IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カワサキモータース株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-自動二輪車 図1
  • 特許-自動二輪車 図2
  • 特許-自動二輪車 図3
  • 特許-自動二輪車 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】自動二輪車
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/022 20200101AFI20241030BHJP
   B62J 6/027 20200101ALI20241030BHJP
   B62J 17/00 20200101ALI20241030BHJP
【FI】
B62J6/022
B62J6/027
B62J17/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020202939
(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公開番号】P2022090503
(43)【公開日】2022-06-17
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】田村 博志
(72)【発明者】
【氏名】柏原 健
(72)【発明者】
【氏名】赤木 清高
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 樹一
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-068059(JP,A)
【文献】特開2013-112293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0285935(US,A1)
【文献】特開2006-015991(JP,A)
【文献】特開2018-144799(JP,A)
【文献】特開2007-145233(JP,A)
【文献】特開2013-078991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/02
B62J 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前方の路面を照射するヘッドライトと、車体に対して着脱自在に設けられる補助ライトと、車体の前方を覆うフロントカウルとを備えた自動二輪車であって、
前記補助ライトは、その上端が前記ヘッドライトの下端よりも上方に位置し、且つ、前記フロントカウルの外側に配置され、
さらに、車体フレームに支持されて前記フロントカウルよりも車幅方向外側に延びる補助ステーを備え、
前記補助ステーに前記補助ライトが支持され、
前記補助ステーは、車幅方向に延び、その車幅方向両端で車体に支持され、正面視で車幅方向中央部に向かって下方に傾斜し、前記フロントカウルの前端よりも下方を通過し、
前記補助ステーにおける前記補助ライトを支持する部分が、車幅方向の外側に位置し、前記ヘッドライトの下端よりも上方に位置している自動二輪車。
【請求項2】
車体の前方の路面を照射するヘッドライトと、車体に対して着脱自在に設けられる補助ライトと、車体の前方を覆うフロントカウルとを備えた自動二輪車であって、
前記補助ライトは、その上端が前記ヘッドライトの下端よりも上方に位置し、且つ、前記フロントカウルの外側に配置され、
さらに、車体フレームに支持されて前記フロントカウルよりも車幅方向外側に延びる補助ステーを備え、
前記補助ステーに前記補助ライトが支持され、
前記補助ステーは、車幅方向に延び、その車幅方向両端で車体に支持され、正面視で車幅方向中央部に向かって下方に傾斜し、前記フロントカウルの前端よりも下方を通過し、
前記補助ライトが吊り下げ状態で前記補助ステーに支持されている自動二輪車。
【請求項3】
車体の前方の路面を照射するヘッドライトと、車体に対して着脱自在に設けられる補助ライトと、車体の前方を覆うフロントカウルとを備えた自動二輪車であって、
前記補助ライトは、その上端が前記ヘッドライトの下端よりも上方に位置し、且つ、前記フロントカウルの外側に配置され、
さらに、車体フレームに支持されて前記フロントカウルよりも車幅方向外側に延びる補助ステーを備え、
前記補助ステーに前記補助ライトが支持され、
前記補助ステーは、車幅方向に延び、その車幅方向両端で車体に支持され、正面視で車幅方向中央部に向かって下方に傾斜し、前記フロントカウルの前端よりも下方を通過し、
さらに、前記フロントカウルを前記車体フレームに支持するカウルステーを備え、
前記補助ステーが、車幅方向両端部および車幅方向中央部で前記カウルステーに支持されている自動二輪車。
【請求項4】
車体の前方の路面を照射するヘッドライトと、車体に対して着脱自在に設けられる補助ライトと、車体の前方を覆うフロントカウルとを備えた自動二輪車であって、
前記補助ライトは、その上端が前記ヘッドライトの下端よりも上方に位置し、且つ、前記フロントカウルの外側に配置され、
さらに、車体フレームに支持されて前記フロントカウルよりも車幅方向外側に延びる補助ステーを備え、
前記補助ステーに前記補助ライトが支持され、
前記補助ステーは、車幅方向に延び、その車幅方向両端で車体に支持され、正面視で車幅方向中央部に向かって下方に傾斜し、前記フロントカウルの前端よりも下方を通過し、
前記補助ライトの車幅方向外端が前記フロントカウルの外端よりも外側に位置し、
前記補助ライトの車幅方向内側端が、正面視で、前記フロントカウルの車幅方向外側端よりも車幅方向内側に配置されている自動二輪車。
【請求項5】
車体の前方の路面を照射するヘッドライトと、車体に対して着脱自在に設けられる補助ライトと、車体の前方を覆うフロントカウルとを備えた自動二輪車であって、
前記補助ライトは、その上端が前記ヘッドライトの下端よりも上方に位置し、且つ、前記フロントカウルの外側に配置され、
さらに、車体フレームに支持されて前記フロントカウルよりも車幅方向外側に延びる補助ステーを備え、
前記補助ステーに前記補助ライトが支持され、
前記補助ステーは、車幅方向に延び、その車幅方向両端で車体に支持され、正面視で車幅方向中央部に向かって下方に傾斜し、前記フロントカウルの前端よりも下方を通過し、
前記補助ライトの前面が、前記フロントカウルよりも前方に配置され、
正面視で、前記補助ライトの車幅方向内側端が、前記フロントカウルの車幅方向外側端よりも車幅方向内側に配置され、
前記フロントカウルの車幅方向外側部に、車幅方向内側に凹む凹所が形成され、
前記補助ライトが、前記フロントカウルの凹所に配置されている自動二輪車。
【請求項6】
車体の前方の路面を照射するヘッドライトと、車体に対して着脱自在に設けられる補助ライトと、車体の前方を覆うフロントカウルとを備えた自動二輪車であって、
前記補助ライトが、ステアリングシャフトを支持するアンダーブラケットよりも上方で車体に取り付けられ、且つ、前記フロントカウルの外側に配置され、
さらに、車体フレームに支持されて前記フロントカウルよりも車幅方向外側に延びる補助ステーを備え、
前記補助ステーに前記補助ライトが支持されている自動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドライトと補助ライトとを備えた自動二輪車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車において、車体の前方の路面を照射するヘッドライトと、ヘッドライトが照射し難い箇所の配光を補完する補助ライトとを備えたものがある(例えば、特許文献1)。補助ライトには、運転者に自車の存在を視認させる役割があるから、視認効果を確保できる程度の高さに補助ライトを配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-016773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動二輪車に搭載される補助ライトとして、さらなる視認性の向上が求められる場合がある。
【0005】
本発明は、視認効果を向上させることができる自動二輪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1構成に係る自動二輪車は、車体の前方の路面を照射するヘッドライトと、車体に対して着脱自在に設けられる補助ライトと、車体の前方を覆うフロントカウルとを備えた自動二輪車であって、前記補助ライトは、その上端が前記ヘッドライトの下端よりも上方に位置し、且つ、前記フロントカウルの外側に配置されている。ここで、「補助ライト」は、車体前方を照射して、ヘッドライトの配光を補完するもので、例えば、フォグランプ、コーナーリングランプである。また、「フロントカウルの外側に配置される」とは、フロントカウルを挟んで車体フレームと車幅方向の反対側に補助ライトが配置されることをいう。
【0007】
この構成によれば、補助ライトが高い位置に配置されているので、補助ライトの視認効果が向上する。また、補助ライトはフロントカウルの外側に配置されているので、フロントカウルの内側に配置する場合に比べて配置の自由度が高いうえに、フロントカウルにより照射光が遮られるのを防ぐことができる。また、補助ライトが高い位置に配置されるので、路面からの泥等が補助ライトに付着することを抑制することができる。
【0008】
本発明の第1構成において、車体に対して固定され、車体に対する前輪の上下移動に対して相対変位して前輪の泥はねを抑えるフロントフェンダを備え、前記補助ライトが前記フロントフェンダの上方に配置されていてもよい。この構成によれば、車体に対して前輪が上下動したとしても、フロントフェンダと補助ライトとの位置関係の変化を防ぐことができる。これによって前輪から飛び散った泥等が補助ライトに付着することをさらに抑えることができる。また、フロントフェンダと補助ライトとの位置関係を固定することで、フロントフェンダによって補助ライトの配光が妨げられるのを防ぐことができる。
【0009】
本発明の第1構成において、さらに、車体フレームに支持されて前記フロントカウルよりも車幅方向外側に延びる補助ステーを備え、前記補助ステーに前記補助ライトが支持されていてもよい。この構成によれば、補助ステーに支持されることで、フロントカウルから離して配置できるので、配置の自由度が向上する。
【0010】
本発明の第1構成において、前記補助ライトの前面が、前記フロントカウルよりも前方に配置され、前記補助ライトの車幅方向内側端が、正面視で、前記フロントカウルの車幅方向外側端よりも車幅方向内側に配置されていてもよい。この構成によれば、フロントカウルにより補助ライトの照射光が遮られるのを効果的に防ぐことができる。
【0011】
この場合、前記フロントカウルの車幅方向外側部に、車幅方向内側に凹む凹所が形成され、前記補助ライトが前記フロントカウルの凹所に配置されていてもよい。この構成によれば、補助ライトを車幅方向にコンパクトに配置できる。
【0012】
本発明の第1構成において、さらに、前記補助ライトを車体に支持する補助ステーを備え、前記補助ステーは、車幅方向に延び、その車幅方向両端で車体に支持され、正面視で車幅方向中央部に向かって下方に傾斜していてもよい。この構成によれば、補助ライトを高い位置に配置して視認性効果を維持しつつ、ヘッドライトと補助ステーの干渉を防ぐことができる。
【0013】
本発明の第1構成において、さらに、エンジンの冷却液を放熱させるラジエータと、前記ラジエータに走行風を案内するインナカウルとを備え、前記補助ライトが、前記インナカウルにおける前記ラジエータに走行風を案内するカウル開口よりも車幅方向外側に配置されていてもよい。この構成によれば、補助ライトがラジエータへの導風を阻害するのを防ぐことができる。
【0014】
本発明の第1構成において、さらに、エンジンを保護する左右一対のフレームスライダを備え、前記補助ライトが前記フレームスライダよりも車幅方向内側に配置されていてもよい。この構成によれば、車両転倒時に、補助ライトが破損するのを回避できる。
【0015】
本発明の第2構成に係る自動二輪車は、車体の前方の路面を照射するヘッドライトと、車体に対して着脱自在に設けられる補助ライトと、車体の前方を覆うフロントカウルとを備えた自動二輪車であって、前記補助ライトが、ステアリングシャフトを支持するアンダーブラケットよりも上方で車体に取り付けられ、且つ、前記フロントカウルの外側に配置されている。
【0016】
この構成によれば、補助ライトを高い位置に配置することで、補助ライトの視認効果を向上させるとともに、補助ライトをフロントカウルの外側に配置することで、配置の自由度を確保しつつ、フロントカウルにより照射光が遮られるのを防ぐことができる。また、補助ライトがアンダーブラケットよりも上方で車体に取り付けられているので、フロントフォークのばね下重量を小さくできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の自動二輪車によれば、視認効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る自動二輪車の前部を示す側面図である。
図2】同自動二輪車を示す正面図である。
図3】同自動二輪車の前部を示す平面図である。
図4】同自動二輪車の前部を斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る自動二輪車の前部を示す側面図である。本明細書において、「右」、「左」は、車両に乗車した運転者から見た「右」、「左」をいう。また、「前」「後」とは、車両の進行方向の「前」「後」をいう。
【0020】
本実施形態の自動二輪車の車体フレームFRは、前半部を構成するメインフレーム1と、後半部を構成するリヤフレーム2とを有している。メインフレーム1は、前端のヘッドパイプ4から後方斜め下方に延びたのち、下方に湾曲して上下方向に延びている。リヤフレーム2は、メインフレーム1の後部から後方に延びている。
【0021】
車体フレームFRは、さらに、ダウンフレーム3を有している。ダウンフレーム3は、ヘッドパイプ4から下方に延びたのち、後方に湾曲して前後方向に延びてメインフレーム1の下端部に連結されている。
【0022】
車体フレームFRに、上下方向に延びる補機ステー5が設けられている。補機ステー5は、左右一対設けられている。補機ステー5は、上端がメインフレーム1に連結され、下端がダウンフレーム3に連結されている。詳細には、補機ステー5から車幅方向外側に延びたのち下方に延び、さらに、車幅方向内側に延びてダウンフレーム3に連結されている。
【0023】
図1に示すヘッドパイプ4に、ステアリングシャフト(図示せず)を介して、アッパーブラケット6およびロワーブラケット7が支持されている。これらアッパーブラケット6およびロワーブラケット7にフロントフォーク8が支持され、このフロントフォーク8の下端部に前輪9が支持されている。また、フロントフォーク9の上端部のアッパーブラケット6にはハンドル10が取り付けられている。ロワーブラケット7に、フロントフェンダ11が取り付けられている。つまり、フロントフェンダ11は車体(車体フレームFR)に対して固定されている。フロントフェンダ11は、前輪9の上方を覆っており、走行時に前輪9からの泥等がライダーに向かうのを阻止する。また、フロントフェンダ11は、前輪9よりも十分に上方に配置されているので、前輪9が上方移動したとしてもフロントフェンダ11との干渉を抑制することができる。
【0024】
メインフレーム1の後端部に、スイングアームブラケット12が設けられている。スイングアームブラケット12に、スイングアーム14が上下揺動自在に支持されている。スイングアーム14の後端部に、後輪(図示せず)が取り付けられている。
【0025】
メインフレーム1の下方でスイングアームブラケット12の前方に、駆動源であるエンジンEが取り付けられている。エンジンEは、側面視で、メインフレーム1とダウンフレーム3で囲まれた領域内に配置されている。エンジンEにより、チェーンのような動力伝達部材(図示せず)を介して後輪が駆動される。メインフレーム1の上部に燃料タンク22が配置され、リヤフレーム2に操縦者が着座するシート24が装着されている。燃料タンク22は、エンジンEの真上で、ヘッドパイプ4の後方かつシート24の前方に配置されている。
【0026】
本実施形態のエンジンEは、単気筒エンジンである。ただし、2気筒、4気筒等の多気筒エンジンであってもよい。エンジンEは、クランク軸26を回転自在に支持するクランクケース28と、クランクケース28から上方に突出するシリンダ30と、シリンダ30の上部に連結されたシリンダヘッド32とを有している。本実施形態では、クランク軸26の軸心26aは車幅方向(左右方向)に延びている。
【0027】
前記補機ステー5は、エンジンEの前方を上下方向に延びている。詳細には、補機ステー5は、エンジンEの前方の領域をシリンダヘッド32の上方からシリンダ30の下端部まで上下方向に延びている。図2に示すように、補機ステー5は、エンジンEの外側方を上下方向に延びている。ダウンフレーム3に、左右一対のフレームスライダ25が連結されている。フレームスライダ25は、例えば、鋼製のパイプ部材からなる。フレームスライダ25は、エンジンEの外側方に設けられ、車両が横転した時にエンジンEの損傷を低減する。フレームスライダ25は、例えば、ボルトのような締結部材(図示せず)により、図1のダウンフレーム3に着脱自在に取り付けられている。
【0028】
エンジンEの前方に、ラジエータ36が配置されている。ラジエータ36は、エンジンEの冷却液を放熱する。冷却は、例えば、冷却水である。ラジエータ36は、補機ステー5の内側に配置され、ダウンフレーム3および補機ステー5に支持されている。
【0029】
車体の前部にフロントカウル38が装着されている。フロントカウル38は、ヘッドパイプ4の前方の領域を覆っている。フロントカウル38にヘッドライト40が装着されている。ヘッドライト40は、車体の前方の路面を照射する。本実施形態では、図2に示すように、ヘッドライト40は、フロントフェンダ11の上方で車幅方向中央部に配置されている。
【0030】
フロントカウル38およびヘッドライト40は、図3の平面図に示すカウルステー42を介してメインフレーム1に支持されている。カウルステー42は、例えば、鋼製のパイプからなる。本実施形態では、カウルステー42は補機ステー5に連結されている。
【0031】
詳細には、カウルステー42は、車体に取り付けられる第1部分43と、第1部分43から上方に延びてフロントカウル38を支持する第2部分44とを有している。第1部分43は、後方に開いたU字形状で、左右の枝部43a,43aの後端が補機ステー5に連結され、基部43bがヘッドパイプ4から前方に突出して設けられたヘッドブラケット45に連結されている。ヘッドブラケット45にヘッドライト40が支持されている。さらに、第2部分44の左右に延びた中間バー44aの中央部が連結バー44bを介してヘッドブラケット45に支持されている。カウルステー42の構成はこれに限定されない。
【0032】
図1のフロントカウル38の後方下方に左右一対のシュラウド46が設けられている。シュラウド46は、ボルトのような締結部材(図示せず)により補機ステー5を介して車体フレームFRに着脱自在に取り付けられている。シュラウド46はラジエータ36を外側方から覆っている。本実施形態では、ラジエータ36は、車体の左半分、つまり、図3の車体の幅方向中央部よりも左側に配置されている。
【0033】
ラジエータ36の前方に、図2に示すインナカウル48が配置されている。インナカウル48は、後方のラジエータ36に走行風を案内する。詳細には、インナカウル48に、ラジエータ36に走行風を導入するカウル開口50が形成されている。カウル開口50には、格子状のスクリーン52が装着されている。スクリーン52は、走行時に小石等からラジエータ36を保護する。つまり、走行風はスクリーン52を通過できるが、小石等の異物はスクリーン52を通過できない。
【0034】
車体の前部に補助ライト56が設けられている。補助ライト56は、車体前方を照射して、ヘッドライト40の配光を補完するもので、本実施形態では、フォグランプである。フォグランプは、車体の前方でヘッドライト40よりも下方の領域(ヘッドライトでは照射できない領域)を照射する。補助ライト56は、フォグランプに限定されず、例えば、コーナーリングランプであってもよい。
【0035】
本実施形態の補助ライト56は、左右一対設けられている。詳細には、補助ライト56は、ヘッドライト40の車幅方向両側方に1つずつ設けられている。補助ライト56は、その上端56uがヘッドライト40の下端40dよりも上方で、ヘッドライト40の上端40uよりも下方に位置している。このように、補助ライト56が高い位置で、前輪9から車幅方向に離れた位置に配置されているので、走行時に前輪9からの泥などの付着を防ぎやすい。
【0036】
補助ライト56は、光軸を調整可能に設けられている。これにより、補助ライト(フォグライト)56を高い位置に配置しても、照射領域を下方に調整することで、足元(下方の領域)を十分に照射することができるので、運転者の視野を確保できる。
【0037】
補助ライト56は、フロントカウル38の外側に配置されている。ここで、「補助ライト56がフロントカウル38の外側に配置される」とは、フロントカウル38を挟んで車体フレームFRと反対側に補助ライト56が配置されることをいう。本実施形態では、補助ライト56は、フロントカウル38を挟んで車体フレームFRよりも前側で、且つ車幅方向外側に補助ライト56が配置されている。詳細には、補助ライト56の車幅方向外端が、フロントカウルの外端よりも外側に位置している。特に、図1から分かるように、補助ライト56の前面がフロントカウル38よりも前方に配置されている。これにより、フロントカウル38により補助ライト56の照射光が遮られるのを防ぐことができる。
【0038】
図2の補助ライト56の車幅方向内側端56iが、正面視で、フロントカウル38の車幅方向外側端38aよりも車幅方向内側に配置されている。詳細には、フロントカウル38の車幅方向外側部に、車幅方向内側に凹む凹所60が形成されており、この凹所60に補助ライト56が配置されている。
【0039】
また、補助ライト56は、インナカウル48のカウル開口50よりも車幅方向外側に配置されている。さらに、補助ライト56は、フレームスライダ25よりも車幅方向内側に配置されている。具体的には、補助ライト56の車幅方向外端は、フレームスライダ25の車幅方向外端よりも車幅方向内側に配置されている。
【0040】
補助ライト56は、補助ステー62を介して車体フレームFRに支持されている。補助ステー62は、例えば、鋼製のパイプ部材からなり、図3の平面視で、後方に開いたU字形状に形成されている。詳細には、補助ステー62は、前後方向に延びる左右一対の枝部材64,64と、車幅方向に延びて左右の枝部材64,64を繋ぐ中央部材66とを有している。
【0041】
左右の枝部材64,64の後端部64a、64aが車体フレームFRに連結され、左右の枝部材64,64の前端部が中央部材66により接続されている。詳細には、各枝部材64の後端部64aは、図4に示すボルトのような締結部材65により着脱自在に補機ステー5の上部に連結されている。本実施形態では、カウルステー42と補助ステー62が、締結部材65により補機ステー5に共締めされている。枝部材64は、図1の側面視で、後端部64aから前方に向かって上方に傾斜する第1部分68と、第1部分68の前端68aから前方に延びる第2部分69とを有している。
【0042】
中央部材66は、図2の正面視で、車幅方向両端部66a,66aから車幅方向中央部に向かって下方に傾斜している。詳細には、中央部材66は、車幅方向両端部66a,66aから車幅方向内側に向かって下方に傾斜して延びる第3部分70,70と、第3部分70,70の車幅方向内側端70a,70aを接続して車幅方向に延びる第4部分72とを有している。つまり、中央部材66の車幅方向両端部66a,66aが、各枝部材64の第2部分69の前端69aに繋がっている。
【0043】
中央部材66の第4部分72は、カウルステー42に支持されている。詳細には、カウルステー42は、図4に示すように、ブラケット74を介してボルトのような締結部材75によりカウルステー42に連結されている。換言すれば、補助ライト56は、アンダーブラケット7よりも上方で車体に取り付けられている。このように、補助ステー62は、両端64a,64aで補機ステー5にボルト65により締結され、車幅方向中央部(第4部分)72でカウルステー42にボルト75により締結されている。つまり、補助ライト56は、補助ステー62を介して車体に対して着脱自在に設けられている。
【0044】
図2に示すように、補助ステー62は、フロントカウル38よりも車体の外側に設けられている。つまり、補助ステー62は、フロントカウル38に覆われておらず、外側に露出している。補助ステー62の第4部分72は、ヘッドライト40の下方でフロントフェンダ11の上方を通過する。上述のとおり、フロントフェンダ11および補助ステー62は車体フレームFRに固定されている。したがって、補助ステー62とフロントフェンダ11の上下方向の相対距離は一定であり、互いに干渉しない。
【0045】
補助ライト56は、図1に示すように、補助ステー62の第2部分69に取り付けられている。つまり、補助ライト56は、補助ステー62の下端の第4部分72よりも上方に配置されている。補助ライト56は、補助ステー62の第2部分69に吊り下げ状態で支持されている。詳細には、図4に示す補助ステー62の第2部分69の下部にランプブラケット76が溶接で接合されており、このランプブラケット76にボルトのような締結部材77を用いて補助ライト56の上面が支持されている。補助ライト56を補助ステー62に吊り下げ状態で支持することで、光軸を調整して補助ライト56を下向きに設定しやすい。つまり、補助ライト56を下向きに設定しても、補助ステー62が邪魔にならない。
【0046】
また、補助ライト56は、フロントフェンダ11よりも上方に位置しているので、補助ライト56からの配光がフロントフェンダ11によって遮られることを抑制できる。また、前輪9とともにフロントフェンダ11が上下動する場合に比べて、上方にフロントフェンダ11が配置されるので、フロントフェンダ11を補助ライト56に近づけることができ、前輪9から飛び散った泥の補助ライト56に向かうことを防ぎ易くすることができる。
【0047】
また、車体に対するフロントフェンダ11の上下動が阻止されるので、フロントフェンダ11に付着した泥や水などが、フロントフェンダ11の上下動に起因して補助ライト56に向けて飛び散ることを防ぐことができる。さらに、フロントフェンダ11とフロントカウル36の間に補助ステー62の中央部材66が延びることで、フロントフェンダ11によって、補助ステー62の泥などによる傷付を防ぐことができる。また、補助ステー62の一部がフロントフェンダ11とフロントカウル36との間を延びることで、フロントカウル38によって、ブラケット74およびカウルステー42の第2部分44が目立つことを防ぐことができる。
【0048】
上記構成によれば、図2に示すように、補助ライト56の上端56uがヘッドライト40の下端40dよりも上方に位置している。つまり、補助ライト56が高い位置に配置されている。これにより、補助ライト56の視認効果が向上する。また、補助ライト56は、フロントカウル38の外側に配置されているので、フロントカウル38の内側に補助ライト56を配置する場合に比べて配置の自由度が高いうえに、フロントカウル38により照射光が遮られるのを防ぐことができる。
【0049】
車体に対して前輪9が上下動したとしても、フロントフェンダ11と補助ライト56との位置関係の変化を防ぐことができる。これによって前輪9から飛び散った泥等が補助ライト56に付着することをさらに抑えることができる。また、フロントフェンダ11と補助ライト56との位置関係を固定することで、フロントフェンダ11によって補助ライト56の配光が妨げられるのを防ぐことができる。
【0050】
補助ライト56が、フロントカウル38よりも車幅方向外側に延びる補助ステー62に支持されている。補助ライト56を補助ステー62に支持することで、補助ライト56をフロントカウル38から離して配置できるので、配置の自由度が向上する。また、補助ライト56が不要の場合、補助ステー62とともに補助ライト56を車体から取り外すことができる。
【0051】
図3に示すように、補助ステー62は、その車幅方向両端64a,64aで車体に支持され、図2の正面視で車幅方向中央部に向かって下方に傾斜している。これにより、補助ライト56を高い位置に配置して視認性効果を維持しつつ、ヘッドライト40と補助ステー62の干渉を防ぐことができる。
【0052】
図1に示す補助ライト56の前面がフロントカウル38よりも前方に配置され、図2の正面視で、補助ライト56の車幅方向内側端56iが、フロントカウル38の車幅方向外側端38aよりも車幅方向内側に配置されている。したがって、フロントカウル38により補助ライト56の照射光が遮られるのを効果的に防ぐことができる。
【0053】
フロントカウル38の車幅方向外側部に凹所60が形成され、補助ライト56がフロントカウル38の凹所60に配置されている。これにより、補助ライト56を車幅方向にコンパクトに配置できる。
【0054】
補助ライト56が、インナカウル48のカウル開口50よりも車幅方向外側に配置されている。これにより、補助ライト56がラジエータ36への導風を阻害するのを防ぐことができる。
【0055】
補助ライト56が、フレームスライダ25よりも車幅方向内側に配置されている。これにより、車両横転時に、補助ライト56が破損するのを回避できる。
【0056】
また、補助ライト56がアンダーブラケット7よりも上方で車体に取り付けられているので、フロントフォーク8のばね下重量を小さくできる。
【0057】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態では、補助ライト56の上端56uがヘッドライト40の上端40uよりも下方に位置していたが、ヘッドライト40の上端40uよりも上方に位置してもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。ただし、補助ライト56の位置が高過ぎると、ハンドル10に干渉する恐れがあり、また、上記実施形態のようなフォグランプの場合、下方を照らし難くなる。
【符号の説明】
【0058】
7 アンダーブラケット
25 フレームスライダ
36 ラジエータ
38 フロントカウル
40 ヘッドライト
48 インナカウル
50 カウル開口
56 補助ライト
60 凹所
62 補助ステー
FR 車体フレーム
図1
図2
図3
図4