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特許7579091アキシチニブを有効成分とする医薬錠剤及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】アキシチニブを有効成分とする医薬錠剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20241030BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241030BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241030BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20241030BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61K47/38
A61K47/32
A61K9/22
A61P35/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020152973
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047194
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 崇則
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/003196(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104013589(CN,A)
【文献】特表2022-532540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
47/00-47/69
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキシチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、
(1)アキシチニブ、賦形剤、崩壊剤及び結合剤を混合して組成物を調製する工程、
(2)前記組成物に水性溶媒を添加し、造粒物を調製する工程、
(3)前記造粒物を成型して医薬錠剤とする工程、
含み、
前記結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、カルメロースナトリウム及びメチルセルロースからなる群から選択される1種以上であり、
医薬錠剤の含水率が1質量%以上で6質量%以下である、
医薬錠剤の製造方法。
【請求項2】
アキシチニブがIV型結晶多型である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記造粒物が、かさ密度が0.2~0.4g/mLであり、平均粒子径が50~250μmである、請求項1または2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキシチニブを有効成分としアキシチニブの溶出を抑制できる医薬錠剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アキシチニブは、化学名をN-メチル-2-({3-[(1E)-2-(ピリジン-2-イル)エテン-1-イル]-1H-インダゾール-6-イル}スルファニル)ベンザミドとする、式(1)で示される構造を有する化合物である。
【0003】
【化1】
【0004】
アキシチニブは血管内皮増殖因子受容体(VEGFR-1、-2及び-3)をターゲットとした選択的キナーゼ阻害剤である。VEGFRは血管新生及びリンパ管新生を調節する主要な受容体型チロシンキナーゼであり、腫瘍の増殖及び転移に関与している。アキシチニブは、インライタ(登録商標)の商品名にて提供されている。
【0005】
アキシチニブはフィルムコーティングされた医薬錠剤で提供されている。非特許文献1に、アキシチニブ(XLI型)、乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムの混合物を乾式造粒し、これにステアリン酸マグネシウムを加え打錠して得られる医薬錠剤が記載されている。これらの錠剤は、酸化チタンを含むコーティング剤(オパドライ(登録商標)レッド)を用いフィルムコーティングを施した医薬錠剤として調製されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】EUROPEAN MEDICINES AGENCY CHMP assessment report Inlyta
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、アキシチニブを有効成分とする医薬錠剤を提供することであって、溶出を抑制できる錠剤及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、アキシチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、水性溶媒を添加し造粒する工程を含む製造方法とすることにより、溶出抑制効果を有することが可能となることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の[1]~[15]を要旨とする。
【0009】
[1] アキシチニブを有効成分とする医薬錠剤の製造方法であって、
(1)アキシチニブ、賦形剤及び崩壊剤を混合して組成物を調製する工程、
(2)前記組成物に水性溶媒を添加し、造粒物を調製する工程、
(3)前記造粒物を成型して医薬錠剤とする工程、
を含む医薬錠剤の製造方法。
アキシチニブの医薬錠剤の製造方法として、水性溶媒を添加し造粒する工程を含むことにより、アキシチニブの溶出性を抑制的に制御した医薬錠剤を製造することを可能とする。
[2] 前記組成物に結合剤を含む、[1]に記載の製造方法。
本発明は、結合剤を含むことにより、更なる溶出の抑制をすることが可能となる。
[3] 前記水性溶媒に結合剤を含む、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] アキシチニブがIV型結晶多型である、[1]~[3]の何れか一項に記載の製造方法。
アキシチニブのIV型結晶多型は、比較的速やかな溶出性を示す。このため、本発明はIV型結晶多型のアキシチニブを有効成分とする場合に好適である。
[5] 前記医薬錠剤が1質量%以上で6質量%以下の含水率である、[1]~[4]の何れか一項に記載の製造方法。
[6] 前記造粒物が、かさ密度が0.2~0.4g/mLであり、平均粒子径が50~250μmである、[1]~[5]の何れか一項に記載の製造方法。
【0010】
前記[1]~[6]に記載の製造方法により得られるアキシチニブ錠剤は、水性溶媒を用いずに造粒する、いわゆる乾式造粒法にて調製されたアキシチニブ錠剤とは、溶出性が明らかに異なる。このことは、錠剤中においてアキシチニブと賦形剤及び崩壊剤との会合状態が異なることを示唆しており、化学構造体や特性等で表すことが困難である。そこで、本発明として、前記[1]で示される製造方法により特定されるアキシチニブ錠剤として表すことが適当であり、発明の明確性の要件を充足しているものと考える。
[7] アキシチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、
(1)アキシチニブ、賦形剤及び崩壊剤を混合して組成物を調製する工程、
(2)前記組成物に水性溶媒を添加し、造粒物を調製する工程、
(3)前記造粒物を成型して医薬錠剤とする工程、
を含む製造方法により得られる医薬錠剤。
[8] 結合剤を含む、[7]に記載の医薬錠剤。
[9] アキシチニブがIV型結晶多型である、[7]又は[8]に記載の医薬錠剤。
[10] 前記医薬錠剤が1質量%以上で6質量%以下の含水率である、[7]~[9]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
【0011】
本願は、アキシチニブのIV型結晶多型を用いる医薬錠剤に関する発明も包含する。
[11] アキシチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、
アキシチニブのIV型結晶多型、賦形剤、崩壊剤を含む造粒物を含有する、医薬錠剤。
[12] 結合剤を含有する、[11]に記載の医薬錠剤。
[13] 水を含み、1質量%以上で6質量%以下の含水率である、[11]又は[12]に記載の医薬錠剤。
[14] アキシチニブが、賦形剤及び崩壊剤を含む造粒物として含有する、[11]~[13]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
[15] アキシチニブが、賦形剤、崩壊剤及び結合剤を含む造粒物として含有する、[11]~[13]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る水性溶媒を添加し造粒する工程を含む製造方法とすることにより、アキシチニブの溶出性を抑制的に制御した医薬錠剤及びその医薬錠剤の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の詳細について、以下に説明する。
【0014】
本発明の医薬錠剤は、有効成分としてアキシチニブを用いる。アキシチニブは、化学名をN-メチル-2-({3-[(1E)-2-(ピリジン-2-イル)エテン-1-イル]-1H-インダゾール-6-イル}スルファニル)ベンザミドとする化合物である。当該化合物は、特許第3878849号公報にて開示されており、それに記載の方法により合成することができる。
【0015】
アキシチニブは、アキシチニブ無水物、アキシチニブ水和物、有機溶媒和物又はその医薬的に許容な塩を用いても良い。例えば、無水物、水和物、エタノール溶媒和物、THF溶媒和物、イソプロパノール溶媒和物は、いずれも特許第5869197号公報にて公開されており、これに記載の方法により調製することができる。アキシチニブは、医薬品の有効成分として用いることができる品質レベルの化合物を用いることが望ましい。
本発明において、前記錠剤として、アキシチニブはアキシチニブ無水物を用いることが好ましい。
アキシチニブ無水物には、複数の結晶多形が存在する。代表的なものとして、XLI型結晶多形及びIV型結晶多形が挙げられ、特許第5869197号公報及び特表2008-518904号公報において開示されている。XLI型結晶多形は、粉末X線結晶回折(XRD)にて、2θ(°)が略6.0、11.5、11.9、12.5、12.9、14.9、15.6、16.2、16.5、17.9、19.9、20.7、21.0、21.6、22.4、22.8、23.1、24.2、24.5、25.0、25.3、25.6、25.9、26.4、26.9、27.7、28.0、28.1、28.5、29.9、30.9、31.5、32.9、33.2、34.8、35.0及び36.1のピークで特徴付けられる。IV型結晶多形は、粉末X線結晶回折(XRD)にて、2θ(°)が略8.9、12.0、14.6、15.2、15.7、17.8、19.2、20.5、21.6、23.2、24.2、24.8、26.2及び27.5のピークで特徴付けられる。
本発明において、有効成分であるアキシチニブ無水物は医薬品原薬として用いられる品質であれば特に問題なく用いることができる。また結晶多形においても特に限定されることなく適用することができる。好ましくはIV型結晶多形が適用される。
有効成分であるアキシチニブは、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上10質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.2質量%以上5質量%以下である。
【0016】
本発明において賦形剤としては、結晶セルロース等のセルロース類、乳糖、マンニトール、マルトース、スクロース、ソルビトール、キシリトール、イノシトール等の糖類、トウモロコシデンプン等のデンプン類が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。好ましくは結晶セルロース、乳糖、マンニトールであり、これらを1種以上含む賦形剤である。賦形剤は、結晶セルロースと糖類の組み合わせが好ましく、結晶セルロースと乳糖及び/又はマンニトールの組み合わせが好ましい。結晶セルロースと糖類の組み合わせ賦形剤の場合、結晶セルロースが糖類より過量であることが好ましく、糖類1質量部に対し、結晶セルロースが1.1~5質量部であることが好ましい。より好ましくは糖類1質量部に対し、結晶セルロースが1.2~3質量部である
賦形剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し10質量%以上95質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは40質量%以上95質量%以下である。
【0017】
本発明において崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。好ましくはクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドンである。より好ましくはクロスカルメロースナトリウムである。
崩壊剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し1質量%以上20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
【0018】
本願の医薬錠剤の製造方法は、(1)アキシチニブ、賦形剤及び崩壊剤を混合して組成物を調製する、第1の工程を含む。該組成物には、上記成分以外に、結合剤、滑沢剤、着色剤、可溶化剤、流動化剤、安定化剤、保存剤、矯味剤等の他の添加剤を含んでいても良い。
【0019】
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、部分アルファ化デンプン、ポリビニルアルコール等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、カルメロースナトリウム、メチルセルロースである。
結合剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.5質量%以上20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
【0020】
ヒドロキシプロピルセルロースは、一般にGPS法による分子量、20℃における2%水溶液の粘度によりその規格が規定される。GPS法による分子量が40,000以上のものを用いることが好ましい。若しくは、20℃における2%水溶液の粘度が2以上であるものを用いることが好ましい。上記ヒドロキシプロピルセルロースとしては、例えばNISSO HPC(日本曹達株式会社)等を挙げることができ、グレードSSL(分子量40,000、粘度2~2.9mPa・s)、グレードSL(分子量100,000、粘度3~5.9mPa・s)、グレードL(分子量140,000、粘度6~10mPa・s)、グレードM(分子量700,000、粘度150~400mPa・s)、グレードH(分子量910,000、粘度1,000~4,000mPa・s)等があり、これらを用いることができる。GPS法による分子量が140,000以上のものを用いることが好ましい。また、20℃における2%水溶液の粘度が6~10mPa・s以上であることが好ましい。すなわち、グレードL(分子量140,000、粘度6~10mPa・s)、グレードM(分子量700,000、粘度150~400mPa・s)、グレードH(分子量910,000、粘度1,000~4,000mPa・s)を用いることが好ましい。
【0021】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、一般に20℃における2%水溶液の粘度によりその規格が規定される。20℃における2%水溶液の粘度が3以上であるものを用いることが好ましい。上記ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、例えばTC-5(信越化学工業株式会社)等を挙げることができ、グレードE(粘度3mPa・s)、グレードM(粘度4.5mPa・s)、グレードR(粘度6mPa・s)、グレードS(粘度15mPa・s)等があり、これらを用いることが好ましい。20℃における2%水溶液の粘度が6mPa・s以上であることが好ましい。すなわち、グレードR(粘度6mPa・s)、グレードS(粘度15mPa・s)を用いることが好ましい。
【0022】
ポビドンは一般に光散乱法による分子量、粘度によりその規格が規定される。光散乱法による分子量が44,000以上であるものを用いることが好ましい。若しくは、粘度が5.5mPa・s以上であるものを用いることが好ましい。上記ポビドンとしては、例えばKollidon(BASF株式会社)等を挙げることができ、グレード30(分子量44,000~54,000、粘度5.5mPa・s)、グレード90F(分子量1,000,000~1,500,000、粘度300~700mPa・s)等があり、これらを用いることが好ましい。
【0023】
カルメロースナトリウムは一般にエーテル化度(置換度)、25℃60回転における粘度によりその規格が規定される。エーテル化度(置換度)が0.6~0.8であるものを用いることが好ましい。若しくは、25℃60回転における2%粘度が100~200mPa・s、25℃60回転における1%粘度が20mPa・s以上であることが好ましい。上記カルメロースナトリウムとしては、例えばCMCダイセル(ダイセルミライズ株式会社)等を挙げることができ、グレード1110(25℃60回転における2%粘度が100~200mPa・s)、グレード1120(25℃60回転における1%粘度が20~50mPa・s)、グレード1130(25℃60回転における1%粘度が50~100mPa・s)、グレード1140(25℃60回転における1%粘度が100~200mPa・s)、グレード1150(25℃60回転における1%粘度が200~300mPa・s)、グレード1160(25℃60回転における1%粘度が300~500mPa・s)、グレード1170(25℃60回転における1%粘度が500~800mPa・s)、グレード1180(25℃60回転における1%粘度が1000~1300mPa・s)、グレード1190(25℃60回転における1%粘度が1300~2000mPa・s)等があり、これらを用いることが好ましい。
【0024】
メチルセルロースは一般に20℃における2%水溶液の粘度によりその規格が規定される。20℃における2%水溶液の粘度が4以上であるものを用いることが好ましい。上記メチルセルロースとしては、例えばMETOLOSE SM(信越化学工業株式会社)等を挙げることができ、グレード4(粘度4mPa・s)、グレード4VF(粘度4mPa・s)、グレード15(粘度15mPa・s)、グレード25(粘度25mPa・s)、グレード100(粘度100mPa・s)、グレード400(粘度400mPa・s)、グレード1500(粘度1500mPa・s)、グレード4000(粘度4000mPa・s)等があり、これらを用いることが好ましい。
【0025】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
滑沢剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上10質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.2質量%以上5質量%以下である。
【0026】
着色剤としては、酸化チタン、三二酸化鉄、タルク、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。好ましくは酸化チタン、三二酸化鉄である。
着色剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.2質量%以上10質量%以下である。
【0027】
可溶化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、精製大豆レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ダイズ油、ラウロマクロゴール等が挙げられる。
流動化剤としては、軽質無水ケイ酸、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。
安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、亜硫酸塩等が挙げられる。
保存剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類等が挙げられる。
矯味剤としては、白糖、D-ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。
【0028】
これらの添加剤は、医薬品製剤用途で許容される純度であれば特に制限されることなく用いることができる。これらの添加剤は1種のみを用いても良く、これらの混合物として用いても良い。当該医薬組成物又は医薬製剤を調製する際に、任意に使用される。
【0029】
本発明の第1の工程で、アキシチニブ、賦形剤及び崩壊剤、並びに任意の他の添加剤を混合して組成物を調製する。混合方法としては、V型混合、W型混合、ドラム型混合、リボン混合、円錐スクリュー混合等が挙げられ、嵩減り度が小さくなった時点で混合を終了する。
【0030】
本願の医薬錠剤の製造方法は、(2)前記組成物に水性溶媒を添加し、造粒物を調製する、第2の工程を含む。
該水性溶媒は、水を含む溶剤であって、水のみであっても、水と水混和性有機溶剤の混合溶媒であっても良い。水混和性有機溶剤としては、エタノール、アセトン等の沸点が100℃以下の揮発性有機溶剤が挙げられる。水混和性有機溶剤を用いる場合は、水1容量部に対して、0.1~1容量部で適用する。水性溶媒は、水のみが好ましい。
水性溶媒は、結合剤を含んでいても良い。該結合剤としては、前述の通りであり、添加量としては、当該医薬錠剤総量に対し0.5質量%以上20質量%以下で適用できる。好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
水性溶媒は、任意の量を用いることができる。好ましくは当該組成物総量に対し5質量%以上100質量%以下である。より好ましくは10質量%以上80質量%以下である。更により好ましくは20質量%以上60質量%以下である。
【0031】
第2の工程は、前記組成物に水性溶媒を添加し、造粒物を調製する。造粒物を調製する方法は、アキシチニブ及び前記添加剤を混合し、これに水性溶媒を添加し、造粒した後、乾燥し、必要であれば整粒し、その後、必要であれば適度にふるい分けして造粒物を得る操作であり、いわゆる湿式造粒法で行うことを特徴とする。具体的な湿式造粒法としては、撹拌造粒法、流動層造粒法、押出造粒法が挙げられる。
【0032】
前記造粒物は、かさ密度が0.2~0.4g/mLであることが好ましい。より好ましくはかさ密度が0.25~0.35g/mLである。また、平均粒子径が50~250μmの造粒物であることが好ましい。より好ましくは75~225μmである。
また、造粒物の含水率は10質量%以下とすることが好ましい。1質量%以上で6質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上で6質量%以下とすることがより好ましい。
造粒物のかさ密度は、一定の重量の造粒物の体積を測定することで得られる値である。かさ密度の測定方法としては、当該造粒物を精秤した後、造粒物を体積目盛のある容器に投入し、造粒物の体積を測定する方法、又は当該造粒物を体積目盛のある容器に投入し、造粒物の体積を測定した後、造粒物を精秤する方法が挙げられる。本願においては、造粒物10gを精秤し、これを50mL容器に投入し、タップをせずに造粒物体積を測定する方法によるかさ密度である。
造粒物の平均粒子径とは、造粒物の粒度分布を測定し、積算質量が50%となる粒子径であり、いわゆるメディアン径(d50)を示している。粒度分布の測定方法としては、第十七改正日本薬局方に記載の粒度測定法第2法のふるい分け法が挙げられ、目開きは500μm、355μm、250μm、180μm、150μm、125μm、106μm、75μmの篩を用いて測定される平均粒子径である。
造粒物の含水率は、乾燥減量法により得られる値である。乾燥減量法は、当該造粒物を精秤した後、天板に広げ、大気圧下で80℃、15分以上の条件で乾燥させて、恒量となったところでその減量分を含水分とする方法である。
【0033】
本願の医薬錠剤の製造方法は、(3)前記造粒物を成型して医薬錠剤とする、第3の工程を含む。すなわち、前記造粒物に、任意の他の添加剤を混合し、これを成型し、医薬錠剤とする。
前記他の添加剤としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、可溶化剤、流動化剤、安定化剤、保存剤、矯味剤等が挙げられる。これらの種類及び適用量は、前述の通りである。なお、適用量は、第1~3の工程を通じての総量を考慮するべきであり、当該医薬錠剤総量に対しての含有量である。
これらの添加剤は、医薬品製剤用途で許容される純度であれば特に制限されることなく用いることができる。これらの添加剤は1種のみを用いても良く、これらの混合物として用いても良い。当該医薬組成物又は医薬製剤を調製する際に、任意に使用される。
【0034】
当該医薬錠剤の成型方法としては、ロータリー打錠、単発打錠等が挙げられ、これらの方法により成型することで医薬錠剤が調製される、その製剤型は、裸錠、フィルムコーティング錠、分散錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠等の形態の何れの態様であっても良い。
【0035】
当該医薬錠剤は、更にコーティング剤及び任意の可塑剤、遮光剤・着色剤等により被覆して、フィルムコーティング錠剤としても良い。
【0036】
コーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチルコポリマー等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
コーティング剤は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.2質量%以上10質量%以下である。
【0037】
可塑剤としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、D-ソルビトール、流動パラフィン等が挙げられ、これらの単独使用、若しくは2種以上を組み合せて用いることが好ましい。
可塑剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.2質量%以上10質量%以下である。
【0038】
遮光剤・着色剤としては、酸化チタン、三二酸化鉄、タルク、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。好ましくは酸化チタン、三二酸化鉄である。
遮光剤・着色剤を用いる場合は、当該医薬錠剤総量に対し0.1質量%以上20質量%以下で使用することが好ましい。好ましくは0.2質量%以上10質量%以下である。
【0039】
フィルムコーティング錠剤の製造工程は、コーティング剤及び任意の可塑剤、遮光剤・着色剤等を水性溶媒にて溶解又は懸濁させてコーティング剤水性溶液を調製し、スプレー等により錠剤表面に付着させ、熱風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により調製することができる。
該水性溶媒は、水を含む溶剤であって、水のみであっても、水と水混和性有機溶剤の混合溶媒であっても良い。水混和性有機溶剤としては、エタノール、アセトン等が挙げられる。
【0040】
本発明の医薬錠剤は、製造工程に湿式造粒法を用いることから水を含む。当該医薬錠剤は、1質量%以上で6質量%以下の含水率である。より特徴的には2質量%以上で5質量%以下であり、3質量%以上で5質量%の含水率であることを更なる特徴とする。
本発明における含水率とは、乾燥減量法により測定される値である。本発明において、乾燥減量法の測定条件は、当該医薬錠剤を精秤した後、これを天板に広げ、大気圧下にて80℃、15分以上の条件で乾燥させ、恒量となったところでその減量分を含水分として算出する方法である。
【0041】
本願は、アキシチニブを有効成分とする医薬錠剤であって、アキシチニブのIV型結晶多型、賦形剤、崩壊剤を含有する医薬錠剤、に関する発明も含む。すなわち、アキシチニブIV型結晶多型を有効成分とし、これと賦形剤及び崩壊剤を含む組成物を成型してなる医薬錠剤である。ここでの、アキシチニブIV型結晶多型、賦形剤、崩壊剤の種類及び好適な含有量は、前述の通りである。
また、該医薬錠剤は、結合剤を含むことが好ましい。該結合剤の種類及び好適な含有量は、前述の通りである。
【0042】
前記アキシチニブIV型結晶多型を有効成分とする医薬錠剤は、アキシチニブのIV型結晶多型、賦形剤及び崩壊剤を含む造粒物を含有する錠剤であることが好ましい。若しくは、アキシチニブのIV型結晶多型、賦形剤、崩壊剤及び結合剤を含む造粒物を含有する錠剤であることが好ましい。該造粒物は、湿式造粒法により調製される造粒物であることが好ましい。湿式造粒法及びその造粒物については前述と同義である。
【0043】
当該医薬錠剤は、前記成分の他、滑沢剤、着色剤、可溶化剤、流動化剤、安定化剤、保存剤、矯味剤等の医薬製剤を調製するための通常の医薬製剤用添加剤を含んでいても良い。該添加剤の種類及び好適な含有量は、前述の通りである。
また、該医薬錠剤はコーティング剤及び任意の可塑剤、遮光剤・着色剤等により被覆されたフィルムコーティング錠剤であっても良い。該添加剤の種類及び好適な含有量は、前述の通りである。
【0044】
前記アキシチニブIV型結晶多型を有効成分とする医薬錠剤は、水を含む。その含水率は、1質量%以上で6質量%以下である。より特徴的には2質量%以上で5質量%以下であり、3質量%以上で5質量%の含水率であることを更なる特徴とする。
当該医薬錠剤の含水率は、乾燥減量法により算出される値を適用する。
【0045】
本発明により得られるアキシチニブを有効成分とする医薬錠剤は、アキシチニブの溶出性を抑制的に制御することができる。特に、pH3.0における溶出性を制御できることを特徴とするものであり、アキシチニブの適切な薬物動態をもたらす医薬錠剤を提供できる。
本発明の医薬錠剤の溶出性は、通常の溶出性試験方法により確認することができる。その溶出試験方法を例示すると、溶出試験におけるpH3.0の水性溶液は、薄めたMcIlvaineの緩衝液を用いることが好ましい。そして、前記の試験液900mLを用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法により、本発明により調製される医薬錠剤から有効成分を試験液中へ溶出させ、紫外可視吸光度計もしくは液体クロマトグラフィーを用いて試験液への溶出率を評価することで、本発明の特徴である優れた溶出抑制効果を確認することができる。
【実施例
【0046】
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
[実施例1]
1錠当たりの含量として、アキシチニブ(IV型)5mg、乳糖水和物58.8mg、結晶セルロース96.3mg、クロスカルメロースナトリウム8.7mg、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L FP、日本曹達株式会社製、GPS法による分子量が140,000で、20℃における2%水溶液の粘度が6~10mPa・s)5.2mgの比率となるように混合し、精製水50μLをこの比率になるように添加し、撹拌造粒した。得られた造粒物を、60℃で1時間乾燥させた。得られた造粒物は、かさ密度0.291g/mL、平均粒子径140μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.10%であった。この造粒物174mgに対して、ステアリン酸マグネシウム1.8mgの比率になるように混合し打錠することで、実施例1に係る錠剤を調製した。得られた錠剤の乾燥減量は3.11%であった。
【0048】
[実施例2]
実施例1において、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L FP)5.2mgを、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC M FP、日本曹達株式会社製、GPS法による分子量が700,000、20℃における2%水溶液の粘度が150~400mPa・s)5.2mgに変更し、それ以外は同様の方法で実施例2の錠剤を調製した。
得られた造粒物は、かさ密度0.284g/mL、平均粒子径186μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.33%であった。得られた錠剤の乾燥減量は3.35%であった。
【0049】
[実施例3]
実施例1において、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L FP)5.2mgを、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC H FP、日本曹達株式会社製、GPS法による分子量が1,000,000、20℃における2%水溶液の粘度が1000~4000mPa・s)5.2mgに変更し、それ以外は同様の方法で実施例3の錠剤を調製した。
得られた造粒物は、かさ密度0.292g/mL、平均粒子径186μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.35%であった。得られた錠剤の乾燥減量は3.34%であった。
【0050】
[実施例4]
実施例1において、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L FP)5.2mgを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5 R、信越化学工業株式会社製、置換度タイプ2910、20℃における2%水溶液の粘度が6mPa・s)5.2mgに変更し、それ以外は同様の方法で実施例4の錠剤を調製した。
得られた造粒物は、かさ密度0.289g/mL、平均粒子径137μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.42%であった。得られた錠剤の乾燥減量は3.41%であった。
【0051】
[実施例5]
実施例1において、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L FP)5.2mgを、ポビドン(Kollidon 30、BASF株式会社製、光散乱法による分子量が44,000~54,000、20℃における2%水溶液の粘度が5.5mPa・s)5.2mgに変更し、それ以外は同様の方法で実施例5の錠剤を調製した。
得られた造粒物は、かさ密度0.310g/mL、平均粒子径153μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.50%であった。得られた錠剤の乾燥減量は3.49%であった。
【0052】
[実施例6]
実施例1において、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L FP)5.2mgを、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCダイセル 1110、ダイセルミライズ株式会社製、エーテル化度(置換度)0.6~0.8、25℃60回転における2%水溶液の粘度が100~200mPa・s)5.2mgに変更し、それ以外は同様の方法で実施例6の錠剤を調製した。
得られた造粒物は、かさ密度0.320g/mL、平均粒子径171μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.57%であった。得られた錠剤の乾燥減量は3.55%であった。
【0053】
[実施例7]
実施例1において、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L FP)5.2mgを、メチルセルロース(METOLOSE SM 4VF、信越化学工業株式会社製、メトキシ基26~33%、20℃における2%水溶液の粘度が4mPa・s)5.2mgに変更し、それ以外は同様の方法で実施例7の錠剤を調製した。
得られた造粒物は、かさ密度0.312g/mL、平均粒子径149μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.19%であった。得られた錠剤の乾燥減量は3.20%であった。
【0054】
[実施例8]
実施例1において、精製水50μLを添加する前に混合していたヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L FP、日本曹達株式会社製、GPS法による分子量が140,000で、20℃における2%水溶液の粘度が6~10mPa・s)5.2mgを精製水50μLにこの比率になるように溶解させて添加する方法に変更し、それ以外は同様の方法で実施例8の錠剤を調製した。
得られた造粒物は、かさ密度0.271g/mL、平均粒子径138μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.37%であった。得られた錠剤の乾燥減量は3.36%であった。
【0055】
[実施例9]
実施例1において、精製水50μLを精製水75μLに変更し、それ以外は同様の方法で実施例9の錠剤を調製した。
得られた造粒物は、かさ密度0.329g/mL、平均粒子径202μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.40%であった。得られた錠剤の乾燥減量は3.39%であった。
【0056】
[実施例10]
実施例1において、結晶セルロース96.3mg、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L FP)5.2mgを、結晶セルロース92.8mg、ヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L FP)8.7mgに変更し、それ以外は同様の方法で実施例10の錠剤を調製した。
得られた造粒物は、かさ密度0.276g/mL、平均粒子径194μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.24%であった。得られた錠剤の乾燥減量は3.26%であった。
【0057】
[実施例11]
実施例1において、結晶セルロース96.3mg及びヒドロキシプロピルセルロース(NISSO HPC L F)5.2mgを、結晶セルロース101.5mgに変更し、それ以外は同様の方法で実施例11の錠剤を調製した。
得られた造粒物は、かさ密度0.306g/mL、平均粒子径101μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は3.40%であった。得られた錠剤の乾燥減量は3.39%であった。
【0058】
[参考例1]
1錠当たりの含量として、アキシチニブ(IV型)5mg、乳糖水和物83mg、結晶セルロース83mg、クロスカルメロースナトリウム9.1mgの比率となるように混合し、ローラーコンパクターを用い乾式造粒した。得られた造粒物を、スピードミル及び16Mのスクリーンを用い整粒した。得られた造粒物は、かさ密度0.510g/mL、平均粒子径209μmの顆粒であった。得られた造粒物の乾燥減量は2.97%であった。この乾式造粒物180.1mgに対して、ステアリン酸マグネシウム1.8mgの比率になるように混合し打錠することで、参考例1に係る錠剤を調製した。得られた錠剤の乾燥減量は2.97%であった。
【0059】
[試験例1]
実施例1~11並びに参考例1の錠剤を、薄めたMcIlvaineの緩衝液を用い調製したpH3.0の水性溶液を用い、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験器(NTR-6200A、富山産業株式会社製)及び紫外可視分光時計(UV-1700、島津製作所製)を用い、試験液量を900mL、試験液温を37±0.5℃、パドル回転数を50rpmとして溶出率を評価した。
各錠剤試料の計時点でのアキシチニブ溶出率を表1にまとめた。
【0060】
【表1】
【0061】
本発明の医薬錠剤は、溶出初期15分で溶出率30%以下であり、60分で50%以下であり、アキシチニブの溶出性を抑制的に制御することができた。すなわち、アキシチニブ錠剤において、溶出性を抑制した医薬錠剤を提供することが可能である。