(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】設備のメンテナンスを行うロボット
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241030BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20241030BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20241030BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20241030BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20241030BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20241030BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241030BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20241030BHJP
【FI】
G08G1/00 D
B64C39/02
B64C27/08
B64D47/08
G08G1/00 X
G08G5/00 A
G01C21/34
G16Y10/40
G16Y40/35
(21)【出願番号】P 2021072085
(22)【出願日】2021-04-21
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 偉
(72)【発明者】
【氏名】矢野 浩仁
(72)【発明者】
【氏名】若宮 崇
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-514173(JP,A)
【文献】特開2019-059452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0044000(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
B64C 39/02
B64C 27/08
B64D 47/08
G16Y 10/40
G16Y 40/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備のメンテナンスを行うロボットであって、
1以上の演算装置と、
1以上の記憶装置と、を含み、
前記ロボットは、メンテナンスを行う1以上のドローンと、
前記1以上のドローンのバックアップ部品と、を搬送し、
前記1以上の記憶装置は、
1以上のメンテナンスタスクを指示するタスクスケジュールと、
前記1以上のドローンそれぞれの構成情報と、を格納し、
前記タスクスケジュールは、メンテナンスターゲット位置及びメンテナンス内容を示し、
前記1以上の演算装置は、
前記1以上のドローンにおける第1ドローンを、第1メンテナンスタスクの第1ターゲットに向けて飛行させ、
前記第1ドローンの測定結果に基づき決定される前記第1ドローンと前記第1ターゲットとの間の距離と、前記構成情報が示す前記第1ドローンのメンテナンス範囲と、に基づいて、前記第1ドローンが前記第1ターゲットのメンテナンスを実行可能か判定し、
前記第1ドローンが前記第1ターゲットのメンテナンスを実行不可能であると判定すると、前記第1ドローンを、前記バックアップ部品を使用してカスタマイズする、ロボット。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットであって、
前記1以上の演算装置は、
環境条件に基づき前記ロボットのメンテナンス可能範囲を決定し、
前記ロボットのメンテナンス可能範囲が、前記タスクスケジュールが前記ロボットに指定する第2タスクのターゲットまでの距離より小さい場合、前記第2タスクを前記1以上のドローンから選択したドローンに割り当てる、ロボット。
【請求項3】
請求項1に記載のロボットであって、
前記1以上の演算装置は、
サイズが既知の物体の第1画像を、前記ロボットの第1センサによって取得し、
前記第1画像に基づいて前記物体のサイズを推定し、
前記物体の推定サイズと前記既知のサイズとの間の差に基づき、前記第1センサの検査可能範囲を決定し、
前記検査可能範囲が、前記タスクスケジュールが前記ロボットに指定する第3タスクのターゲットまでの距離より小さい場合、前記第3タスクを前記1以上のドローンから選択したドローンに割り当てる、ロボット。
【請求項4】
請求項3に記載のロボットであって、
前記物体は、飛行しているドローンであり、
前記構成情報は、前記飛行しているドローンの既知のサイズを示し、
前記1以上の演算装置は、前記飛行しているドローンの推定サイズと前記構成情報が示す前記既知のサイズとの間の差、及び、現在の環境条件に基づいて、前記第1センサの検査可能範囲を決定する、ロボット。
【請求項5】
請求項1に記載のロボットであって、
前記1以上の演算装置は、
サイズが既知の物体の第2画像を、前記第1ドローンの第2センサによって取得し、
前記第2画像に基づいて前記物体のサイズを推定し、
前記物体の推定サイズと前記既知のサイズとの間の差に基づき、前記第2センサの検査可能範囲を決定し、
前記第2センサの検査可能範囲が、前記第1ドローンと前記第1ターゲットとの間の前記距離より小さい場合、前記第1ターゲットの検査が不可能であると判定し、前記第2センサを別のセンサに交換すると決定する、ロボット。
【請求項6】
請求項1に記載のロボットであって、
前記1以上の演算装置は、
前記第1ターゲットまでの飛行経路に存在する障害の、前記第1ドローンが撮像した第3画像を取得し、
前記第3画像に基づき前記障害を通過するトンネルのサイズを決定し、
前記トンネルのサイズに基づき、前記第1ドローンの形状をカスタマイズする、ロボット。
【請求項7】
請求項5に記載のロボットであって、
前記1以上の演算装置は、
前記別のセンサによる検査可能範囲と、前記第1ターゲットまでの飛行経路に存在し、前記第1ドローンが通過不可能な障害により決まる、前記第1ドローンから前記第1ターゲットまでの距離と、を比較し、
前記別のセンサによる検査可能範囲が前記第1ドローンから前記第1ターゲットまでの距離より小さい場合、前記第1ターゲットまでの飛行経路に存在する障害の、前記第1ドローンが撮像した第3画像を取得し、
前記第3画像に基づき前記障害を通過するトンネルのサイズを決定し、
前記トンネルのサイズに基づき、前記第1ドローンの形状をカスタマイズする、ロボット。
【請求項8】
請求項1に記載のロボットと、
前記タスクスケジュールを生成するスケジューリングシステムと、を含み、
前記スケジューリングシステムは、
複数のメンテナンスタスクの優先度と、前記ロボットに対して指定された全タスク完了時刻とに基づき、前記複数のメンテナンスタスクから、前記1以上のタスクを選択して前記タスクスケジュールに含める、メンテナンスシステム。
【請求項9】
制御システムが、設備のメンテナンスシステムを制御する方法であって、
前記メンテナンスシステムは、
メンテナンスを行う1以上のドローンと、
前記1以上のドローン及び前記1以上のドローンのバックアップ部品を搬送し、メンテナンスを行うロボットと、を含み、
前記制御システムは、
1以上のメンテナンスタスクを指示するタスクスケジュールと、
前記1以上のドローンそれぞれの構成情報と、を保持し、
前記タスクスケジュールは、メンテナンスターゲット位置及びメンテナンス内容を示し、
前記方法は、前記制御システムが、
前記1以上のドローンにおける第1ドローンを、第1メンテナンスタスクの第1ターゲットに向けて飛行させ、
前記第1ドローンの測定結果に基づき決定される前記第1ドローンと前記第1ターゲットとの間の距離と、前記構成情報が示す前記第1ドローンのメンテナンス範囲と、に基づいて、前記第1ドローンが前記第1ターゲットのメンテナンスを実行可能か判定し、
前記第1ドローンが前記第1ターゲットのメンテナンスを実行不可能であると判定すると、前記第1ドローンを、前記バックアップ部品を使用してカスタマイズする、ことを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備の無人メンテナンスを行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電力、鉄道、上下水道、都市交通といった社会インフラのシステムは、複数のサブシステムで構成される。例えば、鉄道ステムは、電車、線路、電力、橋、信号及びトンネル等、100以上のサブシステムで構成されている。多くのサブシステムは、離れた位置に配置される。
【0003】
こうした社会インフラシステムには、継続的な業務改善が求められる。例えば、都市交通のメンテナンスに着目すると、設備の老朽化に伴ってメンテナンス費用が増加傾向にある一方で、人口減少による輸送収入の減少が予想されている。そのため、輸送の安全性を損なうことなくメンテナンス費用を低減する施策立案が求められている。
【0004】
何千kmもの線路と、それに付随する電気機器は、頻繁に検査及び修理を必要とする。遠く離れた場所で、線路やそれに付随する設備の検査及び修理を要求時までに完了するために、十分な人数を派遣することは困難である。例えば、地震や悪天候の後、鉄道事業者は、レール、信号、電力、橋、トンネルなど、あらゆるものを注意深くチェックしなければならない。検査及び修理に長い時間がかかると、多くの電車に遅延が発生する。
【0005】
近年、ロボットを用いた鉄道の検査及び修理に関する研究や試みが行われている。線路上を走るロボット(鉄道ロボット)は、線路や架線の検査を迅速に行うことができる。しかし、鉄道ロボットに搭載されているセンサのスキャン範囲に制限があるため、多くの重要な物がターゲットリストから除外され得る。例えば、ケーブルやトンネルのように高すぎる位置にあるものや、鉄塔や鉄道橋のように遠すぎる物が除外され得る。
【0006】
一つの解決策(例えば特許文献3参照)として、ドローンを使用した鉄道検査がある。ドローンは、ロボットの範囲を超えたターゲットが存在する場所まで飛行することができる。ドローンを使用するメンテナンスの典型的な問題点は、インフラのターゲットが複雑であることであり、それらは、異なる場所にあり、異なる形状を持ち、異なるサイズを持ち、異なる規制を受け、周囲に異なる障害物が存在し、そして最も重要な要因の一つとして、天候のように異なる環境にある。そのため、1種類のドローンを使用して、全てのターゲットに対応することは困難である。
【0007】
他の解決策(例えば特許文献1参照)は、ロボットと3Dプリンタを組み合わせて、遠隔地でメンテナンスを行う。システムの一部が故障したとき、新しい機器を発注するよりも、機器の一部を印刷するほうが早い。他の方法(例えば特許文献2参照)は、荷物の配送などの異なるタスクのために、トラックを使用して複数のドローンを運ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第10518411号
【文献】米国特許出願公開第2018/0233053号
【文献】特開2020-006916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
インフラシステムの監視データの多くは、数百又は数千のセンサからのデータを含む。また、高次元であることに加えて、監視データは、数百万行のデータを含む。さらに、インフラシステムは、異常がほとんど発生しない高いロバスト性を持っており、例えば、異常発生率は10万分の1以下という程度である。そのため、異常の検知や予測が非常に困難である。
【0010】
特許文献1の手法は、ロボットシステムを使って、資産の健全性を監視及び管理する。ロボットに搭載された3Dプリンタが、故障を修理する。しかし、特許文献1は、ロボットの範囲外にあるターゲットをメンテナンスするする方法に言及していない。
【0011】
特許文献2の手法は、複数のタスクをスケジューリングして、複数のドローンを使用して実行する最終的な順序を得る。タスク管理及び飛行経路設定のため、複数ドローンのトラフィックを制御する。しかし、特許文献2は、環境条件の異なるドローンの射程外にあるタスクを処理する方法に言及していない。
【0012】
特許文献3は、鉄道事業者が土地を所有する線路が敷設された範囲を利用して飛行経路を作成することで、容易かつ安全に無人飛行体を飛行させることができる管理装置を開示する。ドローンを管理された場所で飛行させることは、安全かつ簡単である。しかし、特許文献3は、ドローンの範囲外にある様々なターゲットに対してドローンを飛行させる方法に言及していない。
【0013】
多くの場合、インフラシステムのメンテナンスのための無人化技術の開発において、いくつかの障害が存在する。(1)鉄道ロボットによる検査及び修理の範囲が限定されており、例えば、鉄道橋の小さな亀裂を鉄道ロボットのカメラで鮮明に撮影することは困難である。(2)現場の環境に応じて鉄道ロボットが検査すべき対象を判定することが困難であり、例えば、霧のために、ターゲットとしての架線を、カメラで鮮明に撮影することができない場合がある。
【0014】
従って、定期的又は災害時のメンテナンスにおいて、メンテナンス作業時間を短縮することができる無人化技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、設備のメンテナンスを行うロボットであって、1以上の演算装置と、1以上の記憶装置と、を含む。前記ロボットは、メンテナンスを行う1以上のドローンと、前記1以上のドローンのバックアップ部品と、を搬送する。前記1以上の記憶装置は、1以上のメンテナンスタスクを指示するタスクスケジュールと、前記1以上のドローンそれぞれの構成情報と、を格納する。前記タスクスケジュールは、メンテナンスターゲット位置及びメンテナンス内容を示す。前記1以上の演算装置は、前記1以上のドローンにおける第1ドローンを、第1メンテナンスタスクの第1ターゲットに向けて飛行させ、前記第1ドローンの測定結果に基づき決定される前記第1ドローンと前記第1ターゲットとの間の距離と、前記構成情報が示す前記第1ドローンのメンテナンス範囲と、に基づいて、前記第1ドローンが前記第1ターゲットのメンテナンスを実行可能か判定し、前記第1ドローンが前記第1ターゲットのメンテナンスを実行不可能であると判定すると、前記第1ドローンを、前記バックアップ部品を使用してカスタマイズする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、メンテナンス作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】鉄道メンテナンスシステムの全体構成例を模式的に示す。
【
図2】メンテナンス管理システムのハードウェア構成例を示す。
【
図3】鉄道ロボットに実装されている、鉄道ロボットシステムの論理構成例を示す。
【
図4C】ドローン現在構成管理情報の構成例を示す。
【
図5】鉄道ロボット及びドローンを使用したメンテナンスのフローを示す。
【
図6】ドローンと鉄道ロボットとが、互いに他方を対象として有効検査範囲を測定することで、検査範囲のキャリブレーションを行う例を示す。
【
図7】RTmin>d2maxのとき、メンテナンスターゲットが鉄道ロボットの検査可能範囲を超えている例を示している。
【
図8】DTmin>dmaxのとき、メンテナンスターゲットがドローンの検査可能範囲を超えている例を示す。
【
図9】ドローンのセンサカスタマイズの条件を示す。
【
図10】ドローンの形状(サイズを含む)のカスタマイズの条件を示す。
【
図11】鉄道ロボット及びドローンのメンテナンススケジュールの例を示す。
【
図12】メンテナンスタスクのためにドローンを運ぶ、鉄道ロボットの動作のフローチャートを示す。
【
図13】時間制限のあるメンテナンスタスクのスケジューリングを示す。
【
図14】鉄道ロボットがドローンを運んでいる様子を示す概念図である。
【
図15】鉄道ロボットによるドローンのカスタマイズの例を模式的に示す。
【
図16】鉄道ロボットのメンテナンス範囲内外のターゲットの例を示す。
【
図17】ドローンが、鉄道ロボットのメンテナンス範囲外にあるターゲットのメンテンナスを実行する様子を示す。
【
図18】環境が霧又は雨に変化し、鉄道ロボット7のメンテナンス範囲が環境変化に応じて変化した例を示す。
【
図19】環境が霧又は雨に変化し、それに応じて、ドローンのメンテナンス範囲が変化した例を示す。
【
図20】環境が霧又は雨に変わったことにより、ドローンをカスタマイズする例を示す。
【
図21】環境が霧又は雨に変わったことにより、カスタマイズされたドローンによりメンテナンスを行う例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示されている。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。
【0019】
以下においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施例に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0020】
システムは、物理的な計算機システム(一つ以上の物理的な計算機)でもよいし、クラウド基盤のような計算リソース群(複数の計算リソース)上に構築されたシステムでもよい。計算機システムあるいは計算リソース群は、1以上のインタフェース装置(例えば通信装置及び入出力装置を含む)、1以上の記憶装置(例えば、メモリ(主記憶)及び補助記憶装置を含む)、及び、1以上のプロセッサを含む。
【0021】
プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/またはインタフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有するシステムが行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記憶媒体(例えば計算機読み取り可能な非一過性記憶媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0022】
以下において、設備のメンテナンスシステムの本明細書に係る実施形態を説明する。以下において、社会インフラ設備の例である、鉄道設備のメンテンナスが説明される。本明細書の実施形態の技術は、鉄道設備システムと異なる他の設備、例えば、上下水道設備や都市交通設備といった他の社会インフラ設備及び社会インフラ設備と異なる設備のメンテナンスに適用することができる。
【0023】
図1は、鉄道メンテナンスシステムの全体構成例を模式的に示す。鉄道メンテナンスシステムは、メンテナンス管理システム1、鉄道ロボット7及びドローン(無人航空機)9を含む。鉄道スケジュール管理システム10及び気象システム12は、鉄道メンテナンスシステムの外部システムである。
【0024】
メンテナンス管理システム1は、鉄道インフラの無人メンテナンスのための鉄道ロボット7及びドローン9を管理する。鉄道ロボット7は、レールに沿って走行して、1又は複数のドローン9をメンテナンスのための1以上の目的地まで運ぶことができる。ドローン9は、鉄道ロボット7の荷台に設置される。
【0025】
鉄道ロボット7は、例えば、車輪やキャタピラ等の可動な移動装置によって、レール上又はレールに沿って走行することができる。
図1においては、複数の鉄道ロボットのうちの一つの鉄道ロボットが、例として、符号7で指示されている。また、複数のドローンのうちの一つのドローンが、例として、符号9で指示されている。
【0026】
メンテナンス管理システム1は、メンテナンスタスク管理システム2、動的メンテナンススケジューリングシステム3、鉄道ロボット及びドローン管理データベース4、及びリアルタイム検査システム5を含む。
【0027】
メンテナンスタスク管理システム2は、全てのメンテナンスターゲットのメンテナンスタスクを管理する。ターゲットのメンテナンスは、ターゲットの検査及び修理の一つ又は双方を実行する。動的メンテナンススケジューリングシステム3は、メンテナンスタスクの動的スケジューリングを行う。動的メンテナンススケジューリングシステム3は、鉄道スケジュール管理システム10から鉄道スケジュールの情報を取得し、その情報に基づいて鉄道ロボット7及びドローン9による自動メンテナンスのタスクスケジュールを決定する。
【0028】
鉄道ロボット及びドローン管理データベース4は、全ての鉄道ロボットを管理する鉄道ロボット管理情報、及び、全てのドローンを管理するドローン管理情報を格納する。鉄道ロボット管理情報は、例えば、鉄道ロボットの識別子、鉄道ロボットの待機位置、鉄道ロボットの搭載センサ、鉄道ロボットによる修理可能距離、鉄道ロボットの形状(サイズを含む)、鉄道ロボットに搭載されたドローンの識別子、鉄道ロボットに搭載されたドローンの交換部品の識別子を含む。
【0029】
ドローン管理情報は、例えば、ドローンの識別子、ドローンの搭載センサ、ドローンによる修理可能距離、ドローンの形状(サイズを含む)、並びに、ドローンに搭載可能な部品それぞれの識別子及び仕様を含む。ドローン管理情報は、さらに、部品の異なる組み合わせからなるドローンそれぞれの形状(サイズを含む)の情報を格納している。
【0030】
後述するように、鉄道ロボット7のそれぞれは、少なくとも自装置に関連する鉄道ロボット管理情報、及び自装置が運搬及び制御するドローンのドローン管理情報を、鉄道ロボット及びドローン管理データベース4から取得し、その管理情報データベースにおいて保持する。
【0031】
リアルタイム検査システム5は、鉄道ロボット7とドローン9による検査及び修理の結果を確認する。メンテナンス管理システム1及び鉄道ロボット7は、気象システム12から気象情報を取得する。提供可能な気象情報は、メンテナンスを行う地域の現在の気象情報に加え、当該地域の気象予報を含む。後述するように、気象情報は、動的メンテナンススケジューリングシステム3によるタスクスケジューリング及び、鉄道ロボット7によるメンテナンスの実行において参照される。
【0032】
図1に示すドローン9以外の構成要素は、ネットワーク6を介して、互いに通信を行うことができる。鉄道ロボット007は、それぞれ、管理するドローン9それぞれと、ネットワーク8を介して通信することができる。
図1においては、一つの鉄道ロボット7及びそれが管理及び制御する1以上のドローン9との間のネットワークが、例として符号8で指示されている。
【0033】
図2は、本明細書の一実施形態にかかるメンテナンス管理システム1のハードウェア構成例を示す。メンテナンス管理システム1は、例えば、計算機構成を有することができる。メンテナンス管理システム1は、演算性能を有する演算装置であるプロセッサ101と、プロセッサ101が実行するプログラム及びデータを格納する揮発性一時記憶領域を与える主記憶装置であるDRAM102と、を含む。さらに、メンテナンス管理システム1は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどを利用した永続的な情報記憶領域を与える補助記憶装置104を含む。DRAM102、補助記憶装置104及びこれらの組み合わせは、それぞれ記憶装置である。
【0034】
メンテナンス管理システム1は、さらに、他の装置とデータ通信をおこなう通信装置103と、ユーザからの操作を受け付ける入力装置105と、各プロセスでの出力結果をユーザに提示するモニタ106(出力装置の例)と、を含む。これら構成要素は、バスを介して通信可能である。
図2に示す構成要素のそれぞれの数は任意であり、一部の構成要素、例えば、入力装置105及びモニタ106は省略されてもよい。
【0035】
図1を参照して説明した構成要素、具体的には、メンテナンスタスク管理システム2、動的メンテナンススケジューリングシステム3、及びリアルタイム検査システム5は、例えば、命令コードを含むプログラムを実行するプロセッサ101により実装することができる。または、これらは異なる計算機に実装することができる。
【0036】
機能部を実現するためのプログラムは、例えば補助記憶装置104に格納される。プロセッサ101が実行するプログラム及び処理対象のデータは、補助記憶装置104からDRAM102にロードされる。システム内の機能の少なくとも一部は、プログラムに従って動作する汎用プロセッサに代えて、特定の機能向けの回路により実装されてもよい。
【0037】
メンテナンス管理システムは、
図2に示すような物理的な計算機システム(一つ以上の物理的な計算機)でもよいし、クラウド基盤のような計算リソース群(複数の計算リソース)上に構築されたシステムでもよい。計算機システムあるいは計算リソース群は、1以上のインタフェース装置(例えば通信装置及び入出力装置を含む)、1以上の記憶装置(例えば、メモリ(主記憶)及び補助記憶装置を含む)、及び、1以上のプロセッサを含む。
【0038】
プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/またはインタフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを含むシステムが行う処理としてもよい。
【0039】
プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記憶媒体(例えば計算機読み取り可能な非一過性記憶媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0040】
後述する鉄道ロボット7の機能部は、上述のように、1以上の記憶装置に格納されているプログラムに従って動作する1以上のプロセッサによって実現してもよい。
【0041】
図3は、鉄道ロボット7に実装されている、鉄道ロボットシステム201の論理構成例を示す。鉄道ロボットシステム201は、鉄道ロボット管理システム202及びドローン管理システム203を含む。鉄道ロボット管理システム202は、データベース204、通信システム205、ロボットアーム制御システム206、及び監視分析システム207を含む。
【0042】
データベース204は、鉄道ロボット7やドローン9からのデータを格納する。通信システム205は、他の装置と通信するためのシステムである。ロボットアーム制御システム206は、鉄道ロボット7のロボットアームを制御して、メンテナンス作業を行う。監視分析システムS07は、リアルタイムでの検査及び検査結果の分析を行う。
【0043】
ドローン管理システム203は、ドローン情報管理システム208、メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209、ドローンカスタマイズシステム210、及びドローン制御システム211を含む。
【0044】
ドローン情報管理システム208は、搭載されているドローンに関する情報を格納及び管理する。ドローンに関する情報は、ドローン部品及びドローン完成品の情報を含む。メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、鉄道ロボット7及びドローン9のセンサをキャリブレーションする。ドローンカスタマイズシステム210は、ドローン9のカスタマイズを実行する。ドローン制御システム211は、ドローン9の飛行及びドローン9によるメンテナンスを制御する。
【0045】
鉄道ロボットシステム201は、例えば、
図2を参照して説明したように、命令コードを含むプログラムを実行する1以上のプロセッサ及び1以上の記憶装置を含むシステムであってもよい。鉄道ロボットシステム201の機能は、該当するプログラムに従って動作する1以上のプロセッサにより実現することができ、情報は1以上の記憶装置に格納され得る。鉄道ロボットシステム201の少なくとも一部の機能は、汎用プロセッサと異なる演算装置により実現され得る。
【0046】
図4A-4Cは、ドローン情報管理システム208が格納する情報の例を示す。
図4Aは、ドローン部品管理情報250の構成例を示す。ドローン部品管理情報250は、鉄道ロボット7に搭載されているドローン9の部品を管理する。
図4Aの例において、ドローン部品管理情報250は、対象251、部品ID252、重量253、サイズ254、解像度/範囲255、及び使用状態256を示す。
【0047】
対象251は、ドローン部品の動作対象を示す。部品ID252は、ドローン部品のIDを示す。重要253は、ドローン部品の重量を示す。サイズ254は、ドローン部品の所定部分のサイズを示す。解像度/範囲255は、例えば、センサ(カメラを含む)の解像度や、アームの動作範囲を示す。使用状態256は、ドローン部品が現在ドローンで使用されているかバックアップ部品であるかを示す。
【0048】
図4Bはドローン構成管理情報260の構成例を示す。ドローン構成管理情報260は、ドローンの構成部品の組み合わせそれぞれの構成情報を示す。
図4Bの例において、ドローン構成管理情報260は、部品組み合わせID261、組み合わせ部品262、総重量263及びサイズ264を示す。部品組み合わせID261は、ドローンを構成する部品組み合わせのIDを示す。組み合わせ部品262は、組み合わせにおけるドローン部品それぞれのIDを示す。総重量263はドローンの総重量を示し、サイズ264は、ドローンのサイズ、本例において3方向の長さを示す。
【0049】
図4Cはドローン現在構成管理情報270の構成例を示す。ドローン現在構成管理情報270は、鉄道ロボット7に搭載されているドローン9の現在の構成を示す。
図4Cの例において、ドローン現在構成管理情報270は、ドローンID271、組み合わせ部品272、総重量273及びサイズ274を示す。ドローンID271は、ドローンのIDを示す。組み合わせ部品272は、ドローンを構成するドローン部品それぞれのIDを示す。総重量273はドローンの総重量を示し、サイズ274は、ドローンのサイズ、本例において3方向の長さを示す。
【0050】
図5は、鉄道ロボット及びドローンを使用したメンテナンスのフローを示す。ステップS101において、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、メンテナンスタスク管理システム2から、実行すべきメンテナンスタスクを取得する。実行するメンテナンスタスクそれぞれの情報は、例えば、補助記憶装置104に格納され、メンテナンスタスク管理システム2により管理される。
【0051】
ステップS102において、各鉄道ロボットのメンテナンススケジュールを決定する。メンテナンススケジュールは、各ターゲットの位置、各ターゲットの形状、各ターゲットへの推定到着時刻、各ターゲットの推定メンテナンス時間(メンテナンスに必要な時間)、各タスクの実行主体(鉄道ロボット又はドローン)、及び全メンテナンスタスクの推定終了時刻、等を示すことができる。
【0052】
動的メンテナンススケジューリングシステム3は、鉄道ロボット及びドローン管理データベース4、鉄道スケジュール管理システム10及び気象システム12から取得した情報に基づき、各鉄道ロボットのメンテナンススケジュールを決定する。各メンテナンスタスクは、ターゲットの検査と、既に欠陥が分かっている場合はその修理を指示することができる。
【0053】
例えば、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、各鉄道ロボットの全タスクが、鉄道スケジュール管理システム10から取得した鉄道サービス開始時刻前に完了するように、メンテナンススケジュールを決定する。動的メンテナンススケジューリングシステム3は、各タスクの実行予定時刻の天気予報に基づき、タスクの実行主体を決定してもよい。例えば、雨や霧により視界が悪いことが予測される場合、鉄道ロボットから遠くのターゲットのメンテナンスは、ドローンに割り当てられてもよい。
【0054】
次に、ステップS103において、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、各鉄道ロボットに、メンテナンススケジュール(タスク)を設定する。鉄道ロボット7は、搭載しているドローンと共に、設定されたメンテナンススケジュールに従って、ターゲットに向かって出発する。
【0055】
ステップS104において、鉄道ロボット7はターゲット位置に到達し、メンテナンス範囲のキャリブレーション(メンテナンス範囲のチェック)を開始する。これにより、適切にメンテナンスを行うことができる。以下においては、メンテナンス範囲の一つである検査範囲のキャリブレーションを実行する例を説明する。修理範囲のキャリブレーションも同様の方法で行うことができる。例えば、タスクが検査のみを指示している場合、検査範囲のキャリブレーションが実行され、検査及び修理が指示されている場合、検査範囲及び修理範囲のキャリブレーションが実行される。
【0056】
以下の説明において、実行するタスクの主体として、鉄道ロボット7が指定されているとする。ドローン9がメンテナンスを行うことを指定されている場合、以下のステップS105及び106は省略される。なお、メンテナンスを実行する主体が指定されていなくてもよい。その場合、本フローに従ってターゲットのメンテナンス(タスク)が実行される。
【0057】
ステップS105において、メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、RTmin>d2maxであるか判定する。d2maxは、最小許容検査解像度での鉄道ロボット7からターゲットまでの最大距離(最大検査範囲)を示す。d2maxの算出方法の詳細は後述する。RTminは、鉄道ロボット7からターゲットまで近づくことができる最小距離である。メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、タスク情報が示すターゲットの位置と線路上の自装置の位置に基づき、RTminを算出できる。
【0058】
RTminがd2max以下である場合(S105:NO)、ステップS106において、鉄道ロボット7の監視分析システム207が、ターゲットの検査(メンテナンス)を実行する。分析結果は、通信システム205を介して、メンテナンス管理システム1のリアルタイム検査システム5に送信される。これにより、一つのターゲットのメンテナンスが終了する。
【0059】
RTminがd2maxより大きい場合(S105:YES)、メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、ドローンを使用してターゲットのメンテナンスを実行することを決定し、メンテナンスを実行するドローンを選択する。これにより、ターゲットのメンテナンスが可能となる。選択されるドローンは任意の一つ又は特定のドローンが予め設定されたルールに従って選択され得る。
【0060】
ステップS107において、ドローン制御システム211は、選択されたドローン9に、ターゲット位置及飛行経路を設定する。ドローン9は、設定された情報に従って、ターゲットに向かって離陸する。ドローン制御システム211は、離陸前のドローン9に、その動作を指示する制御情報を設定することができ、また、飛行中のドローン9と通信を行って、ドローン9が取得した周囲の情報を取得し、また、ドローン9の動作を指示することができる。
【0061】
ステップS108において、メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、DTmin>dmaxであるか判定する。dmaxは、最小許容検査解像度でのドローン9からターゲットまでの最大距離(最大検査範囲)を示す。dmaxの算出方法の詳細は後述する。DTminは、ドローン9かターゲットまでの近づくことができる最小距離である。ドローン9がターゲットに向かって飛行し、ターゲットに最も使づくことができる距離を測定する。
【0062】
DTminがdmax以下である場合(S108:NO)、ステップS114において、ドローン9が、ターゲットの検査(メンテナンス)を実行する。具体的には、鉄道ロボット7の監視分析システム207が、ドローン9からターゲットの画像を受信し、その受信画像を分析する。分析結果は、通信システム205を介して、メンテナンス管理システム1のリアルタイム検査システム5に送信される。
【0063】
DTminがdmaxより大きい場合(S108:YES)、ステップS109において、ドローンカスタマイズシステム210は、ドローン9のセンサを適切なセンサでカスタマイズする。ドローン9は、ドローン制御システム211からの指示に応じて、鉄道ロボット7に戻る。ドローンカスタマイズシステム210は、カスタマイズ前のセンサの解像度(性能)、DTmin及びdmaxに基づき、新たなセンサが必要とする解像度を推定し、その推定解像度を満たす又は最も高性能のセンサをバックアップ部品から選択して、付け替える。
【0064】
ステップS110において、メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、カスタマイズされたドローン9について、検査範囲キャリブレーションを開始し、dmax2を計算する。dmax2は、カスタマイズされたドローン9の最小許容検査解像度での、当該ドローン9からターゲットまでの最大距離(最大検査範囲)を示す。dmax2の計算方法の詳細は後述する。
【0065】
ステップS111において、メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、DTmin>dmax2を判定する。DTminがdmax2以下である場合(S111:NO)、ステップS113において、カスタマイズされたドローン9が、ターゲットの検査(メンテナンス)を実行する。具体的には、鉄道ロボット7の監視分析システム207が、ドローン9からターゲットの画像を受信し、その受信画像を分析する。分析結果は、通信システム205を介して、メンテナンス管理システム1のリアルタイム検査システム5に送信される。
【0066】
DTminがdmax2より大きい場合(S111:YES)、ステップS112において、ドローンカスタマイズシステム210は、ドローンを新たな形状(サイズを含む)にカスタマイズする。ドローン9は、ドローン制御システム211からの指示に応じて、鉄道ロボット7に戻る。カスタマイズされるドローンのサイズ(X、Y、Z)が次の条件を満たすようにカスタマイズされる。
X<(l+2*l´)、Y<(m+2*m´)、Z<(n+2*n´)。
【0067】
ここで、X、Y、Zは、互いに垂直な方向(X方向、Y方向、Z方向と呼ぶ)におけるドローンの最大寸法である。l、m、nは、ドローンのセンサから検出された通過トンネル(
図9参照)の、X方向、Y方向、Z方向の最小寸法である。l´、m´、n´は、l、m、nに対する予め設定された検出誤差である。
【0068】
ドローンカスタマイズシステム210は、ドローン構成管理情報260を参照することで、部品組み合わせそれぞれのサイズを知ることができる。ドローンカスタマイズシステム210は、ドローン現在構成管理情報270を参照してドローン9の現在構成を知り、さらに、ドローン部品管理情報250を参照して、交換可能な部品を知ることができる。
【0069】
ドローンカスタマイズシステム210は、上記サイズ条件が満たされるように、交換する部品を選択する。このとき、dmax2が変化しないように交換部品が選択される。サイズ条件を満たすためにdmax2を小さくすることが必要な場合、例えば、サイズ条件が満たされる範囲で最も高性能のセンサが選択される。なお、形状カスタマイズをセンサカスタマイズの前に行ってもよい。形状カスタマイズ後のDTminがdmax以下である場合、センサの交換は不要である。
【0070】
ステップS113において、カスタマイズされたドローン9が、ターゲットの検査(メンテナンス)を実行する。これにより、一つのターゲットのメンテナンスは終了する。上記例は、メンテナンス配置として、最大検査範囲が参照されている。メンテナンスが修理を含む場合、修理可能範囲と鉄道ロボット7又はドローン9がターゲットに近づくことができる最小距離とが比較され、メンテナンス主体及びカスタマイズが決定される。修理範囲は装置に装着されているアームなどの終了ツールの動作範囲から決定され得る。検査結果が欠陥の修理の必要性を示す場合、鉄道ロボット7は、自装置又はドローンにより欠陥を修理してもよい。
【0071】
以下において、検査範囲キャリブレーション方法の例を説明する。
図6は、ドローン9と鉄道ロボット7とが、互いに他方を対象として有効検査範囲を測定することで、検査範囲のキャリブレーションを行う例を示す。
【0072】
温度、湿度、風向、風速、気圧、視程などのリアルタイムの環境条件(気象条件)のパラメータに加え、鉄道ロボット7の固定サイズ(a,b,c)及び移動速度v2、ドローン9の固定サイズ(x,y,z)、移動速度v1及び重量M、ドローン9と鉄道ロボット7との間の動的な距離d及び方向Rdのパラメータが存在する。これらパラメータは、鉄道ロボット7の最大検査範囲d2maxについてのキャリブレーション、及び、ドローン9の最大検査範囲dmax(又はdmax2)についてのキャリブレーションに適用される。
【0073】
なお、環境条件は、気象システム12から取得することができる。他の例において、鉄道ロボット7は、現在の環境条件を観測する装置を実装されていてもよい。鉄道ロボット7のサイズは予め設定されており、ドローン9のサイズ及び重量は、ドローン現在構成管理情報270から取得できる。鉄道ロボット7及びドローン9の動的距離及び方向は、それぞれの現在位置から計算することができる。鉄道ロボット7及びドローン9の速度は、それぞれに実装された速度計が計測可能である。
【0074】
まず、鉄道ロボット7の検査範囲のキャリブレーションを説明する。これは、現在の環境条件において、鉄道ロボット7に実装されたセンサについて、検査可能な最長距離を算出する。鉄道ロボット7によるドローン9のサイズ(x,y,z)の検出誤差は、以下のように与えられる。f1、f2、f3は、予め定義されている関数である。これらは共通でもよい。
検出誤差x´=d*f1(v2,v1,T,H,Wd,v3,P,s)
検出誤差y´=d*f2(v2,v1,T,H,Wd,v3,P,s)
検出誤差z´=d*f3(v2,v1,T,H,Wd,v3,P,s)
さらに、相対誤差f(E2)は、以下の式で与えられる。
f(E2)=d*(f1+f2+f3)/(x+y+z)
【0075】
ここで、適切な検査を行うためには、相対誤差f(E2)<L2の条件が満たされることが必要とされる。L2は予め設定されている値である。この条件から、鉄道ロボット7の最大検査範囲d2maxは、以下のように計算できる。
d2max=L2*(x+y+z)/(f1+f2+f3)
【0076】
次に、ドローン9検査範囲のキャリブレーションを説明する。これは、現在の環境条件において、ドローン9に実装されたセンサについて、検査可能な最長距離を算出する。ドローン9による鉄道ロボット7のサイズ(a,b,c)の検出誤差は、以下のように与えられる。f4、f5、f6は、予め定義されている関数である。これらは共通でもよい。
検出誤差a´=d*f4(v2,v1,T,H,Wd,v3,P,s,M)
検出誤差b´=d*f5(v2,v1,T,H,Wd,v3,P,s,M)
検出誤差c´=d*f6(v2,v1,T,H,Wd,v3,P,s,M)
さらに、相対誤差f(E)は、以下の式で与えられる。
f(E)=d*(f1+f2+f3)/(a+b+c)
【0077】
ここで、適切な検査を行うためには、相対誤差f(E)<Lの条件が満たされることが必要とされる。Lは予め設定されている値である。この条件から、ドローン9の最大検査範囲dmaxは、以下のように計算できる。
dmax=L*(a+b+c)/(f4+f5+f6)
【0078】
上述のように、サイズが既知の物体の計測により、最大検査範囲をより正確に算出することができる。また、鉄道ロボット7及びドローン9を使用することで、任意の場所においてそれぞれの最大検査範囲を正確に算出することができる。他の例において、実際の計測を行うことなく、最大検査範囲を推定してもよい。例えば、環境条件とセンサ性能に基づき、最大検査範囲を推定することができる。なお、ドローン及びロボットのそれぞれのキャリブレーションのために関数の変数は、上記の変数に限定されず、これらの一部を省略する又はこれらと異なる変数が追加されてもよい。
【0079】
図7は、RTmin>d2maxのとき、メンテナンスターゲット303が鉄道ロボット7の検査可能範囲を超えている例を示している。RTminは鉄道ロボット7からターゲット303までの近づくことができる最小距離、d2maxは許容最小検査解像度でのターゲット303までの最大距離である。この例では、鉄道ロボット7に搭載されているセンサでは、検査が不可能である。鉄道ロボット7は、ドローン9を使用してターゲット303の検査を行う。
【0080】
図8は、DTmin>dmaxのとき、メンテナンスターゲット303がドローン9の検査可能範囲を超えている例を示す。DTminはドローン9からターゲット303までの近づくことができる最小距離、dmaxは許容可能な検査解像度の最小値でのターゲット303までの最大距離である。この例では、ドローン9に搭載されているセンサでは、十分な検査を行うことができない。鉄道ロボット7は、上述のように、ドローン9を、適切なセンサで、または適切な形状(サイズを含む)に、カスタマイズする。
【0081】
図9は、ドローン9のセンサカスタマイズの条件を示す。メンテナンスターゲット303の前に、障害物305が存在する。ここで、dmax>DTminが成立している場合、センサをカスタマイズすることなく、ドローン9がターゲット303を撮影(検査)することができる。dmaxはドローン9のセンサの許容最小検査解像度でのターゲット303までの最大距離であり、DTminは、ドローン9のターゲット303に近づける最小距離である。
【0082】
一方、dmax≦DTminの場合、鉄道ロボット7は、検査を終了するために、ドローン9のセンサをカスタマイズする必要がある。鉄道ロボット7はカスタマイズのために、ドローン9のバックアップのセンサを検索する。検索するセンサの新たな制限値dmax2は、現場の条件f(v1,v2,T,H,Wd,v3,P,s,M)の下で、dmax2>DTminを満たすものである。
【0083】
図10は、ドローン9の形状(サイズを含む)のカスタマイズの条件を示す。障害物305が、ターゲット303の前に存在する。ターゲット303までの通過トンネルのサイズは、(l,m,n)である。トンネルサイズ(l,m,n)は、ドローン9のセンサによって検出された値である。ドローンサイズ(x,y,z)が、x<(l+2*l´)、y<(m+2*m´)、z<(n+2*n´)を満たす場合、ドローン9は、カスタマイズすることなく障害物305のトンネルを通過することができる。なお、x、y、zは、l、m、nそれぞれの方向でのドローン9の最大サイズでる。l´、m´、n´は、l、m、nに対する予め設定されたセンサの検出誤差である。
【0084】
上記条件を満たさない場合、障害物305を通過するために、ドローン9の形状をカスタマイズすることが必要である。鉄道ロボット7は、次の条件を満たす、形状カスタマイズのためのバックアップのドローン部品を検索する。新たなドローンサイズ(X、Y、Z)が、以下の条件を満たすことが求められる。
X<(l+2*l´)、Y<(m+2*m´)、Z<(n+2*n´)
【0085】
図11は、鉄道ロボット7及びドローン9のメンテナンススケジュールの例を示す。動的メンテナンススケジューリングシステム3は、鉄道ロボット7が移動を開始する前に、鉄道ロボット7及びそれに搭載されたドローン9へタスクを割り振る。タスクの割り振りは、(1)鉄道ロボット7からターゲットまでの距離、(2)リアルタイムの気象条件及び気象予測、(3)鉄道ロボット7のセンサの最大有効検査範囲、(4)鉄道ロボット7に実装されたロボットアームの最大作業範囲、(4)異なる機能及び形状を有するドローン、に基づく。
【0086】
動的メンテナンススケジューリングシステム3は、全てのメンテナンスタスク351を分離して、分離タスク352それぞれを、鉄道ロボット7又はドローン9の割り当て先353に割り当てる。動的メンテナンススケジューリングシステム3は、各タスクを、そのタスクのターゲットがメンテナンス範囲に含まれる、鉄道ロボット7又はドローン9に割り当てる。例えば、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、鉄道ロボット7のメンテナンス可能範囲にあるターゲットのタスクを鉄道ロボット7に割り当て、それ以外のタスクをドローン9に割り当てる。
【0087】
各タスクの実行は、所要時間354を必要とする。所要時間354は、ターゲット位置、メンテナンス実行主体の性能、環境条件予測、及びメンテナンス内容に基づき算出することができる。各鉄道ロボット7(搭載ドローン9を含む)が全タスクを終了するために必要とする時間が、推定総時間361である。
【0088】
動的メンテナンススケジューリングシステム3は、各鉄道ロボットのタスク開始から推定総時間361の経過後の時刻が、鉄道スケジュール管理システム10が指定する完了時刻を超えないように、タスクスケジュールを決定する。
【0089】
実際のタスク実行において、上述のように、タスク実行主体を鉄道ロボット7からドローン9に変更することや、ドローン9のカスタマイズが必要となることがある。このような処理に必要な時間が、追加タスク時間362である。鉄道ロボット7が全タスクを完了するための必要と推定される時間は、推定総時間361と追加タスク時間362の予測値との和である総時間363である。
【0090】
鉄道スケジュール管理システム10は、追加タスクに発生を考慮し、全ての鉄道ロボット7において最も遅いタスク終了予想時刻が、指定完了時刻から予め設定された所定時間だけ前となるように、タスクスケジュールを決定してよい。所定時間は、追加タスク時間362の予測値に基づき設定される。
【0091】
追加タスク時間362は、(1)当初指定されたメンテナンス(検査及び修理)の間の新たなタスク、(2)実行主体の性能及び現在の環境条件、に基づく。鉄道ロボット7のメンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、追加タスクが必要となる場合、推定される追加タスク時間を算出する。追加タスクの種類に応じて、追加タスク時間を算出する方法が予め設定されている。算出方法は、上述のような変数を含む。
【0092】
例えば、ドローンの各部品の取り外し及び取り付けの時間が予め設定されている。また、キャリブレーションの時間の算出は、ドローンの飛行速度と環境条件に基づき算出され得る。メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、追加タスクが必要な場合に、追加タスク時間362の推定値を算出する。
【0093】
メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、タスクスケジュールを参照して、残タスクの実行に必要な時間と追加タスク時間それぞれの推定値の和を計算する。メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、この値と現在時刻から残りのタスクの完了時刻を推定し、指定されている全タスク完了時刻と比較して、追加タスク及び追加タスクを必要とする指定タスクの実行の有無を判定してもよい。他の例において、指定タスクに優先度が付与されていてもよい。メンテナンス範囲キャリブレーションシステム209は、全タスク指定時刻までに、最終的な目的位置に到着することができるように、優先度が低い指定タスクをスキップしてもよい。
【0094】
図12は、メンテナンスタスクのためにドローン9を運ぶ、鉄道ロボット7の動作のフローチャートを示す。ステップS151において、鉄道ロボット7及びドローン9のメンテナンスタスクを取得する。ステップ502において、ドローン9によるメンテナンスタスクのためにドローンの離陸地点及び着陸地点を設定する。これらは、タスクスケジュールにおいて指定されている。
【0095】
ステップS153において、鉄道ロボット7のメンテナンスタスクが存在するか確認する。存在する場合(503:YES)、ステップS155において、ドローン9の離陸地点までの鉄道ロボット7のスピードを、検査用スピードに設定する。鉄道ロボット7のメンテナンスタスクが存在しない場合(S153:NO)、ステップS154において、ドローン9の離陸地点までの鉄道ロボット7のスピードを、最大スピードに設定する。
【0096】
ステップS156において、鉄道ロボット7がドローン9の離陸地点に移動し、ドローンが離陸する。ステップS157において、ドローン9の着陸地点が離陸地点と同一か確認する。それらが異なる場合(S157:NO)、ステップS158において、鉄道ロボット7は、新たな着陸地点に移動する。離陸地点と着陸地点が同一である場合(S157:YES)、ステップS159において、鉄道ロボット7は、ドローン9が着陸するまで同一地点において待ち、その後、次の地点に移動する。次の地点は、例えば、鉄道ロボット7の基準待機位置であるベースである。
【0097】
図13は、時間制限のあるメンテナンスタスクのスケジューリングを示す。ステップS201において、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、メンテナンスタスク管理システム2からメンテナンスタスクと時間制限を取得する。ステップS202において、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、必要な鉄道ロボット及びドローンの数を算出し、現在の天候条件に基づいてタスクのスケジュールを設定し、ステップS203において、メンテナンスタスクを終了するために必要な時間を算出する。
【0098】
例えば、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、実行すべきタスクを、ターゲット位置に応じて複数のグループに分割する。例えば、ターゲット位置が所定範囲内のタスクを一つのグループに含める。動的メンテナンススケジューリングシステム3は、各タスクグループに対して、1又は複数の鉄道ロボット7を割り当てる。各グループ内の異なるタスクは、異なるドローン又は鉄道ロボットが同時に実行可能であるとして、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、全タスク完了時間が最も短くなるように、鉄道ロボット7それぞれのドローン搭載数に基づき、鉄道ロボットにタスクを割り当てる。このとき、例えば、天候条件におうじてタスクを実行する主体が選択される。
【0099】
ステップS204において、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、ステップS203で算出された必要時間が、ステップS201で取得した時間制限を超えているかを確認する。必要時間が時間制限を超えていない場合(S204:NO)、ステップS206において、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、鉄道ロボットとドローンのスケジューリングを終了する。必要時間が時間制限を超えている場合(S204:NO)、ステップS205において、全てのメンテナンスタスクが、最も高い優先度であるか(同一の優先度であるか)確認する。
【0100】
いずれかのタスクの優先度が低い場合(S205:NO)、ステップS207において、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、最も優先度が低いタスクを除去し、ステップS208において除去したタスクを待機リストに加える。これにより、優先度が高いタスクを優先して、指定時間内にメンテナンスを完了できる。ステップS202に戻り、残っているタスクの推定時間を算出及び確認する(S203)。全てのタスクが同一の優先度を有している場合(S205:YES)、ステップS209において、動的メンテナンススケジューリングシステム3は、遅延の予想値と共に、メンテナンスタスク管理システム2に遅延が生ずるであろうことを通知する。
【0101】
図14は、鉄道ロボット7がドローン9を運んでいる様子を示す概念図である。鉄道ロボット7は、線路803上を車輪で走行し、実装されているセンサ及びロボットアームを使用してメンテナンスを実行する。ドローン9は、鉄道ロボット7のメンテナンス範囲を超える位置にあるターゲット805のメンテナンスのために飛行する。
【0102】
図15は、鉄道ロボットによるドローンのカスタマイズの例を模式的に示す。鉄道ロボット7は、ドローン9Aのセンサをカスタマイズすることができ、例えば、可視光カメラを赤外線カメラに変更して、新たなドローン9Bを構成することができる。また、鉄道ロボット7は、ドローン9Aの形状(サイズを含む)をカスタマイズすることができ、例えば、障害物を通過するためにドローン9Aを小型化して、新たなドローン9Cを構成することができる。
【0103】
図16は、鉄道ロボットのメンテナンス範囲内外のターゲットの例を示す。
図16の例において、ターゲット1とターゲット2は、鉄道ロボット7のメンテナンス範囲外にあり、他のターゲット3、ターゲット4,ターゲット5は、鉄道ロボット7のメンテナンス範囲内にある。鉄道ロボット7は、ターゲット3、ターゲット4,ターゲット5を、直接にメンテナンスする。
【0104】
図17は、ドローン9が、鉄道ロボット7のメンテナンス範囲外にあるターゲット1、ターゲット2のメンテンナスを実行する様子を示す。
【0105】
図18は、環境が霧又は雨に変化し、鉄道ロボット7のメンテナンス範囲が環境変化に応じて変化した例を示す。
図16及び17に示す例と比較して、ターゲット5は鉄道ロボット7のメンテナンス範囲外にある。他のターゲットは、
図16及び17の例と同様である。
【0106】
図19は、環境が霧又は雨に変化し、それに応じて、ドローン9のメンテナンス範囲が変化した例を示す。ターゲット1、ターゲット5は、ドローン9のメンテナンス範囲内になるが、ターゲット2は、ドローン9のメンテナンス範囲外にある。ターゲット3、ターゲット4は、鉄道ロボット7のメンテナンス範囲内にある。
【0107】
図20は、環境が霧又は雨に変わったことにより、ドローンをカスタマイズする例を示す。鉄道ロボット7は、ターゲット2のために、一つのドローン9Dを異なる構成のドローン9Eにカスタマイズする。
【0108】
図21は、環境が霧又は雨に変わったことにより、カスタマイズされたドローンによりメンテナンスを行う例を示す。ターゲット1、ターゲット5は、カスタマイズしていないドローン9のメンテナンス範囲内にある。ターゲット2は、カスタマイズしたドローン9Eのメンテナンス範囲内にある。ターゲット3、ターゲット4は、鉄道ロボット7のメンテナンス範囲にある。
【0109】
具体的なユースケース例を説明する。鉄道橋に、6つの小さな亀裂が存在している。これら亀裂は、列車の運行にとって安全であると推定されていた。しかし、地震の後、鉄道オペレータは、列車を走らせる前に鉄道橋を検査する必要がある。しかし、この鉄道橋は遠隔地にあるため、列車の運行に間に合うように、十分な人員と設備を送って検査を行うことは困難である。
【0110】
5つの亀裂は、鉄道ロボットのメンテナンス範囲外にある。4台のドローンを搭載した1台の鉄道ロボットが、鉄道橋に到着する。鉄道ロボットは、新たなキャリブレートされた検査範囲に基づき4つのドローンをセットアップして、4つの亀裂を検査する。4つの亀裂が検査され、3番目の亀裂が0.2cm広く、2cm長くなっていることが分かった。しかし、予想していなかった霧の発生により、いずれのドローンも5番目の亀裂について明確な測定を行うことができなかった。
【0111】
そこで、鉄道ロボットは、一つのドローンをより小さいサイズにカスタマイズし、穴を通過して亀裂により近づくことができるようにする。亀裂が5cm広く、45cm長くなっていることが判明する。検査結果は、列車をこの鉄道橋で走らせることは危険であることを示す。
【0112】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0113】
また、上記の各構成・機能・処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード等の記録媒体に置くことができる。
【0114】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 メンテナンス管理システム
2 メンテナンスタスク管理システム
3 動的メンテナンススケジューリングシステム
4 鉄道ロボット及びドローン管理データベース
5 リアルタイム検査システム
7 鉄道ロボット
9 ドローン
101 プロセッサ
102 DRAM
104 補助記憶装置
201 鉄道ロボットシステム
202 鉄道ロボット管理システム
203 ドローン管理システム
202 鉄道ロボット管理システム
204 データベース
205 通信システム
206 ロボットアーム制御システム
207 監視分析システム
208 ドローン情報管理システム
209 メンテナンス範囲キャリブレーションシステム
210 ドローンカスタマイズシステム
211 ドローン制御システム