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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】基地局、端末、及び、通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20241030BHJP
   H04W 72/04 20230101ALI20241030BHJP
   H04W 4/08 20090101ALI20241030BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20241030BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20241030BHJP
   H04B 7/0452 20170101ALI20241030BHJP
   H04B 7/0456 20170101ALI20241030BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20241030BHJP
   H04B 7/0426 20170101ALI20241030BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H04J99/00 100
H04W72/04
H04W4/08
H04W16/28 110
H04W28/04
H04B7/0452 110
H04B7/0456 100
H04B7/06 956
H04B7/0426 200
H04L27/26 100
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021522156
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(86)【国際出願番号】 JP2020018461
(87)【国際公開番号】W WO2020241183
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019100587
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】美濃谷 潤
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬
(72)【発明者】
【氏名】高田 智史
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-506898(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135302(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/158923(WO,A1)
【文献】特開2016-040938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0363843(US,A1)
【文献】 KHOROV, Evgeny et al.,Experimental Study of NOMA/SOMA in Wi-Fi,IEEE 802.11-18/1957r2,IEEE,2019年03月11日,<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/18/11-18-1957-02-Oeht-noma.pptx>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 16/28
H04W 72/04
H04L 27/26
H04J 99/00
H04B 7/0426
H04B 7/0452
H04B 7/0456
H04B 7/06
H04W 4/08
H04W 28/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末のうち非直交多重による送信対象とする端末グループに関する情報を生成する制御回路と、
前記複数の端末宛ての制御情報を送信する期間のうち前記複数の端末に共通の情報を送信する期間において前記端末グループに関する情報を送信する送信回路と、
を具備する基地局。
【請求項2】
前記端末グループに関する情報は、前記端末のそれぞれが前記非直交多重の送信対象であるか否かを示す情報を含む、
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記端末グループに関する情報は、前記端末グループ毎に異なる値を含む、
請求項1に記載の基地局。
【請求項4】
前記端末グループに関する情報は、前記共通の情報に示される周波数リソースにおいて前記端末グループが割り当てられるか否かを示す情報を含む、
請求項に記載の基地局。
【請求項5】
前記端末グループに関する情報は、前記共通の情報に示される周波数リソースにおいて前記端末グループに含まれる端末数を示す情報を含む、
請求項に記載の基地局。
【請求項6】
前記送信回路は、前記制御情報の送信期間のうち前記端末グループにおける端末に個別の情報を送信する期間において、前記個別の情報を前記非直交多重における割当電力に応じた順序で送信する、
請求項に記載の基地局。
【請求項7】
前記端末グループに関する情報は、前記共通の情報に示される周波数リソースの割当情報における複数の周波数リソース候補のうちの一部の周波数リソース候補値に関連付けられている、
請求項に記載の基地局。
【請求項8】
前記送信回路は、前記制御情報の送信期間のうち前記端末グループにおける端末に個別の情報を送信する期間において、前記端末グループに関する情報を送信する、
請求項1に記載の基地局。
【請求項9】
前記送信回路は、前記端末グループにおける端末毎の前記端末グループに関する情報を、前記非直交多重における割当電力に応じた順序で送信する、
請求項に記載の基地局。
【請求項10】
前記制御回路は、前記複数の端末それぞれの非直交多重信号の受信処理能力に関する情報に基づいて、前記複数の端末によるデータ信号に対する応答信号の送信タイミングを決定し、
前記送信回路は、前記送信タイミングに関する情報を送信する、
請求項1に記載の基地局。
【請求項11】
下りの制御情報の受信期間のうち複数の端末に共通の情報を受信する期間において、非直交多重された端末グループに関する情報を受信する受信回路と、
前記端末グループに関する情報に基づいて、下りの非直交多重信号の受信を制御する制御回路と、
を具備する端末。
【請求項12】
前記受信回路は、データ信号に対する応答信号の送信タイミングに関する情報であって、前記送信タイミングが非直交多重信号の受信処理能力に基づくタイミングである、前記送信タイミングに関する情報を受信し、
前記送信タイミングに基づいて、前記応答信号を送信する送信回路、を具備する、
請求項11に記載の端末。
【請求項13】
基地局は、
複数の端末のうち非直交多重による送信対象とする端末グループに関する情報を生成し、
前記複数の端末宛ての制御情報を送信する期間のうち前記複数の端末に共通の情報を送信する期間において前記端末グループに関する情報を送信する、
通信方法。
【請求項14】
端末は、
下りの制御情報の受信期間のうち複数の端末に共通の情報を受信する期間において、非直交多重された端末グループに関する情報を受信し、
前記端末グループに関する情報に基づいて、下りの非直交多重信号の受信を制御する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基地局、端末、及び、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
The Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)802.11の規格であるIEEE 802.11ax(以下、「11ax」と呼ぶ)の後継規格として、Topic Interest Group(TIG)及びStudy Group(SG)においてIEEE 802.11be(以下、「11be」と呼ぶ)の技術仕様策定が進められている。
【0003】
11beでは、スペクトラム効率を向上する多重方式(又は、多元接続方式)に、例えば、非直交多重(non-orthogonal multiple access(NOMA))が検討されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】IEEE 802.11-18/1957r2, Experimental Study of NOMA/SOMA in Wi-Fi, March 8, 2019
【文献】A. Benjebbour et al., Concept and Practical Considerations of Non-orthogonal Multiple Access(NOMA)for Future Radio Access, 2013
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、無線ローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network:WLAN)等の無線通信における非直交多重処理の制御方法については十分に検討されていない。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、非直交多重処理を適切に制御できる基地局、端末、及び、通信方法の提供に資する。
【0007】
本開示の一実施例に係る基地局は、複数の端末のうち非直交多重による送信対象とする端末グループに関する情報を生成する制御回路と、前記複数の端末宛ての制御情報を送信する期間において前記端末グループに関する情報を送信する送信回路と、を具備する。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0009】
本開示の一実施例によれば、非直交多重処理を適切に制御できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】DL Multiuser Physical layer convergence procedure Protocol Data Unit(DL MU PPDU)のフォーマットの一例を示す図
図2】User fieldのフォーマットの一例を示す図
図3】NOMAの動作例を示す図
図4】NOMAにおける多重電力割り当ての一例を示す図
図5】MU Multiple Input Multiple Output(MIMO) NOMAの一例を示す図
図6】実施の形態1に係るAPの一部の構成例を示すブロック図
図7】実施の形態1に係るSTAの一部の構成例を示すブロック図
図8】実施の形態1に係るAPの構成例を示すブロック図
図9】実施の形態1に係るSTAの構成例を示すブロック図
図10】実施の形態1に係る無線通信システムの動作例を示すシーケンス図
図11】実施の形態1に係るDL MU PPDUのフォーマット及びMU MIMO NOMAの一例を示す図
図12】実施の形態2に係るResource Unit(RU)割当情報の一例を示す図
図13】実施の形態2に係るRU割当情報の他の例を示す図
図14】実施の形態2の方法2-1に係るMU MIMO NOMA及びSIG-BにおけるSTA情報の一例を示す図
図15】実施の形態2の方法2-2に係るRU割当情報の一例を示す図
図16】実施の形態3の方法3-1に係るSTA情報のフォーマットの一例を示す図
図17】実施の形態3の方法3-1に係るTx Power Tableの一例を示す図
図18】実施の形態3の方法3-2に係るSTA情報のフォーマットの一例を示す図
図19】実施の形態3の方法3-2に係るTx Power Offsetの一例を示す図
図20】実施の形態3の方法3-3に係るSIG-Bのフォーマットの一例を示す図
図21】実施の形態3の方法3-3に係る多重電力割り当ての一例を示す図
図22】実施の形態3の方法3-4に係るSIG-Bのフォーマットの一例を示す図
図23】実施の形態3の方法3-4に係るSIG-Bのフォーマットの他の例を示す図
図24】実施の形態4に係るAPの構成例を示すブロック図
図25】実施の形態4に係るSTAの構成例を示すブロック図
図26】実施の形態4に係る無線通信システムの動作例を示すシーケンス図
図27】実施の形態4の方法4-1に係る無線通信システムの動作例を示すシーケンス図
図28】実施の形態4の方法4-1に係る無線通信システムの動作例を示すシーケンス図
図29】実施の形態4の方法4-2に係る送信タイミングの制御例を示す図
図30】他の実施の形態に係るMU MIMO NOMA及びSTA情報の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[マルチユーザ(MU)伝送]
例えば、11axは、MU伝送をサポートしている。MU伝送には、例えば、DL MU-MIMO及びDL Orthogonal Frequency Division Multiple Access(DL OFDMA)等がある。
【0014】
DL MU-MIMO又はDL OFDMAの場合、アクセスポイント(Access Point(AP)、又は「基地局」とも呼ばれる)は、例えば、DL MU PPDUに含まれるPreambleの制御情報(例えば、SIG-B又はSIG-Bフィールドと呼ぶ)により、各端末(例えば、「Station(STA)」とも呼ばれる)に制御情報を通知する。
【0015】
図1は、11axにおけるDL MU伝送を指示するDL MU PPDUのHE-SIG-B(以下、単に「SIG-B」と呼ぶ)のフォーマットの一例を示す。
【0016】
図1に示すように、SIG-Bは、複数のユーザ(換言すると、STA)に共通の情報(例えば、「共通情報」と呼ぶ)を含む「Common field」、及び、ユーザに個別の情報(例えば、「STA情報」、「ユーザ情報」又は「ユーザ個別情報」と呼ぶ)を含む「User Specific field」を含む。Common fieldでは、例えば、Resource Unit (RU) Allocation subfieldにおいて、各ユーザに割り当てられるRU、及び、当該RUにおけるユーザ多重数が通知される。また、User Specific fieldは、例えば、1つ以上のUser Block field(図示せず)を含む。各User Block fieldは、例えば、1又は2ユーザのUser fieldをBlock Check Character(BCC)で符号化したfieldである。
【0017】
図2は、SIG-BのUser fieldの構成例を示す。図2に示すように、User fieldは、例えば、STAの識別子を示す「STA ID subfield」、空間ストリームの割当情報を示す「Spatial Configuration subfield」、変調符号化方式を示す「Modulation and channel Coding Scheme(MCS)subfield」、及び、符号化方法を示す「Coding subfield」等の情報を含む。また、User Specific fieldにおける各STAに対応するUser fieldの並び順は、例えば、Common fieldのRU Allocation subfieldに含まれる割当RU(例えば、RU Allocation subfieldにおいてRUが割り当てられたユーザの並び順)に対応する。
【0018】
[NOMA]
NOMAは、同一時間において同一周波数リソース上に複数の信号を非直交多重した信号(以下、「NOMA信号」と呼ぶ)を送信する多重方式である。
【0019】
例えば、NOMAの一つに、図3に示すように、多重する信号の電力比(換言すると、割当電力)をSTA間で変えて非直交多重する方法がある。図4は、NOMAの多重電力割り当て例を示す。APは、例えば、STA毎の受信品質(例えば、チャネル状態、受信Signal-to-Interference plus Noise power Ratio(SINR)、平均又は瞬時ユーザスループット等)に基づいて、非直交多重するユーザ(例えば、STA)のグループ、及び、当該グループにおける多重電力比を決定する。
【0020】
以下では、非直交多重するユーザのグループ(換言すると、非直交多重による送信対象とするユーザグループ(又は端末グループ))を「NOMAグループ」と呼ぶ。また、NOMAグループに含まれるSTA(例えば、NOMAにより電力多重されるSTA)を「NOMAユーザ」と呼び、NOMAグループに含まれないSTAを「非NOMAユーザ」と呼ぶ。
【0021】
APは、各STAの信号に対する多重電力比を総当たりで探索してもよく、多重電力比が規定されたテーブルを参照してもよい。また、多重電力比は、STA毎の送信電力の値(例えば、割合)でもよく、NOMA信号を含むPPDUの参照信号の電力に対する割合でもよい。一般的に、APからの距離がより遠いSTA(例えば、図3ではSTA1)ほど、大きい電力が割り当てられ、APからの距離がより近いSTA(例えば、図3ではSTA2)ほど、小さい電力が割り当てられる。
【0022】
STAは、NOMA信号を受信した後、多重電力比に基づいて、NOMA信号から所望信号を抽出して復号する。例えば、STAは、Successive Interference Cancelation(SIC)に基づいて、NOMA信号の受信処理を行ってもよい。例えば、SICにおいて、STAは、例えば、当該STAの電力比より大きい電力比に対応する他のSTAの信号レプリカを生成し、受信したNOMA信号から信号レプリカを減算することにより、当該STAに対する所望信号を抽出してもよい。
【0023】
また、例えば、同一の周波数リソース上において、複数のNOMAグループが空間多重される方法(以下、「MU-MIMO NOMA」と呼ぶ)が検討されている(例えば、非特許文献2を参照)。
【0024】
図5は、MU-MIMO NOMAの一例を示す。
【0025】
MU-MIMO NOMAでは、例えば、NOMAグループ毎に異なるビーム(又は、プリコーディング)が使用される。また、NOMAグループ毎に多重されるユーザ間の多重電力比が決定される。また、MU-MIMO NOMA信号を受信するSTAは、例えば、Interference Rejection Combining(IRC)によってビーム間干渉を除去してもよい。
【0026】
ここで、STAがNOMA信号から所望信号の抽出には、同じNOMAグループに含まれる他のSTA情報(例えば、空間ストリーム数、MCS、符号化方法、及び、多重電力比等)が使用される。例えば、3rd Generation Partnership Project(3GPP)では、端末宛ての制御情報は、下り制御チャネル(例えば、Physical Downlink Control Channel(PDCCH))によって、NOMA信号が送信される無線フレームとは別の無線フレームで送信される。一方、無線LANでは、STA情報は、例えば、図2に示すSIG-BのUser fieldに含まれることが想定される。
【0027】
しかしながら、11be等のWLANシステムにおいて、NOMA(例えば、MU-MIMO NOMAを含む)の制御方法は十分に検討されていない。そこで、本開示の一実施例では、MU伝送においてNOMA処理を適切に制御する方法について説明する。
【0028】
(実施の形態1)
[無線通信システムの構成]
本開示の一実施例に係る無線通信システムは、少なくとも1つのAP100、及び、複数のSTA200を含む。
【0029】
例えば、DL通信(例えば、DLデータの送受信)では、AP100(又は、「下り無線送信装置」とも呼ぶ)は、複数のSTA200(又は、「下り無線受信装置」とも呼ぶ)に対するDL信号を、DL MU送信する。各STA200は、DL MU送信された信号から、当該STA200向けのDL信号を受信する。
【0030】
図6は、本開示の一実施例に係るAP100の一部の構成例を示すブロック図である。図6に示すAP100において、スケジューリング部105(例えば、制御回路に相当)は、複数の端末(例えば、STA200)のうち非直交多重による送信対象とする端末グループ(例えば、NOMAユーザ)に関する情報(例えば、後述するNOMA制御情報)を生成する。無線送信部110(例えば、送信回路に相当)は、複数の端末宛ての制御情報を送信する期間(例えば、PPDUヘッダ又はSIG-Bフィールド等)において端末グループに関する情報を送信する。
【0031】
図7は、本開示の一実施例に係るSTA200の一部の構成例を示すブロック図である。図7に示すSTA200において、無線受信部201(例えば、受信回路に相当)は、下りの制御情報の受信期間(例えば、PPDUヘッダ又はSIG-Bフィールド等)において、非直交多重された端末グループ(例えば、NOMAグループ)に関する情報を受信する。NOMA判定部204(例えば、制御回路に相当)は、端末グループに関する情報に基づいて、下りの非直交多重信号(例えば、NOMA信号)の受信を制御する。
【0032】
<AP100の構成例>
図8は、AP100の構成例を示すブロック図である。図8に示すAP100は、例えば、無線受信部101と、Preamble復調部102と、データ復調部103と、データ復号部104と、スケジューリング部105と、データ生成部106と、符号化部107と、変調部108と、Preamble生成部109と、無線送信部110とを含む。
【0033】
無線受信部101は、アンテナを介してSTA200から送信された信号を受信し、受信信号にダウンコンバート、A/D変換等の無線受信処理を行う。例えば、無線受信部101は、無線受信処理後の受信信号から、Preamble部(Preamble信号とも呼ぶ)を抽出し、Preamble復調部102へ出力する。また、例えば、無線受信部101は、無線受信処理後の受信信号から、データ部(データ信号とも呼ぶ)を抽出し、データ復調部103へ出力する。
【0034】
Preamble復調部102は、無線受信部101から入力されるPreamble部に対してフーリエ変換(Fast Fourier Transform(FFT))等の処理を行い、Preamble部に含まれるデータの復調及び復号に用いる制御情報を抽出する。制御情報には、例えば、無線割当リソース情報(例えば、割当周波数リソース及び周波数帯域幅等)、MCS又は符号化方法等が含まれてよい。Preamble復調部102は、抽出した制御情報をデータ復調部103及びデータ復号部104に出力する。また、Preamble復調部102は、例えば、Preambleを用いてチャネル推定を行う場合、チャネル推定結果をデータ復調部103に出力してよい。
【0035】
データ復調部103は、無線受信部101から入力されるデータ部に対してFFT等の処理を行い、Preamble復調部102から入力される制御情報又はチャネル推定結果に基づいてデータ部を復調し、復調後のデータ信号をデータ復号部104へ出力する。
【0036】
データ復号部104は、Preamble復調部102から入力される制御情報を用いて、データ復調部103から入力されるデータ信号を復号し、STA200毎の信号を取得する。データ復号部104は、取得した信号をスケジューリング部105へ出力する。
【0037】
STA200から送信されるデータ信号には、例えば、STA200毎の無線品質情報が含まれてよい。無線品質情報は、例えば、チャネル情報でもよく、周波数リソース毎の平均Signal-to-Noise Ratio(SNR)でもよい。
【0038】
スケジューリング部105は、例えば、データ復号部104から入力される、STA200毎の無線品質情報に基づいて、NOMAに関するSTA200に対するスケジューリングを行う。例えば、スケジューリング部105は、NOMAグループに含まれるSTA200の数(換言すると、送信端末数又はユーザ多重数)、DLデータのMCS、符号化方法、割当周波数リソース、周波数帯域幅を決定してよい。また、スケジューリング部105は、STA200に対するNOMAグループの割り当て、又は、多重電力比等のSIG-Bに含めるNOMAグループに関する情報(以下、「NOMA制御情報」と呼ぶ)を決定する。
【0039】
スケジューリング部105は、スケジューリング結果を示すスケジューリング情報を、符号化部107、変調部108及びPreamble生成部109へ出力する。
【0040】
データ生成部106は、STA200宛てのデータ系列(換言すると、DLデータ)を生成し、生成したデータ系列を符号化部107へ出力する。なお、AP100がNull Data Packet(NDP)をSTA200に送信する場合、データ生成部106は、データ系列を生成せず、データ系列を符号化部107に出力しなくてもよい。
【0041】
符号化部107は、スケジューリング部105から入力されるスケジューリング情報(例えば、符号化方法又はMCS)に基づいて、データ生成部106から入力されるデータ系列を符号化し、符号化データを変調部108へ出力する。
【0042】
変調部108は、例えば、スケジューリング部105から入力されるスケジューリング情報(例えば、周波数リソース又はMCS)に基づいて、符号化部107から入力される符号化データを変調し、変調後の信号(換言すると、データ部)を無線送信部110へ出力する。例えば、変調部108は、変調後の信号を無線リソースに割り当て、逆フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform(IFFT)処理を行い、OFDM信号を生成し、無線送信部110へ出力してよい。また、変調部108は、スケジューリング情報(例えば、多重電力比)に基づいて、変調後の信号に対する電力を制御して多重した信号を無線送信部110へ出力してよい。
【0043】
Preamble生成部109は、例えば、スケジューリング部105から入力されるスケジューリング情報(例えば、送信端末数、符号化方法、MCS、割当周波数リソース、又は、多重電力比等)に基づいて、Preamble部を生成し、無線送信部110へ出力する。Preamble部には、例えば、NOMA制御情報が含まれてよい。
【0044】
無線送信部110は、変調部108から入力されるデータ部と、Preamble生成部109から入力されるPreamble部とを時間多重する。無線送信部110は、時間多重した信号に対して、D/A変換、キャリア周波数にアップコンバート等の無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナを介してSTA200へ送信する。
【0045】
<STA200の構成例>
図9は、STA200の構成例を示すブロック図である。図9に示すSTA200は、例えば、無線受信部201と、Preamble復調部202と、データ復調部203と、NOMA判定部204と、データ復号部205と、無線品質情報生成部206と、変調部207と、無線送信部208とを含む。
【0046】
無線受信部201は、アンテナを介して受信した信号をダウンコンバート、A/D変換等の無線受信処理を行う。無線受信部201は、無線受信処理後の信号からPreamble部を抽出し、Preamble復調部202へ出力する。また、無線受信部201は、無線受信処理後の信号からデータ部を抽出し、データ復調部203へ出力する。なお、例えば、STA200がNDP Announcementを示す制御フレームを事前に受信し、受信信号がNDPであると識別可能である場合、無線受信部201は、データ復調部203へ信号を出力しなくてもよい。
【0047】
Preamble復調部202は、無線受信部201から入力されるPreamble部に対してFFT等の復調処理を行い、復調後のPreamble部から、例えば、データ部の復調及び復号に用いる制御情報を抽出する。制御情報には、例えば、周波数帯域幅、割当周波数リソース、MCS、符号化方法、空間ストリーム数、多重電力比等が含まれる。Preamble復調部202は、抽出した制御情報を、データ復調部203、NOMA判定部204、及び、データ復号部205へ出力する。
【0048】
また、Preamble復調部202は、例えば、Preamble部に含まれる参照信号に基づいてチャネル推定を行う場合、チャネル推定結果をデータ復調部203に出力する。また、受信信号がNDPの場合、Preamble復調部202は、チャネル推定結果を無線品質情報生成部206に出力する。
【0049】
データ復調部203は、例えば、Preamble復調部202から入力される制御情報(例えば、周波数帯域幅又は割当周波数リソース等)及びチャネル推定結果に基づいて、無線受信部201から入力されるデータ部に対して、FFT処理、チャネル等化、又は、復調等の処理を行い、STA200宛ての復調データを抽出する。データ復調部203は、抽出した復調データをデータ復号部205へ出力する。
【0050】
NOMA判定部204は、Preamble復調部202から入力される制御情報に基づいて、データ復調部203において復調された復調データがNOMAによって多重されているか否かを判定する。換言すると、NOMA判定部204は、STA200がNOMAによる非直交多重されるユーザであるか否かを判定する。NOMA判定部204は、NOMA判定結果をデータ復号部205に出力する。
【0051】
データ復号部205は、NOMA判定部204から入力されるNOMA判定結果、及び、Preamble復調部202から入力される制御情報に基づいて、データ復調部203から入力される復調データから所望データを抽出し、復号する。
【0052】
例えば、データ復号部205は、NOMA判定結果がNOMA信号(換言すると、NOMAによって多重されたこと)を示す場合、制御情報(例えば、多重電力比、符号化方法又はMCS等)に基づいて、復調データを復号する。
【0053】
また、例えば、STA200がSIC処理可能な場合、データ復号部205は、SIC処理を行ってもよい。例えば、データ復号部205は、STA200と同一のNOMAグループに含まれる他のユーザのSTA情報(例えば、多重電力比)に基づいて、割当電力の比較を行う。例えば、データ復号部205は、STA200の割当電力より大きい電力が割り当てられたユーザ(他のSTA)が存在する場合、他のSTAのSTA情報(例えば、多重電力比、符号化方法、MCS、又は、周波数リソース)に基づいて、他のSTA宛ての信号を復調及び復号し、Cyclic Redundancy Check(CRC)等の誤り判定を行う。誤り判定結果において誤りが無い場合、データ復号部205は、他のSTAのSTA情報(例えば、多重電力比、符号化方法、MCS又は周波数リソース)に基づいて、復号した信号を符号化及び変調した信号にチャネル推定値を掛け合わせて、信号レプリカを生成する。データ復号部205は、データ部から、生成した信号レプリカを減算することにより、STA200宛の信号を抽出し、復号する。なお、データ部から信号レプリカを減算する領域は、時間領域でもよく、周波数領域でもよい。また、STA200の割当電力より大きい電力を割り当てられたユーザが複数存在する場合、データ復号部205は、割当電力が大きいSTAの順にSIC処理により信号レプリカを生成し、復調データから減算することにより、STA200宛ての信号を抽出してよい。
【0054】
また、例えば、データ復号部205は、NOMA判定結果がNOMA信号(換言すると、NOMA信号によって多重されたこと)を示さない場合、制御情報(例えば、符号化方法又はMCS等)に基づいて、復調データを復号する。
【0055】
無線品質情報生成部206は、Preamble復調部202から入力されるチャネル推定結果、及び、周波数リソース毎に測定された無線品質(例えば、平均SNR)の少なくとも一つを示す無線品質情報を生成し、変調部207に出力する。
【0056】
変調部207は、無線品質情報生成部206から入力される信号に対してIFFT処理又は変調等の処理を行い、変調後の信号(例えば、データ信号又はOFDM信号と呼ぶ)を生成する。また、変調部207は、データ信号に対してPreamble部を付加した無線フレーム(換言すると、パケット信号)を生成し、無線送信部208へ出力する。
【0057】
無線送信部208は、変調部207から入力される無線フレームに対して、D/A変換、キャリア周波数へのアップコンバート等の無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナを介してAP100へ送信する。
【0058】
[AP及びSTAの動作例]
次に、本実施の形態のAP100及びSTA200の動作例について説明する。
【0059】
例えば、AP100は、MU-MIMO又はOFDMAによって多重された複数のSTA200に対するSTA情報を含む1つのPPDUヘッダにおいて、NOMAグループを特定する情報(例えば、NOMA制御情報)を送信する。NOMA制御情報には、例えば、対応するSTA200がNOMAグループに含まれるNOMAユーザであるか否かを示す情報、及び、NOMAグループを示す情報が含まれてよい。
【0060】
以下では、一例として、11axにおけるMU伝送用の制御情報(例えば、DL MU伝送の場合はSIG-B)のフォーマットにおいてNOMA制御情報を送信する方法について説明する。
【0061】
図10は、無線通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
【0062】
図10では、一例として、AP100及び2つのSTA200(例えば、STA1及びSTA2)におけるNOMA信号を含むMU伝送の動作例について説明する。なお、MU伝送において、空間多重又は周波数多重されるユーザ数は2個に限らず、3個以上でもよい。また、MU伝送において、NOMAにより電力多重されるユーザ数は2個に限らず、3個以上でもよい。
【0063】
図10において、AP100は、例えば、STA1及びSTA2に対して、DL MU伝送(例えば、MU-MIMO又はOFDMA)によってNDPを送信する(ST101)。STA1及びSTA2は、AP100から送信されるNDPの受信処理を行う(ST102-1及びST102-2)。
【0064】
STA1及びSTA2は、例えば、NDPのPreamble部に含まれる参照信号(例えば、Long Training Field(LTF))に基づいて、チャネル推定結果及び周波数リソース毎に測定した平均SNR等を含む無線品質情報を生成する(ST103-1及びST103-2)。STA1及びSTA2は、無線品質情報をAP100に対してそれぞれUplink(UL)送信する(ST104-1及びST104-2)。
【0065】
AP100は、STA1及びSTA2から送信されるUL信号を受信し、UL信号に含まれる無線品質情報を取得する(ST105)。
【0066】
AP100は、例えば、STA毎の無線品質情報に加え、受信SINR、平均/瞬時ユーザスループット、パスロス、又は、SIC処理量に基づいて、各STAに対するスケジューリング処理を行う(ST106)。例えば、AP100は、NOMAグループに含まれるSTAの組み合わせ、及び、NOMAグループにおけるSTAに対する多重電力比を決定してもよい。また、AP100は、STA毎の多重電力比に対応したMCS及び符号化方法を決定してもよい。
【0067】
AP100は、例えば、制御情報(例えば、SIG-B)に含めるNOMA制御情報(例えば、NOMAに関するスケジューリング情報)に基づいて、STA1及びSTA2に対して、NOMA信号を含むDL MU信号を送信する(ST107)。
【0068】
図11は、DL MU信号のフォーマット、及び、MU MIMO NOMAの一例を示す。
【0069】
図11では、一例として、DL MU信号において多重されるSTAに、STA1及びSTA2に加え、STA3~STA5が含まれる例を示す。図11に示す例では、STA1及びSTA2は、NOMAグループ1に含まれるNOMAユーザであり、STA3及びSTA4は、NOMAグループ2に含まれるNOMAユーザである。また、図11に示す例では、STA5は、NOMAグループに含まれない非NOMAユーザである。
【0070】
この場合、図11に示すように、DL MU信号のPreamble部(例えば、PPDUヘッダ)のSIB-B(例えば、User field)には、多重されたSTA1~STA5に対するSTA情報がそれぞれ含まれる。
【0071】
また、図11に示すSIG-Bには、各STAが含まれるNOMAグループを特定する情報が含まれてよい。NOMAグループを特定する情報は、例えば、各NOMAグループに適用されるビーム(又はプリコーディング)に対応するBeam IDでもよい。Beam IDは、例えば、User fieldに含まれてよい。
【0072】
図11に示す例では、Beam ID=0は、非NOMAユーザを示し、Beam ID≠0は、NOMAユーザを示す。また、図11に示す例では、Beam ID≠0のBeam IDには、NOMAグループ毎に異なる値が設定される。換言すると、Beam ID(NOMA制御情報)は、多重される複数のSTA200のそれぞれがNOMAユーザ(換言すると、NOMAによる送信対象)であるか否かを示す情報である。
【0073】
よって、図11では、例えば、NOMAグループ1に含まれるSTA1及びSTA2に対して、「Beam ID=1」が設定され、NOMAグループ2に含まれるSTA3及びSTA4に対して、「Beam ID=2」が設定される。また、何れのNOMAグループにも含まれない非NOMAユーザであるSTA5に対して、「Beam ID=0」が設定される。
【0074】
このように、例えば、MU-MIMO又はOFDMAによって多重された複数のユーザ(STA)に対するSTA情報を含むPreamble部(例えば、PPDUヘッダ)において、AP100は、複数のSTA200の中のNOMAによって多重されるSTA200を特定する情報(例えば、Beam ID)を送信する。
【0075】
図10において、STA1及びSTA2は、DL MU信号(例えば、NOMA信号)の受信処理を行う(ST108-1及びST108-2)。例えば、STA1及びSTA2は、DL MU信号に含まれるSIG-Bに基づいて、各STA宛てのSTA情報を特定する。
【0076】
また、例えば、STA1及びSTA2は、STA情報に含まれる、NOMA制御情報(例えば、Beam ID)に基づいて、各STAが含まれるNOMAグループを特定する。例えば、図11に示す例では、STA1及びSTA2の各々は、各STAに対応するSTA情報にBeam ID=1が設定されているので、STA1及びSTA2がNOMAグループ1に含まれると判断する。
【0077】
また、STA1及びSTA2は、例えば、STA情報に含まれる多重電力比(図11では図示せず)に関する情報に基づいて、受信信号のデータ部からSTA1及びSTA2宛ての信号をそれぞれ抽出し、復号を行ってもよい。例えば、各STA200は、SIC処理可能の場合、STA情報において、STA200と共通のBeam IDが設定され、かつ、STA200の割当電力より大きい電力が割り当てられた他のSTAに対する信号レプリカを生成し、データ部から信号レプリカを減算することにより、STA200宛ての信号を抽出し、復号を行ってもよい。
【0078】
以上のように、本実施の形態では、AP100は、例えば、MU-MIMO又はOFDMA等によって多重される複数のSTA200のうちNOMAによる送信対象とするNOMAグループに関するNOMA制御情報を生成し、上記複数のSTA200宛ての制御情報を送信する期間(例えば、SIG-Bフィールド)において、NOMA制御情報を送信する。また、STA200は、例えば、下りの制御情報の受信期間(例えば、SIG-Bフィールド)において、NOMAによって多重されたNOMAグループに関するNOMA制御情報を受信し、NOMA制御情報に基づいて、下りのNOMA信号の受信を制御する。
【0079】
これにより、STA200は、DL MU信号に含まれる複数のSTAに対する制御情報(例えば、SIG-B)に基づいて、STA200に対するNOMAに関する制御内容(例えば、NOMAの適用の有無、NOMAグループ、又は、NOMAユーザ数等)を特定できる。よって、本実施の形態によれば、STA200は、例えば、SIG-Bに含まれる複数のSTA情報に基づいて、STA200に対するNOMA処理を適切に制御できる。
【0080】
(実施の形態2)
本実施の形態では、例えば、複数のSTA宛ての制御情報の送信期間(例えば、PPDUヘッダ又はSIG-Bフィールド等)のうち、STAに対する共通情報を送信する期間(例えば、Common field)において、NOMA制御情報を送信(換言すると、通知)する方法について説明する。
【0081】
なお、本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係るAP100及びSTA200と基本構成が共通するので、図8及び図9を援用して説明する。
【0082】
例えば、本実施の形態では、AP100は、共通情報に含まれる周波数リソース割当情報(例えば、RU Allocation subfield)によって、周波数リソース(RU)に割り当てられたNOMAグループを特定するNOMA制御情報(例えば、NOMAグループの有無、又は、NOMAユーザ数)をSTA200へ通知する。
【0083】
なお、本実施の形態では、NOMAグループにおけるNOMAユーザ間の多重電力比は、例えば、各ユーザ(換言すると、STA)に対するSTA情報にそれぞれ含まれてよい。
【0084】
例えば、AP100は、共通情報(例えば、Common field)において、NOMAグループを含む周波数リソース(例えば、RU)をSTA200へ通知する。例えば、AP100は、共通情報に含まれる周波数リソース割当情報(例えば、RU Allocation subfield)にNOMA制御情報を含めてよい。例えば、共通情報のうち周波数リソース割当情報に示される周波数リソース(例えば、空間多重が可能なRU)において、NOMAグループが割り当てられるか否かを示すNOMA制御情報(例えば、「NOMA bit」と呼ぶ)が追加されてよい。
【0085】
図12は、NOMA bitを含む周波数リソース割当情報(例えば、RU Allocation subfield)の一例を示す。図12は、一例として、8ビットのRU allocationのビット系列と9個のRU(例えば、RU#1~RU#9)の割り当てパターンとの関連付け、及び、2ビットのNOMA bitとNOMAグループの有無との関連付けを示す。なお、NOMA bitのビット数は、2ビットに限らず、1ビット又は3ビット以上でもよい。
【0086】
図12では、一例として、11axにおいて空間多重可能である106-tone以上のRU(図12では、例えば、106-tone、242-tone、484-tone及び996-tone等)に対するNOMA bitが追加される例を示す。なお、空間多重が可能なRUは、図12に示す106-tone以上のRUに限定されない。
【0087】
図12において、空間多重が可能なRUを1つ含む場合、NOMA bitは、対応するRUにおけるNOMAグループの有無を示す。例えば、図12では、RU allocationのビット系列「00010y2y1y0」~「11011y2y1y0」、かつ、NOMA bit=0の場合、空間多重可能な1つのRUにNOMAグループが含まれないことを示す。また、図12では、RU allocationのビット系列「00010y2y1y0」~「11011y2y1y0」、かつ、NOMA bit=1の場合、空間多重可能な1つのRUにNOMAグループが含まれることを示す。
【0088】
また、図12において、空間多重が可能なRUを2つ含む場合、NOMA bitは、RUの組み合わせ毎にNOMAグループの有無を示す。例えば、図12では、RU allocationのビット系列「0110y1y0y1y0」及び「10y2y1y0y2y1y0」の何れかにおいて、NOMA bit=0の場合、2つのRU(例えば、RU#1~RU#4及びRU#6~RU#9)の両方にNOMAグループが含まれないことを示す。また、例えば、NOMA bit=1の場合、右側のRU(例えば、RU#6~RU#9)にNOMAグループが含まれることを示し、NOMA bit=2の場合、左側のRU(例えば、RU#1~RU#4)にNOMAグループが含まれることを示し、NOMA bit=3の場合、2つのRUの両方(例えば、RU#1~RU#4、及び、RU#6~RU#9)にNOMAグループが含まれることを示す。
【0089】
例えば、AP100は、共通情報に含まれる周波数リソース割当情報、及び、NOMA bitに基づいて、STA情報に含まれるパラメータを可変に設定できる。例えば、AP100は、NOMAグループを含まないRUに割り当てられるSTA200に対するSTA情報には、多重電力比に関する情報を含めなくてよい。換言すると、AP100は、例えば、NOMAグループを含むRUに割り当てられるSTA200に対するSTA情報に、多重電力比に関する情報を含めてよい。
【0090】
このように、本実施の形態によれば、AP100は、共通情報に基づいて、NOMAグループに関する情報をSTA情報(換言すると、User field)に含めるか否かを決定できる。これにより、STA情報のシグナリング量を低減できる。
【0091】
次に、本実施の形態に係るNOMA制御情報の通知方法の一例として、方法2-1及び方法2-2についてそれぞれ説明する。
【0092】
<方法2-1>
方法2-1では、AP100は、共通情報(例えば、Common field)の周波数リソース割当情報(例えば、RU Allocation subfield)において、各NOMAグループに共通のNOMAユーザ数を示す情報(例えば、NOMA制御情報)を各STA200へ通知する。
【0093】
方法2-1では、例えば、共通情報に含まれる周波数リソース割当情報に示される空間多重が可能なRUにおいてNOMAグループが割り当てられるか否かを示す情報、及び、NOMAグループに含まれるNOMAユーザ数を示すNOMA制御情報(例えば、NOMA bit)が追加される。なお、NOMAグループにおけるNOMAユーザ数は、例えば、複数のNOMAグループにおいて共通のNOMAユーザ数を示してよい。
【0094】
図13は、方法2-1における、NOMA bitを含む周波数リソース割当情報(例えば、RU Allocation subfield)の一例を示す。図13は、一例として、8ビットのRU allocationのビット系列と9個のRU(例えば、RU#1~RU#9)の割り当てパターンとの関連付け、及び、2ビットのNOMA bitとNOMAグループの有無及びNOMAグループ数との関連付けを示す。なお、NOMA bitのビット数は、2ビットに限らず、1ビット又は3ビット以上でもよい。
【0095】
図13では、一例として、11axにおいて空間多重可能である106-tone以上のRUに対するNOMA bitが追加される例を示す。なお、空間多重が可能なRUは、図13に示す106-tone以上のRUに限定されない。
【0096】
図13において、同一のRU上で多重される各NOMAグループに含まれるNOMAユーザ数が等しい場合(例えば、NOMAユーザ数=2の場合)、AP100は、共通情報の周波数リソース割当情報に示される空間多重が可能なRUにおける各NOMAグループに共通のNOMAユーザ数を通知する。なお、各NOMAグループに共通のNOMAユーザ数は、2個に限らず、3個以上でもよい。換言すると、NOMA bitによって、NOMAグループの有無、及び、NOMAグループに共通のNOMAユーザ数がSTA200へ通知される。
【0097】
また、方法2-1では、AP100は、例えば、SIG-Bに含まれる各STAに対するSTA情報を、NOMAグループ毎に多重電力比の順に並べる。例えば、AP100は、SIG-BのUser Specific fieldにおいて、NOMAユーザに対するSTA情報を、NOMAにおける割当電力(例えば、多重電力比)の順(例えば、昇順及び降順の何れか一方の順)に配置する。
【0098】
図14は、NOMAグループに共通のNOMAグループ数=2の場合のMU-MIMO NOMA、及び、User Specific fieldにおけるSTA情報の一例を示す。図14において、AP100は、STA1及びSTA2を含むNOMAグループ1と、STA3及びSTA4を含むNOMAグループ2と、STA5及びSTA6を含むNOMAグループ3とに対して、MU-MIMO NOMAによってDL MU信号を送信する。
【0099】
このとき、NOMA bitは、例えば、各NOMAグループに共通のNOMAユーザ数= 2を示す。
【0100】
また、図14に示すように、AP100は、DL MU信号に含まれるSIG-BのUser Specific fieldにおいて、NOMAグループ毎(換言すると、ビーム毎)に、割り当てられる送信電力の大きい順にSTA情報を配置する(換言すると、並べる)。例えば、図14では、NOMAグループ#1(ビーム#1)に対して、送信電力の大きいSTA1、STA2の順にSTA情報が配置される。同様に、例えば、図14では、NOMAグループ#2(ビーム#2)に対して、送信電力の大きいSTA3、STA4の順にSTA情報が配置され、NOMAグループ#3(ビーム#3)に対して、送信電力の大きいSTA5、STA6の順にSTA情報が配置される。
【0101】
このように、AP100は、複数のSTA200宛ての制御情報の送信期間(例えば、PPDUヘッダ又はSIG-Bフィールド等)のうちNOMAグループにおけるSTA200に個別の情報(例えば、STA情報)を送信する期間(例えば、User Specific field)において、STA情報をNOMAにおける割当電力に応じた順序で送信する。
【0102】
各STA200は、DL MU信号を受信した後、共通情報の周波数リソース割当情報(例えば、RU Allocation subfield)に基づいて、例えば、各STA200に割り当てられるRU、割り当てられるRUにおけるNOMAグループの有無、及び、NOMAグループに共通のNOMAユーザ数を特定し、ユーザ情報(例えば、User Specific field)に基づいて、各STA200宛てのSTA情報を取得する。また、各STA200は、各STA200に対するSTA情報の並び順と、NOMAグループに共通のNOMAユーザ数とに基づいて、当該STA200がどのSTAと同じNOMAグループに含まれているか、及び、同一NOMAグループにおける送信電力の大小関係を特定する。
【0103】
例えば、図14の場合(例えば、NOMAグループに共通のNOMAユーザ数=2の場合)、STA4は、受信したDL MU信号の共通情報に基づいてNOMAグループのNOMAユーザ数が2であると判断する。また、STA4は、受信したDL MU信号のユーザ情報に基づいて、STA4に対するSTA情報が4番目に配置されているので、STA4がSTA3と同じNOMAグループ2(ビーム#3)に含まれ、STA4の割当電力がSTA3の割当電力よりも小さいと判断する。図14に示すSTA4と異なる他のSTA200(例えば、STA1~STA3、STA5及びSTA6)も同様にして、NOMAグループ及びNOMAグループ内の送信電力の大小関係を判断する。
【0104】
このように、方法2-1では、STA200は、共通情報に含まれるNOMA bit及びユーザ情報に含まれるSTA情報の並び順に基づいて、各NOMAグループに含まれるSTA200の組み合わせを判別できる。このため、STA情報において、NOMAグループを特定する情報、例えば、ビーム(Beam ID)に関するシグナリングを削除できる。
【0105】
また、方法2-1では、STA200は、STA情報の並び順に基づいて、当該STA200がNOMAグループ内において何番目に電力オフセット値が大きいかを判別できる。このため、STA200は、例えば、NOMAグループ内の多重電力比における当該STA200と他のSTAとの割当電力(換言すると、電力オフセット値)の大小関係を特定できる。よって、方法2-1によれば、NOMAグループ内の多重電力比におけるSTA200間の割当電力の大小関係に関するシグナリング(例えば、後述する図16に示す「Tx Power Offset ID」)を削減できる。
【0106】
なお、図14では、割当電力(例えば、送信電力)の大きい順(換言すると、降順)にSTA情報が並べられる場合について説明したが、これに限らず、例えば、割当電力の小さい順(換言すると、昇順)にSTA情報が並べられてもよい。
【0107】
<方法2-2>
方法2-2では、共通情報(例えば、Common field)の周波数リソース割当情報(例えば、RU Allocation subfield)において通知されるNOMA制御情報は、AP100による空間多重数(換言すると、MU多重数)が最大の場合に限定する。
【0108】
図15は、方法2-2における周波数リソース割当情報の一例を示す。図15は、一例として、8ビットのRU allocationのビット系列と、9個のRU(例えば、RU#1~RU#9)の割り当てパターン及びNOMAユーザ数と、が関連付けられている。
【0109】
図15では、一例として、11axにおいて空間多重可能である106-tone以上のRU(例えば、RU#6~RU#9)のうち、空間多重数が最大の8個である場合に、NOMAが可能であることを示す。例えば、AP100は、NOMA bit無しで、RUにおけるNOMAユーザ数を通知してもよい。
【0110】
例えば、図15に示す8ビットのRU allocationのビット系列が「00010000」~「00010111」の場合、NOMAが使用されないこと、すなわち、NOMAユーザ数=0がSTA200へ通知される。
【0111】
また、図15に示す8ビットのRU allocationのビット系列が「00011000」の場合、すなわち、空間多重数(換言すると、MU多重数)が8個の場合、NOMAが使用可能であり、例えば、NOMAユーザ数=2であることがSTA200へ通知される。
【0112】
このように、図15に示す例では、空間多重数が7個以下では、NOMAは使用されない。換言すると、NOMAユーザ数=2を示すNOMA制御情報は、周波数リソース割当情報における複数の周波数リソース候補(換言すると、割当パターン)のうちの一部の周波数リソース候補値(図15では、「00011000」)に関連付けられている。よって、図15では、空間多重数が7個以下の場合を示す周波数リソース割当情報(割当パターン)において、NOMAユーザ数を示す割当パターンは不要となる。
【0113】
このように、方法2-2では、共通情報に含まれる周波数リソース割当情報(例えば、RU Allocation subfield)において、NOMA制御情報に関連付けられた周波数リソースの割当パターンを、一部の周波数リソースの割当パターンに制限できる。このため、周波数リソース割当情報に関するシグナリングを低減できる。
【0114】
なお、NOMAを使用可能な周波数リソース割当パターンを制限する場合、RU Allocation subfieldのReserved bitが、NOMAに関する情報の通知に使用されてもよい。
【0115】
また、図15では、空間多重数が最大の場合にNOMA制御情報が通知される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、設定可能な複数の空間多重数のうち、一部の空間多重数が設定される場合に、NOMA制御情報が通知されてもよい。上記一部の空間多重数は、例えば、最大空間多重数と異なる多重数でもよい。また、NOMA制御情報が通知される一部の空間多重数は、1種類に限らず、2種類以上でもよい。
【0116】
(実施の形態3)
本実施の形態では、例えば、複数のSTA宛ての制御情報の送信期間(例えば、PPDUヘッダ又はSIG-Bフィールド等)のうちNOMAグループにおけるSTAに個別の情報(例えば、STA情報)を送信する期間(例えば、User Specific field)において、NOMA制御情報(例えば、NOMAユーザ数、及び、多重電力比)を送信(換言すると、通知)する方法について説明する。
【0117】
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係るAP100及びSTA200と基本構成が共通するので、図8及び図9を援用して説明する。
【0118】
以下、NOMA制御情報の通知方法の一例として、方法3-1及び方法3-2についてそれぞれ説明する。
【0119】
<方法3-1>
図16は、方法3-1に係るDL MU伝送用のSIG-Bにおけるユーザ情報(User field)のフォーマットの一例を示す。
【0120】
図16に示すユーザ情報には、例えば、規定のテーブルから、多重電力比を決定する場合のNOMA制御情報(例えば、図16に示すBeam ID、Tx Power Table、及び、Tx Power Offset ID)が含まれる。
【0121】
図16に示す「Beam ID」は、例えば、Beam IDに対応するNOMAグループにSTA200が含まれるか否かを示す情報である。例えば、Beam ID = 0は、STA200がNOMAグループに含まれない非NOMAユーザであることを示す。また、Beam ID ≠ 0は、STA200がNOMAグループに含まれるNOMAユーザであることを示す。
【0122】
なお、複数のNOMAグループが存在する場合、NOMAグループ毎に異なるBeam IDの値が設定されてよい。換言すると、同一ビーム(Beam ID)を使用するSTA200を含むグループを1つのNOMAグループとしてもよい。なお、NOMAグループは、同一ビーム、かつ、同一RUを設定されたSTA200によって構成されてもよい。また、NOMAグループに含まれるNOMAユーザ数は、2個に限らず、3個以上でもよい。
【0123】
図16に示す「Tx Power Table」は、例えば、多重電力比に関するテーブルの種類を示す情報である。また、図16に示す「Tx Power Offset ID」は、例えば、Tx Power Tableに含まれるSTA毎の電力オフセット値(以下、「α」と表す)の識別子を示す情報である。
【0124】
図17は、Tx Power Tableの一例を示す。
【0125】
図17において、Tx Power Tableは、NOMAユーザ数(図17では2及び3)毎の電力オフセット値α(iはTx Power Offset IDの値)の組み合わせを示す。なお、NOMAグループにおけるNOMAユーザ数は、2個及び3個に限定されず、4個以上のNOMAユーザ数を含んでもよい。
【0126】
AP100は、例えば、NOMAグループに含めるSTA200(換言すると、STA数)を決定した後、図17に示すテーブルから、電力オフセット値の組み合わせ(換言すると、多重電力比)を選択し、NOMA信号を含むDL MU信号をSTA200に送信する。このとき、DL MU信号に含まれるSTA情報には、例えば、図16に示すように、NOMAグループを示す「Beam ID」、電力オフセット値の組み合わせを示す「Tx Power Table」、及び、Tx Power Tableにおける電力オフセット値を示す「Tx Power Offset ID」が含まれてよい。
【0127】
STA200は、例えば、STA情報(例えば、図16を参照)を含むDL MU信号を受信した後、STA情報に含まれるBeam IDに基づいて、当該STA200と同じNOMAグループに含まれる他のSTA、及び、NOMAユーザ数を特定する。また、STA200は、例えば、STA情報に含まれるTx Power Table及びTx Power Offset IDに基づいて、各STA200に対する電力オフセット値を特定する。
【0128】
一例として、図17において、NOMAユーザ数が「3」である場合に、Tx Power Tableが「01」を示し、Tx Power Offset IDが「2」を示す場合、STA200は、当該STA200に対する電力オフセット値を「α2=0.20」に設定する。他の場合についても同様である。
【0129】
例えば、STA200は、特定したNOMAグループ、NOMAグループ内のNOMAユーザ数、及び、NOMAグループ内の各STAに設定された電力オフセット値に基づいて、所望信号を抽出し、復号を行う。
【0130】
このように、方法3-1によれば、STA200は、STA情報に含まれるNOMA制御情報に基づいて、例えば、STA200が含まれるNOMAグループ、NOMAグループ内のNOMAユーザ数、及び、多重電力比(例えば、電力オフセット値)等を特定できる。よって、方法3-1によれば、STA200は、例えば、SIG-Bに含まれる複数のSTA情報に基づいて、STA200に対するNOMA処理を適切に制御できる。
【0131】
また、方法3-1では、例えば、図17に示すテーブルにおいて、電力オフセット値が規定されているので、AP100及びSTA200におけるNOMAに関する制御の処理量(例えば、計算負荷)を低減できる。
【0132】
<方法3-2>
図18は、方法3-2に係るDL MU伝送用のSIG-Bにおけるユーザ情報(User field)のフォーマットの一例を示す。
【0133】
図18に示すユーザ情報には、例えば、規定の電力オフセット値の候補から、多重電力比を決定する場合のNOMA制御情報(例えば、図18に示すBeam ID、及び、Tx Power Offset)が含まれる。
【0134】
図18に示す「Beam ID」は、図16と同様、例えば、Beam IDに対応するNOMAグループにSTA200が含まれるか否かを示す情報である。
【0135】
また、図18に示す「Tx Power Offset」は、例えば、規定された電力オフセット値を示す。
【0136】
図19は、Tx Power Offsetと、規定された電力オフセット値(換言すると、候補値)との対応関係を示すテーブルの一例を示す。
【0137】
AP100は、例えば、NOMAグループに含めるSTA200(換言すると、STA数)を決定した後、図19に示すテーブルから、電力オフセット値の組み合わせを選択(換言すると、探索)し、NOMA信号を含むDL MU信号をSTA200に送信する。このとき、DL MU信号に含まれるSTA情報には、例えば、図18に示すように、NOMAグループを示す「Beam ID」、及び、対応するSTA200に設定された電力オフセット値を示す「Tx Power Offset」が含まれてよい。
【0138】
STA200は、例えば、STA情報(例えば、図18を参照)を含むDL MU信号を受信した後、STA情報に含まれるBeam IDに基づいて、当該STA200と同じNOMAグループに含まれる他のSTA、及び、NOMAユーザ数を特定する。また、STA200は、例えば、STA情報に含まれるTx Power Offsetに基づいて、同一NOMAグループ内の各STA200に対する電力オフセット値を特定する。例えば、STA200は、特定したNOMAグループ、NOMAグループ内のNOMAユーザ数、及び、NOMAグループ内の各STAに設定された電力オフセット値に基づいて、所望信号を抽出し、復号を行う。
【0139】
このように、方法3-2によれば、STA200は、STA情報に含まれるNOMA制御情報に基づいて、例えば、STA200が含まれるNOMAグループ、NOMAグループ内のNOMAユーザ数、及び、多重電力比(例えば、電力オフセット値)等を特定できる。よって、方法3-2によれば、STA200は、例えば、SIG-Bに含まれる複数のSTA情報に基づいて、STA200に対するNOMA処理を適切に制御できる。
【0140】
また、方法3-2では、AP100は、例えば、図19に示すテーブルにおいて、NOMAグループに含まれる複数のSTA200に対する電力オフセット値(換言すると、候補)を個別に選択(換言すると探索)できる。よって、方法3-2では、方法3-1と比較して、各STA200に対する電力オフセット値を適切に設定できる。
【0141】
以上、方法3-1及び方法3-2についてそれぞれ説明した。
【0142】
例えば、図16及び図18では、11axと同様に、ユーザ情報(例えば、User Specific field)の構成(例えば、サイズ及びSub field種別)は固定長の構成でもよい。または、図16及び図18に示すユーザ情報の構成は、NOMAユーザ及び非NOMAユーザのそれぞれに応じた可変長の構成でもよい。ユーザ情報が可変長の場合、AP100は、各STA情報の構成(例えば、サイズ及びSub field種別等)を示す制御情報をSTA200へ通知してもよい。また、STA200は、例えば、NOMAユーザ及び非NOMAユーザに応じた可変長のユーザ情報をブラインド復号してもよい。STA200がブラインド復号する場合、STA情報の構成を示す制御情報の通知は不要となる。
【0143】
ここで、方法3-1(例えば、図16)及び方法3-2(例えば、図18)において、例えば、STA情報の構成が固定の場合、MU伝送におけるユーザ多重数に比例して、STA情報に含まれるNOMA制御情報(例えば、Beam ID、Tx Power Table又はTx Power Offset ID又はTx Power Offset)のシグナリング量(換言すると、オーバヘッド)が増加する。
【0144】
そこで、以下では、STA情報におけるNOMA制御情報のオーバーヘッドを低減する方法の一例として、方法3-3及び方法3-4についてそれぞれ説明する。方法3-3及び方法3-4によれば、NOMA制御情報のオーバーヘッドを低減でき、システム性能を向上できる。
【0145】
<方法3-3>
方法3-3は、NOMAグループ内の多重電力比をSTA情報の並び順に応じて通知する方法である。
【0146】
なお、方法3-3では、一例として、上述した方法3-1に基づくSTA情報のフォーマット(例えば、図16を参照)を前提とする。
【0147】
方法3-3では、AP100は、例えば、STA200毎の無線品質情報(例えば、受信SINR、平均/瞬時ユーザスループット、パスロス、SIC処理量等)に基づいて決定した多重電力比に応じて、SIG-BにおけるSTA情報の並び順を決定する。
【0148】
図20は、方法3-3におけるSIG-Bのフォーマット例を示す。例えば、図20は、AP100がSTA1、STA2及びSTA3を含むNOMAグループに対して、図21に示す多重電力比(例えば、STA1>STA3>STA2)に基づいて、DL MU信号を送信する場合のSTA情報を示す。
【0149】
図20に示すように、AP100は、多重電力比における割当電力の大きい順(例えば、STA1>STA3>STA2の順)に、各STA200のSTA情報を配置する。なお、各STA200のSTA情報には、例えば、Beam ID及びTx Power Table等のNOMA制御情報が含まれる。このように、AP100は、NOMAグループにおけるSTA200毎のNOMA制御情報を、NOMAにおける割当電力に応じた順序で送信する。
【0150】
STA200は、受信したDL MU信号のユーザ情報(例えば、User Specific field)におけるSTA情報の並び順に基づいて、当該STA200がNOMAグループの中で何番目に電力オフセット値が大きいかを判別できる。
【0151】
例えば、STA200は、図20に示すSTA情報に示されるBeam IDに基づいて、当該STA200を含むNOMAグループ及びNOMAユーザ数を特定し、STA情報に示されるTx Power Tableに対応する多重電力比(例えば、図17を参照)を特定する。そして、STA200は、NOMAグループ内の複数のSTA200に対するSTA情報の並び順に基づいて、各STA200に対する電力オフセット値を特定する。
【0152】
これにより、方法3-3では、例えば、方法3-1(例えば、図16を参照)における「Tx Power Offset ID」に関するシグナリングを削減できる。
【0153】
なお、図20では、多重電力比における割当電力の大きい順(換言すると、降順)にSTA情報が配置される場合について説明した。しかし、これに限定されず、例えば、多重電力比における割当電力の小さい順(換言すると、昇順。例えば、図21では、STA2<STA3<STA1)にSTA情報が配置されてもよい。
【0154】
<方法3-4>
方法3-4は、STA情報に含まれる空間ストリーム情報(例えば、Spatial Configuration subfield)を多重電力比に関する情報(換言すると、NOMA制御情報)に読み替える方法である。
【0155】
ここで、同じNOMAグループに含まれるSTA200宛ての信号は、同じビーム(換言すると、同じ空間ストリーム)によって多重される。このため、同じNOMAグループに含まれるSTA200には、共通の空間ストリーム情報が設定される。換言すると、同じNOMAグループに含まれるSTA200の各STA情報には、同じ空間ストリーム情報が設定される。
【0156】
そこで、方法3-4では、AP100は、NOMAグループにおける或るSTA200(例えば、第1STAとする)に対応する空間多重設定に関する情報の送信期間(例えば、Spatial Configuration subfield)において空間多重に関するパラメータ(例えば、空間ストリーム数)を送信し、NOMAグループにおける他のSTA200(例えば、第2STAとする)に対応するSpatial Configuration subfieldにおいて、NOMA制御情報(例えば、多重電力比に関する情報)を送信する。
【0157】
例えば、AP100は、SIG-Bにおいて、多重電力比における割当電力が最大のSTA200に対するSTA情報を先頭に配置する。また、AP100は、割当電力が最大のSTA200に対するSTA情報に空間パラメータを設定し、他のSTA200に対するSTA情報に多重電力比に関する情報を設定して、複数のSTA200宛のDL MU信号を送信する。
【0158】
STA200は、受信したDL MU信号に含まれるNOMAグループの先頭のSTAに対するSTA情報の空間ストリーム情報に基づいて、同じNOMAグループ内のNOMAユーザ間で共通の空間ストリーム数を特定する。また、STA200は、NOMAグループにおいて、先頭のSTA情報と異なるSTA情報に含まれる空間ストリーム情報を多重電力比に関する情報に読み替える。
【0159】
なお、方法3-4では、一例として、上述した方法3-1(例えば、図16を参照)及び方法3-2(例えば、図18を参照)のSTA情報のフォーマットに対応可能である。
【0160】
図22は、方法3-4におけるSIG-Bのフォーマットの一例を示す。
【0161】
例えば、図22は、方法3-1(図16)のSTA情報のフォーマットにおいて、空間ストリーム情報を多重電力比に読み替える場合の例を示す。また、図22に示す例では、AP100は、STA1、STA2及びSTA3を含むNOMAグループに対して、図21に示す多重電力比(例えば、STA1>STA3>STA2)に基づいて、DL MU信号を送信する。よって、図22では、割当電力が最大のSTA1に対するSTA情報がUser Specific fieldの先頭に配置される。
【0162】
図22に示すように、User Specific fieldの先頭に配置されるSTA1に対するSTA情報のSpatial Configuration subfieldでは、例えば、空間ストリーム数に関する情報が送信される。一方、図22に示すように、User Specific fieldにおいて、先頭のSTA1以外のSTA2及びSTA3に対するSTA情報のSpatial Configuration subfieldでは、例えば、多重電力比に関する情報(例えば、Tx Power Table及びTx Power Offset ID)が送信される。
【0163】
各STA200は、図22に示すSIG-Bにおいて、STA2及びSTA3に対するSTA情報のSpatial Configuration subfieldにおいて、多重電力比に関する情報を取得する。例えば、各STA200は、図22に示すSTA2及びSTA3に対するSTA情報に基づいて、STA2及びSTA3に対する多重電力比における割当電力(例えば、電力オフセット値)を特定する。また、各STA200は、図22に示すSTA1に対する多重電力比における割当電力(例えば、電力オフセット値)を、例えば、STA1と同じNOMAグループの他のSTA(例えば、STA2及びSTA3)に対するSTA情報に含まれるTx Power Tableにおける電力オフセットの組み合わせの中の最大値に設定してよい。
【0164】
なお、方法3-4では、図22において、方法3-3を組み合わせてもよい。例えば、図22において、NOMAグループ内の複数のSTA200に対するSTA情報は、多重電力比における割当電力の大きい順に配置されてもよい。これにより、STA200は、各STA200のSTA情報の並び順に応じて、多重電力比における各STA200に割り当てられた送信電力の大小関係を特定できる。よって、例えば、STA200は、空間ストリーム情報によって通知されるTx Power Tableにおける電力オフセットの組み合わせの中から、NOMAグループ内の各STA200に対応する電力オフセット値を特定できる。これにより、例えば、図22に示すTx Power Offset IDに関するシグナリングを削減できる。
【0165】
次に、図23は、方法3-4におけるSIG-Bのフォーマットの他の例を示す。
【0166】
例えば、図23は、方法3-2(図18)のSTA情報のフォーマットにおいて、空間ストリーム情報を多重電力比に読み替える場合の例を示す。また、図23に示す例では、AP100は、STA1、STA2及びSTA3を含むNOMAグループに対して、図21に示す多重電力比(例えば、STA1>STA3>STA2)に基づいて、DL MU信号を送信する。よって、図23では、割当電力が最大のSTA1に対するSTA情報がUser Specific fieldの先頭に配置される。
【0167】
図23に示すように、User Specific fieldの先頭に配置されるSTA1に対するSTA情報のSpatial Configuration subfieldでは、例えば、空間ストリーム数に関する情報が送信される。一方、図23に示すように、User Specific fieldにおいて、先頭のSTA1以外のSTA2及びSTA3に対するSTA情報のSpatial Configuration subfieldでは、例えば、多重電力比に関する情報(例えば、Tx Power Offset)が送信される。
【0168】
各STA200は、図23に示すSIG-Bにおいて、STA2及びSTA3に対するSTA情報のSpatial Configuration subfieldにおいて、多重電力比に関する情報を取得する。例えば、各STA200は、図23に示すSTA2及びSTA3に対するSTA情報に基づいて、STA2及びSTA3に対する多重電力比における割当電力(例えば、電力オフセット値)を特定する。また、各STA200は、図23に示すSTA1に対する多重電力比における割当電力(例えば、電力オフセット値)を、例えば、STA1と同じNOMAグループの他のSTA(例えば、STA2及びSTA3)に対応する電力オフセットの合計値を規定の送信電力から減算した値に設定してよい。
【0169】
このように、方法3-4によれば、全てのSTAに対するSTA情報において、多重電力比に関する情報(例えば、電力オフセット値)を通知するためのシグナリング(換言すると、subfield)を低減できる。
【0170】
なお、図22及び図23では、AP100が多重電力比における割当電力が最大のSTA200に対するSTA情報に空間パラメータを設定し、他のSTA200に対するSTA情報に多重電力比に関する情報を設定する場合について説明した。しかし、NOMAグループにおいて空間パラメータが設定される一部のSTAは、割当電力が最大のSTA200に限定されず、NOMAグループ内の何れか一つのSTA200であればよい。例えば、AP100が多重電力比における割当電力が最小のSTA200に対するSTA情報に空間パラメータを設定し、他のSTA200に対するSTA情報に多重電力比に関する情報を設定してもよい。
【0171】
以上、方法3-3及び方法3-4についてそれぞれ説明した。
【0172】
このように、本実施の形態によれば、各STA200は、1つのPPDUヘッダ(例えば、SIG-B)に含まれる複数のSTA200に対するSTA情報に基づいて、STA200に対するNOMA処理を適切に制御できる。
【0173】
(実施の形態4)
[無線通信システムの構成]
本開示の一実施例に係る無線通信システムは、少なくとも1つのAP300、及び、複数のSTA400を含む。
【0174】
例えば、DL通信(例えば、DLデータの送受信)では、AP300(又は、「下り無線送信装置」とも呼ぶ)は、複数のSTA400(又は、「下り無線受信装置」とも呼ぶ)に対するDL信号を、DL MU送信する。各STA400は、DL MU送信された信号から、当該STA400向けのDL信号を受信する。
【0175】
本実施の形態では、例えば、AP300がSTA400毎の受信処理能力情報に基づいて、応答信号の送信タイミングを制御する方法について説明する。
【0176】
「受信処理能力情報」は、例えば、STA400が所望信号を抽出可能か否かを示す情報、SIC処理可能か否かを示す情報、及び、受信処理に要する時間に関する情報の少なくとも一つの情報でもよい。なお、受信処理能力情報は、これらの情報に限らず、STA400における受信処理能力に関する他の情報でもよい。
【0177】
<AP300の構成例>
図24は、AP300の構成例を示すブロック図である。図24に示すAP300は、例えば、無線受信部301と、復調部302と、復号部303と、受信処理能力情報保持部304と、スケジューリング部305と、送信信号生成部306と、符号化部307と、Padding部308と、変調部309と、無線送信部310とを含む。
【0178】
無線受信部301は、アンテナを介してSTA400から送信された信号を受信し、受信信号にダウンコンバート、A/D変換等の無線受信処理を行う。例えば、無線受信部301は、無線受信処理後の受信信号から、Preamble部及びデータ部を抽出し、復調部302へ出力する。
【0179】
復調部302は、無線受信部301から入力されるPreamble部及びデータ部に対してFFT等の処理を行う。復調部302は、例えば、Preamble部に含まれる制御情報(例えば、周波数帯域幅及び割当周波数リソース等)、及び、Preamble部に含まれる参照信号を用いたチャネル推定結果に基づいて、Preamble部及びデータ部を復調し、復調後の信号を復号部303へ出力する。
【0180】
復号部303は、復調部302から入力される制御情報(例えば、符号化方法及びMCS等)に基づいて、復調部302から入力されるデータ信号を復号する。復号部303は、復号データにSTA400の受信処理能力情報が含まれる場合、受信処理能力情報を受信処理能力情報保持部304へ出力する。また、復号部303は、復号データにSTA400の無線品質情報(例えば、チャネル情報又は周波数リソース毎の平均SNR等)が含まれる場合、無線品質情報をスケジューリング部305へ出力する。
【0181】
受信処理能力情報保持部304は、復号部303から入力される受信処理能力情報を保持する。受信処理能力情報保持部304は、例えば、AP300が複数のSTA400に対してNOMA信号を送信する場合、当該複数のSTA400に対応する受信処理能力情報をスケジューリング部305に出力する。
【0182】
スケジューリング部305は、例えば、復号部303から入力されるSTA400毎の無線品質情報、及び、受信処理能力情報保持部304から入力されるSTA400毎の受信処理能力情報に基づいて、NOMAに関するSTA400に対するスケジューリングを行う。
【0183】
例えば、スケジューリング部305は、NOMAグループに含まれるSTA400の数(換言すると、送信端末数又はユーザ多重数)、DLデータのMCS、符号化方法、割当周波数リソース、周波数帯域幅を決定してよい。
【0184】
また、スケジューリング部305は、例えば、STA400に対するNOMAグループの割り当て、又は、多重電力比等のSIG-Bに含めるNOMA制御情報、及び、PPDU長を決定する。また、スケジューリング部305は、STA400の受信処理能力情報に基づいて、応答信号(例えば、Acknowledgement(ACK)又はBlock ACK(BA))の送信タイミング等を含む制御情報を決定する。
【0185】
スケジューリング部305は、スケジューリング結果を示すスケジューリング情報を、送信信号生成部306、符号化部307、Padding部308、及び、変調部309へ出力する。
【0186】
送信信号生成部306は、スケジューリング部305から入力されるスケジューリング情報に基づいて、STA400宛てのデータ系列(送信信号)を生成する。送信信号生成部306は、生成したデータ系列を符号化部307へ出力する。例えば、送信信号生成部306は、応答信号のスケジューリング情報(例えば、応答信号の送信タイミング)に基づいて、STA400に対して所望のタイミングで応答信号を送信させる応答要求信号(例えば、BA Request)を生成してもよい。
【0187】
符号化部307は、スケジューリング部305から入力されるスケジューリング情報(例えば、符号化方法又はMCS)に基づいて、送信信号生成部306から入力されるデータ系列を符号化し、符号化データをPadding部308へ出力する。
【0188】
Padding部308は、スケジューリング部305から入力されるスケジューリング情報(例えば、PPDU長)に基づいて、符号化部307から入力される符号化データに対してPadding処理を行う。Padding処理には、例えば、Post-Forward Error Correction(Post-FEC) Padding、及び、Packet extension(PE)等がある。Padding部308は、Padding処理後の信号を変調部309に出力する。
【0189】
変調部309は、例えば、スケジューリング部305から入力されるスケジューリング情報(例えば、周波数リソース又はMCS)に基づいて、Padding部308から入力される信号を変調し、変調後の信号を無線送信部310へ出力する。例えば、変調部309は、変調後の信号を無線リソースに割り当て、IFFT処理を行い、OFDM信号を生成し、無線送信部310へ出力してよい。また、変調部309は、スケジューリング情報(例えば、多重電力比)に基づいて、変調後の信号に対する電力を制御して多重した信号を無線送信部310へ出力してよい。
【0190】
また、変調部309は、例えば、スケジューリング部305から入力されるスケジューリング情報(例えば、ユーザ多重数、符号化方法、MCS、周波数帯域幅、割当周波数リソース、及び、多重電力比等)を含むPreamble部をデータ部に付加して無線送信部310に出力してよい。
【0191】
無線送信部310は、変調部309から入力されるデータ部及びPreamble部を含む無線フレームに対して、D/A変換、キャリア周波数にアップコンバート等の無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナを介してSTA400へ送信する。
【0192】
<STA400の構成例>
図25は、STA400の構成例を示すブロック図である。図25に示すSTA400は、例えば、無線受信部401と、復調部402と、NOMA判定部403と、復号部404と、応答信号生成部405と、受信処理能力情報生成部406と、変調部407と、無線送信部408とを含む。
【0193】
無線受信部401は、アンテナを介して受信した信号をダウンコンバート、A/D変換等の無線受信処理を行う。無線受信部401は、無線受信処理後の信号からPreamble部及びデータ部をそれぞれ抽出し、復調部402へ出力する。
【0194】
復調部402は、無線受信部401から入力されるPreamble部及びデータ部に対してFFT等の処理を行う。復調部402は、例えば、復調後のPreamble部に含まれる制御情報(例えば、周波数帯域幅、及び、割当周波数リソース等)、及び、Preamble部に含まれる参照信号を用いたチャネル推定結果に基づいて、データ部及びPreamble部を復調し、復調後の信号を復号部404へ出力する。また、復調部402は、Preamble部に含まれる制御情報をNOMA判定部403及び復号部404に出力する。
【0195】
NOMA判定部403は、復調部402から入力される制御情報に基づいて、復調部402において復調された復調データがNOMAによって多重されているか否かを判定する。換言すると、NOMA判定部403は、STA200がNOMAユーザであるか否かを判定する。NOMA判定部403は、NOMA判定結果を復号部404に出力する。
【0196】
復号部404は、NOMA判定部403から入力されるNOMA判定結果、及び、復調部402から入力される制御情報に基づいて、復調部402から入力される復調データから所望データを抽出し、復号する。
【0197】
例えば、復号部404は、NOMA判定結果がNOMA信号(換言すると、NOMAによって多重されたこと)を示す場合、制御情報(例えば、多重電力比、符号化方法又はMCS等)に基づいて、復調データを復号する。
【0198】
また、例えば、STA400がSIC処理可能な場合、復号部404は、SIC処理を行ってもよい。例えば、復号部404は、STA400と同一のNOMAグループに含まれる他のユーザのSTA情報(例えば、多重電力比)に基づいて、割当電力の比較を行う。例えば、復号部404は、STA400の割当電力より大きい電力が割り当てられたユーザ(他のSTA)が存在する場合、他のSTAのSTA情報(例えば、多重電力比、符号化方法、MCS、又は、周波数リソース)に基づいて、他のSTA宛ての信号を復調及び復号し、CRC等の誤り判定を行う。誤り判定結果において誤りが無い場合、復号部404は、他のSTAのSTA情報(例えば、多重電力比、符号化方法、MCS又は周波数リソース)に基づいて、復号した信号を符号化及び変調した信号にチャネル推定値を掛け合わせて、信号レプリカを生成する。復号部404は、データ部から、生成した信号レプリカを減算することにより、STA400宛の信号を抽出し、復号する。なお、データ部から信号レプリカを減算する領域は、時間領域でもよく、周波数領域でもよい。また、STA400の割当電力より大きい電力を割り当てられたユーザが複数存在する場合、復号部404は、割当電力が大きいSTAの順にSIC処理により信号レプリカを生成し、復調データから減算することにより、STA400宛ての信号を抽出してよい。
【0199】
また、例えば、復号部404は、NOMA判定結果がNOMA信号(換言すると、NOMA信号によって多重されたこと)を示さない場合、制御情報(例えば、符号化方法又はMCS等)に基づいて、復調データを復号する。
【0200】
また、復号部404は、復号データに対してCRC等の誤り検出を行い、誤り検出結果を応答信号生成部405に出力する。また、復号部404は、復号したデータに含まれる応答要求信号(例えば、BA Request)を無線送信部408に出力する。
【0201】
応答信号生成部405は、復号部404から入力される誤り検出結果が誤り無しの場合、AP300宛ての応答信号を生成し、変調部407に出力する。応答信号生成部405は、誤り検出結果が誤り有りの場合、応答信号の送信を行わない(換言すると、中止する)。
【0202】
受信処理能力情報生成部406は、STA400の受信処理能力を示す受信処理能力情報を生成し、変調部407に出力する。受信処理能力情報は、例えば、管理フレームボディ(例えば、ビーコンフレーム等)に含めて送信されてもよい。
【0203】
変調部407は、応答信号生成部405から入力される応答信号、又は、受信処理能力情報生成部406から入力される受信処理能力情報に対して、IFFT処理又は変調等の処理を行い、変調後の信号(例えば、データ信号又はOFDM信号と呼ぶ)を生成する。また、変調部407は、データ信号に対してPreamble部を付加した無線フレーム(換言すると、パケット信号)を生成し、無線送信部408へ出力する。
【0204】
無線送信部408は、変調部407から入力される無線フレームに対して、D/A変換、キャリア周波数へのアップコンバート等の無線送信処理を行い、無線送信処理後の信号をアンテナを介してAP300へ送信する。なお、無線送信部408は、応答信号を送信する場合、例えば、復号部404から入力される応答要求信号に示される応答間隔(例えば、duration subfield)に基づいて応答信号を送信する。
【0205】
[AP及びSTAの動作例]
次に、本実施の形態のAP300及びSTA400の動作例について説明する。
【0206】
例えば、AP300は、MU-MIMO又はOFDMAによって多重された複数のSTA400それぞれのNOMA信号の受信処理能力に関する情報に基づいて、複数のSTA400によるデータ信号に対する応答信号(例えば、ACK又はBA)の送信タイミングを決定する。
【0207】
図26は、無線通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
【0208】
図26では、一例として、AP300及び2つのSTA400(例えば、STA1及びSTA2)におけるNOMA信号を含むMU伝送の動作例について説明する。なお、MU伝送において、空間多重又は周波数多重されるユーザ数は2個に限らず、3個以上でもよい。また、MU伝送において、NOMAにより電力多重されるユーザ数は2個に限らず、3個以上でもよい。
【0209】
図26において、STA1及びSTA2は、STA1及びSTA2それぞれの受信処理能力を示す受信処理能力情報をAP300へ送信する(ST201-1及びST201-2)。受信処理能力情報は、例えば、AP300に対するUL伝送(例えば、ビーコンフレーム等)において送信されてよい。AP300は、STA1及びSTA2からそれぞれ送信された受信処理能力情報を取得し、バッファ(例えば、受信処理能力情報保持部304)に保存する。
【0210】
AP300は、各STAに対するスケジューリング処理を行う(ST202)。例えば、AP300は、STA1及びSTA2に対して同じNOMAグループに含めたDL MU伝送(例えば、MU-MIMOまたはOFDMA)を行う場合、STA1及びSTA2の受信処理能力情報に基づいて、DL MU伝送に対する応答信号の送信タイミングを決定する。例えば、後述する方法4-1のように、AP300は、NOMAグループ内のSTAにおける応答信号の送信順序を決定することにより、応答信号の送信タイミングを制御してもよい。また、例えば、後述する方法4-2のように、AP300は、DL MU伝送におけるPPDU長を、Padding処理(例えば、PE等)により延長することで、応答信号の送信タイミングを制御してもよい。
【0211】
AP300は、例えば、制御情報(例えば、SIG-B)に含めるNOMA制御情報(例えば、NOMAに関するスケジューリング情報)に基づいて、STA1及びSTA2に対して、NOMA信号を含むDL MU信号を送信する(ST203)。
【0212】
なお、応答信号の送信タイミングを通知する応答要求信号(例えば、BA Request)は、DL MU信号に含めてもよく、DL MU信号とは異なる無線フレームによってSTA1及びSTA2に送信されてもよい(例えば、後述する図27及び図28を参照)。
【0213】
STA1及びSTA2は、DL MU信号(例えば、NOMA信号)の受信処理を行う(ST204-1及びST204-2)。例えば、STA1及びSTA2は、DL MU伝送に含まれるSIG-Bに基づいて、各STA宛てのSTA情報を特定する。
【0214】
また、例えば、STA1及びSTA2は、STA情報に含まれる、多重電力比に関する情報に基づいて、受信信号のデータ部からSTA1及びSTA2宛ての信号をそれぞれ抽出し、復号を行ってもよい。例えば、各STA400がSIC処理可能の場合、STA情報において、STA400と共通のBeam IDが設定され、かつ、STA400の割当電力より大きい電力が割り当てられた他のSTAに対する信号レプリカを生成し、データ部から信号レプリカを減算することにより、STA400宛ての信号を抽出し、復号を行ってもよい。
【0215】
STA1及びSTA2は、CRC等に基づいて、受信信号に対する誤り検出を行い、誤りが無い場合に応答信号を生成する(ST205-1及びST205-2)。STA1及びSTA2は、例えば、誤りが有る場合、応答信号を生成しない(換言すると、送信しない)。
【0216】
STA1及びSTA2は、応答信号を生成した場合、例えば、AP300から送信された応答要求信号によって指示された送信タイミングに基づいて、応答信号をAP300へ送信する(ST206-1及びST206-2)。STA1及びSTA2は、UL MU又はUL OFDMAにより多重された応答信号をAP300へ送信してもよい。また、AP300は、例えば、STA1及びSTA2それぞれに対して決定した応答信号の送信タイミングに基づいて、STA1及びSTA2それぞれから送信される応答信号を受信する。
【0217】
次に、応答信号の送信タイミングの制御方法の一例として、方法4-1及び方法4-2についてそれぞれ説明する。
【0218】
<方法4-1>
方法4-1では、AP300は、NOMAグループにおいて、STA400の受信処理能力が高い順に応答信号を要求する。換言すると、受信処理能力がより低いSTA400ほど、応答信号の送信タイミングは遅く設定される。
【0219】
例えば、AP300は、複数のSTA400それぞれのNOMA信号の受信処理能力情報に基づいて、複数のSTA400によるデータ信号に対する応答信号の送信順序を決定し、決定した送信順序に応じた送信タイミングに関する情報(例えば、応答要求信号)をSTA400へ送信する。
【0220】
一例として、受信処理能力情報に、規定時間内に実行可能なSIC処理の回数が示される場合について説明する。この場合、AP300は、SIC処理回数がより多いSTA400の順に、応答信号の送信タイミングを決定し、決定した送信タイミングに関する情報を含む応答要求信号を各STA400へ送信する。
【0221】
なお、AP300は、例えば、図27に示すように、各STA400(例えば、STA1及びSTA2)それぞれの応答信号の送信タイミングに関する情報を含む応答要求信号を、各STA400に対して異なる無線フレームで送信してよい。例えば、図27では、STA1の受信処理能力がSTA2の受信処理能力よりも高い。AP300は、図27に示すように、STA1及びSTA2に対するNOMA信号に、STA1に対する応答信号の送信タイミングに関する情報を含む応答要求信号を含めて送信する(ST301)。換言すると、AP300は、STA2に対する応答要求信号をNOMA信号に含めない。STA1及びSTA2は、NOMA信号の受信処理を行う(ST302-1及びST302-2)。
【0222】
図27では、STA1は、応答要求信号に示される送信タイミングに基づいて、受信したNOMA信号(例えば、データ信号)に対する応答信号をAP300へ送信する(ST303)。
【0223】
また、AP300は、NOMA信号の送信タイミング(例えば、ST301の処理)と異なるタイミングにおいて、STA2に対する応答信号の送信タイミングに関する情報を含む応答要求信号をSTA2へ送信する(ST304)。なお、STA2に対する応答要求信号の送信処理は、図27に示すタイミングに限定されず、例えば、ST301の処理より後、かつ、ST303より前のタイミングでもよい。STA2は、応答要求信号に示される送信タイミングに基づいて、受信したNOMA信号(例えば、データ信号)に対する応答信号をAP300へ送信する(ST305)。
【0224】
または、AP300は、例えば、図28に示すように、複数のSTA400(例えば、STA1及びSTA2)それぞれの応答信号の送信タイミングに関する情報を含む応答要求信号を、各STA400に対して同一無線フレーム(例えば、NOMA信号)で送信してもよい。なお、図28において、図27と同様の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0225】
例えば、図28では、STA1の受信処理能力がSTA2の受信処理能力よりも高い。AP300は、図28に示すように、STA1及びSTA2に対するNOMA信号に、STA1及びSTA2の双方に対する応答信号の送信タイミングに関する情報を含む応答要求信号を含めて送信する(ST401)。
【0226】
そして、図28では、STA1は、応答要求信号に示される送信タイミングに基づいて、受信したNOMA信号(例えば、データ信号)に対する応答信号をAP300へ送信する(ST402)。同様に、STA2は、応答要求信号に示される送信タイミングに基づいて、受信したNOMA信号(例えば、データ信号)に対する応答信号をAP300へ送信する(ST403)。
【0227】
このように、方法4-1では、AP300は、各STA400の受信処理能力に応じた応答信号の送信タイミングを決定する。例えば、受信処理能力がより低いSTA400に対して、応答信号の送信タイミングを遅く設定することにより、受信処理能力がより低いSTA400における受信処理(例えば、NOMA信号から所望信号を抽出する処理)の期間をより長く確保できる。これにより、各STA400は、STA400の受信処理が応答信号の送信に間に合わずに、応答信号を送信できないことを防止できる。
【0228】
<方法4-2>
DL MU伝送では、例えば、NOMA信号に含まれる複数のSTA400宛ての信号は、同じ長さになるようにPadding処理される。
【0229】
方法4-2では、AP300は、例えば、NOMAグループにおいて受信処理能力が最も低いSTA400に基づいて、PPDU長を決定する。
【0230】
換言すると、AP300は、複数のSTA400それぞれのNOMA信号の受信処理能力情報に基づいて、当該複数のSTA400に送信するPPDU長を調整(例えば、延長)することにより、複数のSTA400によるデータ信号に対する応答信号の送信タイミングを決定する。
【0231】
例えば、AP300は、受信処理能力が最も低いSTA400に基づいて、複数のSTA400に対するPPDU長を決定する。例えば、AP300は、受信処理能力が最も低いSTA400が規定間隔(例えば、Short Inter-Frame Space(SIFS))において応答信号を送信可能なPPDU長に延長してもよい。例えば、AP300は、決定したPPDU長に基づいて、複数のSTA400の信号に対するPadding処理(例えば、PE又はPost-FEC Padding)を行ってもよい。
【0232】
図29は、方法4-2において、受信処理能力が最も低いSTA400に基づいてPPDU長を決定する例を示す。
【0233】
図29では、AP300は、NOMAユーザ数 = 3(例えば、STA1、STA2及びSTA3)のNOMA信号を送信する。
【0234】
図29において、NOMA信号に含まれる「Excess Info bits」は、1つのOFDMシンボル長に満たない余剰のデータbitであり、STA400毎に異なる長さを有する。
【0235】
また、図29に示す「Pre-FEC Padding」は、各STA400のExcess Info bitsに対して符号化前に付加されるPadding bitである。AP300は、例えば、Excess Info bitsの最後尾からより近いセグメント境界(segment boundary)の値までPadding処理を行う。
【0236】
また、図29に示す「Post-FEC Padding」は、符号化後に付加されるPadding bitである。AP300は、例えば、Excess Info bits及びPre-FEC Paddingを含めて1つのOFDMシンボルとなるように、OFDMシンボルの末尾(last symbol end)の値までPadding処理を行う。
【0237】
また、図29に示す「PE」は、STA400がSIFSに応じて応答信号をAP300へ送信するためのPadding処理である。STA400は、DL MU伝送の受信後、SIFS後にUL MU伝送においてAP300へ応答信号を送信する。
【0238】
AP300は、例えば、Post-FEC Paddingによって、1OFDMシンボル長以上の長さをPPDUに追加してもよい。例えば、AP300は、図29に示す「Last symbol end」(例えば、Pre-FEC Padding後の信号により近いOFDMシンボル境界)よりも長いOFDMシンボル分の長さのPost-FEC PaddingをPPDUに追加してもよい。例えば、AP300は、図29に示す「Last symbol end」までのPost-FEC Paddingに加え、整数シンボル分の長さのPost-FEC PaddingをPPDUに追加してもよい。この場合、各STA400に対する信号の最後尾から整数シンボル分のOFDMシンボル全体はPost-FEC Paddingである。
【0239】
また、AP300は、例えば、受信処理能力情報に応じて、PEに関する能力情報(例えば、nominal packet padding又はPPE threshold)を決定してもよい。
【0240】
このように、方法4-2では、DL MU伝送におけるPPDU長は、NOMAグループにおいて受信処理能力が最も低いSTA400に応じて決定される。例えば、PPDU長が延長されることにより、受信処理能力が最も低いSTA400における受信処理(例えば、NOMA信号から所望信号を抽出する処理)の期間をより長く確保できる。これにより、各STA400は、STA400の受信処理が応答信号の送信に間に合わず、応答信号を送信できないことを防止できる。
【0241】
なお、ここでは、NOMAグループにおいて受信処理能力が最も低いSTA400に基づいてPPDU長が決定される場合について説明したが、PPDU長の決定の基準となるSTA400は、受信処理能力が最も低いSTA400に限定されない。
【0242】
以上、方法4-1及び方法4-2についてそれぞれ説明した。
【0243】
本実施の形態によれば、STA400は、例えば、NOMAグループにおけるSTA400の受信処理能力に応じた送信タイミングで応答信号を送信できる。例えば、受信処理能力がより低いSTA400は、より遅い送信タイミングで応答信号を送信できる。よって、STA400は、例えば、DL MU信号に対する受信処理の完了が応答信号の送信タイミングに間に合わずに、応答信号を送信できないことを防止できる。
【0244】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0245】
(他の実施の形態)
AP(例えば、AP100又はAP300)は、同一周波数リソース(例えば、RU)において、NOMAユーザと非NOMAユーザとを割り当てないようにリソース割当を制御してもよい。例えば、実施の形態2において、周波数リソース割当情報(例えば、RU Allocation subfield)によって、周波数リソースに割り当てられたNOMAグループを特定するNOMA制御情報を通知する場合、APは、NOMAユーザと非NOMAユーザとを同一RUに割り当てない。このとき、Beam IDは、Beam ID = 0でもNOMAグループの種類を通知できるため、通知可能な最大NOMAグループ数を増加できる。換言すると、MU-MIMO NOMAの場合、NOMAグループの最大多重数を増加できる。
【0246】
(2)NOMAグループを特定する情報は、Beam IDに限らない。例えば、NOMAグループを特定する情報は、同一RU及び同一ビームが適用されるSTAを識別する情報(以下、「STA number」と呼ぶ)でもよい。換言すると、STA numberは、NOMAグループにおけるSTA数(換言すると、NOMA多重数)に関する情報である。
【0247】
図30は、STA numberを使用する場合のMU-MIMO NOMAの構成例、及び、STA numberを含むユーザ情報(例えば、SIG-BのUser Specific field)の構成例を示す。
【0248】
STA情報(User field)は、例えば、ビーム番号の順序に並べられる。また、STA情報には、STA numberが含められる。STA numberは、例えば、システムにおいて想定される最大NOMA多重数を表現できるビット数でもよい。例えば、最大のNOMA多重数が2の場合、STA numberのビット数は1ビットでもよい。
【0249】
以下、STA(例えば、STA200又はSTA400)によるNOMAグループの判断方法について説明する。
【0250】
例えば、STAは、 STA情報#(n+1)のSTA numberがSTA情報#nのSTA numberより増加する場合、 STA情報#nのSTAとSTA情報#(n+1)のSTAとは同一のNOMAグループ(Beam ID)と判断する。一方、STAは、STA情報#(n+1)のSTA numberがSTA情報#nのSTA numberより減少する場合、又は、同じ場合、 STA情報#nのSTAとSTA情報#(n+1)のSTAとは異なるNOMAグループ(Beam ID)と判断する。
【0251】
例えば、図30に示す例では、STA1のSTA情報のSTA number=0であり、後続するSTA2のSTA情報のSTA number=0である。よって、STAは、STA1とSTA2とが異なるNOMAグループであると判断する。
【0252】
また、例えば、図30に示す例では、STA2のSTA情報のSTA number=0であり、後続するSTA3のSTA情報のSTA number=1であり、更に後続するSTA4のSTA情報のSTA number=2であり、更に後続するSTA5のSTA情報のSTA number=0である。よって、STAは、STA2とSTA3とSTA4とが同一NOMAグループであり、STA5と、STA2、STA3及びSTA4とが異なるNOMAグループであると判断する。同様にして、図30に示す例において、STAは、STA5とSTA6とが同一NOMAグループであると判断する。
【0253】
また、STA numberは、NOMAグループ内においてNOMAの多重電力比における割当電力の大きさ順(例えば、降順又は昇順)に割り当てられてもよい。この場合、STAは、NOMAグループ内の各STAに対するSTA情報に設定されたSTA number(又は、STA情報の配置順序)に基づいて、NOMAの多重電力比における割当電力の大小関係を特定できる。よって、この場合、例えば、実施の形態3の方法3-3のように、多重電力比の順序に関する情報(例えば、Tx Power Offset ID)をUser fieldから削除できる。
【0254】
(3)APは、例えば、STAの無線品質情報に加えて、受信処理能力情報に基づいて、NOMAグループの多重電力比を決定してもよい。
【0255】
例えば、SIC処理を使用するNOMAの場合、受信処理能力(例えば、規定時間内に実行可能なSIC処理の回数)がより低いSTA、又は、受信処理能力(例えば、SIC処理能力)を有さないSTAに対して、高い多重電力比(例えば、最大の多重電力比)が設定されてもよい。
【0256】
受信処理能力がより低いSTAに対して高い多重電力比が設定されることにより、当該STAは、SIC処理を行わない可能性が高くなり、受信データを直接復号できる。換言すると、当該STAでは、SIC処理等の受信処理を低減できる。
【0257】
(4)実施の形態1~4の各々は、多重電力比に基づく非直交多重を行うNOMAについて説明した。しかし、例えば、実施の形態3(例えば、方法3-1~方法3-4)は、SICに基づく他のNOMAにも適用可能である。
【0258】
例えば、NOMAの一つであるMulti-User Shared Access(MUSA)の場合、APは非直交拡散符号を使用して拡散処理を行った信号を、同じ周波数リソース上に多重して送信する。
【0259】
APは、例えば、各STA情報に、NOMAグループの識別子(例えば、Beam ID)と拡散率(Spreading Factor)と非直交拡散符号(Spreading code)とに関する情報を追加する。非直交拡散符号は、例えば、STA毎に異なるパターンを含む。APは、STA情報の拡散率及び非直交拡散符号に基づいて、データに対して拡散処理を行い、同一周波数リソース上に多重する。
【0260】
また、APは、例えば、STA毎に拡散率を変えてもよい。また、APは、1つのSTAのデータ部に対して、複数のシンボルをそれぞれ異なる非直交拡散符号で拡散処理してもよい。
【0261】
各STAは、受信信号に含まれるSTA情報に基づいて、SIC処理により当該STA宛ての信号を抽出する。例えば、STAは、当該STAと同じBeam IDを有する他のSTAのSTA情報(例えば、符号化方法、MCS、周波数リソース、拡散率、又は、非直交拡散符号等)に基づいて、他のSTAの信号を復調及び復号し、CRC等の誤り判定を行う。STAは、誤りが無い場合、他のSTAの復号信号を、他のSTAに対するSTA情報(例えば、符号化方法、MCS、周波数リソース、拡散率、又は、非直交拡散符号等)に基づいて符号化及び変調した信号にチャネル推定値を掛け合わせて、信号レプリカを生成する。STAは、生成した信号レプリカを受信信号のデータ部から減算することにより、当該STA宛ての信号を抽出し、復号する。
【0262】
また、STA毎に拡散率が異なる場合、拡散率が小さいほど、帯域あたりの送信電力が大きくなる。このため、STAは、拡散率が小さい順にSIC処理によって他のSTAに対応する信号を除去してよい。なお、STA間で拡散率が等しい場合、帯域あたりの送信電力は等しくなるので、SIC処理の順序は何れでもよい。
【0263】
(5)上記実施の形態では、一例として、11axのMU伝送用制御信号のフォーマットをベースにした構成例について説明したが、本開示の一実施例を適用するフォーマットは、11axのフォーマットに限定されない。本開示の一実施例は、例えば、共通情報とユーザ情報とを用いて制御するMU伝送に適用できる。
【0264】
(6)実施の形態1~3(例えば、NOMAグループの特定に関する動作)の何れかと、実施の形態4(例えば、応答信号の送信制御に関する動作)とを組み合わせて適用してもよい。
【0265】
(7)本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0266】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0267】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0268】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0269】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0270】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0271】
本開示の一実施例に係る基地局は、複数の端末のうち非直交多重による送信対象とする端末グループに関する情報を生成する制御回路と、前記複数の端末宛ての制御情報を送信する期間において前記端末グループに関する情報を送信する送信回路と、を具備する。
【0272】
本開示の一実施例において、前記端末グループに関する情報は、前記端末のそれぞれが前記非直交多重の送信対象であるか否かを示す情報を含む。
【0273】
本開示の一実施例において、前記端末グループに関する情報は、前記端末グループ毎に異なる値を含む。
【0274】
本開示の一実施例において、前記送信回路は、前記制御情報の送信期間のうち前記端末に共通の情報を送信する期間において、前記端末グループに関する情報を送信する。
【0275】
本開示の一実施例において、前記端末グループに関する情報は、前記共通の情報に示される周波数リソースにおいて前記端末グループが割り当てられるか否かを示す情報を含む。
【0276】
本開示の一実施例において、前記端末グループに関する情報は、前記共通の情報に示される周波数リソースにおいて前記端末グループに含まれる端末数を示す情報を含む。
【0277】
本開示の一実施例において、前記送信回路は、前記制御情報の送信期間のうち前記端末グループにおける端末に個別の情報を送信する期間において、前記個別の情報を前記非直交多重における割当電力に応じた順序で送信する。
【0278】
本開示の一実施例において、前記端末グループに関する情報は、前記共通の情報に示される周波数リソースの割当情報における複数の周波数リソース候補のうちの一部の周波数リソース候補値に関連付けられている。
【0279】
本開示の一実施例において、前記送信回路は、前記制御情報の送信期間のうち前記端末グループにおける端末に個別の情報を送信する期間において、前記端末グループに関する情報を送信する。
【0280】
本開示の一実施例において、前記送信回路は、前記端末グループにおける端末毎の前記端末グループに関する情報を、前記非直交多重における割当電力に応じた順序で送信する。
【0281】
本開示の一実施例において、前記送信回路は、前記端末グループにおける第1の端末に対応する空間多重設定に関する情報の送信期間において空間多重に関するパラメータを送信し、前記端末グループにおける第2の端末に対応する空間多重設定に関する情報の送信期間において、前記端末グループに関する情報を送信する。
【0282】
本開示の一実施例に係る基地局は、複数の端末それぞれの非直交多重信号の受信処理能力に関する情報に基づいて、前記複数の端末によるデータ信号に対する応答信号の送信タイミングを決定する制御回路と、前記送信タイミングに関する情報を前記端末へ送信する送信回路と、を具備する。
【0283】
本開示の一実施例に係る端末は、下りの制御情報の受信期間において、非直交多重された端末グループに関する情報を受信する受信回路と、前記端末グループに関する情報に基づいて、下りの非直交多重信号の受信を制御する制御回路と、を具備する。
【0284】
本開示の一実施例に係る端末は、データ信号に対する応答信号の送信タイミングに関する情報であって、前記送信タイミングが非直交多重信号の受信処理能力に基づくタイミングである、前記送信タイミングに関する情報を受信する受信回路と、前記送信タイミングに基づいて、前記応答信号を送信する送信回路と、を具備する。
【0285】
本開示の一実施例に係る通信方法において、基地局は、複数の端末のうち非直交多重による送信対象とする端末グループに関する情報を生成し、前記複数の端末宛ての制御情報を送信する期間において前記端末グループに関する情報を送信する。
【0286】
本開示の一実施例に係る通信方法において、基地局は、複数の端末それぞれの非直交多重信号の受信処理能力に関する情報に基づいて、前記複数の端末によるデータ信号に対する応答信号の送信タイミングを決定し、前記送信タイミングに関する情報を前記端末へ送信する。
【0287】
本開示の一実施例に係る通信方法において、端末は、下りの制御情報の受信期間において、非直交多重された端末グループに関する情報を受信し、前記端末グループに関する情報に基づいて、下りの非直交多重信号の受信を制御する。
【0288】
本開示の一実施例に係る通信方法において、端末は、データ信号に対する応答信号の送信タイミングに関する情報であって、前記送信タイミングが非直交多重信号の受信処理能力に基づくタイミングである、前記送信タイミングに関する情報を受信し、前記送信タイミングに基づいて、前記応答信号を送信する。
【0289】
2019年5月29日出願の特願2019-100587の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0290】
本開示の一実施例は、無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0291】
100,300 AP
101,201,301,401 無線受信部
102,202 Preamble復調部
103,203 データ復調部
104,205 データ復号部
105,305 スケジューリング部
106 データ生成部
107,307 符号化部
108,207,309,407 変調部
109 Preamble生成部
110,208,310,408 無線送信部
200,400 STA
204,403 NOMA判定部
206 無線品質情報生成部
302,402 復調部
303,404 復号部
304 受信処理能力情報保持部
306 送信信号生成部
308 Padding部
405 応答信号生成部
406 受信処理能力情報生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30