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特許7579285射出成形システム、搬送装置、および金型交換方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】射出成形システム、搬送装置、および金型交換方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20241030BHJP
   B29C 45/03 20060101ALI20241030BHJP
   B29C 33/34 20060101ALI20241030BHJP
   B29C 33/30 20060101ALI20241030BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/03
B29C33/34
B29C33/30
B29C45/26
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021576728
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 US2020039202
(87)【国際公開番号】W WO2020263869
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】62/867,716
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520449345
【氏名又は名称】キヤノンバージニア, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Canon Virginia, Inc.
【住所又は居所原語表記】12000 Canon Blvd., Newport News, Virginia, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳原 裕一
(72)【発明者】
【氏名】小平 弘毅
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-030509(JP,A)
【文献】特開2003-191064(JP,A)
【文献】特開2018-001738(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0009146(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107584725(CN,A)
【文献】特開2001-026039(JP,A)
【文献】特開平04-319416(JP,A)
【文献】特開2012-166523(JP,A)
【文献】米国特許第05096404(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 39/26-39/36
B29C 41/38-41/44
B29C 43/36-43/42
B29C 43/50
B29C 45/00-45/73
B29C 49/48-49/56
B29C 49/70
B29C 51/30-51/40
B29C 51/44
B22D 15/00-17/32
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機と、
前記射出成形機に対して金型を搬送するための搬送装置と、
を備える射出成形システムであって、
前記搬送装置は、
前記金型の底部を支持するための支持部材と、
前記金型の側方に配置され、前記搬送装置により搬送される前記金型をガイドするためのガイド部材と、
を備え、
前記搬送装置に対する改良は、
前記搬送装置による前記金型の搬送方向と交差する方向に、前記支持部材の位置とは独立して前記ガイド部材の位置を調整するための調整部材と、
前記支持部材を支持するための支持台座と、
前記ガイド部材を支持するためのガイド台座と、
を含
前記調整部材は、前記ガイド台座を前記支持台座に取り外し可能に固定し、前記金型の前記搬送方向に交差する前記方向に前記ガイド台座の位置を調整することが可能である締結部材を含む、
射出成形システム。
【請求項2】
前記支持部材は、支持部材の第1の列と第2の列とを含み、前記第1の列は前記金型の可動金型側に配置され、前記第2の列は前記金型の固定金型側に配置され、
前記ガイド部材は、ガイド部材の第1の列と第2の列とを含み、前記第1の列は前記金型の可動金型側に配置され、前記第2の列は前記金型の固定金型側に配置され、
前記調整部材は、前記金型の型締め方向に前記第1のガイド部材列の位置を調整するように構成される、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記金型の前記型締め方向に前記第1の支持部材列の位置を調整するための別の調整部材をさらに備える、請求項に記載の射出成形システム。
【請求項4】
前記搬送装置は、
前記第1の支持部材列と前記第1のガイド部材列とが配置される支持台座をさらに備え、
前記別の調整部材は、前記支持台座の位置を調整するように構成され、
前記調整部材は、前記支持台座に対して前記第1のガイド部材列の位置を調整するように構成される、請求項に記載の射出成形システム。
【請求項5】
前記搬送装置は、
前記支持台座に固定され、前記支持台座に対して位置を調整可能なガイド台座をさらに備え、
前記第1のガイド部材列は、前記ガイド台座に回転可能に固定された複数のローラを含み、
前記調整部材は、前記ガイド台座の位置を調整するように構成される、請求項に記載の射出成形システム。
【請求項6】
前記搬送装置は、
前記第1の支持部材列と前記第1のガイド部材列とが配置される第1の支持台座と、
前記第2の支持部材列と前記第2のガイド部材列とが配置される第2の支持台座と、
をさらに備え、
前記調整部材は、前記第2の支持台座に対して前記第1の支持台座の位置を調整するように構成される、請求項に記載の射出成形システム。
【請求項7】
前記別の調整部材は、
前記搬送装置の天板に形成され、前記金型の前記型締め方向に沿って延びる長穴と、
前記長穴に沿って少なくとも1箇所で前記第1の支持台座を締結するための締結部材とを含む、請求項に記載の射出成形システム。
【請求項8】
前記調整部材は、前記第1の支持台座に形成され、前記金型の前記型締め方向に沿って延びる長穴と、
前記長穴に沿って少なくとも1箇所で前記第1のガイド台座を締結するための締結部材とを含む、請求項に記載の射出成形システム。
【請求項9】
前記支持部材は、前記金型の型締め方向に沿って軸の周りを回転可能な複数のローラを含む、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項10】
前記ガイド部材は、垂直方向に沿って軸の周りを回転可能な複数のローラを含む、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項11】
射出成形機に対して金型を搬送するための搬送装置であって、
金型の底部を支持するための第1の支持部材列と第2の支持部材列とを有する支持部材と、
前記金型をガイドするための第1のガイド部材列と第2のガイド部材列とを有し、前記第1のガイド部材列は前記金型の可動金型側にあり、前記第2のガイド部材列は前記金型の固定金型側にあるガイド部材と、
前記第1の支持部材列が配置される第1の支持台座と、
前記第2の支持部材列が配置される第2の支持台座と、
前記第1の支持台座の位置を調整するための第1の調整部材と、
前記搬送装置に取り外し可能に取り付けられ、前記第1のガイド部材列が配置されるガイド台座と、
を備える、搬送装置。
【請求項12】
射出成形機および金型搬送装置の金型交換方法であって、
金型を前記射出成形機外に搬送し、
前記金型の可動金型側に配置され、前記金型の移動をガイドするように構成されるガイド部材を前記金型搬送装置から取り外し、
前記金型を前記金型搬送装置から搬出し、
前記可動金型側に配置され、前記金型の底部を支持するように構成される前記金型搬送装置の支持部材の位置を調整し、
異なる金型を前記金型搬送装置の支持部材上に搬入し、
前記ガイド部材を前記金型搬送装置に取り付け、調整部材を用いて、前記金型搬送装置による前記異なる金型の搬送方向と交差する方向に、前記支持部材とは独立して前記ガイド部材の位置を調整し、
前記異なる金型を前記射出成形機内に搬送する、
ことを含
前記調整部材は、前記ガイド部材を支持するためのガイド台座を、前記支持部材を支持するための支持台座に取り外し可能に固定し、前記異なる金型の前記搬送方向に交差する前記方向に前記ガイド台座の位置を調整することが可能である締結部材を含む、
金型交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月27日に出願された、米国仮出願62/867716号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、金型を射出成形機内外に搬送するための搬送装置を含む射出成形システム、搬送装置、および射出成形システムによる金型交換方法に関する。
【背景技術】
【0003】
射出成形機による成形品の製造は、型締め後の金型内への樹脂の射出、樹脂の固化による体積減少を補うための高圧での金型への樹脂の押し込み、樹脂が固化するまでの金型内での成形品の保持、および金型からの成形品の取り出しが含まれる。
【0004】
この種の成形方法において、生産性を高めるために、1台の射出成形機に対して、2つの金型を用いる方法が提案されている。例えば、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号では、射出成形機2の両側に、搬送装置3Aおよび3Bを配置するシステムが論じられている。図1~4は、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号の射出成形システムを示す。このシステムでは、金型を移動させるためのアクチュエータを金型搬送方向において金型の横に配置し、1台の射出成形機2に対して、搬送装置3Aおよび3Bによって複数の金型を入れ替えながら成形品を製造する。
【0005】
製造施設においては、1台の射出成形機に対して、複数の異なる金型を用いることがあり、異なる金型は、その大きさ、特に射出成形機の型締め方向の幅にばらつきがあり得る。そのため、様々な幅の金型に対応できる搬送装置が求められる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一態様によれば、射出成形システムは、射出成形機と、前記射出成形機に対して金型を搬送するための搬送装置とを含み、前記搬送装置は、前記金型の底部を支持するための支持部材と、前記金型の側方に配置され、前記搬送装置により搬送される前記金型をガイドするためのガイド部材とを含み、前記搬送装置に対する改良は、前記搬送装置による前記金型の搬送方向と交差する方向に、前記支持部材の位置とは独立して前記ガイド部材の位置を調整するための調整部材を含む。
【0007】
本開示の実施形態、特徴および利点は、以下の本開示の例示的実施形態の詳細な説明を添付の図面および提供する特許請求の範囲と併せ読めば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、射出成形システムを示す。
図2図2は、射出成形機の側面図である。
図3図3は、固定プラテンの端面図であり、図2のI-I線の矢印方向から見た図である。
図4図4は、射出成形システムの部分斜視図である。
図5図5は、射出成形システムの例示的な処理を示すフロー図である。
図6図6Aおよび図6Bは、第1のモードでの射出成形機の動作を示す。
図7図7Aおよび図7Bは、第2のモードでの射出成形機の動作を示す。
図8図8は、射出成形システムを示す。
図9図9は、搬送装置の側面図である。
図10図10は、搬送装置における金型交換処理を示すフロー図である。
図11図11は、別の例示的実施形態における射出成形システムを示す。
図12A図12Aは、別の例示的実施形態における搬送装置の側面図である。
図12B図12Bは、別の例示的実施形態における搬送装置の側面図である。
図13A図13Aは、搬送装置における金型交換処理を示す。
図13B図13Bは、搬送装置における金型交換処理を示す。 図面全体を通して、別段の記載がない限り、同一の参照番号および符号は、図示する実施形態の同様の特徴、要素、構成要素、または部分を示すために用いられる。さらに、これから図面を参照して本開示を詳細に説明するが、これは説明のための例示的な実施形態に関連して行われる。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲および趣旨を逸脱することなく、説明される例示的な実施形態に対して変更および修正を加えることができることを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、いくつかの例示的な実施形態を説明しており、当業者に既知の詳細については、特許、特許出願、および他の参考文献に依拠する。したがって、本明細書において、特許、特許出願、または他の参考文献が引用される、または繰り返されるとき、それらは、記載されている提案だけでなくあらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることを理解されたい。
【0010】
図面を参照して、各図中の矢印XおよびYは、互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは、地面に対して垂直(直立)方向を示す。
【0011】
図1図4は、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号の射出成形システム1を示しており、本明細書では情報/説明の目的のためだけに提供されている。
【0012】
射出成形システム1は、射出成形機2と、搬送装置3Aおよび3Bと、制御装置4とを含む。射出成形システム1は、1台の射出成形機2に対して、搬送装置3Aおよび3Bを用いて、複数の金型を入れ替えながら成形品を製造する。2つの金型100Aおよび100Bを用いる。
【0013】
金型100A/100Bは、固定金型101と、固定金型101に対して開閉される可動金型102との組である。成形品は、固定金型101と可動金型102との間に形成されたキャビティに溶融樹脂を射出することで成形される。固定金型101および可動金型102には、それぞれ取付板101aおよび102aが固定されている。取付板101aおよび102aは、金型100A/100Bを射出成形機の成形動作位置11(型締位置)に固定するために用いられる。
【0014】
金型100A/100Bには、固定金型101と可動金型102との間を閉状態に維持する自己閉鎖部103が設けられている。自己閉鎖部103により、射出成形機2から金型100A/100Bを搬出した後も、金型100A/100Bが開くことを防止することが可能となる。自己閉鎖部103は、磁力を利用して金型100A/100Bを閉状態に維持する。自己閉鎖部103は、固定金型101および可動金型102の対向面に沿って複数の箇所に配置されている。自己閉鎖部103は、固定金型101側の要素と可動金型102側の要素との組み合わせである。通常、金型100Aおよび100Bの1つに対して2組以上の自己閉鎖部103が設けられる。
【0015】
搬送装置3Aは、金型100Aを射出成形機2の成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3Bは、金型100Bを成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3A、射出成形機2、および搬送装置3Bは、この順にX軸方向に並ぶように配置されている。言い換えれば、搬送装置3Aおよび搬送装置3Bは、射出成形機2をX軸方向において挟むように、射出成形機2に対して横方向に配置されている。搬送装置3Aおよび3Bは、互いに対向して配置され、搬送装置3Aは射出成形機2の左右の一側方に、搬送装置3Bは他側方にそれぞれ隣接して配置されている。成形動作位置11は、搬送装置3Aと搬送装置3Bとの間に位置している。搬送装置3Aおよび3Bは、それぞれフレーム30と、搬送ユニット31と、複数のローラ32と、複数のローラ33とを含む。
【0016】
フレーム30は、搬送装置3Aおよび3Bの骨格であり、搬送ユニット31と、複数のローラ32および33とを支持する。搬送ユニット31は、金型100A/100BをX軸方向に往復移動させ、成形動作位置11に対して金型100A/100Bを排出および挿入する装置である。
【0017】
搬送ユニット31は、モータを駆動源とした電動シリンダであり、シリンダに対して進退するロッドを含む。シリンダはフレーム30に固定され、ロッドの端部には固定金型101が固定されている。搬送ユニット31は、流体アクチュエータ、電動アクチュエータのいずれも使用可能であるが、電動アクチュエータにより、金型100A/100Bの搬送時に、その位置や速度の制御精度の向上を図ることができる。流体アクチュエータとしては、例えば、油圧シリンダ、エアシリンダを挙げることができる。電動アクチュエータとしては、電動シリンダに加えて、モータを駆動源としたラックアンドピニオン機構、モータを駆動源としたボールねじ機構等を挙げることができる。
【0018】
搬送ユニット31は、搬送装置3Aと3Bのそれぞれに独立して配置されている。しかし、金型100Aおよび100Bを支持する共通の支持部材を用い、この支持部材に対して単一の共通の搬送ユニット31を配置してもよい。搬送ユニット31を搬送装置3Aと3Bのそれぞれに独立して配置した場合は、金型100Aと金型100Bとで搬送時の移動ストロークが異なる場合に対応することが可能となる。例えば、金型の幅(X方向の幅)が異なっていたり、金型の厚み(Y方向の幅)が異なっていたりして、金型を同時に搬送できない場合である。
【0019】
複数のローラ32は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ32は、Z軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの側面(取付板101aおよび102aの側面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。複数のローラ33は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ33は、Y軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aおよび102aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。
【0020】
制御装置4は、射出成形機2を制御するためのコントローラ41と、搬送装置3Aを制御するためのコントローラ42Aと、搬送装置3Bを制御するためのコントローラ42Bとを含む。各コントローラ41、42A、42Bは、例えば、CPU等のプロセッサと、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶装置と、センサやアクチュエータに接続されるインタフェース(図示せず)とを含む。プロセッサは、記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。コントローラ41が実行するプログラム(制御)の一例は後述する。コントローラ41は、コントローラ42Aおよび42Bと通信可能に接続され、コントローラ42Aおよび42Bに金型100A/100Bの搬送に関する指示を行う。コントローラ42Aおよび42Bは、金型100A/100Bの搬入や搬出が終了した場合に、動作完了の信号をコントローラ41に送信する。さらに、コントローラ42Aおよび42Bは、異常発生時に非常停止信号をコントローラ41に送信する。
【0021】
射出成形機2、搬送装置Aおよび搬送装置Bのそれぞれには、コントローラが配置されているが、1つのコントローラで3台全ての装置を制御してもよい。より確実に協調的に動作させるために、搬送装置Aと搬送装置Bとを単一のコントローラで制御してもよい。
【0022】
図2は、射出成形機2の側面図である。図3は、固定プラテン61の端面図であり、図2のI-I線の矢印方向から見た図である。図4は、成形動作位置11周辺の構成を説明するための部分斜視図である。
【0023】
図1および図2を参照して、射出成形機2は、射出装置5と、型締装置6と、成形品を取り出す取出機7とを含む。射出装置5および型締装置6は、フレーム10上にY軸方向に配置されている。
【0024】
射出装置5は、Y軸方向に延びるように配置された射出シリンダ51を含む。射出シリンダ51は、バンドヒータ等の加熱装置(図示せず)を含み、ホッパ53から導入された樹脂を溶融する。射出シリンダ51にはスクリュ51aが内蔵されており、スクリュ51aを回転させることで射出シリンダ51内に導入された樹脂が可塑化され、計量される。スクリュ51aの軸方向(Y軸方向)への移動により、射出ノズル52から溶融樹脂を射出することができる。
【0025】
図2に、ノズル52としての遮断ノズルの一例を示す。吐出口52aを開閉するピン56aが、図2の開閉機構56として配置されている。ピン56aは、リンク56bを介してアクチュエータ(シリンダ)56cに連結されており、アクチュエータ56cの動作により吐出口52aが開閉される。
【0026】
射出シリンダ51は、駆動部54に支持されている。駆動部54には、スクリュ51aを回転駆動させて樹脂の可塑化と計量を行うモータと、スクリュ51aを軸方向に進退させる駆動モータとが配置されている。駆動部54は、フレーム10上のレール12に沿ってY軸方向に進退可能である。また、駆動部54には、射出装置5をY軸方向に進退させるアクチュエータ(例えば電動シリンダ)55が配置されている。
【0027】
型締装置6は、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行う。型締装置6には、Y軸方向に順に、固定プラテン61、可動プラテン62、可動プラテン63が配置されている。プラテン61~63には、複数のタイバー64が通過している。各タイバー64は、Y軸方向に延びる軸であり、その一端部が固定プラテン61に固定されている。各タイバー64は、可動プラテン62に形成された各貫通穴に挿入されている。各タイバー64の他端部は、調整機構67を介して可動プラテン63に固定されている。可動プラテン62および63は、フレーム10上のレール13に沿ってY軸方向に移動可能であり、固定プラテン61は、フレーム10に固定されている。
【0028】
可動プラテン62と可動プラテン63との間には、トグル機構65が配置されている。トグル機構65は、可動プラテン63に対して(言い換えれば、固定プラテン61に対して)、可動プラテン62をY軸方向に進退させる。トグル機構65は、リンク65a~65cを含む。リンク65aは、可動プラテン62に回転自在に連結されている。リンク65bは、可動プラテン63に回動自在に連結されている。リンク65aとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cは、アーム66cに回動自在に連結されている。
【0029】
アーム66cは、ボールナット66bに固定されている。ボールナット66bは、Y軸方向に延びるボールねじ軸66aに係合し、ボールねじ軸66aの回転によりY軸方向に進退する。ボールねじ軸66aは、可動プラテン63によって回転自在となるように支持されており、モータ66は、可動プラテン63に支持されている。モータ66は、モータ66の回転量を検出しながら、ボールねじ軸66aを回転駆動する。モータ66の回転量を検出しながらモータ66を駆動することにより、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行うことが可能となる。
【0030】
射出成形機2は、型締力を計測するためのセンサ68を含み、各センサ68は、例えばタイバー64に設けられた歪みゲージであり、タイバー64の歪みを検出することで型締力を算出する。
【0031】
調整機構67は、可動プラテン63に回転自在に支持されたナット67bと、駆動源であるモータ67aと、モータ67aの駆動力をナット67bに伝達する伝達機構とを含む。各タイバー64は、可動プラテン63に形成された穴を通過して、ナット67bと係合している。ナット67bを回転させることにより、ナット67bとタイバー64との間のY軸方向の係合位置が変化する。すなわち、タイバー64に対する可動プラテン63の固定位置が変化する。これにより、可動プラテン63と固定プラテン61との間の間隔を変化させることができるため、型締力等を調整することができる。
【0032】
成形動作位置11は、固定プラテン61と可動プラテン62との間の領域である。
【0033】
成形動作位置11に導入された金型100A/100Bは、固定プラテン61と可動プラテン62との間に挟まれ、それによって型締めされる。可動プラテン62の移動により、可動金型102の移動に基づく開閉が行われる。
【0034】
図3は、固定プラテン61の中央部の開口部61aを示しており、ノズル52がこの開口部を通って進退する。固定プラテン61の可動プラテン62側の面(内面という)には、複数のローラBRが回転自在となるように支持されている。複数のローラBRは、回転軸を中心としてY軸方向に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体620が固定されており、このローラ支持体620によって、複数のローラBRが支持されている。
【0035】
固定プラテン61の内面には、X軸方向に延びる溝61bが形成されている。
【0036】
溝61bは、上下に離間して2列形成されている。各溝61bには、ローラユニット640が配置されている。ローラユニット640には、複数のローラSRが回転自在となるように支持されている。複数のローラSRは、回転軸を中心としてZ軸方向に回転し、金型100A/100Bの外面(取付板101aの外面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。II-II線断面図に示すように、ローラユニット640は、バネ641の付勢により、ローラSRが溝61bから突出する位置に位置する一方、型締め時には、溝61b内に後退して、ローラSRが溝61bから突出しない位置に位置する。ローラユニット640は、金型100A/100Bの入れ替え時には、金型100A/100Bと固定プラテン61の内面とが接触して内面が損傷することを防止でき、型締め時には、固定プラテン61の内面と金型100A/100Bとが密接することを妨げない。
【0037】
固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体630が固定されており、このローラ支持体630によって、複数のローラSRが支持されている。
【0038】
固定プラテン61には、固定金型101を固定プラテン61に固定するための複数の固定機構(クランプ)610が配置されている。各固定機構610は、取付板101aと係合する係合部610a、および係合位置と係合解除位置との間で係合部610aを移動させる内蔵アクチュエータ(図示せず)を含む。
【0039】
なお、可動プラテン62についても、固定プラテン61と同様に、複数のローラBRと、ローラ支持体620および630と、ローラユニット640と、可動金型102を固定するための固定機構610とが配置されている。
【0040】
図4に示すように、型締装置6の周囲は、安全性のためにカバー(外装板)60で囲まれているが、金型100A/100Bの入れ替えのために、成形動作位置11の側方に金型100A/100Bが通過する開口部60aが形成されている。各開口部60aは、基本的に常時開放されており、成形動作位置11に対する金型100A/100Bの自由な排出および挿入が可能となっている。
【0041】
図2に戻り、次に、取出機7について説明する。取出機7は、X軸方向に延びるレール71と、レール71上をX軸方向に移動可能な可動レール72とを含む。可動レール72は、Y軸方向に延びるように配置されており、可動レール72上にはスライダ73が配置されている。スライダ73は、可動レール72にガイドされてY軸方向に移動し、昇降軸73aをZ軸方向に昇降させる。昇降軸73aの下端部には、真空ヘッド74が配置されており、真空ヘッド74には、成形品に特化したチャック板75が取り付けられている。
【0042】
取出機7は、型開き後、レール71、可動レール72、およびスライダ73により、図2中に破線で示すように、真空ヘッド74を固定金型101と可動金型102との間に移動し、成形品に吸着して、成形品を金型100A/100Bの外に搬送する。
【0043】
図5は、射出成形システムの例示的な処理を示すフロー図である。
【0044】
フローチャートの開始時には、金型100Aは、成形動作位置11外に搬送され、冷却されている。金型100Bは、成形動作位置11に搬送され、金型100Bに対する射出動作は終了している。
【0045】
S1では、金型100Bの型締めを解除する。より具体的には、可動プラテン62を僅かに移動させることで、金型100Bを移動させることが可能となる。
【0046】
S2では、金型100Bの搬出と、金型100Aの搬入とを開始する。金型100Bは、成形動作位置11から搬送装置3Bに移動する。並行して、金型100Aは、搬送装置3Aから成形動作位置11に移動する。金型同士の接触を回避するために、搬出動作は搬入動作より少し早めに開始することが望ましい。
【0047】
S3では、金型100Bの搬出と、金型100Aの搬入とを完了する。
【0048】
このとき、金型100Bは搬送装置3B上にあり、金型100Bの少なくとも一部は射出成形機2内にある。S4では、金型100Aを型開きし、成形品を金型100Aから取り出し、金型100Aを型閉じする。S3およびS4により、金型100Bが完全に射出成形機2外に出ていなくても、金型100Aを型開きすることが可能となる。
【0049】
S5では、金型100Aを型締装置6で型締めする。次いで、S6では、金型100Aへの射出を行う。S7では、S1で上述したように、可動プラテン62を移動させる。これにより、金型100Aを移動させることが可能となる。
【0050】
S8では、金型100Aの搬出と、金型100Bの搬入とを開始する。これにより、金型100Aは、成形動作位置11から搬送装置3Aのテーブル45に移動する。並行して、金型100Bは、搬送装置3Bのテーブル45から成形動作位置11に移動する。
【0051】
S9では、金型100Aの搬出と、金型100Bの搬入とを完了する。このとき、金型100Aは搬送装置3A上にあり、金型100Aの少なくとも一部は射出成形機2内にある。
【0052】
S10では、金型100Bを型開きし、成形品を金型100Bから取り出し、金型100Bを型閉じする。これにより、金型100Aが完全に射出成形機2外に出ていなくても、金型100Bを型開きすることが可能となる。
【0053】
S11では、金型100Bを型締装置6で型締めする。次いで、S12では、金型100Bへの射出を行う。次いで、処理はS1に戻り、射出成形システムで製造される成形品の数が所定数に達するまで、射出成形を繰り返す。
【0054】
図6Aおよび図6B、ならびに図7Aおよび図7Bは、射出成形機2の2つの動作モードを示す。制御装置4は、第1の動作モードまたは第2の動作モードのいずれかを選択し、射出成形機2は、選択されたモードを実行する。
【0055】
図6Aおよび図6Bは、第1のモードを示す。図6Aは、金型100Bが搬送装置3Bによって射出成形機2の成形動作位置11に搬送された状態を示す。図6Bは、金型100Aが搬送装置3Aによって射出成形機2の成形動作位置11に搬送された状態を示す。
【0056】
第1のモードは、図5に示すフローチャートによって実行されるモードである。すなわち、一方の金型を搬送装置上で冷却中に、並行して、射出成形機2による他方の金型を用いた射出を行っている。図5のS4~S7の処理は、図6Aに示す状態において金型100Aに対して行われる。S8~S9の処理は、図6Aから図6Bへの移行期間中に行われる。S10~S12およびS1の処理は、図6Aに示す状態において金型100Bに対して行われる。S2~S3の処理は、図6Aから図6Bへの移行期間中に行われる。
【0057】
図6Aおよび図6Bに示す両状態において、金型100A、100Bの搬入および搬出ができるように、扉80Aと80Bはいずれも開放されている。この状態では、扉80A、80Bは部分的に開放されており、可動プラテン62側であって固定プラテン61に対向する側とは反対側に位置する金型100A、100Bの領域には、部分的に閉鎖された扉80A、80Bにより、操作者はアクセスできない。可動プラテン62は、型締め方向(+Y軸方向)と型開き方向(-Y軸方向)とに繰り返し移動する。部分的に開放された扉により、操作者は、移動中の可動プラテン62との接触を回避することができる。
【0058】
図7Aおよび図7Bは、第2のモードを示す。図7Aおよび図7Bは、扉80A、80Bの位置を除いて、図6Aおよび図6Bと同様の状況を示す。図7Aは、金型100Bが搬送装置3Bによって射出成形機2の成形動作位置11に搬送された状態を示す。図7Bは、金型100Aが搬送装置3Aによって射出成形機2の成形動作位置11に搬送された状態を示す。
【0059】
第2のモードは、射出成形機2の成形動作位置11において、冷却処理、すなわち射出成形処理後の金型の冷却処理を含む射出成形処理の1サイクルが完了するモードである。冷却処理を搬送装置3A、3B上で行わないため、射出および保圧処理完了後の金型100A、100Bの搬出処理、および成形品の取り出し前の金型100A、100Bの搬入処理は行わない。
【0060】
図7Bは、金型100Aに対する射出成形サイクルを所定回数繰り返した状態を示す。所定回数の射出成形サイクルが完了すると、図7Bに示す状態から図7Aに示す状態に移行する。
【0061】
図7Bは、金型100Aの場合と同じく、金型100Bに対する射出成形サイクルを所定回数繰り返した状態を示す。所定回数の射出成形サイクルが完了すると、図7Bに示す状態から図7Aに示す状態に移行する。
【0062】
図7Bに示す状態では、搬送装置3B上の金型100Bが既に使用済みの場合は、金型100Bを搬送装置3Bから搬出し、新たな金型を搬送装置3Bに搬入し、金型100Aに対して射出成形を行いながら、操作者は新たな金型100Bの準備を行う。新たな金型100Bの準備には、電力ケーブルおよび/または金型100Bの温度調整用の冷却液を循環させるホースを金型100Bに接続することが含まれる。
【0063】
金型100Bの搬送装置3Bからの搬出時に、電力ケーブルおよびホースを金型100Bから取り外す。新たな金型100Bの準備が完了すると、金型100Aに対する射出成形動作の実行後に、搬送装置3Bによって新たな金型100Bを射出成形機2の成形動作位置に搬送する。図7Aに示す状態では、金型100Bに対して射出成形を実行する間に、搬送装置3A上で同様の動作を行う。
【0064】
第2のモードでは、搬送装置3A、3Bを用いて、射出成形サイクルの開始前に金型100A、100Bを搬入し、射出成形サイクルの終了後に金型100A、100Bを搬出する。搬送装置3A、3Bは、第1のモードと同様に、1サイクルの射出成形を行っている間は、金型100A、100Bを移動させない。第2のモードは、金型ごとに設定された所定のサイクル数が少ないときに有効である。言い換えれば、少量生産が求められ、金型を頻繁に交換しながら射出成形を行うときに、多種多様な生産が可能となる。
【0065】
図7Aに示す状態では、搬送装置3B近傍において、操作者が使用済みの金型を搬出して新たな金型を搬入し、その新たな金型の準備を行うとき、搬送装置3Bに対向する扉80Bは閉鎖される。これにより、操作者が射出成形システム1の動作機構に誤って接触する可能性を低減することができる。例えば、金型100Aによる射出成形の実行中に扉80Bの開放が検出された場合に、制御装置4が金型100Aによる射出成形を停止すると安全性が向上する。別の例示的実施形態では、電気錠等のロック機構を扉80Bに設けることができる。ロック機構は、金型100Aによる射出成形を実行中、扉80Bをロックすることができる。
【0066】
図7Aに示す状態では、搬送装置3A近傍において、操作者が使用済みの金型を搬出して新たな金型を搬入し、その新たな金型の準備を行うとき、搬送装置3Aに対向する扉80Aは閉鎖される。これにより、操作者が射出成形システム1の動作機構に誤って接触する可能性を低減することができる。例えば、金型100Bによる射出成形の実行中に扉80Aの開放が検出された場合に、制御装置4が金型100Bによる射出成形を停止すると安全性が向上する。別の例示的実施形態では、電気錠等のロック機構を扉80Aに設けることができる。ロック機構は、金型100Bによる射出成形を実行中、扉80Aをロックすることができる。搬送装置3A、3Bの扉には、搬送装置3A、3Bを囲むようにカバー(図示せず)を設けてもよい。
【0067】
図8は、図1に示す射出成形システム1の上面図を示しており、説明の目的のためだけに提供されている。以下では、本実施形態の特徴を示す図1からの改良点/相違点についてのみ説明する。
【0068】
図8に示すように、テーブル45には、支持台座353、354が設けられている。各支持台座353、354には、複数の底面ローラ33と複数の側面ローラ32とが設けられている。支持台座353は固定プラテン61の側方に設けられ、支持台座354は可動プラテン62の側方に設けられている。
【0069】
底面ローラ33は、搬送装置3A、3Bによって搬送される金型100A、100Bの底部を支持するための支持部材、または支持機構の一例である。側面ローラ32は、金型100A、100Bの側方に位置するガイド部材の一例であり、搬送装置3A、3Bによる金型100A、100Bの搬送時に、金型100A、100Bをガイドする。
【0070】
支持台座353、354は、いずれもX軸方向にスライド可能な機構を含む。支持台座353、354の下方には、それぞれプレート37が設けられ、プレート37には、X軸方向に長穴38が形成されている。支持台座353、354は、いずれも穴38に沿ってスライド可能であり、締結部材40により任意の位置でテーブル45に固定されている。固定金型101側のプレート37も、テーブル45に固定されている。
【0071】
支持台座354はまた、Y軸方向にもスライド可能である。プレート37とテーブル45との間には、プレート35が設けられている。テーブル45には、Y軸方向に長穴36が形成されている。支持台座354は、長穴36に沿ってスライド可能であり、締結部材39により穴36の任意の位置でテーブル45に固定されている。プレート37は、プレート35に固定されている。
【0072】
図9は、底面ローラ33および側面ローラ32のY軸方向における調整を示す。より具体的には、図9は、射出成形システム1をA-A′面からX軸正方向に向かって見たときの側面図である。アクチュエータ31Aの一部は、A-A′面からX軸負側にあるので点線で示している。
【0073】
支持台座353および354は、いずれも締結部材39または40を介してテーブル45に締結(固定)されている。固定プラテン61側または固定金型101側(以下、「固定側」という)の支持台座353は、プレート37を介して締結されている。可動プラテン62側または可動金型102側(以下、「可動側」という)の支持台座354は、プレート35およびプレート37を介して、テーブル45に締結部材39および40により締結されている。テーブル45は、その表面に形成されたY軸方向(金型または射出成形機の型締め方向)に延びる1つまたは複数の長穴36を含む。長穴(単数または複数)により、操作者が長穴36(単数または複数)内の任意の位置で支持台座354を締結することが可能となる。
【0074】
長穴36(単数または複数)を有するテーブル45と締結部材39との組み合わせは、底面ローラ33と支持台座354との位置をY軸方向に調整するための調整部材または調整機構として機能する。
【0075】
支持部材、ガイド部材および調整部材は、上述の構成に限定されるものではない。別の例示的実施形態によれば、プレート37およびX軸方向の調整機構を取り除いてもよく、搬送装置3A、3Bは、テーブル45の長穴36、およびテーブル45と支持台座354とを締結するための締結部材39を含むY軸方向の調整機構を含むだけでよい。
【0076】
さらに、支持台座353および354には、複数の側面ローラ32を支持するガイド台座355および356がそれぞれ固定されている。固定側のガイド台座355は、金型100A、100Bの固定側に位置し、金型100A、100Bの固定側の側面に接触可能な複数の側面ローラ32の列を支持する。ガイド台座356は、金型100A、100Bの可動側に位置し、金型100A、100Bの可動側の側面に接触可能な複数の側面ローラ32の別の列を支持する。
【0077】
ガイド台座355の支持台座353への固定方法は、ガイド台座356の支持台座354への固定方法とは異なる。ガイド台座355は、締結部材により支持台座353に固定され、支持台座353に対するガイド台座355の位置調整機構は持たない。ガイド台座356は、支持台座354に取り外し可能に固定され、Y軸方向に位置調整が可能である。図8に示すように、ガイド台座356のX軸方向の長さは、支持台座354の長さと実質的に同じであり、これらの台座356と354とは、底面ローラ33がX軸方向に規定する搬送経路の実質的に同一範囲に及ぶ。
【0078】
金型100A、100Bの温度調整を可能にする温度調節器(図示せず)は、コントローラ42A、42Bと共に、フレーム30に囲まれたテーブル45の下の空間に配置されている。テーブル45の下には、制御装置4からの信号線をそれぞれコントローラ42A、42Bに接続する接続部70が配置されている。
【0079】
テーブル45には、その中央に金型100A、100Bをコントローラ42A、42Bおよび温度調節器に接続するケーブルおよびホースの経路を確保するための穴901が形成されている。穴901は、X軸方向の長穴とすることができ、これにより、金型100A、100Bの移動に伴ってケーブルおよびホースが移動することが可能となる。ケーブルおよびホースは、穴901を通過して、コントローラ42A、42Bおよび温度調節器に到達することができる。穴901は、支持台座354から距離902を有するものとし、支持台座354は、距離902に対して固定側に位置している。
【0080】
アクチュエータ31Aは通常、固定金型101に連結されて固定側に位置しており、アクチュエータ31Aと支持台座353との間に穴901のための空間が十分にない可能性があるので、穴901をアクチュエータ31Aに対して可動側に配置することもできる。別の例示的実施形態では、十分な空間がある場合は、アクチュエータ31Aと支持台座353との間に穴901を形成することができる。
【0081】
支持台座354とガイド台座356とは、互いにL字型ブラケット920で固定されている。締結部材359は、L字型ブラケット920の第1の平面部を支持台座354の側面に締結し、締結部材358は、L字型ブラケット920の第2の平面部をガイド台座356の底面に締結する。L字型ブラケット920の第2の平面部には、長穴が形成されており、締結部材358が任意の位置でこの長穴を通過している。締結部材358は、例えばボルトとナットを含み、ボルトは、ガイド台座356の上面から長穴に挿入され、L字型ブラケット920の第2の平面部の底面のナットと係合する。ガイド台座356をボルトとナットで締め付けることで、ガイド台座356がX軸およびZ軸方向に固定される。
【0082】
L字型ブラケット920には、位置決め部材357が固定されている。位置決め部材357は、位置決めねじと位置決めねじ用固定具とを含み、位置決めねじ用固定具は、L字型ブラケット920の第2の平面部の表面に固定されている。固定具は、Y軸方向に延びるねじ穴を含み、ねじは、ねじ穴に係合しながら、ねじ穴に沿ってY軸方向に移動可能である。ねじがY軸正方向に向かって回転すると、ねじの先端がガイド台座356の側面に接触する。ねじがさらに回転すると、ねじがガイド台座356をY軸正方向に押し、ガイド台座356および側面ローラ32の位置を支持台座354に対してY軸正方向に調整する。このようにして、位置決め部材357は、ガイド台座356を型締め方向でもあるY軸方向に固定する。
【0083】
ガイド台座356と、L字型ブラケット920および位置決め部材357とは、金型100A、100Bを搬送装置3A、3Bから搬出するときに取り外すことができ、金型100A/100Bに代えて新たな金型を搬入するときに再度取り付けることができる。この取り外しおよび再取り付けの手順により、特に金型をY軸方向に移動して搬出と搬入を行う場合に、金型の搬出と搬入がより効率的になる。さらに、クレーンを用いて金型を交換するときでも、上述の手順によれば、搬出入時における金型や、側面ローラ32またはその他の搬送装置構造部材への損傷の可能性を低減することができる。
【0084】
ガイド台座356は、支持台座354および搬送装置3A、3Bに取り外し可能に固定され、その位置は、底面ローラ33とは独立して調整可能である。これにより、金型を搬送装置に搬入し、底面ローラ33上に配置後、ガイド台座356の位置が適切に調整されるように、側面ローラ32の位置調整をすることが可能となる。
【0085】
L字型ブラケット920に固定されたガイド台座356は、X軸方向に沿って延び、ガイド台座356上の側面ローラ32は、X軸方向に沿って所定の位置間隔で配置されている。2つの隣接する位置決め部材357間の位置間隔は、X軸方向の金型の長さよりも長くすることができる。このような場合は、搬送装置からの、または搬送装置への金型の搬出入時に、位置決め部材357を取り外す必要はない。この場合、操作者は、金型搬出前にガイド台座356をL字型ブラケット920から取り外すだけでよい。
【0086】
可動側の底面ローラ33の上部位置であるZ軸方向(垂直方向)における位置910は、L字型ブラケット920の上面のZ軸方向における位置911よりも高い。これにより、搬出入中の金型がL字型ブラケット920の角部に当たることによる損傷の可能性を低減することができる。
【0087】
図10は、金型交換処理(金型段取り処理)を示す。この処理は、金型を射出成形機2外に搬送し、その金型を搬出して新たな金型を搬入し、その新たな金型を図7Aおよび図7Bに示すモードで動作する射出成形機2内に搬送することを含む。また、この処理には、図6Aおよび図6Bに示すモードで動作する射出成形機2において射出成形完了後、このモードでの別の射出成形を再開前の金型交換処理も含まれる。
【0088】
説明を目的として、金型交換処理について搬送装置3Aに関連して説明する。この処理はまた、搬送装置3Bにも適用可能である。
【0089】
図10に示す処理は、金型100Aによる射出成形が完了し、金型100Aを射出成形機2外に搬送する準備が整った後に開始する。金型100Aは、Y軸(型締め)方向の幅が異なる新たな金型に交換されることになる。
【0090】
図10を参照すると、ステップS1001では、搬送装置3Aは、金型100Aを射出成形機2外に搬送して、搬送装置3Aの搬送経路に金型100Aを配置する。金型100Aは、扉80Aに対してアクチュエータ31A側の所定位置まで移動して停止する。
【0091】
次いで、操作者は、金型100Aを搬送装置3Aから搬出する準備を開始する。金型100Aの温度が所定の高温に制御されている場合は、操作者は温度調節器を止め、温度が所定の低温に低下するまで待機することができる。
【0092】
ステップS1002では、操作者は、可動側のガイド台座356を支持台座354から取り外す。この処理により、金型100Aの側方に配置されていた構造部材が取り除かれ、金型100Aの側面が完全に露出する。
【0093】
ステップS1003では、操作者は、金型100Aを搬送装置3Aの搬送経路から搬出する。金型100Aは、Y軸負方向に沿って移動し、搬送装置3Aの傍に位置する移動台車上に配置される。
【0094】
ステップS1004では、操作者は、支持台座354を適切な位置に移動させて支持台座354の位置調整をし、金型100Aとは異なる幅の新たな金型を準備する。新たな金型のX軸方向の幅に基づいてプレート35を配置し、締結部材39でプレート35をテーブル45に締結する。
【0095】
ステップS1005では、操作者は、新たな金型を搬送装置3Aに搬入する。新たな金型は、移動台車から搬送装置3AにY軸正方向に移動し、搬送装置3Aの搬送経路へと進む。取付板101aが固定側の底面ローラ33上にあり、取付板102aが可動側の底面ローラ33上にあるように、新たな金型を搬送装置3Aに配置する。新たな金型は、側面ローラ32に接触するように、あるいは新たな金型と側面ローラ32との間に僅かな隙間(例えば、微小~1mm)しか生じないように、固定側の側面ローラ32に向かって移動する。これは、可動側の側面ローラの位置を調整するためである。
【0096】
ステップS1006では、操作者は、ガイド台座356を支持台座354に取り付ける。操作者は、位置決め部材357の位置決めねじ(図示せず)を回転させて、ガイド台座356の隙間位置がほんの僅かであり、可動側の側面ローラ32と新たな金型の取付板との間に僅かな隙間(例えば、約1mm)しか生じないように、ガイド台座356の位置を調整する。ガイド部材の一例である側面ローラ32は、新たな金型の側方に沿って配置されており、両側の側面ローラ32によって新たな金型をガイドすることができる。
【0097】
ステップS1007では、搬送装置3Aは、その金型を射出成形機2内に搬送し、成形動作位置11にこの金型を配置する。このステップの実行前に、新たな金型のY軸方向の幅情報に基づいて、挿入する新たな金型の可動プラテン62の位置を移動させることで、可動プラテン62の調整を行う。
【0098】
次いで、固定プラテン61と可動プラテン62とにより新たな金型の型締めをする。射出成形機2で型締め圧の調整を含む種々の設定を行った後、射出成形を開始する。
【0099】
本実施形態では、上述のステップS1002~S1006を操作者が行う。別の例示的実施形態では、このようなステップの一部または全部を、1つまたは複数のロボットで行ってもよい。
【0100】
上述の実施形態では、テーブル45、プレート35、およびL字型ブラケット920は、支持台座354またはガイド台座356のX軸およびY軸方向の位置調整用の長穴を含む。別の例示的実施形態では、テーブル45、プレート35、またはL字型ブラケット920上に、複数の穴を1列に並べて所定の位置間隔で形成してもよい。本実施形態における位置調整は、複数の穴の中から締結部材に係合する穴を選択することで行われる。
【0101】
上述の実施形態では、ガイド台座356には位置調整用の位置決め部材が設けられている。別の例示的実施形態では、位置決め部材を搬送装置3A、3Bから取り除いてもよい。この場合、L字型ブラケット920は、長穴を含まないが、ガイド台座356を支持台座354に固定用の締結部材に係合する単一の丸穴を含む。
【0102】
上記実施形態では、支持台座354は、プレート35および37を介してテーブル45に固定されている。別の例示的実施形態では、円形または矩形の水平断面を有する複数の柱部材を、X軸方向に沿って所定の位置間隔で配置してテーブル45に固定することができ、支持台座354は、これらの柱部材の上面に固定される。この場合、各柱部材の底部には、柱部材の水平断面よりも大きな水平断面を有する固定板が固定され、固定板は、長穴36に係合する締結部材によってテーブル45に固定される。
【0103】
この構成によれば、搬送経路を構成するのに必要な全部品の体積や重量が低減されるので、搬送経路にはテーブル45の上方に所定の高さが必要な場合に、材料や部品のコスト面で有利である。また、射出成形機に適した柱部材を選択することで、金型の挿入位置の高さが異なる様々な射出成形機用の搬送装置を構成することが容易になり得る。
【0104】
さらに別の例示的実施形態では、X軸方向のガイド台座356の長さを、支持台座354に比べて少なくともX軸方向の金型の長さだけ短くしてもよい。金型の搬出および搬入をガイド台座356がない場所で行うことができる。これにより、ガイド台座356の取り外しや再取り付けを行うことなく、金型を搬出および搬入することが可能となる。
【0105】
図11および図12Aは、別の例示的実施形態における射出成形システムを示す。射出成形システムは、搬送装置1103Aおよび1103Bを含む。図11は、射出成形システムを示し、図12Aは、B-B′面からX軸正方向に向かって見た側面図を示す。上述と同様の構成要素には同一の参照符号を付してあるので、上述と相違点がない限り、その説明を省略することがある。
【0106】
搬送装置1103Aは、上述したような金型100Aに連結されるアクチュエータ31Aを含むが、搬送装置1103Bはアクチュエータを含まない。金型100Aと金型100Bとは、連結部材1001で一緒に固定されており、アクチュエータ31からの動力が金型100Aと連結部材1001とを介して金型100Bに伝達される。
【0107】
搬送装置1103Aは、金型100Aの底部を支持する支持部材列の例である、複数の底面ローラ33-1Aの列と複数の底面ローラ33-2Aの列とを含む。搬送装置1103Aはまた、金型100Aの両側に配置され、金型100Aをガイドするガイド部材列の例である、複数の側面ローラ32-1Aの列と複数の側面ローラ32-2Aの列とを含む。ローラ33-1A、33-2A、32-1A、および32-2Aは、金型100Aの搬送経路を規定する。
【0108】
金型100Aの取付板101aは、固定側の底面ローラ33-1Aに支持され、金型100Aの取付板102aは、可動側の底面ローラ33-2Aに支持されている。複数のローラ33-1Aは、固定側にある支持台座353Aに固定され、複数のローラ33-2Aは、支持台座354Aに固定されている。側面ローラ32-1Aは、固定側にあるガイド台座355Aに固定され、側面ローラ32-2Aは、可動側にあるガイド台座356Aに固定されている。
【0109】
上述したように、支持台座353Aは、ガイド台座355Aとは物理的に異なる構成要素であり、支持台座354Aは、ガイド台座356Aとは物理的に異なる構成要素である。ガイド台座355Aまたは356Aは、支持台座353Aまたは354Aに固定されるのではなく、テーブル45に直接固定される。別の例示的実施形態では、支持台座353Aは、ガイド台座355Aを有する単一の構成要素とすることができ、支持台座354Aは、ガイド台座356Aを有する単一の構成要素とすることができる。さらに、上述の実施形態では、底面ローラ33が両側で固定支持されていたが、本実施形態では、底面ローラ33-1Aおよび33-2Aは片側のみで固定支持されている(片持ち支持)。
【0110】
固定側の支持台座353Aおよびガイド台座355Aは、テーブル45Aに固定されており、テーブル45Aに対してY軸方向に移動または位置調整されることはない。可動側の支持台座354Aおよびガイド台座356Aは、テーブル45Aに取り外し可能に固定されており、Y軸方向に位置調整が可能である。支持台座353Aとガイド台座355Aとは互いに固定可能であり、支持台座354Aとガイド台座356Aとは互いに固定可能である。
【0111】
テーブル45Aには、長穴がX軸方向に異なる位置に形成され、Y軸方向に沿って延びている。支持台座354Aおよびガイド台座356Aは、締結部材によって、各長穴の任意の位置で固定することができる。締結部材とは、例えばボルトとナットである。締結部材および長穴は、テーブル45Aに対してX軸、Y軸、およびZ軸方向に、支持台座354Aおよびガイド台座356Aの位置を調整して固定する。位置決め部材357のような追加の調整部材を設けて、支持台座354Aおよびガイド台座356Aの位置を調整し固定してもよい。
【0112】
搬送装置1103Bは、搬送装置1103Aと実質的に同様の構造を有する。固定側の底面ローラ33-1Bは支持台座353Bに固定され、固定側の側面ローラ32-1Bはガイド台座355Bに固定され、可動側の底面ローラ33-2Bは支持台座354Bに固定され、可動側の側面ローラ32-2Bはガイド台座356Bに固定されている。支持台座353Bおよびガイド台座355Bは、テーブル45Bに固定され、支持台座354Bおよびガイド台座356Bは、テーブル45Bに取り外し可能に固定されており、Y軸方向に位置調整が可能である。底面および側面ローラ33-1B、33-2B、32-1B、および32-2Bは、金型の搬送経路を規定する。搬送装置1103Bは、搬送装置1103Aにて金型100Aと100Bとを新たな1対の金型に交換しながら100Aによる射出成形を実行時に、金型100Bの配置場所として機能する。したがって、搬送装置1103Bの搬送経路は、搬送装置1103Aの搬送経路よりも短い。搬送装置1103Bにはアクチュエータが設けられていないため、テーブル45Bの面積は、テーブル45Aの面積よりも小さい。
【0113】
先述の実施形態によれば、射出成形機2と搬送装置3Aとの間の搬送経路、および射出成形機2と搬送装置3Bとの間の搬送経路は、ローラ支持体620に固定されたローラBRと、ローラ支持体630に固定されたローラSRとによって形成されている。本例示的実施形態によれば、固定プラテン61と可動プラテン62は、いずれもローラ支持体620または630を含まない。その代りに、テーブル45Aおよび45Bが、扉80Aおよび80Bによって規定される射出成形機2の内部領域に延びている。言い換えれば、搬送装置1103Aおよび1103Bの搬送経路は、射出成形機2の搬送経路に直接連結されている。そのため、テーブル45Aおよび45Bの延設によって、扉80Aおよび80Bを完全に閉鎖することはできない。ただし、本実施形態における単一のアクチュエータを有する射出成形システムは、図6Aおよび図6Bに示すモードで動作するものとする。扉80Aおよび80Bが閉鎖されていない状態で、射出成形と金型の搬送とを行う。
【0114】
本実施形態では、金型交換処理(金型段取り処理)を搬送装置1103Aにて行う。言い換えれば、搬送装置1103Aに金型100Aと100Bの両方を配置後、金型100Aと100Bは、いずれも搬送装置1103Aから搬出することができる。
【0115】
金型100Aと100Bとを新たな1対の金型と交換するときには、金型の幅の変化、特に搬送装置1103B側の金型の幅の変化に応じて、支持台座354Bおよびガイド台座356Bの位置を変更する必要があり得る。
【0116】
図12Bは、金型100Aと100Bとは異なる幅の金型を用いるときの、支持台座354Aおよびガイド台座356Aの位置の変化を示す概略図である。金型100Aの型締め方向の幅をαとし、金型100Aと入れ替わる新たな金型1201Aの型締め方向の幅をβとする。図12Bは、搬送装置1103Aにおける金型100Aおよび金型1201Aの位置を示す。
【0117】
金型100Aを金型1201Aと交換するとき、金型の幅の変化に応じて調整を行うために、支持台座354Aおよびガイド台座356AのY軸方向の位置をY軸正方向に(β-α)分だけシフトさせる。許容される最大シフト量は、テーブル45Aに形成された長穴の長さによって規定することができる。そして、長穴の長さは、射出成形機内で使用可能な金型の最大幅と、同射出成形機内で使用可能な金型の最小幅との差によって規定される。支持台座353Aおよびガイド台座355Aの位置は変更されず、基準位置を規定する。
【0118】
図13Aおよび図13Bは、搬送装置における金型交換処理を示す。より具体的には、図13Aおよび図13Bは、金型100Aが金型1201Aに入れ替わった状況を示す。図13Aに示す状況は、金型1201Aを搬入するステップS1005に対応し、図13Bに示す状況は、ガイド台座356Aを搬送装置1103Aに取り付けるステップS1006に対応する。
【0119】
図13Aを参照すると、金型1201Aは、固定側の金型1201Aの取付板(図示せず)が固定側の底面ローラ33-1A上にあり、可動側の金型1201Aの取付板(図示せず)が可動側の底面ローラ33-2A上にあるように配置される。金型1201Aは、金型1201Aが側面ローラ32-1Aに接触するように、あるいは新たな金型と側面ローラ32-1Aとの間に僅かな隙間(例えば、約1mm)しか生じないように、固定側の側面ローラ32-1Aに向かって移動する。これは、可動側の側面ローラの位置を調整するためである。
【0120】
図13Bを参照すると、ガイド台座356Aは、支持台座354Aの側面に接触するように配置され、締結部材をテーブル45に形成された長穴に係合させることでテーブル45に固定される。この長穴は、ガイド台座356Aと支持台座354Aとで共用することができる。ガイド台座356Aはまた、締結部材により固定台座354Aに固定することもできる。
【0121】
上述の実施形態では、金型が射出成形機2の成形動作位置11にある状態で、型締め、射出/保圧、型開き、および取り出しを行う。別の例示的実施形態では、こうした処理の全てを成形動作位置11で行う必要はない。一部の処理を成形動作位置11とは異なる位置で行ってもよい。
【0122】
上述の実施形態では、金型が搬送装置上にある状態で冷却処理を行う。別の例示的実施形態では、冷却処理を搬出装置上で行う必要はなく、金型が固定プラテン61および可動プラテン62に接触しない位置で行ってもよい。例えば、金型の一部が射出成形機内にあり、金型の別の一部が射出成形機外にある状態で冷却処理を行ってもよい。例えば、一方の搬送装置の一部が射出成形機内に配置される構成において、金型の一部が射出成形機内にあり、金型の別の一部が一方の搬送装置上にある状態で冷却処理を行うことができる。
【0123】
図11に示す実施形態における単一のアクチュエータを有する射出成形システムでは、金型100Aと100Bとは互いに連結されており、金型100Aによる射出成形を行うときでも扉80Bを閉鎖することができないため、図7Aおよび図7Bに示すモードで射出成形を行うことが困難となり得る。図7Aおよび図7Bに示すモードで射出成形を適切に行うために、連結部材は、係合解除および再係合機構を含むことができ、一方の金型から連結部材の係合を解除して、他方の金型による射出成形を実行する。これにより、扉を完全に閉鎖することが可能となる。
【0124】
別の例示的実施形態では、複数の可動扉を実装して、射出成形機の側方の開口部を複数の可動扉で覆いつつ、連結部材を金型に係合させることができる。これにより、開口部を安全に覆い、操作者が射出成形機の可動構成要素に接触することを回避することができる。
【0125】
さらに別の例示的実施形態では、射出成形機2は、搬送装置3Aを備えているが、搬送装置3Bは備えていない。
【0126】
上述の実施形態のいかなる可能な組み合わせも、本開示の実施形態となり得る。例えば、図11に示すような単一のアクチュエータを有する射出成形システムでは、ガイド台座355および356は、L字型ブラケット920を用いて支持台座353および354に固定することができる。
【0127】
説明においては、開示する実施例が完全に理解されるように、具体的な詳細を記載している。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、および回路については、本開示を不要に長くすることを避けるために、詳細には説明していない。
【0128】
本明細書に提示するあらゆる例または例示的な言葉(例えば「等の(such as)」)の使用は、単に本開示をより明確にすることを意図するものに過ぎず、別段に特許請求の範囲に記載がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載のない任意の要素が、本開示の実施に必須であることを示すものではないと解釈されたい。
【0129】
本開示の方法および構成は、様々な実施形態の形で組み込むことができ、そのほんの一部が本明細書に開示されているに過ぎない。それらの実施形態の変形形態は、上述の説明を読めば、当業者には明白であろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を必要に応じて採用するものと想定しており、また、本開示が、本明細書に具体的に記載されたものとは別様に実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用法により許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正形態および均等物を含む。さらに、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、その全ての可能な変形形態における上記要素の任意の組み合わせが、本開示に包含される。
【0130】
上記に開示される例示的実施形態のいかなる組み合わせも、本開示の実施形態として含まれる。上記の例示的実施形態は説明のための実施形態について論じるが、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0131】

定義

説明においては、開示する実施例が完全に理解されるように、具体的な詳細を記載している。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、および回路については、本開示を不要に長くすることを避けるために、詳細には説明していない。
【0132】
本明細書では、ある要素または部分が、別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」と言及される場合、それは、直接にその別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」こともあるし、あるいは介在する要素または部分が存在することもあることを理解されたい。これに対して、ある要素が、別の要素または部分「の上に直接にある」、「に直接に接続されている」、または「に直接に結合されている」と言及される場合には、介在する要素または部分は存在しない。「および/または」という用語を用いるときには、関連して列挙されている項目があれば、そのうちの1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
【0133】
本明細書では、「の下(under)」、「の真下(beneath)」、「の下方(below)」、「の下側(lower)」、「の上方(above)」、「の上側(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」等の空間的に相対的な用語を、様々な図面に示すある要素または特徴の別の(1つまたは複数の)要素または特徴に対する関係を記述する際に、説明を容易にするために用いることがある。しかし、これらの空間的に相対的な用語は、図面に示す配向に加えて、使用時または動作時における装置の様々な配向をも包含することを意図するものと理解されたい。例えば、図中の装置を反転した場合には、別の要素または特徴の「下方(below)」または「真下(beneath)」と記述された要素が、それらの別の要素または特徴の「上方(above)」に配向されることになる。したがって、「の下方(below)」等の相対的な空間用語は、上および下の両方の配向を包含することができる。装置は、その他の配向にすることもでき(90度またはその他の配向に回転させることもでき)、本明細書で用いる空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈されるものとする。同様に、「近位(proximal)」および「遠位(distal)」という相対的な空間用語も、適用可能な場合には、入れ換えることができることもある。
【0134】
本明細書で用いる「約」という用語は、例えば、10%以内、5%以内、またはそれ未満を意味する。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することもある。
【0135】
本明細書では、第1、第2、第3等の用語を、様々な要素、構成要素、領域、部分、および/または区画を説明するために用いることがある。これらの要素、構成要素、領域、部分、および/または区画は、これらの用語によって限定されないものと理解されたい。これらの用語は、単にある要素、構成要素、領域、部分、または区画を、別の領域、部分、または区画と区別するために用いているに過ぎない。したがって、以下に論じる第1の要素、構成要素、領域、部分、または区画は、本明細書の教示を逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部分、または区画と呼ぶこともできる。
【0136】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することは意図していない。本開示を説明する文脈における(中でも、添付の特許請求の範囲の文脈における)「1つの(a,an)」および「前記/その(the)」という用語ならびに類似の指示語の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、単数形および複数形の両方を含むと解釈されるものとする。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」および「含有する(containing)」という用語は、別段の言及がない限り、非限定用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)と解釈されるものとする。具体的には、本明細書でこれらの用語を用いるとき、記載する特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを指定するが、明示的には述べられていない1つまたは複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループが存在すること、あるいは追加されることを排除するものではない。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指示がない限り、単にその範囲に該当する各別個の値について個々に言及する簡略表記法として機能するよう意図するものに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書においては個々に記載されたかのごとく本明細書に組み込まれる。例えば、10~15の範囲を開示する場合には、11、12、13および14もまた開示される。本明細書に記載する全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提示するあらゆる例または例示的な言葉(例えば「等の(such as)」)の使用は、単に本開示をより明確にすることを意図するものに過ぎず、別段に特許請求の範囲に記載がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載のない任意の要素が、本開示の実施に必須であることを示すものではないと解釈されたい。
【0137】
本開示の方法および構成は、様々な実施形態の形で組み込むことができ、そのほんの一部が本明細書に開示されているに過ぎないことを理解されたい。それらの実施形態の変形形態は、上述の説明を読めば、当業者には明白であろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を必要に応じて採用するものと想定しており、また、本開示が、本明細書に具体的に記載されたものとは別様に実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用法により許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正形態および均等物を含む。さらに、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、その全ての可能な変形形態における上記要素の任意の組み合わせが、本開示に包含される。
【0138】
上記に開示される例示的実施形態のいかなる組み合わせも、本開示の実施形態として含まれる。上記の例示的実施形態は説明のための実施形態について論じるが、これらの実施形態に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B