(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】クリップカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
A61B17/122 100
(21)【出願番号】P 2020217213
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前久保 尚武
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-188345(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123137(WO,A1)
【文献】特開2017-217206(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0205836(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/122
A61B 17/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用のクリップと、先端側に連結部を有する線状物とを連結するためのクリップカートリッジであって、
クリップケースと、
前記クリップケース内に配置され、前記クリップが挿入される内腔を有するリングと、
前記クリップケース内に配置され、前記リングによって開閉する
前記クリップであって、互いに対向している第1腕部と第2腕部を有し、対象物を挟持する先端と、前記線状物の前記連結部に連結される基端とを有する
前記クリップと、を有し、
前記クリップケースはその外側表面に、前記線状物の前記連結部が挿入される挿入口を有し、
前記クリップケース内で、前記クリップは、前記リングよりも前記挿入口から遠い側に配置されており、
前記クリップケースはその内部に、前記リングを保持する保持部材を有し、
前記保持部材は、前記リングから離れる方向に移動可能であり、
前記保持部材は、前記リングを所定位置に保持する第1状態と、前記リングの所定位置での保持を解除する第2状態と、をと
り、
前記クリップケースを水平面に置いた状態で、前記クリップケースは前記水平面と垂直であって重力方向と平行な上下方向を有し、
前記第1状態では、前記上下方向において前記クリップの最下端が前記リングの最下端よりも低い位置にあり、
前記第2状態では、前記上下方向において前記クリップの最下端と前記リングの最下端が同じ高さの位置にあるクリップカートリッジ。
【請求項2】
前記保持部材は、前記挿入口から前記クリップに向かう方向に延びている請求項
1に記載のクリップカートリッジ。
【請求項3】
前記保持部材は、前記第1状態において、前記クリップの前記第1腕部または前記第2腕部の延在方向に沿って延びている部分を有している請求項1
または2に記載のクリップカートリッジ。
【請求項4】
前記クリップケースはその内部に、前記リングが載置されるリング載置面と、前記クリップが載置されているクリップ載置面と、を有し、
前記保持部材が前記リング載置面を有し、
前記第1状態では、前記リング載置面上に前記リングが載置されており、
前記第2状態では、前記リング載置面上に前記リングが載置されていない請求項1~
3のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項5】
前記保持部材は前記リングの半径方向に移動可能なスライド片である請求項
4に記載のクリップカートリッジ。
【請求項6】
前記保持部材は、基端側に回転軸を備え、前記回転軸周りに回動可能に軸支された回動片である請求項
4に記載のクリップカートリッジ。
【請求項7】
前記保持部材は、前記リングの中心軸を挟んだ一方側に配置されている第1挟持片と前記リングの中心軸を挟んだ他方側に配置されている第2挟持片を有し、
前記第1挟持片と前記第2挟持片は互いに反対方向に移動可能であり、
前記第1状態では、前記第1挟持片と前記第2挟持片によって前記リングが挟持されており、
前記第2状態では、前記第1挟持片と前記第2挟持片によって前記リングが挟持されていない請求項1~
3のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項8】
前記クリップケースはその内部に、前記リングが載置されているリング載置面と、前記クリップが載置されているクリップ載置面と、前記挿入口に連通し、前記線状物が挿通される挿通路とを有し、
前記クリップケースは、前記クリップ載置面を有する第1ケース体と、前記第1ケース体を覆っている第2ケース体を有し、
前記第2ケース体が外側から押圧されると、前記保持部材が前記リングから離れる方向に移動する請求項1~
7のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【請求項9】
前記第2ケース体が外側から押圧されると、前記保持部材が前記第1状態から前記第2状態に移行する請求項
8に記載のクリップカートリッジ。
【請求項10】
前記保持部材は、前記クリップケースから外側へ露出した操作片を備える請求項1~
9のいずれか一項に記載のクリップカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用のクリップと、先端側に連結部を有する線状物とを連結するためのクリップカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を利用した処置では、患部等の処置対象組織を挟持するために医療用のクリップが用いられる。医療用のクリップは、ワイヤ等の線状物の先端側に取り付けられて、患者の体内に運ばれる。線状物と、線状物の先端側に取り付けられたクリップを備えたクリップ装置が内視鏡の鉗子口から鉗子チャンネルに挿入されて、クリップが処置対象組織まで搬送されることによって、患者の体内でクリップによる施術が可能となる。クリップは1回の施術で複数個用いられることが多く、クリッピング操作の度にクリップ装置に新たなクリップを取り付ける必要がある。そこで、クリップの取り付けを効率よく行うために連結補助具としてクリップカートリッジが提案されている(例えば、特許文献1~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/121401号
【文献】特開2017-217206号公報
【文献】特開2017-148182号公報
【文献】特開2009-11769号公報
【文献】国際公開第2017/94455号
【文献】国際公開第2018/123137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手技時間の短縮による術者や患者の負担軽減のため、更に効率よく取り付けが可能なクリップカートリッジを提供することは有益である。そこで、本発明は、クリップの取り付けの効率化に資するクリップカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成し得た本発明のクリップカートリッジの一実施態様は、医療用のクリップと、先端側に連結部を有する線状物とを連結するためのクリップカートリッジであって、クリップケースと、クリップケース内に配置され、クリップが挿入される内腔を有するリングと、クリップケース内に配置され、リングによって開閉するクリップであって、互いに対向している第1腕部と第2腕部を有し、対象物を挟持する先端と、線状物の連結部に連結される基端とを有するクリップと、を有し、クリップケースはその外側表面に、線状物の連結部が挿入される挿入口を有し、クリップケース内で、クリップは、リングよりも挿入口から遠い側に配置されており、クリップケースはその内部に、リングを保持する保持部材を有し、保持部材は、リングから離れる方向に移動可能であり、保持部材は、リングを所定位置に保持する第1状態と、リングの所定位置での保持を解除する第2状態と、をとる点に要旨を有する。上記カートリッジによれば、第1状態ではクリップから離れた位置で保持部材がリングを保持可能であるため、クリップと線状物の連結に際してリングの内腔に線状物を通す操作が行いやすくなり、線状物にクリップを効率よく取り付けることができる。また、保持部材がリングから離れる方向に移動することで第2状態ではリングの保持を解除することができる。このためクリップと線状物の連結後にこれらをケースから引き出す際に、保持部材をクリップの通り道から退避させることができる。その結果、保持部材がクリップと干渉しにくくなり、ケースからクリップをスムーズに引き出すことができる。
【0006】
上記クリップカートリッジは、第1状態ではクリップの最下端がリングの最下端よりも低い位置にあり、第2状態ではクリップの最下端とリングの最下端が同じ高さの位置にあることが好ましい。保持部材は、挿入口からクリップに向かう方向に延びていることが好ましい。保持部材は、第1状態において、クリップの第1腕部または第2腕部の延在方向に沿って延びている部分を有していることが好ましい。
【0007】
クリップケースはその内部に、リングが載置されるリング載置面と、クリップが載置されているクリップ載置面と、を有し、保持部材がリング載置面を有し、第1状態では、リング載置面上にリングが載置されており、第2状態では、リング載置面上にリングが載置されていないことが好ましい。
【0008】
保持部材はリングの半径方向に移動可能なスライド片であることが好ましい。保持部材は、基端側に回転軸を備え、回転軸周りに回動可能に軸支された回動片であってもよい。保持部材は、リングの中心軸を挟んだ一方側に配置されている第1挟持片とリングの中心軸を挟んだ他方側に配置されている第2挟持片を有し、第1挟持片と第2挟持片は互いに反対方向に移動可能であり、第1状態では、第1挟持片と第2挟持片によってリングが挟持されており、第2状態では、第1挟持片と第2挟持片によってリングが挟持されていないものでもよい。
【0009】
クリップケースはその内部に、リングが載置されているリング載置面と、クリップが載置されているクリップ載置面と、挿入口に連通し、線状物が挿通される挿通路とを有し、クリップケースは、クリップ載置面を有する第1ケース体と、第1ケース体を覆っている第2ケース体を有し、第2ケース体が外側から押圧されると、保持部材がリングから離れる方向に移動することが好ましい。第2ケース体が外側から押圧されると、保持部材が第1状態から第2状態に移行することが好ましい。
【0010】
保持部材は、クリップケースから外側へ露出した操作片を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
上記クリップカートリッジによれば、線状物にクリップを効率よく取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るクリップカートリッジの分解斜視図である。
【
図2】
図1に示したクリップカートリッジの第1ケース体の平面図である。
【
図3】
図1に示したクリップカートリッジの第1ケース体の平面図である。
【
図4】
図2に示した保持部材とリングの断面図である。
【
図5】
図3に示した保持部材とリングの断面図である。
【
図6】本発明の一実施態様に係るクリップの側面図である。
【
図7】本発明の一実施態様に係る線状物の側面図(一部断面図)である。
【
図8】本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
【
図9】本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
【
図10】本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
【
図11】本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
【
図12】
図1に示したクリップカートリッジの第2ケース体の変形例を示す斜視図である。
【
図14】
図12に示した第2ケース体の背面の一部を拡大した斜視図である。
【
図15】
図12に示した第2ケース体の突出部と保持部材を拡大した断面図(一部正面図)である。
【
図16】
図1に示したクリップカートリッジの保持部材の変形例を示す平面図である。
【
図17】
図16に示した保持部材を移動させたときの平面図である。
【
図21】
図19に示した保持部材とリングの変形例を示す断面図である。
【
図22】
図20に示した保持部材とリングの変形例を示す断面図である。
【
図23】
図1に示したクリップカートリッジの保持部材の他の変形例を示す平面図である。
【
図24】
図23に示した保持部材を移動させたときの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のクリップカートリッジの一実施態様は、医療用のクリップと、先端側に連結部を有する線状物とを連結するためのクリップカートリッジに関するものである。クリップカートリッジは、内視鏡下でクリップ装置を利用した処置を行う際に用いられる。詳細には、クリップを取り付けたクリップ装置を内視鏡の鉗子チャンネル内を通じてクリップを処置対象組織まで搬送することにより、患者の体内でクリップによる施術を行うことができる。
【0014】
クリップカートリッジは、クリップケースと、クリップケース内に配置され、クリップが挿入される内腔を有するリングと、クリップケース内に配置され、リングによって開閉するクリップであって、互いに対向している第1腕部と第2腕部を有し、対象物を挟持する先端と、線状物の連結部に連結される基端とを有するクリップと、を有し、クリップケースはその外側表面に、線状物の連結部が挿入される挿入口を有し、クリップケース内で、クリップは、リングよりも挿入口から遠い側に配置されており、クリップケースはその内部に、リングを保持する保持部材を有し、保持部材はリングから離れる方向に移動可能であり、保持部材は所定位置でリングを保持する第1状態とリングの所定位置での保持を解除する第2状態とをとる点に要旨を有する。上記カートリッジによれば、第1状態ではクリップから離れた位置で保持部材がリングを保持可能であるため、クリップと線状物の連結に際してリングの内腔に線状物を通す操作が行いやすくなり、線状物にクリップを効率よく取り付けることができる。また、保持部材がリングから離れる方向に移動することで第2状態ではリングの保持を解除することができる。このためクリップと線状物の連結後にこれらをケースから引き出す際に、保持部材をクリップの通り道から退避させることができる。その結果、保持部材がクリップと干渉しにくくなり、ケースからクリップをスムーズに引き出すことができる。
【0015】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0016】
図1~
図15を参照して、クリップカートリッジ、クリップ装置およびクリップシステムの構成について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るクリップカートリッジの分解斜視図である。
図2は
図1に示したクリップカートリッジの第1ケース体の平面図である。
図3は
図1に示したクリップカートリッジの第1ケース体の平面図である。
図4は
図2に示した保持部材とリングの断面図である。
図5は
図3に示した保持部材とリングの断面図である。
図6は本発明の一実施態様に係るクリップの側面図である。
図7は本発明の一実施態様に係る線状物の側面図(一部断面図)である。
図8~
図11は本発明の一実施態様に係るクリップと線状物の連結方法の一例を示す模式図である。
図12は
図1に示したクリップカートリッジの第2ケース体の変形例を示す斜視図である。
図13は
図12に示した第2ケース体の背面図である。
図14は
図12に示した第2ケース体の背面の一部を拡大した斜視図である。
図15は
図12に示した第2ケース体の突出部と保持部材を拡大した断面図(一部正面図)である。なお、
図1では、第2ケース体26に複数の接続ピン26Jが設けられ、接続ピン26Jがそれぞれ挿入される穴25Kが第1ケース体25に複数設けられていることを示した。
図8~
図11では接続ピン26Jおよび穴25Kを省略して記載している。
図8~
図11では、第2ケース体26が
図12に示す構造を有する例を示したが、第2ケース体26の構造はこの態様に限定されるものではない。
【0017】
クリップカートリッジ1は、リング2と、クリップ5と、クリップケース10を備える。以下では、クリップカートリッジをカートリッジ、クリップケースをケースと称することがある。カートリッジ1について詳しく説明する前にクリップ装置およびクリップシステムについて説明する。クリップ装置は、少なくともクリップ5とリング2と線状物30とを含む。
図7に示すように、線状物30は線状に形成されており、長手軸方向に先端30Aと基端(図示せず)を有している。線状物30はその先端30A側にクリップ5と連結される連結部32を有している。線状物30の先端30A側がカートリッジ1に挿入される。クリップシステムは、少なくともケース10と;クリップ5とリング2と線状物30を有するクリップ装置と;を含むものである。詳細は後述するがケース10の内部にクリップ5とリング2が収容される。例えば、
図8に示すようにケース10内にクリップ装置の線状物30の先端30A側を挿入し、
図9に示すように線状物30をリング2の内腔4に通した後、
図10に示すように線状物30の連結部32にクリップ5を取り付けることができる。このような操作により、クリップ装置が使用可能になる。
【0018】
線状物30は一または複数の部材から構成することができる。連結部32は、線状物30と一体的に形成されていてもよい。
図7に示すように、線状物30は、長尺な線状物本体31と、線状物本体31の先端側に取り付けられている連結部32と、を有していてもよい。
【0019】
線状物本体31は中実状であっても中空状であってもよい。線状物本体31は単線であっても、単線を撚り合わせた撚り線であってもよい。線状物本体31としては、例えばステンレス鋼、炭素鋼等の金属線材や、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の合成樹脂から形成された糸条を用いることができる。線状物本体31の表面はフッ素樹脂等の樹脂でコーティングされていてもよい。
【0020】
連結部32はクリップ5の基端5B側に連結できる限り、その形状は特に限定されない。連結部32は、球形状、長円球形状、半円球形状、半長円球形状、涙滴形状、多角形状、錐形状、錐台形状、柱形状、またはこれらを組み合わせた形状とすることができる。連結部32は線状物本体31よりも外径が大きくてもよい。連結部32が、クリップ5の基端5B側に好ましく設けられる被連結部9に連結することで、クリップ5と線状物30を固定することができる。クリップ5と、線状物30の連結形態は特に限定されず、
図6に示すクリップ5の被連結部9を、線状物30の先端側に配置した2つの連結用の部材によって挟んで連結する形態や、
図6に示すクリップ5の基端5B側の第1腕部6と第2腕部7が平行になっている部分で、線状物30の先端側の連結部32を挟んで連結する形態などが挙げられる。クリップカートリッジ1においてクリップ5と線状物30の連結には、クリップ5の幅方向zから線状物30がアプローチする形態を好ましく用いることができる。
【0021】
連結部32は、生体適合性を有する材料から構成されていればよく、例えばステンレス鋼、炭素鋼等の金属や、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の合成樹脂から構成することができる。
【0022】
線状物30はその少なくとも一部が内筒35内に配置されていることが好ましい。すなわち、クリップ装置はさらに内筒35を有し、内筒35の内腔に線状物30が配置されることが好ましい。線状物30にクリップ5を連結して使用する際、線状物30を内筒35の長手軸方向に対して近位側または遠位側に移動させることでクリップ5の開度を調整することができる。例えば、線状物30を内筒35に対して近位側に移動させるとリング2と内筒35とが接触し、リング2をクリップ5の先端5A側に移動させることでクリップ5を閉じることができる。
【0023】
内筒35は、体腔内の形状に沿って屈曲する可撓性と、処置対象組織まで確実に到達する剛性の両方を兼ね備えていることが望ましい。内筒35は、金属や合成樹脂によって形成されたコイル体、短筒状の関節駒を軸方向に複数連結して回動可能にした筒体、合成樹脂から形成された筒体、またはこれらの組み合わせから構成することができる。
【0024】
クリップ装置はさらに外筒36を有していてもよい。その場合、内筒35が外筒36の内腔に配置される。線状物30にクリップ5を連結した状態で、クリップ5は外筒36から出し入れ自在に構成されていることが好ましい。外筒36内にクリップ5を収めることでクリップ5が外に露出せずに済む。また、クリップ5を対象組織の近くまで搬送する間には、外筒36内にクリップ5を収めることでクリップ5が鉗子チャンネルや病変以外の体内組織を傷付けることを抑制する。なお、処置の際には、外筒36からクリップ5とリング2を露出させて使用する。
【0025】
外筒36は、内筒35と同様に可撓性と剛性を備えていることが望ましい。外筒36は、合成樹脂から形成された筒体や、金属や合成樹脂によって形成されたコイル体、短筒状の関節駒を軸方向に複数連結して回動可能にした筒体、またはこれらの組み合わせから構成することができる。中でも、外筒36には合成樹脂から形成された筒体が好ましく用いられる。外筒36と内筒35との位置関係を確認しやすくするために、外筒36は透明または半透明な材料から構成してもよい。
【0026】
クリップ5は医療用であり、例えば内視鏡下の処置で病変部等の対象物の封止、カウンタートラクション、止血、縫縮、マーキングのために用いられる。クリップ5はケース10内に配置され、リング2によって開閉するものである。クリップ5は、対象物を挟持する先端5Aと、線状物30の連結部32に連結される基端5Bとを有する。クリップ5は基端5B側を支点として、リング2によって先端5A側が開閉可能に構成される。
【0027】
図6に示すように、クリップ5は互いに対向している第1腕部6と第2腕部7を有する。第1腕部6と第2腕部7はそれぞれ基端5Bから先端5Aに延びている。第1腕部6と第2腕部7は、先端5A側に向かって互いに離れるように延びている部分を有している。第1腕部6と第2腕部7は互いに基端5B側で接続されている。
図6に第1腕部6と第2腕部7の接続部8が示されている。U字状やY字状に折り曲げられた1枚の細長い板の長手方向の第1側部が第1腕部6であり、長手方向の第2側部が第2腕部7でもよい。また、互いに対向配置されている2枚の細長い板の一方が第1腕部6であり、他方が第2腕部7でもよい。
【0028】
クリップ5は、先端5Aから基端5Bに向かう方向xおよび開閉方向yに垂直な幅方向zを有していることが好ましい。
図8に示すようにクリップ5は幅方向zに第1端5Cと第2端5Dを有していることが好ましい。開閉方向yは、方向xに垂直な方向であり、
図6に示す矢印yの方向である。第1腕部6と第2腕部7の開閉の軌跡は、例えば円弧など、方向y以外の方向成分を含んでいてもよい。
【0029】
クリップ5の基端5B側には被連結部9が設けられていることが好ましい。被連結部9が線状物30の連結部32に連結される。被連結部9の構造は特に限定されないが、例えば
図6のように第1腕部6がその基端5B側に第2腕部7側に向かって突出している第1爪9Aを有し、第2腕部7がその基端5B側に第1腕部6側に向かって突出している第2爪9Bを有している構造とすることができる。第1爪9Aと第2爪9Bが連結部32に引っかかることでクリップ5と線状物30の連結後に線状物30がクリップ5から外れにくくなる。被連結部9の他の態様として、
図6に示すクリップ5の基端5B側で第1腕部6と第2腕部7が平行になっている部分に線状物30の先端側の連結部32を挟んで連結する態様などが挙げられる。
【0030】
図8~
図11ではクリップ5の第1腕部6と第2腕部7が先端5Aから基端5Bに向かって一定の幅を有している例を示しているが、先端5Aから基端5Bに向かう方向xの位置によって腕部の幅が異なっていてもよい。クリップ5の幅を変えることで、クリップの把持力を調節したり、ケース10内でのリング2とクリップ5の鉛直方向の位置を調整することができる。
【0031】
図8に示すように、リング2はケース10内に配置され、クリップ5が挿入される内腔4を有するものである。ケース10内で、クリップ5はリング2よりも挿入口11から遠い側に配置されている。ケース10内で、リング2は中心軸3の方向が挿入口11からクリップ5へ向かう方向に揃うように好ましく配置される。これにより、線状物30を奥側(
図9の矢印A側)に挿入したときに、クリップ5と線状物30を連結する前にリング2の内腔4に線状物30を通すことができる。
【0032】
リング2の中心軸3に垂直な断面の形状は特に限定されないが、例えば円形状、長円形状、多角形状であってもよい。リング2は切れ込みが入った断面C字の形状であってもよく、線材がらせん状に巻回されて形成されたコイル形状であってもよい。
【0033】
クリップ5やリング2は、高弾性と生体適合性を有する材料から構成することが好ましい。クリップ5やリング2は、例えばSUS301、SUS303、SUS304、SUS631等のステンレス鋼、Ni-Ti合金等から構成することができる。
【0034】
ケース10は、リング2とクリップ5を内部に収容するものである。
図8に示すようにケース10はその外側表面に線状物30の連結部32が挿入される挿入口11を有している。また、ケース10はその内部に、リング2を保持する保持部材40を有し、保持部材40はリング2から離れる方向pに移動可能であり、保持部材40は所定位置にリング2を保持する第1状態と、所定位置でのリング2の保持を解除する第2状態と、をとる。
図2および
図4は第1状態を示し、
図3および
図5は第2状態を示している。第1状態ではクリップ5から離れた位置で保持部材40がリング2を保持可能であるため、クリップ5と線状物30の連結に際してリング2の内腔4に線状物30を通す操作が行いやすくなり、線状物30にクリップ5を効率よく取り付けることができる。また、保持部材40がリング2から離れる方向pに移動することで第2状態ではリング2の保持を解除することができる。このためクリップ5と線状物30を連結する際に、線状物30とクリップ5の段差をなくすことができる。その結果、線状物30がクリップ5へ移動しやすくなり、クリップ5と線状物30とをスムーズに連結することができる。さらに、クリップ5と線状物30の連結後にこれらをケース10から引き出す際に、保持部材40をクリップ5の通り道から退避させることができる。その結果、保持部材40がクリップ5と干渉しにくくなり、ケース10からクリップ5をスムーズに引き出すことができる。
【0035】
カートリッジ1を用いたクリップ5と線状物30の連結方法の一例について説明する。
図2、
図4および
図8に示すようにカートリッジ1内の保持部材40でリング2を保持する。また、リング2よりも挿入口11から遠い側にクリップ5を配置する。
図8ではクリップ載置面16にクリップ5が載置されている。線状物30の先端30Aを挿入口11からケース10内に挿入し、線状物30をケース内10の挿通路12に通す。線状物30を奥側(
図9の矢印A側)に挿入すると、線状物30が保持部材40に保持されているリング2の内腔4に通される。線状物30の先端30Aがクリップ5の位置まで到達したら、リング2が保持部材40に保持されているため、
図9に示すように、リング2を通る線状物30の少なくとも一部がクリップ5よりも高い位置に配される。
図10に示すように線状物30をクリップ5側(矢印B側)へ押し込むことで、クリップ5の第1腕部6と第2腕部7の幅方向zの一方側から第1腕部6と第2腕部7の間に線状物30を嵌めることができる。カートリッジ1によれば、クリップ5と線状物30を連結する際に、クリップ5の基端5Bから先端5Aに向かう方向に線状物30を動かしてクリップ5の被連結部9に連結部32を差し込む操作を行わなくてもよい。このことはクリップ5と線状物30の連結不良発生の抑制やクリップ5の基端5B側の変形の抑制に寄与する。したがって、カートリッジ1によればクリップ5と線状物30の連結を効率よく行うことができる。なお、クリップ5の幅方向zの一方側とは、クリップ載置面16に接している側と反対側であり、
図8から
図10では第2端5D側である。
【0036】
この例ではケース10内でクリップ5と線状物30を連結後または連結中に保持部材40がリング2から離れる方向pに移動することで、保持部材40は第2状態に移行している。これにより、線状物30をクリップ5の方へ移動させやすくなり、クリップ5と線状物30とをスムーズに連結することができる。加えて、これにより、
図3および
図5に示すように保持部材40をクリップ5の通り道から退避させることができる。線状物30を手元側に引くと、リング2はクリップ5の周囲を囲むように配置される。さらに線状物30を手元側に引くと外筒36内にクリップ5とリング2を収めることができる。
図11に示すように外筒36と線状物30を手元側に引くことで、外筒36内にクリップ5とリング2が収められた状態でクリップ装置をケース10から抜き取ることができる。
【0037】
図11に示すように、互いに連結されているクリップ5と線状物30を、挿入口11を介してケース10から引き出し可能であることが好ましい。クリップ5をケース10から取り外す際にケース10を分解する必要がなくなるため、クリップ5を線状物30に連結した後すぐに手技を行うことができる。
【0038】
ケース10はその内部にリング2とクリップ5を収容できる容器形状をしていればよい。ケース10の外形は例えば多面体であってもよい。多面体としては直方体形状が挙げられる。
図1ではケース10の外形が偏平な直方体形状である例を示している。
【0039】
図1に示すようにケース10は、クリップ5が載置されるクリップ載置面16を有する第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26とを有していてもよい。クリップ5がクリップ載置面16から脱落しないように、ケース10は第1ケース体25から第2ケース体26に向かう方向に延びている壁25Aを有していることが好ましい。
図8から理解できるように第1ケース体25と第2ケース体26がそれぞれ凹形状を有する部分を有しており、これらケース体の凹形状部分が対向するように配置されることで、クリップ5を収容するクリップ収容部17が形成されていてもよい。また、第1ケース体25が板状に形成されており、第2ケース体26が板状の第1ケース体25を覆うように逆凹状に形成されていてもよい。第1ケース体25が凹状に形成され、第2ケース体26が板状に形成されていてもよい。
【0040】
ケース10の内部には、挿入口11から奥側に向かって順に、線状物30が挿通される挿通路12、リング2が収容されているリング収容部15、クリップ5が収容されているクリップ収容部17が設けられていることが好ましい。これにより、クリップ5と線状物30の連結が行いやすくなる。リング収容部15は、ケース10において、リング2が収容されている部分であり、リング載置面14を含んでいてもよい。
【0041】
挿入口11は、挿通路12に連通している限り、ケース10の外側表面のどの部分に設けられていてもよい。ケース10が上面部10Aと下面部10Bと4つの側面部10C~10Fを有する直方体形状である場合、上面部10Aまたは4つの側面部10C~10Fのいずれかに挿入口11を設けることができる。挿入口11は挿通路12の入り口に相当してもよい。挿入口11は第1ケース体25と第2ケース体26に跨がって設けられていてもよく、第1ケース体25と第2ケース体26のいずれか一方に設けられていてもよい。
【0042】
挿通路12は線状物30を挿入する通路であり、挿入口11とリング収容部15を繋ぐように形成される。挿通路12は、通常、挿入口11からリング収容部15まで真っ直ぐ延びるように形成される。挿通路12は例えばクリップ5の先端側に向かって低くなるように傾斜していてもよい。挿通路12の延在方向uは、挿入口11からリング収容部15に至る方向に相当する。挿入口11と挿通路12は、外筒36を挿通可能な大きさを有していることが好ましい。
【0043】
クリップ収容部17は、クリップ5を載置するクリップ載置面16を有していることが好ましい。クリップ載置面16は、クリップ5の少なくとも一部と接する部分を有する面である。クリップ載置面16では、クリップ5の第1腕部6と第2腕部7が開いた状態でクリップ5が載置されることが好ましい。クリップ5は、クリップ5の基端5B側が挿通路12側を向くように配置される。クリップ載置面16はクリップ5の基端5Bと接していてもよく、クリップ5の先端5Aと接していてもよく、先端5Aと基端5Bの両方と接していてもよい。
【0044】
クリップ載置面16は単一の面から構成されていてもよく、複数の面から構成されていてもよい。クリップ載置面16は平面のみから構成されていてもよく、曲面のみから構成されていてもよく、平面と曲面の組み合わせによって構成されていてもよい。クリップ載置面16は第1腕部6および第2腕部7の幅方向zの端縁に沿った形状を有していてもよい。
【0045】
クリップ5を載置した状態で、クリップ載置面16は水平面と平行であってもよく、クリップ載置面16がクリップ5の先端5A側または基端5B側に向かって低くなるように傾斜していてもよい。クリップ載置面16はリング2の中心軸3の方向と平行であってもよく、リング2の中心軸3の方向に対して傾斜していてもよい。なお、水平面とは重力方向nに垂直な水平方向mを含む面である。
【0046】
クリップ載置面16は第1ケース体25の内側表面の一部であってもよい。別の態様として、第1ケース体25がその内側にクリップ5を支持する支持部材(図示せず)を有しており、支持部材の表面の一部がクリップ載置面16であってもよい。
【0047】
保持部材40はリング2を保持するものである。保持部材40はケース10内に設けられるものであるが、保持部材40の一部がケース10外に露出または突出している態様も含まれる。保持部材40は一または複数の要素から構成することができる。
【0048】
保持部材40はリング2から離れる方向pに移動可能である。保持部材40がリング2から離れるとは、保持部材40の少なくとも一部がリング2から離れることを意味し、保持部材40の全体がリング2から離れることを必須としていない。詳細には、保持部材40がリング2から離れる方向pに移動することで第1状態から第2状態に移行することが好ましい。保持部材40が第2状態をとりうることで保持部材40をクリップ5の通り道から退避させることができる。なお、保持部材40を構成する全ての要素がリング2から離れる方向pに移動可能である必要はなく、保持部材40の少なくとも一部が移動可能な構造を有していればよい。
【0049】
図4に示すように第1状態では所定位置で保持部材40がリング2と接している。他方、第2状態では、保持部材40の所定位置でのリング2の保持が解除されている限り保持部材40とリング2が接していてもよい。例えば、第1状態では保持部材40が第1所定位置でリング2と接しており、第2状態では保持部材40が第1所定位置よりもリング2の最下端2Lが低い位置にある第2所定位置でリング2と接していてもよい。クリップ5との干渉を防ぐために、第2状態では
図5のように保持部材40とリング2が接していないことが好ましい。なお、第1状態でリングが位置する所定位置とは、リング2がリング収容部15に収容されている位置、例えばリング載置面14に載置されている位置である。
【0050】
第1状態では保持部材40全体がケース10内に配置されており、第2状態では保持部材40の一部がケース10外に配置されていてもよい。これにより、意図しない操作や、外力の付加によって、保持部材40が第1状態でなくなることを防ぐことができる。
【0051】
第1状態で、リング2の内腔4が挿通路12の長手軸中心の延長線上にあることが好ましい。第1状態において挿入口11からケース10内を覗いたときに、リング2の内腔4を視認可能であることが好ましい。第1状態で、リング2の内腔4の少なくとも一部が保持部材40から露出していることが好ましい。つまり第1状態で、リング2の内腔4の全体が保持部材40によって覆われていないことが好ましい。これにより、第1状態でリング2の内腔4に線状物30を通すことができる。
【0052】
保持部材40の移動方向は特に限定されず、挿通路12の延在方向uに移動してもよく、リング2の半径方向に移動してもよい。保持部材40は、クリップ5の開閉方向yに移動してもよい。保持部材40はケース10に対してスライドしてもよく、回動してもよい。保持部材40は第1ケース体25側から第2ケース体26側へ、または第2ケース体26側から第1ケース体25側へ移動してもよい。
【0053】
保持部材40でリング2を保持する態様は特に限定されず、保持部材40上にリング2が載置されてもよい。換言すれば保持部材40でリング2を支持してもよい。保持部材40が少なくとも2つの要素から構成される場合、少なくとも2つの要素によってリング2が挟持されてもよい。その他、吸着、接着等の方法により保持部材40がリング2を保持してもよい。
【0054】
図8に示すように第1状態ではクリップ5の最下端5Lがリング2の最下端2Lよりも低い位置にあり、
図10に示すように第2状態ではクリップ5の最下端5Lとリング2の最下端2Lが同じ高さの位置にあることが好ましい。第1状態ではリング2の内腔4を通る線状物30の少なくとも一部がクリップ5よりも高い位置に配されやすくなるため、線状物30にクリップ5を取り付けやすくなる。他方、第2状態ではクリップ5の最下端5Lとリング2の最下端2Lが同じ高さの位置にあることで、クリップ5と線状物30の連結後にこれらをケース10から引き出しやすくなる。
【0055】
保持部材40は、クリップ載置面16上に配置されていることが好ましい。これにより、保持部材40で保持されるリング2をクリップ載置面16よりも高く配置しやすくなる。特に、保持部材40は、クリップ載置面16上のうちクリップ5が載置されていない部分に配置されていることが好ましい。クリップ5と保持部材40が重なって配置されていると、保持部材40の移動に伴ってクリップ5が移動して、クリップ5と線状物30の連結に支障が生じる場合がある。
【0056】
保持部材40はリング2を保持可能であればその形状は限定されない。例えば
図8に示すように、保持部材40は挿入口11からクリップ5に向かう方向に延びていてもよい。これにより、リング2の中心軸3の方向の広範囲でリング2を安定して保持しやすくなる。保持部材40はリング2の半径方向に延びていてもよい。保持部材40はクリップ5の開閉方向yに延びていてもよい。保持部材40の形状は板状やブロック状であってもよい。保持部材40の形状は偏平状であってもよい。保持部材40の表面には凹部や凸部が設けられていてもよい。
【0057】
リング2が保持部材40に載置されている例について説明する。
図1に示すように、ケース10はその内部に、リング2が載置されるリング載置面14と、クリップ5が載置されるクリップ載置面16と、を有していてもよい。その場合、保持部材40がリング載置面14を有し、
図2および
図4に示すように第1状態ではリング載置面14上にリング2が載置されており、
図3および
図5に示すように第2状態では、リング載置面14上にリング2が載置されていないことが好ましい。保持部材40がリング載置面14を有することで第1状態ではリング2を安定して保持し、第2状態ではリング2の保持を解除しやすくなる。
【0058】
リング載置面14とクリップ載置面16とは異なる面である。これは、リング載置面14がクリップ載置面16の一部ではなく、かつクリップ載置面16がリング載置面14の一部ではないことを示している。保持部材40はクリップ載置面16を有しないことが好ましい。
【0059】
リング載置面14は、リング2の少なくとも一部と接する部分を有していればよい。リング載置面14では、リング2の中心軸3の方向が挿通路12の延在方向uに平行になるようにリング2が配置されていてもよい。挿通路12の延在方向uは、例えば挿通路12の長手軸中心の延在方向によって規定することができる。リング2の中心軸3の方向が挿通路12の延在方向uに平行になるとは、リング2の中心軸3の方向と挿通路12の延在方向uが実質的に平行になるものも含まれる。例えば、リング2の中心軸3の方向が挿通路12の延在方向uに対して±5度以内に傾斜しているものも含まれる。なお、カートリッジ1をリング2の中心軸3の方向から見たときに、リング2の中心軸3の方向と挿通路12の長手軸中心の延在方向が重ならなくてもよい。
【0060】
リング載置面14は単一の面から構成されていてもよく、複数の面から構成されていてもよい。リング載置面14は平面のみから構成されていてもよく、曲面のみから構成されていてもよく、平面と曲面の組み合わせによって構成されていてもよい。リング載置面14はリング2の外周面に沿った形状を有していてもよい。
【0061】
保持部材40が第1状態から第2状態に移行するときに、リング2が保持部材40以外に保持されていない場合、リング2がリング載置面14から落ちることが好ましい。その結果、第2状態ではリング2がクリップ載置面16と同じ高さの面、またはクリップ載置面16上に載置されてもよい。リング2を低い位置に移動させることができるため、クリップ5と線状物30の連結後、これらをケース10から引き出しやすくなる。カートリッジ1内に、線状物30が挿入されており、リング2の内腔4に線状物30が配置されている場合、保持部材40が第1状態から第2状態に移行するときに、線状物30およびリング2が、挿通路12およびリング載置面14から、クリップ載置面16へ移動することが好ましい。
【0062】
リング載置面14が傾くように保持部材40が移動可能であってもよい。リング載置面14からリングが落ちやすくなるため、第1状態から第2状態へ移行しやすくなる。
【0063】
リング2は、保持部材40の表面(好ましくは上面)に設けられている凹部に載置されてもよい。このとき、凹部の底面がリング載置面14として機能する。リング2を凹部に載置することで、リング2を安定して支持することができる。凹部は、保持部材40のうち第2ケース体26側を向いている面に設けられることが好ましい。
【0064】
図8に示すように、クリップ5の最下端5Lがリング載置面14の最下端14Lよりも低い位置にあることが好ましい。これにより、第1状態ではリング2の内腔4を通る線状物30の少なくとも一部がクリップ5よりも高い位置に配されやすくなる。
【0065】
第1状態でリング2の内腔4の最下端がクリップ5の基端5Bの最上端よりも高い位置にあることが好ましい。このようにクリップ5とリング2の高さを設定することによっても、ケース10内に線状物30を挿入したときに線状物30の少なくとも一部をクリップ5の上に位置させることができる。
【0066】
保持部材40の重心がリング2の中心軸3を挟んだ一方側(例えば第1腕部6側)に位置するように、保持部材40がケース10内に配置されていてもよい。保持部材40の重心がリング2の中心軸3を挟んだ他方側(例えば第2腕部7側)に位置するように、保持部材40がケース10内に配置されていてもよい。ここで、重心とは、保持部材40を1点で支えたときに、保持部材が水平になって支えられる点である。
【0067】
第1状態においてクリップ載置面14が挿通路12の延長線上に位置するように保持部材40がケース10内に配置されていることが好ましい。これにより、線状物30をカートリッジ1に挿入した際に、線状物30を挿入するだけで、リング2の内腔4に線状物30を配置することができる。
【0068】
図2~
図3および、
図4~
図5に示すように、保持部材40はリング2の半径方向に移動可能なスライド片41であってもよい。スライド片41をスライドさせることで、第1状態から第2状態へ移行させることができる。
【0069】
図2~
図3ではスライド片41はクリップ5の開閉方向yに移動している。第1状態から第2状態に移行するときに、スライド片41はクリップ5の幅方向zには移動しないことが好ましい。
【0070】
図8~
図10に示すように、保持部材40に保持されているリング2に線状物30が挿通された後、保持部材40が第2状態に移行することが好ましい。リング2に線状物30が通されていることによって、リング2が保持部材40に引きずられて位置ずれすることが抑制される。
【0071】
図示していないが、保持部材40が少なくとも第1スライド片と第2スライド片を有していてもよい。その場合、第1スライド片はリング2の中心軸3を挟んだ一方側に配置され、第2スライド片はリング2の中心軸3を挟んだ他方側に配置されることが好ましい。第1スライド片の表面であって第2スライド片側の端部には第1リング配置部が設けられており、第2スライド片の表面であって第1スライド片側の端部には第2リング配置部が設けられており、第1状態において第1リング配置部と第2リング配置部が近接し、リング載置面14が第1リング配置部と第2リング配置部から構成されてもよい。リング2を安定して支持可能なリング載置面14を形成するために、第1リング配置部と第2リング配置部はリング2の中心軸3の方向において互いに重なる位置にあることが好ましい。第1リング配置部および第2リング配置部は凹部であることが好ましい。リング載置面14は、第1リング配置部の凹部の底面と第2リング配置部の凹部の底面から構成することができる。第1リング載置部の凹部の底面と第2リング載置部の凹部の底面の高さが一致することが好ましい。これにより、リング載置面14でリングを安定して支持することができる。
【0072】
操作者が保持部材40に直接触れて、または他の部材を介して間接的に保持部材40を移動させることができる。例えば、
図1~
図3に示すように、保持部材40は、ケース10から外側へ露出した操作片40Aを備えていてもよい。操作者が操作片40Aをケース10の外に引っ張ることで保持部材40を移動させることができる。保持部材40をケース10の外側方向へスライドさせることで、第1状態から第2状態へ移行させることができる。
【0073】
保持部材40が操作片40Aを備えている場合、ケース10には操作片40Aを露出させる開口10Jが設けられていることが好ましい。開口10Jはケース10のいずれの外側表面に設けられていてもよい。保持部材40にはストッパーを設けてもよい。これにより、意図しない操作片40Aの操作や、外力による操作片40Aの移動によって、保持部材40から第1状態から第2状態へ移行しないようにしておくことができる。
【0074】
ケース10はその内部に、リング2が載置されているリング載置面14と、クリップ5が載置されているクリップ載置面16と、挿入口11に連通し、線状物30が挿通される挿通路12とを有していてもよい。その場合、
図8に示すように、ケース10は、クリップ載置面16を有する第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26を有し、
図10に示すように第2ケース体26が外側から押圧されると、保持部材40がリング2から離れる方向pに移動することが好ましい。操作者が第2ケース体26を押圧することで間接的に保持部材40を移動させることができる。
【0075】
第2ケース体26が押圧されると保持部材40が移動する構成としては、
図13~
図15に示すように第2ケース体26が第1ケース体25体側へ移動し、かつ第2ケース体26が、保持部材40を押圧する押圧部(以下、第1押圧部51)を有している例が挙げられる。第1押圧部51は、保持部材40と点接触、線接触、または面接触する部分を有している。ケース10には複数の第1押圧部51が設けられていてもよい。なお、第1押圧部51はリング2を押圧しないことが好ましい。保持部材40には、第2ケース体26の押圧部に押されることによって保持部材40に加わった力が、保持部材40がスライドするための力になるような構造が設けられる。例えば、保持部材40に、第1押圧部51と接触可能な斜面を設け、第1押圧部51が上方向から斜面に接することによって、保持部材40を水平方向に移動させる構造が挙げられる。
【0076】
図1~
図3、
図15に示すように、保持部材40は第1押圧部51と接触する接触面40Bを備えることが好ましい。第1押圧部51が保持部材40の接触面40Bと接触することで、保持部材40を移動させることができる。なお、接触面40Bは、リング載置面14よりもクリップ5に近い側に位置していてもよい。
【0077】
接触面40Bは、平面であってもよく曲面であってもよい。接触面40Bは、第1押圧部51の面方向に対して傾斜していてもよい。
【0078】
第2ケース体26が外側から押圧されると、保持部材40が第1状態から第2状態に移行することが好ましい。操作者が第2ケース体26を押圧することで保持部材40をクリップ5の通り道から退避するように移動させることができるため、保持部材40が移動するタイミングを操作者が調整することができる。
【0079】
図12では、第2ケース体26の外側に操作者が押圧するための操作部としてボタン55が設けられている。ボタン55の移動操作に連動して第1押圧部51が移動できるように、
図15のようにボタン55は第1押圧部51と重なる位置にあることが好ましい。
【0080】
保持部材40を広範囲で押圧しやすくするために、第1押圧部51はリング2の中心軸3の方向に延在していることが好ましい。第1押圧部51はリング2の半径方向に延在していてもよい。
【0081】
図14~
図15に示すように、第2ケース体26の内側に第1ケース体25側に向かって突出している突出部60が設けられており、第1押圧部51が突出部60の先端部61に設けられていることが好ましい。突出部60に第1押圧部51を設けることで、少ない押し込み量で保持部材40を移動させることができる。なお、突出部60の先端部61は、突出部60を第2ケース体26から第1ケース体25に向かう方向において二等分割したときの第1ケース体25に近い部分である。
【0082】
突出部60は、第1ケース体25側に向かって延在していればよく、その形状は特に限定されない。突出部60は、球状、半球状、長円球状、柱状、またはこれらの一部を切り欠いた形状、あるいはこれらを組み合わせた形状であってもよい。
図14~
図15に示すように突出部60は第1ケース体25側へ向かって先細りの形状であってもよい。先細りになっている突出部60は保持部材40に常に接触しやすくなり、突出部60によって第2ケース体26を終始押圧しやすくなるため、保持部材40がリング2から離れるように移動させることができる。
【0083】
突出部60の高さは一定であってもよい。突出部60の高さは、クリップ5の開閉方向yの両端側に向かって低くなっていてもよい。
【0084】
第2ケース体26が外側から押圧されると、第1押圧部51の最下端が保持部材40の最上端よりも低い位置まで移動することが好ましい。これにより、保持部材40を押圧することができる。
【0085】
第2ケース体26には挿通路12の延在方向uに沿って延在している弾性片27が設けられていてもよい。弾性片27はリング2の中心軸3の方向において挿入口11に近い第1端27Aと、第1端27Aと反対側の第2端27Bを有し、弾性片27の第2端27B側が第2ケース体26に固定され、弾性片27の第1端27A側が第2端27B側を支点として弾性変形するものであり、第1押圧部51が弾性片27の第1端27A側に設けられていてもよい。これにより、第1押圧部51を移動させて保持部材40をリング2から離した後、弾性片27の弾性変形により第1押圧部51の位置を元に戻すことができる。弾性片27は、第2ケース体26の一部を切り欠いて形成することができる。
【0086】
図示していないが、弾性片の第1端が第2ケース体に固定され、第2端が第1端側を支点として弾性変形してもよい。また、弾性片はクリップ5の開閉方向yに延在していてもよい。弾性片の一端が第2ケース体に固定され、他端が一端を支点として弾性変形することが好ましい。
【0087】
ケース10がクリップ載置面16を有する第1ケース体25と、第1ケース体25を覆っている第2ケース体26を有している場合、第2ケース体26は、第1ケース体25側へ移動し且つ線状物30を押圧する押圧部(以下、第2押圧部52)を有していてもよい。第2押圧部52を線状物30に接触させた状態で第2押圧部52を第1ケース体25側へ移動させることで、線状物30にクリップ5を効率よく取り付けることができる。
【0088】
第2ケース体26が外側から押圧されると第2押圧部52が第1ケース体25側へ移動することが好ましい。第2押圧部52はクリップ載置面16に対応する位置に設けられていることが好ましい。第2押圧部52は突出部60の先端部61に設けられていることが好ましい。先端部61に、リング2の中心軸3の方向に延在し線状物30が嵌まる溝62が設けられており、第2押圧部52は溝62の底面63であってもよい。
【0089】
第1押圧部51が保持部材40を押圧した後、第2押圧部52が線状物30を押圧してもよい。また、第2押圧部52が線状物30を押圧した後、第1押圧部51が保持部材40を押圧してもよい。押圧部40は、線状物30の先端側のクリップ5に連結する部分の付近であればどの部分に接触する態様も許容される。押圧部40は、線状物30の連結部32や、線状物本体31に接触して、クリップ5に押し込むことができる。先行物30の先端に、押圧受け部を設けてもよい。クリップカートリッジ1の押圧部40が、押圧受け部に接触することで、線状物30にクリップ5をより効率よく取り付けることができる。押圧受け部は、連結部32と同じ部分であってもよい。
【0090】
ケース10や保持部材40の構成材料は特に限定されないが、精密加工が容易となり、クリップ5とリング2を衛生的に保ち、クリップ5の損傷を防ぐ点から、合成樹脂から構成されることが好ましい。なお、第1ケース体25と第2ケース体26の少なくともいずれか一方が透明または半透明な材料から形成されていることが好ましい。操作者が目視で確認しながらクリップ5と線状物30の連結作業を行いやすくなる。
【0091】
図16は
図1に示したクリップカートリッジの保持部材の変形例を示す平面図である。
図17は
図16に示した保持部材を移動させたときの平面図である。
図18は
図16に示した保持部材の斜視図である。
図19は
図16に示した保持部材とリングの断面図である。
図20は
図17に示した保持部材とリングの断面図である。保持部材40は、回転軸42Aを備え、回転軸42A周りに回動可能に軸支された回動片42であってもよい。このように保持部材40を回動可能に構成することによっても第1状態(
図16および
図19)と第2状態(
図17および
図20)の両方の状態をとることができる。
図16に示すように、回転軸42Aは、回動片42の基端42C側に設けられていることが好ましい。
【0092】
ケース10は、回動片42の基端42C側に設けられ且つ回動片42の先端42Bを回動可能に支持している軸部28を有していてもよい。軸部28は、第1ケース体25に設けられていてもよい。その場合、回動片42には軸部を受ける軸受けとしての孔を設けることができる。軸部28は、中心軸3を挟んだ一方側に位置させることができる。軸部28の軸方向はリング2の半径方向と平行であることが好ましい。ケース10が第1ケース体25と第2ケース体26を有している場合、軸部28の軸方向は第1ケース体25から第2ケース体26へ向かう方向に沿っていてもよい。なお、回動片42を回動させるための軸部が回動片42に設けられ、ケース10に軸受けが設けられる構成であってもよい。
【0093】
回動片42の基端42C側には軸部28が挿入される孔42Dが設けられている。孔42Dの深さ方向は軸部28の軸方向と一致している。
図16~
図18では孔42Dは貫通孔であるが、軸部28を挿入できればよいため非貫通の孔でもよい。
【0094】
回動片42の表面にはリング載置面14が設けられている。第1状態では、リング2の中心軸3が挿通路12の延在方向uに平行となるようにリング2がリング載置面14に載置されている。第2状態では、回転軸42Aを支点として回動片42が回転した結果、先端42B側がケース10の壁に近づくように配されている。
【0095】
図16では回動片42が1つのみの例を示したが、回動片42は2つ以上設けられていてもよい。その場合、2つの回動片42はリング2の中心軸3に対して線対称の形状を有していることが好ましい。各回動片が動くタイミングを合わせやすくなり、リング2の保持や保持解除が行いやすくなる。
【0096】
保持部材40は、第1状態において、クリップ5の第1腕部6または第2腕部7の延在方向に沿って延びている部分を有していてもよい。保持部材40をクリップ5に当接させることでクリップ5の位置ずれを抑制することができ、クリップ5と線状物30を連結しやすくなる。
図16では、保持部材40が第2腕部7の延在方向に沿って延びている部分を有している例を示したが、保持部材40が第1腕部6と第2腕部7の延在方向に沿って延びている部分をそれぞれ有していてもよい。また、保持部材40が少なくとも第1の要素と第2の要素から構成されている場合、第1の要素が第1腕部6の延在方向に延びている部分を有し、第2の要素が第2腕部7の延在方向に延びている部分を有していてもよい。
【0097】
回動片42のその他の構成については、
図1~
図5に示した保持部材40(スライド片41)の説明を参照することができる。
【0098】
図21は、
図19に示した保持部材とリングの変形例を示す断面図であり、
図22は
図20に示した保持部材とリングの変形例を示す断面図である。
図21に示すように、第1状態では保持部材40が第1所定位置でリング2と接していてもよい。また、
図22に示すように、第2状態では保持部材40が第1所定位置よりもリング2の最下端2Lが低い位置にある第2所定位置でリング2と接していてもよい。つまり、第2状態では、第1状態とは異なる位置でリング2が保持部材40と接していてもよい。保持部材40を構成することによっても第1状態(
図21)と第2状態(
図22)の両方の状態をとることができる。特に、第2状態では第1状態に比べてリング2が低い位置にあるため、クリップ5と線状物30の連結後にこれらをケース10から引き出しやすくなる。
【0099】
リング2が保持部材40に挟持されている例について説明する。
図23は
図1に示したカートリッジの保持部材の他の変形例を示す斜視図である。
図24は
図23に示した保持部材を移動させたときの平面図である。
図25は
図23に示した保持部材とリングの断面図である。
図26は
図24に示した保持部材とリングの断面図である。保持部材40は、リング2の中心軸3を挟んだ一方側に配置されている第1挟持片45とリング2の中心軸3を挟んだ他方側に配置されている第2挟持片46を有していてもよい。その場合、第1挟持片45と第2挟持片46は互いに反対方向に移動可能であり、第1状態では、第1挟持片45と第2挟持片46によってリング2が挟持されており、第2状態では、第1挟持片45と第2挟持片46によってリング2が挟持されていないことが好ましい。このように保持部材40を構成することによっても第1状態(
図23および
図25)と第2状態(
図24および
図26)の両方の状態をとることができる。
【0100】
第1挟持片45と第2挟持片45は挟持によりリング2を保持するものであるため、第1挟持片45と第2挟持片46のいずれか一方のみではリング2を保持することができないものとする。
【0101】
第1挟持片45と第2挟持片46は、いずれもクリップ載置面16上に配置されていることが好ましい。
【0102】
第1挟持片45と第2挟持片46はリング2の半径方向に移動してもよい。中でも、第1挟持片45と第2挟持片46は第1ケース体25から第2ケース体26へ向かう方向に垂直な方向に移動することが好ましい。第1挟持片45と第2挟持片46は互いに反対向きに移動可能であればよく、同一の方向に移動可能であってもよい。
【0103】
図25に示すように、第1状態で、挿入口11からリング2の中心軸3を視認できることが好ましい。これにより、第1状態でリング2の内腔4に線状物30を挿入しやすくなる。
【0104】
図23に示すように、第1挟持片45と第2挟持片46はリング2の中心軸3に対して線対称の形状を有していてもよい。これによりリング2を安定して挟持しやすくなる。
【0105】
図25では、第1挟持片45の第2挟持片46側の端部、詳細には第1挟持片45の側部45Aに第1凹部45Bが設けられ、第2挟持片46の第1挟持片45側の端部に、詳細には第2挟持片46の側部46Aに第2凹部46Bが設けられている。そして、第1凹部45Bと第2凹部46Bでリング2を挟持することが可能になっている。リング2を挟持可能であれば、2つの凹部を設ける態様に限定されない。例えば、第1挟持片45と第2挟持片46のいずれか一方が凹部を有し、いずれか他方が凹部を有していなくてもよい。例えば、第1挟持片45が凹部を有し、第2挟持片46が第1挟持片45の凹部に対向する位置に平面状の壁を有しており、第1挟持片45の凹部と第2挟持片46の壁でリング2を挟持してもよい。
【0106】
第1状態で、第1挟持片45と第2挟持片46は互いに直接接触していてもよいが、互いに離れて配置されていてもよい。
図23および
図25では第1状態で側部45Aと側部46Aが離れている。
【符号の説明】
【0107】
1:クリップカートリッジ
2:リング、2L:リングの最下端、3:中心軸、4:内腔
5:クリップ、5A:先端、5B:基端、5C:幅方向の第1端、5D:幅方向の第2端、5L:クリップの最下端、6:第1腕部、7:第2腕部、8:接続部、9:被連結部
10:クリップケース、11:挿入口、12:挿通路、14:リング載置面、16:クリップ載置面、25:第1ケース体、26:第2ケース体
27:弾性片、27A:第1端、27B:第2端、28:軸部
30:線状物、31:線状物本体、32:連結部
40:保持部材、40A:操作片、40B:接触面、41:スライド片、42:回動片、42A:回転軸、42B:先端、42C:基端、42D:孔、45:第1挟持片、46:第2挟持片
51:第1押圧部、52:第2押圧部、55:ボタン
60:突出部、61:先端部、62:溝、63:底面
u:挿通路の延在方向
x:先端から基端へ向かう方向
y:開閉方向
z:幅方向
p:リングから離れる方向