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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
A61B17/3207
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021543679
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(86)【国際出願番号】 JP2020030840
(87)【国際公開番号】W WO2021044829
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019160859
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(72)【発明者】
【氏名】多田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】ジョン バリット
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-003117(JP,A)
【文献】特開昭55-116346(JP,A)
【文献】特開平01-115352(JP,A)
【文献】特表2011-517601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔の物体を除去する医療デバイスであって、
回転可能であって内腔を有する駆動シャフトと、
前記駆動シャフトの遠位部に固定されて物体を切削する切削部と、
前記駆動シャフトよりも近位側に配置されて回転可能な近位シャフトと、
前記近位シャフトおよび前記駆動シャフトを接続して前記近位シャフトの回転力を前記駆動シャフトへ伝達可能な接続部と、
前記接続部を回転可能に収容し、切削された前記物体を外部へ排出する排出ポートが形成されたハウジングと、を有し、
前記駆動シャフトは、軸方向に開口し、切削された前記物体を放出する近位開口部を近位端面に有し、
前記近位端面が位置する面における前記接続部の断面形状は、前記近位端面の形状と異なり、
前記近位開口部から放出される物体の少なくとも一部は、前記接続部の内部を介さずに、軸方向へ移動しつつ直接的に前記ハウジングの内部空間に放出される医療デバイス。
【請求項2】
前記接続部は、全体として円筒形状ではない請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記接続部は、前記駆動シャフトの近位端面と当接する請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記接続部は、外周面に螺旋状に延在する螺旋溝を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記螺旋溝は1つであり、前記接続部の外周面から前記接続部の中心軸へ向かう方向の前記螺旋溝の深さは、前記接続部の外周面から前記中心軸までの距離を超える請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記接続部は、板形状であり、当該接続部の板厚方向に配置される両面は、前記駆動シャフトの中心軸に沿って配置される請求項1~3のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記駆動シャフトは、前記切削部から近位側へ延在する駆動シャフト本体と、前記駆動シャフト本体の近位部の外周面および前記接続部の遠位部を囲む管状の補助部材と、を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記接続部は、遠位部に、遠位側へ突出しつつ細くなる突出部を有する請求項1~7のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記駆動シャフトの内部に前記接続部の一部が挿入され、
当該駆動シャフトの前記接続部が挿入された部位における軸直交断面において、前記駆動シャフトの流路面積は、前記接続部が占める面積以上である請求項1~8のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
生体管腔の物体を除去する医療デバイスであって、
回転可能であって内腔を有する駆動シャフトと、
前記駆動シャフトよりも近位側に配置されて回転可能な近位シャフトと、
前記近位シャフトおよび前記駆動シャフトを接続して前記近位シャフトの回転力を前記駆動シャフトへ伝達可能な接続部と、
前記接続部を回転可能に収容し、前記物体を外部へ排出する排出ポートが形成されたハウジングと、を有し、
前記駆動シャフトは、軸方向に開口し、前記物体を放出する近位開口部を近位端面に有し、
前記近位端面が位置する面における前記接続部の断面形状は、前記近位端面の形状と異なり、
前記近位開口部から放出される物体の少なくとも一部は、前記接続部の内部を介さずに、軸方向へ移動しつつ直接的に前記ハウジングの内部空間に放出される医療デバイス。
【請求項11】
前記近位端面の断面形状は環状であり、前記接続部の近位端面側の断面形状は板状であることを特徴とする請求項1~3、6または10のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管腔の物体を除去するための医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内のプラークや血栓などによる狭窄部の治療方法は、バルーンにより血管を拡張する方法や、網目状またはコイル状のステントを血管の支えとして血管内に留置する方法などが挙げられる。しかしながら、これらの方法は、石灰化により硬くなっている狭窄部や、血管の分岐部で生じている狭窄部を治療することは、困難である。このような場合においても治療が可能な方法として、プラークや血栓などの狭窄物を切削して除去する方法がある。
【0003】
例えば特許文献1には、物体を切削する作動ヘッドが、駆動シャフトの遠位部に固定されたデバイスが記載されている。このデバイスは、駆動シャフトを回転させて、作動ヘッドにより物体を切削できる。このデバイスは、手元に、吸引力を作用させる排出ポートを備えたハウジングを備えている。切削して形成されたデブリは、駆動シャフトの遠位開口部から内腔に吸引され、近位側へ移動される。この後、デブリは、駆動シャフトの近位開口部からハウジング内に移動し、排出ポートから排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願第2018/0353199号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デブリは、ハウジング内で、回転している駆動シャフトの外周に巻き付きやすい。デブリが、駆動シャフトの近位側の開口部を塞ぐと、デブリはハウジング内に滞留し、排出ポートから外部へ排出され難い。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、生体管腔の物体を吸引して、物体のデバイス内での滞留を抑制し、物体を効果的に排出できる医療デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る医療デバイスの一態様は、生体管腔内の物体を除去する医療デバイスであって、回転可能であって内腔を有する駆動シャフトと、前記駆動シャフトの遠位部に固定されて物体を切削する切削部と、前記駆動シャフトよりも近位側に配置されて回転可能な近位シャフトと、前記近位シャフトおよび前記駆動シャフトを接続して前記近位シャフトの回転力を前記駆動シャフトへ伝達可能な接続部と、前記接続部を回転可能に収容し、切削された前記物体を外部へ排出する排出ポートが形成されたハウジングと、を有し、前記駆動シャフトは、軸方向に開口し、切削された前記物体を放出する近位開口部を近位端面に有し、前記近位端面が位置する面における前記接続部の断面形状は、前記近位端面の形状と異なり、前記近位開口部から放出される物体の少なくとも一部は、前記接続部の内部を介さずに、軸方向へ移動しつつ直接的に前記ハウジングの内部空間に放出される
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る医療デバイスの他の態様は、生体管腔の物体を除去する医療デバイスであって、回転可能であって内腔を有する駆動シャフトと、前記駆動シャフトよりも近位側に配置されて回転可能な近位シャフトと、前記近位シャフトおよび前記駆動シャフトを接続して前記近位シャフトの回転力を前記駆動シャフトへ伝達可能な接続部と、前記接続部を回転可能に収容し、前記物体を外部へ排出する排出ポートが形成されたハウジングと、を有し、前記駆動シャフトは、軸方向に開口し、前記物体を放出する近位開口部を近位端面に有し、前記近位端面が位置する面における前記接続部の断面形状は、前記近位端面の形状と異なり、前記近位開口部から放出される物体の少なくとも一部は、前記接続部の内部を介さずに、軸方向へ移動しつつ直接的に前記ハウジングの内部空間に放出される
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した医療デバイスは、駆動シャフトの内腔を近位側へ流れる物体が、回転する接続部に巻き付き難い。このため、駆動シャフトの近位側の開口部が物体によって完全に塞がれることは抑制される。したがって、医療デバイスは、生体管腔の物体を吸引して、物体のデバイス内での滞留を抑制し、物体を効果的に排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る医療デバイスおよび駆動デバイスを示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る医療デバイスの近位部を示す断面図である。
図3】第1実施形態に係る医療デバイスの接続部の近傍を部分的に透過して示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のA-A線に沿う断面図、(C)は(A)のB-B線に沿う断面図である。
図4】第1実施形態に係る医療デバイスの遠位部を示す断面図である。
図5】第2実施形態に係る医療デバイスの接続部の近傍を部分的に透過して示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のC-C線に沿う断面図である。
図6】第3実施形態に係る医療デバイスの接続部の近傍を部分的に透過して示す平面図である。
図7】接続部の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のE-E線に沿う断面図である。
図8】接続部の他の変形例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のF-F線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面における各部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
【0012】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る医療デバイス10は、急性下肢虚血や深部静脈血栓症において、血管内に挿入され、血栓、プラーク、アテローム、石灰化病変等の物体を破壊して除去する処置に用いられる。本明細書では、デバイスの血管に挿入する側を「遠位側」、操作する手元側を「近位側」と称することとする。なお、除去する物体は、必ずしも血栓、プラーク、アテローム、石灰化病変に限定されず、生体管腔内に存在し得る物体は、全て該当し得る。
【0013】
医療デバイス10は、図1、2に示すように、駆動力および吸引力を発生させる駆動デバイス200に連結されて駆動される。医療デバイス10は、長尺であって回転駆動される駆動シャフト20と、駆動シャフト20を収容する外管30と、物体を切削する切削部40とを備えている。医療デバイス10は、さらに、駆動シャフト20の内部に配置される内管50と、駆動シャフト20の近位側に配置される近位シャフト90と、近位シャフト90を駆動シャフト20に接続する接続部100とを備えている。医療デバイス10は、さらに、駆動シャフト20の近位部を回転可能に保持するハウジング60と、駆動デバイス200から回転力を受ける回転入力部110とを備えている。
【0014】
駆動シャフト20は、回転力を切削部40に伝達する。駆動シャフト20は、切削した物体を近位側へ移動させるための吸引ルーメン21(内腔)が形成されている。駆動シャフト20は、長尺な駆動シャフト本体22と、駆動シャフト本体22の近位部に固定される補助部材23とを備えている。駆動シャフト20は、外管30を貫通し、遠位部に切削部40が固定されている。駆動シャフト20の近位部は、ハウジング60の内部に位置している。駆動シャフト20は、接続部100を介して、近位シャフト90に連結される。駆動シャフト20は、遠位端に、吸引ルーメン21が開口する遠位開口部26を有している。遠位開口部26は、切削して形成される吸引対象物であるデブリが入り込む入口である。駆動シャフト20は、近位端に、近位開口部25を有している。近位開口部25は、遠位開口部26から駆動シャフト20の内部に入ったデブリが放出される出口である。近位開口部25は、近位側へ向かって開口している。
【0015】
駆動シャフト本体22は、柔軟で、かつ近位側から作用する回転の動力を遠位側に伝達可能な特性を有する。駆動シャフト本体22は、ハウジング60の内部で、後述する第1の軸受67により回転可能に支持される。このため、駆動シャフト本体22は、高速で滑らかに回転可能である。
【0016】
補助部材23は、円管形状であり、遠位側の開口から駆動シャフト本体22の近位部が挿入されている。さらに、補助部材23は、近位側の開口から接続部100が挿入されている。補助部材23の内径は、駆動シャフト本体22の外径と略一致する。このため、駆動シャフト本体22が補助部材23の内部に嵌合する。したがって、駆動シャフト本体22および補助部材23は、安定して連結される。補助部材23の近位端面27は、駆動シャフト20の近位端面であり、リング形状である。補助部材23の近位端面27は、補助部材23の最も近位側で軸方向を向く面である。なお、駆動シャフト本体22は、補助部材23を介さずに接続部100に連結されてもよい。すなわち、駆動シャフト20は、駆動シャフト本体22により構成されて、補助部材23を有さなくてもよい。
【0017】
近位シャフト90は、近位部に、駆動デバイス200から回転力を受ける回転入力部110が固定されている。近位シャフト90の近位部は、ハウジング60から近位側へ突出している。近位シャフト90は、ハウジング60の内部で、後述する第2の軸受68により回転可能に支持される。このため、近位シャフト90は、高速で滑らかに回転可能である。
【0018】
接続部100は、図2、3に示すように、遠位側の駆動シャフト20と、近位側の近位シャフト90とを連結する部材である。接続部100は、近位側へ向かって開口する駆動シャフト20の近位開口部25を塞がずに駆動シャフト20に接続される。そして、接続部100は、接続される駆動シャフト20から近位側へ延在する。なお、本実施形態において、接続部100は、近位シャフト90と一体的に形成されているが、近位シャフト90と別体で形成されてもよい。
【0019】
接続部100は、略円柱形状であり、外周面に1つの螺旋溝101が形成されている。接続部100は、近位側に位置する外径の大きい螺旋近位部104と、螺旋近位部104の遠位側に位置して螺旋近位部104よりも外径の小さい螺旋遠位部105とを備えている。螺旋遠位部105と螺旋近位部104との間には、外径が段差的に変化する段差部106が形成されている。段差部106は、駆動シャフト20の近位端面27と当接する。駆動シャフト20の近位端面27と当接する、接続部100の段差部106の端面の形状は、駆動シャフト20の近位端面27と異なる形状である。駆動シャフト20の近位端面27が位置する面における接続部100の断面形状は、近位端面27の形状と異なる。このため、接続部100は、駆動シャフト20の近位開口部25の軸方向への開口を塞がずに、駆動シャフト20の近位部に固定可能である。なお、駆動シャフト20の近位端面27が位置する面は、平面であることが好ましいが、平面でなくてもよく、例えば曲面、屈曲面であり得る。なお、接続部100は、螺旋近位部104および螺旋遠位部105に分けられずに、一定の外径で形成されてもよい。例えば、接続部100は、段差部106を備えずに、近位開口部25に入り込むことができる外径で形成されてもよい。この場合、接続部100は、近位端面27と当接する段差部106(端面)を備えずに、近位開口部25に入り込んで駆動シャフト20に固定される。
【0020】
螺旋遠位部105の遠位端面107は、補助部材23の内部で、駆動シャフト本体22の近位端面28に突き当たっている。なお、螺旋遠位部105の遠位端面107および駆動シャフト本体22の近位端面28は、突き当たらなくてもよい。
【0021】
螺旋近位部104の外径は、補助部材23の外径と略一致するが、一致しなくてもよい。螺旋遠位部105の外径は、補助部材23の内径と略一致する。このため、螺旋遠位部105は補助部材23の内腔に嵌合し、螺旋遠位部105は補助部材23に対して安定して連結される。段差部106は、補助部材23の近位端面27に当接している。これにより、接続部100と補助部材23が、軸方向へ安定して連結される。なお、接続部100は、補助部材23と別体で形成されているが、一体的に形成されてもよい。すなわち、駆動シャフト20の一部である補助部材23は、接続部100と一体的に形成されてもよい。この場合であっても、近位開口部25を備える円筒形状を補助部材23として特定できる。すなわち、360度にわたって内壁面が形成されて、内部空間を全周的に囲んでいる部位の近位端までが、駆動シャフト20である。近位開口部25は、360度にわたって内壁面が形成される部位の近位端から、軸方向へ開口する。したがって、補助部材23の近位面28は、一体的に形成される部材の内部に位置し得る。
【0022】
また、駆動シャフト20が補助部材23を有さない場合、駆動シャフト20の近位端面は、駆動シャフト本体22の近位端面28であり、リング形状である。そして、駆動シャフト本体22の近位端面28が位置する面における接続部100の断面形状(遠位端面107の形状)は、近位端面28の形状と異なる。
【0023】
螺旋溝101は、接続部100の外周面に、接続部100の遠位端面107から近位側へ向かって螺旋を描いて形成されている。螺旋溝101は、接続部100の遠位端面107で駆動シャフト20の吸引ルーメン21と連通する。螺旋溝101は、接続部100の近位端面まで形成される必要はないが、近位端面まで形成されてもよい。螺旋溝101の螺旋の方向は、駆動デバイス200から伝わる回転力によって接続部100が回転する際に、螺旋溝101の内部の物体が近位側へ向かう力を受ける方向である。例えば、近位側から遠位側を見て、接続部100の回転方向が時計回りである場合、接続部100の螺旋溝101の巻回方向は、遠位側へ向かって時計回りである。近位側から遠位側を見て、接続部100の回転方向が反時計回りである場合、接続部100の螺旋溝101の巻回方向は、遠位側へ向かって反時計回りである。接続部100の外周面から中心軸Xへ向かう螺旋溝101の深さHは、特に限定されないが、例えば、接続部100の外周面から中心軸Xまでの距離Rよりも大きい。これにより、接続部100の軸直交断面(中心軸Xと直交する断面)において、接続部100の中心軸Xに沿って直線的に延在する中央通路P(図3の2点鎖線を参照)が形成される。すなわち、接続部100の中心に、中心軸Xを囲む中央通路Pが形成され、中心軸X上に、接続部100の材料が存在しない。このため、駆動シャフト20の吸引ルーメン21と接続部100の中央通路Pが、中心軸Xに沿って直線的に連通する。なお、螺旋溝101の深さHは、接続部100の距離R以下であってもよい。
【0024】
中心軸Xに対する螺旋溝101の螺旋の角度θは、特に限定されないが、例えば1~89°、好ましくは10~60°、より好ましくは20~50°である。角度θが90°に近すぎると、螺旋溝101をデブリが通過し難くなる。角度θが0°に近すぎると、回転する螺旋溝101によってデブリを近位側へ搬送する力が弱くなる。螺旋の角度θは、接続部100の中心軸Xに沿って変化してもよい。例えば、螺旋の角度θは、接続部100の遠位側で0°に近く、近位側へ行くほど90°に近づいてもよい。これにより、螺旋溝101は、デブリを滑らかに移動できる。
【0025】
駆動シャフト本体22の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFE等のフッ素系ポリマー、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミド、などが好適に使用できる。また、複数の材料によって構成されてもよく、線材などの補強部材が埋設されてもよい。
【0026】
補助部材23、接続部100および近位シャフト90の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、W、形状記憶合金などが好適に使用できる。補助部材23、接続部100および近位シャフト90の構成材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのエンジニアリングプラスチック等の樹脂でもよい。
【0027】
回転入力部110は、図2に示すように、駆動シャフト20の近位端に固定される略円柱状の部材である。回転入力部110は、駆動デバイス200の回転駆動軸221と連結して回転の動力を受け取る部材である。回転入力部110の近位部は、回転駆動軸221が嵌合する嵌合凹部111を備えている。
【0028】
内管50は、図2、4に示すように、可撓性を備える管体であり、駆動シャフト20の内部に配置される。内管50は、駆動シャフト20の内部を流れるデブリにより、駆動シャフト20の内周面が損傷することを抑制する。内管50は、駆動シャフト20の内周面に固定されてもよいが、固定されなくてもよい。内管50の外周面の半径R1は、図3(C)に示すように、接続部100の遠位端面107において中心軸Xから接続部100の最も近い部位までの距離Dよりも大きい。また、距離Dは、駆動シャフト本体22の内周面の半径R2よりも大きい。このため、接続部100の遠位端面107の一部は、駆動シャフト本体22の内周面よりも径方向内側に位置する。したがって、内管50が吸引ルーメン21の内部を近位側へ移動すると、内管50の近位端面は、接続部100の遠位端面107と接触する。このため、内管50は、接続部100の螺旋溝101に入り込むことが抑制される。なお、内管50は、設けらなくてもよい。
【0029】
外管30は、図1、2および4に示すように、駆動シャフト20を回転可能に収容する外管本体31と、外管本体31の遠位部の側面に固定される遠位チューブ32とを備えている。
【0030】
外管本体31は、可撓性を備える管体であり、近位部がハウジング60に固定されている。外管本体31の遠位部は、切削部40の近位側に位置している。遠位チューブ32は、可撓性を備える管体であり、外管本体31の遠位部の外周面に固定されている。遠位チューブ32は、内部にガイドワイヤを挿入可能なガイドワイヤルーメン33を有している。
【0031】
切削部40は、図1、4に示すように、血栓、プラークや石灰化病変等の物体を切削して小さくする部材である。したがって、“切削”とは、接触する物体に力を作用させて、物体を小さくすることを意味する。切削における力の作用方法や、切削後の物体の形状や形態は、限定されない。切削部40は、上述した物体を切削できる強度を有している。切削部40は、駆動シャフト20の遠位部の外周面に固定されている。切削部40の近位端面は、駆動シャフト20の遠位端面に固定されてもよい。切削部40は、駆動シャフト20よりも遠位側へ突出する円筒である。切削部40の遠位端は、鋭利な刃41を備えている。なお、刃41の形状は、特に限定されない。切削部40は、刃41ではなく、微小な砥粒を多数有してもよい。
【0032】
ハウジング60は、図1、2に示すように、遠位側に配置される第1の部位61と、略中央に配置される第2の部位62と、近位側に配置される第3の部位63とを備えている。
【0033】
第1の部位61は、第2の部位62の遠位部に連結されている。第1の部位61と第2の部位62との間には、内部空間を密封する第1のシール部64が配置されている。第1の部位61は、駆動シャフト20が回転可能に貫通する第1の内部空間65が形成されている。第1の内部空間65の遠位側の内周面には、外管本体31の近位部が固定されている。
【0034】
第2の部位62は、第1の部位61の近位側に位置している。第2の部位62は、駆動シャフト20、接続部100および近位シャフト90が回転可能に貫通する第2の内部空間66が形成されている。第2の部位62は、後述する駆動デバイス200の吸引チューブ231を接続可能な排出ポート69を有している。排出ポート69の流路は、第2の内部空間66と連通している。第2の内部空間66の内周面には、第1の軸受67と、第2の軸受68とが配置されている。第1の軸受67の内周面は、駆動シャフト20の近位部の外周面に接触している。第2の軸受68の内周面は、近位シャフト90の遠位部の外周面に接触している。このため、駆動シャフト20、接続部100および近位シャフト90は、第1の軸受67および第2の軸受68に回転可能に支持されて、高速で滑らかに回転可能である。なお、第1の軸受67および第2の軸受68が配置される位置は、限定されない。例えば、第1の軸受67および/または第2の軸受68は、接続部100の外周面に固定されてもよい。また、第1の軸受67および/または第2の軸受68は、設けられなくてもよい。
【0035】
第3の部位63は、第2の部位62の近位部に連結されている。第3の部位63は、近位シャフト90が回転可能に貫通する第3の内部空間71が形成されている。第2の部位62と第3の部位63との間には、第2の内部空間66を密封する第2のシール部70が配置されている。また、第2のシール部70は、近位シャフト90の外周面に接触し、第2の部位62と近位シャフト90との間を密封する。
【0036】
駆動シャフト20の近位開口部25は、第2の内部空間66に位置している。このため、吸引チューブ231から排出ポート69に作用する陰圧は、近位開口部25から駆動シャフト20の内部に作用する。第1のシール部64および第2のシール部70は、第1の内部空間65および第2の内部空間66の陰圧が逃げることを抑制する。排出ポート69の流路が第2の内部空間66に繋がる合流部72の少なくとも一部は、接続部100の軸方向において、図3(A)に示すように、螺旋溝101が存在する範囲Sにあることが好ましい。合流部72は、排出ポート69の流路を形成する内面の、第2の内部空間66を形成する内面に繋がる部位である。合流部72は、近位開口部25に近いことが好ましい。合流部72は、近位開口部25と、接続部100の軸方向において一部重なってもよい。また、合流部72の少なくとも一部は、接続部100の軸方向において、駆動シャフト20の近位開口部25よりも近位側にあることが好ましい。なお、合流部72の位置は、上述の範囲に限定されない。また、駆動シャフト20の近位開口部25の位置は、排出ポート69からの陰圧が作用可能であれば、特に限定されない。
【0037】
次に、駆動デバイス200について説明する。
駆動デバイス200は、図1に示すように、回転力を発生させる駆動部220と、吸引力を発生させる吸引部230とを備えている。
【0038】
駆動部220は、回転駆動軸221と、回転駆動軸221を回転させる第1のモータ222とを備えている。第1のモータ222の回転速度は、特に限定されないが、例えば5,000~200,000rpmである。
【0039】
吸引部230は、吸引チューブ231と、ポンプ232と、第2のモータ233と、廃液パック235とを備えている。吸引チューブ231は、医療デバイス10の排出ポート69に接続可能である。ポンプ232は、第2のモータ233により駆動されて、吸引チューブ231に陰圧を作用させる。また、ポンプ232は、吸引チューブ231を介して吸引した流体を、廃液パック235へ排出する。
【0040】
なお、駆動デバイス200の構成は、上述の例に限定されない。例えば、回転力を発生させる機構と、吸引力を発生させる機構は、別々のデバイスであってもよい。
【0041】
次に、第1実施形態に係る医療デバイス10の使用方法を、血管内の血栓、石灰化病変等の病変部を破壊して吸引する場合を例として説明する。
【0042】
初めに、術者は、ガイドワイヤ(図示せず)を血管に挿入し、病変部の近傍へ到達させる。次に、術者は、医療デバイス10のガイドワイヤルーメン33に、ガイドワイヤの近位端を挿入する。この後、ガイドワイヤをガイドとして、医療デバイス10を病変部の近傍へ到達させる。
【0043】
次に、術者は、図2に示すように、駆動デバイス200の回転駆動軸121を、回転入力部110に接続する。続いて、術者は、吸引チューブ231を排出ポート69に接続する。この後、術者は、駆動デバイス200を作動させる。これにより、回転駆動軸121の回転と、吸引チューブ231の吸引が開始される。回転駆動軸121は、回転入力部110を回転させる。これにより、回転入力部110に固定された近位シャフト90が回転し、近位シャフト90とともに、接続部100、駆動シャフト20および切削部40が回転する。回転する切削部40は、血管内で病変部を切削する。
【0044】
吸引チューブ231は、排出ポート69を介して第2の内部空間66に陰圧を作用させる。このため、第2の内部空間66に位置する近位開口部25から、駆動シャフト20の吸引ルーメン21に陰圧が作用する。したがって、図4に示すように、切削部40の刃41により切削された病変部は、デブリとなって、切削部40の内側を基端側へ移動する。デブリは、駆動シャフト20の遠位開口部26から吸引ルーメン21に吸引される。
【0045】
吸引されたデブリは、駆動シャフト本体22の近位端を通過し、図2、3に示すように、補助部材23の内部の螺旋遠位部105の螺旋溝101に到達する。螺旋溝101の内部のデブリは、回転する螺旋溝101の壁面から、近位側へ向かう力を受けて、近位側へ押される。このため、デブリの一部は、螺旋遠位部105の螺旋溝101を近位側へ円滑に移動し、螺旋近位部104の螺旋溝101へ移動する。また、デブリの一部は、近位側へ開口する近位開口部25から、螺旋近位部104の螺旋溝101を通らずに直接的に第2の内部空間66へ放出されてもよい。
【0046】
螺旋近位部104の螺旋溝101は、補助部材23で覆われていない。したがって、螺旋近位部104の螺旋溝101は、補助部材23で覆われずに、径方向外側へ開放されている。螺旋近位部104の螺旋溝101へ移動したデブリは、螺旋溝101から、螺旋近位部104の径方向外側へ移動し、接続部100を囲む第2の内部空間66へ移動する。接続部100を囲む第2の内部空間66へ移動したデブリは、合流部72を通って、排出ポート69の流路へ入り、吸引チューブ231へ放出される。このとき、デブリは螺旋溝101から円滑に第2の内部空間66へ放出されるため、螺旋溝101を備える接続部100に巻き付き難い。このため、デブリの放出口である近位開口部25および螺旋溝101がデブリによって塞がれ難い。したがって、デブリは第2の内部空間66で滞留し難くなり、円滑に流れて排出ポート69から外部へ排出される。また、合流部72は、接続部100の軸方向において、螺旋溝101が存在する範囲Sにある。さらに、合流部72の少なくとも一部は、近位開口部25よりも近位側に位置する。このため、近位開口部25および螺旋溝101から第2の内部空間66へ放出されるデブリは、近接する合流部72を通って効果的に排出ポート69へ移動できる。したがって、デブリが第2の内部空間66で滞留し難くなり、円滑に流れて排出ポート69から外部へ排出される。
【0047】
また、接続部100の中心に、中心軸Xを囲む中空の中央通路Pが形成される。このため、吸引ルーメン21を流れるデブリは、接続部100の螺旋溝101へ円滑に入ることができる。これにより、デブリは螺旋溝101に詰まり難くなり、円滑に流れて排出ポート69から外部へ排出される。排出されたデブリは、吸引チューブ231を通ってポンプ232に到達する。ポンプ232に到達したデブリは、図1に示すように、廃液パック235に排出される。病変部の切削およびデブリの吸引が完了した後、術者は、駆動デバイス200の動作を停止させる。これにより、駆動シャフト20の回転が停止し、かつポンプ232の吸引が停止する。これにより、切削部40による切削およびデブリの排出が停止される。この後、医療デバイス10を血管から抜去し、処置が完了する。
【0048】
以上のように、第1の実施形態に係る医療デバイス10は、生体管腔内の物体を除去する医療デバイス10であって、回転可能であって内腔を有する駆動シャフト20と、駆動シャフト20の遠位部に固定されて物体を切削する切削部40と、駆動シャフト20よりも近位側に配置されて回転可能な近位シャフト90と、近位シャフト90および駆動シャフト20を接続して近位シャフトの回転力を駆動シャフト20へ伝達可能な接続部100と、接続部100を回転可能に収容し、切削された物体を外部へ排出する排出ポート69が形成されたハウジング60と、を有し、駆動シャフト20は、軸方向(中心軸Xに沿う方向)に開口し、切削された物体を放出する近位開口部25を近位端面27に有し、近位端面27が位置する面における接続部100の断面形状は、近位端面27の形状と異なる。近位開口部25から放出される物体の少なくとも一部は、接続部100の内部を介さずに、軸方向へ移動しつつ直接的にハウジング100の内部空間に放出される。
【0049】
上記のように構成した医療デバイス10は、切削部40により切削されることで形成されて駆動シャフト20の内腔を近位側へ流れる物体であるデブリが、軸方向へ向かって開口する近位開口部25を通って放出されるため、回転する接続部100に巻き付き難い。特に、管体である駆動シャフトの近位側の開口部(放出口)が、管体の側壁面を貫通する側孔である場合、側孔から放出されるデブリは、回転する駆動シャフトに巻き付きやすい。この場合と比較して、医療デバイス10は、デブリの巻き付きを格段に低減できる。このため、接続部100にデブリが巻き付いても、回転によって巻き付くデブリは、軸方向に開口している近位開口部25を塞ぎ難い。すなわち、軸方向に開口している近位開口部25は、デブリが巻き付いても、軸方向に隙間を形成しやすいため、駆動シャフト20の近位側の開口部がデブリによって完全に塞がれることは抑制される。したがって、医療デバイス10は、病変部を切削して形成されるデブリを吸引して、デブリのデバイス内での滞留を抑制し、デブリを効果的に排出できる。また、接続部100は、駆動シャフト20の近位部と異なる形状を有するため、近位シャフト90および駆動シャフト20を接続しつつ、かつ近位開口部25からのデブリの放出を妨げ難い形状としやすい。すなわち、接続部100は、駆動シャフト20の形状に依存せずに自由に設計できるため、近位開口部25からのデブリの放出に適切な形状とすることができる。
【0050】
また、接続部100は、全体として円筒形状ではない。このため、接続部100は、近位開口部25を有して筒形状である駆動シャフト20に接続されても、近位開口部25が軸方向へ開口する状態を維持しやすい。接続部100は、円筒形状によって囲まれる内部空間が形成されないため、近位開口部25から軸方向へ放出される物体は、接続部100の内部空間に入り込まずに、直接的にハウジング100の内部空間に放出されやすい。
【0051】
また、接続部100は、駆動シャフト20の近位端面27と当接する。これにより、接続部100は、駆動シャフト20の内腔に入り込まなくても、駆動シャフト20に接続できる。このため、駆動シャフト20の内腔を広く確保できる。したがって、デブリが駆動シャフト20の内腔から良好に放出されやすい。なお、駆動シャフト20が補助部材23を有さない場合、駆動シャフト20の近位端面は、駆動シャフト本体22の近位端面28であり得る。
【0052】
また、接続部100は、外周面に螺旋状に延在する螺旋溝101を有する。これにより、回転する接続部100の螺旋溝101が、内部のデブリに近位側へ向かう力を作用させて、デブリの近位側への移動を補助できる。これにより、デブリは、螺旋溝101に沿って移動するとともに、螺旋溝101から力を受けて放出が促される。このため、回転する接続部100にデブリが巻き付き難い。したがって、医療デバイス10は、螺旋溝101によって近位開口部25におけるデブリの滞留を抑制し、デブリを効果的に排出できる。外周面に螺旋状に延在する螺旋溝101を有する接続部100は、例えば、略板形状の部材を捩って形成されてもよい。
【0053】
また、螺旋溝101は1つであり、接続部100の外周面から接続部100の中心軸Xへ向かう方向の螺旋溝101の深さHは、接続部100の外周面から中心軸Xまでの距離Rを超えてもよい。これにより、接続部100は、螺旋溝101が2つ以上ある場合と異なり、中心軸Xに沿って直線的に延在する中空の中央通路Pが形成される。このため、接続部100は、螺旋溝101によってデブリの近位側への移動を補助しつつ、駆動シャフト20の内腔から連続する流路を広く確保できる。このため、デブリは、接続部100の螺旋溝101を、詰まらずに円滑に流れることができる。したがって、デブリは、駆動シャフト20の内腔および接続部100の螺旋溝101から良好に放出されやすい。
【0054】
また、駆動シャフト20は、切削部40から近位側へ延在する駆動シャフト本体22と、駆動シャフト本体22の近位部の外周面および接続部100の遠位部を囲む管状の補助部材23と、を有する。これにより、駆動シャフト本体22に対する接続部100の固定力を向上できる。また、補助部材23は、駆動シャフト本体22および接続部100を囲むように配置されるため、デブリが流れる流路を広く確保できる。このため、デブリが駆動シャフト20の内腔から良好に放出されやすい。
【0055】
また、駆動シャフト20の内部に接続部100の一部が挿入され、当該駆動シャフト20の接続部100が挿入された部位における軸直交断面(中心軸Xと直交する断面)において、駆動シャフト20の流路面積は、接続部100が占める面積以上である。これにより、駆動シャフト20の内腔を流れるデブリの移動が、駆動シャフト20の内部に配置される接続部100に阻害され難くなる。このため、デブリは吸引ルーメン21に溜まり難くなり、良好に放出されやすい。なお、駆動シャフト20の流路面積は、接続部100が占める面積未満であってもよい。
【0056】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る医療デバイス10は、図5に示すように、接続部120の構造のみが、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0057】
接続部120は、2つの螺旋溝121、122を備えている。このため、接続部120の螺旋溝121、122が形成された部位は、板形状が捩じれた形状を有している。補助部材23の内部に配置される接続部120の遠位部は、接続部120の中心軸X上で遠位側へ向かって外径が徐々に減少する突出部123が形成されている。すなわち、接続部120は、遠位部に、遠位側へ突出しつつ細くなる突出部123を有する。これにより、接続部120を構成する材料が、遠位側へ向かって減少し、必然的に、デブリが通過できる通路が広く確保される。このため、駆動シャフト20の内腔を通って近位側へ流れるデブリが、突出部123を通過しやすくなる。このため、デブリは、回転する突出部123に巻き付き難い。したがって、医療デバイス10は、病変部を切削して形成されたデブリの滞留を抑制し、デブリを効果的に排出できる。なお、突出部123の最遠位端は、駆動シャフト20の吸引ルーメン21に入り込んでもよいが、入り込まなくてもよい。
【0058】
また、接続部120の遠位部は、略板形状であり、当該接続部120の板厚方向に配置される両面(螺旋溝121、122の底面)は、駆動シャフト20の中心軸Xって配置される。これにより、駆動シャフト20の内腔を近位側へ流れるデブリが、回転する板状の接続部120の面に沿って流れるため、接続部120に巻き付き難い。
【0059】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る医療デバイス10は、図6に示すように、接続部130の構造のみが、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
接続部130は、第2実施形態と同様に、2つの螺旋溝131、132を備えている。補助部材23の内部に配置される接続部130の遠位部は、近位側へ向かって窪んだ凹部133が形成されている。接続部130は、接続部130の中心軸X上で、近位側へ向かって窪んでいる凹部133を有する。これにより、接続部130を構成する材料が、遠位側へ向かって減少し、必然的に、デブリが通過できる通路が広く確保される。このため、駆動シャフト20の内腔を通って近位側へ流れるデブリが、凹部133を通過しやすくなる。このため、デブリは、回転する凹部133に巻き付き難い。したがって、医療デバイス10は、病変部を切削して形成されたデブリの滞留を抑制し、デブリを効果的に排出できる。なお、接続部130の最遠位端は、駆動シャフト本体22の近位端面28に接触してもよいが、接触しなくてもよい。
【0061】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、医療デバイス10が挿入される生体管腔は、血管に限定されず、例えば、脈管、尿管、胆管、卵管、肝管等であってもよい。また、医療デバイス10と駆動デバイス200は、一体的に構成されてもよい。また、図7に示す変形例のように、接続部140は、平板形状であってもよい。また、図8に示す変形例のように、接続部150は、軸直交断面が十字形状の部材であってもよい。すなわち、接続部150は、複数の平板形状を有している。
【0062】
また、接続部は、1本または2本以上の線材が螺旋状に巻かれて筒状に形成された部材であってもよい。線材は、中実であっても、中空であってもよい。また、切削部は、設けられなくてもよい。そして、駆動シャフトを移動する物体は、接続部の回転によって切削されてもよい。
【0063】
また、吸引力は、排出ポート69に接続される吸引部230ではなく、駆動シャフトや接続部によって発生してもよい。駆動シャフトおよび/または接続部は、アルキメディアンスクリューポンプの構造を備えていれば、回転することで、吸引力を発生できる。この場合、排出ポート69は、吸引力を発生させる吸引部230に接続されなくても、デブリを排出できる。
【0064】
なお、本出願は、2019年9月4日に出願された日本特許出願2019-160859号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
【符号の説明】
【0065】
10 医療デバイス
20 駆動シャフト
21 吸引ルーメン(内腔)
22 駆動シャフト本体
23 補助部材
25 近位開口部
26 遠位開口部
27 駆動シャフトの近位端面
40 切削部
60 ハウジング
69 排出ポート
72 合流部
90 基端シャフト
100、120、130 接続部
101、121、122、131、132 螺旋溝
123 突出部
S 範囲
X 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8