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  • 特許-バンドエリミネーションフィルタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】バンドエリミネーションフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20241030BHJP
   H03H 7/075 20060101ALN20241030BHJP
【FI】
H03H7/01 A
H03H7/075 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021045885
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144739
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 直之
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-201034(JP,A)
【文献】特表2008-527808(JP,A)
【文献】実開昭57-64919(JP,U)
【文献】特開2008-278100(JP,A)
【文献】特開2010-141859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/00-7/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の帯域内の周波数の信号を選択的に減衰させるバンドエリミネーションフィルタであって、
第1の入出力ポートと、
第2の入出力ポートと、
前記第1の入出力ポートと前記第2の入出力ポートとの間に並列に設けられた第1のバンドパスフィルタおよび第2のバンドパスフィルタとを備え、
前記第1のバンドパスフィルタは、前記第1の入出力ポートに最も近い第1のハイパスフィルタと、前記第2の入出力ポートと前記第1のハイパスフィルタとの間に設けられた第1のローパスフィルタと、前記第2の入出力ポートと前記第1のローパスフィルタとの間に設けられた第3のハイパスフィルタとを含み、
前記第2のバンドパスフィルタは、前記第1の入出力ポートに最も近い第2のローパスフィルタと、前記第2の入出力ポートと前記第2のローパスフィルタとの間に設けられた第2のハイパスフィルタと、前記第2の入出力ポートと前記第2のハイパスフィルタとの間に設けられた第3のローパスフィルタとを含むことを特徴とするバンドエリミネーションフィルタ。
【請求項2】
前記第1のハイパスフィルタと前記第2のローパスフィルタは、それぞれ、前記第1の入出力ポートに直接接続されていることを特徴とする請求項1記載のバンドエリミネーションフィルタ。
【請求項3】
前記第3のハイパスフィルタと前記第3のローパスフィルタは、それぞれ、前記第2の入出力ポートに直接接続されていることを特徴とする請求項1または2記載のバンドエリミネーションフィルタ。
【請求項4】
前記第1ないし第3のハイパスフィルタと前記第1ないし第3のローパスフィルタの各々は、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタを用いて構成されたLCフィルタであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のバンドエリミネーションフィルタ。
【請求項5】
前記第1のハイパスフィルタと前記第3のハイパスフィルタは、前記第1のローパスフィルタを中心として、互いに対称な回路構成を有していることを特徴とする請求項記載のバンドエリミネーションフィルタ。
【請求項6】
前記第2のローパスフィルタと前記第3のローパスフィルタは、前記第2のハイパスフィルタを中心として、互いに対称な回路構成を有していることを特徴とする請求項または記載のバンドエリミネーションフィルタ。
【請求項7】
前記第1のバンドパスフィルタと前記第2のバンドパスフィルタの各々は、複数のインダクタと複数のキャパシタを用いて構成されたLCフィルタであることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のバンドエリミネーションフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の帯域内の周波数の信号を選択的に減衰させるバンドエリミネーションフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やスマートフォンに代表される小型移動体通信機器、テレビジョン放送用通信機器、無線LAN通信機器等の通信機器に使用され得る電子部品の1つとして、バンドエリミネーションフィルタがある。バンドエリミネーションフィルタは、所定の帯域内の周波数の信号を選択的に減衰させる機能を有している。
【0003】
バンドエリミネーションフィルタとしては、例えば特許文献1,2に開示されているように、2つのバンドパスフィルタを並列に接続したものが知られている。特許文献1では、2つのバンドパスフィルタの入力側と出力側の各々が、1/4波長ラインを含むウィルキンソン型の電力分配器を介して並列に接続されている。特許文献2では、2つのバンドパスフィルタの各々が、弾性共振器と、インダクタおよびキャパシタを含む非弾性受動コンポーネントとを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-55857号公報
【文献】特開2020-14205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に小型の機器に用いられるバンドエリミネーションフィルタには、小型化が求められる。特許文献1,2に開示されているようなバンドエリミネーションフィルタでは、1/4波長ラインや弾性共振器が存在するため、小型化が難しいという問題点があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、2つのバンドパスフィルタが並列に接続されたバンドエリミネーションフィルタであって、小型化が可能なバンドエリミネーションフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバンドエリミネーションフィルタは、所定の帯域内の周波数の信号を選択的に減衰させるものである。バンドエリミネーションフィルタは、第1の入出力ポートと、第2の入出力ポートと、第1の入出力ポートと第2の入出力ポートとの間に並列に設けられた第1のバンドパスフィルタおよび第2のバンドパスフィルタとを備えている。第1のバンドパスフィルタは、第1の入出力ポートに最も近い第1のハイパスフィルタと、第2の入出力ポートと第1のハイパスフィルタとの間に設けられた第1のローパスフィルタとを含んでいる。第2のバンドパスフィルタは、第1の入出力ポートに最も近い第2のローパスフィルタと、第2の入出力ポートと第2のローパスフィルタとの間に設けられた第2のハイパスフィルタとを含んでいる。
【0008】
本発明のバンドエリミネーションフィルタにおいて、第1のハイパスフィルタと第2のローパスフィルタは、それぞれ、第1の入出力ポートに直接接続されていてもよい。
【0009】
また、本発明のバンドエリミネーションフィルタにおいて、第1のバンドパスフィルタは、更に、第2の入出力ポートと第1のローパスフィルタとの間に設けられた第3のハイパスフィルタを含んでいてもよい。また、第2のバンドパスフィルタは、更に、第2の入出力ポートと第2のハイパスフィルタとの間に設けられた第3のローパスフィルタを含んでいてもよい。この場合、第3のハイパスフィルタと第3のローパスフィルタは、それぞれ、第2の入出力ポートに直接接続されていてもよい。
【0010】
また、本発明のバンドエリミネーションフィルタにおいて、第1ないし第3のハイパスフィルタと第1ないし第3のローパスフィルタの各々は、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタを用いて構成されたLCフィルタであってもよい。この場合、第1のハイパスフィルタと第3のハイパスフィルタは、第1のローパスフィルタを中心として、互いに対称な回路構成を有していてもよい。また、第2のローパスフィルタと第3のローパスフィルタは、第2のハイパスフィルタを中心として、互いに対称な回路構成を有していてもよい。
【0011】
また、本発明のバンドエリミネーションフィルタにおいて、第1のバンドパスフィルタと第2のバンドパスフィルタの各々は、複数のインダクタと複数のキャパシタを用いて構成されたLCフィルタであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバンドエリミネーションフィルタは、第1の入出力ポートと第2の入出力ポートとの間に並列に設けられた第1のバンドパスフィルタおよび第2のバンドパスフィルタとを備えている。第1のバンドパスフィルタは、第1の入出力ポートに最も近い第1のハイパスフィルタを含んでいる。第2のバンドパスフィルタは、第1の入出力ポートに最も近い第2のローパスフィルタを含んでいる。これにより、本発明によれば、2つのバンドパスフィルタが並列に接続されたバンドエリミネーションフィルタを小型化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタの構成を示す機能ブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタの回路構成の一例示す回路図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタの通過減衰特性の一例を示す特性図である。
図4】本発明の一実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタの反射減衰特性の一例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の一実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタ1の構成の概略について説明する。本実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタ1は、所定の帯域内の周波数の信号を選択的に減衰させるものである。バンドエリミネーションフィルタ1は、第1の入出力ポート2と、第2の入出力ポート3と、第1の入出力ポート2と第2の入出力ポート3との間に並列に設けられた第1のバンドパスフィルタ10および第2のバンドパスフィルタ20とを備えている。
【0015】
第1のバンドパスフィルタ10は、第1の入出力ポート2に最も近い第1のハイパスフィルタ11と、第2の入出力ポート3と第1のハイパスフィルタ11との間に設けられた第1のローパスフィルタ12とを含んでいる。第1のバンドパスフィルタ10は、更に、第2の入出力ポート3と第1のローパスフィルタ12との間に設けられたハイパスフィルタ13を含んでいる。第1のバンドパスフィルタ10において、ハイパスフィルタ13は、第2の入出力ポート3に最も近い。
【0016】
第2のバンドパスフィルタ20は、第1の入出力ポート2に最も近い第2のローパスフィルタ21と、第2の入出力ポート3と第2のローパスフィルタ21との間に設けられた第2のハイパスフィルタ22とを含んでいる。第2のバンドパスフィルタ20は、更に、第2の入出力ポート3と第2のハイパスフィルタ22との間に設けられたローパスフィルタ23を含んでいる。第2のバンドパスフィルタ20において、ローパスフィルタ23は、第2の入出力ポート3に最も近い。
【0017】
なお、図1では、ハイパスフィルタをHPFと記し、ローパスフィルタをLPFと記している。
【0018】
本実施の形態では、第1のハイパスフィルタ11と第2のローパスフィルタ21は、それぞれ、第1の入出力ポート2に直接接続されている。また、ハイパスフィルタ13とローパスフィルタ23は、それぞれ、第2の入出力ポート3に直接接続されている。
【0019】
第1のハイパスフィルタ11、第1のローパスフィルタ12、ハイパスフィルタ13、第2のローパスフィルタ21、第2のハイパスフィルタ22およびローパスフィルタ23の各々は、少なくとも1つのインダクタと少なくとも1つのキャパシタを用いて構成されたLCフィルタである。また、第1のバンドパスフィルタ10と第2のバンドパスフィルタ20の各々は、複数のインダクタと複数のキャパシタを用いて構成されたLCフィルタである。
【0020】
次に、図2を参照して、バンドエリミネーションフィルタ1の回路構成の一例について説明する。
【0021】
第1のバンドパスフィルタ10の第1のハイパスフィルタ11は、インダクタL1と、キャパシタC1,C2,C3,C4とを含んでいる。キャパシタC1の一端は、第1の入出力ポート2に接続されている。キャパシタC2の一端は、キャパシタC1の他端に接続されている。キャパシタC3の一端は、キャパシタC1の一端に接続されている。キャパシタC3の他端は、キャパシタC2の他端に接続されている。
【0022】
インダクタL1の一端は、キャパシタC1とキャパシタC2の接続点に接続されている。インダクタL1の他端は、グランドに接続されている。キャパシタC4は、インダクタL1に対して並列に接続されている。
【0023】
第1のバンドパスフィルタ10の第1のローパスフィルタ12は、インダクタL2と、キャパシタC5,C6,C7とを含んでいる。キャパシタC5の一端は、第1のハイパスフィルタ11のキャパシタC2の他端に接続されている。キャパシタC6の一端は、キャパシタC5の一端に接続されている。キャパシタC7の一端は、キャパシタC5の他端に接続されている。キャパシタC6,C7の各他端は、グランドに接続されている。インダクタL2は、キャパシタC5に対して並列に接続されている。
【0024】
第1のバンドパスフィルタ10のハイパスフィルタ13は、インダクタL3と、キャパシタC8,C9,C10,C11とを含んでいる。キャパシタC8の一端は、第1のローパスフィルタ12のキャパシタC5の他端に接続されている。キャパシタC9の一端は、キャパシタC8の他端に接続されている。キャパシタC9の他端は、第2の入出力ポート3に接続されている。キャパシタC10の一端は、キャパシタC8の一端に接続されている。キャパシタC10の他端は、キャパシタC9の他端に接続されている。
【0025】
インダクタL3の一端は、キャパシタC8とキャパシタC9の接続点に接続されている。インダクタL3の他端は、グランドに接続されている。キャパシタC11は、インダクタL3に対して並列に接続されている。
【0026】
第2のバンドパスフィルタ20の第2のローパスフィルタ21は、インダクタL4,L5と、キャパシタC12,C13,C14,C15とを含んでいる。インダクタL4の一端は、第1の入出力ポート2に接続されている。キャパシタC12は、インダクタL4に対して並列に接続されている。キャパシタC13の一端は、インダクタL4の他端に接続されている。キャパシタC13の他端は、グランドに接続されている。
【0027】
キャパシタC14の一端は、インダクタL4の他端に接続されている。インダクタL5は、キャパシタC14に対して並列に接続されている。キャパシタC15の一端は、キャパシタC14の他端に接続されている。キャパシタC15の他端は、グランドに接続されている。
【0028】
第2のバンドパスフィルタ20の第2のハイパスフィルタ22は、インダクタL6と、キャパシタC16,C17,C18,C19とを含んでいる。キャパシタC16の一端は、第2のローパスフィルタ21のキャパシタC14の他端に接続されている。キャパシタC17の一端は、キャパシタC16の他端に接続されている。キャパシタC18の一端は、キャパシタC16の一端に接続されている。キャパシタC18の他端は、キャパシタC17の他端に接続されている。
【0029】
インダクタL6の一端は、キャパシタC16とキャパシタC17の接続点に接続されている。インダクタL6の他端は、グランドに接続されている。キャパシタC19は、インダクタL6に対して並列に接続されている。
【0030】
第2のバンドパスフィルタ20のローパスフィルタ23は、インダクタL7,L8と、キャパシタC20,C21,C22,C23とを含んでいる。キャパシタC20の一端は、第2のハイパスフィルタ22のキャパシタC17の他端に接続されている。インダクタL7は、キャパシタC20に対して並列に接続されている。キャパシタC21の一端は、キャパシタC20の一端に接続されている。キャパシタC21の他端は、グランドに接続されている。
【0031】
インダクタL8の一端は、キャパシタC20の他端に接続されている。インダクタL8の他端は、第2の入出力ポート3に接続されている。キャパシタC22は、インダクタL8に対して並列に接続されている。キャパシタC23の一端は、インダクタL8の一端に接続されている。キャパシタC23の他端は、グランドに接続されている。
【0032】
図2に示した例では、第1のハイパスフィルタ11とハイパスフィルタ13は、第1のローパスフィルタ12を中心として、互いに対称な回路構成を有している。すなわち、第1のバンドパスフィルタ10では、第1のハイパスフィルタ11に含まれるキャパシタとハイパスフィルタ13に含まれるキャパシタの、回路図上での配置が、第1のローパスフィルタ12を中心として互いに対称となり、第1のハイパスフィルタ11に含まれるインダクタとハイパスフィルタ13に含まれるインダクタの、回路図上での配置が、第1のローパスフィルタ12を中心として互いに対称となっている。図2に示した例では、キャパシタC1,C9の回路図上での配置は、互いに対称となっている。
【0033】
同様に、キャパシタC2,C8の回路図上での配置は、互いに対称となっている。また、キャパシタC3,C10の回路図上での配置は、互いに対称となっている。また、インダクタL1,L3の回路図上での配置は、互いに対称となっている。また、キャパシタC4,C11の回路図上での配置は、互いに対称となっている。
【0034】
また、図2に示した例では、第2のローパスフィルタ21とローパスフィルタ23は、第2のハイパスフィルタ22を中心として、互いに対称な回路構成を有している。すなわち、第2のバンドパスフィルタ20では、第2のローパスフィルタ21に含まれるキャパシタとローパスフィルタ23に含まれるキャパシタの、回路図上での配置が、第2のハイパスフィルタ22を中心として互いに対称となり、第2のローパスフィルタ21に含まれるインダクタとローパスフィルタ23に含まれるインダクタの、回路図上での配置が、第2のハイパスフィルタ22を中心として互いに対称となっている。図2に示した例では、インダクタL4,L8の回路図上での配置は、互いに対称となっている。
【0035】
同様に、キャパシタC12,C22の回路図上での配置は、互いに対称となっている。また、キャパシタC13,C23の回路図上での配置は、互いに対称となっている。また、キャパシタC14,C20の回路図上での配置は、互いに対称となっている。また、インダクタL5,L7の回路図上での配置は、互いに対称となっている。また、キャパシタC15,C21の回路図上での配置は、互いに対称となっている。
【0036】
次に、本実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタ1の特性の一例について説明する。図3は、本実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタ1の通過減衰特性の一例を示す特性図である。図4は、本実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタ1の反射減衰特性の一例を示す特性図である。図3および図4において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。
【0037】
図3に示したように、バンドエリミネーションフィルタ1では、第1のバンドパスフィルタ10と第2のバンドパスフィルタ20の一方によって、低域側の通過帯域が形成され、他方によって高域側の通過帯域が形成される。そして、低域側の通過帯域と高域側の通過帯域の間に、その帯域内の信号が選択的に減衰される阻止帯域が形成される。
【0038】
次に、本実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタ1の作用および効果について説明する。本実施の形態に係るバンドエリミネーションフィルタ1は、第1の入出力ポート2と第2の入出力ポート3との間に並列に設けられた第1のバンドパスフィルタ10および第2のバンドパスフィルタ20を備えている。第1のバンドパスフィルタ10は、第1の入出力ポート2に最も近い第1のハイパスフィルタ11を含んでいる。第2のバンドパスフィルタ20は、第1の入出力ポート2に最も近い第2のローパスフィルタ21を含んでいる。本実施の形態では特に、第1のハイパスフィルタ11と第2のローパスフィルタ21は、それぞれ、第1の入出力ポート2に直接接続されている。
【0039】
バンドエリミネーションフィルタ1では、第1の入出力ポート2から入力された信号の、第1のバンドパスフィルタ10と第2のバンドパスフィルタ20への分配は、インピーダス整合によって行われる。すなわち、バンドエリミネーションフィルタ1では、より低い周波数の信号は第2のバンドパスフィルタ20に分配され、より高い周波数の信号は第1のバンドパスフィルタ10に分配される。従って、本実施の形態では、第1の入出力ポート2と第1および第2のバンドパスフィルタ10,20との間に、電力分配器を設ける必要はない。これにより、本実施の形態によれば、バンドエリミネーションフィルタ1を小型化することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、第1のバンドパスフィルタ10は、第2の入出力ポート3に最も近いハイパスフィルタ13を含み、第2のバンドパスフィルタ20は、第2の入出力ポート3に最も近いローパスフィルタ23を含んでいる。本実施の形態では特に、ハイパスフィルタ13とローパスフィルタ23は、それぞれ、第2の入出力ポート3に直接接続されている。バンドエリミネーションフィルタ1では、第2の入出力ポート3から入力された信号の、第1のバンドパスフィルタ10と第2のバンドパスフィルタ20への分配は、インピーダス整合によって行われる。すなわち、バンドエリミネーションフィルタ1では、より低い周波数の信号は第2のバンドパスフィルタ20に分配され、より高い周波数の信号は第1のバンドパスフィルタ10に分配される。従って、本実施の形態では、第2の入出力ポート3と第1および第2のバンドパスフィルタ10,20との間に、電力分配器を設ける必要はない。これにより、本実施の形態によれば、バンドエリミネーションフィルタ1を小型化することができる。
【0041】
また、本実施の形態では、第1のバンドパスフィルタ10と第2のバンドパスフィルタ20の各々は、複数のインダクタと複数のキャパシタを用いて構成されたLCフィルタである。そのため、例えば、バンドエリミネーションフィルタ1を、小型化に適したLTCC多層基板を用いて構成することができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、請求の範囲の要件を満たす限り、第1および第2のバンドパスフィルタ10,20の各々の構成は、実施の形態に示した例に限られず、任意である。
【符号の説明】
【0043】
1…バンドエリミネーションフィルタ、2…第1の入出力ポート、3…第2の入出力ポート、10…第1のバンドパスフィルタ、11…第1のハイパスフィルタ、12…第1のローパスフィルタ、13…ハイパスフィルタ、20…第2のバンドパスフィルタ、21…第2のローパスフィルタ、22…第2のハイパスフィルタ、23…ローパスフィルタ。
図1
図2
図3
図4