IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ YKK AP株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-笠木部材および門型構造材 図1
  • 特許-笠木部材および門型構造材 図2
  • 特許-笠木部材および門型構造材 図3
  • 特許-笠木部材および門型構造材 図4
  • 特許-笠木部材および門型構造材 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】笠木部材および門型構造材
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/15 20060101AFI20241030BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20241030BHJP
   A47G 29/12 20060101ALN20241030BHJP
【FI】
E04D13/15 301A
E04F11/18
A47G29/12 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021009741
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113464
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸川 厚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史隆
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-073138(JP,U)
【文献】実開昭55-082328(JP,U)
【文献】米国特許第08695948(US,B2)
【文献】米国特許第07438284(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/15
E04F 11/18
E04H 17/14
A47G 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
笠木と、笠木受けとを備える笠木部材であって、
前記笠木は、長手方向に延びる天板と、前記天板の幅方向の両端部からそれぞれ垂下する第一垂下片および第二垂下片とを有し、
前記第一垂下片は、その下端部と前記天板との間から前記第二垂下片に向かって延出する係止片を有し、
前記第二垂下片は、その下端部と前記天板との間から前記第一垂下片に向かって延出する第二延出片を有し、
前記笠木受けは、前記長手方向に延びる底板を有し、
前記底板は、
幅方向の一方の第一端部より内側の位置から上方に突出し、さらに幅方向外側に突出する係合片部と、
幅方向の他方の第二端部より内側の位置から上方に突出された突出片部とを有し、
前記係止片は、前記係合片部に係合し、
前記第二延出片の下面は、前記突出片部の上端に当接し、
前記底板は、前記第一垂下片および前記第二垂下片の間に配置される
ことを特徴とする笠木部材。
【請求項2】
請求項1に記載の笠木部材において、
前記笠木は、前記底板から前記第二延出片にねじ込まれるねじで前記笠木受けに固定される
ことを特徴とする笠木部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の笠木部材において、
前記第一垂下片は、前記天板と前記係止片との間から前記第二垂下片に向かって延出する第一延出片を有し、
前記笠木の小口にはキャップが取り付けられ、
前記キャップは、前記笠木の小口を覆うカバー部と、前記カバー部から前記笠木の内部に挿入されて、前記第一延出片および前記第二延出片の少なくともいずれか一方にねじで固定される固定部とを備える
ことを特徴とする笠木部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の笠木部材において、
前記係止片の先端から前記第二垂下片の内面までの幅方向の寸法をA、
前記笠木受けの前記係合片部の先端から前記突出片部の外面までの幅方向の寸法をB、
前記笠木受けの前記第一端部から前記突出片部の外面までの幅方向の寸法をCとした場合に、B<A<Cである
ことを特徴とする笠木部材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の笠木部材と、
左右の柱と、を備える門型構造材であって、
前記笠木受けは、前記左右の柱の上部に掛け渡されて固定されている
ことを特徴とする門型構造材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、笠木部材および門型構造材に関する。
【背景技術】
【0002】
手摺壁等の上端部に設けられる仕上げ材として笠木が知られている(特許文献1、2参照)。
特許文献1では、バルコニー壁の上端部に取付金具を固着し、笠木を取付金具上に載置したのち、室外側にスライドさせ、取付金具の係止部に笠木の被係止部を係止し、笠木の室内側の側縦片に室内側からビス等の固着具を打入し、バルコニー壁の上端部に固定している。
特許文献2では、手摺壁の上部に笠木取着ブラケットを固定し、笠木取着ブラケットの両側縁部の外面に係止爪を形成し、この係止爪に、笠木の両側縁部の内面に設けられる係止爪を係止して、笠木を笠木取着ブラケットに取着可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-105671号公報
【文献】特開平10―8678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、ビス等の固着具が露出するため、外観意匠が低下する。
特許文献2によれば、ビスなどを用いていないため外観意匠の低下を防止できるが、笠木の係止爪を笠木取着ブラケットの係止爪に係止する際に、笠木の両側縁部を変形させる必要があり、笠木の取り付けや取り外し時の組立作業性が低下する。
【0005】
本発明の目的は、外観意匠を向上でき、組立作業性も向上できる笠木部材および門型構造材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、笠木と、笠木受けとを備える笠木部材であって、前記笠木は、長手方向に延びる天板と、前記天板の幅方向の両端部からそれぞれ垂下する第一垂下片および第二垂下片とを有し、前記第一垂下片は、その下端部と前記天板との間から前記第二垂下片に向かって延出する係止片を有し、前記第二垂下片は、その下端部と前記天板との間から前記第一垂下片に向かって延出する第二延出片を有し、前記笠木受けは、前記長手方向に延びる底板を有し、前記底板は、幅方向の一方の第一端部より内側の位置から上方に突出し、さらに幅方向外側に突出する係合片部と、幅方向の他方の第二端部より内側の位置から上方に突出された突出片部とを有し、前記係止片は、前記係合片部に係合し、前記第二延出片の下面は、前記突出片部の上端に当接し、前記底板は、前記第一垂下片および前記第二垂下片の間に配置されることを特徴とする。
【0007】
本発明は、上記笠木部材と、左右の柱と、を備える門型構造材であって、前記笠木受けは、前記左右の柱の上部に掛け渡されて固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の笠木部材および門型構造材によれば、笠木の外観意匠を向上でき、組立作業性も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の門型構造材であるポストユニットを示す斜視図である。
図2】前記実施形態の笠木部材を示す分解斜視図である。
図3】前記笠木部材を示す側面図である。
図4】前記笠木部材の笠木および笠木受けを示す側面図である。
図5】前記笠木部材の組立手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る門型構造材であるポストユニット1を示す斜視図である。ポストユニット1は、左右の柱2,3と、柱2,3の上部に渡って配置される横部材である笠木部材4とを備える門型フレーム構造を有する。
柱2,3は、断面矩形状のアルミ形材で構成され、その下端は基礎に埋設されている。また、柱2,3は中空であり、内部に配線用のCD管が挿通されている。
柱2,3間には郵便用のポスト5が配置され、ポスト5は柱2,3に固定されている。
【0011】
ポストユニット1において、笠木部材4とポスト5上面との間や、ポスト5下面と基礎との間は、パネル材6と、縦格子材7とが配置されている。なお、パネル材6、縦格子材7は、ポストユニット1のデザインによって適宜変更でき、例えば、横格子や化粧パネルなどを用いることもできる。
【0012】
笠木部材4は、図2、3に示すように、笠木10と、笠木受け20と、キャップ30とを備えて構成される。
[笠木]
笠木10は、柱2、3の上端部を結ぶ方向である長手方向に延びる天板11と、天板11の長手方向に直交する幅方向の一方の第一端部11Aおよび他方の第二端部11Bからそれぞれ垂下する第一垂下片12および第二垂下片13とを有するアルミ形材で構成されている。
【0013】
第一垂下片12は、第一延出片121と、係止片122とを有する。係止片122は、第一垂下片12の内面12Aにおいて、第一垂下片12の下端部と天板11との間から第二垂下片13に向かって延出している。
第一延出片121は、第一垂下片12の内面12Aにおいて、係止片122と天板11との間から第二垂下片13に向かって延出している。なお、第一延出片121の延出寸法は、係止片122よりも大きくされている。
第二垂下片13は、第二延出片131を有する。第二延出片131は、第二垂下片13の内面13Aにおいて、第二垂下片13の下端部と天板11との間から第一垂下片12に向かって延出している。
第一延出片121、第二延出片131の長手方向両端の近傍には、ねじ挿通用の穴121A、131Aが形成されている。
【0014】
[笠木受け]
笠木受け20は、長手方向に延びる底板21を有するアルミ形材で構成されている。
底板21は、幅方向の一方の第一端部21Aより内側の位置から上方に突出し、さらに幅方向外側に突出する係合片部22と、幅方向の他方の第二端部21Bより内側の位置から上方に突出された突出片部23と、突出片部23より内側の位置から上方に突出された第二突出片部24とを有する。
係合片部22は、底板21から上方に突出する第一片部221と、第一片部221の上端から幅方向外側の斜め上方に向かって突出する第二片部222と、第二片部222の先端から幅方向外側のさらに斜め上方に向かって突出する第三片部223とを有する。このため、係合片部22と底板21との間に形成される係合溝は、第一端部21A側に向かうにしたがって開口高さが大きくなる。
【0015】
突出片部23および第二突出片部24は、同じ高さ寸法とされている。また、突出片部23および第二突出片部24の幅方向の間隔は、後述するキャップ30を固定するタッピングねじ33の頭部の直径よりも大きい寸法とされている。
底板21の長手方向の両端部近傍には、CD管が挿通されて取り付けられる挿通穴25が形成されている。
【0016】
[キャップ]
キャップ30は、笠木10の長手方向両側の各小口に取り付けられ、小口の開口を覆うカバー部31と、カバー部31から笠木10の小口内部に挿入される固定部32とを備える。
固定部32は、上下方向に沿って形成された穴部321を有する円筒部322を備え、この円筒部322の下面開口は、第一延出片121、第二延出片131の上面に当接されている。
そして、第一延出片121、第二延出片131の下面から、穴121A、131Aを通して円筒部322の穴部321にタッピングねじ33をねじ込むことで、キャップ30は笠木10の小口に固定される。
【0017】
笠木10および笠木受け20の幅方向の各寸法関係について、図4を参照して説明する。
笠木10の係止片122の先端から第二垂下片13の内面13Aまでの幅方向の寸法をA、笠木受け20の係合片部22の先端から突出片部23の外面までの幅方向の寸法をB、笠木受け20の第一端部21Aから突出片部23の外面までの幅方向の寸法をCとした場合に、B<A<Cとされている。このため、第二垂下片13を突出片部23の外面に当接させた場合に、係止片122の先端は係合片部22の先端と、第一端部21Aとの間に配置される。このため、第二垂下片13を突出片部23の外面に当接させるだけで、係合片部22と第一端部21A間の底板21上に係止片122を配置できる。
笠木受け20の係合片部22の第一片部221の外面つまり係合溝の底面から、第二端部21Bまでの幅方向の寸法をEとした場合、A=Eとされている。このため、係止片122の先端を、係合片部22の第一片部221つまり係合溝の底面に当接させて係合溝に係止した場合に、第二垂下片13の内面13Aは第二端部21Bに当接される。
さらに、笠木10の第一垂下片12および第二垂下片13の各内面12A、13A間の幅方向の寸法をD、底板21の第一端部21A、第二端部21B間の幅方向の寸法をFとした場合、D=Fとされている。このため、係止片122を係合片部22に係止した場合に、第一垂下片12の内面12Aは第一端部21Aに当接され、第二垂下片13の内面13Aは第二端部21Bに当接される。このため、笠木10の第一垂下片12、第二垂下片13間に、笠木受け20の底板21を配置できる。
【0018】
次に、ポストユニット1の組立方法について説明する。なお、本実施形態のポストユニット1は、工場で組み立てられる。
柱2,3の上面に笠木部材4の笠木受け20をねじ止めする。すなわち、柱2、3の内面には上下方向に連続するビスホールが形成されており、笠木受け20から柱2,3のビスホールにタッピングねじをねじ込むことで笠木受け20を柱2、3の上端間に掛け渡して固定し、門型フレームを構成する。さらに、ポスト5や、パネル材6、縦格子材7を取り付ける。また、笠木10の小口にキャップ30をはめ込み、タッピングねじ33で笠木10に固定する。
【0019】
次に、笠木10を笠木受け20に取り付ける手順について、図5を参照して説明する。
まず、笠木10を、笠木受け20の上から被せるように配置し、第二垂下片13を突出片部23の外面に当接させる。この際、寸法B<A<Cの関係であるため、係止片122の先端は、係合片部22の外側、かつ、底板21の第一端部21Aの内側に位置し、第二垂下片13を突出片部23に当接させた状態で第一垂下片12側を下方に移動させると、図5(A)に示すように、係止片122が底板21上に載置される。
【0020】
次に、笠木10を、図5(B)において左側に向かって移動、つまり第二垂下片13を突出片部23から第二端部21B側に移動する。この際、係合片部22と底板21間の係合溝の開口高さ寸法が大きくなっているので、係止片122はスムーズに係合片部22および底板21間に案内され、係合片部22に係合する。
【0021】
次に、図5(C)に示すように、係止片122を係合片部22に係合した状態で、笠木10の第二垂下片13側を下方に移動する。この際、寸法A=Eであるため、第二垂下片13は第二端部21Bの外面に沿って移動する。なお、第一垂下片12、第二垂下片13において、キャップ30が固定される第一延出片121、第二延出片131よりも下側の部分は多少の湾曲は可能である。このため、仮に寸法Aが寸法Eより僅かに小さくても、第二垂下片13は湾曲して第二端部21Bの外面に沿って移動する。
【0022】
第二垂下片13を下方に移動すると、図5(D)に示すように、第二延出片131が突出片部23、第二突出片部24の上端に当接し、底板21は、第一垂下片12および第二垂下片13間に配置される。この際、底板21の幅寸法Fは、内面12Aおよび内面13A間の幅寸法Dと等しいため、第一垂下片12、第二垂下片13は、底板21の第一端部21A、第二端部21Bに隙間無く当接されている。なお、第一垂下片12、第二垂下片13は前述のとおり撓ませることが可能であるので、寸法Dが寸法Fよりも僅かに小さい場合でも、第一垂下片12、第二垂下片13は、底板21の第一端部21A、第二端部21Bに隙間無く当接する。
そして、底板21の下方から、底板21を介して第二延出片131にねじ15をねじ込むことで、笠木10を笠木受け20に固定する。
ポストユニット1は、以上の手順により工場で組み立てられる。このポストユニット1は、ユニットの状態で工場から施工現場に搬送され、施工現場において基礎に埋設される。その後、笠木10を笠木受け20から一旦外して照明等の配線を行い、笠木10を笠木受け20に再度取り付けることでポストユニット1が完成する。
【0023】
本実施形態によれば、笠木受け20の第一端部21Aよりも内側に係合片部22が形成され、第二端部21Bよりも内側に突出片部23が形成されるので、第二垂下片13の下端を底板21の第二端部21B側の端部に載置した状態で、底板21の第一端部21A側の端部に係止片122を載置することができる。このため、笠木受け20に対する笠木10の上下位置を、笠木10をスライドさせるのに最適な位置に設置できる。
そして、笠木10を笠木受け20の第二端部21B側にスライドさせることで、係止片122を係合片部22に係合でき、第二垂下片13を下方に移動することで、第一垂下片12および第二垂下片13間に笠木受け20を配置できるので、笠木10の変形を抑制できる。従って、笠木10を笠木受け20に取り付ける際に笠木10を大きく変形させる必要が無いため、笠木10の取り付けや取り外し時の組立作業性を向上できる。
また、笠木10の変形を抑制できるので、笠木10にキャップ30を取り付けた状態で笠木10を笠木受け20に取り付けることができる。このため、笠木10を笠木受け20に取り付ける前に、キャップ30の固定部32を笠木10内に挿入して笠木10の裏面側からタッピングねじ33で固定できるため、キャップ30を固定するタッピングねじ33が笠木部材4の外観に露出することを防止できる。
さらに、笠木受け20の底板21は、笠木10の第一垂下片12、第二垂下片13間に配置され、底板21の小口もキャップ30のカバー部31の裏面に配置されるため、2分割された笠木10および笠木受け20の嵌合部が笠木部材4の外観に露出することを防止できる。従って、笠木10、笠木受け20およびキャップ30で構成される笠木部材4の外観意匠を向上できる。
【0024】
また、寸法A,B,Cの関係を、B<A<Cとしたので、第二垂下片13の内面13Aを突出片部23の側面に外側から当接させるだけで、係止片122を底板21上に載置できる。このため、笠木10を笠木受け20に係止する際に、小口にキャップ30が固定されているため、係合片部22、突出片部23と、係止片122、第二垂下片13との位置関係を目視できなくても、第二垂下片13を突出片部23に当てて係止片122を底板21上に載置するだけで笠木10をスライドに最適な位置に設置できる。また、寸法A=寸法Eとし、寸法D=寸法Fとしているので、スライドに最適な位置に設置された笠木10を第二端部21B側にスライドさせ、係合片部22に係止片122を係止すると、第二垂下片13の下端部を第二端部21Bの外側に沿って底板21よりも下側に移動できる。これにより、笠木10の第二延出片131が突出片部23、第二突出片部24の上端に当接し、係止片122が底板21上面に当接した最終位置に容易に設置できる。したがって、組立作業性を向上できる。
【0025】
笠木受け20に、突出片部23および第二突出片部24を形成し、これらの突出片部23、第二突出片部24の上端に第二延出片131を当接し、突出片部23および第二突出片部24間に、笠木10と笠木受け20とを連結するねじ15を配置したので、第二延出片131にねじ15をねじ込んだ際に、第二延出片131に加わる力を、ねじ15の両側に配置された突出片部23、第二突出片部24で支持でき、ねじ15の締め付け作業も安定して行うことができる。
【0026】
係合片部22の第二片部222、第三片部223を上方に傾斜させたので、底板21と係合片部22の開口高さ寸法を大きくできる。このため、笠木10を第二端部21B側にスライドさせる際に、係止片122が底板21から多少離れても、第三片部223と底板21との間に容易に挿入できる。
【0027】
笠木10および笠木受け20間に空間を確保できるので、照明器具や配線等を配置することができる。また、照明器具などのメンテナンスが必要となった場合は、ねじ15を外せば、取付時と逆の手順で笠木10を笠木受け20から容易に取り外すことができ、メンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0028】
笠木部材4を柱2,3の上端部に掛け渡して固定しているので、柱2、3を連結する横部材として笠木部材4を利用できる。すなわち、笠木部材4は、ポストユニット1の門型構造材となる笠木受け20と、ポストユニット1の化粧材となる笠木10とを有するため、笠木部材4とは別の横部材を用意する必要が無く、部品数も少なくできる。
【0029】
[変形例]
前記実施形態では、笠木10を笠木受け20にねじ15で固定していたが、ねじで固定しなくてもよい。すなわち、笠木10の第一垂下片12および第二垂下片13が底板21に当接して挟持するため、ねじで固定していなくても笠木10を笠木受け20に取り付けることができる。
前記実施形態では、笠木10の小口にキャップ30を固定する際に、第一延出片121および第二延出片131の両方にタッピングねじ33で固定していたが、第一延出片121および第二延出片131の一方のみにねじで固定してもよいし、タッピングねじ33を用いずに接着剤等で固定してもよい。
笠木部材4を設ける門型構造材は、ポストユニット1に限定されず、門柱やサインポール、宅配ボックスが設けられたユニットなど、様々な機能ポール、機能門柱などに利用できる。
【0030】
[本発明のまとめ]
本発明は、笠木と、笠木受けとを備える笠木部材であって、前記笠木は、長手方向に延びる天板と、前記天板の幅方向の両端部からそれぞれ垂下する第一垂下片および第二垂下片とを有し、前記第一垂下片は、その下端部と前記天板との間から前記第二垂下片に向かって延出する係止片を有し、前記第二垂下片は、その下端部と前記天板との間から前記第一垂下片に向かって延出する第二延出片を有し、前記笠木受けは、前記長手方向に延びる底板を有し、前記底板は、幅方向の一方の第一端部より内側の位置から上方に突出し、さらに幅方向外側に突出する係合片部と、幅方向の他方の第二端部より内側の位置から上方に突出された突出片部とを有し、前記係止片は、前記係合片部に係合し、前記第二延出片の下面は、前記突出片部の上端に当接し、前記底板は、前記第一垂下片および前記第二垂下片の間に配置されることを特徴とする。
本発明によれば、笠木受けの幅方向の各端部よりも内側に係合片部および突出片部が形成されるので、第二垂下片の下端を、底板の突出片部よりも第二端部側に載置した状態で、底板の係合片部よりも第一端部側に係止片を載置することができる。このため、笠木受けに対する笠木の上下位置を、笠木をスライドさせるのに最適な位置に設置できる。そして、笠木を笠木受けの第二端部側にスライドさせることで、係止片を係合片部に係合でき、第二垂下片を下方に移動することで、第一垂下片および第二垂下片間に笠木受けを配置できる。このため、笠木を大きく変形させることなく、笠木受けに取り付けることができ、笠木の取り付けや取り外し時の組立作業性を向上できる。
また、笠木受けは、笠木の第一垂下片、第二垂下片間に配置されるため、笠木と笠木受けの連結部分が露出せず、笠木部材の外観意匠を向上できる。
【0031】
本発明の笠木部材において、前記笠木は、前記底板から前記第二延出片にねじ込まれるねじで前記笠木受けに固定されることが好ましい。
本発明によれば、笠木を笠木受けに強固に固定でき、かつ、ねじの頭部は笠木受けの底面に設けられ、笠木の上面や側面には露出しないので、外観を向上できる。
【0032】
本発明の笠木部材において、前記第一垂下片は、その下端部と前記係止片との間から前記第二垂下片に向かって延出する第一延出片を有し、前記笠木の小口にはキャップが取り付けられ、前記キャップは、前記笠木の小口を覆うカバー部と、前記カバー部から前記笠木の内部に挿入されて、前記第一延出片および前記第二延出片の少なくともいずれか一方にねじで固定される固定部とを備えることが好ましい。
本発明によれば、キャップの固定部を笠木内部に挿入し、各延出片の少なくとも一方に固定部をねじで固定しているので、キャップを固定するねじが笠木の上面や側面には露出しないので、外観を向上できる。
【0033】
本発明の笠木部材において、前記係止片の先端から前記第二垂下片の内面までの幅方向の寸法をA、前記笠木受けの前記係合片部の先端から前記突出片部の外面までの幅方向の寸法をB、前記笠木受けの前記第一端部から前記突出片部の外面までの幅方向の寸法をCとした場合に、B<A<Cであることが好ましい。
このような寸法関係に設定しているので、第二垂下片の内面を突出片部の側面に外側から当接させるだけで、係止片を底板上に載置できる。このため、笠木を笠木受けに係止する際に、係合片部、突出片部と、係止片、第二垂下片との位置関係を目視できなくても、第二垂下片を突出片部に当てて係止片を底板上に載置するだけで笠木をスライドに最適な位置に容易に設置できる。
【0034】
本発明は、上記笠木部材と、左右の柱と、を備える門型構造材であって、前記笠木受けは、前記左右の柱の上部に掛け渡されて固定されていることを特徴とする。
笠木部材を左右の柱の上端部に掛け渡して固定しているので、各柱を連結する横部材として笠木部材を利用できる。このため、笠木部材は、門型構造材となる笠木受けと、門型構造材の化粧材となる笠木とを有するため、笠木部材とは別の横部材を用意する必要が無く、部品数も少なくできる。
【符号の説明】
【0035】
1…ポストユニット、2…柱、3…柱、4…笠木部材、5…ポスト、6…パネル材、7…縦格子材、10…笠木、11…天板、11A…第一端部、11B…第二端部、12…第一垂下片、12A…内面、13…第二垂下片、13A…内面、15…ねじ、20…笠木受け、21…底板、21A…第一端部、21B…第二端部、22…係合片部、23…突出片部、24…第二突出片部、25…挿通穴、30…キャップ、31…カバー部、32…固定部、33…タッピングねじ、121…第一延出片、121A…穴、122…係止片、131…第二延出片、131A…穴、221…第一片部、222…第二片部、223…第三片部、321…穴部、322…円筒部。
図1
図2
図3
図4
図5