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▶ ヨンデテック センサーズ アーベー パブリークの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】熱画像を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/48 20220101AFI20241030BHJP
【FI】
G01J5/48 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021577248
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2020068461
(87)【国際公開番号】W WO2021004844
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】1950850-6
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521362564
【氏名又は名称】ヨンデテック センサーズ アーベー パブリーク
【氏名又は名称原語表記】JONDETECH SENSORS AB(PUBL)
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】クヴィスト,ニクラス
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07968845(US,B1)
【文献】特開2001-065870(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0152772(US,A1)
【文献】特開平08-145376(JP,A)
【文献】特開平08-015038(JP,A)
【文献】特開2015-222260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
G01J 1/00 - G01J 1/60
G01J 5/00 - G01J 5/90
G01J 11/00
G01V 1/00 - G01V 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野内で周囲からのIR放射を受信するように構成されたIRセンサと、前記IRセンサの位置および向きを決定することができる位置決定手段とを含む装置を用いて熱画像データを提供するための方法であって、前記方法は、
a)前記IRセンサが、少なくとも所定の周波数で、温度に対応するIRセンサ値を決定することと、
b)心領域を含む領域上の視野を掃引することと、
c)前記視野が掃引されている間に、ステップa)における各々の決定に対して、前記位置決定手段が、前記装置のそれぞれの現在の相対的な位置および方向を決定することと、
d)前記決定されたIRセンサ値を、それぞれの検出された位置および向きと共に用いて、前記関心領域を含む領域の熱画像データを決定すること、を含み、
前記関心領域を含む領域に対する温度は、2つの視野間の重なりが、2つの部分的に重なり合う視野に対して共通しない視野(非共通視野)と関連付けられるように、前記2つの部分的に重なり合う視野に対する温度を決定することによって決定され、非共通視野に対する温度値は、前記2つの部分的に重なり合う視野間の温度差と、前記視野の領域に対する前記非共通視野の領域の比率とを用いることによって決定される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、2つの部分的に重なり合う視野間の温度差全体は、前記非共通視野のうちの一方または両方によって生じると仮定される、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、2つの部分的に重なり合う視野間の温度差全体が、前記非共通視野のうちの1つによって生じると仮定される、方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法であって、前記視野は、少なくとも2つの異なる掃引方向において前記関心領域を含む領域にわたって掃引され、その結果、第1の掃引方向からの非共通視野に対する第1の温度値と、第2の掃引方向からの非共通視野に対する第2の温度値とが得られ、前記第1の温度値および前記第2の温度値は、前記2つの非共通視野の両方によって共有される領域に対する温度を決定するために使用される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記共有される領域に対する温度は、前記共有される領域の温度を平均することによって決定される、方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、前記IRセンサは、携帯装置に含まれる、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記IRセンサの前記視野の検出方向ではない少なくとも2つの異なる方向に前記装置を掃引するための指示がユーザに提供される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記ユーザへの前記指示は、前記装置を所定の方向に移動させる指示を含み、前記指示は、前記位置および方向の決定手段からのデータに応じて更新される、方法。
【請求項9】
請求項7から8のいずれか1項に記載の方法であって、前記装置は、ディスプレイを有し、前記ディスプレイは、前記ユーザに掃引を促す指示を表示するために使用され、前記熱画像データを用いて生成された熱画像を表示するために使用される、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、前記装置は、ディスプレイを有し、前記ディスプレイは、前記熱画像データを用いて熱画像が形成されるときに、当該画像をリアルタイムで表示するために使用される、方法。
【請求項11】
視野内で周囲からIR放射を受信するように構成されたIRセンサと、前記IRセンサの位置および向きを決定することができる位置決定手段とを備えるシステムであって、前記システムは、前記IRセンサに、少なくとも所定の周波数で、温度に対応するIRセンサ値を決定させるように構成され、さらに、前記IRセンサ値が決定される時点の前記IRセンサの現在の相対的な位置および向きを決定するように構成され、さらに、前記決定されたIRセンサ値を、それらのそれぞれの検出された位置および向きと共に用いて、熱画像のためのデータを決定するように構成され、
前記画像内の度は、2つの視野間の重なりが、2つの部分的に重なり合う視野に対して共通しない視野(非共通視野)と関連付けられるように、前記2つの部分的に重なり合う視野に対する温度を決定することによって決定され、非共通視野に対する温度値は、前記2つの部分的に重なり合う視野間の温度差と、前記視野の領域に対する前記非共通視野の領域の比率とを用いることによって決定される、システム。
【請求項12】
IRセンサからIRセンサ値を繰り返し取得するように構成され、さらに、前記IRセンサの位置および方向を、位置決定手段から繰り返し取得するように構成されたソフトウェアであって、前記ソフトウェアはさらに、前記IRセンサ値を、それぞれの検出された位置および向きと共に用いて、所定の領域の熱画像を決定するように構成され、
前記画像内の度は、2つの視野間の重なりが、2つの部分的に重なり合う視野に対して共通しない視野(非共通視野)と関連付けられるように、前記2つの部分的に重なり合う視野に対する温度を決定することによって決定され、非共通視野に対する温度値は、前記2つの部分的に重なり合う視野間の温度差と、前記視野の領域に対する前記非共通視野の領域の比率とを使用することによって決定され、このようにして決定された温度値を用いて、前記熱画像度が決定される、ソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IRセンサ(赤外線センサ)から情報を収集し処理して熱画像を生成するシステムおよび方法、ならびに熱画像データを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サーモグラフィカメラ(Thermographic cameras)が知られている。ほとんどのサーモグラフィカメラは、複数のセンサを搭載したチップにIR放射の焦点を合わせるためにレンズを使用している。このようなセンサは高価であり、かさばる。シンプルで低コストのサーモグラフィックカメラが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様では、視野内で周囲からIR放射を受信するように構成されたIRセンサと、前記IRセンサの位置および向きを決定することができる位置決定手段とを備える装置を用いて熱画像データ(thermal image data)を提供する方法が提供され、前記方法は以下のステップ、
a)前記IRセンサが、少なくとも所定の周波数で、温度に対応するIRセンサ値を決定すること
b)前記熱画像データが生成される(生成されるべき)関心領域上の視野を掃引すること
c)視野が掃引されている間に、ステップa)における各々の決定に対して、前記位置決定手段が、前記装置のそれぞれの現在の相対的な位置および向きを決定すること
d)決定されたIRセンサ値を、それぞれの検出された位置および向きと共に用いて、前記関心領域の熱画像データを決定すること、を含む。
ここで、前記画像内の領域に対する温度は、2つの視野間の重なりが、2つの部分的に重なり合う視野に対して共通しない視野(非共通視野)と関連付けられるように、2つの部分的に重なり合う視野に対する温度を決定することによって決定される。また、非共通視野に対する温度値は、2つの部分的に重なり合う視野間の温度差と、視野の領域に対する非共通視野の領域の比率とを使用することによって決定される。
【0004】
特に、視野内で周囲からIR放射を受信するように構成されたIRセンサと、前記IRセンサの位置および向きを決定することができる位置決定手段とを備える装置を用いて熱画像データを提供する方法であって、前記熱画像データがドットマトリクスまたはビットマップにおける複数の画素(ピクセル)を表す方法が提供され、前記方法は以下のステップ、
a)前記IRセンサが、少なくとも所定の周波数で、温度に対応するIRセンサ値を決定すること
b)前記熱画像データが生成される関心領域上の視野を掃引すること
c)視野が掃引されている間に、ステップa)における各々の決定に対して、前記位置決定手段が、前記装置のそれぞれの現在の相対的な位置および向きを決定すること
d)決定されたIRセンサ値を、それぞれの検出された位置および向きと共に用いて、前記領域の熱画像を決定すること、を含む。
ここで、画像における画素に対する温度は、2つの視野間の重なりが、2つの部分的に重なり合う視野に対して共通しない視野(非共通視野)と関連付けられるように、2つの部分的に重なり合う視野に対する温度を決定することによって決定される。また、非共通視野に対する温度値は、2つの部分的に重なり合う視野間の温度差と、視野の領域に対する非共通視野の領域の比率とを使用することによって決定される。また、このようにして決定された温度値を用いて、熱画像データ内の画素に対する温度が決定される。
1つのセンサを有する設計は、例えば携帯電話のような単一のIRセンサを有する低コストの装置内に熱画像形成を提供するコスト効率の良い方法を提供する。
【0005】
一実施形態では、2つの部分的に重なり合う視野間の温度差全体は、非共通視野のうちの一方または両方によって生じると仮定される。一実施形態では、2つの部分的に重なり合う視野間の温度差全体は、非共通視野のうちの1つによって生じると仮定される。
【0006】
視野は、少なくとも2つの異なる掃引方向に掃引されてもよく、その結果、第1の掃引方向からの非共通視野に対する第1の温度値と、第2の掃引方向からの非共通視野に対する第2の温度値とが得られ、第1および第2の温度値は、2つの非共通視野の両方によって共有される領域を表す画像または画素内の領域に対する温度を決定するために使用される。複数の掃引方向を使用すると、画像の解像度が向上する。さらに多くの掃引方向を追加すると、解像度が向上する。
【0007】
様々な掃引方向からのデータは、共有領域(共有される領域)の温度を決定するために任意の適切な方法で使用することができる。一実施形態では、画像内の領域または画素に対する温度は、共有領域の温度を平均化することによって決定される。
【0008】
IRセンサは、携帯装置(handheld device)、例えば、携帯電話のようなモバイルデバイス内に提供されてもよい。ユーザには、IRセンサの視野の検出方向ではない少なくとも2つの異なる方向に装置を掃引するための指示を提供してもよい。ユーザへの指示は、携帯装置を所定の方向に移動させる指示を含むことができ、当該ある方向は、位置および向き決定手段からのデータに応じて更新される。装置がディスプレイを有する場合、ディスプレイは、ユーザに掃引(スイープ)するように促す指示を表示するために使用されてもよく、また、熱画像データを用いて生成された熱画像を表示するために使用されてもよい。ディスプレイは、画像が形成されるときに、画像をリアルタイムで表示するために使用されてもよい。これは、ユーザがどのように画像を改善していくかをリアルタイムにフィードバックできるという利点を有する。
【0009】
本発明の第2の態様では、視野内で周囲からIR放射を受信するように構成されたIRセンサと、前記IRセンサの位置および向きを決定することができる位置決定手段とを備えるシステムが提供され、前記システムは熱画像データを提供するように構成され、前記システムは、IRセンサに、少なくとも所定の周波数で温度に対応するIRセンサ値を決定させるように構成され、さらに、前記IRセンサ値が決定される時点の前記IRセンサの現在の相対的な位置および向きを決定するように構成され、さらに、決定されたIRセンサ値を、それらの(当該IRセンサ値の)それぞれの検出された位置および向きと共に用いて、熱画像のためのデータを決定するように構成され、ここで、画像内の領域に対する温度は、2つの視野間の重なりが、2つの部分的に重なり合う視野に対して共通しない視野(非共通視野)と関連付けられるように、2つの部分的に重なり合う視野に対する温度を決定することによって決定され、また、非共通視野に対する温度値は、2つの部分的に重なり合う視野間の温度差と、視野の領域に対する非共通視野の領域の比率とを使用することによって決定される。
【0010】
特に、視野内で周囲からIR放射を受信するように構成されたIRセンサと、前記IRセンサの位置および向きを決定することができる位置決定手段とを備えるシステムが提供され、前記システムは、ドットマトリクスまたはビットマップにおける複数の画素を表す熱画像データを提供するように構成され、前記システムは前記IRセンサに、少なくとも所定の周波数で温度に対応するIRセンサ値を決定させるように構成され、さらに、IRセンサ値が決定される時点のIRセンサのそれぞれの現在の相対的な位置および向きを決定するように構成され、さらに、決定されたIRセンサ値を、それらのそれぞれの検出された位置および向きと共に用いて、熱画像のデータを決定するように構成され、ここで、2つの視野間の重なりが、2つの部分的に重なり合う視野に対して共通しない視野(非共通視野)と関連付けられるように、2つの部分的に重なり合う視野に対する温度を決定することによって、画像における画素に対する温度が決定され、また、非共通視野に対する温度値は、2つの部分的に重なり合う視野間の温度差と、視野の領域に対する非共通視野の領域の比率とを使用することによって決定され、また、点が属する非共通視野についてこのようにして決定された温度値を用いて、画像内の前記点に対する温度が決定される。
【0011】
本発明の第3の態様では、IRセンサからIRセンサ値を繰り返し取得するように構成され、さらに、前記IRセンサの位置および向きを、位置決定手段から繰り返し取得するように構成されたソフトウェアが提供され、前記ソフトウェアはさらに、前記IRセンサ値を、それぞれの検出された位置および向きと共に用いて、前記領域の熱画像を決定するように構成され、ここで、画像内の領域に対する温度は、2つの視野間の重なりが、2つの部分的に重なり合う視野に対して共通しない視野(非共通視野)と関連付けられるように、2つの部分的に重なり合う視野に対する温度を決定することによって決定され、また、非共通視野に対する温度値は、2つの部分的に重なり合う視野間の温度差と、視野の領域に対する非共通視野の領域の比率とを使用することによって決定され、また、このようにして決定された温度値を用いて、熱画像データ内の領域に対する温度が決定される。
【0012】
特に、IRセンサからIRセンサ値を繰り返し取得するように構成され、さらに、前記IRセンサの位置および向きを、位置決定手段から繰り返し取得するように構成されたソフトウェアが提供され、前記ソフトウェアはさらに、前記IRセンサ値を、それぞれの検出された位置および向きと共に用いて、前記領域の熱画像を決定するように構成され、ここで、熱画像データは、ドットマトリクスまたはビットマップにおける複数の画素を表し、また、2つの視野間の重なりが、2つの部分的に重なり合う視野に対して共通しない視野(非共通視野)と関連付けられるように、2つの部分的に重なり合う視野に対する温度を決定することによって、前記画像内の画素に対する温度が決定され、非共通視野に対する温度値は、2つの部分的に重なり合う視野間の温度差と、視野の領域に対する非共通視野の領域の比率とを使用することによって決定され、また、このようにして決定された温度値を用いて、熱画像データ内の画素に対する温度が決定される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、システムの概略図である。
図2図2は、装置の概略図である。
図3図3は、熱画像の概略図である。
図4図4は、装置の概略画像、および視野である。
図5図5は、装置の概略画像、および視野である。
図6図6は、装置の概略画像、および視野である。
図7図7は、装置の概略画像、および視野である。
図8図8は、方法を示すフローチャートである。
図9図9は、視野の概略イメージである。
図10図10は、視野の概略イメージである。
図11図11は、視野の概略イメージである。
図12図12は、方法を示すフローチャートである。
図13図13は、視野および関心領域の概略図である。
図14図14は、視野および関心領域の概略図である。
図15図15は、ディスプレイを備えた装置の概略図である。
図16図16は、ディスプレイを備えた装置の概略図である。
図17図17は、実験データを示す。
図18図18は、実験データを示す。
図19図19は、実験データを示す。
図20図20は、実験データを示す。
図21図21は、実験データを示す。
図22図22は、実験データを示す。
図23図23は、実験データを示す。
図24図24は、実験データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図6を参照すると、システム1は、視野4においてIR放射を受信するように構成(配置)されたIRセンサ2を備える。視野4は、検出方向5を有する。IRセンサ2は、任意の有用なタイプのIRセンサ、例えば、サーモパイル(thermopile)またはボロメータ(bolometer)とすることができ、この場合、応答時間が短いため、サーモパイルが好ましい。IRセンサは、サーモパイルのような絶対温度値を提供するタイプのものであることが好ましい。視野4の角度αは、5°~120°であってもよく、6°~45°がより好ましく、7°~15°がさらに好ましい。視野4は、任意の適切な形状を有し得るが、好ましくは図3図5図7図9図11に示されるように円形である。
【0015】
IRセンサ2は、好ましくは1つの所与の瞬間(moment)に1つの値、および1つの値のみを感知するタイプのものである。熱画像データは、IRセンサ2の視野4を、関心領域(area of interest)3にわたって走査し、走査中にIR情報を繰り返し収集し、次いで、収集した情報をIRセンサ2の位置および/または向きを用いて編集(compile)および処理して画像データを生成することによって生成される。
【0016】
システム1はまた、メモリ8と、プロセッサ9と、通信バス10とを備える。好ましい実施形態では、システム1は、デジタル画像を表示するためのデジタルディスプレイ11を備える。デジタルディスプレイ11は、例えばLCDディスプレイであってもよい。システム1は、ソフトウェアとハードウェアとの任意の適切な組み合わせを含むことができる。システム1は例えば、オペレーティングシステムと、タッチディスプレイのような入力を行う装置とを備えることができる。
【0017】
メモリ8は、例えば、本方法を実行するソフトウェアのほか、IRセンサの値、位置、向き、時点、タイムスタンプ、重なり合う視野とその位置、画像データなどの必要なデータを格納するために使用される。
【0018】
装置1はまた、IRセンサ2の位置および/または向きを決定することができる、ここでは「位置決定手段6」と呼ばれる位置および/または向き決定手段6を含む。IRセンサ2の向きは、検知方向5の向きを意味する。好ましくは、位置および向きの両方は、位置決定手段6によって決定されるが、特定の実施形態では、位置または向きのみが決定される。位置および向きは、好ましくは数ミリメートル(平行移動の場合)または度(向きの場合)の移動を検出することができるように、精密な解像度で決定される。
【0019】
位置および向きは、当技術分野で公知の方法で決定される。したがって、位置決定手段6は、追跡カメラ、マーカベースまたはマーカレス追跡、慣性追跡、デジタルモデルビルディング、ジャイロスコープ、および加速度計を含む任意の適切なテクノロジを備えることができ、これらのテクノロジは、任意の適切な方法で組み合わせることができる。iPhone XやAndroidなどの携帯電話の現在のモデルは、高解像度で位置および向きを決定することができる。Apple iOSは位置および方向データを提供するためのCore Motionと呼ばれるAPIを提供し、Androidは、同様のAPIを提供する。
【0020】
好ましくは、IRセンサ2および位置決定手段6は、好ましくは手持ち式であり得る装置である装置7に含まれる。装置7は、iPhoneまたはAndroid電話などの携帯電話であってもよい。それにもかかわらず、システム1の部分は、サーバ上など、装置7の外部に配置されてもよい。特に、メモリ8およびプロセッサ9、またはメモリ8およびプロセッサ9の一部分は、装置7とのデジタル通信、例えば無線通信にあるサーバ上に配置されてもよい。
【0021】
視野4の検出方向5は、好ましくは装置7に対して固定される。位置決定手段6は、視野4の検出方向5および赤外線センサ2の位置を決定することができる。位置および方向5は、関心領域3内の物体のような、周囲の物体に関して決定されることが好ましい。位置および方向は、好ましくは静止物体に対して決定されてもよい。検出方向5は、装置7のディスプレイ11の表面に向かって垂直な観察線と同じであってもよい(図5および図6参照)。次に、ディスプレイ11を有する装置7を手に持って保持するユーザは、IRセンサ2の検知方向5と同じ方向にディスプレイ11を観察することになり、熱画像のリアルタイム表示時に有利となる(以下参照)。
【0022】
システム1は例えば、増幅器、フィルタ、A/Dコンバータ等のような、当技術分野で公知のIRセンサ2からの信号を処理するための適切な構成要素も含み得る。システム1は、例えばバッテリのような適当な電源によって給電される。IR信号は、IRセンサ2からシステム1に供給される。システム1は、ソフトウェアとハードウェアの任意の適切な組み合わせを使用して、信号を処理し、信号を表すデータを保存し、このデータを使用して計算を実行することができる。
【0023】
システム1は、熱画像を表すドットマトリクス12の形態での熱画像データの作成に使用され、その一例が図3に示されている。ドットマトリクス12は、画像を構成する画素(ピクセル)13を含む。ドットマトリクス画像は、ビットマップ画像であってもよい。画像データは、ディスプレイ、例えばシステム1のディスプレイ11上に、熱画像12をレンダリングするのに適している。画像データは、各画素13に温度値が格納されたドットマトリクス12として配置されていてもよい。 熱画像12の画素数は、例えば、1万~数百万であってもよい。
【0024】
ドットマトリクス12における各画素13は、少なくとも2つの異なる色(例えば、白黒)をとることができるが、より多くの色を示すことができることが好ましい。各色は、温度値または温度値の範囲を表す。カラースキームは、用途に応じて選択される。通常、熱画像ではカラースケール(黒青緑黄赤)が使用される。黒は最低温度を、赤は最高温度を示す。各色は、特定の温度範囲を示す。色は疑似色であり、任意の有用なカラースキームを使用することができる。各色の温度範囲は、意図された用途に基づいて選択される。装置7のディスプレイ11は、ドットマトリクス12に基づいて熱画像をレンダリングするために使用されてもよい。したがって、画素13は、温度値を表す色を表示することができる。
【0025】
画像データを生成するために、視野4は、関心領域3、すなわち、熱画像12が生成されるべき領域にわたって掃引(sweep(スイープ))される。掃引の方向は、図中矢印15で示されている。装置7が手持ち式である場合、手を動かすことによって手動で掃引が行われる。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、コンピュータによって制御されるモータが視野4を移動させる、動力駆動および/または自動的に制御される掃引を使用することができる。したがって、本明細書で説明するシステム1および方法は、マルチピクセルサーマルイメージング(熱画像化)チップセットの代替として使用することができる。
【0026】
IRセンサ2は、少なくとも所定の周波数で、視野4内のIR値を決定する。携帯装置の場合、適切な周波数は1Hz~100Hzとすることができ、ここで、2Hz~20Hzがより好ましい。
【0027】
位置決定手段6は、IRセンサ2の位置および/または向きを、適切な時間間隔で繰り返し決定する。この時間間隔は、IRデータの取り込みと同時または同じ頻度であってもよい。ただし、異なるサンプリング周波数を使用してもよい。位置および/または向きに対するサンプリング周波数は、IRデータをサンプリングするための周波数であってもよい。時間ペアリングアルゴリズムを使用して、正しいIRデータを、位置および/または向きについての正しいデータとペアリングすることができる。例えば、タイムスタンプを用いてもよい。したがって、位置決定手段6は、視野4が掃引されている間、それぞれのIR値について、IRセンサ2のそれぞれの現在の相対的な位置および/または向きを検出する。
【0028】
視野4の方向を掃引することは、例えば、視野4が関心領域3を横切って移動するように装置7を並進(平行移動)させる(図5において、並進方向を矢印Tで示す)ことで行ってもよいし、例えば、図6に示すように装置7を回転させる(すなわち、検出方向5に対応しない軸の周りで装置7を回転させる、回転方向を矢印Rで示す)ことで検出方向5を変更することで行ってもよいし、これらの組み合わせで行ってもよい。好ましい実施形態では、並進と方向の変更の両方が用いられる。
【0029】
したがって、走査中に検出された各IR値は、位置および/または向きを表すデータに関連付けられる。IR画像データは、温度値を使用し、それらを位置および/または方向データの使用と共にドットマトリクス12に配置することによって編集されてもよい。位置決定手段6によって得られた位置および/または向きは、3次元空間内の様々な捕捉(取得)された視野を位置決めするために使用されてもよい。図3に示すように、視野4(または視野の一部、以下参照)は、複数の画素13に温度値を割り当てることができる。したがって、画像12内の画素13は、典型的には視野4よりも小さい領域に対応する。2つ以上の画素13を用いて、温度値が決定された領域を表してもよく、1つの画素を用いて、温度が決定された2つ以上の領域を表してもよい。
サンプリングは、温度が決定された種々の領域を、画像12の画素13にマッピングするために使用されうる。例えば、画像12内の1つ以上の画素13は、共有領域21を描写するために使用されてもよい(下記参照)。JPEG、TIFF、GIFなど、適切なビットマップ・デジタルイメージ・ファイル形式を使用することができる。ベクターグラフィックスも使用できるが、ビットマップ/ドットマトリクスファイル形式を使用するのがより簡単だと思われる。
【0030】
好ましい実施形態を、図7~9に示す。ここでは、サンプリング速度と掃引速度は、視野4a、4bの間に部分的な重なりがあるようになっている。また、2つの視野4a、4bには、重なっている2つの視野4a、4bに共通しない2つの視野102、103が関連付けられている。
【0031】
図7では、掃引の方向が再び矢印15で示されている。「古い」非共通視野102は、視野4bの前に捕捉された視野4aの一部である。「新しい」非共通視野103は、視野4aの後に捕捉された視野4bの一部である。様々な実施形態では、領域4aと領域4bとの間の温度における検出された変化に何が影響するかに関して、異なる仮定がなされる。古い視野4aと新しい視野4bとの間の温度差は、古い非共通領域102または新しい非共通領域103、あるいはその両方に起因し得る。少なくとも1つの非共通視野102 103に対する温度値は、2つの部分的に重なり合う視野4a 4bの間の温度差と、視野4a 4bの領域(面積)に対する非共通視野102 103の領域(面積)の比率とを使用することによって決定される。画像12内の画素13に対する温度は、画素13が属する少なくとも1つの非共通視野102 103に対して、このようにして決定された温度値を使用することによって決定される。
【0032】
視野4a4bに対する非共通部分102 103の領域の比率は、サンプリング周波数および掃引が行われる速度に依存する。掃引速度は、特に、携帯装置7が使用されるとき、変化しうる。視野4の領域に対する非共通視野102 103の領域の比率は、領域比率決定手段によって決定することができる。領域比率決定手段は、位置決定手段6によって決定された現在の掃引速度を使用することができる。領域比率決定手段は、システム1の一部であり、好ましくは、位置決定手段6からの情報およびサンプリング時点を使用するソフトウェアとして実装される。したがって、領域比率決定手段は、位置決定手段6からの情報を使用して、視野4が関心領域3上を移動する速度を決定し、その情報を使用して、視野4a、4bに対する非共通視野102、103の領域間の比率を決定することができる。掃引速度が速いと非共通領域102 103が大きくなり、掃引速度が遅いと非共通領域が小さくなる。掃引速度が低いと、熱情報の解像度が向上する。全視野4に対する非共通視野の適切な比率は、1~20%とすることができる。
【0033】
一実施形態では、掃引速度が速くなると、IRセンサと位置判定手段6のサンプリング周波数が自動的に増加する。
【0034】
視野4aと4bの間の温度の変化を領域比率で割り、得られた比率を用いて、古いおよび/または新しい非共通視野102 103の温度を算出する。一実施形態では、重なり合う視野4a、4bの間の温度差全体は、新しい非共通視野103によるものと仮定される。一実施形態では、温度差全体は、古い非共通視野102によるものと仮定される。さらなる実施形態では、温度差は、新しい非共通視野103および古い非共通視野102の両方に起因し、例えば一定の比率で、例えば、50%が新しい非共通視野102に起因し、50%が古い非共通視野103に起因すると仮定される。
【0035】
以下では、視野4aから視野4bへの温度の変化全体が、新しい非共通視野103によるものであると仮定する例である。例えば、視野温度4aが23℃であり、領域4bの温度が21℃であるとする。温度差(-2℃)は、非共通視野102 103に起因する。
非共通視野103が視野4bの15%のサイズを有すると仮定すると、-2℃/0.15=-13.3℃の変化があり、すなわち、新しい非共通視野103の温度値は、23-13.3= 9.7℃になる。以下に説明するように、より多くの掃引方向からのデータを使用すると、精度が向上する。
【0036】
方法を図8に示す。ステップ200では、同じ掃引方向からの2つの重なり合う視野4a 4bからのIRセンサデータが収集される。ステップ201において、視野4a 4bの領域に対する非共通視野102および103の領域の比率が領域比率決定手段によって決定される。非共通領域102と視野4aとの間の比率は、視野4bに対する非共通領域103の比率と同じであることに留意されたい。ステップ200および201は、任意の順序で実行することができる。ステップ202において、非共通視野102または103、あるいはその両方の温度が決定される。
【0037】
当該方法は、好ましくは、方法は、図9に示すように、4aと4bの間の重なりを利用し、4bと4cの間の重なりを利用し、4cと4dの間の重なりを利用するような、一連の重なり合う視野4a、4b、4c、4d・・・に適用される。このようにして、関心領域3の実質的な部分は、非共通視野によってカバーされてもよい。開始点14は、異なる視野4a、bおよびそれらの非共通視野102、103の位置および向きを互いに関連付けるために使用されてもよい。開始点14は、好ましくは第1のサンプリングされた視野4aに割り当てられる。位置決定手段6は、視野4がどのように移動するかのモデルを構築し、開始点14に対してIRセンサ値をマッピングして熱画像12を生成することができる。開始点14は、好ましくは周囲または関心領域3に対して画定された空間内の点である。開始点14は、好ましくは観察の初期方向5に関連付けられる。
【0038】
関心領域3を複数回にわたって掃引し、その都度、適切なオフセットを設けることで、より広い関心領域3をカバーすることができる(図10)。オフセットは、好ましくは最大でも視野4の直径であるべきである。
【0039】
図11~12を参照すると、視野4は、関心領域3を少なくとも2つの異なる方向15a、bに掃引することが好ましい。例えば、点20は、第1の方向15aからの新しい非共通視野103aと、第2の方向15bからの新しい非共通視野103bとによってカバーされる。点20または領域21の温度は、上述のように第1および新たな第2の非共通視野103a、bの温度値を用いて決定され、次いで、少なくとも2つの掃引方向15a、15bからの点20または領域21の温度値を用いて、サーモグラフィ画像12内の画素13または多数の画素のような、サーモグラフィ画像12内の領域に対する温度値を決定する。
【0040】
ステップ300において、視野は、第1の方向15aに関心領域3にわたって掃引され、その結果、第1の新しい非共通視野103aに対する第1の温度値が得られる。これは、図7~10を参照して上述した方法を用いて行われる。ステップ301において、視野4は第2の方向15bに関心領域3上を掃引され、同様に、第2の新しい古い非共通視野103bに対する第2の温度をもたらす。ステップ303において、第1および第2の古い重なり合わない視野103a、bが、共有領域21として示される、ある程度同じ領域をカバーしていると判断される。第1および第2の温度値は、共有領域21に対する温度を決定するために使用され、画像12の共有領域21内の画素13に対する温度値を決定するために使用され得る。共有領域21(破線)は、同じ温度値を有する。
【0041】
共有領域21は、非共通領域103a、103b毎に記憶された位置情報を用いて決定される。例えば、開始位置14を使用することができ、全ての温度値を空間的に開始位置14に関連付けることができる。
【0042】
上記では新しい非共通領域103a、bがどのように使用されるかを説明したが、古い非共通領域102a、bを代わりに使用することもできる。また、上記のように新旧両方の非共通領域を使用してもよく、ここでは、例えば、あらゆる温度変化を新旧の領域で、例えば50/50のように所定の方法で分割する。
【0043】
好ましい実施形態では、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上の掃引方向15からの値が使用される。したがって、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上の非重複領域102、103の温度値を使用することができる。(2つ以上といった)複数の掃引方向からの温度データを使用することは、熱画像12の解像度を増加させる。複数の掃引方向からの温度データは、任意の適切な方法で使用することができる。一実施形態では、異なる方向15abからの温度値の平均が使用される。3つ以上の掃引方向がある一実施形態では、平均から最も離れた値が使用される。一実施形態では、平均に最も近い極値が使用される(極値が10および2であり、平均が5である場合、2が選択される)。一実施形態では、中央値が使用される。
【0044】
したがって、画像12内の各画素13について、温度値は、複数の温度値に対する温度データ、例えば複数の温度値の平均を用いた結果であってもよい。
2つのデータセットの掃引の方向15a、15bは、少なくとも45°で分離されることが好ましい。好ましくは、2つの掃引方向は90°分離される。好ましい実施形態では、視野4が少なくとも4つの互いに異なる方向15に掃引され、その結果、4つの異なるセットの決定されたIRセンサ値が得られる。相互に異なる方向15は、好ましくは90°離れている。さらにより好ましい実施形態では、45°だけ分離された8つの異なる方向15が使用される。一実施形態では、120°分離された3つの異なる掃引方向15が使用される。
【0045】
掃引は、好ましくは平行な1つまたは同一の面内で実行される。該平面は、出発点14において視野4の観察方向5に垂直であることが好ましい。
【0046】
一実施形態では、図13に示すように、視野4は、各掃引が少なくとも部分的に異なる領域をカバーするように、垂直オフセットで第1の方向15aに数回掃引され、視野4は各掃引16が関心領域3の少なくとも部分的に異なる領域をカバーするように、異なる垂直オフセットで第2の方向15bに追加的に数回掃引される。各矢印16は、視野4の投影の重心が関心領域3をカバーする際の経路を示している。
【0047】
しかしながら、図14に示されるように、ランダム掃引を使用してもよい。例えば、手に装置7を保持しているユーザは、十字状に関心領域3上の視野4を掃引して、いくつかの方向から情報を収集することができる。一実施形態では、画像はディスプレイ11にリアルタイムで表示され、掃引中に画像が改善されるとユーザにフィードバックされる。したがって、ユーザは「絵を描く」ような動作で熱画像を作成することができる。これは、画像12がディスプレイ11にリアルタイムで表示される場合に特に有用である(下記参照)。ユーザは、改善が必要な関心領域3を横切るように掃引することで、必要に応じて画像12を改善し、その結果をリアルタイムで見ることができる。
【0048】
ユーザには、例えば、90°離れた2つの方向のような、上述したような異なる所定の方向に掃引するための指示が提供されてもよい。指示は、テキスト、記号、または合成音声などの音声など、任意の方法で提供することができる。好ましい実施形態では、指示は、ディスプレイ11上に提供される。一例を図15に示す。例えば、携帯装置7は、ユーザによって使用され、ユーザは例えば、装置7を異なる方向15a、15bに移動させることによって、視野4を移動させるように促される。好ましい実施形態では、装置7はディスプレイ11を有し、ディスプレイ11は、ユーザを促すために使用される。ディスプレイ11は、ユーザが装置7を掃引(スイープ)すべき方向15をユーザに示すために使用することができる。また、ディスプレイ11は、装置7、ひいては観察方向5を正しい方向に向けるためのガイダンスを提供することができる。上述したように、リアルタイム画像が表示されると同時に、プロンプトが提供されてもよい。
【0049】
図16に示す一実施形態では、ユーザへの指示は、位置決定手段6からの情報を用いて、リアルタイムで提供される。特に、ユーザは、所定の掃引方向および向きを維持するために、視野4を並進または回転させることによって、装置7を並進または回転させるように促されてもよい。図14では、ディスプレイ11には、矢印17と、固定された十字18と、向き決定手段6によって決定された装置7の向きに合わせてディスプレイ11上を移動する向き依存の十字19とからなる水準器ツールが表示されている。ユーザは、向き依存の十字19を固定された十字18に合わせておくように促される。矢印17がうごくことで、ユーザに異なる方向への走査を指示することができる。したがって、矢印17は、位置決定手段 6と、例えば図13のパターンのような動きのための所定のパターンとによって制御されてもよい。例えば、ユーザは、最初にオフセットを有する第1の方向15aで掃引し、次いで、上述のように角度で方向を区切った第2の方向15bに掃引するように促されてもよい。開始点14における位置および向きは、ユーザにガイダンスを提供するために使用されてもよく、ここで、ユーザは、開始点14と同じ向きまたは位置に装置7を保持するように促される。
【0050】
また、ユーザは、ある平面で掃引するように促されてもよく、この平面は、出発点14における観察方向5に垂直な平面であってもよいし、出発点14における装置7のディスプレイ11の平面であってもよい。「より近く」、「より遠く」などのコマンドをディスプレイ11上で使用して、装置7を平面内に保ちながら掃引してもよい。
【0051】
また、ユーザは、ある速度で掃引するように促されてもよい。上記のように、掃引速度が低い場合は分解能が良くなる。したがって、ユーザは、場合によっては掃引速度を増減するように促されてもよい。フィードバックは、リアルタイムで提供されてもよい。
【0052】
一実施形態では、装置7のディスプレイ11は、上記のように処理された熱画像に関するデータを使用して熱画像12を表示するために使用される。この方法は、従って、IRセンサ2を含む装置7のディスプレイ11の熱画像12を表示するステップを含みうる。画像12は、ユーザが関心領域3を横切って掃引するときに、ディスプレイ11上でリアルタイムにレンダリングされてもよい。したがって、画像データは、リアルタイムでレンダリングするためにディスプレイ11に提供されてもよい。これにより、ユーザにフィードバックが提供される。
【0053】
本明細書に記載の方法を実施するイメージング(画像化)ソフトウェアも提供される。イメージングソフトウェアは、IRセンサ2および位置決定手段6を有する携帯装置7にダウンロードされるアプリとして提供されてもよい。イメージングソフトウェアは、好ましくはメモリ8に格納される。イメージングソフトウェアは、位置決定手段6からIRセンサ値と位置および/または向きのデータを取得するように構成されてもよい。例えば、イメージングソフトウェアは、1つ以上のセンサに繰り返し問い合わせるか、または1つ以上のセンサをオンに切り替え、1つ以上のセンサに所定の構成を提供することができる。このような構成は、例えば、サンプリング周波数に関するIRセンサ2や位置決定手段6への指示であってもよい。イメージングソフトウェアは、IRセンサデータを、位置および/または向きのデータと対にするように構成されてもよい。イメージングソフトウェアは、上述した比率決定手段を含む。
【0054】
イメージングソフトウェアは、熱画像12を生成するために熱画像データを生成するためにデータを編集するように構成される。したがって、イメージングソフトウェアは、本明細書に記載されているように、非重複視野、およびこれらのための位置と向きを決定し、異なる方向からの温度データを編集するように構成される。
【0055】
実施例1
本発明の方法は、図17図24の左上のパネルに示されている、人とイヌを示す関心領域のデジタル熱データを用いてシミュレートされた。当該データは、デジタル画像データを走査した仮想視野を用いて、データを8つの異なる方向(矢印で示されている)で走査した。仮想視野の位置は、コンピュータマウスを用いてユーザにより制御された。重なり合う視野が決定され、2つの重なり合う視野間の温度差は、新しい非共通視野に100%起因する。最大8つの重なり合わない照射野に対する温度を、画像中の各画素について平均化した。右上の画像は、データセットを平均化した結果を示す。掃引方向を増やしていくと、画像が改善されていく様子がわかる。右下は、(重なり合いや異なる方向を使わずに)視野内の平均温度のみを表示した画像で、明らかに解像度が劣っている。
図1
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