(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】装飾用パネル、および当該パネルからなる装飾用床カバー材
(51)【国際特許分類】
E04F 15/08 20060101AFI20241030BHJP
C04B 28/30 20060101ALI20241030BHJP
C01F 5/40 20060101ALI20241030BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20241030BHJP
E04B 9/04 20060101ALI20241030BHJP
B32B 13/02 20060101ALI20241030BHJP
E04F 13/14 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
E04F15/08 A
C04B28/30 Z
C01F5/40
E04B1/94 V
E04B9/04 F
B32B13/02
E04F15/08 F
E04F13/14 102B
E04F13/14 102A
E04F13/14 102D
(21)【出願番号】P 2021531662
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2019076450
(87)【国際公開番号】W WO2020114645
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-09-29
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】520250741
【氏名又は名称】アイ4エフ・ライセンシング・エヌヴィ
【氏名又は名称原語表記】I4F LICENSING NV
【住所又は居所原語表記】INDUSTRIEDIJK 19, 2300 TURNHOUT, BELGIUM
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ブーケ,エディ・アルベリック
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102012000468(DE,A1)
【文献】特開昭58-130150(JP,A)
【文献】特開昭62-223052(JP,A)
【文献】特開平04-367509(JP,A)
【文献】特開平04-317406(JP,A)
【文献】特表2003-520749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/08
C04B 28/30
C01F 5/40
E04B 1/94
E04B 9/04
B32B 13/02
E04F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾用パネル
であって、
上側部および下側部を備えるコアと、
前記コアの前記上側部に張り付けられた装飾用頂部構造と、
第1連結外形を含む第1パネル辺、および、水平方向と垂直方向の両方において、隣接
するパネルの前記第1連結外形と相互にロックするように係合するように設計された第2
連結外形を含む第2パネル辺と、を含み、
前記コアが、
少なくとも一つの複合層を含み、該複合層が、
少なくとも一つのマグネシアセメントと、
前記マグネシアセメントに分散させたセルロース系粒子と、
前記複合層に埋め込まれた少なくとも一つの補強層と、を含む、パネルにおいて、
前記マグネシアセメントは、3Mg(OH)
2・MgSO
4・8H
2O(318相)を
含む、パネル。
【請求項2】
前記マグネシアセメントは、5Mg(OH)
2・MgSO
4・3H
2O(513相)を
含む、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記マグネシアセメントは、少なくとも10%の前記5Mg(OH)
2
・MgSO
4
・3H
2
O(513相)を含む、請求項2に記載のパネル。
【請求項4】
前記マグネシアセメントは塩化マグネシウムを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項5】
前記マグネシアセメントはオキシ塩化マグネシウムを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項6】
前記マグネシアセメントは5Mg(OH)
2・MgCl
2・8H
2O及び/又はMg
2
(OH)ClCO
3・3H
2Oを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項7】
前記マグネシアセメントはマグネサイト
を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項8】
前記マグネシアセメントは、5Mg(OH)
2・MgSO
4・5H
2O(515相)お
よび/またはMg(OH)
2・MgSO
4・7H
2O(517相)を含む、請求項1~7
のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項9】
前記複合層は、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩化カルシウム(CaCl
2)、硫酸
アルミニウム(Al
2(SO
4)
3)、および水酸化カルシウムCa(HO)
2からなる
群から選択される少なくとも一つの鉱化剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の
パネル。
【請求項10】
前記セルロース系粒子はリグノセルロースを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載
のパネル。
【請求項11】
前記セルロース系粒子は木材及び/又はヘンプ繊維を含む、請求項1~10のいずれか
一項に記載のパネル。
【請求項12】
前記セルロース系粒子の少なくとも一部は、木材チップによって形成される、請求項1
~11のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項13】
前記コアは、セルロース以外の材料から作られた分散粒子を含む、請求項1~12のい
ずれか一項に記載のパネル。
【請求項14】
前記複合層は、鋼、ガラス、ポリプロピレン、木材、アクリル、アルミナ、クラワ、炭
素、セルロース、ココナッツ、ケブラー、ナイロン、ペルロン、ポリエチレン、PVA、
岩綿、サイザル、およびフィキューからなる群から選択される少なくとも一つのさらなる
充填剤を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項15】
前記複合層は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、フライアッシュ、シリカフ
ューム、酸化鉄、脂肪酸、及びアルカリ金属硫酸塩からなる群より選択される少なくとも
一つの添加剤を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項16】
少なくとも一つの複合層が、PVCまたはPURなどの少なくとも一つのポリマーを含
む、請求項1~15のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項17】
少なくとも一つの複合層がポリマーを含まない、請求項1~16のいずれか一項に記載
のパネル。
【請求項18】
前記複合層は少なくとも部分的に発泡している、請求項1~17のいずれか一項に記載
のパネル。
【請求項19】
前記複合層は可塑剤を含まない、請求項1~18のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項20】
前記補強層は、不織層または織層
である、請求項1~19のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項21】
前記複合層は、少なくとも50重量%のマグネシアセメント
を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項22】
複合層が複数の補強層を含み、
少なくとも一つの第1補強層が前記複合層の頂部に位置し、少なくとも一つの第2補強層が前記複合層の底部に位置する、請求項1~21のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項23】
少なくとも一つの補強層が、前記第1連結外形および前記第2連結外形のうちの一方の
連結外形にのみ延在している、請求項1~22のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項24】
前記第1連結外形は、
上向き舌部と、
前記上向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの上向きフランクと、
前記上向き舌部と前記上向きフランクの間に形成された上向き溝であって、隣接するパ
ネルの第2連結外形の下向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された上向き溝と
、
前記上向きフランクとは反対側を向く前記上向き舌部の遠位の側部に設けられた、少なくとも一つの第1ロック要素と、を含み、前記第2連結外形は、
第1下向き舌部と、
前記下向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第1下向きフランクと、
前記下向き舌部と前記下向きフランクの間に形成された第1下向き溝であって、隣接す
るパネルの第1連結外形の上向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された下向き
溝と、
隣接するパネルの第1ロック要素と共作用するように適合された少なくとも一つの第2
ロック要素であって、
前記下向きフランクに設けられる第2ロック要素と、を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項25】
前記パネルは、第3パネル辺および第4パネル辺にそれぞれ位置する少なくとも一つの
第3連結外形および少なくとも一つの第4連結外形を含み、前記第3連結外形は、
前記コアの前記上側部に実質的に平行な方向に延在する横向き舌部と、
前記横向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第2下向きフランクと、
前記横向き舌部と前記第2下向きフランクの間に形成された第2下向き溝と、を含み、
前記第4連結外形は、
隣接するパネルの前記第3連結外形の前記横向き舌部の少なくとも一部を収容するよう
に構成された第3溝であって、上唇部および下唇部によって画定される前記第3溝におい
て、前記下唇部が上向きロック要素を備える、第3溝、を含み、
前記第3連結外形および前記第4連結外形は、二つの前記パネルが、回す動きによって
互いに連結されることができるように構成され、結合状態において、第1パネルの前記横
向き舌部の少なくとも一部が、隣接する第2パネルの前記第3溝に挿入され、前記第2パ
ネルの前記上向きロック要素の少なくとも一部が、前記第1パネルの前記第2下向き溝に
挿入される、請求項1~24のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の複数の相互に連結した装飾用パネルを含む装飾用カバー材
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル、特に装飾用パネル、床パネル、天井パネルまたは壁パネルに関する。また、本発明は、複数の相互に連結したパネルからなる床カバー材に関する。
【背景技術】
【0002】
装飾用床カバー材の分野では、MDF(中密度板)またはHDF(高密度板)をベースにしたコア層を有する装飾用パネルが知られており、当該コア層の上には装飾基材が取り付けられて、当該パネルに所望の外観を与えている。これらの既知のパネルの主な欠点は、前記コア層の吸湿性であり、当該吸湿性は、そのようなパネルの耐用年数および耐久性に影響する。このため、従来のMDF/HDFをベースにしたパネルは、同様に頂部に装飾基材を備えるポリ塩化ビニル(PVC)をベースにしたパネルに益々置き換えられている。これらのPVCをベースにしたパネルは、MDF/HDFをベースにしたパネルと比べて相対的に防水性があるという利点を有する。しかしながら、これらのPVCをベースにしたパネルの短所は、耐温度性が非常に乏しく、その結果、これらのパネルが、典型的には、暖房用ラジエータや、さらにはランプのような熱源にさらされた場合に容易に変形(湾曲)してしまうことになるということである。さらに、前記MDF/HDFをベースにしたパネルと前記PVCをベースにしたパネルの両方に共通するさらなる重要な短所は、これらのパネルの引火性である。例えば、煙草および蝋燭の事故は屋内火災を容易に引き起こし得るため、家具の引火性は懸念事項である。したがって、装飾用床材の分野では、上記短所のうちの少なくとも一つを解消する装飾用パネルをさらに開発し、かつ特に相対的に防火性のある装飾用パネルを開発する一般的必要性がある。通常使用中の温度変動を受けたときの寸法安定性を向上した装飾用パネルを開発するさらなる必要性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一つの目的は、上述の必要性のうちの少なくとも一つを満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記目的は、上記前提に係るパネル、特に装飾用パネルであって、上側部および下側部を備えるコアと、前記コアの前記上側部に張り付けられた装飾用頂部構造と、第1連結外形を含む第1パネル辺、および、水平方向と垂直方向の両方において、隣接するパネルの前記第1連結外形と相互にロックするように係合するように設計された第2連結外形を含む第2パネル辺とを含むパネルにおいて、前記コアが少なくとも一つの複合層を含み、当該少なくとも一つの複合層が、少なくとも一つの酸化マグネシウム(マグネシア)系組成物および/または水酸化マグネシウム系組成物、特にマグネシアセメントと、前記マグネシアセメントに分散した粒子、特にセルロース系粒子と、好ましくは前記複合層に埋め込まれた少なくとも一つの補強層とを含むパネルの提供によって達成される。酸化マグネシウム系組成物および/または水酸化マグネシウム系組成物、および特にマグネシアセメントの適用により、前記装飾用パネル自体の引火性(不燃性)が大幅に向上することが分かっている。さらに、本発明に係る前記相対的に防火性のパネルは、通常使用中に温度変動にさらされたときの寸法安定性も大幅に向上している。マグネシア系セメントは、マグネシア(酸化マグネシウム)を主成分とするセメントであって、セメントは、酸化マグネシウムが反応物質の一つとして作用した化学反応の反応生成物である。前記マグネシアセメントには、マグネシアがまだ存在している可能性があり、かつ/または、下記により詳細に説明するように、別の化学結合が形成される化学反応を起こしている。他のセメントタイプとも比較したマグネシアセメントのさらなる利点を下記に提示する。一つ目のさらなる利点は、マグネシアセメントが、相対的にエネルギー効率よく、したがってコスト効率よく、製造することができるということである。さらに、マグネシアセメントは、相対的に大きな圧縮および引張強度を有する。マグネシアセメントの別の利点は、このセメントが、植物繊維、木粉(木屑)および/または木材チップなどの―典型的には安価な―セルロース材料との親和性を元々有しているということである。これにより、前記マグネシアセメントの前記結合が向上するだけでなく、重量の節減およびさらなる遮音(減衰)がもたらされる。セルロースと結合し、また任意選択的に粘土とも結合したときの酸化マグネシウムは、水蒸気を発散するマグネシアセメントを創出し、このセメントは、効率的に水分を排出するため劣化(腐敗)しない。さらに、マグネシアセメントは、熱的にも電気的にも相対的に良好な絶縁材料であり、これにより、本発明に係る前記パネルは、レーダー基地および病院の手術室用の床材に特に適している。マグネシアセメントのさらなる利点は、マグネシアセメントが、他のセメントタイプと比べて相対的に低いpHを有し、これにより、セメントマトリックス内の分散粒子としてかつ/または(ガラス繊維)補強層としてのガラス繊維の大きな耐久性が全面的に可能になり、さらに、耐久的に他の種類の繊維を使用することが可能になるということである。さらに、前記装飾用パネルのさらなる利点は、当該装飾用パネルが屋内使用および屋外使用の両方に適しているということである。
【0005】
既に述べたように、前記マグネシアセメントは、酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムを主成分とする。前記マグネシアセメント自体は、当該マグネシアセメントを生成するのに使用されるさらなる反応物質によっては、酸化マグネシウムを含まなくてもよい。ここで、例えば、反応物質としてのマグネシアは、前記マグネシアセメントの生成過程中に水酸化マグネシウムに変換されることが十分想像できる。したがって、前記マグネシアセメント自体が水酸化マグネシウムを含んでもよい。典型的には、前記マグネシアセメントは、水、特に水和水を含む。水は、通常、強固かつ緊密なセメントマトリックスを創出するための結合剤として使用される。
【0006】
本発明に係るパネルの一実施形態では、前記マグネシア系組成物、特に前記マグネシアセメントは、塩化マグネシウム(MgCl2)を含む。典型的には、マグネシア(MgO)が水溶液中で塩化マグネシウムと混合されると、オキシ塩化マグネシウム(MOC)を含むマグネシアセメントが形成されることになる。結合相は、Mg(OH)2、5Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(5形態)、3Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(3形態)、およびMg2(OH)CICO3・3H2Oである。前記5形態は好ましい相であるが、それは、この相が優れた機械的性質を有するからである。ポルトランドセメントのようなその他のセメントタイプに関連して、MOCは優れた性質を有する。MOCは、湿潤養生が必要なく、高い耐火性、低い熱伝導率、摩耗に対する良好な耐性を有する。MOCセメントは、良好な耐接着性をもつ異なる骨材(添加剤)および繊維とともに使用することができ、MOCセメントは、異なる種類の表面処理を受けることもできる。MOCは、48時間以内に高い圧縮強度を発現する(例えば、8,000psiから10,000psi)。圧縮強度利得は、養生中に早期に発生する―48時間強度は、極限強度の少なくとも80%になる。MOCの圧縮強度は、好ましくは、40N/mm2と100N/mm2の間にある。曲げ引張強度は、好ましくは、10N/mm2から17N/mm2である。MOCの表面硬さは、好ましくは、50N/mm2から250N/mm2である。弾性率は、好ましくは、1×104N/mm2から3×104N/mm2である。MOCの曲げ強度は相対的に低いが、繊維、特にセルロース系繊維の添加によって大幅に向上させることができる。MOCは、非常に多様なプラスチック繊維、鉱物繊維(バサルト繊維など)、および、バガス、木質繊維、およびヘンプなどの有機繊維との相容性がある。本発明に係る前記パネルに使用されるMOCは、これらの繊維タイプのうちの一つまたは複数によって強化してよい。MOCは、収縮せず、許容できる程度に耐摩耗性であり、耐衝撃性、耐圧痕性かつ耐擦傷性である。MOCは、熱サイクルおよび凍結融解サイクルに耐えることができ、耐久性を向上させるのに空気連行を必要としない。MOCは、さらに、極めて良好な熱伝導率、低い電気伝導率を有し、多様な基材および添加剤に極めて良好に結合し、許容できる耐火性を有する。MOCは、前記パネルが、凝結性と前記オキシ塩化マグネシウム相発現の両方に影響を及ぼす相対的に異常な気象条件(温度および湿度)にさらされることになる場合はあまり好ましくない。一定時間をかけて、大気中の二酸化炭素がオキシ塩化マグネシウムと反応して、Mg2(OH)ClCO3・3H2Oの表面層を形成することになる。この層は、溶脱過程を緩やかにする働きをする。結果的に、さらなる溶脱により、ハイドロマグネサイト、すなわち、4MgO・3CO3・4H2Oが形成され、これは不溶性で、前記セメントが構造的完全性を維持することを可能にする。
【0007】
本発明に係る前記パネルの好ましい一実施形態では、前記マグネシウム系組成物、および特に前記マグネシアセメントは、硫酸マグネシウム、特に七水和物硫酸塩鉱物エプソマイト(MgSO4・7H2O)を主成分とする。この後者の塩はエプソム塩としても知られる。水溶液中で、MgOはMgSO4と反応し、非常に良好な結合性を有するオキシ硫酸マグネシウムセメント(MOS)を生じる。MOSでは、5Mg(OH)2・MgSO4・8H2Oが最も一般的に見られる化学相である。MOSはMOCほど強固ではないが、MOSはMOCの二倍を超える温度で分解し始め、より長い時間防火するため、MOSは耐火用途により適している。さらに、昇温での分解のMOSの生成物は、酸塩化物(塩酸)の生成物ほど有害(二酸化硫黄)ではなく、また、腐食性もより小さい。さらに、適用中の気象条件(湿度、温度、および風)は、MOSではMOCほど重要ではない。MOSセメントの機械的強度は、主に、当該セメントにおける結晶相のタイプおよび相対含有量によって決まる。MOSセメントの機械的強度に寄与し得る四つの塩基性マグネシウム塩は、30セルシウス度と120セルシウス度の間の異なる温度でMgO‐MgSO4‐H2Oの三成分系で存在し、5Mg(OH)2・MgSO4・3H2O(513相)、3Mg(OH)2・MgSO4・8H2O(318相)、Mg(OH)2・2MgSO4・3H2O(123相)、およびMg(OH)2・MgSO4・5H2O(115相)であることが分かっている。通常、前記513相および前記318相は、MgOとMgSO4の分子比が(約)5:1で固定されたときの飽和蒸気条件下でセメントを養生することによってしか得ることができなかった。前記318相は、前記機械的強度に大幅に寄与しており、室温で安定し、したがって、適用される前記MOSに存在していることが好ましいことが分かっている。これは前記513相にも当てはまる。前記513相は、典型的には、針状構造を含む(微細)構造を有する。これは、SEM分析によって証明することができる。前記オキシ硫酸マグネシウム(5Mg(OH)2・MgSO4・3H2O)の針は、実質的に均一に形成される可能性があり、典型的には、10μmから15μmの長さおよび0.4μmから1.0μmの直径を有するだろう。針状構造に言及した場合、フレーク状構造および/またはひげ構造を意味することもある。実際のところ、50%を超える513相または318相を含むMOSを得ることは実現可能には思えないが、前記結晶相を調整することによって、MOSの前記機械的強度を向上する組成を適用することができる。好ましくは、前記マグネシアセメントは、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%の前記5Mg(OH)2・MgSO4・3H2O(513相)を含む。この好ましい実施形態は、床パネルの前記コア層に使用するための十分な機械的強度を有するマグネシアセメントを提供するだろう。
【0008】
MOSの前記結晶相は、有機酸、好ましくはクエン酸を使用することによってかつ/またはリン酸および/またはリン酸塩によって前記MOSを改質することによって調整可能である。この改質中、5Mg(OH)2.MgSO4・5H2O(515相)およびMg(OH)2・MgSO4・7H2O(517相)によって表すことができる新たなMOS相を得ることができる。前記515相は、クエン酸を使用することによる前記MOSの改質によって得ることができる。前記517相は、リン酸および/またはリン酸塩(H3PO4、KH2PO4、K3PO4およびK2HPO4)を使用することによる前記MOSの改質によって得ることができる。これらの515相および517相は化学元素分析によって特定することができ、SEM分析により、前記515相および前記517相の両方の微細構造が針状結晶であり、水に溶けないことが証明される。特に、MOSの圧縮強度および耐水性は、クエン酸の添加によって向上させることができる。したがって、MOSは、本発明に係る前記パネルに適用される場合は、5Mg(OH)2・MgSO4・5H2O(515相)および/またはMg(OH)2・MgSO4・7H2O(517相)を含むことが好ましい。上述のように、リン酸およびリン酸塩を添加することで、MgOの水和過程および相組成を変化させることによって、凝結時間を引き延ばすことができ、MOSセメントの圧縮強度および耐水性を向上させることができる。ここで、リン酸またはリン酸塩は溶液中でイオン化してH2PO4
-、HPO4
2-、および/またはPO4
3-を形成し、これらのアニオンは、[Mg(OH)(H2O)X]+に吸着してMg(OH)2の形成を抑制し、さらに、新たな塩基性硫酸マグネシウム相の発生を促進し、MOSセメントのコンパクトな構造、高い機械的強度および良好な耐水性をもたらす。MOSセメントにリン酸またはリン酸塩を添加することによってもたらされる向上は、H3PO4=KH2PO+>>K2HPO4>>K3PO4の順に従う。MOSは、MOCよりもかなり広範囲の気象条件下で体積安定性が良好で、収縮が少なく、結合性が良好で腐食性が低く、したがって、MOSよりも好ましい場合がある。MOSの密度は、典型的には、350kg/m3から650kg/m3まで様々である。曲げ引張強度は、好ましくは、1N/mm2から7N/mm2である。
【0009】
別の好ましい実施形態では、前記マグネシウム系組成物、特に前記マグネシアセメントは、リン酸マグネシウムセメント(MPC)を含む。好ましいMPCは、リン酸マグネシウムアンモニウムセメント(MAPC)およびリン酸マグネシウムカリウムセメント(MKPC)である。MAPCは、酸化マグネシウムと、単塩または二塩基性塩である、ADPとも呼ばれる、リン酸アンモニウム(NH4H2PO4)などの可溶性リン酸塩との間の化学反応から生じる。あるいは、10‐34‐0(NPK指定)として知られる農業用肥料溶液を使用することもできる。MAPCは、凝結が速く、非常に高い早期強度を有する。MAPCは、多種多様な相容性のある骨材(添加剤)に対する非常に良好な接着性を有する。多種多様な不溶性のリン酸アンモニア相およびリン酸マグネシウム相が形成されるが、ストラバイト(NH4MgPO4・6H2O)およびディットマライト(NH4MgPO4・H2O)が主相であると思われる。これらの相の比率は反応速度によって決まり、ディットマライトは速い速度で優勢であり、ストラバイトはより緩やかな速度で優勢である。55°Cを超える温度では、ストラバイトは分解して、その構造から水およびアンモニアを放出する。その結果得られる材料は、MgHPO4に化学的に対応するアモルファス構造を有する。ADPは、完全な反応を保証しかつ固めたコンクリートにおける圧縮強度をより高めるために過剰に添加されるが、結果的に、前記過剰なADPは養生中に揮発する。MKPCは、MKPと呼ばれるリン酸二水素カリウム(KH2PO4)とのMgOの反応によって形成される。最終的な反応生成物は、リン酸マグネシウムカリウム六水和物(MgKPO4・6H2O)として特定される。前記反応中にはpHおよび温度が変化するため、前記反応中には様々な中間相が形成される。リン酸塩に対するマグネシウムの分子比(M/P)の上昇と固体に対する液体の重量比の減少の両方が前記反応速度を加速し得る。非常に速い反応速度により、通常使用される前記MgOは、MAPCとMKPCの両方において死焼される。好ましくは、管理しやすい反応時間を得るために、MAPCとMKPCの両方の形成中に、遅延剤、通常はホウ酸塩が使用される。MPCは、5,000psiから10,000psi(35MPaから70MPa)の範囲内の高い圧縮強度を発現する。MPCは、通常の暴露条件下では経時的に強度を失わない。いくつかの要因が強度の発現に影響を及ぼす可能性があり、観察される影響が最も大きいのは、反応物質の比率(M/P)、w/b比、使用する遅延剤の量、および前記結合剤に対して充填剤/骨材として添加される材料である。600psiから2,000psi(4MPaから14MPa)の曲げ強度が見られ、反応物質の比率による強度への影響はほとんどなかった。好ましくは、セルロース系繊維などの繊維、特に木質繊維および/またはヘンプ繊維が、曲げ強度を向上することになるため、前記MPCに添加される。添加剤および繊維を使用した結果、少なくとも一つのガラスメッシュを利用した前記マグネシアセメントの曲げ強化に有用である配合になった。MPC、および特にMKPは、最小限の収縮、極めて良好な耐凍結融解性、および非常に低い透過性を示す。MPC、および特にMKPは、低い熱膨張率、相対的に良好な防食性、および相対的に高い耐摩耗性も有する。好ましくは、形成された前記MPCの前記強度を上げるために、硫酸マグネシウム溶液への浸漬が行われる。
【0010】
上述のように、クエン酸および/またはクエン酸誘導体、特にクエン酸塩の添加は、前記パネル強度を向上することになるため好ましい。前記複合層は、例えば、最大で0.5重量%のクエン酸を含んでよく、かつ/または最大で0.5重量%のクエン酸によって少なくとも部分的に形成される。しかしながら、前記複合層は、最大で1重量%のクエン酸を含み、場合によっては最大で2重量%含むことも考えられる。典型的には、前記複合層は、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%のクエン酸を含む。同じことがケイ酸ナトリウムの添加にも当てはまり、特にクエン酸塩とケイ酸ナトリウムの1:1の比率の組み合わせが適用される場合に当てはまる。この後者の場合、前記曲げ強度は二倍にもなり得る。重炭酸ナトリウムの添加も、マグネシアセメントの耐水性を大幅に向上させるため好ましい。40%から60%の結合剤のレベルにおけるドロマイト、マグネサイトまたはその他の充填剤の添加も、熱の一部を吸収することができ、形成される前記マグネシアセメントの熱クラックの機会を減らすことができるため、有利に適用され得る。
【0011】
前記複合層は、好ましくは、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩化カルシウム(CaCl2)、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)、および水酸化カルシウムCa(OH)2からなる群から選択される少なくとも一つの鉱化剤を含む。上述のように、本発明に係る前記パネルは、典型的には、セルロース系粒子、特にリグノセルロース系粒子を含む。好ましくは、前記セルロース系粒子は、木材および/またはヘンプを含む。以前の研究によって、木材およびヘンプは化学的に異種であり、その成分は、高分子量の構造成分―主要な細胞壁成分である天然ポリマー物質(セルロース、ヘミセルロースおよびリグニン)と、低分子量の非構造成分(抽出物および無機成分)という二つの群に分けることができることが示されている。木材と木質繊維は両方とも多くの化学成分を含むが、セメント水和の主な抑制物質は糖であることが分かった。木質繊維またはヘンプ繊維などの前記天然繊維に対しては、好ましくは、当該天然繊維を前記(最初は流体の)マグネシアセメントと混合する前に、いくつかの化学処理が行われる。前記処理済みの木質繊維複合物の圧縮強度およびその他の機械的性質は、前記未処理の繊維のものよりも高い。鉱化作用物質(鉱化剤)と呼ばれることもある、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩化カルシウム(CaCl2)、および硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)などの化学物質は、典型的には、セメントと植物由来の骨材との相容性を向上させる。Al2(SO4)3+Ca(OH)2などの複合鉱化剤を適用してもよい。鉱化剤としてAl2(SO4)3が使用されるときは、Al2(SO4)3は、有機骨材からの糖の放出を妨げ、吸湿性および吸水性を低下させる。水和物の形をしたAl2(SO4)3は、水中での酸性反応の特性であり、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]は水中でのアルカリ性反応の特徴である。前記鉱化は、Al2(SO4)3の効率性を高め、Al2(SO4)3によって引き起こされる酸性環境を少なくとも部分的に中和し、前記混合物の作業性を向上させることによって達成される。木質骨材の鉱化は、前記木質粒子と前記マグネシアセメントの間の接着性の向上にもつながり、その結果、より安定した緊密なマグネシアセメントを実現することができる。
【0012】
上述のように、前記セルロース系粒子の少なくとも一部は繊維によって形成される。前記セルロース系粒子の少なくとも一部は、粉末、(木材の)削り屑、ウール(木毛)、および/または(木材)チップによって形成されることも想像できる。木材の代わりに、ヘンプなどのその他の天然繊維を使用してもよい。ヘンプを多く含むマグネシアセメントも、相対的に良好な断熱材、極めて良好な水硬性、多大な音響能力、および良好な耐火性を示す。ここで、典型的には、ヘンプの結束繊維が粗骨材(基本成分)として使用される。木材を用いる場合のように、前記ヘンプの結束繊維は、好ましくは、Al2(SO4)3によって鉱化され、Ca(OH)2で中和され、前記(最初は流体/液体の)マグネシアセメントと混合される。
【0013】
前記複合層は、好ましくは、鋼、ガラス、ポリプロピレン、木材、アクリル、アルミナ、クラワ、炭素、セルロース、ココナッツ、ケブラー、ナイロン、ペルロン、ポリエチレン、PVA、岩綿、サイザル、およびフィキューからなる群から選択される少なくとも一つのさらなる充填剤を含む。これにより、前記パネルの前記強度および/または水抵抗性および/または前記パネル自体の防火性がさらに高まる可能性がある。
【0014】
好ましくは、前記複合層は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC)を含む。前記複合層へのCMCの(生成中の)添加により、アルカリ性水溶液環境中および昇温(200°C以上)での前記マグネシウム系複合層、特にマグネシアセメントの自己分解が容易になり、さらには促進されることが分かった。したがって、これにより、前記パネルの生分解性が向上することになる。この昇温において、CMCは、CO2と酢酸という二つの主要な揮発性化合物を放出し、セメントに多孔質構造を創出した。CMCは、ケイ酸ナトリウムが適用された場合は、ケイ酸ナトリウムからのNaOHとも反応して、グリコール酸ジナトリウム塩、ナトリウムグルコシド塩(sodium glucosidic salt)、および重炭酸ナトリウムという三つの水非感受性固体反応生成物を形成した。ポリケイ酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどのその他の水感受性固体反応生成物は、ケイ酸ナトリウムの加水分解物に由来するものであった。水との接触によるこれらの生成物の溶解により、セメントの自己分解を促進する熱が発生した。したがって、CMC、特にMW30,000の高分子量のCMSは、加熱されたセメントの前記水触媒による自己分解に対して二つの重要な特徴を与えた。一方は、セメント中の発熱反応において発生した高熱エネルギーであり、他方は、セメントへの広範囲に及ぶ多孔性の導入であった。ここで、例えば、前記複合層は、50部の酸化マグネシウム、20部の硫酸マグネシウム溶液、7部の粗い木質繊維(または木粉)、5部の細かい木質繊維(または木粉)、3部のその他の補強繊維、3部のケイ酸ナトリウム、0.3部のカルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC)、および任意選択的に3部のフライアッシュを含むということが考えられる。フライアッシュは、典型的には、コストを削減するためにマグネシウム系成分の代わりになる。フライアッシュは、発電所の副産物であることが多く、典型的には、マグネシアセメント用の鉱物添加剤として使用できるポゾラン材料として適している。フライアッシュは、早期段階におけるセメント水和の熱、マグネシアセメントの収縮速度、およびセメント石の多孔性を低下させることができ、かつセメント石の密度および物理的性質および機械的性質を向上させることができる。フライアッシュは、前記マグネシアセメントのレオロジーを向上することを示したが、典型的には圧縮強度を犠牲にした。その結果、前記複合層、特に前記マグネシア層中のフライアッシュの量は、好ましくは、10重量%以下の量に制限しておく。
【0015】
好ましくは、前記複合層はシリカフュームを含む。マイクロシリカとしても知られるシリカフュームは、二酸化ケイ素、すなわちシリカの、アモルファス(非晶質)多形である。シリカフュームは、ケイ素とフェロシリコンの合金製品の副産物として収集される超微粉であり、典型的には、150nmの平均粒径をもつ球状粒子からなる。前記複合層、特に前記マグネシアセメントにシリカフュームを組み込むことによって、水抵抗性および防火性を大幅に向上させることができる。前記シリカフュームは、前記複合層の圧縮強度に影響を及ぼし得るため、シリカフュームの量は、好ましくは、10重量%以下の量に制限しておく。
【0016】
前記複合層は、酸化鉄(Fe2O3)を、好ましくは6重量%未満の量で含んでよい。酸化鉄はセメントに色を付ける。さらに、非常に高い温度では、酸化鉄は、同様に前記複合層中に存在し得るカルシウムおよびアルミニウムと化学的に反応してトリカルシウムアルミノフェライトを形成し、当該物質(トリカルシウムアルミノフェライト)は、前記複合層の硬度および強度を向上させる。好ましくは、前記複合層中のアルミナ(Al2O3)の量は、3重量%と8重量%の間にある。好ましくは、上述の反応に必要な硫酸カルシウムの量は、典型的には、最大で0.5重量%(0.5重量%を含む)になるだろう。
【0017】
前記複合層は好ましくは脂肪酸を含む。脂肪酸は、粉砕前の原料マグネサイトのチャネル(細孔)を貫通することができ、マグネシア系セメント粉末を生成するための粉砕工程(の効率)を容易にするだろう。
【0018】
前記複合層は、硫酸マグネシウムなどの少なくとも一つのアルカリ金属硫酸塩を含んでよい。これにより、一般的に、前記複合層の生成工程が加速されるだろう。
【0019】
前記一つまたは複数の複合層は、好ましくはポリマーを含まないが、一つまたは複数の複合層が、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)および/またはポリウレタン(PUR)などの、少なくとも一つのポリマーを含むことが想像できる。PSは、前記パネルの密度をさらに減少させるために発泡PS(EPS)の形であってよく、これは、コストの削減につながり、前記パネルの取り扱いが容易になる。その他のポリマー、特に熱可塑性物質を使用してもよい。少なくとも一つの複合層内にゴム部品(粒子)を分散させて、可撓性を少なくともある程度向上させることも想像できる。前記少なくとも一つのポリマーが適用される場合は、当該ポリマーは、シート(閉じ層)、メッシュ(織布)、不織布の形で、および/または別体のポリマー粒子(繊維、ビード、球体など)として、前記複合層内に適用されてよい。ポリマー層が適用される場合、当該層は、好ましくは、複合材料によって両側部が囲まれ、したがって、好ましくは、前記複合層内に埋め込まれる。
【0020】
好ましくは、前記複合層は、パーライト、好ましくは発泡パーライトを含む。パーライトは、典型的には黒曜石の水和によって形成される、相対的に高い含水率を有するアモルファス火山ガラスである。パーライトは、十分に加熱されると大きく膨張するという珍しい性質を有し、前記複合層の前記密度を大幅に減少させ、したがって前記パネル自体の密度を大幅に減少させる可能性がある。複合層は、さらに、異なる粒度値の発泡パーライトを含むことが好ましい。独立気泡の発泡パーライトは、30%から40%の(パーライトの)気孔率の達成につながる可能性がある。前記パーライトは、ケイ素溶液、すなわち、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、およびケイ酸リチウムによって予め処理することができる。
【0021】
前記複合層は、さらに、前記混合物のレオロジーを向上させるための、メチルセルロースなどの界面活性物質(SAS)、「Badimol」可塑化材料およびその他のカチオン活性SASを含む、一つまたは複数の添加材料を含んでよい。前記複合層は、レオロジーおよび前記パネル自体の防水特性を増大させるように適合された、細かく粉砕された天然産物であるベントナイトを含んでもよい。
【0022】
前記複合層は、少なくとも一つの難燃添加剤を含んでもよい。この難燃添加剤は、好ましくは、有機ハロゲン化合物によって形成される。このような化合物は、火災中に反応性のHラジカルとOHラジカルを除去することができる。前記有機ハロゲン化合物は、好ましくは、臭素および/または塩素を含む。PCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有機塩素化合物に対する難燃性の観点から推奨されるのは、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)などの有機臭素化合物である。適用可能な臭素化化合物のその他の例は、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル(デカ)、オクタブロモジフェニルエーテル、テトラブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、トリブロモフェノール、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー(TBBAまたはTBBPA)、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー(TBBAまたはTBBPA)、およびテトラブロモフタル酸無水物である。適用可能な塩素化化合物のその他の例は、塩素化パラフィン、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン、ドデカクロリドペンタシクロデカン(デクロラン)、および1,2,3,4,7,8,9,10,13,13,14,14‐ドデカクロロ‐1,4,4a,5,6,6a,7,10,10a,11,12,12a‐ドデカヒドロ‐1,4,7,10‐ジメタノジベンゾ[a,e]シクロオクテン(デクロランプラス)である。ハロゲン化難燃剤は特に効果的だが、ハロゲン化難燃剤は、概して、火災の際に有毒な煙が生じかねないという短所を有する。したがって、熱膨張性(発泡)物質を含む、一つまたは複数の代替的な、より毒性の低い難燃添加剤を適用することを想定することもできる。これらの代替的な添加剤の作用原理は、酸素バリアとして機能し、したがって難燃効果も有する発泡層の形成に基づく。このような熱膨張性の添加剤は、概して、メラミン又はメラミン由来の塩を含む。その一例は、メラミン(発泡剤)と共作用するポリリン酸塩(酸供与体)と、ジペンタエリトリトール、デンプンまたはペンタエリトリトールなどの炭素供与体との混合物である。ここでは、火災の際に、二酸化炭素およびアンモニアガスなどのガス生成物が形成される。前記形成された発泡層は、加硫の場合と同様に、架橋結合によって安定化する。適用可能な、相対的に環境に優しいメラミン系の添加剤のその他の例は、シアヌル酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸メラミンである。
【0023】
重量を削減し、したがってコストを削減するために、前記複合層は、少なくとも部分的に発泡していると有利である可能性がある。前記発泡構造は、連続気孔(気泡)および/または独立気孔(気泡)を含んでよい。
【0024】
前記(一つまたは複数の)複合層は、当該(一つまたは複数の)複合層(および前記パネル自体)にさらなる可撓性を与えるために、フタル酸エステルなどの一つまたは複数の可塑剤が与えられてよいが、各複合層は、好ましくは、前記パネルの前記コアの剛性を増大させるために、可塑剤を含まないことが好ましく、これは、さらに、環境の観点からも有益である。
【0025】
前記少なくとも一つの補強層は、好ましくは、不織層または織層、特に、例えばガラス繊維によって作られた、布である。前記少なくとも一つの補強層は、0.2mmから0.4mmの厚みを有してよい。各タイルは、互いに積み重なった複数の前記(一般的により薄い)ベース層を含み、少なくとも一つの補強層が二つの隣接するベース層間に位置していることも考えられる。好ましくは、前記補強層の密度は、好ましくは、1,000kg/m3と2,000kg/m3の間、好ましくは1,400kg/m3と1,900kg/m3の間、より好ましくは1,400kg/m3と1,700kg/m3の間にある。少なくとも一つの補強層はジュートなどの天然繊維を含んでよい。ジュートなどであるがジュートに限定されない天然繊維を含む前記補強層は、前記複合層の凝結時間および標準水コンシステンシー値(standard water consistency value)を増加する可能性がある。さらに、前記マグネシアセメントの水和速度は、天然繊維を含む補強層が前記マグネシアセメントに埋め込まれているときは低下する可能性がある。この知見を用いて、前記パネルの前記凝結時間、すなわち、養生時間を制御することができる。したがって、天然繊維を含む補強層の使用により、前記パネルの硬化の速度が落ちることを保証することができ、それにより、乾燥工程が速くなり過ぎて、結果的に水が蒸発してしまうことが防止される。後者は、前記材料中に、クラックなどの望ましくない異常を招く可能性がある。少なくとも一つの補強層は、合成繊維、特にナイロン繊維などのポリマー繊維を含んでよい。
【0026】
好ましくは、前記複合層は、少なくとも50重量%、好ましくは50重量%と90重量%の間のマグネシアセメントを含む。好ましくは、前記複合層は、1重量%と15重量%の間のセルロース系繊維を含む。好ましくは、前記複合層は、0重量%と3重量%の間のパーライトを含む。好ましくは、前記複合層は、1重量%と8重量%の間の補強層を含む。
【0027】
好ましい一実施形態では、少なくとも一つの複合層が1kg/m3よりも大きな密度を有する。この相対的に高い密度は、一般的に、強固かつ剛性のパネルにつながるだろう。しかしながら、少なくとも一つの複合層が1kg/m3よりも低い密度を有し、重量の削減、したがって輸送コストおよび取扱コストの削減につながることも想像できる。前記より低い密度は、例えば、発泡パーライト、発泡ポリスチレンなどの一つまたは複数の発泡成分を適用することによって得ることができる。
【0028】
前記コアは、前記少なくとも一つの複合層を実質的に被覆する防水コーティングを備えることが想像できる。これにより、前記パネル自体の前記防水性がさらに向上する可能性がある。この目的で、前記防水コーティングは、少なくとも一つの複合層(少なくとも一つの複合層の少なくとも一つの外表面)に液体として塗布するための二成分液塗布型の防水配合でよい。典型的には、このコーティングは別々の成分Aおよび成分Bを含み、当該成分Aおよび成分Bは、別々の容器で輸送可能で、ブレンドを形成するように組み合わせ可能であり、当該ブレンドでは、加硫が開始され、前記成分を凝固させて膜にするが、成分Aは、天然ゴムまたは合成ゴムの水性ラテックスを含み、成分Bは、成分A中の前記ゴムを硬化させるように働く加硫剤と、成分A中の水と化学結合するように働く吸湿剤とを分散させたオイルキャリアを含む。成分Aは、好ましくは、前記ラテックス成分の初期pHを制御することによって前記ラテックスの可使時間を増加するように働くラテックス安定剤を含む。成分A中に最小量で溶解された水酸化カリウム(KOH)の添加により、凝結時間を長くすることができるが、過度な量だと不安定化し、前記ラテックスが早くゲル化してしまう可能性があることも判明している。したがって、好ましい添加割合は、ゴム100部に対して最大で1.5部である。アンモニアまたは水酸化ナトリウム(NaOH)などのその他の高pH添加剤を使用してもよいと思われる。したがって、本発明の例示的な成分Aは、0phr(per hundred parts rubber)から2.5phr含んでよい。成分Bは、とりわけ、前記加硫剤および吸湿剤用のオイル12キャリア流体を含有する。好ましい実施形態では、前記オイルキャリア流体は、芳香族組成物とパラフィン系組成物の両方のブレンドなどの、炭化水素油のブレンドである。前記ゴム粒子を選択的に膨張させる前記芳香族油は、概してより粘性である。流動性は、前記組成物の凝結時間を調整する働きもあるより低い粘度のパラフィン系油の添加によって制御することができる。その他の例示的実施形態では、フタル酸エステル、アジピン酸エステルなどの合成液状可塑剤、またはその他の一般的に使用されるゴム可塑剤を使用することができる。前記キャリア流体12は、酸化ビチューメンまたは浸透グレードビチューメンのいずれかを部分的に含んでもよい。芳香族油のレベルは、前記オイルキャリア流体の50%未満になる可能性は低く、前記ビチューメンは30%以下である。しかしながら、前記ビチューメンの存在は本発明に不可欠ではない。同様に任意選択的であるのは、硬質の合成樹脂または天然樹脂の使用である。前記オイル12キャリア流体は、前記配合(成分Aおよび成分Bが組み合わされたとき)の20合計重量%から60合計重量%含むことになる。成分Bは、典型的には、加硫剤または加硫パッケージを含有する。好ましくは、前記加硫パッケージは、前記系のための硫黄供与体としての硫黄元素、加硫活性剤としての酸化亜鉛、および促進剤としてのイソプロピルキサントゲン酸亜鉛(ZIX)とジブチルジチオカルバミン酸亜鉛ジブチルアミン錯体(ZDBCX)との混合物とを含む。これらは、それぞれ、0.5phr(ゴム100部に基づく硫黄部)から15.0phr、0.5phrから20.0phr(ZnO)、0.1phrから5.0phr(ZIX)、および0.1phrから5.0phr(ZDBCX)という好ましい範囲で使用してよい。その他の既知の加硫剤および/または加硫パッケージも本発明での使用に適すると思われる。成分Bは、成分Aの水と化学結合するための吸湿剤または乾燥剤を含んでもよい。前記好ましい吸湿剤は酸化カルシウムである。その他の吸湿剤としては、水と反応して水酸化物を形成するその他の金属酸化物、例えば、マグネシウム、バリウムなどを挙げることができる。ポルトランドセメント、または高アルミナセメント、硫酸カルシウムセメント(焼き石膏)、またはオキシ塩化マグネシウムセメントなどの水硬セメントを使用してもよい。前記吸湿剤は、ホウ砂などの、自重の相当な割合(25%以上)の水を吸収する無水塩を含んでもよい。前記吸湿剤の重量は、前記ラテックスを効果的に脱水するように選択され、好ましくは、前記水が完全に結合されることを保証するために少し過剰にする。しかしながら、前記ラテックスの部分的な乾燥を使用すること、すなわち、理論量未満の吸湿剤を使用することも可能である。前記吸湿剤は、選択される吸湿剤にもよるが、合計配合系の10%から50%含むことができる。成分Bは、一つまたは複数のレオロジー改質剤を含んでもよい。好ましくは、モンモリロナイト粘土(化学活性剤によって活性化される)と、ステアリン酸でコーティングした炭酸カルシウムとの組み合わせを使用してレオロジー性の望ましいバランスを得るが、有機処理されたベントナイト粘土、フュームドシリカ、ポリマー繊維、粉砕ゴム、微粉砕フライアッシュ、中空ガラスマイクロスフェア、および水素添加ひまし油などのその他の任意選択肢を採用し得る。レオロジー改質剤の量は、選択される材料に応じて、前記配合系(成分Aおよび成分Bを組み合わせたもの)における全固形分の0.5重量%から25.0重量%含む。
【0029】
前記コアと前記頂部構造の間に防水層があることも考えられる。これにより、前記パネル自体の前記防水性がさらに向上し得る。前記防水層は、上述した前記防水コーティングの前記組成と同じ組成を有してよいが、PVC層などのポリマー層によって形成されてもよい。
【0030】
複合層が複数の補強層を含む可能性もなくはない。例えば、少なくとも一つの第1補強層が前記複合層の頂部に位置し、少なくとも一つの第2補強層が前記複合層の底部に位置してもよい。
【0031】
前記コアは、直接的かつ/または間接的に互いに積み重ねられた複合層の積層体を含むことが想像できる。前記複合層同士は同一の組成を有してよいが、互いに異なる組成を有してもよく、それにより、複合層ごとの性質を、微調整すること、および各複合層の主要機能(例えば、音を減衰させる、強度を与える、可撓性を与える、など)に適合させることが可能になる。
【0032】
前記頂部構造は、好ましくは、防水接着剤によって前記コアに接着される。これにより、前記頂部構造にかかった水から前記(一つまたは複数の)複合層が保護され、前記パネル自体の防水性が高まる。さらに、これにより、前記頂部構造が前記コアから容易に剥離することが防止される。
【0033】
前記頂部構造は、好ましくは、少なくとも一つの装飾層と、当該装飾層を被覆する少なくとも一つの透明な摩耗層を含む。前記摩耗層の上にはラッカー層またはその他の保護層が塗布されてよい。前記装飾層と前記摩耗層の間には仕上げ層が塗布されてよい。前記装飾層は可視になり、前記パネルに魅力的な外観を与えるために使用されることになる。この目的で、前記装飾層はデザイン模様を有してよく、当該デザイン模様は、いくつかのデザイン例を挙げれば、例えば、木目調のデザイン、大理石、花崗岩またはその他の天然石粒子に似た鉱物粒子デザイン、または色模様、混色または単色であり得る。前記パネル生産工程中にデジタル印刷によって実現される場合が多い、カスタマイズされた外観も考えられる。前記装飾用頂部構造は、単層によって形成されてもよい。前記装飾用頂部構造は、好ましくは、ポリマーフィルムおよび/または紙層を含む。上述のポリマーフィルムおよび紙層は、典型的には、装飾プリントを備える。上述のポリマーフィルムおよび/または紙層は、例えばグルーを使用することによって、前記コアに直接的または間接的に取り付けられる。代替的な一実施形態では、前記装飾用頂部構造は、本発明に係る前記パネルにおいて、省略される、つまり、適用されない。この後者の実施形態では、前記装飾用パネル、特に床パネル、天井パネルまたは壁パネルは、上側部および下側部を備えるコアと、第1連結外形を含む第1パネル辺、および、水平方向と垂直方向の両方に、隣接するパネルの前記第1連結外形と相互にロックするように係合するように設計された第2連結外形を含む第2パネル辺とを含み、前記コアは、少なくとも一つの複合層を含み、当該複合層は、少なくとも一つのマグネシアセメントと、当該マグネシアセメントに分散されたセルロース系粒子と、前記複合層に埋め込まれた少なくとも一つの補強層とを含む。
【0034】
好ましくは、前記パネルは、前記コアの後側部に取り付けられたバッキング層を含む。前記少なくとも一つのバッキング層は、好ましくは、可撓性材料、好ましくはエラストマーから少なくとも部分的に作られる。前記バッキング層の厚みは、典型的には、約0.1mmから約2.5mmまで様々である。前記バッキング層を作ることができる材料の非限定的な例としては、ポリエチレン、コルク、ポリウレタンおよびエチレン酢酸ビニルがある。ポリエチレンバッキング層の厚みは、例えば、典型的には、2mm以下である。前記バッキング層は、一般的に、前記パネル自体にさらなるロバスト性、寸法安定性、および/または耐衝撃性を与え、前記パネルの耐久性を増大させる。さらに、前記(可撓性の)バッキング層は、前記パネルの音響的(音を減衰させる)性質を増大し得る。特に、一実施形態では、
好ましくは、少なくとも一つの補強層は、前記第1連結外形および前記第2連結外形のうちの一方の連結外形にのみ延在する。これは、典型的には上側外形および下側外形を使用することによって、垂直方向に延出する舌部と溝の(倒す)接続が形成されるように前記第1連結外形および前記第2連結外形を設計することによって実現することができるが、この好ましい一例は下記に示す。典型的には上述の下側外形である一方の連結外形にのみ前記補強層を適用し、したがって、典型的には上述の上側外形である相補的な連結外形に前記補強層を適用しないことの利点は、一方の連結外形(上側外形)の可撓性が他方の連結外形(下側外形)の可撓性よりも大きくなることである。これは、典型的には、前記上側外形が、前記下側外形よりも容易に変形することを意味し、これは、前記連結外形間の連結を実現するのに変形が必要とされる場合に特に有利である。
【0035】
好ましくは、前記第1連結外形は、
上向き舌部と、
前記上向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの上向きフランクと、
前記上向き舌部と前記上向きフランクの間に形成された上向き溝であって、隣接するパネルの第2連結外形の下向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された上向き溝と、
好ましくは前記上向きフランクとは反対側を向く前記上向き舌部の遠位の側部に設けられた、少なくとも一つの第1ロック要素とを含み、好ましくは、前記(相補的な)第2の連結外形が、
第1下向き舌部と
前記下向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第1下向きフランクと、
前記下向き舌部と前記下向きフランクの間に形成された第1下向き溝であって、隣接するパネルの第1連結外形の上向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された下向き溝と、
隣接するパネルの第1ロック要素との共作用のために適合された少なくとも一つの第2ロック要素であって、好ましくは前記下向きフランクに設けられた前記第2ロック要素とを含む。
【0036】
好ましくは、前記第1ロック要素は、膨らみおよび/または凹部を含み、前記第2ロック要素は、膨らみおよび/または凹部を含む。前記膨らみは、一般的に、ロックされた連結、好ましくは垂直方向にロックされた連結を実現するという目的のために、隣接する連結パネルの前記凹部に少なくとも部分的に受けられるように適合される。前記第1ロック要素および前記第2ロック要素は、膨らみと凹部の組み合わせによってではなく、共作用する外形を持つ表面同士および/または高摩擦接触表面同士という別の組み合わせによって形成されることも考えられる。この後者の実施形態では、前記第1ロック要素および前記第2ロック要素のうちの前記少なくとも一方のロック要素は、係合(連結)状態の別のパネルの前記他方のロック要素と摩擦を生じるように構成された、任意選択的には別体の、プラスチック材料から構成される(平らまたはそれ以外の形状をもつ)接触表面によって形成されてよい。摩擦を生じるのに適したプラスチックの例としては、次のものが挙げられる。
アセタール(POM)、良好な耐クリープ性をもち剛性で強固である。アセタールは、低い摩擦係数を有し、高温で安定した状態を保ち、温水に対する良好な耐性をもたらす。
ナイロン(PA)、大多数のポリマーよりも多くの水分を吸収し、水分を吸収するため、衝撃強度および一般的なエネルギー吸収品質が実際に向上する。ナイロンは、低い摩擦係数、良好な電気的性質、および良好な耐薬品性も有する。
ポリフタラミド(PPA)。この高性能ナイロンは、耐温度性が向上し、より低い吸湿性を有する。ポリフタラミド(PA)は良好な耐薬品性も有する。
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、高い強度を兼ね備えた、良好な耐薬品性および耐火性をもつ高温熱可塑性物質である。PEEKは、航空宇宙産業でよく用いられるものである。
ポリフェニレンスルファイド(PPS)、耐薬品性と耐高温性、難燃性、流動性、寸法安定性、および良好な電気的性質を含む性質のバランスをもたらす。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)、寸法的に安定しており、良好な電気的性質とともに高い耐熱性および耐薬品性を有する。
熱可塑性ポリイミド(TPI)、良好な物理的性質、化学的性質、および耐摩耗性をもち本質的に難燃性である。
ポリカーボネート(PC)、良好な衝撃強度、高い耐熱性、および良好な寸法安定性を有する。PCは、良好な電気的性質も有し、水中および鉱酸中または有機酸中で安定している。
ポリエーテルイミド(PEI)、昇温で強度および剛性を維持する。ポリエーテルイミド(PEI)は、良好な長期耐熱性、寸法安定性、本質的な難燃性、および炭化水素、アルコール、およびハロゲン化溶剤に対する耐性も有する。
【0037】
前記第1連結外形と前記第2連結外形は、連結状態において、連結したパネルをそれぞれの辺にて互いに向かって押圧する予張力が存在しているように構成されることが想像でき、これは、好ましくは、前記第1連結外形および前記第2連結外形の重なり合う輪郭、特に下向き舌部および前記上向き溝の重なり合う輪郭および/または前記上向き舌部および前記下向き溝の重なり合う輪郭を適用することによって行われ、前記第1連結外形および前記第2連結外形は、上記のようなパネルの二つが、連結状態において、倒す動きおよび/または垂直方向の動きによって互いに連結されることができるように構成され、連結状態において、連結状態において、前記第2連結部の前記下向き舌部の少なくとも一部が前記第1連結部の前記上向き溝に挿入され、前記下向き舌部が、前記第1連結部によって挟持され、かつ/または前記上向き舌部が、前記第2連結部によって挟持されるようにしてある。
【0038】
好ましい一実施形態において、前記パネルは、第3パネル辺および第4パネル辺にそれぞれ存在する少なくとも一つの第3連結外形および少なくとも一つの第4連結外形を含み、前記第3連結外形は、
前記コアの前記上側部に実質的に平行な方向に延在する横向き舌部と、
前記横向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第2下向きフランクと、
前記横向き舌部と前記第2下向きフランクの間に形成された第2下向き溝とを含み、前記第4連結外形は、
隣接するパネルの前記第3連結外形の前記横向き舌部の少なくとも一部を収容するように構成された第3溝であって、上唇部および下唇部によって画定される前記第3溝において、前記下唇部が上向きロック要素を備える、第3溝を含み、
前記第3連結外形および前記第4連結外形は、上記のようなパネルの二つが回す動きによって互いに連結されることができるように構成され、連結状態において、第1パネルの前記横向き舌部の少なくとも一部が、隣接する第2パネルの前記第3溝に挿入され、前記第2パネルの前記上向きロック要素の少なくとも一部が、前記第1パネルの前記第2下向き溝に挿入される。
【0039】
前記パネル、典型的には前記コア、特に少なくとも一つの複合層は、好ましくは、再生材料を含む。再生材料は、典型的には、以前の(パネル)生産工程から生じた残材を再利用することに関する。
【0040】
前記コアは、好ましくは、少なくとも3mm、好ましくは少なくとも4mm、およびさらに好ましくは少なくとも5mmの厚みを有する。前記パネル厚みは、典型的には、3mmと10mmの間、好ましくは4mmと8mmの間である。
【0041】
また、本発明は、本発明に係る複数の相互に連結した装飾用パネルを含む装飾用カバー材、特に装飾用床カバー材、装飾用天井カバー材、または装飾用壁カバー材に関する。前記カバー材は、入口通路などの、交差する壁の入隅、家具の入隅、および出隅などの、垂直方向の隅に設置してもよい。
【0042】
また、本発明は、上側部および下側部を備えるコアと、前記コアの前記上側部に張り付けられた装飾用頂部構造と、第1連結外形を含む第1パネル辺、および、水平方向と垂直方向の両方に、隣接するパネルの前記第1連結外形と相互にロックするように係合するように設計された第2連結外形を含む第2パネル辺とを備える装飾用パネル、特に床パネル、天井パネルまたは壁パネルにおいて、前記コアが少なくとも一つの複合層を含み、当該複合層が、少なくとも一つのマグネシアセメントと、前記マグネシアセメントに分散させたセルロース系粒子と、前記複合層に埋め込まれた少なくとも一つの補強層とを含み、前記マグネシアセメントが酸化マグネシウムを主成分とし、前記複合層がクエン酸を含む、装飾用パネルに関する。この好ましい一実施形態では、前記マグネシアセメントは酸化マグネシウムを主成分とし、前記複合層はさらにクエン酸を含む。酸化マグネシウムとクエン酸の組み合わせは、前記複合層の結晶構造およびその形成に良い効果がある。酸化マグネシウムとクエン酸の組み合わせにより、針状構造の形成が特に容易になる。したがって、この組み合わせは、前記複合層の、したがって前記パネル自体の、圧縮強度および耐水性の向上に寄与する可能性がある。さらに、クエン酸の使用により、前記複合層の体積安定性が高まる可能性がある。
【0043】
本発明は、次の非制限的な項によって説明される。
1.装飾用パネル、特に床パネル、天井パネルまたは壁パネルであって、
上側部および下側部を備えるコアと、
前記コアの前記上側部に張り付けられた装飾用頂部構造と、
第1連結外形を含む第1パネル辺、および、水平方向と垂直方向の両方において、隣接するパネルの前記第1連結外形と相互にロックするように係合するように設計された第2連結外形を含む第2パネル辺と、を含み、
前記コアが、
少なくとも一つの複合層であって、
酸化マグネシウムおよび/または酸化マグネシウムおよび/またはマグネシアセメントを含む少なくとも一つのマグネシア層と、
前記マグネシア層に分散させた粒子、特にセルロース系粒子と、
を含む少なくとも一つの複合層と、
好ましくは、前記複合層に埋め込まれた少なくとも一つの補強層と、を含む、パネル。
【0044】
2.前記マグネシア層は酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムを主成分とする、項1に記載のパネル。
【0045】
3.前記マグネシア層自体が酸化マグネシウムを含まない、先行項の一つに記載のパネル。
【0046】
4.前記マグネシア層自体が水酸化マグネシウムを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0047】
5.前記マグネシア層は、水、特に水和水を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0048】
6.前記マグネシア層は塩化マグネシウムを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0049】
7.前記マグネシア層はオキシ塩化マグネシウムを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0050】
8.前記マグネシア層は5Mg(OH)2・MgCl2・8H2Oを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0051】
9.前記マグネシア層はMg2(OH)CICO3・3H2Oを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0052】
10.前記マグネシア層はマグネサイト、特にハイドロマグネサイト(Mg5(CO3)4(OH)2・4H2O)を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0053】
11.前記マグネシア層は、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)を主成分とする、先行項の一つに記載のパネル。
【0054】
12.前記マグネシア層は、ストラバイト(NH4MgPO4・6H2O)および/またはディットマライト(NH4MgPO4・H2O)を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0055】
13.前記マグネシア層はMgHPO4を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0056】
14.前記マグネシア層は、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)を主成分とする、先行項の一つに記載のパネル。
【0057】
15.前記マグネシア層はリン酸マグネシウムカリウム六水和物(MgKPO4・6H2O)を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0058】
16.前記マグネシア層は少なくとも一つのホウ酸塩を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0059】
17.前記マグネシア層は、硫酸マグネシウム、特に七水和物硫酸塩鉱物エプソマイト(MgSO4・7H2O)を主成分とする、先行項の一つに記載のパネル。
【0060】
18.前記マグネシア層は、5Mg(OH)2・MgSO4・3H2O(513相)および/または3Mg(OH)2・MgSO4・8H2O(318相)を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0061】
19.前記マグネシア層は、5Mg(OH)2・MgSO4・5H2O(515相)および/またはMg(OH)2・MgSO4・7H2O(517相)を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0062】
20.前記複合層はクエン酸を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0063】
21.前記複合層はケイ酸ナトリウムを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0064】
22.前記複合層は重炭酸ナトリウムを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0065】
23.前記複合層はドロマイトを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0066】
24.前記複合層はリン酸(H3PO4)および/または少なくとも一つのリン酸塩、特にH2PO4を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0067】
25.前記複合層は、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩化カルシウム(CaCl2)、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)、および水酸化カルシウムCa(HO)2からなる群から選択される少なくとも一つの鉱化剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0068】
26.前記セルロース系粒子はリグノセルロースを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0069】
27.前記セルロース系粒子は木材を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0070】
28.前記セルロース系粒子の少なくとも一部は繊維によって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0071】
29.前記セルロース系粒子はヘンプ繊維を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0072】
30.前記セルロース系粒子の少なくとも一部は粉末によって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0073】
31.前記セルロース系粒子の少なくとも一部は、木材の削り屑によって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0074】
32.前記セルロース系粒子の少なくとも一部は、ウール、特に木毛によって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0075】
33.前記セルロース系粒子の少なくとも一部は、木材チップによって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0076】
34.前記コアは、セルロース以外の材料から作られた分散粒子を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0077】
35.前記複合層は、鋼、ガラス、ポリプロピレン、木材、アクリル、アルミナ、クラワ、炭素、セルロース、ココナッツ、ケブラー、ナイロン、ペルロン、ポリエチレン、PVA、岩綿、サイザル、およびフィキューからなる群から選択される少なくとも一つのさらなる充填剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0078】
36.前記複合層は、カルボキシルメチルセルロースナトリウムを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0079】
37.前記複合層はフライアッシュを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0080】
38.前記複合層はシリカフュームを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0081】
39.前記複合層は酸化鉄を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0082】
40.前記複合層は脂肪酸を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0083】
41.前記複合層はアルカリ金属硫酸塩を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0084】
42.少なくとも一つの複合層が、PVCまたはPURなどの少なくとも一つのポリマーを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0085】
43.少なくとも一つの複合層がポリマーを含まない、先行項の一つに記載のパネル。
【0086】
44.前記複合層は、パーライト、好ましくは発泡パーライトを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0087】
45.前記複合層は少なくとも一つの難燃添加剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0088】
46.前記複合層は少なくとも部分的に発泡している、先行項の一つに記載のパネル。
【0089】
47.前記複合層は可塑剤を含まない、先行項の一つに記載のパネル。
【0090】
48.前記補強層は、不織層または織層、特に布である、先行項の一つに記載のパネル。
【0091】
49.前記補強層はガラス繊維を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0092】
50.前記補強層は、ジュートなどの天然繊維を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0093】
51.前記補強層は、合成繊維、特にポリマー繊維を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0094】
52.前記複合層は、少なくとも50重量%のマグネシア層、好ましくは50重量%と90重量%の間のマグネシア層を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0095】
53.前記複合層は、1重量%と15重量%の間のセルロース系繊維を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0096】
54.前記複合層は、0重量%と3重量%の間のパーライトを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0097】
55.前記複合層は、1重量%と8重量%の間の補強層を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0098】
56.少なくとも一つの複合層が1kg/m3よりも大きい密度を有する、先行項の一つに記載のパネル。
【0099】
57.少なくとも一つの複合層が1kg/m3よりも低い密度を有する、先行項の一つに記載のパネル。
【0100】
58.前記コアは、前記少なくとも一つの複合層を実質的に被覆する防水コーティングを備える、先行項の一つに記載のパネル。
【0101】
59.防水層が前記コアと前記頂部構造の間に位置している、先行項の一つに記載のパネル。
【0102】
60.複合層が複数の補強層を含み、好ましくは、少なくとも一つの第1補強層が前記複合層の頂部に位置し、少なくとも一つの第2補強層が前記複合層の底部に位置する、先行項の一つに記載のパネル。
【0103】
61.前記コアは複合層の積層体を含み、当該複合層同士は互いに直接的かつ/または間接的に積み重なっている、先行項の一つに記載のパネル。
【0104】
62.前記コアは複合層の積層体を含み、少なくとも二つの複合層の組成は互いに異なる、先行項の一つに記載のパネル。
【0105】
63.前記頂部構造は、防水接着剤によって前記コアに接着される、先行項の一つに記載のパネル。
【0106】
64.前記頂部構造は、少なくとも一つの装飾層と、当該装飾層を被覆する少なくとも一つの透明な摩耗層とを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0107】
65.前記摩耗層は、100セルシウス度を超える溶融温度を有し、前記摩耗層は、好ましくはポリウレタンから作られる、項64に記載のパネル。
【0108】
66.前記パネルは、前記コアの後側部に取り付けられたバッキング層を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0109】
67.少なくとも一つの補強層が、前記第1連結外形および前記第2連結外形のうちの一方の連結外形にのみ延在している、先行項の一つに記載のパネル。
【0110】
68.前記パネル、好ましくは前記コアは、再生材料を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0111】
69.前記パネルの厚みは3mmと10mmの間にある、先行項の一つに記載のパネル。
【0112】
70.前記第1連結外形は、
上向き舌部と、
前記上向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの上向きフランクと、
前記上向き舌部と前記上向きフランクの間に形成された上向き溝であって、隣接するパネルの第2連結外形の下向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された上向き溝と、
好ましくは前記上向きフランクとは反対側を向く前記上向き舌部の遠位の側部に設けられた、少なくとも一つの第1ロック要素と、を含み、前記第2連結外形は、
第1下向き舌部と、
前記下向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第1下向きフランクと、
前記下向き舌部と前記下向きフランクの間に形成された第1下向き溝であって、隣接するパネルの第1連結外形の上向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された下向き溝と、
隣接するパネルの第1ロック要素と共作用するように適合された少なくとも一つの第2ロック要素であって、好ましくは前記下向きフランクに設けられる前記第2ロック要素と、を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0113】
71.前記パネルは、第3パネル辺および第4パネル辺にそれぞれ位置する少なくとも一つの第3連結外形および少なくとも一つの第4連結外形を含み、前記第3連結外形は、
前記コアの前記上側部に実質的に平行な方向に延在する横向き舌部と、
前記横向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第2下向きフランクと、
前記横向き舌部と前記第2下向きフランクの間に形成された第2下向き溝と、を含み、前記第4連結外形は、
隣接するパネルの前記第3連結外形の前記横向き舌部の少なくとも一部を収容するように構成された第3溝であって、上唇部および下唇部によって画定される前記第3溝において、前記下唇部が上向きロック要素を備える、第3溝、を含み、
前記第3連結外形および前記第4連結外形は、二つの前記パネルが、回す動きによって互いに連結されることができるように構成され、結合状態において、第1パネルの前記横向き舌部の少なくとも一部が、隣接する第2パネルの前記第3溝に挿入され、前記第2パネルの前記上向きロック要素の少なくとも一部が、前記第1パネルの前記第2下向き溝に挿入される、先行項の一つに記載のパネル。
【0114】
72.項1から項71のいずれかに記載の複数の相互に連結した装飾用パネルを含む装飾用カバー材、特に装飾用床カバー材、装飾用天井カバー材、または装飾用壁カバー材。
【0115】
「第1」、「第2」、および「第3」のような本書で使用される序数は、識別目的で使用されているに過ぎない。したがって、「第3ロック要素」および「第2ロック要素」という表現の使用は、したがって、「第1ロック要素」が共に存在することを必ずしも必要としない。
【0116】
本発明に係る前記装飾用パネルは、装飾用タイルと呼んでもよい。「相補的な」連結外形とは、これらの連結外形が互いに協働することができるということを意味する。しかしながら、この目的のために、前記相補的な連結外形は、必ずしも相補的な形状を有しなくてもよい。「垂直方向」にロックするとは、前記パネルの平面に垂直な方向にロックすることを意味する。「水平方向」にロックするとは、二つのパネルのそれぞれの連結した辺に垂直かつ前記パネルによって画定される平面に平行または一致する方向にロックすることを意味する。
【0117】
本発明を、次の図面に示す非制限的な例示的実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【
図1a】
図1aは、本発明に係る多目的パネルシステムに使用するための多目的パネルの概略図を示す。
【
図1b】
図1bは、
図1aに示すような複数の多目的パネルを含む多目的パネルシステムの概略図を示す。
【
図2a】
図2aは、本発明に係る多目的パネルシステムの別の実施形態に使用するための二つの異なるタイプの多目的パネルの概略図を示す。
【
図2b】
図2bは、
図2aに示すような複数の多目的パネルを含む多目的パネルシステムの概略図を示す。
【
図3a】
図3aは、本発明に係る多目的パネルシステムのさらに別の実施形態に使用するための多目的パネルの概略図を示す。
【
図3b】
図3bは、
図3aに示すような複数の多目的パネルを含む多目的パネルシステムの概略図を示す。
【
図5a】
図5aから
図5cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図5b】
図5aから
図5cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図5c】
図5aから
図5cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図6a】
図6aから
図6cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図6b】
図6aから
図6cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図6c】
図6aから
図6cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図7a】
図7aから
図7cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態におけるさらなる代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図7b】
図7aから
図7cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態におけるさらなる代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図7c】
図7aから
図7cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態におけるさらなる代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0119】
図1aは、本発明に係る多目的パネルシステム(110)に使用される多目的装飾用パネル(100)の概略図を示す。当該図は、第1辺(101)および対向する第3辺(103)からなる第1対の対向辺と、第2辺(102)および(別の)対向する第3辺(103)からなる第2対の対向辺とを含むパネル(100)を示す。前記第1辺、前記第2辺および前記第3辺(101、102、103)は、それぞれ、第1連結外形、第2連結外形および第3連結外形(104、105、106)を備える。前記第1連結外形(104)および前記第3連結外形(106)は、二つのそのようなパネル(100)が、回す動きによって前記第1辺および前記第3辺(101、103)にて互いに連結されることができるように構成される。さらに、前記第2連結外形(105)および前記第3連結外形(106)は、前記二つのそのようなパネル(100)が、倒す動きおよび/または垂直方向の動きによって前記第2辺および前記第3辺(102、103)にて互いに連結されることができるように構成される。前記パネル(100)の幅と長さの間の比例関係は随意に選択してよい。
図1aは、多くの可能性のうちの一つを示しているに過ぎず、前記パネルは矩形の外形(108)をもつ上側部(107)を有している。しかしながら、前記パネル(100)の前記幅および前記長さが同じで、前記パネル(100)が正方形の外形をもつ上側部(107)を有するようにすることも可能である。
【0120】
図1bは、
図1aに示すような複数の多目的パネル(100)を含む多目的パネルシステム(110)の概略図を示す。前記パネル(100)の各々は均等であり、第1辺(101)および対向する第3辺(103)からなる第1対の対向辺と、第2辺(102)および対向する第3辺(103)からなる第2対の対向辺とを有するが、前記パネル(100)同士は、前記第1辺と前記第2辺(101、102)の両方の前記連結外形と前記第3辺(103)の前記連結外形との適合性により、異なる仕方で結合してよく、その結果、一つの多目的パネルシステム(110)内で異なるパネルパターン(111、112)が生じる。前記個別のパネル(110)が矩形の外形(108)をもつ上側部(107)を有する前記描写した多目的パネルシステム(110)では、前記パネル(100)は、各々、長辺(113)および短辺(114)を有する。前記異なるパネルパターン(111、112)は、これにより、隣接するパネル(100)の前記長辺(113)に各自の長辺(113)が接続された、相互に接続されたパネル(100)の第1パネルパターン(111)を、隣接するパネル(100)の前記長辺(113)に各自の長辺(113)が接続されかつ別の隣接するパネル(100)の前記短辺(114)に各自の短辺(114)が接続された、相互に接続されたパネル(100)の第2パネルパターン(112)に連結することによって創出される。前記第1パネルパターンおよび前記第2パネルパターン(111、112)は、これにより、前記第1パネルパターン(111)の前記パネル(100)の前記長辺(113)が、前記第2パネルパターン(112)の前記パネル(100)の前記長辺(113)に対して90度の角度で設けられるように、互いに対して回転されている。前記異なるパネルパターン(111、112)間のこの連結は、前記第2パネルパターン(112)の前記パネル(100)の前記長辺(113)に対する前記第1パネルパターン(111)の前記パネル(100)の前記短辺(114)の接続を通して可能になる。前記パネルシステム(110)の設置は、設置しようとするパネル(100)の前記第1辺(101)を、設置済みのパネル(100)の第3辺(103)に対して角度を付けて倒すことによって実現でき、これにより、通常、垂直と水平の両方向に前記パネル(100)が相互にロックされることになる。前記設置済みのパネル(100)に対する前記設置しようとするパネル(100)のこの角度を付ける動きまたは回す動きの間、前記設置しようとするパネル(100)の前記第2辺(102)は、別の設置済みのパネル(100)の前記第3辺(103)に(同時に)接続されることになり、これは、典型的には、前記別の設置済みのパネル(100)に対して前記設置しようとするパネル(100)を下ろすまたは倒すことによって実現され、この間、前記設置しようとするパネル(100)の前記第2辺(102)と前記別の設置済みのパネル(100)の前記第3辺(103)は、互いに対してはさみを閉じるように(ジッパーを閉じるように)入り込むことになる。
【0121】
この結果、前記別の設置済みのパネル(100)に対して前記設置しようとするパネル(100)が水平と垂直の両方向にロックされる。
【0122】
図2aは、本発明に係る多目的パネルシステムの別の実施形態(200)に使用される二つの異なるタイプの多目的パネル(201、202)の概略図を示す。ちょうど
図1aに示す前記多目的パネル(100)のように、これらのパネル(201、202)の各々は、第1辺(101)および対向する第3辺(103)からなる第1対の対向辺と、第2辺(102)および対向する第3辺(103)からなる第2対の対向辺とを含む。この場合も同様に、前記第1辺、前記第2辺および前記第3辺(101、102、103)は、それぞれ、第1連結外形、第2連結外形および第3連結外形(104、105、106)を備え、前記第1連結外形(104)および前記第3連結外形(106)は、二つのパネル(201、202)が、回す動きによって前記第1辺および前記第3辺(101、103)にて互いに連結されることができるように構成され、前記第2連結外形(105)および前記第3連結外形(106)は、前記二つのパネル(201、202)が、倒す動きおよび/または垂直方向の動きによって前記第2辺および前記第3辺(102、103)にて互いに連結されることができるように構成される。しかしながら、今回は、二つの異なるタイプのパネル(201、202)が存在し、前記第1タイプのパネル(201)上の一対の対向辺(102、103)の前記連結外形(105、106)は、前記第2タイプのパネル(202)上の対応する一対の対向辺(102、103)の前記連結外形(105、106)に対して鏡面反転したように配置される。なお、鏡面反転した前記異なるタイプのパネル(201、202)の前記描写した辺対は、第2辺および第3辺(102、103)によって形成されている。しかしながら、前記鏡面反転した辺対は、第1辺および第3辺(101、103)によって形成されることも同様に可能である。さらに、この多目的パネルシステム(200)に使用される前記多目的パネル(201、202)は、平行四辺形の外形(208)をもつ上側部(107)を有する。この点に関して、これらのパネル(201、202)の二つの隣接する辺(101、102、103)は、鋭角(203)または鈍角(204)のいずれかを囲む。この特定の実施形態において、前記第1辺と前記第2辺(101、102)および前記第3辺(103)同士が、同じ大きさの鈍角(204)を囲む一方で、前記第1辺と前記第3辺(101、103)および前記第2辺と前記第3辺(102、103)は、同じ大きさの鋭角(203)を囲んでいる。前記パネル構成の違いおよび各パネルの上側部(107)の平行四辺形の外形(208)により、これらのパネル(201、202)は、結合状態で山形のパターン(205)を形成することができる。
【0123】
図2bは、
図2aに示すような複数の多目的パネル(201、202)を含む多目的パネルシステム(200)の概略図を示す。先に既に述べたように、この多目的パネルシステム(200)の一部を形成する前記多目的パネル(201、202)は、二つの異なる(鏡映)タイプ/構成で提供される。前記パネル構成の違いおよび各パネルの頂表面(107)の平行四辺形の形状により、これらのパネル(201、202)は、結合状態で山形のパターン(205)を形成することができるが、第1辺(101)および対向する第3辺(103)からなる第1対の対向辺と、第2辺(102)および対向する第3辺(103)からなる第2対の対向辺とを有し、前記第3辺(103)の前記連結外形(106)が前記第1辺と前記第2辺(101、102)の両方の前記連結外形(104、105)に適合することにより、前記パネル(201、202)同士は異なる仕方でも結合されることができ、その結果、一つの相互に接続された多目的パネルシステム(200)内で異なるパネルパターン(206、207)が生じる。
図1bに示す前記多目的パネルシステム(110)におけるように、前記異なるパネルパターン(206、207)は、相互に接続されたパネル(201、202)の第1パネルパターン(206)を相互に接続されたパネル(201、202)の第2パネルパターン(207)に連結することによって創出される。これらの別々のパネルパターン(206、207)内では、各パネル(201、202)は、隣接するパネル(201、202)の前記辺(101、102、103)に接続された各パネルの対向辺の各対(101と103、102と103)が、前記隣接するパネル(201、202)の対応する一対の対向辺(101と103、102と103)の一部になっている。しかしながら、前記第1パネルパターンおよび前記第2パネルパターン(206、207)の前記連結は、一方の対向辺(101、103)の対の一部を形成する辺(101、103)をもつ第1パネルパターン(206)のパネル(201、202)の、他方の、対応しない対向辺(102、103)の対の一部を形成する辺(102、103)をもつ第2パネルパターン(207)のパネル(201、202)との接続を通して実現される。その結果が、互いに対して90度回転させた二つの異なるパネルパターン(206、207)を含む相互に接続された多目的パネルシステム(200)である。
図2bに示す前記パネルシステム(200)の設置は、典型的には、
図1bに示す前記パネルシステム(110)の前記設置と類似である。
【0124】
図3aは、本発明に係る多目的パネルシステムのさらに別の実施形態(300)で使用される多目的パネル(301)の概略図を示す。
図1aおよび
図2aに示す前記多目的パネル(100、201、202)の他に、これらのパネル(301)の各々は、三対の対向辺を含み、正六角形の外形(302)をもつ上側部(107)を有する。前記第1対の対向辺は、第1辺(101)および対向する第3辺(103)からなる。前記第2対の対向辺および前記第3対の対向辺は、第2辺(102)および対向する第3辺(103)からなる。前記第1辺、前記第2辺および前記第3辺(101、102、103)は、これにより、前記第3辺(103)同士が互いに直接隣接するように設けられ、前記第2辺(102)が前記第1辺(101)に隣接する両辺に設けられるように配置される。前記第2辺(102)は、結果として、互いに隣接して設けられない。しかしながら、これらの多目的パネル(301)と
図1aおよび
図2aに示す前記多目的パネル(100、201、202)との間の共通性は、前記第1辺、前記第2辺および前記第3辺(101、102、103)が、それぞれ、第1連結外形、第2連結外形および第3連結外形(104、105、106)を備え、前記第1連結外形(104)および前記第3連結外形(106)が、二つのパネル(301)が回す動きによって前記第1辺および前記第3辺(101、103)にて互いに連結されることができるように構成され、前記第2連結外形(105)および前記第3連結外形(106)が、前記二つのパネル(301)が倒す動きおよび/または垂直方向の動きによって前記第2辺および前記第3辺(102、103)にて互いに連結されることができるように構成されるということである。
【0125】
図3bは、
図3aに示すような複数の多目的パネル(301)を含む多目的パネルシステム(300)の概略図を示す。前記描写したパネル編成では、前記パネル(301)は全て同じ向きである。前記パネルシステム(300)の設置は、
図1bおよび
図2bの前記パネルシステム(110、200)と類似の仕方で実現されることができる。設置しようとするパネル(301)の前記第1辺(101)を設置済みのパネル(301)の第3辺(103)に対して角度を付けて倒すことによって、前記パネル(301)は、一般に、垂直と水平の両方向に相互にロックすることになる。前記設置済みのパネル(301)に対して前記設置しようとするパネル(301)のこの角度を付ける動きまたは回す動きの間、前記設置しようとするパネル(300)の一つまたは複数の第2辺(102)は、一つまたは複数の他の設置済みの隣接するパネル(301)の第3辺(103)に(同時に)接続されることになり、これは、典型的には、前記一つまたは複数の他の設置済みのパネル(301)に対して前記設置しようとするパネル(301)を下ろすまたは倒すことによって実現され、その間、前記設置しようとするパネル(301)の前記第2辺(102)と前記一つまたは複数の他の設置済みのパネル(301)の前記第3辺(103)は、互いに対してはさみを閉じるように(ジッパーを閉じるように)入り込むことになる。この結果、水平と垂直の両方向に前記一つまたは複数の他の設置済みのパネル(301)に対して前記設置しようとするパネル(301)がロックされる。
【0126】
図4aは、
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような多目的パネル(100、201、202、301)のA-A線に沿う断面を示す。当該図では、前記パネル(100、201、202、301)の前記第1辺(101)および対向する第3辺(103)を見ることができ、それぞれ、第1連結外形(104)および第3連結外形(106)を有する。前記第1連結外形(104)は、前記パネル(100、201、202、301)の前記上側部(107)に実質的に平行な方向に延在する横向き舌部(400)と、前記横向き舌部(400)から離れて設けられた少なくとも一つの第1下向きフランク(401)と、前記横向き舌部(400)と前記第1下向きフランク(401)との間に形成された第1下向き凹部(402)とを含む。前記第1下向き凹部(402)に面する、前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の近位の側部(403)は、これにより、前記第1下向きフランク(401)とは反対側の方向に下向きに傾斜している。しかしながら、前記横向き舌部(400)の前記近位の側部(403)は、前記第1下向きフランク(401)に向かう方向に下向きに傾斜していることも同様に可能である。前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の前記近位の側部(403)と前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の下側部(405)との間には第1遷移区画(404)が画定されることができ、当該第1遷移区画(404)は、この例では湾曲している。前記第1下向き凹部(402)の上側部(406)は、前記描写したパネル(100、201、202、301)では、前記第1下向きフランク(401)に向かって下向きに傾斜している。前記第1連結外形(104)は、さらに、連結位置で、隣接するパネル(100、201、202、301)の第3連結外形(106)の第3ロック要素(440)と共作用し得る第1ロック要素(407)を含んでよい。この第1ロック要素(407)は、前記第1連結外形(104)の前記第1下向きフランク(401)に設けられてよい。現在描写しているパネル(100、201、202、301)では、前記第1ロック要素(407)は、少なくとも一つの第1ロック溝(408)を含む。
【0127】
前記第3連結外形(106)は、さらなるパネル(100、201、202、301)の前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の少なくとも一部を収容するように構成された第3凹部(430)を含み、当該第3凹部(430)は、上唇部(431)および下唇部(432)によって画定され、当該下唇部(432)は、上向きロック要素(433)を備える。前記第3凹部(430)に面する前記第3連結外形(106)の前記上向きロック要素(433)の近位の側部(434)は、前記上唇部(431)とは反対側の方向に上向きに傾斜している。しかしながら、代替的に、前記上向きロック要素(433)の前記近位の側部(434)は、前記上唇部(431)に向かう方向に上向きに傾斜していることも可能であり得る。前記上向きロック要素(433)の前記近位の側部(434)と前記上向きロック要素(433)の上側部(436)との間には第3遷移区画(435)が画定されることができ、当該第3遷移区画(435)も、この例では、前記湾曲した第1遷移区画(404)に倣うように湾曲している。前記上向きロック要素(433)の前記上側部(436)は、前記描写したパネル(100、201、202、301)では、前記第3連結外形(106)の前記上唇部(431)とは反対側の方向に下向きに傾斜している。前記第3連結外形(106)の前記下唇部(432)の下側部(437)には凹部(438)が存在し、当該凹部(438)は、前記下唇部(432)の遠位端(439)まで延在している。この凹部(438)により、下向きの方向への前記下唇部(432)の曲げが可能になる。既に述べたように、前記第3連結外形(106)は、さらに、前記連結したパネル(100、201、202、301)間の垂直方向のロックをなすために隣接するパネル(100、201、202,301)の前記第1連結外形(104)の前記第1ロック要素(407)と共作用し得る第3ロック要素(440)を含んでよい。前記第3ロック要素(440)は、これに関して、前記第3凹部(430)とは反対側を向く前記下唇部(432)の遠位の側部(441)に、かつ/または前記第3凹部(430)とは反対側を向く前記上向きロック要素(433)の遠位の側部(442)に設けられてよい。前記第3ロック要素(440)は、ここで描写するように、具体的には、前記下唇部(432)の下側部(437)と前記上向きロック要素(433)の上側部(436)との両方から離れて配置されてよい。現在描写しているパネルでは、前記第3ロック要素(440)は、少なくとも一つの外向きの膨らみ(443)を含み、当該外向きの膨らみ(443)は、(垂直方向に)ロックされた連結を実現するために、隣接する連結パネル(100、201、202、301)の前記第1ロック溝(408)または第2ロック溝(423)に少なくとも部分的に受けられるように適合される。コア(452)は、当該コア(452)に組み込まれた(埋め込まれた)、ガラス繊維層(布)などの少なくとも一つの補強層(454)を備える。より具体的には、前記コアは少なくとも一つの複合層を含み、当該少なくとも一つの複合層は、少なくとも一つのマグネシアセメントと、当該マグネシアセメントに分散されたセルロース系粒子と、当該複合層に埋め込まれた少なくとも一つの補強層(454)とを含む。前記図示の複合層は単一層とみなしてよいが、前記補強層(454)層の上に位置している部分もあれば、前記補強層(454)の下に位置している部分もあり、両部分は、前記補強層の細孔内に存在する複合材料によって相互に(一体的に)接続されている。詳細な組成および添加剤の例は、上記で既に包括的に記載している。
【0128】
図4bは、
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような多目的パネル(100、201、202、301)のB‐B線に沿う断面を示す。当該図では、前記パネル(100、201、202、301)の前記第2辺(102)および別の対向する第3辺(103)を見ることができ、それぞれ、第2連結外形(105)および第3連結外形(106)を有する。当該第3連結外形(106)が、前記多目的パネル(100、201、202、301)のA‐A線に沿う前記断面の説明においてその特徴が上述された前記パネル(101、201、202、301)の前記隣接する第3辺(103)上に設けられた前記第3連結外形(106)と一致する場合、前記第2連結外形(105)は、前記パネル(100、201、202、301)の前記上側部(107)に実質的に垂直な方向に延在する下向き舌部(410)と、前記下向き舌部(410)から離れて設けられた少なくとも一つの第2下向きフランク(411)と、前記下向き舌部(410)と前記第2下向きフランク(411)の間に形成された第2下向き凹部(412)とを含む。前記第2下向き凹部(412)に面する、前記第2連結外形(105)の前記下向き舌部(410)の近位の側部(413)は、これにより、前記第2下向きフランク(411)とは反対側の方向に下向きに傾斜している。しかしながら、前記下向き舌部(410)の前記近位の側部(413)は、前記第2下向きフランク(411)に向かう方向に下向きに傾斜していることも可能である。前記第2連結外形(105)の前記下向き舌部(410)の前記近位の側部(413)と前記第2連結外形(105)の前記下向き舌部(410)の下側部(415)との間には第2遷移区画(414)が画定されることができ、当該第2遷移区画(414)は、この例では湾曲している。前記第2下向き凹部(412)とは反対側を向く、前記下向き舌部(410)の遠位の側部(416)は、前記パネル(100、201、202、301)の前記上側部(107)に隣接する少なくとも一つの垂直な上側壁部(417)と、当該垂直な上側壁部(417)に隣接してその下に位置して、前記下向き舌部(410)の前記遠位の側部(416)の面取りされかつ/または湾曲した下側壁部(419)の方へ内向きに曲がる角度付き壁部(418)とを含む。これにより、前記角度付き壁部(418)と前記面取りされかつ/または湾曲した下側壁部(419)との間には中間垂直壁部(420)が存在し得る。前記下向き舌部(410)の遠位側の側部(416)の前記下側壁部(419)は、さらに、前記下向き舌部(410)の前記下側部(415)に接続されてよい。前記第2下向き凹部(412)の前記上側部(421)は、前記描写したパネル(100、201、202、301)では、前記第2下向きフランク(411)の方へ下向きに傾斜している。前記第2連結外形(105)は、さらに、連結位置において、前記パネル(100、201、202、301)間の垂直方向のロックをなすために隣接するパネル(100、201、202,301)の第3連結外形(106)の第3ロック要素(440)と共作用し得る少なくとも一つの第2ロック要素(422)を含んでよい。前記第2ロック要素(422)は、これに関して、前記第2連結外形(105)の前記第2下向きフランク(411)に設けられてよい。現在描写しているパネル(100、201、202、301)では、前記第2ロック要素(422)は、(垂直方向に)ロックされた連結を実現するために、隣接する連結パネル(100、201、202、301)の前記第3ロック要素(440)の前記外向きの膨らみ(443)を少なくとも部分的に受けるように適合された少なくとも一つの第2ロック溝(423)を含む。
【0129】
図4aおよび
図4bに示す前記多目的パネル(100、201、202、301)の各々の前記連結外形(104,105、106)は、前記パネル(100、201、202、301)の前記上側部(107)に、またはその近くに、面取り部(斜角部)(450)を備える。前記パネル(100、201、202、301)は、前記第1連結外形、前記第2連結外形および前記第3連結外形(104、105、106)が一体的に接続されたコア(452)の上側部(453)に張り付けられた上側基材(451)を含む。前記コア(452)に埋め込まれるような、ガラス繊維層(布)などの前記少なくとも一つの補強層(454)が今回も同様に可視化されている。
図4aおよび
図4bは両方とも、この補強層(454)が、二つの相補的な連結外形のうちの一方にのみ存在していることを示している。前記上側基材(451)は、装飾層(455)と、当該装飾層(455)を被覆する耐摩耗性の摩耗層(456)と、前記装飾層(455)と前記摩耗層(456)の間に位置する透明な仕上げ層(457)とを含む。前記パネル(100、201、202、301)は、さらに、前記コア(452)の底側部(459)に張り付けられたバッキング層(458)を含む。
【0130】
図5aから
図5cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態の
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような二つの多目的パネル(100、201、202、301)の断面を示す。これらの図では、連結状態において、パネル(100、201、202、301)の前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の少なくとも一部が、隣接するパネル(100、201、202、301)の前記第3連結外形(106)の前記第3凹部(430)に挿入され、前記第3連結外形(106)の前記上向きロック要素(433)の少なくとも一部が、前記第1連結外形(104)の前記第1下向き凹部(402)に挿入されることが分かる。前記第1連結外形(104)と前記第3連結外形(106)の互いの位置で固定をなすために、前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の下側部(405)は、これにより、前記第3連結外形(106)の前記第3凹部(430)の下側表面(500)によって支持されてよい。前記第1辺(101)および前記第3辺(103)は、連結状態において、前記連結したパネル(100、201、202、301)の上側辺(503)を通る第1垂直面(502)として画定される第1閉じ表面(501)を画定する。前記横向き舌部(400)および前記第3凹部(430)の各々は、これにより、前記第1垂直面(502)を通って延在する。前記図示の実施形態では、前記第1連結外形および前記第3連結外形(104、106)は、それぞれ、第1ロック要素および第3ロック要素(407、440)を含む。前記第1ロック要素および前記第3ロック要素(407、440)は、これにより、当該第1ロック要素(407)が、前記第3連結外形(106)の前記第3ロック要素(440)に面して、当該第3ロック要素(440)と共作用して垂直方向のロック効果を実現するように配置される。
【0131】
図5aから
図5cは、さらに、連結状態において、前記第2連結外形(105)の前記下向き舌部(410)の少なくとも一部が、前記第3連結外形(106)の前記第3凹部(430)に挿入され、前記第3連結外形(106)の前記上向きロック要素(433)の少なくとも一部が、前記第2連結外形(105)の前記第2下向き凹部(412)に挿入されることを示す。前記第2連結外形(105)および前記第3連結外形(106)の互いの位置での固定をなすために、前記第2連結外形(105)の前記下向き舌部(410)の下側部(415)は、これにより、前記第3連結外形(106)の前記第3凹部(430)の下側表面(500)によって支持されてよい。前記第2辺(102)および前記第3辺(103)は、連結状態において、前記連結したパネル(100、201、202、301)の前記上側辺(503)を通る第2垂直面(505)を画定する第2閉じ表面(504)を画定する。前記下向き舌部(410)は、これにより、前記第2垂直面(505)の一方の側に配置され、前記第3凹部(430)は、前記第2垂直面(505)を通って延在する。前記図示の実施形態では、前記第2連結外形(105)は、さらに、第2ロック要素(422)を含む。前記第2ロック要素(422)は、前記第3連結外形(106)の前記第3ロック要素(440)に面して、当該第3ロック要素(440)と共作用して垂直方向のロック効果を実現する。
【0132】
図6aから
図6cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における代替的な連結外形(601、602、603)をもつ二つの多目的パネル(600)の断面を示す。
図5aから
図5cに示す前記パネル(100、201、202、301)の前記連結外形(104、105、106)は、連結状態において、前記連結外形(104,105、106)間に予張力が(実質的に)存在しないように構成されているが、
図6aから
図6cに示す前記パネル(600)の前記連結外形(601、602、603)は、連結状態において予張力が存在するように構成され、当該予張力は、前記それぞれのパネル(600)を各自の辺(604)にて互いの方へ押圧する。前記連結外形(601、602、603)の前記図示の実施形態では、前記予張力は、前記連結外形(601、602、603)の(局所的な)変形の結果である。
【0133】
図7aから
図7cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態におけるさらなる代替的な連結外形(701、702、703)をもつ二つの多目的パネル(700)の断面を示す。前記第3連結外形(703)のこの実施形態では、当該第3連結外形(703)の下唇部(704)の下側部(705)に凹部が存在しない。前記描写した多目的パネル(700)では、前記第1連結外形(701)は、さらに、当該第1連結外形(701)の遠位の側部(707)に設けられ、横向き舌部(708)の少なくとも一部の上方に位置する、別の第1ロック要素(706)を含む。また、前記第2連結外形(702)は、第2下向き凹部(712)とは反対側を向く下向き舌部(710)の遠位の側部(711)に設けられた、別の第2ロック要素(709)を含む。前記第3連結外形(703)も、上唇部(714)の側部(715)に設けられた、別の第3ロック要素(713)を含む。
図7aおよび
図7bに示す前記連結状態では、前記さらなる第3ロック要素(713)は、前記隣接するパネル(700)の前記第1連結外形(701)の前記遠位の側部(707)に面し、
図7cに示す前記連結状態では、前記さらなる第3ロック要素(713)は、隣接するパネル(700)の前記第2連結外形(702)の前記下向き舌部(710)の前記遠位の側部(711)に面する。
図7aから
図7cにさらに描写されているのは、二つのパネル(700)の連結状態において垂直方向のロック効果を創出するための前記さらなる第1ロック要素または前記さらなる第2ロック要素(706、709)と前記さらなる第3ロック要素(713)との間の共作用であり、当該共作用は、前記パネル(700)によって画定される平面(718)とともに角A1(717)を囲む接線T1(716)を画定し、前記角度A1(717)は、前記パネル(700)によって画定される前記平面(718)と接線T2(720)とによって囲まれた角度A2(719)よりも小さく、前記接線T2(720)は、前記第3凹部(723)の方を向く前記上向きロック要素(721)の近位の側部(722)の傾斜部と、第2下向きフランク(725)の方を向く前記下向き舌部(710)の近位の側部(724)の傾斜部との間または第1下向きフランク(727)の方を向く前記横向き舌部(708)の近位の側部(726)の傾斜部との間の共作用によって画定される。
【0134】
図7aから
図7cに示す前記連結外形(701、702、703)の前記実施形態では、前記第1連結外形(701)と前記第3連結外形(703)、または前記第2連結外形(702)と前記第3連結外形(703)は、連結状態において、複数の離れた接触区画(728)が存在するように構成され、各対の隣接する接触区画(728)間には空間(729)が残る。具体的には、
図7aおよび
図7bは、前記第1連結外形(701)の前記第1下向きフランク(727)と、当該第1下向きフランク(727)に面する、前記第3連結外形(703)の前記上向きロック要素(721)および前記下唇部(704)の遠位の側部(730)とが、互いから離れて配置されることを示す。さらに、前記第3連結外形(703)の前記上向きロック要素(721)の上側部(731)は、前記第1連結外形(701)の第1下向き凹部(732)の上側部(733)から離れて配置される。
図7cでは、前記第2連結外形(702)の前記第2下向きフランク(725)と、当該第2下向きフランク(725)に面する、前記第3連結外形(703)の前記上向きロック要素(721)および前記下唇部(704)の遠位の側部(730)とが、互いから離れて配置されることが分かる。また、前記第3連結外形(703)の前記上向きロック要素(721)の前記上側部(731)は、前記第2連結外形(702)の前記第2下向き凹部(712)の上側部(734)から離れて配置される。