IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

特許7579183インストールプログラム及びインストール方法
<>
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図1
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図2
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図3
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図4
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図5
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図6
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図7
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図8
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図9
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図10
  • 特許-インストールプログラム及びインストール方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】インストールプログラム及びインストール方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241030BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241030BHJP
   B41J 29/38 20060101ALN20241030BHJP
【FI】
G06F3/12 325
G06F3/12 303
G06F3/12 328
G06F3/12 373
G06F3/12 332
G06F3/12 331
H04N1/00 C
H04N1/00 350
B41J29/38 201
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021039092
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2022138929
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】小方 善貴
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-262448(JP,A)
【文献】特開2015-141626(JP,A)
【文献】特開2014-026621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
H04N 1/00
B41J 29/00 -29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置のユニバーサルプリンタードライバーのインストールプログラムであって、
前記ユニバーサルプリンタードライバーを、ユーザーが使用するユーザー端末にインストールするインストール処理部と、
前記ユーザー端末に、前記ユニバーサルプリンタードライバーにより動作可能な前記画像形成装置の専用プリンタードライバーがインストールされているか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部において、前記ユーザー端末に前記専用プリンタードライバーがインストールされていると判定された場合、前記専用プリンタードライバーが有する機能と、前記ユニバーサルプリンタードライバーが有する機能とを比較することにより、前記専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能をユーザーに提示する提示処理を行う提示処理部として、
コンピューターを機能させるインストールプログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記提示処理部は、
前記専用プリンタードライバーの接続先の前記画像形成装置から画像形成ジョブのログデータを取得し、前記ログデータに基づいて、前記提示処理を行うインストールプログラム。
【請求項3】
請求項1において、
前記提示処理部は、
前記専用プリンタードライバーが前記ユーザー端末に保存している画像形成ジョブのログデータを取得し、前記ログデータに基づいて、前記提示処理を行うインストールプログラム。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記提示処理部は、
前記ログデータに基づいて、前記ユーザーによって使用された履歴がある前記専用プリンタードライバーの機能であって、前記ユニバーサルプリンタードライバーに含まれない機能を、前記専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能として、前記ユーザーに提示するインストールプログラム。
【請求項5】
請求項4において、
前記提示処理部は、
前記専用プリンタードライバーが有する機能と、前記ユニバーサルプリンタードライバーが有する機能の比較処理に基づいて、前記専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能を提示する前記提示処理を行い、
前記提示処理において、前記専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能のうち、前記ユーザーによって使用された履歴がある機能と、前記ユーザーによって使用された履歴がない機能を識別可能な態様で提示するインストールプログラム。
【請求項6】
請求項1において、
前記提示処理部は、
前記専用プリンタードライバーが有する機能と、前記ユニバーサルプリンタードライバーが有する機能の比較処理に基づいて、前記専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能を提示するインストールプログラム。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項において、
前記判定処理部において、前記ユーザー端末に複数の前記専用プリンタードライバーがインストールされていると判定され、複数の前記専用プリンタードライバーが、第1画像形成装置と接続する第1専用プリンタードライバーと、第2画像形成装置と接続する第2専用プリンタードライバーとを含む場合、
前記提示処理部は、
前記第1専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能と、前記第2専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能を、識別可能な態様で前記ユーザーに提示する処理を行うインストールプログラム。
【請求項8】
画像形成装置のユニバーサルプリンタードライバーを、ユーザーが使用するユーザー端末にインストールするステップと、
前記ユーザー端末に、前記ユニバーサルプリンタードライバーにより動作可能な前記画像形成装置の専用プリンタードライバーがインストールされているか否かを判定するステップと、
前記ユーザー端末に前記専用プリンタードライバーがインストールされていると判定された場合、前記専用プリンタードライバーが有する機能と、前記ユニバーサルプリンタードライバーが有する機能とを比較することにより、前記専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能をユーザーに提示する提示処理を行うステップと、
を含むインストール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストールプログラム及びインストール方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタードライバーには、専用プリンタードライバー(Dedicated Printer Driver)と、ユニバーサルプリンタードライバー(Universal Printer Driver)がある。以下、専用プリンタードライバーをDPDと表記し、ユニバーサルプリンタードライバーをUPDと表記する。
【0003】
UPDは画像形成装置の一般的な機能をサポートするため、1つのプリンタードライバーで複数の機種の画像形成装置に対応できるという利点がある。例えば特許文献1には、所与の条件が満たされた場合にUPDをインストールすることによって、DPDのインストール回数を減らす手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-026621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、UPDのインストール後に、DPDを削除する手法が開示されている。しかしUPDは、特定の機種に依存する機能をサポートしていない。そのため、DPDを削除することによって、当該DPDが接続していた画像形成装置の機能の一部が使用できなくなる可能性がある。例えばユーザーが当該機能の使用を望む場合、DPDの再インストールが必要になってしまう。
【0006】
本開示のいくつかの態様によれば、利便性の高いインストールプログラム及びインストール方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、画像形成装置のユニバーサルプリンタードライバーのインストールプログラムであって、前記ユニバーサルプリンタードライバーをユーザーが使用するユーザー端末にインストールするインストール処理部と、前記ユーザー端末に、専用プリンタードライバーがインストールされているか否かを判定する判定処理部と、前記判定処理部において、前記ユーザー端末に前記専用プリンタードライバーがインストールされていると判定された場合、前記専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能をユーザーに提示する提示処理を行う提示処理部として、コンピューターを機能させるインストールプログラムに関係する。
【0008】
本開示の他の態様は、画像形成装置のユニバーサルプリンタードライバーを、ユーザーが使用するユーザー端末にインストールするステップと、前記ユーザー端末に、専用プリンタードライバーがインストールされているか否かを判定するステップと、前記ユーザー端末に前記専用プリンタードライバーがインストールされていると判定された場合、前記専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能をユーザーに提示する提示処理を行うステップと、を含むインストール方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ユーザー端末と画像形成装置のハードウェア構成例。
図2】ユーザー端末の機能ブロック図。
図3】本実施形態の処理を説明するフローチャート。
図4】設定ファイルの例。
図5】提示される画面の例。
図6】本実施形態の処理を説明するフローチャート。
図7】画像形成ジョブのログデータの例。
図8】提示される画面の例。
図9】本実施形態の処理を説明するフローチャート。
図10】画像形成ジョブのログデータの例。
図11】提示される画面の例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本開示の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.システム構成例
図1は、本実施形態の手法が適用されるシステムの構成を例示する図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステムは、ユーザー端末100と、画像形成装置200を含む。図1では、画像形成装置200として、第1画像形成装置210、第2画像形成装置220及び第3画像形成装置230を例示しているが、ユーザー端末100と接続可能な画像形成装置200の数はこれに限定されない。また、以下では、第1画像形成装置210、第2画像形成装置220、第3画像形成装置230は、互いに機種の異なる画像形成装置200である例について説明するが、複数の画像形成装置200の一部が、同一の機種であってもよい。
【0012】
ユーザー端末100は、ユーザーによって使用される端末装置である。ユーザー端末100は、例えばPC(Personal Computer)である。なお本実施形態のユーザー端末100は、プリンタードライバーを用いて画像形成装置200に印刷の実行を指示可能な機器であり、PCには限定されない。例えばユーザー端末100は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイス等の機器であってもよい。
【0013】
図1に示すようにユーザー端末100は、プロセッサー150、メモリー160、通信インターフェイス170を含む。ただしユーザー端末100のハードウェア構成はこれに限定されず、一部の構成要素が省略されてもよいし、他の構成要素が追加されてもよく、種々の変形実施が可能である。例えば、ユーザー端末100は、図2を用いて後述する表示部140に対応するディスプレイ等を含んでもよい。
【0014】
プロセッサー150は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(application specific integrated circuit)等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。またプロセッサー150は、CPU、GPU、DSP等に加えて周辺回路装置を含んでもよい。周辺回路装置は、IC(Integrated Circuit)であってもよいし、抵抗やキャパシター等を含んでもよい。
【0015】
メモリー160は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリーなどの半導体メモリーであってもよいし、レジスターであってもよいし、ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。
【0016】
通信インターフェイス170は、外部機器との通信を行うためのインターフェイスである。例えば通信インターフェイス170は、ネットワークを介した通信を行うためのインターフェイスであり、アンテナ、RF(radio frequency)回路、及びベースバンド回路を含む。通信インターフェイス170は、プロセッサー150による制御に従って動作してもよいし、プロセッサー150とは異なる通信制御用のプロセッサーを含んでもよい。通信インターフェイス170は、例えばIEEE802.11に従った通信を行うためのインターフェイスである。ただし具体的な通信方式は種々の変形実施が可能である。例えば通信インターフェイス170は、有線での通信を行うためのインターフェイスであってもよく、例えばUSB(Universal serial bus)規格に従った通信を行ってもよい。
【0017】
画像形成装置200は、印刷機能を有する装置である。画像形成装置200は、プリンターであってもよいし、スキャン機能付きプリンターであってもよいし、プリント機能を含む種々の機能を有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であってもよい。上述したように、ここでの画像形成装置200は、例えば第1画像形成装置210、第2画像形成装置220及び第3画像形成装置230を含む。
【0018】
画像形成装置200は、プロセッサー201と、印刷エンジン202と、通信インターフェイス203を含む。印刷エンジン202は、例えば図1に示す第1画像形成装置210の印刷エンジン212、第2画像形成装置220の印刷エンジン222、第3画像形成装置230の印刷エンジン232に対応する。なお以下で説明するように、印刷エンジン202の具体的な構成は種々の変形実施が可能であり、印刷エンジン212、印刷エンジン222、印刷エンジン232はいずれの構成によって実現されてもよく、互いに同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0019】
同様に、通信インターフェイス203は、例えば図1の通信インターフェイス213、通信インターフェイス223、通信インターフェイス233に対応する。通信インターフェイス213、通信インターフェイス223、通信インターフェイス233は、同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。プロセッサー201は、例えば図1のプロセッサー211、プロセッサー221、プロセッサー231に対応する。プロセッサー211、プロセッサー221、プロセッサー231は、同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0020】
印刷エンジン202は、印刷媒体に印刷を行うための機械的な構成を含む。例えば印刷エンジン202は、印刷媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送ローラーと、搬送ローラーを駆動する搬送モーターを含む。また画像形成装置200がインクジェットプリンターである場合、印刷エンジン202は印刷ヘッドが設けられるキャリッジと、当該キャリッジを搬送方向に直交する主走査方向に駆動するキャリッジモーターを含む。印刷エンジン202は、印刷媒体を搬送方向に搬送しつつ、主走査方向において往復する印刷ヘッドからインクを吐出させることによって、印刷媒体に画像を形成する。ただし、本実施形態の画像形成装置200は種々の方式の画像形成装置を適用可能であり、印刷エンジン202の構成はこれに限定されない。例えば画像形成装置200は、印刷媒体の幅に相当する幅の印刷ヘッドを有するラインヘッド式のインクジェットプリンターであってもよい。また画像形成装置200は、レーザープリンター等の電子写真方式の画像形成装置であってもよい。
【0021】
通信インターフェイス203は、ユーザー端末100との通信を行う。通信インターフェイス203は、例えばUSB規格に従った通信を行うインターフェイスであってもよいし、IEEE802.11の方式に従った通信を行うインターフェイスであってもよいし、他の方式に従った通信を行うインターフェイスであってもよい。通信インターフェイス203は、ユーザー端末100から画像形成ジョブを取得する。画像形成ジョブとは、具体的には印刷ジョブである。画像形成ジョブは、後述するように、画像形成装置200において印刷を実行する際に用いられるデータである。
【0022】
プロセッサー201は、画像形成ジョブに従った印刷動作を印刷エンジン202に実行させる制御を行う。プロセッサー201は、CPUやDSP等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。またプロセッサー201は、画像形成装置200全体の制御を行うメインCPUと、印刷制御を行うサブCPUとを含んでもよい。
【0023】
また画像形成装置200は、機種に特有の機能を実現するための構成を含んでもよい。第1画像形成装置210は、以下の構成のすべてを含んでもよいし、一部のみを含んでもよいし、すべてを含まなくてもよい。また下記以外の機種に特有の構成を含むことも妨げられない。第2画像形成装置220、第3画像形成装置230についても同様である。図4等を用いて後述する例では、第1画像形成装置210及び第2画像形成装置220が、以下の構成のうちの少なくとも一部を含む。
【0024】
例えば画像形成装置200は、ステープルユニットを有するフィニッシャーを含んでもよい。フィニッシャーは、画像が形成された後の複数の印刷媒体を位置合わせした上で、ステープルユニットを用いてステープル留めを行う。以下、ステープル留めを行う機能をステープル機能と表記する。
【0025】
また画像形成装置200は、パンチユニットを有するフィニッシャーを含んでもよい。フィニッシャーは、画像が形成された後の複数の印刷媒体を位置合わせした上で、パンチユニットを用いて所定数のパンチ穴を、所定の間隔で開ける。パンチ穴を開けることによって、複数の印刷媒体をファイルすることが容易になる。以下、パンチ穴を開ける機能をパンチ機能と表記する。
【0026】
また画像形成装置200は、トリマーを含んでもよい。トリマーは、例えば画像が形成された後の印刷媒体をカットするためのカッターを有する。ここでのトリマーは、印刷媒体を主走査方向に沿ってカットしてもよいし、印刷媒体を搬送方向に沿ってカットしてもよいし、その両方が可能であってもよい。例えば、ロール紙等の印刷媒体に形成された画像のうち、トリマーを用いて所定の範囲を切り抜くことによって、所望のサイズ及び形状の印刷結果を容易に取得できる。以下、トリマーを用いて印刷媒体をカットする機能をトリマー機能と表記する。
【0027】
ステープル機能、パンチ機能、トリマー機能は、例えば専用ハードウェアを用いて実現される。そのため、画像形成装置200の機種によっては、これらの機能を有さない場合もある。
【0028】
図2は、ユーザー端末100の機能ブロックの一例を示す図である。ユーザー端末100は、処理部110、記憶部120、通信部130、表示部140を含む。処理部110は、図1のプロセッサー150に対応する。記憶部120は、図1のメモリー160に対応する。通信部130は、図1の通信インターフェイス170に対応する。なお、ユーザー端末100の構成は図2に限定されず、他の構成を追加する、又は、一部の構成を省略する等の変形実施が可能である。
【0029】
処理部110は、インストール処理部111、判定処理部112、提示処理部113、アンインストール処理部114、制御部115を含んでもよい。記憶部120は、UPDインストールプログラム121、第1DPD122、第2DPD123を記憶してもよい。
【0030】
ここで、UPDとDPDについて説明する。画像形成装置200の機能として、両面印刷機能、Nアップ印刷機能、ステープル機能、パンチ機能、トリマー機能等、種々の機能が考えられる。両面印刷は、印刷媒体の両面に画像を形成する機能である。Nアップ印刷機能は、1枚の印刷媒体に、Nページ分の画像データを印刷する機能である。Nは例えば2、4、8等の2以上の数値である。Nアップ印刷機能は、割り付け印刷機能と言い換えてもよい。
【0031】
これらの機能を実現するためには、当該機能用の制御プログラムや、ハードウェアが必要となる。そのため、画像形成装置200の機種に応じて、各機能が利用できるか否かが異なる。例えば、両面印刷機能やNアップ印刷機能は使用頻度が高く、多くの機種において汎用的に利用可能である。一方、ステープル機能は専用ハードウェアを備えた一部の機種のみで利用可能な場合が考えられる。
【0032】
UPDとは、多くの機種で汎用的に利用可能な機能をサポートするプリンタードライバーである。例えばUPDは両面印刷機能及びNアップ印刷機能をサポートするが、ステープル機能等をサポートしない。UPDがサポートする機能を用いて印刷を実行する場合、画像形成装置200側が当該機能を有する蓋然性が高く、印刷を正常に実行可能である。そのためUPDは、1つのプリンタードライバーで複数の機種の画像形成装置200に対応可能であり、印刷実行のたびに出力先の画像形成装置200を切り替えることができる。
【0033】
これに対してDPDは、UPDに比べてサポートする機能が多く、例えば機種に特有の機能をサポートするプリンタードライバーである。例えばDPDは、一部の機種のみが有するステープル機能、パンチ機能、トリマー機能等をサポートする。このようにすれば、UPDがサポートしない機能を適切に利用することが可能になる。ただし、画像形成装置200の機種によってはステープル機能等を実現するためのハードウェアを有さず、当該機能を利用できない場合がある。そのため、所与の機種用のDPDを他の機種に流用し、当該DPDがサポートする機能を使用して印刷を行おうとしても、画像形成装置200側が当該機能を有さないことによって、印刷に失敗する可能性がある。そのため、DPDは多くの機種に対して、汎用的に利用することが難しい場合がある。例えばユーザーが複数の画像形成装置200を使用する場合、画像形成装置200ごとにDPDをインストールする必要がある。
【0034】
なお、以下の本実施形態では、両面印刷機能及びNアップ印刷機能がUPDによってサポートされる機能であり、ステープル機能、パンチ機能及びトリマー機能がDPDによってのみサポートされる機能である例について説明する。ただし、UPD、DPDがサポートする機能の例はこれに限定されない。例えば、多数の機種の画像形成装置200がステープル機能を有する場合、UPDがステープル機能をサポートすることは妨げられない。
【0035】
図2の説明を続ける。本実施形態の処理部110は、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むハードウェアを含む。例えば、ハードウェアは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置や、1又は複数の回路素子によって構成できる。1又は複数の回路装置は例えばIC、FPGA(field-programmable gate array)等である。1又は複数の回路素子は例えば抵抗、キャパシター等である。
【0036】
インストール処理部111は、UPDをユーザー端末100にインストールする処理を行う。判定処理部112は、対象のユーザー端末100にすでにDPDがインストールされているかを判定する処理を行う。提示処理部113は、DPDがインストール済みである場合に、当該DPDを削除することによって使用できなくなる機能をユーザーに提示する処理を行う。アンインストール処理部114は、DPDをアンインストールする処理を行う。制御部115は、ユーザー端末100の各部を制御する。例えば制御部115は、記憶部120の読み出し/書き込み制御、通信部130の通信制御等を行う。
【0037】
記憶部120(メモリー160)はコンピューターによって読み取り可能な命令を格納しており、当該命令を処理部110(プロセッサー150)が実行することによって、処理部110の機能が処理として実現される。具体的には、メモリー160に記憶された命令に従ってプロセッサー150が動作することによって、インストール処理部111、判定処理部112、提示処理部113、アンインストール処理部114、制御部115のそれぞれにおける処理が実行される。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサー150のハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
【0038】
記憶部120が記憶するUPDインストールプログラム121は、ユーザー端末100にUPDをインストールするためのアプリケーションソフトウェアである。UPDインストールプログラム121に従って処理部110が動作することによって、インストール処理部111、判定処理部112、提示処理部113、アンインストール処理部114が実現される。
【0039】
また記憶部120が記憶する第1DPD122は、例えば第1画像形成装置210に対応するDPDである。第1DPD122に従って動作することによって、処理部110は、第1画像形成装置210に印刷を実行させる。また記憶部120が記憶する第2DPD123は、例えば第2画像形成装置220に対応するDPDである。第2DPD123に従って動作することによって、処理部110は、第2画像形成装置220に印刷を実行させる。
【0040】
また記憶部120は、不図示のOS(Operating System)や、OS上で動作するアプリケーションソフトウェアを記憶してもよい。OS等に従って処理部110が動作することによって、制御部115が実現される。
【0041】
また、本実施形態の処理部110の各部が行う処理を実現するプログラムは、例えばコンピューターによって読み取り可能な媒体である非一時的な情報記憶装置(情報記憶媒体)に格納できる。情報記憶装置は、例えば光ディスク、メモリーカード、HDD、或いは半導体メモリーなどによって実現できる。半導体メモリーは例えばROMである。処理部110は、情報記憶装置に格納されるプログラムに基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶装置は、処理部110の各部としてコンピューターを機能させるためのプログラムを記憶する。コンピューターは、入力装置、処理部、記憶部、出力部を備える装置である。具体的には本実施形態に係るプログラムは、図3図6図9等を用いて後述する各ステップを、コンピューターに実行させるためのプログラムであり、具体的にはUPDインストールプログラム121である。
【0042】
通信部130は、ユーザー端末100と外部機器との通信を行う。例えば通信部130は、UPDインストールプログラム121によってインストールされるUPD、又は、第1DPD122、又は、第2DPD123に従って動作する処理部110からの指示に基づいて、画像形成装置200との間で情報の送受信を行う。例えば通信部130は、印刷を実行させるためのデータである画像形成ジョブを、画像形成装置200に送信する。
【0043】
表示部140は、各種の表示画面を表示するためのものであり、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどにより実現できる。
【0044】
本実施形態に係るUPDインストールプログラム121は、画像形成装置200のユニバーサルプリンタードライバーのインストールプログラムであって、図2に示したインストール処理部111と、判定処理部112と、提示処理部113としてコンピューターを機能させる。
【0045】
本実施形態の手法によれば、DPDを削除する前に、DPDを削除することで使用できなくなる機能をユーザーに把握させることが可能になる。例えばユーザーは、使用できなくなる機能を確認し、当該機能が不要である場合にはDPDを削除し、当該機能が必要である場合にはDPDを残す等の判断を行うことが可能である。必要なDPDを誤って削除することを抑制できるため、DPDの再インストール等のユーザー負担を軽減することが可能である。具体的な処理については、図3図11を用いて後述する。
【0046】
なお本実施形態の手法では、DPDを削除する前に必要な情報をユーザーに提示する。よって以下の本実施形態においては、DPDがすでにインストールされている場合において、新たにUPDをインストールする状況を想定する。典型的には、DPDを用いて所与の画像形成装置200を利用している状況において、新たな画像形成装置200が導入された場合が考えられる。
【0047】
図1及び図2の例であれば、第1DPDによって第1画像形成装置210が利用可能であり、且つ、第2DPDによって第2画像形成装置220が利用可能である状況において、新たに第3画像形成装置230が導入された。そして、第3画像形成装置230のドライバーとしてUPDが利用される。この場合、上記のように、DPDがすでにインストールされているところに、新たにUPDをインストールすることになるため、本実施形態の手法を適用することが有用である。ただし、本実施形態の手法は、UPDをインストールする際に広く適用可能であり、具体的な状況はこれに限定されない。
【0048】
2.処理の詳細
図3は、本実施形態の処理を説明するフローチャートである。以下、各ステップがユーザー端末100の処理部110において実行される例について説明する。上述したように、より具体的には、図3の少なくとも一部のステップは、処理部110が、UPDインストールプログラム121に従って動作することによって実行される。
【0049】
なおここでは、説明の便宜上、既存のDPDが1つ以下である場合について説明する。例えば、第1DPD122を用いて第1画像形成装置210を利用している場合において、第3画像形成装置230の利用を開始するためにUPDをインストールする状況が想定される。
【0050】
まずステップS101において、処理部110は、記憶部120に記憶されたUPDインストールプログラム121を起動する。例えば上記のように、新たに第3画像形成装置230の利用を開始する場面において、処理部110は、第3画像形成装置230を動作させるためのプリンタードライバーとして、UPDを特定する。そして処理部110は、UPDをインストールするために、UPDインストールプログラム121を起動する処理を行う。
【0051】
なお、記憶部120にUPDインストールプログラム121を記憶するための処理については種々の変形実施が可能である。例えば処理部110は、インターネット等の公衆通信網を介して、UPDインストールプログラム121を取得してもよい。あるいは、UPDインストールプログラム121は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の光学ディスクを用いて提供されてもよいし、他の手段を用いて提供されてもよい。
【0052】
ステップS102において、処理部110のインストール処理部111は、UPDをインストールする処理を行う。例えば、UPDインストールプログラム121は、画像形成装置200を制御するためのデータを含むドライバーファイルと、セットアップ用のデータを含むセットアップファイルを含んでもよい。インストール処理部111は、セットアップファイルに従ってドライバーファイルや関連するデータを記憶部120の規定の箇所に書き込むことによって、UPDのインストールを行う。
【0053】
ステップS103において、判定処理部112は、ユーザー端末100にすでにDPDがインストールされているかを判定する。例えば、ユーザー端末100のOSは、当該ユーザー端末100にインストール済みのドライバーソフトウェアを把握可能である。よって判定処理部112は、OSから情報を取得することによって、画像形成装置200のDPDがインストール済みであるか否かを判定できる。例えば判定処理部112は、インストール済みのドライバーソフトウェアのうち、所定の名称のドライバーソフトウェア、あるいは、所定のデバイスに対応付けてインストールされているドライバーソフトウェアを検索することによって、DPDがインストール済みであるかを判定する。
【0054】
より具体的には、判定処理部112は、ステップS102においてインストールしたUPDにより動作可能な画像形成装置200のDPDがインストールされているかを判定してもよい。例えば判定処理部112は、UPDが対応可能な機種のリスト、あるいは、当該機種に対応するDPDのリスト等を保持しておき、当該リストに対応するDPDの有無を判定してもよい。あるいは、UPDが同じメーカーのすべての画像形成装置200に対応可能である場合、判定処理部112は、新たに導入した第3画像形成装置230と同じメーカーの画像形成装置200に対応するDPDがインストールされているか否かを判定してもよい。
【0055】
DPDがインストールされていない場合、処理部110は図3に示す処理を終了する。具体的には、DPDのアンインストールが不要であるため、提示処理等も行われない。
【0056】
DPDがインストールされている場合、当該DPDをUPDに置き換えることによって、ドライバーソフトウェアを削減できる可能性がある。例えば、第1画像形成装置210が導入済みであり、第1画像形成装置210用のDPDである第1DPD122がインストールされていると判定処理部112が判定したとする。この場合、UPDは第1画像形成装置210にも対応するため、第1DPD122を削除したとしても、第1画像形成装置210による印刷を実行可能である。
【0057】
ただし、上述したようにUPDがサポートする機能は、対応する複数機種の画像形成装置200が共通に有する機能に限定される。そのため、UPDがインストールされたとしても、第1DPD122を削除することによって、使用できなくなる機能が発生するおそれがある。
【0058】
よって提示処理部113は、DPDをアンインストールすることによって使用できなくなる機能を提示するための処理を行う。まずステップS104において、提示処理部113は、UPDの機能と、インストール済みのDPDの機能を比較する処理を行う。機能の比較は、例えばプリンタードライバーの設定ファイルを取得することによって行われる。
【0059】
図4は、プリンタードライバーの設定ファイルの例である。図4では、UPDの設定ファイル、第1画像形成装置210に対応する第1DPD122の設定ファイル、第2画像形成装置220に対応する第2DPD123の設定ファイルを例示している。便宜上、第2DPD123の設定ファイルについてもまとめて説明するが、第2DPD123がインストール済みであるケースについては、図11を用いて後述する。
【0060】
図4に示す設定ファイルは、各プリンタードライバーのインストール時に、ユーザー端末100の記憶部120の所定領域に保存される。この所定領域は、例えばOSに応じて既知の情報となるため、判定処理部112は、図4に示す設定ファイルを適切に取得可能である。ただし、本実施形態の手法は、UPDとDPDの機能を比較可能であればよく、具体的な処理は設定ファイルを用いるものには限定されない。また設定ファイルを用いる場合にも、具体的なデータ形式は図4に限定されない。
【0061】
設定ファイルには、対応するプリンタードライバーが各機能をサポートするか否かを表す情報が含まれる。例えば、Support_Double-sidedは、両面印刷機能をサポートするか否かを表す変数である。Support_Double-sided=1の場合、プリンタードライバーは両面印刷機能をサポートする。Support_Double-sided=0の場合、プリンタードライバーは両面印刷機能をサポートしない。
【0062】
Support_N-upはNアップ印刷機能をサポートするか否かを表す変数である。Support_Stapleはステープル機能をサポートするか否かを表す変数である。Support_Punchはパンチ機能をサポートするか否かを表す変数である。Support_Trimmerはトリマー機能をサポートするか否かを表す変数である。各変数は、例えば値が1の場合、プリンタードライバーが対応する機能をサポートすることを表し、値が0の場合、プリンタードライバーが対応する機能をサポートしないことを表す。
【0063】
図4の例では、UPDは両面印刷機能とNアップ印刷機能をサポートし、ステープル機能、パンチ機能及びトリマー機能をサポートしない。第1DPD122は、両面印刷機能、Nアップ印刷機能、ステープル機能、パンチ機能及びトリマー機能をサポートする。第2DPD123は、両面印刷機能、Nアップ印刷機能、ステープル機能、パンチ機能をサポートし、トリマー機能をサポートしない。
【0064】
図4に示す例の場合、例えば提示処理部113は、第1DPD122がサポートし、且つ、UPDがサポートしない機能を、第1DPD122を削除することによって使用できなくなる機能として特定する。図4の例であれば、ステープル機能、パンチ機能及びトリマー機能が第1DPD122を削除することによって使用できなくなる機能として特定される。
【0065】
そしてステップS105において、提示処理部113は、専用プリンタードライバーが有する機能と、ユニバーサルプリンタードライバーが有する機能の比較処理に基づいて、専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能を提示する。例えば提示処理部113は、DPDのアンインストール画面を提示する。このようにすれば、DPDを削除した場合の影響をあらかじめ提示できる。DPDをアンインストールするか否かについて、ユーザーの判断に有用な情報を提供できるため、利便性の向上が可能になる。
【0066】
図5は、ステップS105において提示されるアンインストール画面の一例である。例えば提示処理部113は、図5に示す画面をユーザー端末100の表示部140に表示する処理を行う。ただし、提示処理部113は、ユーザー端末100と接続済みのスマートフォンやウェアラブル機器に図5に示す画面を表示する処理を実行してもよい。また提示処理部113は、第1DPD122を用いて第1画像形成装置210に図5の画面を印刷させることによって提示処理を行ってもよく、具体的な提示手法は種々の変形実施が可能である。
【0067】
図5に示す例では、提示処理部113は、「機種専用ドライバーMX-XXXXを削除しますか?」というテキストを表示することによって、アンインストールの対象となるDPDを示しつつ、アンインストールの可否判断をユーザーに促す。MX-XXXXは、例えば第1DPD122の名称を表す。その際、提示処理部113は、ステープル機能、パンチ機能、トリマー機能が使用できなくなる旨を提示する。この画面を閲覧したユーザーは、ステープル機能、パンチ機能、トリマー機能が必要であるか否かに基づいて、アンインストールの可否を適切に判断することが可能である。
【0068】
ステップS106において、アンインストール処理部114は、ユーザー入力に基づいてDPDのアンインストールを実行するか否かを判定する。例えば、図5の画面において「はい」の選択操作が行われた場合、アンインストール処理部114はアンインストールを実行すると判定し、「いいえ」の選択操作が行われた場合、アンインストール処理部114はアンインストールを実行しないと判定する。
【0069】
ステップS106でアンインストールを実行すると判定した場合、ステップS107において、アンインストール処理部114は、DPDのアンインストールを実行する。上述した例であれば、第1DPD122や関連するデータが記憶部120から削除され、これ以降はUPDを用いて第1画像形成装置210の制御が実行される。例えばステープル機能等が不要である場合、UPDを用いて第1画像形成装置210と第3画像形成装置230の両方が制御されても機能が不足することがない。
【0070】
ステップS106でアンインストールを実行しないと判定した場合、アンインストール処理部114は、ステップS107の処理をスキップする。上述した例であれば、第1DPD122がアンインストールされないため、これ以降も第1DPD122を用いて第1画像形成装置210の制御が実行可能である。そのため、UPDのインストール後も、UPDがサポートしないステープル機能等の利用が可能である。
【0071】
3.変形例
以下、いくつかの変形例について説明する。
【0072】
<ログデータに基づく処理>
提示処理部113は、専用プリンタードライバーの接続先の画像形成装置200から画像形成ジョブのログデータを取得し、ログデータに基づいて、提示処理を行ってもよい。このようにすれば、DPDを用いてどのような印刷が行われたかを具体的に考慮した提示処理が可能になる。画像形成装置200は一定期間、あるいは一定量のログデータを内部に保存する場合が多く、既存の画像形成装置200に新たに機能を追加せずともログデータを取得することが容易である。以下、具体的な処理を説明する。
【0073】
図6は、この場合の処理を説明するフローチャートである。図6のステップS201~S204は、図3のステップS101~S104と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS204の処理まで行うことによって、例えば提示処理部113は、第1DPD122を削除することによって、ステープル機能、パンチ機能及びトリマー機能が使用できなくなると判定する。
【0074】
ステップS205において、提示処理部113は、処理対象となるDPDの接続先である画像形成装置200から画像形成ジョブのログデータを取得する。例えばDPDは、対応する画像形成装置200に接続するための接続情報を設定ファイル等に保持している。ここでの接続情報は、例えば画像形成装置200のIP(Internet Protocol)アドレスであるが、他の情報が用いられてもよい。提示処理部113は、接続情報を用いて、DPDの接続先の画像形成装置200にログデータの取得コマンドを送信し、当該取得コマンドに対する応答として、ログデータを取得する。
【0075】
ここでの画像形成ジョブとは、画像形成装置200に対して、1単位の画像形成処理を実行させるためのデータを表す。1つの画像形成ジョブは、形成対象となる画像を特定する画像データや、印刷設定データを含む。印刷設定データは、印刷媒体の種類、印刷媒体のサイズ、カラー/モノクロ等を特定する情報を含む。また印刷設定データは、使用される機能を特定する情報を含む。画像形成ジョブのログデータとは、対象の画像形成装置200において実行された時系列の画像形成処理に関するデータの集合であり、具体的には画像形成ジョブの集合である。
【0076】
図7は、画像形成ジョブのログデータの例を示す図である。例えば画像形成装置200は、1つの画像形成ジョブに対応するデータとして、印刷時刻、送信元デバイス、印刷対象ファイル、使用機能に関する情報を記憶する。ただし、ログデータの形式はこれに限定されず、使用機能を特定可能な他の形式のデータが利用されてもよい。
【0077】
印刷時刻は、画像形成ジョブに基づく印刷処理が実行された時刻を表す情報である。送信元デバイスは、画像形成ジョブの送信元であるデバイスを特定する情報であり、デバイスの名称であってもよいし、IPアドレスやMACアドレス等の情報であってもよい。印刷対象ファイルは、印刷媒体に形成される画像の元となるファイル名を表す情報である。
【0078】
使用機能に関する情報は、例えば図7に示すように、両面印刷機能、Nアップ印刷機能、ステープル機能、パンチ機能、トリマー機能のそれぞれの項目について、0又は1の値が割り当てられた情報である。
【0079】
図7の例では、t11~t14の4つの時刻に実行された4つの画像形成ジョブに関するログデータを示している。t11で行われた印刷は、「PC1」という端末装置によって実行が指示されたものであって、両面印刷機能及びステープル機能を使用し、Nアップ印刷機能、パンチ機能及びトリマー機能を使用しなかった。その他の画像形成ジョブについても同様であり、それぞれの機能に対応する項目の値が0か1かに基づいて、当該機能が使用されたか否かを特定可能である。
【0080】
ステップS206において、提示処理部113は、UPDがサポートしていない機能が使用された履歴があるかを判定する。
【0081】
例えば上述したように、提示処理部113は、第1DPD122を削除することによって、ステープル機能、パンチ機能及びトリマー機能が使用できなくなると判定していたとする。この場合、提示処理部113は、第1画像形成装置210から取得したログデータの中に、ステープル機能に対応する項目の値が1となるデータが存在する場合に、ステープル機能の使用履歴があると判定する。また提示処理部113は、ステープル機能に対応する項目の値がすべて0である場合に、ステープル機能の使用履歴がないと判定する。パンチ機能、トリマー機能についても同様である。図7の例であれば、ステープル機能及びパンチ機能は使用履歴があり、トリマー機能は使用履歴がないと判定される。
【0082】
なお、1つの画像処理装置200は、複数の端末装置から使用される可能性がある。本実施形態の処理は、所与のユーザー端末100のDPDを削除する場合の処理であって、他の端末装置にインストールされたDPDには影響を及ぼさない。その点を考慮すれば、ここでの使用履歴とは、UPDインストールプログラム121を実行しているユーザー端末100による使用履歴であってもよい。例えば提示処理部113は、画像形成ジョブのログデータとして、対象のユーザー端末100が送信した画像形成ジョブに関するログデータを抽出してもよい。例えば提示処理部113は、送信元デバイスの情報に基づいて、ユーザー端末100が送信した画像形成ジョブのログデータを抽出する。
【0083】
UPDがサポートしていない機能が使用された履歴がない場合、ステップS207において、提示処理部113は、UPDがサポートしないDPDの機能を、DPDを削除することによって使用できなくなる機能として提示する処理を行う。例えば提示処理部113は、図5と同様の画面を提示する。
【0084】
UPDがサポートしていない機能が使用された履歴がある場合、ステップS208において、提示処理部113は異なる画面を提示してもよい。具体的には提示処理部113は、ログデータに基づいて、ユーザーによって使用された履歴がある専用プリンタードライバーの機能であって、ユニバーサルプリンタードライバーに含まれない機能を、専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能として、ユーザーに提示する。例えば上記の例であれば、提示処理部113は、ステープル機能とパンチ機能を、DPDを削除することによって使用できなくなる機能として表示する。この場合、トリマー機能の提示は省略されてもよい。
【0085】
所与の機能の使用履歴がある場合、使用履歴が無い場合に比べて、当該機能は将来的に使用される蓋然性が高いと推定される。上記の例であれば、ステープル機能やパンチ機能は、トリマー機能に比べて、UPDのインストール後にも継続して利用される蓋然性が高い。そのため、DPDを削除してしまうと、これらの機能を利用するためにDPDの再インストールが必要となる可能性がある。その点、ステープル機能やパンチ機能が使用できなくなる旨を提示することで、DPDをアンインストールすべきか否かをユーザーに適切に判断させることが可能である。一方、使用履歴が無い機能については、将来的に使用される蓋然性が低いため、ユーザーへ提示する優先度は低い。
【0086】
あるいは提示処理部113は、専用プリンタードライバーが有する機能と、ユニバーサルプリンタードライバーが有する機能の比較処理に基づいて、専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能を提示する提示処理を行う。当該提示処理において、提示処理部113は、専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能のうち、ユーザーによって使用された履歴がある機能と、ユーザーによって使用された履歴がない機能を識別可能な態様で提示してもよい。
【0087】
図8は、この場合に提示されるアンインストール画面の一例である。例えば提示処理部113は、図8に示す画面をユーザー端末100の表示部140に表示する処理を行う。ただし、上述したように、提示処理は種々の変形実施が可能である。
【0088】
図8に示す例では、提示処理部113は、ステープル機能、パンチ機能、トリマー機能が使用できなくなる旨を提示する。その際、ステープル機能及びパンチ機能は使用履歴があることを提示し、トリマー機能は使用履歴がないことを提示する。なお図8では使用履歴の有無がテキストを用いて提示される例を示したが、これには限定されない。例えば提示処理部113は、使用履歴がある機能を、使用履歴が無い機能に比べて視認性の高い態様で表示してもよい。例えば提示処理部113は、テキストのサイズ、色、配置等を用いて視認性に差を設ける。
【0089】
このようにすれば、UPDがサポートしないDPDの機能が提示される際に、使用履歴の有無に応じて提示態様が異なるため、DPDをアンインストールするか否かを判断する際に、より有用な情報をユーザーに提示することが可能になる。
【0090】
ステップS207又はS208の提示処理後の処理は図5の例と同様である。ステップS209において、アンインストール処理部114は、ユーザー入力に基づいてDPDのアンインストールを実行するか否かを判定する。アンインストールを実行すると判定した場合、ステップS210において、アンインストール処理部114は、DPDのアンインストールを実行する。アンインストールを実行しないと判定した場合、アンインストール処理部114は、ステップS210の処理をスキップする。
【0091】
また提示処理部113は、専用プリンタードライバーがユーザー端末100に保存している画像形成ジョブのログデータを取得し、ログデータに基づいて、提示処理を行ってもよい。上述したように、画像形成ジョブはユーザー端末100から画像形成装置200へ送信されるデータであるため、ユーザー端末100側でログデータを保存している場合、当該ログデータを利用できる。この場合、ログデータを取得する際に画像形成装置200との通信が必要とならないという利点がある。
【0092】
図9は、この場合の処理を説明するフローチャートである。図9はステップS305におけるログデータの取得先がユーザー端末100の記憶部120となる点を除いて図6と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0093】
図10は、DPDがユーザー端末100に保存するログデータの例である。図7と比較した場合、送信元デバイスに関する情報はユーザー端末100で固定であるため省略が可能である。ただし、ユーザー端末100に保存されるログデータが送信元デバイスを特定する情報を含むことは妨げられない。また図10では、ログデータが、送信先である画像形成装置200を特定する情報を含む例を示した。例えば第1DPD122が記憶するログデータの場合、当該項目には第1画像形成装置210を特定する識別情報が記憶される。だだし、ログデータから送信先である画像形成装置200を特定する情報が省略されてもよい。このように、ログデータの形式は種々の変形実施が可能である。
【0094】
図10に示すように、この場合のログデータも、使用した機能を特定可能な情報が含まれており、DPDを削除することによって使用できなくなる機能の使用履歴を適切に判定することが可能である。
【0095】
<複数のDPDを対象とした場合の画面例>
また判定処理部112において、ユーザー端末100に複数の専用プリンタードライバーがインストールされていると判定され、複数の専用プリンタードライバーが、第1画像形成装置210と接続する第1専用プリンタードライバー(第1DPD122)と、第2画像形成装置220と接続する第2専用プリンタードライバー(第2DPD123)とを含む場合も考えられる。
【0096】
この場合、提示処理部113は、第1専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能と、第2専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能を、識別可能な態様でユーザーに提示する処理を行ってもよい。
【0097】
具体的には処理部110は、図3のステップS104以降の処理、又は、図6のステップS204以降の処理、又は図9のステップS304以降の処理を、インストール済みの複数のDPDのそれぞれについて実行する。
【0098】
例えば図3に示す処理を行う場合であって、UPD、第1DPD122、第2DPDのサポートする機能は、図4に示した例であったとする。この場合、提示処理部113は、第1DPD122を削除することによって使用できなくなる機能が、ステープル機能、パンチ機能及びトリマー機能であると判定する。また提示処理部113は、第2DPD123を削除することによって使用できなくなる機能が、ステープル機能及びパンチ機能であると判定する。
【0099】
図11は、この場合に提示される画面の例である。この例では、「MX-XXXX」という名称のDPDを削除した場合、ステープル機能、パンチ機能及びトリマー機能が使用できなくなること、及び、「MX-YYYY」という名称のDPDを削除した場合、ステープル機能及びパンチ機能が使用できなくなること、を提示できる。例えば第1DPD122が「MX-XXXX」に対応し、第2DPD123が「MX-YYYY」に対応する。提示処理部113は、図11に示す2つの画面を並べて表示してもよいし、順次表示してもよいし、それぞれをポップアップ表示してもよい。また図11では、2つの画面を用いることによって、第1DPD122を削除することで使用できなくなる機能と、第2DPD123を削除することで使用できなくなる機能を識別可能に表示する例を示したが、これには限定されない。例えば提示処理部113は、1つの画面の中で、第1DPD122を削除することで使用できなくなる機能を表すテキスト等と、第2DPD123を削除することで使用できなくなる機能を表すテキスト等の、サイズ、色、配置等を変更することによって、これらを識別可能な態様で表示してもよい。なお、ここでのテキスト等にはアイコン等の画像情報が含まれてもよい。
【0100】
このようにすれば、複数のDPDのそれぞれについて当該DPDを削除した場合の影響をユーザーに明示できるため、それぞれのDPDを削除すべきか否かを適切に判断させることが可能になる。例えばユーザーは、複数のDPDのうちの一部を削除し、残りを削除しないといった柔軟な判断を容易に実行できる。
【0101】
また本実施形態の手法は、図3図6図9等に示したステップを実行するインストール方法に適用できる。インストール方法は、画像形成装置200のユニバーサルプリンタードライバーを、ユーザーが使用するユーザー端末100にインストールするステップ(例えばステップS102)と、ユーザー端末100に、専用プリンタードライバーがインストールされているか否かを判定するステップ(例えばステップS103)と、ユーザー端末100に専用プリンタードライバーがインストールされていると判定された場合、専用プリンタードライバーを削除することで使用できなくなる機能をユーザーに提示する提示処理を行うステップ(例えばステップ105)と、を含む。
【0102】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。またユーザー端末、画像形成装置等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0103】
100…ユーザー端末、110…処理部、111…インストール処理部、112…判定処理部、113…提示処理部、114…アンインストール処理部、115…制御部、120…記憶部、121…UPDインストールプログラム、122…第1DPD、123…第2DPD、130…通信部、140…表示部、150…プロセッサー、160…メモリー、170…通信インターフェイス、200…画像形成装置、201…プロセッサー、202…印刷エンジン、203…通信インターフェイス、210…第1画像形成装置、211…プロセッサー、212…印刷エンジン、213…通信インターフェイス、220…第2画像形成装置、221…プロセッサー、222…印刷エンジン、223…通信インターフェイス、230…第3画像形成装置、231…プロセッサー、232…印刷エンジン、233…通信インターフェイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11