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特許7579258分岐状有機ケイ素化合物、その調製方法、及び関連組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】分岐状有機ケイ素化合物、その調製方法、及び関連組成物
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20241030BHJP
   C08G 77/26 20060101ALI20241030BHJP
   C08G 77/388 20060101ALI20241030BHJP
   A61K 8/58 20060101ALI20241030BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C07F7/18 X CSP
C08G77/26
C08G77/388
A61K8/58
A61Q1/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021538228
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 US2019068757
(87)【国際公開番号】W WO2020142380
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】62/786,715
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ナンクォ
(72)【発明者】
【氏名】テルゲンホフ、マイケル
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-071581(JP,A)
【文献】特開昭58-007124(JP,A)
【文献】特開平08-302023(JP,A)
【文献】米国特許第04127872(US,A)
【文献】国際公開第2009/056779(WO,A2)
【文献】米国特許第03794736(US,A)
【文献】特開昭61-074627(JP,A)
【文献】特開2006-109985(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04234846(DE,A1)
【文献】特開平07-036224(JP,A)
【文献】Lee, Sangkyu et al.,Refractive index engineering of transparent ZrO2-polydimethylsiloxane nanocomposites,Journal of Materials Chemistry,2008年,18(15),1751-1755
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C08G
A61K
A61Q
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式:
【化1】
[式中、各Rは、R及び-OSi(Rから選択され、但し、少なくとも1つのRは、-OSi(Rであり、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、各Rは、R及び-[OSiROSiRから選択され、但し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-[OSiROSiRであり、各Rは、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、0≦m≦100であり、
Xは、2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、
Dは、2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、
各Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基及びHから独立して選択され、
ZはO又はNであり、
は、置換又は非置換ヒドロカルビル基及び下付き文字aで示される各部分におけるHから独立して選択され、
下付き文字aはZの価数である]
を有し、
各Rが、-OSi(Rである、又は
以下の一般式:
【化2】
[式中、各Rは独立して選択され、上記で定義され、R 、R 、R 、X、D、Z、及び下付き文字aは上記定義のとおりである]を有する、分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項2】
のうちの少なくとも1つが、-[OSiROSiRであり、R及びmが、上記定義のとおりである、請求項1に記載の分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項3】
以下の一般式:
【化3】
[式中、各Rは独立して選択され、上記で定義され、R、R、R、X、D、Z、及び下付き文字aは上記定義のとおりである]を有する、請求項1又は2に記載の分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項4】
(i)各Rが、メチルである、(ii)mが、0若しくは1である、又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせである、請求項1~3のいずれか一項に記載の分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項5】
(i)Rが、-CH又はHである、(ii)Rが、下付き文字aによって示される各部分におけるHである、又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせである、請求項1~4のいずれか一項に記載の分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項6】
(i)1つのRが、式-C(O)-D-Y[式中、Dは2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、Yはカルボン酸を含む]を有する置換ヒドロカルビル基から選択される;又は(ii)1つのRが、式-C(O)-D-Y-R10[式中、Dは2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、Yは少なくとも1つのO又はN原子を含む二価官能基であり、R10は置換炭化水素基である]を有する置換ヒドロカルビル基から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項7】
分岐状有機ケイ素化合物を調製する方法であって、
(A)ハロゲン官能基を含む有機ケイ素化合物と(B)アミノ官能性化合物とを反応させて、前記分岐状有機ケイ素化合物を得ることを含み、
前記分岐状有機ケイ素化合物は、請求項1~6のいずれか一項に記載のものである、方法。
【請求項8】
前記有機ケイ素化合物(A)が、以下の式:
【化4】
[式中、各Rは、R及び-OSi(Rから選択され、但し、少なくとも1つのRは、-OSi(Rであり、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、各Rは、R及び-[OSiROSiRから選択され、但し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-[OSiROSiRであり、各Rは、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、0≦m≦100であり、Xは2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素基である]を有し、
各Rが、-OSi(Rである、又は
以下の一般式:
【化5】
[式中、Rは塩素である]
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アミノ官能性化合物(B)が、以下の式:
【化6】
[Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基及びHから独立して選択され、Dは2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、ZはO又はNであり、Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基及び下付き文字aで示される各部分におけるHから独立して選択され、下付き文字aはZの価数である]
を有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
(i)Rが、-CH又はHである、(ii)Rが、下付き文字aによって示される各部分におけるHである、又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
成分(A)及び(B)の反応が、初期分岐状有機ケイ素化合物を形成し、前記方法が、前記初期分岐状有機ケイ素化合物と(D)前記初期分岐状有機ケイ素化合物と反応する化合物とを反応させて、前記分岐状有機ケイ素化合物を得ることを更に含む、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物(D)が、無水物部分を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物(D)が、(i)無水マレイン酸、(ii)無水コハク酸、又は(iii)(i)及び(ii)の両方を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記分岐状有機ケイ素化合物を含む反応生成物を調製し、前記方法が、前記分岐状有機ケイ素化合物を前記反応生成物から単離することを更に含む、請求項7から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか一項に記載の分岐状有機ケイ素化合物を含む、組成物。
【請求項16】
(i)エマルジョン、(ii)水性組成物、(iii)界面活性剤組成物、(iv)湿潤組成物、(v)水性フィルム形成泡状物、(vi)表面張力調整剤、(vii)ブロッキング防止添加剤、(viii)農業用組成物、(ix)コーティング組成物、(x)塗料組成物、(xi)表面処理組成物、(xii)フィルム形成組成物、及び(xiii)化粧品組成物のうちの少なくとも1つとして更に定義される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
界面活性剤、分散剤、湿潤剤、ブロッキング防止添加剤、表面張力調整剤、表面処理剤、農業用組成物用添加剤、コーティング用添加剤、塗料用添加剤、化粧品成分、シロキサン変性剤、及び水性フィルム形成泡状物成分のうちの少なくとも1つとしての、請求項1~6のいずれか一項に記載の分岐状有機ケイ素化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/786,715号の優先権及び全ての利点を主張するものであり、その内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、有機ケイ素化合物に関し、より具体的には、アミノ官能性分岐状有機ケイ素化合物、その修飾、その調製方法、及びそれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーンは、主にそれらの有する利点がそれらの炭素系類似体に対して顕著であるため、多くの市販用途に使用されるポリマー材料である。より厳密には重合シロキサン又はポリシロキサンと呼ばれる、シリコーンは、無機ケイ素-酸素主鎖(...-Si-O-Si-O-Si-O-...)を有し、有機側基がケイ素原子に結合している。
【0004】
有機側基を用いて、これらの主鎖のうちの2つ以上を一緒に連結することができる。-Si-O-鎖長、側基、及び架橋を変化させることにより、多種多様な特性及び組成を有するシリコーンを合成することができる。これらは、液体からゲルまで、ゴムまで、硬質プラスチックまで、稠度が変化することがある。最も一般的なシロキサンは、直鎖状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーン油である。シリコーン材料の2番目に大きな群は、分岐状及びかご状オリゴシロキサンによって形成されたシリコーン樹脂に基づくものである。
【0005】
シリコーン材料の別の群は、シリコーンデンドリマーである。デンドリマーは、単一のコアから半径方向に延びる高分岐状構造を有するポリマーである。デンドリマーは、繰り返し分岐状分子であり、典型的にはコア周囲で対称(又はほぼ対称)であり、多くの場合、球状又は楕円形の三次元形態をとっている。樹枝状高分子はまた、固有の分岐上に分岐、その上にまた分岐という構造の組織又は世代からなる樹状巨大分子としても説明することができる。
【0006】
樹枝状シリコーン又は巨大分子は、多くの潜在的な最終用途に備える分子形状、サイズ、及び官能性を有する。したがって、ケイ素に基づく分岐状化合物を改善する機会、それと共にこのような化合物の形成方法を改善する機会が残されている。また、このような化合物に基づく組成物、又はこのような化合物を有する改善されたコポリマー及び改善された組成物を提供する機会も残されている。
【発明の概要】
【0007】
分岐状有機ケイ素化合物が提供される。分岐状有機ケイ素化合物は、一般式
【化1】
[式中、各Rは、R及び-OSi(Rから選択され、但し、少なくとも1つのRは、-OSi(Rであり、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、各Rは、R及び-[OSiROSiRから選択され、但し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-[OSiROSiRであり、各Rは、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、0≦m≦100であり、Xは二価連結基であり、Dは二価連結基であり、RはR又はHであり、ZはO又はNであり、Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基及び下付き文字aで示される各部分におけるHから独立して選択され、下付き文字aはZの価数である]を有する。
【0008】
分岐状有機ケイ素化合物の調製方法も提供される。本方法は、(A)ハロゲン官能基を含む有機ケイ素化合物と、(B)アミノ官能性化合物とを反応させて、分岐状有機ケイ素化合物を得ることを含む。
【0009】
組成物も提供される。本組成物は、分岐状有機ケイ素化合物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
分岐状有機ケイ素化合物は、一般式:
【化2】
[式中、各Rは、R及び-OSi(Rから選択され、但し、少なくとも1つのRは、-OSi(Rであり、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、各Rは、R及び-[OSiROSiRから選択され、但し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-[OSiROSiRであり、各Rは、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、0≦m≦100であり、Xは二価連結基であり、Dは二価連結基であり、Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基及びHから選択され、ZはO又はNであり、Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基及び下付き文字aで示される各部分におけるHから独立して選択され、下付き文字aはZの価数である]を有する。
【0011】
各Rは独立して選択され、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組み合わせであってもよい。環状ヒドロカルビル基は、アリール基、及び飽和又は非共役環状基を包含する。環状ヒドロカルビル基は、単環式であっても多環式であってもよい。直鎖状及び分岐状ヒドロカルビル基は独立して、飽和であっても不飽和であってもよい。直鎖状及び環状ヒドロカルビル基の組み合わせの一例は、アラルキル基である。「置換」とは、1個以上の水素原子が水素以外の原子(例えば、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子)で置き換えられ得ること、又は、Rの鎖内の炭素原子が炭素以外の原子で置き換えられ得ること、すなわち、Rが鎖内に酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を1個以上含み得ることを意味する。好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えばイソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えばイソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、へキシル、並びに6個の炭素原子を有する分岐状飽和炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。好適なアリール基は、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、及びジメチルフェニルによって例示されるが、これらに限定されない。好適なアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、及びシクロヘキセニル基が挙げられる。好適な一価ハロゲン化炭化水素基としては、1~6個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基又は6~10個の炭素原子を有するハロゲン化アリール基が挙げられるが、これらに限定されない。好適なハロゲン化アルキル基は、1個以上の水素原子がF又はCl等のハロゲン原子で置き換えられた上述のアルキル基によって例示されるが、これらに限定されない。例えば、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、及び2,3-ジクロロシクロペンチルは、好適なハロゲン化アルキル基の例である。好適なハロゲン化アリール基は、1個以上の水素原子がF又はCl等のハロゲン原子で置き換えられた上述のアリール基によって例示されるが、これらに限定されない。例えば、クロロベンジル及びフルオロベンジルは、好適なハロゲン化アリール基である。
【0012】
具体的な実施形態では、各Rは、独立して、1~10個、あるいは1~8個、あるいは1~6個、あるいは1~4個、あるいは1~3個、あるいは1個~2個、あるいは1個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0013】
は、置換ヒドロカルビル基、非置換ヒドロカルビル基、及びHから独立して選択される。好適な置換及び非置換基の例としては、置換基Rに関して記載されるものが挙げられる。このように、Rは、R及びHから選択されてもよいが、Rは、分岐状有機ケイ素化合物の任意のR又は各Rと同じであっても異なっていてもよい。特定の実施形態では、Rは、アルキル基及びHから選択される。いくつかのこのような実施形態において、Rは、1~10個、あるいは1~8個、あるいは1~6個、あるいは1~4個、あるいは1~3個、あるいは1~2個、あるいは1個の炭素原子を有するアルキル基である。特定の実施形態では、RはHである。
【0014】
各Rは、R及び-OSi(Rから選択され、但し、少なくとも1つのRは、-OSi(Rである。特定の実施形態では、Rのうちの少なくとも2つは、-OSi(Rである。具体的な実施形態では、Rの3つ全てが、-OSi(Rである。より多数のRが-OSi(Rである場合、有機ケイ素化合物は、より高レベルの分岐を有する。例えば、各Rが-OSi(Rであり、Si-X結合がケイ素-炭素結合である場合、各Rが結合しているケイ素原子は、Tシロキシ単位である。あるいは、Rのうちの2つが-OSi(Rであり、Si-X結合がケイ素-炭素結合である場合、各Rが結合しているケイ素原子は、Dシロキシ単位である。
【0015】
各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、式中、0≦m≦100である。R及びRの選択に応じて、更なる分岐が分岐状有機ケイ素化合物中に存在し得る。例えば、各RがRである場合、各-OSi(R部分は、末端[M]シロキシ単位である。言い換えれば、各Rが-OSi(Rであり、各RがRである場合、各RはOSiRとして記載され得、各Rは[M]シロキシ単位である。このような実施形態では、分岐状有機ケイ素化合物は、3つの[M]シロキシ単位で封鎖された[T]シロキシ単位(Xが結合される)を含む。Rが-[OSiROSiRである場合、Rは、任意選択の[D]シロキシ単位(すなわち、下付き文字mによって示される部分におけるシロキシ単位)、及び[M]シロキシ単位(OSiRによって表される)を含む。したがって、例えば、各Rが-OSi(Rであり、各Rが-[OSiROSiRである場合、各Rは、[Q]シロキシ単位を含む。このような実施形態では、各Rは、式-[OSiROSiRのものである。各mが0である場合、各Rは、3つの[M]シロキシ単位で末端保護された[Q]シロキシ単位である。mが0を超える場合、各Rは直鎖状部分を含み、mに起因する重合度を有する。この直鎖状部分は存在する場合、概してジオルガノシロキサン部分である。
【0016】
下付き文字mは、0~100、あるいは0~80、あるいは0~60、あるいは0~40、あるいは0~20、あるいは0~19、あるいは0~18、あるいは0~17、あるいは0~16、あるいは0~15、あるいは0~14、あるいは0~13、あるいは0~12、あるいは0~11、あるいは0~10、あるいは0~9、あるいは0~8、あるいは0~7、あるいは0~6、あるいは0~5、あるいは0~4、あるいは0~3、あるいは0~2、あるいは0~1、あるいは0である。典型的には、各下付き文字mは0であり、そのため、分岐状有機ケイ素化合物の分岐状部分がDシロキシ単位を含まない。
【0017】
上記のように、各Rは、-OSi(Rであってもよい。このような実施形態では、Rの選択に応じて、更なる分岐が分岐状有機ケイ素化合物中に存在し得る。各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、式中、mは上記で定義され、式中、各Rは、R及び-[OSiROSiRから選択され、式中、mは上記で定義されている。R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-[OSiROSiRであり、式中、mは上記定義のとおりである。各Rが式-OSi(Rのものであり、Rが式-OSi(Rのものである場合、更なるシロキサン結合及び分岐が分岐状有機ケイ素化合物中に存在する。これは更に、Rが-OSi(Rである事例になる。
【0018】
特に、分岐状有機ケイ素化合物中の各後続のR部分により、更なる世代の分岐をもたらすことができる。例えば、Rは式-OSi(Rのものであってもよく、Rは式-OSi(Rのものであってもよく、Rは-OSi(Rのものであってもよい。したがって、各置換基の選択に応じて、[T]及び/又は[Q]シロキシ単位に起因する更なる分岐が分岐状有機ケイ素化合物中に存在し得る。
【0019】
X及びDは、それぞれ独立して二価連結基である。X及びDは、概して、分岐状有機ケイ素化合物を調製するのに使用される機構と相関している。特定の実施形態では、X及びDは、それぞれ独立して二価炭化水素基である。X及びDが両方とも独立して二価炭化水素基である場合、X及びDはそれぞれ、典型的には、2~18個の炭素原子を有し、その中/上に置換基及び/又はヘテロ原子を含み得る。例えば、X及びDはそれぞれ1個以上の酸素ヘテロ原子を含み得、そのため、X及び/又はDがエーテル部分を含む。あるいは、X及び/又はDは単に、他のものがない炭化水素を含み得る。いくつかの実施形態では、X及びDは、それぞれ独立して、一般式-(CH-[式中、下付き文字nは、≧1、例えば、1~18、あるいは1~16、あるいは1~12、あるいは1~10、あるいは1~8、あるいは1~6、あるいは2~6である]を有するアルキレン基を含む、あるいは、アルキレン基である。特定の実施形態では、下付き文字nは3である。X及びDはそれぞれ独立して選択され、したがって、互いに同じであっても異なっていてもよいことが理解されよう。例えば、特定の実施形態では、X及びDは、同じ二価連結基である。他の実施形態において、X及びDは互いに異なる(すなわち、互いに対して異なる二価連結基である)。しかし一例として、いくつかのこのような実施形態では、Xは3個の炭素原子を有するアルキレン基であり、Dは2個の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0020】
は、置換ヒドロカルビル基、非置換ヒドロカルビル基、及びHから独立して選択される。好適な置換及び非置換基の例としては、置換基Rに関して記載されるものが挙げられる。このように、Rは、R及びHから選択されてもよいが、Rは、分岐状有機ケイ素化合物の任意のR又は各Rと同じであっても異なっていてもよい。特定の実施形態では、Rは、アルキル基及びHから選択される。いくつかのこのような実施形態において、Rは、1~10個、あるいは1~8個、あるいは1~6個、あるいは1~4個、あるいは1~3個、あるいは1~2個、あるいは1個の炭素原子を有するアルキル基である。特定の実施形態では、RはHであり、分岐状有機ケイ素化合物は、以下の一般式:
【化3】
[式中、各R、R、X、及びD、及び下付き文字aは、独立して選択され、本明細書で定義される]を有する。他の実施形態では、RはR、すなわち、独立して選択された置換又は非置換ヒドロカルビル基である。いくつかのこのような実施形態において、Rはアルキル基である。具体的な実施形態では、Rはメチルであり、分岐状有機ケイ素化合物は、以下の一般式:
【化4】
[式中、各R、R、X、及びD、及び下付き文字aは、独立して選択され、本明細書で定義される]を有する。
【0021】
上記一般式において、ZはO又はNであり、下付き文字aはZの価数である(すなわち、二価連結基Dへの結合は除外される)。したがって、いくつかの実施形態では、ZはOであり、下付き文字aは1であり、そのため、分岐状有機ケイ素化合物は、式:
【化5】
[式中、各R、R、R、X及びDは、本明細書に定義されるとおりである]を有する。他の実施形態では、ZはNであり、下付き文字aは2であり、そのため、分岐状有機ケイ素化合物は、式:
【化6】
[式中、各R、R、R、X及びDは、本明細書に定義されるとおりである]を有する。
【0022】
上記のZ及び下付き文字aの説明を鑑みて理解されるように、分岐状有機ケイ素化合物は、ZがOである場合(すなわち、Zの価数が1である場合、二価連結基Dへの結合は除外され、そのため下付き文字aは1である)、1つの置換R基を含み、ZがNである場合(すなわち、Zの価数が2である場合、二価連結基Dへの結合は除外され、そのため下付き文字aが1である)、2つの独立して選択される置換R基を含む。選択された特定のZに関係なく、Rの各例(すなわち、下付き文字aによって示される各部分における)は、置換及び非置換ヒドロカルビル基及びHから独立して選択される。特定の実施形態では、ZはOであり、RはHである。他の実施形態では、ZはNであり、少なくとも1つのRはHである。これらの実施形態又は他の実施形態では、ZはNであり、各RはHである。他の実施形態では、少なくとも1つのH、あるいは各Hは、独立して選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基である。好適な置換及び非置換基の例としては、置換基Rに関して記載されるものが挙げられる。このように、各Rは、R及びHから選択されてもよいが、任意のR又はRは、分岐状有機ケイ素化合物の任意のR又は各Rと同じであっても異なっていてもよい。特定の実施形態では、少なくとも1つのRはアルキル基から選択される。いくつかのこのような実施形態において、少なくとも1つのRは、1~10個、あるいは1~8個、あるいは1~6個、あるいは1~4個、あるいは1~3個、あるいは1~2個、あるいは1個の炭素原子を有するアルキル基を含む、あるいは、アルキル基である。特定の実施形態では、ZはNであり、片方のRはHであり、他方のRはアルキル基である。
【0023】
いくつかの実施形態では、Rは、一般式-C(O)R[式中、Rは置換又は非置換炭化水素基である]を有するカルボニル基である。例えば、いくつかのこのような実施形態では、Rは、一般式-C(CH)R[式中、Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基(例えば、アルキル基)又はHであり、部分Rはα、β-不飽和カルボニル基である]を有する。具体的なこのような実施形態では、ZはOであり、そのため、下位式-Z-Rによって表される部分が、アクリルオキシ部分(例えばアクリレート、メタクリレート等)である。特定の実施形態では、Rは、一般式-D-Y[式中、Dは二価連結基であり、Yは、少なくとも1つのO又はN原子を含む官能基である]を有する。このような実施形態では、Dは、特に限定されるものではなく、本明細書に記載される二価連結基のうちのいずれか(例えば、X及び/又はDに関して上述したもの等)を含んでもよく、あるいは、それらであってもよい。したがって、Dは、アルキル部分、アルケン部分、エーテル部分等、又はこれらの組み合わせ等の置換若しくは非置換炭化水素部分を含んでもよく、あるいは、それらであってもよい。官能基Yは、限定されず、エーテル、エステル、カルボニル、カーボネート、カルボキシル、アルコール、アミン、アミド、イミン、ニトリル等、又はこれらの組み合わせ等の、少なくとも1つのO又はN原子を含む基であってもよい。いくつかのこのような実施形態では、Yは、少なくとも1つのO又はN原子を含む二価官能基であり、そのため、Rは、一般式-D-Y-R10[式中、D及びYは上記のとおりであり、R10は置換又は非置換炭化水素基又はHである]を有する。
【0024】
特定の実施形態では、Rは、以下の式(i)~(iii)のうちの1つを有する。
【化7】
式中、各R及びR10は、独立して選択され、上記定義のとおりである。いくつかのこのような実施形態では、アミノ官能性化合物(B)のRは、式(i)を有し、Rは、H又はメチルである。特定の実施形態では、アミノ官能性化合物(B)のRは、式(ii)及び(iii)のうちの1つを有し、R10はHであり、そのため、Rはカルボン酸基を含む。
【0025】
重要なことに、R、R、R、R、及びRの各々は、独立して選択される。したがって、これらの置換基の各々に関する上記の説明は、各置換基が同じであることを意味するとするものでもなく、示すものでもない。Rに関する上記の任意の説明は、分岐状有機ケイ素化合物中の1つのみのRに関する場合があり、又は任意の数のRに関する場合等がある。
【0026】
加えて、R、R、R、R、及びRの異なる選択により、同じ構造をもたらすことができる。例えば、Rが-OSi(Rであり、各Rが-OSi(Rであり、RがRである場合、Rは、-OSi(OSiRと記述することができる。同様に、Rが-OSi(Rであり、各Rが-[OSiROSiRであり、式中、mが0である場合、Rは、-OSi(OSiRと記述することができる。これにより、Rについての異なる選択に基づいてRについて同じ構造が得られる。それに向け、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-[OSiROSiRである。しかし、mが0である場合、この条件は、代替選択によって本質的に満たされ得る。例えば、上述のように、各Rが-OSi(Rであり、各RがRである場合、Rは、-OSi(OSiRと記述することができ、これは、Rが-OSi(Rであり、各Rが-[OSiROSiRであり、式中、mが0である場合と同じである。代替選択により、条件に要求されるものと同じ構造が得られる場合であっても、それを、条件が満たされるとみなす。
【0027】
特定の実施形態では、各Rは、-OSi(Rである。各Rが-OSi(Rである具体的な実施形態では、少なくとも1つのRは-[OSiROSiRであり、式中、mは0である。mが0であることから、少なくとも1つのRは-OSiRである。これは、少なくとも1つのRが-OSi(Rであり、各RがRである場合と同じ構造である。いずれの選択によっても、少なくとも1つのRは-OSiRになる。したがって、少なくとも1つのRが-OSi(Rであり、各RがRである場合もまた、Rのうちの少なくとも1つは-[OSiROSiRであり、式中、mは0であると考える。
【0028】
同じことが、分岐状有機ケイ素化合物中の更なる世代の分岐について当てはまる。例えば、R及びRに関連する異なる選択により、上記の同じ構造を得ることができるのとまさに同様に、R及びRについての異なる選択により同様に、同じ構造を得ることができる。
【0029】
特定の実施形態では、各Rは、-OSi(Rである。各Rが-OSi(Rである具体的な実施形態では、各-OSi(Rにおいて1つのRはRであり、そのため、各Rが-OSiR(Rになる。更なる具体的な実施形態では、-OSiR(R中の2つのRは、それぞれ-OSi(R部分であり、そのため、分岐状有機ケイ素化合物は、以下の構造:
【化8】
[式中、各R、R、R、R、X、D、及び下付き文字aは、独立して選択され、上記で定義される]を有する。特定の実施形態では、各RはRであり、各Rはメチルである。
【0030】
上述したように、同じ構造の分岐状有機ケイ素化合物の同じ構造を、異なる選択から得ることができる。例えば、上記例示と同じ分岐状有機ケイ素化合物は、以下の選択により得られる:各Rは-OSi(Rであり、式中、1つのRはRであり、Rのうちの2つは-[OSiROSiRであり、式中、mは0である。したがって、上記例示の構造において、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは-[OSiROSiRであるとの条件が、得られる構造に達するために使用されるR及びRの選択とは無関係に満たされる。
【0031】
他の実施形態では、1つのRはRであり、Rのうちの2つは-OSi(Rである。Rのうちの2つが-OSi(Rである具体的な実施形態では、各-OSi(Rにおいて1つのRがRであり、そのため、Rのうちの2つが-OSiR(Rになる。更なる具体的な実施形態では、-OSiR(Rの各Rは、-OSi(Rであり、そのため、分岐状有機ケイ素化合物は、以下の構造:
【化9】
[式中、各R、R、R、R、X、D、及び下付き文字aは、独立して選択され、上記で定義される]を有する。特定の実施形態では、各RはRであり、各Rはメチルである。
【0032】
上述したように、同じ構造の分岐状有機ケイ素化合物の同じ構造を、異なる選択から得ることができる。例えば、上記例示と同じ分岐状有機ケイ素化合物は、以下の選択により得られる:1つのRはRであり、Rのうちの2つは-OSi(Rであり、各-OSi(Rにおいて、1つのRはRであり、Rのうちの2つは-[OSiROSiRであり、式中、mは0である。したがって、上記例示の構造において、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは-[OSiROSiRであるとの条件が、得られる構造に達するために使用されるR及びRの選択とは無関係に満たされる。
【0033】
更に他の実施形態では、Rのうちの2つはRであり、1つのRは-OSi(Rである。Rのうちの1つが-OSi(Rである具体的な実施形態では、-OSi(Rにおいて1つのRがRであり、そのため、この特定のRが-OSiR(Rになる。更なる具体的な実施形態では、-OSiR(Rの各Rは、-OSi(Rであり、そのため、分岐状有機ケイ素化合物は、以下の構造:
【化10】
[式中、各R、R、R、R、X、D、及び下付き文字aは、独立して選択され、上記で定義される]を有する。特定の実施形態では、各RはRであり、各Rはメチルである。
【0034】
上述したように、同じ構造の分岐状有機ケイ素化合物の同じ構造を、異なる選択から得ることができる。例えば、上記例示と同じ分岐状有機ケイ素化合物は、以下の選択により得られる:Rはのうちの2つはRであり、Rのうちの1つは-OSi(Rであり、-OSi(Rにおいて、1つのRはRであり、Rのうちの2つは-[OSiROSiRであり、式中、mは0である。したがって、上記例示の構造において、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは-[OSiROSiRであるとの条件が、得られる構造に達するために使用されるR及びRの選択とは無関係に満たされる。
【0035】
上記の例示的な構造では、各RはRであり、各Rはメチルである。しかし、RがR以外である場合、すなわち、Rが、OSi(R及び-[OSiROSiR[式中、mは上記定義のとおりであり、各RはR及び-[OSiROSiR(式中、mは上記定義のとおりである)から選択される]から選択される場合、更なる世代の分岐を分岐状有機ケイ素化合物に導入することができる。
【0036】
分岐状有機ケイ素化合物の調製方法
分岐状有機ケイ素化合物の調製方法(「本調製方法」)も提供される。本調製方法は、(A)ハロゲン官能基を含む有機ケイ素化合物と、(B)アミノ官能性化合物とを反応させて、分岐状有機ケイ素化合物を得ることを含む。
【0037】
有機ケイ素化合物(A)とアミノ官能性化合物(B)との反応は、概ね、有機ケイ素化合物(A)とアミノ官能性化合物(B)との組み合わせ及び/又は接触を含む。別の言い方をすれば、有機ケイ素化合物(A)とアミノ官能性化合物(B)とを組み合わせること以外に、還元反応に必要とされる積極的工程は概ね存在しないが、様々な任意選択による工程が本明細書に記載されている。
【0038】
有機ケイ素化合物(A)
概ね、有機ケイ素化合物(A)は、1つのハロゲン官能基を有する(すなわち、モノハロ官能性である)分岐状有機ケイ素化合物である。具体的には、有機ケイ素化合物(A)は、一般式(I):
【化11】
[式中、下位式R Si-によって表される有機ケイ素部分は、分岐状有機ケイ素化合物に関して上記定義のとおりであり、Yは、ハロゲン官能基を含む]を有する。
【0039】
より具体的には、式(I)を参照すると、Yは、以下に記載されるように、ハロゲン官能基を含み、各Rは、概して、R及び-OSi(Rから選択され、但し、少なくとも1つのRは、-OSi(Rであり、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiROSiRから選択され、各Rは、-[OSiROSiRから選択され、但し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、-[OSiROSiRである。各例において、各Rは、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基であり、各下付き文字mは、0≦m≦100となるよう選択される。上記にもかかわらず、当業者であれば、上記分岐状有機ケイ素化合物の説明を鑑みて、有機ケイ素部分R Si-の限定の特定の変形を容易に理解するであろう。
【0040】
ハロゲン官能基Yは、特に限定されるものではなく、本明細書の方法に従って分岐状有機ケイ素化合物を調製するのに好適な任意のハロゲン官能基であってもよい。概ね、ハロゲン官能基は、炭素結合ハロゲン原子、特にsp3混成炭素原子を含む。したがって、ハロゲン官能基Yは、概ね、ハロゲン化アルキル基等の有機ハロゲン化物基を含む、あるいは、有機ハロゲン化物基である。有機ハロゲン化物及びハロゲン化アルキルの全般的な例としては、置換基Rに関して上述したヒドロカルビル基が挙げられ、そのようなヒドロカルビル基は、1つのハロゲン置換基(例えば、他の炭素結合水素原子の代わりに)を含む。
【0041】
ハロゲン官能基Y中に存在する特定のハロゲン原子は限定されず、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、及びアスタチン(At)から選択されてもよい。典型的には、ハロゲン原子は塩素及び臭素から選択される。特定の実施形態では、ハロゲン原子は塩素であり、そのため、ハロゲン官能基Yは塩素官能基を含む、あるいは塩素官能基である。
【0042】
特定の実施形態では、ハロゲン官能基Yは、一般式-X-R[式中、Xは、分岐状有機ケイ素化合物に関して上述した独立して選択される二価連結基であり、Rはハロゲン原子である]を有する。いくつかのこのような実施形態では、Rは塩素又は臭素である。しかし一例として、特定の実施形態では、Rは塩素であり、そのため、有機ケイ素化合物(A)は、式:
【化12】
[式中、各R及びXは、独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。
【0043】
特定の実施形態では、Xは、一般式-(CH-[式中、下付き文字nは、≧1、例えば、1~18、あるいは1~16、あるいは1~12、あるいは1~10、あるいは1~8、あるいは1~6、あるいは2~6である]を有するアルキレン基を含む、あるいは、アルキレン基である。特にこのような実施形態では、下付き文字nは3であり、Rは塩素であり、そのため、有機ケイ素化合物(A)は、式:
【化13】
[式中、各Rは、独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。
【0044】
分岐状有機ケイ素化合物の説明から理解されるように、別段の指示がない限り、それは本調製方法に等しく当てはまることが理解され、存在する場合、R、R、R、R、及びRの各々、並びに下付き文字mの選択は限定されず、上述のような分岐状有機ケイ素化合物を調製するのに必要な任意の及び全ての選択並びに選択の組み合わせを含む。例えば、特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(A)は、一般式(I)を有し、式中、各Rは、独立して、式-OSi(R[式中、少なくとも1つのRは、-[OSiROSiRであり、各R及びmは、独立して選択され、上記定義のとおりである]のものである。
【0045】
いくつかの実施形態において、有機ケイ素化合物(A)は、以下の式:
【化14】
[式中、各R、R、R、及びXは、独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。特定の実施形態では、各RはRであり、各Rはメチルであり、Rは塩素である。
【0046】
特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(A)は、以下の構造:
【化15】
[式中、各R、R、R、及びXは、独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。特定の実施形態では、各RはRであり、各Rはメチルであり、Rは塩素である。
【0047】
特定の実施形態において、有機ケイ素化合物(A)は、以下の構造:
【化16】
[式中、各R、R、R、及びXは、独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。特定の実施形態では、各RはRであり、各Rはメチルであり、Rは塩素である。
【0048】
有機ケイ素化合物(A)は、任意の形態、例えば、未希釈でもよく(即ち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤等が存在しない)、又は溶媒若しくは分散剤等の担体ビヒクル中に配給されてもよい。担体ビヒクルは、存在する場合、有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;等;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル)、シリコーン流体、水性溶媒(例えば、水)、又はこれらの組み合わせ、を含み得る、あるいはいずれかであり得る。特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(A)は、担体ビヒクルの非存在下で使用される。いくつかのこのような実施形態では、有機ケイ素化合物(A)は、有機ケイ素化合物(A)及び/又は官能性化合物(B)と反応する水及び担体ビヒクル/揮発性物質が存在しない状態で使用される。例えば、特定の実施形態では、本方法は、有機ケイ素化合物(A)から揮発性物質及び/又は溶媒(例えば、有機溶媒、水等)をストリッピングすることを含んでもよい。有機ケイ素化合物(A)からストリッピングする技術は、当該技術分野において既知であり、蒸留、加熱、減圧/真空の適用、溶媒との共沸混合、モレキュラーシーブの使用、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0049】
有機ケイ素化合物(A)は、当業者によって選択される任意の量で使用されてもよく、例えば、選択される特定のアミノ官能性化合物(B)、採用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、反応させられる成分(A)及び/若しくは(B)並びに/又は調製される分岐状有機ケイ素化合物の総量)等に応じて異なる。
【0050】
アミノ官能性化合物(B)
アミノ官能性化合物(B)は、特に限定されるものではなく、本明細書の説明を鑑みて当業者が理解するように、ハロゲン官能基Yのハロゲンを、分岐状有機ケイ素化合物に関して上述した式-N(R)-D-Z(Rのアミノ基で置換する(例えば、置換基の反応、置換反応、アルキル化反応等を介して)のに好適な任意の化合物であってもよい。
【0051】
概ね、アミノ官能性化合物(B)は、以下の一般式(II):
【化17】
[式中、式-N(R)-D-Z(Rのアミノ基は、分岐状有機ケイ素化合物に関して上記に定義したとおりである]を有する。
【0052】
より具体的には、式(II)を参照すると、Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基及びHから独立して選択され、Dは二価連結基であり、ZはO又はNであり、Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基及び下付き文字aで示される各部分のHから独立して選択され、下付き文字aは、Zの価数である。上記にかかわらず、当業者は、上記の分岐状有機ケイ素化合物の説明を鑑みて、式-N(R)-D-Z(Rのアミノ基の制限の特定の変形を容易に理解するであろう。
【0053】
特定の実施形態では、Dは、一般式-(CH-[式中、下付き文字nは、≧1、例えば、1~18、あるいは1~16、あるいは1~12、あるいは1~10、あるいは1~8、あるいは1~6、あるいは2~6である]を有するアルキレン基を含む、あるいは、アルキレン基である。しかし一例として、いくつかのこのような実施形態では、Dは、2個の炭素原子を有するアルキレン基である。他のこのような実施形態では、Dは、3個の炭素原子を有するアルキレン基であり、式-CHCHCH-又は-CHCH(CH)-を有する。特定のこのような実施形態では、Dは、5又は6個の炭素原子を有する非分岐状アルキレン基である(すなわち、ペンチレン基又はヘキシレン基である)。
【0054】
具体的な実施形態では、Rは、アルキル基及びHから選択される。いくつかのこのような実施形態において、Rは、1~10個、あるいは1~8個、あるいは1~6個、あるいは1~4個、あるいは1~3個、あるいは1~2個、あるいは1個の炭素原子を有するアルキル基である。特定の実施形態では、RはHであり、アミノ官能性化合物(B)は、式:
【化18】
[式中、各R、D及び下付き文字aは、独立して選択され、本明細書で定義される]を有する。他の実施形態では、RはR、すなわち、独立して選択された置換又は非置換ヒドロカルビル基である。いくつかのこのような実施形態において、Rはアルキル基である。具体的な実施形態では、Rはメチルであり、アミノ官能性化合物(B)は、以下の一般式:
【化19】
[式中、各R、D及び下付き文字aは、独立して選択され、本明細書で定義される]を有する。
【0055】
上記一般式(II)において、ZはO又はNであり、下付き文字aはZの価数である(すなわち、二価連結基Dへの結合は除外される)。したがって、いくつかの実施形態では、ZはOであり、下付き文字aは1であり、そのため、アミノ官能性化合物(B)は、式:
【化20】
[式中、R、R、及びDのそれぞれは、本明細書で定義されるとおりである]を有する。いくつかのこのような実施形態では、Rは、H又はメチルである。これらの実施形態又は他の実施形態では、RはHであり、そのため、アミノ官能性化合物(B)は、アミノアルコールとして定義され得る。これらの実施形態又は他の実施形態では、Dは、一般式-(CH-[式中、下付き文字nは2、3、4、5、又は6である]を有するアルキレン基である。具体的な実施形態では、Dは、式-CHCH(CH)-を有する。
【0056】
他の実施形態では、ZはNであり、下付き文字aは2であり、そのため、アミノ官能性化合物(B)は、ジアミンとして定義され得、式:
【化21】
[式中、各R、R、及びDは、本明細書で定義されるとおりである]を有する。いくつかのこのような実施形態では、Rは、H又はメチルである。これらの実施形態又は他の実施形態では、各RはHである。これらの実施形態又は他の実施形態において、Dは、一般式-(CH-[式中、下付き文字nは2、3、4、5、又は6である]を有するアルキレン基である。具体的な実施形態では、Dは、式-CHCH(CH)-を有する。
【0057】
具体的な実施形態では、アミノ官能性化合物(B)は、アミノアルコール又はジアミンであり、以下の式(IIa)~(IIg):
【化22】
[式中、各下付き文字nは、独立して1~6である]から選択される。
【0058】
いくつかの実施形態では、アミノ官能性化合物(B)のRは、一般式-C(O)R[式中、Rは置換又は非置換炭化水素基である]を有するカルボニル基である。例えば、いくつかのこのような実施形態では、Rは、一般式-C(CH)R[式中、Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基(例えば、アルキル基)又はHであり、部分Rはα、β-不飽和カルボニル基である]を有する。具体的なこのような実施形態では、ZはOであり、そのため、下位式-Z-Rによって表される部分が、アクリルオキシ部分(例えばアクリレート、メタクリレート等)である。特定の実施形態では、Rは、一般式-D-Y[式中、Dは二価連結基であり、Yは、少なくとも1つのO又はN原子を含む官能基である]を有する。このような実施形態では、Dは、特に限定されるものではなく、本明細書に記載される二価連結基のうちのいずれか(例えば、X及び/又はDに関して上述したもの等)を含んでもよく、あるいは、それらであってもよい。したがって、Dは、アルキル部分、アルケン部分、エーテル部分等、又はこれらの組み合わせ等の置換若しくは非置換炭化水素部分を含んでもよく、あるいは、それらであってもよい。官能基Yは、限定されず、エーテル、エステル、カルボニル、カーボネート、カルボキシル、アルコール、アミン、アミド、イミン、ニトリル等、又はこれらの組み合わせ等の、少なくとも1つのO又はN原子を含む基であってもよい。いくつかのこのような実施形態では、Yは、少なくとも1つのO又はN原子を含む二価官能基であり、そのため、Rは、一般式-D-Y-R10[式中、D及びYは上記のとおりであり、R10は置換又は非置換炭化水素基又はHである]を有する。
【0059】
特定の実施形態では、アミノ官能性化合物(B)のRは、以下の式(i)~(iii)
【化23】
[式中、各R及びR10は、独立して選択され、上記定義のとおりである]のうちの1つを有する。いくつかのこのような実施形態では、アミノ官能性化合物(B)のRは、式(i)を有し、Rは、H又はメチルである。特定の実施形態では、アミノ官能性化合物(B)のRは、式(ii)及び(iii)のうちの1つを有し、R10はHであり、そのため、Rはカルボン酸基を含む。
【0060】
アミノ官能性化合物(B)は、任意の形態、例えば、未希釈でもよく(即ち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤等が存在しない)、又は溶媒若しくは分散剤等の担体ビヒクル中に配給されてもよい。担体ビヒクルは、存在する場合、有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;等;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル)、シリコーン流体、又はこれらの組み合わせ、を含み得る、あるいはいずれかであり得る。
【0061】
特定の実施形態では、アミノ官能性化合物(B)は、担体ビヒクルの非存在下で使用される。いくつかのこのような実施形態では、アミノ官能性化合物(B)は、有機ケイ素化合物(A)及び/又はアミノ官能性化合物(B)と反応する水及び担体ビヒクル/揮発性物質が存在しない状態で使用される。例えば、特定の実施形態では、本方法は、アミノ官能性化合物(B)から揮発性物質及び/又は溶媒(例えば、有機溶媒、水等)をストリッピングすることを含んでもよい。アミノ官能性化合物(B)からストリッピングする技術は、当該技術分野において既知であり、蒸留、加熱、減圧/真空の適用、溶媒との共沸混合、モレキュラーシーブの使用、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0062】
特定の実施形態では、本方法は、2、3、又は4以上のアミノ官能性化合物(B)等の、2つ以上のアミノ官能性化合物(B)を使用することを含む。このような実施形態では、各アミノ官能性化合物(B)は、独立して選択され、任意の他のアミノ官能性化合物(B)と同じであっても異なっていてもよい。
【0063】
アミノ官能性化合物(B)は、当業者によって選択される任意の量で使用されてもよく、例えば、選択される特定の有機ケイ素化合物(A)及び/又はアミノ官能性化合物(B)、採用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、反応させられる成分(A)及び/又は(B)及び/又は調製される分岐状有機ケイ素化合物の総量)等に応じて異なる。
【0064】
有機ケイ素化合物(A)及びアミノ官能性化合物(B)を、典型的には、1.5:1~1:1.5、あるいは1.4:1~1:1.4、あるいは1.3:1~1:1.3、あるいは1.2:1~1:1.2、あるいは1.1:1~1:1.1、あるいは1.1:1~1:1のモル比で反応させる。しかしながら、使用される有機ケイ素化合物(A)及びアミノ官能性化合物(B)の相対量は、例えば、選択される特定の有機ケイ素化合物(A)、選択される特定のアミノ官能性化合物(B)、使用される反応パラメータ等に基づいて変化し得る。本明細書の説明を鑑みて当業者には理解されるように、分岐状有機ケイ素化合物を調製するための有機ケイ素化合物(A)及びアミノ官能性化合物(B)の反応は、1:1の(A):(B)の理論上の最大モル比で生じる。しかしながら、過剰な成分の1つは、化合物(A)又は(B)のうちの1つを完全に消費するために、例えば、形成された反応生成物の精製を単純化するため等に、典型的には使用される。例えば、特定の実施形態では、化合物(B)は、有機ケイ素化合物(A)の分岐状有機ケイ素化合物への変換率を最大化するために比較的過剰に使用される。
【0065】
特定の実施形態において、有機ケイ素化合物(A)及びアミノ官能性化合物(B)を、1~10の(A):(B)のモル比で反応させる。例えば、特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(A)及びアミノ官能性化合物(B)を、1:1~1:10、例えば1:1.1~1:10、あるいは1:1.5~1:10、あるいは1:2~1:10、あるいは1:2.5~1:10、あるいは1:3~1:10、あるいは1:4~1:10、あるいは1:5~1:10、あるいは1:6~1:10の(A):(B)のモル比で反応させる。いくつかの実施形態では、有機ケイ素化合物(A)及びアミノ官能性化合物(B)を、1:1~20:1、例えば1.1:1~20:1、あるいは1.5:1~20:1、あるいは2:1~20:1、あるいは2.5:1~20:1、あるいは3:1~20:1、あるいは4:1~20:1、あるいは5:1~20:1、あるいは10:1~20:1、あるいは15:1~20:1の(A):(B)のモル比で反応させる。これらの範囲外の比率も同様に使用され得ることが理解されるであろう。例えば、特定の実施形態では、例えば、反応中にアミノ官能性化合物(B)が担体(即ち、溶媒、希釈剤等)として使用されるとき、アミノ官能性化合物(B)は、例えば、有機ケイ素化合物(A)のモル量の10倍以上、又は15倍以上、又は20倍以上の総過剰量で使用される。
【0066】
触媒(C)
特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(A)及びアミノ官能性化合物(B)は、触媒(C)の存在下で反応する。触媒は、特に限定されるものではなく、本明細書の説明を鑑みて当業者であれば理解できるように、有機ケイ素化合物(A)のYのハロゲンと官能性化合物(B)のアミノ基との置換を促進する(例えば、置換基の反応、置換反応、アルキル化反応等を介して)のに好適な任意の触媒であってもよい。
【0067】
特定の実施形態では、触媒(C)は、炭酸塩塩基(例えば、NaCO、CaCO、MgCO等)、水酸化物塩基(例えば、Mg(OH)等)、金属酸化物塩基(例えば、ZnO、MgO等)、アミン塩基(例えば、ピリジン等)、及びこれらの組み合わせ等の塩基である。特定の実施形態では、本方法は、2つの異なる触媒(C)等、2つ以上の触媒(C)を用いることを含む。このような実施形態では、各触媒(C)は独立して選択され、使用される任意の他の触媒(C)と同じであっても異なっていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、触媒(C)は、ヨウ化ナトリウムとヨウ化カリウムとの組み合わせである(すなわち、混合塩触媒である)。特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(A)及びアミノ官能性化合物(B)は、離散した触媒が全く存在しない場合、例えば、アミノ官能性化合物(B)が過剰の有機ケイ素化合物(A)中で使用され、それ自体が成分(A)及び(B)の反応において塩基として作用する場合等で反応する。
【0068】
触媒(C)での、又は触媒(C)としての使用に好適な化合物を調製する方法は、当該技術分野において周知であり、本明細書に列挙される化合物の多くは、様々な供給元から市販されている。したがって、触媒(C)は、方法の一部として調製されてもよく、又は他の方法で(即ち、調製された化合物として)得られてもよい。
【0069】
触媒(C)は、任意の形態、例えば、未希釈でもよく(即ち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤等が存在しない)、又は溶媒若しくは分散剤(例えば、有機ケイ素化合物(A)に関して上述したもののうちのいずれか)等の担体ビヒクル中に配給されてもよい。いくつかの実施形態では、触媒(C)は、有機ケイ素化合物(A)、アミノ官能性化合物(B)、及び/又は触媒(C)自体(即ち、成分(A)及び成分(B)と混合されるまで)と反応する水及び担体ビヒクル/揮発性物質の非存在下で使用される。例えば、特定の実施形態では、本方法は、触媒(C)から揮発性物質及び/又は溶媒(例えば、水、有機溶媒等)をストリッピングすることを含んでもよい。触媒(C)からストリッピングする技術は、当該技術分野において既知であり、加熱、乾燥、減圧/真空の適用、溶媒との共沸混合、モレキュラーシーブの使用、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0070】
触媒(C)は、任意の量で使用されてもよく、これは、例えば、選択される特定の触媒(C)、採用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、成分(A)及び成分(B)の合計量)等に応じて、当業者によって選択される。反応に使用される成分(A)及び/又は(B)に対する触媒(C)のモル比は、成分(A)及び成分(B)の反応の速度及び/又は量に影響し、共に分岐状有機ケイ素化合物を調製することができる。したがって、成分(A)及び/又は(B)に対する触媒(C)の量、並びに両者間のモル比は変化し得る。典型的には、これらの相対量及びモル比は、(例えば、反応の経済的効率の向上、形成される反応生成物の精製の簡易化等のために)成分(A)及び成分(B)の結合を最大化して分岐状有機ケイ素化合物を調製するように選択される。
【0071】
特定の実施形態では、触媒(C)を、0.1~2の(A):(C)のモル比で使用する。例えば、特定の実施形態では、有機ケイ素化合物(A)及び触媒(C)を、1:1~1:10、例えば、1:1.1~1:10、あるいは1:1.2~1:10、あるいは1:1.2~1:8、あるいは1:1.2~1:6、あるいは1:1.2~1:4、あるいは1:1.1~1:2の(A):(C)のモル比で使用する。これらの範囲外の比率も同様に使用され得ることが理解されるであろう。例えば、特定の実施形態では、例えば、反応中に触媒(C)が担体(即ち、溶媒、希釈剤等)として使用されるとき、触媒(C)は、例えば、(有機ケイ素化合物(A)のモル量の10倍以上、又は15倍以上、又は20倍以上の)総過剰量で使用される。
【0072】
典型的には、分岐状有機ケイ素化合物を調製するための成分(A)及び成分(B)の反応は、容器又は反応器内で実施される。以下に記載されるように、反応が高温で実施されるとき、容器又は反応器は、例えば被覆物、覆い、加熱マントル、ホットプレート、コイル等を介して、任意の好適な方法で加熱されてもよい。
【0073】
成分(A)、成分(B)、及び任意選択で成分(C)は、容器に一緒に若しくは別々に供給されてもよく、又は任意の順番で、及び任意の組み合わせで容器内に配給されてもよい。例えば、特定の実施形態では、成分(B)、及び任意選択で成分(C)は、成分(A)を含有する容器に添加される。このような実施形態では、成分(B)及び成分(C)は、添加前に最初に混合されてもよく、又は容器に連続的に添加されてもよい。概ね、本明細書における「反応混合物」の言及は、概ね、(例えば、上記のような成分を組み合わせることによって得られるような)成分(A)、成分(B)、及び任意選択で成分(C)を含む混合物を指す。
【0074】
本発明の方法は、反応混合物を撹拌することを更に含むことができる。撹拌は、例えば、反応混合物において組み合わされたときに、成分(A)、成分(B)、及び任意選択で成分(C)をより一層混合及び接触させることができる。このような接触は独立して、撹拌を伴って(例えば、並行して又は連続的に)、又は撹拌を伴わずに(即ち、独立して、又はその代わりに)、他の条件を使用することもできる。他の条件は、接触を増強するように、したがって、アミノ官能性化合物(B)と有機ケイ素化合物(A)との反応を増強して、分岐状有機ケイ素化合物を形成するように調整することができる。他の条件は、反応収率を増大させるための、又は分岐状有機ケイ素化合物と共に、反応生成物に含まれる特定の反応副生成物の量を最小限に抑えるための有効な条件であってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、反応を、高温で実施する。高温は、選択される特定の有機ケイ素化合物(A)、選択される特定のアミノ官能性化合物(B)、使用されている特定の担体及び/又は溶媒(もしあれば)等に応じて選択及び制御される。したがって、高温は、選択された反応条件及びパラメータ、並びに本明細書の説明を考慮してを鑑みて、当業者によって容易に選択される。高温は、典型的には、周囲温度より高い温度~180℃、例えば30~170、あるいは50~170、あるいは70~170、あるいは90~170、あるいは110~170、あるいは130~170、あるいは150~170、あるいは150~160℃である。
【0076】
高温はまた、上記の範囲とは異なる場合があり、又はそのより具体的な部分集合である場合があることを理解されたい。例えば、特定の実施形態では、高温は、110~120、あるいは120~130、あるいは130~140、あるいは140~150、あるいは150~160℃である。成分(A)及び成分(B)の反応中に反応パラメータが修正され得ることも理解されたい。例えば、温度、圧力、及び他のパラメータは、反応中に独立して選択又は修正されてもよい。これらのパラメータはいずれも、独立して、周囲パラメータ(例えば、室温及び/若しくは大気圧)並びに/又は非周囲パラメータ(例えば、低温若しくは高温及び/又は減圧若しくは高圧)であってもよい。任意のパラメータはまた、動的に修正されてもよく、リアルタイムで、即ち、方法中に変更されてもよく、又は静的(例えば、反応の持続時間中又はその任意の一部)であってもよい。
【0077】
分岐状有機ケイ素化合物を調製するための成分(A)及び成分(B)の反応が実行される時間は、規模、反応パラメータ及び条件、特定の成分の選択等に応じて異なる。特定の実施形態では、反応が実行される時間は、成分(A)と(B)が組み合わされた後(例えば、成分(C)の存在下で)の、0時間超~48時間、あるいは1~36時間、あるいは6~36時間、あるいは12~24時間より長い。
【0078】
特定の実施形態では、本方法は、反応生成物から分岐状有機ケイ素化合物を単離及び/又は精製することを更に含む。本明細書で使用されるとき、分岐状有機ケイ素化合物を単離することは、典型的には、分岐状有機ケイ素化合物の相対濃度を、(例えば、反応生成物又はその精製品において)それと組み合わせた他の化合物よりも高めることと定義される。したがって、当該技術分野において理解されるように、単離/精製は、他の化合物をこのような組み合わせから除去すること(即ち、分岐状有機ケイ素化合物と組み合わされた不純物の量を、例えば反応生成物中で減少させる)、及び/又は分岐状有機ケイ素化合物自体を組み合わせから除去することを含んでもよい。単離のための任意の好適な技術及び/又はプロトコルが使用されてもよい。好適な単離技術の例としては、蒸留、ストリッピング/蒸発、抽出、濾過、洗浄、分配、相分離、クロマトグラフィー等が挙げられる。当業者には理解されるように、これらの技術のいずれも、分岐状有機ケイ素化合物を単離するために、任意の別の技術と組み合わせて(即ち、順次)使用することができる。単離は、分岐状有機ケイ素化合物を精製することを含んでもよく、したがって分岐状有機ケイ素化合物を精製すること、と称されてもよいことを理解されたい。しかしながら、分岐状有機ケイ素化合物の精製は、分岐状有機ケイ素化合物の単離に使用される技術と代替の及び/又は追加の技術を含み得る。選択された特定の技術にかかわらず、分岐状有機ケイ素化合物の単離及び/又は精製は、反応自体と順に(即ち、ライン内で)実行されてもよく、したがって自動化されてもよい。他の例では、精製は、分岐状有機ケイ素化合物を含む反応生成物が供される独立型手順であってもよい。
【0079】
反応性化合物(D)
具体的な実施形態では、成分(A)及び(B)の反応は、任意選択により(C)の存在下で、初期分岐状有機ケイ素化合物を調製し、本方法は、初期分岐状有機ケイ素化合物を、(D)初期分岐状有機ケイ素化合物と反応する化合物(「反応性化合物」)と反応させて、分岐状有機ケイ素化合物を得ることを更に含む。このような実施形態では、初期分岐状有機ケイ素化合物は、典型的には、以下の式(III)又は(IV):
【化24】
[式中、各R、R、R、X及びDは、本明細書で定義されるとおりである]のうちの1つを有する。当業者は、式(III)の初期分岐状有機ケイ素化合物がアミノアルコール官能性であり、式(IV)の初期分岐状有機ケイ素化合物は、ジアミノ官能性であることを容易に理解するであろう。このような実施形態では、反応性化合物(D)の説明を鑑みて最もよく理解されるように、反応性化合物(D)と反応して分岐状有機ケイ素化合物を得るのは、初期分岐状有機ケイ素化合物の末端アルコール又はアミンである。特に、反応性化合物(D)は、初期分岐状有機ケイ素化合物の末端アルコール又はアミンと反応する官能基を含む。
【0080】
概ね、反応性化合物(D)は、式Y-C(O)R[式中、Rは、上記の置換又は非置換炭化水素基であり、Yは、アルコキシ基又はカルボキシ基であり、そのため、反応性化合物(D)は、エステル基又は無水物基をそれぞれ含む]を有する。例えば、いくつかのこのような実施形態では、Rは、一般式-C(CH)R[式中、Rは、置換又は非置換ヒドロカルビル基(例えば、アルキル基)又はHであり、そのため、反応性化合物(D)は、アクリル酸エステル又はアクリル酸無水物(例えば、アルキルアクリレートエステル、アルキルアルキルアクリル酸無水物等)である]を有する。特定の実施形態では、Rは、一般式-D-Y[式中、Dは、上記のような二価連結基であり、Yは、上記のような少なくとも1つのO又はN原子を含む官能基である]を有する。いくつかのこのような実施形態では、Yは、少なくとも1つのO又はN原子を含む二価官能基である。例えば、特定の実施形態では、Rは、一般式-D-Y-R10[式中、D及びYは、上記のとおりであり、R10は、置換若しくは非置換炭化水素基又はHである]を有する。
【0081】
具体的な実施形態では、YはYであり、そのため、反応性化合物(D)は、式:
【化25】
[式中、D及びYは、上記定義のとおりである]を有する環状化合物である。いくつかのこのような実施形態では、反応性化合物(D)は、無水マレイン酸、無水コハク酸、又はこれらの組み合わせを含む、あるいは、それらである。
【0082】
反応性化合物(D)は、任意の形態、例えば、未希釈でもよく(即ち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤等が存在しない)、又は溶媒若しくは分散剤等の担体ビヒクル中に配給されてもよい。担体ビヒクルは、存在する場合、有機溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、又はオクタン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;等;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル)、シリコーン流体、又はこれらの組み合わせ、を含み得る、あるいはいずれかであり得る。
【0083】
特定の実施形態では、反応性化合物(D)は、担体ビヒクルの非存在下で使用される。いくつかのこのような実施形態では、反応性化合物(D)は、初期分岐状有機ケイ素化合物及び/又は反応性化合物(D)と反応する水及び担体ビヒクル/揮発性物質が存在しない状態で使用される。例えば、特定の実施形態では、本方法は、反応性化合物(D)から揮発性物質及び/又は溶媒(例えば、有機溶媒、水等)をストリッピングすることを含んでもよい。反応性化合物(D)からストリッピングする技術は、当該技術分野において既知であり、蒸留、加熱、減圧/真空の適用、溶媒との共沸混合、モレキュラーシーブの使用、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0084】
特定の実施形態では、本方法は、2、3、4、又はそれ以上の反応性化合物(D)等の2つ以上の反応性化合物(D)を使用することを含む。このような実施形態では、各反応性化合物(D)は、独立して選択され、任意の他の反応性化合物(D)と同じであっても異なっていてもよい。
【0085】
反応性化合物(D)は、当業者によって選択される任意の量で使用されてもよく、例えば、選択される特定の初期分岐状有機ケイ素化合物及び/又は反応性化合物(D)、採用される反応パラメータ、反応の規模(例えば、初期分岐状有機ケイ素化合物及び/又は反応させられる反応性化合物(D)及び/又は調製される分岐状有機ケイ素化合物の総量)等に応じて異なる。
【0086】
初期分岐状有機ケイ素化合物と反応性化合物(D)は、典型的には、1:1~1:1.5、あるいは1:1~1:1.4、あるいは1:1~1:1.3、あるいは1:1~1:1.2、あるいは1:1~1:1.1、あるいは1:1のモル比で反応する。しかしながら、使用される初期分岐状有機ケイ素化合物及び反応性化合物(D)の相対量は、例えば、選択される特定の初期分岐状有機ケイ素化合物、選択される特定の反応性化合物(D)、使用される反応パラメータ等に基づいて変化し得る。本明細書の説明を鑑みて当業者には理解されるように、初期分岐状有機ケイ素化合物と分岐状有機ケイ素化合物を調製するための反応性化合物(D)と反応は、1:1の(初期分岐状有機ケイ素化合物):(反応性化合物(D))の理論上の最大モル比で生じる。しかしながら、過剰な成分の1つは、典型的には、化合物の1つを完全に消費するために、例えば、形成された反応生成物の精製を単純化するため等に用いられる。例えば、特定の実施形態では、化合物(D)は、初期分岐状有機ケイ素化合物の分岐状有機ケイ素化合物への変換率を最大化するために比較的過剰に使用される。
【0087】
特定の実施形態では、初期分岐状有機ケイ素化合物及び反応性化合物(D)は、0.1~20の(初期分岐状有機ケイ素化合物):(反応性化合物(D))のモル比で反応する。例えば、特定の実施形態では、初期分岐状有機ケイ素化合物及び反応性化合物(D)は、1:1~1:10、例えば1:1.1~1:10、あるいは1:1.5~1:10、あるいは1:2~1:10、あるいは1:2.5~1:10、あるいは1:3~1:10、あるいは1:4~1:10、あるいは1:5~1:10、あるいは1:6~1:10の(初期分岐状有機ケイ素化合物):(反応性化合物(D))のモル比で反応する。いくつかの実施形態では、初期分岐状有機ケイ素化合物及び反応性化合物(D)は、1:1~20:1、例えば1.1:1~20:1、あるいは1.5:1~20:1、あるいは2:1~20:1、あるいは2.5:1~20:1、あるいは3:1~20:1、あるいは4:1~20:1、あるいは5:1~20:1、あるいは10:1~20:1、あるいは15:1~20:1の(初期分岐状有機ケイ素化合物):(反応性化合物(D))のモル比で反応する。これらの範囲外の比率も同様に使用され得ることが理解されるであろう。例えば、特定の実施形態では、例えば、反応中に反応性化合物(D)が担体(即ち、溶媒、希釈剤等)として使用されるとき、反応性化合物(D)は、例えば、初期分岐状有機ケイ素化合物のモル量の10倍以上、又は15倍以上、又は20倍以上の総過剰量で使用される。
【0088】
特定の実施形態では、本方法は、例えば、初期分岐状有機ケイ素化合物と反応性化合物(D)との反応前に、成分(A)及び(B)の反応生成物から初期分岐状有機ケイ素化合物を単離及び/又は精製することを更に含む。このような実施形態では、初期分岐状有機ケイ素化合物の単離及び/又は精製は、分岐状有機ケイ素化合物の単離/精製に関して上述したもの等の任意の技術を用いることができる。しかしながら、特定の実施形態では、このような単離/精製は実施されず、そのため、初期分岐状有機ケイ素化合物と反応性化合物(D)との反応は、上記の成分(A)及び(B)の反応と連続して行われる(例えば、初期分岐状有機ケイ素化合物の単離/精製を介在させることなく)。
【0089】
分岐状有機ケイ素化合物の組成物及び使用
組成物も提供される。組成物には、分岐状有機ケイ素化合物(「化合物」)が含まれ、それ以外の場合は概ね限定されない。したがって、以下の説明から理解されるように、組成物は、様々な形態、機能、用途、最終用途等のものであり得る。
【0090】
化合物は、組成物中に様々な量で存在し得る。当業者であれば、例えば、特定の組成物、化合物、所望の結果等に応じて、化合物の好適な量を容易に求めることができる。
【0091】
様々な実施形態では、組成物は、(i)エマルジョンと、(ii)水性組成物と、(iii)界面活性剤組成物と、(iv)湿潤組成物と、(v)水性フィルム形成泡状物と、(vi)表面張力調整剤と、(vii)ブロッキング防止添加剤と、(viii)農業用組成物と、(ix)コーティング組成物と、(x)塗料組成物と、(xi)表面処理組成物と、(xii)フィルム形成組成物と、(xiii)化粧品組成物と、のうちの少なくとも1つとして更に定義される。当業者であれば、特定の組成物が、形態/又は機能に関して重複し得ることを理解する。組成物及びこれらの具体的な組成物のいずれか1つ(例えば、エマルジョン)への参照は、以下の説明において互換性があり得る。
【0092】
化合物は、多くの用途に使用され得る。様々な実施形態では、化合物は、界面活性剤、分散剤、湿潤剤、ブロッキング防止添加剤、表面張力調整剤、表面処理剤、農業用組成物用添加剤、コーティング用添加剤、塗料用添加剤、化粧品成分、シロキサン変性剤、及び水性フィルム形成泡状物成分のうちの少なくとも1つとして使用される。当業者であれば、特定の使用又は用途が、機能及び/又は所望の結果に関して重複し得ることを理解する。
【0093】
組成物において、化合物は、単独で使用されてもよく、少なくとも1つの補助成分が補充されてもよく、又は、任意選択的に1つ以上の添加剤の存在下で、少なくとも1つの他の成分に対する補助剤として機能してもよい。様々な実施形態では、化合物は、剤、添加剤、アジュバント、成分、又は変性剤/調製剤と呼ばれる場合がある。
【0094】
化合物は、組成物中に存在する他の成分と反応性であっても、それに対して不活性であってもよい。組成物又は化合物が表面又は基材と接触する、組成物又は用途では、表面又は基材に結合することがあり、このような結合は、機械的/物理的、化学的、又はこれらの組み合わせである。例えば、表面は、化合物と反応性の官能基を有してもよい。このような官能基は、表面に固有にあってもよく、又は1種類以上の従来の表面処理によって付与されてもよい。特定の例示的な組成物及びその成分を以下に記載する。
【0095】
特定の成分又は添加剤は、異なる専門用語で分類され得るが、その理由は、成分又は添加剤をこのような用語で分類するためでしかないことについて認識するべきであり、用語は、その機能に限定されることを意味しない。1つ以上の添加剤は、組成物の任意の好適な重量パーセント(重量%)として、例えば、0.01重量%~65重量%、あるいは0.05重量%~35重量%、あるいは0.1重量%~15重量%、あるいは0.5重量%~5重量%、あるいは0.1重量%以下で存在し得る。当業者であれば、例えば添加剤の種類及び所望の結果に応じて、添加剤の好適な量を容易に求めることができる。特定の任意選択の添加剤を、以下、より詳細に記載する。
【0096】
様々な実施形態では、組成物は、エマルジョンを含む、又はエマルジョンである。エマルジョンは、限定されることなく、概してシリコーン/水中油型(O/W)及び油中水/シリコーン型(W/O)エマルジョンの群から選択される。エマルジョンは、非水相及び水相を含む。典型的には、非水相はエマルジョン中の不連続相であり、水相は連続相である。しかし、以下に記載されるように、中の成分の関与量に基づいて、非水相が連続相、水相が不連続相であってもよい。
【0097】
不連続相は、概して、エマルジョンの連続相中に粒子を形成する。粒子は液体であり、あるいは液滴と呼ばれる場合がある。粒子のサイズは、典型的には、例えば、その中の成分の選択及びそれらの量に左右される。
【0098】
様々な実施形態では、エマルジョンの非水相は、本開示の化合物を含む。特定の実施形態では、非水相は、化合物のための担体ビヒクルを更に含む。担体ビヒクルは、シロキサン担体ビヒクル、無機溶媒及び有機溶媒等の当該技術分野において理解されるビヒクルから選択されてもよい。他の又は更なる実施形態では、非水相は、以下に更に記載のように、界面活性剤を更に含む。例示的なエマルジョン、エマルジョンを含む組成物、及びそれを用いて形成されたフィルムは、国際公開第2018145069(A1)号に記載されている。
【0099】
有機溶媒の代表的な非限定例としては、トルエン、キシレン、及び同様の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、及び同様の直鎖状又は部分的に分岐状の飽和炭化水素、シクロヘキサン及び同様の脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低分子量アルコール、ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ブチルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテル、1-フェノキシ-2-プロパノール、トリ(プロピレングリコール)メチルエーテル及びトリ(プロピレングリコール)ブチルエーテル等の低分子量エーテル、並びに他の同様のグリコールが挙げられる。
【0100】
水相は水を含む。水は、任意の供給源からのものであってもよく、任意選択的に、例えば、濾過、蒸留、逆浸透法等によって精製されてもよい。
【0101】
多くの実施形態では、エマルジョンは、界面活性剤を更に含む。界面活性剤は、代替的に乳化剤と呼ばれる場合があり、概して、エマルジョンの水相中で非水相を乳化するよう働く。界面活性剤は、非水相及び水相を有するエマルジョンの調製に好適な任意の界面活性剤であってもよい。
【0102】
例えば、界面活性剤は、1つ以上の、アニオン性、カチオン性、非イオン性、及び/又は両性界面活性剤、ジメチコンコポリオール等の有機変性シリコーン:グリセロールのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エーテル;セテアレス-30、C12~15パレス-7等の脂肪アルコールのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エーテル;PEG-50ステアレート、PEG-40モノステアレート等のポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;スクロースステアレート、スクロースココエート及びソルビタンステアレート等の糖類エステル及びエーテル並びにそれらの混合物;DEAオレス-10ホスフェート等のリン酸エステル及びそれらの塩;ジナトリウムPEG-5シトレートラウリルスルホサクシネート及びジナトリウムリシノールアミドMEAスルホサクシネート等のスルホサクシネート;ナトリウムラウリルエーテルサルフェート等のアルキルエーテルサルフェート;イセチオネート;ベタイン誘導体、並びにこれらの混合物を含んでもよい。
【0103】
特定の実施形態では、界面活性剤にはアニオン性界面活性剤が含まれる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボキシレート(2-(2-ヒドロキシアルキルオキシ)酢酸ナトリウム))、アミノ酸誘導体(N-アシルグルタメート、N-アシルグリシネート、又はアシルサルコシネート)、アルキルサルフェート、アルキルエーテルスルホネート及びそのオキシエチレン化誘導体、スルホネート、イセチオネート及びN-アシルイセチオネート、タウレート及びN-アシルN-メチルタウレート、スルホサクシネート、アルキルスルホアセテート、ホスフェート及びアルキルホスフェート、ポリペプチド、アルキルポリグルコシドのアニオン性誘導体(アシル-D-ガラクトシドウロネート)、及び脂肪酸石鹸、アルカリ金属スルホリシネート(sulforicinates);ヤシ油酸のスルホン化モノグリセリド等の脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル;ナトリウムオレイリセチアネート(sodium oleylisethianate)等のスルホン化一価アルコールエステルの塩;オレイルメチルタウリドのナトリウム塩等のアミノスルホン酸のアミド;スルホン酸パルミトニトリル等の脂肪酸ニトリルのスルホン化物;α-ナフタレンモノスルホン酸ナトリウム等のスルホン化芳香族炭化水素;ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物;オクタヒドロアントラセンスルホン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム及びラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸アルカリ金属塩;ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアリールエーテル硫酸ナトリウム、及びアルキルアリールエーテル硫酸アンモニウム等の、8個以上の炭素原子を有するアルキル基を有する硫酸エーテル;8個以上の炭素原子を有するアルキル基を1つ以上有するアルキルアリールスルホン酸;例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、及びミリスチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩によって例示されるアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩;CH(CHCHO(CO)SOH、CH(CHCHO(CO)3.5SOH、CH(CHCHO(CO)SOH、CH(CH19CHO(CO)SOH、及びCH(CH10CHO(CO)SOHを包含するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル;並びにアルキルナフチルスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、及びアミン塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0104】
これらの又は他の実施形態では、界面活性剤にはカチオン性界面活性剤が含まれる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、様々な脂肪酸アミン及びアミド並びにそれらの誘導体、また脂肪酸アミン及びアミドの塩が挙げられる。脂肪族脂肪酸アミンの例としては、ドデシルアミン酢酸塩、オクタデシルアミン酢酸塩、及びタロー脂肪酸のアミンの酢酸塩、ドデシルアナリン(dodecylanalin)等の脂肪酸を有する芳香族アミンの同族体、ウンデシルイミダゾリン等の脂肪族ジアミンから誘導された脂肪族アミド、ウンデシルイミダゾリン等の脂肪族ジアミンから誘導された脂肪族アミド、オレイルアミノジエチルアミン等の二置換アミンから誘導された脂肪族アミド、エチレンジアミンの誘導体、第四級アンモニウム化合物並びにその誘導体として、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルキルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド等のジアルキルジメチルアンモニウムヒドロキシド、タロートリメチルアンモニウムヒドロキシドによって例示されるもの、ヤシ油、トリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルポリオキシエチレンココアンモニウムクロリド、及びジパルミチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、β-ヒドロキシエチルステアリルアミド等のアミノアルコールのアミド誘導体、長鎖脂肪酸のアミン塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0105】
これらの又は他の実施形態では、界面活性剤には非イオン性界面活性剤が含まれる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ラウリル、セチル、ステアリル、又はオクチル等)、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、ポリオキシアルキレングリコール変性ポリシロキサン界面活性剤、ポリオキシアルキレン置換シリコーン(レーキ型又はABn型)、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、シリコーングリコシド、ジメチコンコポリオール、ポリオールの脂肪酸エステル、例えばソルビトール及びグリセリルモノ-、ジ-、トリ-及びセスキ-オレエート、及びステアレート、グリセリル及びポリエチレングリコールラウレート;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(ポリエチレングリコールモノステアレート及びモノラウレート等)、ソルビトールのポリオキシエチレン化脂肪酸エステル(ステアレート及びオレエート等)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0106】
これらの又は他の実施形態では、界面活性剤には、両性界面活性剤が含まれる。両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸界面活性剤、ベタイン酸界面活性剤、11~15個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基を有する、トリメチルノニルポリエチレングリコールエーテル及びポリエチレングリコールエーテルアルコール、例えば、2,6,8-トリメチル-4-ノニルオキシポリエチレンオキシエタノール(6EO)(OSi Specialties,A Witco Company(Endicott,NY)によりTergitol(登録商標)TMN-6として販売)、2,6,8-トリメチル-4-ノニルオキシポリエチレンオキシエタノール(10EO)(OSi Specialties,A Witco Company(Endicott,NY)によりTergitol(登録商標)TMN-10として販売)、アルキレン-オキシポリエチレンオキシエタノール(C11-15二級アルキル、9EO)(OSi Specialties,A Witco Company(Endicott,NY)によりTergitol(登録商標)15-S-9として販売)、アルキレン-オキシポリエチレンオキシエタノール(C11-15二級アルキル、15EO)(OSi Specialties,A Witco Company(Endicott,NY)によりTergitol(登録商標)15-S-15として販売)、様々な量のエチレンオキシド単位を有するオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、例えば、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(40EO)(Rohm and Haas Company(Philadelphia,Pa.)により Triton(登録商標)X405として販売)、Emery Industries(Mauldin,S.C)から一般商標名Trycolで入手可能な非イオン性エトキシル化トリデシルエーテル、American Cyanamid Company(Wayne,N.J)から一般商標名Aerosolで入手可能なジアルキルスルホコハク酸アルカリ金属塩、一級脂肪族アミンのポリエトキシル化四級アンモニウム塩及びエチレンオキシド縮合生成物(Armak Company(Chicago,llinois)から商標名Ethoquad,Ethomeen又はArquadで入手可能)、ポリオキシアルキレングリコール変性ポリシロキサン、N-アルキルアミドベタイン及びその誘導体、タンパク質及びその誘導体、グリシン誘導体、スルタイン、アルキルポリアミノカルボキシレート及びアルキルアンホアセテート、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの界面活性剤はまた、他の供給元から様々な商標名で入手することができる。
【0107】
界面活性剤を、水相中の非水相を乳化する(又はその逆)のに有効な濃度でエマルジョン中に含めることができる。このような濃度は、エマルジョンの総重量に基づいて0重量%超~10重量%、あるいは0.3重量%~5重量%の範囲である。界面活性剤、又は界面活性剤の組み合わせは、エマルジョンの水相、エマルジョンの非水相、水相と非水相との界面、又はこれらの組み合わせ中に存在することができる。
【0108】
エマルジョンは、1つ以上の様々な任意選択の添加剤、例えばカップリング剤、帯電防止剤、紫外線(UV)吸収剤、可塑剤、レベリング剤、防腐剤、表面活性材料(界面活性剤又は洗剤又は乳化剤)、発泡促進剤、沈着剤、増粘剤、水相安定剤、充填剤、懸濁化剤、殺生物剤、凍結/解凍添加剤、凍結防止剤、粘度調整剤、泡制御剤、染料(例えば顔料)、バインダー、及びこれらの組み合わせを更に含んでもよい。
【0109】
あるいは、又は上記に加えて、エマルジョンは、それから形成されたフィルムの特性を改善するため、様々な添加化合物を更に含んでもよい。添加化合物の例は、シラン、例えば、テトラキス(ジメチルアミン)シラン、テトラエチルオルトシリケート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、トリエチルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、及びシロキサン、例えば、ヘプタメチルトリシロキサン、テトラメチルジシロキサン等である。
【0110】
いくつかの実施形態では、エマルジョンはコーティング組成物であり、又は配合されコーティング組成物になってもよい。このようなコーティング組成物は、典型的には、コーティング組成物を基材の表面に適用することによって、基材上に連続的な保護コーティングを提供するために使用される。このような基材の例としては、有機又は無機構成要素が挙げられ、家庭用材料、例えば、皮革、紙、木材、金属、プラスチック、布地、塗料等を挙げることができる。コーティング組成物はまた、他の用途、例えば、保護コーティング及び/又は装飾コーティングとして、塗料中の成分として等の使用にも同様に好適であり得る。
【0111】
様々な実施形態では、化合物を、エポキシコーティング用の添加剤として使用することができる。米国特許第8722148号及び米国特許出願公開第20060205861号に記載のものを含む、多くのエポキシコーティングが当該技術分野において理解されている。
【0112】
様々な実施形態では、組成物は、エマルジョンと有機バインダーとを含む。エマルジョンは、組成物中でin situで形成されてもよく、又はエマルジョンを最初に調製し、次いで任意の他の任意選択成分と共に有機バインダーと組み合わせて、組成物を得てもよい。特定の実施形態では、組成物は、エマルジョンと有機バインダーとを任意の任意選択成分と共に組み合わせることによって形成される。エマルジョンは、典型的には、組成物中に存在し、すなわち、エマルジョンを用いて組成物を形成することにより、エマルジョンが破壊されることはない。
【0113】
有機バインダーは限定されず、概して、組成物の最終用途に基づいて選択される。例示的な例を以下に記載するが、任意の有機バインダーを組成物中で使用してもよい。有機バインダーは、反応性であっても非反応性であってもよく、熱可塑性及び/又は熱硬化性であってもよい。典型的には、有機バインダーは、有機ポリマー及び/又は樹脂である。
【0114】
特定の実施形態では、有機バインダーは、天然ラテックスを含む。これらの又は他の実施形態では、有機バインダーは、合成ラテックスを含む。有機バインダーはまた、天然ラテックスと合成ラテックスとの組み合わせであってもよい。例えば、有機バインダーは、典型的には、組成物を使用してフィルム又は塗料を調製する場合、天然及び/又は合成ラテックスである。天然及び合成ラテックスは、当該技術分野において既知である。例えば、有機バインダーの選択に応じて、組成物を、塗料、例えば、無溶媒であり得る耐熱性塗料として使用することができる。塗料を、断熱用途、防汚用途、建築用途、商業用/工業用又は住宅用途、保護用途、皮革用途、織物用途等に使用することができる。
【0115】
有機バインダーの具体例としては、ポリオレフィン、アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、スチレン(例えばスチレンブタジエンゴム)、アクリロニトリル-ブタジエン、エポキシ樹脂、フェノール、ポリエステル、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、ポリ尿素、セルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、アルキド、シリコーン、アクリロニトリル等が挙げられるが、これらに限定されない。有機バインダーには、このような有機バインダーの組み合わせ、又は1つ以上のこのような有機バインダーを含むコポリマー若しくはターポリマーが含まれ得る。
【0116】
組成物中の有機バインダーの含有量は、その選択、組成物中に存在するエマルジョンの種類及び量、組成物の最終用途等の多数の要因によって変化し得る。有機バインダーの装填量の増加により、概して、高くなった硬度及び他の向上した物理的特性を有するフィルムが得られる。特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0超~100重量%、あるいは0超~50重量%、あるいは0.1~40重量%、あるいは5~15重量%量でバインダーを含む。
【0117】
有機バインダーは、担体ビヒクル中に分散又は配置されてもよい。担体ビヒクルは、典型的には有機バインダーを可溶化する、任意の好適な担体ビヒクルであってもよい。担体ビヒクルは、典型的には、使用される有機バインダーに応じたものである。担体ビヒクルは、組成物が全体として水系になるよう水であってもよく、又は水以外の溶媒、例えば有機溶媒であってもよい。特定の実施形態では、エマルジョンのように、組成物は水を実質的に含まない。水を実質的に含まないことは、エマルジョンに関して定義される。
【0118】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の任意選択成分を更に含む。組成物は、エマルジョンに関して上述した任意選択成分のいずれかを含んでもよい。これらの任意選択成分は、エマルジョン中に存在することから組成物中に含まれてもよく、エマルジョンから独立した組成物に組み込まれてもよく、又はその両方であってもよい。任意選択成分の具体例としては、着色剤、合体助剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、相溶化剤、UV安定剤、酸化防止剤、殺生物剤、難燃剤等が挙げられるがこれらに限定されない。これらの任意選択成分のうちのいくつかは上述のようにエマルジョン中に存在してもよく、したがって組成物中に含まれてもよく、又は組成物を形成する際、これらの任意選択成分のうちの1つ以上が組み込まれてもよい。エマルジョンに対する上述の任意選択成分のいずれかはまた、エマルジョンからの導入、又は更なる量の特定の成分を含めることのいずれかによって、組成物中に存在してもよい。例として、組成物は触媒を含んでもよく、触媒は、エマルジョン中に存在し得る任意の触媒と同じであっても異なっていてもよい。
【0119】
特定の実施形態では、組成物は、顔料、染料等の1つ以上の着色剤を更に含む。このような着色剤は、有機であっても無機であってもよく、合成であっても天然であってもよい。着色剤の例は、エマルジョンに関して上述されている。エマルジョン及び組成物自体が、独立して選択される異なる着色剤を含んでもよい。好適な着色剤の更なる例としては、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムグリーン、カドミウムオレンジ、カーボンブラック(バインブラック、ランプブラック等)、アイボリーブラック(骨炭)、クロームイエロー、クロームグリーン、コバルトバイオレット、コバルトブルー、セルリアンブルー、オーレオリン(コバルトイエロー)、アズライト、ハンパープル、ハンブルー、エジプシャンブルー、マラカイト、パリスグリーン、フタロシアニンブルーBN、フタロシアニングリーンG、ベルディグリ、ビリジアン、サングイン、カプトモルトム、オクサイドレッド、紅土、ベネチアンレッド、プルシャンブルー、イエローオーカー、ローシェンナ、バーントシェンナ、ローアンバー、バーントアンバー、クレムニッツニツホワイト、ネープルスイエロー、バーミリオンチタニウムイエロー、チタニウムベージュ、チタニウムホワイト(TiO)、チタニウムブラック、ウルトラマリン、ウルトラマリングリーンシェード、亜鉛華、亜鉛フェライト、アリザリン(合成又は天然)、アリザリンクリムゾン(合成又は天然)、ガンボージュ、コチニールレッド、ローズマダー、インジゴ、インディアンイエロー、チリアンパープル、キナクリドン、マゼンタ、フタログリーン、フタロブルー、ピグメントレッド170、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0120】
特定の実施形態では、組成物は合体助剤を更に含む。好適な合体助剤としては、任意の担体ビヒクル若しくは水を組成物から除去する際に、有機バインダーが実際にフィルムを形成する場合、及び/又は有機バインダーからの固体フィルム形成速度を高める場合、有機バインダーの最低フィルム形成温度を低下させる、任意の化合物が挙げられる。好適な合体助剤の例としては、グリコールエーテル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールイソブチレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0121】
特定の実施形態では、組成物は、界面活性剤を更に含む。界面活性剤は、エマルジョン中で使用される任意の界面活性剤と同じであっても異なっていてもよく、その例は上述されている。
【0122】
増粘剤(又はレオロジー調整剤)もまた、所望の粘度及び流動特性を達成するよう、組成物中に含めてもよい。その選択に応じて、有機バインダーの選択の際、増粘剤は、例えば、有機バインダーと複数の水素結合を形成することによって機能することができ、それによって、鎖の絡み合い、ループ形成、及び/又は膨潤を引き起こし、その結果、体積が制限される。特定の実施形態では、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースをはじめとするセルロース誘導体等の増粘剤を使用することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、組成物は消泡剤を含む。消泡剤は、組成物中の泡の形成を低減及び阻害する任意の好適な化学添加剤であってもよい。消泡剤は当該技術分野において既知であり、典型的には、組成物中に存在する他の成分に基づいて選択される。
【0124】
組成物が相溶化剤を含む場合、相溶化剤は、組成物中の成分の湿潤を変更する、あるいは改善する任意の化合物又は成分であってもよい。このような相溶化剤の例としては、チタンアルコレート、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル、及びケイ酸エステル、脂肪族、芳香族、及び脂環式酸の、金属塩及びエステル、エチレン/アクリル酸又はメタクリル酸、エチレン/アクリル酸又はメタクリル酸のエステル、エチレン/酢酸ビニル樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂又はそのエステル、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、メタクリレート/ブタジエンスチレン樹脂(MBS)、スチレンアクリロニトリル樹脂(SAN)、及びブタジエンアクリロニトリルコポリマーが挙げられる。あるいは、又は加えて、相溶化剤は、シラン、例えばハイドロカルボノオキシシラン、例えば、アルコキシシラン、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンの組み合わせ、アミノ官能性シラン、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。シランは、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、及び/又はアクリレート基等の接着促進基であってもよい、任意の官能基を含んでもよい。官能基の組み合わせを使用してもよく、例えば、(D)相溶化剤は、エポキシ官能性アルコキシシランを含んでもよい。好適なエポキシ官能性有機基は、3-グリシドキシプロピル及び(エポキシシクロヘキシル)エチルにより例示される。不飽和有機基は、3-メタクリロイルオキシプロピル、3-アクリロイルオキシプロピル、並びに、ビニル、アリル、ヘキセニル、ウンデシレニル(undecylenyl)等の不飽和一価炭化水素基により例示される。好適なエポキシ官能性アルコキシシランの例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な不飽和アルコキシシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。アミノ官能性アルコキシシラン等のアミノ官能性シランは、当該技術分野において理解されるように、様々なアミノ基を有し得る。相溶化剤の他の例としては、無水マレイン酸又はエステル、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びスチレン等の極性モノマーを含む反応性基を使用して、それぞれポリエチレン及びポリプロピレンを変性することによって得られる変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレンが挙げられる。
【0125】
UV安定剤の具体例としては、分岐状及び直鎖状の、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチル-フェノール(TINUVIN(登録商標)571)が挙げられる。好適なUV安定剤の更なる例としては、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/セバケート、及びこれらの組み合わせ(TINUVIN(登録商標)272)が挙げられる。これらの及び他のTINUVIN(登録商標)添加剤(例えば、TINUVIN(登録商標)765)は、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY,U.S.A.)から市販されている。他のUV及び光安定剤は、ChemturaからのLowLite、PolyOneからのOnCap、E.I.du Pont de Nemours and Company(米国デラウェア州)からのLight Stabilizer210によって市販され、例示される。オリゴマー酸化防止剤安定剤(特にヒンダードアミン光安定剤(HALS))の例は、Ciba TINUVIN(登録商標)622であり、それは4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと共重合したブタン二酸のジメチルエステルである。
【0126】
使用される場合、酸化防止剤は、当該技術分野において既知の任意の酸化防止剤であってもよい。その具体例としては、フェノール系酸化防止剤、及びフェノール系酸化防止剤と安定剤の組み合わせが挙げられる。フェノール系酸化防止剤は、完全立体障害性フェノール及び部分障害性フェノール、立体障害性アミン(例えば、テトラメチル-ピペリジン誘導体)が挙げられる。好適なフェノール系酸化防止剤としては、ビタミンE、及び、Ciba Specialty Chemicals(U.S.A.)からのIRGANOX(登録商標)1010が挙げられる。IRGANOX(登録商標)1010は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を含む。酸化防止剤の更なる例は、アセチルシステイン、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ポリペプチド、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコルビン酸メチルシラノールペクチネート、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、BHA、p-ヒドロキシアニソール、BHT、t-ブチルヒドロキノン、カフェー酸、チャノキ油、キトサンアスコルベート、キトサングリコレート、キトサンサリチレート、クロロゲン酸、システイン、システインHCl、デシルメルカプトメチルイミダゾール、エリソルビン酸、ジアミルヒドロキノン、ジ-t-ブチルヒドロキノン、ジセチルチオジプロピネート、ジシクロペンタジエン/t-ブチルクレゾールコポリマー、ジガロイルトリオレエート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジオレイルトコフェリルメチルシラノール、イソクエルシトリン、ジオスミン、アスコルビン酸硫酸二ナトリウム、ルチニル二硫酸二ナトリウム、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ドデシルガレート、エチルフェルレート、フェルラ酸、ヒドロキノン、ヒドロキシルアミンHCl、ヒドロキシルアミンサルフェート、イソオクチルチオグリコレート、コウジ酸、マデカシコシド(madecassicoside)、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、メラトニン、メトキシ-PEG-7ルチニルスクシネート、メチレンジ-t-ブチルクレゾール、メチルシラノールアスコルベート、ノルジヒドログアイアレチン酸、オクチルガレート、フェニルチオグリコール酸、フロログルシノール、アスコルビン酸トコフェリルリン酸カリウム、チオジグリコールアミド、亜硫酸カリウム、プロピルガレート、ロスマリン酸、ルチン、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸/コレステリルリン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エリトルビン酸ナトリウム、メタ二硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ソルビチルフルフラール、ティーツリー(Melaleuca aftemifolia)油、トコフェリルアセテート、テトラヘキシルデシルアスコルベート、テトラヒドロジフェルロイルメタン、トコフェリルリノレート/オレエート、チオジグリコール、トコフェリルスクシネート、チオジグリコール酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、チオタウリン、レチノール、トコフェレス-5、トコフェレス-10、トコフェレス-12、トコフェレス-18、トコフェレス-50、トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルリノレート、トコフェリルニコチネート、トコキノン、o-トリルビグアニド、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ユビキノン、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、及びこれらの混合物である。
【0127】
殺生物剤は、殺真菌剤、除草剤、農薬、抗微生物剤、又はこれらの組み合わせによって例示され得る。
【0128】
殺真菌剤の具体例としては、N-置換ベンゾイミダゾールカルバメート、ベンゾイミダゾリルカルバメート、例えば、メチル2-ベンゾイミダゾリルカルバメート、エチル2-ベンゾイミダゾリルカルバメート、イソプロピル2-ベンゾイミダゾリルカルバメート、メチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)-5-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-メチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-メチルカルバモイル)-6-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-メチルカルバモイル)-5-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[2-(N-メチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[1-(N-メチルカルバモイル)-6-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、イソプロピルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、イソプロピルN-{2-[1-(N-メチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-プロピルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-ブチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メトキシエチルN-{2-[1-(N-プロピルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メトキシエチルN-{2-[1-(N-ブチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[1-(N-プロピルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[1-(N-ブチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{1-(N,N-ジメチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[N-メチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-ブチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[1-(N-プロピルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[1-(N-ブチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-クロロベンゾイミダゾリル]}カルバメート、及びメチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-ニトロベンゾイミダゾリル]}カルバメート)、10,10’-オキシビスフェノキサルシン(商標名:Vinyzene,OB PA)、ジ-ヨードメチル-パラ-トリルスルホン、ベンゾチオフェン-2-シクロヘキシルカルボキサミド-S,S-ジオキシド、N-(フルオロジクロリド(fluordichloride)メチルチオ)フタルイミド(商標名:Fluor-Folper、及びPreventol A3)、メチル-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(商標名:Carbendazim,Preventol BCM)、亜鉛-ビス(2-ピリジルチオ-1-オキシド)(亜鉛ピリチオン)2-(4-チアゾリル)-ベンゾイミダゾール、N-フェニル-ヨードプロパルギルカルバメート、N-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロリド-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、N-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、及び/又は、トリアゾリル化合物、例えば、銀を含有するゼオライトと組み合わせたテブコナゾールが挙げられる。
【0129】
あるいは、殺生物剤は、ホウ素含有材料、例えば、ホウ酸無水物、ホウ砂、又は八ホウ酸二ナトリウム四水和物を含んでもよく、これらは、農薬、殺真菌剤、及び/又は難燃剤として機能し得る。
【0130】
好適な難燃剤の具体例としては、カーボンブラック、水酸化アルミニウム水和物、珪灰石等のケイ酸塩、白金及び白金化合物が挙げられる。あるいは、難燃剤は、使用される場合、ハロゲン系難燃剤(例えば、デカブロモジフェニルオキシド、オクタブロモジフェニルオキシド(octabromordiphenyloxide)、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモビフェニルオキシド、ジフェニルオキシベンゼン、エチレンビス-テトラブロモフタルアミド、ペンタブロモエチルベンゼン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルマレイン酸イミド、テトラブロモビスフェニルA、ビス-(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス-(ペンタブロモフェノキシ)エタン、ポリジブロモフェニレンオキシド、トリブロモフェニルアリルエーテル、ビス-ジブロモプロピルエーテル、テトラブロモフタル酸無水物、ジブロモネオペンチルグリコール、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン、ペンタブロモジフェニルオキシド、トリブロモスチレン、ペンタブロモクロロシクロヘキサン、テトラブロモキシレン、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ポリスチレン、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、トリフルオロプロペン及びPVCから選択され得る。あるいは、難燃剤は、使用される場合、リン系難燃剤(例えば、(2,3-ジブロモプロピル)-ホスフェート、リン、環式ホスフェート、トリアリールホスフェート、ビス-メラミニウムペンテート、ペンタエリスリトール二環式ホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、ホスフィンオキシドジオール、トリフェニルホスフェート、トリス-(2-クロロエチル)ホスフェート)、リン酸エステル(例えば、トリクレイル(tricreyl)、トリキシレニル、イソデシルジフェニル、エチルヘキシルジフェニル)、様々なアミンのリン酸塩(例えば、リン酸アンモニウム、トリオクチル、トリブチル又はトリス-ブトキシエチルホスフェートエステル)から選択され得る。他の好適な難燃剤としては、テトラアルキル鉛化合物(例えば、テトラエチル鉛)、ペンタカルボニル鉄、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、メラミン及び誘導体(例えば、メラミン塩)、グアニジン、ジシアンジアミド、スルファミン酸アンモニウム、アルミナ三水和物、及び水酸化マグネシウム及びアルミナ三水和物を挙げ得る。
【0131】
水性組成物としては、成分、概して主たる又は主要成分(例えば、溶媒、キャリア、又は媒体)として水を含む、任意の組成物が挙げられる。これらの実施形態では、水性組成物は、本開示の化合物を更に含む。
【0132】
当該技術分野において理解されるように、界面活性剤は、2つの液体間、気体と液体との間、又は液体と固体との間の表面張力(又は界面張力)を低下させる化合物である。界面活性剤は、洗剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、及び分散剤として機能し得る。界面活性剤は、洗剤、布地柔軟剤、エマルジョン、石鹸、塗料、接着剤、インク、防曇剤、スキーワックス、スノーボードワックス、フローテーションでの再生紙の脱墨、洗浄及び酵素プロセス、下剤等が挙げられるがこれらに限定されない多くの実用的用途及び製品における、洗剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、発泡剤、及び消泡剤として働き得る。いくつかの除草剤、殺虫剤、殺生物剤(消毒剤)、及び殺精子剤等の農業化学配合物もまた、1つ以上の界面活性剤を含み得る。化粧品、シャンプー、シャワージェル、ヘアコンディショナー(シャンプー後)、及び練り歯磨き等のパーソナルケア製品は、多くの場合、1つ以上の界面活性剤を含む。
【0133】
界面活性剤組成物は、本開示の化合物を含む。特定の実施形態では、界面活性剤組成物は、水及び/又は他のビヒクル、1つ以上の従来の界面活性剤等の当該技術分野において理解される1つ以上の添加剤を更に含む。当業者であれば、界面活性剤組成物を湿潤組成物、表面張力調整剤、又は分散剤組成物と呼ぶ場合があることについて理解する。いくつかの用途では、このような組成物の形態、機能、及び/又は最終用途の違いに関する、微妙なニュアンスが存在し得る。
【0134】
他の実施形態では、化合物自体が界面活性剤である。これらの実施形態では、化合物を、分散剤、湿潤剤、又は表面張力調整剤と呼ぶ場合がある。
【0135】
様々な実施形態では、組成物は、発泡性組成物及び実質的に非発泡性組成物、水性組成物及び非水性組成物、並びにこれらの組み合わせを含む、フィルム形成組成物からなる群から選択される。特定のフィルムを以下に記載する。組成物は、硬化性であっても部分硬化性であってもよく、又は硬化し得ない。組成物が少なくとも部分硬化性ないし硬化性である実施形態では、組成物は、液体からより粘稠な液体、ゲル、半固体、又は固体になるよう、形態を変化させることができる。
【0136】
様々な実施形態では、組成物は、ブロッキング防止(又は抗ブロッキング)添加剤(又は剤)として有用である。これらの実施形態では、組成物によりまた、耐擦過性及び低摩擦係数(COF)をもたらすこともできる。特定の実施形態では、化合物自体がブロッキング防止添加剤である。
【0137】
ブロッキング防止剤は、多くの場合、フィルに又はフィルム用に、例えばポリオレフィンフィルムに、ブロッキング防止剤の個々の分子間で滑りを改善するよう使用され、ブロッキング防止剤は、このようなフィルムの後加工変換(切断、折り畳み、融着等)のための重要な成分である。ブロッキングは、フィルム及びコーティングの製造業者が直面する共通の問題である。ブロッキングは、フィルムの2つの隣接する層の接着である。これは、ポリエチレン及びポリプロピレンフィルム(ブロー又はキャストのいずれか)に最も関連する問題であり、押出コーティング製品又は積層製品において程度が少なくなる。隣接するフィルム層のブロッキングは、ポリマーの非晶質領域間のファンデルワールス力の存在によって生じる。これらの力は、2つの層間の距離が短くなると共に増大し、それによって、2つの層が一緒にプレスされる際(例えば、仕上げた変換フィルムの巻き取りロール又は積み重ねへの結合)にブロッキングが増す。ブロッキングに関する別の可能な理由は、フィルムの表面に移動する傾向がある低分子量種(オリゴマー等)の存在である。
【0138】
これらの取り扱い上の問題を解決するための有効な方法は、ブロッキング防止添加剤を添加することである。樹脂中に存在するブロッキング防止添加剤は、フィルム表面から微視的に突出する。それにより、フィルム間の表面接触を最小限に抑える助けとなる突起(「わずかな隆起」)が作り出され、2つの層間の距離が長くなり、それによってブロッキングを最小限に抑える。
【0139】
隣接する層の間のブロッキングにより摩擦が増し、ブロッキング防止剤の添加は、概して、フィルム間COFの低減に寄与する。COFは、一方の表面が隣接表面上で滑ることの相対的困難性の尺度である。滑りに対する抵抗が大きいほど、COF値が高くなる(例えば、「低滑り」又は「滑りなし」、場合により「高COF」フィルムと呼ばれる)。
【0140】
様々な実施形態において、組成物は、添加剤として化合物を含む農業用組成物である。農業を促進するための多種類の組成物は、植物の成長増進、雑草の制御又は防止、害虫及び昆虫等の制御又は防止をはじめとして、当該技術分野において理解されている。植物成長調節剤又は遺伝子改変植物を使用するかどうかに関わらず、植物成長を支援又は増進するため、任意の数の農学的に好適な添加剤、アジュバント、及び/又はフィト触媒、例えば、窒素、リン、カリウム等の元素を含有する肥料、高二酸化炭素、過酸化水素、鉄、及びマンガン;硫黄、カルシウム、及びマグネシウムの供給源等の二次栄養素;ホウ素、コバルト、銅、モリブデン、亜鉛、ニッケル等の微量栄養素;スクロース、フルクトース、及びグルコース等の水溶性炭水化物;並びに様々なアルキルグルコシドが、植物に適用される。
【0141】
様々な実施形態では、組成物は、少なくとも1つの農薬を含む。用語「農薬」は、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、外部寄生虫駆除剤、殺真菌剤、及び植物成長調節剤を包含するものと理解される。組成物は、この点に関して限定されない。
【0142】
除草活性を有する化合物の部類の例としては、イマザキン等のイミダゾリノン、クロリムロンエチル等のスルホニル尿素、フルメツラム等のトリアゾロピリミジンスルホンアミド、キザロホップエチル等のアリールオキシフェノキシプロピオネート、イソプロツロン及びクロロトルロン等のアリール尿素、アトラジン及びシマジンン等のトリアジン、ピクロラム等のアリールカルボン酸、MCPA等のアリールオキシアルカン酸、メタザラクロル等のクロロアセトアニリド、オリザリン等のジニトロアニリン、ピラゾリネート等のピラゾール、及びビフェノックス等のジフェニルエーテルが挙げられる。殺虫活性を有する化合物の部類の例としては、ヘキサフルムロン等のベンゾイル尿素、テブフェノジド等のジアシルヒドラジン、カルボフラン等のカルバメート、シペルメトリン等のピレスロイド、ホスメット等のオルガノホスフェート、トリアゾール、及びスピノシン等の天然産物が挙げられる。
【0143】
殺真菌活性を有する化合物の部類の例としては、ジメトモルフ等のモルホリン、ベナラキシル等のフェニルアミド、ヘキサコナゾール等のアゾール、アゾキシストロビン等のストロビルリン、クロロタロニル等のフタロニトリル、及びキノキシフェン等のフェノキシキノリンが挙げられる。
【0144】
殺虫剤/殺ダニ剤の例は、ベンチオカーブ、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、ルフェヌロン、ジフェンチウロン、又はピレスロイド、例えば、ビフェントリン、ビオアレトリン、タウフルバリネート、レスメトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン、シハロトリン、デルタメトリン、テルフルトリン、又はテトラメトリン;更に進めると、ピメトロジン、チオシクラム、フェノキシカーブ、メトプレン、アバメクチン、及びエマメクチンである。
【0145】
様々な実施形態では、粒子の処理のために、例えば、金属酸化物粒子表面を処理するための中間体として、化合物を使用することができる。粒子は、ナノサイズ及びマイクロサイズにしたもの等、様々なサイズ及び粒径分布のものであり得る。
【0146】
金属酸化物粒子は、任意の好適な金属酸化物粒子であり得る。好適な金属酸化物粒子としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、シリカ、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ストロンチウム粒子、これらの混合物、及びこれらの共酸化物が挙げられる。
【0147】
粒子は、電気伝導性及び/又は熱伝導性であっても、非伝導性であってもよい。特定の実施形態では、粒子は、金属若しくは伝導性非金属;又は金属の外面を有する金属若しくは非金属粒子であって、外面金属が、銀、金、白金、パラジウム、及びこれらの合金等の貴金属、又はニッケル、アルミニウム、銅、若しくは鋼等の卑金属である、金属若しくは非金属粒子;であり得る、電気伝導性充填剤として分類される。粒子はまた、金属の外面と、銅、中実ガラス、中空ガラス、雲母、ニッケル、セラミック繊維、又はポリスチレン及びポリメチルメタクリレート等のポリマーからなる粒子のコアと、を有し得る。
【0148】
特定の実施形態では、粒子は、金属粒子、金属酸化物粒子、熱伝導性非金属粉末、又はこれらの組み合わせであり得る、熱伝導性充填剤として分類される。熱伝導性充填剤は、アルミニウム、銅、金、ニッケル、銀、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、ダイヤモンド、グラファイト、炭素又はシリコンナノサイズ粒子、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ケイ素、及び炭化タングステンであり得る。
【0149】
処理され得る無機充填剤又は顔料の例としては、二酸化チタン、水酸化アルミニウム(ATHとも呼ばれる)、水酸化マグネシウム、雲母、カオリン、炭酸カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びバリウムの、非水和、部分水和、又は水和フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クロム酸塩、炭酸塩、水酸化物、リン酸塩、リン酸水素塩、硝酸塩、酸化物、及び硫酸塩;酸化亜鉛、酸化アルミニウム、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化ベリリウム、酸化クロム、酸化鉄、リトポン、ホウ酸又はホウ酸塩、例えばホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム若しくはホウ酸アルミニウム、混合金属酸化物、例えばアルミノケイ酸塩、バーミキュライト、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、沈降シリカ、石英、砂、及びシリカゲル等のシリカ;籾殻灰、セラミック及びガラスビーズ、ゼオライト、アルミニウムフレーク又は粉末等の金属、青銅粉末、銅、金、モリブデン、ニッケル、銀粉又はフレーク、ステンレス鋼粉末、タングステン、含水ケイ酸カルシウム、チタン酸バリウム、シリカ-カーボンブラック複合体、官能化カーボンナノチューブ、セメント、フライアッシュ、スレート粉、セラミック又はガラスビーズ、ベントナイト、粘土、タルク、アントラサイト、アパタイト、アタパルジャイト、窒化ホウ素、クリストバライト、珪藻土、ドロマイト、フェライト、長石、グラファイト、焼成カオリン、二硫化モリブデン、パーライト、軽石、パイロフィライト、セピオライト、スズ酸亜鉛、硫化亜鉛又は珪灰石が挙げられる。
【0150】
処理され得る他の充填剤としては、天然繊維、例えば、木粉、木質繊維、綿繊維、又は農業用繊維、麦稈、麻、亜麻、ケナフ、カポック、ジュート、ラミー、サイザル、ヘネケン、トウモロコシ繊維又はコイア、堅果殻、又は籾殻、リグニン、デンプン、又はセルロース及びセルロース含有産物、又は特定の合成繊維、例えばアラミド繊維、ナイロン繊維、綿繊維若しくはガラス繊維、又はポリテトラフルオロエチレン若しくはポリエチレンのプラスチック微小球が挙げられ、本発明はこのような充填剤の処理を含む。充填剤は、固体有機顔料、例えば、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、ヒドロキノン若しくはキサンチン染料を組み込むもの、又は固体有機難燃剤、例えば、ポリクロロビフェニル若しくはデカブロモジフェニルオキシド、又はリン含有難燃剤であってもよい。
【0151】
様々な実施形態では、化合物を使用して、シロキサン、又は少なくとも1つのシロキサンを含む組成物を変性することができる。変性は、化合物がシロキサンと反応し得る構えにおけるもの等、直接的であっても間接的であってもよい。組成物の更なる実施形態は、下記のとおりである。
【0152】
組成物は、1つ以上の任意選択の充填剤を含んでもよい。充填剤は、1つ以上の補強充填剤、非補強性充填剤、又はこれらの混合物であってもよい。微細化補強充填剤の例としては、籾殻灰等の表面積の大きいヒュームドシリカ及び沈降シリカ、並びにある程度の炭酸カルシウムが挙げられる。微細化非補強性充填剤の例としては、破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、及び珪灰石が挙げられる。単独で又は上記の充填剤と組み合わせて使用されることがある他の充填剤としては、カーボンナノチューブ、例えばマルチウォールカーボンナノチューブアルミナイト、中空ガラス球、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(水滑石)等の粘土、グラファイト、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト(zarachite)、炭酸バリウム、例えば毒重石、及び/又は炭酸ストロンチウム、例えばストロンチウム石が挙げられる。更なる代替の充填剤としては、酸化アルミニウム、かんらん石族、ざくろ石族;アルミノケイ酸塩;環状ケイ酸塩;鎖状ケイ酸塩;及び層状ケイ酸塩からなる群からのケイ酸塩が挙げられる。特定の実施形態では、組成物は、中空粒子、例えば中空球を含む、少なくとも1つの充填剤を含む。このような充填剤は、発泡体の多孔率及び/又は全体的な空隙率に寄与するのに有用な場合がある。特定の実施形態では、いくつかの充填剤を使用して、組成物のチキソトロピー特性を調整することができる。
【0153】
充填剤は、存在する場合、任意選択的に、処理剤で表面処理されてもよい。処理剤及び処理方法は、当該技術分野において理解されている。充填剤の表面処理は、典型的には、例えば、脂肪酸若しくはステアリン酸等の脂肪酸エステルを用いて、又はオルガノシラン、オルガノシロキサン、若しくはオルガノシラザン、例えばヘキサアルキルジシラザン若しくは短鎖シロキサンジオールを用いて行われる。概して、表面処理は充填剤を疎水性にし、したがって、組成物中の他の成分との均質混合物の取り扱い及び入手を容易にする。R Si(OR4-e[式中、Rは、6~20個の炭素原子を有する置換又は非置換一価炭化水素基、例えば、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシル等のアルキル基、並びにベンジル及びフェニルエチル等のアラルキル基であり、Rは、1~6個の炭素原子を有するアルキルであり、下付き文字「e」は、1、2又は3である]等のシランも、充填剤の処理剤として使用することができる。特定の実施形態では、化合物は、任意選択で1つ以上の従来の処理剤と組み合わせて、上記のような処理剤として使用することができる。
【0154】
様々な実施形態では、組成物は、反応阻害剤を更に含む。例えば、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、又は2-フェニル-3-ブチン-2-オール等のアルキンアルコール;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン等のエン-イン化合物;又は1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、又はベンゾトリアゾールを、任意選択の構成成分として組成物に組み込んでもよい。
【0155】
様々な実施形態では、本組成物は、チキソトロピー剤を更に含む。好適なチキソトロピー剤としては、レオロジー剤が挙げられ、このような剤の具体例は、米国特許出願公開第2018/0066115(A1)号及び同第2018/0208797(A1)号に見出すことができる。
【0156】
様々な実施形態では、本組成物は、接着付与剤を更に含む。接着付与剤により、硬化中に接触している基材材料、例えば第2の表面36への発泡体の接着性を改善することができる。特定の実施形態では、接着付与剤は、分子中にケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物から選択される。このアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、及びメトキシエトキシ基によって例示される。更に、この有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合した非アルコキシ基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換又は非置換一価炭化水素基;3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、又は類似のグリシドキシアルキル基等のエポキシ基含有一価有機基;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、又は同様のエポキシシクロヘキシルアルキル基;及び4-オキシラニルブチル基、8-オキシラニルオクチル基、又は同様のオキシラニルアルキル基;例えば3-メタクリロキシプロピル基等のアクリル基含有一価有機基;及び水素原子により例示される。
【0157】
接着付与剤、例えば有機ケイ素化合物は、概して、ケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子を有する。更に、様々な種類の基材に対する良好な接着性を付与する能力に起因して、この有機ケイ素化合物は、概して、分子中に少なくとも1個のエポキシ基含有一価有機基を有する。この種類の有機ケイ素化合物は、オルガノシラン化合物、オルガノシロキサンオリゴマー、及びアルキルシリケートにより例示される。オルガノシロキサンオリゴマー又はアルキルシリケートの分子構造は、直鎖構造、部分的に分岐した直鎖構造、分岐鎖構造、環状構造、及びネット状構造により例示される。直鎖構造、分岐鎖構造、及びネット状構造が典型的である。この種類の有機ケイ素化合物は、シラン化合物、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等;分子中に、少なくとも1個のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子と、少なくとも1個のケイ素結合アルコキシ基を有するシロキサン化合物;分子中に、少なくとも1つのケイ素結合アルコキシ基を有するシラン化合物若しくはシロキサン化合物と、少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシ基及び少なくとも1つのケイ素結合アルケニル基を有するシロキサン化合物と、の混合物;並びにメチルポリシリケート、エチルポリシリケート、及びエポキシ基含有エチルポリシリケートによって例示される。
【0158】
様々な実施形態では、組成物は、少なくとも1つの膨張剤を含む。使用される場合、膨張剤は、化学膨張剤、物理的膨張剤、及びこれらの組み合わせの群から選択することができる。使用される膨張剤の量は、所望の結果に応じて変化し得る。例えば、膨張剤の量を、最終泡密度及び泡発生プロファイルを調整するために変化させることができる。
【0159】
組成物は、直鎖状及び環状の両方のシリコーン、有機油、有機溶媒、及びこれらの混合物を含む、担体ビヒクル(又は希釈剤)を含み得る。溶媒の具体例は、米国特許第6,200,581号に見出すことができる。担体ビヒクルはまた、25℃で1~1,000mm/秒の範囲の粘度を有する低粘度のオルガノポリシロキサン又は揮発性メチルシロキサン又は揮発性エチルシロキサン又は揮発性メチルエチルシロキサン、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン(ecamethylcyclopentasiloxane)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン(exadeamethylheptasiloxane)、ヘプタメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ)]トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3,ビス[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン ペンタメチル[(トリメチルシリル)オキシ]シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、及びこれらの任意の混合物であってもよい。
【0160】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の追加の成分、例えば、レオロジー調整剤、極性有機溶媒、増粘剤、無機塩(例えば塩化カルシウム)、パーソナルケア活性成分/成分、芳香剤、又はこれらの組み合わせを含む。典型的には、1つ以上の追加の成分は、組成物の所望の使用に基づいて選択される。例えば、いくつかの実施形態では、組成物はパーソナルケア組成物として使用するために配合され、パーソナルケア成分を更に含む。具体的なパーソナルケア成分、又は具体的なパーソナルケア成分の混合物は、パーソナルケア組成物の種類に基づいて選択されてもよく、組成物にそのまま配合される。これらの実施形態では、パーソナルケア成分は、液体、固体、カプセル化液等であってもよい。パーソナルケア成分の様々な例を、以下に記載する。これらのパーソナルケア成分のうちのいずれか、又は2つ以上の異なるパーソナルケア成分の組み合わせを、パーソナルケア成分として使用することができる。明確さ及び一貫性のため、「パーソナルケア成分」は、組成物が1つ又は2つ以上のパーソナルケア成分を含む、実施形態を包含する。
【0161】
具体的な実施形態では、パーソナルケア成分は、制汗剤及び/又はデオドラント剤(AP/DEO)である。これらの実施形態では、組成物は、制汗剤及び/又はデオドラント剤(AP/DEO)組成物と呼ばれる場合がある。制汗剤及びデオドラント剤の例としては、塩化アルミニウム、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスPEG、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスPG、アルミニウムクロロハイドレックスPEG、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムクロロハイドレックスPG、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレックスGLY、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、アルミニウムセスキクロロハイドレート、重炭酸ナトリウム、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPEG、クロロフィリン-銅錯体、トリクロサン、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、リシノール酸亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0162】
特定の実施形態では、パーソナルケア成分は、スキンケア成分を含む。組成物の調製に使用する場合、スキンケア成分は、典型的には、水相安定剤、化粧品用殺生物剤、コンディショニング剤(シリコーン、カチオン性コンディショニング剤、疎水性コンディショニング剤等であり得る)、皮膚軟化剤、保湿剤、着色剤、染料、紫外線(UV)吸収剤、日焼け防止剤、酸化防止剤、芳香剤、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗老化有効成分(antiaging actives)、抗ニキビ剤、美白剤、顔料、防腐剤、pH調整剤、電解質、キレート剤、植物抽出物、ボタニカル(botanical)抽出物、皮脂吸収剤、皮脂コントロール剤、ビタミン、ワックス、界面活性剤、洗剤、乳化剤、増粘剤、噴射剤ガス、皮膚保護剤、フィルム形成ポリマー、光散乱剤、及びこれらの組み合わせから選択される。これらの実施形態のいくつかでは、組成物は、使用される特定のパーソナルケア成分に基づいて、スキンケア組成物、化粧品組成物、日焼け防止剤、シャワージェル、石鹸、ヒドロゲル、クリーム、ローション、バルム、ファンデーション、口紅、アイライナー、キューティクルコート、ほお紅等と呼ばれる場合がある。このようなスキンケア成分の様々な種について、当業者に既知の同様及び代替的な種と共に以下に記載する。
【0163】
皮膚軟化剤の例としては、揮発性又は不揮発性シリコーン油;ポリプロピルシルセスキオキサン及びフェニルトリメチコン等のシリコーン樹脂;ジメチコンクロスポリマー等のシリコーンエラストマー;C30~45アルキルメチコン等のアルキルメチルシロキサン、スクアレン、パラフィン油、ペトロラタム油及びナフタレン油等の揮発性又は不揮発性の炭化水素化合物;水素添加又は部分水素添加ポリイソブテン;イソエイコサン;スクアラン;イソパラフィン;イソドデカン;イソデカン又はイソヘキサデカン;分岐状C~C16エステル、イソヘキシルネオペンタノエート;イソノニルイソノナノエート、セトステアリルオクタノエート、イソプロピルミリステート、パルミチン酸誘導体(例えば、パルミチン酸デキストリン)、ステアリン酸誘導体、リンゴ酸ジイソステアリル、イソステアリルイソステアレート、及びアルコール若しくはポリアルコールのヘプタノエート、オクタノエート、デカノエート、若しくはリシノレート、又はこれらの混合物、等といったエステル油;小麦胚芽、ヒマワリ、ブドウ種子、ヒマシ、シア、アボカド、オリーブ、ダイズ、スイートアーモンド、ヤシ、菜種、綿実、ヘーゼルナッツ、マカダミア、ホホバ、クロフサスグリ、オオマツヨイグサ等の植物由来の炭化水素油;又はカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド;オレイン酸、リノール酸若しくはリノレン酸等の高級脂肪酸;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0164】
ワックスの例としては、蜜蝋、ラノリンワックス、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、オゾケライト、ポリエチレンワックス、合成ワックス、セレシン、ラノリン、ラノリン誘導体、カカオバター、セラックワックス、ぬかワックス、カポックワックス、サトウキビワックス、モンタンワックス、クジラワックス、ヤマモモワックス、シリコーンワックス(例えばポリメチルシロキサンアルキル、アルコキシ、及び/又はエステル、C30~45のアルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン)、ステアリルジメチコン、アルキルメチルシロキシ単位中に長鎖アルキル基を含むアルキルメチルシロキサン等の炭化水素ワックス、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0165】
保湿剤の例としては、プロピレングリコール及びブチレングリコール等の低分子量脂肪族ジオール;グリセリン及びソルビトール等のポリオール、並びにポリエチレングリコール200等のポリオキシエチレンポリマー;ヒアルロン酸及びその誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0166】
増粘剤の例としては、アクリルアミドコポリマー、アクリレートコポリマー及びその塩(ナトリウムポリアクリレート等)、キサンタンガム及び誘導体、セルロースガム及びセルロース誘導体(メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロース等)、デンプン及びデンプン誘導体(ヒドロキシエチルアミロース及びデンプンアミラーゼ等)、ポリオキシエチレン、カルボマー、アルギネート(ナトリウムアルギネート等)、アラビアガム、カシアガム、イナゴマメガム、スクレログルカンガム、ジェランガム、ランサムガム(rhamsan gum)、カラヤガム、カラギーナンガム、グアーガム及びグアーガム誘導体、コカミド誘導体(コカミドプロピルベタイン及びコカミドMIPAを含む)、アルキルアルコール(セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びその他の脂肪アルコール等)、ゼラチン、PEG-誘導体、糖類(例えば、フルクトース、グルコース等)及び糖類誘導体(PEG-120メチルグルコースジオレート等)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0167】
水相安定剤の例としては、電解質(例えば、アルカリ金属塩及びアルカリ土類塩、特に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの、クロライド、ホウ酸塩、クエン酸塩及び硫酸塩、並びにアルミニウムクロロハイドレート、及び高分子電解質、特に、ヒアルロン酸及びヒアルロン酸ナトリウム)、ポリオール(グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及びソルビトール)、アルコール(エチルアルコール等)、及びハイドロコロイド、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0168】
pH調整剤の例としては、任意の水溶性酸(例えばカルボン酸等)、又は鉱酸(例えば、塩酸、硫酸及びリン酸等)、モノカルボン酸(例えば、酢酸及び乳酸等)、及びポリカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、及びクエン酸等)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0169】
防腐剤及び化粧品用殺生物剤の例としては、パラベン誘導体(例えばメチルパラベン、プロピルパラベン)、ヒダントイン誘導体、クロロヘキシジン及びその誘導体、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、フェノキシエタノール、銀誘導体、サリチレート誘導体、トリクロサン、シクロピロックスオラミン、ヘキサミジン、オキシキノリン及びその誘導体、PVP-ヨード、亜鉛塩及び誘導体(亜鉛ピリチオン等)、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0170】
皮脂吸収剤又は皮脂調整剤の例としては、シリカシリレート、シリカジメチルシリレート、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ポリメチルメタクリレート、架橋メチルメタクリレート、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0171】
顔料及び着色剤の例としては、表面処理又は未処理酸化鉄、表面処理又は未処理二酸化チタン、表面処理又は未処理雲母、酸化銀、ケイ酸塩、酸化クロム、カロテノイド、カーボンブラック、ウルトラマリン、クロロフィリン誘導体、及び黄土が挙げられる。有機顔料の例としては、D&C及びFD&C青色、褐色、緑色、橙色、赤色、黄色等として指定される、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチン染料を含む芳香族型、並びにこれらの混合物が挙げられる。表面処理剤としては、レシチン、シリコーン、シラン、フルオロ化合物及びこれらの混合物に基づく処理剤が挙げられる。
【0172】
シリコーンコンディショニング剤の例としては、ジメチコン等のシリコーン油;ジメチコノール等のシリコーンガム;トリメチルシロキシシリケート、ポリプロピルシルセスキオキサン等のシリコーン樹脂;シリコーンエラストマー;アルキルメチルシロキサン;アモジメチコン、アミノプロピルフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、シリコーンクオタニウム-16/グリシドキシジメチコンクロスポリマー、シリコーンクオタニウム-16等の有機変性シリコーン油、糖類官能性シロキサン;カルビノール官能性シロキサン;シリコーンポリエーテル;シロキサンコポリマー(ジビニルジメチコン/ジメチコンコポリマー)、アクリレート又はアクリル官能性シロキサン、及びこれらの混合物又はエマルジョンが挙げられる。
【0173】
カチオン性コンディショニング剤の例としては、グアーガムのヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム誘導体等のグアー誘導体;カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体;セルロースエーテルの第四級窒素誘導体;ジメチルジアリルアンモニウムクロライドのホモポリマー;アクリルアミド及びジメチルジアリルアンモニウムクロライドのコポリマー;エステル又はアミド結合によってポリマーに結合するカチオン性窒素官能基を含むアクリル酸又はメタクリル酸から誘導されたホモポリマー又はコポリマー;脂肪族アルキルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースのポリマー第四級アンモニウム塩、N,N’-ビス-(2,3-エポキシプロピル)-ピペラジン又はピペラジン-ビス-アクリルアミド及びピペラジンの重縮合生成物、並びにビニルピロリドンと第四級窒素官能基を有するアクリル酸エステルとのコポリマーが挙げられる。具体的な材料としては、様々なポリクアット(polyquats)、例えば、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、及びポリクオタニウム-23が挙げられる。他の種類のコンディショナーとしては、カチオン性界面活性剤、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド及びステリアルトリメチルアンモニウムクロライド等、及びこれらの混合物が挙げられる。場合によっては、カチオン性コンディショニング剤はまた、例えば、疎水化変性第四級化ヒドロキシエチルセルロースポリマー、カチオン性疎水化変性ガラクトマンナンエーテル、及びこれらの混合物等、疎水的に変性されたものである。
【0174】
疎水性コンディショニング剤の例としては、グアー誘導体、ガラクトマンナンガム誘導体、セルロース誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0175】
UV吸収剤及び日焼け防止剤としては、290~320ナノメートルの紫外線(UV-B領域)を吸収するもの、及び320~400ナノメートルの紫外線(UV-A領域)を吸収するものが挙げられる。
【0176】
日焼け防止剤のいくつかの例は、アミノ安息香酸、シノキセート、ジエタノールアミンメトキシシンナメート、ジガロイルトリオレエート、ジオキシベンゾン、エチル4-[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、グリセリルアミノベンゾエート、ホモサレート、ジヒドロキシアセトンを有するローソン、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、エチルヘキシルメトキシシンナメート(又はオクチルメトキシシンナメート)、オクチルサリチレート(又はエチルヘキシルサリチレート)、オキシベンゾン、パラジメートO、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、赤色ワセリン、スリソベンゾン、二酸化チタン、トロラミンサリチレート、及びこれらの混合物である。
【0177】
UV吸収剤のいくつかの例は、アセトアミノサロール、アラントイン(allatoin)PABA、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン1-12,3-ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファー加水分解コラーゲンスルホンアミド、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンジルサリチレート、ボルネロン(bornelone)、ブメトリオゾール(bumetriozole)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ブチルPABA、セリア/シリカ、セリア/シリカタルク、シノキセート、DEA-メトキシシンナメート、ジベンゾオキサゾールナフタレン、ジ-t-ブチルヒドロキシベンジリデンカンファー、ジガロイルトリオレエート、ジイソプロピルメチルシンナメート、ジメチルPABAエチルセテアリールジイモニウムトシレート、ジオクチルブタミドトリアゾン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、ビスエチルフェニルトリアミノトリアジン(tiamminotriazine)スチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルジイソプロピルシンナメート、エチルメトキシシンナメート、エチルPABA、ウロカニン酸エチル、エトロクリレンフェルラ酸、グリセリルオクタノエートジメトキシシンナメート、グリセリルPABA、グリコールサリチレート、ホモサレート、イソアミルp-メトキシシンナメート、イソプロピルベンジルサリチレート、イソプロピルジベンゾリルメタン、イソプロピルメトキシシンナメート、オクチルメトキシシンナメート、メンチルアントラニレート、メンチルサリチレート、4-メチルベンジリデン、カンファー、オクトクリレン、オクトリゾール、オクチルジメチルPABA、エチルヘキシルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オクチルトリアゾン、PABA、PEG-25PABA、ペンチルジメチルPABA、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、メトキシケイ皮酸カリウム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸カリウム、赤色ワセリン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム、ウロカニン酸ナトリウム、TEA-フェニルベンゾイミダゾールスルホネート、TEA-サリチレート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、二酸化チタン、トリPABAパンテノール、ウロカニン酸、VA/クロトネート/メタクリロキシベンゾフェノン-1コポリマー、及びこれらの混合物である。
【0178】
皮膚保護剤の例としては、アラントイン、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カラミン、カカオバター、タラ肝油、コロイド状オートミール、ジメチコン、グリセリン、カオリン、ラノリン、鉱油、ワセリン、サメ肝油、重炭酸ナトリウム、タルク、ウィッチヘーゼル、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0179】
染料の例としては、1-アセトキシ-2-メチルナフタレン、酸性染料、5-アミノ-4-クロロ-o-クレゾール、5-アミノ-2,6-ジメトキシ-3-ヒドロキシピリジン、3-アミノ-2,6-ジメチルフェノール、2-アミノ-5-エチルフェノールHCl、5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルフェノールサルフェート、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソールサルフェート、2-アミノ-5-ニトロフェノール、4-アミノ-2-ニトロフェノール、4-アミノ-3-ニトロフェノール、2-アミノ-4-ニトロフェノールサルフェート、m-アミノフェノールHCl、p-アミノフェノールHCl、m-アミノフェノール、o-アミノフェノール、4,6-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-m-フェニレンジアミンHCl、2,6-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ピリジンジアミンHCl、2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノール、2-クロロ-5-ニトロ-N-ヒドロキシエチルp-フェニレンジアミン、2-クロロ-p-フェニレンジアミン、3,4-ジアミノ安息香酸、4,5-ジアミノ-1-((4-クロロフェニル)メチル)-1H-ピラゾール-サルフェート、2,3-ジアミノジヒドロピラゾロピラゾロンジメトスルホネート、2,6-ジアミノピリジン、2,6-ジアミノ-3-((ピリジン-3-イル)アゾ)ピリジン、ジヒドロキシインドール、ジヒドロキシインドリン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミンサルフェート、直接染料、4-エトキシ-m-フェニレンジアミンサルフェート、3-エチルアミノ-p-クレゾールサルフェート、N-エチル-3-ニトロPABA、グルコンアミドプロピルアミノプロピルジメチコン、ヘマトキシロンブラジレット木材抽出物、HC染料、ローソニアイネルミス(ヘナ)抽出物、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリンHCl、ヒドロキシエチル-2-ニトロ-p-トルイジン、ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミンサルフェート、2-ヒドロキシエチルピクラミン酸、ヒドロキシピリジノン、ヒドロキシスクシンイミジルC21~C22イソアルキルアシデート(acidate)、イサチン、ホソバタイセイ(Insatis Tinctoria)葉粉末、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミンサルフェート、2-メトキシ-p-フェニレンジアミンサルフェート、6-メトキシ-2,3-ピリジンジアミンHCl、4-メチルベンジル4,5-ジアミノピラゾールサルフェート、2,2’-メチレンビス4-アミノフェノール、2,2’-メチレンビス-4-アミノフェノールHCl、3,4-メチレンジオキシアニリン、2-メチルレゾルシノール、メチルロザニリニウムクロライド、1,5-ナフタレンジオール、1,7-ナフタレンジオール、3-ニトロ-p-クレゾール、2-ニトロ-5-グリセリルメチルアニリン、4-ニトログアイアコール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2-ニトロ-N-ヒドロキシエチル-p-アニシジン、ニトロフェノール、4-ニトロフェニルアミノエチル尿素、4-ニトロ-o-フェニレンジアミンジヒドロクロリド、2-ニトロ-p-フェニレンジアミンジヒドロクロリド、4-ニトロ-o-フェニレンジアミンHCl、4-ニトロ-m-フェニレンジアミン、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、4-ニトロ-m-フェニレンジアミンサルフェート、4-ニトロ-o-フェニレンジアミンサルフェート、2-ニトロ-p-フェニレンジアミンサルフェート、6-ニトロ-2,5-ピリジンジアミン、6-ニトロ-o-トルイジン、PEG-3 2,2’-ジ-p-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミンHCl、p-フェニレンジアミンサルフェート、フェニルメチルピラゾロン、N-フェニル-p-フェニレンジアミンHCl、ピグメントブルー15:1、ピグメントバイオレット23、ピグメントイエロー13、ピロカテコール、ピロガロール、レゾルシノール、ピクラミン酸ナトリウム、スルファニル酸ナトリウム、ソルベントイエロー85、ソルベントイエロー172、テトラアミノピリミジンサルフェート、テトラブロモフェノールブルー、2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノールサルフェート、1,2,4-トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。
【0180】
香料の例としては、香料ケトン、及び香料アルデヒドが挙げられる。香料ケトンを例示すると、ブッコキシム、イソジャスモン、メチルベータナフチルケトン、じゃ香インダノン、トナリド/じゃ香プラス、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、イソ-ダマスコン、ダマセノン、ダマローズ(Damarose)、ジヒドロジャスモン酸メチル、メントン、カルボン、カンファー、フェンコン、α-イオノン、β-イオノン、γ-メチル、いわゆるイオノン、フル-ラモン(Fleuramone)、ジヒドロジャスモン、シス-ジャスモン、イソ-E-スーパー、メチル-セドレニル-ケトン又はメチル-セドリロン(Cedrylone)、アセトフェノン、メチル-アセトフェノン、パラ-メトキシ-アセトフェノン、メチル-ベータ-ナフチル-ケトン、ベンジル-アセトン、ベンゾフェノン、パラ-ヒドロキシ-フェニル-ブタノン、セロリケトン又はライブスコン(Livescone)、6-イソプロピルデカハイドロ-2-ナフトン、ジメチル-オクテノン、フレスコメンテ(Freskomenthe)、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5,-テトラメチル-シクロヘキサノン、メチル-ヘプテノン、2-(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル)-シクロペンタノン、1-(p-メンテン-6(2)-イル)-1-プロパノン、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-ブタノン、2-アセチル-3,3-ジメチル-ノルボルネン(Norbornane)、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、4-ダマスコール、ドルシニル(Dulcinyl)又はカッシオン(Cassione)、ゲルソン(Gelsone)、ヘキサロン(Hexylon)、イソシクレモン(Isocyclemone)E、メチルシクロシトロン、メチル-ラベンダー-ケトン、オリボン(Orivon)、パラ-三級-ブチル-シクロヘキサノン、ヴェルドーネ、デルホン(Delphone)、ムスコン、ネオブテノン(Neobutenone)、プリカトン(Plicatone)、ベロウトン(Veloutone)、2,4,4,7-テトラメチル-オクタ-6-エン-3-オン、及びテトラメラン(Tetrameran)である。芳香剤は、植物の花、種子、葉、及び/又は根、海藻等から誘導又は抽出され得る。芳香剤は、例えば、動物から、分泌腺から抽出することができ、ムスク又はマッコウクジラ油であってもよい。芳香剤は、例えばメントール、アセテート、バニラ等、人工的に合成されたものであってもよい。
【0181】
具体的な実施形態では、香料ケトンは、α-ダマスコン、δ-ダマスコン、イソダマスコン、カルボン、γ-メチル-イオノン、イソ-E-スーパー、2,4,4,7-テトラメチル-オクタ-6-エン-3-オン、ベンジルアセトン、βダマスコン、ダマセノン、メチルジヒドロジャスモネート、メチルセドリロン(methyl cedrylone)、及びこれらの混合物から、臭気特性のため選択される。
【0182】
具体的な実施形態では、香料アルデヒドは、アドキサール、アニスアルデヒド、サイマール、エチルバニリン、フロールヒドラル(florhydral)、ヘリオナル、ヘリオトロピン、ヒドロキシシトロネラール、コアボン(koavone)、ラウリンアルデヒド、リラール、メチルノニルアセトアルデヒド、P.T.ブシナール、フェニルアセトアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、バニリン、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、3-ドデセン-1-アール、α-n-アミルシンナミックアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、3-(4-tertブチルフェニル)-プロパナール、2-メチル-3-(パラ-メトキシフェニルプロパナール、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2(1)-シクロヘキセン-1-イル)ブタナール、3-フェニル-2-プロペナール、シス-/トランス-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール、3,7-ジメチル-6-オクテン-1-アール、[(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシ]アセトアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド、1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、2-メチル-3-(イソプロピルフェニル)プロパナール、1-デカナール、デシルアルデヒド、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、4-(トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]-デシリデン-8)-ブタナール、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンカルボキシアルデヒド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、パラ-エチル-α,α-ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、α-メチル-3,4-(メチレンジオキシ)-ヒドロシンナムアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、α-n-ヘキシルシンナミックアルデヒド、m-シメン-7-カルボキシアルデヒド、α-メチルフェニルアセトアルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、ウンデセナール、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、4-(3)(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-カルボキシアルデヒド、1-ドデカナール、2,4-ジメチルシクロヘキセン-3-カルボキシアルデヒド、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-1-アール、2-メチルウンデカナール、2-メチルデカナール、1-ノナナール、1-オクタナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、2-メチル-3-(4-tertブチル)プロパナール、ジヒドロシンナミックアルデヒド、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、5又は6メトキシ10ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1又は2-カルボキシアルデヒド、3,7-ジメチルオクタン-1-アール、1-ウンデカナール、10-ウンデセン-1-アール、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、1-メチル-3-(4-メチルペンチル)-3-シクルヘキセン(cyclhexene)カルボキシアルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール、トランス-4-デセナール、2,6-ノナジエナール、パラトリルアセトアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、オルト-メトキシシンナミックアルデヒド、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、3,7-ジメチル-2-メチレン-6-オクテナール、フェノキシアセトアルデヒド、5,9-ジメチル-4,8-デカジエナール、ピオニーアルデヒド(peony aldehyde)(6,10-ジメチル-3-オキサ-5,9-ウンデカジエン-1-アール)、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1-カルボキシアルデヒド、2-メチルオクタナール、α-メチル-4-(1-メチルエチル)ベンゼンアセトアルデヒド、6,6-ジメチル-2-ノルピネン-2-プロピオンアルデヒド、パラメチルフェノキシアセトアルデヒド、2-メチル-3-フェニル-2-プロペン-1-アール、3,5,5-トリメチルヘキサナール、ヘキサヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド、3-プロピル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタ-5-エン-2-カルボアルデヒド、9-デセナール、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタナール、メチルノニルアセトアルデヒド、ヘキサナール、トランス-2-ヘキセナール、1-p-メンテン-q-カルボキシアルデヒド、及びこれらの混合物から、臭気特性のため選択される。
【0183】
酸化防止剤の例は、アセチルシステイン、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ポリペプチド、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコルビン酸メチルシラノールペクチネート、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、BHA、p-ヒドロキシアニソール、BHT、t-ブチルヒドロキノン、カフェー酸、チャノキ油、キトサンアスコルベート、キトサングリコレート、キトサンサリチレート、クロロゲン酸、システイン、システインHCl、デシルメルカプトメチルイミダゾール、エリソルビン酸、ジアミルヒドロキノン、ジ-t-ブチルヒドロキノン、ジセチルチオジプロピネート、ジシクロペンタジエン/t-ブチルクレゾールコポリマー、ジガロイルトリオレエート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジオレイルトコフェリルメチルシラノール、イソクエルシトリン、ジオスミン、アスコルビン酸硫酸二ナトリウム、ルチニル二硫酸二ナトリウム、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ドデシルガレート、エチルフェルレート、フェルラ酸、ヒドロキノン、ヒドロキシルアミンHCl、ヒドロキシルアミンサルフェート、イソオクチルチオグリコレート、コウジ酸、マデカシコシド(madecassicoside)、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、メラトニン、メトキシ-PEG-7ルチニルスクシネート、メチレンジ-t-ブチルクレゾール、メチルシラノールアスコルベート、ノルジヒドログアイアレチン酸、オクチルガレート、フェニルチオグリコール酸、フロログルシノール、アスコルビン酸トコフェリルリン酸カリウム、チオジグリコールアミド、亜硫酸カリウム、プロピルガレート、ロスマリン酸、ルチン、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸/コレステリルリン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エリトルビン酸ナトリウム、メタ二硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ソルビチルフルフラール、ティーツリー(Melaleuca aftemifolia)油、トコフェリルアセテート、テトラヘキシルデシルアスコルベート、テトラヒドロジフェルロイルメタン、トコフェリルリノレート/オレエート、チオジグリコール、トコフェリルスクシネート、チオジグリコール酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、チオタウリン、レチノール、トコフェレス-5、トコフェレス-10、トコフェレス-12、トコフェレス-18、トコフェレス-50、トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルリノレート、トコフェリルニコチネート、トコキノン、o-トリルビグアニド、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ユビキノン、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、及びこれらの混合物である。
【0184】
噴射剤ガスの例としては、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、揮発性炭化水素(ブタン、イソブタン、又はプロパン等)、並びにジクロロジフルオロメタン及びジクロロテトラフルオロエタン等の塩素化又はフッ素化炭化水素、又はジメチルエーテル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0185】
具体的な実施形態では、組成物は日焼け止めである。これらの実施形態では、パーソナルケア成分は、この日焼け防止剤を含む。日焼け防止剤は、例えば、日焼け止め添加剤、SPFブースタ、光安定剤、フィルム形成ポリマー等であり得る。日焼け防止剤は、更に又は代替的に、サンレスタンニング用途において使用することもできる。日焼け防止剤の具体例は、上記のものである。
【0186】
他の実施形態では、パーソナルケア成分は、毛髪ケア(ヘアケア)成分を含む。これらの実施形態では、組成物は、ヘアケア組成物とも称され得る。組成物の調製に使用する場合、ヘアケア成分は、典型的には、コンディショニング剤(シリコーン、カチオン性コンディショニング剤、疎水性コンディショニング剤等であってよい)、着色剤、染料、紫外線(UV)吸収剤、防腐剤、植物抽出物、脂肪アルコール、ビタミン、香料、抗フケ剤、カラーケア添加剤、真珠光沢(pearlising)剤、pH調整剤、電解質、キレート剤、スタイリング剤、セラミド、アミノ酸誘導体、懸濁剤、界面活性剤、洗剤、乳化剤、増粘剤、酸化剤、還元剤、フィルム形成ポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される。これらの毛髪ケア実施形態のうちのいくつかでは、組成物は、シャンプー、リンス・オフ・コンディショナー、リーブ・イン・コンディショナー、ジェル、ポマード、セラム、スプレー、着色製品、又はマスカラとも称され得る。これらのヘアケア成分の多くの例を、好適なパーソナルケア成分として上記した。
【0187】
酸化剤の例は、過硫酸アンモニウム、過酸化カルシウム、過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化メラミン、臭素酸カリウム、カロ酸カリウム、塩素酸カリウム、過硫酸カリウム、臭素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム過酸化物、塩素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、過ホウ素酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、二酸化ストロンチウム、過酸化ストロンチウム、過酸化尿素、過酸化亜鉛、及びこれらの混合物である。
【0188】
還元剤の例は、重亜硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、チオグリコール酸アンモニウム、チオ乳酸アンモニウム、システアミン(cystemaine)HCl、システイン、システインHCl、エタノールアミンチオグリコレート、グルタチオン、グリセリルチオグリコレート、グリセリルチオプロピオネート、ヒドロキノン、p-ヒドロキシアニソール、イソオクチルチオグリコレート、チオグリコール酸マグネシウム、メルカプトプロピオン酸、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、チオグリコール酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸ストロンチウム、スーパーオキサイドジスムターゼ、チオグリセリン、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシレート、及びこれらの混合物である。
【0189】
ふけ防止剤の例としては、ピリジンチオン塩、セレン化合物(例えば、二硫化セレン)、及び可溶性ふけ防止剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0190】
他の実施形態では、パーソナルケア成分は、ネイルケア成分を含む。これらの実施形態では、組成物は、ネイルケア組成物とも称され得る。組成物の調製に使用される場合、ネイルケア成分は、例えば、ネイルポリッシュ、ネイルジェル、ネイルチップ、アクリルフィニッシュ等といったネイルケア組成物に使用される任意の成分であり得る。このようなネイルケア成分の例としては、顔料、樹脂、溶媒、揮発性ハロゲン化合物(例えばメトキシノナフルオロブタン及び/又はエトキシノナフルオロブタン)等が挙げられる。
【0191】
より具体的には、ネイルケア成分の例としては、ブチルアセテート、酢酸エチル、ニトロセルロース、アセチルクエン酸トリブチル、イソプロピルアルコール、アジピン酸/ネオペンチルグリコール/無水トリメリト酸コポリマー、ステアラルコニウムベントナイト、アクリレートコポリマー、パントテン酸カルシウム、エイランタイ(Cetraria islandica)抽出物、コンドルスクリプス、スチレン/アクリレートコポリマー、トリメチルペンタンジイルジベンゾエート-1、ポリビニルブチラール、N-ブチルアルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、雲母、シリカ、酸化スズ、ホウケイ酸カルシウム、合成フッ素金雲母、ポリエチレンテレフタレート、ソルビタンラウレート誘導体、タルク、ホホバ抽出物、ダイアモンド粉末、イソブチルフェノキシエポキシ樹脂、シルク粉末、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0192】
他の実施形態では、パーソナルケア成分は、歯ケア成分を含む。これらの実施形態では、組成物は、歯ケア組成物とも称され得る。そのような歯ケア組成物の1つの具体例は、歯磨き粉である。歯ケア組成物の別の例は、歯の美白用組成物である。歯ケア成分は、歯ケア組成物に好適な任意の歯ケア成分、例えば、研磨化合物(例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、ゼオライト)、フルオライド化合物、界面活性剤、風味剤、再石灰化剤、抗菌剤等であってもよい。
【0193】
特定の実施形態では、パーソナルケア成分は、組成物がスキンケア又はヘアケア等のいずれに使用される場合であっても、パーソナルケア成分として使用され得る、フィルム形成ポリマーを含む。本明細書で使用するとき、「フィルム形成ポリマー」は、そのものが、又は任意選択的にフィルム形成剤の存在下で、基質上にフィルムの形成可能なポリマー又はオリゴマーを意味する。フィルム形成ポリマーは、例えば、加熱、周囲条件への曝露、等といった、硬化条件の適用時にフィルムを形成し得る。代替的に、フィルム形成ポリマーは、フィルム形成ポリマーが任意選択的に処理され得る任意の担体ビヒクルの蒸発時に、フィルムを形成することができる。フィルム形成ポリマーは、フィルムを形成する際に、例えば、フィルム形成ポリマーが架橋され得る、又はさもなければ更なる結合を含み得る、反応にかけられてもよい。しかし、このような反応なしで、フィルム形成ポリマーは、フィルムを形成し得る。フィルム形成ポリマーは、ゲル化剤であり得る。フィルム形成ポリマーは、組成物が日焼け防止剤である場合に特に有利であるものの、パーソナルケア成分は、他の組成物においてもフィルム形成ポリマーを同様に含み得る。
【0194】
フィルムが形成される基質は任意の基質であってもよいが、処置方法について以下詳細に記載するとおり、基質は、一般的には哺乳動物、特にヒトの一部分である。好適な基質の具体例としては、皮膚(スキン)、毛髪(ヘア)、及び爪(ネイル)が挙げられる。
【0195】
一般に、フィルムは、連続しているが、フィルムは、様々な厚さを有し得る。「連続」とは、フィルムがなんら開口部を定めないことを意味する。フィルムは、肉眼的に連続しているとして称され得る。フィルムは、基質により支持されてよく、又は例えば、物理的及び/又は化学的に基質に結合されてよい。特定の実施形態では、このフィルムは任意選択的に基質から取り外し可能なものであり、例えば、フィルムは基質から剥離可能なものであり得る。フィルムは、基質からの分離時に損傷させずに自立フィルムのまま保つことができ、又はフィルムの連続性を損ない得る及び/又は破壊し得る剪断を加えて分離されてもよい。
【0196】
好適なフィルム形成ポリマーの具体例としては、アクリルポリマー、シリコーン樹脂(例えばポリプロピルシルセスキオキサン)、ポリウレタン、ポリウレタン-アクリル、ポリエステル、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステルアミド、アルキド、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレア-ポリウレタン、セルロース系ポリマー(例えば、ニトロセルロース)、シリコーン、アクリル-シリコーン、ポリアクリルアミド、フルオロポリマー、ポリイソプレン、及びこれらの任意のコポリマー若しくはターポリマー、又はこれらのうちの1つを含むものが挙げられる。好適なフィルム形成ポリマーについて本明細書で使用するとき、「シリコーン」という用語は、直鎖状、分岐状、及び樹脂シリコーンを含むが、樹脂シリコーンは、一般的に、ポリマーではなくシリコーン樹脂と称される。シリコーンは変性されていてもよく、例えばシリコーンは、シリコーングラフトアクリルポリマーであってもよい。
【0197】
上に記載したとおり、フィルム形成ポリマーは、フィルム形成ポリマーを一部又は完全に溶解可能であり得る担体ビヒクル中に配置され得る。フィルム形成ポリマーの選択により、担体ビヒクルは、例えば、油、例えば有機油及び/又はシリコーン油、溶媒、水等であり得る。フィルム形成ポリマーは、任意選択的に少なくとも1種の安定剤により表面が安定化されているポリマー粒子の形態であってよく、ポリマー粒子は、分散体又はエマルジョンとして存在し得る。
【0198】
フィルム形成ポリマーは、スチレンを含まないものであり得るブロックポリマーであってよい。典型的には、ブロックポリマーは、少なくとも1つの第1のブロックと、少なくとも1つの第2のブロックとを含み、これらのブロックは、第1のブロックの少なくとも1つの構成モノマーと、第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーとを含む、中間体ブロックにより共に連結されていてよい。一般に、第1及び第2のブロックのガラス転移温度は互いに異なる。
【0199】
ブロックポリマーの調製に使用できるモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート、メチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、シクロデシルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、イソデシルアクリルアミド2-エチルヘキシルアクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0200】
具体的な実施形態では、フィルム形成ポリマーは、フリーラジカル重合を介して得られ又は生成され得る。例えば、少なくとも1種のアクリルモノマーと、重合性末端基を含む少なくとも1種のシリコーン又は炭化水素系マクロモノマーとを、フリーラジカル重合させて、フィルム形成ポリマーを生成することもできる。
【0201】
炭化水素系マクロモノマーの具体例としては、直鎖状又は分岐状のC~C22のアルキルアクリレート又はメタクリレートの、ホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。重合性末端基は、ビニル基又は(メタ)アクリレート基であってもよく、例えば、ポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)マクロモノマー、ポリ(ドデシルアクリレート)又はポリ(ドデシルメタクリレート)マクロモノマー、ポリ(ステアリルアクリレート)又はポリ(ステアリルメタクリレート)マクロモノマー等であってもよい。そのようなマクロモノマーは、一般的に重合性末端基として1つの(メタ)アクリレート基を含む。
【0202】
炭化水素系マクロモノマーの更なる例としては、(重合性末端基として)エチレン性不飽和末端基、例えば(メタ)アクリレート末端基を含む、ポリオレフィンが挙げられる。そのようなポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレンマクロモノマー、ポリプロピレンマクロモノマー、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーマクロモノマー、ポリエチレン/ポリブチレンコポリマーマクロモノマー、ポリイソブチレンマクロモノマー、ポリブタジエンマクロモノマー、ポリイソプレンマクロモノマー、ポリブタジエンマクロモノマー、及びポリ(エチレン/ブチレン)-ポリイソプレンマクロモノマーが挙げられる。
【0203】
シリコーン系マクロモノマーの例としては、重合性末端基、例えば(メタ)アクリレート末端基を含むオルガノポリシロキサンが挙げられる。オルガノポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、部分的に分岐状、又は樹脂であってよい。様々な実施形態では、オルガノポリシロキサンは直鎖状である。これらの実施形態では、オルガノポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンであってもよいが、メチル基以外の炭化水素基がメチル基と共に又はメチル基の代わりに存在してもよい。典型的には、重合性末端基は末端であるが、重合性末端基は任意選択的にペンダントであってもよい。シリコーン系マクロモノマーの1つの具体例は、モノメタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサンである。
【0204】
特定の実施形態では、フィルム形成ポリマーは、担体ビヒクルとしての油に可溶性である有機のフィルム形成ポリマーである。これらの実施形態では、フィルム形成ポリマーは、脂溶性ポリマーと称され得る。脂溶性ポリマーは任意のタイプのものであってよく、それらの具体例としては、オレフィン、シクロオレフィン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルアミド、(メタ)アクリル酸エステル若しくはアミド等を含むもの、又はこれらから形成されたものが挙げられる。
【0205】
一実施形態では、脂溶性ポリマーは、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーから形成される。
【0206】
代替的に更に、脂溶性ポリマーは、典型的には、シリコーン主鎖と、アクリルグラフトと、を含むか、又は代替的にアクリル主鎖と、シリコーングラフトと、を含む、アクリル-シリコーングラフトポリマーであり得る。
【0207】
フィルム形成ポリマーは、ハロゲン化されていてもよく、例えば、フィルム形成ポリマーは、フッ素原子を含んでいてもよい。
【0208】
代替的に上に記載したとおり、フィルム形成ポリマーは、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、又はエチルセルロース等のセルロース系ポリマーであってもよい。代替的に更に、フィルム形成ポリマーは、ポリウレタン、アクリルポリマー、ビニルポリマー、ポリビニルブチラール、アルキド樹脂、又はアリールスルホンアミド-ホルムアルデヒド樹脂等のアルデヒド縮合生成物由来の樹脂を含み得る。
【0209】
更に、上に記載したとおり、フィルム形成ポリマーはシリコーンを含んでもよく、直鎖状、分岐状、及び樹脂であり得る。樹脂シリコーンは、一般的に、当業界で理解されるとおり、少なくとも1つのT及び/又はQ単位を含む。樹脂シリコーンの例としては、シルセスキオキサンが挙げられる。シリコーンは、フィルム形成ポリマーを構成するのであれば、M、D、T、及びQ単位の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0210】
フィルム形成ポリマーがシリコーンを含む場合、フィルム形成ポリマーは両親媒性シリコーンを含んでいてもよい。両親媒性シリコーンは、典型的には、シリコーン媒体と相溶性のあるシリコーン部分と親水性部分とを含む。親水性部分は、例えば、ヒドロキシル基を1~12個有するアルコール及びポリオール、並びにポリオキシアルキレン(例えば、オキシプロピレン単位及び/又はオキシエチレン単位を含むもの)から選択される化合物の残基であり得る。
【0211】
両親媒性シリコーンは、ゲル化有効成分を有するか、又は有しない油であり得る。この種の油は、例えば、ジメチコンコポリオール、ビスヒドロキシエトキシプロピルジメチコン等を含み得る。
【0212】
一実施形態では、フィルム形成ポリマーは、シリコーン有機エラストマーゲルを含む。シリコーン有機エラストマーゲルは、ポリオキシアルキレンにより架橋された直鎖状オルガノポリシロキサン鎖を含む。シリコーン有機エラストマーゲルは、直鎖状オルガノポリシロキサン鎖からペンダントとして延びている親水性ポリエーテル官能性を更に含んでいてもよい。好適なシリコーン有機エラストマーゲルの具体例は、国際出願(PCT)番号PCT/US2010/020110号に開示されている。
【0213】
様々な実施形態では、パーソナルケア成分は、パーソナルケア有効成分、ヘルスケア有効成分、又はこれらの組み合わせ(まとめて「有効成分(active又はactives)」)を含んでよく、又はそれらとして呼称され得る。本明細書で使用するとき、「パーソナルケア有効成分」は、パーソナルケア処方物中の添加剤として当該技術分野において既知であり、典型的には、化粧及び美容上の利点をもたらす、任意の化合物、又は化合物の混合物を意味する。「ヘルスケア有効成分」は、薬学的又は医学的利点をもたらすことが当該技術分野において既知である、任意の化合物又は化合物の混合物を意味する。したがって、「ヘルスケア有効成分」としては、一般的に使用され、the Code of Federal Regulations,Parts200-299及びParts300-499のTitle 21,Chapter Iに記されるthe United States Department of Health&Human Services Food and Drug Administrationに定義される有効成分、又は薬物有効成分と考えられる材料が挙げられる。具体的なパーソナルケア有効成分及びヘルスケア有効成分を以下に記載する。これらのパーソナルケア有効成分及びヘルスケア有効成分は、例えば、AP/DEO組成物、スキンケア組成物、ヘアケア組成物、ネイルケア組成物、及び/又は歯ケア組成物のいずれを形成するのに使用されるにせよ、パーソナルケア成分を構成し得る。例えば、様々な実施形態では、同一のパーソナルケア成分が、ヘアケア組成物又はスキンケア組成物のいずれかを形成するために使用され得る。当業界で理解されるとおり、以下に記載されるパーソナルケア有効成分の少なくともいくつかは、それぞれ、スキンケア組成物、ヘアケア組成物、ネイルケア組成物、及び歯ケア組成物に関して上記したある種のパーソナルケア成分である。例えば、好適なパーソナルケア成分として前述した植物抽出物の例示的な例となる多種の植物抽出物又は野菜抽出物を、以下に記載する。以下に記載の有効な成分、すなわち有効成分は、組成物のパーソナルケア成分を構成することができ、又はそれらと組み合わせて使用することができる。
【0214】
本組成物に使用するのに有用な有効成分として、ビタミン及び「プロビタミン」を含むその誘導体が挙げられる。本明細書で有用なビタミンとしては、ビタミンA1、レチノール、レチノールのC~C18エステル、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEのエステル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。レチノールとしては、トランス-レチノール、1,3-シス-レチノール、11-シス-レチノール、9-シス-レチノール、及び3,4-ジデヒドロ-レチノール、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンB1、ビタミンB2、プロビタミンB5、パンテノール、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、並びにパントテン酸が挙げられる。本明細書に含まれるとみなされる他の好適なビタミン及びそのビタミンのINCI名は、ジパルミチン酸アスコルビル、ペクチン酸アスコルビルメチルシラノール、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド(glucocide)、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、硫酸アスコルビル二ナトリウム、リン酸(アスコルビル/トコフェリル)カリウムである。一般に、レチノール、全トランス型レチノイン酸及びそれらの誘導体、それらの異性体及び類縁体は、「レチノイド」と総称される。
【0215】
なお、レチノールとは、米国化粧品工業会(CTFA)(Washington DC)により指定されるビタミンAの化粧品原料国際命名法(INCI)による名前である。本明細書に含まれると考えられる他の好適なビタミン及びそのビタミンのINCI名は、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチニルプロピオネート、α-トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルアセテート、トコフェリルリノレート、トコフェリルニコチネート、及びトコフェリルスクシネートである。
【0216】
本明細書での使用に好適な市販の製品のいくつかの例には、ビタミンAアセテート及びビタミンC(いずれもFluka Chemie AG,Buchs,Switzerlandの製品);COVI-OX T-50(Henkel Corporation,La Grange,IllinoisのビタミンE製品);COVI-OX T-70(Henkel Corporation,La Grange,Illinoisの別のビタミンE製品);並びにビタミンEアセテート(Roche Vitamins&Fine Chemicals,Nutley,New Jerseyの製品)がある。
【0217】
有効成分は、酵素等のタンパク質であってもよい。酵素としては、市販のもの、改良型、組み換え型、野生型、自然界にみられない変異型、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、好適な酵素としては、ヒドロラーゼ、クチナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、及びこれらの混合物が挙げられる。ヒドロラーゼとしては、プロテアーゼ(細菌性、真菌性、酸性、中性、又はアルカリ性)、アミラーゼ(α又はβ)、リパーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、コラゲナーゼ、リゾチーム(lisozymes)、スーパーオキサイドジスムターゼ、カタラーゼ、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。プロテアーゼとしては、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パンクレアチン、及び他の哺乳類酵素、パパイン、ブロメライン、及び他の植物性酵素、スブチリシン、エピデルミン、ナイシン、ナリンギナーゼ(L-ラムノシダーゼ)ウロキナーゼ、及び他の細菌性酵素が挙げられるが、これらに限定されない。リパーゼとしては、トリアシル-グリセロールリパーゼ、モノアシル-グリセロールリパーゼ、リポタンパク質リパーゼ、例えばステアプシン、エレプシン、ペプシン、他の哺乳、植物、細菌リパーゼ、及びこれらの精製物が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態では、天然のパパインを酵素として使用する。更に、刺激ホルモン、例えば、インスリンを、酵素と共に用いてその有効性を強化することができる。
【0218】
有効成分は、1種以上の植物抽出物又は野菜抽出物であってもよい。これらの成分の例は、以下のとおりである:アシタバ抽出物、アボカド抽出物、アジサイ抽出物、ムクゲ抽出物、ウサギギク抽出物、アロエ抽出物、アンズ抽出物、キョウニン抽出物、イチョウ抽出物、ウイキョウ抽出物、ターメリック[ウコン]抽出物、ウーロン茶抽出物、エイジツ抽出物、エキナシア抽出物、オウゴン抽出物、オウバク(Phellodendro bark)抽出物、オウレン抽出物、大麦抽出物、ヒペリカム(Hyperium)抽出物、オドリコソウ抽出物、オランダガラシ抽出物、オレンジ抽出物、乾燥させた海水、海藻抽出物、加水分解エラスチン、加水分解小麦粉末、加水分解絹、カモミール抽出物、ニンジン抽出物、アルテミシア抽出物、天草抽出物、ハイビスカス茶抽出物、ピラカンサ(Pyracantha Fortuneana)の実抽出物、キウイ抽出物、キナ皮抽出物、キュウリ抽出物、グアノシン(guanocine)、クチナシ抽出物、クマザサ抽出物、クジン抽出物、クルミ抽出物、グレープフルーツ抽出物、クレマチス抽出物、クロレラ抽出物、クワ抽出物、ゲンチアナ抽出物、紅茶抽出物、酵母抽出物、ゴボウ抽出物、コメヌカ発酵素抽出物、コメ胚芽油、ヒレハリソウ抽出物、コラーゲン、コケモモ抽出物、クチナシ抽出物、サイシン抽出物、ミシマサイコ属の抽出物、臍帯抽出物、サルビア抽出物、サポナリア抽出物、タケ抽出物、サンザシの実抽出物、サンショウの実抽出物、シイタケ抽出物、ジオウ抽出物、ムラサキ抽出物、シソ抽出物、リンデン抽出物、シモツケソウ抽出物、シャクヤク抽出物、ショウブ根抽出物、シラカバ抽出物、トクサ抽出物、ヘデラヘリックス(ツタ)抽出物、サンザシ抽出物、セイヨウニワトコ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、セージ抽出物、ゼニアオイ抽出物、センキュウの根抽出物、センブリ抽出物、ダイズ抽出物、ナツメ抽出物、タイム抽出物、茶抽出物、クローブ抽出物、イネ科のチガヤ(imperata cyrillo)抽出物、ウンシュウミカン果皮抽出物、トウキ抽出物、キンセンカ抽出物、トウニン抽出物、ダイダイ果皮抽出物、ドクダミ(Houttuyna cordata)抽出物、トマト抽出物、納豆抽出物、朝鮮人参抽出物、緑茶抽出物(チャノキ(camelliea sinesis))、ニンニク抽出物、ノバラ抽出物、ハイビスカス抽出物、バクモンドウ抽出物、ハス抽出物、パセリ抽出物、ハチミツ、マンサク抽出物、ヒカゲミズ抽出物、エンメイソウ抽出物、ビサボロール抽出物、ビワ抽出物、フキタンポポ抽出物、西洋フキ抽出物、ブクリョウ抽出物、ナギイカダ抽出物、ブドウ抽出物、プロポリス抽出物、ヘチマ抽出物、ベニバナ抽出物、ペパーミント抽出物、ボダイジュ抽出物、ボタン抽出物、ホップ抽出物、マツ抽出物、セイヨウトチノキ抽出物、ミズバショウ[Lysichiton camtschatcese]抽出物、ムクロジ抽出物、セイヨウヤマハッカ抽出物、モモ抽出物、ヤグルマギク抽出物、ユーカリ抽出物、ユキノシタ抽出物、シトロン抽出物、ジュズダマ抽出物、ヨモギ抽出物、ラベンダー抽出物、リンゴ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、レンゲ抽出物、バラ抽出物、ローズマリー抽出物、ローマンカモミール抽出物、及びローヤルゼリー抽出物、並びにこれらの組み合わせ。
【0219】
本組成物における薬物として有用なヘルスケア有効成分の代表的な非限定例を以下に列挙する。1つ以上の薬物は、単独で、又は上記有効成分及び/若しくは上記パーソナルケア成分と組み合わせてのいずれかで、使用することができる。
【0220】
組成物は、抗寄生虫剤を含むことができる。この抗寄生虫剤は任意のタイプのものであってよい。抗寄生虫剤の例としては、ヘキサクロロベンゼン、カルバメート、天然に生じるピレスロイド、ペルメトリン、アレトリン、マラチオン、ピペロニルブトキサイド、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0221】
組成物は、殺菌剤とも称される抗微生物剤を含んでよい。抗微生物剤は、任意のタイプのものであってよい。抗微生物剤の例としては、クレゾール及びレゾルシノールを含むフェノールが挙げられる。そのような組成物は、皮膚の感染症を処置するために使用され得る。非常によくみられる皮膚感染症の例はにきびであり、にきびは、p.アクネス(p.acnes)、並びに黄色ブドウ球菌(Staphylococus aurus)又はシュードモナス(Pseudomonas)による皮脂腺の侵襲を伴う。有用な抗にきび有効成分の例としては、サリチル酸(o-ヒドロキシ安息香酸)、サリチル酸誘導体、例えば5-オクタノイルサリチル酸、レゾルシノール等の角質溶解薬;レチノイン酸及びその誘導体等のレチノイド(例えばシス体及びトランス体);硫黄含有D体及びL体アミノ酸及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩、特にそれらのN-アセチル誘導体、例えばN-アセチル-L-システイン;リポ酸;抗生物質及び抗菌剤(ベンゾイルパーオキサイド、オクトピロックス、テトラサイクリン、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシ-ジフェニルエーテル、3,4,4’-トリクロロバニリド(trichlorobanilide)、アゼライン酸及びその誘導体、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、エチルアセテート、クリンダマイシン、及びメクロサイクリン等);フラボノイド等のセボスタット(sebostats);並びに胆汁酸塩(シムノールサルフェート及びその誘導体、デオキシコレート及びコレート等);パラクロロメタキシレノール;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0222】
0.2重量%、1.0重量%、及び1.3重量%の濃度のフェノールは、一般的に、それぞれ静菌性、殺菌性、及び殺真菌性がある。いくつかのフェノール誘導体はフェノール自体よりも効果が高く、これらの中で特に重要であるのは、ハロゲン化フェノール及びビス-フェノール、アルキル-置換フェノール、並びにレゾルシノールである。疎水性抗菌剤としては、トリクロサン、トリクロカーボン(triclocarbon)、オイカリプトール、メントール、メチルサリチレート、チモール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0223】
組成物は、抗真菌剤を含んでいてもよい。抗真菌剤は任意のタイプのものであってよい。抗真菌剤の例としては、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、イトラコナゾール、グリセオフルビン、シクロピロックス、アモロルフィン、テルビナフィン、アンホテリシンB、ヨウ化カリウム、フルシトシン(5FC)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第4,352,808号では、抗真菌活性及び抗菌活性を有する3-アラルキルオキシ-2,3-ジヒドロ-2-(1H-イミダゾリルメチル)ベンゾ[b]チオフェン化合物が開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0224】
組成物は、ステロイド系抗炎症剤を含むことができる。ステロイド系抗炎症剤は任意のタイプのものであってよい。ステロイド性抗炎症薬の例としては、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、αメチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロンアセトニド(fluclarolone acetonide)、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチルエステル(flucortine butylester)、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド(flucetonide)、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン(difluorosone diacetate)、フルラドレナロンアセトニド(fluradrenalone acetonide)、メドリゾン、amc、アムシナフィド、ベタメタゾン及びそのエステル残部、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルトロン(clocortelone)、クレシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメトロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニソロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロプリオナート、ヒドロコルタマート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロン等のコルチコステロイド、並びにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0225】
現在市販されている局所抗ヒスタミン経皮製剤として、1%及び2%のジフェンヒドラミン(Benadryl(登録商標)及びCaladryl(登録商標))、5%のドキセピン(Zonalon(登録商標))クリーム、マレイン酸ピリラミン(phrilamine)、クロルフェニラミン及びトリペレナミン、フェノチアジン、塩酸プロメタジン(Phenergan(登録商標))、並びにマレイン酸ジメチンデンが挙げられる。これらの薬物、並びに追加の抗ヒスタミン剤を本発明の組成物に含めてもよい。加えて、いわゆる「天然」の抗炎症剤が、有用であり得る。例えば、キャンデリラワックス、αビサボロール、アロエベラ、マンジスタ(Manjistha)(アカネ属の植物、特にルビア・コルディフォリア(Rubia cordifolia)の抽出物)、及びグガル(Guggal)(ミルラノキ属の植物、特にコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の抽出物)を本発明の組成物中の有効成分として用いてよい。
【0226】
組成物は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含んでいてもよい。NSAIDは、任意のタイプのものであってよい。NSAIDの例としては、以下のNSAIDカテゴリのものが挙げられるが、これらに限定されない:プロピオン酸誘導体(propionic to acid derivatives);酢酸誘導体;フェナム酸誘導体;ビフェニルカルボン酸誘導体;及びオキシカム。このようなNSAIDは、米国特許第4,985,459号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。更なる例としては、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン(mniroprofen)、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、及びブクロキシ酸、並びにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0227】
組成物は、酸化防止剤/ラジカル捕捉剤を含んでいてもよい。酸化防止剤は、任意のタイプのものであってよい。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸(ビタミンC)及びその塩、トコフェロール(ビタミンE)及びその誘導体、例えばソルビン酸トコフェロール、他のトコフェロールのエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸及びそれらの塩、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(商品名Trolox(登録商標)として市販)、没食子酸及びそのアルキルエステル、特に没食子酸プロピル、尿酸及びその塩並びにアルキルエステル、ソルビン酸及びその塩、脂肪酸のアスコルビルエステル、アミン(例えばN,N-ジエチルヒドロキシルアミン、アミノ-グアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えばグルタチオン)が挙げられ、並びに、ジヒドロキシフマル酸及びその塩、及びEDTA、BHT等並びにこれらの組み合わせを用いてもよいが、これらに限定されない。
【0228】
組成物は、抗生物質を含んでよい。抗生物質は、任意のタイプのものであってよい。抗生物質の例としては、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、合成及び半合成ペニシリリン、β-ラクタム、キノロン、フルオロキノロン、マクロライド抗生物質、ペプチド抗生物質、シクロスポリン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0229】
組成物は局所麻酔薬を含んでいてもよい。局所麻酔薬は任意のタイプのものであってよい。局所麻酔薬の例としては、ベンゾカイン、リドカイン、ブピバカイン、クロロプロカイン(chlorprocaine)、ジブカイン、エチドカイン、メピバカイン、テトラカイン、ジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、プラモキシン、フェノール、薬学上許容されるその塩、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0230】
組成物は、抗ウイルス剤を含んでいてもよい。抗ウイルス剤は任意のタイプのものであってよい。抗ウイルス剤の例としては、ウイルスのレセプターへの付着、ウイルスの細胞内への移行、ウイルスの複製、又は細胞からのウイルスの放出を阻害又は低減する、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、及び小分子が挙げられるが、これらに限定されない。特に、抗ウイルス剤としては、ヌクレオシド類縁体(例えば、ジドブジン、アシクロビル、アシクロビルのプロドラッグ、ファムシクロビル、ガンシクロビル(gangcyclovir)、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、及びリバビリン)、n-ドコサノール(docosanoll)、ホスカルネット、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、イドクスウリジン、α-インターフェロン及び他のインターフェロン、AZT、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0231】
有効成分の追加の例としては、鎮痛剤及び血圧降下剤が挙げられる。鎮痛剤は、当該技術分野で既知であり、口語的には痛み止めと称される。鎮痛剤は、任意の既知の鎮痛剤から選択されてよく、それらの具体例としては、パラセタモール(アセトアミノフェン)、モルヒネ、コデイン、ヘロイン(heroine)、メタドン、テバイン、オルピアリン(orpiarine)、ブプレノルフィン、モルフィナン、ベンゾモルファン、アセトアミノフェン、ブトルファノール、ジフルニサル、フェノプロフェン、フェンタニル、クエン酸フェンタニル、ヒドロコドン、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、イブプロフェン、オキシモルホン、ペンタキシシン(pentaxicine)、ナプロキセン、ナルブフィン、メフェナム酸、メペリジン、及びジヒドロエルゴタミン、非ステロイド系抗炎症剤、サリチル酸等、並びにオピオイド剤、例えばモルヒネ及びオキシコドンが挙げられる。血圧降下剤は、当該技術分野において、高血圧、すなわち、高血圧を処置又は低減することが既知である。血圧降下剤は、任意の公知の血圧降下剤から選択されてよく、それらの具体例としては、利尿薬、アドレナリン受容体遮断薬(例えば、β遮断薬)、ベンゾジアゼピン、カルシウムチャンネル遮断薬、レニン阻害薬等が挙げられる。
【0232】
典型的な麻薬拮抗薬はナロキソン(haloxone)である。例示的な鎮咳剤としては、ジフェンヒドラミン、グアイフェネシン、ヒドロモルフォン、エフェドリン、フェニルプロパノールアミン、テオフィリン、コデイン、ノスカピン、レボプロポキシフェン、カルベタペンタン、クロルフェジアノール(chlorpehndianol)、及びベンゾナテートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0233】
鎮静剤のうち使用可能であるのは、抱水クロラール、ブタバルビタール、アルプラゾラム、アモバルビタール、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、メホバルビタール、セコバルビタール、ジフェンヒドラミン、エチナメート、フルラゼパム、ハラゼパム、ハロペリドール、プロクロルペラジン、オキサゼパム、及びタルブタールであるが、これらに限定されない。
【0234】
心臓用薬物の例は、キニジン、プロプラノロール、ニフェジピン、プロカイン、ドブタミン、ジギトキシン、フェニロイン(phenyloin)、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、ベラパミルHCl、ジゴキシン、ニカルジピンHCl、及び二硝酸イソソルビドであるが、これらに限定されない。
【0235】
制吐剤は、チエチルペラジン、メトクロプラミド、シクリジン、メクリジン、プロクロルペラジン、コハク酸ドキシルアミン、プロメタジン、トリフルプロマジン、及びヒドロキシジンにより例示されるが、これらに限定されない。
【0236】
典型的なドーパミンレセプターアゴニストは、メシル酸ブロモクリプチンである。例示的なアミノ酸、ペプチド、及びタンパク質ホルモンとしては、チロキシン、成長ホルモン(GH)、間質細胞刺激ホルモン(ICSH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、ロイプロリド酢酸等のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、バソプレッシン、及びこれらの活性分解産物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの産物は、十分に高い分子量を有し、角質層又は粘膜を介する吸収が難しい場合がある。したがって、本発明は、皮膚を通過できる分子量及び立体形状を有するホルモンのみに適用できる。
【0237】
用いることができる女性ホルモンとしては、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、複合エストロゲン、エストロン、ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン、プロゲステロン、及びノルゲストレルが挙げられるが、これらに限定されない。用いることができる典型的な男性ホルモンは、テストステロン、メチルテストステロン、及びフルオキシメステロンに代表されるものであってよいが、これらに限定されない。
【0238】
上に記載したとおり、エマルジョンは、エマルジョン自体が最終使用組成物として機能するよう、様々な添加剤(例えば、エマルジョンの調製中に添加されるもの)を含んでもよい。しかし、エマルジョンはまた、上記のもの等の様々な追加の成分と(例えば、その調製後)組み合わせることができ、したがって、パーソナルケア組成物等の様々な最終用途組成物に配合することができる。このような組成物は、クリーム、ジェル、粉末、ペースト、又は自由に注入可能な液体等の任意の形態であってもよい。本開示のエマルジョンを含む、又はそれから形成された組成物は、適用及び化粧特性の改善(粘着性及びべたつきの低減を含む)、並びに透明度の改善/低残留特性を示し得る。
【0239】
いくつかの実施形態では、エマルジョンは、それ自体がパーソナルケア組成物であり、又は配合されてパーソナルケア組成物になってもよい。このような実施形態では、パーソナルケア組成物は、パーソナルケア組成物が適用される身体の一部分に対して、化粧用、治療用、機能的、又はこれらのいくつかの組み合わせになるよう、配合されてもよい。パーソナルケア組成物の例としては、制汗剤及びデオドラント剤、スキンケアクリーム、スキンケアローション、保湿剤、フェイシャルトリートメント(例えばアクネ又は皺取り)、パーソナル及びフェイシャルクレンザー、バスオイル、香料、コロン、匂い袋、日焼け止め、プレシェーブ及びアフターシェーブローション、シェービングソープ及び泡、シャンプー、コンディショナー、染毛剤、縮毛矯正剤、ヘアスプレー、ムース、ヘアジェル、パーマネント剤、脱毛剤、キューティクルコート、化粧品、カラー化粧品、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、口紅、アイライナー、マスカラ、油脂除去剤、カラー化粧品除去剤、並びに、薬用クリーム、ペースト又はスプレー(例えば、抗アクネ剤、口腔衛生剤、抗生剤、治癒促進剤等)が挙げられる。概して、エマルジョンを含むパーソナルケア組成物は、例えば、意図される使用に応じて、液体、リンス、ローション、クリーム、ペースト、ジェル、泡、ムース、軟膏、スプレー、エアゾール、石鹸、スティック、軟質固体、又は固形ジェル等の従来の形態での適用を可能にするキャリアと共に配合される。パーソナルケア組成物を配合するのに好適なキャリアを構成するものは、当業者には容易に明らかであり、本明細書に例示されるキャリアから選択されてもよい。
【0240】
パーソナルケア組成物は、液体又は非液体(半固体、軟質固体、固体等)のいずれかの形態であってよい。例えば、パーソナルケア組成物は、ペースト、固体、ジェル、又はクリームであってもよい。加えて、エマルジョンがどのように調製されたかと無関係に、エマルジョンから形成されたパーソナルケア組成物は、それ自体が、水中油型若しくは油中水型エマルジョン等のエマルジョン、油中水中油型エマルジョン若しくは水中油中水型エマルジョン等の多重エマルジョン、又は、固体、無水ジェルを含む剛性若しくは柔軟ジェルであってもよい。パーソナルケア組成物はまた、半透明の無水ジェル及び透明な無水ジェルから選択される形態であってもよい。パーソナルケア組成物は、例えば、外部又は連続脂肪相を含んでもよい。パーソナルケア組成物は、無水であってもよい。いくつかの例では、パーソナルケア組成物は、成形組成物であってもよく、又はスティック若しくは皿状体としてキャストされてもよい。具体的な実施形態では、エマルジョンを含むパーソナルケア組成物は、成形された注入スティックである。このような実施形態では、パーソナルケア組成物(例えば、スティック形状)は、適用時の増大した弾性柔軟性を有する変形可能な可撓性弾性固体として挙動し得る。
【0241】
エマルジョンを含むパーソナルケア組成物は、手による、又はアプリケータ(例えば、ブラシ又は噴霧器)を用いた人体(例えば、皮膚又は毛髪)への適用等により、任意の方法によって使用することができる。いくつかの実施形態では、パーソナルケア組成物は、このような適用後、例えば、洗浄、拭き取り、挽き剥がし等、又はこれらの組み合わせによって除去されることが意図され得る。
【0242】
本開示の実施形態を示す以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。以下の簡潔な概要により、特定の略語、略記、及び実施例に使用される成分に関する情報が得られる。ケイ素原子からの明示的に示されていない各基、及びケイ素原子から下がっている各基は、特に指示がない限り、メチル基(-CH)である。
【0243】
「Si10PrCl」は、10個のケイ素原子、及びクロロプロピル基(PrCl;-CHCHCH-Cl)を有する分岐状有機ケイ素であり、以下の一般式(a)のものである。
【化26】
【0244】
「Si7PrCl」は、7個のケイ素原子、及びクロロプロピル基(PrCl;-CHCHCH-Cl)を有する分岐状有機ケイ素であり、以下の一般式(b)のものである。
【化27】
【0245】
実施例1:Si10NMEAの合成
【0246】
69.3gのクロロプロピルSiデンドリマー(Si10PrCl)及び36.2gの2-(N-メチル)アミノエタノール(NMEA)を、機械的撹拌機、熱電対、及びNバブラーに適合した水冷凝縮器を備えた250mlの4口フラスコに入れた。システム内の未充填空間をNで2~3分間パージし、ポット温度を150~160℃に上昇させ、150~160℃で20時間保持した。GC-FID分析を使用して、Si10PrClのSi10NMEAへの変換をモニターした(14時間後99%)。次いで、反応物をRTに冷却し、反応混合物を分離漏斗に移した。底層(黄色)を廃棄し、上層を受けフラスコに移し、減圧下(回転蒸発装置;120℃及び<1mmHg)で少なくとも1時間にわたって濃縮し、生成物(Si10NMEA;わずかに濁りをおびて、ほぼ無色)を得た。
【0247】
調製例1~5:Si10NMEAの合成
【0248】
以下に説明するように、実施例1の手順を、5回の別々に繰り返し、わずかな変更を加えて、調製例1~5を得た。調製例1~5のそれぞれにおいて、加熱前に塩基(1.2~2.0当量)を反応混合物に添加し、反応物を160℃に加熱し、6時間保持した。各調製例では、上記実施例1に記載のように、反応混合物を分離漏斗に移す前に、固体を濾過した。調製例1~5のそれぞれにおいて、Si10PrClのSi10NMEAへの変換率は、6時間後に>99%であった。
【0249】
調製例1では、塩基はNaCOである。
【0250】
調製例2では、塩基はCaCOである。
【0251】
調製例3では、塩基はZnOである。
【0252】
調製例4では、塩基はMgOである。
【0253】
調製例5では、塩基はMgCO.Mg(OH)である。
【0254】
実施例2:アミン塩を除去するための水洗によるSi10NMEAの合成
【0255】
クロロプロピルシリコーンデンドリマーを、160℃に設定した2Lの撹拌反応器に装填した。反応器が160℃に達した後、NMEAを装填して、アミン全体を得た。ClPrのモル比は4である。反応器を、合計反応時間(開始から)24時間にわたって159℃で保持した。冷却後、1.5時間相分離した後、179gの塩層材料を底部相分離によって除去した。次に、176gの水及び175gのヘキサンを装填し、混合物を15分間撹拌し、30分間相分離した。207gの水/アミン層を除去し、更に175gの水を別の混合物/分離物と共に添加した。172gの水/塩層を除去し、175gの水を別の混合物/分離物と共に添加した。最終的な分離のために少量の生成物と共に208gの水/塩層を除去して、生成物(Si10NMEA;837グラム;92%の生成物回収率)を得た。生成物中のクロロプロピル官能基のアミノエタノールへの変換率は99.7%であった。
【0256】
実施例3:Si10NPの合成
【0257】
NMEAの代わりに5-アミノ-1-ペンタノールを用いて実施例1の手順を繰り返し、わずかに黄色の液体として生成物(Si10NP)を得た。
【0258】
実施例4:Si10EDAの合成
【0259】
37.2gのSi10PrCl,、23gのエチレンジアミン(EDA)及び6.0gのNaCOを200mlの受けフラスコに入れ、次いで、これを加熱し、油浴にて115℃で16時間保持した。次いで、固体を反応混合物から濾過し、次いで減圧下(回転蒸発装置;80℃及び<1mmHg)で30分間かけて濃縮し、生成物(Si10EDA;ほぼ無色)を得た。
【0260】
実施例5:Si7EDAの合成
【0261】
29.7gのSi7PrCl、23gのエチレンジアミン(EDA)及び7.8gのNaCOを200mLの受けフラスコに入れ、次いで、これを加熱し、油浴にて120~130℃で5.5時間保持した。次いで、固体を反応混合物から濾過し、次いで減圧下(回転蒸発装置;125℃及び<1mmHg)で30分間かけて濃縮し、生成物(Si7EDA;わずかに黄色、透明な液体)を得た。
【0262】
実施例6:Si10PDAの合成
【0263】
50gのSi10PrCl、25gのプロピレンジアミン(PDA)及び2.62gのZnOを200mLの受けフラスコに入れ、次いで、これを加熱し、油浴にて140℃で9時間保持した。次いで、固体を反応混合物から濾過し、次いでこれを相分離した。底層を廃棄し、収集した上層を減圧下(回転蒸発装置;120℃及び<1mmHg)で60分間かけて濃縮し、生成物(Si10PDA;ほぼ無色)を得た。
【0264】
実施例7:Si10HDAの合成
【0265】
15gのSi10PrCl及び7.8gの1,6-ヘキサンジアミン(HDA)を100mlフラスコに入れ、次いで、これを加熱し、油浴にて160℃で24時間保持した。次いで、固体を反応混合物から濾過し、次いで減圧下(回転蒸発装置;120℃及び<1mmHg)で60分間かけて濃縮し、生成物(Si10HD;黄色液体)を得た。
【0266】
実施例8:Si10EDA-SAの合成
【0267】
24.6gのSi10NMEA及び2.85gの無水コハク酸(SA)を100mLフラスコに入れ、次いでこれを油浴で加熱し、125~130℃で3時間保持して、生成物(Si10EDA-SA;わずかに黄色の液体)を得た。
【0268】
実施例9:Si10NMEA-MAの合成
【0269】
8.8gのSi10NMEA及び1.0gの無水マレイン酸(MA)を30mLのバイアル瓶に入れた。バイアル瓶を加熱ブロックにて約100℃で1時間加熱した。生成物はわずかに黄色の粘稠な液体であった。
【0270】
実施例10:Si10PDA-SAの合成
【0271】
9.4gのSi10PDA及び1.07gの無水マレイン酸(MA)を30mLのバイアル瓶に入れた。バイアル瓶を加熱ブロックにて約100℃で4時間加熱した。生成物はわずかに黄色の粘稠な液体であった。
【0272】
「含む(comprising又はcomprise)」という用語は、本明細書において、それらの広義の概念で、「中に含む(including又はinclude)」、「本質的に~からなる(なっている)(consist(ing)essentially of)」、及び「~からなる(なっている)(consist(ing)of)」を意味し、包含するために使用される。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば/等(such as)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。
【0273】
全般的に、本明細書で使用されている、ある範囲の値におけるハイフン「-」又はダッシュ「-」は、「まで(to)」又は「から(through)」であり、「>」は「~を上回る(above)」又は「超(greater-than)」であり、「≧」は「少なくとも(at least)」又は「以上(greater-than or equal to)」であり、「<」は「~を下回る(below)」又は「未満(less-than)」であり、「≦」は「多くとも(at most)」又は「以下(less-than or equal to)」である。前述の特許出願、特許、及び/又は特許公開のそれぞれは、個別の基準で、1つ以上の非限定的な実施形態における参照により明示的にその全体が本明細書に組み込まれる。
【0274】
添付の特許請求の範囲は、詳細な説明に記載されている表現、及び特定の化合物、組成物又は方法に限定されず、これらは、添付の特許請求の範囲内にある特定の実施形態の間で変化し得ることが、理解されるべきである。本明細書で様々な実施形態の具体的な特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、個々に、及び、又は組み合わされて依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、具体的な実施形態を十分に裏付けることができる。
【0275】
更に、本発明の様々な実施形態を説明する際に依拠とされる任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は一部の値が明記されていなくても、そのような値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分的範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分的範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分等に描かれ得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9」の範囲は、更に、下方の3分の1、すなわち、0.1~0.3、中央の3分の1、すなわち、0.4~0.6、及び上方の3分の1、すなわち、0.7~0.9に描かれ得、これらは、個々に、及び包括的に、添付の特許請求の範囲内であり、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、具体的な実施形態を十分に裏付けることができる。更に、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」「未満」「以下」等に関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲等を本質的に含み、各部分範囲は、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、具体的な実施形態を十分に裏付けるものである。最終的に、開示した範囲内の個々の数が依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、具体的な実施形態を十分に裏付けることができる。例えば、「1~9」の範囲は、様々な個々の整数、例えば3、並びに、小数点を含む個々の数(又は分数)、例えば4.1を含み、これは、依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、具体的な実施形態を十分に裏付けることができる。
【0276】
本発明は、例示的な様式で説明されており、使用されている用語は限定目的よりも、むしろ説明のための言葉としての性質が意図されているものと理解されるべきである。明らかに、本発明の多くの修正及び変更が上記教示から可能である。本発明は、具体的に記載した方法のとおり以外の方法でも実施され得る。