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特許7579271媒体の補正画像の超音波決定のための方法、およびこの方法を実行するためのデバイス
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  • 特許-媒体の補正画像の超音波決定のための方法、およびこの方法を実行するためのデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】媒体の補正画像の超音波決定のための方法、およびこの方法を実行するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
A61B8/08
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021563097
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 FR2020050807
(87)【国際公開番号】W WO2020234530
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】1905212
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509346184
【氏名又は名称】スーパーソニック・イマジン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・クーデ
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特許第5819428(JP,B2)
【文献】国際公開第2008/075740(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の補正画像の超音波決定のための方法であって、
時間的に連続する前記媒体の画像(Ik)の決定であって、kが0とNの間の画像インデックスであり、前記連続の第1の画像が歪みがないと仮定される決定と、
1とNの間のインデックスkの前記媒体の各画像についての運動の決定であって、前記運動がインデックスkの前記媒体の画像(Ik)とインデックスk-1の先行する前記媒体の画像(Ik-1)との間のものである、決定と、
インデックスkの前記媒体の前記画像(Ik)およびインデックスk-1の前記先行する前記媒体の画像(Ik-1)に基づいた、時間的に連続する部分歪み画像(IΔεk)の決定と、
1およびk自体を含む1とkの間のインデックスを有する前記媒体の前記画像に関連する運動を意味する、先行する運動に基づいた、前記部分歪み画像(IΔεk)の補償による、補正部分歪み画像(IΔεk *)の決定と、
1およびk自体を含む1とkの間のインデックスの前記補正部分歪み画像(IΔεk *)の総和による、補正歪み画像(Iεk *)の決定と
を含む方法。
【請求項2】
インデックスkの運動の前記決定が、
前記媒体の画像(Ik)と前記先行する前記媒体の画像(Ik-1)の間の変位領域(uk)の決定と、
前記変位領域(uk)に基づいた画像の幾何学的変化(Tk)の決定であって、前記幾何学的変化が10未満のパラメータで前記変位領域(uk)を表す、決定と
によって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変位領域が、前記媒体の画像(Ik)と前記先行する前記媒体の画像(Ik-1)の間の相互相関によって、または、前記媒体の画像(Ik)と前記先行する前記媒体の画像(Ik-1)の間の副画像を追跡するためのアルゴリズムによって計算される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記追跡アルゴリズムがLucas-Kanadeアルゴリズムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記幾何学的変化(Tk)が、少なくとも1つの平行移動、または平行移動および相似変換、または平行移動、相似変換、および回転を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記幾何学的変化(Tk)が、平行移動、相似変換、および回転を含み、前記幾何学的変化が、
【数1】
であるように行列形式にされ、
ここで、画像平面中の前記幾何学的変化(Tk)の以下のパラメータは、
Tx、Tyが、平行移動係数、
Hx、Hzが、相似変換の係数、
θが、画像平面に垂直な回転軸の角度
である、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記幾何学的変化(Tk)の前記パラメータが、前記変位領域(uk)中の点のグループに基づいて計算されるパラメータの集団の中央値によって得られる、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
1つのグループが、前記変位領域(uk)の、3個と10個の間の点を含み、
前記集団が百個のグループより大きい、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(e1)前記媒体の弾性画像(IEk)の決定と、
(e2)0およびk自体を含む0とkの間のインデックスを有する前記媒体の前記画像に関連する前記運動を意味する、前記先行する運動に基づいた、前記弾性画像(IEk)の補償による、補正弾性画像(IEk *)の決定と
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(e1)で作成される前記弾性画像が(IEk)が、以下のサブステップ、すなわち
(e1.1)少なくとも1つの合焦した超音波を放出させることにより、せん断波が前記媒体中に生成される励起ステップと、
(e1.2)時間的に連続する前記媒体の中間画像(IIj,k)を決定することにより前記せん断波の伝播が観測され、jが0とMの間の中間画像インデックスである、観測ステップと、
(e1.3)前記媒体の前記中間画像(IIj,k)に基づき、せん断波伝播モデルに基づいて前記弾性画像(IEk)が決定される処理ステップと
によって生成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
複数の補正歪み画像(Iεk *)の決定と、
複数の補正弾性画像(IEk *)の決定であって、前記補正歪み画像および前記弾性画像が時間的にインターレースされる、決定と、
前記複数の補正歪み画像(Iεk *)および前記複数の補正弾性画像(IEk *)に基づいた、非線形パラメータの画像(INLk)の決定と
がさらに実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
非線形パラメータの前記画像(INLk)の各画素の値が、値の対の歪み線形回帰によって決定され、各対の第1の値が前記複数の中の補正歪み画像の同じ画素の値に対応し、前記対の第2の値が前記複数の中の弾性画像の同じ画素の値に対応し、前記複数の中の前記補正歪み画像および前記複数の中の前記補正弾性画像が時間的に連続する、または時間的に近き、
前記歪み線形回帰が、歪みと弾性の間の以下の関係式に基づいて確立され、
【数2】
ここで、
Eが、対象の前記補正弾性画像の前記画素のヤング率であり、
E0が、一番目の補正弾性画像の前記画素のヤング率であり、
ln()が、自然対数関数であり、
εが、対象の前記補正歪み画像の前記画素の歪みであり、
Aが、前記歪み線形回帰によって決定された前記画素の非線形パラメータである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
インデックスkの前記補正部分歪み画像(IΔεk *)とインデックスkの前記補正弾性画像(IEk *)を乗算することによる、時間的に連続する補正部分応力画像(IΔσk *)の決定と、
1およびk自体を含む1とkの間のインデックスを有する前記補正部分歪み画像(IΔσk *)の総和による、補正応力画像(Iσk *)の決定と
がさらに実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
複数の補正応力画像(Iσk *)の決定と、
複数の補正弾性画像(IEk *)の決定であって、前記補正歪み画像および前記弾性画像が時間的にインターレースされる、決定と、
前記複数の補正応力画像(Iεk *)および前記複数の補正弾性画像(IEk *)に基づいた、非線形パラメータの画像(INLk)の決定と
がさらに実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
非線形パラメータの前記画像(INLk)の各画素の値が、値の対の応力線形回帰によって決定され、各対の第1の値が前記複数の中の補正応力画像の同じ画素の値に対応し、前記対の第2の値が前記複数の中の弾性画像の同じ画素の値に対応し、前記複数の中の前記補正応力画像および前記複数の中の前記補正弾性画像が時間的に連続する、または時間的に近き、
応力線形回帰が、応力と弾性の間の以下の関係式に基づいて確立され、
【数3】
ここで、
Eが、対象の前記補正弾性画像の前記画素のヤング率であり、
E0が、一番目の補正弾性画像の前記画素のヤング率であり、
ln()が、自然対数関数であり、
εが、対象の前記補正歪み画像の前記画素の歪みであり、
Aが、前記回帰によって前記画素について決定された非線形パラメータである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
超音波プローブ(6)と、請求項1から15のいずれか一項に記載の、媒体(2)の補正画像の超音波決定のための方法を実行するのに好適なマイクロコンピュータ(4)とを備える撮像デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粘弾性媒体の画像を提供するための、超音波を用いた撮像のための方法およびデバイスに関する。特に、本方法の目的は、媒体の外面上に超音波撮像プローブによって加えられる圧力中の変動を考慮に入れることによって、作成された画像を補正することである。
【背景技術】
【0002】
より具体的には、本開示は、前記超音波疎密波を反射する粒子を含む、拡散粘弾性媒体を観察するため超音波を使用する撮像方法に関する。
【0003】
本方法によって補正される画像は、様々なタイプのものであってよい。たとえば、画像は、歪みタイプのもの、または弾性タイプのものであってよい。
【0004】
米国特許出願公開第2005/252295号は、媒体中で弾性せん断波が生成され、この弾性せん断波の伝播が媒体の複数の画像を記録することによって観測される、弾性撮像技法を提案する。媒体の少なくとも1つの運動パラメータ(変位、部分的な歪み)の画像がここで決定され、せん断波速度、せん断係数、ヤング率、せん断弾性率などといった、せん断波伝播パラメータが画像から推定される。
【0005】
この最後の技法は、広く使用される。しかし、運動パラメータの画像またはせん断波伝播パラメータの画像は、媒体の表面に超音波撮像プローブによって加えられる圧力に対して敏感であることが見いだされている。しかし、このプローブ圧力は開業医によって加えられ、検査期間中、または検査毎に変わる可能性がある。実際に、開業医は、対象の画像中で所望の観測を行うために、この外部圧力を変える。
【0006】
加えて、これらの画像は、加えられる外部圧力中の変動に関係する歪みを含み、これが、画像表現、画像再現性、および画像決定における誤りを発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2005/252295号
【文献】米国特許出願公開第2009/234230号
【非特許文献】
【0008】
【文献】「Internal displacement and strain imaging using speckle tracking」、O'Donnellら、IEEE transactions on ultrasonic, ferroelectrics, and frequency control, vol. 41, no. 3、1994年5月、314~325頁
【文献】「Elastography: a quantitative method for imaging the elasticity of biological tissues」、Ophirら、Ultrasound imaging, Vol. 13、111~134頁、1991年
【文献】「Pyramidal Implementation of the Lucas Kanade Feature Tracker. Description of the algorithm.」、J-Y Bouguet、Intel Corp.
【文献】「Acoustoelasticity in soft solids: Assessment of the non-linear shear modulus with the acoustic radiation force」、Gennissonら、J. Acoust. Soc. Am (122)、2007年12月、3211 3219頁
【文献】「Quantitative Imaging of Nonlinear Shear Modulus by Combining Static Elastography and Shear Wave Elastography」、H. Latorre-Ossaら、IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control, Vol. 51, no. 4、833~839頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特に画像自体を改善するために、このタイプの撮像方法を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本開示は、媒体の補正画像の超音波決定のための方法であって、
・時間的に連続する媒体の画像(Ik)の決定であって、kは、0とNの間の画像インデックスであり、前記連続の第1の画像が歪みがないと仮定される決定、
・1とNの間のインデックスkの媒体の各画像についての運動の決定であって、運動はインデックスkの媒体の画像(Ik)とインデックスk-1の先行する媒体の画像(Ik-1)との間のものである決定、
・インデックスkの媒体の画像(Ik)およびインデックスk-1の先行する媒体の画像(Ik-1)に基づいた、時間的に連続する部分歪み画像(IΔεk)の決定、
・1およびk自体を含む1とkの間のインデックスを有する媒体の画像に関連する運動を意味する、先行する運動に基づいた、前記部分歪み画像(IΔεk)の補償による、補正部分歪み画像(IΔεk *)の決定、
・1およびk自体を含む1とkの間のインデックスの補正部分歪み画像(IΔεk *)の総和による、補正歪み画像(Iεk *)の決定
を特徴とする方法を提案する。
【0011】
これらの構成で、作成される画像が補正されるのを確実にすることができる。
【0012】
本開示にしたがった方法の様々な実施形態では、以下の構成のうちの1つまたは複数に償還請求を任意選択で行うこともできる。
【0013】
一態様によれば、インデックスkにおける運動の決定は、
・媒体の画像と先行する媒体の画像の間の変位領域の決定、
・前記変位領域に基づいた画像の幾何学的変化の決定であって、前記幾何学的変化は、10未満のパラメータで変位領域を表す、決定
によって実行される。
【0014】
一態様によれば、変位領域は、媒体の画像と先行する媒体の画像の間の相互相関によって、または、媒体の画像と先行する媒体の画像の間の副画像を追跡するためのアルゴリズムによって計算される。
【0015】
一態様によれば、追跡アルゴリズムは、Lucas-Kanadeアルゴリズムである。
【0016】
一態様によれば、幾何学的変化は、少なくとも1つの平行移動、または平行移動および相似変換、または平行移動、相似変換、および回転を含む。
【0017】
一態様によれば、幾何学的変化Tkは、平行移動、相似変換、および回転を含み、幾何学的変化は、次式となるように、行列形式にされる。
【数1】
ここで、画像平面中の幾何学的変化Tkの以下のパラメータは、
Tx、Tyが、平行移動係数、
Hx、Hzが、相似変換の係数、
θが、画像平面に垂直な回転軸の角度
である。
【0018】
一態様によれば、幾何学的変化のパラメータは、変位領域中の点のグループに基づいて計算される、パラメータの集団の中央値によって得られる。
【0019】
一態様によれば、
・1つのグループが、変位領域中に、3と10の間の点を含み、
・集団は、百個のグループより大きい。
【0020】
一態様によれば、方法は、
(e1)媒体の弾性画像の決定、および
(e2)0とkの間(0およびk自体を含む)のインデックスを有する媒体の画像に関連する運動を意味する、先行する運動に基づいた、前記弾性画像の補償による、補正弾性画像の決定
をさらに含む。
【0021】
一態様によれば、ステップ(e1)で作成される弾性画像は、以下のサブステップ、すなわち
(e1.1)少なくとも1つの合焦した超音波を放出させることにより、せん断波が媒体中に生成される励起ステップ、
(e1.2)時間的に連続する媒体の中間画像を決定することによりせん断波の伝播が観測され、jが0とMの間の中間画像インデックスである、観測ステップ、
(e1.3)媒体の前記中間画像に基づき、せん断波伝播モデルに基づいて弾性画像が決定される処理ステップ
によって生成される。
【0022】
一態様によれば、以下、すなわち
・複数の補正歪み画像の決定、
・複数の補正弾性画像の決定であって、前記補正歪み画像および前記弾性画像が時間的にインターレースされる決定、ならびに
・複数の補正歪み画像および複数の補正弾性画像に基づいた、非線形パラメータの画像の決定
がさらに実行される。
【0023】
一態様によれば、非線形パラメータの画像の各画素の値は、値の対の歪み線形回帰によって決定され、各対の第1の値は複数の中の補正歪み画像の同じ画素の値に対応し、対の第2の値は複数の中の弾性画像の同じ画素の値に対応し、複数の中の前記補正歪み画像および複数の中の前記補正弾性画像が時間的に連続する、または時間的に近く、
歪み線形回帰が、歪みと弾性の間の以下の関係式に基づいて確立され、
【数2】
ここで、
Eは、対象の補正弾性画像の画素のヤング率であり、
E0は、第1の補正弾性画像の画素のヤング率であり、
ln()は、自然対数関数であり、
εは、対象の補正歪み画像の画素の歪みであり、
Aは、前記歪み線形回帰によって前記画素について決定された非線形パラメータである。
【0024】
一態様によれば、以下、すなわち
・インデックスkの補正部分歪み画像とインデックスkの補正弾性画像の乗算によって補正される、時間的に連続する部分応力画像の決定、
・1およびk自体を含む1とkの間のインデックスを有する補正部分歪み画像の総和による補正応力画像の決定
がさらに実行される。
【0025】
一態様によれば、以下、すなわち
・複数の補正応力画像の決定、
・複数の補正弾性画像の決定であって、前記補正歪み画像および前記弾性画像が時間的にインターレースされる決定、ならびに
・複数の補正応力画像および複数の補正弾性画像に基づいた、非線形パラメータの画像の決定
がさらに実行される。
【0026】
一態様によれば、非線形パラメータの画像の各画素の値は、値の対の応力線形回帰によって決定され、各対の第1の値は複数の中の補正応力画像の同じ画素の値に対応し、対の第2の値は複数の中の弾性画像の同じ画素の値に対応し、複数の中の前記補正応力画像および複数の中の前記補正弾性画像が時間的に連続する、または時間的に近く、
応力線形回帰が、応力と弾性の間の以下の関係式に基づいて確立され、
【数3】
ここで、
Eは、対象の補正弾性画像の画素のヤング率であり、
E0は、第1の補正弾性画像の画素のヤング率であり、
ln()は、自然対数関数であり、
εは、対象の補正歪み画像の画素の歪みであり、
Aは、前記回帰によって前記画素について決定された非線形パラメータである。
【0027】
本開示は、超音波プローブと、上で述べたような媒体の補正画像の、超音波決定のための方法を実施するのに好適なマイクロコンピュータとを備える撮像デバイスにも関する。
【0028】
本開示の他の特徴および利点は、添付図面を参照し、非限定の例として与えられる様々な実施形態の以下の記載から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の一実施形態にしたがった超音波撮像デバイスの概略図である。
図2A】ゼロの外部圧力と、媒体の外面を変形する外部圧力との間の媒体の画像の運動を概略的に表す図である。
図2B】ゼロの外部圧力と、媒体の外面を変形する外部圧力との間の媒体の画像の運動を概略的に表す図である。
図2C図2Bの運動より、より複雑な運動を概略的に表す図であって、この運動が回転を含む図である。
図3】補正歪み画像を計算するための方法の一実施形態を示す図である。
図4】補正弾性画像を決定するための方法を示す図である。
図5】補正非線形パラメータの画像を決定するための方法の第1の実施形態を示す図である。
図6図5の方法の例示的な実装を示すグラフである。
図7A】補正応力画像を決定するための方法を示す図である。
図7B】補正非線形パラメータの画像を決定するための方法の第2の実施形態を示す図である。
図8図7Bの方法の例示的な実装を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
イラストとして提供される様々な図で、同じ参照番号は、同一または同様の要素を表す。
【0031】
撮像デバイス1
図1に示される撮像デバイス1は、超音波疎密波を散乱させ、たとえば、医療用途の場合に、たとえば患者の体(胸、肝臓、腹部など)の部分といった、生きている体であってよい、粘弾性媒体2の画像を提供することが意図される。この撮像デバイス1は、媒体2の弾性画像を提供するために、弾性せん断波の伝播を調査するためにも好適である。
【0032】
媒体の画像は、たとえば(少なくとも、キーボードなどの入力インターフェース4bおよびスクリーンなどの出力インターフェース4aを備える)マイクロコンピュータ4または任意の他の電子処理ユニットによって作成される。マイクロコンピュータ4または任意の他の電子処理ユニットは、媒体2の中に、その外面3から超音波疎密波を送り込み、超音波疎密波は、媒体2の中に含まれる散乱粒子5と相互作用する。前記粒子は、超音波疎密波に反射性である。粒子5は、媒体2の中で何らかの不均一性から、特に、医療用途が対象である場合には、人体の組織中に存在するコラーゲン粒子によって構成される場合がある(これらの粒子は、「スペックル」として知られている超音波画像上のドットを形成する)。
【0033】
媒体2を観察し媒体の画像を生成するため、観察する媒体2の外面3に対して配置される超音波プローブ6が使用される。このプローブは、Z軸に沿って、たとえば0.5と100MHzの間、好ましくは0.5と15MHzの間、たとえば約4MHzの周波数で、超音波で一般的に使用されるタイプの、超音波疎密波のパルスを送信する。
【0034】
超音波プローブ6は、n個の超音波変換器T1、T2、...、Ti、...、Tnのアレイからなり、nは、1以上の整数である。
【0035】
このプローブ6は、たとえば線形アレイの形であってよく、線形アレイは、たとえば、Z軸に垂直なX軸に沿って位置合わせされるn=128の変換器を備えることができる。対象のプローブは、2次元アレイの(平面またはそうでない)変換器であってもよい。
【0036】
変換器T1、T2、... Tnは、フレキシブルなケーブルでプローブ6に接続されるマイクロコンピュータ4、場合によっては、たとえば電子キャビネット7に含まれる中央処理ユニットCPUによって、互いに独立して制御することができる。変換器T1~Tnは、したがって、次のように選択的に放出することができる。
・媒体2の中の全視野を照射する「平面」超音波疎密波(この場合、その波面がXZ平面で直線状である)、もしくは、任意の他のタイプの非集束波、たとえば、様々な変換器T1~Tnによって放出されるランダムな音響信号を生じさせることによって生成される波
・または、媒体2の中の1つまたは複数の点に合焦する超音波疎密波
【0037】
米国特許出願公開第2009/234230号は、たとえば、異なる角度の平面波タイプの波といった、いくつかの非集束疎密波を使用する合成撮像技法を提案し、これは、改善した品質の媒体の画像を非常に迅速に得るため、これらの平面波の戻り波を組み合わせる。
【0038】
媒体の画像Ikの決定
媒体の画像(I)を生成するため、撮像デバイスは、たとえば、以下のステップを実行する。
(i1)マイクロコンピュータ4が、プローブ6に、少なくとも1つの非集束超音波疎密波を粘弾性媒体の中に放出させ、
(i2)マイクロコンピュータ4が、プローブ6に、粘弾性媒体の反射性粒子5と相互作用することにより非集束超音波疎密波によって生成された反響を含む、粘弾性媒体2から受け取った音響信号を実時間で検出および記録させ、
(i3)媒体の1つまたは複数の画像(I)を決定するために、マイクロコンピュータ4が、サブステップ(i2)期間に粘弾性媒体2から受け取った音響信号を処理する処理ステップ
【0039】
非集束超音波疎密波は、人体中でたとえば約1500m/sという非常に高い伝播速度で媒体2の中を伝播し、反射性粒子5と相互作用する。このことによって、信号中に反響または他の同様の干渉が生成され、これらは、「スペックル雑音」という名前によってそれ自体が超音波の分野で知られている。
【0040】
そのような「スペックル雑音」は、非集束超音波疎密波を放出した後、サブステップ(i2)期間に変換器T1、...、Tnによって捕捉される。こうして各変換器Tiによって捕捉された信号si(t)は、キャビネット7の部分であり、この変換器に接続される、それぞれE1、E2、... Enのサンプラによって、最初に高い周波数(たとえば30~100MHz)でサンプリングされ、実時間でデジタル化される。
【0041】
こうしてサンプリングおよびデジタル化された信号si(t)は、キャビネット7の部分であり変換器Ti専用のメモリMiの中に、やはり実時間で記憶される。
【0042】
たとえば、各メモリMiは、約128MBの容量を有し、受け取ったすべての信号si(t)を含む。
【0043】
すべての信号si(t)を記憶した後、サブステップ(i3)に対応する従来型ビーム成形プロセスによって、中央処理ユニットCPUが、これらの信号を、キャビネット7の部分である加算回路Sによって再処理させる(または、加算回路Sがそれ自体でこの処理を実行する、さもなければ、前記処理をマイクロコンピュータ4の中で実行することができる)。
【0044】
こうして、信号S(x,z)が生成され、これらの信号は、各々が、非集束超音波の発射後の媒体の視野の画像に対応する。
【0045】
たとえば、信号S(t)は、次の式によって決定することができる。
【数4】
ここで、
siは、超音波疎密波の発射後の、変換器第i号によって知覚された生の信号であり、
t(x,z)は、超音波疎密波が視野中の座標(x,z)の点に到達するのにかかる時間であり、放出が始まるときが、t=0であり、
di(x,z)は、視野中の座標(x,z)の点と変換器第i号との間の距離、またはこの距離の近似値であり、
Vは、観察する粘弾性媒体中の超音波音響疎密波の平均伝搬速度であり、
αi(x,z)は、アポディゼーション法則を組み込んだ重み付け係数である(実際には、多くの場合で、αi(x,z)=1であると考えることができる)。
【0046】
上の式は、必要な変更を加えて、視野が3次元(変換器の2次元アレイ)であるとき、平面(x,z)の空間座標を空間座標(x,y,z)で置き換えることによって適用される。
【0047】
任意選択のビーム成形ステップの後に、中央処理ユニットCPUは、キャビネット7の部分である中央メモリMに、最後の発射に対応する画像信号S(x,z)を記憶する。これらの信号は、マイクロコンピュータ4自体が媒体の画像(I)の計算を実行するように、マイクロコンピュータ4に記憶することもできる。
【0048】
合成撮像技法などといった、媒体の画像(I)を生成するための、他の技法が存在する。媒体の画像を得ることを可能にする任意の撮像技法を使用することができる。好ましくは、高速で画像を得ることが可能な技法が使用される。
【0049】
本開示にしたがった撮像デバイス1および方法は、外面3に加えられる外部圧力Pの変動を追跡するために、時間的に連続する媒体の画像を得る。こうして、N+1個の媒体の画像が連続的な時刻に捕捉され、これらの時刻は、必ずしも一定の期間で分離されるわけではないと考えられることになる。したがって媒体の画像は、0とNの間の画像インデックスkによって識別することができる。
【0050】
したがって媒体の画像は、Ik表記によって識別されることになる。
【0051】
このインデックスkは、インデックスkの媒体の画像に基づいて決定される任意の他の画像または量、および場合によっては先行する媒体の画像のために使用される。したがってこのインデックスは、インデックスkのこの媒体の画像に関連する時刻を探すのに使用することができる。
【0052】
加えて、慣習によって、この連続する画像のうちの第1の画像は、インデックス0の媒体の画像として示される。この第1の画像では、外部圧力Pが低いまたはゼロであること、および、外面3に誘起される歪みが低いまたはゼロであることが推定される。この第1の画像は、たとえば、図2Aに表される。
【0053】
図2Aから図2Cは、本開示によって解決される問題を図示する。
【0054】
図2Aでは、撮像デバイス1の使用法が表されており、プローブ6は、外面3上に低いまたはゼロの外部圧力Pを加える。外面3は、(X方向に)ほぼ水平を保つ。媒体の画像I0は、たとえば、外面3に対して深さZ1に含有物2iを含む。
【0055】
図2Bでは、図2Aのものより後の時間で、Pより大きい外部圧力P'での撮像デバイス1の使用が表されており、外部圧力P'は、外面3を媒体2の中の方向Zに内向きに変形する。撮像デバイス1は、図2Aで作成される画像I0と同じサイズの媒体の画像I1を作成するが、含有物2iより上の媒体の上層は含有物2iより下の媒体2の下層より自然に圧縮され、その結果、図2Bのこの媒体の画像I1中の含有物2iは、図2Aの第1の画像I0と比較して、プローブ6に向けて変位される。言い換えると、含有物2iは、ここで、第1の画像I0の深さZ1より浅い、外面3に対して深さZ2にある。
【0056】
したがって、外部圧力が変動する間、媒体の内部要素は、前記媒体2の弾性のために、媒体の画像内で変位される。こうして、これらの内部要素の特性の正確な追跡および分析を実行するため、これらの一般的な運動を知ることが必要である。
【0057】
図2Aおよび図2Bの例は、Z方向の平行移動が適切な補正を行うことができることを示す。
【0058】
図2Cでは、異なる外部圧力Pを有し、何よりも垂直方向Zに対してプローブ6が傾く(傾きは、この図2C中で誇張される)、たとえば、図2Aおよび図2Bに示される以前の時刻に続く、別の時刻における撮像デバイス1の使用が示される。外面3は、Z方向に変形し、角度θで傾く。撮像デバイス1は、同じサイズの媒体の画像I2を作成するが、媒体の上層がやはり圧縮され、含有物2iが画像中で横方向に変位される、すなわち、プローブ6の傾きによってX方向に変位される。
【0059】
こうして、外面3上のプローブ6の圧力の変動および位置によって、媒体の画像内の媒体の内部要素が変位し、内部要素の特性の正確な分析を実行するよう媒体の画像の捕捉画像中で内部要素を追跡および/または補償するために、(超音波と比較して非常に遅い)これらの一般的な運動を知ることが必要であると思われる。
【0060】
プローブ6は、場合によっては、Z方向への単純な平行移動または平行移動と回転の組合せより複雑な運動を有することがある。ここで、必要な補正のための運動はより複雑になる。これらの運動を決定する詳細は、本開示中にさらに下で説明することになる。
【0061】
変位領域ukの決定
媒体の画像(Ik)は、いずれか2つずつ、すなわち、インデックスkの媒体の画像(Ik)とインデックスk-1の媒体の画像(Ik-1)の間で、相関によって、有利には相互相関によって処理することができる。
【0062】
相互相関は、たとえばキャビネット7の部分である専用電子回路DSPで実行することができ、または中央処理ユニットCPUもしくはマイクロコンピュータ4の中でプログラムすることができる。
【0063】
この相互相関プロセスの期間に、超音波の反響を生じさせる各粒子5によってもたらされた変位を決定するため、相互相関関数<Sk-1(x,z),Sk(x,z)>が最大化される。
【0064】
そのような相互相関計算の例は、現況技術で、特に以下の文書で与えられる。
・「Internal displacement and strain imaging using speckle tracking」、O'Donnellら、IEEE transactions on ultrasonic, ferroelectrics, and frequency control, vol. 41, no. 3、1994年5月、314~325頁
・「Elastography: a quantitative method for imaging the elasticity of biological tissues」、Ophirら、Ultrasound imaging, Vol. 13、111~134頁、1991年
・「Pyramidal Implementation of the Lucas Kanade Feature Tracker. Description of the algorithm.」、J-Y Bouguet、Intel Corp.
【0065】
こうして、変位領域、すなわち、媒体2の各位置(x,z)における変位ベクトルの組すなわちu(x,z,t)が得られ、時刻tの変数を画像インデックスkで置き換えることによって、uk(x,z)を表すことができる。これらの変位ベクトルは、任意選択で、単一の構成要素に、または2つもしくは3つの構成要素に単純化することができる。検討中の例では、画像インデックスkにおける変位領域ukは次式である。
【数5】
【0066】
この変位領域(変位ベクトルの組)は、メモリMの中、またはマイクロコンピュータ4の中に記憶される。
【0067】
変位領域の画像Iukを構築することができ、時間的に連続する媒体の画像に対応する変位領域の画像Iukの組は、特に、マイクロコンピュータのスクリーン4aによって、たとえばスローモーションフィルムの形で見ることができ、ここで、変位の値は、グレースケールまたはカラースケールなどといった光パラメータによって図示される。
【0068】
部分歪み画像IΔεkの決定
ここで、媒体2の各点における部分歪みΔε、すなわち、その構成要素がそれぞれ空間変数(検討中の例におけるX,Z座標)に対する変位ベクトルの構成要素の導関数であるベクトルを計算することができる。すなわち、次式となる。
【数6】
【0069】
任意選択で、1つの例示的な実装形態によれば、Z方向の1軸だけの歪み/部分歪みが計算される。実際に、プローブの外部圧力に関係する圧縮は、主にこの方向である。同じ方式で、後続の応力計算において、Z方向の1軸だけの応力/部分応力が任意選択で計算される。計算は、こうして簡略化される。
【0070】
変位ベクトルで当てはまるように、部分歪み画像(IΔεk)は、X-Z平面(画像平面)中の座標(x,z)の任意の点で計算される部分歪みの組から構築することができる。
【0071】
これらの部分歪みベクトルまたは部分歪み画像(IΔεk)は、特に、マイクロコンピュータのスクリーン4aによって、スローモーションフィルムの形で見ることができる。
【0072】
外部圧力による媒体の運動の決定
外面3に加えられる外部圧力Pにおける変動にリンクされる媒体2の歪みは、ゆっくりした、ほとんど均一な弾性歪みである。この歪みは、粘弾性媒体2の内部を伝播し、媒体2の中に含まれる粒子5および要素の変位を引き起こす。
【0073】
この変位は、媒体の画像の様々な点の特性の分析、特にこれらの点における歪みおよび/またはこれらの点の弾性を評価するのに有害である。
【0074】
したがって、本開示は、これらの運動を補償するために画像を補正することを考え、このことによって、媒体2の粒子および/または内部要素を画像中のほとんど一定の位置に維持することが可能になり、こうしてそれらの特性をより正確に調べることを可能にする。
【0075】
外部圧力Pによって引き起こされる外部歪みは、インデックスkの媒体の画像(Ik)とインデックスk-1の先行する媒体の画像(Ik-1)との間の運動を引き起こすと考えることができる。
【0076】
ここで、運動は、インデックスkの媒体の画像とインデックスk-1の先行する媒体の画像との間の変位領域(uk)によって決定することができる。
【0077】
特に、この運動は、インデックスkの幾何学的変化Tkによってモデル化することができ、これは、一般的で簡単な方式では、画像インデックスkのステップで、変位領域の全変位uk(x,z)、すなわち、たとえば10未満の非常に少ない数のパラメータで表される。
【0078】
ここで、先行する運動に基づいた、任意のタイプの画像についての補償は、上の幾何学的変化を適用することによって、すなわち、幾何学的変化Ti、インデックスiは1からkまで変わる、を適用することによって実行することができる。
【0079】
第1の変形形態によれば、幾何学的変化Tkは、図2A図2Bの間に見られるような平行移動を含む。
【0080】
第2の変形形態によれば、幾何学的変化Tkは、平行移動および相似変換を含む。
【0081】
第2の変形形態によれば、幾何学的変化Tkは、平行移動、相似変換、および回転を含む。
【0082】
こうして、X-Z平面(画像平面)において、幾何学的変化は、以下のタイプの行列形式にすることができる。
【数7】
ここで、幾何学的変化(Tk)についての以下のパラメータは、
Tx, Tyが、画像平面中の平行移動の係数、
Hx, Hzが、画像平面中の相似変換の係数、
θが、画像平面に垂直な回転軸の角度
である。
【0083】
こうして、それぞれ座標(x1,z1)、(x2,z2)、(x3,z3)を有する画像の3つの点P1、P2、P3を考えると、次の関係式が得られる。
【数8】
ここで、
dx1=ux1 dz1=uz1
dx2=ux2 dz2=uz2
dx3=ux3 dz3=uz3
点P1、P2、およびP3の変位ベクトルの構成要素XおよびZの表記を再編入する。
【0084】
加えて、上の行列AおよびBに基づいて、幾何学的変化Tkを計算することを可能にする関係式があり、行列Aは画像中の3点の座標に対応し、行列Bはこれらの点の変位(運動)があるこれらの同じ3点の座標に対応する。こうして、幾何学的変化の行列は、行列Bと、行列Aの逆行列の行列積によって得られる。
Tk=B.A-1
【0085】
この関係式を適用することによって、3点P1、P2、P3から、幾何学的変化Tkを計算することが可能になる。
【0086】
逆に、一度幾何学的変化Tkが確立されたら、この関係式は、逆相関によって、任意の点Pの座標(x,z)を知ることを可能にする。
B=Tk.A
【0087】
ここで、先行する幾何学的変化の行列積によって、すなわち、幾何学的変化Tiの行列積であって、インデックスiが1からkに変わる行列積によって、先行する運動に基づいて任意のタイプの画像について、補償を実行することができる。
【0088】
3点で確立された上の関係式は、画像の点のグループに一般化することができ、点のグループは、画像の3、4、5、または6個の点を含む。点のグループは、画像の3個と10個の間の点からなる。
【0089】
加えて、変形形態では、画像の3点の(点のグループの)集団を有利に選ぶことができ、前記集団は、数Ngの、大きい値の点のグループを含む。たとえば、この集団のサイズ、点のグループの数Ngは、百より大きい。
【0090】
ここで、幾何学的変化Tkのパラメータは、画像の点のグループの集団から計算されるパラメータの中央値によって得られる。
【0091】
特に、この技法は、インデックスkの媒体の画像と、インデックスk-1の先行する媒体の画像との間の運動を推定するために、変位領域ukの画像に適用することができる。
【0092】
点のグループの集団を使用することによって、インデックスkの媒体の画像と、インデックスk-1の先行する媒体の画像との間の運動をより一般的に表す幾何学的変化を決定することができる。
【0093】
有利には、各グループの点の選択は、画像中でランダムに行われる。この配置構成に起因して、より一般的により信頼できる様式で画像間の運動を表す幾何学的変化を決定することが可能である。
【0094】
補正部分歪み画像IΔεk *の決定
部分歪み画像IΔεkは、ここで、これらの画像を第1の媒体の画像I0にしたがった状況に戻すために補正され、こうして、これらの部分歪み画像IΔεk中の外部圧力Pからの歪みによって引き起こされる運動を取り除く。
【0095】
この補正は、画像インデックスkの各部分歪み画像IΔεkについて、媒体の各画像間で決定される一般的な運動の組を使用することによって実行される。より正確には、第1の画像I0の状況に戻すために、逆の運動を適用する必要がある。
【0096】
言い換えると、補正部分歪み画像IΔεk *は、補正部分歪みΔεk *を含み、1およびk自体を含む1とkの間のインデックスを有する媒体の画像に関連する運動に基づいて、前記部分歪み画像IΔεkの補償によって計算される。
【0097】
補正歪み画像(Iεk *)の決定
歪みεk(x,z)は、連続する部分歪みを合計することによって得られる。すなわち、次式となる。
【数9】
【0098】
この場合には、補正された連続部分歪みΔεk *を合計することによって、歪みεk(x,z)(補正歪み)が得られる。
【数10】
【0099】
XZ平面(画像平面)中の座標(x,z)を有する任意の点で計算された補正歪みεk(x,z)の組から、補正歪み画像(IΔεk *)を構築することができる。
【0100】
これらの補正歪み画像Iεk *は、スローモーション動画として見ることができる。
【0101】
補正画像を決定するための方法
要約すると、本開示にしたがった図3に示される方法の第1の実施形態によれば、実行される方法は以下のステップを含む。
(d1)時間的に連続する媒体の画像(Ik)の決定であって、kが0とNの間の画像インデックスであり、前記連続の第1の画像が歪みがないと仮定される決定、
(d2)1とNの間のインデックスkの媒体の各画像についての運動の決定であって、運動はインデックスkの媒体の画像(Ik)とインデックスk-1の先行する媒体の画像(Ik-1)との間のものである決定、
(d3)インデックスkの媒体の画像(Ik)およびインデックスk-1の先行する媒体の画像(Ik-1)に基づいた、時間的に連続する部分歪み画像(IΔεk)の決定、
(d4)先行する運動、すなわち、1およびk自体を含む1とkの間のインデックスを有する媒体の画像に関連する運動に基づいた、前記部分歪み画像(IΔεk)の補償による、補正部分歪み画像(IΔεk *)の決定、
(d5)1およびk自体を含む1とkの間のインデックスの補正部分歪み画像(IΔεk *)の総和または合計による、補正歪み画像(Iεk *)の決定
【0102】
画像の総和または合計とは、前記画像中の同じ空間座標を有する画素の値が加算され(すなわち、一緒に加えられ)、結果として得られる画像中の対応する画素の値を形成することを意味すると理解される。
【0103】
これらの配置構成で、外部圧力Pによって誘起される変形および運動によって影響されない、またはほんのわずかに影響される媒体2の補正歪み画像Iεk *が得られ、このことによって、従来技術のものより、より正確でより正しい歪み値を得ることが可能になる。
【0104】
媒体の弾性画像IEkの決定
米国特許出願公開第2005/252295号は、粘弾性媒体2の弾性を撮像するための技法を提案する。撮像デバイス1は、この媒体中の弾性せん断波の伝播を調べる。弾性せん断波の運動は、上で記載された手段によって、特にマイクロコンピュータ4によって追跡される。
【0105】
これは、いくつかのステップで実行される。
(e1.1)マイクロコンピュータ4が、粘弾性媒体中で合焦した少なくとも1つの超音波をプローブ6によって放出させることにより、弾性せん断波を粘弾性媒体2中に生成させる、励起ステップ、
(e1.2)せん断波の伝播が粘弾性媒体2中の視野中の多数の点で同時に観測される観測ステップであって、このステップが、複数の時間的に連続する媒体の中間画像IIj,kが生成され、jが0とMの間(0およびM自体を含む)の中間画像インデックスである、M+1が作成される中間画像の数であるサブステップを含む、ステップ。
【0106】
媒体の各中間画像は、たとえば、上で記載される媒体の画像Ikを決定するための方法によって生成され、ここで、非集束超音波疎密波の少なくとも1回の発射がプローブ6によって放出され、受け取った音響信号がプローブ6によって検出および記録され、これらの音響信号が媒体の中間画像(IIj,k)を構築するために処理される。
【0107】
ステップ(e1)で放出された合焦した超音波の合焦およびタイミング、ならびにステップ(e2)で放出された非集束超音波のタイミングは、視野中のせん断波の伝播期間に非集束超音波がこの視野に到達するように、適合される。こうして、せん断波は、生成された媒体の中間画像IIj,k中に見ることができる。
【0108】
次いで、次に進む。
(e1.3)媒体の弾性画像IEkを決定するために媒体の中間画像を処理するステップ。
【0109】
媒体の中間画像IIj,kは、たとえば上のように相関または相互相関によって、変位領域uj,kを計算するように処理される。例として、インデックスjの媒体の中間画像(IIj,k)と、インデックスj-1の媒体の中間画像(Ij-1,k)との間の相互相関による。決定された変位ベクトルを使用して、動画の形でせん断波の伝播を可視化することができる。任意選択で、変位領域に基づいて、媒体2の各点における部分歪みΔεをさらに計算することができる。
【0110】
変位領域または歪みに基づいて、マイクロコンピュータ4は、次いで有利なことにマッピングステップに進むことができ、マッピングステップ期間に、視野中の経時的な運動パラメータ(変位または部分歪み)の進展に基づいて、選択された視野のある点、または視野全体のいずれかで、せん断波の少なくとも1つの伝播パラメータが計算される。
【0111】
次いで、視野中の様々な点におけるせん断波伝播パラメータの組に対応する弾性画像IEkを構築することができる。
【0112】
この媒体の弾性画像IEkは、特にマイクロコンピュータのスクリーン4aによって見ることができ、ここで、伝播パラメータの値は、グレースケールまたはカラースケールなどといった光パラメータによって図示される。
【0113】
マッピングステップ期間に計算されるせん断波伝播パラメータは、たとえば、以下から選択される。
・せん断波の速度Cs、または
・せん断係数μ、または
・ヤング率E=3μ、または
・せん断波の減衰α、または
・せん断弾性率μ1、または
・せん断粘度μ2、または
・媒体の組織の機械的緩和時間τs
【0114】
たとえば、以下を視野中の異なる点で計算することができる。
・組織の硬さに接近できるせん断波の速度の値Cs
・組織の機械的緩和時間の値τs、媒体の局所的粘度の特性
【0115】
このため、たとえば、媒体の各位置rにおいてせん断波によって生成される変位uにしたがう以下の伝播式によって表される、せん断波伝播モデルを使用する。
【数11】
ここで、
ρは、組織の密度であり、
τSは、組織の機械的緩和時間であり、
cSは、本関係によって組織のヤング率Eに直接関係するせん断波の速度である。
【数12】
【0116】
変位の組uでこの伝播式を解くことによって、上で言及した伝播パラメータ(cS,τS)を得ることが可能になる。
【0117】
伝播パラメータを計算するにあたり、変形形態が可能である。特に、たとえば、周波数帯にわたって値を平均化することによって、フーリエ領域で、波動方程式を使用することができる。変位の代わりに部分歪みを使用することもできる。
【0118】
異なるせん断波を用いて、伝播パラメータのマップ、すなわち弾性画像を確立することもできる。次いで、弾性画像を組み合わせて、たとえば弾性画像を平均化することによって、より正確なマッピングを得ることが可能である。
【0119】
媒体2中のせん断波の伝搬速度は、弾性画像IEを決定することが意図されて複数の媒体の画像(中間画像)が捕捉されるこのプロセス期間に、外面3上に加えられる外部圧力Pに変動がないことを考慮すると、十分速い(せん断波伝播パラメータ)。こうして、これらの媒体の画像は、媒体の運動について補正されない。
【0120】
一方で、媒体の弾性画像IEkは、最初の媒体の画像I0との比較または補正歪み画像Iεk *との比較を可能にするために、対象の時刻の、または近い時刻の(インデックスkによって表される)運動について補正しなければならない。
【0121】
補正弾性画像IEk *の決定
ここで、弾性画像IEkは、図4で表される方法で補正され、ここで目標は、外部圧力Pからの歪みによって引き起こされる運動を取り除くために、第1の媒体の画像I0にしたがった状況にこの弾性画像IEkを戻すことである。
【0122】
この補正は、画像インデックスkの各弾性画像IEkについて、媒体の各画像間で決定される一般的な運動の組を使用することによって実行される。より具体的には、第1の画像I0の状況に戻すために、逆の運動を適用する必要がある。
【0123】
言い換えると、方法は、以下のステップを含む。
(e1)弾性画像(IEk)の決定、
(e2)1およびk自体を含む1とkの間のインデックスを有する媒体の画像に関連する先行する運動に基づいた、弾性画像(IEk)の補償による、補正弾性画像(IEk *)の決定
【0124】
非線形パラメータの画像INLkの決定
線形弾性領域では、媒体2は、応力σに比例して変形し、フックの法則にしたがう。
σ=E0
ここで、
E0は、線形領域のヤング率であり、
εは、歪みである。
【0125】
非線形弾性領域では、この比例関係は、もはや有効でない。多くの場合、媒体2の材料のヤング率Eは、圧縮すると増加する。
【0126】
ここで、弾性の係数すなわちヤング率Eを、応力-歪み曲線の傾きであるとして規定する。すなわち、次式となる。
【数13】
ここで、
Eは、ヤング率であり、
Δσは、局所的応力変動、すなわち、部分応力であり、
Δεは、局所的歪み変動、すなわち、部分歪みである。
【0127】
弾性の非線形パラメータは、たとえば、以下の文書で言及される3次弾性係数Aと呼ばれるランダウ係数であってよい。
・「Acoustoelasticity in soft solids: Assessment of the non-linear shear modulus with the acoustic radiation force」、Gennissonら、J. Acoust. Soc. Am (122)、2007年12月、3211 3219頁
・「Quantitative Imaging of Nonlinear Shear Modulus by Combining Static Elastography and Shear Wave Elastography」、H. Latorre-Ossaら、IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control, Vol. 51, no. 4、833~839頁
【0128】
特に、後者の文書の式(1)は、弾性率(ヤング率)Eと応力σの間の関係式(R1)の形で、書き換えることができる。
【数14】
ここで、
Eは、ヤング率または弾性の係数であり、
E0は、線形領域のヤング率、すなわち、圧縮されない媒体の材料のヤング率であり、したがって、時間的に連続する画像のうちの一番目の補正弾性画像であり、
σは、応力たとえばZ方向(垂直)の1軸の応力σzであって、プローブ6の使用者によって加えられる外部圧力により誘起される圧縮にほぼ対応し、
Aが、所望の非線形パラメータである。
【0129】
前の関係式R1を微分することによって、次式を得る。
【数15】
【0130】
式(式1)からのヤング率の定義での除算および積分によって、弾性率(ヤング率)Eと歪みεの間の関係式R2が得られる。
【数16】
ここで、
Eは、ヤング率であり、
E0は、線形領域のヤング率、すなわち、圧縮されない媒体の材料のヤング率であり、したがって、時間的に連続する画像のうちの一番目の補正弾性画像であり、
ln()は、自然対数関数であり、
εは、歪みであり、
Aは、決定する非線形パラメータである。
【0131】
図5で表される方法の第1の変形形態NLaによれば、歪み画像および弾性画像に基づいて、マイクロコンピュータ4によって実行される方法は、以下のステップをさらに含む。
(NL1a)上で呈示したような、複数の補正歪み画像(Iεk *)の決定、
(NL2a)上で呈示したような、複数の補正弾性画像(IEk *)の決定であって、前記補正歪み画像および前記弾性画像が時間的にインターレースされる、決定、
(NL3a)複数の補正歪み画像(Iεk *)および複数の補正弾性画像(IEk *)に基づいた、非線形パラメータの画像(INLk)の決定
【0132】
実際に、画像中の画素の非線形パラメータは、その画素についての、(複数の)補正歪みおよび補正弾性値の組によって決定される。
【0133】
たとえば、この非線形パラメータは、この複数の値の対の、線形回帰によって決定される。この線形回帰を歪み線形回帰と呼ぶ。
【0134】
各値の対は、画像の画素について形成され、次を含む。
・補正歪み画像からのこの同じ画素の第1の値、および
・補正弾性画像からのこの同じ画素の第2の値、
対象の補正歪み画像および補正弾性画像は、時間的に連続する、または時間的に近い画像である。これらの画像は、同じまたは同様の画像インデックスを有することができる。
【0135】
任意選択で、歪み画像および弾性画像は、異なる画像インデックスを有することができ、上で説明したように、時間的に連続するまたは時間的に近い瞬間に対応するインデックスを有する画像をとる必要がある。すなわち、対象の各画像の時間とインデックスの間に対応がなされる。
【0136】
図6は、画像の画素についての複数の点Paを表しており、各点Paは、そのような値の対(Ekk)に対応する。これらの点Paのすべてが、横座標については(この画素についての)補正歪み値εを有し、縦座標については(画像のこの同じ画素についての)ヤング率Eの値の自然対数を有するグラフ中の、直線Daに沿ってほぼ位置合わせされる。
【0137】
次いで、歪み線形回帰は、弾性率(ヤング率)Eと歪みεの間の関係式R2を使用する(式3)。
【数17】
ここで、この場合により具体的には、
Eは、対象の補正弾性画像の画素のヤング率であり、
E0は、一番目の補正弾性画像の画素のヤング率であり、
ln()は、自然対数関数であり、
εは、対象の補正歪み画像の画素の歪みであり、
Aは、前記歪み線形回帰によって前記画素について決定された非線形パラメータである。
【0138】
複数の補正歪み画像(Iεk *)および補正弾性画像(IEk *)から抽出された値の対の組についての、この歪み線形回帰の解によって、画像中の各画素についての非線形パラメータAの値が与えられる。
【0139】
これらの計算によって、補正画像を使用した媒体2の非線形パラメータINLkの画像が得られる。この画像は、従来技術の非補正画像からのアーティファクトを持たない。この画像は、外部圧力Pによって誘起される変形および運動によって影響されない、またはほんのわずかに影響される。従来技術の方法でのものより、より正確でより正しい非線形パラメータ値Aが得られる。
【0140】
図7Aおよび図7Bで表される方法の第2の変形形態NLbによれば、歪み画像および弾性画像に基づいた、マイクロコンピュータ4によって実行される方法は、以下を含む。
・部分歪み画像が補正応力画像へと変換される第1のフェーズ、および
・非線形パラメータの画像が決定される第2のフェーズ
【0141】
図7Aに表される第1のフェーズ期間に、以下が実行される。
(c1)インデックスkの補正部分歪み画像(IΔεk *)とインデックスkの補正弾性画像(IEk *)の乗算による、時間的に連続する補正部分応力画像(IΔσk *)の決定、
(c2)1およびk自体を含む1とkの間のインデックスを有する補正部分応力画像(IΔσk *)の総和による、補正応力画像(Iσk *)の決定
【0142】
画像の乗算とは、本明細書では、前記画像中で同じ空間座標を有する画素の値が乗算され(すなわち、一緒に乗算され)、結果として得られる画像の対応する画素の値を形成することを意味すると理解される。ここで、したがって、上で説明され図3に図示される方法のステップによって計算された補正部分歪み値Δε*を、上で説明され図4に図示される方法のステップによって計算された補正弾性値E*(補正ヤング率)で乗算し、前記画素についての補正応力値Δσ*を得る。
【0143】
こうして、部分応力は、次式によって、画像の各画素で計算される。
Δσ*=E*.Δε*
【0144】
画像の総和または合計とは、前記画像中の同じ空間座標を有する画素の値が加算され(すなわち、一緒に加えられ)、結果として得られる画像中の対応する画素の値を形成することを意味すると理解される。
【0145】
これは、次式を意味する。
【数18】
【0146】
この式は、補正応力画像(Iσk*)を構築するために、画像の任意の画素に適用される。
【0147】
図7Bに表される第2のフェーズ期間に、以下が実行される。
(NL1b)複数の補正応力画像(Iσk *)の決定、
(NL2b)複数の補正弾性画像(IEk *)の決定であって、前記補正歪み画像および前記弾性画像が時間的にインターレースされる、決定、
(NL3b)複数の補正応力画像(Iεk *)および複数の補正弾性画像(IEk *)に基づいた、非線形パラメータの画像(INLk)の決定
【0148】
実際に、画像中の画素の非線形パラメータは、その画素についての、(複数の)補正応力および補正弾性値の組によって決定される。
【0149】
たとえば、この非線形パラメータは、この複数の値の対の、線形回帰によって決定される。この線形回帰を応力線形回帰と呼ぶ。
【0150】
各値の対は、画像の画素について形成され、次を含む。
・補正応力画像のこの同じ画素の第1の値、および
・補正弾性画像のこの同じ画素の第2の値、
対象の補正応力画像および補正弾性画像は、時間的に連続する、または時間的に近い画像である。これらの画像は、同じまたは同様の画像インデックスを有することができる。
【0151】
任意選択で、応力画像および弾性画像は、異なる画像インデックスを有することができ、上で説明したように、時間的に連続するまたは時間的に近い瞬間に対応するインデックスを有する画像をとる必要がある。すなわち、対象の各画像の時間とインデックスの間には対応関係がある。
【0152】
図8は、画像の画素についての複数の点Pbを表しており、各点Pbは、値の対(Ekk)に対応する。これらの点Pbのすべてが、横座標については(この画素についての)補正応力値σを有し、縦座標については(画像のこの同じ画素についての)ヤング率Eの値を有するグラフ中の、直線Dbに沿ってほぼ位置合わせされる。
【0153】
次いで、歪み線形回帰は、弾性(ヤング率)Eと応力σの間の関係式R1を使用する(式2)。
【数19】
ここで、この場合により具体的には、
Eは、対象の補正弾性画像の画素のヤング率であり、
E0は、一番目の補正弾性画像の画素のヤング率であり、
ln()は、自然対数関数であり、
εは、対象の補正歪み画像の画素の歪みであり、
Aは、前記応力回帰によって前記画素について決定された非線形パラメータである。
【0154】
複数の補正応力画像(Iσk *)および補正弾性画像(IEk *)から抽出された値の対の組についての、この応力線形回帰の解によって、画像中の各画素についての非線形パラメータAの値が与えられる。
【0155】
これらの計算によって、補正画像を使用した媒体2の非線形パラメータINLkの画像が得られる。この画像は、従来技術の非補正画像からのアーティファクトを持たない。この画像は、外部圧力Pによって誘起される変形および運動によって影響されない、またはほんのわずかに影響される。従来技術のものより、より正確でより正しい非線形パラメータ値Aが得られる。
【符号の説明】
【0156】
1 撮像デバイス
2 媒体、粘弾性媒体
2i 含有物
3 外面
4 マイクロコンピュータ
4a 出力インターフェース
4b 入力インターフェース
5 散乱粒子、反射性粒子
6 超音波プローブ
7 キャビネット
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8