(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】実装システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20241030BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20241030BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H05K13/04 B
H01L21/52 F
(21)【出願番号】P 2022035798
(22)【出願日】2022-03-09
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】千田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】北村 賢
(72)【発明者】
【氏名】木下 義浩
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-002279(JP,A)
【文献】特開2021-034610(JP,A)
【文献】国際公開第2020/022345(WO,A1)
【文献】特開平11-238568(JP,A)
【文献】特開2007-194433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0037213(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/447-21/449
H01L21/52
H01L21/58 -21/607
H05K 3/30
H05K13/00 -13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にチップ部品を実装する実装システムであって、
チップ部品を保持する複数のスタンプと、
複数の前記スタンプのうち一部の前記スタンプを保持し、保持した前記スタンプに所定のチップ部品を保持させるピックアップユニットと、
前記ピックアップユニットによりチップ部品を保持している前記スタンプを保持し、チップ部品を基板に実装する実装ユニットと、
複数の前記スタンプを同時に保持可能なテーブルを有し、前記ピックアップユニットおよび前記実装ユニットとの間で前記スタンプの受け渡しを行い、前記スタンプを保持して一時待機させる中継部と、を備えており、
前記中継部を介して前記ピックアップユニットと前記実装ユニットとの間で前記スタンプの受け渡しを行い、前記ピックアップユニットおよび前記実装ユニットのそれぞれの処理を複数の前記スタンプを用いて並行して行うことを特徴とする実装システム。
【請求項2】
前記実装ユニットによる前記チップ部品の実装後に前記スタンプにチップ部品が残存する場合、前記実装ユニットから前記中継部へ渡された前記スタンプを保持し、残存するチップ部品を除去するクリーニングユニットを備えることを特徴とする請求項1に記載の実装システム。
【請求項3】
前記中継部は、前記ピックアップユニットと前記テーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記ピックアップユニットに前記テーブルを接近させ、前記実装ユニットと前記テーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記実装ユニットに前記テーブルを接近させる移送ユニットを備えていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2のいずれかに記載の実装システム。
【請求項4】
前記中継部は、前記ピックアップユニットとの間で前記スタンプの受け渡しを行い、複数の前記スタンプを同時に保持可能な第1のテーブルと、
前記第1のテーブルを移動させる第1の移送ユニットと、
前記実装ユニットとの間で前記スタンプの受け渡しを行い、複数の前記スタンプを同時に保持可能な第2のテーブルと、
前記第2のテーブルを移動させる第2の移送ユニットと、
前記第1のテーブルと前記第2のテーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う移送ロボットと、を備え、
前記第1の移送ユニットは、前記ピックアップユニットと前記第1のテーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記ピックアップユニットに前記第1のテーブルを接近させ、前記移送ロボットにより前記第1のテーブルと前記第2のテーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記第2のテーブルに前記第1のテーブルを接近させ、
前記第2の移送ユニットは、前記実装ユニットと前記第2のテーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記実装ユニットに前記第2のテーブルを接近させ、前記移送ロボットにより前記第2のテーブルと前記第1のテーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記第1のテーブルに前記第2のテーブルを接近させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の実装システム。
【請求項5】
前記ピックアップユニットは、複数のチップ部品を保持するピックアップ用ステージと、
前記スタンプを吸着保持し、前記スタンプを吸着保持した状態で、前記ピックアップ用ステージから所定のチップ部品をピックアップして前記スタンプに保持させるピックアップヘッドと、を有し、
前記ピックアップヘッドによる前記スタンプの吸着保持および吸着保持の解除を制御することにより前記中継部との間で前記スタンプの受け渡しを行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の実装システム。
【請求項6】
チップ部品は、転写基板に保持されており、
前記ピックアップユニットは、前記スタンプを保持するスタンプ用ステージと、
前記転写基板に保持されたチップ部品の前記転写基板との保持面に活性エネルギー線を照射し、前記転写基板から任意のチップ部品を剥離させて前記スタンプ用ステージに保持される前記スタンプに保持させる照射部と、を有していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の実装システム。
【請求項7】
前記実装ユニットは、基板を支持する実装用ステージと、
前記スタンプを吸着保持し、前記スタンプを吸着保持した状態で、前記スタンプに保持されたチップ部品を前記実装用ステージに支持される基板に実装する実装ヘッドと、を有し、
前記実装ヘッドによる前記スタンプの吸着保持および吸着保持の解除を制御することにより前記中継部との間で前記スタンプの受け渡しを行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の実装システム。
【請求項8】
少なくとも前記実装ユニットによるチップ部品の実装後に前記スタンプのチップ部品を保持する面側を検査する検査ユニットを備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品を基板に実装する実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイの生産工程において回路パターンが形成された基板にLED等のチップ部品が実装されている。近年では、チップ部品の小型化が進んでおり、基板に実装するチップ部品の数が増加する傾向にある。
【0003】
そこで、基板にチップ部品を実装するタクトタイムを短縮するために、複数のチップ部品を一括して基板に実装する実装装置が提案されている(たとえば、下記特許文献1)。
【0004】
このような実装装置は、一つの実装ヘッドによりウエハ等に配列された複数のチップ部品から所定のチップ部品を一括してピックアップし、ピックアップしたチップ部品を基板に移送して実装する。これにより、基板に複数のチップ部品を一括して実装している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述した従来の実装装置では、チップ部品を実装処理するタクトタイムが長くなってしまう。
【0007】
具体的に説明する。従来の実装装置は、チップ部品をピックアップ、移送、および実装する工程を一つの実装ヘッドで行うため、一度チップ部品を基板に実装してから次の実装を行うまでにかかる時間が長くなる。すなわち、チップ部品を実装するタクトタイムが長くなるという問題がある。また、チップ部品を基板に実装した後に実装ヘッドにチップ部品が残存する等の不良が生じる可能性がある。この不良が生じた場合、チップ部品をピックアップ、移送、および実装する工程に加えて実装ヘッドに残存するチップ部品を除去する工程も必要になる。そして、一つの実装ヘッドにより基板にチップ部品を実装するには、一つの実装ヘッドで、これらすべての工程を行わなければならないため、チップ部品を実装するタクトタイムがより長くなる。
【0008】
本発明は、上記問題を鑑みてされたものであり、チップ部品を実装するタクトタイムを従来よりも短縮することができる実装システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の実装システムは、基板にチップ部品を実装する実装システムであって、チップ部品を保持する複数のスタンプと、複数の前記スタンプのうち一部の前記スタンプを保持し、保持した前記スタンプに所定のチップ部品を保持させるピックアップユニットと、前記ピックアップユニットによりチップ部品を保持している前記スタンプを保持し、チップ部品を基板に実装する実装ユニットと、複数の前記スタンプを同時に保持可能なテーブルを有し、前記ピックアップユニットおよび前記実装ユニットとの間で前記スタンプの受け渡しを行い、前記スタンプを保持して一時待機させる中継部と、を備えており、前記中継部を介して前記ピックアップユニットと前記実装ユニットとの間で前記スタンプの受け渡しを行い、前記ピックアップユニットおよび前記実装ユニットのそれぞれの処理を複数の前記スタンプを用いて並行して行うことを特徴としている。
【0010】
上記実装システムによれば、中継部のテーブルと、ピックアップユニットおよび実装ユニットとの間で、スタンプの受け渡しを行うことによって、ピックアップユニットがスタンプにチップ部品を保持させる工程と、実装ユニットが基板にチップ部品を実装する工程を複数のスタンプを用いて並行して行うことにより、各ユニットの動作を極力止めることなくチップ部品の実装を行うことができる。したがって、チップ部品を実装するタクトタイムを従来よりも短縮することができる。
【0011】
また、前記実装ユニットによる前記チップ部品の実装後に前記スタンプにチップ部品が残存する場合、前記実装ユニットから前記中継部へ渡された前記スタンプを保持し、残存するチップ部品を除去するクリーニングユニットを備える構成としてもよい。
【0012】
この構成によれば、チップ部品を実装後のスタンプに再度チップ部品を保持させる際に、チップ部品が残存していることにより生じる可能性のある不具合を防ぐことができる。
【0013】
また、前記中継部は、前記ピックアップユニットと前記テーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記ピックアップユニットに前記テーブルを接近させ、前記実装ユニットと前記テーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記実装ユニットに前記テーブルを接近させる移送ユニットを備えている構成としてもよい。
【0014】
この構成によれば、各ユニットとテーブルとの間でスタンプの受け渡しを行う際にスタンプを移動させる距離が短くなる。これにより、各ユニットとテーブルとの間でのスタンプの受け渡しにかかる時間を短縮することができる。
【0015】
また、前記中継部は、前記ピックアップユニットとの間で前記スタンプの受け渡しを行い、複数の前記スタンプを同時に保持可能な第1のテーブルと、前記第1のテーブルを移動させる第1の移送ユニットと、前記実装ユニットとの間で前記スタンプの受け渡しを行い、複数の前記スタンプを同時に保持可能な第2のテーブルと、前記第2のテーブルを移動させる第2の移送ユニットと、前記第1のテーブルと前記第2のテーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う移送ロボットと、を備え、前記第1の移送ユニットは、前記ピックアップユニットと前記第1のテーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記ピックアップユニットに前記第1のテーブルを接近させ、前記移送ロボットにより前記第1のテーブルと前記第2のテーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記第2のテーブルに前記第1のテーブルを接近させ、前記第2の移送ユニットは、前記実装ユニットと前記第2のテーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記実装ユニットに前記第2のテーブルを接近させ、前記移送ロボットにより前記第2のテーブルと前記第1のテーブルとの間で前記スタンプの受け渡しを行う場合に前記第1のテーブルに前記第2のテーブルを接近させる構成としてもよい。
【0016】
この構成によれば、実装システムが移送ロボットを備えることにより、中継部が有するテーブルをピックアップユニットとの間でスタンプの受け渡しを行う第1のテーブルと、実装ユニットとの間でスタンプの受け渡しを行う第2のテーブルにテーブルを分けることができ、これらテーブルのそれぞれを第1の移送ユニットと第2の移送ユニットのそれぞれにより独立して移動させることができる。これにより、各ユニットの動作に合わせたスタンプの受け渡しが可能となる。また、各ユニットと各テーブルとの間でスタンプの受け渡しを行う際にスタンプを移動させる距離が短くなる。したがって、各ユニットと各テーブルとの間でのスタンプの受け渡しにかかる時間をより短縮することができる。
【0017】
また、前記ピックアップユニットは、複数のチップ部品を保持するピックアップ用ステージと、前記スタンプを吸着保持し、前記スタンプを吸着保持した状態で、前記ピックアップ用ステージから所定のチップ部品をピックアップして前記スタンプに保持させるピックアップヘッドと、を有し、前記ピックアップヘッドによる前記スタンプの吸着保持および吸着保持の解除を制御することにより前記中継部との間で前記スタンプの受け渡しを行う構成としてもよい。
【0018】
この構成によれば、煩雑な制御を必要とせずにピックアップユニットと中継部との間でスタンプの受け渡しを行うことができる。
【0019】
また、チップ部品は、転写基板に保持されており、前記ピックアップユニットは、前記スタンプを保持するスタンプ用ステージと、前記転写基板に保持されたチップ部品の前記転写基板との保持面に活性エネルギー線を照射し、前記転写基板から任意のチップ部品を剥離させて前記スタンプ用ステージに保持される前記スタンプに保持させる照射部と、を有している構成としてもよい。
【0020】
この構成によれば、複数のチップ部品から任意のチップ部品をピックアップしてスタンプに保持させることができる。
【0021】
また、前記実装ユニットは、基板を支持する実装用ステージと、前記スタンプを吸着保持し、前記スタンプを吸着保持した状態で、前記スタンプに保持されたチップ部品を前記実装用ステージに支持される基板に実装する実装ヘッドと、を有し、前記実装ヘッドによる前記スタンプの吸着保持および吸着保持の解除を制御することにより前記中継部との間で前記スタンプの受け渡しを行う構成としてもよい。
【0022】
この構成によれば、煩雑な制御を必要とせずに実装ユニットと中継部との間でスタンプの受け渡しを行うことができる。
【0023】
また、少なくとも前記実装ユニットによるチップ部品の実装後に前記スタンプのチップ部品を保持する面側を検査する検査ユニットを備えている構成としてもよい。
【0024】
この構成によれば、検査ユニットにより実装ユニットによるチップ部品の実装後のスタンプにチップ部品が残存しているか否かを検査することができる。また、検査の結果、スタンプにチップ部品が残存していない場合は、スタンプをクリーニングユニットによりクリーニングせずに済むため、チップ部品の実装後から再びチップ部品をピックアップするまでにかかる時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実装システムによれば、チップ部品を実装するタクトタイムを従来よりも短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態における実装システムを概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における実装システムによるピックアップ処理を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施形態における実装システムによるピックアップ処理を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態における実装システムによるピックアップ処理を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態における実装システムによる移送処理を説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施形態における実装システムによる移送処理を説明するための図である。
【
図7】本発明の一実施形態における実装システムによる移送処理を説明するための図である。
【
図8】本発明の一実施形態における実装システムによる移送処理を説明するための図である。
【
図9】本発明の一実施形態における実装システムによる実装処理を説明するための図である。
【
図10】本発明の一実施形態における実装システムによる実装処理を説明するための図である。
【
図11】本発明の一実施形態における実装システムによる実装処理を説明するための図である。
【
図12】本発明の一実施形態における実装システムによる実装処理を説明するための図である。
【
図13】本発明の一実施形態における実装システムによる実装処理を説明するための図である。
【
図14】本発明の一実施形態における実装システムによるクリーニング処理を含む移送処理を説明するための図である。
【
図15】本発明の一実施形態における実装システムによるクリーニング処理を含む移送処理を説明するための図である。
【
図16】本発明の一実施形態における実装システムによるクリーニング処理を含む移送処理を説明するための図である。
【
図17】本発明の一実施形態における実装システムによる全体の処理を概略的に示す図である。
【
図18】従来の実装装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態における実装システムについて図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、水平方向をX軸方向、Y軸方向と表現し、XY平面と垂直な方向(つまり、鉛直方向)をZ軸方向と表現する。
【0028】
図1は、本実施形態における実装システム100を概略的に示す図である。
図2~
図12は、実装システム100の動作を説明するための図である。なお、
図2~
図12のそれぞれは、
図1に示す実装システム100の一部の構成を省略して示している。
【0029】
本実施形態における実装システム100は、
図1に示すようにチップ部品C(
図2を参照)を保持するスタンプ1と、チップ部品Cをピックアップしてスタンプ1に保持させるピックアップユニット2と、チップ部品Cを保持したスタンプ1を保持して基板Wにチップ部品Cを実装する実装ユニット3と、ピックアップユニット2と実装ユニット3との間でスタンプ1の受け渡しを行い、スタンプ1を一時待機させる中継部4と、チップ部品Cの実装後にスタンプ1をクリーニングするクリーニングユニット5と、を有している。
【0030】
本実施形態における実装システム100は、スタンプ1に所定の複数のチップ部品Cをピックアップして保持させ、スタンプ1に保持させた複数のチップ部品Cを一括して基板Wに実装する。
【0031】
本実施形態におけるチップ部品Cは、たとえば、マイクロLEDと呼ばれる50μm×50μm以下のLEDチップのことである。なお、チップ部品Cは、LEDチップに限られず、用途によっては半導体チップやICチップを用いてもよい。
【0032】
また、チップ部品Cには、はんだ材による突起電極である図示しないバンプが形成されている。そして、チップ部品Cは、ガラスなどの材料により形成された転写基板Kに複数個(数百個~数万個)が配列されている。これら転写基板Kに配置されるチップ部品Cは、バンプが上方に露出した状態で配置されてもよいし、バンプが転写基板Kに接触するよう配置されてもよい。本実施形態におけるチップ部品Cは、バンプが転写基板Kに接触するよう配置される。
【0033】
本実施形態における基板Wは、回路パターンが形成されたものである。基板Wのチップ部品Cを実装すべき所定位置には、アライメントマークが付されている。この基板Wに付されたアライメントマークを目印として複数のチップ部品Cが後述する実装ユニット3により実装される。
【0034】
本実施形態におけるスタンプ1は、チップ部品Cを保持するためのものである。スタンプ1は、チップ部品Cを保持するチップ部品保持面11を有しており、このチップ部品保持面11にチップ部品Cを粘着保持させるための図示しない粘着材が設けられている。スタンプ1は、基板Wへのチップ部品Cの実装時に後述する実装ユニット3により加熱される場合があるため、耐熱性や電熱性に強い金属やセラミックスなどの材料により形成されるとよい。また、スタンプ1は、チップ部品Cのバンプがない面からチップ部品Cを粘着保持する。すなわち、スタンプ1に粘着保持されたチップ部品Cは、バンプが露出した状態になる。以下の説明では、スタンプ1のチップ部品保持面11と反対の面をスタンプ1の裏面と呼ぶ。
【0035】
なお、粘着材の粘着力は、後述する実装ユニット3による基板Wへのチップ部品Cの実装後に基板Wと反対の方向にスタンプ1を引っ張ることで粘着材からチップ部品Cが容易に剥離できる程度の粘着力である。
【0036】
本実施形態におけるピックアップユニット2は、前述した転写基板Kに配列されたチップ部品Cから所定のチップ部品Cを一括してピックアップするためのものである。このピックアップユニット2は、
図1に示すように転写基板Kを保持するピックアップ用ステージ21と、ピックアップ用ステージ21を移動させるスライド機構25と、スタンプ1を保持し、スタンプ1を保持した状態で所定のチップ部品Cをピックアップしてスタンプ1に粘着保持させるピックアップヘッド22と、ピックアップヘッド22を昇降させるピックアップヘッド昇降手段24を有している。
【0037】
ピックアップ用ステージ21は、転写基板Kを水平に支持するための台であり、スライド機構25上に設けられる。このピックアップ用ステージ21に図示しない供給ロボットによりチップ部品Cが配列された転写基板Kが順次供給される。
【0038】
スライド機構25は、ピックアップ用ステージ21を前後左右(
図1のXY軸方向)に水平移動させるためのものである。このスライド機構25は、
図1に示すようにピックアップ用ステージ21をX軸方向に移動させるX軸スライダー25aと、ピックアップ用ステージ21をY軸方向に移動させるY軸スライダー25bと、を有している。
【0039】
これらX軸スライダー25aおよびY軸スライダー25bのそれぞれは、制御部により駆動を制御され、ピックアップ用ステージ21を前後左右に移動させる。すなわち、ピックアップ用ステージ21に支持される転写基板Kの位置が調節可能になっている。なお、制御部は、たとえば、汎用のコンピュータ装置によって構成されている(以下、同様に扱う)。
【0040】
ピックアップヘッド22は、
図1に示すようにスタンプ1の裏面からスタンプ1を水平に保持する下向きの平坦面であるスタンプ保持面23と、スタンプ保持面23にスタンプ1を吸引して吸着保持させる図示しない吸引手段と、を有している。
【0041】
吸引手段は、スタンプ保持面23に設けられる複数の開口と、これら開口と接続される真空ポンプとを有している。この吸引手段は、真空ポンプにより開口を開口の外部よりも負圧にすることで、スタンプ1を吸引する。これにより、ピックアップヘッド22は、スタンプ1を吸着保持する。
【0042】
また、チップ部品Cのピックアップ後にチップ部品Cを保持するスタンプ1を後述する中継部4に渡す際には、吸引手段によるスタンプ1の吸引を停止する。これにより、ピックアップヘッド22によるスタンプ1の吸着保持が解除され、ピックアップヘッド22とスタンプ1が分離する。この吸引手段によるスタンプ1の吸引と吸引を停止する制御は、図示しない制御部により行われる。
【0043】
ピックアップヘッド昇降手段24は、ピックアップヘッド22を昇降(
図1のZ軸方向)させるためのアクチュエータである。このピックアップヘッド昇降手段24は、前述した制御部により駆動を制御され、ピックアップヘッド22を昇降させる。
【0044】
これら構成によりピックアップユニット2は、転写基板Kに配列された所定のチップ部品Cをピックアップできるよう、スライド機構25によりピックアップ用ステージ21を移動させて転写基板Kの位置を調節し、ピックアップヘッド昇降手段24によりピックアップヘッド22を昇降させることで、所定のチップ部品Cを一括してピックアップヘッド22が保持するスタンプ1に保持させる。
【0045】
また、ピックアップユニット2は、ピックアップヘッド22がピックアップ用ステージ21よりも上方に位置する場合においてピックアップ用ステージ21とピックアップヘッド22の間の高さで水平移動可能な図示しない2視野カメラを有している。この2視野カメラは、ピックアップヘッド22によりチップ部品Cをピックアップする前に、転写基板Kに配列されたチップ部品Cとピックアップヘッド22に保持されたスタンプ1のチップ部品保持面11を撮像し、画像データを前述した制御部に送信する。
【0046】
この画像データをもとに制御部は、スライド機構25を駆動制御して所定のチップ部品Cをピックアップできるよう転写基板Kの位置を補正する。そして、ピックアップヘッド昇降手段24が、ピックアップヘッド22を下降させてチップ部品Cのピックアップを行う。このとき2視野カメラは、下降するピックアップヘッド22に接触しないよう移動する。
【0047】
そして、ピックアップヘッド22により所定のチップ部品Cをスタンプ1に粘着保持させることによりチップ部品Cをピックアップして、チップ部品Cを保持するスタンプ1を中継部4に渡す。
【0048】
本実施形態における実装ユニット3は、チップ部品Cを保持したスタンプ1を中継部4から受け取り基板Wにスタンプ1が保持するチップ部品Cを実装するためのものである。この実装ユニット3は、
図1に示すように基板Wを支持する実装用ステージ31と、実装用ステージ31を移動させるスライド機構35と、スタンプ1を保持し、スタンプ1が保持するチップ部品Cを基板Wに実装する実装ヘッド32と、実装ヘッド32を昇降させる実装ヘッド昇降手段34と、を有している。
【0049】
実装用ステージ31は、基板Wを水平に支持するための台であり、スライド機構35上に設けられる。実装用ステージ31に図示しない供給ロボットにより基板Wが順次供給される。
【0050】
スライド機構35は、実装用ステージ31を前後左右(
図1のXY軸方向)に水平移動させるためのものである。このスライド機構35は、
図1に示すように実装用ステージ31をX軸方向に移動させるX軸スライダー35aと、実装用ステージ31をY軸方向に移動させるY軸スライダー35bと、を有している。
【0051】
これらX軸スライダー35aおよびY軸スライダー35bのそれぞれは、制御部により駆動を制御され、実装用ステージ31を前後左右に移動させる。すなわち、実装用ステージ31に支持される基板Wの位置が調節可能になっている。
【0052】
実装ヘッド32は、スタンプ1の裏面からスタンプ1を水平に保持する下向きの平坦面であるスタンプ保持面33と、スタンプ保持面33にスタンプ1を吸引して吸着保持させる図示しない吸引手段と、を有している。
【0053】
吸引手段は、前述したピックアップヘッド22が有する吸引手段と同様の構成をしており、スタンプ保持面33に設けられた開口からスタンプ1を吸引する。これにより、実装ヘッド32は、スタンプ1を吸着保持する。また、チップ部品Cの実装後にスタンプ1を中継部4に渡す際には、吸引手段によるスタンプ1の吸引を停止する。これにより、実装ヘッド32によるスタンプ1の吸着保持が解除され、実装ヘッド32とスタンプ1が分離する。
【0054】
実装ヘッド昇降手段34は、実装ヘッド32を昇降させるためのアクチュエータである。この実装ヘッド昇降手段34は、前述した制御部により駆動を制御され、実装ヘッド32を昇降させる。
【0055】
これら構成により実装ユニット3は、基板Wの所定位置にチップ部品Cを実装できるよう、スライド機構35により実装用ステージ31を移動させて基板Wの位置を調節し、実装ヘッド昇降手段34により実装ヘッド32を昇降させ、基板Wの所定位置にチップ部品Cを押圧することで、基板Wにスタンプ1が保持するチップ部品Cを一括して実装する。
【0056】
なお、実装ユニット3は、チップ部品Cを基板Wに実装する際にチップ部品Cを加熱する図示しない加熱機構を有していてもよい。加熱機構は、実装ヘッド32の内部または/および実装用ステージ31の外部に設けられる。この加熱機構は、たとえば、セラミックヒーターであり、実装ヘッド32により基板Wに押圧されたチップ部品Cを加熱し、バンプを溶かすことでチップ部品Cと基板Wを通電可能に溶着させる。
【0057】
また、実装ユニット3は、実装ヘッド32が実装用ステージ31の上方に位置する場合において実装用ステージ31と実装ヘッド32の間の高さで水平移動可能な図示しない2視野カメラが設けられている。この2視野カメラは、実装ヘッド42によりチップ部品Cを実装する前に、基板Wに付されたアライメントマークと実装ヘッド42に保持されたスタンプ1が保持するチップ部品Cを撮像し、画像データを前述した制御部に送信する。
【0058】
この画像データをもとに制御部は、スライド機構35を駆動制御し、基板Wの所定位置にチップ部品Cを実装できるよう基板Wの位置を補正する。そして、実装ヘッド昇降手段34が、実装ヘッド32を下降させて基板Wの所定位置にチップ部品Cを実装する。このとき2視野カメラは、下降する実装ヘッド42に接触しないよう移動する。
【0059】
そして、実装ヘッド32により基板Wにチップ部品Cを実装後のスタンプ1を中継部4に渡す。
【0060】
本実施形態における中継部4は、ピックアップユニット2と実装ユニット3との間でスタンプ1の受け渡しを行い、スタンプ1を一時待機させるためのものである。中継部4は、
図1に示すように中継部4aと、中継部4bと、中継部4aと中継部4bとの間でスタンプ1の受け渡しを行う移送ロボット6(
図2を参照)と、を有している。この中継部4は、
図1に示すようにピックアップユニット2と実装ユニット3の間に設けられ、中継部4aが中継部4bよりもピックアップユニット2寄りに配置され、中継部4bが中継部4aよりも実装ユニット3寄りに配置されている。
【0061】
中継部4aは、ピックアップユニット2との間でスタンプ1の受け渡しを行い、複数のスタンプ1を同時に保持可能な第1のテーブル41と、第1のテーブル41を移動させる第1の移送ユニット43と、を有している。また、中継部4bは、実装ユニット3との間でスタンプ1の受け渡しを行い、複数のスタンプ1を同時に保持可能な第2のテーブル45と、第2のテーブル45を移動させる第2の移送ユニット47と、を有している。
【0062】
第1のテーブル41は、ピックアップユニット2から受け取ったスタンプ1を水平に保持して待機させるものである。この第1のテーブル41には、
図1に示すように複数のスタンプ1を保持する場所として複数の待機エリア42が設けられている。この待機エリア42には、ピックアップユニット2によりチップ部品Cを保持するスタンプ1と後述する実装ユニット3によりチップ部品Cが実装された後のスタンプ1が待機させられる。なお、スタンプ1は、チップ部品保持面11が下向きになるよう待機エリア42に置かれる。すなわち、チップ部品Cが第1のテーブル41に載置される。
【0063】
第2のテーブル45は、実装ユニット3から受け取ったスタンプ1を水平に保持して待機させるためのものである。この第2のテーブル45には、
図1に示すように複数のスタンプ1を保持する場所として複数の待機エリア46が設けられている。この待機エリア46には、実装ユニット3によりチップ部品Cが実装された後のスタンプ1とピックアップユニット2によりチップ部品Cを保持するスタンプ1が待機させられる。なお、スタンプ1は、チップ部品保持面11が下向きになるよう待機エリア46に置かれる。すなわち、チップ部品Cが第2のテーブル45に載置される。
【0064】
これら第1のテーブル41と第2のテーブル45との間でのスタンプ1の受け渡しは、後述する移送ロボット6により行われる。
【0065】
第1の移送ユニット43は、第1のテーブル41を移動させるためのものであり、
図1に示すようにピックアップユニット2から中継部4bに向かう方向(本実施形態では、X軸方向)に延びるよう形成されたスライド機構である第1のスタンプスライダー44を有している。この第1のスタンプスライダー44は、図示しないモータを有し、前述した制御部によりモータの駆動を制御することで、第1のテーブル41をピックアップユニット2に向かう方向と中継部4bに向かう方向に移動させる。
【0066】
なお、第1のスタンプスライダー44は、ピックアップヘッド22と第1のテーブル41との間でスタンプ1を受け渡すことが可能な位置まで延びている。
【0067】
そして、第1の移送ユニット43は、ピックアップユニット2と第1のテーブル41との間でスタンプ1の受け渡しを行う場合、待機エリア42上にピックアップヘッド22が位置するよう第1のスタンプスライダー44により第1のテーブル41を移動させる。
【0068】
第2の移送ユニット47は、第2のテーブル45を移動させるためのものであり、
図1に示すよう中継部4aから実装ユニット3に向かう方向(本実施形態では、X軸方向)に延びるよう形成されたスライド機構である第2のスタンプスライダー48を有している。この第2のスタンプスライダー48は、図示しないモータを有し、前述した制御部によりモータの駆動を制御することで、第2のテーブル45を実装ユニット3に向かう方向と中継部4aに向かう方向に移動させる。
【0069】
なお、第2のスタンプスライダー48は、実装ヘッド32と第2のテーブル45との間でスタンプ1を受け渡すことが可能な位置まで延びている。
【0070】
そして、第2の移送ユニット47は、実装ユニット3と第2のテーブル45との間でスタンプ1の受け渡しを行う場合、待機エリア46上に実装ヘッド32が位置するよう第2のスタンプスライダー48により第2のテーブル45を移動させる。
【0071】
移送ロボット6は、スタンプ1を保持する機能と、スタンプ1を前後左右(
図1のXY軸方向)に移動および昇降(
図1のZ軸方向)させる機構と、を有している。
【0072】
この移送ロボット6のスタンプ1を保持する機能は、ピックアップヘッド22および実装ヘッド32の吸引手段と同様の構成により移送ロボット6に設けられた開口からスタンプ1の裏面を吸引してスタンプ1を吸着保持するものであってもよい。また、移送ロボット6のスタンプ1を保持する機能は、ピックアップヘッド22および実装ヘッド42と同様のスタンプ1を保持する機能ではなく、スタンプ1を挟持するようなものであってもよい。これにより、移送ロボット6は、第1のテーブル41と第2のテーブル45で待機するスタンプ1を移送する。
【0073】
そして、第1の移送ユニット43と第2の移送ユニット47は、移送ロボット6により第1のテーブル41と第2のテーブル45との間でスタンプ1を受け渡す場合、第1のスタンプスライダー44と第2のスタンプスライダー48により第1のテーブル41と第2のテーブル45を互いに接近させる。
【0074】
これら構成により、中継部4を介してピックアップユニット2と実装ユニット3との間でスタンプ1の受け渡しが行われる。すなわち、ピックアップユニット2からチップ部品Cを保持するスタンプ1が中継部4を介して実装ユニット3に渡され、実装ユニット3によりチップ部品Cが実装された後のスタンプ1が中継部4を介してピックアップユニット2に渡される。そして、ピックアップユニット2は、受け取ったスタンプ1に再度チップ部品Cを保持させる。
【0075】
本実施形態におけるクリーニングユニット5は、実装ユニット3によりチップ部品Cを実装した後のスタンプ1のチップ部品保持面11にチップ部品Cが残存している場合にスタンプ1からチップ部品Cを除去するためのものである。クリーニングユニット5は、
図1に示すようにチップ部品Cを粘着保持する粘着シート51と、粘着シート51を巻き出す巻出ロール52と、巻出ロール52から巻き出された粘着シート51を巻き取る巻取ロール53と、巻出ロール52から巻取ロール53まで粘着シート51を搬送する搬送ロール54と、粘着シート51にチップ部品Cを粘着保持させる際に粘着シート51を保持する除去補助部55と、を有している。このクリーニングユニット5が有する各々のロールは、円柱状に形成され、この円柱の中心軸を回転軸として回転する。
【0076】
粘着シート51は、片面に粘着力のある帯状のシートである。この粘着シート51の粘着力は、スタンプ1のチップ部品保持面11に設けられた粘着材の粘着力よりも強くなっている。そして、粘着シート51は、移送ロボット6によりスタンプ1のチップ部品保持面11が押し付けられることで、スタンプ1が保持するチップ部品Cを粘着保持する。ここで、移送ロボット6が上昇することで、スタンプ1が上方に引っ張られて、粘着材からチップ部品Cが剥離する。すなわち、チップ部品Cがスタンプ1から除去される。
【0077】
巻出ロール52は、前述した制御部により回転を駆動制御され、所定の速度で粘着シート51を巻き出す。また、巻取ロール53は、巻出ロール52と同様に制御部により回転を駆動制御され、粘着シート51に所定の張力を付与しながら粘着シート51を巻き取る。
【0078】
搬送ロール54は、
図1に示すように複数設けられ、粘着シート51が後述する除去補助部55を経由するよう配置されている。この複数の搬送ロール54のうち一部またはすべての搬送ロール54は、巻出ロール52および巻取ロール53と同様に回転を駆動制御され、粘着シート51に所定の張力を付与しながら粘着シート51を搬送する。なお、各々のロールによる粘着シート51の搬送は、少なくともスタンプ1を粘着シート51に押し付ける際には停止する。
【0079】
除去補助部55は、移送ロボット6によりスタンプ1が粘着シート51に押し付けられる際に、スタンプ1と粘着シート51を移送ロボット6とで挟み込むように配置された台である。この除去補助部55は、粘着シート51を吸着して保持する。たとえば、除去補助部55の表面に複数の開口を設け、これら開口から粘着シート51を吸引して吸着保持する。また、除去補助部55が粘着シート51を吸着する吸着力は、粘着シート51に押し当てられたスタンプ1を移送ロボット6により上方に引っ張った際に、除去補助部55から粘着シート51が離れない程度の吸着力であるとよい。これにより、スタンプ1からチップ部品Cを除去しやすくなる。
【0080】
これら構成により、クリーニングユニット5は、実装ユニット3によりチップ部品Cが実装された後のスタンプ1にチップ部品Cが残存する場合にスタンプ1から残存するチップ部品Cを除去する。
【0081】
そして、チップ部品Cが除去されたスタンプ1は、移送ロボット6により中継部4に移送され、ピックアップユニット2により再びチップ部品Cを保持させられる。
【0082】
また、実装システム100は、スタンプ1のスタンプ保持面11を検査する図示しない検査ユニットを備えている。この検査ユニットは、カメラを有している。このカメラは、第1のテーブル41と第2のテーブル45の間にチップ部品保持面11を下方から撮像できるよう配置され、少なくとも実装ユニット3によりチップ部品Cを実装した後に移送ロボット6により保持されているスタンプ1のチップ部品保持面11を撮像し、画像データを前述した制御部に送信する。この画像データから制御部が、スタンプ保持面11にチップ部品Cが残存していることを認識した場合、制御部は、移送ロボット6を駆動制御してスタンプ1をクリーニングユニット5に移送する。そして、クリーニングユニット5によりスタンプ1からチップ部品Cが除去される。
【0083】
一方、制御部が、スタンプ保持面11にチップ部品Cが残存していないことを認識した場合、移送ロボット6によりスタンプ1を第1のテーブル41に移送する。
【0084】
また、検査ユニットは、ピックアップユニット2によりチップ部品Cを保持するスタンプ1のスタンプ保持面11を検査してもよい。この場合、ピックアップユニット2によりチップ部品Cを保持させられた後に移送ロボット6により保持されているスタンプ1のチップ部品保持面11を撮像し、画像データを制御部に送信する。この画像データから制御部が、チップ部品保持面11の所定位置にチップ部品Cが保持されているか検査する。すなわち、チップ部品Cの不足と位置ずれを検査する。この検査結果により、制御部が、チップ部品Cの不足と位置ずれを認識した場合、ピックアップユニット2によるチップ部品Cのピックアップをやり直す。なお、ピックアップユニット2によるチップ部品Cのピックアップのやり直しは、クリーニングユニット5によりスタンプ1からチップ部品Cを除去してから行ってもよい。
【0085】
また、検査ユニットは、クリーニングユニット5によりチップ部品Cが除去された後のスタンプ1のチップ部品保持面11の検査をしてもよい。この場合、クリーニングユニット5によりチップ部品Cが除去された後に移送ロボット6により保持されているスタンプ1のチップ部品保持面11を撮像し、画像データを制御部に送信する。この画像データから制御部が、チップ部品保持面11にチップ部品Cが残存しているか検査する。すなわち、クリーニングユニット5によりチップ部品保持面11からすべてのチップ部品Cを除去できているかを検査する。この検査結果により、制御部が、チップ部品保持面11にチップ部品Cが残存していることを認識した場合、再度クリーニングユニット5によるチップ部品Cの除去をやり直す。
【0086】
以下に本実施形態における実装システム100の動作について
図2~
図17を用いて具体的に説明する。
図2~
図4は、本実施形態における実装システム100によるピックアップ処理を説明するための図である。
図5~
図8は、本実施形態における実装システム100による移送処理を説明するための図である。
図9~
図13は、本実施形態における実装システム100による実装処理を説明するための図である。
図14~
図16は、本実施形態における実装システム100によるクリーニング処理を含む移送処理を説明するための図である。
図17は、本実施形態における実装システム100による全体の処理を概略的に示す図である。
【0087】
以下、
図17に示すピックアップ処理について説明する。なお、以下の説明では、ピックアップヘッド22がチップ部品Cを保持していないスタンプ1aを保持し、ピックアップ用ステージ21上に支持される転写基板K上に配置された状態から説明を始める。
【0088】
まず、
図2(a)に示すようにピックアップ用ステージ21上に支持された転写基板Kの位置をスライド機構25が補正する。具体的には、2視野カメラが、転写基板Kに配列されたチップ部品Cとピックアップヘッド22に保持されたスタンプ1aのチップ部品保持面11を撮像し、この撮像結果に基づいてX軸スライダー25aおよびY軸スライダー25bによりピックアップ用ステージ21を移動させ、転写基板Kの位置を補正する。そして、撮像を終えた2視野カメラは、ピックアップヘッド22によるチップ部品Cのピックアップ時にピックアップヘッド22に接触しないように移動する。
【0089】
次に、ピックアップヘッド昇降手段24が、
図2(b)に示すようにピックアップヘッド22を下降させ、
図2(b)および
図2(c)に示すようにチップ部品保持面11と転写基板K上のチップ部品Cの裏面を当接させる。これにより、スタンプ1aは、チップ部品保持面11に設けられた粘着材により所定のチップ部品Cを一括して粘着保持する。そして、ピックアップヘッド昇降手段24が、
図3(a)に示すようにピックアップヘッド22を上昇させる。
【0090】
この間、後述する移送処理により第1のテーブル41と第2のテーブル45の間でスタンプ1の受け渡しを行う。本実施形態では、移送ロボット6が、既にピックアップ処理を終えて待機エリア42bで待機するスタンプ1dを待機エリア46に移送し、既に後述する実装処理を終えて待機エリア46で待機するスタンプ1bを待機エリア42bに移送する。そして、
図3(a)に示すように第1のスタンプスライダー44が、待機エリア42a上にピックアップヘッド22が保持するスタンプ1aが位置するよう第1のテーブル41移動させる。なお、
図2(a)~
図3(a)に示す図では、移送処理の詳細は後述するという都合上、移送処理における各ユニットの動作を一部省略して示している。
【0091】
次に、ピックアップヘッド昇降手段24が、
図3(b)に示すようにピックアップヘッド22を下降させ、スタンプ1aが保持するチップ部品Cのバンプを待機エリア42aに当接させる。ここで、ピックアップヘッド22は、吸引手段によるスタンプ1aの吸引を停止する。これにより、ピックアップヘッド22によるスタンプ1aの吸着保持が解除され、ピックアップヘッド22とスタンプ1aが分離する。そして、ピックアップヘッド昇降手段24が、
図3(c)に示すようにピックアップヘッド22を上昇させる。
【0092】
次に、第1のスタンプスライダー44が、
図4(a)に示すように待機エリア42bで待機するスタンプ1b上にピックアップヘッド22が位置するよう第1のテーブル41を移動させる。そして、ピックアップヘッド昇降手段24が、
図4(b)に示すようにピックアップヘッド22を下降させてスタンプ保持面23をスタンプ1bの裏面を当接させる。ここで、ピックアップヘッド22は、吸引手段によりスタンプ1bを吸引して吸着保持する。
【0093】
次に、ピックアップヘッド昇降手段24が、
図4(c)に示すようにピックアップヘッド22を上昇させる。これで、ピックアップ処理が完了する。
【0094】
そして、ピックアップユニット2はチップ部品Cのピックアップを再度行う。このように、ピックアップユニット2は、交換可能なスタンプ1が第1のテーブル41にある限り、他のユニットによる処理の完了を待たずにピックアップ処理を続けて行う。
【0095】
以下、
図17に示す第1のテーブル41の待機エリア42と第2のテーブル45の待機エリア46との間でスタンプ1aを移送する移送処理について説明する。なお、
図17では、移送処理と検査とクリーニング処理を一つの枠組みの中で示しているが、これは検査とクリーニング処理が、移送処理中に行われるためである。すなわち、移送ロボット6によりスタンプ1が待機エリア42と待機エリア46の間で移送されている途中で、検査とクリーニング処理が行われる。
【0096】
まず、
図5(a)に示すように第1のスタンプスライダー44が、第2のテーブル45に接近するよう第1のテーブル41を移動させ、第2のテーブル45に待機エリア42aで待機するスタンプ1a接近させる。そして、
図5(a)に示すように第2のスタンプスライダー48が、第1のテーブル41に接近するよう第2のテーブル45を移動させ、待機エリア42aで待機するスタンプ1aに第2のテーブル45を接近させる。
【0097】
なお、
図5(a)に示すように第2のテーブル45の待機エリア46bで待機するスタンプ1cは、ピックアップユニット2によりピックアップ処理を行っている間に、実装ユニット3による実装処理が行われた後のスタンプ1である。
【0098】
次に、移送ロボット6が、
図5(a)に示すように待機エリア42a上で待機するスタンプ1a上に移動する。そして、移送ロボット6は、
図5(b)に示すように下降してスタンプ1aの裏面に当接し、スタンプ1aを吸引して吸着保持する。そして、移送ロボット6は、
図5(c)に示すようにスタンプ1aを保持した状態で上昇する。
【0099】
次に、移送ロボット6は、
図6(a)に示すように待機エリア46a上に移動する。そして、移送ロボット6は、
図6(b)に示すように下降し、スタンプ1aが保持するチップ部品Cのバンプを待機エリア46aに当接させる。ここで、移送ロボット6によるスタンプ1aの吸引を停止する。これにより、移送ロボット6とスタンプ1aが分離する。そして、移送ロボット6は、
図6(c)に示すように上昇する。これで、待機エリア42から待機エリア46にスタンプ1aを移送する移送処理が完了する。
【0100】
この移送処理において移送ロボット6は、待機エリア42から待機エリア46へスタンプ1aを移送するまでの間に、検査ユニットのカメラの撮像範囲内にチップ保持面11が入るようにスタンプ1aを移送する。そして、カメラがチップ部品保持面11を撮像する。
【0101】
この撮像による画像データから制御部が、チップ部品保持面11の所定位置にチップ部品Cが保持されているか検査する。この結果、制御部が、チップ保持面11の所定位置にチップ部品Cが保持されていないことを認識した場合、移送ロボット6により待機エリア42にスタンプ1aを戻す。このとき、移送ロボット6によりクリーニングユニット5にスタンプ1aを移送し、クリーニングユニット5によりスタンプ1aからチップ部品Cを除去した後に、移送ロボット6により待機エリア42にスタンプ1aを戻してもよい。そして、ピックアップユニット2は、ピックアップヘッド22により待機エリア42からスタンプ1aを受け取ってチップ部品Cのピックアップをやり直す。
【0102】
また、制御部が、チップ部品保持面11の所定位置にチップ部品Cが保持されていることを認識した場合、移送ロボット6により待機エリア46にスタンプ1aを移送する。
【0103】
次に、移送ロボット6が、
図7(a)に示すように待機エリア46bで待機するスタンプ1c上に移動する。そして、移送ロボット6は、
図7(b)に示すように下降してスタンプ1cの裏面に当接し、スタンプ1cを吸引して吸着保持する。そして、移送ロボット6は、
図7(c)に示すようにスタンプ1cを保持した状態で上昇する。
【0104】
次に、移送ロボット6は、
図8(a)に示すように待機エリア42b上に移動する。そして、移送ロボット6は、
図8(b)に示すように下降し、スタンプ1cのチップ部品保持面11を待機エリア42bに当接させる。ここで、移送ロボット6によるスタンプ1cの吸引を停止する。これにより、移送ロボット6とスタンプ1cが分離する。そして、移送ロボット6は、
図8(c)に示すように上昇する。これで、待機エリア46から待機エリア42にスタンプ1cを移送する移送処理が完了する。
【0105】
この移送処理において移送ロボット6が待機エリア46から待機エリア42へスタンプ1cを移送するまでの間に、検査ユニットによるチップ部品保持面11の検査と、この検査結果に応じてクリーニングユニット5によるクリーニング処理を行うが、詳細は後述する。
【0106】
以下、
図17に示す実装処理について説明する。なお、以下の説明では、実装ヘッド32が既に実装を終えたスタンプ1dを保持し、実装用ステージ31上に支持される基板W上に配置された状態から説明を始める。
【0107】
まず、第2のスタンプスライダー48が、
図9(a)に示すように待機エリア46b上に実装ヘッド32に保持され、すでに実装を終えたスタンプ1dが位置するよう第2のテーブル45を移動させる。そして、実装ヘッド昇降手段34が、
図9(b)に示すように実装ヘッド32を下降させてスタンプ1dのチップ部品保持面11を待機エリア46bに当接させる。ここで、実装ヘッド32は、吸引手段によるスタンプ1dの吸引を停止する。これにより、実装ヘッド32によるスタンプ1dの吸着保持が解除され、実装ヘッド32とスタンプ1dが分離する。そして、実装ヘッド昇降手段34が、9(c)に示すように実装ヘッド32を上昇させる。
【0108】
次に、第2のスタンプスライダー48が、
図10(a)に示すように待機エリア46aで待機するスタンプ1a上に実装ヘッド32が位置するよう第2のテーブル45を移動させる。そして、実装ヘッド昇降手段34が、
図10(b)に示すように実装ヘッド32を下降させ、スタンプ保持面33とスタンプ1aの裏面を当接させる。このとき、実装ヘッド32は、吸引手段によりスタンプ1aを吸引して吸着保持する。そして、実装ヘッド昇降手段34が、
図10(c)に示すようにスタンプ1aを保持した状態で実装ヘッド32を上昇させる。
【0109】
次に、第2のスタンプスライダー48が、
図11(a)に示すように第1のテーブル41に接近するよう第2のテーブル45を移動させる。そして、スライド機構35が、
図11(b)に示すように基板Wの位置を補正する。具体的には、2視野カメラが、基板Wに付されたアライメントマークと実装ヘッド32が保持するスタンプ1aに保持されるチップ部品Cを撮像し、この撮像結果に基づいてX軸スライダー35aおよびY軸スライダー35bにより
図11(b)に示すように実装用ステージ31を移動させ、基板Wの位置を補正する。そして、撮像を終えた2視野カメラは、実装ヘッド32によるチップ部品Cの実装時に実装ヘッド32に接触しないように移動する。
【0110】
次に、実装ヘッド昇降手段34が、
図11(c)に示すように実装ヘッド32を下降させ、
図11(c)~
図13(a)に示すように実装ヘッド32が保持するスタンプ1aに保持されるチップ部品Cのバンプを基板Wに当接させて押圧する。ここで、加熱機構によりチップ部品Cを加熱し、バンプを溶かすことでチップ部品Cと基板Wを溶着させてもよい。
【0111】
この実装ヘッド32が待機エリア46aからスタンプ1aを受け取ってからチップ部品Cを基板Wに押圧して、チップ部品Cが基板Wに実装されるまでの間に、移送処理により
図11(b)~
図13(a)に示すように第1のテーブル41と第2のテーブル45との間でスタンプ1の受け渡しを行う。本実施形態では、移送ロボット6が、既にピックアップ処理を終えて待機エリア42で待機するスタンプ1bを待機エリア46aに移送し、既に実装処理を終えて待機エリア46bで待機するスタンプ1dを待機エリア42に移送する。
【0112】
次に、実装ヘッド昇降手段34が、
図13(b)に示すように実装ヘッド32を上昇させる。これにより、チップ部品Cが、チップ部品保持面11に設けられた粘着剤から剥離される。すなわち、スタンプ1aとチップ部品Cが分離する。これで、実装処理が完了する。
【0113】
そして、実装ユニット3は、実装ヘッド32が保持するスタンプ1aと待機エリア46aで待機するスタンプ1bを交換してチップ部品Cの実装を再度行う。このように、実装ユニット3は、交換可能なスタンプ1が第2のテーブル45にある限り、他のユニットによる処理の完了を待たずに実装処理を続けて行う。
【0114】
以下、
図17に示す第2のテーブル45の待機エリア46から第1のテーブル41の待機エリア42へスタンプ1aを移送する移送処理について説明する。なお、以下の説明では、すでに実装を終えたスタンプ1aが待機エリア46bで待機し、移送処理により待機エリア42からチップ部品Cを保持するスタンプ1cを受け取って待機エリア46aで待機させた状態から説明を始める。
【0115】
まず、移送ロボット6が、
図14(a)に示すように待機エリア46bで待機するスタンプ1a上に移動する。そして、移送ロボット6は、
図14(b)に示すように下降してスタンプ1aの裏面に当接し、スタンプ1aを吸引して吸着保持する。そして、移送ロボット6は、
図14(c)に示すようにスタンプ1aを保持した状態で上昇する。
【0116】
次に、移送ロボット6は、チップ部品保持面11が検査ユニットのカメラの撮像範囲内に入るようにスタンプ1aを移送する。そして、カメラが、チップ部品保持面11を撮像する。この撮像による画像データから制御部が、チップ部品保持面11にチップ部品Cが残存していないと認識した場合、移送ロボット6により待機エリア42にスタンプ1aを移送する。また、制御部が、チップ部品保持面11にチップ部品Cが残存していることを認識した場合、移送ロボット6により
図15(a)に示すようにクリーニングユニット5の除去補助部55上にスタンプ1aを移送する。
【0117】
そして、移送ロボット6は、
図15(b)に示すように下降し、スタンプ1aを除去補助部55が吸着保持する粘着シート51に押し付ける。これにより、チップ部品Cが粘着シート51に粘着保持される。そして、移送ロボット6が、
図15(c)に示すように上昇することで、チップ部品Cがチップ部品保持面11に設けられた粘着剤から剥離される。すなわち、チップ部品Cがスタンプ1aから除去される。
【0118】
そして、クリーニングユニット5は、
図16(a)に示すように各ロールによりチップ部品Cを粘着保持した粘着シート51を巻取ロール53に向かう方向に搬送する。このとき、除去補助部55による粘着シート51の吸着は解除する。
【0119】
次に、移送ロボット6は、チップ部品保持面11が検査ユニットのカメラの撮像範囲内に入るようにスタンプ1aを移送する。そして、カメラが、チップ部品保持面11を撮像する。この撮像による画像データから制御部が、チップ部品保持面11にチップ部品Cが残存していることを認識した場合、移送ロボット6によりクリーニングユニット5にスタンプ1aを移送して再度チップ部品Cの除去を行う。また、制御部が、チップ部品保持面11にチップ部品Cが残存していないと認識した場合、移送ロボット6により
図16(a)に示すように待機エリア42b上にスタンプ1aを移送する。
【0120】
そして、移送ロボット6は、
図16(b)に示すように下降してスタンプ1aのチップ部品保持面11を待機エリア42bに当接させる。ここで、移送ロボット6は、スタンプ1aの吸引を停止する。これにより、移送ロボット6とスタンプ1aが分離する。そして、移送ロボット6は、
図16(c)に示すように上昇する。これで、待機エリア46から待機エリア42へスタンプ1aを移送する移送処理が完了する。
【0121】
このように実装システム100は、複数のスタンプ1を待機させることが可能な中継部4を介してピックアップユニット2と実装ユニット3との間でスタンプ1の受け渡しを行うことにより、複数のスタンプ1を用いてピックアップ処理、移送処理、および実装処理を並行して行うことができるようになっている。
【0122】
このように上記実施形態における実装システム100によれば、チップ部品Cを実装するタクトタイムを従来よりも短縮することができる。具体的には、従来の実装装置では、チップ部品Cのピックアップ、移送(各種検査とクリーニングを含む)、および実装する工程を一つの実装ヘッドで行っていた。すなわち、従来の実装装置では、
図18に示すようにピックアップ処理、実装処理、および実装ヘッドのチップ部品Cを保持する面に対するピックアップ後の検査と実装後の検査とクリーニング処理とクリーニング後の検査を一つの実装ヘッドを移動させて行っており、一度実装処理を行ってから再度実装処理を行うまでに再度これらの処理を経る必要があった。
【0123】
そのため、従来の実装装置が、一度実装処理を行ってから再度実装処理を行うまでにかかるタクトタイムは、
図18に示すようにピックアップ処理にかかる時間をT
1、実装にかかる時間をT
2、検査とクリーニングを含めた移送処理にかかる時間をT
3とした場合、少なくともこれらを足し合わせたT
1+T
2+T
3になる。
【0124】
これに対して上記実施形態における実装システム100は、スタンプ1を一時待機させることが可能な中継部4を介してピックアップユニット2と実装ユニット3との間でスタンプ1の受け渡しを行うことにより、ピックアップ処理、移送処理、および実装処理のそれぞれを複数のスタンプ1を用いて並行して行うことができる。
【0125】
具体的には、上記実施形態における実装システム100では、実装システム100は、
図17に示すようにピックアップ処理、実装処理、およびスタンプ1のチップ部品保持面11に対するピックアップ後の検査と実装後の検査とクリーニング処理とクリーニング処理後の検査を各ユニット間で複数のスタンプ1を移送させて行っていることにより、各ユニットは、ピックアップ処理、移送処理、および実装処理のそれぞれの処理を並行して行うことができる。そして、ピックアップユニット2と実装ユニット3のそれぞれは、中継部4との間でスタンプ1の受け渡しを行って処理を行っているため、中継部4に交換可能なスタンプ1がある限り、他のユニットの処理の完了を待たずに処理を続けて行うことができる。
【0126】
そのため、実装システム100が実装処理を行ってから再度実装処理を行うまでにかかる時間は、
図17に示すようにピックアップ処理にかかる時間をT
1と、実装処理にかかる時間をT
2と、検査とクリーニング処理を含めた移送処理にかかる時間をT
3とした場合、各ユニットの処理にかかる時間により多少の誤差はあるが、実質的に実装処理にかかる時間であるT
2のみとなる。したがって、上記実施形態における実装システム100は、従来の実装装置よりもチップ部品Cの実装にかかるタクトタイムを格段に短縮することができる。
【0127】
また、実装システム100が、移送ロボット6を備えていることにより、中継部4が有するテーブルをピックアップユニット2との間でスタンプ1の受け渡しを行う第1のテーブル41と、実装ユニット3との間でスタンプ1の受け渡しを行う第2のテーブル46に分けることができる。そのため、第1の移送ユニット43と第2の移送ユニット47により第1のテーブル41と第2のテーブル45のそれぞれを独立して移動させることができる。これにより、ピックアップユニット2と実装ユニット3のそれぞれの動作に合わせたスタンプ1の受け渡しが可能となる。
【0128】
具体的には、たとえば、ピックアップユニット2によるチップ部品Cのピックアップと実装ユニット3による基板Wへのチップ部品Cの実装が同時に終了した場合であっても、ピックアップユニット2と第1のテーブル41との間と、実装ユニット3と第2のテーブル45との間でスタンプ1の受け渡しを同時に行うことができる。これにより、ピックアップユニット2と実装ユニット3の動作を止めることなく、チップ部品Cの実装を行うことができる。
【0129】
また、第1のテーブル41と第2のテーブル45のそれぞれが第1の移送ユニット43と第2の移送ユニット47のそれぞれにより各ユニットにスタンプ1を渡す位置と各ユニットからスタンプ1を受け取る位置に配置される。これにより、各ユニットと各テーブルとの間でスタンプ1を受け渡す際にスタンプ1を移動させる距離を減らすことができ、スタンプ1の受け渡しにかかる時間を短縮することができるため、チップ部品Cの実装にかかるタクトタイムをさらに短縮することができる。
【0130】
また、実装システム100が、クリーニングユニット5を有していることにより、実装ユニット3によるチップ部品Cの実装後にスタンプ1にチップ部品Cが残存していたとしても、スタンプ1に残存するチップ部品Cを除去することができる。これにより、ピックアップユニット2によりチップ部品Cの実装後のスタンプ1に再度チップ部品Cを保持させる際に、チップ部品Cが残存していることにより生じる可能性のあるスタンプ1にチップ部品Cを保持させるべき位置にチップ部品Cを保持させることができない等の不具合を防ぐことができる。
【0131】
また、実装システム100が、検査ユニットを有していることにより、実装ユニット3によるチップ部品Cの実装後のスタンプ1にチップ部品Cが残存しているか否かを検査することができる。そして、検査の結果、スタンプ1にチップ部品Cが残存していない場合は、移送ロボット6がクリーニングユニット5にスタンプ1を移送せずに第1のテーブル41の待機エリア42に移送するため、クリーニングユニット5にスタンプ1を移送する際にかかる時間を短縮できる。これにより、実装ユニット3によるチップ部品Cの実装後からピックアップユニット2が、再びチップ部品Cをピックアップするまでにかかる時間を短縮することができる。
【0132】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述したが、各実施形態における構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の追加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。たとえば、上記実施形態では、ピックアップヘッド22が吸引手段を有し、この吸引手段によりスタンプ1の裏面からスタンプ1を吸引することで吸着保持していたが、この構成に限らなくてもよい。たとえば、ピックアップヘッド22が、スタンプ保持面23に電圧を印加し、スタンプ保持面23を帯電させる電圧印加手段を有し、電圧印加手段によりスタンプ保持面23が帯電したことによる静電気によりスタンプ1を吸着保持する構成としてもよい。これは、実装ヘッド32も同様である。
【0133】
また、上記実施形態では、ピックアップユニット2がピックアップ用ステージ21と、ピックアップヘッド22とを有し、このピックアップヘッド22にスタンプ1を吸着保持させた状態で、ピックアップ用ステージ21上に支持された転写基板Kからチップ部品をピックアップしてスタンプ1にチップ部品を保持させる例について説明したが、これに限らない。
【0134】
たとえば、ピックアップユニット2は、スタンプ1を保持する図示しないスタンプ用ステージと、活性エネルギー線(たとえば、レーザ光)を照射する図示しない照射部とを有する構成としてもよい。このスタンプ用ステージに保持されるスタンプ1上にチップ部品Cがチップ部品Cをバンプ側から保持する転写基板を配置し、照射部により転写基板に保持されたチップ部品Cの転写基板との保持面に活性エネルギー線を照射する。これにより、転写基板から任意のチップ部品Cを剥離させてスタンプ用ステージにスタンプ1上の所定位置に落とす。これにより、チップ部品Cが、スタンプ1に設けられた接着剤により粘着保持される。この構成によれば、複数のチップ部品Cの中から選択的に任意のチップ部品Cをピックアップしてスタンプ1に保持させることができる。
【0135】
また、上記施形態では、中継部4が中継部4aと中継部4bと、を有する例について説明したが、どちらか一方を有する構成にしてもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、中継部4が、第1のテーブル41と第2のテーブル45のそれぞれを移動させる第1の移送ユニット43と第2の移送ユニット47を有している例について説明したが、有していなくてもよい。すなわち、中継部4は、第1のテーブル41と第2のテーブル45または第1のテーブル41と第2のテーブル45のどちらか一方を有していればよい。
【0137】
また、上記実施形態では、実装システム100が、移送ロボット6を1つ有している例について説明したが、複数有していてもよい。これにより、1つの移送ロボット6が、第1のテーブル41と第2のテーブル45との間でスタンプ1の受け渡しを行っている間に、他の移送ロボット6によりスタンプ1をクリーニングユニット5に移送してクリーニング処理を行ったり、検査ユニットに移送して検査を行うことができる。
【0138】
また、ピックアップユニット2は、ピックアップヘッド22を回転させる機能を有していてもよい。具体的には、ピックアップヘッド昇降手段24のアクチュエータを回転軸としてZ軸回りに回転させてもよい。これは実装ユニット3も同様である。
【0139】
また、ピックアップユニット2は、ピックアップヘッド22を前後左右(
図1のXY軸方向)に移動させる図示しないピックアップヘッド移動手段を有していてもよい。これは実装ユニット3も同様である。
【符号の説明】
【0140】
100 実装システム
1 スタンプ
11 チップ部品保持面
2 ピックアップユニット
21 ピックアップ用ステージ
22 ピックアップヘッド
23 スタンプ保持面
24 ピックアップヘッド昇降手段
25 スライド機構
25a X軸スライダー
25b Y軸スライダー
3 実装ユニット
31 実装用ステージ
32 実装ヘッド
33 スタンプ保持面
34 実装ヘッド昇降手段
35 スライド機構
35a X軸スライダー
35b Y軸スライダー
4 中継部
4a 中継部
4b 中継部
41 第1のテーブル
42 待機エリア
42a 待機エリア
42b 待機エリア
43 第1の移送ユニット
44 第1のスタンプスライダー
45 第2のテーブル
46 待機エリア
46a 待機エリア
46b 待機エリア
47 第2の移送ユニット
48 第2のスタンプスライダー
5 クリーニングユニット
51 粘着シート
52 巻出ロール
53 巻取ロール
54 搬送ロール
55 除去補助部
6 移送ロボット
C チップ部品
K 転写基板
W 基板