(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】織物炭素繊維強化鋼マトリックス複合材料
(51)【国際特許分類】
C22C 1/10 20230101AFI20241030BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20241030BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20241030BHJP
C22C 1/05 20230101ALI20241030BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20241030BHJP
C22C 47/14 20060101ALI20241030BHJP
C22C 49/08 20060101ALI20241030BHJP
C22C 49/11 20060101ALI20241030BHJP
C22C 49/14 20060101ALI20241030BHJP
C22C 38/00 20060101ALN20241030BHJP
C22C 101/10 20060101ALN20241030BHJP
【FI】
C22C1/10 F
B82Y30/00
B82Y40/00
C22C1/05 B
C22C33/02 102
C22C47/14
C22C49/08
C22C49/11
C22C49/14
C22C38/00 304
C22C101:10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020050206
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-02-27
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ポール ロウ
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0079884(US,A1)
【文献】特開2016-151031(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0086701(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0196147(US,A1)
【文献】国際公開第2009/054309(WO,A1)
【文献】特表2017-535499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 1/00
C22C 47/00
C22C 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼及びチタンからなる群から選択される焼結金属ナノ粒子の連続マトリックスと、
前記
連続マトリックス内に少なくとも部分的に封入されている、
炭素繊維布及び炭素繊維織物の複数の層のうちの少なくとも1つとを含む、複合材料。
【請求項2】
前記
炭素繊維布及び炭素繊維織物の複数の層のうちの少なくとも1つが、前記連続マトリックス内に完全に封入されている、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記
炭素繊維布及び炭素繊維織物の複数の層のうちの少なくとも1つが、前記連続マトリックス内に部分的に封入されている、請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
前記
炭素繊維織物の複数の層が空間的に分離されている、請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
7g/cm
3未満の密度を有する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項6】
6g/cm
3未満の密度を有する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
5g/cm
3未満の密度を有する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項8】
前記連続マトリックスが、鉄、及び炭素、並びに、Mn、Ni、Cr、Mo、B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される少なくとも1つの元素の、合金を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項9】
(i)鋼ナノ粒子を提供する工程、
(ii)前記鋼ナノ粒子を
、炭素繊維布及び炭素繊維織物の複数の層のうちの少なくとも1つを含む成分と組み合わせて非アニール組合せを作製する工程、及び
(iii)前記鋼ナノ粒子を焼結して鋼マトリックスを作製する工程、
を含む、複合材料の製造方法。
【請求項10】
前記工程(i)で提供される前記鋼ナノ粒子が、
20nm未満の平均最大寸法を有する、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記工程(i)で提供される前記鋼ナノ粒子が、アニオン性元素試薬錯体(AERC)を溶剤と接触させること
を含むプロセスによって合成され、
前記AERCは、以下の式を有する、請求項
10に記載の製造方法:
Fe
aC
bM
d・X
y
式中、Feは、元素鉄であり、形式的に酸化状態ゼロであり;Cは、元素炭素であり、形式的に酸化状態ゼロであり;Mは、酸化状態ゼロである1つ以上の元素を表し、Mは、Mn、Ni、Cr、Mo、B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される1つ以上の元素のそれぞれを表し;Xは、水素化物分子であり;aは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;bは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;dは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;yは、ゼロより大きい分数値または整数値である。
【請求項12】
前記AERCが、水素化物分子の粉末、並びに鉄粉末及び炭素粉末を含む予備鋼混合物を、ボールミル粉砕することによって
形成される、請求項
11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記予備鋼混合物が、Mn、Ni、Cr、Mo、B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される1つ以上の元素の粉末を含む、請求項
12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記工程(i)が、鋼-AERCを
リガンドと接触させることを含むプロセスによって鋼ナノ粒子を合成することを含んでおり、
鋼-AERCは、以下の式を有する、請求項
9に記載の製造方法:
Fe
aC
bM
d・X
y
式中、Feは、元素鉄であり、形式的には酸化状態ゼロであり;Cは、元素炭素であり、形式的には酸化状態ゼロであり;Mは、酸化状態ゼロである1つ以上の元素を表し、MはMn、Ni、Cr、Mo、
B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される1つ以上の元素のそれぞれ
を表し;Xは、水素化物分子であり;aは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;
bは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;dは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;dは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;yは、ゼロより大きい分数値又は整数値である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、金属/ポリマー複合材料に関し、より詳細には、鋼と強化炭素繊維との軽量複合材料、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示で提供される背景技術の説明は、本開示の文脈を一般的に提示するためのものである。本発明者の研究は、この背景技術の項に記載されている限りにおいて、また、出願時に先行技術として適格でない記述の態様において、本技術に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認められていない。
【0003】
軽量鋼には数多くの用途がある。自動車や飛行機では、乗物の軽量化により燃費を向上させる。軟鋼は、7.88g/cm3の密度を有し、芳香族ポリアミドのような特定のポリマーの密度は、約2.1g/cm3であるため、2つの材料の複合物は、鋼単体に対して総合的に減少した重量を有し、かなりの強度を有する軽量材料を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鋼は、典型的には1000℃を超える温度で従来の鍛造法によって形成されるが、芳香族ポリアミドなどの特定のポリマーは、450℃で熱分解を受ける。鋼は、典型的にはポリマー材料の典型的な熱分解温度よりもはるかに高い温度で形成されるので、鋼骨格に一体化され、それと結合された強化炭素繊維を有する真の複合体を形成することは困難である。このような複合材料の形成を可能にする方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供し、その全範囲又はその特徴のすべての包括的な開示ではない。
【0006】
種々の態様において、本教示は、焼結鋼ナノ粒子の連続鋼マトリックスと、鋼マトリックス内に少なくとも部分的に封入されている少なくとも1つの強化炭素繊維とを有する複合材料を提供する。いくつかの実施態様において、少なくとも1つの強化炭素繊維が連続鋼マトリックス内に完全に封入されている。いくつかの実施態様では、複合材料が5g/cm3未満の密度を有することができる。
【0007】
他の態様において、本教示は、複合材料を提供する。複合材料は、少なくとも1つの強化炭素繊維と、少なくとも1つの強化炭素繊維の周囲に配置された、焼結鋼ナノ粒子の連続鋼マトリックスとを含む。
【0008】
更に他の態様において、本教示は、複合鋼を形成するための方法を提供する。この方法は、鋼ナノ粒子を提供するステップと、鋼ナノ粒子と強化炭素繊維成分とを組み合わせて、非アニール組合せを形成するステップとを含む。この方法は、非アニール組合せに高温を適用することによって、強化炭素繊維成分の周りで鋼ナノ粒子を焼結するステップを更に含む。
【0009】
上記の結合技術を強化するさらなる応用分野及び様々な方法は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。この概要における説明及び特定の実施例は、例示のみを目的としたものであり、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。
【0010】
本教示は、詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解されるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、2層の強化炭素繊維を有する鋼マトリックスを有する複合鋼の断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すタイプの複合材料を形成するための方法の一部の絵図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載された図は、特定の態様の説明のために、本技術のものの中で、方法、アルゴリズム、及びデバイスの一般的な特徴を例示することが意図されていることに留意されたい。これらの図は、任意の所与の態様の特徴を正確に反映するものではなく、本技術の範囲内で特定の実施形態を定義又は限定することを必ずしも意図するものではない。更に、ある態様は、図の組み合わせからの特徴を組み込んでもよい。
【0013】
本開示は、概して、強化炭素繊維がマトリックスに一体化された鋼マトリックスを含む複合材料に関する。複合材料は、鋼よりも実質的に密度が低く、かなりの強度を有する。ポリマー-鋼複合体を形成するための方法は、芳香族ポリアミド等の強化炭素繊維成分を鋼ナノ粒子と組み合わせ、鋼ナノ粒子を焼結して、強化炭素繊維が一体化された鋼マトリックスを形成することを含む。
【0014】
従来の鋼は、約1200°Cを超える温度で溶融する。このような高温は、約450℃又はそれ以下で分解する種々の強化炭素繊維を接触時に即座に破壊する。したがって、鋼/ポリマー複合体を形成するための本技術は、鋼ナノ粒子を使用し、鋼の融点を約450℃未満に低下させる。これは、組み合わされて加熱されると、強化炭素繊維成分を破壊することなく、強化炭素繊維成分の周囲で鋼ナノ粒子が焼結することを可能にする。その結果、鋼マトリックス中に相互貫入した強化炭素繊維の層又は延長繊維が得られる。
【0015】
本開示の複合材料は、従来の鋼よりもかなり低い密度を有することができ、一例では60%と低い。また、複合材料は、引張強さを含むかなりの構造的強度を提供することができる。
【0016】
図1を参照すると、炭素繊維強化鋼マトリックス複合材料(CF-SMC)100は、連続鋼マトリックス110と、鋼マトリックス内に少なくとも部分的に封入される少なくとも1つの強化炭素繊維120とを含む。図示のように、強化炭素繊維120は、布、布、織物、織糸等の層として提供することができる。他の例では、強化炭素繊維120が繊維、糸、または複数の整列繊維として提供することができる。様々な態様において、繊維、布、織物などの配置又は整列は、構造設計と調整するために、又は特定の作業のための機械的性能を最大にするために、非対称であってもよい。これにより、繊維パターンの整理されたレイアウトは、従来の金属マトリックス複合材料(MMC)技術と共に使用することができない可能性のあるものを使用することができる。
【0017】
連続鋼マトリックス110は、概して、焼結鋼ナノ粒子を含み、少なくとも鉄及び炭素の合金を組成的に含む。連続鋼マトリックス110は、任意に、マンガン、ニッケル、クロム、モリブデン、ホウ素、チタン、バナジウム、タングステン、コバルト、ニオブ、リン、硫黄、及びケイ素のいずれか、いくつか、又は全てを含むことができる。鋼マトリックス110の様々な元素成分の相対比は、所望の用途に依存することができ、概して、当業者の常識に基づいて選択可能である。例えば、ステンレス鋼を必要とする用途は、全重量の11重量%又はそれ以上で存在するクロムを含むことができる。開示された一つの実施例において、鋼マトリックスは、鋼マトリックスの重量でそれぞれ99.08%、0.17%、及び0.75%で存在する鉄、炭素、及びマンガンからなる。ここで使用される「重量」という用語は、「質量」という用語と交換可能であることが理解されるであろう。
【0018】
幾つかの実装形態において、連続マトリックス110は、鋼に加えて、又は鋼の代わりに、別の高融点/高焼結温度金属で形成されることができる。マトリックスを代替的に形成することができる高焼結温度金属の非限定的な例としては、チタン、タングステン、タンタル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、白金、ロジウム、及びレニウムが挙げられる。本明細書で使用されるように、「連続鋼マトリックス110」という語句は代替的に、上記金属のいずれかの連続マトリックスを指すことができることが理解されるであろう。
【0019】
いくつかの実施態様では、用語「連続」は、語句「連続鋼マトリックス110」で使用されるように、鋼マトリックスが単一の一体体として形成されるか、又は存在することを意味することができる。そのような実施態様において、負の例として、接着剤又は溶接等で一緒に保持された2つの別個の鋼体で形成された構造は不連続である。いくつかの実施態様において、本明細書で使用される用語「連続」は、連続鋼マトリックス110がその占有体積全体にわたって実質的に組成的かつ構造的に均一であることを意味することができる。単純化のために、連続鋼マトリックス110は、本明細書では代替的に「鋼マトリックス110」と呼ばれ、すなわち、用語「連続」は時には意味を変更せずに省略される。
【0020】
CF-SMC100のいくつかの実装形態において、少なくとも1つの強化炭素繊維120は、連続鋼マトリックス110内に完全に封入されることができる。様々な実施態様において、「連続鋼マトリックス110内に封入される」という表現は、少なくとも1つの強化炭素繊維120が部分的に又は完全に、連続鋼マトリックス110内に封入される、封入される、包み込まれる、一体化される、又は他の方法で接触して取り囲まれることを意味することができる。いくつかの実施態様において、「連続鋼マトリックス110内に封入される」という表現は、少なくとも1つの強化炭素繊維120を含む個々の繊維の少なくとも一部が連続鋼マトリックス110によって接触して取り囲まれることを意味することができる。いくつかの実施態様において、「連続鋼マトリックス110内に封入される」という表現は、連続鋼マトリックス110が部分的に又は完全に、少なくとも1つの強化炭素繊維120の周囲に形成されるか、又は他の方法で接触して配置されることを意味することができる。
【0021】
いくつかの実装形態において、少なくとも1つの強化炭素繊維120が「鋼マトリックス内に封入される」という表現は、鋼マトリックス110が強化炭素繊維120の周囲及び強化炭素繊維120と共に、鋼マトリックス110の表面と強化炭素繊維120の表面との間の十分に高い接触を有するようにして、強化炭素繊維120が鋼マトリックス110に対して所定の位置に保持されつつ、形成されることを意味している。いくつかの実装形態において、強化炭素繊維120が「鋼マトリックス内に封入される」という表現は、鋼マトリックス110の相互作用面が強化炭素繊維120を構成する個々の高分子繊維の全ての側面に提示されることを意味している。
【0022】
いくつかの変形例において、強化炭素繊維120は、炭素繊維とセラミック繊維との組み合わせを含むことができる。非限定的な一例において、このようなセラミック繊維は、玄武岩布又はシリカ布を含むことができる。いくつかのそのような変形例において、強化炭素繊維120が炭素繊維及びセラミック繊維の両方から形成された織物又は布を含むことができる。
【0023】
様々な実施態様において、「鋼マトリックスの表面と強化炭素繊維の表面との間の十分に高い接触を有するようにして、強化炭素繊維が鋼マトリックスに対して所定の位置に保持され」という表現は、強化炭素繊維120の表面積の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%が鋼マトリックスと接触することを意味することができる。
【0024】
概して、CF-SMC100の総密度は、純粋な鋼の密度よりも小さくなる。例えば、AISIグレード1005~1025のような軟鋼は、約7.88g/cm3の密度を有する。対照的に、本開示の例示的なCF-SMC100は、軟鋼の密度の約61%である4.8g/cm3の密度を有する。これと比較して、最近開発された鋼-アルミニウム合金は、軟鋼の約87%の密度を有する。
【0025】
図1は、鋼マトリックス110の内部に封入された強化炭素繊維120の2層を有するCF-SMC100を説明するが、複合材料は、1以上の強化炭素繊維120の任意の層数を含むことができることを理解することができる。言い換えると、少なくとも1つの強化炭素繊維120は、いくつかの実施態様において、複数の相互に接触するか、又は空間的に分離された強化炭素繊維の層を含むことができる。更に、CF-SMC100内の鋼マトリックス110に対する強化炭素繊維120の重量比は大幅に変化し得ること、及び、そのような変化は、芳香族ポリアミド(約2.1g/cm
3)のような種々のポリマー、及び鋼のかなり異なった密度を所与とすると、CF-SMC100の密度に直接影響を与えることが、理解される。
【0026】
したがって、一部の実施例において、本開示のCF-SMC100は、7g/cm3より密度が小さくなるであろう。一部の実施例において、本開示のCF-SMC100の密度は、6g/cm3未満である。一部の実施例において、本開示のCF-SMC100の密度は、5g/cm3未満である。
【0027】
また、CF-SMC100を形成する方法についても開示している。
図2を参照すると、この方法は、鋼ナノ粒子210を提供する工程を含む。用語「鋼ナノ粒子210」は、概して、100nm未満の平均最大寸法を有する鋼の粒子から主になるサンプルを指す。鋼ナノ粒子210の個々の粒子は、概して、CF-SMC100の鋼マトリックス110に関して上述した組成のような任意の合金から成る。したがって、鋼ナノ粒子210の個々の粒子は、概して、鉄及び炭素を含み、任意選択的に、マンガン、ニッケル、クロム、モリブデン、ホウ素、チタン、バナジウム、タングステン、コバルト、ニオブ、リン、硫黄、及びケイ素のいずれか、いくつか、又は全てを含むことができる。
【0028】
CF-SMC100の鋼マトリックス110に関して上述したように、鋼ナノ粒子210の種々の元素成分の相対比率は、所望の用途に依存することができ、概して、当業者の常識に基づいて選択可能である。開示される実施例において、鋼ナノ粒子210の個々の粒子は、それぞれ99.08重量%、0.17重量%、及び0.75重量%で存在する鉄、炭素、及びマンガンからなる。
【0029】
種々の態様において、鋼ナノ粒子210の平均最大寸法は、x線回折(XRD)、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、光子相関分光法、ナノ粒子表面積モニタリング、凝縮粒子計数器、示差移動度分析、走査移動度粒子サイジング、ナノ粒子追跡分析、エアロゾル飛行時間型質量分析、又はエアロゾル粒子質量分析を含むがこれらに限定されない任意の適切な方法によって決定することができる。
【0030】
いくつかの実施態様において、平均最大寸法は、質量による平均であり、いくつかの実施態様において、母集団による平均である。場合によっては、鋼ナノ粒子210は、約50nm未満、約40nm未満、約30nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の平均最大寸法を有することができる。
【0031】
いくつかの態様において、平均最大寸法は、相対標準偏差を有することができる。いくつかのそのような態様において、相対標準偏差は、0.1未満であり得、したがって、鋼ナノ粒子210は単分散であると考えられ得る。
【0032】
引き続き
図2を参照すると、CF-SMC100を形成するための方法は、追加的に、鋼ナノ粒子210と強化炭素繊維コンポーネント220とを組み合わせて、非アニール組合せを生成する工程215を含む。強化炭素繊維コンポーネント220は、上記のCF-SMC100に関する上記の強化炭素繊維120と全く同じであるが、強化炭素繊維コンポーネント220は上記に定義される鋼マトリックス110にまだ統合されていない、又はその内部に封入されていない。したがって、強化炭素繊維コンポーネント220は、例えば、少なくとも一次元、いくつかの態様では少なくとも二次元で引張強度を付与するように設計された任意の構成で形成された炭素繊維を含むことができる。
【0033】
多くの実施態様では、組み合わせ工程215は、鋼ナノ粒子210の少なくとも1つの層と強化炭素繊維成分220の少なくとも1つの層とを連続的に組み合わせることを含み、その結果、アニールされていない組み合わせは鋼ナノ粒子210及び強化炭素繊維成分220のそれぞれの1つ又は複数の層からなる。鋼ナノ粒子210の任意の数の層及び強化炭素繊維コンポーネント220の任意の数の層を、使用することができる。強化炭素繊維120がCF-SMC100の外表面に望まれる実施態様において、強化炭素繊維成分220は、アニーリングされていない組合せにおいて最初及び/又は最後の連続して層化された成分となるのであろう;そして、強化炭素繊維120がCF-SMC100の外表面の間で望まれる実施態様において、強化炭素繊維成分220の層が先行し、続いて鋼ナノ粒子210の層が続くことが理解されるであろう。
【0034】
組み合わせ工程215は、概して、形成されるべきCF-SMC100の所望の形状に対応する空隙空間を有するダイ、鋳造、モールド、又は他の形状の構造内で、鋼ナノ粒子210と強化炭素繊維成分220とを組み合わせることを含もう。いくつかの特定の実施態様において、鋼ナノ粒子210の少なくとも1つの層と強化炭素繊維成分220の少なくとも1つの層は、熱プレスダイ250内で組み合わされる。
【0035】
一部の実施例において、CF-SMC100を形成する方法は、強化炭素繊維成分220の中の非連結結合における鋼ナノ粒子210を互いに操作するステップを含むことができる。このような操作工程は、非アニールの組合せにおける鋼ナノ粒子210と強化炭素繊維成分220との間の接触の表面積を最大にするのに有効であり得、最終的に形成されるCF-SMC100の鋼マトリックス110への強化炭素繊維120の統合の有効性を改善する。鋼ナノ粒子210を強化炭素繊維コンポーネント220の隙間に操作することは、鋼ナノ粒子210と強化炭素繊維コンポーネント220との間の接触表面積を増加させるのに有効な任意の手順(プレス、撹拌、振盪、振動、超音波処理、又は任意の他の適切な手順を含むが、これらに限定されない)によって達成され得る。
【0036】
CF-SMC100を形成するための方法は、更に、鋼ナノ粒子210を焼結し、鋼ナノ粒子210を鋼マトリックス110に変換して、強化炭素繊維成分220が鋼マトリックス110に一体化された強化炭素繊維120になるようにし、したがって、非アニール組合せをCF-SMC100に変換する工程を、含む。焼結工程は、概して、非アニール組合せを450℃未満の温度に加熱し、鋼ナノ粒子210を焼結するのに十分に高い温度に加熱することを含む。いくつかの実施態様において、焼結ステップは、アニールされていない組合せを400℃超かつ450℃未満の温度に加熱することを含むことができる。いくつかの実施態様において、焼結工程は、非アニール組合せを420℃超かつ450℃未満の温度に加熱することを含むことができる。
【0037】
いくつかの実施態様において、焼結ステップは、高温圧縮によって、すなわち、高温の印加と同時に高圧260を印加することによって達成することができる。高温圧縮を採用するいくつかの実施態様において、高圧は、少なくとも30MPaであってよく、いくつかの実施態様において、高圧は、少なくとも60MPaであってよい。温度及び圧力の焼結条件に応じて、焼結工程の持続時間は、変化させることができる。いくつかの実施態様において、焼結ステップは、2~10時間の範囲内の持続時間にわたって実行することができ、開示された一実施例において、4時間の持続時間にわたって実行される。
【0038】
炭素繊維強化鋼マトリックス複合材料(CF-SMC)は、鋼粉と炭素繊維布の交互層をダイスに帯電させて作られる。使用される鋼粉末は、ナノ粒子、<45ミクロン粉末、又は2つのサイズレジームの混合物であり得る。炭素繊維布の織りは、強化材の周りの鋼マトリックスが固結後に連続することができるように、繊維間の侵入を可能にするのに十分なほど緩い。
【0039】
炭素繊維布及び鋼粉末は、酸化表面が形成されるのを防止するため、不活性雰囲気下(アルゴングローブボックス内)で、ダイ内で組み立てられる。次いで、最終的なパンチとダイのアセンブリは、アルゴン流下で、60MPaの圧力で、800℃で1時間圧縮される。
【0040】
炭素繊維は、鋼よりも密度が低く(~3.75倍)、引張強さが高い。鋼マトリックスへの複数の炭素繊維層の添加は、最終複合体の重量を低下させ(低い炭素繊維密度の関数として)、複合体の機械的強度への寄与の関数としての引張強さを増加させる。
【0041】
いくつかの例において、所望の組成、平均最大寸法、及び/又は平均最大寸法の相対標準偏差を有する鋼ナノ粒子210を提供することは、従来の方法によって達成することが困難であり得ることが理解されよう。例えば、粉砕、アークデトネーション、又は他の公知の手順を介してバルク鋼を粒状鋼に断片化することを含む「トップダウン」アプローチは、しばしば、均一で堅牢な鋼マトリックス110への効果的な焼結には大きすぎる及び/又は不均一すぎる鋼粒子を提供する。溶解したカチオンの化学的還元を含むアプローチ等の「ボトムアップ」アプローチは、関連するカチオンの不相溶性、又は更には入手不能性のために、様々な合金ナノ粒子には不適切であることが多い。例えば、鋼を形成するためのカチオン性鉄との化学的共還元に適したカチオン性炭素は、得ることが困難であり得る。更に、これらの技術又は他の技術が実験室規模で所与の組成の鋼ナノ粒子210を製造するのに有効であり得る場合でさえ、スケールアップは、実行不可能であるか、又は不経済であることが判明し得る。
【0042】
これらの理由のために、鋼ナノ粒子210を提供するステップは、多くの実施態様において、アニオン性元素試薬錯体(AERC)を使用する新規な鋼ナノ粒子210合成によって実施することができる。AERCは、概して、水素化物分子と錯体を形成し、以下の式Iを有する1つ以上の元素からなる試薬である:
【0043】
式:Q0・Xy (式I)
【0044】
式中、Q0は、1つ以上の元素の組合せを表し、それぞれは形式的には酸化状態ゼロであり、必ずしも互いに対して等モル比ではない;Xは、水素化物分子を表し、yはゼロより大きい整数値又は分数値である。式IのAERCは、(i)所望のモル比で存在する1つ又は複数の元素のそれぞれの粉末、及び(ii)yに対応する組み合わされた1つ又は複数の元素に対してモル比で存在する水素化物分子の粉末を含む混合物をボールミル粉砕することによって形成することができる。多くの実施態様において、水素化物分子は、水素化ホウ素であり、いくつかの特定の実施態様において、水素化物分子は、水素化ホウ素リチウムである。
【0045】
式IのAERCを適切な溶媒及び/又はリガンド分子と接触させることは、本質的に1つ以上の元素からなるナノ粒子の形成をもたらし、1つ以上の元素は、それらがAERC中に存在するのと同等の比率でナノ粒子中に存在する。
【0046】
したがって、鋼ナノ粒子210合成での使用に適したAERCは、概して次の式を有している:
【0047】
FeaCbMd・Xy (式II)
【0048】
式中、Feは元素鉄であり、形式的に酸化状態ゼロであり、Cは元素炭素であり、形式的に酸化状態ゼロであり、Mは酸化状態ゼロである1つ以上の元素を表し、Mは、Mn、Ni、Cr、Mo、B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される1つ以上の元素のそれぞれを表し、Xは、式Iに関して定義される水素化物分子であり、aはゼロより大きい分数又は整数であり、bはゼロより大きい分数又は整数であり、dはゼロより大きい分数又は整数であり、yは、ゼロより大きい分数又は整数である。a、b、及びcの値は、概して、鋼の所望の組成における様々な成分のモル比に対応することが理解されるであろう。さらに、M及びdは、単純化のためだけに特異値として示されており、互いに対して非等モル量で存在する複数の元素に対応することができることを理解されたい。式IIのAERCは、代替的に、鋼-AERCと呼ぶことができる。
【0049】
鋼-AERCの形成は、(I)ホウ水素化リチウムなどの水素化物分子の粉末、及び(II)(i)鉄粉末、(ii)炭素粉末、及び(iii)任意に、Mn、Ni、Cr、Mo、B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される1つ以上の元素の粉末(複数可)を含む予鋼混合物をボールミル処理することによって達成することができる。この混合物は、鉄粉末、炭素粉末、及び1つ以上の選択された元素の任意の粉末を、所望の鋼製品中のこれらの種々の成分の重量比と同一の重量比で含むべきである。例えば、12重量%のNi、17重量%のCr、2.5重量%のMo、1重量%のSi、2重量%のMn、0.08重量%のC、0.045重量%のP、及び0.03重量%のSを有するステンレス鋼タイプ316製品を合成するために、ボールミル粉砕のための水素化物分子の粉末と混合される予鋼混合物は、列挙された重量%で存在するこれらの元素のそれぞれの粉末を含むべきである。
【0050】
したがって、いくつかの実施態様では、鋼ナノ粒子を合成するための開示されたプロセスは、式I又はIIによって定義されるような鋼-AERCを溶媒と接触させる工程を含む。いくつかの実施態様において、鋼ナノ粒子を合成するための開示されたプロセスは、式I又はIIによって定義されるような鋼-AERCをリガンドと接触させるステップを含む。いくつかの実施態様において、鋼ナノ粒子を合成するための開示されたプロセスは、式I又はIIによって定義されるような鋼-AERCを溶媒及びリガンドと接触させるステップを含む。鋼-AERCを適切な溶剤又はリガンドに接触させることは、鋼-AERCの組成、すなわち、鋼-AERCを形成する予鋼混合物の組成によって決定される合金組成を有する鋼ナノ粒子210を形成させる。
【0051】
適切なリガンドの非限定的な例は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、両性イオン性、及びポリマー性リガンド、並びにそれらの組み合わせを含むことができる。このようなリガンドは、典型的には炭化水素ベース、オルガノシランベース、又はフルオロカーボンベースの親油性部分を有する。限定を意味するものではないが、適切であり得るリガンドのタイプの例は、硫酸アルキル及びスルホネート、石油及びリグニンスルホネート、リン酸エステル、スルホコハク酸エステル、カルボキシレート、アルコール、エトキシル化アルコール及びアルキルフェノール、脂肪酸エステル、エトキシル化酸、アルカノールアミド、エトキシル化アミン、アミンオキシド、ニトリル、アルキルアミン、第四アンモニウム塩、カルボキシベタイン、スルホベタイン、又はポリマーリガンドを含む。いくつかの特定の実施態様では、リガンドは、ニトリル、アミン、及びカルボン酸塩のうちの少なくとも一つであってよい。
【0052】
好適な溶媒の非限定的な例は、非結合又は過渡結合相互作用の手段によってAERCの構成要素と相互作用することができる任意の分子種、又は分子種の組合せを含んでいることができる。異なる実施形態において、鉄鋼-AERCからの鉄ナノ粒子210の合成に適切な溶剤は、直鎖、分岐、若しくは環状アルキル、又はアルコキシ;又は一環又は多環のアリル若しくはヘテラリルを含むが、これらに限定されない炭化水素又は芳香族種であり得る。いくつかの実施態様において、溶媒は、非配位又は立体障害エーテルである。記載されている溶媒という用語は、いくつかのバリエーションにおいて、重水素化形態又はトリチウム化形態を含み得る。いくつかの実施態様において、溶媒は、THF等のエーテルであってもよい。
【0053】
本発明を、以下の実施例に関して更に説明する。これらの実施例は本発明の特定の実施形態を例示するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【実施例】
【0054】
《実施例1 鋼ナノ粒子合成》
ボールミルジャーに、0.0136gの炭素、0.06gのマンガン、7.9264gの鉄、及び6.28gの水素化ホウ素リチウムを添加する。これを不活性雰囲気下で4時間ボールミル粉砕する。鋼-AERC製品をTHFで洗浄し、99.08%Fe、0.17%C、0.75%Mnの組成を有する鋼ナノ粒子を形成した。生成した鋼ナノ粒子が単離される。
【0055】
《実施例2 複合鋼の形成》
実施例Iの鋼ナノ粒子を、炭素繊維の織物の分散層を有するパンチ及びダイに装填する。鋼ナノ粒子粉末は、この装填工程中に炭素繊維織物の繊維間の隙間に入り込むように促進される。次いで、この材料を430℃、60MPaで4時間焼結する。この製品は、
図1及び
図2に示すように、鋼マトリックスに一体化された強化炭素繊維を有する複合鋼である。
【0056】
前述の説明は本質的に単に例示的なものであり、本開示、その適用、又は用途を限定することを決して意図しない。本明細書で使用されるように、A、B、及びCのうちの少なくとも1つの語句は、非排他的論理「又は」を使用して、論理(A、B又はC)を意味すると解釈されるべきであることを理解すべきである。方法内の様々な工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で実行されてもよく、様々な工程は特に言及されない限り、独立して、又は同時に実行されてもよい。範囲の開示は、全範囲内の全ての範囲及び細分された範囲の開示を含む。
【0057】
本明細書で使用される見出し(「背景」及び「概要」など)及び副見出しは、本開示内のトピックの一般的な編成のみを意図し、技術の開示又はその任意の態様を限定することを意図しない。記載された特徴を有する複数の実施形態の記載は、追加の特徴を有する他の実施形態、又は記載された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態を排除することを意図しない。
【0058】
本明細書で使用されるように、用語「有する」及び「含む」、並びにそれらの変形は、非限定的であることが意図され、その結果、連続する項目又はリストの列挙は、この技術のデバイス及び方法においても有用であり得る他の同様の項目の排除ではない。同様に、用語「できる」及び「であってよい」並びにそれらの変形は、非限定的であることが意図され、その結果、実施形態は、特定の要素若しくは特徴を含むことができ、又は含むことができるという列挙は、それらの要素又は特徴を含まない本技術の他の実施形態を排除しない。
【0059】
本開示の広範な教示は、様々な形態で実施することができる。したがって、本開示は特定の例を含むが、本明細書及び以下の特許請求の範囲を検討することにより、当業者には他の修正が明らかになるので、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。本明細書において、1つの態様、又は様々な態様への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構成、又は特徴が、少なくとも1つの実施形態又は態様に含まれることを意味する。「一態様で」(又はその変形で)という語句の出現は、必ずしも同じ態様又は実施形態を指すものではない。
【0060】
特定の実施形態が記載されてきたが、現在予期されていない、代替、修正、変形、改良、及び実質的な等価物が、出願人又は他の当業者に生じ得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、提出され、修正される場合、そのような代替、修正、改良、及び実質的な均等物の全てを包含することが意図される。
本発明に関連する発明の実施形態の一部を以下に示す。
[実施形態1]
鋼及びチタンからなる群から選択される焼結金属ナノ粒子の連続マトリックスと、前記鋼マトリックス内に少なくとも部分的に封入されている、少なくとも1つの強化炭素繊維とを含む、複合材料。
[実施形態2]
前記少なくとも1つの強化炭素繊維が、前記連続マトリックス内に完全に封入されている、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態3]
前記少なくとも1つの強化炭素繊維が、前記連続マトリックス内に部分的に封入されている、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態4]
前記少なくとも1つの強化炭素繊維が、複数の空間的に分離された強化炭素繊維の層を含む、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態5]
7g/cm
3
未満の密度を有する、請求項1に記載の複合材料。
[実施形態6]
6g/cm
3
未満の密度を有する、請求項1に記載の複合材料。
[実施形態7]
5g/cm
3
未満の密度を有する、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態8]
前記連続マトリックスが、鉄、及び炭素、並びに、Mn、Ni、Cr、Mo、B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される少なくとも1つの元素の、合金を含む、実施形態1に記載の複合材料。
[実施形態9]
炭素繊維とセラミック繊維との組合せを含む少なくとも1つの強化繊維構造体と、前記少なくとも1つの強化繊維構造体の周囲に配置された、焼結鋼ナノ粒子の連続鋼マトリックスとを含む、複合材料。
[実施形態10]
7g/cm
3
未満の密度を有する、実施形態9に記載の複合材料。
[実施形態11]
6g/cm
3
未満の密度を有する、実施形態9に記載の複合材料。
[実施形態12]
5g/cm
3
未満の密度を有する、実施形態9に記載の複合材料。
[実施形態13]
前記連続鋼マトリックスが、鉄、及び炭素、並びに、Mn、Ni、Cr、Mo、B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される少なくとも1つの元素の合金を含む、実施形態9に記載の複合材料。
[実施形態14]
鋼ナノ粒子を提供する工程、
前記鋼ナノ粒子を強化炭素繊維成分と組み合わせて非アニール組合せを作製する工程、及び
前記鋼ナノ粒子を焼結して鋼マトリックスを作製する工程、
を含む、複合材料の製造方法。
[実施形態15]
前記鋼ナノ粒子が、約20nm未満の平均最大寸法を有する、実施形態14に記載の製造方法。
[実施形態16]
アニオン性元素試薬錯体(AERC)を溶剤と接触させることによって前記鋼ナノ粒子を合成することを含んでおり、
前記AERCは、以下の式を有する、実施形態15に記載の製造方法:
Fe
a
C
b
M
d
・X
y
式中、Feは、元素鉄であり、形式的に酸化状態ゼロであり;Cは、元素炭素であり、形式的に酸化状態ゼロであり;Mは、酸化状態ゼロである1つ以上の元素を表し、Mは、Mn、Ni、Cr、Mo、B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される1つ以上の元素のそれぞれを表し;Xは、水素化物分子であり;aは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;bは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;dは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;yは、ゼロより大きい分数値または整数値である。
[実施形態17]
水素化物分子の粉末、並びに鉄粉末及び炭素粉末を含む予備鋼混合物を、ボールミル粉砕することによって、AERCを形成することを含む、実施形態16に記載の製造方法。
[実施形態18]
前記予備鋼混合物が、Mn、Ni、Cr、Mo、B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される1つ以上の元素の粉末を含む、実施形態17に記載の製造方法。
[実施形態19]
鋼ナノ粒子を提供することが、鋼-AERCをリガンドと接触させることを含むプロセスによって鋼ナノ粒子を合成することを含んでおり、
鋼-AERCは、以下の式を有する、実施形態14に記載の製造方法:
Fe
a
C
b
M
d
・X
y
式中、Feは、元素鉄であり、形式的には酸化状態ゼロであり;Cは、元素炭素であり、形式的には酸化状態ゼロであり;Mは、酸化状態ゼロである1つ以上の元素を表し、MはMn、Ni、Cr、Mo、B、Ti、V、W、Co、Nb、P、S、及びSiを含む群から選択される1つ以上の元素のそれぞれは水素化物分子であり;aは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;bは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;dは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;dは、ゼロより大きい分数値又は整数値であり;yは、ゼロより大きい分数値又は整数値である。