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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/34 20140101AFI20241030BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20241030BHJP
   E05B 77/38 20140101ALI20241030BHJP
【FI】
E05B83/34
B60K15/05 B
E05B77/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022007378
(22)【出願日】2022-01-20
(65)【公開番号】P2023106194
(43)【公開日】2023-08-01
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000192914
【氏名又は名称】株式会社神菱
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】西澤 孝哉
(72)【発明者】
【氏名】清原 敦
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-221317(JP,A)
【文献】特開2021-42527(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0179789(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
E05C 19/02
B60K 15/00-15/10
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-15/42
B60L 50/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッド(1)に使用される開閉装置(100)であり、
プッシュロッド(5)と、緩衝部材(15)と、前記プッシュロッド(5)を支持する筐体部(11)とを備え、
前記プッシュロッド(5)は前記緩衝部材(15)を収容する収容部(16)を有し、
前記緩衝部材(15)は、円柱形状の本体部(151)と前記本体部(151)の壁面に設けられた鍔部(152)とを有し、
前記本体部(151)の一部は、前記収容部(16)から突出し、
前記鍔部(152)は少なくとも1つの切欠き部(153)を有し、
前記鍔部(152)の先端は前記収容部(16)の内壁面に接していることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記収容部(16)は底部(BT)を有し、断面が円形の凹部であることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記鍔部(152)は、前記本体部(151)の長手方向の中央に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記鍔部(152)の断面は三角形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記本体部(151)の直径は、前記収容部(16)の内径より小さく、前記鍔部(152)が外接する円の直径は前記収容部(16)の内径より大きいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフューエルリッドや給電用ポート用リッド等に使用する開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の給油口の蓋であるリッド(フューエルリッド)に使用される開閉装置が知られている。このような開閉装置は、リッドに対応して車体内部側に設けられている。
開閉装置は、進退するプッシュロッドを備えており、プッシュロッドは、外部からリッド(蓋)を押圧する毎に、リッドが閉状態の押込位置と開状態の突出位置とを交互に切り替わるよう構成されている。開閉装置のプッシュロッドの先端部には係止部が設けられ、押込位置においては、リッドはプッシュロッドの係止部に係止される。突出位置においては、リッドはプッシュロッドの係止部から解放され、プッシュロッドにより押し上げられ開状態となる。
プッシュロッドは、リッドの車体内部側の壁面を押し上げるため、プッシュロッドのリッドの壁面とが当接する先端部には、衝撃を緩和する緩衝部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-42527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緩衝部材はリッド開閉時の衝撃を吸収する必要があるため、プッシュロッドの本体部と比較して柔軟な材料から構成されている。特許文献1は、二色成形により緩衝部材をプッシュロッド本体と一体化して液密に固定し、緩衝部材がプッシュロッド本体から脱落することを防止している。
しかし、二色成形は、連続した2つの成形工程から構成されるため、高価な製造装置と特殊な金型を必要とし、製造が容易ではないという問題がある。
【0005】
本発明は、製造が容易な開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる開閉装置は、
リッド1に使用される開閉装置100であり、
プッシュロッド5と、緩衝部材15と、前記プッシュロッド5を支持する筐体部11とを備え、
前記プッシュロッド5は前記緩衝部材15を収容する収容部16を有し、
前記緩衝部材15は、本体部151と鍔部152とを有し、
前記本体部151の一部は、前記収容部16から突出し、
前記鍔部152は少なくとも1つの切欠き部153を有し、
前記鍔部152の先端は前記収容部16の内壁面に接していることを特徴とする。
【0007】
このような構成の開閉装置100とすることで、プッシュロッド5内への水の浸入を防止するとともに、プッシュロッド5の収容部16への緩衝材15の組み込みが容易となり、その結果、開閉装置の製造の容易化に寄与することができる。
【0008】
また、本発明にかかる開閉装置は、上記構成において、
前記収容部16は底部BTを有し、断面が円形の凹部であってもよい。
【0009】
このような構成の開閉装置100とすることで、プッシュロッド5内への水の浸入をさらに防止することができる。
【0010】
また、本発明にかかる開閉装置は、上記構成において、
前記鍔部152は、前記本体部151の長手方向の中央に配置されてもよい。
【0011】
このような構成の開閉装置100とすることで、緩衝材15の上下を区別することなくプッシュロッド5の収容部16への嵌め込みが可能となり、製造時の作業負担の軽減に寄与することができる。
【0012】
また、本発明にかかる開閉装置は、上記構成において、
前記鍔部152の断面は三角形状であってもよい。
【0013】
また、本発明にかかる開閉装置は、上記構成において、
前記本体部151の直径は、前記収容部16の内径より小さく、前記鍔部152が外接する円の直径は前記収容部16の内径より大きくてもよい。
【0014】
このような構成の開閉装置100とすることで、収容部16内での緩衝材15の液密性が向上する。また、収容部16への嵌め込みが容易となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、製造が容易な開閉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1(A)は給油口に適用したフューエルリッド1を車外側から見た斜視図、図1(B)は車体に組み込まれたフューエルリッド1を背面側(車内側)から見た斜視図、図1(C)は閉じた状態のフューエルリッド1近傍の部分断面図、図1(D)は開いた状態のフューエルリッド1近傍の部分断面図、図1(E)はプッシュロッド5の係止部6と被係止部7との関係を示す平面図である。
図2図2(A)は開閉装置100の主要な構成要素であるプッシュロッド5近傍の分解斜視図、図2(B)はプッシュロッド5の先端部の拡大斜視図、図2(C)はプッシュロッドの先端近傍における開閉装置100の断面図である。
図3図3(A)はクッション15の斜視図、図3(B)はクッション15の断面図、図3(C)はクッション15の上面図、図3(D)は係止部6の収容部16に嵌め込まれたクッション15を示す断面図である。
図4図4(A)は鍔部152を備えないクッション15の例を示す断面図、図4(B)は切欠き部153の無い鍔部152を備えたクッション15の例を示す断面図、図4(C)は切欠き部153を有する鍔部152を備えたクッション15の例を示す断面図、図4(D)は切欠き部153を有する鍔部152を備えたクッション15の例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0018】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0019】
(実施形態1)
以下、開閉装置100について、燃料給油口のフューエルリッド1(燃料補給口の蓋)への適用例を説明するが、給電用ポート等の動力源供給口のリッド(蓋)への適用も可能である。
図1(A)は給油口に適用したフューエルリッド1を車外側から見た斜視図、図1(B)は車体に組み込まれたフューエルリッド1を背面(車内)側から見た斜視図、図1(C)は閉じた状態のフューエルリッド1近傍の部分断面図、図1(D)は開いた状態のフューエルリッド1近傍の部分断面図、図1(E)はプッシュロッド5の係止部6と被係止部7との関係を示す平面図である。
【0020】
図1(A)に示すように、フューエルリッド1(以下、単にリッド1と称す。)はヒンジ2により回動可能に支持され、閉じた状態では車体3(パネル)に設けられたパネル開口部4(動力源供給口)を覆い、液体の侵入を防ぐ。パネル開口部4の縁には、液密に封止するための、例えば樹脂製のパッキンが設けられている。
【0021】
開閉装置100は、ヒンジ2の反対側に設けられている。
開閉装置100は、延展及び縮退可能なプッシュロッド5を備え、プッシュロッド5は突出位置及び押込位置を交互に切替可能である。プッシュロッド5のリッド1側の先端部には、リッド1と係止可能な断面がT字形状の係止部6が設けられ、リッド1には、係止部6と協働する被係止部7が設けられている。被係止部7は被係止孔8(係合孔8)を備えている。
プッシュロッド5は、リッド1を固定し、閉状態の維持を可能とするとともに、リッド1の固定を解除し、リッド1の開放を可能とする。従って、プッシュロッド5はリッド1のロック機構を有する。
図1(C)はプッシュロッド5が縮退し、押込位置に位置する状態を示し、図1(D)はプッシュロッド5が延展し、突出位置に位置する状態を示す。
【0022】
図1(C)に示すようにプッシュロッド5が押込位置に位置するとき、係止部6は図1(E)の点線に示すように、係止部6の頭部6Hの長手方向と被係止孔8の長手方向とは互いに直交する。係止部6の頭部6Hは被係止孔8を通過することができず、係止部6はリッド1を係止する。そのため、リッド1は閉状態を維持する。
図1(D)に示すようにプッシュロッド5が突出位置に位置するとき、プッシュロッド5が90°回転する。図1(E)の実線に示すように、係止部6の頭部6Hの長手方向と被係止孔8の長手方向とは平行になる。係止部6の頭部6Hの長手方向の長さ及びその垂直方向の長さは、それぞれ被係止孔8の長手方向及びその垂直方向の長さより短く、係止部6の頭部6Hは被係止孔8を通過可能となる。そのため、リッド1は開放可能な状態(開状態)となる。
【0023】
図2(A)は開閉装置100の主要な構成要素であるプッシュロッド5近傍の分解斜視図、図2(B)はプッシュロッド5の先端部の拡大斜視図、図2(C)はプッシュロッドの先端の係止部6近傍における開閉装置100の断面図である。
開閉装置100は、プッシュロッド5、プッシュロッド5の端部に回転可能に連結される回転摺動子9、プッシュロッド5を延展し突出位置に位置するよう付勢力を与えるスプリング10、プッシュロッド5を延展及び縮退可能に収容し支持するメインボディー11(筐体部11)、メインボディー11に固定され、スプリング10の端部を支持する底部支持部12を備える。
プッシュロッド5は、内部にスプリング10を収容する円筒部を有している。
メインボディー11は、プッシュロッド5を収容する断面が円形の支持部13を有している。支持部13は、液密に固定するためのシール部材14により封止されている。
シール部材14は、例えば樹脂製のパッキンと、ネジ山を有する円筒状の栓により構成され、メインボディー11にネジ固定される。
プッシュロッド5及び回転摺動子9は、支持部13内で回転可能であるとともに、支持部13の長手方向に沿って進退可能である。
底部支持部12は、支持部13の底部に配置され、メインボディー11に固定されている。底部支持部12は、プッシュロッド5を回転可能に支持する。
【0024】
リッド1が開状態において、車外側からリッド1が押さえ込まれると、リッド1の車内側の壁面がプッシュロッド5の先端(係止部6)を押圧し、プッシュロッド5は縮退しながら90°回転し、係止部6が被係止孔8と係合する。
リッド1が閉状態において、車外側からリッド1を介してプッシュロッド5の先端が押圧され、その後に押圧から開放されると、プッシュロッド5は延展しながら90°回転し、係止部6と被係止孔8との係合が開放され、スプリング10の付勢力によりプッシュロッド5の先端はリッド1の車内側の壁面を押圧し、リッド1を押し上げる。
また、回転摺動子9と部支持部12とによるカム機構を利用して、プッシュロッド5は、支持部13内で回転しながら、交互に伸縮、延展を繰り返すことができる。
【0025】
プッシュロッド5は、リッド1の開閉操作において、リッド1の車内側の壁面と当接する押圧部を有する。以下では図2に示すように、プッシュロッド5の係止部6が、押圧部を構成する例について説明するが、係止部6と押圧部とを別個に設けてもよい。例えば、係止部6のリッド1側に凸部を設け、凸部を押圧部としても良い。
プッシュロッド5は、係止部6(押圧部)の先端にクッション15(緩衝部材15)を備える。クッション15は、弾性を有するゴムや樹脂等から構成され、プッシュロッド5の係止部6そのものとリッド1の内壁面との直接的な衝突を回避し、リッド1及びプッシュロッド5の損傷を防止する。
【0026】
図2(B)、(C)に示すように、係止部6(押圧部)はクッション15を収容する円形中空の収容部16を備えている。収容部16は、底部(BT)を有し、断面が円形の凹部として係止部6の中央に設けられている。
【0027】
図3(A)はクッション15の斜視図、図3(B)はクッション15の断面図、図3(C)はクッション15の上面図、図3(D)は係止部6の収容部16に嵌め込まれたクッション15を示す断面図である。図3(B)は、図3(A)のA-A線断面図である。図3(C)はクッション15と収容部16との位置関係を示す。
図3に示すように、クッション15は本体部151と鍔部152(ストッパ部152)とを有する。本体部151は円柱形状である。本体部151の両端の底部の周囲にはテーパー面を設け、また収容部16の端部の周囲にテーパーを設けてもよい。クッション15の収容部16への挿入をガイドすることができる。
図3(B)に示すように鍔部152は、断面は三角形状を有し、本体部151の長手方向の中央に位置する。すなわち、本体部151の一端面から他端面までの長さは2Hであり、鍔部152は本体部151の両端から距離Hの位置に配置されている。従って、クッション15は上下対称な形状を有する。
【0028】
図3(C)に示すように、鍔部152は、上面視において円形の一部に直線的に切れ込んだ切欠き部153(フラット部153)を少なくとも1つ備えている。図3(C)に示す例においては、切欠き部153により画定される直線が平行となるように2つの切欠き部153が互いに対向して設けられている。
【0029】
本体部151の直径d1は、収容部16の内径Dより小さく、鍔部152が外接する円の直径d2(又は、切欠き部153以外を構成する円の直径d2)は収容部16の内径Dより大きい。(d1<D<d2)
その結果、収容部16に嵌め込まれたクッション15は、収容部16の内壁面と鍔部152の切欠き部153において間隙Gを有することになる。
なお、非限定的な例として、直径d1は、内径Dより0.3~1.0mm小さく、直径d2は、内径Dより0.3~1.0mm大きい。また、内径Dは、非限定的な例として3~5mmである。
【0030】
図3(D)に示すように、クッション15は収容部16に嵌め込まれる。クッション15が収容された状態で、鍔部152は収容部16内に嵌め込まれ、鍔部152の先端は収容部16の内壁面に接している。さらに、鍔部152の先端は収容部16の内壁面により押し潰された状態となる。その結果、鍔部152と収容部16の内壁面との摩擦が増大し、クッション15が収容部16から脱落することを防止する。
また、鍔部152の断面は三角形状であるため、内壁面により容易に押し潰されることが可能であり、押し潰される長さが長くなるほど鍔部152の断面の幅(図3(D)中、上下方向の長さ)が広くなるように構成されている。そのため、鍔部152が押し潰されるに従って、収容部16の内壁面を押圧する力が増大し、クッション15の脱落を効果的に防止できる。
【0031】
収容部16の深さLよりクッション15の長手方向の長さ(高さ)2Hが長く(L<2H)、クッション15の一部は、収容部16より突出している。具体的には、プッシュロッド5の先端部154(突出部154)は、収容部16より突出し、係止部6の表面よりリッド1側に突出する。そのため、クッション15の先端部はリッド1の内壁面と当接し、プッシュロッド5の先端とリッド1の内壁面との当接(衝突)による衝撃を緩和することができる。H>L/2であるため、鍔部152は、深さLの収容部16の中央より高く位置する。
なお、長手方向の長さは、クッション15の一方の底部から他方の底部までの距離により定義される。
【0032】
鍔部152より下方の本体部151の外壁面の全周囲と収容部16の内壁面(側壁面及び底面)との間には空間が形成される。後述するように、収容部16が底部BTを有する形状であるため、クッション15を収容部16に嵌め込む際に、この空間内の空気が加圧されるが、加圧された空気は間隙Gを介して外方に放出される。
【0033】
図4は、鍔部152の切欠き部153の機能を説明するための、収容部16へクッション15を挿入する工程を示す部分拡大断面図である。
図4(A)は鍔部152を備えないクッション15の例を示す断面図、図4(B)は切欠き部153の無い鍔部152を備えたクッション15の例を示す断面図、図4(C)は切欠き部153を有する鍔部152を備えたクッション15の例を示す断面図、図4(D)は切欠き部153を有する鍔部152を備えたクッション15の例を示す拡大断面図である。図4(C)は切欠き部153に垂直な直径方向のB-B線断面を示し、図4(D)はB-B線に垂直な方向のA-A線断面を示す(図3(C)参照)。
図4(B)、(C)、(D)に示す例においては、上述のように本体部151の直径d1は、収容部16の内径Dより小さく、鍔部152が外接する円の直径d2は収容部16の内径Dより大きく設定されている。(d1<D<d2)
一方、図4(A)に示す例においては、水の浸入を防止するため、本体部151の直径d1は、収容部16の内径Dと等しく設定されている。(d1=D)
【0034】
クッション15は弾性を有するゴムや樹脂等から構成されているため、クッション15と収容部16の内壁面とが接する箇所は、気密性を有する。
図4(A)、(B)に示すように、クッション15を収容部16へと、図中矢印方向に挿入すると、収容部16内にクッション15と底部BTとの間に形成される空間Sは気密となる。そのため、クッション15を収容部16に押し込むと、空間S内の圧力が増大する。空間Sの増加した空気圧により、クッション15の底面が収容部16の底部BTに接するまで、クッション15を押し込むことは困難となる。
【0035】
一方、図4(C)、図3(C)に示すように、切欠き部153を有する鍔部152の場合、切欠き部153の外壁面と収容部16の内壁面との間に隙間Gが存在する。そのため、空間S中の空気が収容部16外へと流れる流路Fが形成される。その結果、空間S内の圧力の増大が防止され、クッション15の底面が収容部16の底部BTに接するまで、クッション15を押し込むことが容易となる。
【0036】
さらに、クッション15の鍔部152は、クッション15の長手方向の中央に位置し、クッション15は上下に対称な形状である。そのため、作業者はクッション15の上下を確認することなく、収容部16へ容易に嵌め込むことができ、作業負担が軽減される。
【0037】
図4(D)は、鍔部152近傍のクッション15と収容部16の拡大断面図である。
図4(D)に示すように、クッション15の本体部151の外壁面と収容部16の内壁面との間に第1の領域R1及び第2の領域R2が形成される。第1の領域R1は鍔部152の上方に形成され、第2の領域R2は鍔部152の下方に形成される。
クッション15の本体部151の外壁面と収容部16の内壁面との間隙が狭いため、水の表面張力により、第1の領域R1への水の浸入は困難となる。さらに、切欠き部153と収容部16の内壁面との間隙Gが小さいため、第2の領域R2への水の浸入は困難となる。
【0038】
また、第1の領域R1に水が侵入した場合でも、第1の領域R1内に充満した水が、第2の領域R2内の空気の脱出を阻止するため、第2の領域R2への水の浸入はさらに防止される。
なお、切欠き部153が1箇所のみの場合、1箇所の間隙Gにおいて、空気の排出と水の流入の両立は困難であるため、第2の領域R2への水の浸入はいっそう防止される。
【0039】
また、たとえ第1の領域R1を介して第2の領域R2に水が侵入したとしても、収容部16は底部BTを有するため、プッシュロッド5の内部やメインボディー11内部へ水が浸入することはない。
【0040】
本開閉装置100は、メインボディー11側への水の浸入を防止できるとともに、クッション15が何らかの不測の原因により劣化又は破損した場合でも、特許文献1に開示された装置と異なり、クッション15のみを容易に交換することも可能である。
予め複数のクッション15を保管管理しておけば、クッション15の嵌め込み、交換は容易であり、さらにクッション15は上下対称であるため、作業者の嵌め込み作業は容易である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、開閉装置のプッシュロッド内への水の浸入を防止するとともに、プッシュロッドとリッドとの間の衝撃を緩和するクッションの収容部16への嵌め込みが容易となるため、開閉装置の製造の容易化に寄与することができる。また、本開閉装置は、給油口だけでなく充電ポート等の動力源供給口への適用が可能である。そのため、本発明の産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0042】
100 開閉装置
1 フューエルリッド(リッド)
2 ヒンジ
3 車体
4 パネル開口部(動力源供給口)
5 プッシュロッド
6 係止部
6H 頭部
7 被係止部
8 被係止孔(係合孔)
9 回転摺動子
10 スプリング
11 メインボディー(筐体部)
12 底部支持部
13 支持部
14 シール部材
15 クッション(緩衝部材)
151 本体部
152 鍔部(ストッパ部)
153 切欠き部(フラット部)
154 先端部(突出部)
16 収容部
BT 底部
G 間隙
R1 第1の領域
R2 第2の領域
図1
図2
図3
図4