(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】操作装置、レンズ装置、および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20241030BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20241030BHJP
G03B 3/10 20210101ALI20241030BHJP
G03B 13/34 20210101ALI20241030BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20241030BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20241030BHJP
【FI】
G02B7/02 E
G02B7/08 C
G03B3/10
G03B13/34
G03B17/02
H04N23/66
(21)【出願番号】P 2020208832
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】土屋 伸夫
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-237870(JP,A)
【文献】特開2003-107318(JP,A)
【文献】特開2018-064170(JP,A)
【文献】特開2016-157033(JP,A)
【文献】特開2013-101306(JP,A)
【文献】特開2013-083866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02- 7/08
G03B 3/10
G03B 13/34
G03B 17/02
H04N 23/50-23/55
H04N 23/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材の駆動制御における指令を生成するための操作部材と、
前記光学部材の
位置に関す
る情報を取得する取得部と、
前記操作部材に対する負荷を生成する負荷生成部と、
前記操作部材に関して設定された前記操作部材の操作量の幅と前記取得部により取得された情報とに基づいて、前記負荷生成部を制御する制御部とを有
し、
前記制御部は、前記光学部材の駆動範囲に対応する前記操作部材の回転数が小さくなるに従って前記負荷が大きくなるように前記負荷生成部を制御することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記
操作量の幅を設定するための入力部を有することを特徴とする請求項
1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記
操作部材における前記光学部材の操作権の有無に関する情報に基づいて前記指令を初期化することを特徴とする請求項1
又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記操作部材の操作量に基づいて前記指令を生成することを特徴とする請求項1乃至
3の何れか一項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記光学部材は、
フォーカシングに際して移動することを特徴とする請求項1乃至
4の何れか一項に記載の操作装置。
【請求項6】
請求項1乃至
5の何れか一項に記載の操作装置と
、前記光学部材とを有することを特徴とする光学装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の
光学装置と、
該
光学装置により形成された像を撮る撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置、レンズ装置、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビレンズ装置やビデオレンズ装置などの光学装置には、ズームレンズ群やフォーカスレンズ群、アイリス(開口絞り)等の可動の光学部材が備えられている。これらの光学装置には、操作者が操作装置を用いて、当該光学部材の駆動制御を行えるようになっているものがある。例えば、操作者は、フォーカスデマンド等の操作装置を用いて、所望の位置に移動するようにフォーカスレンズ群の駆動制御を行えるようになっている。
【0003】
当該フォーカスデマンドは、操作者により操作部材の回転操作行うものが多い。当該フォーカスデマンドには、操作部材の操作範囲(回転角範囲)に機械的な制限(端)が有るものと機械的な制限(端)が無いものとが存在する。当該端の有るフォーカスデマンドでは、フォーカスレンズ群の絶対位置制御が行われ、当該端の無いフォーカスデマンドでは、フォーカスレンズ群の相対位置制御が行われうる。
【0004】
ここで、当該端の無いフォーカスデマンドの場合、フォーカスレンズ群の位置が至近端や無限端になったことを認識できるほうが操作者にとっては好ましい。特許文献1のフォーカスデマンドでは、磁気制動による負荷を発生させることにより、当該認識を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フォーカスデマンドは、操作性の観点からは、操作の感度の変更もできるほうが好ましい。本発明は、例えば、操作性の点で有利な操作装置を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る操作装置は、
光学部材の駆動制御における指令を生成するための操作部材と、
前記光学部材の位置に関する情報を取得する取得部と、
前記操作部材に対する負荷を生成する負荷生成部と、
前記操作部材に関して設定された前記操作部材の操作量の幅と前記取得部により取得された情報とに基づいて、前記負荷生成部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記光学部材の駆動範囲に対応する前記操作部材の回転数が小さくなるに従って前記負荷が大きくなるように前記負荷生成部を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、例えば、操作性の点で有利な操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1に係るレンズ装置および操作装置を備える撮像装置のブロック図である。
【
図2】
図1に示す操作装置で実行される負荷制御値の算出処理のフローチャートである。
【
図3】
図1に示す操作装置における回転数別の操作部の操作位置と負荷の関係を示す図である。
【
図4】本発明の実施例2で実行される負荷制御値の算出処理のフローチャートである。
【
図5】実施例2に係る操作装置における回転数別の操作部の操作位置と負荷の関係を示す図である。
【
図6】本発明の実施例3に係るレンズ装置および操作装置のブロック図である。
【
図7】
図6に示す操作装置で実行される負荷制御値の算出処理のフローチャートである。
【
図8】本発明の実施例4に係るレンズ装置および操作装置のブロック図である。
【
図9】
図8に示す操作装置で実行される負荷制御値の算出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施例を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の実施例で例示する寸法、形状、および構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成あるいは様々な条件に応じて変更可能である。また、図面において、同一であるかあるいは機能的に類似している要素を示すために図面間で同じ参照符号を用いる。
【0011】
[実施例1]
本発明の実施例1に係る撮像装置について、
図1から
図3を用いて説明する。
図1は、実施例1に係る、レンズ装置および操作装置からなるレンズシステムと、該レンズシステムを備える撮像装置についてのブロック図である。本実施例に係る撮像装置1は、フォーカスデマンド10、レンズ装置20、および撮像装置の本体部30を備える。フォーカスデマンド10およびレンズ装置20は、本実施例において本発明に係るレンズシステムの一例を構成する。また、フォーカスデマンド10は、レンズ装置20を操作するために用いられる本実施例における操作装置の一例を構成する。
【0012】
本実施例に係るフォーカスデマンド10は、操作部101、操作位置検出部102、操作指令値算出部103、回転数設定部104、デマンド通信部105、操作負荷制御部106、および操作負荷発生部107を備える。操作部101は、カメラマンがフォーカスレンズを操作するための操作部材であり、例えば回転式のノブなどがこれに用いられる。また、本実施例において、操作部101は操作可能な範囲が機械的に制限されていないものを用いるものとする。
【0013】
操作位置検出部102は、ポテンショメータやロータリーエンコーダー等の位置センサであり、操作部101の操作位置(操作量)に応じた位置信号を出力する。操作指令値算出部103は、後述する回転数設定部104で設定される回転数に応じて、フォーカス操作指令値を算出する。操作指令値算出部103は、操作位置検出部102で検出された操作部101の操作量に応じて、フォーカス操作指令値を現在のフォーカス操作指令値から相対的に変化させる。
【0014】
回転数設定部104は、フォーカスの至近端と無限端の間の回転数を設定できる操作部材であり、例えばロータリースイッチ等がこれに用いられる。なお、本実施例では、以下に述べるように。回転数として1回転、2回転、および3回転が設定できる場合を例として説明する。回転数を例えば1回転から3回転に変更することで、フォーカスレンズ204を同じ距離動かすためにロータリースイッチを回転させる角度が3倍となり、フォーカスデマンド10は操作者の操作に対してより敏感な応答をすることが可能となる。即ち、回転数を変更するということは、フォーカスデマンド10の敏感度の変更を行うことと対応する。デマンド通信部105は、操作指令値算出部103で算出されたフォーカス操作指令値を、通信コマンド形式へエンコードして、これを後述するレンズ装置20のレンズ通信部201へ送信する。また、デマンド通信部105は、レンズ装置20のレンズ通信部201から、フォーカスレンズ204の位置情報を受信する。
【0015】
操作負荷制御部106は、回転数設定部104で設定された回転数とデマンド通信部105からのフォーカスレンズ204の位置情報とに基づいて、負荷制御値を算出する。また、操作負荷制御部106は、算出した負荷制御値を、後述する操作負荷発生部107に出力する。なお、本実施例では、操作負荷発生部107が最大の操作負荷を発生させるのはフォーカスレンズ204の駆動範囲の至近端と無限端に対応する操作部101の回転位置となる。操作部101の回転位置がそれぞれの端に到達したら、それ以上回転しないように操作部101の回転を制限する制御が、操作負荷制御部106により行われる。また、本実施例では、設定された回転数に応じて通常の回転負荷を変更するように操作負荷制御部106による操作負荷発生部107の制御が行われる。具体的には、1回転、2回転、および3回転の順に回転負荷を軽くしている。これは回転量が多い方が、操作部101を素早く回転する必要があるためである。操作負荷制御部106の動作の詳細については後述する。
【0016】
操作負荷発生部107は、操作部101と連結している。操作負荷発生部107は、操作負荷制御部106で算出した負荷制御値に基づいた操作負荷を発生させ、操作者が操作部101を操作する際に感じる負荷を該操作部101加える。
【0017】
本実施例において、レンズ装置20は、レンズ通信部201、駆動指令値算出部202、制御部203、フォーカスレンズ204、およびレンズ位置検出部205を備える。レンズ通信部201は、レンズ装置20の中に構成されており、フォーカスデマンド10のデマンド通信部105とコマンドの送受信を行う。レンズ通信部201はフォーカス操作指令値のコマンド等を受信したら、受信したデータをデコードして駆動指令値算出部202へ送る。
【0018】
駆動指令値算出部202は、フォーカス操作指令値に基づいてフォーカスレンズ204を駆動制御(位置制御)するための駆動信号(フォーカス駆動指令値)を生成する。生成した駆動信号は、駆動指令値算出部202から制御部203へ送られる。制御部203は、駆動指令値算出部202により入力された駆動信号に基づき、フォーカスレンズ204を駆動制御する。
【0019】
フォーカスレンズ204は、撮像装置1の本体部30の撮像光軸の方向に可動することで被写体からの光に対する撮像素子301の焦点調節を行うことができる光学素子から構成される。レンズ位置検出部205は、フォーカスレンズ204の撮像光軸上の位置を検出する位置センサであり、検出した位置信号は駆動指令値算出部202へ入力される。駆動指令値算出部202およびレンズ位置検出部205によって、フォーカスレンズ204の位置に関するフィードバック制御が行われる。また、レンズ位置検出部205から出力された位置信号は、レンズ通信部201からフォーカスデマンド10のデマンド通信部105に送信される。
【0020】
なお、ここで示した例では、レンズ装置と操作装置が独立しており、通信部を介して接続されている。しかし、これら構成の態様は、必ずしも例示したものに限らず、例えばレンズ装置と操作装置とが一体となっている構成をとってもよい。また、本体部30とレンズ装置20とが一体となってもよく、撮像装置1から個別の構成のみを独立させることもできる。
【0021】
次に、上述したフォーカスデマンド10において、操作負荷制御部106が負荷制御値を算出する処理について、
図2を参照して説明する。
図2は、操作負荷制御部106による負荷制御値の算出の際に実行される一連の処理を示すフローチャートである。
【0022】
例えば不図示の電源スイッチがONされると、フォーカスデマンド10によるレンズ装置20の制御が開始され、
図2に示すフローが開始される。フローの開始により、ステップS101では、操作負荷制御部106は、回転数設定部104で設定された回転数を取得する。回転数を取得すると、操作負荷制御部106はフローをステップS102に移行させる。
【0023】
ステップS102では、操作負荷制御部106は、デマンド通信部105からフォーカスレンズ204の位置を取得する。具体的には、レンズ位置検出部205がその時点でのフォーカスレンズ204の位置を検出し、検出結果をレンズ通信部201に送る。レンズ通信部201は送られたフォーカスレンズ204の位置を更にフォーカスデマンド10のデマンド通信部105に送る。操作負荷制御部106は、このようにして得られたフォーカスレンズ204の位置をデマンド通信部105より取得する。フォーカスレンズ204の位置を取得すると、操作負荷制御部106はフローをステップS103に移行させる。
【0024】
ステップS103では、操作負荷制御部106は、フォーカスレンズ204の位置が至近端又は無限端であるか否かを判断する。現時点での位置が至近端又は無限端でなければ、操作負荷制御部106はフローをステップS104に移行させる。一方、至近端又は無限端に位置していると判断されると、操作負荷制御部106はフローをステップS105へ移行させる。
【0025】
ステップS104では、操作負荷制御部106は、回転数設定部104で設定された回転数に応じて、端部以外で操作部101に負荷を加える際に用いる負荷制御値を算出する。算出された負荷制御値は、操作負荷制御部106から操作負荷発生部107に出力される。操作負荷制御部106から負荷制御値が出力されることにより、以上の処理は終了する。
【0026】
ステップS105では、操作負荷制御部106は、端部で操作部101に負荷を加える際に用いる負荷制御値を算出する。算出された負荷制御値は、操作負荷制御部106から操作負荷発生部107に出力される。操作負荷制御部106から負荷制御値が出力されることにより、以上の処理は終了する。
【0027】
次に、操作負荷制御部106から出力された負荷制御値に基づいて操作負荷発生部107が実行する操作負荷の発生方法について説明する。なお、操作負荷を発生させる構成の一例として、本実施例では、磁気粘性流体(MR流体)を用いた操作負荷発生部107について説明する。
【0028】
磁気粘性流体は、電圧を印加すると、その印加電圧に応じて磁気粘性流体の粘度が変化する流体である。操作負荷発生部107は、操作部101と連結されている。操作負荷制御部106によって算出された負荷制御値を基に、操作負荷発生部107は、磁気粘性流体への印加電圧を制御する。これにより、操作負荷発生部107は、印加電圧に応じて可変可能な操作負荷を操作部101に加えることが可能となる。なお、磁気粘性流体では、印加電圧を高くしていくことで、その粘度が高くなっていくため、通常の操作時の負荷よりも高い電圧を印加すると、フォーカスの操作ノブが動かないくらい重いトルクを生成することができる。
【0029】
次に、至近端から無限端にフォーカスレンズ204を動かす際の操作部101の回転数を変えて、フォーカスデマンド10の敏感度を変更した場合について説明する。具体的には、本実施例における操作部101に対する操作指令値と、その操作位置(回転角度)と、負荷制御値に応じた印加電圧との関係について、
図3を参照して説明する。
図3は、回転数設定部104で設定された回転数(1回転、2回転、および3回転)別の、操作部101の操作位置と負荷の関係を示す図である。
【0030】
図3(A)は、操作部101が1回転設定の場合について示す図である。同図において、(1)で示される直線は、操作指令値と操作部101の回転角との関係を示す。操作部101が360度回転することで、フォーカスレンズ204が至近端(MOD)から無限端(INF)に移動する。同図において、斜線部(1a)は、至近端およびその近傍(至近端よりも更に近い側に回転させる場合に対応する回転領域)で用いられる負荷制御値(操作負荷発生部107への印加電圧)を示す。また、斜線部(1b)は、無限端およびその近傍(無限端よりも更に遠い側に回転させる場合に対応する回転領域)で用いられる負荷制御値を示す。斜線部(1a)、斜線部(1b)ともにフォーカスの操作ノブがそれ以上動かない負荷制御値としている。また、同図において、斜線部(1c)は端部以外で操作部101に負荷を加える際に用いられる負荷制御値を示す。
【0031】
図3(B)は、操作部101が2回転設定の場合について示す図である。同図において、(2)で示される直線は、操作指令値と操作部101の回転角との関係を示す。操作部101が720度回転することで、フォーカスレンズ204が至近端から無限端に移動する。同図において、斜線部(2a)は、至近端およびその近傍で用いられる負荷制御値を示す。また、斜線部(2b)は、無限端およびその近傍で用いられる負荷制御値を示す。斜線部(2a)、斜線部(2b)ともにフォーカスの操作ノブがそれ以上動かない負荷制御値としている。また、同図において、斜線部(2c)は端部以外で操作部101に負荷を加える際に用いられる負荷制御値を示す。
【0032】
図3(C)は、操作部101が3回転設定の場合について示す図である。同図において、(3)で示される直線は、操作指令値と操作部101の回転角との関係を示す。操作部101が1080度回転することで、フォーカスレンズ204が至近端から無限端に移動する。同図において、斜線部(3a)は、至近端およびその近傍で用いられる負荷制御値を示す。また、斜線部(3b)は、無限端およびその近傍で用いられる負荷制御値を示す。斜線部(3a)、斜線部(3b)ともにフォーカスの操作ノブがそれ以上動かない負荷制御値としている。また、同図において、斜線部(3c)は端部以外で操作部101に負荷を加える際に用いられる負荷制御値を示す。
【0033】
図3(A)の斜線部1(c)から
図3(C)の斜線部3(c)に示されるように、本実施例では、端部以外での負荷制御値は1回転設定の場合、2回転設定の場合、3回転設定の場合の順に回転負荷を軽くするように定められている。設定された回転数が多い場合にはフォーカスレンズ204を移動させるためには操作部101の素早い回転が必要となる。このような負荷制御値の設定方法とすることによって、設定された回転数に応じた素早い操作が可能となる。
【0034】
なお、本実施例では、操作部101が無限回転の場合を例として説明した。しかし、本発明の適用対象はこのような操作部101に限られず、操作可能な範囲が機械的に制限されている操作部にも適応できる。例えば、全範囲が2.5回転で機械的に制限されている場合であっても、その回転数内であれば無限回転の場合と同様に本発明を適応することができる。
【0035】
以上に述べたように、本実施例に係る操作装置(フォーカスデマンド10)は、操作部材と、取得部と、負荷生成部と、制御部と、を備える。操作部材(操作部101)は、例えば操作者の操作量に基づいて、レンズ装置20における光学部材(フォーカスレンズ204)の駆動を制御するための指令値(指令)を生成する。取得部(デマンド通信部105)は、フォーカスレンズ204の位置を検出したレンズ位置検出部205が出力する位置情報に例示される、フォーカスレンズ204の駆動に関する状態の情報を取得する取得手段として機能する。なお、この場合の状態に関する情報には、フォーカスレンズ204について予め定められている駆動範囲についての情報や、該駆動範囲内でのフォーカスレンズ204の現状の停止位置についての情報等が含まれる。操作時に加えられる負荷に関しては、操作負荷制御部106が、操作部101を操作する際に該操作部101に加える負荷を生成するために用いる負荷制御値を算出する。そして、操作負荷発生部107が、算出された負荷制御値に基づいて、例えば磁性粘性流体を用いたMRF(Magneto-Rheological Fluid)デバイスを用いて、操作部101に与える負荷を生成する。この場合、操作負荷発生部107が本実施例における負荷生成部を構成する。ここで、本実施例では、回転数設定部104が、動作範囲の一方の端部(至近端)から他方の端部(無限端)にフォーカスレンズ204を移動させるための操作部101の操作量の幅を設定する。上述した実施例では、回転操作によってフォーカスレンズ204の移動を制御する回転式ノブを用いた形態を例示している。制御部(上述した操作負荷制御部106)は、操作部101に関して設定された操作量の幅と、取得部により取得された情報とに基づいて、所望の負荷が生成されるように操作負荷発生部107を制御する。
【0036】
なお、上述した操作装置においては、操作部101の所定量の整数倍の操作に応じてフォーカスレンズ204が動作範囲の一方の端部から他方の端部まで移動されることとしている。具体的には、回転式ノブである操作部101が所定量(1回転)の整数倍の数である2回転や3回転することに応じて、フォーカスレンズ204が至近端から無限端まで移動するように回転数設定部104が操作部101の回転数を設定している。即ち、操作部101は、回転操作による回転角が操作量となる。また、上述した駆動に関する状態の情報を駆動位置とした場合、駆動範囲は状態の範囲に対応し、該状態の範囲は操作部101の操作量の幅(設定された回転数)に対応する。操作負荷制御部106は、この整数倍の数(実施例では1~3)に応じて、至近端と無限端と以外の範囲に対応する操作部101の操作位置おいて操作負荷発生部107が生成する負荷の大きさを変更させる負荷制御値を算出するとよい。更に具体的には、操作負荷制御部106は、整数倍の数が多くなる(回転数が増える)につれて、至近端と無限端と以外の動作範囲に対応する操作位置おいて、操作負荷発生部107が生成する負荷の大きさが小さくなる負荷制御値を算出する。更に、操作量の幅と対応して設定される状態の範囲(駆動範囲の広さ)が広い場合、対応して至近端と無限端と以外の動作範囲に対応する操作位置おいて、操作負荷発生部107が生成する負荷が小さくなるように負荷制御値を算出してもよい。即ち、駆動範囲の広さに基づいて、該範囲内の内側において生成される負荷は変更されることが望ましい。更にこの場合、駆動範囲が狭くなるに従って生成される負荷が大きくなるように、負荷が変更されるとよい。
【0037】
以上に述べたように、本実施例によれば、フォーカスレンズ204が至近端や無限端となったときに、操作部101に電気的負荷を発生させている。そして、フォーカスの操作性を向上するために操作部101の回転位置とフォーカスレンズ204の位置によって、回転操作の敏感度の変更と回転負荷の変更を行う。即ち、フォーカスデマンド10の回転操作の敏感度を適宜変更でき且つその変更に合わせて回転負荷の変更を行い、これによりフォーカスデマンド10の操作性を向上することができる。従って、フォーカスデマンド10を用いたフォーカスレンズ204において、操作者がより好適に位置制御を行うことが可能となる。
【0038】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2について、
図4と
図5を用いて説明する。実施例2では、実施例1の機能に加えて、操作部101が2回転以上の複数回転する設定の場合に、回転位置が原点を通る毎に操作負荷発生部107への印加電圧をパルス状に上げている。これにより回転操作中に操作部101の負荷が一瞬重くなることで、操作者は現在の回転位置が原点を通った事を知ることが可能となり、フォーカスレンズの操作性がより向上する。
【0039】
なお、以下の説明において、上述した実施例1における構成あるいは処理と同等の部分については、同じ参照番号等を付与することとし、ここでの説明を省略する。また、本実施例2における、フォーカスデマンドおよびレンズ装置の構成は、実施例1として
図1のブロック図に示された構成と同じであるため、ここでの図示等も省略する。
【0040】
ここで、本実施例おいて、操作負荷制御部106が負荷制御値を算出する処理について、
図4を参照して説明する。
図4は、操作負荷制御部106による負荷制御値の算出の際に実行される一連の処理を示すフローチャートである。
【0041】
例えば不図示の電源スイッチがONされると、フォーカスデマンド10によるレンズ装置20の制御が開始され、
図4に示すフローが開始される。フローの開始により、ステップS201では、操作負荷制御部106は、回転数設定部104で設定された回転数を取得する。回転数を取得すると、操作負荷制御部106はフローをステップS202に移行させる。
【0042】
ステップS202では、操作負荷制御部106は、デマンド通信部105からフォーカスレンズ204の位置を取得する。具体的には、レンズ位置検出部205がその時点でのフォーカスレンズ204の位置を検出し、検出結果をレンズ通信部201に送る。レンズ通信部201は送られたフォーカスレンズ204の位置を更にフォーカスデマンド10のデマンド通信部105に送る。操作負荷制御部106は、このようにして得られたフォーカスレンズ204の位置をデマンド通信部105より取得する。フォーカスレンズ204の位置を取得すると、操作負荷制御部106はフローをステップS203に移行させる。
【0043】
ステップS203では、操作負荷制御部106は、フォーカスレンズ204の位置が至近端又は無限端であるか否かを判断する。現時点での位置が至近端又は無限端でなければ、操作負荷制御部106は、フローをステップS204に移行させる。一方、至近端又は無限端に位置していると判断されると、操作負荷制御部106はフローをステップS205へ移行させる。
【0044】
ステップS204では、操作負荷制御部106は、操作部101が原点位置にあるか否かを判断する。なお、操作部101が原点位置にあるかどうかは、ステップS202で取得したフォーカスレンズ204の位置から判断してもいいし、操作位置検出部102からの情報に基づいて判断してもよい。原点位置でないと判定されると、操作負荷制御部106はフローをステップS207に移行させる。一方、原点位置であると判定されると、操作負荷制御部106はフローをステップS206移行させる。
【0045】
ステップS205では、操作負荷制御部106は、端部で操作部101に負荷を加える際に用いる負荷制御値を算出する。算出された負荷制御値は、操作負荷制御部106から操作負荷発生部107に出力される。操作負荷制御部106から負荷制御値が出力されることにより、以上の処理は終了する。
【0046】
ステップS206では、操作負荷制御部106は、操作部原点で操作部101に負荷を加える際に用いる負荷制御値を算出する。算出された負荷制御値は、操作負荷制御部106から操作負荷発生部107に出力される。操作負荷制御部106から負荷制御値が出力されることにより、以上の処理は終了する。
【0047】
ステップS207では、操作負荷制御部106は、回転数設定部104で設定された回転数に応じて、端部および原点以外で操作部101に負荷を加える際に用いるの負荷制御値を算出する。算出された負荷制御値は、操作負荷制御部106から操作負荷発生部107に出力される。操作負荷制御部106から負荷制御値が出力されることにより、以上の処理は終了する。
【0048】
次に、至近端から無限端にフォーカスレンズ204を動かす際の操作部101の回転数を変えて、フォーカスデマンド10の敏感度を変更した場合について説明する。具体的には、本実施例における操作部101に対する操作指令値と、その操作位置(回転角度)と、負荷制御値に応じた印加電圧との関係について、
図5を参照して説明する。
図5は、回転数設定部104で設定された複数回の回転数(2回転および3回転)別の、操作部101の操作位置と負荷の関係を示す図である。
【0049】
図5(A)は、操作部101が2回転設定の場合について示す図である。同図において、(2)で示される直線は、操作指令値と操作部101の回転角との関係を示す。操作部101が720度回転することで、フォーカスレンズ204が至近端から無限端に移動する。同図において、斜線部(2a)は、至近端およびその近傍で用いられる負荷制御値を示す。また、斜線部(2b)は、無限端およびその近傍で用いられる負荷制御値を示す。斜線部(2a)、斜線部(2b)ともにフォーカスの操作ノブがそれ以上動かない負荷制御値としている。また、同図において、斜線部(2c)は端部および後述する原点以外で用いられる負荷制御値を示す。
【0050】
本実施例では、上述した負荷制御値に加え、斜線部(2d)で示す負荷制御値も用いられる。斜線部(2d)で示す負荷制御値は、操作部101の原点で用いられる。本実施例では、操作部101が至近端から無限端へ操作されている際に、その中間点である回転角度360度の原点位置を通過した場合、操作負荷発生部107に対する印加電圧をパルス状に上げている。これにより回転操作中に操作部101の負荷が一瞬重くなることで、操作者は現在の回転位置が原点を通った事を知ることができる。
【0051】
図3(C)は、操作部101が3回転設定の場合について示す図である。同図において。(3)で示される直線は、操作指令値と操作部101の回転角との関係を示す。操作部101が1080度回転することで、フォーカスレンズ204が至近端から無限端に移動する。同図において、斜線部(3a)は至近端およびその近傍で用いられる負荷制御値を示す。また、斜線部(3b)は、無限端およびその近傍で用いられる負荷制御値を示す。斜線部(3a)、斜線部(3b)ともにフォーカスの操作ノブがそれ以上動かない負荷制御値としている。また、同図において、斜線部(3c)は端部および原点以外で用いられる負荷制御値を示す。
【0052】
更に、本実施例では、同図における斜線部(3d)、および斜線部(3e)で示す負荷制御値も用いられる。これら負荷制御値は、操作部101の原点で用いられる。本実施例では、操作部101が至近端から無限端へ操作されている際に、その1/3の位置である360度の原点位置、および2/3の位置である720度の原点位置を通過した場合、操作負荷発生部107に対する印加電圧をパルス状に上げている。
【0053】
以上に述べたように、本実施例に係るレンズ操作装置において、フォーカスレンズ204の動作範囲内の予め設定された位置に対応する操作部101の操作位置において、操作負荷発生部107が生成する負荷の大きさを変更させる負荷制御値が算出される。より詳細には、操作部101が回転操作による回転角を操作量とする場合、操作部101が1回転される毎に、操作者が1回転したことを認識できるような負荷を操作部101に加えられるように、操作負荷制御部106がパルス状の負荷制御値を算出する。ここで、フォーカスレンズ204の駆動に関する状態の変化範囲である駆動範囲は、操作部101の操作の幅(回転量)と対応している。即ち、本実施例では、フォーカスレンズ204の駆動範囲の内側における状態に対応する操作部101の操作位置に基づいて、操作負荷発生部107が発生させる負荷の大きさが変更されるように構成することもできる。
【0054】
また、本実施例に係るレンズ操作装置(フォーカスデマンド10)は、操作者が1回転したことを認識できるような負荷を操作部101に加えられるように負荷制御値を生成するレンズ操作装置を構築することもできる。この場合、フォーカスデマンド10として、操作部101と、操作負荷制御手段と、操作負荷生成手段と、操作量設定手段と、位置取得手段と、を備えることについては実施例1と同様となる。そして、操作負荷制御手段(操作負荷制御部106)が生成する負荷制御値の態様が実施例1と異なる。
【0055】
具体的には、操作負荷制御部106は、第1の負荷制御値(斜線部2a,2b)、第2の負荷制御値(2d,3d,3e)、および第3の負荷制御値(2c,3c)の3種類の制御値を生成する。より詳細には、操作負荷制御部106は、設定された操作量と取得された位置情報とに基づいて、至近端および無限端に対応する操作部101の操作位置で用いる第1の負荷制御値を生成する。また、第2の負荷制御値は、予め設定された位置である1回転時、2回転時等に対応する操作部101の操作位置で用いる負荷制御値として、第1の負荷制御値よりも小さな負荷を生じさせるように生成される。そして、第3の負荷制御値は、至近端および無限端に対応する操作部101の操作位置以外の領域、並びに1回転時、2回転時等に対応する操作部101の操作位置以外の領域で用いるために生成される。この第3の負荷制御値は、第2の負荷制御値よりも小さな負荷を生じさせるように生成される。
【0056】
以上に述べたように、本実施例2では、実施例1の処理に加えて、操作部101の回転数が2回転以上の複数回転に設定された場合に、回転位置が原点を通過する毎に操作負荷発生部107に対する印加電圧をパルス状に上げる処理を行っている。即ち、駆動に関する状態に関して操作位置の原点に対応するとして予め定められた状態である場合に、操作部101に加えられる負荷の大きさが変更される。これにより、本実施例では、実施例1で得た効果に加え、操作部101の回転操作中に一瞬負荷が重くなることで操作者は回転位置が原点を通った事を知ることができ、フォーカスの操作性がより向上する。
【0057】
[実施例3]
次に、本発明の実施例3について、
図6と
図7を用いて説明する。実施例3では、例えば実施例1で述べたフォーカスデマンドが複数設けられ、これらによってレンズ装置の操作が可能とされている。その際に、操作負荷発生部107により操作部101に生成される負荷を個々のフォーカスデマンド毎に変えることで、操作者が有効なフォーカスデマンドを容易に把握できるようにしている。
【0058】
なお、以下の説明において、上述した実施例1における構成あるいは処理と同等の部分については、同じ参照番号等を付与し、ここでの説明を省略する。また、後述するように、本実施例では、フォーカスデマンド10に加えてフォーカスデマンド11も設けられている。しかし、これらフォーカスデマンドの内部構成は同じであることから、これら内部構成に関しては同一の参照番号を付与することとし、ここでの個々の構成についての説明を省略する。
【0059】
図6は、本実施例に係るフォーカスデマンド10,11およびレンズ装置20からなるレンズシステムについてのブロック図である。実施例3に係るレンズシステムでは、実施例1のレンズシステムに対してフォーカスデマンド11が追加されている点で異なっている。このような構成とすることにより、レンズ装置20に接続されて複数のフォーカスデマンドにおいて、操作権を持ったフォーカスデマンドによりレンズ装置20を操作することができる。
【0060】
次に、上述した構成のレンズシステムにおいて実行される、操作権を有するフォーカスデマンドの操作負荷制御部106が負荷制御値を算出する処理について、
図7を参照して説明する。
図7は、操作権を有するフォーカスデマンドを判定し、操作負荷制御部106がその後負荷制御値を算出する際に実行される一連の処理を示すフローチャートである。
【0061】
例えば不図示の電源スイッチがONされると、フォーカスデマンド10,11のいずれかによるレンズ装置20の制御が開始され、
図7に示すフローが開始される。フローの開始により、ステップS301では、例えばフォーカスデマンド10の操作負荷制御部106は、フォーカスデマンド10において操作負荷制御の操作権が有るか否かを判断する。操作負荷制御部106が、操作権がフォーカスデマンド10に有ると判断した場合、操作負荷制御部106はフローをステップS101へ移行させる。一方、操作権が無いと判断した場合、操作負荷制御部106はフローをステップS302へ移行させる。
【0062】
ここで、操作負荷制御部106により実行されるステップS101からステップS105の処理に関しては実施例1で述べた各ステップの処理と同じなので、ここでの以降の説明は省略する。一方。ステップS302では、フォーカスデマンド10における回転数設定部104は至近端と無限端の設定を行わない。また、操作負荷制御部106は、操作権のある場合の端部以外で操作部101に負荷を加える際に用いる負荷制御値より小さい、予め定められた一定の負荷制御値を操作部101に負荷を加える際に用いる負荷制御値として出力する。なお、ここで述べる一定の負荷制御値には、操作負荷発生部107の発生する負荷が0(ゼロ)となる値も含まれる。
【0063】
以上に述べたように、本実施例に係るレンズ操作装置(フォーカスデマンド10)において、操作負荷制御部106は、操作部101の操作によりフォーカスレンズ204の稼働を制御できる状態にあるか否かを判定する。そして、制御できる状態にあると判定された場合に、回転数設定部が操作量として回転数を設定し、デマンド通信部105がフォーカスレンズ204の位置情報を取得する。操作負荷制御部106は、設定された操作量と取得された位置情報とを用いて操作負荷発生部107が負荷を生成する操作部101の操作位置を決定する。
【0064】
また、操作負荷制御部106により制御できる状態にないと判定された場合には、該操作負荷制御部106は、操作部101動作範囲に対応する操作位置において操作負荷発生部107が生成する負荷の値を所定の一定値とする負荷制御値を算出する。なお、この場合の所定の一定値は、ゼロ、又は、制御できる状態にあると判定された場合に至近端と無限端と以外の範囲に対応する操作部101の操作位置おいて操作負荷発生部107が生成する負荷の値よりも小さい一定値であるとよい。なお、本実施例において制御できない状態にあると判定される場合とは、操作部101の操作量がフォーカスレンズ204の制御に対して無効とされている場合である。また、無効とされている場合とは、例えば、操作部101の操作にフォーカスレンズ204の操作権がない場合、および操作部101の操作位置とフォーカスレンズ204の位置との整合が取れていない場合とのいずれか一方である。
【0065】
以上に述べたように、本実施例3では、実施例1の構成に加えて、フォーカスデマンド10,11に例示されるように、複数のフォーカスデマンドがレンズ装置20に接続されている。そして、操作権の無いフォーカスデマンドについては、操作部101を操作しても端部には到達せず、操作権が有る場合の回転負荷よりも小さい回転負荷が操作部101の操作時に加えられることとしている。このため、操作者は操作権が無いフォーカスデマンドを容易に認識でき、フォーカスの操作性がより向上する。
【0066】
なお、実施例3では、レンズ装置20に対して複数のフォーカスデマンドが接続され、これらフォーカスデマンドにおいて操作権の有無に応じて負荷制御値を変更する場合について説明した。しかし、本実施例の適用例は、このような場合に限られない。例えば、レンズ装置20に対して1つのフォーカスデマンドのみが接続された場合についても、適用することができる。具体的には、このフォーカスデマンドとレンズ装置20との接続処理が行われ、接続後に該フォーカスデマンドの操作可能状態が確定するまで、操作権がない場合の負荷制御値を用いる処理を行うこととする。これにより、操作者は、用いるフォーカスデマンドとレンズ装置20とが操作可能状態に接続されているか否かを認識できる。
【0067】
また、実際のレンズシステムの使用時において、フォーカスレンズ204の位置と操作部101の回転位置との関係が、何らかの原因で不整合となる場合が生じえる。このような場合、
図7にフローチャートで示した処理を実行するとよい。用いるフォーカスデマンドが操作権を得るまで、処理開始、ステップS302、および処理終了のループを繰り返し、操作権が得られた後はステップS101以降の処理を実行することとする。このような処理を行うことで至近端、無限端を再度設定し、フォーカスレンズ204の位置と操作部101の回転位置との整合をとることができる。
【0068】
以上に述べたように、本実施例に係るレンズ操作装置(フォーカスデマンド10)は、複数がレンズ装置20に接続された場合に、レンズ装置20の制御ができないレンズ操作装置の操作部101に所定の負荷を与える装置を構築することもできる。この場合、フォーカスデマンド10,11として、操作部101と、操作負荷制御手段と、操作負荷生成手段と、操作量設定手段と、位置取得手段と、を備えることについては実施例1と同様となる。そして、操作負荷制御手段(操作負荷制御部106)が生成する負荷制御値の態様が実施例1と異なる。
【0069】
具体的には、制御できない状態にあると判定した場合に、制御できる状態にあると判定された場合に至近端と無限端と以外の範囲に対応する操作位置に対して生成される負荷の値よりも小さい一定値を生成するための負荷制御値が生成される。換言すれば、駆動に関する状態の情報において、フォーカスレンズ204が制御できない状態にあると判定されると、この情報又は判定に基づいて、操作部101の指令が初期化され、負荷制御値はこの初期化に対応したもの(例えば0等の所定値)とされる。これにより、操作者は、用いるフォーカスデマンドとレンズ装置20とが操作可能状態に接続されているか否かを認識できる。
【0070】
[実施例4]
次に、本発明の実施例4について、
図8と
図9を用いて説明する。実施例4では、実施例1で述べた回転数設定部104に換えて設けられた回転数決定部401を含むフォーカスデマンド40を用いている。回転数設定部104は、入力部として、例えばロータリースイッチ等用いた操作者による外部からの入力に応じて至近端から無限端に至る操作部101の回転数を設定している。これに対して、本実施例における回転数決定部401は、レンズ装置20から得られる該レンズ装置20に関する情報に応じて至近端から無限端に至る操作部101の回転数を決定している。
【0071】
なお、以下の説明において、上述した実施例1における構成あるいは処理と同等の部分については、同じ参照番号等を付与し、ここでの説明を省略する。また、後述するように、実施例1のフォーカスデマンド10と本実施例のフォーカスデマンド40との相違は、回転数設定部104と回転数決定部401の相違のみである。従って、その他の構成に関しては同一の参照番号を付与することとし、ここでの個々の構成についての説明を省略する。
【0072】
図8は、本実施例4に係るフォーカスデマンド40およびレンズ装置20からなるレンズシステムについてのブロック図である。本実施例の操作装置であるフォーカスデマンド40は、上述したように、実施例1のフォーカスデマンド10とは、回転数設定部104と回転数決定部401の部分が異なる。回転数決定部401は、デマンド通信部105と接続され、レンズ装置20に関する情報を得る。なお、ここで述べるレンズ装置20に関する情報には、例えばレンズ装置20の機種やフォーカスレンズの移動敏感度等が含まれる。回転数決定部401は、取得したレンズ装置20に関する情報に基づいて、予め定められた該レンズ装置20について最適とする操作部101の回転数を決定する。
【0073】
次に、上述した構成のレンズシステムにおいて実行される、操作負荷制御部106が負荷制御値を算出する処理について
図9を参照して説明する。
図9は、回転数決定部401と操作負荷制御部106によって実行される負荷制御値を算出する際に実行される一連の処理フローチャートである。
【0074】
例えば不図示の電源スイッチがONされると、フォーカスデマンド40によるレンズ装置20の制御が開始され、
図9に示すフローが開始される。フローの開始により、ステップS401では、回転数決定部401は、デマンド通信部105からレンズ装置20に関する情報を取得する。レンズ装置20に関する情報を取得した回転数決定部401はフローをステップS402に移行させる。
【0075】
ステップS402では、回転数決定部401は、取得したレンズ装置20に関する情報に基づいて、フォーカスレンズ204を至近端から無限端に移動させるために要する操作部101の回転数を決定し、これを実施例1で述べた回転数として設定する。回転数決定部401が回転数を設定すると、操作負荷制御部106は設定された回転数を取得し、該操作負荷制御部106はフローをステップS403に移行させる。
【0076】
ステップS403では、操作負荷制御部106は、デマンド通信部105からフォーカスレンズ204の位置を取得する。具体的には、レンズ位置検出部205がその時点でのフォーカスレンズ204の位置を検出し、検出結果をレンズ通信部201に送る。レンズ通信部201は送られたフォーカスレンズ204の位置を更にフォーカスデマンド10のデマンド通信部105に送る。操作負荷制御部106は、このようにして得られたフォーカスレンズ204の位置をデマンド通信部105より取得する。フォーカスレンズ204の位置を取得すると、操作負荷制御部106はフローをステップS404に移行させる。
【0077】
ステップS404では、操作負荷制御部106は、フォーカスレンズ204の位置が至近端又は無限端であるか否かを判断する。現時点での位置が至近端又は無限端でなければ、操作負荷制御部106はフローをステップS405に移行させる。一方、至近端又は無限端に位置していると判断されると、操作負荷制御部106はフローをステップS406へ移行させる。
【0078】
ステップS405では、操作負荷制御部106は、回転数決定部401で決定された回転数に応じて、端部以外で操作部101に負荷を加える際に用いる負荷制御値を算出する。算出された負荷制御値は、操作負荷制御部106から操作負荷発生部107に出力される。操作負荷制御部106から負荷制御値が出力されることにより、以上の処理は終了する。
【0079】
ステップS406では、操作負荷制御部106は、端部で操作部101に負荷を加える際に用いる負荷制御値を算出する。算出された負荷制御値は、操作負荷制御部106から操作負荷発生部107に出力される。操作負荷制御部106から負荷制御値が出力されることにより、以上の処理は終了する。
【0080】
以上に述べたように、本実施例によれば、フォーカスデマンド10の回転操作時の回転数について、レンズ装置20に関する情報に基づいて決定および設定をしている。即ち、本実施例では、レンズ装置20に対して操作部101の敏感度を最適なものに決定することが可能となる。これにより、フォーカスデマンドをレンズ装置20に適した操作性を有するものとでき、フォーカスレンズの操作性がより向上する。
【0081】
なお、上述した実施例1から4では、フォーカスデマンド10,40に例示される操作装置による操作対象として、レンズ装置20のフォーカスレンズ204を例示した。即ち、これら実施例は、光学部材と、該光学部材を駆動制御するための指令を生成する上述した操作装置からなるレンズ装置として把握することもできる。しかし、本発明の適用対象となる撮像装置における可動光学部材は、フォーカスレンズ204に限定されることはない。可動光学部材には、複数のレンズからなるフォーカスレンズ群を用いることもできる。更に、例えば、ズームレンズ、マクロレンズ、絞りを操作する可動光学部材等の可動光学部材を対象としてこれら可動光学部材を駆動する操作部に対して、本発明を適用しても同様の効果を享受することができる。
【0082】
また、上述した実施例2から4では、フォーカスデマンド10,40と、該フォーカスデマンド10,40により操作されるレンズ装置20とを備えたレンズシステムについて主に説明している。しかし、実施例1の
図1に例示したように、レンズシステムと、レンズ装置20の像面に配された撮像素子301とを有する撮像装置1の本体部30とを含めることによって、実施例2から4についても本発明の効果を享受する撮像装置1を実現することができる。
【0083】
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。該コンピュータは、1又は複数のプロセッサー又は回路を有し、コンピュータが実行可能命令を読み出して実行するために、分離した複数のコンピュータ又は分離した複数のプロセッサー又は回路のネットワークを含みうる。プロセッサー又は回路は、中央演算処理装置(CPU)、マイクロプロセッシングユニット(MPU)、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートウェイ(FPGA)を含みうる。また、プロセッサー又は回路は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、データフロープロセッサ(DFP)、又はニューラルプロセッシングユニット(NPU)を含みうる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。また、本発明は、フォーカスデマンド10として説明されたレンズ操作装置だけでなく、該レンズ操作装置とレンズ装置とを含むレンズシステムを構築できる。また、レンズ装置、レンズ操作装置、およびレンズ装置を介して被写体の画像、即ちレンズ装置により形成された像を取得する撮像素子を含む撮像装置本体と、を含む撮像装置を構築することもできる。更に、本発明は、レンズ装置に対しフローチャートで例示した処理が実行される作動方法も構築できる。
【符号の説明】
【0085】
10 ・・・・・ フォーカスデマンド(操作装置)
101 ・・・・ 操作部
104 ・・・・ 回転数設定部
106 ・・・・ 操作負荷制御部
107 ・・・・ 操作負荷発生部
20 ・・・・・レンズ装置
204 ・・・・ フォーカスレンズ(光学素子)
205 ・・・・ レンズ位置検出部