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特許7579316外骨格継手および外骨格継手用液圧ロック装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】外骨格継手および外骨格継手用液圧ロック装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/26 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
F15B15/26
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194403
(22)【出願日】2022-12-05
(65)【公開番号】P2023121718
(43)【公開日】2023-08-31
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】10 2022 201 764.1
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518097316
【氏名又は名称】ハーヴェー ハイドローリック エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ハート, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー, ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス, シュテフェン
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0307078(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358053(US,A1)
【文献】特開2021-006355(JP,A)
【文献】特開2003-246565(JP,A)
【文献】実公昭49-009434(JP,Y1)
【文献】実開昭59-096403(JP,U)
【文献】特表2020-533125(JP,A)
【文献】特開平10-009215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0051527(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0292369(US,A1)
【文献】特表2020-500568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/00-5/00
A61H 99/00
F15B 11/00-11/22
F15B 15/00-15/28
F15B 21/14-21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮可能な液圧シリンダ(12)とタンク(16)と切替弁(20)とを備えた外骨格継手(50)の為の液圧ロック装置(10)であって、
前記液圧シリンダ(12)は管路設備(14)を介して前記タンク(16)に接続され、前記切替弁(20)は前記管路設備(14)内に配置され、
前記切替弁(20)は、解除位置(FS)と遮断位置(SS)との間で切替可能であり、
前記液圧シリンダ(12)は、前記切替弁(20)の解除位置(FS)で伸縮可能であり、前記切替弁(20)は、前記液圧シリンダ(12)が前記遮断位置(SS)で後退することを防止し、
前記液圧ロック装置(10)は、ハウジング(18)を有し、前記液圧シリンダは、プランジャシリンダハウジング(22)と、前記プランジャシリンダハウジング(22)内に移動可能に配置されたプランジャピストン(24)とを有するプランジャシリンダ(12)であって、
前記プランジャシリンダ(12)は、前記ハウジング(18)内部に完全に配置され
前記液圧シリンダ(12)は、プランジャハウジング(22)と、前記プランジャハウジング(22)内に移動可能に配置されたプランジャピストン(24)として機能するピストンロッドとを有するプランジャシリンダ(12)であることを特徴とする、液圧ロック装置(10)。
【請求項2】
前記液圧ロック装置(10)は回転シャフト(34)およびレバー(40)を有し、前記ハウジング(18)には、第1の回転軸(D1)を中心として回転シャフト(34)が回転可能に装着され、前記ハウジング(18)には、第2の回転軸(D2)を中心としてプランジャシリンダハウジング(22)が回転可能に装着されており、
前記レバー(40)は、シャフト結合部分(42)とピストン結合部分(44)とを備え、前記シャフト結合部分(42)は、前記回転シャフト(34)に回転不能に接続され、前記ピストン結合部分(44)は、前記プランジャピストン(24)に回転可能に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の液圧ロック装置(10)。
【請求項3】
前記回転シャフト(34)は、第1の端部位置(EP1)と第2の端部位置(EP2)との間で回転可能であり、
前記第1の端部位置(EP1)と前記第2の端部位置(EP2)との間に死点位置が置かれ、
前記プランジャピストン(24)は、前記第1の端部位置(EP1)で伸長され、前記回転シャフト(34)の回転に伴って前記死点位置に入り、前記回転シャフト(34)の回転に伴って前記死点位置から前記第2の端部位置(EP2)に伸長することを特徴とする、請求項2に記載の液圧ロック装置(10)。
【請求項4】
前記切替弁(20)は、前記遮断位置(SS)で作用する逆止弁(28)を有し、前記逆止弁(28)は、前記タンク(16)から前記プランジャシリンダ(12)への流れ方向に開口していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の液圧ロック装置(10)。
【請求項5】
前記プランジャシリンダ(12)は、前記タンク(16)から前記プランジャシリンダ(12)への流れ方向に開口する逆止弁(28)を有していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の液圧ロック装置(10)。
【請求項6】
前記プランジャピストン(24)は、前記逆止弁(28)を備えていることを特徴とする、請求項5に記載の液圧ロック装置(10)。
【請求項7】
前記プランジャピストン(24)と前記プランジャシリンダハウジング(22)は、プランジャ室(26)を画定し、前記プランジャ室(26)は、圧力リリーフ弁(32)を介して前記タンク(16)に接続されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の液圧ロック装置(10)。
【請求項8】
前記液圧ロック装置(10)は、圧力リリーフ弁(32)を備え、
前記プランジャピストン(24)と前記プランジャシリンダハウジング(22)は、可変容積プランジャ室(26)を画定し、前記プランジャ室(26)は、前記圧力リリーフ弁(32)を介して前記タンク(16)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の液圧ロック装置(10)。
【請求項9】
前記ハウジング(18)は、前記タンク(16)を形成し、前記プランジャシリンダ(12)は、前記タンク(16)内部に配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項又は8に記載の液圧ロック装置(10)。
【請求項10】
前記ハウジング(18)は、前記タンク(16)を形成し、前記プランジャシリンダ(12)は、前記タンク(16)内部に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の液圧ロック装置(10)。
【請求項11】
請求項1~3、8、10のいずれか一項に記載の液圧ロック装置(10)を備える外骨格継手(50)。
【請求項12】
前記外骨格継手(50)は、前記ハウジング(18)に配置された第1の受け部(52)と、前記ハウジング(18)に四節リンク機構(58)を介して移動可能に装着された第2の受け部(56)とを有することを特徴とする、請求項9に記載の外骨格継手(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外骨格継手の液圧ロック装置及びかかる液圧ロック装置を有する外骨格継手に関する。
【0002】
外骨格継手は、外骨格の一部を関節式に接合するために使用される。このような外骨格は、外部支持構造として機能し、たとえば、人のエネルギー要求を低減するために、身体的ストレスを低減するために、または医学的リハビリテーション療法の一部として、人のための負荷支持装置として通常使用される。また、無重力のために使用されない筋肉群を特異的に訓練するために、宇宙滞在中の訓練装置として使用することも考えられる。
【0003】
好ましくは、外骨格は、人間の下の四肢に使用され、これらの四肢は、立脚相の間、地面に対して体重を支え、遊脚相の間、自由に移動する。換言すれば、公知の外骨格は、人間の使用者の脚部に対して外部支持構造を提供するものであり、その場合、使用者の立脚相時に、使用者が運搬すべき重量(たとえば、バックパック)が外骨格によって地面に対して支持される。遊脚相、すなわち脚部の運動中は、支持は提供されない。代わりに、自由な運動がここで提供される。
【0004】
この目的のために、使用される外骨格継手は、遊脚相中に使用者の筋力によって可能な限り少ない摩擦で移動することができ、立脚相中にロックされることが必要である。このような外骨格継手は、たとえば、外骨格膝継手であってもよい。
【0005】
液圧ロック装置は、外骨格継手を遮断するために通常使用される。これらの液圧ロック装置は、通常、伸縮可能な液圧シリンダと、タンクと、切替弁とを有している。液圧シリンダは、伸縮することによって外骨格継手の運動に追従し、液圧シリンダが液圧的に遮断されることによって外骨格継手を遮断するために設けられている。
【0006】
この目的のために、液圧シリンダは管路設備を介してタンクに接続され、切替弁は管路設備内に配置される。切替弁は、解除位置と遮断位置との間で切り替えることができる。切替弁の解除位置では、液圧シリンダは自由に移動可能である。したがって、遊脚相の間、切替弁は解除位置にあり、液圧シリンダは、内または外に移動することによって外骨格継手の回転に追従することができる。立脚相では、液圧シリンダとタンクとの接続が遮断されるように切替弁が遮断位置に切り替えられる。たとえば、立脚相又は遊脚相を検出するために、加速センサ、接触センサ又は圧力センサさえも設けることができる。
【0007】
図1は、外骨格継手に使用される公知の従来技術の液圧ロック装置100の液圧循環路図を示す。液圧ロック装置100は、差動シリンダ102として構成された液圧シリンダを備えており、液圧シリンダは、管路設備104を介してアキュムレータ106として構成されたタンクに接続されている。差動シリンダ102は、シリンダハウジング108と、シリンダハウジング108内に移動可能に配置されたピストン110とを備えている。ピストン110は、ピストン室112をロッド室114から分離する。管路設備104は、ピストン室112に接続された第1の分岐116を含む。管路設備104の第2の分岐118は、ロッド室114に接続される。第1の分岐116には、解除位置FSと遮断位置SSとを切り替え可能な切替弁120が設けられている。切替弁120に電流が供給されると、切替弁120はバネ力に抗して解除位置FSから遮断位置SSに切り替わる。さらに、液圧ロック装置100は、第1の分岐116と第2の分岐118との間の切替弁120を迂回する短絡管路122を備えている。短絡管路122には、ロッド室114からピストン室112への流れ方向に開口するバネ付勢逆止弁124が配置されている。
【0008】
切替弁120は、立脚相の遮断位置SSにあり、したがって第1の分岐116を遮断するように、制御装置(図示せず)によって作動される。この場合、作動流体をピストン室112からタンク106に移動させることができないので、ピストン110は後退に対して遮断される。逆止弁124を介して液圧流体をタンク106から吸引することができるので、ピストン110の伸長は依然として可能である。外骨格膝継手の場合、これは実質的に、外骨格によって支持された脚部をさらに伸ばすことができるが、膝の上に曲げることはできないことを意味する。したがって、外骨格膝継手の開口角は増加させることができるが、減少させることはできない。これにより、切替弁120が遮断位置SSにある場合であっても、脚部を確実に完全に伸長させることができる。
【0009】
このような液圧ロック装置を備えた外骨格継手は、たとえば、EP 2 687 339 B1から知られている。従来技術において、差動シリンダは、外骨格の上脚部および外骨格の下脚部に関節式に規則的に接続され、切替弁を介して立脚相内で遮断される。
【0010】
既知の解決策の欠点は、液圧シリンダが膝継手の背後に直接取り装着されているので、座っているときに使用者に干渉することである。従って、液圧シリンダが膝継手の側部にアレンジされるという従来技術からの解決策が知られている。しかしながら、ここでの問題は、外骨格が側面で非常に大きくなり、液圧シリンダが損傷しやすくなること、たとえば、剛体構造に引っかかるなどである。さらに、横方向にアレンジされた液圧シリンダもまた、補償されなければならない回転モーメントが導入されるという問題を提起する。横方向にアレンジされた液圧シリンダは、アームのスイング領域に配置されるので、歩くときにも邪魔になることがある。
【0011】
さらに、既知の解決策における液圧ロック装置は、比較的大きな空間を占有し、また重量もある。
【発明の概要】
【0012】
したがって、本発明の目的は、設置スペースをほとんど取らず、損傷に対して保護され、使用者をできる限り損なわず、かつ軽量化された、簡単に構成された外骨格継手用液圧ロック装置を提供することである。
【0013】
この問題は、請求項1に記載の外骨格継手用液圧ロック装置で解決される。さらに、この問題は、請求項9に記載の外骨格継手によって解決される。好ましい実施形態は、特許請求の範囲に記載されている。
【0014】
本発明による外骨格用液圧ロック装置は、特に、液圧ロック装置がハウジングを有し、液圧シリンダがプランジャシリンダハウジングとプランジャシリンダハウジング内に移動可能にアレンジされたプランジャピストンを有するプランジャシリンダであるという点で、先行技術において知られている液圧ロック装置に対して特徴付けられる。本発明によれば、プランジャシリンダはハウジングの内側に配置されている。
【0015】
プランジャシリンダは単動シリンダであり、プランジャピストンシリンダとしても知られている。プランジャシリンダには実際のピストンはないが、ピストンロッドがピストンとして機能する。遊脚相中に使用者の筋力によって引き起こされる外部リセット力のために、プランジャシリンダによるより複雑なリセットの欠点もまた無関係である。全体として、プランジャシリンダの使用は、従来使用されている差動シリンダよりも有利な機械効率をもたらす。その結果、プランジャシリンダは比較的小さい設計とすることができ、したがって重量も低減することができる。加えて、ハウジング内の配置はまた、損傷に対する保護を提供し、外骨格継手に直接対応する設備は、使用者が液圧ロック装置によって損なわれるのを防止することができる。
【0016】
好ましくは、液圧ロック装置は、回転シャフトとレバーとを有する。好ましくは、回転シャフトは、第1の回転軸を中心としてハウジングに回転可能に装着され、プランジャシリンダハウジングは、第2の回転軸を中心としてハウジングに回転可能に装着される。好ましくは、レバーは、シャフト結合部分とピストン結合部分とを有し、シャフト結合部分は、回転シャフトに回転不能に接続されている。好ましくは、ピストン結合部分は、プランジャに回転可能に接続されている。
【0017】
回転シャフトは、その回転運動をレバーを介してプランジャに伝達する。切替弁が遮断位置にあるとき、プランジャは後退に対して固定される。レバーを介して直接接続することにより、回転シャフトの更なる回転が防止される。これにより、回転シャフト、レバーおよびプランジャシリンダを介して可能な力が支持される。第1の回転軸は、第2の回転軸に対して平行であることが好ましい。
【0018】
好ましくは、回転シャフトは、第1の端部位置と第2の端部位置との間で回転可能であり、死点位置は、第1の端部位置と第2の端部位置との間に置かれる。プランジャは、好ましくは、第1の端部位置で伸長され、回転シャフトの回転に際して死点位置に移動する。死点位置から第2の端部位置への回転時に、プランジャは伸長するのが好ましい。
【0019】
回転シャフトの第1の端部位置は、たとえば、外骨格継手の可能な最大角度に対応することができる。したがって、第2の端部位置は、たとえば、外骨格継手の可能な最小角度に対応することができる。外骨格膝継手の実施例を使用すると、これは、脚部が大きく又は完全に伸長されたときに回転シャフトが第1の端部位置にあり、脚部が大きく又は完全に屈曲されたときに第2の端部位置にあることを意味する。
【0020】
第1の端部位置から第2の端部位置に向かって移動する間、プランジャは最初に後退する。第1の端部位置と第2の端部位置との間に位置する回転シャフトの死点位置において、プランジャは最大に後退する。死点位置から第2の端部位置の方向に更に移動する間、プランジャは再び延びる。これにより、プランジャの移動方向が反転する。そのため、プランジャシリンダの行程を大幅に小さくすることで、第1の端部位置と第2の端部位置との間の全最大移動量を再現することができる。これにより、液圧ロック装置の特に省スペースで軽量な設計が可能となる。
【0021】
好ましくは、切替弁は遮断位置で作用する逆止弁を有し、逆止弁はタンクからプランジャシリンダへの流れの方向に開口する。従って、逆止弁は、プランジャシリンダが補充されることを可能にし、その結果、プランジャピストンが更に延びることができる。切替弁が閉位置にあるときは、プランジャピストンを後退させることはできない。これにより、切替弁が遮断位置にある場合であっても、外骨格継手を更に開放することができる。これは、たとえば、外骨格膝継手を用いると、切替弁が遮断位置にある場合や立脚相が検出されている場合であっても、使用者の膝継手を更に伸長させることができることを意味する。しかしながら、切替弁が遮断位置にあるときに膝を曲げることは不可能であるので、可能な負荷は依然として外骨格を介して安全かつ確実に支持される。
【0022】
あるいは、プランジャシリンダは逆止弁を有し、逆止弁はタンクからプランジャシリンダへの流れの方向に開口している。特に、プランジャピストンが逆止弁を有する場合に好ましい。これにより、上述したのと同様の効果、すなわち、切替弁の閉位置においてもプランジャピストンを伸長させることができる。さらに、逆止弁をプランジャに一体化することにより、特にコンパクトで軽量な設計となる。
【0023】
好ましくは、プランジャピストンおよびプランジャシリンダハウジングはプランジャ室を画定し、プランジャ室は圧力リリーフ弁を介してタンクに接続される。圧力リリーフ弁は、圧力リリーフ弁に最大許容圧力を設定することによって安全弁として機能する。プランジャ室内の圧力、従って少なくとも管路設備内の部分の圧力が、圧力リリーフ弁に設定された最大圧力を超えるとすぐに、圧力リリーフ弁が開き、プランジャ室がタンクにリリーフされる。これにより、液圧ロック装置の破損を効果的に防止することができる。
【0024】
ハウジングは好ましくはタンクを形成し、プランジャシリンダはタンクの内側に配置される。従って、漏れはタンクに直接漏れるので、プランジャシリンダは漏れに対して入念に密封する必要はない。さらに、立脚相は通常比較的短いので、時間の経過に伴うプランジャシリンダからの一定量の漏れは、それ以上の余裕なしに許容され得る。その結果、プランジャシリンダハウジングに対するプランジャピストンの高圧シールを省略することができ、隙間シールを設けるだけでよい。
【0025】
さらに、これにより、液圧ロック装置全体にわたって多数の高圧シールを設ける必要性もなくなる。代わりに、プランジャシリンダまたはプランジャ室と切替弁との間には、大気圧を超える圧力が発生し得る液圧ロック装置の唯一の部分であるので、高圧シールを1つだけ設ける必要がある。
【0026】
この問題の解決は、上述した液圧ロック装置を含む請求項9に記載の外骨格継手によって更に達成される。外骨格継手は、外骨格膝継手であることが好ましい。しかしながら、外骨格継手が、外骨格股継手、外骨格肘継手、外骨格足継手、外骨格肩継手であることも考えられる。
【0027】
好ましくは、外骨格継手は、液圧ロック装置のハウジング上に配置された第1の受け部と、四節リンク機構を介してハウジング上に移動可能に装着された第2の受け部とを有する。四節リンク機構は、回転シャフトに接続されていることが好ましい。たとえば、外骨格の上脚部を第1の受け部に取り付けることができる。たとえば、外骨格の下脚部を第2の受け部に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、図面に示される例示的な実施形態に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
図1図1は、従来技術から知られている液圧ロック装置の液圧循環路図である。
図2図2は、第1の実施形態による本発明に係る液圧ロック装置の液圧循環路図である。
図3図3は、第2の実施形態による本発明に係る液圧ロック装置の液圧循環路図である。
図4図4は、第3の実施形態による本発明に係る液圧ロック装置の液圧循環路図である。
図5図5は、本発明による液圧ロック装置の第1の斜視図である。
図6図6は、第2の斜視図における図5による液圧ロック装置である。
図7図7は、図5による液圧ロック装置の部分的に露出した側面図である。
図8図8は、図5による液圧ロック装置の別の部分的に露出した側面図である。
図9図9は、図7および図8に従った図であり、プランジャシリンダが様々な位置に示されている。
図10図10は、図2による液圧ロック装置を備えた外骨格継手の側面図である。
図11図11は、図10に見られる外骨格継手を通る部分断面図である。
【0029】
【発明の詳細な説明】
【0030】
図2は、第1の実施形態による外骨格継手50の為の本発明に係る液圧ロック装置10の液圧循環路図である。液圧ロック装置10は、たとえば、図10および図11に例示されるように、外骨格膝継手50とともに使用することができる。液圧ロック装置10は、プランジャシリンダ12として構成された液圧シリンダを備え、液圧シリンダは、管路設備14を介してタンク16に接続されている。さらに、液圧ロック装置10は、タンク16を形成するハウジング18を備えている。プランジャシリンダ12は、ハウジング18内部に、従ってタンク16の内部に配置されている。従って、プランジャシリンダ12は液圧流体の下にある。
【0031】
管路設備14において、解除位置FSと遮断位置SSとの間で切替可能な切替弁20が配置されている。切替弁20は、切替弁を解除位置FSに付勢する付勢要素23を備えている。作動装置27が作動されて、切替弁20を遮断位置SSに切り替える。本実施形態において、作動装置27は、(図示しない)上位制御システムを介して通電される電磁石である。
【0032】
プランジャシリンダ12は、プランジャシリンダハウジング22と、プランジャシリンダハウジング22内部で軸方向に移動可能なプランジャピストン24とを備える。プランジャピストン24およびプランジャシリンダハウジング22は、可変容積プランジャ室26を画定する。
【0033】
自由な移動が要求される場合には、切替弁20は解除位置FSにあり、プランジャピストン24が伸長されたときに管路設備14を介してタンク16から作動流体を吸引することができる。
【0034】
従って、作動流体は、プランジャピストン24の内方への移動によってプランジャ室26から変位され、管路設備を介してタンク16内に導かれる。切替弁20が遮断位置SSに切り替えられると、タンク16とプランジャ室26との接続が遮断される。次に、プランジャピストン24は、プランジャシリンダハウジング22に対して相対的な位置に定着し、伸長または後退することができない。
【0035】
上述したように、プランジャシリンダ12は、プランジャシリンダ12からのいかなる潜在的な漏洩も問題とならないように、タンク16内部に完全に配置される。従って、プランジャシリンダ12は、プランジャピストン24とプランジャシリンダハウジング22との間の高圧シールを必要とすることなく、簡単な構造とすることができる。プランジャピストン24とプランジャシリンダハウジング22との間には、隙間シールが十分である。これは、液圧ロック装置10を外骨格継手50に使用した場合には、切替弁20が遮断位置SSに切り替えられてもプランジャピストン24が漏れて移動する可能性が許容されるためである。プランジャピストン24の移動を遮断することは、たとえば、立脚相の間、荷重を支持するのに役立つ。しかしながら、この相は時間的に非常に制限されているので、この短い期間にわたって、ある程度の漏れ、したがってプランジャピストン24のある程度の移動は重要ではない。
【0036】
図3は、本発明による液圧式ロック装置10の第2の実施形態の液圧循環路図を示す。図3に示す実施形態は、逆止弁28がプランジャピストン24内に配置されている点で図2に示す実施形態と異なる。逆止弁28は、バネ付勢された逆止弁28であり、タンク16からプランジャ室26への流れの方向にバネ力に抗して開く。
【0037】
切替弁20の遮断位置SSにおいて、プランジャピストン24は後退に対してロックされている。しかしながら、作動流体は逆止弁28を介してプランジャ室26に吸入されるので、プランジャピストン24は切替弁20の遮断位置SSに延び続けることができる。これは、以下に詳細に説明する外骨格膝継手50の実施例を用いて、切替弁20が遮断位置SSにあるときに、膝継手を更に伸ばすことができることを意味する。しかしながら、プランジャピストン24は切替弁20のロック位置SSでの後退に対してロックされているので、膝を曲げることは不可能である。
【0038】
逆止弁28をプランジャピストン24に一体化することにより、プランジャシリンダ12の特にコンパクトな設計が得られる。
【0039】
図4は、本発明による液圧ロック装置10の第3実施形態の液圧循環路図を示す。第3実施形態に係る液圧ロック装置10は、図3に示した第2の実施形態に係る液圧ロック装置10と比較して、第1に、逆止弁28がプランジャピストン24内に配置されておらず、切替弁20内に配置されている点が異なる。図示されるように、逆止弁28は、タンク16からプランジャ室26への流れの方向において、切替弁20の遮断位置SSで作用する。逆止弁28はまた、作動流体を管路設備14を介してプランジャ室26内に引き込むことによって、プランジャピストン24が切替弁20の遮断位置SSにあるプランジャシリンダハウジング22に対して更に拡張することを可能にし、その結果、プランジャピストン24がタンク16から拡張移動する間に逆止弁28が開く。本実施形態においても、逆止弁28は、バネ付勢された逆止弁28であり、タンク16からプランジャ室26への流れ方向にバネ力に抗して開く。
【0040】
第2に、図4に示した本発明に係る液圧ロック装置10の第3の実施形態は、切替弁20とプランジャ室26との間で分岐管路30が管路設備14から分岐している点が図3に示した実施形態と異なる。図示されるように、分岐管30は、タンク内に開口するようにハウジング18内部に配置される。安全弁であり、液圧ロック装置10の高圧側を損傷から保護する圧力リリーフ弁32が分岐管路に配置されている。圧力リリーフ弁32には最大許容圧力が設定されている。プランジャ室26内の圧力、したがって少なくとも管路設備14の一部の圧力が、圧力リリーフ弁32に設定された最大許容圧力を超えるとすぐに、圧力リリーフ弁32が開き、プランジャ室26がタンク16にリリーフされる。
【0041】
もちろん、図2および図3に示される液圧ロック装置10の実施形態において、圧力リリーフ弁32を備えた分岐管30を使用することもできる。また、プランジャピストン24には、逆止弁28に代えて又はこれに加えて、圧力リリーフ弁32を設けることも考えられる。
【0042】
以下、図5図9および図11を参照して、より詳細に液圧ロック装置10の特定の構造設計を説明する。ここで説明する液圧ロック装置10は、図3に示した実施形態に対応するものであり、以下の説明は、図2および図4に示した実施形態にも同様に適用される。
【0043】
液圧ロック装置10のハウジング18は、ベース本体36とカバー38とを備えている。ベース本体36およびカバー38は、タンク16を形成するハウジング18内の密閉空間を形成する。切替弁20はハウジングの外部に固定され、管路設備14の一部分もハウジング18の外部からハウジング18の内部に延在する(図5参照)。さらに、第1の受け部52が、ハウジング18の外部で切替弁20に隣接して配置される。第1の受け部52は、たとえば、それを外骨格の大腿部54に接続することによって、外骨格継手50を外骨格に定着させる役割を果たす(図10も参照)。
【0044】
図7図9は、カバー38を取り外した状態の液圧ロック装置10の側面図を示す。図から分かるように、プランジャシリンダ12はハウジング18の内側、すなわちタンク16内に配置されている。従って、プランジャピストン24は、単純なシール、たとえば、隙間シールによってプランジャシリンダハウジング22に対して密封することができる。プランジャ室26からのいかなる漏れも、タンク16内に直接流出するので、漏れを防止するための特別な手段は必要でない。
【0045】
液圧ロック装置10は、ハウジング18を貫通して延びる回転シャフト34を更に含む。具体的には、回転シャフト34は、その一端がハウジング18から両側に突出するように本体36およびカバー38を貫通している。回転シャフト34は、ハウジング18およびタンク16に対してそれぞれ密封されており、タンク16には大気圧しか存在しないので、比較的単純なシールで十分である。図示されるように、回転シャフト34の各端部に四角形が設けられ、回転シャフトを回転定着させた態様で他の部品に接続する(図10参照)。もちろん、回転シャフト34を他の部品に接続するために、他の可能性もここに提供することができる。
【0046】
回転シャフト34は、第1の回転軸D1を画定する。プランジャシリンダハウジング22はまた、ハウジング18内部に回転可能に配置される。図示されるように、プランジャシリンダハウジング22は、ベース本体36およびカバー38上の第2の回転軸D2を中心として回転可能に装着される。第2の回転軸D2は、第1の回転軸D1と平行にアレンジされている。
【0047】
レバー40は、ハウジング18又はタンク16内部に配置される。レバー40は、一端部にシャフト結合部分42を有し、他端部にピストン結合部分44を有する。シャフト結合部分42は回転シャフト34に回転不能に接続され、ピストン結合部分44はプランジャシリンダハウジング22から突出するプランジャピストン24の端部に回転可能に接続されている。
【0048】
回転シャフト34が第1の回転軸D1を中心に回転すると、その回転運動は、プランジャシリンダハウジング22の第2の回転軸D2およびレバー40を中心とする回転支持部によって、プランジャピストン24の直線運動に変換される。図示のように、回転シャフト34は、第1の端部位置EP1(図7参照)と第2の端部位置EP2(図8参照)との間で回転可能である。たとえば、第1の端部位置EP1は、外骨格継手50の全開位置に対応し、第2の端部位置EP2は、外骨格継手50の全閉端部位置EP2に対応してもよい。
【0049】
回転シャフト34の第1の端部位置EP1では、プランジャピストン24はほぼ完全に伸長している。回転シャフト34が第1の端部位置EP1から第2の端部位置EP2に向かって回転すると、プランジャピストン24が後退し、プランジャシリンダハウジング22が第2の回転軸D2周りに回転する。プランジャピストン24は、第1の端部位置EP1と第2の端部位置EP2との間で死点位置に到達するまで後退する。この死点位置において、回転シャフト34はまだ第2の端部位置EP2にないが、プランジャピストン24は完全に後退する。死点位置から第2の端部位置EP2に向かって第1の回転軸D1を中心に回転シャフト34が更に回転すると、プランジャピストン24は、回転シャフト34が第2の端部位置EP2にあるときに再び実質的に伸長されるまで再び伸長する。第1の端部位置EP1と第2の端部位置EP2との間の完全な移動サイクルにわたるこの行程反転のために、特にコンパクトなプランジャシリンダ12を使用することができる。図9は、レバー40、プランジャピストン24およびプランジャシリンダハウジング22の様々な位置を示す。
【0050】
図11に示す部分断面図(切替弁20は断面図では示さない)から分かるように、逆止弁28はプランジャピストン24内に配置されている。この目的のために、プランジャピストン24は、逆止弁28を受容するための軸方向開口部46を有する。軸方向開口部46の一端部はプランジャ室26と連通し、他端部はプランジャピストン24を径方向に貫通してタンク16と連通するボア48に開口する。切替弁20が遮断位置SSにあるとき、作動流体は軸方向開口部46を通してボア48および逆止弁28を介してプランジャ室26内に吸引され、プランジャピストン24の伸長が依然として可能である。
【0051】
図10および図11は、本発明による液圧ロック装置10を備えた外骨格継手50を示す。図示した外骨格継手50は、外骨格膝継手である。図示されるように、外骨格の大腿部54は、第1の受け部52に受容される。さらに、外骨格膝継手50は、四節リンク機構58を介してハウジング18に移動可能に装着された第2の受け部56を含む。本実施形態において、第2の受け部56に外骨格の下脚部60が定着されている。
【0052】
四節リンク機構58は、第1の脚部62を含むが、これは、一端部が回転シャフト34に回転不能に接続され、他端部が第2の受け部56に回転可能に接続されている。さらに、四節リンク機構58は、第2の脚部64を含むが、これは、一端部がハウジング18に回転可能に接続され、他端部が第2の受け部56に回転可能に接続されている。四節リンク機構58は、大腿部54と下脚部60との間の旋回点がハウジング18からオフセットされ且つ解剖学的見地から最適に選択されることを可能にする。
【0053】
【符合の説明】
【0054】
10…液圧ロック装置、
12…プランジャシリンダ、
14…管路設備、
16…タンク、
18…ハウジング、
20…切替弁、
22…プランジャシリンダハウジング、
23…付勢要素、
24…プランジャピストン、
26…プランジャ室
27…作動装置、
28…逆止弁、
30…分岐管路、
32…圧力リリーフ弁、
34…回転シャフト、
36…ベース本体、
38…カバー、
40…レバー、
42…シャフト結合部分、
44…ピストン結合部分、
46…軸方向開口部、
48…ボア、
50…外骨格継手/外骨格膝継手
52…第1の受け部、
54…大腿部、
56…第2の受け部、
58…四節リンク機構、
60…下脚部、
62…第1の脚部、
64…第2の脚部、
100…液圧ロック装置、
102…液圧シリンダ/差動シリンダ、
104…管路設備、
106…アキュムレーター/タンク、
108…シリンダハウジング、
110…ピストン、
112…ピストン室、
114…ロッド室、
116…第1の分岐、
118…第2の分岐、
120…切替弁、
122…短絡管路、
124…逆止弁、
D1…第1の回転軸、
D2…第2の回転軸、
EP1…第1の端部位置、
EP2…第2の端部位置、
FS…解除位置、
SS…遮断位置、
118…第2の分岐、
120…切替弁、
122…短絡管路、
124…逆止弁、
D1…第1の回転軸、
D2…第2の回転軸、
EP1…第1の端部位置、
EP2…第2の端部位置、
FS…解除位置、
SS…遮断位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11