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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
B60P1/44 E
B60P1/44 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021010422
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114218
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】清藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文昭
(72)【発明者】
【氏名】石井 貴之
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-13731(JP,A)
【文献】特開2006-123620(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1804446(KR,B1)
【文献】欧州特許出願公開第1127738(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013010526(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物車両に備えられた荷箱に対し、荷受台を折り畳んで該荷箱の下方に格納された格納状態とされ、荷物の積み降ろしの際には前記格納状態から前記貨物車両の外方側にスライドさせて前記荷受台を展開し、昇降機構により上下動する使用状態に切替え自在な荷受台昇降装置であり、
前記荷受台は、前記格納状態において、前記昇降機構に連結され前記荷受台の外端に沿って延びる骨組と、該骨組の上方および外端面を覆う荷受板とを備えたことを特徴とし、
前記荷受台の外端とは、
前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の後方に設けられる場合には、前記貨物車両基準での後端であり、
前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の側方に設けられる場合には、前記貨物車両基準での側端である、荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記格納状態において、
前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の後方に設けられる場合には、車両前後方向に延び、
前記荷受台の後端まで配置される縦スチフナを備え、前記骨組は前記縦スチフナから延び、
前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の側方に設けられる場合には、車幅方向に延び、前記荷受台の側端まで配置される縦スチフナを備え、前記骨組は前記縦スチフナから延びる請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記格納状態において、
前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の後方に設けられる場合には、前記縦スチフナは、車幅方向に所定間隔を置いて一対で配置されるとともに、前記骨組は、前記一対の前記縦スチフナ同士の間に車幅方向に延びる中央スチフナを備え、
前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の側方に設けられる場合には、前記縦スチフナは、車両前後方向に所定間隔を置いて一対で配置されるとともに、前記骨組は、前記一対の前記縦スチフナ同士の間に車両前後方向に延びる中央スチフナを備えた請求項2に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記骨組は、前記格納状態において、
前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の後方に設けられる場合には、前記縦スチフナに対して車幅方向の外側に延びる端部スチフナを備え、
前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の側方に設けられる場合には、前記縦スチフナに対して車両前後方向の外側に延びる端部スチフナを備えた請求項2または請求項3に記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
前記骨組は、前記格納状態において、前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の後方に設けられる場合には、前記荷受台の車両後端側において車幅方向に延び、
前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の側方に設けられる場合には、前記荷受台の車両側端側において車両前後方向に延びるよう配置された請求項1ないし請求項4の何れかに記載の荷受台昇降装置。
【請求項6】
前記骨組は、前記荷受台の前記外端のうち一端から他端まで沿うように延長された請求項1ないし請求項5の何れかに記載の荷受台昇降装置。
【請求項7】
前記骨組は、前記格納状態において、前記荷受台の前記外端に沿って延びるよう配置された第一骨組と、該第一骨組に付加され、該第一骨組を支持する第二骨組とを備え、
前記第二骨組は、前記第一骨組の延びる方向に対して傾斜して延びて、前記第一骨組と前記荷受台の内方にある所定の場所とを連結した請求項1ないし請求項6の何れかに記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、荷箱を有する貨物車両において、荷箱の下に格納可能に設けられる荷受台昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に、従来の荷受台昇降装置が記載されている。荷受台昇降装置は、荷台を搭載した車両の車枠の後端の下部に取り付けられ、走行時等には折り畳んで車枠の下部に格納(収容)可能なものである。また、荷台への荷物の積み下ろし作業時には、車枠の後方側にスライドさせ突出させた荷受台を荷台の床面の高さと地面の高さとの間で昇降させられるようになっており、作業に応じて荷物や作業者の荷台への積み下ろしを支援する。
【0003】
荷受台基端部に折り重ねられた格納姿勢をとっているとき、荷受台本体部の裏面は上方を向く。この荷受台本体部の裏面には、荷受台本体部を折り畳むのに必要な力を軽減するために操作力補助用のトーションバーが取り付けられており、トーションバーを覆うカバーが設けられている。
【0004】
格納時におけるカバーの後端面は、荷受台の格納時、荷受台基端部の後端面とともに車両の後方に露出する。この車両後方に露出する荷受台基端部とカバーを含む荷受台本体部との各端面は、車両後部のバンパとして機能するバンパ面を構成する。そして、カバーは、例えば押し出し成形によって荷受台本体部の幅方向に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-123620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記荷受台昇降装置において、上記したように、格納時におけるカバーの後端面は、バンパとして機能するバンパ面を構成する。
【0007】
しかしながら、カバーは、押し出し成形によって荷受台本体部の幅方向に形成されている。特にカバーはアルミニウム合金製であることが多いから、別の車両の衝突・接触時によって破損しやすい。
【0008】
そこで本発明は、荷受台をバンパとして兼用する際の強度を向上させ得る荷受台昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の荷受台昇降装置は、貨物車両に備えられた荷箱に対し、荷受台を折り畳んで該荷箱の下方に格納された格納状態とされ、荷物の積み降ろしの際には前記格納状態から前記貨物車両の外方側にスライドさせて前記荷受台を展開し、昇降機構により上下動する使用状態に切替え自在であり、前記荷受台は、前記格納状態において、前記昇降機構に連結され前記荷受台の外端に沿って延びる骨組と、該骨組の上方および外端面を覆う荷受板とを備えたことを特徴としている。
【0010】
上記構成の荷受台昇降装置では、格納状態において、荷受台が貨物車両のバンパとして兼用され、この際、荷受台の外端に沿って延びる骨組を配置し、骨組の上方および外端面を覆う荷受板を備えているから、格納状態において、例えば、別な車両の衝突・接触時によっても、荷受台の破損を防止できる。
【0011】
本発明の荷受台昇降装置では、前記骨組は、前記格納状態において、前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の後方に設けられる場合には、前記荷受台の車両後端側において車幅方向に延び、前記荷受台昇降装置が前記貨物車両の側方に設けられる場合には、前記荷受台の車両側端側において車両前後方向に延びるよう配置された構成を採用することができる。
【0012】
上記構成の荷受台昇降装置では、骨組は、格納状態において、荷受台昇降装置が貨物車両の後方に設けられる場合には、荷受台の車両後端側において車幅方向に延び、荷受台昇降装置が貨物車両の側方に設けられる場合には、荷受台の車両側端側において車両前後方向に延びるよう配置されているから、荷受台の外端を強固にさせることができる。
【0013】
本発明の荷受台昇降装置では、前記骨組は、前記荷受台の前記外端のうち一端から他端まで沿うように延長された構成を採用することができる。
【0014】
上記構成の荷受台昇降装置では、骨組は、荷受台の外端のうち一端から他端まで沿うように延長されているから、格納状態において、荷受台の外端を強固にさせることができる。
【0015】
本発明の荷受台昇降装置では、前記骨組は、前記格納状態において、前記荷受台の前記外端に沿って延びるよう配置された第一骨組と、該第一骨組に付加され、該第一骨組を支持する第二骨組とを備え、前記第二骨組は、前記第一骨組の延びる方向に対して傾斜して延びて、前記第一骨組と前記荷受台の内方にある所定の場所とを連結した構成を採用することができる。
【0016】
上記構成の荷受台昇降装置では、第一骨組と荷受台の内方にある所定の場所とを斜めに連結した第二骨組を備える構成であるので、骨組が強固になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の荷受台昇降装置によれば、格納状態において、荷受台の外端に沿って延びる骨組を備えているから、荷受台を貨物車両のバンパとして兼用する際の強度を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置が貨物車両に取り付けられた状態を示す側面図である。
図2】同荷受台昇降装置を示す斜視図である。
図3】同荷受台昇降装置の荷受台を展開させた状態を側面図であって、荷受台が接地した状態を実線で示し、荷受台を上昇させた状態を二点鎖線で示す。
図4】同荷受台の使用状態を示す全体構成概略図である。
図5】同荷受台の骨組を示す平面図である。
図6】同荷受台の使用状態を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る格納式荷受台昇降装置(以下、荷受台昇降装置という)について説明する。
【0020】
荷受台昇降装置1は、図1に示すように、貨物車両Vにおける荷箱Bの後部下方に設けられる。なお、荷箱Bは、搬入口を閉じた状態で閉鎖空間となる箱状のものであっても、例えば上部が常時開放された荷台であってもよい。
【0021】
本実施形態の荷受台昇降装置1につき、図1の状態は、貨物車両Vにおける荷箱Bの後部下方に荷受台昇降装置1が格納された状態、すなわち貨物車両Vが走行可能な状態を表している。一方、図3は、荷受台昇降装置1のうち可動側支持部材13を、スライド前端位置(前方位置)から荷箱Bの後方へスライドさせ、所定のスライド後端位置(後方位置)に到達させた後、荷受台19を展開および昇降させて荷物の積み降ろし作業をする使用状態を示す側面図である。図1に示すように、貨物車両Vの車体2上には荷箱Bが搭載されている。車体2の後端下方には、いわゆる床下格納式の荷受台昇降装置1が格納されている。
【0022】
荷受台昇降装置1の車幅方向に左右一対設けられている固定側支持部材3は、それぞれ、車両前後方向に水平に延びるスライドレール4と、これを車体2に架装するための複数(本実施形態では3個)の取付ブラケット5と、左右一対のスライドレール4の前端部を連結する角パイプからなる連結部材6とによって構成されている。スライドレール4と各取付ブラケット5とは、ボルト・ナット7により締結されている。スライドレール4には支持板8が車両前後方向に摺動可能に装着されている。
【0023】
左右一対の支持板8は、車幅方向に水平に延びる角パイプからなるクロスメンバ9を貫通させ、これらは互いに一体に溶接されている。支持板8より車幅方向の外側には、支持ブラケット10,11が、クロスメンバ9と一体に溶接されている。これらの支持ブラケット10,11も、左右一対設けられている。
【0024】
左右一対の支持板8の下部は、チャンネル材からなる連結部材12により連結されている。支持板8、クロスメンバ9および支持ブラケット10,11および連結部材12は、固定側支持部材3に対して車両前後方向にスライド可能な可動側支持部材13を構成している。
【0025】
支持ブラケット10には補助リンク14が一定範囲で回動可能に取り付けられており、この補助リンク14に、上アーム15およびリフトシリンダ(昇降駆動装置)16が回動可能に取り付けられている。リフトシリンダ16の先端は上アーム15の所定位置に接続されており、伸縮作動により上アーム15にトルクを付与する。また、支持ブラケット11には下アーム17が回動可能に取り付けられている。リフトシリンダ16は、例えば単動式の油圧シリンダからなる。
【0026】
上アーム15および下アーム17は、それらの支点および作用点を結ぶ四角形が平行四辺形となる平行リンクを構成し、リフトシリンダ16の伸縮作動により、その先端側を昇降作動させる。補助リンク14、上アーム15、リフトシリンダ16および下アーム17は、左右一対設けられ、荷受台19を昇降させるアーム式の昇降機構18を構成している。
【0027】
荷受台19は、上アーム15および下アーム17の先端に配置されたピン15a,17a(図4参照)に水平に取り付けられたメインプレート(基部荷受台)191と、これに対して折り畳み・展開可能に接続されたサブプレート(先部荷受台)192と、メインプレート191とサブプレート192とを連結する連結部193とを備えている。連結部193は、一端部がメインプレート191の先端部に回動可能に連結されるとともに、他端部がサブプレート192の基端部に回動可能に連結されたヒンジ193a(図4参照)を有する。
【0028】
荷受台19(メインプレート191とサブプレート192)は、アルミニウム合金製の中空型材50を複数個並列に連結して荷受面(荷受板に相当する)19Aを形成している。中空型材50は、図4で示す格納状態において、上下一対である上部50Aと下部50Bとを有し、中空型材50は、アルミニウム合金を押出成形することにより中空構造の板状体としたものであり、その全長は荷箱Bの幅寸法とほぼ等しくなっている。
【0029】
特に、メインプレート191では、荷受台19の外端に沿って延びる骨組として、中空型材50を、鋼製の横スチフナ(第一骨組)51、縦スチフナ52、及び横スチフナ51と縦スチフナ52とを連結する傾斜ブラケット(第二骨組)53とを備えて、荷受面19Aを支承している。
【0030】
横スチフナ51は、格納状態において、図5で示すように、貨物車両Vの後方に設けられる場合として、メインプレート191の車両後端に配置されている。横スチフナ51は、荷受台19の車幅方向に延び、荷受台19の一端から他端まで延長されている。この場合、一端から他端とは、車幅方向の右端から左端までである。
【0031】
具体的に、横スチフナ51は、車幅方向中央の中央スチフナ54と、その両側の端部スチフナ55とを備える。中央スチフナ54は、後述する縦スチフナ52の間に配置される。端部スチフナ55は、縦スチフナ52に対して車体幅方向(左右)に配置され、各端部スチフナ55は、車両幅方向の左右端から、わずかに短く設定されている。
【0032】
横スチフナ51の断面は、図6に示すように、上面51a、下面51b、及び側面51c、51dを有している。横スチフナ51は、上面51aが中空型材50の後部にボルト61(図5参照)によって固定されている。
【0033】
横スチフナ51の上面51aは、中空型材50の最後端のリブ56よりも後方にあって、中空型材50の上部50Aに下方から当接されている。下面51bは、中空型材50より下側に配置されている。
【0034】
また、一方(車両前方)の側面51cの上部は、中空型材50の最後端のリブ56に後方から当接されている。他方(車両後方)の側面51dは、荷受面19Aの後端を下方に延長した延長部57に、前方から当接されている。さらに、延長部57の下端には、車両前方に延長された底面57aが形成され、底面57aにより下面51bの後方下の角部がわずかに覆われている。
【0035】
すなわち、横スチフナ51の上面51aは中空型材50で上方が覆われ、他方の側面51dは、延長部57により後面から覆われている。なお、この場合の他方の側面51dは、車両においては格納状態を示すものであるから、後面を示している。
【0036】
縦スチフナ52は、図5で示すように、車両幅方向の端部から内方に所定間隔を置いて、一対で配置されている。縦スチフナ52は、板金部材を組み合わせてほぼ角筒状の断面に形成されている。縦スチフナ52は、使用状態においては、水平方向に延びる上面部に対して下面部が後端側に向かって漸次接近するように先細り形状になっている。縦スチフナ52の上面部には、中空型材50、メインプレート(基部荷受台)191、サブプレート192をそれぞれ沿わせて配置されている。
【0037】
特に、格納状態において、メインプレート191に配置された縦スチフナ52は、中空型材50の下部50Bにおいて、車両前後方向に延びて、後端部まで配置されている。また、縦スチフナ52の基端部には、図5に示すように、ブラケット52aが溶接等にて一体化されており、このブラケット58を介して縦スチフナ52が昇降機構18(ヒンジ193a)に連結されている。
【0038】
中空型材50の下部50Bでは、縦スチフナ52の上部を挿通させたボルト59によって取り付けられて、中空型材50と縦スチフナ52とが一体的に形成されている。また、縦スチフナ52の後方上方は中空型材50で覆われ、縦スチフナ52の後端は、延長部57により後面から覆われている。
【0039】
傾斜ブラケット53は、図5に示すように、車幅方向左右に一対で配置されている。傾斜ブラケット53は格納状態において、上面53aと、車体前方側の側面53bと、車体後方側の側面53cと、両側面53b,53c同士を連結する底面53dとから構成される。
【0040】
傾斜ブラケット53の底面53dは、横スチフナ51の下面51bにおける車幅方向外側、及び縦スチフナ52に設けられて車幅方向後部のブラケット58に、それぞれボルト60によって端部が取り付けられている。これにより、傾斜ブラケット53によって、横スチフナ51及び縦スチフナ52が斜め方向で連結されている。すなわち、傾斜ブラケット53は横スチフナ(第一骨組)51に付加され、横スチフナ51を支持する部材であり、傾斜ブラケット53は、横スチフナ51の延びる方向に対して傾斜して延びて、横スチフナ51と荷受台19の内方にある縦スチフナ52(ブラケット58)とを連結した構成とされる。また、傾斜ブラケット53において、横スチフナ51の下面51bへの取り付け部分は、中空型材50が上方に、延長部57が後方にあって、それぞれで覆われている。
【0041】
以上の構成により、図1に示すように、格納時にはメインプレート191上にサブプレート192が折り畳まれる。また、図3に示すように、使用時にはサブプレート192が展開されることで、荷受台19には、メインプレート191の上面からサブプレート192の上面へ連続した荷受面19Aが構成される。この荷受面19Aには荷箱Bに対して積み降ろしされる荷物が載置される。
【0042】
このように荷受面19Aが構成された状態でリフトシリンダ16を伸縮駆動させると、荷受台19を、荷箱Bの床面(図示しない)と荷受面19Aとが略同一の高さ位置となる上昇位置(図3の上側の仮想線の位置)と、地面に接地した接地位置(図3の実線の位置)との間で昇降させることができる。これにより、荷箱Bの後方において荷受台19を昇降させることで、貨物車両Vの荷箱Bに対して荷物を積み降ろすことができる。
【0043】
前述の左右一対の支持板8のそれぞれには、後方へ突出するようにローラ取付板20が取り付けられ、その後端にガイドローラ21が回転自在に取り付けられている。このガイドローラ21に、サブプレート192の先端を乗せることができる。
【0044】
次に、荷受台昇降装置1を前方位置と後方位置との間でスライド(前後移動)させるスライドシリンダ(前後駆動装置)22について説明する。図3は、スライドシリンダ22が最収縮した状態に対応している。
【0045】
スライドシリンダ22は、車幅方向において左右のスライドレール4の間に配置された左右一対のシリンダ23にて構成されている。シリンダ23は、例えば複動式の油圧シリンダからなる。左右のシリンダ23のシリンダ本体24は、その前後両端部が互いに前後逆向きに配置された状態で重ね合わされ、前後位置にて一体的に連結されている。
【0046】
以上の構成により、貨物車両Vに格納されている荷受台19を使用する場合には、スライドシリンダ22を伸長作動により後方へスライドさせ、後方位置まで後退させる。次に、リフトシリンダ16を収縮作動させると、上アーム15および下アーム17が下方回動し、メインプレート191が着地する。このときサブプレート192はその先端がガイドローラ21に乗っているため、サブプレート192は連結部193を中心に、図3の時計回り方向に回動する。
【0047】
次に、サブプレート192を手で起こしてメインプレート191の後方に水平に倒伏させる。このようして荷受台19が水平に展開される。この状態で、リフトシリンダ16を伸長作動させると、荷受台19を水平に維持したまま、図3の上側に示す上昇位置まで荷受台19を上昇させることができる。また、上昇位置からリフトシリンダ16を収縮作動させれば、荷受台19を元の位置まで下降させることができる。
【0048】
なお、下アーム17が着地してからさらにリフトシリンダ16を収縮作動させると、補助リンク14の作用により荷受台19はその先端(後端)を下げるようにチルト作動して、図3の下側に示すように地面に沿う。これにより、例えば、図示しないキャスタ付きのカート(荷物)を荷受台19の後方から前方へ移動させることでカートを荷受面19A上に容易に積み降ろしすることができる。
【0049】
荷受台19を格納するには、下アーム17が着地して荷受台19が水平である状態からサブプレート192を起立させ、さらに、ガイドローラ21に立てかける。次に、上アーム15および下アーム17を上昇させ、サブプレート192を自重によりメインプレート191上に畳み込む。そして、スライドシリンダ22を収縮作動させ、前方位置まで可動側支持部材13、昇降機構18および荷受台19を引き込み、図1の格納状態とする。
【0050】
図2に示すように、クロスメンバ9の長手方向の一端部には、荷受台昇降装置1(具体的にはリフトシリンダ16及びスライドシリンダ22)の駆動を制御する制御装置を備えたパワーユニット30が取り付けられている。また、クロスメンバ9の長手方向の他端部には、荷受台19を昇降またはスライドさせるための操作指令を制御装置に出力するためのスイッチボックス31が取り付けられている。
【0051】
ところで、本実施形態の貨物車両Vの荷受台昇降装置1は、格納状態と使用状態とに切替え自在とされ、格納状態では、荷受台19が貨物車両Vのバンパとして兼用される。この際、荷受台19の外端に延びる骨組、すなわち本実施形態では、横スチフナ(第一骨組)51、縦スチフナ52、及び横スチフナ51と縦スチフナ52とを連結する傾斜ブラケット(第二骨組)53とを備えて、荷受面19Aを支承している。
【0052】
具体的に、格納状態では、鋼製の横スチフナ51が、荷受台19の車両後端において、車幅方向に延びるよう配置されている。また、縦スチフナ52は、板金部材を組み合わせて角筒状に構成されて、車両前後方向に延び、荷受台19の後端まで配置されている。さらに、傾斜ブラケット53は、車幅方向左右に一対で配置されて、横スチフナ51、及び縦スチフナ52に端部が取り付けられ、傾斜ブラケット53によって、横スチフナ51及び縦スチフナ52が連結されている。横スチフナ51のうち、中央スチフナ54は縦スチフナ52が両側にあるため強固なものであるのに対して、各端部スチフナ55は縦スチフナ52の外側にあるため、各端部スチフナ55の外端は支持するものがなければ、強固になりにくい。このため、傾斜ブラケット53を縦スチフナ52側に支持して強固に構成されている。
【0053】
よって、格納状態において、荷受台19が貨物車両Vのバンパとして兼用される際、横スチフナ51によって、貨物車両Vの荷受台19の外端を強固にさせることができ、しかも、傾斜ブラケット53によって、横スチフナ51及び傾斜ブラケット53全体の骨組がいっそう強固になり、貨物車両Vの荷受台19の外端を強固にさせることができる。
【0054】
例えば、車幅方向中央部に衝突・接触があった場合に、中空部材50の延長部57に当接する、横スチフナ51の中央スチフナ54により、主として衝突・接触が緩和され、車幅方向の端部側に衝突・接触があった場合に、端部スチフナ55により衝突・接触が緩和される。これにより、荷受台19の破損を防止できる。また、貨物車両Vへの別な車両の潜り込みも防止できる。
【0055】
また、横スチフナ51の上面51a及び側面51c、51d、縦スチフナ52の後方上方および後面、傾斜ブラケット53の、横スチフナ51の下面51bへの取り付け部分は、アルミニウム合金製の中空型材50、延長部57により覆われているため、経年劣化による錆が生じにくい。
【0056】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0057】
例えば、上記実施形態では、横スチフナ51は、荷受台19の車両後端において、車幅方向中央の中央スチフナ54と、その両側の端部スチフナ55とを備えた場合を例示した。しかしながら、横スチフナ51は、中央スチフナ54、あるいは端部スチフナ55のみであっても、格納状態にある貨物車両の荷受面19Aを保護することができる。
【0058】
また、上記実施形態では、各端部スチフナ55は、車両幅方向の左右端から、わずかに短く設定されている例を示したが、端部スチフナ55は、縦スチフナ52から車両左右端まで延ばすように配置することもできる。
【0059】
上記実施形態では、格納状態において、骨組は、貨物車両Vの後方に設けられる場合には、荷受台19の車両後端側において車幅方向に延びる場合で説明した。しかしながら、格納状態において、骨組は、貨物車両Vの側方に設けられる場合には、荷受台19の車両側端側において車両前後方向に延びるよう配置された構成とすることもできる。この、荷受台19の車両側端側において車両前後方向に延びる骨組を設けた場合では、該骨組とは別の骨組を、例えば中空型材50のリブに通して、荷受台19の内方にある所定の場所に支持することも可能である。あるいは、骨組は、荷受台19の車両後端側において車幅方向に延びる場合、荷受台19の車両側端側において車両前後方向に延びる場合の双方を設けることもできる。
【0060】
上記実施形態では、横スチフナ51の断面は、図6に示すように、上面51a、下面51b、及び側面51c、51dを有していたが、これに限定されることはなく、例えば、下面51bを備えなくてもよい。
【0061】
上記実施形態では、横スチフナ51の上面51aは、中空型材50の最後端のリブ56よりも後方に配置した。そして、該リブ56の下方に車幅方向に配設された突起を形成して、衝突・接触時に耐えるようにしてもよい。
【0062】
上記実施形態では、横スチフナ51(中央スチフナ54、端部スチフナ55)と、中空型材50は直接的に接触しているが、他の部材を介して、例えばゴム板などの緩衝材を介して、接触する場合も考えられる。
【0063】
上記実施形態では、端部スチフナ55に傾斜ブラケット53を配置した場合を述べた。しかしながら、中央スチフナ54に、これを支持する部材である傾斜ブラケットを配置することもできる。この場合では、端部スチフナ55を支持する傾斜ブラケット53は省略することも可能である。
【0064】
上記実施形態では、中空型材50は、中空構造の板状体から形成したが、単純な板状体であってもよい。
【0065】
上記実施形態では、荷受台昇降装置1は、アーム式の昇降機構18である場合を例示した。しかしながら、昇降機構は、荷箱Bの後部に立設した昇降コラムにワイヤを装着して、ワイヤにリンク機構を構成して荷受台を設けるようにした垂直昇降式でもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…荷受台昇降装置、2…車体、15…上アーム、15a,17a…ピン、17…下アーム、18…昇降機構、19…荷受台、19A…荷受面、50…中空型材、50A…上部、50B…下部、51…横スチフナ(第一骨組)、52…縦スチフナ、53…傾斜ブラケット(第二骨組)、54…中央スチフナ、55…端部スチフナ、56…リブ、57…延長部、191…メインプレート(基部荷受台)、192…サブプレート(先部荷受台)、B…荷箱、V…貨物車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6