(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】陰圧を使用する軟組織処置
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20241030BHJP
A61F 13/02 20240101ALI20241030BHJP
【FI】
A61M27/00
A61F13/02 A
A61F13/02 310H
A61F13/02 310D
(21)【出願番号】P 2021504262
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(86)【国際出願番号】 US2019044227
(87)【国際公開番号】W WO2020028423
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-29
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ハル,コリン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】プラット,ベンジャミン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カザラ,リチャード マーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ジャハニアン,シャーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ,ラリー タブ
(72)【発明者】
【氏名】レバイン,ジョナサン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,テイラー エイチ.
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0276288(US,A1)
【文献】特開2014-193395(JP,A)
【文献】特表平09-503923(JP,A)
【文献】特表2012-504460(JP,A)
【文献】特表2002-541978(JP,A)
【文献】特開2016-154929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位の皮下リンパ管網を介した循環を促進するための装置であって、
第1の剛性を有するマニホールド層であって、前記組織部位の近位にあるように構成されているマニホールド層と、
前記マニホールド層に隣接する支持層であって、1つ以上の開口を含み、前記第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有する支持層と、
前記支持層に隣接するカバーであって、前記支持層が前記マニホールド層と前記カバーの間にあるカバーと、
前記マニホールド層及び前記支持層のうちの少なくとも一方を、流体導管に流体結合するように構成されている流体インタフェースと、を備え、
前記マニホールド層及び前記支持層のうちの1つ以上に陰圧が印加されると、前記マニホールド層は、前記支持層に向かって外向きに圧潰し、前記組織部位の減圧およびリンパ流の増大をもたらし、
前記マニホールド層及び前記支持層のうちの1つ以上に陰圧が印加されると、前記開口の少なくとも一部分は、前記カバーを介して視認可能となる
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記マニホールド層及び前記支持層のうちの1つ以上に陰圧が印加されると、前記カバーの少なくとも一部分は、前記1つ以上の開口内に引き込まれ、1つ以上の陥凹部を形成するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の剛性は、前記第1の剛性よりも少なくとも1.3倍大きい、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記マニホールド層は、第1の厚さを有し、
前記支持層は、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記マニホールド層は、ポリマー発泡体、ポリウレタン発泡体、連続気泡発泡体、網状発泡体又は網状ポリウレタン発泡体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の剛性は、800重量グラム~1000重量グラムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の剛性は、800重量グラム~3000重量グラムである、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記支持層は、独立気泡発泡体、ネオプレン発泡体、編布、織布、ポリ塩化ビニルフィルム、複合フィルム、不織布又はゴムを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
組織部位の皮下リンパ管網を介した循環を促進するための装置であって、
800重量グラム~1000重量グラムの第1の剛性を有するマニホールド層であって、組織部位の近位に位置決めされるように構成されているマニホールド層と、
前記マニホールド層に結合されている支持層であって、1つ以上の開口を含み、1200重量グラム~1500重量グラムの第2の剛性を有する支持層と、
前記支持層に結合されているカバーであって、前記支持層が前記マニホールド層と前記カバーの間にあるカバーと、を備え、
前記マニホールド層に陰圧が印加されると、前記マニホールド層は、前記支持層に向かって圧潰し、前記組織部位の表皮及び下に存在している組織を外向きに引き寄せ、
前記マニホールド層に陰圧が印加されると、前記カバーの少なくとも一部分は、前記1つ以上の開口内に引き込まれ、1つ以上の陥凹部を形成するように構成されている
ことを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記マニホールド層及び前記支持層のうちの少なくとも一方を、流体導管に流体結合するように構成されている流体インタフェースを更に備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記マニホールド層及び前記支持層のうちの1つ以上に陰圧が印加されると、前記開口の少なくとも一部分は、前記カバーを介して視認可能となる、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記マニホールド層は、第1の厚さを有し、
前記支持層は、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、
請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記マニホールド層は、ポリマー発泡体、ポリウレタン発泡体、連続気泡発泡体、網状発泡体又は網状ポリウレタン発泡体を含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記支持層は、独立気泡発泡体、ネオプレン発泡体、編布、織布、ポリ塩化ビニルフィルム、複合フィルム、不織布又はゴムを含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、前記組織部位の周囲に、少なくとも部分的な巻付けを形成するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記支持層とは反対側に、前記マニホールド層に隣接する接合層を更に備える、請求項1~8、15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、前記組織部位の周囲に、少なくとも部分的な巻付けを形成するように構成されている、請求項9~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記支持層とは反対側に、前記マニホールド層に隣接する接合層を更に備える、請求項9~14、17のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、あらゆる目的に関して参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月1日出願の「SOFT-TISSUE TREATMENT WITH NEGATIVE PRESSURE」と題された米国特許仮出願第62/713,353号の出願の利益を、米国特許法第119条(e)の下で主張するものである。
【0002】
本開示は、全般的に、組織処置システムに関し、より詳細には、限定するものではないが、陰圧を使用して組織を処置するための装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
臨床研究及び臨床診療から、組織部位の近位における圧力を低下させることにより、その組織部位における新たな組織の成長を、増強及び加速させることができる点が示されている。この現象の用途は数多くあるが、創傷を処置するために特に有利であることが判明している。外傷であれ、手術であれ、又は別の原因であれ、創傷の病因とは関わりなく、転帰に関しては、創傷の適切なケアが重要である。減圧を使用する創傷又は他の組織の処置は、一般に「陰圧療法」と称される場合もあるが、また、例えば「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「陰圧閉鎖療法」、及び「局所陰圧法」を含めた、他の名称によっても知られている。陰圧療法は、上皮組織及び皮下組織の移行、血流の改善、及び創傷部位における組織の微小変形などを含めた、いくつもの利益をもたらすことができる。これらの利益は全体として、肉芽組織の発達を促進し、治癒時間を短縮することができる。
【0004】
陰圧療法の臨床的利益は広く知られているが、治療のシステム、構成要素、及びプロセスを改善することにより、ヘルスケア提供者及び患者に利益をもたらすことができる。
【発明の概要】
【0005】
陰圧療法環境において組織を処置するための、新規かつ有用なシステム、装置、及び方法が、添付の特許請求の範囲に記載されている。特許請求される主題を当業者が作製及び使用することを可能にするための、実例的実施形態もまた提供される。
【0006】
一部の例示的実施形態では、組織を処置するためのドレッシングは、脚又は腕などの四肢の周囲に巻付けを形成するように設計されている、カフを含み得る。ドレッシングの一部の実施例は、網状ポリウレタン発泡体に積層されたフェルト状ポリウレタン発泡体を使用して構築することができる。フェルト状発泡体は、外側層を形成し得るものであり、網状発泡体は、コアの患者インタフェースを形成し得る。周方向でより剛性のフェルト状発泡体は、より強固なシェルを有効に形成することができ、このことにより、より軟質のコアは、陰圧下で縮小して、創傷及び周囲組織に対する負荷除去効果をもたらすことが可能となり得る。ドレッシングは、一部の実施例では、コアの上に、有孔シリコーン、布、又は有窓フィルムのうちの1つ以上を更に含み得る。布又は有窓フィルムは、特に切開部位の上で使用される場合には、肉芽形成を抑止することができる。ドレッシングは、裏面粘着式の通気性ポリウレタンフィルムドレープと、陰圧源への空気接続部とを更に有し得る。
【0007】
更には、一部の例示的実施形態では、皮下リンパ管網を介した循環を促進するための装置は、第1マニホールド層と、第1マニホールド層に隣接する第2マニホールド層と、第2マニホールド層に隣接するカバー層とを備え得る。第1マニホールド層は、第1の剛性を有し得るものであり、第2マニホールド層は、第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有し得る。一部の実施形態では、この装置は、第1マニホールド層及び第2マニホールド層のうちの少なくとも一方を、カバー層を介して流体導管に流体結合するように構成されている、流体インタフェースを更に有し得る。流体導管は、陰圧源に結合させることができ、又は、結合されるように構成することもできる。
【0008】
より詳細な例示的実施形態では、第1マニホールド層は、連続気泡発泡体を含み得るか、又は連続気泡発泡体から成るものとすることができ、第2マニホールド層は、フェルト状連続気泡発泡体を含み得るか、又はフェルト状連続気泡発泡体から成るものとすることができる。
【0009】
一部の例示的実施形態では、この装置は、1つ以上の追加層を備え得る。例えば、この装置は、有窓ポリマーフィルムなどの、第1マニホールド層内への組織成長を抑止するように適合されている層を含み得る。更には、又は代替的に、この装置は、有孔シリコーンの層などの、固定化層を備え得る。
【0010】
一部の例示的実施形態では、装置は、マニホールド層と、マニホールド層に結合されているカバー層とを備え得る。マニホールド層は、第1の厚さ及び第1の剛性を有し得るものであり、カバー層は、第1の厚さよりも大きい第2の厚さ、及び第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有し得る。流体インタフェースは、マニホールド層を、カバー層を介して流体導管に流体結合するように構成することができる。一部の実施例では、カバー層は、独立気泡発泡体を含み得る。
【0011】
一部の例示的実施形態では、本開示による装置は、組織部位に近位の軟組織の処置を含めた、陰圧を使用して組織部位を処置するために使用することができる。組織部位は、胸、肩、腕、脚、膝関節、又は足首関節などの、湾曲状の組織部位とすることができる。組織部位は、一部の実施例では、切開部を含み得る。
【0012】
一部の例示的実施形態では、組織部位を処置する方法は、組織部位の上に、第1マニホールド層、第2マニホールド層、及びカバー層を適用するステップと、カバー層を介して、第1マニホールド層及び第2マニホールド層のうちの少なくとも一方に、陰圧源を流体結合するステップと、陰圧源から第2マニホールド層に陰圧を印加するステップとを含み、第1マニホールド層は、第1の厚さ及び第1の剛性を有し、第2マニホールド層は、第1の厚さよりも大きい第2の厚さ、及び第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有する。この処置の方法は、一部の実施例では、皮下リンパ管網を介した循環を促進し得る。
【0013】
一部の例示的実施形態では、皮下リンパ管網を介した循環を促進するための装置は、マニホールド層と、マニホールド層に隣接する支持層とを含み得る。マニホールド層は、第1の剛性を有し得るものであり、支持層は、第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有し得る。流体インタフェースは、マニホールド層及び支持層のうちの少なくとも一方を、流体導管に流体結合するように構成することができる。
【0014】
一部の例示的実施形態では、皮下リンパ管網を介した循環を促進するための装置は、マニホールド層と、マニホールド層に隣接する支持層とを含み得る。マニホールド層は、約800重量グラム~約1000重量グラムの、第1の剛性を有し得る。支持層は、約800重量グラム~約3000重量グラムの、第2の剛性を有し得る。流体インタフェースは、マニホールド層及び支持層のうちの少なくとも一方を、流体導管に流体結合するように構成することができる。
【0015】
別の例示的実施形態では、組織部位を処置する方法は、組織部位の上に、マニホールド層、支持層、及びカバーを適用するステップと、カバー層を介して、マニホールド層及び支持層のうちの少なくとも一方に、陰圧源を流体結合するステップと、陰圧源からマニホールド層に陰圧を印加するステップとを含み、マニホールド層は、第1の厚さ及び第1の剛性を有し、支持層は、第2の厚さ及び第2の剛性を有し、第2の厚さは、第1の厚さよりも小さい。この処置の方法は、一部の実施例では、皮下リンパ管網を介した循環を促進し得る。
【0016】
一部の例示的実施形態では、試験モデルは、第1の端部及び第2の端部を有する本体と、第1の端部から第2の端部まで本体を貫通して延在する構造部材と、第1の端部から第2の端部まで本体を貫通して延在する1つ以上のチャネルとを含み得る。この試験モデルは、皮下リンパ管網を介した循環をシミュレートするために使用することができる。
【0017】
特許請求される主題を作製及び使用する目的、利点、及び好ましい様式は、以下の実例的実施形態の詳細な説明と併せて添付図面を参照することによって、最も良好に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本明細書による陰圧処置を提供することが可能な治療システムの例示的実施形態のブロック図である。
【0019】
【
図2】
図1の治療システムの一部の実施形態に関連し得る、例示的な圧力制御モードの更なる詳細を示すグラフである。
【0020】
【
図3】
図1の治療システムの一部の実施形態における別の例示的な圧力制御モードに関連し得る、更なる詳細を示すグラフである。
【0021】
【
図4】
図1の治療システムの一部の実施形態に関連し得るドレッシングの一実施例の斜視図である。
【0022】
【
図5】
図1の治療システムの一部の実施形態に関連し得るドレッシングの別の例示的構成の斜視図である。
【0023】
【
図6A】付属器官の周囲にカフ又は巻付けを形成するように巻かれた際の、
図5のドレッシングの概略断面図である。
【
図6B】付属器官の周囲にカフ又は巻付けを形成するように巻かれた際の、
図5のドレッシングの概略断面図である。
【0024】
【0025】
【
図8】
図7の試験モデルの本体の一実施例の端面図である。
【0026】
【0027】
【
図10】試験モデルの本体の別の実施例の端面図である。
【0028】
【
図11】
図7の試験モデルを使用した試験の間に取得された測定値の表である。
【0029】
【
図12】
図7の試験モデルを使用した別の試験の間に取得された測定値の表である。
【0030】
【
図13】
図1の治療システムの一部の実施形態に関連し得るドレッシングの別の例示的構成の斜視図である。
【0031】
【
図14A】付属器官の周囲にカフ又は巻付けを形成するように巻かれた際の、
図13のドレッシングの概略断面図である。
【
図14B】付属器官の周囲にカフ又は巻付けを形成するように巻かれた際の、
図13のドレッシングの概略断面図である。
【0032】
【
図15】付属器官の周囲にカフ又は巻付けを形成するように巻かれた際の、
図13のドレッシングの斜視図である。
【0033】
【
図16】
図7の試験モデルを使用して
図13のドレッシングの例示的構成を試験するための試験セットアップの一実施例の概略図である。
【0034】
【
図17】
図16の試験セットアップを使用して
図13のドレッシングの例示的構成を試験する方法を示すフローチャートである。
【0035】
【
図18A】
図16の試験セットアップを使用した
図13のドレッシングの例示的構成の材料特性及び性能データの表である。
【
図18B】
図16の試験セットアップを使用した
図13のドレッシングの例示的構成の材料特性及び性能データの表である。
【0036】
【
図19】
図16の試験セットアップを使用した
図13のドレッシングの例示的構成の性能データの棒グラフである。
【0037】
【
図20】
図16の試験セットアップを使用した
図13のドレッシングの例示的構成の性能データのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
例示的実施形態の以下の説明は、添付の特許請求の範囲に記載されている主題を当業者が作製及び使用することを可能にする情報を提供するものであるが、当該技術分野において既に周知の特定の詳細を省略している場合がある。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定ではなく例示として解釈されるべきである。
【0039】
図1は、本明細書による、組織部位に陰圧療法を提供することが可能な治療システム100の例示的実施形態のブロック図である。
【0040】
用語「組織部位」とは、この文脈では、限定するものではないが、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、真皮組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、若しくは靭帯を含めた、組織上又は組織内部に位置する、創傷、欠損、又は他の処置標的を広範に指す。創傷は、例えば、慢性の、急性の、外傷性の、亜急性の、及び裂開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病潰瘍、圧迫潰瘍、又は静脈不全潰瘍など)、弁状創、及び移植組織を含み得る。用語「組織部位」はまた、必ずしも創傷部又は欠損部ではなく、代わりに、追加的組織の成長を追加又は促進することが望ましいであろう、任意の組織の領域を指す場合もある。例えば、採取して移植することが可能な追加的組織を成長させるために、組織部位に陰圧を印加することができる。
【0041】
治療システム100は、陰圧源105などの、陰圧の発生源又は供給部と、1つ以上の分配構成要素とを含み得る。分配構成要素は、好ましくは着脱可能であり、使い捨て可能、再使用可能、又はリサイクル可能とすることもできる。ドレッシング110などのドレッシング、及び、容器115などの流体容器は、治療システム100の一部の実施例に関連し得る分配構成要素の例である。
図1の実施例に示されるように、ドレッシング110は、組織インタフェース120、カバー125、又は一部の実施形態では双方を含み得るか、若しくはそれらから本質的に成るものとすることができる。
【0042】
流体導管は、分配構成要素の別の実例である。「流体導管」とは、この文脈では、2つの端部間で流体を搬送するように適合されている、1つ以上の管腔又は開放経路を有する、チューブ、パイプ、ホース、導管、若しくは他の構造体を広範に含む。典型的には、チューブは、ある程度の可撓性を有する細長い円筒状の構造体であるが、幾何学的形状及び剛性は多様であり得る。更には、一部の流体導管は、他の構成要素内に成形されるか、又は他の方式で、他の構成要素と一体的に組み合わされる場合もある。分配構成要素はまた、他の構成要素を結合及び分離することを容易にするための、インタフェース又は流体ポートも含むか若しくは構成する場合もある。一部の実施形態では、例えば、ドレッシングインタフェースが、流体導管をドレッシング110に結合することを容易にし得る。例えば、そのようなドレッシングインタフェースは、San Antonio,TexasのKinetic Concepts,Inc.から入手可能な、SENSAT.R.A.C(商標)Padとすることができる。
【0043】
治療システム100はまた、コントローラ130などの、レギュレータ又はコントローラも含み得る。更には、治療システム100は、動作パラメータを測定し、その動作パラメータを示すフィードバック信号をコントローラ130に提供するための、センサを含み得る。例えば、
図1に示されるように、治療システム100は、コントローラ130に接続されている、第1のセンサ135及び第2のセンサ140を含み得る。
【0044】
治療システム100の一部の構成要素は、治療を更に容易にする、センサ、処理ユニット、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示デバイス、又はユーザインタフェースなどの、他の構成要素内に収容するか、若しくはそれらと共に使用することもできる。例えば、一部の実施形態では、陰圧源105を、コントローラ130及び他の構成要素と共に、治療ユニット内に組み込むことができる。
【0045】
一般に、治療システム100の構成要素は、直接又は間接的に結合させることができる。例えば、陰圧源105を、容器115に直接結合することができ、容器115を介して、ドレッシング110に間接的に結合することもできる。結合は、流体結合、機械的結合、熱的結合、電気的結合、若しくは化学的結合(化学結合など)を、又は、文脈によっては、結合の何らかの組み合わせを含み得る。例えば、陰圧源105は、コントローラ130に電気的に結合させることができ、組織部位への流体経路を提供するために、1つ以上の分配構成要素に流体結合させることができる。一部の実施形態では、構成要素はまた、物理的な近接性、単一の構造体に一体化されること、又は同じ材料片から形成されることによって、結合することもできる。
【0046】
陰圧源105などの陰圧供給部は、陰圧の空気のリザーバとすることができ、あるいは、例えば、真空ポンプ、吸引ポンプ、多くのヘルスケア施設で利用可能な壁面吸引ポート、又はマイクロポンプなどの、手動若しくは電動のデバイスとすることもできる。「陰圧」とは、一般に、封止治療環境の外部の局所的環境における周囲圧力などの、局所的周囲圧力よりも低い、圧力を指す。多くの場合、局所的周囲圧力はまた、組織部位が位置している大気圧でもあり得る。あるいは、この圧力は、組織部位における、組織に関連する静水圧よりも、低い場合もある。別途指示のない限り、本明細書で記述される圧力の値は、ゲージ圧である。陰圧の増大への言及は、典型的には、絶対圧力の低下を指し、その一方で、陰圧の減少は、典型的には、絶対圧力の上昇を指す。陰圧源105によって提供される陰圧の量及び性質は、治療要件に応じて変化し得るが、圧力は一般に、-5mmHg(-667Pa)~-500mmHg(-66.7kPa)の、一般に粗い真空(rough vacuum)とも称される、低真空(low vacuum)である。一般的な治療範囲は、-50mmHg(-6.7kPa)~-300mmHg(-39.9kPa)である。
【0047】
容器115は、組織部位から引き出された滲出液及び他の流体を管理するために使用することが可能な、容器、キャニスター、パウチ、又は他の貯留構成要素を表している。多くの環境では、流体の収集、貯留、及び廃棄のためには、剛性の容器が好ましいか若しくは必要とされる場合がある。他の環境では、流体は、剛性の容器に貯留されることなく、適切に廃棄される場合もあり、再使用可能な容器により、陰圧療法に関連する廃棄物及びコストを削減することも可能である。
【0048】
コントローラ130などのコントローラは、陰圧源105などの、治療システム100の1つ以上の構成要素を動作させるようにプログラムされている、マイクロプロセッサ又はコンピュータとすることができる。例えば、一部の実施形態では、コントローラ130は、治療システム100の1つ以上の動作パラメータを直接若しくは間接的に制御するようにプログラムされている、プロセッサコア及びメモリを含む集積回路を一般に備える、マイクロコントローラとすることができる。動作パラメータとしては、例えば、陰圧源105に適用される電力、陰圧源105によって生成される圧力、又は組織インタフェース120に分配される圧力を挙げることができる。コントローラ130はまた、好ましくは、フィードバック信号などの1つ以上の入力信号を受信するように構成されており、それらの入力信号に基づいて1つ以上の動作パラメータを修正するようにプログラムされている。
【0049】
第1のセンサ135及び第2のセンサ140などのセンサは、物理的現象又は物理的特性を検出若しくは測定して、検出又は測定された現象若しくは特性を示す信号を一般に提供するように動作可能な、任意の装置とすることができる。例えば、第1のセンサ135及び第2のセンサ140は、治療システム100の1つ以上の動作パラメータを測定するように構成することができる。一部の実施形態では、第1のセンサ135は、空気経路内の圧力を測定して、その測定値を、測定された圧力を示す信号に変換するように構成されている、トランスデューサとすることができる。一部の実施形態では、例えば、第1のセンサ135は、ピエゾ抵抗型歪みゲージとすることができる。第2のセンサ140は、一部の実施形態では、電圧又は電流などの、陰圧源105の動作パラメータを、任意選択的に測定することができる。好ましくは、第1のセンサ135及び第2のセンサ140からの信号は、コントローラ130への入力信号として好適なものであるが、一部の実施形態では、何らかの信号調整が適切な場合がある。例えば、信号は、コントローラ130によって処理することが可能となる前に、フィルタ処理されるか又は増幅されることを必要とする場合もある。典型的には、信号は電気信号であるが、光信号などの他の形態で表すこともできる。
【0050】
組織インタフェース120は、一般に、組織部位に部分的又は完全に接触するように適合させることができる。組織インタフェース120は、多くの形態を取り得るものであり、実施されている処置のタイプ、あるいは組織部位の性質及びサイズなどの、様々な要因に応じて、多くのサイズ、形状、又は厚さを有し得る。例えば、組織インタフェース120のサイズ及び形状は、深く不規則な形状の組織部位の、輪郭に適合させることができる。組織インタフェース120の表面のうちのいずれか又は全ては、凹凸のプロファイル、粗いプロファイル、又はギザギザのプロファイルを有し得る。
【0051】
一部の実施形態では、組織インタフェース120は、マニホールドを含み得るか、又はマニホールドから本質的に成るものとすることができる。この文脈におけるマニホールドは、圧力下で組織インタフェース120にわたって流体を収集又は分配するための手段を含み得るか、又はそのような手段から本質的に成るものとすることができる。例えば、マニホールドは、供給源から陰圧を受け取り、複数の開口を介して組織インタフェース120にわたって陰圧を分配するように適合させることができ、このことは、組織部位にわたって流体を収集して、供給源に向けて流体を引き込む効果を有し得る。一部の実施形態では、組織部位にわたって流体を送達することを容易にするために、流体経路を逆転させることができ、又は二次流体経路を設けることもできる。
【0052】
一部の例示的実施形態では、マニホールドは、流体の分配又は収集を改善するために相互接続することが可能な、複数の経路を含み得る。一部の例示的実施形態では、マニホールドは、相互接続された流体経路を有する多孔質材料を含み得るか、又はそのような多孔質材料から本質的に成るものとすることができる。相互接続された流体経路(例えば、チャネル)を形成するように適合させることが可能な好適な多孔質材料の例としては、網状発泡体などの連続気泡発泡体を含めた、気泡発泡体;多孔質組織集合体;並びに、細孔、縁部、及び/又は壁部を一般に含む、ガーゼ若しくはフェルトマットなどの、他の多孔質材料を挙げることができる。液体、ゲル、及び他の発泡体もまた、開口及び流体経路を含み得るか、又は含むように硬化させることもできる。一部の実施形態では、マニホールドは、更に、又は代替的に、相互接続された流体経路を形成する突起部を含み得る。例えば、マニホールドは、相互接続された流体経路を画定する表面突起部を設けるように、成形することができる。
【0053】
組織インタフェース120は、疎水性又は親水性のいずれかとすることができる。組織インタフェース120が親水性であり得る実施例では、組織インタフェース120はまた、組織部位に陰圧を分配し続けている間に、組織部位から流体を吸い上げて逃がすこともできる。組織インタフェース120の吸い上げ特性は、毛細管流動機序又は他の吸い上げ機序によって、組織部位から流体を引き抜くことができる。好適であり得る親水性材料の一例は、San Antonio,TexasのKinetic Concepts,Inc.から入手可能なV.A.C.WHITEFOAM(商標)ドレッシングなどの、ポリビニルアルコール連続気泡発泡体である。他の親水性発泡体としては、ポリエーテルから作製されたものを挙げることができる。親水性特性を呈し得る他の発泡体としては、親水性を付与するように処理又はコーティングされている、疎水性発泡体が挙げられる。
【0054】
一部の実施形態では、組織インタフェース120は、生体再吸収性材料から構築することができる。好適な生体再吸収性材料としては、限定するものではないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)とのポリマーブレンドを挙げることができる。ポリマーブレンドはまた、限定するものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、及びカプロラクトンも含み得る。組織インタフェース120は更に、新たな細胞増殖のためのスキャフォールドとして機能し得るものであり、又は、組織インタフェース120と共にスキャフォールド材料を使用して、細胞増殖を促進することもできる。スキャフォールドとは一般に、細胞増殖のためのテンプレートを提供する3次元多孔質構造体などの、細胞の増殖又は組織の形成を強化若しくは促進するために使用される、物質又は構造体である。スキャフォールド材料の実例としては、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラル(coral)ヒドロキシアパタイト、炭酸塩、又は、加工処理された同種移植片材料が挙げられる。
【0055】
一部の実施形態では、カバー125は、細菌に対する障壁、及び物理的外傷からの保護を提供し得る。カバー125はまた、2つの構成要素間、又は、治療環境と局所的外部環境との間などの2つの環境間において、蒸発損失を低減させ、流体封止を提供することが可能な材料から、構築することもできる。カバー125は、例えば、所与の陰圧源に関して、組織部位における陰圧を維持するために適切な封止を提供することが可能な、エラストマーのフィルム若しくは膜を含み得るか、又はそのようなフィルム若しくは膜から成るものとすることができる。カバー125は、一部の用途では、高い水蒸気透過率(moisture-vapor transmission rate、MVTR)を有し得る。例えば、MVTRは、一部の実施形態では、38℃及び相対湿度(RH)10%において、ASTM E96/E96MのUpright Cup Methodによる直立カップ技術を使用して測定された、24時間当たり少なくとも250グラム毎平方メートルであり得る。一部の実施形態では、24時間当たり最大5,000グラム毎平方メートルのMVTRが、有効な通気性及び機械的特性をもたらし得る。
【0056】
一部の例示的実施形態では、カバー125は、水蒸気に対して透過性であるが液体に対しては不透過性である、ポリウレタンフィルムなどのポリマードレープとすることができる。そのようなドレープは、典型的には、25~50マイクロメートルの範囲の厚さを有する。透過性材料に関しては、透過性は一般に、所望の陰圧を維持することが可能であるように、十分に低くするべきである。カバー125は、例えば、以下の材料のうちの1種以上を含み得る:親水性ポリウレタンなどのポリウレタン(PU)、セルロース誘導体、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマーなどのシリコーン、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、エチレン酢酸ビニル(EVA)、コポリエステル、及びポリエーテルブロックポリアミドコポリマー。そのような材料は、例えば、3M Company(Minneapolis Minnesota)から市販のTegaderm(登録商標)ドレープ;Avery Dennison Corporation(Pasadena,California)から市販のポリウレタン(PU)ドレープ;例えばArkema S.A.(Colombes,France)製の、ポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX);並びに、Expopack Advanced Coatings(Wrexham,United Kingdom)から市販のInspire 2301及びInspire 2327ポリウレタンフィルムとして、市販されている。一部の実施形態では、カバー125は、2600g/m2/24時間のMVTR(直立カップ技術)及び約30マイクロメートルの厚さを有する、INSPIRE 2301を含み得る。
【0057】
取付デバイスを使用して、カバー125を、無傷の表皮、ガスケット、又は別のカバーなどの取付表面に取り付けることができる。取付デバイスは、多くの形態を取り得る。例えば、取付デバイスは、組織部位の周囲の表皮にカバー125を接合するように構成されている、医学的に許容可能な感圧接着剤とすることができる。一部の実施形態では、例えば、カバー125の一部又は全てを、約25~65グラム毎平方メートル(g.s.m.)のコーティング重量を有し得る、アクリル接着剤などの接着剤でコーティングすることができる。一部の実施形態では、封止を改善して漏れを低減するために、より厚い接着剤、又は接着剤の組み合わせを適用することができる。取付デバイスの他の例示的実施形態としては、両面テープ、糊、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル、又はオルガノゲルを挙げることができる。
【0058】
操作時に、組織部位内に、組織部位の上に、組織部位上に、又は他の方式で組織部位の近位に、組織インタフェース120を配置することができる。例えば、組織部位が創傷である場合には、組織インタフェース120は、部分的若しくは完全に創傷を塞ぐことができ、又は、創傷の上に配置することもできる。カバー125を組織インタフェース120の上に配置して、組織部位の近傍の取付表面に封止することができる。例えば、カバー125は、組織部位の周辺の無傷の表皮に封止することができる。それゆえ、ドレッシング110は、実質的に外部環境から隔離された、組織部位に近位の封止治療環境を提供することができ、陰圧源105は、封止治療環境における圧力を低下させることができる。
【0059】
封止治療環境内などの、別の構成要素又は場所における圧力を低下させるために陰圧源を使用する流体力学は、数学的に複雑となる恐れがある。しかしながら、陰圧療法に適用可能な流体力学の基本原理は、当業者には一般に周知であり、圧力を低下させるプロセスは、例えば、本明細書では例示的に、陰圧を「送達する」、「分配する」、又は「発生させる」として説明することができる。
【0060】
一般に、滲出液及び他の流体は、流体経路に沿って、より低い圧力に向けて流れる。それゆえ、用語「下流」とは、相対的に、陰圧源により近接しているか又は陽圧源からより遠く離れている、流体経路内の場所を指す。反対に、用語「上流」とは、陰圧源からより遠く離れているか、又は陽圧源により近接している場所を指す。同様に、そのような基準系において、特定の特徴を、流体の「入口」又は「出口」の観点から説明することが、好都合であり得る。この方向付けは、一般に、本明細書における様々な特徴及び構成要素を説明する目的のために想定されている。しかしながら、流体経路はまた、一部の用途では、陰圧源を陽圧源に置き換えることなどによって逆転させることもでき、この説明上の規定は、限定的な規定として解釈されるべきではない。
【0061】
封止治療環境において、組織インタフェース120を介して組織部位にわたって印加される陰圧は、組織部位における巨大歪み及び微小歪みを誘発することができる。陰圧はまた、組織部位から浸出液及び他の流体を除去することもでき、それらを容器115内に収集することができる。
【0062】
一部の実施形態では、コントローラ130は、第1のセンサ135などの1つ以上のセンサから、データを受信及び処理することができる。コントローラ130はまた、組織インタフェース120に送達される圧力を管理するために、治療システム100の1つ以上の構成要素の動作を制御することもできる。一部の実施形態では、コントローラ130は、所望の標的圧力を受信するための入力を含み得るものであり、組織インタフェース120に印加されることになる標的圧力の設定及び入力に関するデータを処理するように、プログラムすることができる。一部の例示的実施形態では、標的圧力は、組織部位における治療に関して所望される標的陰圧として操作者によって設定され、次いで、コントローラ130に入力として提供される、固定圧力値とすることができる。標的圧力は、組織部位を形成している組織のタイプ、(存在する場合には)負傷又は創傷のタイプ、患者の病状、及び主治医の選好に基づいて、組織部位ごとに変化し得る。所望の標的圧力を選択した後、コントローラ130は、その標的圧力に基づいて、陰圧源105を1つ以上の制御モードで動作させることができ、組織インタフェース120における標的圧力を維持するために、1つ以上のセンサからフィードバックを受信することができる。
【0063】
図2は、コントローラ130の一部の実施形態に関連し得る、例示的な制御モードの更なる詳細を示すグラフである。一部の実施形態では、コントローラ130は、陰圧源105が、線205及び線210によって示されるように、処置の持続時間にわたって、又は手動で作動停止されるまで、一定の標的陰圧を提供するように動作される、連続圧力モードを有し得る。更には、又は代替的に、コントローラは、
図2の実施例に示されるように、間欠圧力モードを有し得る。
図2では、x軸は時間を表し、y軸は、陰圧源105によって経時的に生成される陰圧を表す。
図2の実施例では、コントローラ130は、標的圧力と大気圧との間で循環するように、陰圧源105を動作させることができる。例えば、標的圧力は、線205によって示されるように、指定の期間(例えば、5分)にわたって、125mmHgの値に設定することができ、その後、実線215と実線220との間の間隙によって示されるように、指定の期間(例えば、2分)の作動停止が続く。この循環過程は、線220によって示されるように、陰圧源105を作動させることによって繰り返すことができ、このことにより、標的圧力と大気圧との間での方形波のパターンを形成することができる。
【0064】
一部の例示的実施形態では、周囲圧力から標的圧力への陰圧の増大は、瞬間的ではない場合がある。例えば、陰圧源105及びドレッシング110は、破線225によって示されるような、初期立ち上がり時間を有し得る。初期立ち上がり時間は、使用されているドレッシング及び治療機器のタイプに応じて変化し得る。例えば、或る治療システムに関する初期立ち上がり時間は、約20~30mmHg/秒の範囲とすることができ、別の治療システムに関しては、約5~10mmHg/秒の範囲とすることができる。治療システム100が、間欠モードで動作している場合には、実線220によって示されるような繰り返し立ち上がり時間は、破線225によって示されるような初期立ち上がり時間と実質的に等しい値となり得る。
【0065】
図3は、治療システム100の一部の実施形態における別の例示的な圧力制御モードに関連し得る、更なる詳細を示すグラフである。
図3では、x軸は時間を表し、y軸は、陰圧源105によって生成される陰圧を表す。
図3の実施例における標的圧力は、動的圧力モードで、時間と共に変化し得る。例えば、標的圧力は、+25mmHg/分の速度に設定された立ち上がり時間305と、-25mmHg/分に設定された立ち下がり時間310とを有して、50mmHgの陰圧と125mmHgの陰圧との間で変化する、三角波形の形態で変化し得る。治療システム100の他の実施形態では、三角波形は、+30mmHg/分の速度に設定された立ち上がり時間305と、-30mmHg/分に設定された立ち下がり時間310とを有して、25mmHgの陰圧と125mmHgの陰圧との間で変化し得る。
【0066】
一部の実施形態では、コントローラ130は、動的圧力モードにおいて、可変標的圧力を制御又は決定することができ、この可変標的圧力は、所望の陰圧の範囲として、操作者によって規定された入力として設定することが可能な、最大圧力値と最小圧力値との間で変化し得る。可変標的圧力はまた、コントローラ130によって処理及び制御することもでき、コントローラは、三角波形、正弦波形、又は鋸歯状波形などの所定の波形に従って、標的圧力を変化させることができる。一部の実施形態では、波形は、治療に関して所望される所定の陰圧又は時変陰圧として、操作者によって設定することができる。
【0067】
図4は、一部の実施形態に関連し得る更なる詳細を示す、
図1のドレッシング110の一実施例の斜視図である。
図4の実施例に示されるように、組織インタフェース120は、2つ以上の層を含み得る。一部の実施例では、組織インタフェース120は、マニホールドを含むか又はマニホールドから本質的に成る、内側層を含み得る。組織インタフェース120はまた、一部の実施例では、マニホールドを含むか又はマニホールドから本質的に成る、外側層も含み得るものであり、他の実施例では、外側層は、医療等級の独立気泡発泡体を含み得るか、又はそのような独立気泡発泡体から本質的に成るものとすることができる。一部の実施例では、内側層は、外側層と組織部位との間に位置決めされるように構成することができる。一部の実施例では、内側層は、組織部位の近位に存在し得るものであり、外側層は、組織部位の遠位に存在し得る。一部の実施例では、内側層は、組織部位に直接接触している場合がある。
【0068】
図4の実施例では、組織インタフェース120は、一部の実施形態では湾曲状であり得る、第1マニホールド層405及び第2マニホールド層410を含む。一部の実施例では、第1マニホールド層405は、内側層とすることができ、第2マニホールド層410は、外側層とすることができる。一部の実施例では、第1マニホールド層405、第2マニホールド層410、及びカバー125は、第1マニホールド層405とカバー125との間に第2マニホールド層410が介在している、積層関係で配設することができる。一部の実施形態では、カバー125を省略することができ、又は、カバー125は、好適な独立気泡発泡体を含み得る。例えば、組織インタフェース120が、好適な独立気泡発泡体の外側層を有する場合には、カバー125は必要ではない場合がある。一部の実施形態では、第2マニホールド層410を、第1マニホールド層405に結合することができ、カバー125を、第2マニホールド層410に結合することができる。例えば、第2マニホールド層410を、第1マニホールド層405に隣接して配設することができ、カバー125を、第2マニホールド層410に隣接して配設することができる。一部の実施形態では、第2マニホールド層410を、第1マニホールド層405に積層することができ、カバー125を、第2マニホールド層410に積層することができる。
【0069】
一部の実施例では、外側層は、内側層よりも剛性とすることができる。例えば、第2マニホールド層410は、第1マニホールド層405よりも剛性とすることができる。第2マニホールド層410の剛性は、一部の構成では、第1マニホールド層405の剛性よりも約4~約7倍大きくすることができる。一部の実施例では、第2マニホールド層410の剛性は、第1マニホールド層405の剛性よりも約5倍大きくすることができる。一部の実施例では、第1マニホールド層405及び第2マニホールド層410の剛性は、圧縮加重撓み試験を使用して試験することができる。圧縮加重撓み試験を使用して、材料のサンプルを圧縮するために必要とされる力を測定することができる。25%圧縮荷重撓みは、材料のサンプルを25%圧縮するために必要とされる力である。65%圧縮荷重撓みは、材料のサンプルを65%圧縮するために必要とされる力である。一部の実施例では、第1マニホールド層405は、約0.3~0.4ポンド毎平方インチ(25%圧縮荷重撓み)の範囲の剛性を有し得るものであり、第2マニホールド層410は、約1.5~2ポンド毎平方インチ(25%圧縮荷重撓み)の範囲の剛性を有し得る。
【0070】
第1マニホールド層405及び第2マニホールド層410はまた、一部の実施形態では、異なる厚さを有し得る。
図4に示されるように、第2マニホールド層410は、第1マニホールド層405よりも厚くすることができる。例えば、第1マニホールド層405は、第1の厚さT1を有し得るものであり、第2マニホールド層410は、第2の厚さT2を有し得るものであり、T2はT1よりも大きくすることができる。一部の構成では、厚さT1は、約5ミリメートル~約7ミリメートルとすることができ、T2は、約11ミリメートル~約13ミリメートルとすることができる。一部の実施形態では、T2は、T1の約2倍とすることができる。例えば、第1マニホールド層405は、約6ミリメートルの厚さを有し得るものであり、第2マニホールド層410は、約12ミリメートルの厚さを有し得る。
【0071】
一部の実施形態では、第1マニホールド層405は、処方される治療の必要性に応じて変化し得る、孔径及び自由容積若しくは開放空隙を有する、網状発泡体を含み得るか、又はそのような編状発泡体から本質的に成るものとすることができる。例えば、少なくとも90%の自由容積を有する網状発泡体は、多くの治療用途に関して好適であり得るものであり、400~600マイクロメートルの範囲の平均孔径(1インチ当たり40~50個の細孔)を有する発泡体は、一部のタイプの治療に関して特に好適であり得る。第1マニホールド層405の引張強度もまた、処方される治療の必要性に応じて変化し得る。第1マニホールド層405の25%圧縮荷重撓みは、少なくとも0.35ポンド毎平方インチとすることができ、65%圧縮荷重撓みは、少なくとも0.43ポンド毎平方インチとすることができる。一部の実施形態では、第1マニホールド層405の引張強度は、少なくとも10ポンド毎平方インチとすることができる。第1マニホールド層405は、少なくとも2.5ポンド毎平方インチの引裂強度を有し得る。一部の実施形態では、第1マニホールド層405は、ポリエステル又はポリエーテルなどのポリオールと、トルエンジイソシアネートなどのイソシアネートと、アミン及びスズ化合物などの重合調整剤とから構成されている、発泡体とすることができる。一部の実施例では、第1マニホールド層405は、San Antonio,TexasのKinetic Concepts,Inc.から双方とも入手可能な、GRANUFOAM(商標)ドレッシング又はV.A.C.VERAFLO(商標)ドレッシングにおいて見出されるものなどの、網状ポリウレタン発泡体とすることができる。
【0072】
第2マニホールド層410もまた、一部の実施形態では、網状発泡体を含み得るか、又は網状発泡体から本質的に成るものとすることができる。例えば、第2マニホールド層410は、第1マニホールド層405と同じ材料を含み得るか、又は同じ材料から本質的に成るものとすることができ、第2マニホールド層410の剛性を増大させるために、フェルト状にすることができる。
【0073】
一部の実施例では、組織インタフェース120は、切開部位の上で使用される場合には特に有利であり得る、肉芽形成を防止するように適合されている層を更に含み得る。一部の実施例では、この層は、好適な布又は有窓フィルムを含み得る。
図4の実施例では、この層は、開窓420を有するフィルム層415から本質的に成る。フィルム層415は、第1マニホールド層405に隣接して配設することができ、一部の構成では、第1マニホールド層405に結合させることができる。一部の実施形態では、フィルム層415は、第1マニホールド層405の一方の面を実質的に覆うことができる。フィルム層415は、流体の流れを制御若しくは管理するための手段、第1マニホールド層405内への組織成長を低減若しくは防止するための手段、又は双方に関する手段を含み得るか、あるいはそのような手段から本質的に成るものとすることができる。一部の実施形態では、フィルム層415は、液体不透過性のエラストマー材料を含み得るか、又はそのようなエラストマー材料から本質的に成るものとすることができる。例えば、フィルム層415は、ポリウレタンフィルムなどのポリマーフィルムを含み得るか、又はそのようなポリマーフィルムから本質的に成るものとすることができる。一部の実施形態では、フィルム層415は、カバー125と同じ材料を含み得るか、又は同じ材料から本質的に成るものとすることができる。フィルム層415はまた、一部の実施形態では、平滑な表面テクスチャ又は艶消しの表面テクスチャも有し得る。一部の用途に関しては、SPI(プラスチック工業会)規格による等級B3以上の、艶出し仕上げ又は光沢仕上げが特に有利であり得る。一部の実施形態では、表面高さの変動を、許容可能な公差に制限することができる。例えば、フィルム層415の表面は、1センチメートルにわたって高さの変動が0.2ミリメートルに制限されている、実質的に平坦な表面を有し得る。
【0074】
一部の実施形態では、フィルム層415は、疎水性とすることができる。フィルム層415の疎水性は多様であり得るが、一部の実施形態では、少なくとも90度の、水との接触角を有し得る。一部の実施形態では、フィルム層415は、150度以下の、水との接触角を有し得る。例えば、一部の実施形態では、フィルム層415の接触角は、少なくとも90度~約120度の範囲、又は、少なくとも120度~150度の範囲とすることができる。水接触角は、任意の標準装置を使用して測定することができる。手動ゴニオメータを使用して、接触角を視覚的に概算することができるが、とりわけ、接触角測定器は、多くの場合、水平ステージ、シリンジなどの液体滴下器、カメラ、及び、より正確かつ精密に接触角を算出するように設計されているソフトウェアを含む、統合システムを含み得る。そのような統合システムの非限定的な例としては、Portsmouth,VAのFirst Ten Angstroms,Inc.から全てが市販されている、FTÅ125、FTÅ200、FTÅ2000、及びFTÅ4000システム、並びに、Hamburg,GermanyのKruss GmbHから全てが市販されている、DTA25、DTA30、及びDTA100システムを挙げることができる。別途指定のない限り、本明細書における水接触角は、20~25℃及び相対湿度20~50%の空気中、5cm以下の高さから添加された液滴に関する、水平のサンプル表面上の脱イオン蒸留水を使用して測定される。本明細書における接触角は、最高測定値及び最低測定値の双方を破棄した、5~9個の測定値の平均を表す。フィルム層415の疎水性は、液体によりコーティングされるか若しくはプラズマコーティングされるものなどの、シリコーン及びフルオロカーボンなどの他の材料の疎水性コーティングを使用して、更に強化することができる。
【0075】
フィルム層415はまた、第1マニホールド層405を含めた他の層に溶着するためにも好適であり得る。例えば、フィルム層415は、熱、高周波(RF)溶着、又は、超音波溶着などの熱を発生させるための他の方法を使用して、ポリウレタン発泡体に溶着するように適合させることができる。RF溶着は、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、及びアクリレートなどの、より極性の高い材料に関して、特に好適であり得る。ポリエチレンなどの、より極性の低いフィルム材料のRF溶着を容易にするために、犠牲極性インタフェースを使用することができる。
【0076】
フィルム層415の面積密度は、処方される治療又は用途に応じて変化し得る。一部の実施形態では、40グラム毎平方メートル未満の面積密度が好適であり得るものであり、一部の用途に関しては、約20~30グラム毎平方メートルの面積密度が、特に有利であり得る。
【0077】
一部の実施形態では、例えば、フィルム層415は、ポリエチレンフィルムなどの疎水性ポリマーを含み得るか、又はそのようなポリマーから本質的に成るものとすることができる。ポリエチレンの単純かつ不活性な構造は、生体組織及び流体と相互作用するにしても殆ど相互作用しない表面を提供することにより、液体の自由な流れ及び低付着性を促進し得る表面を提供することができ、このことは、多くの用途に関して特に有利であり得る。他の好適なポリマーフィルムとしては、ポリウレタン、アクリル、ポリオレフィン(環状オレフィンコポリマーなど)、ポリアセテート、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、PEBAXブロックコポリマー、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、スチレン系、シリコーン、フルオロポリマー、及びアセテートが挙げられる。20マイクロメートル~100マイクロメートルの厚さが、多くの用途に関して好適であり得る。フィルムは、透明、色付きとすることができ、又は印刷することもできる。ポリエチレンフィルムに積層するために好適な、より極性の高いフィルムとしては、ポリアミド、コポリエステル、アイオノマー、及びアクリルが挙げられる。ポリエチレンと極性フィルムとの接合を補助するために、エチレン酢酸ビニル又は変性ポリウレタンなどの、タイ層を使用することができる。エチルメチルアクリレート(EMA)フィルムもまた、一部の構成に関して、好適な疎水性及び溶着の特性を有し得る。
【0078】
図4の実施例に示されるように、開窓420を、フィルム層415にわたって、均一に又はランダムに分布させることができる。開窓420は、双方向性かつ圧力応答性とすることができる。例えば、開窓420のそれぞれは、一般に、液体の流れを実質的に低減するために通常は無歪みであって、圧力勾配に応答して拡張又は開放することが可能な、弾性の通路を含み得るか、又はそのような通路から本質的に成るものとすることができる。一部の実施形態では、開窓420は、フィルム層415内の穿孔を含み得るか、又はそのような穿孔から本質的に成るものとすることができる。穿孔は、フィルム層415から材料を除去することによって形成することができる。例えば、穿孔は、フィルム層415を貫通して切断することによって形成することができ、このことはまた、一部の実施形態では、穿孔の縁部を変形させることもできる。穿孔にわたって圧力勾配が存在しない場合、これらの通路は、液体の流れを実質的に低減若しくは阻止することが可能な、封止又は流体制限を形成するために、十分に小さいものとなり得る。更には、又は代替的に、開窓420のうちの1つ以上は、液体の流れを実質的に阻止するために無歪みの場合には通常閉鎖され、圧力勾配に応答して開放することが可能な、エラストマー弁とすることができる。フィルム層415内の開窓は、一部の用途に関して好適な弁であり得る。
【0079】
図5は、一部の実施形態に関連し得る更なる詳細を示す、
図1のドレッシング110の別の例示的構成の斜視図である。
図5の実施例に示されるように、組織インタフェース120は、更に、又は代替的に、接合層505を含み得る。一部の実施形態では、接合層505は、第1マニホールド層405の一方の面を実質的に覆うことができる。接合層505は、好適なゲル材料などの、軟質の粘着性材料から形成することができ、実質的に平坦な表面を有し得る。例えば、接合層505は、限定するものではないが、シリコーンゲル、軟質シリコーン、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、ポリウレタンゲル、ポリオレフィンゲル、水素添加スチレンコポリマーゲル、発泡ゲル、接着剤でコーティングされたポリウレタン及びポリオレフィンなどの軟質独立気泡発泡体、ポリウレタン、ポリオレフィン、あるいは水素添加スチレンコポリマーを含み得る。一部の実施形態では、接合層505は、約200マイクロメートル(μm)~約1000マイクロメートル(μm)の厚さを有し得る。一部の実施形態では、接合層505は、約5ショアOO~約80ショアOOの硬さを有し得る。更には、接合層505は、疎水性又は親水性の材料で構成することができる。
【0080】
一部の実施形態では、接合層505は、疎水性被覆材料とすることができる。例えば、接合層505は、例えば、織りメッシュ、不織メッシュ、成形メッシュ、又は押出メッシュなどの、隙間を有する材料を、疎水性材料でコーティングすることによって形成することができる。コーティング用の疎水性材料は、例えば、軟質シリコーンとすることができる。
【0081】
図5の接合層505は、開口510を有する。開口510は、例えば、切断、穿孔によって、又は、局所的なRF若しくは超音波エネルギーの印加によって、あるいは、接合層505内に開口部又は穿孔を形成するための他の好適な技術によって形成することができる。開口510は、均一な分布パターンを有し得るか、又は、接合層505内にランダムに分布させることもできる。開口510は、例えば、円、正方形、星形、楕円形、多角形、スリット、複雑な曲線、直線形状、三角形を含めた、多くの形状を有し得るか、又は、そのような形状の何らかの組み合わせを有し得る。
【0082】
開口510のそれぞれは、均一又は同様の幾何学的特性を有し得る。例えば、一部の実施形態では、開口510のそれぞれは、実質的に同じ直径を有する、円形の開口とすることができる。一部の実施形態では、開口510のそれぞれは、約1ミリメートル~約50ミリメートルの直径を有し得る。他の実施形態では、開口510のそれぞれの直径は、約1ミリメートル~約20ミリメートルとすることができる。他の実施形態では、開口510の幾何学的特性は多様であり得る。例えば、開口510の直径は、接合層505内での開口510の位置に応じて変化し得る。
【0083】
一部の実施例では、接合層505は、フィルム層415と組み合わせて使用することができる。例えば、一部の実施形態では、フィルム層415を、第1マニホールド層405と接合層505との間に配設することができ、開窓420及び開口510のうちの少なくとも一部を、整合させるか又は位置合わせすることができる。
【0084】
一部の実施形態では、組織インタフェース120の1つ以上の層は、同延とすることができる。例えば、第2マニホールド層410は、第1マニホールド層405の縁部と面一で切断することができる。カバー125もまた、組織インタフェース120と同延とすることができ、又は、取付デバイスに取り付けるためのマージンを提供するように、より大きくすることもできる。
【0085】
カバー125、第1マニホールド層405、第2マニホールド層410、フィルム層415、接合層505、又は様々な組み合わせは、適用の前に、又は組織部位若しくは処置の場所において、組み立てることができる。一部の実施形態では、ドレッシング110は、単一の複合ドレッシングとして提供することができる。
【0086】
使用時に、切開部及び隣接する表皮などの、組織部位内に、組織部位の上に、組織部位上に、又は他の方式で組織部位の近位に、組織インタフェース120を配置することができる。フィルム層415、接合層505、又は双方を、第1マニホールド層405と組織部位との間に介在させることができ、このことにより、第1マニホールド層405と組織部位との有害な相互作用を、実質的に低減又は排除することができる。例えば、接合層505を、切開部及び無傷の表皮の上に配置することにより、第1マニホールド層405との直接接触を防ぐことができる。接合層505は、ドレッシング110を定位置に保持するために十分に粘着性とすることができるが、同時にまた、組織部位に外傷を与えることなく、ドレッシング110を取り外すか又は再配置することも可能にし得る。一部の実施例では、カバー125が、組織インタフェース120の周囲にマージンを提供する場合には、カバー125を、表皮又は他の別の取付表面に取り付けて、組織インタフェース120を封止することができる。更には、又は代替的に、組織インタフェース120の周囲の、あらゆる露出したマージン又は接合部を封止するために、二次カバーを使用することができる。陰圧源105は、カバー125を介して、組織インタフェース120に流体結合することができる。ドレッシング110は、第1マニホールド層405及び第2マニホールド層410のうちの少なくとも一方を、陰圧源105に流体結合するように構成されている、流体インタフェースを含み得るか、又はそのような流体インタフェースに結合することができる。
【0087】
組織インタフェース120、カバー125、若しくは双方の幾何学的形状及び寸法は、特定の用途又は解剖学的構造に適合するように変化し得る。例えば、組織インタフェース120及びカバー125の幾何学的形状若しくは寸法は、胸、肩、肘、又は踵などの困難な解剖学的表面に対する有効かつ確実な封止を、組織部位及びその周囲において提供するように、適合させることができる。一部の実施例では、組織インタフェース120及びカバー125は、膝関節又は足首関節などの関節を含めた、腕又は脚などの付属器官に適用されるように、構成することができる。
【0088】
図6A及び
図6Bは、付属器官などの湾曲状の組織部位の周囲に、少なくとも部分的なカフ又は巻付けを形成するように巻かれた際の、
図5のドレッシング110の概略断面図である。
図6Aは、陰圧が印加されていないドレッシング110を示し、
図6Bは、陰圧が印加されているドレッシング110を示す。組織インタフェース120を介して印加された陰圧は、組織部位に対する圧縮力を生じさせることができる。
図6Bに示されるように、第1マニホールド層405のより低い剛性により、第1マニホールド層405は、第2マニホールド層410よりも圧縮することが可能となり、このことは、組織部位の周囲の軟組織を通る灌流を、驚くほど増大させることができる。
【0089】
例えば、試験装置を通る流量を測定するために、ドレッシング110の一実施形態を試験することによって、驚くべき結果が実証された。骨及び軟組織を有する付属器官をシミュレートするように構成された試験モデルの周囲に、4つの試験サンプルを巻き付けた。
【0090】
図7は、試験モデル700の一実施形態の等角図である。試験モデル700は、本体705、第1の端部キャップ710、第2の端部キャップ715、及び構造部材720を含み得る。本体705は、第1の端部725及び第2の端部730を有し得る。一部の実施形態では、本体705は、円筒形状とすることができ、約25ミリメートル~約160ミリメートルの範囲の直径を有し得る。一部の実施形態では、本体705は、約50ミリメートルの直径を有し得る。一部の実施形態では、本体705は、約75ミリメートル~約300ミリメートルの、第1の端部725から第2の端部730までの長さを有し得る。一部の実施形態では、本体705は、約150ミリメートルの、第1の端部725から第2の端部730までの長さを有し得る。一部の実施形態では、本体705は、シリコーン材料で構築することができる。このシリコーン材料は、軟質シリコーンとすることができ、生体組織のような見た目、感触、及び動きを有するように作製することができる。一部の実施形態では、本体705は、Polytek Development Corp.から入手可能な、10+/-2のショアA硬さを有するPLATSIL(商標)Gel-10から成形することができる。
【0091】
本体705は、第1の端部725から第2の端部730まで本体705を貫通して延在する、1つ以上のチャネル735を有し得る。チャネル735は、付属器官を通るリンパ網をシミュレートするように、本体705の長さにわたって成型することができる。一部の実施形態では、チャネル735の集団内の各チャネル735は、同じ直径を有し得る。一部の実施形態では、チャネル735は、異なる直径を有し得る。一部の実施形態では、チャネル735の集団は、約0.75ミリメートル~約2.0ミリメートルの範囲の直径を有し得る。一部の実施形態では、チャネル735の集団は、約1.6ミリメートルの直径を有し得る。
【0092】
構造部材720は、第1の端部725から第2の端部730まで本体705を貫通して延在し得る。一部の実施形態では、構造部材720は、約10ミリメートルの直径を有する円筒状ロッドとすることができる。一部の実施形態では、構造部材720は、約5ミリメートル~約30ミリメートルの範囲の直径を有する、円筒状ロッドとすることができる。構造部材720は、例えば、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、又は他の好適な金属若しくは合金で形成されている、剛性のシャフトとすることができる。一部の実施形態では、構造部材720は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、アセタール(ポリオキシメチレン(POM))、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、又は他の好適な硬質プラスチックで形成されている、剛性のシャフトとすることができる。一部の実施形態では、本体705は、構造部材720の周囲に成形されている。構造部材720は、本体705の中心を貫通して位置し得る。一部の実施形態では、構造部材720は、本体705の中心からオフセットさせることができる。構造部材720は、組織を支持している骨をシミュレートし得る。
【0093】
第1の端部キャップ710は、本体705の第1の端部725に結合させることができ、第2の端部キャップ715は、本体705の第2の端部730に結合させることができる。第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715はそれぞれ、第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715から延出する、1つ以上の取付具740を含み得る。各取付具740は、本体705を貫通して延在するチャネル735と流体結合することができる。第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715のそれぞれにおける、取付具740の数は、本体705内のチャネル735の数と等しくすることができる。
図7に示されるように、取付具740は、かかり付き取付具とすることができる。一部の実施形態では、取付具740は、ねじ付き取付具とすることができる。取付具740は、試験モデル700を可撓性の配管に結合するように構成されている。
【0094】
第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715は、例えば、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、又は他の好適な金属若しくは合金で形成することができる。一部の実施形態では、第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、アセタール(ポリオキシメチレン(POM))、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、又は他の好適な硬質プラスチックで形成することができる。第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715は、限定するものではないが、3D印刷、射出成形、機械加工、及び鋳造を含めた、様々な方式で製造することができる。
【0095】
一部の実施形態では、本体705は、第1の端部キャップ710及び/又は第2の端部キャップ715の少なくとも一部分の周囲に成形することができる。第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715は、構造部材720に結合させることができる。一部の実施形態では、第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715は、ねじ745によって構造部材720に結合させることができる。一部の実施形態では、第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715は、接着剤によって構造部材720に結合させることができる。一部の実施形態では、第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715は、溶接によって構造部材720に結合させることができる。一部の実施形態では、第1の端部キャップ710、第2の端部キャップ715、及び構造部材720は、一体的に形成することができる。
【0096】
一部の実施形態では、試験モデル700は、第1の端部キャップ710と本体705との間、及び第2の端部キャップ715と本体705との間に、軟質の遷移部を含み得る。軟質の遷移部は、第1の端部キャップ710と本体705との間、及び第2の端部キャップ715と本体705との間の接合部における、剪断のリスクを低減し得る。軟質の遷移部は、例えば、取付具740の集団とチャネル735の集団との間の可撓性の遷移部を可能にするように、短い長さのシリコーンチューブによって提供することができる。
【0097】
図8は、試験モデル700の一実施形態の更なる詳細を示す、本体705の端面図である。
図8に示されるように、一部の実施形態では、チャネル735の集団は、本体705の表面から1ミリメートルの深さの第1のチャネル800と、本体705の表面から3ミリメートルの深さの第2のチャネル805と、本体705の表面から7ミリメートルの深さの第3のチャネル810と、本体705の表面から15ミリメートルの深さの第4のチャネル815とを含み得る。一部の実施形態では、本体705は、5つ以上のチャネルを含み得る。
【0098】
図9は、試験モデル700の別の実施形態を示す等角図である。
図9に示されるように、一部の実施形態では、第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715はそれぞれ、取付具740から離れる方向で第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715から延出する、1つ以上の突出部900を含み得る。各突出部900は、円筒部905を含み、円筒部905の端部に頭部910を有し得る。頭部910は、円筒部905よりも大きい直径を有し得る。一部の実施形態では、突出部900は、かかり付き取付具とすることができる。各突出部900は、本体705内のチャネル735及び取付具740と流体結合されている、チャネル915を更に含み得る。突出部900は、本体705と係合することにより、取付具740をチャネル735と位置合わせするように構成することができる。突出部900はまた、本体705の安定化も補助し得る。一部の実施形態では、第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715はそれぞれ、1つの突出部900を含む。一部の実施形態では、第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715はそれぞれ、2つ以上の突出部900を含む。一部の実施形態では、第1の端部キャップ710及び第2の端部キャップ715のそれぞれにおける、突出部900の数は、本体705内のチャネル735の数と等しくすることができる。
【0099】
図10は、試験モデル700の一実施形態の更なる詳細を示す、本体705の端面図である。
図10に示されるように、チャネル735は、第1の端部725又は第2の端部730(図示せず)から見た場合に螺旋パターンで配置することができる。試験モデル700は、例えば、ヒト又は動物の腕、脚、大腿、若しくは胴体などの、より大きい解剖学的構造を表すようにスケーリングすることができる。例えば、試験モデル700は、約160ミリメートルの直径、及び約290ミリメートルの長さを有し得る。
【0100】
ドレッシング110のサンプルの試験の間、チャネル735は、2センチメートルHgの定率に設定された圧力を有する、空気供給部に接続された。個々のチャネル735及び全てのチャネル735の組み合わせに関して、陰圧の前及び後にサンプルドレッシングを適用して、空気流の測定を行った。
【0101】
図11は、第1の試験の間に取得された測定値の表であり、サンプル1は、内側マニホールド層と、より剛性の外側マニホールド層とを含む、
図5の実施例と類似又は同様の特徴を有するドレッシングを例示するものである。より具体的には、サンプル1は、網状発泡体の内側層と、剛性を増大させるためにフェルト状にされた網状発泡体の外側層とで構築するものとした。サンプル2~4は、剛性に差異を有さないマニホールド特徴を有する、様々な従来のドレッシング構成を含むものとした。
図11は、試験の結果を要約したものであり、驚くべきことに、サンプル1の、より剛性の外側層による性能の向上を示している。
図11のデータは、陰圧が印加されていない場合と比較した、陰圧が印加されている試験モデル700のチャネル735を通る流量の増大を、百分率で示している。
図11におけるアスタリスクは、測定された流量が、測定デバイスの範囲外であったことを示している。
【0102】
図12は、異なる圧力レベルでサンプル1を試験した、第2の試験の結果を要約したものである。これらの結果は、驚くべきことに、より低いレベルの陰圧で、流量が増大したことを実証している。すなわち、試験モデル700のチャネル735を通る流量は、サンプル1に印加された陰圧が-100mmHgであった場合に、-200mmHgの場合と比較して、より高いものとなった。
【0103】
図13は、一部の実施形態に関連し得る更なる詳細を示す、
図1のドレッシング110の別の例示的構成の斜視図である。ドレッシング110の組織インタフェース120は、第1マニホールド層405、支持層1300などの外側層、及びカバー125を含み得る。一部の実施例では、第1マニホールド層405、支持層1300、及びカバー125は、第1マニホールド層405とカバー125との間に支持層1300が介在している、積層関係で配設することができる。一部の実施形態では、カバー125を省略することができる。例えば、支持層1300が、例えば好適な独立気泡発泡体などの、流体封止を提供することが可能な材料を含む場合には、カバー125は必要ではない場合がある。一部の実施形態では、支持層1300を、第1マニホールド層405に結合することができ、カバー125を、支持層1300に結合することができる。例えば、支持層1300を、第1マニホールド層405に隣接して配設することができ、カバー125を、支持層1300に隣接して配設することができる。一部の実施形態では、支持層1300を、第1マニホールド層405に積層することができ、カバー125を、支持層1300に積層することができる。
【0104】
一部の実施形態では、第1マニホールド層405及び支持層1300の剛性は、ASTM D6828-02の、ブレード/スロット手順による布の剛性に関する標準試験法を使用して、測定することができる。一部の実施形態では、第1マニホールド層405は、約800重量グラム(gf)~約1000重量グラムの範囲の剛性を有し得る。一部の実施形態では、第1マニホールド層405は、約910重量グラムの剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約500重量グラム~約3000重量グラムの範囲の剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約800重量グラム~約2000重量グラムの範囲の剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約1000重量グラム~約2000重量グラムの範囲の剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約1200重量グラム~約1500重量グラムの範囲の剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約500重量グラム以上の剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約800重量グラム以上の剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約1000重量グラム以上の剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約1200重量グラム以上の剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約1400重量グラム以上の剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約725重量グラムの剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約834.75重量グラムの剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約846重量グラムの剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約1220重量グラムの剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約1446重量グラムの剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約1490重量グラムの剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約2326重量グラムの剛性を有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、約11486重量グラムの剛性を有し得る。
【0105】
一部の実施例では、支持層1300は、第1マニホールド層405よりも剛性とすることができる。支持層1300の剛性は、一部の構成では、第1マニホールド層405の剛性よりも約1.3~約13倍大きくすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、第1マニホールド層405の剛性よりも約1.3~約2.6倍大きくすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、第1マニホールド層405の剛性よりも約1.3~約1.7倍大きくすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、第1マニホールド層405の剛性よりも約1.3~約1.6倍大きくすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、第1マニホールド層405の剛性よりも約1.6倍大きくすることができる。
【0106】
第1マニホールド層405及び支持層1300はまた、一部の実施形態では、異なる厚さも有し得る。一部の実施形態では、支持層1300は、第1マニホールド層405よりも薄くすることができる。例えば、第1マニホールド層405は、第1の厚さT1を有し得るものであり、支持層1300は、第2の厚さT2を有し得るものであり、T2はT1よりも小さくすることができる。一部の構成では、厚さT1は、約5ミリメートル~約7ミリメートルとすることができ、T2は、約0.1ミリメートル~約3ミリメートルとすることができる。一部の実施形態では、第1マニホールド層405は、約6.35ミリメートルの厚さを有し得るものであり、支持層1300は、約1.96ミリメートルの厚さを有し得る。
【0107】
一部の実施形態では、支持層1300は、独立気泡発泡体を含み得るか、又は独立気泡発泡体から本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、ネオプレン発泡体を含み得るか、又はネオプレン発泡体から本質的に成るものとすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、編布を含み得るか、又は編布から本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、二重編みポリエステル布を含み得るか、又は二重編みポリエステル布から本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、ピケ編みポリエステル布を含み得るか、又はピケ編みポリエステル布から本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、ポリエステル約21%、ナイロン約65%、及びスパンデックス約14%のジャージ編みブレンドを含み得るか、又はそのようなジャージ編みブレンドから本質的に成るものとすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、織布を含み得るか、又は織布から本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、ポリエステル約65%及び綿約35%の1×1平織りブレンドを含み得るか、又はそのような平織りブレンドから本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、ポリエステル約65%及び綿約35%の3×1綾織りブレンドを含み得るか、又はそのような綾織りブレンドから本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、ポリウレタンでコーティングされたポリエステルの1×1平織りを含み得るか、又はそのような平織りから本質的に成るものとすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、フィルムを含み得るか、又はフィルムから本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、8ゲージのポリ塩化ビニルフィルムを含み得るか、又はそのようなポリ塩化ビニルフィルムから本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、16ゲージのポリ塩化ビニルフィルムを含み得るか、又はそのようなポリ塩化ビニルフィルムから本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、20ゲージのポリ塩化ビニルフィルムを含み得るか、又はそのようなポリ塩化ビニルフィルムから本質的に成るものとすることができる。一部の実施形態では、ポリ塩化ビニルフィルムは、透明、透過性、又は不透明とすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、複合フィルムを含み得るか、又は複合フィルムから本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂でコーティングされたガラス布を含み得るか、又はそのようなガラス布から本質的に成るものとすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、メッシュを含み得るか、又はメッシュから本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、正方形グリッドを有するポリウレタン発泡体グリッドメッシュを含み得るか、又はそのようなグリッドメッシュから本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、正方形グリッドを有するマルチフィラメントナイロンPA66メッシュを含み得るか、又はそのようなPA66メッシュから本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、正方形グリッドを有するレゾルシノールホルムアルデヒドラテックス被覆ガラスメッシュを含み得るか、又はそのようなガラスメッシュから本質的に成るものとすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、不織材料を含み得るか、又は不織材料から本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、不織ポリエステル布を含み得るか、又は不織ポリエステル布から本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、華氏約375度で1分間にわたって熱プレスされた不織ポリエステル布を含み得るか、又はそのような不織ポリエステル布から本質的に成るものとすることができる。一部の実施形態では、支持層1300は、ゴムを含み得るか、又はゴムから本質的に成るものとすることができる。例えば、支持層1300は、アクリロニトリルブタジエンゴムを含み得るか、又はアクリロニトリルブタジエンゴムから本質的に成るものとすることができる。
【0108】
図13の実施例で更に示されるように、一部の実施形態では、支持層1300は、1つ以上の開口1305を有し得る。開口1305は、例えば、切断、穿孔によって、又は、局所的なRF若しくは超音波エネルギーの適用によって、あるいは、支持層1300内に開口部若しくは穿孔を形成するための他の好適な技術によって形成することができる。開口1305は、均一な分布パターンを有し得るか、又は、支持層1300内にランダムに分布させることもできる。一部の実施形態では、開口1305は、支持層1300にわたって、開口1305が互い違いに中心を有するように配列することができる。例えば、開口1305は、三角形のピッチで配列することができる。一部の実施形態では、開口1305は、開口1305が直線状に中心を有するように、支持層1300にわたって配列することができる。例えば、開口1305は、矩形のピッチで配列することができる。開口1305は、例えば、円、正方形、星形、楕円形、多角形、スリット、複雑な曲線、直線形状、三角形を含めた、多くの形状を有し得るか、又は、そのような形状の何らかの組み合わせを有し得る。開口1305のそれぞれは、均一又は同様の幾何学的特性を有し得る。例えば、一部の実施形態では、開口1305のそれぞれは、実質的に同じ直径を有する円形の開口とすることができる。一部の実施形態では、開口1305は、約1ミリメートル~約15ミリメートルの範囲の直径を有する円とすることができる。一部の実施形態では、開口1305は、約5ミリメートル~約10ミリメートルの範囲の直径を有する円とすることができる。一部の実施形態では、開口1305は、約6.35ミリメートルの直径を有する円とすることができる。他の実施形態では、開口1305の幾何学的特性は多様であり得る。例えば、開口1305の直径は、支持層1300内での開口1305の位置に応じて変化し得る。
【0109】
一部の実施形態では、開口1305は、約3ミリメートル~約50ミリメートルの範囲の中心間距離又はピッチで、支持層1300にわたって配列することができる。一部の実施形態では、開口1305は、約12.7ミリメートルの中心間距離又はピッチで、支持層1300にわたって配列することができる。一部の実施形態では、開口1305は、約25.4ミリメートルの中心間距離又はピッチで、支持層1300にわたって配列することができる。支持層1300内の開口1305は、支持層1300における開放面積をもたらす。開放面積は、支持層1300の総面積に対する、全ての開口1300の総面積の比である。開放面積は、百分率として表すことができる。例えば、25%の開放面積に関しては、支持層1300の面積の25%が開放しており、支持層1300の面積の75%が閉鎖されている。一部の実施形態では、開放面積は、約3%~約50%の範囲とすることができる。一部の実施形態では、開放面積は、約4%~約6%の範囲とすることができる。一部の実施形態では、開放面積は、約10%~約30%の範囲とすることができる。一部の実施形態では、開放面積は、50%未満とすることができる。一部の実施形態では、開放面積は、約4.9%とすることができる。一部の実施形態では、開放面積は、約5.7%とすることができる。
【0110】
支持層1300内の開口1305のうちの1つは、カバー125内の開口1310と流体結合することができ、カバー125内の開口1310のサイズに適応するように、より大きいサイズを有し得る。ドレッシング110は、流体導管1315及びドレッシングインタフェース1320によって、陰圧源105に結合することができる。流体導管1315は、一方の端部でドレッシングインタフェース1320に流体結合することが可能な、可撓性のチューブとすることができる。ドレッシングインタフェース1320は、
図13の実施例に示されるような、カバー125内の開口1310と開口1305のうちの1つ以上との上に配置されることにより、流体導管1315と組織インタフェース120との間に流体経路を提供することが可能な、エルボ形コネクタとすることができる。1つ以上の開口1305は、支持層1300を介して第1マニホールド層405に陰圧が供給されることを可能にし得る。
【0111】
図13に示されるように、一部の実施形態では、ドレッシング110は、接合層505を含み得る。更には、又は代替的に、ドレッシング110は、第1マニホールド層405と接合層505との間に配設されているフィルム層415(
図13には示さず)を含み得る。
【0112】
図14A及び
図14Bは、付属器官などの湾曲状の組織部位の周囲に、少なくとも部分的なカフ又は巻付けを形成するように巻かれた際の、
図13のドレッシング110の概略断面図である。
図14Aは、陰圧が印加されていないドレッシング110を示し、
図14Bは、陰圧が印加されているドレッシング110を示す。試験モデル700は、明瞭性の目的のために示されていない。陰圧が印加されていない場合、ドレッシング110は、例えば第1の内径(D
1)などの、第1の内法寸法を有し得る。陰圧が印加されている場合、ドレッシング110は、例えば第2の内径(D
2)などの、第2の内法寸法を有し得るものであり、第2の内法寸法は、例えばD
2>D
1のように、第1の内法寸法よりも大きい。増大した第2の内径(D
2)は、例示目的のために誇張された形態で示されている。組織インタフェース120を介して印加された陰圧は、組織部位に対する膨張力を生じさせることができる。
図14Bに示されるように、支持層1300の剛性が増大されていることにより、第1マニホールド層405は、組織インタフェース120への陰圧の印加下で、外向きに圧潰することが可能となり、下に存在している組織の減圧、及びリンパ流の増大をもたらす。(
図14Bの矢印Aによって示されるような)第1マニホールド層405の外向きの圧潰は、表皮及び下に存在している組織を外向きに引き寄せることにより、血管及びリンパ経路を開放し、このことが、血管及びリンパ経路を通る、より高い速度の灌流を可能にする。それゆえ、外向きの引張力の増大は、血管及び/又はリンパ経路の直径を増大させることができ、このことが、組織部位を通る血液及びリンパ流を増大させることができる。陰圧の印加下での第1マニホールド層405の外向きの圧潰は、組織部位の周囲の軟組織を通る灌流を、驚くほど増大させることができる。一部の実施形態では、例えば、ドレッシング110は、ドレッシング110を使用しない場合よりも、模擬リンパ流を最大5倍まで増大させることができる。
【0113】
更には、
図14Bに示されるように、ドレッシング110に陰圧が印加されると、カバー125の諸部分が、第1マニホールド層405に向けて、支持層1300の開口1305内に引き込まれることにより、陥凹部1400を形成し得る。
【0114】
図15は、陰圧の印加下で示されている、
図6のドレッシング110の等角図である。
図15に示されるように、陰圧の印加下では、カバー125を介して、開口1305の輪郭が視認可能となり得る。更には、カバー125が開口1305内に引き込まれることによって形成された陥凹部1400が視認可能となり、触知することができる。陰圧の印加下での、カバー125を介した開口の輪郭の出現は、組織インタフェース120に陰圧が印加されている証拠として有用であり得る。ドレッシング110に陰圧が印加されてから特定の長さの時間の後に、カバー125を介して支持層1300の輪郭を識別することができない場合には、ドレッシング110における漏れの指標とすることができる。
【0115】
試験モデル700を通る流量を測定するために、
図13に示されるドレッシング110の実施形態を試験することによって、驚くべき結果が実証された。20個の試験サンプルを、試験モデル700の周囲に巻き付けた。
【0116】
図16は、
図13に示されるドレッシング110の種々の実施形態を使用して、試験モデル700を通る流量を測定するための、試験セットアップ1600の概略図である。
図16に示されるように、試験セットアップ1600は、空気供給部1605、流体導管1610、マノメータ1615、フィルタ1620、空気流量計1625、及び、試験モデル700に結合されているマニホールド1630を含む。流体導管1610は、空気供給部1605に流体結合されている。空気供給部1605は、矢印Bによって示されるように、流体導管1610を介して試験モデル700に空気を供給することができる。マノメータ1615は、空気供給部1605の下流で、流体導管1610に流体結合することができる。マノメータ1615は、流体導管1610内の空気の圧力を測定するために使用することができる。フィルタ1620は、マノメータ1615の下流で、流体導管1610と直列に流体結合することができる。フィルタ1620は、空気流量計1625及び試験モデル700に空気が入る前に、空気を濾過するために使用することができる。空気流量計1625は、フィルタ1620の下流で、流体導管1610と直列に流体結合することができる。空気流量計1625は、試験モデル700を通る空気流量を測定するために使用することができる。マニホールド1630は、空気流計1625と直列に流体結合することができる。マニホールド1630は、試験モデル700のチャネル735の数と同様の、いくつもの流体導管1635を含み得る。マニホールド1630の流体導管1635を、試験モデル700の取付具740に流体結合することができる。
【0117】
図17は、
図16の試験セットアップ1600を使用して、
図13に示されるドレッシング110の実施形態を試験する方法1700を示す。ステップ1705で、空気供給部1605がオンにされ、約51.7mmHg(約1psi)の一定の空気圧を、約1.2リットル毎分(lpm)~約1.5リットル毎分(lpm)の範囲の流量で提供するように調整される。この流量は、自由流量(FF)として設定される。ステップ1710で、マニホールド1630の流体導管1635が、試験モデル700の取付具740に流体結合されるように、試験モデル700がマニホールド1630に結合される。ステップ1715で、ドレッシング110のサンプルが、試験モデル700の周囲に巻き付けられ、カバー125が試験モデル700に封止されることにより、組織インタフェース120を収容する封止空間が形成される。ステップ1720で、流体導管1315及びドレッシングインタフェース1320を使用して、組織インタフェース120が、陰圧源105に流体結合される。ステップ1725で、ドレッシング110への陰圧の印加の前に、空気流量計1625を使用して、試験モデル700のチャネル735を通る制限された空気流量(RF)が測定される。この制限された空気流量(RF)を記録することができる。ステップ1730で、約100mmHgの、組織インタフェース120内での標的陰圧に達するまで、組織インタフェース120に陰圧が印加される。ステップ1735で、空気流量計1625を使用して、試験モデル700のチャネル735を通る、陰圧下での空気流量(NPF)が測定される。この陰圧下での空気流量(NPF)を記録することができる。陰圧がドレッシング110に印加されると、第1マニホールド層405が外向きに収縮して、試験モデル700の本体705対する吊上力を生じさせることにより、陰圧下での空気流量(NPF)が、制限された流量(RF)よりも大きくなる結果をもたらす。ステップ1740で、陰圧源105がオフにされ、ドレッシング110内部の圧力を、周囲圧力まで減衰させることができる。一部の実施形態では、ステップ1725、ステップ1730、ステップ1735、及びステップ1740は、同じドレッシング110を使用して(例えば、3回以上)繰り返すことができ、ドレッシング110の各サンプルに関して、制限された空気流量(RF)及び陰圧下での空気流量(NPF)に関する値を、平均化することができる。次いで、試験対象となるドレッシング110の各サンプルに関して、方法1700を繰り返すことができる。
【0118】
試験されたドレッシング110の各サンプルに関して、測定された自由流量(RF)、制限された空気流量(RF)、及び陰圧下での空気流量(NPF)を使用して、ドレッシング110の性能を評価することができる。以下の式を使用して、ドレッシング110のサンプルの性能を比較することができる。スケール係数は、以下を使用して算出することができる:
Scale=FF-RF
陰圧下での空気流量(NPF)と制限された空気流量(RF)との流量の差(Δ
flow)は、以下を使用して算出することができる:
Δ
flow=NPF-RF
流量の増大率は、以下を使用して算出することができる:
流量の改善率は、以下を使用して算出することができる:
一部の実施形態では、ドレッシング110の性能は、チャネル735ごとに算出することができる。一部の実施形態では、ドレッシング110の性能は、チャネル735のうちの1つ以上にわたって平均化された流量に基づいて、算出することができる。
【0119】
図18A及び
図18Bは、
図16の試験セットアップを使用した、
図13のドレッシング110の例示的構成の、材料特性及び性能データの表である。20個のサンプルを試験した(サンプル5~24)。サンプル5のドレッシング110は、第1マニホールド層405及びカバー125のみを含むものとし、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm
2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとした。サンプル5は、1.12%の模擬リンパ流の改善率を示した。サンプル5は、ベースラインを確立するために使用された。サンプル6~24のドレッシング110は、第1マニホールド層405及び支持層1300を含む、
図13の実施例と類似又は同様の特徴を有するドレッシングを例示するものである。しかしながら、試験目的のために、サンプル6~24は、第1マニホールド層405、支持層1300、及びカバー125のみを含むものとし、第1マニホールド層405は、サンプル5の第1マニホールド層405と同じであり、支持層1300は、
図18A及び
図18Bで特定されている材料の説明及び特性を有する、様々な材料を含むものとした。すなわち、第1マニホールド層405の材料は、サンプル5~24に関して一定に保つものとした。
図18A及び
図18Bはまた、試験の結果も要約している。
【0120】
サンプル6では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、25.4ミリメートルの中心間距離を有する、6.35ミリメートルの開口で穿孔されており、(ASTM D6828-02によって試験された)1446重量グラムの剛性、1.96ミリメートルの平均厚さ、0.11g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、ネオプレン発泡体を含むものとした。サンプル6は、模擬リンパ流における44.30%の改善を有した。
【0121】
サンプル7では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、(ASTM D6828-02によって試験された)5.5重量グラムの剛性、0.59ミリメートルの平均厚さ、0.21g/ccの密度、及び0.01g/cm2の単位面積当たり重量を有する、ピケ編みポリエステル布を含むものとした。サンプル7は、模擬リンパ流における9.06%の改善を有した。
【0122】
サンプル8では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、(ASTM D6828-02によって試験された)40.5重量グラムの剛性、1.06ミリメートルの平均厚さ、0.26g/ccの密度、及び0.03g/cm2の単位面積当たり重量を有する、ポリエステル約21%、ナイロン約65%、及びスパンデックス約14%のジャージ編みブレンドを含むものとした。サンプル8は、模擬リンパ流における9.23%の改善を有した。
【0123】
サンプル9では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、(ASTM D6828-02によって試験された)12.2重量グラムの剛性、0.30ミリメートルの平均厚さ、0.43g/ccの密度、及び0.01g/cm2の単位面積当たり重量を有する、ポリエステル約65%及び綿約35%の1×1平織りブレンドを含むものとした。サンプル9は、模擬リンパ流における10.45%の改善を有した。
【0124】
サンプル10では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、(ASTM D6828-02によって試験された)69.9重量グラムの剛性、0.58ミリメートルの平均厚さ、0.47g/ccの密度、及び0.03g/cm2の単位面積当たり重量を有する、ポリエステル約65%及び綿約35%の3×1綾織りブレンドを含むものとした。サンプル10は、模擬リンパ流における22.27%の改善を有した。
【0125】
サンプル11では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、(ASTM D6828-02によって試験された)1220重量グラムの剛性、0.93ミリメートルの平均厚さ、0.26g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、ポリウレタンでコーティングされたポリエステルの1×1平織りを含むものとした。サンプル11は、模擬リンパ流における38.38%の改善を有した。
【0126】
サンプル12では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、25.4ミリメートルの中心間距離を有する、6.35ミリメートルの開口で穿孔されており、(ASTM D6828-02によって試験された)57.3重量グラムの剛性、0.11ミリメートルの平均厚さ、1.14g/ccの密度、及び0.01g/cm2の単位面積当たり重量を有する、8ゲージのポリ塩化ビニルフィルムを含むものとした。サンプル12は、模擬リンパ流における4.56%の改善を有した。
【0127】
サンプル13では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、25.4ミリメートルの中心間距離を有する、6.35ミリメートルの開口で穿孔されており、(ASTM D6828-02によって試験された)840重量グラムの剛性、0.30ミリメートルの平均厚さ、1.27g/ccの密度、及び0.04g/cm2の単位面積当たり重量を有する、16ゲージのポリ塩化ビニルフィルムを含むものとした。サンプル13は、模擬リンパ流における14.78%の改善を有した。
【0128】
サンプル14では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、25.4ミリメートルの中心間距離を有する、6.35ミリメートルの開口で穿孔されており、(ASTM D6828-02によって試験された)1582重量グラムの剛性、0.37ミリメートルの平均厚さ、1.29g/ccの密度、及び0.05g/cm2の単位面積当たり重量を有する、20ゲージのポリ塩化ビニルフィルムを含むものとした。サンプル14は、模擬リンパ流における26.84%の改善を有した。
【0129】
サンプル15では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、25.4ミリメートルの中心間距離を有する、6.35ミリメートルの開口で穿孔されており、(ASTM D6828-02によって試験された)1490重量グラムの剛性、0.23ミリメートルの平均厚さ、2.10g/ccの密度、及び0.05g/cm2の単位面積当たり重量を有する、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂でコーティングされたガラス布を含むものとした。サンプル15は、模擬リンパ流における42.09%の改善を有した。
【0130】
サンプル16では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、25.4ミリメートルの中心間距離を有する、6.35ミリメートルの開口で穿孔されており、(ASTM D6828-02によって試験された)11486重量グラムの剛性、1.45ミリメートルの平均厚さ、0.82g/ccの密度、及び0.12g/cm2の単位面積当たり重量を有する、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂でコーティングされたガラス布を含むものとした。サンプル16は、模擬リンパ流における43.21%の改善を有した。
【0131】
サンプル17では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、(ASTM D6828-02によって試験された)222.75重量グラムの剛性、2.57ミリメートルの平均厚さ、0.08g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、ポリウレタン発泡体グリッドメッシュを含むものとした。サンプル17は、模擬リンパ流における4.59%の改善を有した。
【0132】
サンプル18では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、(ASTM D6828-02によって試験された)51.25重量グラムの剛性、0.33ミリメートルの平均厚さ、0.09g/ccの密度、及び0.0029g/cm2の単位面積当たり重量を有する、正方形グリッドを有するマルチフィラメントナイロンPA66メッシュを含むものとした。サンプル18は、模擬リンパ流における20.25%の改善を有した。
【0133】
サンプル19では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、(ASTM D6828-02によって試験された)834.75重量グラムの剛性、0.37ミリメートルの平均厚さ、0.29g/ccの密度、及び0.01g/cm2の単位面積当たり重量を有する、正方形グリッドを有するレゾルシノールホルムアルデヒドラテックス被覆ガラスメッシュを含むものとした。サンプル19は、模擬リンパ流における31.21%の改善を有した。
【0134】
サンプル20では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、(ASTM D6828-02によって試験された)359.5重量グラムの剛性、2.50ミリメートルの平均厚さ、0.11g/ccの密度、及び0.03g/cm2の単位面積当たり重量を有する、正方形グリッドを有する不織ポリエステル布を含むものとした。サンプル20は、模擬リンパ流における16.46%の改善を有した。
【0135】
サンプル21では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、(ASTM D6828-02によって試験された)725重量グラムの剛性、2.03ミリメートルの平均厚さ、0.10g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、華氏約375度で1分間にわたって熱プレスされた不織ポリエステル布を含むものとした。サンプル21は、模擬リンパ流における35.02%の改善を有した。
【0136】
サンプル22では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、25.4ミリメートルの中心間距離を有する、6.35ミリメートルの開口で穿孔されており、(ASTM D6828-02によって試験された)282重量グラムの剛性、0.58ミリメートルの平均厚さ、1.53g/ccの密度、及び0.09g/cm2の単位面積当たり重量を有する、アクリロニトリルブタジエンゴムを含むものとした。サンプル22は、模擬リンパ流における8.44%の改善を有した。
【0137】
サンプル23では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、25.4ミリメートルの中心間距離を有する、6.35ミリメートルの開口で穿孔されており、(ASTM D6828-02によって試験された)846重量グラムの剛性、1.77ミリメートルの平均厚さ、0.98g/ccの密度、及び0.17g/cm2の単位面積当たり重量を有する、アクリロニトリルブタジエンゴムを含むものとした。サンプル23は、模擬リンパ流における29.88%の改善を有した。
【0138】
サンプル24では、第1マニホールド層405は、(ASTM D6828-02によって試験された)910重量グラムの剛性、6.35ミリメートルの平均厚さ、0.02g/ccの密度、及び0.02g/cm2の単位面積当たり重量を有する、網状ポリウレタン発泡体(例えば、GRANUFOAM(商標))などの連続気泡発泡体を含むものとし、支持層1300は、25.4ミリメートルの中心間距離を有する、6.35ミリメートルの開口で穿孔されており、(ASTM D6828-02によって試験された)2326重量グラムの剛性、1.57ミリメートルの平均厚さ、1.53g/ccの密度、及び0.24g/cm2の単位面積当たり重量を有する、アクリロニトリルブタジエンゴムを含むものとした。サンプル24は、模擬リンパ流における34.75%の改善を有した。
【0139】
図18A及び
図18Bに示されるように、性能の向上は、より剛性の外側層の場合に生じた。例えば、1000重量グラム(gf)よりも大きい剛性を有する材料を含む支持層1300を有する、ドレッシング110のサンプル6、11、14、15、16、及び24は、25%を超える模擬リンパ流の改善率をもたらした。1200重量グラム(gf)よりも大きい剛性を有する材料を含む支持層1300を有する、ドレッシング110のサンプル6、11、15、16、及び24は、30%を超える模擬リンパ流の改善率をもたらした。1400重量グラム(gf)よりも大きい剛性を有する材料を含む支持層1300を有する、ドレッシング110のサンプル6、15、及び16は、40%を超える模擬リンパ流の改善率をもたらした。例えば、1446重量グラム(gf)の剛性を有する材料を含む支持層1300を有する、ドレッシング110のサンプル6は、模擬リンパ流の約44.30パーセントの改善をもたらした。
図18A及び
図18Bに示されるように、支持層1300の剛性が増大するにつれて、模擬リンパ流は一般に増大する。約42.09%~約44.30%の範囲の、模擬リンパ流の増大率は、支持層1300の剛性が約1446重量グラム~約1490重量グラムの範囲である場合(サンプル6及びサンプル15)であることが見出された。特定の閾値の剛性を超えると、模擬リンパ流の改善率は、有意には向上しない。例えば、サンプル16は、11486重量グラムの剛性を有する支持層1300を含むものであったが、1446重量グラムの剛性を有する支持層1300を含むサンプル6を上回る、模擬リンパ流の増大をもたらさなかった。更には、より高い剛性とより高い単位面積当たり重量とを有する支持層1300を含む一部のサンプルは、高い剛性とより低い単位面積当たり重量とを有する支持層1300を含む他のサンプルほど、良好な性能とはならなかった。例えば、2326重量グラムの剛性と0.24g/cm
2の単位面積当たり重量とを有する支持層1300を含むサンプル24は、より低い1446重量グラムの剛性とより低い0.02g/cm
2の単位面積当たり重量とを有する支持層1300を含むサンプル6よりも、低い模擬リンパ流の改善率を有した。したがって、高い単位面積当たり重量を有する支持層1300は、より低い単位面積当たり重量を有する、より剛性の低い支持層1300よりも、低い改善率をもたらす場合がある。
【0140】
更には、
図18に見られるように、支持層1300内の開口1305のサイズ又は密度は、模擬リンパ流の改善率に対して悪影響を及ぼすとは思われなかった。例えば、約25.4ミリメートルの中心間距離を有する約6.35ミリメートルの開口1305で穿孔されている、ネオプレン発泡体を含む支持層1300を有する、サンプル6は、模擬リンパ流の44.30%の改善を有した。更には、約25.4ミリメートルの中心間距離を有する約6.35ミリメートルの開口1305で穿孔されている、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂でコーティングされたガラス布の複合フィルムを含む支持層1300を有する、サンプル6は、模擬リンパ流の42.09%の改善を有した。一部の実施形態では、第1マニホールド層405を周方向で覆っており、かつ50%未満の開放面積を有する、開口1305の配列を有する支持層1300を含む、ドレッシング110においては、模擬リンパ流の改善の低減は観察されなかった。
【0141】
図19は、サンプル番号がx軸に沿っており、改善率がy軸に沿っている、
図18のデータの棒グラフである。
図20は、
図16の試験セットアップを使用した、
図13のドレッシングの例示的構成の性能データのプロットである。
図20では、支持層1300の剛性がx軸に沿っており、リンパ流の改善率がy軸に沿っている。
図20に示されるように、同じタイプの材料の範囲内では、リンパ流の改善率は、剛性の増大に対して概ね線形に増大しているが、しかしながら、異なる材料では、勾配が異なっている。
【0142】
本明細書で説明されるシステム、装置、及び方法は、著しい利点をもたらし得る。例えば、ドレッシング110の一部の実施形態は、有効な切開管理をもたらし得るが、それと同時に、皮下リンパ管網を介した循環を改善し、浮腫を低減し、灌流を改善し、感染症、漿液腫、血腫、及び離開などの術後合併症のリスクを低減する、周囲組織に対する陰圧の更なる利益をもたらすものである。ドレッシング110の一部の実施形態は、胸、肩、腕、脚、膝関節、又は足首関節などの、湾曲状の組織部位を処置するために、特に有効であり得る。支持層1300を有する周方向ドレッシング110は、局所組織の減圧の改善を介して、腫脹を低減することができる。より迅速かつ有効な腫脹の低減は、多くの臨床的利益の鍵となり得る。更には、ドレッシング110によって提供される減圧療法は、現行の、安静、冷却、圧迫、及び拳上(RICE)プロトコルあるいは他の既存の療法に対する改善として、現行の標準治療に適合させることができる。
【0143】
いくつかの例示的実施形態において示されているが、当業者であれば、本明細書で説明されるシステム、装置、及び方法は、添付の特許請求の範囲に該当する様々な変更及び修正が容易に可能である点を認識するであろう。更には、「又は(or)」などの用語を使用する様々な代替形態の説明は、文脈によって明らかに必要とされない限り、相互排他性を必要とするものではなく、また、定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、文脈によって明らかに必要とされない限り、対象を単一の例に限定するものではない。構成要素はまた、販売、製造、組み立て、又は使用の目的のために、様々な構成で組み合わせるか、又は排除することもできる。例えば、一部の構成では、製造又は販売のために、ドレッシング110、容器115、又は双方を排除するか、若しくは他の構成要素から分離することができる。他の例示的構成では、コントローラ130はまた、他の構成要素とは独立して、製造、構成、組み立て、又は販売することもできる。
【0144】
添付の特許請求の範囲は、上述の主題の新規かつ発明的な態様を記載するものであるが、特許請求の範囲はまた、具体的には詳細に列挙されていない追加的主題も包含し得る。例えば、新規かつ発明的な特徴を、当業者には既知であるものから区別するために、必要とされない場合には、特定の特徴、要素、又は態様を、特許請求の範囲から省略することができる。一部の実施形態の文脈において説明される特徴、要素、及び態様はまた、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、省略するか、組み合わせるか、又は、同じ目的、等価の目的、若しくは同様の目的を果たす代替的特徴によって置き換えることもできる。