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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】棒状材用ケーブルホルダー
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20241030BHJP
   F16B 2/22 20060101ALI20241030BHJP
   F16L 3/12 20060101ALI20241030BHJP
   A47B 97/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H02G3/30
F16B2/22 C
F16L3/12 G
A47B97/00 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020120600
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2022017821
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】臼本 浩人
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-350862(JP,A)
【文献】実開昭55-086179(JP,U)
【文献】実開昭57-173384(JP,U)
【文献】実開平03-051291(JP,U)
【文献】特開2005-117720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
F16B 2/22
F16L 3/12
A47B 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源用又は通信用のケーブルを棒状材に保持するホルダーであって、
前記棒状材を長手方向の一部において部分的に抱持する本体部と、
前記本体部に一体に形成されたケーブル保持部と、
を有しており、
前記本体部は、広げ変形させて前記棒状材に嵌脱させ得るように一対の開口縁を有する非ループ形態になっていて、軸方向の幅寸法は外径よりも小さくなっている一方、
前記ケーブル保持部は、当該ケーブル保持部と前記棒状材との間に前記ケーブルが挟まれるように前記本体部の一部に形成されていて、前記ケーブル保持部の外周面と前記本体部の外周面とは、前記棒状材の軸線方向から見て全体としてC字状を呈するように滑らかに連続している、
棒状材用ケーブルホルダー。
【請求項2】
棒状材を長手方向の一部において部分的に抱持する本体部と、前記本体部に一体に形成されたケーブル保持部とを有しており、
前記本体部は、広げ変形させて前記棒状材に嵌脱させ得るように一対の開口縁を有する非ループ形態になっていて、軸方向の幅寸法は外径よりも小さくなっている一方、
前記ケーブル保持部は、当該ケーブル保持部と前記棒状材との間にケーブルが位置するように前記本体部の内面側に形成されている棒状材用ケーブルホルダーであって、
前記ケーブル保持部は、前記本体部のうち開口と反対側の部位を外向きに膨出することによって形成されており、前記本体部に、前記ケーブル保持部の内側において前記棒状材の外面に重なる一対の舌状重合片を、前記本体部の一方の開口縁の側と他方の開口縁の側とから相対向して延びるように形成しており、前記一対の舌状重合片の先端間に、前記ケーブルを嵌脱できる隙間が空けられている、
棒状材用ケーブルホルダー。
【請求項3】
前記本体部は、一方の開口縁と他方の開口縁とは互いに当接させてループ状の外観に成しうるようになっており、互いに当接し得る一方の開口縁と他方の開口縁とに、互いに噛み合ってループ形状を保持する係合部が形成されている、
請求項1又は2に記載した棒状材用ケーブルホルダー。
【請求項4】
電源用又は通信用のケーブルを棒状材に保持するホルダーであって、
前記棒状材を抱持する本体部と、前記本体部に一体に形成されたケーブル保持部と、を有しており、
前記本体部は、広げ変形させて前記棒状材に嵌脱させ得るように開口部を挟んで一対の開口縁を有する非ループ形態になっている一方、
前記ケーブル保持部は、前記ケーブルを前記本体部の外周面のうち前記開口部と反対側の背面部に押さえるように前記本体部の外面側に配置されていて、周方向に向いた両端のうち一端は前記本体部に連接して他端は自由端になった舌状に形成されており、前記ケーブル保持部における周方向に向いた両端は前記開口縁に至っておらず、
前記本体部の背面部に、前記ケーブルが嵌まる凹部を前記開口部の側に凹むように形成している、
棒状材用ケーブルホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電源ケーブルや通信ケーブルのようなケーブルを支柱やフレーム材等の棒状材に保持するケーブルホルダー(ケーブルクリップと呼ぶことも可能である)に関するものである。ここに棒状材とは細長い部材という意味であり、中実に限らずパイプ状のものやロープなども含んでいる。
【背景技術】
【0002】
例えば家具(什器)、室内・室外設備などでフレーム材のような棒状材が使用されている場合、電源ケーブル等のケーブルを棒状材に沿わせて配置し、垂れないようにケーブルを棒状材に保持することが行われている。
【0003】
このようなケーブルの保持手段として従来は、特許文献1,2に開示されているバンドタイプのもの、特許文献3に開示されている線材製のもの、特許文献4,5に開示されている樹脂製ホルダーなどが提案されている。
【0004】
これら先行技術のうち、特許文献4のホルダーは、パイプ材からずれ落ちないようにパイプ材を弾性的に抱持するクランプ部と、ケーブルを嵌め込むケーブル保持部とを互いに離反した状態に形成しており、図5(a)の実施形態では、クランプ部は割れた状態になっているため、パイプ材に対してこれと直交した外側から嵌め込むことができる。
【0005】
特許文献5も同様であり、家具を構成する脚の外周を半周以上に亙って抱持するように平面視で略C状に形成された本体と、本体のうち開口部と反対側に突設されたケーブル保持部とを有しており、ケーブル保持部は、ケーブルを挟み保持する一対のL型保持片を備えている。一対の保持片は、略平行な状態で本体から突出した基部と、基部の先端から相対向するように突出した鉤片とで平面視L形に形成されており、一対の保持片によってケーブル収納空間を形成して、鉤片に外側からケーブルを当てて鉤片を押し曲げることにより、ケーブルをケーブル収納空間に押し込むようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-89364号公報
【文献】実開平6-37172号公報
【文献】特開2001-223484号公報
【文献】特開2014-92985号公報
【文献】意匠登録第1305820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献5のホルダーや特許文献4の図5(a)のホルダーは、棒状材への取り付け及びホルダーへのケーブルの取り付けをワンタッチ的に行えるため作業性に優れている。しかし、特許文献4ではクランプ部とケーブル保持部との間隔が大きいため、ケーブルと棒状材との間に間隔が空いてしまい、見た目が悪くなるおそれや、ケーブルに物が引っ掛かりやすくなる問題がある。
【0008】
他方、特許文献5のホルダーは、ケーブル保持部が棒状材(家具の脚)に近接しているため、ケーブルを棒状材の外面に沿わせることができて見栄えがよいと共に、物の引っ掛かりも抑制できる利点がある。
【0009】
さて、特許文献5では、ケーブルをホルダーに保持するに当たっては、相対向して延びる一対の鉤片をケーブルで外側から押し曲げることになるが、鉤片は一対あってその突出寸法は大きくないため、ケーブルを一対の保持片の間の空間に押し込むにおいて、押し込みに大きな力を要するという問題がある。
【0010】
更に、特許文献5では、鉤片は、ケーブルで押されてケーブル保持空間にいったん入り込み、ケーブルが鉤片の先端から離脱すると弾性復元力によって元の姿勢に戻るが、ケーブルの太さが大きいと、ケーブルが鉤片を押し曲げて本体に当たった状態で、鉤片がケーブルで押されたままになってしまうことが懸念され、この場合は、鉤片が元の姿勢に戻り変形できないため、ケーブルを一対の保持片で掴持できなくなってしまう。従って、特許文献5は、保持できるケーブルの太さの範囲が狭くて融通性に欠けるといえる。
【0011】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明はケーブルを棒状材に保持するホルダーに関するもので、その典型を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は、
「電源用又は通信用のケーブルを棒状材に保持するホルダーであって、
前記棒状材を長手方向の一部において部分的に抱持する本体部と、
前記本体部に一体に形成されたケーブル保持部と、
を有しており、
前記本体部は、広げ変形させて前記棒状材に嵌脱させ得るように一対の開口縁を有する非ループ形態になっていて、軸方向の幅寸法は外径よりも小さくなっている一方、
前記ケーブル保持部は、当該ケーブル保持部と前記棒状材との間に前記ケーブルが挟まれるように前記本体部の一部に形成されていて、前記ケーブル保持部の外周面と前記本体部の外周面とは、前記棒状材の軸線方向から見て全体としてC字状を呈するように滑らかに連続している」
という構成になっている。
【0013】
請求項2の発明は、
「棒状材を長手方向の一部において部分的に抱持する本体部と、前記本体部に一体に形成されたケーブル保持部とを有しており、
前記本体部は、広げ変形させて前記棒状材に嵌脱させ得るように一対の開口縁を有する非ループ形態になっていて、軸方向の幅寸法は外径よりも小さくなっている一方、
前記ケーブル保持部は、当該ケーブル保持部と前記棒状材との間にケーブルが位置するように前記本体部の内面側に形成されている棒状材用ケーブルホルダーであって、
前記ケーブル保持部は、前記本体部のうち開口と反対側の部位を外向きに膨出することによって形成されており、前記本体部に、前記ケーブル保持部の内側において前記棒状材の外面に重なる一対の舌状重合片を、前記本体部の一方の開口縁の側と他方の開口縁の側とから相対向して延びるように形成しており、前記一対の舌状重合片の先端間に、前記ケーブルを嵌脱できる隙間が空けられている」
という構成になっている。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2を具体化したもので、
「前記本体部は、一方の開口縁と他方の開口縁とは互いに当接させてループ状の外観に成しうるようになっており、互いに当接し得る一方の開口縁と他方の開口縁とに、互いに噛み合ってループ形状を保持する係合部が形成されている」
という構成になっている。
【0015】
請求項4の発明は請求項1,2とは異なる視点に立つもので、
「電源用又は通信用のケーブルを棒状材に保持するホルダーであって、
前記棒状材を抱持する本体部と、前記本体部に一体に形成されたケーブル保持部と、を有しており、
前記本体部は、広げ変形させて前記棒状材に嵌脱させ得るように開口部を挟んで一対の開口縁を有する非ループ形態になっている一方、
前記ケーブル保持部は、前記ケーブルを前記本体部の外周面のうち前記開口部と反対側の背面部に押さえるように前記本体部の外面側に配置されていて、周方向に向いた両端のうち一端は前記本体部に連接して他端は自由端になった舌状に形成されており、前記ケーブル保持部における周方向に向いた両端は前記開口縁に至っておらず、
前記本体部の背面部に、前記ケーブルが嵌まる凹部を前記開口部の側に凹むように形成している」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0016】
各請求項の発明に係るホルダーは、本体部は非ループ形状であって弾性に抗して開口部を広げることによって棒状材を外側から抱持できるため、棒状材への取り付けをワンタッチ的に行うことができる。取り外しも容易である。
【0017】
そして、請求項1,2では、ケーブルはケーブル保持部と棒状材との間に挟まれているため、ケーブルをケーブル保持部の内面に重ねてから本体部を弾性変形させて棒状材に被嵌するだけで、ケーブルを棒状材に重なった状態に保持できる。従って、ケーブルを見栄え良く棒状材に保持できると共に、ケーブルの太さの違いに対する対応性にも優れている。
【0018】
また、ホルダーを棒状材から取り外さないとケーブルを棒状材から離すことはできないため、ケーブルに物が引っ掛かっても棒状材から外れることはない。従って、ケーブルの保持機能にも優れている。
【0019】
ホルダーによってケーブルを棒状材の外面に抱き込む場合、本体に外向き凸形のケーブル保持部を形成して、その内部空間にケーブルを配置することも可能であるが、この場合は、ケーブル保持部が角張るため見た目が悪くなる可能性があり、また、角部に応力が集中するため耐久性が低くなることも懸念される。
【0020】
この点、請求項1,2の構成を採用すると、ホルダーの外周面を滑らかに湾曲させることができるため、ホルダーは全体としてリング状の外観を呈して美観に優れていると共に、応力集中を防止して耐久性向上に貢献できる。また、一対の舌状重合片が棒状材の外周面に重なるために、ホルダーと棒状材との密着面積を大きくして抱持強度の向上に貢献できる。更に、請求項2では、ケーブルは一対の舌状重合片の間に位置決めされるため、ケーブルの周方向の位置も正確に定めることができる。この面でも、ケーブルの保持状態の美観を優れたものとすることができる。
【0021】
本体部は、弾性復元力のみで棒状材を抱持することも可能であるが、弾性復元力のみであると、長期に亙って使用していると、へたりの現象が現れてケーブルの保持力が低下してしまうおそれがある。さりとて、本体部の抱持強度を高めるため厚肉化すると、棒状材への嵌め込みが厄介になってしまう。
【0022】
この点、請求項3の構成を採用すると、棒状材を抱持した状態で棒状材の一端と他端とが係合して全体としてループ形状(筒状)の形態が保持されるため、過剰に厚肉化することなく高い耐久性を確保できる利点がある。
【0023】
請求項4の発明は、本体部の外側にケーブル保持部を設けたものであるため、先にホルダーを棒状材に取り付けておいてから、ケーブルをホルダーに嵌め込むことができる。ケーブルの抜き外しも、本体部を棒状材に取り付けた状態で行える。従って、ケーブルの係止作業を迅速に行える。
【0024】
そして、ケーブル保持部は一端を自由端と成した舌状の形態を成しているため、自由端に指先を掛けるなどして、軽い力で容易に起こすことができる。従って、ケーブルの係止作業を能率よく行える。また、ケーブル保持部は外側に起こしてケーブルを止め込むものであるため、ケーブルが太くても問題なく本体部の背面部に押し込むことができる。従って、使用できるケーブルの太さの範囲が広くて使用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態のホルダーを使用した仕切装置の図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図である。
図2】仕切装置の斜視図である。
図3】(A)は仕切装置の分離斜視図、(B)は(A)のB-B視断面図、(C)は(B)のC-C視断面図、(D)は(B)のD-D視方向から見た別例図である。
図4】他の使用例である第2仕切装置を示す図で、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
図5】他の使用例である第3仕切装置を示す図で、(A)は斜視図、(B)は平面図である。
図6(A)は第2実施形態を軸方向から見た図、(B)は第1参考例を軸方向から見た図、(C)は第2参考例を軸方向から見た図、(D)は第3参考例を軸方向から見た図、(E)は第3実施形態を軸方向から見た図 、(F)は(E)をF-F視方向から見た別例図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、フレーム材で構成された仕切装置の縦フレーム材(支柱)に灯具用の電源ケーブルを保持するホルダーに使用している。まず、仕切装置1を簡単に説明する。
【0027】
(1).仕切装置
本実施形態を適用した仕切装置1は金属パイプで骨組みが構成されており、図2に明示するように、センター支柱2と左右一対のサイド支柱3、サイド支柱3の上下両端に曲げ形成した上下の水平フレーム4,5、サイド支柱3の上下中途高さ部位に溶接で固定された中間横桟6を備えている。
【0028】
センター支柱2には上下水平フレーム4,5及び中間横桟6に対応してロッドが溶接によって固定されており、上下水平フレーム4,5及び中間横桟6の先端部をロッドに嵌め込んでビスで固定している。左右の上下水平フレーム4,5及び中間横桟6は平面視で鈍角の姿勢を成しているが、直角の姿勢を成したタイプもある。
【0029】
仕切装置1は、平面視中央部に配置された安定板7を備えており、下水平フレーム5のうちサイド支柱3の近傍にはアジャスタ8を設けている。また、仕切装置1には、布帛やシート材のような薄い素材からなる面材(目隠し材)9を取り付けることができる。複数の仕切装置1をジョイントによって連結することが可能であり、図1では、2つの仕切装置1を逆向きに配置して連結した状態を表示している。
【0030】
本例の仕切装置1は、高いオープン性を保持しつつある程度のクローズド性を備えた状態に空間(室内)を仕切るもので、内角側の空間を人の作業空間と成すことができる。本例では、仕切装置1の内角側にテーブル(机)10を配置して、学習や執務を行えるようにしており、机上面を明るく照らすように、センター支柱2に吊り棒11を接続して、吊り棒11の先端に設けたフック12に灯具13を吊り下げている。
【0031】
吊り棒11のうち下部は鉛直姿勢で、上側の相当部分はテーブル10の上方に向けて傾斜した姿勢になっており、上端(先端)にフック12を固定している。図3(A)に示すように、吊り棒11の下端にはロッド14が下向きに突設されており、ロッド14をセンター支柱2に上から差し込んでビス(図示せず)で固定している。
【0032】
灯具13には電源ケーブル15が接続されており、電源ケーブル15を直接フック12に掛けることによって灯具13を吊り下げており、そこで、電源ケーブル15は、多数のホルダー16によって吊り棒11及びセンター支柱2に抱持されている。従って、本例では、吊り棒11及びセンター支柱2が棒状材の例になっているが、電源ケーブル15を上水平フレーム4や中間横桟6に止めることも可能である。以下では、吊り棒11及びセンター支柱2のようにホルダー16が取り付く部材を、請求項に則して棒状材と呼び、17の符号を付すこととする。
【0033】
なお、センター支柱2の上部にはスイッチ18を設けている。更に、灯具13は線材製等の防護カゴ19で覆われている。
【0034】
(2).ホルダー
ホルダー16の構造は図3に示している。ホルダー16はナイロン樹脂等の合成樹脂を使用した射出成形品であり、図3(B)に示すように、棒状材17にその軸心と直交した方向から弾性変形を利用して嵌脱できるように、C字状の形態を成した本体部20を備えている。従って、本体部20は、棒状材17の半周以上を囲うようになっており、開口部(くびれ部)21の溝幅は棒状材17の外径よりも小さい寸法になっている。開口部21を挟んだ一対の開口縁20aの端面は、棒状材17への嵌め込みのガイドのためハ字状に広がるように傾斜させている(平行な姿勢であってもよい。)。
【0035】
そして、本体部20のうち開口部21と反対側の部位に、当該本体部20を軸心から遠ざかる方向に膨れ変形させることによってケーブル保持部22を形成し、ケーブル保持部22と棒状材17との間に電源ケーブル15を挟み保持できるようにしている。更に、本体部20の内周のうちケーブル保持部22の内側の部位には、棒状材17の外面に重なる一対の舌状重合片23を形成し、一対の舌状重合片23の先端間において電源ケーブル15が棒状材17の外面に重なり得るように設定している。
【0036】
ケーブル保持部22及び舌状重合片23は本体部20に比べて薄肉になっているが、厚さは任意に設定できる。本実施形態では、本体部20の外周面とケーブル保持部22の外周面とは滑らかに連続しているため、シンプルなC型リングの外観を呈して見栄えがよい。また、使用状態においては、ホルダー16には軽い弾性復元力が作用して電源ケーブル15を軽く押さえているが、ケーブル保持部22は周方向に等しい厚さで連続しているため、特定部位に応力が集中することを防止して、高い耐久性を保持できる。
【0037】
ホルダー16の軸方向の幅(長さ、高さ)は、電源ケーブル15の保持強度などを考慮して任意に設定できる。図1,2,3(A)では幅が外径の数分の1しかなくてリングの形態を成しているが、図3(C)に一点鎖線で示すように、幅を外径よりも小さく設定しつつ、軸方向の幅を大きく広げて筒状の形態に形成することも可能である。いずれにしても、ホルダー16は棒状材17の長手方向のごく一部を抱持するだけである。
【0038】
本実施形態のホルダー16の使用方法としては、先に電源ケーブル15をケーブル保持部22に嵌め入れてから、ホルダー16を棒状材17に押し当てて嵌め込むという方法と、電源ケーブル15を棒状材17の外面に保持した状態でホルダー16を棒状材17に押し当てて嵌め込む方法とがあり、いずれの方法も採用できる。
【0039】
例えば電源ケーブル15をセンター支柱2に止める場合であると、電源ケーブル15をセンター支柱2の上端部に止めると電源ケーブル15はセンター支柱2に重なった状態になるので、後は一々電源ケーブル15を片手で保持することなく、ホルダー16を押し当てるだけで電源ケーブル15を止めることができる。この点、特許文献5では実現できない利点である。
【0040】
図2では1本の電源ケーブル15しか表示していないが、複数本の電源ケーブル15を止めることもできる。ケーブル保持部22は周方向の長さが長くて変形代が大きいため、電源ケーブル15の太さの違いへの対応性にも優れている。LANケーブルなどの通信用ケーブルの保持にも使用できるし、電源ケーブル15と通信用ケーブルとを一緒に止めることも可能である。
【0041】
図3(D)に変形例として示すように、ケーブル保持部22の外面のうち軸方向の中間位置に、周方向に延びる補強リブ24を形成することも可能である。或いは、同じく図3(D)に、一点鎖線20bで示すように、ケーブル保持部22の箇所において軸方向の幅(高さ)を大きくすることにより、棒状材17への嵌脱の容易性を保持しつつ、電源ケーブル15の保持機能向上と耐久性の向上とを図ることも可能である。
【0042】
なお、仕切装置1は様々なレイアウトで使用できる。その例を図4,5に表示している。図4の例では、六角形のフロアーマット25を使用して、一対の仕切装置1を向かい合わせで配置し、それぞれの仕切装置1に灯具13を吊支している。他方、図5の例では、向かい合わせに配置した仕切装置1の吊り棒11をくの字形のジョイント26で連結し、1つの灯具13を吊支している。
【0043】
(3).他の実施形態
6では、ホルダー16の他の実施形態と参考例を示している。このうち図6(A)に示す第2実施形態は請求項3を具体化したものであり、本体部20の開口部に、係合手段の一例として鉤部20bを形成している。従って、長期に亙って使用してもへたりによる保持力低下の問題は発生せず、耐久性に優れている。なお、ホルダー16は、その軸方向に相対動する一対の金型を使用して製造されるが、一対の鉤部20bを離反させた状態で成形される。
【0044】
図6(B)に示す第1参考例では、本体部20のうち開口部21と反対側に角形のケーブル保持部22を形成している。そして、ケーブル保持部22が薄肉化していることから、軸方向の中間部に、図3(D)に示したのと同様の補強リブ24を形成している。
【0045】
図6(C)に示す第2参考例は第1参考例の変形例であり、ケーブル保持部22を周方向に長い形態に形成しつつ、内部に位置決めリブ29を設けている。ケーブル保持部22は本体部20と同じ程度の厚さでかつ周方向の長さが長いため、耐久性に優れている。
【0046】
図6(D)に示す第3参考例も第1参考例の変形例であり、ケーブル保持部22の突出寸法を大きくすることによって電源ケーブル15の太さの違いへの対応性を向上させると共に、内部に一対の押さえ膜30を突設することにより、電源ケーブル15が細くてもずれないように配慮している。
【0047】
図6(E)に示す第3実施形態は請求項4を具体化したもので、C型の本体部20の背面部に、本体部20に向けて凹むように湾曲したケーブル保持部22を一体に形成している。従って、電源ケーブル15は、ケーブル保持部2により、本体部20のうち開口21と反対側の背面部に押さえ保持される。本体部20の背面部には、電源ケーブル15が嵌まり込むように開口部21の側に凹んだ凹部20cを形成している。
ケーブル保持部22は、周方向の一端が本体部20に連接されて周方向の他端を自由端と成した舌状に形成されている。従って、ケーブル保持部22は、一点鎖線で示すように大きく広げることできる。このため、電源ケーブル15が太くても、容易かつ確実に嵌め込んで棒状材17に止めることができる。ケーブル保持部22の両端は、本体部20の開口縁20aまで至っていない。
【0048】
この第3実施形態の場合は、全長(全高)に亙って同一断面形状に形成してもよいし、(F)に別例として示すように、ケーブル保持部22を本体部20よりも幅狭に形成したり、これとは逆に、ケーブル保持部22を本体部20よりも幅広に形成したりすることも可能である。
【0053】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。また、適用対象も仕切装置には限らず、様々な場所に使用できる。例えば、家具の脚や支柱類、スタンド類、梁材、各種のフレーム材などに使用できる。また、角形や楕円形などの棒状材にも適用できる(その場合は、本体部を棒状材の形状に合わせて変更したらよい。)。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本願発明は、棒状材用のホルダーに具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 ホルダーが使用される仕切装置
2 棒状材の一例としてのセンター支柱
11 棒状材の一例としての吊り棒
12 フック
13 灯具
15 電源ケーブル
16 ホルダー
17 棒状材(吊り棒、センター支柱)
20 本体部
20a 開口縁
20c 凹部
21 開口部
22 ケーブル保持部
23 舌状重合片
20b 係合部の一例としての鉤部
図1
図2
図3
図4
図5
図6