向に移動した床2は、分離部120と接触する。分離部120と接触することで、床2の上に存在する糞尿5と、床2とが分離する。分離された糞尿5は、運搬部130により、前方向に移動し、回収容器220に落下する。このように、糞尿5は、回収容器220に回収される。
【0055】
システム10は、動物回収部110の直前位置で下方へ移動した床2を、折り畳んで回収することが可能である。具体的には、糞尿5と分離した床2は、運搬部130の下側に移動する。床2は、連結部22をガイドとして、折り畳むことが可能である。床回収部160に回収された床2の前端部及び後端部の動きが規制されているため、回転部140に沿って前下方向に移動する床2は、床回収部160において、山折りと谷折りを繰り返すように折り畳まれて回収される。
【0056】
床回収部160において回収された床2は、洗浄される。作業者は、床回収部160を移動させ、回収された床2を洗浄可能な位置に移動させる。
【0057】
畜舎1内部の床2が回収されると、作業者は、装置100を分解し、収納部240に収納する。また、作業者は、収納部240に板状部241を取り付ける。また、作業者は、開閉部250により、回収容器220の開口を覆った状態とする。
【0058】
なお、糞尿5を分離した床2は、連結部22の連結が外れることで、床部材21に分離してもよい。装置100は、連結部22の連結を外す解除部を備えていてもよい。分離した床部材21は、床回収部160の回収部本体161の上に積み重なるように回収される。
【0059】
なお、糞尿5を分離した床2は、巻き取りにより回収されてもよい。この場合、床回収部160は、床2を巻き取り可能な構造を有する。
【0060】
なお、装置100は、畜産動物が排出した糞尿だけでなく、床2の上に存在するオガクズ等の敷料を回収することができる。
【0061】
次に、糞尿5を回収した回収容器220の取り出し方法について、説明する。回収容器220の取り出し時においては、システム10は、車両200のみを備えてもよく、さらに、搬送部300を備えてもよい。搬送部300には、車輪が設けられ、搬送部300は、自動又は手動で移動可能であってもよい。搬送部300は、例えば、パレットである。
【0062】
回収容器220の取り出しは、回収容器220の内部に所定の量以上の糞尿5が蓄積されたタイミングで実行されてもよく、糞尿5の回収時ごとに実行されてもよい。回収容器220の内部に糞尿5を蓄積して保管する場合は、回収容器220の取り出しが実行されるまで、開閉部250により、回収容器220の開口を覆った状態とする。
【0063】
作業者は、図3に示すように、収納部240を上方向に移動させ、開口Op1を露出する。車両200は、収納部240を上方向に移動させた状態で保持するための保持部を備えていてもよい。作業者は、車両本体210の後側に搬送部300を設置する。次に、作業者は、補助部222の前端部を上方向に上昇させ、回収容器220を後方向に移動させる。そして、作業者は、回収容器220を搬送部300に載せる。作業者は、搬送部300を移動させ、回収容器220を糞尿貯蔵部3に近傍に移動させる。搬送部300の移動は、フォークリフト等を利用して行ってもよい。
【0064】
そして、回収容器220内の糞尿5が、糞尿貯蔵部3に貯蔵される。糞尿貯蔵部3に貯蔵された糞尿5は、堆肥や発電といった所定の用途に利用されてもよい。
【0065】
[その他の実施形態]
本発明に係る車両200及び/又は装置100は、上記に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。また、上記の車両200及び/又は装置100の構造、及び、以下の構造を任意に組み合わせてもよい。
【0066】
なお、本実施の形態において、動物回収部110から、鶏4を積み込むトラックまで、レールを繋げるようにしてもよい。床2から移動してきた鶏4が、レール上を自発的に移動することで、トラックに積み込まれてもよい。或いは、動物回収部110にかごを設け、かご内に所定の数の鶏4が入ると、作業者は該かごをレールに移動させてもよい。かごがレール上を移動することで、自動的にかごがトラックまで移動する。
【0067】
なお、収納部240の形状、及び収納部240の車両本体210への取付位置は、特に限定されない。例えば、収納部240は、装置100の少なくとも一部を収納可能であればよい。また、収納部240は、車両本体210の右側、左側、前側に取り付けられてもよい。
【0068】
なお、作業者は、糞尿5の回収時において、収納部240を車両本体210の後面に接触させている状態(図2)から上方向に回転させ、車両本体210の上面に接触させた状態で、糞尿5の回収を行ってもよい。
【0069】
なお、作業者は、糞尿5の回収時において、収納部240を車両本体210の後面に接触させている状態(図2)で、かつ、開口Op3を板状部241で覆った状態で、糞尿5の回収を行ってもよい。このとき、コンベア132の下方の面は、収納部240の最上面と接する。
【0070】
なお、車両200は、収納部240を備えなくてもよい。また、車両200は、複数の収納部240を備えてもよい。
【0071】
なお、車両200は、均し機能部230、搬送用ローラ221、及び/又は、補助部222を備えなくてもよい。車両200が、搬送用ローラ221及び/又は補助部222を備えない場合、或いは、搬送用ローラ221及び補助部222を備える場合、回収容器220を取り出す際に、作業者は、車両本体210の前側面を開口させ、回収容器220の前側から後方向に押し出してもよく、回収容器220を後側から後方向に引っ張り出してもよい。回収容器220の下方の面は、滑りやすい素材で形成されてもよく、滑り性を有していてもよい。回収容器220を取り出す方向における前方の側面(例えば、回収容器220の後側面)には、持ち手が設けられてもよい。
【0072】
このように、車両が、畜産動物の糞尿を回収する回収容器を備えることで、糞尿を回収する車両を提供することができる。また、畜産動物が排出した糞尿を回収する作業に係る負担を軽減することができる。また、このように、車両が、自動運転が可能であることで、車両を自律的に移動させることができる。また、このように、車両が、回収容器にて回収した糞尿の高さをならす均し機能を備えることで、回収容器内に糞尿を詰めることができる。
【0073】
また、このように、回収容器が、車両本体内に備えられ、車両本体の側面のいずれかを開放することにより、回収容器を取り出すことが可能であることで、回収容器を車両本体の外部に取り出すことができる。また、このように、回収容器が、車両本体内にて、搬送用ローラ上に固定されていることで、回収容器の取り出し作業に係る負担を軽減することができる。
【0074】
また、このように、回収容器が、車両本体内に備えられ、車両本体に、外部から回収容器へ糞尿を供給することを可能とする開口が設けられることで、回収容器に糞尿を供給することができる。また、このように、車両が、外部から回収容器へ糞尿を供給するための供給部を収納することが可能である収納部を備えることで、糞尿の供給作業を行っていないときの供給部をコンパクトにまとめることができる。
【0075】
このように、システムが、少なくとも一の進行方向へ移動可能な床と、前記床にいる畜産動物を回収する動物回収部と、畜産動物が前記床に排出した糞尿を回収する回収容器を備える車両とを備え、動物回収部が、前記進行方向の延長線上に設置されており、前記床が進行方向へ移動することにより、前記床にいる畜産動物の動物回収部への移動が補助され、回収容器にて、動物回収部の直前位置で下方へ移動した前記床から糞尿を回収する床にいる畜産動物を移動させる作業と、畜産動物が床に排出した糞尿を回収する作業に係る負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 畜舎
2 床 21 床部材 22 連結部 23 連動部
3 糞尿貯蔵部 4 鶏 5 糞尿
10 システム
100 装置
110 動物回収部 111 支持部
120 分離部
130 運搬部 131、132 コンベア
140 回転部
160 床回収部 161 回収部本体 162 車輪
200 車両
210 車両本体 211、212 車輪
220 回収容器 221 搬送用ローラ 222 補助部
230 均し機能部
240 収納部 241 板状部
250 開閉部
300 搬送部
【要約】
【課題】
畜産動物の糞尿を回収する車両を提供する。
【解決手段】
車両は、畜産動物の糞尿を回収する回収容器を備える。車両は、自動運転が可能であってもよい。また、車両は、回収容器にて回収した糞尿の高さをならす均し機能を備えてもよい。また、回収容器が、車両本体内に備えられ、車両本体の側面のいずれかを開放することにより、回収容器を取り出すことが可能であってもよい。また、回収容器が、車両本体内にて、搬送用ローラ上に固定されていてもよい。
【選択図】 図2
図1
図2
図3