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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241030BHJP
   B41J 3/54 20060101ALI20241030BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20241030BHJP
   B05C 9/12 20060101ALI20241030BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20241030BHJP
   B41F 17/00 20060101ALI20241030BHJP
   B41J 3/407 20060101ALN20241030BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 123
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J3/54 B
B05C13/02
B05C9/12
B05C5/00 101
B41F17/00 K
B41J3/407
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020173162
(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公開番号】P2022064494
(43)【公開日】2022-04-26
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-33030(JP,A)
【文献】特表2015-526312(JP,A)
【文献】特開平11-319681(JP,A)
【文献】特開2015-148794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0016687(US,A1)
【文献】特表2017-515704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 3/01-3/54
B05C 13/02
B05C 9/12
B05C 5/00
B41F 16/00-19/08
B41M 1/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体に対して印刷を行う第1印刷装置と、
前記第1印刷装置と並列に設けられ、缶体に対して印刷を行う第2印刷装置と、
前記第1印刷装置および前記第2印刷装置によって印刷が行われた複数の缶体を収集し、当該複数の缶体の搬送の間隔を調整する調整部と、
前記調整部から取得した前記複数の缶体の各々の缶体に対して外面を保護する保護層を形成する加工を行う加工装置と、
を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記第1印刷装置および前記第2印刷装置は、それぞれ、インクジェットヘッドを用いて缶体に対して印刷を行うことを特徴とする、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記調整部は、缶体を保持せずに缶体を搬送することを特徴とする、請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記調整部は、
駆動源の動力を用いて缶体を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部に対して缶体の搬送方向の下流側に設けられ、缶体が転がる搬送路を用いて缶体を搬送する第2搬送部と、
を有することを特徴とする、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記第2搬送部は、前記第1搬送部よりも搬送速度が小さいことを特徴とする、請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記第1印刷装置と前記第2印刷装置とは、それぞれ、複数のインクジェットヘッドを有する印刷部を複数備えていることを特徴とする、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記第1印刷装置および前記第2印刷装置は、それぞれ、缶体の軸方向に沿って缶体を搬送して缶体に対する印刷を行い、
前記加工装置は、缶体の軸方向と交差する方向に缶体を搬送して缶体に対する加工を行うことを特徴とする、請求項1に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、マンドレルホイール、マンドレルホイールに備えられた複数個の自転可能なマンドレル、及びマンドレルに装着されたシームレス缶外面の少なくとも胴部にインクジェット印刷により印刷画像を形成するインクジェット印刷ステーションを有する印刷装置において、インクジェット印刷が少なくとも一つのインクジェット印刷ステーションで行われ、インクジェット印刷ステーションには複数個のインクジェットヘッドが配置されていることを特徴とするシームレス缶の印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5891602号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、缶体に対して印刷を行い、印刷された缶体に保護層を形成する加工を行うなど、缶体に対して複数の処理を行う場合がある。この場合に、缶体に印刷を行う印刷装置の単位時間当たりの処理能力と、缶体に保護層を形成する加工を行う加工装置の単位時間当たりの処理能力との相違によって、例えば装置間で待機時間を設ける必要が生じるなど、缶体に対して処理を行う際の効率が低下する可能性があった。
本発明は、缶体に対して処理を行う際の効率の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明が適用される印刷システムは、缶体に対して印刷を行う第1印刷装置と、前記第1印刷装置と並列に設けられ、缶体に対して印刷を行う第2印刷装置と、前記第1印刷装置および前記第2印刷装置によって印刷が行われた複数の缶体を収集し、当該複数の缶体の搬送の間隔を調整する調整部と、前記調整部から取得した前記複数の缶体の各々の缶体に対して外面を保護する保護層を形成する加工を行う加工装置と、を備えることを特徴とする印刷システムである。
ここで、前記第1印刷装置および前記第2印刷装置は、それぞれ、インクジェットヘッドを用いて缶体に対して印刷を行うことを特徴とすることができる。
また、前記調整部は、缶体を保持せずに缶体を搬送することを特徴とすることができる。
また、前記調整部は、駆動源の動力を用いて缶体を搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部に対して缶体の搬送方向の下流側に設けられ、缶体が転がる搬送路を用いて缶体を搬送する第2搬送部と、を有することを特徴とすることができる。
また、前記第2搬送部は、前記第1搬送部よりも搬送速度が小さいことを特徴とすることができる。
また、前記第1印刷装置と前記第2印刷装置とは、それぞれ、複数のインクジェットヘッドを有する印刷部を複数備えていることを特徴とすることができる。
また、前記第1印刷装置および前記第2印刷装置は、それぞれ、缶体の軸方向に沿って缶体を搬送して缶体に対する印刷を行い、前記加工装置は、缶体の軸方向と交差する方向に缶体を搬送して缶体に対する加工を行うことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、缶体に対して処理を行う際の効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の印刷システムの全体図である。
図2】本実施形態の印刷装置の全体図である。
図3】本実施形態の印刷装置で用いられる搬送部の説明図である。
図4】(A)および(B)は、本実施形態の第1印刷ユニットおよび第2印刷ユニットの説明図である。
図5】(A)、(B)および(C)は、変形例の印刷装置の説明図である。
図6】本実施形態の調整部の全体図である。
図7】本実施形態の加工装置の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の印刷システム1の全体図である。
図2は、本実施形態の印刷装置20の全体図である。
図3は、本実施形態の印刷装置20で用いられる搬送部24の説明図である。
図4は、本実施形態の第1印刷ユニット25および第2印刷ユニット26の説明図である。
【0010】
〔印刷システム1〕
図1に示すように、本実施形態の印刷システム1は、印刷が行われる前の複数の缶体100を後述の印刷装置20に供給する缶体供給部10を備える。また、印刷システム1は、缶体100に印刷を行う第1印刷装置21と、第1印刷装置21と並列に設けられて缶体100に印刷を行う第2印刷装置22と、第1印刷装置21および第2印刷装置22と並列に設けられて缶体100に印刷を行う第3印刷装置23と、を備える。
なお、本実施形態において、第1印刷装置21、第2印刷装置22および第3印刷装置23をそれぞれ区別しない場合には、「印刷装置20」と称して説明を行う。
【0011】
さらに、印刷システム1は、印刷が行われた複数の缶体100の搬送の間隔を調整する調整部30と、搬送の間隔が調整された複数の缶体100に保護層を形成する加工を行う加工装置40と、を備える。そして、印刷システム1は、加工装置40による加工が行われた複数の缶体100を蓄積する蓄積部50と、印刷システム1を構成する各構成部を統括的に制御する制御部60を備える。
【0012】
なお、本実施形態の印刷システム1では、第1印刷装置21、第2印刷装置22および第3印刷装置23という3台の印刷装置20を備えているが、少なくとも2台の印刷装置20を並列に備えていれば良く、4台以上の印刷装置20を並列に備えていても良い。
また、以下では、鉛直方向に沿った方向を「上下方向」とし、上下方向における鉛直上側を「上側」と称し、上下方向における鉛直下側を「下側」と称する。
【0013】
そして、本実施形態の印刷システム1では、複数の印刷装置20により印刷が行われた複数の缶体100を収集し、複数の缶体100の搬送の間隔を調整部30により調整し、調整部30によって缶体100同士の搬送の間隔が調整された複数の缶体100に対して順次、加工装置40によって保護層を形成する加工を行う。そして、本実施形態の印刷システム1では、缶体100に対する処理の効率の低下を抑制している。
以下において、本実施形態の印刷システム1の各構成部について詳細に説明する。
【0014】
〔缶体100〕
ここで、本実施形態の印刷システム1における印刷対象となる缶体100について説明する。缶体100は、有底円筒状に形成されている。そして、缶体100は、円筒状の部分である側面100sを有する(後述の図3参照)。また、缶体100は、軸方向の一端側に缶蓋が取り付けられる部分となる開口部100tを有する(後述の図3参照)。さらに、缶体100は、軸方向の他端側に、その他端側が塞がれた底部100bを有する(後述の図3参照)。
また、本実施形態の缶体100は、金属を材料とする。缶体100の材料には、アルミニウム、アルミニウム合金、スチールなどの金属を用いることができる。
【0015】
〔缶体供給部10〕
図1に示す缶体供給部10は、例えばドローアンドアイアニング(DI)成形によって缶体100を製造する製缶装置から複数の缶体100を取得する。そして、缶体供給部10は、複数の缶体100を、第1印刷装置21、第2印刷装置22および第3印刷装置23に対してそれぞれ供給する。
【0016】
〔印刷装置20〕
図2に示すように、印刷装置20は、缶体100を搬送する搬送部24と、複数の第1インクジェットヘッド250(後述)を用いて缶体100に印刷を行う第1印刷ユニット25と、複数の第2インクジェットヘッド260(後述)を用いて缶体100に印刷を行う第2印刷ユニット26と、を備える。
【0017】
(搬送部24)
図2に示すように、搬送部24は、缶体100を個別に保持して缶体100を個々に移動させる複数の移動ユニット241と、各移動ユニット241の移動を案内するガイドレール242と、を有する。
図3に示すように、移動ユニット241は、缶体100の内側に挿入されるマンドレル241Mと、マンドレル241Mを周方向に回転させたりマンドレル241Mの回転を停止させたりするブレーキ付モータ241Dと、これらの部品を支持するユニットベース241Bと、を有する。
【0018】
マンドレル241Mは、円筒状に形成されている。そして、マンドレル241Mは、缶体100の開口部100tを通じて缶体100に挿入され、缶体100を支持する。また、マンドレル241Mは、寝た状態(水平方向に沿った状態)で配置されている。これにより、本実施形態では、缶体100も寝た状態で配置される。
さらに、マンドレル241Mは、内部の空気を吸引する吸引機構(不図示)を有している。これにより、マンドレル241Mは、回転したり、搬送されたりしても、缶体100を強固に保持する。
【0019】
ブレーキ付モータ241Dは、制御部60(図1参照)によって回転が制御される。特に、ブレーキ付モータ241Dは、第1印刷ユニット25や第2印刷ユニット26にて缶体100に対する印刷が行われる際に、缶体100を周方向に回転させる。
ユニットベース241Bは、内部に、永久磁石(不図示)を有している。そして、ユニットベース241Bは、ガイドレール242の励磁によって、内部の永久磁石に吸引および反発の作用が生じることで、移動する。
【0020】
本実施形態のガイドレール242は、直線状に形成されている。ガイドレール242には、移動ユニット241のユニットベース241Bが移動可能に嵌め込まれる。これによって、ガイドレール242は、移動ユニット241の移動の方向を案内する。さらに、ガイドレール242は、移動ユニット241を移動させるための電磁石(不図示)を有する。そして、ガイドレール242の電磁石の励磁のタイミングは、制御部60(図1参照)によって制御される。このように、搬送部24では、リニア機構によって缶体100の搬送が行われる。
【0021】
そして、搬送部24において、移動ユニット241は、缶体100が水平方向に沿うように缶体100を保持する。また、移動ユニット241は、ガイドレール242の長手方向に缶体100の軸方向が沿うように、ガイドレール242に設置される。これによって、缶体100は、缶体100の軸方向に沿って搬送される。
【0022】
なお、移動ユニット241の移動は、リニア機構に限らず、他の機構を用いて行ってもよい。例えば、移動ユニット241の各々にモータなどの駆動源を設け、移動ユニット241の各々が自身で移動するようにしても良い。
【0023】
(第1印刷ユニット25)
第1印刷ユニット25は、インクジェット印刷方式を用いて缶体100に印刷する。インクジェット印刷方式とは、ヘッドからインクを吐出させて、缶体100にインクを付着させることにより行う画像形成方法である。インクジェット印刷方式による印刷には、例えば、ピエゾ方式、サーマル(バブル)方式、コンティニュアス方式などを用いることができる。
【0024】
そして、図4(A)に示すように、第1印刷ユニット25は、シアンのインクを吐出するシアンヘッド25C、マゼンタのインクを吐出するマゼンタヘッド25M、イエローのインクを吐出するイエローヘッド25Y、および黒のインクを吐出するブラックヘッド25Kを有する。
なお、シアンヘッド25C、マゼンタヘッド25M、イエローヘッド25Yおよびブラックヘッド25Kを、それぞれ区別しない場合には、単に「第1インクジェットヘッド250」と称する。
さらに、第1印刷ユニット25は、第1インクジェットヘッド250からのインクの吐出が行われた缶体100に対して、光を照射する第1光照射部500を有する。
【0025】
各々の第1インクジェットヘッド250は、缶体100の移動方向に沿うように配置されている。具体的には、第1インクジェットヘッド250は、各々インクを吐出する複数の吐出孔が、缶体100の軸方向に沿って並ぶように配置されている。そして、第1インクジェットヘッド250は、缶体100の開口部100tと底部100bとの間となる側面100sに対して、缶体100の軸方向の全体にわたって設けられる(図2参照)。
【0026】
そして、第1インクジェットヘッド250によって印刷を行う際、缶体100は、缶体100の軸方向には移動しない。一方で、第1インクジェットヘッド250によって印刷を行うとき、缶体100は、周方向に回転する。なお、本実施形態では、缶体100の側面100s(図3参照)の全体を対象として画像を形成するため、第1インクジェットヘッド250によって印刷を行う際、缶体100を周方向において少なくとも一周回転させる。
【0027】
そして、第1印刷ユニット25にて印刷が行われる際、搬送部24によって搬送される缶体100は、第1インクジェットヘッド250の下側にて停止する。このとき、移動ユニット241の移動方向における位置としては缶体100の移動は停止するが、缶体100は、周方向に回転する。すなわち、缶体100は、軸方向を回転軸とする自転を行っている。
【0028】
また、本実施形態では、缶体100の軸方向が水平方向に沿った状態で缶体100が移動し、缶体100の外周面の最上部となる一部が、上下方向における上側を向いている。そして、本実施形態の各々の第1インクジェットヘッド250は、この缶体100の側面100sに対して上側から下側に向けてインクを吐出し、缶体100に対する印刷を行う。
なお、第1印刷ユニット25は、缶体100に形成する画像の内容に応じて、複数の第1インクジェットヘッド250の全て、または、一部を用いて、缶体100に対するインクの吐出を行う。
【0029】
図4(A)に示すように、本実施形態の第1光照射部500は、缶体100を挟み複数の第1インクジェットヘッド250の設置側とは反対側に設けられている。本実施形態では、複数の第1インクジェットヘッド250が缶体100に対して上側に配置されている。そのため、第1光照射部500は、缶体100に対して下側に配置される。
【0030】
第1光照射部500は、紫外光を出射する光源500Aを備え、第1インクジェットヘッド250による印刷画像の形成が行われた缶体100の側面100sに対して紫外光を照射する。これにより、缶体100の側面100s上の印刷画像は、硬化する。具体的には、第1光照射部500は、缶体100の下側に配置され、上側に向けて紫外光を照射し、缶体100の下側から印刷画像の硬化を行う。
【0031】
ここで、本実施形態の第1光照射部500から出射される紫外光は、缶体100によって遮られるかたちとなり、この紫外光が、複数の第1インクジェットヘッド250へ達しにくくなる。言い換えると、本実施形態では、図4(A)に示すように、第1光照射部500と複数の第1インクジェットヘッド250との間に、缶体100が位置する形となり、第1光照射部500からの紫外光が複数の第1インクジェットヘッド250へ直接的に照射されなくなる。
これにより、第1インクジェットヘッド250に紫外光が達することに起因する、第1インクジェットヘッド250の目詰まりなどが起きにくくなる。
【0032】
さらに、本実施形態の第1光照射部500は、図4(A)に示すように、第1光照射部500の対向位置に缶体100があるときに、光源500Aを点灯させ、缶体100の側面100sに紫外光を照射する。具体的には、第1印刷ユニット25は、第1光照射部500の対向位置に缶体100があることを検知する不図示のセンサを備えている。そして、第1印刷ユニット25は、このセンサにより缶体100が検知されている場合に、第1光照射部500が光源500Aを点灯させる。
【0033】
そして、第1光照射部500は、光源500Aの対向位置に缶体100が存在しない場合には、光源500Aを消灯させ、または、光源500Aの出力を低下させる。具体的には、第1光照射部500は、センサにより缶体100が検知されていない場合、光源500Aを消灯したり、光源500Aの出力を低下させたりする。このように、光源500Aの対向位置に缶体100が存在しない場合には、光源500Aを消灯したり、光源500Aの出力を低下させたりすることで、第1インクジェットヘッド250へ紫外光が達しないようにしている。
【0034】
なお、第1印刷ユニット25による缶体100に対する印刷にあたっては、熱硬化型のインクを用いても良い。この場合は、例えば、第1光照射部500が設けられている箇所に、光源ではなく発熱ランプなどの熱源を設置することができる。この熱源を用いる場合においても、缶体100を検知するセンサに基づく熱源のオンおよびオフなどの出力制御は、上述した光源500Aと同様に行うことができる。
【0035】
(第2印刷ユニット26)
図2に示すように、第2印刷ユニット26は、搬送部24による缶体100の搬送方向において、第1印刷ユニット25の下流側に配置される。
そして、図4(B)に示すように、第2印刷ユニット26は、白色のインクを吐出する第1ホワイトヘッド26W1、第1ホワイトヘッド26W1とは別に白色のインクを吐出する第2ホワイトヘッド26W2、透明なインクを吐出する透明ヘッド26T、およびコーポレートカラーなどの特殊な色のインクを吐出する特色ヘッド26Sを有する。
なお、第1ホワイトヘッド26W1、第2ホワイトヘッド26W2、透明ヘッド26Tおよび特色ヘッド26Sを、それぞれ区別しない場合には、単に「第2インクジェットヘッド260」と称する。
さらに、第2印刷ユニット26は、第2インクジェットヘッド260からのインクの吐出が行われた缶体100に対して、光を照射する第2光照射部600を有する。
【0036】
第2印刷ユニット26の基本構成は、上述のとおり、缶体100に対して吐出するインクの色などの構成が第1印刷ユニット25と異なる点を除いて、第1印刷ユニット25と同様である。
【0037】
図4(B)に示すように、第2光照射部600は、缶体100を挟み複数の第2インクジェットヘッド260の設置側とは反対側に設けられている。本実施形態では、複数の第2インクジェットヘッド260が缶体100に対して上側に配置されている。そのため、第2光照射部600は、缶体100に対して下側に配置される。
そして、第2光照射部600は、紫外光を出射する光源600Aを有する。第2光照射部600は、第2インクジェットヘッド260によって印刷が行われた缶体100の側面100sに対して紫外光を照射する。
【0038】
上記のように構成される第2印刷ユニット26は、第1印刷ユニット25によって印刷が行われた缶体100の側面100sに対して、さらに印刷を行う。このように、本実施形態の印刷装置20では、第1印刷ユニット25が備えていない色のインクを有する第2印刷ユニット26を用いることで、第1印刷ユニット25だけでは表現できない画像を缶体100に形成する。
【0039】
上述したとおり、第1印刷装置21は、複数の第1インクジェットヘッド250を有する第1印刷ユニット25と、複数の第2インクジェットヘッド260を有する第2印刷ユニット26との複数の「印刷ユニット」(印刷部の一例)を備えている。これは、第2印刷装置22や第3印刷装置23においても同様である。このように、本実施形態の印刷装置20は、それぞれ、複数の「インクジェットヘッド」を有する「印刷ユニット」を、複数備えている。これによって、本実施形態の印刷装置20では、缶体100に対する印刷時間の短縮や、装置の小型化を図っている。
【0040】
なお、第1印刷ユニット25と第2印刷ユニット26とは、上述した構成に限定されない。
例えば、第2印刷ユニット26は、缶体100の搬送方向において、第1印刷ユニット25よりも上流側に設けられていても良い。この場合には、第2印刷ユニット26によって缶体100の側面100sに対して白色層を形成したうえで、第1印刷ユニット25によってイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒を用いたカラー印刷を行うことができる。これによって、下地として形成した白色層の上にカラー色を載せることができるため、カラー色をきれいにみせられる。
【0041】
例えば、第1印刷ユニット25の複数の第1インクジェットヘッド250と、第2印刷ユニット26の複数の第2インクジェットヘッド260との色の構成は、同じであっても良い。この場合には、第1印刷ユニット25と第2印刷ユニット26とで、同じ色を重ねることができ、例えば濃淡などの表現の幅が広がる。
【0042】
例えば、第1印刷ユニット25の第1インクジェットヘッド250と、第2印刷ユニット26の複数の第2インクジェットヘッド260とは、ヘッドの解像度が互いに異なっていても良い。この場合、例えば解像度が低い一方で各吐出ヘッドから吐出されるインクの面積が大きい第1印刷ユニット25を用いていわゆるベタ塗りを行ったり、第2印刷ユニット26を用いて精細な画を形成したりしても良い。
【0043】
例えば、第1印刷ユニット25と第2印刷ユニット26とは、移動ユニット241による缶体100の周方向の回転速度が異なっていても良い。この場合には、上述したヘッドの解像度の相違と同様に、精細な画像と粗くても良い画像とで、第1印刷ユニット25と第2印刷ユニット26とを使い分けても良い。
【0044】
さらに、第1印刷ユニット25の第1インクジェットヘッド250と、第2印刷ユニット26の複数の第2インクジェットヘッド260とは、缶体100の軸方向におけるヘッドの長さが異なっていても良い。この場合には、例えば容量が350mlの比較的短い缶体100と、容量が500mlの比較的長い缶体100とで、第1印刷ユニット25と第2印刷ユニット26とを使い分けても良い。
【0045】
さらに、第1印刷ユニット25の第1光照射部500と、第2印刷ユニット26の第2光照射部600とは、紫外線の照射条件を異ならせても良い。例えば、第1光照射部500による紫外線の照射強度を、第2光照射部600よりも高くしても良い。一方で、第2光照射部600による紫外線の照射強度を、第1光照射部500よりも高くしても良い。
【0046】
また、第1印刷ユニット25と第2印刷ユニット26とは、第1光照射部500および第2光照射部600の両方をそれぞれ備えていなくても良い。例えば、第1印刷ユニット25には第1光照射部500を設けずに、缶体100の搬送方向において下流側に設けられる第2印刷ユニット26だけが第2光照射部600を備えていても良い。
【0047】
なお、第1印刷ユニット25の第1光照射部500や第1インクジェットヘッド250と、第2印刷ユニット26の第2光照射部600や第2インクジェットヘッド260との相違に基づく上述の複数の特徴的な構成は、互いに組み合わせても良い。
【0048】
〔変形例の印刷装置20〕
図5は、変形例の印刷装置20の説明図である。
ここで、図5(A)は、第1印刷ユニット25および移動ユニット241の側面図である。図5(B)は、図5(A)に示す矢印VBで示す方向から第1印刷ユニット25および移動ユニット241を見た場合の図である。図5(C)は、図5(A)の矢印VCで示す方向から遮蔽部材700を見た場合の図である。
なお、以下の変形例は、第1印刷ユニット25を例に用いて説明を行うが、第2印刷ユニット26においても同様に適用することができる。
【0049】
図5(A)に示すように、変形例の第1印刷ユニット25は、第1光照射部500から第1インクジェットヘッド250に向かう光を遮蔽する遮蔽部材700を有している。
本実施形態の遮蔽部材700は、図5(B)にて示す缶体100の両側方を通って、第1インクジェットヘッド250側に向かう紫外光を減じる。
【0050】
遮蔽部材700は、図5(A)および図5(B)に示すように、第1光照射部500と第1インクジェットヘッド250との間に設けられている。そして、遮蔽部材700は、図5(C)に示すように、板状に形成される。なお、遮蔽部材700の形状や材質は、紫外線を透過しない性質のものであれば、特に限定されない。遮蔽部材700は、板状に限らず、シート状に形成してもよい。また、遮蔽部材700の材料には、金属や樹脂を用いることができる。そして、遮蔽部材700は、第1光照射部500から第1インクジェットヘッド250へ向かう光をさらに減らす。
【0051】
図5(C)に示すように、遮蔽部材700は、第1光照射部500から、缶体100に向かう光を通すように開口する光透過部700Hを有している。光透過部700Hは、図5(B)に示すように、光源500Aと缶体100の軸心Gとを結ぶ直線CH上に位置する。言い換えると、光透過部700Hは、光源500Aから缶体100に向かう紫外光の光路上に位置する。そして、遮蔽部材700は、光透過部700Hを始点とした場合に、缶体100の移動方向における上流側および下流側の両方に向かって延びるように配置されている。
【0052】
本変形例では、第1光照射部500の光源500Aから出射された光は、光透過部700Hを通って、缶体100の側面100sに向かい、この側面100sに照射される。これにより、上記と同様、缶体100の側面100s上の印刷画像が硬化する。
【0053】
〔調整部30〕
図6は、本実施形態の調整部30の全体図である。
【0054】
図6に示すように、本実施形態の調整部30は、印刷装置20から缶体100を収集する収集部31と、缶体100を搬送する第1搬送部33と、缶体100の搬送方向において第1搬送部33の下流側に設けられて缶体100を搬送する第2搬送部35と、を有する。
そして、本実施形態の調整部30は、複数の印刷装置20によってそれぞれ印刷が行われた印刷済みの複数の缶体100を収集し、複数の缶体100の搬送の間隔を調整する。そして、調整部30は、搬送の間隔を調整した複数の缶体100を、後段の加工装置40(図7参照)に渡す。
【0055】
(収集部31)
収集部31は、第1印刷装置21、第2印刷装置22および第3印刷装置23(図1参照)における缶体100の搬送方向の下流側にそれぞれ接続している。そして、収集部31は、第1印刷装置21、第2印刷装置22および第3印刷装置23から、各々の印刷装置20が作成した印刷済みの複数の缶体100を収集する。そして、収集部31は、第1印刷装置21、第2印刷装置22および第3印刷装置23からそれぞれ収集した複数の缶体100を合流させる。さらに、収集部31は、合流させた複数の缶体100を第1搬送部33に送る。
【0056】
(第1搬送部33)
第1搬送部33は、無端状のベルト33Bと、ベルト33Bが掛け回される複数の張架軸33Sと、張架軸33Sを駆動する駆動モータ33Mとを有している。そして、第1搬送部33は、駆動モータ33M(駆動源の一例)による動力を用いて缶体100を能動的に搬送する。
【0057】
ベルト33Bは、上側を向くベルト面に、複数の缶体100を載せることができる。また、本実施形態のベルト33Bの上側のベルト面は、水平面に沿って形成されている。なお、ベルト33Bには、合成ゴムなど、缶体100を変形等させずに搬送することが可能な材料を用いることができる。
張架軸33Sは、軸方向が略平行に設けられた状態で、予め定められた距離だけ離れて設けられる。そして、張架軸33Sには、ベルト33Bが掛け回される。
駆動モータ33Mは、張架軸33Sに接続し、張架軸33Sを回転させる。駆動モータ33Mの回転の制御は、制御部60(図1参照)によって行われる。
【0058】
第1搬送部33は、ベルト33Bの上側のベルト面に載る缶体100が、上流側の収集部31から下流側の第2搬送部35に移動するようにベルト33Bを回転させる。そして、第1搬送部33は、収集部31から受け取った複数の缶体100を、第2搬送部35に向けて搬送する。このように、第1搬送部33は、例えばマンドレルなどを缶体100の内側に挿入して缶体100を個別に保持した状態で搬送するのではなく、缶体100自体は自由に動けるよう、缶体100を保持せずに搬送する。つまり、第1搬送部33は、複数の缶体100同士の間隔が変化することを許容した状態で、複数の缶体100を搬送する。
また、第1搬送部33による缶体100の搬送速度は、第2搬送部35の搬送速度と比較して大きく設定されている。
【0059】
(第2搬送部35)
第2搬送部35は、缶体100が搬送される搬送路351と、缶体100の移動を案内する案内部352と、を有する。
【0060】
搬送路351は、第1搬送部33側の位置が相対的に高く、加工装置40(後述の図7参照)側の位置が相対的に低くなるように傾斜している。搬送路351は、一端側が第1搬送部33に接続し、他端側が加工装置40の後述する缶体投入部42(後述の図7参照)に接続する。そして、搬送路351は、缶体100を自重により転がらせることで、複数の缶体100を第1搬送部33から加工装置40に向けて搬送する。このように、第2搬送部35は、第1搬送部33と同様に缶体100を保持せずに搬送する。つまり、第2搬送部35は、缶体100自体が自由に動けるようにし、複数の缶体100同士の間隔が変化することを許容した状態で複数の缶体100を搬送する。
【0061】
案内部352は、搬送路351にて缶体100が自重で転がりながら移動できるように、缶体100の向きを案内する。案内部352は、缶体100の開口部100t側と底部100b側とにそれぞれ設けられる。そして、案内部352は、缶体100の軸方向が搬送路351と交差(例えば、直交)した状態で、複数の缶体100が搬送路351において横に並ぶように缶体100を案内する。
【0062】
そして、第2搬送部35による缶体100の搬送速度は、第1搬送部33と比較して小さくなっている。また、上述のとおり、第2搬送部35は、缶体100の搬送方向において第1搬送部33よりも下流側に設けられている。これによって、第2搬送部35は、複数の缶体100同士の搬送の間隔を狭める。
このように、調整部30は、複数の缶体100同士の搬送の間隔を、1台の印刷装置20(例えば、第1印刷装置21、第2印刷装置22および第3印刷装置23のうちのいずれか1台)にて印刷が行われるときの複数の缶体100同士の搬送の間隔よりも短くする。
【0063】
〔加工装置40〕
図7は、本実施形態の加工装置40の全体図である。
【0064】
図7に示すように、加工装置40は、缶体100を搬送する加工搬送部41と、加工搬送部41に対して缶体100を投入する缶体投入部42と、を有する。さらに、加工装置40は、缶体100の側面100sに対して塗装を行う塗装部43と、塗装された缶体100を乾燥させる乾燥部44と、塗装が乾燥した缶体100を加工搬送部41から排出する缶体排出部45とを有している。
そして、加工装置40は、調整部30によって缶体100同士の搬送の間隔が調整された複数の缶体100のうち各々の缶体100に、缶体100の外面(例えば、側面100s)を保護する保護層を形成する加工を行う。
【0065】
加工搬送部41は、各々の缶体100を保持して缶体100を移動させる複数の移動ユニット411と、各移動ユニット411の移動を案内するガイドレール412と、を有している。
そして、本実施形態の加工搬送部41の移動ユニット411およびガイドレール412の基本構成は、上述した搬送部24の移動ユニット241およびガイドレール242(図2参照)と同様である。
【0066】
移動ユニット411は、移動ユニット241と同様に、マンドレルに缶体100を挿入して缶体100を保持する(図3参照)。また、加工搬送部41において、搬送部24と同様に、移動ユニット411は、缶体100を水平方向に沿って、寝た状態で保持する。
ただし、加工搬送部41では、ガイドレール412が直線部および円弧部を有するループ状に形成されている。そして、移動ユニット411は、ループ状の搬送経路に沿って移動する。また、移動ユニット411は、缶体100の軸方向が搬送方向と交差(例えば、直交)する方向で缶体100を保持する。このように、加工搬送部41によって缶体100を搬送する際の缶体100の向きは、缶体100に印刷を行う際の搬送部24(図2参照)による缶体100の向きと異なっている。
【0067】
缶体投入部42は、調整部30から缶体100を受け取って、加工搬送部41の移動ユニット411に缶体100を装着する。すなわち、缶体投入部42は、調整部30にて搬送の間隔が調整された複数の缶体100を、加工搬送部41に順次、投入する。
【0068】
塗装部43は、回転する缶体100に接触しながら回転する接触ロール431と、接触ロール431の表面に保護層となる塗料を供給する供給ロール432と、塗料が収容された収容部433と、を有する。
塗装部43では、供給ロール432によって収容部433内の塗料が接触ロール431に供給される。そして、接触ロール431は、缶体100の側面100sに塗料を塗布する。本実施形態の塗装部43は、缶体100の側面100sに透明な塗料を塗布し、缶体100の外周面に保護層を形成する。
【0069】
乾燥部44は、加熱源としての赤外線ヒータ(不図示)を有している。赤外線ヒータは、移動ユニット411の移動方向における複数箇所に設置されている。そして、乾燥部44は、移動ユニット411が内部を移動していく過程で、缶体100に対する加熱を行う。そして、乾燥部44は、缶体100に形成された保護層を硬化させる。
【0070】
缶体排出部45は、乾燥部44によって保護層が硬化された缶体100を加工搬送部41から排出する。そして、缶体排出部45は、排出した缶体100を蓄積部50に受け渡す。
【0071】
そして、本実施形態の加工装置40は、各々の缶体100に対して、それぞれ保護層を形成する。また、本実施形態の加工装置40は、単位時間当たりの缶体100の処理数は、上述した複数の印刷装置20(例えば、第1印刷装置21、第2印刷装置22および第3印刷装置23)の合計による、単位時間当たりの缶体100の処理数と同様となっている。
【0072】
〔蓄積部50〕
蓄積部50は、缶体排出部45が加工搬送部41から排出した複数の缶体100を蓄積する。
蓄積部50は、さらに後段に設けられる工程からの要求に応じて、蓄積した複数の缶体100を受け渡す。
【0073】
〔制御部60〕
図1に示す制御部60は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)と、BIOS(Basic Input Output System)等のプログラムを記憶する記憶領域であるROM(Read Only Memory)と、プログラムの実行領域であるRAM(Random Access Memory)とを備える。また、制御部60は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種プログラム、各種プログラムに対する入力データ、各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域であるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備える。なお、制御部60は、複数のCPUを有し、複数のCPUが協働して演算処理を行っても良い。
【0074】
そして、制御部60は、予め定められたプログラムの内容、および図示しない各種センサによる移動ユニット241や移動ユニット411等の位置などの位置情報や、各装置や構成部の動作情報に基づいて、缶体供給部10、印刷装置20、調整部30、加工装置40および蓄積部50の動作を制御する。
【0075】
続いて、本実施形態の印刷システム1の動作について説明する。
図1に示す印刷システム1では、缶体供給部10によって、複数の印刷装置20(第1印刷装置21、第2印刷装置22および第3印刷装置23)に対して、それぞれ複数の缶体100が供給される。そして、各々の印刷装置20は、複数の缶体100に対する印刷を行う。さらに、複数の印刷装置20によってそれぞれ印刷が行われた複数の缶体100は、調整部30に集まる。
【0076】
なお、本実施形態の印刷装置20では、上述のとおり、インクジェット方式を用いて印刷を行う。そして、インクジェット方式の場合には、例えば刷版印刷方式のように印刷の元となる版を予め準備する必要がないため、缶体100毎に印刷内容を変更することが容易である。従って、缶体100に印刷される画像の内容は、例えば第1印刷装置21により印刷が行われる複数の缶体100の中で同じであっても良く、異なっていても良い。また、缶体100に印刷される画像の内容は、例えば第1印刷装置21と第2印刷装置22とで、互いに同じであっても良く、異なっていても良い。
【0077】
そして、図6に示すように、調整部30は、収集部31によって、複数の印刷装置20(図1参照)からの複数の缶体100が収集される。さらに、収集部31によって収集された複数の缶体100は、第1搬送部33によって第2搬送部35に搬送される。ここで、上述のとおり、第1搬送部33による缶体100の搬送速度は、第2搬送部35よりも大きい。この搬送の速度差によって、第2搬送部35における複数の缶体100の間隔が詰められて、第2搬送部35における複数の缶体100同士の搬送の間隔は、短くなる。このように、調整部30は、複数の缶体100の搬送の間隔を調整する。
【0078】
また、調整部30では、搬送の間隔を調整する際に、缶体100を保持せずに搬送する。
ここで、印刷装置20において、各缶体100は、搬送部24の移動ユニット241によって保持される。一方、加工装置40において、各缶体100は、加工搬送部41の移動ユニット411によって保持される。そして、印刷装置20と加工装置40とは、缶体100に対する単位時間当たりの処理数が異なる。この単位時間当たりの処理数の相違に伴って、印刷装置20と加工装置40とは、各々の「移動ユニット」の搬送速度が異なる。そのため、印刷装置20と加工装置40とにおいて、同じ搬送系での「移動ユニット」を用いて缶体100を搬送することは、装置の機構や制御の観点から難しい。
【0079】
また、本実施形態の印刷システム1において、印刷装置20は、缶体100の軸方向に缶体100を搬送し、缶体100に印刷を行う。一方で、加工装置40は、缶体100の軸方向と交差する方向に缶体100を搬送し、缶体100に加工を行う。このように、印刷装置20と加工装置40とは、缶体100を搬送する際の缶体100の向きも異なっている。
【0080】
これに対して、本実施形態の印刷システム1において、調整部30は、搬送速度や搬送される際の缶体100の向きがそれぞれ異なる印刷装置20と加工装置40との間に設けられる。そして、調整部30は、缶体100を保持せずに搬送することで、缶体100の搬送に関する構成が異なる装置間で缶体100を受け渡せるようにしている。
【0081】
そして、加工装置40は、調整部30によって、例えば各々の印刷装置20による複数の缶体100の搬送の間隔よりも、搬送の間隔が狭められた複数の缶体100を受け取る。加工装置40は、複数の缶体100に対して、それぞれ保護層を形成する加工を行う。この際、加工装置40の単位時間当たりの缶体100の処理数は、単体の印刷装置20と比較して大きい。ただし、本実施形態の印刷システム1では、複数の印刷装置20を並列に用いて複数の缶体100に対して印刷を行い、さらに調整部30によって缶体100の搬送の間隔を調整することで、単体の装置ごとの処理能力の差異にかかわらずに、複数の缶体100に対する処理の効率の低下が抑制される。
【0082】
なお、本実施形態においては、インクジェット方式を用いた印刷装置20を例に用いているが、印刷装置20における印刷方式は、インクジェット方式に限定されず、他の印刷方法を用いることができる。ただし、本実施形態のように、インクジェット方式の印刷は、例えば刷版印刷と比較して、単位時間当たりに印刷する処理数が比較的少ない。従って、本実施形態の印刷システム1を、インクジェット方式の印刷装置20を用いる場合に適用することで、缶体100に対する処理の効率の低下を抑制するという効果がもたらされやすい。
【0083】
以上、本実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。上述した実施形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0084】
1…印刷システム、10…缶体供給部、20…印刷装置、21…第1印刷装置、22…第2印刷装置、24…搬送部、25…第1印刷ユニット、26…第2印刷ユニット、30…調整部、31…収集部、33…第1搬送部、35…第2搬送部、40…加工装置、41…加工搬送部、50…蓄積部、100…缶体、241…移動ユニット、242…ガイドレール、250…第1インクジェットヘッド、260…第2インクジェットヘッド、500…第1光照射部、500A…光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7