(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】極小の空気アクセスを有する金属空気セル
(51)【国際特許分類】
H01M 12/06 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
H01M12/06 B
H01M12/06 G
H01M12/06 D
(21)【出願番号】P 2021537727
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 US2019068473
(87)【国際公開番号】W WO2020139881
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-20
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516268286
【氏名又は名称】エナジャイザー ブランズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】ポズドル イアン
(72)【発明者】
【氏名】シヴェルトセン マーク
(72)【発明者】
【氏名】ラブサム トニー
(72)【発明者】
【氏名】シュネッツ コキー
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-531295(JP,A)
【文献】特表2004-518243(JP,A)
【文献】特開2017-174795(JP,A)
【文献】特開2007-141745(JP,A)
【文献】特表2017-531905(JP,A)
【文献】特開2011-108388(JP,A)
【文献】特開2018-170220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/00-12/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気正極と、負極と、水性電解質と、ハウジングと、を備える電池であって、
前記電池は、サイズ13の金属空気電池であり;
前記ハウジングは、通気領域を画定する1つ以上の空気口を備え;
前記空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.050mm
2~約0.115mm
2であり;且つ
前記水性電解質は、両性フッ素界面活性剤を含む、
電池。
【請求項2】
前記空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.05mm
2~約0.10mm
2
、又は約0.060mm
2
~約0.950mm
2
、又は約0.060mm
2
~約0.085mm
2
、又は約0.07mm
2
~約0.09mm
2
、又は約0.08mm
2
~約0.085mm
2
である、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記負極は、亜鉛を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項4】
二酸化炭素吸収剤を更に含
み、前記二酸化炭素吸収剤は、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、過酸化リチウム、アミン、又はカンラン石を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項5】
空気拡散パッドを更に含み、前記空気拡散パッドは前記二酸化炭素吸収剤を含む、
又は
前記二酸化炭素吸収剤のコーティングを有する前記ハウジングの内面を更に含む、又は
前記ハウジングと前記電池内の空気拡散層とによって画定される空気溜めを更に含み、かつ前記二酸化炭素吸収剤は粉末又はフィルムとして前記空気溜めの表面上に付着されている、請求項
4に記載の電池。
【請求項6】
前記両性フッ素界面活性剤は、式(I)の化合物を含み、
【化1】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、又はシクロアルキル基であり;
X
1は、-C(O)-、-SO
2-、-C(O)NR
a-、-SO
2NR
a-、-CO
2-、又は-SO
2O-であり;
R
aは、H又はアルキル基であり;
m及びpは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
n及びrは、それぞれ独立して、1、2、3、4、又は5である、
請求項1に記載の電池。
【請求項7】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、それぞれHであり;
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、C
1~C
4アルキルであり;
X
1は、SO
2であり;
n及びpは、2であり;
mは、4、5、又は6であり;
rは、1である、
請求項
6に記載の電池。
【請求項8】
空気正極と、負極と、水性電解質と、ハウジングと、を備える電池であって、
前記電池は、サイズ312の金属空気電池であり;
前記ハウジングは、通気領域を画定する1つ以上の空気口を備え;
前記空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.03mm
2~約0.08mm
2であり;且つ
前記水性電解質は、両性フッ素界面活性剤を含む、
電池。
【請求項9】
前記空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.04mm
2~約0.07mm
2
、又は約0.04mm
2
~約0.06mm
2
、又は約0.04mm
2
~約0.05mm
2
である、請求項
8に記載の電池。
【請求項10】
前記負極は、亜鉛を含む、請求項
8に記載の電池。
【請求項11】
二酸化炭素吸収剤を更に含
み、前記二酸化炭素吸収剤は、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、過酸化リチウム、アミン、又はカンラン石を含む、請求項
8に記載の電池。
【請求項12】
空気拡散パッドを更に含み、前記空気拡散パッドは二酸化炭素吸収剤を含む、
又は
前記二酸化炭素吸収剤のコーティングを有する前記ハウジングの内面を更に含む、又は
前記ハウジングと前記電池内の空気拡散層とによって画定される空気溜めを更に含み、かつ前記二酸化炭素吸収剤は粉末又はフィルムとして前記空気溜めの表面上に付着されている、請求項
11に記載の電池。
【請求項13】
前記両性フッ素界面活性剤は、式(I)の化合物を含み、
【化2】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、又はシクロアルキル基であり;
X
1は、-C(O)-、-SO
2-、-C(O)NR
a-、-SO
2NR
a-、-CO
2-、又は-SO
2O-であり;
R
aは、H又はアルキル基であり;
m及びpは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
n及びrは、それぞれ独立して、1、2、3、4、又は5である、
請求項
8に記載の電池。
【請求項14】
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、それぞれHであり;
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、C
1~C
4アルキルであり;
X
1は、SO
2であり;
n及びpは、2であり;
mは、4、5、又は6であり;
rは、1である、
請求項
13に記載の電池。
【請求項15】
前記水性電解質は、
約500ppm~約20,000ppmの水酸化リチウムを更に含む、請求項
8~14のいずれか一項に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月27日に出願された米国仮出願第62/785,619号に対する利益を主張し、その全内容は、あらゆる目的で参照により本明細書に援用される。
本技術は、一般に、金属空気電池及びその使用の分野に関する。
【発明の概要】
【0002】
一態様において、空気正極と、負極と、水性電解質と、ハウジングと、を含む電池であって、ハウジングは、通気領域を画定する1つ以上の空気口を含み、水性電解質は、両性フッ素界面活性剤と、任意で水酸化リチウムとを含む電池が提供される。電池がサイズ13の金属空気電池である場合、空気口の全てによって画定される全通気領域は、0.05mm2~0.115mm2である。電池がサイズ312の金属空気電池である場合、空気口の全てによって画定される全通気領域は、0.03mm2~0.08mm2である。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】例示的な電気化学セルを示す断面概略図である。
【
図2】実施例に係る、ANSI/IEC試験に従って80%RH(相対湿度)において10/2mAで放電した本技術のサイズ13のセルと比較用「標準」セルとを比較した箱ひげ図である。
【
図3】実施例に係る、ANSI/IEC試験に従って80%RH(相対湿度)において10/2mAで放電した本技術のサイズ312のセルと比較用「標準」セルとを比較した箱ひげ図である。
【
図4】実施例に係る、ANSI/IEC試験に従って20%RH(相対湿度)において10/2mAで放電した本技術のサイズ312のセルと比較用「標準」セルとを比較した箱ひげ図である。
【
図5】実施例に係る、3種類の電解質を用いた金属空気セルの正極に1mA/cm
2及び5mA/cm
2の電流引込みを適用したときの純亜鉛参照に対する電位をプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
様々な実施形態が、以下に記載される。具体的な実施形態は、包括的な記載となること又は本明細書に記述されるより広い態様への限定となることを意図するものではないことに留意されたい。特定の実施形態と関連して記載される一態様は、その実施形態に必ずしも限定されず、任意の他の実施形態(複数可)と共に実施され得る。
本明細書で使用するとき、「約」は、当業者によって理解されるものであり、それが使用される文脈によってある程度変動する。当業者にとって明確ではない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考えれば、「約」は、その特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味し、例えば、「約10質量%」は「9質量%~11質量%」を意味すると理解される。「約」がある用語に先行するとき、その用語は、その用語並びに「約」で修飾されていない用語を「おおよそ(約)」表すと解釈され、例えば、「約10質量%」はだけでなく「9質量%~11質量%」も表す。
要素を記載する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの」(「a」及び「an」)、及び「当該」(「the」)、並びに類似の指示物の使用は、本明細書に別段示されない限り又は文脈によって明確に否定されない限り、単数と複数の両方を包含すると解釈される。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別段示されない限り、その範囲内に入るそれぞれの個々の値を個別に言及する略式法として機能することを単に意図し、それぞれの個々の値は、あたかも本明細書に個別に列挙されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、別段本明細書に示されない限り、又は別の方法で文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で実施できる。本明細書に提供される任意及び全ての例、又は例示的な言い回し(例えば、「~等」)の使用は、単に実施形態をより良く明らかにすることを意図し、別段記載のない限り、特許請求の範囲への限定をもたらすものではない。本明細書における言語は、任意の特許請求されていない要素を不可欠なものとして示すと解釈されるべきではない。
【0005】
一般に、「置換」は、以下に定義されるような(例えば、アルキル基)、その中に含有される水素原子への1つ以上の結合が、非水素原子又は非炭素原子への結合に置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、又はエーテル基を指す。置換基には、炭素(複数可)又は水素(複数可)原子への1つ以上の結合が、ヘテロ原子への二重又は三重結合を含む、1つ以上の結合に置換された基も含まれる。それゆえ、置換基は、別段明記されない限り、1つ以上の置換基で置換される。いくつかの実施形態では、置換基は、1、2、3、4、5、又は6個の置換基で置換される。置換基の例としては、ハロゲン(即ち、F、Cl、Br、及びI);ヒドロキシル;アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、及びヘテロシクリルアルコキシ基;カルボニル(オキソ);カルボキシル;エステル;ウレタン;オキシム;ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン;アラルコキシアミン;チオール;スルフィド;スルホキシド;スルホン;スルホニル;スルホンアミド;アミン;N-オキシド;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;アミド;尿素;アミジン;グアニジン;エナミン;イミド;イソシアネート;イソチオシアネート;シアネート;チオシアネート;イミン;ニトロ基;ニトリル(即ち、CN)等が挙げられる。
【0006】
本明細書で使用するとき、「アルキル」基は、1~約20個の炭素原子、典型的には1~12個の炭素、又は、いくつかの実施形態では、1~8個の炭素原子を有する、直鎖及び分岐アルキル基を含む。アルキル基は、置換されていても非置換でもよい。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、及びn-オクチル基が挙げられる。分岐アルキル基の例としては、限定するものではないが、イソプロピル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、及びイソペンチル基が挙げられる。代表的な置換アルキル基は、例えば、アミノ基、チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、及び/又はハロ基(例えば、F、Cl、Br、及びI基等)で1回以上、置換されていてもよい。本明細書で使用するとき、ハロアルキルという用語は、1つ以上のハロ基を有するアルキル基である。いくつかの実施形態では、ハロアルキルは、ペルハロアルキル基を指す。
シクロアルキル基は、環状アルキル基、例えば、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基等である。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、3~8個の環員を有するのに対して、他の実施形態では、環炭素原子の数は、3から5、6、又は7個までの範囲である。シクロアルキル基は、置換されていても非置換でもよい。シクロアルキル基としては、更に、多環式シクロアルキル基、例えば、限定するものではないが、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニル、及びカレニル基等、及び縮合環、例えば、限定するものではないが、デカリニル等が挙げられる。シクロアルキル基には、上で定義されたような直鎖又は分岐鎖アルキル基で置換された環も含まれる。代表的な置換シクロアルキル基は、一置換でもよく、又は2回以上置換されていてもよく、例えば、限定するものではないが、2,2-、2,3-、2,4-、2,5-、又は2,6-二置換シクロヘキシル基又は一、二、三置換ノルボルニル又はシクロヘプチル基等でもよく、これらは、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、及び/又はハロ基で置換されていてもよい。
アルケニル基は、2~約20個の炭素原子を有し、且つ少なくとも1つの二重結合を更に含む直鎖、分岐、又は環状アルキル基である。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、1~12個の炭素、又は、典型的には、1~8個の炭素原子を有する。アルケニル基は、置換されていても非置換でもよい。アルケニル基としては、例えば、ビニル、プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、イソブテニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、及びヘキサジエニル基が特に挙げられる。アルケニル基は、同様にアルキル基に置換されていてもよい。二価のアルケニル基、即ち、2つの連結点を有するアルケニル基としては、限定するものではないが、CH-CH=CH2、C=CH2、又はC=CHCH3が挙げられる。
【0007】
用語「アルコキシ基」は、本明細書に定義される1~12個の炭素原子を含むアルキル基でHが置換された、ヒドロキシ基(OH)を指す。いくつかの実施形態では、アルコキシ基は、1~7又は1~4個の炭素原子を含む。アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、3-メチルブトキシ基、2,2-ジメチルプロポキシ基、n-ヘキソキシ基、2-メチルペントキシ基、2,2-ジメチルブトキシ基、2,3-ジメチルブトキシ基、n-ヘプトキシ基、2-メチルヘキソキシ基、2,2-ジメチルペントキシ基、2,3-ジメチルペントキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、1-メチルシクロプロピルオキシ基等であってもよい。いくつかの実施形態では、アルコキシ基は、O-C1~C6-アルキル基を含む。他の実施形態では、アルコキシ基は、O-C1~C4-アルキル基を含む。
【0008】
用語「アミン」(又は「アミノ」)は、本明細書で使用するとき、-NR100R101基を指し、式中、R100及びR101は、独立して、水素、又は本明細書の定義による置換若しくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル又はヘテロシクリル基である。いくつかの実施形態では、アミンは、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、又はアルキルアリールアミノである。他の実施形態では、アミンは、NH2、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、フェニルアミノ、又はベンジルアミノである。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、臭素、塩素、フッ素、又はヨウ素を指す。いくつかの実施形態では、ハロゲンは、フッ素である。他の実施形態では、ハロゲンは、塩素又は臭素である。
本明細書で使用するとき、用語「ヒドロキシル」は、-OH又はそのイオン化形態、-O-のことを指し得る。
用語「ニトリル」又は「シアノ」は、本明細書で使用するとき、-CN基を指す。
本明細書で使用するとき、用語「チオ」は、-S-基又は酸素が硫黄で置換されたエーテルを指す。
本明細書で使用するとき、「両性フッ素界面活性剤」は、
少なくとも1つのカチオン基及び/又はプロトン化されてカチオン基を生成できる基、例えば、第1級、第2級、第3級、及び/又は第4級アミン基と、
少なくとも1つのアニオン基及び/又は脱プロトン化されてアニオン基を生成できる基、例えば、カルボキシ基、スルホネート基、ホスフェート基、ホスホネート基、及びこれらの任意の1つ以上の塩と、
を含むフッ素界面活性剤を指す。
本明細書で使用するとき、用語「ベタイン官能性」は、正に帯電したカチオン性官能基と、負に帯電した官能基とを有する中性化合物を指す。いくつかの実施形態では、カチオン性官能基は、水素原子を持たない、第4級アンモニウム又はホスホニウムカチオンであってもよい。いくつかの実施形態では、負に帯電した官能基は、カルボキシレート基であってもよい。
本明細書で使用するとき、用語「短鎖ペルフルオロ置換基」は、C1~C7ペルフルオロ置換基を指す。
本明細書で使用するとき、用語「亜鉛負極」は、負極活物質として亜鉛を含む負極を指す。
本明細書で使用するとき、用語「ppm」は、別段明示的に表現されない限り、質量での百万分率を意味する。
【0010】
金属空気電気化学セルにおける酸素利用率は、フッ化両性界面活性剤を有する電解質と水酸化リチウムとを、空気アクセスが限られたセルハウジング内で組合せることによって、予想外に改善され得ることが今回観察された。電解質配合物は、閉セル電圧を増大し、所与の電流引込みのためにセルが必要とする酸素の濃度の低減を可能にしながら、所望の閉回路電圧を維持することが見出された。この、より大きい酸素利用効率と、より高いセル電圧により、セル外側への通気領域をより小さくでき、水分及びCO2の悪影響への曝露を低減することができる。これは、低湿度及び高湿度条件並びにCO2濃度が高い環境での性能を改善する。
【0011】
本明細書に記載されるのは、両性フッ素界面活性剤を含む高電圧負極配合物と、セル限界電流が可能な最低レベルまで低減され、なおも消耗率(drain rate)使用要件に適合するように設計されたセルとの組合せである。本技術は、空気正極と、負極と、両性界面活性剤を含む水性電解質と、空隙の全領域(「通気領域」)を画定する1つ以上の空気口を含むハウジングと、を含む電池を提供し、ここで、
(1)電池は、サイズ13の金属空気電池であり、空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.050mm2~約0.115mm2である;又は
(2)電池は、サイズ312の金属空気電池であり、空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.03mm2~約0.08mm2である。
本明細書の任意の実施形態では、電解質は水酸化リチウム(LiOH)を含んでもよく、これを本明細書でより詳細に論じる。
【0012】
本明細書に記載の驚くべき観察によると、両性フッ素界面活性剤を本技術の電池の電解質中で使用したとき、空気口によって画定される最小必要全通気領域が驚くほど低いことが見出された。例として、本技術の改善された電池において、サイズ312のセルの全通気領域は、0.0498mm2(標準/従来寸法の0.1329mm2から63%低減)となり得る。別の例として、本技術の改善された電池において、サイズ13のセルの全通気領域は、0.0845mm2(標準/従来寸法の0.1537mm2から45%低減)となり得る。理論に束縛されるものではないが、通気領域の低減は、高電圧と、より効率的な電解質配合物(即ち、両性フッ素界面活性剤と、任意選択でLiOHと、を含む)とによって可能となることが提案され、ここで両性フッ素界面活性剤は、電圧抑制を助けると同時にガス発生の信頼性を維持することができ、負極中の成分の組合せは、セル電圧及びセル性能の大幅な強化改善をもたらし得る。
【0013】
本明細書の任意の実施形態では、両性フッ素界面活性剤は、短鎖ペルフルオロ置換基を含んでもよく、これはペルフルオロオクタン酸へと分解し得ない。本明細書の任意の実施形態では、両性フッ素界面活性剤は、ベタイン官能性を含んでもよい。例えば、両性フッ素界面活性剤は、式(I)の化合物として表すことができ:
【化1】
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、又はシクロアルキル基であり;X
1は、-C(O)-、-SO
2-、-C(O)NR
a-、-SO
2NR
a-、-CO
2-、又は-SO
2O-であり;R
aは、H又はアルキル基であり;m及びpは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり;n及びrは、それぞれ独立して、1、2、3、4、又は5である。いくつかの実施形態では、R
1~R
6は、Hであり、R
7及びR
8は、C
1~C
4アルキルであり、n及びpは、2であり、mは、4、5、又は6からであり、X
1はSO
2であり;rは、1である。
本明細書の任意の実施形態では、両性フッ素界面活性剤は、電解質中に約200ppm~約20,000ppm存在し得る。従って、本明細書の任意の実施形態では、電解質は、両性フッ素界面活性剤を、約500ppm、約600ppm、約700ppm、約800ppm、約900ppm、約1,000ppm、約2,000ppm、約3,000ppm、約4,000ppm、約5,000ppm、約6,000ppm、約7,000ppm、約8,000ppm、約9,000ppm、約10,000ppm、約11,000ppm、約12,000ppm、約13,000ppm、約14,000ppm、約15,000ppm、約16,000ppm、約17,000ppm、約18,000ppm、約19,000ppm、約20,000ppm、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で含み得る。例えば、本明細書の任意の実施形態では、両性フッ素界面活性剤は、電解質中に約2000ppm~約15000ppm又は約3000ppm~約12000ppm存在し得る。別の例として、本明細書の任意の実施形態では、電解質中の両性フッ素界面活性剤濃度は、約4000ppmであってもよい。
【0014】
電池は、亜鉛/酸化銀電池、亜鉛/二酸化マンガン電池等の金属空気電池セル設計に従って又は一致して構成されてもよい。例えば、電池は、金属空気ボタンサイズ電池に好適な仕様に設計されてもよい。更に、電池の形状は、負極がある程度平坦又は皿型の位置に保持されるようなものであってもよい。
【0015】
以後、理解のために
図1を参照して開示を記載するが、これは、本技術の金属空気電池に記載された特徴を含むことを義務付けることを意図するものではない。しかしながら、本開示の任意の実施形態では、本開示の電池は、
図1に例証するとおりであってもよい。
図1は、電池のセル10において、負極は、負極缶アセンブリ22と、その中に収容された電気化学的反応性負極26を含む負極缶24と、絶縁ガスケット60と、を含むことを示す。負極缶24は、底壁28と、円周方向に下向きに垂れ下がる側壁30とを有する。側壁30は、円周方向の缶足部36において終端する。底壁及び側壁30は、負極缶24内の負極空洞38を概ね画定し、当該空洞は、負極26を含有する。
負極缶24は、銅の合金を含んでもよく、該合金は、銅と、金属、例えば、アルミニウム、ケイ素、コバルト、スズ、クロム、亜鉛、及びこれらの任意の2つ以上の混合物等を含む。例えば、本明細書に開示される任意の実施形態では、負極缶全体24が、銅の合金を含み得る。
正極42は、セパレータ74の下から正極缶44までの領域を含む。この正極42領域は、多孔質拡散層57、セルロース空気拡散層、及び正極活性層72を含む。正極缶44は、底部46、及び円周方向に直立する側壁47を有する。底部46は、概ね平坦な内面48、概ね平坦な外面50、及び平坦な外面50上に画定される外周囲52を有する。複数の空気口54が、正極缶44の底部46を通って延び、酸素が底部46を通って隣接する正極缶アセンブリ40へと横断するための道を提供する。空気溜め55は、正極缶アセンブリ40を、底部46及び対応する空気口54から間隔を空けて配置する。多孔質拡散層57及びセルロース空気拡散層32は、空気溜め55を埋める。正極缶の側壁47は、内面56及び外面58を有する。
【0016】
上記のように、空気口54は通気領域を画定し、酸素は該領域を通ってセルに入ることができ、亜鉛と共にボルタ電池を形成し、電流を発生する。本明細書に記載の驚くべき観察によると、両性フッ素界面活性剤を本技術の電池の電解質中に使用したとき、空気口54によって画定される最小必要全通気領域が驚くほど低いことが見出された。前述のように、金属空気電池がサイズ13のセルである場合、ハウジング内の空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.05mm2~約0.115mm2である。従って、本明細書に開示されるサイズ13のセルの任意の実施形態では、空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.05mm2~約0.10mm2、約0.06mm2~約0.095mm2、約0.06mm2~約0.085mm2、約0.07mm2~約0.09mm2、又は約0.08mm2~約0.085mm2であり得る。同じく本開示で前述のように、金属空気電池がサイズ312のセルである場合、ハウジング内の空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.03mm2~約0.08mm2である。従って、本明細書に開示されるサイズ312のセルの任意の実施形態では、空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.04mm2~約0.07mm2、約0.04mm2~約0.06mm2、又は約0.04mm2~約0.05mm2であり得る。
負極缶アセンブリ22は、絶縁ガスケット60によって正極缶アセンブリ40から電気的に絶縁される。絶縁ガスケット60は、正極缶の直立する側壁47と負極缶の下向きに垂れ下がる側壁30との間に配置された円周側壁62を含む。絶縁ガスケット足部64は、概ね、負極缶の缶足部36と正極缶アセンブリ40との間に配置される。絶縁ガスケット頂部66は、絶縁ガスケット60の側壁62が、セルの頂部に隣接する側壁30と側壁47との間から延びた場所に位置付けられる。
それゆえ、セル10の外面68は、負極缶24の頂部の外面、正極缶44の側壁47の外面58、正極缶44の底部の外面50、及び絶縁ガスケット60の頂部66の部分によって画定される。
【0017】
絶縁ガスケットは、少なくとも2つの一次機能を果たす。第一に、絶縁ガスケット60は、セル10用密閉部として機能し、負極26及び/又は電解質が負極缶30の側壁の外面と正極缶47の側壁の内面56との間のセルから漏れることを防ぐ。従って、絶縁ガスケット60は、そのような漏れを防ぐために適切な液体封止特性を持つ必要がある。一般に、かかる特性は、種々の弾性的に変形可能な熱可塑性ポリマー材料で得られる。
第2に、絶縁ガスケット60は、電気的な絶縁を提供し、負極缶24と正極缶44との間の全ての実効的で直接的な電気接触を防ぐ。従って、絶縁ガスケット60の側壁62は、一般的に、側壁47の頂部から側壁30の底部まで、外面と内面56との間の電池の外周の全体を取り囲み、当該全体について絶縁特性を提供する必要がある。同様に、絶縁ガスケット60の足部64は、側壁30の足部36、側壁47の下部、及び正極缶アセンブリ40の外周囲部分の間で、セルの外周の全体を取り囲み、当該全体について電気絶縁特性を提供する必要がある。良好な液体封止特性と良好な電気絶縁特性との組合せは、典型的には、既知の電池グレードナイロンポリマー材料を所望の構成で成することによって達成される。
電気絶縁要求を満たすために、絶縁ガスケット60は、良好な誘電体絶縁特性を有してもよく、側壁62について最小限の厚さを有してもよく、且つ側壁30と47との間の電流伝達を可能にし得るピンホール又は他の欠陥の無いものとしてもよい。絶縁ガスケット側壁62の厚さは、約200~約250ミクロンが従来の電気化学セルでは一般的である。従来技術の厚い絶縁ガスケットと同じ弾性的に変形可能な熱可塑性ナイロン材料を使用して、100ミクロンもの薄さが、本開示のセルに許容可能である。
絶縁ガスケットが適用される電池の構造に応じて、150ミクロン、140ミクロン、127ミクロン等の中間的な厚さが、一部のセルに選択されてもよい。しかしながら、セル容積効率が運転時に考慮すべきものである場合、好ましい厚さは、例えば、120ミクロン又は110ミクロン未満から100ミクロンの薄さまでである。それゆえ、本開示のセル10における使用に好ましい絶縁ガスケット60の厚さの範囲は、約100ミクロンを下端とする。
【0018】
本開示に開示される任意の実施形態では、多孔質拡散層57は、約25~約100ミクロンの厚さの微孔質疎水性ポリマー材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜であり、該膜は、空気の通過を可能にし、且つ一般的に電池電解質を通さない。例えば、多孔質拡散層57は、Teflon(商標)である。本明細書に開示される任意の実施形態では、多孔質拡散層57を、空気口54と組合せて、酸素を正極アセンブリの活性反応表面領域に効率的に運ぶために使用してもよい。
セルロース空気拡散層32は、多孔質拡散層57の下に位置し、保護的な横方向の空気拡散層として機能し得る。具体的には、セルが活性化されると、負極缶アセンブリ22はセパレータ74を押し下げ、セルロース空気拡散層32は、空気口54が完全に覆われないよう保護するのに役立つ。
活性層72は、集電体として、正極缶とインターフェースすることができる接続基層、即ち、導電性織込ニッケルワイヤ層(図示せず)を更に含み得る。本明細書に開示される任意の実施形態では、炭素は、ニッケルワイヤの導電層を取り囲むマトリックス形成し得る。ニッケルは、亜鉛空気セルの環境において腐食をほとんど又は全く呈さないことから、及びニッケルは優れた電気導体であることからも、ニッケルが導電層に使用され得る。本明細書に開示される任意の実施形態では、セパレータ74と多孔質拡散層57との間の正極アセンブリの厚さは、可能な限り小さい。
【0019】
本技術の金属空気電池用の水性電解質は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、又はこれらの組合せ等の塩基を含んでもよい。本明細書に開示される任意の実施形態の電解質は、界面活性剤系、腐食抑制剤(例えば、水酸化インジウム、ポリアニリン、ポリエチレングリコール、又はポリプロピレングリコール、及び水酸化リチウムのうちの1つ以上)、ゲル化剤(例えば、ポリアクリレートポリマー)、ガス抑制添加剤(例えば、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、LiOH、及び臭化カルシウムのうちの1つ以上)、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム、又はこれらの任意の2つ以上の組合せを含み得る。
【0020】
界面活性剤系は、少なくとも1つの両性フッ素界面活性剤を含み得る。例えば、界面活性剤系は、少なくとも2つの両性フッ素界面活性剤を含み得る。本明細書の任意の実施形態では、界面活性剤系は、1つ以上の両性フッ素界面活性剤と、腐食抑制剤(例えば、水酸化インジウム、ポリアニリン、ポリエチレングリコール、又はポリプロピレングリコール、及び水酸化リチウムのうちの1つ以上)、ゲル化剤(例えば、ポリアクリレートポリマー)、ガス抑制添加剤(例えば、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、LiOH、及び臭化カルシウムのうちの1つ以上)、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウムのうちの1つ以上と、を含み得る。本明細書の任意の実施形態では、界面活性剤系は、CHEMGUARD(登録商標)S-111、CHEMGUARD(登録商標)S-500、CAPSTONE(登録商標)FS-50、CAPSTONE(登録商標)FS-51、APFS-14、DYNAX DX3001、ZONYL(登録商標)FSK、ZONYL(登録商標)FS-500、又はこれらの任意の2つ以上の組合せであってもよい。
【0021】
本明細書の任意の実施形態の電解質及び/又は界面活性剤系は、追加の界面活性剤、例えば、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸、ジエチレントリアミン、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、式(III)の化合物、又はこれらの任意の2つ以上の組合せを含み得る。式(III)の化合物としては、
【化2】
が挙げられ、式中、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、及びR
21は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、又はシクロアルキル基であり;X
2は、O又はSであり;X
3は、OH又はSHであり;wは、5~50である。本明細書に開示される任意の実施形態では、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、及びR
21はそれぞれ水素であってもよい。本明細書に開示される任意の実施形態では、X
2は、Oであってもよい。本明細書に開示される任意の実施形態では、X
3は、OHであってもよい。本明細書に開示される任意の実施形態では、wは、5~15であってもよい。本明細書に開示される任意の実施形態では、wは、5~10であってもよい。本明細書に開示される任意の実施形態では、R
13は、C
1~C
12アルキル基であり;R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、及びR
21は、それぞれ水素であり;X
2は、Oであり;X
3は、OHであり;wは、5~15であることが可能である。本明細書に開示される任意の実施形態では、R
13はオクチルであってもよく、wは、5~10であってもよい。別の実施形態において、R
13は1,1,3,3-テトラメチルブチルであり、wは、5~10である。
【0022】
本明細書の任意の実施形態の電解質は、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸を、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤系の一部として更に含み得る。ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤系は、電圧抑制を低減し得る。本明細書に開示される任意の実施形態のヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤系は、約1.08g/cm3~約1.20g/cm3(約9.0~約10.0ポンド/ガロン)の密度、例えば、約1.17g/cm3(約9.8ポンド/ガロン)の密度を有し得る。本明細書に開示される任意の実施形態のヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤系は、約2.0未満のpHを有し得る。ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸は、水中で約50%の溶解度を有し得る。
本明細書に開示される任意の実施形態のヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤系は、約70質量%~約75質量%のスルホン化ベンゼン、1,1’-オキシビス-sec-ヘキシル誘導体を含み得る。本明細書の任意の実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤系は、約0質量%~約5質量%又は約2質量%~約4質量%の硫酸を含み得る。本明細書に開示される任意の実施形態のヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、約20質量%~約30質量%又は約22質量%~約28質量%の水を含んでもよい。例示的な実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤は、Pilot Chemical Company(2744East Kemper Road,Cincinnati,Ohio,45241)から入手可能なCalfax(登録商標)6LA-70であり、Calfax(登録商標)6LA-70は、本開示の他の実施形態において、カップリング剤及び/又はHLB調整剤としても作用し得る。それゆえ、用語「界面活性剤」は、Calfax(登録商標)6LA-70で例示される限定的な意味とみなされるべきではなく、この用語は、例えば、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸及び/又はヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸界面活性剤系が提供し得る機能のうちの1つを説明する。
本明細書の任意の実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸は、約500ppm~約5,000ppm、例えば、約1,000ppm~約4,000ppm又は約2,000ppm~約3,000ppmの量で存在してもよい。従って、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸は、約1,000ppm、約2,000ppm、約3,000ppm、約4,000ppm、若しくは約5,000ppm、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で存在し得る。例えば、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸は、約3000ppmの量で存在してもよく;別の実施形態では、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸は、約4,500ppmの量で存在してもよい。
【0023】
本明細書に開示される任意の実施形態の電解質は、腐食抑制剤を更に含んでもよい。腐食抑制剤は、清浄な亜鉛表面の維持を補佐するために使用されてもよく、清浄な亜鉛表面は、次に、セル電圧及び効率を上げる。腐食抑制剤と両性フッ素界面活性剤の両方が、セル電圧及びセル性能の改善をもたらし得る。腐食抑制剤は、導電率を増強し得る。腐食抑制剤は、電解質中に約100ppm~約15,000ppm、例えば、約200ppm~約300ppm存在し得る。本明細書の任意の実施形態では、腐食抑制剤は、約150ppm、約200ppm、約250ppm、約300ppm、約350ppm、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で存在し得る。本明細書の任意の実施形態では、腐食抑制剤は、約250ppmで存在し得る。腐食抑制剤のみに関して、ppm量は、腐食抑制剤が室温で液体の場合は電解質の総質量に基づき、又は腐食抑制剤が室温で固体の場合は負極内の亜鉛質量に基づく。
【0024】
本技術の任意の実施形態の腐食抑制剤は、芳香族アミンポリマー、水酸化インジウム、ポリアニリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水酸化リチウム、又はこれらの任意の2つ以上の組合せであってもよい。例えば、腐食抑制剤としては、式(II)の化合物が挙げられ、
【化3】
式中、R
9、R
10、R
11、及びR
12は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニル、又は置換若しくは非置換シクロアルキル基であり;tは、100~500である。本明細書に開示される任意の実施形態では、R
9、R
10、R
11、及びR
12は、それぞれ水素であってもよい。本明細書に開示される任意の実施形態では、tは、100~200であってもよい。本明細書に開示される任意の実施形態では、R
9、R
10、R
11、及びR
12は、それぞれ水素であってもよく、mは、100~200であってもよい。
上記のように、腐食抑制剤は、ポリアニリンを含んでもよい。例えば、ポリアニリンは、エメラルジンポリアニリンであってもよい。エメラルジン型のポリアニリンは、中性で、室温において高安定性を有し得る。本明細書に開示される任意の実施形態のポリアニリンは、非酸ドープ型のポリアニリンであってもよく、導電型のポリアニリンではない。本明細書に開示される任意の実施形態のポリアニリンは、腐食抑制剤として作用してもよく、及び/又はポリアニリンが腐食抑制剤としてのみ作用することに限定しない他の利益をもたらしてもよい。従って、ポリアニリンを「腐食抑制剤」と呼ぶことは、ポリアニリンをその特定の機能のみに限定するものではない。例えば、ポリアニリンは、導電率を増強し得る。
上記のように、腐食抑制剤は、水酸化インジウムを含んでもよい。本明細書に開示される任意の実施形態では、水酸化インジウムは、負極内の亜鉛の総質量に基づいて、約2000ppm~約4000ppm、例えば、約2,500ppm~約3,500ppm、又は約2,750ppm~約3,250ppmの量で存在してもよい。従って、水酸化インジウムは、約2,000ppm、約2,500ppm、約3,000ppm、約3,500ppm、約4,000ppm、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で存在し得る。例えば、水酸化インジウムは、本明細書に開示される任意の実施形態において、負極内の亜鉛の総質量に基づいて、約3000ppmの量で存在してもよい。
【0025】
電解質は、ゲル化剤を含んでもよい。当該技術分野における任意の好適なゲル化剤を、それが本開示の範囲から逸脱しない限り、使用してもよい。ゲル化剤は、電解質の総質量に基づいて、約500ppm~約1,500ppm、約750ppm~約1,250、又は約900ppm~約1,100ppmの量で存在し得る。従って、ゲル化剤は、約500ppm、約600ppm、約700ppm、約800ppm、約900ppm、約1,000ppm、約1,100ppm、約1,200ppm、約1,300ppm、約1,400ppm、又は約1,500ppm、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で存在し得る。例えば、ゲル化剤は、本明細書に開示される任意の実施形態において、約1,000ppmの量で存在し得る。本明細書に開示される任意の実施形態では、ゲル化剤は、架橋ポリアクリル酸ポリマー等のポリアクリル酸ポリマーであってもよい。
【0026】
電解質は、ポリアクリレートポリマーを含んでもよい。ポリアクリレートポリマーは、約1,000ppm~約5,000ppmの量で存在し得る。これは、約2,000ppm~約4,000ppm、又は約2,500ppm~約3,500ppmを含み得る。従って、ポリアクリレートポリマーは、本明細書に開示される任意の実施形態において、約2,000ppm、約2,500ppm、約3,000ppm、約3,500ppm、約4,000ppm、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で存在し得る。例えば、ポリアクリレートポリマーは、約2,000ppmの量で存在し得る。例として、好適なポリアクリレートポリマーは、架橋ポリアクリレートポリマーである。
酸化亜鉛は、電解質質量基準で、約1%~約10%の量で存在し得る。これは、電解質質量基準で、約1%~約8%、1%~約5%、約1.5%~約5%、又は約2%~約5%を含み得る。従って、酸化亜鉛は、本明細書に開示される任意の実施形態において、電解質質量基準で、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、若しくは約4%、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で存在し得る。例えば、酸化亜鉛は、電解質質量基準で、約2%の量で存在してもよい。酸化亜鉛、他の利益をもたらし得ることから、酸化亜鉛を単にガス抑制添加剤として作用することに限定しない。従って、酸化亜鉛を「ガス抑制添加剤」と呼ぶことは、酸化亜鉛をその特定の機能のみに限定するものではない。例えば、本明細書に開示される任意の実施形態の酸化亜鉛は、亜鉛表面不動態化を調節し得る。
電解質は、水酸化カリウムを含んでもよい。水酸化カリウムは、電解質質量基準で、約20%~約45%、例えば、約25%~約40%又は約30%~約35%の量で存在し得る。本明細書に開示される任意の実施形態では、水酸化カリウムは、電解質質量基準で、約45%、約30%、約25%、又は約20%、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で存在し得る。例えば、水酸化カリウムは、電解質質量基準で、約33%の量で存在し得る。
電解質は、水酸化ナトリウムを含んでもよい。水酸化ナトリウムは、電解質質量基準で、約20%~約45%、例えば、約25%~約40%又は約30%~約35%の量で存在し得る。水酸化ナトリウムは、本明細書に開示される任意の実施形態において、電解質質量基準で、約45%、約30%、約25%、若しくは約20%、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で存在し得る。例えば、水酸化ナトリウムは、電解質質量基準で、約33%の量で存在し得る。
【0027】
本明細書に開示される任意の実施形態では、金属空気電池の電解質は、界面活性剤系と腐食抑制とを含んでもよく、界面活性剤系は両性フッ素界面活性剤を含む。界面活性剤系は、ガス抑制添加剤を更に含み得る。本明細書に開示される任意の実施形態では、界面活性剤系は、ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸、ジエチレントリアミン、又はオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、式(III)の化合物、又はこれらの任意の2つ以上の組合せを更に含み得る。ガス抑制添加剤は、LiOH又はZnO等の材料を含み得る。本明細書に開示される任意の実施形態では、電解質は、約500ppm~約20,000ppmのガス抑制添加剤を含み得る。従って、電解質は、ガス抑制添加剤を、約500ppm、約600ppm、約700ppm、約800ppm、約900ppm、約1,000ppm、約2,000ppm、約3,000ppm、約4,000ppm、約5,000ppm、約6,000ppm、約7,000ppm、約8,000ppm、約9,000ppm、約10,000ppm、約11,000ppm、約12,000ppm、約13,000ppm、約14,000ppm、約15,000ppm、約16,000ppm、約17,000ppm、約18,000ppm、約19,000ppm、約20,000ppm、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で含み得る。
本明細書に開示される任意の実施形態の電解質は、LiOHを、約500ppm、約600ppm、約700ppm、約800ppm、約900ppm、約1,000ppm、約2,000ppm、約3,000ppm、約4,000ppm、約5,000ppm、約6,000ppm、約7,000ppm、約8,000ppm、約9,000ppm、約10,000ppm、約11,000ppm、約12,000ppm、約13,000ppm、約14,000ppm、約15,000ppm、約16,000ppm、約17,000ppm、約18,000ppm、約19,000ppm、約20,000ppm、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)の量で含み得る。
【0028】
本明細書に開示される任意の実施形態の金属空気電池は、セル性能と寿命を改善するための二酸化炭素吸収剤(scrubbing agent)を含んでもよい。空気がセルに入ると、二酸化炭素は二酸化炭素吸収剤(scrubber)と反応して、二酸化炭素と電解質中又は空気拡散膜の表面におけるアルカリ成分との反応を防止又は少なくとも最小限に抑える。吸収剤は、電解質の導電率及び正極多孔性を長時間維持することを可能にする。本明細書に開示される任意の実施形態の電解質に、電解質中に存在するアルカリ水酸化物との反応の前に、溶解した二酸化炭素と優先的に反応する材料を添加してもよい。
例証的な二酸化炭素吸収剤としては、限定するものではないが、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、過酸化リチウム、酸化リチウム、アミン、カンラン石、又はその他の塩基性水酸化物が挙げられる。
本明細書に開示される任意の実施形態において、二酸化炭素吸収剤は、流入空気が負極活物質(即ち、亜鉛)と接触する前に吸収剤に遭遇し得る空間において正極缶の内側をコーティングするために使用できる。例えば、
図1に例証するように、空気溜め55は、電池セル内の空隙である。セルは、空気が拡散層32と接触する前に空気口54を通ってセルに入るように構成される。従って、二酸化炭素吸収剤は、二酸化炭素が空気口54を通ってセルに入ったときに二酸化炭素を除去又は少なくとも減ずるために、空気溜め55内のセルの内面に塗布されてもよい。吸収剤は、セルロース空気拡散層32、正極42、又は多孔質拡散層57のいずれかの中に埋め込まれるか、又はこれらの上に付着されていてもよい。吸収剤は、粉末として付着されてもよく、後で除去される溶媒を用いて塗布することでフィルムとして付着されてもよく、又は他の実用的手段によって付着されてもよい。
本明細書に開示される任意の実施形態では、二酸化炭素吸収剤は、アルカリ電解質に添加されてもよい。かかる実施形態では、吸収剤は、物質が最初に二酸化炭素と反応し、その間、電解質中に存在するNaOH又はKOHは保持されるように選択される。理論に束縛されるものではないが、CO
2が亜鉛空気セルに入ると、CO
2は水性電解質に溶解し、それによって炭酸を発生し得ると考えられる。その後、炭酸は、電解質中に存在するNaOH又はKOHと反応する前に吸収剤と反応し、その結果電解質の所望のアルカリ度が維持される。
本明細書に開示される任意の実施形態では、二酸化炭素吸収剤は、セル使用前の二酸化炭素曝露による保管時損傷を最小限に抑えるために、補聴器用セル(本技術による)を収容したパッケージに含まれてもよい。例えば、パッケージは、補聴器用電池等の亜鉛空気セルを、保管又は販売のために保持することを意図したチャンバを含有してもよい。パッケージは、粉末として、パッケージ上のコーティングとして、又はパッケージング及びチャンバ形成材料のプラスチック又は紙の中に埋め込まれた、酸化炭素吸収剤を含んでもよい。
【0029】
負極は、負極活物質を含み、負極缶アセンブリは負極活物質を取り囲む。本明細書に開示される任意の実施形態では、負極活物質は亜鉛を含んでもよく、負極は「亜鉛負極」と呼ばれる。これに関して、本明細書で使用するとき、負極「活物質」は、セルの負極における放電反応の一部であると共にセル放電容量に寄与する単一化学化合物であって、その中に存在し得る不純物及び少量の他の部分を含む、単一化学化合物のことを指し得ることに注意する。負極「活物質」は、亜鉛活物質を含有又は支援し得る集電体、電極リード等を含まない。
負極に対する物理的な変更はまた、単独で、又は上記した化学的修飾との組合せで、セルの寿命を改善し得る。例えば、水酸化物イオンについての拡散抵抗を減らすことによって、従来のセルにおいて使用され得るものよりも有利に低い濃度の水酸化物イオンを電解質中に有するセルを効率的に放電することができる。これは、例えば、亜鉛粒径分布を調整して、負極内に類似の亜鉛粒径の狭い分布を提供することによって達成でき、それによって、水酸化物イオンのための多孔性(拡散経路)を増強する。拡散特性の改善に加えて、本開示の粒径分布はまた、ZnO析出のための多孔性部位を提供し、それによって、負極不動態化を遅延させる。このアプローチは、亜鉛空気電池セルの負極における使用に効果的であり、本明細書に開示される他の改善と組合せて使用され得る。
【0030】
好適な亜鉛粒径分布は、粒子のうちの少なくとも70%が100ミクロンサイズ範囲内の標準メッシュ篩目粒径を有するもの、及び分布の最頻値が約100~約300ミクロンの間にあるものであり得る。好適な亜鉛粒径分布としては、上記の試験に適合し、約100ミクロン、約150ミクロン、又は約200ミクロンの最頻値を有する粒径分布が挙げられる。本明細書に開示される任意の実施形態では、粒子のうちの約70%が、約100ミクロンよりも狭い粒径分布範囲、例えば、約50ミクロン、又は約40ミクロン以下の範囲に分布している。
【0031】
陽極は、正極缶44及び正極42を含む正極缶アセンブリ40を含んでもよい。正極42の例示的な実施形態は、
図1に最も良く見られる。正極42の活性層72は、セパレータ74と多孔質拡散層57との間に置かれる。活性層72は、好ましくは、厚さが約50ミクロン~約1,250ミクロンの範囲であり、電解質中のヒドロキシルイオンと、空気の正極酸素との間の反応を促進する。セパレータ74は、微孔質プラスチック膜及び微孔質セルロース紙のうちの一方又は両方を含んでもよく、又はこれらからなってもよい。微孔質プラスチック膜は厚さ約25μmであり、典型的には、ポリプロピレンで構成される。紙材料は、厚さ70~90ミクロンで、坪量が20~25g/m
2であり、典型的にはポリビニルアルコールとセルロース材料で構成される。セパレータは、負極の亜鉛粒子が、正極42の残留元素と物理的に接触するのを防ぐという一次機能を有する。しかしながら、セパレータ74は、ヒドロキシルイオン及び水がセパレータを通過して正極アセンブリへ行くことは許可する。ここで、正極は、空気正極であり、正極活性層は、炭素を含む。
正極缶44の側壁47は、中間要素80によって缶の底部46に接合される。中間要素80の外面は、底部46の外面50の外周囲52におけるその下端から、概ね垂直な向きに側壁47の外面58に接合するその上端まで延びる。中間要素80の内面は、存在する場合には、底部46の内面48及び側壁47の内面56の接合において表わされる。内面48及び56は、中間要素の内面が公称寸法のものになるように、急な曲がりの角部において一体となる。角部材料が角部の形成時に加工される程度に角部が加工硬化されてもよく、それによって、角部構造が中間要素80において形成される際に、角部構造が、底部46及び側壁47に対して強化される。
【0032】
本明細書に開示される任意の実施形態では、缶/ハウジングは、選択した材料から十分な強度及び延性が得られる限り、(缶のめっき又はクラッディングとは対照的に)正極の水素過電圧に近い水素過電圧を有する金属又は合金で全体が形成されてもよい。ニッケルに加えて、かかる水素過電圧特性を有する材料としては、例えば、限定するものではないが、コバルト及び金が挙げられる。いくつかの実施形態では、かかる材料は、例えば、めっき、クラッディング、又は他の塗布プロセスによって、1つ以上の被膜層としてコア層の上にコーティングされてもよい。十分な強度及び延性を提供する材料は、複合構造の代わりに、単一層材料としての使用できる。単一層材料は、CRS又は他の適切な材料をコア層として包含する。
本明細書に開示される任意の実施形態では、費用検討から、更には一般的にめっき後プロセスを必要としない事前にめっきされた鋼帯が市販されていることから、ニッケル及びニッケル合金でめっきされた鋼帯が使用されてもよい。缶/ハウジング内の金属は、好ましくは、絞り加工プロセスに耐えるのに十分な延性と、セル圧着及び密閉プロセスに耐え、その他の耐性を有するのに十分な強度及び剛性の両方を備え、セル/電池に主要な全体的な構造強度をもたらす。
本明細書に開示される任意の実施形態では、ハウジングは、ニッケル-クラッドステンレス鋼;ニッケルめっき冷間圧延鋼;INCONEL(登録商標)(ニッケルの非磁性合金);微量合金元素を有する純ニッケル(例えば、Nickel 200及びNickel 200合金の関連系列、例えば、Nickel 201等)(全てHuntington Alloysから入手可能)、又はSpecial Metalsから入手可能なDURANICKEL(登録商標)301を含み得る。例えば、ハウジングは、ニッケルめっきステンレス鋼製であってもよい。いくつかの貴金属も、缶/ハウジング金属用のめっき、クラッディング、又は他のコーティングとして使用でき、その例は、ニッケルめっきされた鋼帯、及び缶の製造後にニッケルでめっきされた軟鋼帯の被覆である。
両側をニッケルでコーティングされた複数の層(例えば、CRS)が使用される場合、本開示は任意選択で追加の(例えば、第4、第5等の)層を想到し、該層は、ニッケルとCRSとの間であるか、又はCRSと追加的な層(複数可)との間にニッケル層を有するかのいずれかである。例えば、金、コバルト、又は他の優れた導電体を、正極缶を絞り加工した後、又は絞り加工及びしごき加工した後に、(ニッケル層の外側の)正極缶の外面の一部又は全部の上に付着してもよい。別の方法として、かかる第4層等の層は、例えば、CRSとニッケルとの間の結合増強層であってもよい。
缶/ハウジングが、典型的な原材料構造のニッケル/ステンレス鋼(SST)/ニッケル/NI/SST/NIをシート構造として使用して製造される場合、かかるシート構造は、約0.05mm~約0.30mm(約0.002インチ~約0.012インチ)であってもよい。これは、約0.08mm~約0.25mm(約0.003インチ~約0.010インチ)又は約0.10mm~約0.15mm(約0.004インチ~約0.006インチ)を含んでもよく、従って、厚さは約0.05mm(約0.002インチ)、約0.08mm(約0.003インチ)、約0.10mm(約0.004インチ)、約0.13mm(約0.005インチ)、又は約0.15mm(約0.006インチ)、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲(終点を含む)であってもよい。例えば、厚さは、約0.13mm(約0.005インチ)であってもよい。本明細書に開示される任意の実施形態では、ニッケル層のそれぞれが、かかる3層構造における金属シートの厚さ全体の約1%~約10%に相当し得る。これは、かかる3層構造における金属シートの厚さ全体の約1.5~約9%、約2%~約8%、約2.5%~約7%、又は約3%~約6.5%を含み得る。例えば、ニッケル層のそれぞれが、かかる3層構造における金属シートの厚さ全体の約2%~約4%に相当する。本明細書に開示される任意の実施形態では、ニッケル層のそれぞれが、かかる3層構造における金属シートの厚さ全体の約2%に相当し得る。
【0033】
このように一般的に記載された本発明は、以下の実施例を参照してより容易に理解されることになり、該実施例は、例示として提供されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0034】
実施例1.全通気領域が0.0498mm
2である本技術のサイズ312のセルを、亜鉛負極と、(電解質質量基準)31.5%の水酸化カリウム、10,000ppmの両性フッ素界面活性剤、1.5%の水酸化リチウム、2%の酸化亜鉛、及び1,000ppmのポリアクリル酸を含む水性電解質と、を用いて調製した。比較用「標準」セルを、標準セルは両性フッ素界面活性剤を含まず、全通気領域が0.1329mm
2であったことを除き、同様に調製した。セルを、ANSI/IEC試験に従って80%RH(相対湿度)において10/2mAで放電した結果、本技術のセルは、比較用「標準」セルと比較して約15%の容量改善を示した。
実施例2.全通気領域が0.0998mm
2である本技術のサイズ13のセルを、亜鉛負極と、水酸化カリウム、実施例1の両性フッ素界面活性剤、水酸化リチウム、及び実施例1のポリアクリル酸を実施例1の電解質と同じ量で含む水性電解質と、を用いて調製した。比較用「標準」セルを、標準セルは両性フッ素界面活性剤を含まず、全通気領域が0.1295mm
2であったことを除き、同様に調製した。セルを、ANSI/IEC試験に従って80%RH(相対湿度)において12/3mAで放電した結果、本技術のセルは、比較用「標準」セルと比較して約7%の容量改善を示した(
図2)。
実施例3.全通気領域が0.0660mm
2である本技術のサイズ312のセルを、亜鉛負極と、水酸化カリウム、実施例1の両性フッ素界面活性剤、水酸化リチウム、及び実施例1のポリアクリル酸を実施例1の電解質と同じ量で含む水性電解質と、を用いて調製した。比較用「標準」セルを、標準セルは両性フッ素界面活性剤を含まず、全通気領域が0.0869mm
2であったことを除き、同様に調製した。セルを、ANSI/IEC試験に従って80%RH(相対湿度)において10/2mAで放電した結果、本技術のセルは、比較用「標準」セルと比較して約13%の容量改善を示した(
図3)。
実施例4.全通気領域が0.0660mm
2である本技術のサイズ312のセルを、亜鉛負極と、水酸化カリウム、実施例1の両性フッ素界面活性剤、水酸化リチウム、及び実施例1のポリアクリル酸を実施例1の電解質と同じ量で含む水性電解質と、を用いて調製した。比較用「標準」セルを、標準セルは両性フッ素界面活性剤を含まず、全通気領域が0.0869mm
2であったことを除き、同様に調製した。セルを、ANSI/IEC試験10/2mAに従って20%RH(相対湿度)で放電した結果、本技術のセルは、比較用「標準」セルと比較して約4%の容量改善を示した(
図4)。
実施例5.本技術の電池の性能に対する電解質自体の寄与を更に例証するため、3種類の水性電解質を以下のように生成し、評価した。3種類の電解質は:
(1)33%の水酸化カリウム(電解質質量基準)と、2%の酸化亜鉛(電解質質量基準)と、を含む水性電解質;
(2)33%の水酸化カリウム(電解質質量基準)と、2%の酸化亜鉛(電解質質量基準)と、7,500ppmのカルボキシル化アミン界面活性剤と、を含む水性電解質;及び
(3)33%の水酸化カリウム(電解質質量基準)と、2%の酸化亜鉛(電解質質量基準)と、10,000ppmの両性フッ素界面活性剤と、を含む本技術の水性電解質
であった。
正極に近い溶液に純亜鉛参照電極を配置することによって、電解質の使用から得られる正極性能を、負極とは独立に試験した(注:全ての試験に正極から同じ距離を使用した)。正極は、片側は空気アクセスが無制限であり、もう片側は電解質に曝露していた。続いて、正極に1mA/cm
2及び5mA/cm
2の電流引込みを適用し、純亜鉛参照に対する電位を、上記の各電解質について記録した。
図5に例証するように、本技術の水性電解質(3)は、水性電解質(1)及び(2)と比較して、同じ電流引込みで、電圧降下がより少ない、改善された挙動を示した。
【0035】
一定の実施形態を例証及び記載してきたが、変更及び修正が、以下の特許請求の範囲に定義されるような、より広い態様における技術から逸脱することなく、当該技術分野における通常の技術知識に従って、その一定の実施形態になされ得ることを理解されたい。
本明細書に例証的に記載された実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素又は複数の要素、限定又は複数の限定が無い場合に、適切に実施され得る。従って、例えば、用語「備える」、「含む」、「含有する」等は、拡張的にかつ限定無しで読み取られるものとする。更に、本明細書において用いられた用語及び表現は、限定の語句ではなく、説明の語句として使用されており、かかる用語及び表現の使用において、図示及び記載された特徴又はそれらの部分の任意の同等物を排除するという意図は存在せず、様々な修正が、特許請求された技術の範囲内で可能であることが認識される。更に、「から本質的になる」という文言は、具体的に列挙された要素及び特許請求された技術の基本的かつ新規な特性に著しく影響を及ぼさない追加的な要素を含むように理解される。「からなる」という文言は、指定されない要素を除外する。
本開示は、本出願に記載された特定の実施形態に関して限定するものではない。多くの修正及び変形が、当業者に明らかになるように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく実施できる。本開示の範囲内の機能的に同等な方法及び組成が、本明細書に列挙されたものに加えて、前述の記載から当業者に明らかとなる。かかる修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に入ることを意図する。本開示は、かかる特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲に加えて、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。本開示は、特定の方法、試薬、化合物組成、又は生物系に限定されず、当然変動し得ることは理解されるべきである。また、本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためのものであり、限定することを意図しないことは理解されるべきである。
加えて、本開示の特徴又は態様が、マーカッシュグループによって記載される場合、当業者は、本開示がまた、それによって、マーカッシュグループの任意の個々の構成要素又は構成要素のサブグループによって記載されることを認識するであろう。
当業者によって理解されるように、任意及び全ての目的のために、特に、書面での記載を提供する観点から、本明細書に開示された全ての範囲はまた、任意及び全ての可能な部分範囲並びにそれらの部分範囲の組合せを包含する。任意の列挙された範囲は、同じ範囲が、少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに分解されることを十分に記載する及び可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な実施例として、本明細書に記述された各範囲は、下部3分の1、中央3分の1、及び上部3分の1等に容易に分解され得る。当業者によって理解されるように、全ての言い回し、例えば、「最大~まで」、「少なくとも」、「よりも大きい」、「よりも小さい」等が、列挙されたその数を含み、後に、上述したような部分範囲に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、ある範囲は、個々の構成要素を含む。
本明細書に言及される全ての刊行物、特許出願、発行された特許、及び他の文書は、個々の刊行物、特許出願、発行された特許、又は他の文書が、その全体が参照によって組み込まれるように具体的かつそれぞれ個別に示されるかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる文章に含まれる定義は、それらが本開示における定義を否定する限り、除外される。
【0036】
本技術は、限定するものではないが、以下の文字を付与した段落に記載の特徴及び複数の特徴の組合せを含んでもよく、以下の段落は、本明細書に添付の特許請求の範囲を限定するもの、又は全てのかかる特徴がかかる特許請求の範囲に必ず含まれなければならないと義務づけるもの、と解釈されるべきではない。
A.空気正極と、負極と、水性電解質と、ハウジングと、を備える電池であって、
電池は、サイズ13の金属空気電池であり;
ハウジングは、通気領域を画定する1つ以上の空気口を備え;
空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.050mm
2~約0.115mm
2であり;且つ
水性電解質は、両性フッ素界面活性剤を含む、
電池。
B.空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.05mm
2~約0.10mm
2である、段落Aに記載の電池。
C.空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.060mm
2~約0.950mm
2である、段落A又は段落Bに記載の電池。
D.空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.060mm
2~約0.085mm
2である、段落A~Cのいずれか1つに記載の電池。
E.空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.07mm
2~約0.09mm
2である、段落A~Cのいずれか1つに記載の電池。
F.空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.08mm
2~約0.085mm
2である、段落A~Eのいずれか1つに記載の電池。
G.負極は、亜鉛を含む、段落A~Fのいずれか1つに記載の電池。
H.二酸化炭素吸収剤を更に含む、段落A~Gのいずれか1つに記載の電池。
I.二酸化炭素吸収剤は、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、過酸化リチウム、アミン、又はカンラン石を含む、段落Hに記載の電池。
J.空気拡散パッドを更に含み、空気拡散パッドは二酸化炭素吸収剤を含む、段落H又は段落Iに記載の電池。
K.二酸化炭素吸収剤のコーティングを有するハウジングの内面を更に含む、段落H~Jのいずれか1つに記載の電池。
L.ハウジングと電池内の空気拡散層とによって画定される空気溜めを更に含み、二酸化炭素吸収剤は粉末又はフィルムとして空気溜めの表面上に付着されている、段落H~Kのいずれか1つに記載の電池。
M.両性フッ素界面活性剤は、ペルフルオロオクタン酸へと分解し得ない短鎖ペルフルオロ置換基を含む、段落A~Lのいずれか1つに記載の電池。
N.両性フッ素界面活性剤は、ベタイン官能性を含む、段落A~Mのいずれか1つに記載の電池。
O.両性フッ素界面活性剤は、式(I)の化合物を含み、
【化4】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、又はシクロアルキル基であり;
X
1は、-C(O)-、-SO
2-、-C(O)NR
a-、-SO
2NR
a-、-CO
2-、又は-SO
2O-であり;
R
aは、H又はアルキル基であり;
m及びpは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
n及びrは、それぞれ独立して、1、2、3、4、又は5である、
段落A~Nのいずれか1つに記載の電池。
P.R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、それぞれHであり;
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、C
1~C
4アルキルであり;
X
1は、SO
2又は-SO
2NR
aであり;
R
aは、Hであり;
nは、2又は3であり;
pは、2、3、4、又は5であり;
mは、3、4、5、又は6であり;
rは、1である、
段落Oに記載の電池。
Q.R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、それぞれHであり;
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、C
1~C
4アルキルであり;
X
1は、SO
2であり;
n及びpは、2であり;
mは、4、5、又は6であり;
rは、1である、
段落O又は段落Pに記載の電池。
R.水性電解質は、界面活性剤系を含む、段落A~Qのいずれか1つに記載の電池。
S.界面活性剤系は、両性フッ素界面活性剤を含む、段落Rに記載の電池。
T.界面活性剤系は、CHEMGUARD(登録商標)S-111、CHEMGUARD(登録商標)S-500、CAPSTONE(登録商標)FS-50、CAPSTONE(登録商標)FS-51、APFS-14、DYNAX DX3001、ZONYL(登録商標)FSK、ZONYL(登録商標)FS-500、又はこれらの任意の2つ以上の組合せを含む、段落R又は段落Sに記載の電池。
U.水性電解質は、水酸化リチウムを更に含む、段落A~Tのいずれか1つに記載の電池。
V.水性電解質は、約500ppm~約20,000ppmの水酸化リチウムを含む、段落A~Uのいずれか1つに記載の電池。
W.空気正極と、負極と、水性電解質と、ハウジングと、を備える電池であって、
電池は、サイズ312の金属空気電池であり;
ハウジングは、通気領域を画定する1つ以上の空気口を備え;
空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.03mm
2~約0.08mm
2であり;
水性電解質は、両性フッ素界面活性剤を含む、
電池。
X.空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.04mm
2~約0.07mm
2である、段落Wに記載の電池。
Y.空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.04mm
2~約0.06mm
2である、段落W又は段落Xに記載の電池。
Z.空気口の全てによって画定される全通気領域は、約0.04mm
2~約0.05mm
2である、段落W~Yのいずれか1つに記載の電池。
AA.負極は、亜鉛を含む、段落W~Zのいずれか1つに記載の電池。
AB.二酸化炭素吸収剤を更に含む、段落W~AAのいずれか1つに記載の電池。
AC.二酸化炭素吸収剤は、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、過酸化リチウム、アミン、又はカンラン石を含む、段落ABに記載の電池。
AD.空気拡散パッドを更に含み、空気拡散パッドは二酸化炭素吸収剤を含む、段落AB又は段落ACに記載の電池。
AE.二酸化炭素吸収剤のコーティングを有するハウジングの内面を更に含む、段落AB~ADのいずれか1つに記載の電池。
AF.ハウジングと電池内の空気拡散層とによって画定される空気溜めを更に含み、二酸化炭素吸収剤は粉末又はフィルムとして空気溜めの表面上に付着されている、段落AB~AEのいずれか1つに記載の電池。
AG.両性フッ素界面活性剤は、ペルフルオロオクタン酸へと分解し得ない短鎖ペルフルオロ置換基を含む、段落W~AFのいずれか1つに記載の電池。
AH.両性フッ素界面活性剤は、ベタイン官能性を含む、段落W~AGのいずれか1つに記載の電池。
AI.両性フッ素界面活性剤は、式(I)の化合物を含み、
【化5】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、又はシクロアルキル基であり;
X
1は、-C(O)-、-SO
2-、-C(O)NR
a-、-SO
2NR
a-、-CO
2-、又は-SO
2O-であり;
R
aは、H又はアルキル基であり;
m及びpは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
n及びrは、それぞれ独立して、1、2、3、4、又は5である、
段落W~AHのいずれか1つに記載の電池。
AJ.R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、それぞれHであり;
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、C
1~C
4アルキルであり;
X
1は、SO
2又は-SO
2NR
aであり;
R
aは、Hであり;
nは、2又は3であり;
pは、2、3、4、又は5であり;
mは、3、4、5、又は6であり;
rは、1である、
段落AIに記載の電池。
AK.R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、それぞれHであり;
R
7及びR
8は、それぞれ独立して、C
1~C
4アルキルであり;
X
1は、SO
2であり;
n及びpは、2であり;
mは、4、5、又は6であり;
rは、1である、
段落AI又は段落AJに記載の電池。
AL.水性電解質は、界面活性剤系を含む、段落W~AKのいずれか1つに記載の電池。
AM.界面活性剤系は、両性フッ素界面活性剤を含む、段落ALに記載の電池。
AN.界面活性剤系は、CHEMGUARD(登録商標)S-111、CHEMGUARD(登録商標)S-500、CAPSTONE(登録商標)FS-50、CAPSTONE(登録商標)FS-51、APFS-14、DYNAX DX3001、ZONYL(登録商標)FSK、ZONYL(登録商標)FS-500、又はこれらの任意の2つ以上の組合せを含む、段落AL又は段落AMに記載の電池。
AO.水性電解質は、水酸化リチウムを更に含む、段落W~ANのいずれか1つに記載の電池。
AP.水性電解質は、約500ppm~約20,000ppmの水酸化リチウムを含む、段落W~AOのいずれか1つに記載の電池。
【0037】
その他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載されている。