(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】マニュアルアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H01R 33/76 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
H01R33/76 503C
(21)【出願番号】P 2020189367
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】軣木 岳史
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-008499(JP,A)
【文献】特開2006-105692(JP,A)
【文献】特開平10-255943(JP,A)
【文献】特開2003-346998(JP,A)
【文献】実開平06-079156(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッドと、
前記リッドに取り付けられるベースと、
前記リッドに取り付けられ、その一部分が前記リッドの上方に位置するコネクタと、
前記リッドと被検査装置との間に設けられ、前記被検査装置を押圧するプッシャと、
前記コネクタの前記一部分と前記プッシャとの間に設けられ、前記コネクタの前記一部分が前記被検査装置に向けて押し込まれることで
、前記コネクタの前記一部分を前記コネクタの前記一部分が押し込まれる方向とは反対の方向に付勢する第1弾性部材と、
を備え
、
前記第1弾性部材は、前記コネクタによって前記ベースに前記リッドが取り付けられたときに前記プッシャを前記被検査装置に向けて付勢する部材として機能する、マニュアルアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1弾性部材は、前記コネクタと前記プッシャとの間で前記リッドを貫通して設けられている、請求項1に記載のマニュアルアクチュエータ。
【請求項3】
前記リッドと前記プッシャとの間に設けられ、前記プッシャを前記被検査装置に向けて付勢する第2弾性部材をさらに備える、請求項1又は2に記載のマニュアルアクチュエータ。
【請求項4】
前記コネクタは、前記リッドの上方に位置する前記一部分と前記リッドの側方に位置する他部分とを有し、前記一部分と前記他部分とが交差する交差部分を軸として前記一部分が前記被検査装置に向けて回転可能に前記リッドに取付けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のマニュアルアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニュアルアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)等の被検査装置である電子装置を検査するため、マニュアルアクチュエータが用いられる場合がある。例えば特許文献1に記載されているように、マニュアルアクチュエータは、リッド部材と、リッド部材と半導体装置との間に設けられ、半導体装置を押圧する押圧体(プッシャ)と、を備えている。押圧体は、リッド部材と押圧体との間に設けられたコイルスプリング等の弾性部材によって半導体装置に向けて付勢されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に記載されているマニュアルアクチュエータでは、押圧体を被検査装置に向けて付勢させる力を増強するために、押圧体とリッド部材との間に設けられるコイルスプリングの長さを長くしたり、当該コイルスプリングの数を増やしたりする場合がある。しかしながら、マニュアルアクチュエータの高さ、幅等のサイズの制約から、当該コイルスプリングの長さを長くしたり、当該コイルスプリングの数を増やしたりすることができない場合がある。
【0005】
本発明の目的の一例は、マニュアルアクチュエータのサイズの制約による影響を抑えつつ、プッシャを被検査装置に向けて付勢させる力を増強することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
リッドと、
前記リッドに取り付けられたコネクタと、
前記リッドと被検査装置との間に設けられ、前記被検査装置を押圧するプッシャと、
前記コネクタと前記プッシャとの間に設けられ、前記プッシャを前記被検査装置に向けて付勢する第1弾性部材と、
を備えるマニュアルアクチュエータである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、マニュアルアクチュエータのサイズの制約による影響を抑えつつ、プッシャを被検査装置に向けて付勢させる力を増強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るマニュアルアクチュエータの斜視図である。
【
図2】実施形態に係るマニュアルアクチュエータの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
本明細書において、「第1」、「第2」、「第3」等の序数詞は、特に断りのない限り、同様の名称が付された構成を単に区別するために付されたものであり、構成の特定の特徴(例えば、順番又は重要度)を意味するものではない。
【0011】
図1は、実施形態に係るマニュアルアクチュエータ10の斜視図である。
図2は、実施形態に係るマニュアルアクチュエータ10の分解斜視図である。
【0012】
図1及び
図2において、第1方向Xは、鉛直方向に直交する水平方向に平行な方向である。具体的には、第1方向Xは、後述する2つのコネクタ300が対向する方向である。第2方向Yは、水平方向に平行な方向であり、第1方向Xに直交している。第3方向Zは、鉛直方向に平行な方向である。第1方向X、第2方向Y又は第3方向Zを示す矢印は、当該矢印の基端から先端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の正方向であり、当該矢印の先端から基端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の負方向であることを示している。第3方向Zの正方向は、鉛直方向の上方向となっており、第3方向Zの負方向は、鉛直方向の下方向となっている。
【0013】
マニュアルアクチュエータ10は、ベース100、リッド200、2つのコネクタ300、プッシャ400、2つの第1弾性部材510及び4つの第2弾性部材520を備えている。
【0014】
本実施形態では、マニュアルアクチュエータ10を用いて、ソケット20の上面側に設けられた被検査装置であるIC等の電子装置30が検査される。電子装置30は、ソケット20の下面側に設けられる不図示のPCB(Printed Circuit Board)等の検査基板に、ソケット20を介して電気的に接続される。
【0015】
ベース100は、ソケット20の上面側に設けられている。ベース100は、ソケット20の上面側に設けられた電子装置30を囲む枠形状となっている。ベース100のうち第1方向X側の両辺の各々には、後述するコネクタ300の爪322が引っ掛かるラッチ102が設けられている。また、ベース100は、ソケット20の下方からソケット20の一部分を貫通してベース100に挿入されるネジ112によってソケット20に固定されている。本実施形態では、ベース100のうち第1方向Xの両側の各々にネジ112が設けられている。なお、ベース100をソケット20に固定する方法は、本実施形態に係る方法に限定されない。
【0016】
リッド200は、後述するプッシャ400、2つの第1弾性部材510及び4つの第2弾性部材520を介して、電子装置30及びベース100の上方に配置されている。後述するように、リッド200は、コネクタ300によって、ベース100に対して着脱自在になっている。
【0017】
コネクタ300は、リッド200の第1方向Xの両側の各々に設けられている。各コネクタ300は、リッド200に回転可能に取り付けられている。各コネクタ300は、第1延伸部310、第2延伸部320及び爪322を有している。また、詳細を後述するように、各コネクタ300には、リッド200に取り付けられた第1ポール212が貫通している。
【0018】
以下、必要に応じて、リッド200の第1方向Xの負方向側に設けられたコネクタ300、第1延伸部310、第2延伸部320、爪322及び第1ポール212を、それぞれ、第1方向Xの負方向側のコネクタ300、第1延伸部310、第2延伸部320、爪322及び第1ポール212という。また、必要に応じて、リッド200の第1方向Xの正方向側に設けられたコネクタ300、第1延伸部310、第2延伸部320、爪322及び第1ポール212を、それぞれ、第1方向Xの正方向側のコネクタ300、第1延伸部310、第2延伸部320、爪322及び第1ポール212という。さらに、必要に応じて、ベース100のうち第1方向Xの負方向側の辺に設けられたラッチ102を第1方向Xの負方向側のラッチ102という。また、必要に応じて、ベース100のうち第1方向Xの正方向側の辺に設けられたラッチ102を第1方向Xの正方向側のラッチ102という。
【0019】
第1方向Xの負方向側の第1延伸部310は、リッド200の中心を第1方向Xに平行に通過する仮想線上に位置し、かつリッド200の中心から第1方向Xの負方向側にずれて位置している。また、第1方向Xの負方向側の第1延伸部310は、第1方向Xの負方向側の第2延伸部320のうち第3方向Zの正方向側の端部と交差していて、第1方向Xの負方向側の第2延伸部320のうち第3方向Zの正方向側の端部からリッド200の中心に向けて第1方向Xの正方向に延伸している。第1方向Xの負方向側の第2延伸部320は、第1方向Xの負方向側の第1延伸部310のうち第1方向Xの負方向側の端部と交差していて、第1方向Xの負方向側の第1延伸部310のうち第1方向Xの負方向側の端部から下方に向けて第3方向Zの負方向に延伸している。これによって、第2方向Yから見て、第1方向Xの負方向側のコネクタ300は、略L字状になっている。第1方向Xの負方向側の第2延伸部320の先端、すなわち下端には、第1方向Xの負方向側のラッチ102に引っ掛かる爪322が設けられている。第1方向Xの負方向側のコネクタ300は、リッド200に取り付けられた第1方向Xの負方向側の第1ポール212がコネクタ300のうち第1延伸部310と第2延伸部320との間の交差部を第2方向Yに沿って貫通した状態で、リッド200に取り付けられている。これによって、コネクタ300は、第1ポール212を回転軸として回転可能になっている。このため、第1方向Xの負方向側の第1延伸部310のうち第1方向Xの負方向側の第1ポール212に対して第1方向Xの正方向側に位置する少なくとも一部分を下方に向けて押し込むことで、第1方向Xの負方向側の第2延伸部320の下端がリッド200の第1方向Xの外側、すなわち、第1方向Xの負方向に向けて移動するようになる。
【0020】
第1方向Xの正方向側のコネクタ300は、リッド200の中心を第2方向Yに平行に通過する仮想線に関して、第1方向Xの負方向側のコネクタ300と対称に配置されている。第1方向Xの正方向側の第1延伸部310のうち第1方向Xの正方向側の第1ポール212に対して第1方向Xの負方向側に位置する少なくとも一部分を下方に向けて押し込むことで、第1方向Xの正方向側の第2延伸部320の下端がリッド200の第1方向Xの外側、すなわち、第1方向Xの正方向に向けて移動するようになる。
【0021】
リッド200は、次のようにしてベース100に取り付けられる。まず、第1方向Xの負方向側の第1延伸部310のうち第1方向Xの負方向側の第1ポール212に対して第1方向Xの正方向側に位置する少なくとも一部分を下方に向けて押し込む。また、第1方向Xの正方向側の第1延伸部310のうち第1方向Xの正方向側の第1ポール212に対して第1方向Xの負方向側に位置する少なくとも一部分を下方に向けて押し込む。これによって、第1方向Xの負方向側のコネクタ300が第1方向Xの負方向側の第1ポール212を回転軸として回転して、第1方向Xの負方向側の第2延伸部320の下端がリッド200の第1方向Xの外側、すなわち、第1方向Xの負方向に向けて移動する。また、第1方向Xの正方向側のコネクタ300が第1方向Xの正方向側の第1ポール212を回転軸として回転して、第1方向Xの正方向側の第2延伸部320の下端がリッド200の第1方向Xの外側、すなわち、第1方向Xの正方向に向けて移動する。次いで、2つのコネクタ300が第1方向Xにベース100を挟むように、リッド200をベース100の上方に配置する。次いで、第1延伸部310を下方に向けて押し込む力を解除する。これによって、第1延伸部310が後述するように第1弾性部材510によって上方に向けて付勢されて、第1方向Xの負方向側の第2延伸部320の下端がベース100、すなわち第1方向Xの正方向側に向けて移動し、第1方向Xの負方向側の爪322が第1方向Xの負方向側のラッチ102に引っ掛かる。また、第1方向Xの正方向側の第2延伸部320の下端がベース100、すなわち第1方向Xの負方向側に向けて移動し、第1方向Xの正方向側の爪322が第1方向Xの正方向側のラッチ102に引っ掛かる。このようにして、
図1に示すように、リッド200がベース100に取り付けられる。
【0022】
図1に示すようにリッド200がベース100に取り付けられている場合、リッド200は、次のようにしてベース100から取り外される。まず、第1方向Xの負方向側の第1延伸部310のうち第1方向Xの負方向側の第1ポール212に対して第1方向Xの正方向側に位置する少なくとも一部分を下方に向けて押し込む。また、第1方向Xの正方向側の第1延伸部310のうち第1方向Xの正方向側の第1ポール212に対して第1方向Xの負方向側に位置する少なくとも一部分を下方に向けて押し込む。これによって、第1方向Xの負方向側のコネクタ300が第1方向Xの負方向側の第1ポール212を回転軸として回転して、第1方向Xの負方向側の第2延伸部320の下端がベース100の第1方向Xの外側、すなわち、第1方向Xの負方向に向けて移動し、第1方向Xの負方向側の爪322が第1方向Xの負方向側のラッチ102から離れる。また、第1方向Xの正方向側のコネクタ300が第1方向Xの正方向側の第1ポール212を回転軸として回転して、第1方向Xの正方向側の第2延伸部320の下端がベース100の第1方向Xの外側、すなわち、第1方向Xの正方向に向けて移動し、第1方向Xの正方向側の爪322が第1方向Xの正方向側のラッチ102から離れる。次いで、リッド200をベース100の上方から別の場所へ移動させる。このようにして、リッド200がベース100から取り外される。
【0023】
プッシャ400は、リッド200と電子装置30との間、具体的には、リッド200の下面と電子装置30の上面との間に設けられている。
図1に示すようにリッド200がベース100に取り付けられている場合、プッシャ400は、後述する第1弾性部材510及び第2弾性部材520の付勢によって、電子装置30を下方、すなわちソケット20に向けて押圧する。具体的には、プッシャ400は、リッド200に取り付けられた第2ポール214がプッシャ400の第1貫通孔402を第2方向Yに沿って貫通した状態で、リッド200に取り付けられている。第1貫通孔402の第3方向Zの幅は、第2ポール214の第3方向Zの幅より広くなっている。このため、プッシャ400は、第2ポール214が第1貫通孔402を貫通した状態で、リッド200に対して第3方向Zに沿って移動可能になっている。本実施形態では、プッシャ400の第1方向Xの中心を挟んで第1方向Xの両側の各々に第2ポール214が設けられている。なお、第2ポール214の数及び配置は、本実施形態に係る例に限定されない。
【0024】
第1弾性部材510は、コネクタ300とプッシャ400との間、具体的には、第1延伸部310の下面とプッシャ400の上面との間に設けられている。第1弾性部材510はバネとなっている。なお、第1弾性部材510は、ゴム等、バネ以外の弾性部材であってもよい。第1弾性部材510の下端は、プッシャ400の上面に設けられた第1案内穴410に挿入されている。これによって、第1弾性部材510の位置合わせがなされている。なお、第1弾性部材510を位置合わせする方法は、本実施形態に係る方法に限定されない。例えば、プッシャ400の上面に設けられた突起に第1弾性部材510の下端を貫通させることで、第1弾性部材510を位置合わせしてもよい。リッド200がベース100に取り付けられる際又はリッド200がベース100から取り外される際に第1延伸部310が下方に向けて押し込まれた場合、第1弾性部材510は、第1延伸部310を上方に向けて付勢する。また、
図1に示すようにベース100がリッド200に取り付けられている場合、第1弾性部材510は、第3方向Zに圧縮されている。したがって、ベース100がリッド200に取り付けられている場合、第1弾性部材510は、プッシャ400を電子装置30に向けて付勢する。
【0025】
本実施形態では、プッシャ400の第1方向Xの中心を挟んで第1方向Xの両側の各々に第1弾性部材510が設けられている。この場合、プッシャ400の第1方向Xの中心を挟んで第1方向Xの両側の一方のみに第1弾性部材510が設けられている場合と比較して、プッシャ400を第3方向Zにより均一に付勢することが可能になる。なお、第1弾性部材510は、プッシャ400の第1方向Xの中心を挟んで第1方向Xの両側の一方のみに設けられていてもよい。また、プッシャ400の第1方向Xの中心を挟んで第1方向Xの両側の一方には、複数の第1弾性部材510が設けられていてもよい。
【0026】
また、本実施形態において、第1弾性部材510は、コネクタ300とプッシャ400との間でリッド200の第2貫通孔202を第3方向Zに貫通して設けられている。この場合、既存のリッドに第2貫通孔202を形成することで本実施形態に係るマニュアルアクチュエータ10を製造することができ、コストを比較的低くすることができる。なお、第1弾性部材510は、リッド200を貫通して設けられていなくてもよい。
【0027】
第2弾性部材520は、リッド200とプッシャ400との間、具体的には、リッド200の下面とプッシャ400の上面との間に設けられている。第2弾性部材520はバネとなっている。なお、第2弾性部材520は、ゴム等、バネ以外の弾性部材であってもよい。第2弾性部材520の下端は、プッシャ400の上面に設けられた第2案内穴420に挿入されている。これによって、第2弾性部材520の位置合わせがなされている。なお、第2弾性部材520を位置合わせする方法は、本実施形態に係る方法に限定されない。例えば、プッシャ400の上面に設けられた突起に第2弾性部材520の下端を貫通させることで、第1弾性部材510を位置合わせしてもよい。
図1に示すようにベース100がリッド200に取り付けられている場合、第2弾性部材520は、第3方向Zに圧縮されている。したがって、ベース100がリッド200に取り付けられている場合、第2弾性部材520は、プッシャ400を電子装置30に向けて付勢する。
【0028】
本実施形態では、プッシャ400の第1方向Xの中心を挟んで第1方向Xの両側の各々において、第1弾性部材510の第2方向Yの両側の各々に第2弾性部材520が設けられている。また、2つの第1弾性部材510及び4つの第2弾性部材520は、プッシャ400の中心を第2方向Yに平行に通過する仮想線に関して対称に配置されている。この場合、第1弾性部材510及び第2弾性部材520が当該仮想線に関して非対称に配置されている場合と比較して、プッシャ400を第3方向Zにより均一に付勢することが可能になる。なお、第1弾性部材510及び第2弾性部材520の数及び配置は、本実施形態に係る例に限定されない。
【0029】
本実施形態では、リッド200をベース100に取り付ける際又はリッド200をベース100から取り外す際に下方に向けて押し込まれた第1延伸部310を上方に向けて付勢させる部材として機能する第1弾性部材510を、プッシャ400を電子装置30に向けて付勢させる部材としても機能させている。このため、リッド200とプッシャ400との間に設けられる第2弾性部材520の第3方向Zの長さを長くしたり、第2弾性部材520の数を増やしたりすることなく、第1弾性部材510を設けない場合と比較して、プッシャ400を電子装置30に向けて付勢させる力を増強することができる。第2弾性部材520の第3方向Zの長さを長くしたり、第2弾性部材520の数を増やしたりするといったことは、マニュアルアクチュエータ10の第3方向Zの高さ、第1方向X、第2方向Y等の水平方向の幅等のサイズの制約の観点からできない場合がある。これに対して、本実施形態によれば、マニュアルアクチュエータ10のサイズの制約による影響を抑えつつ、第1弾性部材510を設けない場合と比較して、プッシャ400を電子装置30に向けて付勢させる力を増強することができる。
【0030】
また、第1弾性部材510が設けられる第1延伸部310の下面とプッシャ400の上面との間の第3方向Zの距離は、第2弾性部材520が設けられるリッド200の下面とプッシャ400の上面との間の第3方向Zの距離より長くなっている。したがって、第1弾性部材510の第3方向Zの長さは、第2弾性部材520の第3方向Zの長さより長くすることができる。このため、第1弾性部材510の第3方向Zのストローク長さは第2弾性部材520の第3方向Zのストローク長より長くすることができる。この場合、第1弾性部材510の第3方向Zの長さが第2弾性部材520の第3方向Zの長さ以下である場合と比較して、第1弾性部材510の設計に余裕を持たせることができる。
【0031】
また、本実施形態では、第1弾性部材510だけでなく、第2弾性部材520も、プッシャ400を電子装置30に向けて付勢している。この場合、第2弾性部材520を設けない場合と比較して、プッシャ400を電子装置30に向けて付勢させる力を増強することができる。
【0032】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0033】
例えば、本実施形態では、マニュアルアクチュエータ10は、リッド200とプッシャ400との間に設けられた第2弾性部材520を備えている。しかしながら、マニュアルアクチュエータ10は、第2弾性部材520を備えていなくてもよい。この場合、第1弾性部材510のみによって、プッシャ400を電子装置30に向けて付勢することができる。
【0034】
また、本実施形態では、ラッチ102がベース100に設けられている。しかしながら、ラッチ102は、ソケット20に設けられていてもよい。この場合、マニュアルアクチュエータ10は、ベース100を備えていなくてもよく、コネクタ300がソケット20のラッチ102に直接引っ掛かる。
【0035】
また、本実施形態では、リッド200の第1方向Xの両側にコネクタ300が設けられている。しかしながら、コネクタ300は、リッド200の第1方向Xの両側のうちの一方のみに設けられていてもよい。この場合、例えば、リッド200の第1方向Xの両側のうちもう一方には、ベース100に接続されたヒンジが設けられていてもよい。この例において、リッド200は、ヒンジによってベース100に対して開閉可能になる。
【0036】
また、本実施形態では、第1弾性部材510は、コネクタ300及びプッシャ400に溶接等で接合されておらず、マニュアルアクチュエータ10の分解時においてコネクタ300及びプッシャ400から取り外し可能になっている。しかしながら、第1弾性部材510は、コネクタ300及びプッシャ400の少なくとも一方に溶接等で接合されていてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、第2弾性部材520は、リッド200及びプッシャ400に溶接等で接合されておらず、マニュアルアクチュエータ10の分解時においてリッド200及びプッシャ400から取り外し可能になっている。しかしながら、第2弾性部材520は、リッド200及びプッシャ400の少なくとも一方に溶接等で接合されていてもよい。また、第2弾性部材520がリッド200及びプッシャ400に接合されている場合、第1貫通孔402及び第2ポール214を用いることなく、第2弾性部材520によってプッシャ400をリッド200に移動可能に取り付けることができる。
【0038】
本明細書によれば、以下の態様が提供される。
(態様1)
態様1は、
リッドと、
前記リッドに取り付けられたコネクタと、
前記リッドと被検査装置との間に設けられ、前記被検査装置を押圧するプッシャと、
前記コネクタと前記プッシャとの間に設けられ、前記プッシャを前記被検査装置に向けて付勢する第1弾性部材と、
を備えるマニュアルアクチュエータである。
態様1によれば、リッドの取り付け又は取り外しの際に、プッシャが位置する側に向けて押し込まれたコネクタをプッシャが位置する側の反対側に向けて付勢させる部材として機能する第1弾性部材を、プッシャを被検査装置に向けて付勢させる部材としても機能させている。このため、リッドとプッシャとの間に設けられる弾性部材の長さを長くしたり、当該弾性部材の数を増やしたりすることなく、第1弾性部材を設けない場合と比較して、プッシャを電子装置に向けて付勢させる力を増強することができる。したがって、マニュアルアクチュエータのサイズの制約による影響を抑えつつ、第1弾性部材を設けない場合と比較して、プッシャを電子装置に向けて付勢させる力を増強することができる。
(態様2)
態様2は、
前記第1弾性部材は、前記コネクタと前記プッシャとの間で前記リッドを貫通して設けられている、態様1に記載のマニュアルアクチュエータである。
態様2によれば、既存のリッドに、第1弾性部材を通すための貫通孔を形成することでマニュアルアクチュエータを製造することができ、コストを比較的低くすることができる。
(態様3)
態様3は、
前記リッドと前記プッシャとの間に設けられ、前記プッシャを前記被検査装置に向けて付勢する第2弾性部材をさらに備える、態様1又は2に記載のマニュアルアクチュエータである。
態様3によれば、第2弾性部材を設けない場合と比較して、プッシャを電子装置に向けて付勢させる力を増強することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 マニュアルアクチュエータ
20 ソケット
30 電子装置
100 ベース
102 ラッチ
112 ネジ
200 リッド
202 第2貫通孔
212 第1ポール
214 第2ポール
300 コネクタ
310 第1延伸部
320 第2延伸部
322 爪
400 プッシャ
402 第1貫通孔
410 第1案内穴
420 第2案内穴
510 第1弾性部材
520 第2弾性部材
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向