(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】カニューレ・システム及びカニューレ・システムの使用
(51)【国際特許分類】
A61B 1/313 20060101AFI20241030BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20241030BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241030BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
A61B1/313
A61B17/34
A61B1/00 R
A61B1/00 T
A61B1/00 731
A61B1/06 531
(21)【出願番号】P 2021544196
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 US2020018643
(87)【国際公開番号】W WO2020172165
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-10
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518411372
【氏名又は名称】リバウンド セラピュティクス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】REBOUND THERAPEUTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】13900 Alton Parkway,Suite 120,Irvine,CA 92618,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス ピーター ジー
(72)【発明者】
【氏名】ツカシマ ロス
(72)【発明者】
【氏名】フラー ドナルド ジョセフ
【審査官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0206714(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0137895(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02921121(EP,A1)
【文献】特表2007-516737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 13/00 - 18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脳内の血塊にアクセスするためのカニューレシステムであって、
近位端部および遠位端部、ならびに前記近位端部から前記遠位端部まで延在する内腔を有するカニューレ管を備えるカニューレと、
近位端部および遠位端部を有するオブチュレータ・シャフト、ならびに前記オブチュレータ・シャフトの前記遠位端部に配置されたオブチュレータ先端部を備えるオブチュレータであって、
前記オブチュレータ先端部は、光透過性であり、前記オブチュレータ先端部は、前記カニューレの内径と密接に一致する横断面を有し、前記オブチュレータ先端部がテーパ状の先細遠位先端を有し、
前記オブチュレータは、前記カニューレ管内で摺動可能であり、前記カニューレ近位端部から前記オブチュレータ・シャフトの前記近位端部が近位方向に延出すると共に、前記カニューレ管遠位端部から前記先細遠位先端が延出するように、前記カニューレ管内に位置決め可能であり、
前記オブチュレータ・シャフトが、前記カニューレの内腔よりも小さく、かつ前記オブチュレータ先端部の横断面よりも小さい横断面を有し、それにより、前記オブチュレータ先端部が、前記カニューレ管遠位端部から前記先細遠位先端が延出するように、前記カニューレ内に配置されたとき、前記オブチュレータ先端部の近位面が、前記内腔を通して前記カニューレ管の前記近位端部から見えるようになっており、
前記オブチュレータ先端部の中心長手方向軸に沿って前記先細遠位先端内に配置された光学的に不透明な構成要素であって、前記光学的に不透明な構成要素は、前記中心長手方向軸と同軸に配置され、前記オブチュレータ先端部の周囲は光の通過が可能なままであり、
更に前記オブチュレータ先端部内に配置された光源と
を具備する、カニューレ・システム。
【請求項2】
前記オブチュレータ先端部が、近位部分および中央円筒部分を備え、前記先細遠位先端が遠位円錐部分であり、前記オブチュレータが、前記近位部分の最も近位域から遠位方向に前記中央円筒部分内に延在する穴をさらに備え、前記シャフトの前記遠位端部が前記穴の中に配置され、前記穴が、前記オブチュレータ・シャフトの前記近位端部が前記カニューレ管近位端部から近位方向に延出し、かつ前記先細遠位先端が前記カニューレ管遠位端部から延出したときに、前記穴が遠位方向において前記カニューレ管の前記遠位端部より遠位の箇所で終わるような長さを有する、請求項1に記載のカニューレ・システム。
【請求項3】
前記シャフトが、遠位方向に、前記オブチュレータ先端部の前記遠位円錐部分内へ延在し、前記不透明な構成要素が、前記オブチュレータ・シャフトの前記遠位端部を構成している、請求項2に記載のカニューレ・システム。
【請求項4】
前記シャフトが、遠位方向に、前記オブチュレータ先端部の前記近位部分内で終わり、前記不透明な構成要素が、前記オブチュレータ・シャフトとは別の独立構成要素である、請求項2に記載のカニューレ・システム。
【請求項5】
前記オブチュレータ・シャフトは内腔を含み、前記カニューレ・システムは、遠位端部および近位端部を有するニューロ・ナビゲーション・スタイレットをさらに備え、
前記ニューロ・ナビゲーション・スタイレットは、前記オブチュレータ・シャフトの前記内腔に挿入できるように大きさおよび寸法が設定され、
前記オブチュレータ・シャフトの前記近位端部が前記カニューレ管近位端部から近位方向に延出し、前記先細遠位先端が前記カニューレ管遠位端部から延出し、かつ前記ニューロ・ナビゲーション・スタイレットが前記オブチュレータ・シャフトの前記内腔内に配置されたとき、前記ニューロ・ナビゲーション・スタイレットの前記遠位端部が、遠位方向に、前記カニューレ管の前記遠位端部より遠位の箇所を終端とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項6】
前記オブチュレータ先端部が、近位部分および中央円筒部分を備え、
前記オブチュレータ・シャフトは、前記オブチュレータ先端部の前記近位部分または前記オブチュレータ先端部の前記中央円筒部分内で遠位方向に終端し、前記ニューロ・ナビゲーション・スタイレットが、遠位方向に、前記オブチュレータ先端部の前記テーパ状の先細遠位先端内を終端とし、前記光学的に不透明な構成要素が、前記ニューロ・ナビゲーション・スタイレットの前記遠位端部からなる、請求項5に記載のカニューレ・システム。
【請求項7】
前記遠位円錐部分が、35~45度の頂角を有する、請求項2、3、4のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項8】
前記遠位円錐部分が、脳組織を通してカニューレ・システムを進めることを容易にするために、前記カニューレ管から遠位方向に延出する鋭く尖った遠位先端を備える、請求項2、3、4、7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年2月22日出願、係属中の米国特許仮出願第62/809,445号の優先権を主張するものである。
【0002】
以下に記載の本発明は、低侵襲手術の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
当出願人の先の米国特許出願では、小直径のシャフトと、カニューレをその遠位端で閉塞する大直径で透明なオブチュレータ先端部とを備えるオブチュレータを有する、カニューレ/カメラ・システムを開示する。
そのシステムを使用して、外科医は、オブチュレータ先端部より遠位の組織を、オブチュレータ先端部を通して目視しながら、脳内にカニューレを進めることができる。
オブチュレータ先端部は、その構造に応じて、オブチュレータ先端部より遠位の組織の画像を反転し、先端部より遠位の(先端部の遠位面での)組織の反転された画像を先端部の近位面に表示することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下に説明される装置および方法は、低侵襲手術における脳の可視化の向上を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の装置は、カニューレ内腔を覗き込み内腔内および下の組織を視る、カニューレの近位端部に装着されたカメラと、細いシャフト、および可視光線に対して透過性(透明または透光性)であるより大きい遠位先端部を備えるオブチュレータとを有するカニューレ・システムを具備する。
その結果、先端部より遠位の組織が、先端部を通してカニューレの近位端部から少なくとも部分的に見えるようになる。
オブチュレータ先端部は、好ましくは、尖った鋭利な円錐形の遠位先端を有し、オブチュレータ先端部の中心軸に沿って配置された、ロッドなど、光学的に不透明な構成要素(不透明な部品)を備え、その不透明構成要素(不透明な部品)は、画像の反転を防止する役割を果たす。
【0006】
小断面のオブチュレータシャフトは、カニューレの内径よりもはるかに小さいため、シャフトとカニューレの壁の間にかなりの環状または円形のスペースがあり、オブチュレータチップの近位面が(カメラから)よく見えるようになっている。
必要に応じて、カニューレ内に光源を設けて、オブチュレータ先端部およびカニューレの遠位端部、またはカニューレの遠位端部近傍の組織を照明することができる。その代わりに、アセンブリの外部の光源、またはカニューレの近位端部に装着された光源、あるいは前述のものの任意の組合せから照明を行ってもよい。
オブチュレータ先端部の遠位面近傍の組織によって反射された光は、オブチュレータを通り、オブチュレータ先端部の近位面から出てくるため、その結果、アセンブリを挿入し、または操作する外科医は、オブチュレータ先端部が脳組織(白から灰色である)の近傍にあるのか、血液(赤から黒である)の近傍にあるのかを容易に見極めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】外科手術が必要な部位がある患者の頭部を示す図である。
【
図2】オブチュレータが透明な先端部内に不透明構成要素(不透明な部品)を備える、カニューレおよびオブチュレータの図である。
【
図3】オブチュレータが透明な先端部内に不透明構成要素(不透明な部品)を備える、カニューレおよびオブチュレータの図である。
【
図4】オブチュレータが透明な先端部内に不透明構成要素(不透明な部品)を備える、カニューレおよびオブチュレータの図である。
【
図5】オブチュレータが透明な先端部内に不透明構成要素(不透明な部品)を備える、カニューレおよびオブチュレータの図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1および
図2は、外科手術が必要な脳3の血塊2を有する患者1を示している。カニューレ4が脳内に挿入されており、カニューレの遠位端が血塊に近接している。(脳手術の場合が図示されているが、このシステムは、あらゆる手術に使用することができる。)
カメラ5は、カニューレの近位リムに取り付けられており、カメラの一部はカニューレのリムからはみ出してカニューレの内腔上に配置されており、カニューレの遠位端における血塊または他の組織の動画または静止画を得るように動作可能である。
カニューレは、患者の身体に挿入するように適合された遠位端部6dと、使用中、身体の外に残る近位端部6pとを有するカニューレ管6を備える。
カメラ5は、カニューレの近位端に固定された取付構造体7を介して、カニューレ管の近位端6pに取り付けられている。
プリズム、反射鏡、もしくは他の鏡構造、または光学要素を備え、または取り付けられているカメラが、カニューレ管の内腔8上に張り出している。
カメラがカニューレ内腔と比較して小さい場合、カメラをプリズムまたは反射鏡なしに使用することができ、カメラの視軸がカニューレの長手軸に並ぶ状態にカメラを配向することができる。
【0009】
図1および
図2は、さらにオブチュレータ9を示している。
オブチュレータは、オブチュレータ先端部10、シャフト11、およびハンドル12を備える。
オブチュレータ先端部は、好ましくは、円錐状凸形遠位面10d、円錐状凸形近位面10p、および軸方向に短い円周面10cを有する中実構造である。
先端部は、円周面の領域において、カニューレの内径に密接に一致する外径(カニューレの長手軸に垂直な面に沿い、カニューレの横断面直径に対応する横断直径)を有している。これによりカニューレの内腔を通る先端部の長手方向平行の移動が容易となる。
図1に示すように構成された先端部は、レンズの役割を果たし、それによって光線(矢印で示される)が先端部の中で屈折され、光線は、先端部が図示のように形成されているとき、先端部を通過するあらゆる「画像」が反転し得るように、曲げられる。
先端部は、図示のように、中央の円筒形部分、遠位および近位の円錐形部分を備えた直線的な長手方向の断面を有していてもよいし、より丸みを帯びた断面を有していてもよい。
遠位先細部は、好ましくは、脳内で使用するのに好ましい鋭く先の尖った先端で終わるようになっている。図示のように、好ましい円錐形の先端は、約35°~45°の頂角を有する。
カニューレ管の遠位部には鋭利な先端部が設けられており、脳組織への挿入が容易になっている。
遠位面と近位面は、長手方向の軸に対して対称である必要はなく、また、横方向の軸に対して対称である必要もない。
たとえば、遠位面は断面が直線的で、先が尖っていてもよいし、近位面は、先が尖っていても、丸みを帯びていても、平坦でもよい。
脳に使用するには好ましくないが、オブチュレータ先端部の遠位面は、球状または楕円状など尖っていなくてもよく、オブチュレータ先端部全体は、球形、回転楕円形、扁長回転楕円形(フットボール用ボール、ラグビーボール)および扁平回転楕円形またはオボイド(卵形)として形成してもよい。
【0010】
オブチュレータ先端部は、光透過性であり光不透過性ではなく、光に透明または半透明であってもよい。
先端部の透過率は、可視スペクトルにおいて、遠位表面に接触している組織の色を通過させるのに十分であればよく、光源によって提供される照明の明るさを考慮すると、先端部の近位表面を透過した光から遠位先端部周辺の組織の色を識別できるだけの透過光をカメラや外科医の目に提供することができる。
オブチュレータ先端部は、カニューレの横断面に密接に一致する横断面を有し、カニューレ管内で摺動可能であり、オブチュレータ・シャフトの近位端部がカニューレの近位端部から近位方向に延出すると共に、先細遠位先端がカニューレ遠位端部から延出するように、カニューレ管内で位置決め可能である。
オブチュレータ・シャフトは、カニューレの内腔よりも小さい横断面を有し、オブチュレータチップの横断面よりも小さいので、オブチュレータ先端部が、カニューレの遠位端部から先細遠位先端が延出するようにカニューレ内に配置されたとき、オブチュレータ先端部の近位面が、内腔を通してカニューレの近位端部から見えるようになっている。
【0011】
先端部は、ガラス、シリカ、アクリル樹脂、ポリカーボネート、珪素樹脂、ナイロン、ポリアミドもしくは共重合体、または医療機器での使用に適した他のあらゆる材料で製作することができる。
オブチュレータ先端部表面は、研磨または艶消しを行ってもよい。オブチュレータ先端部には、手術中のX線透視診断下でも先端部が明瞭に見えるようにするために、先端部をX線不透過性にするためにX線不透過性物質(たとえばプラチナ粒子のような元素または化合物)を含ませてもよい。
オブチュレータ先端部は、血塊またはCSF(脳脊髄液)を検出し、かつそれら血塊またはCSFを周囲の脳組織から識別することを補助するために、任意選択で、pHセンサ、インピーダンス・センサ、力センサ、グルコース・センサなどのようなセンサを備えてもよい。
【0012】
また、先端部の近位面は、近位方向に向かって小径になっており、カニューレチューブの近位端部にカメラ・アセンブリを配置しているにもかかわらず、他の機器のためにオブチュレータを取り外さなければならないときに、先端部のクリアランスを確保することができ、容易に取り外すことができる。
【0013】
図2~
図5に示すように、オブチュレータ先端部は、オブチュレータ先端部の中心軸に沿って配置されたロッド13や画像反転を防止するための不透明な物質などの不透明な構成要素を含めることで、オブチュレータ先端部が変更される。
不透明構成要素(不透明成分)は、円周面10cによって画定される中央円筒部分を通り、オブチュレータ先端部の遠位先端の大部分(すなわち、遠位円錐部分または円錐状凸型遠位面10dによって取り巻かれる部分)を通って延びている。
不透明構成要素(不透明成分)は、オブチュレータ先端部の中心長手軸10Lに沿って配置され、好ましくはオブチュレータ・シャフトと同軸であり、光を最大限通過させるために、オブチュレータ先端部の外縁部を透明なまま残し、好ましくは、単一の個体構成要素または単一のコンパクトな物質の塊とすることである。
この不透明な構成要素の存在により、オブチュレータ先端部のレンズ効果は破壊され、遠位先端部の左側にある組織の画像が近位面の左側で外科医に現れ、遠位先端部の右側にある組織の画像が近位面の右側で外科医に現れるなどの現象が発生する。
さらに
図2および3に示されるように、オブチュレータ先端部の近位円錐部分は、オブチュレータ・シャフトの遠位端部を収容するボア(穴)14を備える。
このボアは、遠位方向に、近位円錐部分内、もしくは中央円筒部分内、またはさらには遠位円錐部分内を終端とすることができる。
不透明な構成要素13は、同様にボア内に配置され、この追加のボア(穴)14dは、シャフト11を収容するボア(穴)より小さい直径でもよく、または同じ直径でもよい(シャフト穴14の連続として形成してもよく、シャフト・穴とは無関係に遠位面から形成してもよい)。
不透明な構成要素は、
図3に示すように、オブチュレータ・シャフト11の横方向の寸法(たとえば、半径方向断面が円形の場合は直径)より小さい横方向の寸法を有する、オブチュレータ・シャフト11とは別の構成要素13として設けてもよい。
オブチュレータ・シャフトを収容する穴が遠位円錐部分で終わる実施形態では、オブチュレータ・シャフトの遠位端部16d(
図5)も遠位円錐部分で終わることができ、オブチュレータ・シャフトの遠位先端が、光学的に不透明な構成要素13として働くことができ、不透明な構成要素は、オブチュレータ・シャフト11とは別の構成要素(独立した構成要素)ではないようになっている。
このことは、
図4に示されており、オブチュレータ先端部が近位部分10pおよび中央円筒部分10cを備え、テーパ状の先細の遠位先端10dが遠位円錐部分であり、オブチュレータが、近位部分の最も近位域から遠位方向に中央円筒部分内に延在する穴14、14d(
図3)をさらに備える。シャフトの遠位端部10dが穴の中に配置され、穴は、オブチュレータ・シャフトの近位端部がカニューレの近位端部から近位方向に延出し、かつ先細遠位先端がカニューレの遠位端部から延出したときに、穴14、14dが遠位方向においてカニューレ管の遠位端部より遠位の箇所で終わるような長さを有している。
この実施形態では、不透明な構成要素は、シャフトの遠位端の蓋を構成してもよい。
不透明な構成要素/オブチュレータシャフトの遠位端は、オブチュレータシャフト11の横方向の寸法よりも小さい横方向の寸法を有していてもよく、または、図示のように、オブチュレータシャフトと同じ横方向の寸法を有していてもよい。
【0014】
シャフト穴が近位円錐部分または中央円筒部分内を終了とする実施形態では、ニューロ・ナビゲーション・スタイレットの遠位先端16dが、遠位方向にシャフト穴14(シャフト11を収容する大きい方の穴)を越えて延在し、遠位円錐部分内(シャフト穴を越えて延在する、シャフト穴より小直径の穴14d内)に、たとえばシャフト穴から遠位方向に延出するより小直径の穴内に延びて、不透な明構成要素として働くことができる。
これは、
図5に示されており、ナビゲーション・スタイレットの遠位端部が、カニューレ管の開放遠位端部十分に超えて延びており、カニューレ管と組み立てられるた時に、カニューレ管の開放遠位端部を越えて延出するオブチュレータの先端部の遠位円錐部分内に延出する。
この実施形態では、ニューロ・ナビゲーション・スタイレットが遠位端部および近位端部を有し、オブチュレータ・シャフトの内腔に挿入できるように大きさおよび寸法が設定され、それによって、オブチュレータ・シャフトの近位端部がカニューレの近位端部から近位方向に延出するとき、先細遠位先端がカニューレの遠位端部から延出するようになっている。ニューロ・ナビゲーション・スタイレットがオブチュレータ・シャフトの内腔内に配置されたとき、ニューロ・ナビゲーション・スタイレットの遠位端部が、遠位方向に、カニューレ管の遠位端部より遠位の箇所で終了する。
ニューロ・ナビゲーション・スタイレットの遠位端部は、不透明な構成要素として機能してもよい。
【0015】
シャフト11は、カニューレ内腔およびオブチュレータ先端部と比較して小さい直径または横断面を有する中実ロッドまたは管にすることができ、その結果、先端部の近位面をカニューレの近位端部から見ることができる。
管として設けられると、シャフトの内腔は、アセンブリを脳内に誘導するのに有用な、ニューロ・ナビゲーション・システムによって検出できるマーカを有するニューロ・ナビゲーション・スタイレットまたはプローブ15を収容することができる。
ニューロ・ナビゲーション・スタイレットのロッド16は、図示のように管状シャフトの内腔に挿入することができ、その結果、組み立てられたカニューレ、オブチュレータ、およびスタイレットを、フレーム18のマーカ17を追跡することを介してニューロ・ナビゲーション・システムによって追跡することができて、アセンブリの遠位先端の正確な位置決めに役立つ。
シャフト11は、ニューロ・スターバースト・コネクションを収容することもできる。ニューロ・ナビゲーション・スタイレットを備える実施形態では、スタイレットの遠位先端は、オブチュレータ・シャフト内のいかなる箇所をも終端とすることができ、オブチュレータ先端部より近位を終端としてもよく、またはオブチュレータ先端部内でカニューレの遠位縁部より近位もしくはカニューレの遠位縁部より遠位の箇所を終端としてもよい。
シャフト11は、カニューレ近位端から先端近位面を見ることができるように、カニューレ内腔およびオブチュレータ先端と比較して小径、すなわち横断面を有する固体ロッドまたはチューブであってもよい。チューブとして提供される場合、シャフトの内腔は、脳内へのアセンブリの誘導に有用な、ニューロナビゲーションシステムによって検出可能なマーカを有するニューロナビゲーションスタイレットまたはプローブ15を収容することができる。ニューロナビゲーションスタイレットのロッド16は、図示されているように、管状シャフトの内腔に挿入されてもよく、これにより、組み立てられたカニューレ、オブチュレータおよびスタイレットは、フレーム18上のマーカ17の追跡を通じて、ニューロナビゲーションシステムによって追跡され、組み立ての遠位先端の正確な配置を助けることができる。また、シャフト11は、ニューロスターバースト接続を収容してもよい。ニューロナビゲーションスタイレットを含む実施形態では、スタイレットの遠位先端部は、オブチュレータシャフト内の任意の点で終端することができ、オブチュレータ先端部の近位で終端してもよいし、オブチュレータ先端部内で、カニューレの遠位縁に近位の点で終端してもよいし、カニューレの遠位縁に遠位の点で終端してもよい。
【0016】
使用時には、外科医は、カニューレ管、オブチュレータ、および、任意にニューロ・ナビゲーション・スタイレットを組み立てて、手術施術部位にアクセスするために患者の身体に挿入する。
たとえば、本方法は、カニューレ管、オブチュレータ、およびニューロ・ナビゲーション・スタイレットからなるカニューレ・システムを提供することと、カニューレチューブを組み立てることとを含むことができる。
また本発明は、オブチュレータが、カニューレの遠位端部から遠位にオブチュレータ先端部が延出する状態でカニューレ管内に配置され、かつニューロ・ナビゲーション・スタイレットの遠位端部が、遠位方向に、オブチュレータ・シャフトからオブチュレータ先端部の遠位先端内に延在して、遠位先端内に不透明な構成要素を形成するように、カニューレ管とオブチュレータとニューロ・ナビゲーション・スタイレットとを組み立てることと、カニューレ管より遠位の身体組織を、オブチュレータ先端部を通してカニューレ管の近位端部から観察しながら、組み立てられたカニューレ・システムを身体内に進めることとを含み得る。
ニューロ・ナビゲーション・スタイレットが不透明構成要素として使用されない場合、本方法は、カニューレ管およびオブチュレータからなり、オブチュレータ先端部が遠位先端内に配置された不透明構成要素をさらに有する、カニューレ・システムを用意することと、オブチュレータ先端部がカニューレの遠位端部から遠位に延出する状態にオブチュレータがカニューレ管内に配置され、それによって、遠位先端内の不透明構成要素がカニューレ管の遠位端部より遠位に配置されるように、カニューレ管とオブチュレータとを組み立てることと、カニューレ管より遠位の身体組織を、オブチュレータ先端部を通してカニューレ管の近位端部から観察しながら、組み立てられたカニューレ・システムを身体内に進めることとを含み得る。
【0017】
視認性を補助するために、光源をオブチュレータ先端部に組み込んで、先端部より遠位の組織に光を当て、オブチュレータ先端部を通してカニューレ管の近位端部から組織がより容易に見えるようにすることができる。
図3に示されるように、LED19などの光源を遠位円錐部分内に配置し、またオブチュレータの材料に埋め込み、あるいは不透明な構成要素を収容する穴14dの底に固定することができる。
その代わりに、LEDを近位部分(
図3)または円筒部分(
図4)内に配置し、オブチュレータの材料に埋め込み、またはオブチュレータ・シャフト11を収容する穴14の底に固定することができる。
光源は、不透明な構成要素を省略した実施形態に用いてもよい。光源に給電するために必要な配線は、オブチュレータ・シャフト内またはその周りに配置することができる。
【0018】
装置および方法の好ましい実施形態が、それらが開発された状況に関連させて説明されてきたが、それら実施形態は、本発明の原理の単なる例示である。様々な実施形態の要素は、他の形態のそれぞれに組み込んで、それら他の形態との組合せにおけるそれら要素の利点を得ることができ、様々な有利な特徴は、単独で、または互いに組み合わせて実施形態に取り入れることができる。他の実施形態および構成を、本発明の精神、および添付特許請求の範囲から逸脱することなく考案することができる。