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特許7579255ワイヤおよびケーブルコーティング用固体架橋ポリオレフィン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】ワイヤおよびケーブルコーティング用固体架橋ポリオレフィン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20241030BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20241030BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20241030BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C08L23/00
C08L101/00
C08L23/06
H01B7/02 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021536373
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 US2019064845
(87)【国際公開番号】W WO2020139537
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】62/785,302
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ブリガンディ、ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ボルツ 3世、カート エー.
(72)【発明者】
【氏名】エッセガー、モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】サンダーズ、マデリーン イー.
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525788(JP,A)
【文献】特表2017-521514(JP,A)
【文献】特表2017-519866(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0147042(US,A1)
【文献】米国特許第05770820(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
H01B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)4重量%~45重量%の熱可塑性ポリマー、
(B)52重量%~95重量%の水分硬化性ポリオレフィン、および
(C)0.05重量%~7重量%の水分縮合触媒を含み、
前記熱可塑性ポリマーは、0.940g/cm ~0.980g/cm の密度を有する高密度ポリエチレンを含み、
前記水分硬化性ポリオレフィンの前記熱可塑性ポリマーに対する重量比は、3~18である、架橋ポリマー組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーが、高密度ポリエチレンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記高密度ポリエチレンが、0.945g/cm~0.970g/cmの密度および0.5g/10分~10g/10分のメルトインデックスを有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水分硬化性ポリオレフィンが、0.920g/cm~0.930g/cmの密度および0.5g/10分~2.5g/10分のメルトインデックスを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリマー組成物が、60%~80%のゲル含有量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマー組成物が、10%~45%の高温クリープ値を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマー組成物が、150℃で7%~36%の高温変形値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
5重量%~40重量%高密度ポリエチレン、
55重量%~90重量%の前記水分硬化性ポリオレフィン、
3重量%~7重量%の前記水分縮合触媒、
60%~80%のゲル含有量、
10%~40%の高温クリープ値、および
7%~36%の高温変形値を備える、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
コーティングされた導体であって、
導体、および
前記導体上のコーティングを含み、前記コーティングが、請求項1に記載の架橋ポリマー組成物を含む、コーティングされた導体。
【請求項10】
102μ・cm~184μ・cmの表面平滑度、
10%~40%の高温クリープ値、および
150℃で7%~36%の高温変形値を備える、請求項9に記載のコーティングされた導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリオレフィン樹脂のレオロジー特性またはメルトフロー特性を改善することは、様々なケーブル構築物の加工性の改善に対して高まる需要に応えるために、ワイヤおよびケーブル用途にとって重要である。ツイストペアカテゴリのデータケーブルの継続的な傾向により、データケーブル(Power over EthernetまたはPoE)を介してデバイスに電力を供給するために低電圧信号の使用を増やす必要があり、その結果、ケーブルの動作温度が高くなる。高温によってケーブル絶縁物が軟化する可能性があるため、熱可塑性の固体または発泡絶縁体がケーブルの数十年の寿命にわたって圧縮応力に耐えられるかどうかが懸念される。例えば、従来の熱可塑性材料の温度制限により、PoEカテゴリのデータケーブル使用は約100ワットまでに制限される。架橋された固体(非発泡)または発泡絶縁体は、PoEカテゴリのデータケーブル用途のより良い代替手段を提供する可能性がある。
【0002】
水分硬化性ポリオレフィンは、ワイヤおよびケーブル用の絶縁材料に必要な柔軟性を備えるが、分子量分布(MWD)が狭い場合がある。多くの水分硬化性ポリオレフィンは、加工性の制限をもたらす(例えば、溶融破壊の開始)粘度プロファイルを示し、毎分300メートルを超える押出線速度では表面平滑性が低下する。
【0003】
良好な加工性(すなわち、溶融破壊がほとんどまたはまったくない)および適切な引張強度、伸び、高温耐性、およびワイヤおよびケーブル用途に好適な高温クリープ特性を有する水分硬化性ポリオレフィン組成物に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本発明者らは、より高い融点の固体ポリマー(例えば、広範なMWD高密度ポリエチレン)を水分硬化性ポリオレフィンとブレンドして、高い溶融強度および高い柔軟性を有し、また高速押出用途において良好な加工性および表面平滑性も示す架橋組成物を生成することができることを発見した。
【0005】
本開示は、(A)4重量%~45重量%の熱可塑性ポリマー、(B)52重量%~95重量%の水分硬化性ポリオレフィン、および(C)0.05重量%~7重量%の水分縮合触媒を含む、架橋ポリマー組成物を提供する。
【0006】
本開示はまた、導体および導体上のコーティングを含む、コーティングされた導体を提供し、コーティングは、(A)4重量%~45重量%の熱可塑性ポリマー、(B)52重量%~95重量%の水分硬化性ポリオレフィン、および(C)0.05重量%~7重量%の水分縮合触媒を含む、架橋ポリマー組成物を含む。
【0007】
定義
米国特許実務を目的として、いかなる参照される特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいかなる定義にも矛盾しない範囲で)、および当該技術分野における一般的知識に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(または、その同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明示的な値(例えば、1~7)を含む範囲に関して、任意の2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0009】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびこれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順が、具体的に開示されるかに関わらず、それらの存在を除外することを意図しない。疑義が生じないようにするために、「含む」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、相反する記載がない限り、ポリマーであるか、ポリマーでないかに関わらずに、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含むことができる。対照的に、「本質的に~からなる」という用語は、実施可能性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の列挙の範囲から、他のいかなる成分、ステップ、または手順も除外する。「からなる」という用語は、明確に描写または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、ならびに任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、またその逆も含まれる。
【0010】
元素周期表へのいかなる参照も、1990~1991年にCRCPress,Inc.により発行されたものである。この周期表の元素の族への参照は、族の番号付けの新しい表記法による。
【0011】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、または当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0012】
「周囲条件」および同様の用語は、物品の周囲領域または環境の温度、圧力、および湿度を意味する。典型的なオフィスビルまたは実験室の周囲条件には、23℃の温度および大気圧が含まれる。
【0013】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」および同様の用語は、2つ以上のポリマーの組み合わせである。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのような組み合わせは、相分離しても、しなくてもよい。そのような組み合わせは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野で知られている任意の他の方法から決定される1つ以上のドメイン構成を含んでも、含まなくてもよい。
【0014】
「触媒量」とは、例えば、シラン化合物のポリオレフィンへのグラフト化、またはエチレン-ビニルシランポリマーの架橋などの反応を、検出可能なレベルで、好ましくは商業的に許容可能なレベルで促進するために必要な触媒の量を意味する。
【0015】
「コーティング」および同様の用語は、塗布された材料および基材が互いに付着するように、ある材料(すなわち、塗布される材料)を別の材料(すなわち、基材)に、例えば接触、堆積、「塩析」、沈殿などの任意の方法で塗布することを意味する。「コーティング」はまた、基材に接触または堆積などされている塗布された材料を指す。ワイヤおよびケーブルの文脈において、コーティングは、典型的には、半導体層、または絶縁層、または外部保護ジャケットなどのワイヤまたは以前にコーティングされたワイヤもしくはケーブルの上に押出されて接触しているポリマーである。
【0016】
「組成物」および同様の用語は、2つ以上の成分の混合物またはブレンドを意味する。例えば、シラングラフト化エチレンポリマーを調製する文脈において、組成物は、少なくとも1つのエチレンポリマー、少なくとも1つのビニルシラン、および少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含むであろう。ケーブルシースまたは他の製造物品を調製する文脈において、組成物は、エチレン-ビニルシランコポリマー、触媒硬化システム、および潤滑剤、充填剤、酸化防止剤などのような任意の所望の添加剤を含むであろう。
【0017】
「導体」は、電力(電気)とデータ(光)を同時に伝導するための1つまたは複数のワイヤまたはファイバを示す。導体は、単線、単ファイバ、多線、または多ファイバであり得、ストランド形態または管状形態であり得る。好適な導体の非限定的な例には、金属(例えば、銀、金、銅、アルミニウム)およびガラスまたはプラスチックから作られた光ファイバが含まれる。導体は、ローカルエリアネットワーク(LAN)/データまたは光ファイバケーブルに使用され得る。
【0018】
本明細書で使用される「架橋」は、他の構造的に異なる化学エンティティである2つ以上のポリマー間の共有結合を指す。
【0019】
「架橋性」、「硬化性」、および同様の用語は、ポリマーが実質的な架橋を誘導する処理に供されるまたは曝露される(例えば、水への曝露)と実質的な架橋を引き起こすまたは促進する添加剤(複数可)または官能性を含むが、硬化または架橋されておらず、実質的な架橋を誘導する処理に供されていないまたは曝露されていないことポリマーを意味する。ポリマーは、物品に成形される前または後のいずれかにおいて架橋可能である。
【0020】
「架橋」、「硬化」、および同様の用語は、ポリマーが架橋を誘導した処理に供されるかまたは曝露され、抽出可能なキシレンまたはデカレンが90重量パーセント以下(すなわち、10重量パーセント以上のゲル含有量)であることを意味する。ポリマーは、物品に成形される前または後のいずれかに架橋することができる。架橋が作成されている間のプロセスのフェーズは「硬化フェーズ」と呼ばれ、架橋を作成するプロセスは「硬化」と呼ばれる。
【0021】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合エチレンモノマーを含有し、任意選択により、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、およびエチレンコポリマー(エチレンおよび1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」および「ポリエチレン」という用語は、互換的に使用され得る。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例は、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖ポリエチレンを含む。直鎖ポリエチレンの非限定的な例には、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ultra low density polyethylene)(ULDPE)、超低密度ポリエチレン(very low density polyethylene)(VLDPE)、多成分エチレン系コポリマー(EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(OBC)としても知られている)、シングルサイト触媒直鎖低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、実質的に直鎖、または直鎖のプラストマー/エラストマー、および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。一般に、ポリエチレンは、チーグラーナッタ触媒などの不均質触媒系、第4族遷移金属およびメタロセンなどのリガンド構造を含む均質触媒系、非メタロセン金属中心、ヘテロアリール、ヘテロバレントアリールオキシエーテル、ホスフィンイミン、およびその他などを使用して、気相、流動床反応器、液相スラリープロセス反応器、または液相溶液プロセス反応器で生成することができる。不均一触媒および/または均一触媒の組み合わせもまた、単一反応器または二重反応器構成のいずれかにおいても使用され得る。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、その中に重合された芳香族コモノマーを含有しない。
【0022】
「エチレン性」および同様の用語は、(i)エチレンまたはエチレン誘導体を含むこと、または(ii)エチレンに関連する、またはエチレンに特徴的なもの(例:エチレン二重結合)、を意味する。
【0023】
「発泡」および同様の用語は、多くの気泡が閉じ込められた固体または液体を意味する。固体または液体中に閉じ込められた気泡は、典型的には、発泡剤の使用を通じて生成される。
【0024】
「グラフト化条件」および同様の用語は、加水分解性不飽和シランとポリオレフィンの2つが、互いに接触したときに、加水分解性不飽和シランが、ポリオレフィンをグラフト化、すなわち、それに追加またはそれと組み合わされる温度、圧力、湿度、滞留時間、撹拌などを意味する。グラフト化条件は、シランおよびポリオレフィンの性質、ならびに触媒の有無によって異なり得る。
【0025】
「インターポリマー」および「コポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。これらの総称には、古典的なコポリマー、すなわち、2つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマー、および3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されたポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどが含まれる。
【0026】
「マスターバッチ」は、ポリオレフィン樹脂(例えば、低密度ポリエチレン)、異なる官能基を有する化合物、および任意選択で添加剤、の濃縮混合物である。マスターバッチは、混合物の成分を溶融ブレンドした後、冷却して粒状に加工することによって形成することができる。
【0027】
「溶融ブレンド」は、少なくとも2つの成分が組み合わされるか、そうでなければ一緒に混合され、成分のうちの少なくとも1つが溶融状態にあるプロセスである。溶融ブレンドは、例えば、バッチ混合、押出ブレンド、押出成型などの1つ以上の様々な既知のプロセスによって達成され得る。「溶融ブレンド」組成物は、溶融ブレンドのプロセスを通じて形成された組成物である。
【0028】
「水分硬化性ポリマー」および同様の用語は、水分に曝露されると架橋することができるポリマーを意味する。架橋の量または程度は、とりわけ、(1)硬化条件、例えば、温度、水の量および形態(浴、ミストなど)、滞留時間、触媒の有無、および存在する場合、触媒の種類および量など、ならびに(2)水分硬化性ポリマー自体に依存するであろう。加水分解性シラン基を含むポリオレフィンポリマーの文脈において、シラン基は、水への曝露時に最初に加水分解され、加水分解性シラン基が、シラノール基に変換され、アルコールが副産物として形成される。次いで、シラノール基は、縮合反応によって架橋される。典型的には、第1および第2のステップの両方が、縮合触媒で触媒される。
【0029】
「非発泡」および同様の用語は、著しい量の気泡が閉じ込められていない固体または液体を指す。本開示の非発泡組成物は、発泡剤の不在下で製造することができる。発泡剤が存在する場合、非発泡組成物は、発泡剤を不活性にする条件下で製造される。本開示の目的のために、「非発泡性」および「固体」という用語は交換可能に使用される。
【0030】
「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択で少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。「オレフィン」および同様の用語は、水素と炭素からなる炭化水素を指し、その分子は、二重結合によって互いに結合された一対の炭素原子を含む。
【0031】
「ペレット」および同様の用語は、典型的には、粉末または粒状材料を圧縮することによって、またはダイを介して溶融物の押出中に形成されるストランドを細断することによって形成される小さな粒子を意味する。ペレットの形状およびサイズは大きく異なり得る。
【0032】
「ポリマー」は、モノマーのセットを反応(すなわち、重合)することによって調製される化合物を指し、セットは、均質な(すなわち、1つのタイプのみの)モノマーのセットまたは不均質な(すなわち、複数のタイプの)モノマーのセットである。本明細書で使用されるポリマーという用語は、均質なモノマーのセットから調製されたポリマーを指す「ホモポリマー」という用語、および以下に定義される「インターポリマー」という用語を含む。
【0033】
「シラン官能化ポリオレフィン」および同様の用語は、シラン官能基を含むオレフィンポリマーを意味する。
【0034】
「熱可塑性ポリマー」および同様の用語は、加熱すると繰り返し軟化して流動可能になり、室温まで冷却すると硬化状態に戻ることができる直鎖または分岐ポリマーを意味する。本開示の熱可塑性ポリマーは、一般に、ASTM D638-72に従って測定されると、10,000psi(68.95MPa)を超える弾性率を有する。さらに、熱可塑性ポリマーは、軟化状態まで加熱されると、任意の所定の形状の物品に成形または押出され得る。
【0035】
「熱硬化ポリマー(thermoset polymer)」、「熱硬化性ポリマー(thermosetting polymers)」、および同様の用語は、いったん硬化すると、ポリマーが熱によって軟化することができない、さらには熱によって成形することができないことを示す。熱硬化性ポリマーは、いったん硬化すると、空間ネットワークポリマーであり、高度に架橋されて剛性の三次元分子構造を形成する。
【0036】
「ワイヤ」および同様の用語は、導電性金属の単一の撚線、または光ファイバの単一の撚線を指す。
【0037】
試験方法
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定され、結果は、1立方センチメートル当たりのグラム(g)(g/ccまたはg/cm)で記録される。
【0038】
ゲル含有量ゲル含有量試験は、ポリマー組成物内の架橋の程度の尺度である。ゲル含有量は通常、架橋の程度に比例する。架橋の程度は、組成物を溶媒に指定された時間溶解し、抽出できない材料の量を測定することによって測定される。抽出できない材料の量は、ゲル含有量をパーセントとして計算するために使用される。ゲル含有量は、ASTM D2765に従って、180℃において5時間沸騰デカリンで抽出することにより測定される。
【0039】
高温クリープ試験高温クリープ試験は、ASTM D412タイプDに従って、ダイカッターでドッグボーン試料として切り出されたテープの下端に取り付けられた20N/cmの重りを使用して、200℃で実行される。初期値からの試料の伸び率は、オーブンから試料を取り出さずにオーブンに15分間曝された後に記録される。高温クリープは、ICEA T-28-562に従って試験される。
【0040】
熱変形熱変形試験は、ASTM D4565に準拠して実施される。ポリマー組成物の2つの重複試料が得られ、オーブン内において150℃で60分間予熱される。予熱した試料を2kgの重りを用いて150℃で1時間プレスする。重りは所定の位置に留まり、プレスされた試料は23℃の気候管理室にさらに1時間置かれる。試料の厚さの変化が記録され、熱変形率(HD%)は
HD%=(D-D)/D*100%
に従って計算され、ここで、Dは、元の試料の厚さを表し、Dは、変形処理後の試料の厚さを表す。2つの重複試料の変形率の平均が報告される。
【0041】
ポリエチレンに対するメルトインデックス(MI)測定は、以前は「条件E」として既知であり、またIまたはI2としても既知である、ASTM D1238、条件190℃/2.16キログラム(kg)重りに従って実行され、10分当たりの溶出グラム数(g/10分)で報告される。メルトインデックスは、ポリマーの分子量に反比例する。したがって、関係は線形ではないが、分子量が高いほど、メルトインデックスは低い。
【0042】
表面平滑性試験ワイヤ試料の表面平滑性は、SURFTEST(商標)SJ-400表面テクスチャ測定装置を用いてANSI 1995に従って測定される。ワイヤ試料をVブロックに置いて、スタイラス(10urn)を特定の開始位置まで下げる(約1グラムの力をワイヤに加える)。毎秒2ミリメートルの固定速度で、スタイラスを横方向に動かして測定する。ワイヤ試料当たり4つの読み取り値および4つの試料を試験し、次いで、それらをマイクロインチ単位で報告される値を平均する。値が小さいほど、滑らかさが高いことを示す。表面平滑性試験は、JIS’82、JIS’94、JIS’01、ISO、ANSI、VDA規格に準拠する。
【0043】
引張強度と伸びは、ASTM D638に従って測定される。引張強度は「psig」の単位で報告され、伸びは試験片の最終的な長さと最初の長さの差のパーセントとして報告される。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、架橋ポリマー組成物を提供する。架橋ポリマー組成物(交換可能に「組成物」と呼ばれる)は、4重量%~45重量%の熱可塑性ポリマー、52重量%~95重量%の水分硬化性ポリオレフィン、および0.05重量%~7重量%の水分縮合触媒を含む。
【0045】
熱可塑性ポリマー
本組成物は、例えば、ポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマーを含む。一実施形態では、熱可塑性ポリマーはエチレン系ポリマーである。好適なエチレン系ポリマーの非限定的な例には、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびエチレン/α-オレフィンコポリマーが挙げられる。
【0046】
一実施形態では、熱可塑性ポリマーはHDPEである。「高密度ポリエチレン」または「HDPE」は、0.940から、または0.950、または0.960~0.970、または0.980グラム/立方センチメートル(g/cm)までの密度を有するエチレン系ポリマーである。HDPEは、C~C20のα-オレフィンコモノマーまたはC~Cのα-オレフィンコモノマーを含むことができる。HDPEは、0.5から、または1.0、または3.0~5.0、または8.0、または10.0グラム/10分(g/10分)までのメルトインデックスを有する。
【0047】
実施形態では、熱可塑性ポリマーは、以下の特性:
【0048】
(i)0.945g/cm~0.970g/cmの密度、および/または
【0049】
(ii)0.5g/10分から、もしくは1.0g/10分、もしくは3.0g/10分~8.0g/10分、もしくは10.0g/10分までのメルトインデックスのうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する、エチレン/C~CαオレフィンコポリマーのHDPEである。
【0050】
組成物は、4から、または5、または8、または10、または15~20、または25、または30、または35、または40、または45重量%までの量で熱可塑性ポリマーを含む。さらなる実施形態では、組成物は、4~45重量%、または5~45重量%、または10~35重量%、または15~20重量%の量の熱可塑性ポリマーを含む。熱可塑性ポリマーの重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0051】
本開示は、本明細書に開示される2つ以上の熱可塑性ポリマーのブレンドの使用を企図する。ブレンドは、熱可塑性ポリマーHDPE、MDPE、LDPEおよび/またはLLDPEのうちの2つ以上であり得る。ブレンドは、例えば、2つの異なるHDPEであり得る。
【0052】
熱可塑性ポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0053】
水分硬化性ポリオレフィン
本組成物は、水分硬化性ポリオレフィンを含む。水分硬化性ポリオレフィンはシリルポリオレフィンである。シリルポリオレフィンは、シラン基を含むポリオレフィンである。シラン基は、例えば、米国特許第3,646,155号および同第6,048,935号に記載されるように、オレフィンとシランとの間の共重合反応によって、またはシランをポリオレフィンにグラフトすることによって導入することができる。
【0054】
ポリオレフィンへのシランのグラフト化は、フリーラジカル開始剤の存在下、または代替的に電離放射線を用いて行うことができる。フリーラジカル開始剤の非限定的な例には、過酸化物およびアゾ化合物が挙げられる。使用に好適な過酸化物には、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、t-ブチルベンゾイルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド、および過酢酸tert-ブチルが挙げられる。好適なアゾ化合物は、2,2-アゾビスイソブチロニトリルである。一実施形態では、フリーラジカル開始剤の量は、0.001から、または0.005、または0.01、または0.03、または0.05、または0.07~0.08、または0.1、または0.15、または0.3、または0.5、または1、または1.5、または2、または3、または5パーセントまでの樹脂(phr)である。さらなる実施形態において、フリーラジカル開始剤の量は、0.001~5phr、または0.005~1prh、または0.01~0.15、または0.03~0.1prhである。「パーセントの樹脂」内の「樹脂」という用語は、本明細書に記載の水分硬化性ポリオレフィンを指す。一実施形態では、シランと開始剤の重量比は、10:1から、または18:1~250:1、または500:1までである。さらなる実施形態において、シランと開始剤の重量比は、10:1~500:1、または18:1~250:1である。ポリオレフィンへのシランのグラフト化は、例えばBUSS(商標)混練機などの反応器押出機の第一段階でフリーラジカル開始剤をブレンドすることにより行うことができる。グラフト化プロセス中に使用される溶融温度は、滞留時間およびフリーラジカル開始剤の半減期に応じて、160℃~260℃、または190℃~230℃であり得る。
【0055】
使用に好適なシランには、(i)エチレン性不飽和ヒドロカルビル基(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルまたはγ-(メタ)アクリロイルアリル基)および(ii)加水分解性基(例えば、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルボニルオキシ基、またはヒドロカルビルアミノ基)を含む不飽和シランが挙げられる。加水分解性基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、およびアルキルまたはアリールアミノ基が挙げられる。
【0056】
一実施形態では、シランは、米国特許第5,266,627号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に調製方法とともに開示されるような、不飽和アルコキシシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランおよびγ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)である。
【0057】
使用に好適なシリルポリオレフィンの非限定的な例には、以下の式
【化1】
(式中、Rは、水素原子またはメチル基であり、xおよびyは、0または1であり(ただし、xが1の場合、yは1である)、mおよびnは独立して0~12(0および12を含む)の整数であり、好ましくは0~4であり、各R’‘は独立して、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、1~12個の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノもしくは置換アミノ基(例えば、アルキルアミノ、アリールアミノ)、または1~6個(1および6を含む)の炭素原子を有する低級アルキル基などの加水分解性有機基(ただし、3つのR基のうちの1つ以下がアルキルであることを条件とする))、を有するものが挙げられる。
【0058】
シリルポリオレフィンは、熱安定剤、光安定剤、および顔料をさらに含み得る。
【0059】
使用に好適なシリルポリオレフィンには、The Dow Chemical Companyから市販されているエチレンとビニルトリメトキシシランのコポリマーであるSI-LINK(商標)DFDA-5451とDFDB-5451が挙げられる。
【0060】
一実施形態では、水分硬化性ポリオレフィン中のケイ素の量は、0.1から、または0.3、または0.5、または0.7、または1、または1.5、または2~2.5、または3、または3.5、または5、または7または10、または20重量%までである。さらなる実施形態において、水分硬化性ポリオレフィン中のケイ素の量は、0.1~20重量%、または0.3~10重量%、または0.7~5重量%、または0.5~3重量%である。ケイ素の量は、水分硬化性ポリオレフィンの総重量に基づく。
【0061】
一実施形態では、水分硬化性ポリオレフィンは、0.870から、または0.900、または0.920~0.930、または0.950、または0.970g/cmまでの密度を有する。さらなる実施形態では、水分硬化性ポリオレフィンが0.870~0.970g/cm、または0.900から、または0.950g/cm、または0.920~0.930g/cmの密度を有する。特定の実施形態では、水分硬化性ポリオレフィンは、0.922g/cmの密度を有する。
【0062】
一実施形態では、水分硬化性ポリオレフィンは、0.3から、または0.5、または1、または1.2、または1.4~1.6、または1.8、または2、または4、または8、または10、または50グラム/10分(g/10分)までのメルトインデックスを有する。さらなる実施形態において、水分硬化性ポリオレフィンは、0.3~50g/10分、または1.2~1.8g/10分、または1.4~1.6g/10分のメルトインデックスを有する。特定の実施形態では、水分硬化性ポリオレフィンは、1.5g/10分のメルトインデックスを有する。
【0063】
一実施形態では、水分硬化性ポリオレフィンは、以下の特性:
【0064】
(I)0.920~0.930g/cmの密度、および/または
【0065】
(ii)0.5g/10分~2.5g/10分のメルトインデックスのうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する、エチレンとビニルトリメトキシシランのコポリマーである、シリルポリオレフィンである。
【0066】
一実施形態では、組成物は、52から、または53、または55、または60~70、または75、または85、または90、または95重量%までの量の水分硬化性ポリオレフィンを含む。一実施形態では、組成物は、52~95重量%、または55~95重量%、または55~75重量%、または60~70重量%の量の水分硬化性ポリオレフィンを含む。水分硬化性ポリオレフィンの重量パーセントは、組成物の総重量に基づいている。
【0067】
水分硬化性ポリオレフィンは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0068】
水分縮合触媒
使用に好適な水分縮合触媒(別名、架橋触媒)には、ルイス酸、ルイス塩基、ブレンステッド酸、ブレンステッド塩基、およびそれらの組み合わせが含まれる。ルイス酸は、別の化学種からの電子を受け入れることができる化学種である。ルイス塩基は、別の化学種に電子を供与できる化学種である。使用に好適な水分縮合触媒の非限定的な例には、(i)ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジメチルヒドロキシスズオレエート、ジオクチルスズマレート、ジ-n-ブチルスズマレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズなどのカルボン酸スズ、(ii)ナフテン酸鉛、カプリリン酸亜鉛、ナフテン酸コバルトなどの有機金属化合物、(iii)フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸、スルホン酸、ホウ酸および過塩素酸などの鉱酸、(iv)第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンなどのアミン、が含まれる。一実施形態では、水分縮合触媒は、DBTDLまたはスルホン酸である。
【0069】
水分縮合触媒は、熱可塑性ポリマーと水分硬化性ポリオレフィンを溶融ブレンドするプロセス中に存在する。一実施形態では、水分縮合触媒は、マスターバッチの形態で熱可塑性ポリマーおよび/または水分硬化性ポリオレフィンに添加することができる。
【0070】
一実施形態では、水分縮合触媒は、0.88から、または0.90、または0.91、または0.93、または0.95~0.97、または0.99、または1.0、または1.2、または1.45、または1.6g/cmまでの密度を有する。さらなる実施形態では、水分縮合触媒は、0.88~1.6g/cmまたは0.93~1.45g/cmの密度を有する。
【0071】
一実施形態では、水分縮合触媒は、0.3から、または0.5、または0.7、または0.9、または0.91、または0.92~0.93、または0.94、または1、または2、または4、または8、または10グラム/10分(g/10分)までのメルトインデックスを有する。さらなる実施形態では、水分縮合触媒は、0.3~10g/10分、または0.9~4g/10分、または0.92~0.93g/10分のメルトインデックスを有する。
【0072】
使用に好適な水分縮合触媒にはThe Dow Chemical Companyから市販されているマスターバッチコポリマーであるSI-LINK(商標)DFDA-5481、DFDB-5480、およびDFDA-5488が含まれる。
【0073】
一実施形態では、組成物は、0.05から、または0.1、または0.5、または1、または3、または4~6、または7重量%までの量の水分縮合触媒を含む。さらなる実施形態では、組成物は、0.05~7重量%、または3~7重量%、または4~6重量%の量の水分縮合触媒を含む。特定の実施形態では、組成物は5重量%の水分縮合触媒を含む。水分縮合触媒の重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0074】
水分縮合触媒は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0075】
充填剤および添加剤
本開示の組成物は、任意選択の充填剤を含むことができる。一実施形態では、充填剤は難燃性を有する。充填剤は、水分縮合触媒と相互作用する場合もしない場合もあり、および/または水分縮合触媒と反応する場合もしない場合もある。さらなる実施形態では、充填剤は、充填剤がシラン/ポリオレフィン架橋反応に干渉するのを防止または遅延させる材料(例えば、ステアリン酸)でコーティングされている。使用に好適な充填剤の非限定的な例には、カオリンクレー、水酸化マグネシウム、シリカ、炭酸カルシウムおよびカーボンブラック、ステアリン酸、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0076】
組成物中の充填剤の量は、組成物の機械的および/または化学的特性の許容できないほど大きな劣化を引き起こすであろう量よりも少ない。一実施形態では、組成物は、0.1から、または0.5、または1、または2、または5~8、または10、または20、または35重量%までの量の充填剤を含む。さらなる実施形態では、組成物は、0.1~35重量%、または0.5~8重量%の量の充填剤を含む。充填剤の重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0077】
充填剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0078】
本開示の組成物は、任意選択の添加剤を含むことができる。使用に好適な充填剤の非制限的な例は、酸化防止剤(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な例えばIRGANOX(商標)1010などのヒンダードフェノール)、亜リン酸塩(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能なIRGAFOS(商標)168)、UV安定剤、粘着添加剤、光安定剤(ヒンダードアミンなど)、可塑剤(フタル酸ジオクチルまたはエポキシ化大豆油など)、金属不活性化剤、焦げ阻害剤、離型剤、粘着付与剤(炭化水素粘着付与剤など)、ワックス(ポリエチレンワックスなど)、核形成剤、加工助剤(油、ステアリン酸などの有機酸、有機酸の金属塩など)、油増量剤(パラフィン油および鉱油など)、着色剤または顔料を含み得る。水分生成剤は、架橋が生成されるプロセスの硬化段階を加速することができる。
【0079】
本開示の組成物は、発泡剤の使用を除外している。言い換えれば、本組成物は非発泡組成物である。
【0080】
組成物中の添加剤の量は、組成物の所望の物理的または機械的特性を妨害するであろう量よりも少なく、当業者によって決定される。一実施形態では、組成物は、0.1から、または0.5、または1、または2、または5~8、または10、または20、または35重量%までの量の添加剤を含む。さらなる実施形態では、組成物は、0.1~35重量%、または0.5~8重量%の量の添加剤を含む。添加剤の重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0081】
添加剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含んでもよい。
【0082】
組成物
一実施形態では、組成物は、80、または85、または90、または91、または92、または93、または94~95、または96、または97、または98重量%の熱可塑性ポリマー(TP)と水分硬化性ポリオレフィン(MCP)の合計重量を有する。さらなる実施形態において、組成物は、80~98重量%、または90~97重量%、または94~96重量%のTPとMCPの合計重量を有する。特定の実施形態では、組成物は、95重量%のTPおよびMCPの合計重量を有する。
【0083】
一実施形態では、組成物は、50、または60、または70、または75、または80、または85、または90~95、または97、または98重量%の水分硬化性ポリオレフィン(MCP)と水分縮合触媒(MCC)との合計重量を有する。さらなる実施形態では、組成物は、50~98重量%、または60~95重量%、または85~95重量%のMCPとMCCの合計重量を有する。
【0084】
一実施形態では、組成物は、1、または1.4、または2、または3、または3.8、または5、または5.3、または7~8、または8.5、または9、または15、または18、または20のTPに対するMCPの重量比を含む。さらなる実施形態では、組成物は、1~20、または3~18、または5~9のTPに対するMCPの重量比を含む。
【0085】
一実施形態では、組成物は、5から、または10、または11、または13、または15、または16~17、または18、または19、または20、または30までのMCCに対するMCPの重量比を含む。さらなる実施形態において、組成物は、5~30、または10~20、または15~18のMCCに対するMCPの重量比を含む。
【0086】
一実施形態では、組成物は、0.5から、または1、または2、または3、または4~5、または6、または7、または8、または10、または20、または30までのMCCに対するTPの重量比を含む。さらなる実施形態では、組成物は、0.5~30、または1~10、または3~8のMCCに対するTPの重量比を含む。
【0087】
添加物の重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0088】
本開示の組成物は、熱可塑性ポリマーおよび水分硬化性ポリオレフィンを含むポリマー成分を含む。一実施形態では、ポリマー成分は、熱可塑性ポリマーおよび水分硬化性ポリオレフィンの架橋形態である。理論によって制限されることを望まないが、ポリマー成分内の架橋は、ポリマー成分、ならびにポリマー成分を含む組成物に耐熱性をもたらすことができる。耐熱性は、組成物の高温クリープおよび高温変形特性の測定によって定量化される。
【0089】
ポリマー成分内の架橋の程度は、組成物のゲル含有量に相関し、すなわち、架橋の程度は、ゲル含有量に比例する。あるいは、ポリマー成分内の架橋の程度は、組成物の高温クリープ値、組成物の高温変形値、またはそれらの組み合わせと相関させることができる。一実施形態では、ポリマー成分は、本明細書に開示されるように、60%、または65%~70%、または75%、または80%のゲル含有量によって示されるように架橋される。さらなる実施形態では、ポリマー成分は、本明細書に開示されるように、10%から、または20%~30%、または45%までの高温クリープ値によって示されるように架橋される。さらに別の実施形態では、ポリマー成分は、本明細書に開示されるように、7%~36%までの熱変形値によって示されるように架橋される。
【0090】
一実施形態では、熱可塑性ポリマーが5~40重量%の量で存在し、水分硬化性ポリオレフィンが55~90重量%の量で存在し、水分縮合触媒が3~7重量%の量(重量パーセントは、組成物の総重量に基づく)で存在するとき、ポリマー成分は架橋される。
【0091】
一実施形態では、本開示の組成物は、非発泡組成物である。
【0092】
一実施形態では、本開示の組成物は、熱硬化性組成物である。
【0093】
一実施形態では、本開示の組成物は、プロピレンに由来するモノマー単位を欠いている。
【0094】
一実施形態では、組成物は、3から、または13、または25、または51、または89、または102、または114~127、または140、または149、または152、または162、または178、または184、または191、または203、または216、または229、または254μ・インチまでの表面平滑性を有する。さらなる実施形態では、組成物は、3~254μ・cm(1~100μ・インチ)、または51~229μ・cm(20~90μ・インチ)、または89~216μ・cm(35~85μ・インチ)、または89~191μ・cm(35~75μ・インチ)、または102~184μ・cm(40~72μ・インチ)、または102~162μ・cm(40~64μ・インチ)、または102~127μ・cm(40~50μ・インチ)の表面平滑性を有する。
【0095】
一実施形態では、組成物は、1%から、または5%、または10%、または15%、または20%~25%、または30%、または35%、または40%、または45%までの高温クリープ値を有する。さらなる実施形態では、組成物は、1%~45%、または5%~43%、または10%~41%、または10%~35%、または10%~30%、または10%~25%の高温クリープ値を有する。
【0096】
一実施形態では、組成物は、1%から、または5%、または7%、または10%、または15%、または20%~25%、または30%、または36%までの高温変形値を有する。さらなる実施形態では、組成物は、1%~55%、または5%~40%、または7%~36%、または10%~25%の熱変形クリープ値を有する。
【0097】
一実施形態では、組成物は、60%から、または65%~70%、または75%、または80%までのゲル含有量を有する。さらなる実施形態では、組成物は、60%~80%、または65%~75%のゲル含有量を有する。
【0098】
配合および製造
熱可塑性ポリマー、水分硬化性ポリオレフィン、水分縮合触媒、および任意選択の充填剤および添加剤の溶融混合は、当業者に知られている標準的な方法によって行われる。配合装置の例としては、BRABENDER(商標)、BANBURY(商標)およびBOLLING(商標)内部バッチミキサーが挙げられる。使用に好適な連続的な単一または二軸スクリューミキサーまたは押出機には、DAVIS STANDARD(商標)押出機、FARREL(商標)連続ミックス、WERNER AND PFLEIDERER(商標)二軸スクリューミキサー、およびBUSS(商標)混練連続押出機が挙げられる。使用するミキサーのタイプ、およびミキサーの動作条件は、粘度、体積抵抗率、押出表面平滑性などの組成物の特性に影響を与える。
【0099】
組成物の成分は、典型的には、混合物を完全に均質化するのに十分であるが、材料をゲル化させるには不十分な温度および時間の長さで混合される。水分縮合触媒は、水分硬化性ポリオレフィンに直接加えることができ、あるいは代替的に、任意選択の充填剤および添加剤が水分硬化性ポリオレフィンに添加される前、一緒に、または後に添加される。典型的には、成分は、溶融混合装置で一緒に混合される。次いで、混合物は、最終物品に成形される。配合および物品製造の温度は、水分硬化性ポリオレフィンの融点よりも高いが、好ましくは250℃未満である。
【0100】
一実施形態では、水分硬化性ポリオレフィン、水分縮合触媒、充填剤、添加剤、およびそれらの組み合わせが、マスターバッチの形態で添加される。
【0101】
一実施形態では、成分、例えば充填剤中に存在するかまたは関連する水分から生じ得る可能性のある焦げを低減または排除するために、成分のうちの1つ以上を配合前に乾燥させるか、あるいは成分の混合物を配合後に乾燥させる。
【0102】
一実施形態では、ポリマー組成物は非発泡性であり、
(A)5重量%~40重量%のHDPE、
(B)55重量%~90重量%のエチレンおよびビニルトリメトキシシランコポリマー、ならびに
(C)0.05重量%~7重量%のジブチルスズジラウレート水分縮合触媒を含む。
ポリマー組成物は、以下の特性:
(i)60%~80%のゲル含有量、および/または
(ii)10%~45%の高温クリープ値、および/または
(ii)7%~36%の熱変形値のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する(以下、ポリマー組成物1と呼ぶ)。
【0103】
製造物品
一実施形態では、本発明の組成物は、既知の量および既知の方法によって(例えば、USP5,246,783および4,144,202に記載される機器および方法を用いて)コーティングとして導体に塗布することができる。典型的には、組成物は、導体コーティングダイを備えた反応器-押出機内で調製され、組成物の成分が配合された後、導体がダイを通して引き出されるとき、組成物は、導体上に押出される。組成物は、毎分800~2000フィート(毎分243~610メートル、m/分)の線速度で導体上に押出することができる。架橋が生成されるプロセスの硬化段階は、反応器押出機で開始し得る。成形物品は、高温および外部湿度のいずれかまたは両方に曝露されてもよく、高温である場合、典型的には物品が所望の架橋度に達するような期間の間、周囲温度以上であるが組成物の融点未満である。いかなる成形後硬化の温度も、0℃超であるべきである。
【0104】
一実施形態では、コーティングは、導体と直接接触する絶縁層である。本明細書で使用される「直接接触で」という用語は、導体と絶縁層が互いに接着関係にあり、導体が絶縁層に直接隣接して配置され、両者の間に介在構造が存在しないことを示す。
【0105】
特定の実施形態では、絶縁層は、ツイストペアカテゴリのデータケーブルに使用される。絶縁層は、Cat2、Cat3、Cat4、Cat5、Cat5e、Cat6、Cat6a、Cat7を含むすべてのカテゴリデータケーブル定格に好適である。カテゴリデータケーブルは、電子機器の電源として機能する低電圧電力を伝送することができる。電源ケーブルとデータケーブルを組み合わせた用途は、「Power over Ethernet」または「PoE」と呼ばれる。
【0106】
一実施形態では、絶縁層は、127μm(5ミル)、または178μm(7ミル)、または229μm(9ミル)、または254μm(10ミル)、または305μm(12ミル)~381μm(15ミル)、または451μm(18ミル)、または508μm(205ミル)の厚さを有するさらなる実施形態では、絶縁層は、127μm(5ミル)~508μm(205ミル)、または178μm(7ミル)~381μm(15ミル)、または229μm(9ミル)~305μm(12ミル)の厚さを有する。
【0107】
一実施形態では、絶縁層は、非発泡絶縁層である。
【0108】
一実施形態では、コーティングされた導体が提供され、導体および導体上のコーティングを含む。コーティングは、
(A)5重量%~40重量%のHDPE、
(B)55重量%~90重量%のエチレンおよびビニルトリメトキシシラン、ならびに
(C)0.5重量%~7重量%のジブチルスズジラウレート水分縮合触媒からなる、ポリマー組成物1からなる非発泡ポリマー組成物であり、
コーティングは、以下の性質:
(i)102μ・cm~184μ・cmの表面平滑度、および/または
(ii)1905psig~2410psigまでの引張強度、および/または
(iii)215%~265%への伸びのうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0109】
本開示のポリマー組成物から作製され得る他の製造物品としては、繊維、リボン、シート、テープ、チューブ、パイプ、目詰め材、密封材、ガスケット、ホース、履物、およびベローズが挙げられる。これらの物品は、既知の設備および技術を使用して製造することができる。
【0110】
本発明は、以下の実施例によりさらに十分に説明される。特に明記しない限り、すべての部およびパーセントは、重量によるものである。
【実施例
【0111】
発明例(「IE」)および比較例(「CS」)で使用する原材料は、以下の表1に詳述される。
【表1】
【0112】
発明例IE-1、IE-2、IE-3、IE-4、IE-5および比較試料CS-1およびCS-2のポリマー組成物は、表2に記載される配合に従って、表1に記載されている原材料を用いてコーティングされた導体試料用に調製される。
【0113】
コーティングされた導体試料は、スズメッキされた7ストランド、24米国ワイヤゲージ規格(AWG)コアから調製される。成分の組成は、最初にドライブレンドされる。次に、組成物は、22:1のL/Dを有し、二重飛行混合セクションを有するPEスクリューが取り付けられた2.5インチのDAVIS STANDARD押出機を用いた押出ブレンドによって溶融ブレンドされる。溶融混合組成物は、導体が毎分548メートルの線速度で押出機ダイを通して引き出されるときに、導体上に押出される。押出機の温度プロファイルは、4つのゾーンにわたって150℃~182℃である。押出されたコーティングされたストランドを、90℃の水浴で14~18時間時間硬化させ、次いで、対流式オーブンで、80℃で一晩乾燥させるか、または50℃および75%の相対湿度で14日間湿度チャンバーで硬化させ、次いで、80℃で一晩乾燥させる。
【0114】
コーティングされた導体の厚さは254μm(10ミル)である。
【0115】
発明例IE-7、IE-8、IE-9、IE-10、IE-11および比較試料CS-3、CS-4、CS-5およびCS-6のポリマー組成物は、表2に記載される配合と表1に記載される原材料に従ってテープ試料用に調製される。
【0116】
テープ試料は、最初に組成物の成分を乾式ブレンドすることによって調製される。次に、組成物は、25:1のL/Dを有し、Maddox混合スクリューが取り付けられた3/4インチの単軸スクリューBRABENDER(商標)バッチミキサーを用いて2インチのテープに押出ブレンドすることによって溶融ブレンドされる。溶融混合組成物は、毎分50回転(rpm)および毎分38フィートの巻き取り速度で押出される。押出機の温度プロファイルは、5つのゾーンすべてにわたって150℃~182℃である。押出されたテープを、90℃の水浴で14~18時間硬化させ、次いで、対流式オーブンで、80℃で一晩乾燥させるか、または50℃および75%の相対湿度で14日間湿度チャンバーで硬化させ、次いで、80℃で一晩乾燥させる。
【0117】
発明例および比較試料の試験結果の配合物は、以下の表2に報告される。
【表2】
【0118】
結果および考察
CS-1とCS-2はコーティングされた導体である。CS-1は、高温クリープ試験に不合格の架橋のないHDPEでコーティングされているワイヤである。CS-2は、熱可塑性成分を含まない架橋ポリマーでコーティングされているワイヤである。CS-2は、調査したすべてのコーティングされた導体の表面平滑度と引張特性に関して最も好ましくない結果を有する。
【0119】
CS-3~CS-6はテープ試料である。CS-3およびCS-4は、架橋のないHDPE熱可塑性化合物である。CS-3とCS-4は各々引張特性、100%の高温クリープ値が劣り、高温変形試験の失敗を呈する。CS-5テープ試料には熱可塑性成分が含まれておらず、調査したすべてのテープ試料の中で最も低い架橋度(ゲル含有量51%)を示す。CS-6は、熱可塑性化合物を含まない酸触媒架橋組成物である。CS-6テープ試料は、提示された否定的な結果によって示されるように、熱変形試験中に膨潤する。CS-6は、82%のゲル含有量で示されるように、広範な架橋を有する。
【0120】
出願人は、60~82のゲル含有パーセントによって示されるように架橋された熱可塑性ポリマーおよび水分硬化性ポリオレフィンの非発泡性の絶縁性組成物を発見した。
【0121】
本発明の組成物(IE-1~IE-5)は、予想外にも、(i)熱可塑性ポリマーを含まない架橋組成物よりも44%~80%改善された102~184μ・cm(40~72μ・in)の表面平滑度、(ii)熱可塑性ポリマーを含まない架橋組成物よりも8%~30%改善された26.5~33.0の高温クリープパーセント、および(iii)熱可塑性ポリマーを含まない架橋組成物よりも5%~132%改善された1905~2410psigの引張強度を有する、絶縁コーティングされた導体物品を提供する。
【0122】
本発明の組成物(IE-7~IE-11)は、予想外に、(i)熱可塑性ポリマーを含まない架橋組成物よりも12%~308%改善された11.1~40.4の高温クリープ率、(ii)熱可塑性ポリマーを含まない架橋組成物よりも26%~390%改善された9.2~35.7の熱変形率を有する、テープ物品を提供する。
【0123】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および図に限定されず、実施形態の部分、および以下の特許請求の範囲の範囲に含まれる異なる実施形態の要素の組み合わせを含む、これらの実施形態の改変形態を含むことが特に意図される。
(態様)
(態様1)
(A)4重量%~45重量%の熱可塑性ポリマー、
(B)52重量%~95重量%の水分硬化性ポリオレフィン、および
(C)0.05重量%~7重量%の水分縮合触媒を含む、架橋ポリマー組成物。
(態様2)
前記熱可塑性ポリマーが、高密度ポリエチレンを含む、態様1に記載の組成物。
(態様3)
前記高密度ポリエチレンが、0.945g/cm ~0.970g/cm の密度および0.5g/10分~10g/10分のメルトインデックスを有する、態様2に記載の組成物。
(態様4)
前記水分硬化性ポリオレフィンが、0.920g/cm ~0.930g/cm の密度および0.5g/10分~2.5g/10分のメルトインデックスを有する、態様1に記載の組成物。
(態様5)
前記ポリマー組成物が、60%~80%のゲル含有量を有する、態様1に記載の組成物。
(態様6)
前記ポリマー組成物が、10%~45%の高温クリープ値を有する、態様5に記載の組成物。
(態様7)
前記ポリマー組成物が、150℃で7%~36%の高温変形値を有する、態様1に記載の組成物。
(態様8)
前記ポリマー組成物が、ポリマー成分を含み、前記ポリマー成分が、(A)および(B)からなる、態様1に記載の組成物。
(態様9)
5重量%~40重量%の高密度ポリエチレン、
55重量%~90重量%の前記水分硬化性ポリオレフィン、
3重量%~7重量%の前記水分縮合触媒、
60%~80%のゲル含有量、
10%~40%の高温クリープ値、および
7%~36%の高温変形値を備える、態様3に記載の組成物。
(態様10)
前記ポリマー組成物が、非発泡である、態様1に記載の組成物。
(態様11)
前記ポリマー組成物が、プロピレンに由来するモノマー単位を含まない、態様1に記載の組成物。
(態様12)
前記ポリマー組成物が、熱硬化性組成物である、態様1に記載の組成物。
(態様13)
コーティングされた導体であって、
導体、および
前記導体上のコーティングを含み、前記コーティングが、
(A)4重量%~45重量%の熱可塑性ポリマー、
(B)52重量%~95重量%の水分硬化性ポリオレフィン、および
(C)0.05重量%~7重量%の水分縮合触媒を含む、架橋ポリマー組成物を含む、コーティングされた導体。
(態様14)
前記熱可塑性ポリマーが、高密度ポリエチレンを含み、前記コーティングが、前記導体と直接接触している、態様13に記載のコーティングされた導体。
(態様15)
102μ・cm~184μ・cmの表面平滑度、
10%~40%の高温クリープ値、および
150℃で7%~36%の高温変形値を備える、態様14に記載のコーティングされた導体。