(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】両面粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20241030BHJP
C09J 7/26 20180101ALI20241030BHJP
C09J 7/24 20180101ALI20241030BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20241030BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20241030BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241030BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20241030BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20241030BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241030BHJP
B32B 25/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/26
C09J7/24
C09J201/00
C09J133/00
B32B27/00 M
B32B5/18
B32B27/32 Z
B32B27/30 A
B32B25/00
(21)【出願番号】P 2020133976
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2019147569
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 明史
(72)【発明者】
【氏名】石堂 泰志
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/116844(WO,A1)
【文献】特開2019-059932(JP,A)
【文献】国際公開第2015/163344(WO,A1)
【文献】特開2019-44181(JP,A)
【文献】特開2009-242541(JP,A)
【文献】特開2009-258274(JP,A)
【文献】特開2008-176750(JP,A)
【文献】特開2018-154849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
C09J 1/00- 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体基材と、前記発泡体基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであって、
前記両面粘着テープは、90℃における貯蔵弾性率G’(90℃)に対する、110℃における貯蔵弾性率G’(110℃)の比(G’(110℃)/G’(90℃))が0.4以上であり、かつ、JIS K 6254に準拠して測定される-30℃における25%圧縮強度が400kPa以下であり、前記両面粘着テープの厚みが0.6mm以下であり、
前記両面粘着テープのMD方向の引張弾性率が10N/mm
2以上であり、引張破断伸びが150%以上であ
り、
前記発泡体基材は、ポリプロピレン系樹脂とエラストマー系樹脂とを含有する混合樹脂から構成される
両面粘着テープ。
【請求項2】
前記発泡体基材は、ポリプロピレン系樹脂を30~60重量%、エラストマー系樹脂を25~50重量%含む混合樹脂からなる、請求項1に記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
前記発泡体基材は、発泡倍率が2~10cm
3/gである、請求項1又は2に記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着剤層は、アクリル共重合体を含有するアクリル系粘着剤層である、請求項1~3のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
車載用電子機器部品を固定するために用いられる、請求項1~4のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistants、PDA)等の携帯電子機器においては、組み立てのために両面粘着テープが用いられている(例えば、特許文献1、2)。また、車載用パネル等の車載用電子機器部品を車両本体に固定する用途にも両面粘着テープが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-242541号公報
【文献】特開2009-258274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯電子機器、車載用電子機器等は、高機能化に伴って形状がより複雑化する傾向にあるため、段差、角、非平面部(曲面部)等に両面粘着テープを貼り付けて用いることがある。このような段差、角、非平面部(曲面部)等への優れた追従性を発揮させるために、発泡体基材を用いた両面粘着テープが用いられる。
一方、近年の車載用電子機器では、例えばドライバーの視認性を高めるために、直射日光が当たる高い位置にディスプレイが設置されることがある。このような設置場所では、100℃以上の高温となることがあり、両面粘着テープには、剥がれを防ぐために、このような高温環境下でも収縮したりしない、優れた耐熱性が要求される。また、両面粘着テープをディスプレイユニットや光源周辺部の固定に用いる場合には、テープの熱収縮が表示ムラや光ムラにつながることがある。これを防止するためには、低い熱収縮率はもちろん、収縮の絶対値も低くなければならない。厚み方向の収縮量を抑える観点から、より薄い両面粘着テープが必要となる。しかしながら、従来の発泡体基材を用いた両面粘着テープでは、例えば、ポリプロピレン系の樹脂からなる発泡体基材を用いれば耐熱性は向上するものの、柔軟性が低下してしまうという問題がある。柔軟性に乏しい両面粘着テープは、特に非平面部(曲面部)に圧着しにくく、充分に貼着するためには長時間の圧着が必要である。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑み、耐熱性と柔軟性とを有する両面粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、発泡体基材と、前記発泡体基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであって、前記両面粘着テープは、90℃における貯蔵弾性率G’(90℃)に対する、110℃における貯蔵弾性率G’(110℃)の比(G’(110℃)/G’(90℃))が0.4以上であり、かつ、JIS K 6254に準拠して測定される-30℃における25%圧縮強度が400kPa以下であり、前記両面粘着テープの厚みが0.6mm以下である、両面粘着テープである。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、90℃における貯蔵弾性率G’(90℃)に対する、110℃における貯蔵弾性率G’(110℃)の比(G’(110℃)/G’(90℃))が0.4以上である。上記比(G’(110℃)/G’(90℃))が0.4以上であることにより、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、例えば、直射日光が当たって100℃以上の高温となるような環境下で用いても収縮したりしない、優れた耐熱性を発揮することができる。上記比(G’(110℃)/G’(90℃))は、耐熱性の向上の観点から、0.45以上であることが好ましく、0.50以上であることがより好ましい。上記比(G’(110℃)/G’(90℃))の上限は特に限定されないが、実質的には1.5が上限である。
【0008】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、上記貯蔵弾性率G’(90℃)の好ましい下限が70,000Pa、好ましい上限が350,000Paである。上記貯蔵弾性率G’(90℃)がこの範囲内であることにより、G’(110℃)/G’(90℃)の値を好適な領域に調整しやすい。同様の観点から、上記貯蔵弾性率G’(90℃)のより好ましい下限は100,000Pa、より好ましい上限は300,000Paである。
上記貯蔵弾性率G’(90℃)は、発泡基材のポリプロピレン系樹脂配合量を増やす、プロピレン系樹脂の分子量を上げる、エラストマー系樹脂のプロピレン含量を上げる、エラストマー系樹脂の環状構造含有量を上げる、等の方法により調整することができる。
【0009】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、上記貯蔵弾性率G’(110℃)の好ましい下限が70,000Pa、好ましい上限が250,000Paである。上記貯蔵弾性率G’(110℃)がこの範囲内であることにより、G’(110℃)/G’(90℃)の値を好適な領域に調整しやすい。上記貯蔵弾性率G’(110℃)のより好ましい下限は75,000Pa、より好ましい上限は200,000Paである。
上記貯蔵弾性率G’(110℃)は、発泡基材のポリプロピレン系樹脂配合量を増やす、プロピレン系樹脂の分子量を上げる、エラストマー系樹脂のプロピレン含量を上げる、エラストマー系樹脂の環状構造含有量を上げる、等の方法により調整することができる。
【0010】
上記貯蔵弾性率G’(90℃)、貯蔵弾性率G’(110℃)は、動的粘弾性測定装置(例えば、アイティー計測制御社製のDVA-200)を用いて、周波数10Hz、昇温速度3℃/minで-40℃から140℃まで測定を行い、90℃及び110℃における貯蔵弾性率G’を読み取ることで測定することができる。
【0011】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、JIS K 6254に準拠して測定される-30℃における25%圧縮強度が400kPa以下である。上記-30℃における25%圧縮強度が400kPa以下であることにより、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、高い柔軟性を発揮することができ、例えば、非平面部(曲面部)に対しても短時間圧着で貼着することができ、作業性が向上する。上記-30℃における25%圧縮強度は、300kPa以下であることが好ましく、200kPa以下であることがより好ましい。上記-30℃における25%圧縮強度の下限は特に限定されないが、実質的には80kPaが下限である。
上記-30℃における25%圧縮強度は、テープ厚みに対する発泡基材厚みの比を上げる、発泡倍率を高くする、ポリプロピレン系樹脂とエラストマー系樹脂の配合バランスを適当な領域に調節する、等の方法により調整することができる。
【0012】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、JIS K 6254に準拠して測定される23℃における25%圧縮強度の好ましい下限が75kPa、好ましい上限が250kPaである。上記23℃における25%圧縮強度がこの範囲内であることにより、発泡体基材の柔軟性、応力緩和特性が増し、使用時に剥がれが起こりにくくなる。上記23℃における25%圧縮強度のより好ましい下限は80kPa、より好ましい上限は220kPaである。
上記23℃における25%圧縮強度は、発泡基材のポリプロピレン系樹脂配合量を減らす、エラストマー系樹脂配合量を増やす、発泡倍率を上げる、等の方法により調整することができる。
【0013】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、MD方向の引張弾性率が10N/mm2以上であり、引張破断伸びが150%以上であることが好ましい。これにより、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、より高い柔軟性を発揮することができる。
上記引張弾性率は、15N/mm2以上であることがより好ましく、25N/mm2以上であることが更に好ましい。上記引張弾性率の上限は特に限定されないが、150N/mm2が実質的な上限である。上記引張破断伸びは、200%以上であることがより好ましく、300%以上であることが更に好ましい。上記引張破断伸びの上限は特に限定されないが、560%が好ましい上限である。
上記引張弾性率、引張破断伸びは、JIS K 7161に準ずる方法により測定することができる。上記MD方向の引張弾性率及び引張破断伸びは、架橋度を適当な領域に調節する、ポリプロピレン系樹脂とエラストマー系樹脂の配合バランスを適当な領域に調節する、などにより調整することができる。
なお、本明細書において、「MD」とは、Machine Directionを意味し、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの押出方向等と一致する方向を意味する。また、「TD」は、Transverse Directionを意味し、MDに直交しかつ発泡シートに平行な方向を意味する。
【0014】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの厚みは、0.6mm以下である。両面粘着テープの厚みが0.6mm以下であることにより、ディスプレイ周辺や光源周辺の固定において、低い熱収縮率はもちろん、厚み方向の収縮の絶対値をも低くすることができ、表示ムラを抑制し好適に用いることができる。本発明では、上記比(G’(110℃)/G’(90℃))、及び、上記-30℃における25%圧縮強度を所期の範囲に調整することにより、厚み0.6mm以下の両面粘着テープにおいて優れた耐熱性と柔軟性とを両立させることができる。本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの厚みは、表示ムラや光ムラなく使用する観点から、0.5mm以下であることが好ましく、0.4mm以下であることがより好ましい。本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの厚みの下限は特に限定されないが、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。
【0015】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、発泡体基材と該発泡体基材の両面に粘着剤層を有する。
発泡体基材を構成する樹脂組成を調整し、また、発泡体基材の構造を調整することにより、上記比(G’(110℃)/G’(90℃))、及び、上記-30℃における25%圧縮強度を所期の範囲に調整して、優れた耐熱性と柔軟性とを両立させることができる。
【0016】
上記発泡体基材を構成する樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エラストマー系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。なかでも、上記比(G’(110℃)/G’(90℃))、及び、上記-30℃における25%圧縮強度を所期の範囲に調整することが容易であることから、ポリプロピレン系樹脂とエラストマー系樹脂とを含有する混合樹脂が好適である。
【0017】
上記ポリプロピレン系樹脂は特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
上記プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体の何れであってもよいが、ランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)が好適である。
プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン等のα-オレフィンが挙げられる。なかでも、エチレンが好適である。
上記ポリプロピレン系樹脂としてプロピレンと他のオレフィンとの共重合体を用いる場合、該共重合体中のプロピレンの含有量の好ましい下限は90重量%、好ましい上限は99.5重量%であり、より好ましい下限は95重量%、より好ましい上限は99重量%である。
【0019】
上記エラストマー系樹脂は特に限定されず、例えば、オレフィン系ゴム、アクリル系ゴム、ウレタン系ゴム、シリコン系ゴム、エステル系ゴム等が挙げられる。これらのエラストマー樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、上記ポリプロピレン系樹脂との相溶性に優れることから、オレフィン系ゴムが好適である。
【0020】
上記オレフィン系ゴムとしては、2種以上のオレフィン系モノマーが実質的にランダムに共重合した非晶質又は低結晶性のゴム状物質が好ましく、より具体的には、成形性及び柔軟性をバランスよく向上させる観点から、エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムが好適である。
上記α-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、2-メチルプロピレン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等の炭素数3~15のα-オレフィンが挙げられる。これらのα-オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、炭素数3~10のα-オレフィンが好ましく、プロピレン及び1-ブテンがより好ましく、プロピレンが更に好ましい。
【0021】
上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムは、エチレン単位及びα-オレフィン単位に加え、他のモノマー単位を有していてもよい。
上記他のモノマー単位を形成するモノマーとしては、炭素数4~8の共役ジエン、炭素数5~15の非共役ジエン、ビニルエステル化合物、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸等が挙げられる。
上記炭素数4~8の共役ジエンとしては、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。
上記炭素数5~15の非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ジシクロオクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン等が挙げられる。
上記ビニルエステル化合物としては、酢酸ビニル等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
これらのモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、炭素数5~15の非共役ジエンが好ましく、入手容易性の観点から、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)がより好ましく、DCPDが更に好ましい。
【0022】
上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム中のエチレン単位の含有量の好ましい下限は30重量%、好ましい上限は85重量%である。上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム中のエチレン単位の含有量が上記範囲であることにより、貯蔵弾性率G’を調整することができ、優れた耐熱性と柔軟性とを両立させることができる。上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム中のエチレン単位の含有量のより好ましい下限は40重量%、より好ましい上限は80重量%、更に好ましい下限は45重量%、更に好ましい上限は75重量%である。
また、上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム中のα-オレフィン単位の含有量の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は60重量%である。上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム中のα-オレフィン単位の含有量が上記範囲であることにより、貯蔵弾性率G’を調整することができ、優れた耐熱性と柔軟性とを両立させることができる。上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム中のα-オレフィン単位の含有量のより好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は50重量%である。
更に、上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム中の非共役ジエン等のその他の単量体単位の含有量の好ましい下限は0重量%、好ましい上限は20重量%である。上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム中の非共役ジエン等のその他の単量体単位の含有量が上記範囲であることにより、貯蔵弾性率G’を調整することができ、優れた耐熱性と柔軟性とを両立させることができる。上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴム中の非共役ジエン等のその他の単量体単位の含有量のより好ましい下限は1重量%、より好ましい上限は10重量%である。
【0023】
上記エチレン-α-オレフィン系共重合ゴムとしては、具体的には例えば、エチレン-プロピレン共重合体ゴム(EPR)や、エチレン-プロピレン-5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエン共重合ゴム等のエチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム(EPDM)等が挙げられる。
【0024】
上記オレフィン系ゴムとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)も用いることができる。上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンをハードセグメントとし、EPM、EPDM等のゴム成分をソフトセグメントとするものである。上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、ブレンド型、動的架橋型、重合型のいずれも用いることができる。
【0025】
上記発泡体基材が、ポリプロピレン系樹脂とエラストマー系樹脂とを含有する混合樹脂からなる場合、該混合樹脂は、ポリプロピレン系樹脂、エラストマー系樹脂以外のその他の樹脂を更に含有してもよい。
上記その他の樹脂は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン-プロピレン共重合体等のポリエチレン系樹脂等のポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂が好適である。
【0026】
上記発泡体基材が、ポリプロピレン系樹脂とエラストマー系樹脂とを含有する混合樹脂からなる場合、上記混合樹脂中のポリプロピレン系樹脂の含有量の好ましい下限は30重量%、好ましい上限は60重量%であり、エラストマー系樹脂の含有量の好ましい下限は25重量%、好ましい上限は50重量%である。ポリプロピレン系樹脂とエラストマー系樹脂をこの範囲内で含むことにより、特に容易に上記比(G’(90℃)/G’(110℃))、及び、上記25%圧縮強度を所期の範囲に調整することができる。上記混合樹脂中のポリプロピレン系樹脂の含有量のより好ましい下限は35重量%、より好ましい上限は50重量%であり、エラストマー系樹脂の含有量のより好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は40重量%である。
【0027】
上記発泡体基材の発泡倍率は特に限定されないが、好ましい下限は2cm3/g、好ましい上限は10cm3/gである。上記発泡体基材の発泡倍率をこの範囲内とすることにより、両面粘着テープの強度を維持しながら、優れた柔軟性を発揮することができる。両面粘着テープの強度、柔軟性の観点から、上記発泡倍率のより好ましい下限は3cm3/g、より好ましい上限は8cm3/gであり、更に好ましい下限は5cm3/g、更に好ましい上限は7cm3/gである。
なお、発泡倍率は、JIS K 6767に準拠して電子比重計(例えば、ミラージュ社製、「ED120T」)を使用して測定した密度の逆数として算出できる。
【0028】
上記発泡体基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.05mm、好ましい上限は0.55mmである。上記発泡体基材の厚みをこの範囲内とすることにより、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープを携帯電子機器部品、車載用電子機器部品等の固定に好適に用いることができる。上記部品等の固定により好適に用いることができる観点から、上記発泡体基材の厚みのより好ましい下限は0.06mm、より好ましい上限は0.5mm、更に好ましい下限は0.08mm、更に好ましい上限は0.45mmである。
【0029】
上記発泡体基材の両面の粘着剤層(以下、両者をあわせて単に「粘着剤層」ともいう。)は、同じ組成であってもよいし、それぞれ異なる組成であってもよい。
上記粘着剤層は特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤層、ゴム系粘着剤層、ウレタン系粘着剤層、シリコーン系粘着剤層等が挙げられる。なかでも、光、熱、水分等に対し比較的安定で、種々の被着体に接着が可能である(被着体選択性が低い)ことから、アクリル共重合体を含有するアクリル系粘着剤層が好ましい。
【0030】
上記アクリル系粘着剤層を構成するアクリル共重合体は、初期のタックが向上するため、非平面部(曲面部)に対しても短時間圧着で貼着することができることから、ブチルアクリレート及び/又は2-エチルヘキシルアクリレートを含むモノマー混合物を共重合して得られることが好ましい。ブチルアクリレートと2-エチルヘキシルアクリレートとを含むモノマー混合物を共重合して得られることがより好ましい。
全モノマー混合物に占める上記ブチルアクリレートの含有量の好ましい下限は40重量%、好ましい上限は80重量%である。上記ブチルアクリレートの含有量をこの範囲内とすることにより、高い粘着力とタック性とを両立することができる。
全モノマー混合物に占める上記2-エチルヘキシルアクリレートの含有量の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は100重量%、より好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は80重量%、更に好ましい下限は50重量%、更に好ましい上限は60重量%である。上記2-エチルヘキシルアクリレートの含有量をこの範囲内とすることにより、高い粘着力を発揮することができる。
【0031】
上記モノマー混合物は、必要に応じてブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレート以外の共重合可能な他の重合性モノマーを含んでいてもよい。上記共重合可能な他の重合性モノマーとして、例えば、アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基の炭素数が13~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能性モノマー等が挙げられる。
上記アルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル等が挙げられる。
上記アルキル基の炭素数が13~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、メタクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
上記官能性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0032】
上記モノマー混合物を共重合して上記アクリル共重合体を得るには、上記モノマー混合物を、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。上記モノマー混合物をラジカル反応させる方法、即ち、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
【0033】
上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましい下限が40万、好ましい上限が150万である。上記アクリル共重合体の重量平均分子量をこの範囲内とすることにより、高い粘着力を発揮することができる。粘着力の更なる向上の観点から、上記重量平均分子量のより好ましい下限は50万、より好ましい上限は140万である。
なお、重量平均分子量(Mw)とは、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0034】
上記アクリル共重合体の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は、好ましい上限が10.0である。Mw/Mnが10.0以下であると、低分子成分の割合が抑えられ、上記粘着剤層が高温下で軟化し、バルク強度が下がり接着強度が低下することが抑制される。同様の観点から、Mw/Mnのより好ましい上限は5.0であり、更に好ましい上限は3.0であり、通常1.0以上である。
【0035】
上記粘着剤層は、粘着付与樹脂を含有してもよい。
上記粘着付与樹脂として、例えば、ロジンエステル系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、脂環族飽和炭化水素系樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5-C9共重合系石油樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記粘着付与樹脂の含有量は特に限定されないが、上記粘着剤層の主成分となる樹脂(例えば、アクリル共重合体)100重量部に対する好ましい下限は10重量部、好ましい上限は60重量部である。上記粘着付与樹脂の含有量が10重量部以上であると、上記粘着剤層の粘着力の低下を抑制することができる。上記粘着付与樹脂の含有量が60重量部以下であると、上記粘着剤層が硬くなることによる粘着力又はタック性の低下を抑制することができる。
【0037】
上記粘着剤層は、架橋剤が添加されることにより上記粘着剤層を構成する樹脂(例えば、上記アクリル共重合体、上記粘着付与樹脂等)の主鎖間に架橋構造が形成されていることが好ましい。上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤が好ましい。上記粘着剤層にイソシアネート系架橋剤が添加されることで、イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と上記粘着剤層を構成する樹脂(例えば、上記アクリル共重合体、上記粘着付与樹脂等)中のアルコール性水酸基とが反応して、上記粘着剤層の架橋が緩くなる。従って、上記粘着剤層は、断続的に加わる剥離応力を分散させることができ、両面粘着テープの粘着力がより向上する。
上記架橋剤の添加量は、上記粘着剤層の主成分となる樹脂(例えば、上記アクリル共重合体)100重量部に対して0.01~10重量部が好ましく、0.1~7重量部がより好ましい。
【0038】
上記粘着剤層は、粘着力を向上させる目的で、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、エポキシシラン類、アクリルシラン類、メタクリルシラン類、アミノシラン類、イソシアネートシラン類等が挙げられる。
【0039】
上記粘着剤層は、遮光性を付与する目的で、着色材を含有してもよい。上記着色材は特に限定されず、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、酸化チタン等が挙げられる。なかでも、比較的安価で化学的に安定であることから、カーボンブラックが好ましい。
上記粘着剤層は、必要に応じて、無機微粒子、導電微粒子、酸化防止剤、発泡剤、有機充填剤、無機充填剤等の従来公知の微粒子および添加剤を含有してもよい。
【0040】
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、片面の粘着剤層の厚みの好ましい下限は0.01mm、好ましい上限は0.1mmである。上記粘着剤層の厚みをこの範囲内とすることにより、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープを携帯電子機器部品、車載用電子機器部品等の固定に好適に用いることができる。上記部品等の固定により好適に用いることができる観点から、上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は0.015mm、より好ましい上限は0.09mmである。
【0041】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、必要に応じて、上記発泡体基材、上記粘着剤層以外の他の層を有してもよい。
【0042】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの製造方法として、例えば、以下のような方法が挙げられる。
まず、粘着剤層を構成する粘着剤Aの溶液を作製して、この粘着剤Aの溶液を発泡体基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層Aを形成する。次に、形成された粘着剤層Aの上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層Aに対向した状態に重ね合わせる。
次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に粘着剤Bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層Bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを粘着剤層Aが形成された発泡体基材の裏面に、粘着剤層Bが基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、発泡体基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
【0043】
また、同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを基材の両面のそれぞれに、積層フィルムの粘着剤層を発泡体基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラ等によって加圧する方法によっても、両面粘着テープを製造することができる。
【0044】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、直射日光が当たる位置に設置されて、100℃以上の高温となっても高い耐熱性を発揮して、収縮することがない。また、本発明の一実施態様に係る両面粘着テープは、柔軟性に優れることから、例えば、非平面部(曲面部)に対しても短時間圧着で貼着することができ、作業性が向上する。
【0045】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの用途は特に限定されず、例えば、携帯電子機器部品、車載用電子機器部品等の固定に用いられる。なかでも、車載用電子機器部品の固定に特に好適である。
これらの用途における本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの形状は特に限定されないが、長方形、額縁状、円形、楕円形、ドーナツ型等が挙げられる。
【0046】
本発明の一実施態様に係る両面粘着テープが用いられる物品として、例えば、TV、モニター、携帯電子機器等に使用されるフラットパネルディスプレイ、携帯電子機器のカメラモジュール、携帯電子機器の内部部材、車輌用内装、家電(例えば、TV、エアコン、冷蔵庫等)の内外装等が挙げられる。本発明の一実施態様に係る両面粘着テープの被着体として、例えば、携帯電子機器のサイドパネル、背面パネル、各種銘板、加飾フィルム、装飾フィルム等が挙げられる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、耐熱性と柔軟性とを有する両面粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】実施例においてフィルムシワ評価を行う際の評価サンプルを説明する模式図((a)上面図、(b)側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0050】
(アクリル系粘着剤溶液Aの調製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に酢酸エチル52重量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。酢酸エチルが沸騰してから、30分後に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.08重量部を投入した。ここにブチルアクリレート70重量部、2-エチルヘキシルアクリレート27重量部、アクリル酸3重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.2重量部からなるモノマー混合物を1時間30分かけて、均等かつ徐々に滴下し反応させた。滴下終了30分後にアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加し、更に5時間重合反応させ、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、固形分40重量%のアクリル共重合体の溶液を得た。得られたアクリル共重合体について、カラムとしてWater社製「2690 Separations Model」を用いてGPC法により重量平均分子量を測定したところ、71万であった。
得られたアクリル共重合体の固形分100重量部に対して、軟化点150℃の重合ロジンエステル15重量部、軟化点145℃のテルペンフェノール10重量部、軟化点70℃のロジンエステル10重量部を添加した。更に、酢酸エチル(不二化学薬品社製)30重量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製 商品名「コロネートL45」)3.0重量部を添加し、攪拌して、アクリル系粘着剤溶液Aを得た。
【0051】
(アクリル系粘着剤溶液Bの調製)
ブチルアクリレートを60重量部、2-エチルヘキシルアクリレートを37重量部、イソシアネート架橋剤を2.2重量部用いた以外は、上記「(アクリル系粘着剤溶液Aの調製)」と同様にしてアクリル系粘着剤溶液Bを得た。
【0052】
(ゴム系粘着剤溶液Cの調製)
SISブロック共重合体(日本ゼオン社製、商品名「Quintac3450」)100重量部に対して軟化点100℃のC5系石油樹脂45重量部及び軟化点120℃のクマロン樹脂15重量部を添加し、攪拌して、ゴム系粘着剤溶液Cを得た。
【0053】
(ウレタン系粘着剤溶液Dの調製)
ウレタン樹脂(AGC社製、商品名「ユーファインC」)100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤2.6重量部を添加し、攪拌して、ウレタン系粘着剤溶液Dを得た。
【0054】
(実施例1)
(1)発泡体基材の調製
ポリプロピレン系樹脂としてホモポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、E-253G)40重量部、エラストマー系樹脂としてエチレン―プロピレンランダム共重合体(住友化学社製、AD571)35重量部、その他の樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、ZF231)25重量部を混合して混合樹脂を得た。該混合樹脂100重量部に、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド3.5重量部、分解温度調整剤として酸化亜鉛1重量部、酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.5重量部を押出機に供給した。190℃で溶融混練し、厚み0.1mmの長尺シート状の発泡体原反を押出した。
次に、上記長尺シート状の発泡体原反を、その両面に加速電圧500kVの電子線を4.0Mrad照射して架橋した。架橋後の発泡体原反を熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させ厚み0.15mmの発泡体基材を得た。
得られた発泡体基材の発泡倍率を、JIS K-6767に準拠して電子比重計(ミラージュ社製、「ED120T」)を使用して算出した結果、3cm3/gであった。
【0055】
(2)両面粘着テープの製造
厚み150μmの離型紙を用意し、この離型紙の離型処理面にアクリル系粘着剤溶液Aを塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み0.025mmのアクリル系粘着剤層を形成した。このアクリル系粘着剤層を、得られた発泡体基材の表面と貼り合わせた。次いで、同様の要領で、この発泡体基材の反対の表面にも、PETセパレーターを剥がした後で上記と同じアクリル系粘着剤層を貼り合わせた。その後40℃で48時間加熱することで養生を行った。これにより、全体の厚みが0.2mmの両面粘着テープを得た。
【0056】
(3)各物性の測定
得られた両面粘着テープについて、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製のDVA-200)を用いて、周波数10Hz、昇温速度3℃/minで-40℃から140℃まで測定を行い、貯蔵弾性率G’(90℃)、貯蔵弾性率G’(110℃)を測定した。
また、得られた両面粘着テープの25%圧縮強度を、JIS K 6254に準ずる方法により測定した。
更に、得られた両面粘着テープの引張弾性率、引張破断伸びを、JIS K 7161に準ずる方法により測定した。
【0057】
(実施例2~13、比較例1~9)
発泡体基材の調製において、樹脂組成物及び密度を表1に示したようにし、片面当たりのアクリル系粘着剤層の厚みを0.05mmとした以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造した。
【0058】
(実施例14)
両面粘着テープの製造において、アクリル系粘着剤溶液Aの代わりにアクリル系粘着剤溶液Bを用いた以外は実施例3と同様にして、片面当たりのアクリル系粘着剤層の厚みが0.05mmの両面粘着テープを製造した。
【0059】
(実施例15)
両面粘着テープの製造において、アクリル系粘着剤溶液Aの代わりにゴム系粘着剤溶液Cを用いた以外は実施例3と同様にして、片面当たりのゴム系粘着剤層の厚みが0.05mmの両面粘着テープを製造した。
【0060】
(実施例16)
両面粘着テープの製造において、アクリル系粘着剤溶液Aの代わりにウレタン系粘着剤溶液Dを用いた以外は実施例1と同様にして、片面当たりのウレタン系粘着剤層の厚みが0.025mmの両面粘着テープを製造した。
【0061】
(評価)
実施例及び比較例で得た両面粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
【0062】
(1)耐熱性の評価
得られた両面粘着テープを、MD方向及びTD方向にあわせて10mm×10mmの正方形に切出して、サンプルとした。
このサンプルを110℃、500時間加熱した後、23℃まで自然冷却した。同様に、サンプルを120℃、500時間加熱した後、23℃まで自然冷却した。
自然冷却後、MD方向及びTD方向の収縮率を算出して、以下の基準により評価した。
◎:120℃加熱後のMD方向及びTD方向の収縮率がいずれも5%以下
〇:120℃加熱後のMD方向及び/又はTD方向の収縮率が5%を超えるが、110℃加熱後のMD方向及びTD方向の収縮率がいずれも5%以下
×:110℃加熱後のMD方向及び/又はTD方向の収縮率が5%を超える
【0063】
(2)圧縮貼付性の評価
得られた両面粘着テープをMD方向及びTD方向にあわせて20mm×20mmの正方形に切出し、片面の離型紙を剥がしてSUS板(125mm×50mm×2mm)に貼り合せた。その後、反対面の離型紙も剥がし、垂直方向へ引っ張るための掴みシロを有するSUS板(25mm×25mm×2mm)を貼り合せた。5kgの錘で1秒間圧着させた後、24時間室温で静置し、速度10mm/minにて面方向に引張り試験を行い、粘着力を測定した。測定した粘着力をテープ厚み100μm当たりの力に換算し(N/100μm)、以下の基準により評価した。
◎:60N/100μm以上
○:35N/100μm以上、60N/100μm未満
×:35N/100μm未満
【0064】
(3)フィルムシワ評価
表示ムラや光ムラの代替評価として、フィルムを用いたシワ評価を行った。
シワ評価は、
図1に示した評価サンプルを作製して行った。即ち、得られた両面粘着テープを2mm(MD方向)×80mm(TD方向)の長方形状に切り出し、2本の両面粘着テープ1を得た。両面粘着テープ1の片方の離型紙を剥がし、ガラス板2(120mm×50mm×2mm)の
図1に示した位置に貼り付けた。次いで、両面粘着テープ1の他方の離型紙を剥がし、90mm×50mmの長方形に切り出したポリイミドフィルム3(東レ・デュポン社製、カプトン200V、厚み50μm)をシワが入らないように伸ばしながら貼り付けた。同サイズのガラス板をポリイミドフィルム3上に載せ、その上から5kgの錘で10秒間圧着させた後、24時間室温で静置して評価サンプルを得た。
その後、評価サンプルを110℃環境下で2時間静置し、2時間たった後に室温下へ取り出し23℃まで自然冷却した。
自然冷却後、ポリイミドフィルム3のシワの有無を確認し、以下の基準により評価した。
○:両面粘着テープ1の周辺にフィルムシワを確認できなかった
×:両面粘着テープ1の周辺にフィルムシワを確認できた
【0065】
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、耐熱性と柔軟性とを有する両面粘着テープを提供することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 両面粘着テープ
2 ガラス板
3 ボリイミドフィルム