(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】アルギナーゼ阻害剤及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20241030BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241030BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241030BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241030BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241030BHJP
A61K 33/22 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C07F5/02 C CSP
A61P35/00
A61P29/00
A61P11/00
A61P43/00 111
A61K33/22
(21)【出願番号】P 2022503946
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2020056899
(87)【国際公開番号】W WO2021014380
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-07-20
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ムウィナルスキ,スコット ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】シールズ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】カワトカル,サミール
(72)【発明者】
【氏名】イェ,チン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ハイシャ
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,シャオラン
(72)【発明者】
【氏名】フィンレイ,レイ
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン,イアン
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-520352(JP,A)
【文献】特表2018-533582(JP,A)
【文献】特表2013-525364(JP,A)
【文献】特表2014-506253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/02
A61P 35/00
A61P 29/00
A61P 11/00
A61P 43/00
A61K 33/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって:
式中、
R
1は、水素、-CH
3、及び-(C=O)CH(R
1a)NH
2から選択され;
R
1aは、C
1~C
4アルキルであり;
Yは、-(CH
2)
n-又は-(C=O)-であり;
nは、1及び2から選択される整数であり;
R
2は、水素、-CH
3、及び-(C=X)R
4から選択され、且つR
3は、水素若しくは-CH
3であるか;
又は
R
2及びR
3は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて6員複素環を形成しており;
Xは、NH又はOであり;
R
4は、-CH
3又は-[CH(R
4a)]
mNH
2であり;
mは、0又は1から選択される整数であり;
及び
R
4aは、水素又はC
1~C
6アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(Ia):
【化2】
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(Ib):
【化3】
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(II):
【化4】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって:
式中、
R
11は、水素、-CH
3、及び
【化5】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)から選択され;
Y
1は、-(CH
2)
p-又は-(C=O)-であり;
pは、1及び2から選択される整数であり;
R
11aは、C
1~C
4アルキルであり;
R
12は、水素、-CH
3、及び-(C=X
1)R
14から選択され、且つR
13は、水素若しくは-CH
3であるか;
又は
R
12及びR
13は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて6員複素環を形成しており;
X
1は、NH又はOであり;
R
14は、-CH
3又は
【化6】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)であり;
R
14aは、C
1~C
4アルキルであり;
及び
qは、0及び1から選択される整数である、
化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
式(III):
【化7】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって:
式中、
R
22は、水素又は
【化8】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)であり;
及び
R
24aは、C
1~C
4アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
式(IV)
【化9】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
11は、
【化10】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)から選択され;
及び
R
11aは、C
1~C
4アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
以下から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩
:
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項9】
癌を処置するための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
癌を処置するための医薬であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬。
【請求項11】
呼吸器炎症性疾患を処置するための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
呼吸器炎症性疾患を処置するための医薬であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬。
【請求項13】
呼吸器炎症性疾患が、特発性肺線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び化学的に誘導される肺線維症から選択される、請求項11に記載の医薬組成物または請求項12に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アルギナーゼは、L-アルギニンの尿素及びL-オルニチンへの転化を触媒するマンガン金属酵素である。下記の2種のアイソフォームが存在する:アルギナーゼ1は、肝細胞内で主に見出されるサイトゾル酵素であり、尿素合成を介したアンモニアの除去において重大な役割を果たしており、アルギナーゼ2は、腎臓内で高度に発現されるミトコンドリア酵素であり、細胞増殖及びコラーゲン生成にとってそれぞれ重要なポリアミン及びプロリンの前駆体であるオルニチンの生成に関与している。
【0002】
L-アルギニンは、健康な成人ではタンパク質代謝回転を介して提供され得ることから必須アミノ酸ではないが、様々な生理学的条件及び病理学的条件(例えば、妊娠、自己免疫疾患、癌)下でアルギナーゼの発現及び分泌が増大すると、L-アルギニンレベルが低下する。特に、免疫細胞は、L-アルギニンレベルの低下に敏感である。T細胞は、低L-アルギニン微小環境に直面すると、増殖速度が低減し、且つCD3ζ鎖、IFNγ、及び溶解酵素の発現が低下して、T細胞応答性が損なわれる。樹状細胞は、抗原提示能力を減少させることで低L-アルギニン条件に応答し、ナチュラルキラー細胞は、溶解酵素の増殖及び発現の両方を減少させる。
【0003】
腫瘍は、複数の免疫抑制機構を使用して免疫系を回避する。そうした免疫抑制機構の1つには、循環アルギナーゼレベルの増大によるL-アルギニンの減少、腫瘍細胞によるアルギナーゼの発現及び分泌の増加、並びにアルギナーゼを発現して分泌する骨髄由来サプレッサ細胞の動員がある。これらが相まって、腫瘍微小環境におけるL-アルギニンの減少及び免疫抑制表現型がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルギナーゼ活性の薬理的阻害は、動物モデルにおいて、低L-アルギニン誘導免疫抑制を逆転することが示されてきた。従って、単一剤としてか又はさらなる免疫抑制機構を逆転する治療と組み合せて、患者の免疫抑制を逆転し且つ抗癌免疫を再活性化する、強力な且つ選択的なアルギナーゼ阻害剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態では、開示されているのは、式(I):
【化1】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
1は、水素、-CH
3、及び-(C=O)CH(R
1a)NH
2から選択され;
R
1aは、C
1~C
4アルキルであり;
Yは、-(CH
2)
n-又は-(C=O)-であり;
nは、1及び2から選択される整数であり;
R
2は、水素、-CH
3、及び-(C=X)R
4から選択され、且つR
3は、水素若しくは-CH
3であるか;
又は
R
2及びR
3は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて窒素含有6員複素環を形成しており;
Xは、NH又はOであり;
R
4は、-CH
3又は-[CH(R
4a)]
mNH
2であり;
mは、0又は1から選択される整数であり;
及び
R
4aは、水素又はC
1~C
4アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0006】
一部の実施形態では、開示されているのは、式(II):
【化2】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
11は、水素、-CH
3、及び
【化3】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)から選択され;
Y
1は、-(CH
2)
p-又は-(C=O)-であり;
pは、1及び2から選択される整数であり;
R
11aは、C
1~C
4アルキルであり;
R
12は、水素、-CH
3、及び-(C=X
1)R
14から選択され、且つR
13は、水素若しくは-CH
3であるか;
又は
R
12及びR
13は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて窒素含有6員複素環を形成しており;
X
1は、NH又はOであり;
R
14は、-CH
3又は
【化4】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)であり;
R
14aは、C
1~C
4アルキルであり;
及び
qは、0及び1から選択される整数である、
化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0007】
一部の実施形態では、開示されているのは、式(III):
【化5】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
22は、水素又は
【化6】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)であり;
及び
R
24aは、C
1~C
4アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0008】
一部の実施形態では、開示されているのは、式(IV):
【化7】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
11は、
【化8】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)であり;及びR
11aは、C
1~C
4アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0009】
一部の実施形態において、開示されているのは、表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0010】
一部の実施形態では、開示されているのは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。
【0011】
一部の実施形態では、開示されているのは、癌を処置する方法であって、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法である。
【0012】
一部の実施形態では、開示されているのは、癌を処置するための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0013】
一部の実施形態では、開示されているのは、癌の処置での使用のための医薬品の製造における、(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用である。
【0014】
一部の実施形態では、開示されているのは、癌の処置での使用のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物である。
【0015】
一部の実施形態では、開示されているのは、呼吸器炎症性疾患を処置する方法であって、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法である。
【0016】
一部の実施形態では、開示されているのは、呼吸器炎症性疾患を処置するための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0017】
一部の実施形態では、開示されているのは、呼吸器炎症性疾患の処置での使用のための医薬品の製造における、(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用である。
【0018】
一部の実施形態では、開示されているのは、呼吸器炎症性疾患の処置での使用のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物である。
【0019】
一部の実施形態では、前述の呼吸器炎症性疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は喘息である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一部の実施形態では、開示されているのは、式(I):
【化9】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
1は、水素、-CH
3、及び-(C=O)CH(R
1a)NH
2から選択され;
R
1aは、C
1~C
4アルキルであり;
Yは、-(CH
2)
n-又は-(C=O)-であり;
nは、1及び2から選択される整数であり;
R
2は、水素、-CH
3、及び-(C=X)R
4から選択され、且つR
3は、水素若しくは-CH
3であるか;
又は
R
2及びR
3は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて窒素含有6員複素環を形成しており;
Xは、NH又はOであり;
R
4は、-CH
3又は-[CH(R
4a)]
mNH
2であり;
mは、0又は1から選択される整数であり;
及び
R
4aは、水素又はC
1~C
4アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0021】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0022】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2及びR3は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて窒素含有6員複素環を形成している。一部の実施形態では、この窒素含有6員複素環は、モルホリニル環である。一部の実施形態では、この窒素含有6員複素環は、ピペリジニル環である。
【0023】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-CH3であり、及びR3は、水素である。
【0024】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-CH3であり、及びR3は、-CH3である。
【0025】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、NHであり、R4は、[CH(R4a)]mNH2であり、及びmは、Oである。
【0026】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、[CH(R4a)]mNH2であり、及びmは、Oである。
【0027】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C3アルキル(例えばイソプロピル)である。
【0028】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4mであり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C2アルキル(例えばエチル)である。
【0029】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C1アルキル(例えばメチル)である。
【0030】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、及びR4は、-CH3である。
【0031】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、-CH3であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0032】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、-(C=O)CH(R1a)NH2であり、R1aは、C3アルキル(例えばイソプロピル)であり、Rは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0033】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、-(C=O)CH(R1a)NH2であり、R1aは、C1アルキル(例えばメチル)であり、Rは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0034】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、2であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0035】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(C=O)であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0036】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(C=O)であり、R2は、-CH3であり、及びR3は、水素である。
【0037】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C4アルキル(例えばイソブチル)である。
【0038】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C4アルキル(例えばtert-ブチル)である。
【0039】
一部の実施形態では、式(I)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、水素である。
【0040】
一部の実施形態では、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(Ia):
【化10】
の化合物である。
【0041】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0042】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2及びR3は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて窒素含有6員複素環を形成している。一部の実施形態では、この窒素含有6員複素環は、モルホリニル環である。一部の実施形態では、この窒素含有6員複素環は、ピペリジニル環である。
【0043】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-CH3であり、及びR3は、水素である。
【0044】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-CH3であり、及びR3は、-CH3である。
【0045】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、NHであり、R4は、[CH(R4a)]mNH2であり、及びmは、Oである。
【0046】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、[CH(R4a)]mNH2であり、及びmは、Oである。
【0047】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C3アルキル(例えばイソプロピル)である。
【0048】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4mであり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C2アルキル(例えばエチル)である。
【0049】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C1アルキル(例えばメチル)である。
【0050】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、及びR4は、-CH3である。
【0051】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、-CH3であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0052】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、-(C=O)CH(R1a)NH2であり、R1aは、C3アルキル(例えばイソプロピル)であり、Rは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0053】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、-(C=O)CH(R1a)NH2であり、R1aは、C1アルキル(例えばメチル)であり、Rは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0054】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、2であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0055】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(C=O)であり、R2及びR3は、水素である。
【0056】
一部の実施形態では、式(Ia)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(C=O)であり、R2は、-CH3であり、及びR3は、水素である。
【0057】
一部の実施形態では、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(Ib):
【化11】
の化合物である。
【0058】
一部の実施形態では、式(Ib)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、水素であり、及びR3は、水素である。
【0059】
一部の実施形態では、式(Ib)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C3アルキル(例えばイソプロピル)である。
【0060】
一部の実施形態では、式(Ib)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C1アルキル(例えばメチル)である。
【0061】
一部の実施形態では、式(Ib)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C2アルキル(例えばエチル)である。
【0062】
一部の実施形態では、式(Ib)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、C4アルキル(例えば、イソブチル又はtert-ブチル)である。
【0063】
一部の実施形態では、式(Ib)の化合物において、R1は、水素であり、Yは、-(CH2)n-であり、nは、1であり、R2は、-(C=X)R4であり、R3は、水素であり、Xは、Oであり、R4は、-[CH(R4a)]mNH2であり、mは、1であり、及びR4aは、水素である。
【0064】
一部の実施形態では、開示されているのは、式(II):
【化12】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって:
式中、
R
11は、水素、-CH
3、及び
【化13】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)から選択され;
Y
1は、-(CH
2)
p-又は-(C=O)-であり;
pは、1及び2から選択される整数であり;
R
11aは、C
1~C
4アルキルであり;
R
12は、水素、-CH
3、及び-(C=X
1)R
14から選択され、且つR
13は、水素若しくは-CH
3であるか;
又は
R
12及びR
13は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて6員複素環を形成しており;
X
1は、NH又はOであり;
R
14は、-CH
3又は
【化14】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)であり;
R
14aは、C
1~C
4アルキルであり;
及び
qは、0及び1から選択される整数である、
化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0065】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R11は、水素であり、Y1は、-(CH2)p-であり、pは、1であり、R12は、水素であり、及びR13は、水素である。
【0066】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R11は、水素であり、Y1は、-(CH2)p-であり、pは、1であり、並びにR12及びR13は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて6員の窒素含有複素環を形成している。一部の実施形態では、この窒素含有6員複素環は、モルホリニル環である。一部の実施形態では、この窒素含有6員複素環は、ピペラジニル環である。
【0067】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R11は、水素であり、Y1は、-(CH2)p-であり、pは、1であり、R12は、-CH3であり、及びR13は、水素である。
【0068】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R11は、水素であり、Y1は、-(CH2)p-であり、pは、1であり、R12は、-CH3であり、及びR13は、-CH3である。
【0069】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R
11は、水素であり、Y
1は、-(CH
2)
p-であり、pは、1であり、R
12は、-(C=X
1)R
14であり、R
13は、水素であり、X
1は、NHであり、R
14は、
【化15】
であり、及びqは、0である。
【0070】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R
11は、水素であり、Y
1は、-(CH
2)
p-であり、pは、1であり、R
12は、-(C=X
1)R
14であり、R
13は、水素であり、X
1は、Oであり、R
14は、
【化16】
であり、及びqは、0である。
【0071】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R
11は、水素であり、Y
1は、-(CH
2)
p-であり、pは、1であり、R
12は、-(C=X
1)R
14であり、R
13は、水素であり、X
1は、Oであり、R
14は、
【化17】
であり、qは、1であり、及びR
14aは、C
3アルキル(例えばイソプロピル)である。
【0072】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R
11は、水素であり、Y
1は、-(CH
2)
p-であり、pは、1であり、R
12は、-(C=X
1)R
14であり、R
13は、水素であり、X
1は、Oであり、R
14は、
【化18】
であり、qは、1であり、及びR
14aは、C
2アルキル(例えばエチル)である。
【0073】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R
11は、水素であり、Y
1は、-(CH
2)
p-であり、pは、1であり、R
12は、-(C=X
1)R
14であり、R
13は、水素であり、X
1は、Oであり、R
14は、
【化19】
であり、qは、1であり、及びR
14aは、C
1アルキル(例えばメチル)である。
【0074】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R11は、水素であり、Y1は、-(CH2)p-であり、pは、1であり、R12は、-(C=X1)R14であり、R13は、水素であり、X1は、Oであり、及びR14は、-CH3である。
【0075】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R11は、-CH3であり、Y1は、-(CH2)p-であり、pは、1であり、R12は、水素であり、及びR13は、水素である。
【0076】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R
11は、
【化20】
であり、R
11aは、C
3アルキル(例えばイソプロピル)であり、Y
1は、-(CH
2)
p-であり、pは、1であり、R
12は、水素であり、及びR
13は、水素である。
【0077】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R
11は、
【化21】
であり、R
11aは、C
1アルキル(例えばメチル)であり、Y
1は、-(CH
2)
p-であり、pは、1であり、R
12は、水素であり、及びR
13は、水素である。
【0078】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R11は、水素であり、Y1は、-(CH2)p-であり、pは、2であり、R12は、水素であり、及びR13は、水素である。
【0079】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R11は、水素であり、Y1は、-(C=O)であり、R12は、水素であり、及びR13は、水素である。
【0080】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R11は、水素であり、Y1は、-(C=O)であり、R12は、-CH3であり、及びR13は、水素である。
【0081】
一部の実施形態では、開示されているのは、式(III):
【化22】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
22は、水素又は
【化23】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)であり;
及び
R
24aは、C
1~C
4アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0082】
一部の実施形態では、式(III)の化合物において、R22は、水素である。
【0083】
一部の実施形態では、式(III)の化合物において、R
22は、
【化24】
であり、及びR
24aは、C
3アルキル(例えばイソプロピル)である。
【0084】
一部の実施形態では、式(III)の化合物において、R
22は、
【化25】
であり、及びR
24aは、C
1アルキル(例えばメチル)である。
【0085】
一部の実施形態では、式(III)の化合物において、R
22は、
【化26】
であり、及びR
24aは、C
2アルキル(例えばエチル)である。
【0086】
一部の実施形態では、式(III)の化合物において、R
22は、
【化27】
であり、及びR
24aは、C
4アルキル(例えば、イソブチル又はtert-ブチル)である。
【0087】
一部の実施形態では、開示されているのは、式(IV):
【化28】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
11は、
【化29】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)であり、及びR
11aは、C
1~C
4アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0088】
一部の実施形態では、開示されているのは、表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
文言「C1~C4アルキル」は、1~4個の炭素原子を有する非環式飽和アルキル部分を含む。C1~C4アルキル部分の例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルが挙げられる。
【0094】
文言「窒素含有6員複素環」は、少なくとも1個の炭素が窒素に置き換えられている飽和シクロアルキル部分を含む。窒素含有6員複素環の例として、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、及びヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジンが挙げられる。
【0095】
文言「薬学的に許容される塩」は、典型的には、生物学的にも他の面でも望ましくないということがない、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物の生物学的な有効性及び性質を保持する酸付加塩又は塩基塩を含む。多くの場合では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物は、塩基性基及び/若しくはカルボキシル基又はこれらに類似する基の存在により、酸塩及び/又は塩基塩を形成し得る。
【0096】
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸により形成され得、例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロルテオフィロン酸塩(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、次サリチル酸塩、硫酸塩/硫酸水素塩、酒石酸塩、トシル酸塩、及びトリフルオロ酢酸塩であり得る。塩が誘導され得る無機酸として、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び同類のものが挙げられる。塩が誘導され得る有機酸として、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、スルホサリチル酸、及び同類のものが挙げられる。
【0097】
薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基により形成され得る。塩が誘導され得る無機塩基として、例えば、アンモニア及びアンモニウムの塩、並びに周期表のI~XII列の金属が挙げられる。ある特定の実施形態では、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、及び銅から誘導され;特に好適な塩として、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウムの塩が挙げられる。塩が誘導され得る有機塩基として、例えば、第一級アミン、第二級アミン、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミン等の置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂、及び同類のものが挙げられる。ある特定の有機アミンとして、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジン、及びトロメタミンが挙げられる。
【0098】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物の薬学的に許容される塩を、従来の化学方法により、塩基性部分又は酸性部分から合成し得る。一般的に、そのような塩を、これらの化合物の遊離酸型と、化学量論量の適切な塩基(例えば、Na+、Ca2+、Mg2+、又はK+の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、又は同類のもの)とを反応させることにより調製し得るか、又はこれらの化合物の遊離塩基型と、化学量論量の適切な酸とを反応させることにより調製し得る。そのような反応を、典型的には、水中若しくは有機溶媒中で実行するか、又は両者の混合物中で実行する。一般的に、実施可能な場合には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性媒体を使用することが望ましい。さらなる好適な塩の一覧を、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”20th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,(1985);Berge et al.,“J.Pharm.Sci.,1977,66,1-19、及び“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use”by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)で見出し得る。
【0099】
本明細書で示されているあらゆる式はまた、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物、又はこれらの薬学的に許容される塩の未標識の形態及び同位体標識された形態を表すことも意図されている。同位体標識された化合物は、1個又は複数個の原子が、同じ元素であるが質量数が異なる原子に置き換えられていることを除いて、本明細書で示されている式により表されている構造を有する。式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物、並びにこれらの薬学的に許容される塩に組み込まれ得る同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体が挙げられ、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、15N、35S、36Cl、及び125Iが挙げられる。式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の同位体標識された化合物を、一般的に、当業者に公知である従来の技法により調製し得るか、又は以前用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、添付の実施例で説明されているものと類似のプロセスにより調製し得る。
【0100】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、異なる異性体の形態を有し得る。文言「光学異性体」、「立体異性体」、又は「ジアステレオ異性体」は、所与の式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩に関して存在し得る様々な立体異性の配置のいずれかを指す。炭素原子のキラル中心に置換基が付着する可能性があるため、本開示の化合物は、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びラセミ体を含むということが理解される。用語「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体の対を含む。一対の鏡像異性体の1:1の混合物は、ラセミ混合物である。この用語は、必要に応じて、ラセミ混合物を示すために使用される。用語「ジアステレオマー」又は「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2個の不斉原子を有するが互いに鏡像でない立体異性体を含む。絶対立体化学は、カーン・インゴルド・プレローグのR-Sシステムに従って明記される。化合物が純粋な鏡像異性体である場合には、各キラル中心での立体化学は、R又はSのいずれかで明記され得る。絶対配置が未知である分割された化合物は、それらがナトリウムD線の波長での平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)に応じて(+)又は(-)と示され得る。式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の内のいくつかは、1個又は複数個の不斉中心又は軸を含み、そのため、絶対立体化学の観点から(R)-又は(S)-と定義され得る鏡像異性体、ジアステレオマー、又は他の立体異性体が生じる可能性がある。本開示は、そのような可能な全ての異性体(ラセミ混合物、光学的に純粋な形態、及び中間混合物を含む)を含むことが意図されている。光学的に活性な(R)-異性体及び(S)-異性体を、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製し得るか、又は当該技術分野で公知の従来技術(例えばキラルHPLC)を使用して分割し得る。
【0101】
同様に本明細書で開示されているのは、実施例中の中間体1~56及びこれらの塩である。
【0102】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、開示されているのは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。
【0103】
文言「薬学的に許容される担体」は、当業者により確認されるように、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしに、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適である化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を含む。
【0104】
本開示の組成物は、経口使用に好適な形態(例えば、錠剤、ロゼンジ剤、ハード若しくはソフトカプセル、水性若しくは油性懸濁剤、乳剤、分散性散剤若しくは顆粒剤、シロップ剤若しくはエリキシル剤)であり得るか、局所使用に好適な形態(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、又は水性若しくは油性の液剤若しくは懸濁剤)であり得るか、吸入による投与に好適な形態(例えば、微粉砕された散剤又は液体エアゾール)であり得るか、吹送による投与に好適な形態(例えば、微粉砕された散剤)であり得るか、又は非経口投与に好適な形態(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、若しくは筋肉内投与用の滅菌された水性若しくは油性の液剤、又は直腸投与用の坐剤として)であり得る。
【0105】
単一の剤形を生成するために1種又は複数種の薬学的に許容される担体と組み合わされる活性成分の量は、処置される宿主、及び特定の投与経路に応じて必然的に変わることとなる。投与経路及び投与計画に関するさらなる情報について、読者には、Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board),Pergamon Press 1990、Volume 5、Chapter 25.3を参照されたい。
【0106】
治療的有用性
本化合物は、治療ではアルギナーゼ阻害剤として有用である。
【0107】
一態様では、開示されているのは、必要な対象の癌を処置する方法であって、この対象に、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効な量を投与することを含む方法である。
【0108】
一態様では、開示されているのは、必要な対象の呼吸器炎症性疾患を処置する方法であって、この対象に、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効な量を投与することを含む方法である。
【0109】
一態様では、開示されているのは、癌の処置での使用のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0110】
一態様では、開示されているのは、呼吸器炎症性疾患の処置での使用のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0111】
一態様では、開示されているのは、癌を処置するための医薬品の製造における、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用である。
【0112】
一態様では、開示されているのは、呼吸器炎症性疾患を処置するための医薬品の製造における、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用である。
【0113】
一態様では、開示されているのは、癌の処置での使用のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物である。
【0114】
一態様では、開示されているのは、呼吸器炎症性疾患の処置での使用のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物である。
【0115】
用語「癌」は、例えば、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮癌、肺癌(例えば、肺小細胞癌(SCLC)、肺非小細胞癌(NSCLC)、中皮腫)、膵癌、結腸直腸癌、乳癌、急性骨髄性白血病(AML)、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、黒色腫、腎癌、及び卵巣癌を含む。一部の実施形態では、癌は、転移している。一部の実施形態では、癌は、アルギナーゼ1及び/又はアルギナーゼ2の調節と関連する。
【0116】
一部の実施形態では、癌は、血漿アルギナーゼ1レベルの上昇と関連する。一部の実施形態では、癌は、血漿アルギニンレベルの低下と関連する。一部の実施形態では、癌は、血漿アルギナーゼ1レベルの上昇と血漿アルギニンレベルの低下との両方と関連する。一部の実施形態では、血漿アルギナーゼ1レベルの上昇及び/又は血漿アルギニンレベルの低下と関連する癌として、腎細胞癌、頭頸部扁平上皮癌、肺癌(例えば、肺小細胞癌(SCLC)、肺非小細胞癌(NSCLC)、中皮腫)、膵癌、結腸直腸癌、及び乳癌が挙げられる。
【0117】
一部の実施形態では、癌(例えば、急性骨髄性白血病及び前立腺癌)は、アルギナーゼ2を分泌する。
【0118】
一部の実施形態では、癌(例えば、肺癌(肺小細胞癌(SCLC)、肺非小細胞癌(NSCLC)、胃癌、膀胱癌、結腸直腸癌、黒色腫、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、及び腎癌)は、アルギナーゼ1陽性腫瘍浸潤免疫細胞と関連する。
【0119】
用語「呼吸器炎症性疾患」は、気腔、肺血管構造、肺間質、又はこれらの組合せに影響を与える炎症性の症状又は障害を指す。これらは、肺に限定され得(isolated to)るか、又は複数の臓器に関与し得る。一実施形態では、呼吸器炎症性疾患は、炎症性肺疾患である。別の実施形態では、炎症性肺疾患は、非感染性である。一部の実施形態では、呼吸器炎症性疾患は、アルギナーゼ1及び/又はアルギナーゼ2の調節と関連する。
【0120】
一部の実施形態では、呼吸器炎症性疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、化学的に誘導される肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、呼吸器炎症性疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は喘息である。
【0121】
一態様では、開示されているのは、必要な対象においてアルギナーゼを阻害する方法であって、この対象に、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の有効な量を投与することを含む方法である。
【0122】
一態様では、開示されているのは、アルギナーゼの阻害での使用のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0123】
一態様では、開示されているのは、アルギナーゼを阻害するための医薬品の製造における、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用である。
【0124】
一態様では、開示されているのは、アルギナーゼの阻害での使用のための、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物である。
【0125】
用語「アルギナーゼ」は、L-アルギニンをL-オルニチン及び尿素に転化する尿素サイクルにおける第5の工程及び最終工程を触媒する尿素ヒドラーゼファミリに属するマンガン含有酵素を含む。用語「アルギナーゼ」は、酵素の2つのイソ酵素(例えば、尿素サイクルにおいて機能し且つ肝臓の細胞質内に主に存在するアルギナーゼ1、及び身体中のいくつかの組織のミトコンドリア内に存在し且つ細胞内でのアルギニン/オルニチン濃度の調節に関係するアルギナーゼ2)を含む。一部の実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、アルギナーゼ1に対して選択的である。一部の実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、アルギナーゼ2に対して選択的である。一部の実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、アルギナーゼ1及びアルギナーゼ2の両方を阻害する。
【0126】
文言「有効な量」は、対象において、生物学的応答又は医学的応答(例えば、アルギナーゼ若しくは癌に関連する酵素活性若しくはタンパク質活性の減少若しくは阻害、癌の症状の寛解、又は癌の進行の減速若しくは遅延)を誘発することになる、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の量を含む。一部の実施形態では、文言「有効な量」は、対象に投与された場合に、癌を少なくとも部分的に緩和し、阻害し、及び/若しくは寛解し、又はアルギナーゼを阻害し、並びに/又は対象における腫瘍の成長若しくは癌細胞の増殖を減少させるか若しくは阻害するのに有効である、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、若しくは表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩の量を含む。
【0127】
用語「対象」は、温血哺乳動物を含み、例えば、霊長類、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、及びマウスを含む。一部の実施形態では、対象は、霊長類であり、例えばヒトである。一部の実施形態では、対象は、癌を患っている。一部の実施形態では、対象は、処置が必要である(例えば、この対象は、処置から生物学的にか又は医学的に利益を得ることとなる)。一部の実施形態では、対象は、血漿アルギナーゼ1レベルが上昇している。一部の実施形態では、対象は、アルギニンレベルが低下している。一部の実施形態では、患者は、血漿アルギナーゼ1レベルが上昇しており、且つアルギニンレベルが低下している。一部の実施形態では、対象は、アルギナーゼ2を分泌する癌(例えば、急性骨髄性白血病又は前立腺癌)を有する。一部の実施形態では、対象は、アルギナーゼ1陽性腫瘍浸潤免疫細胞を有する。
【0128】
文言「阻害する」、「阻害」、又は「阻害すること」は、生物活性又は生物学的プロセスのベースライン活性の低下を含む。一部の実施形態では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)、及び表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、アルギナーゼを阻害する。
【0129】
文言「処置する」、「処置すること」、及び「処置」は、アルギナーゼに関係する酵素活性若しくはタンパク質活性の減少若しくは阻害、又は対象における癌の1種若しくは複数種の症状の寛解、又は対象における癌の進行を減速若しくは遅延を含む。文言「処置する」、「処置すること」、及び「処置」はまた、対象における腫瘍の成長又は癌細胞の増殖の減少又は阻害も含む。
本発明には、次の態様が含まれる。
[1] 式(I):
【化1】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって:
式中、
R
1
は、水素、-CH
3
、及び-(C=O)CH(R
1a
)NH
2
から選択され;
R
1a
は、C
1
~C
4
アルキルであり;
Yは、-(CH
2
)
n
-又は-(C=O)-であり;
nは、1及び2から選択される整数であり;
R
2
は、水素、-CH
3
、及び-(C=X)R
4
から選択され、且つR
3
は、水素若しくは-CH
3
であるか;
又は
R
2
及びR
3
は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて6員複素環を形成しており;
Xは、NH又はOであり;
R
4
は、-CH
3
又は-[CH(R
4a
)]
m
NH
2
であり;
mは、0又は1から選択される整数であり;
及び
R
4a
は、水素又はC
1
~C
6
アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[2] 前記式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(Ia):
【化2】
の化合物である、項1に記載の化合物。
[3] 前記式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、式(Ib):
【化3】
の化合物である、項1に記載の化合物。
[4] 式(II):
【化4】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって:
式中、
R
11
は、水素、-CH
3
、及び
【化5】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)から選択され;
Y
1
は、-(CH
2
)
p
-又は-(C=O)-であり;
pは、1及び2から選択される整数であり;
R
11a
は、C
1
~C
4
アルキルであり;
R
12
は、水素、-CH
3
、及び-(C=X
1
)R
14
から選択され、且つR
13
は、水素若しくは-CH
3
であるか;
又は
R
12
及びR
13
は、これらが付着する窒素と一緒に、連結されて6員複素環を形成しており;
X
1
は、NH又はOであり;
R
14
は、-CH
3
又は
【化6】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)であり;
R
14a
は、C
1
~C
4
アルキルであり;
及び
qは、0及び1から選択される整数である、
化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[5] 式(III):
【化7】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって:
式中、
R
22
は、水素又は
【化8】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)であり;
及び
R
24a
は、C
1
~C
4
アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[6] 式(IV)
【化9】
の化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
式中、
R
11
は、
【化10】
(式中、*は、(S)立体化学を示す)から選択され;
及び
R
11a
は、C
1
~C
4
アルキルである、
化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[7] 表1の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[8] 項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物。
[9] 癌を処置する方法であって、項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を対象に投与することを含む方法。
[10] 癌を処置するための、項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[11] 癌を処置するための項8に記載の医薬組成物。
[12] 癌を処置するための医薬品の製造における、項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用。
[13] 呼吸器炎症性疾患を処置する方法であって、項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を対象に投与することを含む方法。
[14] 呼吸器炎症性疾患を処置するための、項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[15] 呼吸器炎症性疾患を処置するための項8に記載の医薬組成物。
[16] 呼吸器炎症性疾患を処置するための医薬品の製造における、項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用。
【実施例】
【0130】
本開示の態様を、下記の非限定的な実施例を参照してさらに定義し得、この実施例では、本開示のある特定の化合物及び中間体の調製、並びに本開示の化合物を使用する方法を詳細に説明する。材料及び方法の両方に対する多くの変更を、本開示の範囲を逸脱することなく実施し得ることは、当業者に明らかであるだろう。
【0131】
別途明記しない限り、
(i)全ての合成を、別途明記しない限り、周囲温度(即ち、17~25℃の範囲内)で及び窒素等の不活性ガスの雰囲気下で実行し;
(ii)蒸発を、回転蒸発によるか又は真空中でGenevac装置若しくはBiotage v10エバポレーターを使用することにより実行し、ろ過により残留固形物を除去した後に後処理手順を実行し;
(iii)フラッシュクロマトグラフィー精製を、予め充填されたRediSep Rf Gold(商標)シリカカラム(20~40μm、球状粒子)、GraceResolv(商標)カートリッジ(Davisil(登録商標)シリカ)、又はSilicycleカートリッジ(40~63μm)を使用して、自動型Teledyne Isco CombiFlash(登録商標)Rf又はTeledyne Isco CombiFlash(登録商標)Companion(登録商標)で実施した。
(iv)分取クロマトグラフィーを、UVコレクションを備えるGilson分取HPLC機器で実施したか;或いは、分取クロマトグラフィーを、MS及びUVトリガーコレクションを備えたWaters AutoPurification HPLC-MS機器で実施し;
(v)キラル分取クロマトグラフィーを、UVコレクションを備えたGilson機器(233インジェクタ/画分コレクタ、333 & 334ポンプ、155 UV検出器)、又はVarian Prep Star機器(2×SD1ポンプ、325 UV検出器、701画分コレクタ)ポンプ(Gilson 305インジェクションでランさせる)で実施したか;或いは、キラル分取クロマトグラフィーを、MS及びUVトリガーコレクションを備えたWaters Prep 100 SFC-MS機器、又はUVコレクションを備えたThar MultiGram III SFC機器で実施した。
(vi)収率は、存在する場合には、必ずしも達成可能な最大値ではなく;
(vii)一般に、式Iの最終-生成物の構造を、核磁気共鳴(NMR)分光法によって確認し;NMR化学シフト値を、デルタスケールで測定し[プロトン磁気共鳴スペクトルを、Bruker Avance 500(500MHz)、Bruker Avance 400(400MHz)、Bruker Avance 300(300MHz)、又はBruker DRX(300MHz)機器を使用して決定した];測定値を、別途明記しない限り、周囲温度にて取り;以下の略語を使用している:s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項;dd、二重項の二重項;ddd、二重項の二重項の二重項;dt、三重項の二重項;bs、ブロードシグナル。
(viii)一般に、式Iの最終生成物をまた、液体クロマトグラフィー(LCMS又はUPLC)後の質量分光法によっても特性決定し;Waters SQ質量分析計(カラム温度40℃、UV=220~300nm又は190~400nm、質量分析=ポジティブ/ネガティブスイッチングによるESI)を備えたWaters UPLCを使用して、1mL/分の流量で、1.50分にわたって(平衡を出発状態等に戻す総ランタイムは1.70分)97%A+3%B~3%A+97%Bの溶媒系を使用してUPLCを実行し、ここで、A=水中0.1%ギ酸若しくは0.05%トリフルオロ酢酸(酸性処理用)、又は水中0.1%水酸化アンモニウム(塩基性処理用)、及びB=アセトニトリルであった。酸性分析に使用したカラムは、Waters Acquity HSS T3(1.8μm、2.1×50mm)であり、塩基性分析に使用したカラムは、Waters Acquity BEH C18(1.7μm、2.1×50mm)であった。或いは、Waters SQ質量分析計(カラム温度30℃、UV=210~400nm、質量分析=ポジティブ/ネガティブスイッチングによるESI)を備えたWaters UPLCを使用して、1mL/分の流量で、1.5分にわたって(平衡を出発状態に戻す総ランタイムは2分)2~98%Bの溶媒勾配を使用してUPLCを実行し、ここで、A=水中0.1%ギ酸及びB=アセトニトリル中0.1%ギ酸(酸性処理用)であるか、又はA=水中0.1%水酸化アンモニウム及びB=アセトニトリル(塩基性処理用)であった。酸性分析に使用したカラムは、Waters Acquity HSS T3(1.8μm、2.1×30mm)であり、塩基性分析に使用したカラムは、Waters Acquity BEH C18(1.7μm、2.1×30mm)であり;Waters ZQ ESCi質量分析計を備えたWaters Alliance HT(2795)及びPhenomenex Gemini-NX C18(5μm、110A、2.1×50mmカラムを使用して、1.1mL/分の流量で、95%A~95%Bで0.5分の保持を伴い、4分にわたってLCMSを実行し、ここで、A=アセトニトリル中0.1%ギ酸及びB=0.1%ギ酸(酸性処理用)、又はA=水中0.1%水酸化アンモニウム及びB=アセトニトリル(塩基性処理用)であった。加えて、島津製作所LCMS-2020質量分析計を備えた島津製作所UFLC、及びWaters HSS C18(1.8μm、2.1×50mm)、又はShim-pack XR-ODS(2.2μm、3.0×50mm)、又はPhenomenex Gemini-NX C18(3μm、3.0×50mm)カラムを使用して、0.7mL/分(Waters HSS C18カラムの場合)、1.0mL/分(Shim-pack XR-ODSカラムの場合)、又は1.2mL/分(Phenomenex Gemini-NX C18の場合)の流量で、95%A~95%Bで0.6分の保持を伴い、2.2分にわたってLCMSを実行し、ここで、A=水中0.1%ギ酸若しくは0.05%トリフルオロ酢酸(酸性処理用)、又は水中0.1%水酸化アンモニウム若しくは6.5mM炭酸アンモニウム(塩基性処理用)、及びB=アセトニトリルであった。報告されている分子イオンは、別途明記しない限り[M+H]+に相当し;複数の同位体パターンがある分子(Br、Cl等)では、報告されている値は、別途明記しない限り最も低い同位体質量で得られたものである。
(ix)イオン交換精製を、一般に、SCX-2(Biotage)カートリッジを使用して実施した。
(x)中間体の純度を、薄層クロマトグラフィー、質量分光法、LCMS、UPLC/MS、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、及び/又はNMR分析によって評価し;
(xi)下記の略語を使用している:
EtOAc:酢酸エチル
Et2O:ジエチルエーテル
DMSO:ジメチルスルホキシド
LAH:水素化アルミニウムリチウム
LiHMDS:リチウムヘキサメチルジシラザン
MeOH:メタノール
TFA:トリフルオロ酢酸
MeCN:アセトニトリル
LCMS:液体クロマトグラフィー質量分析
rt又はRT:室温
aq:水性
THF:テトラヒドロフラン
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
HATU:(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート)
TBAF:テトラブチルアンモニウムフルオリド
AcOH:酢酸
DIAD:アゾジカルボン酸ジイソプロピル
Boc-Ala-OH:N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-アラニン
Boc-Val-OH:N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-バリン
HEPES:(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)。
【0132】
実施例1:(2S,3R)-2-アミノ-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸二塩酸塩
【化30】
【0133】
中間体1:(S)-4-(アリルオキシ)-2-アミノ-4-オキソブタン酸塩酸塩
L-アスパラギン酸(10.66g、80.09mmol)を、N2の雰囲気下で、アリルアルコール(60.0mL、880mmol)に懸濁させた。この懸濁液に、1mL/分の速度で、シリンジポンプにより、クロロトリメチルシラン(31.0mL、240mmol)を滴下した。この反応混合物を、16時間にわたり室温で撹拌した。この反応物を、氷冷Et2O(100mL)で希釈し、この懸濁液をろ別した。固形物を、氷冷Et2O(3回×15mL)で洗浄し、乾燥させて、(S)-4-(アリルオキシ)-2-アミノ-4-オキソブタン酸塩酸塩(中間体1、12.7g、76%収率)を非晶質の白色固形物として得、この固形物を、さらに精製することなく次で使用した。1H NMR(300MHz,D2O)δ 3.14(2H,d),4.25(1H,t),4.70(2H,d),5.26-5.48(2H,m),5.89-6.08(1H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=174.
【0134】
中間体2:(S)-4-アリル 1-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)スクシネート
(S)-4-(アリルオキシ)-2-アミノ-4-オキソブタン酸塩酸塩(中間体1、11.58g、55.24mmol)を、水(100mL)及び1,4-ジオキサン(100mL)に溶解させた。炭酸ナトリウム(23.0g、220mmol)を、室温で少量ずつ添加し、この反応物を5分にわたり撹拌した。この反応物に、1mL/分の速度で、シリンジポンプにより、クロロギ酸ベンジル(8.3mL、58mmol)を滴下した。この二相反応混合物を、4時間にわたり室温で撹拌した。この粗反応物を、pHが<1となるまで濃縮水性HClでクエンチした。層を分離し、水層をEtOAc(2回×25mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮して、無色油状物を得た。この粗カルボン酸を、圧力フラスコ中において、DCM(100mL)に溶解させて-78℃まで冷却した。硫酸(3.0mL、56mmol)を添加し、直後に、予め凝縮されたイソブチレン(pre-condensed isobutylene)(66.0mL、710mmol)を添加した。このフラスコを密封し、3日にわたり撹拌して氷浴を満了させた。この反応物を、飽和水性炭酸水素ナトリウム(200mL)に注ぎ、30分にわたり撹拌した。層を分離し、水層をDCM(2回×20mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(S)-4-アリル 1-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)スクシネート(中間体2、12.2g、61%収率)を無色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.47(9H,s),2.76-2.93(1H,dd),2.94-3.12(1H,dd),4.48-4.57(1H,m),4.60(2H,dq),5.14(2H,s),5.26(1H,dq),5.33(1H,dq),5.71(1H,br d),5.91(1H,ddt),7.31-7.48(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=381.
【0135】
中間体3:2-((S)-1-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)ペンタ-4-エン酸
LiHMDSの溶液(トルエン中に1M、100mL、100mmol)を、オーブンで乾燥させたマルチネックフラスコ(multineck flask)に入れ、N2の雰囲気下においてTHF(50mL)で希釈した。この溶液を-78℃まで冷却し、この反応フラスコに、(S)-4-アリル 1-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)スクシネート(中間体2、12.2g、33.5mmol)をTHF(50mL)溶液として滴下した。この反応物を、80分にわたり-78℃で撹拌した。クロロトリメチルシラン(17.0mL、133mmol)を添加し、この反応物をさらに1時間にわたり-78℃で撹拌した。次いで、この反応物を、160分にわたり60℃まで加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、2M aq.HCl(67mL)でクエンチした。30分にわたり激しく撹拌した後、層を分離して水層をEtOAc(2回×30mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製して、2-((S)-1-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)ペンタ-4-エン酸(中間体3、12.0g、99%)を、約1.7:1の比のジアステレオマーの分離不可能な混合物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.41(3.4H,s)1.43(5.6H,s),2.19-2.43(1H,m),2.44-2.66(1H,m),2.81-2.99(0.65H,m),3.08-3.25(0.35H,m),4.48-4.63(1H,m),4.97-5.20(4H,m),5.52-5.71(1H,m),5.71-5.94(1H,m),7.25-7.39(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=364.
【0136】
中間体4:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート、及び
中間体5:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート
2-((S)-1-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)ペンタ-4-エン酸(中間体3、12.0g、33.0mmol)をTHF(60mL)に溶解させ、N2の雰囲気下で-10℃まで冷却した。N-メチルモルホリン(3.7mL、34mmol)を添加し、この反応物を5分にわたり-10℃で撹拌し、続いてクロロギ酸エチル(3.2mL、33mmol)を添加した。この反応混合物を室温まで温め、40分にわたり撹拌した。得られた懸濁液を、0℃で、水素化ホウ素ナトリウム(3.0g、79mmol)の水(60mL)溶液に直接ろ過した。添加後、この反応物を室温まで温め、3時間にわたり撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、2M aq.HCl(20mL)で注意深くクエンチした。層を分離し、水層をEtOAc(2回×25mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体4、5.77g、50%収率)及び(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体5、3.96g、34%収率)を無色油状物として得た。
【0137】
中間体4:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.46(9H,s),1.70-1.85(1H,m),1.85-1.99(1H,m),2.18-2.37(1H,m),3.26(1H,t),3.63(1H,dd),4.58(1H,dd),4.92-5.06(2H,m),5.10(2H,s),5.55(1H,br d),5.60-5.78(1H,m),7.26-7.39(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=350.
【0138】
中間体5:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.45(9H,s),2.03-2.12(1H,m),2.13-2.23(2H,m),3.65(2H,qd),4.34(1H,br dd),5.00-5.15(4H,m),5.62-5.90(2H,m),7.25-7.41(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=350.
【0139】
中間体6:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((メチルスルホニルオキシ)メチル)ヘキサ-5-エノエート
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体4、4.61g、13.2mmol)のDCM(100mL)溶液に、0℃で、トリエチルアミン(7.4mL、53mmol)及びメタンスルホニルクロリド(2.6mL、33mmol)を連続的に添加した。この反応物を室温まで温め、90分にわたり撹拌した。この粗混合物をDCM(25mL)で希釈し、飽和水性炭酸水素ナトリウム、水、及びブライン(それぞれ25mL)で連続的に洗浄した。有機層をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((メチルスルホニルオキシ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体6、5.3g、93%収率)を淡黄色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.46(9H,s),1.96-2.19(2H,m),2.36-2.58(1H,m),2.97(3H,s),4.00-4.23(2H,m),4.52(1H,br d),5.00-5.17(4H,m),5.34(1H,br d),5.60-5.83(1H,m),7.27-7.37(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=445.
【0140】
中間体7:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((メチルスルホニルオキシ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(0.25g、0.37mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(0.28g、0.74mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。この固形物をDCM(35mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(4.00mL、28.0mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((メチルスルホニルオキシ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体6、5.27g、12.3mmol)をDCM(30mL)溶液として添加し、この反応混合物を一晩撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(6mL)及び水(50mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(2回×15mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((メチルスルホニルオキシ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体7、5.84g、85%収率)を黄色ゴム状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.73(2H,t),1.20(12H,s),1.24-1.42(4H,m),1.45(9H,s),2.30-2.50(1H,m),2.97(3H,s),3.98(1H,t),4.18(1H,dd),4.50(1H,br d),5.02-5.15(2H,m),5.35(1H,br d),7.27-7.42(5H,m);m/z:(ES+)[M+NH4]+=573.
【0141】
中間体8:(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アジドメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((メチルスルホニルオキシ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体7、5.84g、10.5mmol)のDMF(30mL)溶液に、アジ化ナトリウム(3.3g、51mmol)を添加した。この反応物を55℃まで加熱し、N2の雰囲気下で、16時間にわたり撹拌した。アジ化ナトリウムの追加分(200mg、3mmol)を添加し、この反応物を、さらに4時間にわたり55℃で撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、水(100mL)で希釈した。層を分離し、水層をエーテル(3回×35mL)で抽出した。まとめた有機質をブライン(50mL)で洗浄し、次いでMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アジドメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体8、3.52g、67%収率)を無色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.73(2H,t),1.20(12H,s),1.22-1.40(4H,m),1.45(9H,s),2.04-2.20(1H,m),3.15-3.30(1H,m),3.31-3.43(1H,m),4.46(1H,br d),5.10(2H,s),5.37(1H,br d),7.26-7.40(5H,m);m/z:(ES+)[M+NH4]+=520.
【0142】
中間体9:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アジドメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体8、2.16g、4.29mmol)のEtOAc(15mL)溶液に、Pd/C(10重量%、0.46g、0.43mmol)及びジ-tert-ブチル-ジカルボネート(2.50mL、10.8mmol)を添加した。フラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を2時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を珪藻土に通してろ過し、EtOAcですすいだ。ろ液を濃縮して、濁った無色油状物を得、この油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体9、1.65g、71%収率)を白色泡状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.67-0.73(2H,m),0.95-1.16(2H,m),1.20(12H,s),1.37-1.47(29H,m),2.00-2.20(1H,m),2.36-2.56(1H,m),3.31-3.57(1H,m),4.34(1H,br d),5.14(1H,br d),5.68(1H,br s);m/z:(ES-)[M+HCOO-]-=587.
【0143】
実施例1:(2S,3R)-2-アミノ-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸二塩酸塩
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体9、2.2g、4.1mmol)のDCM(32mL)溶液に、HBrの溶液(AcOH中に33重量%、6.0mL、36mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり室温で撹拌した。この反応物をEt2O(10mL)で希釈し、濃縮した。この工程を、さらに2回繰り返した。残留物を、Et2O(40mL)及び2M aq.HCl(40mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(0.989g、8.11mmol)を添加し、この反応物を2時間にわたり室温で撹拌した。層を分離し、水層をEt2O(3回×15mL)で洗浄した。水層を凍結乾燥させ、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18Aq、水中に0~100%MeCN)により精製して、(2S,3R)-2-アミノ-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸二塩酸塩(実施例1、0.713g、64%収率)を黄色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.65-0.87(2H,m),1.32-1.56(4H,m),2.35-2.48(1H,m),3.12(2H,qd),4.09(1H,d);m/z:(ES+)[M-H2O+H]+=187.
【0144】
(2S,3R)-2-アミノ-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸二塩酸塩(実施例1、713mg、2.57mmol)をMeOH(5mL)に溶解させ、予め平衡化したPorapak Rxn Cx(60cc)イオン交換カラムにロードした。樹脂をMeOH(45mL)で洗浄し、続いてMeOH(45mL)中のNH3の5%溶液で洗浄して、生成物を溶出させた。生成物含有画分を回収して濃縮して(2S,3R)-2-アミノ-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸(300mg、57%収率)を、白色の粉末状残留物として得、この残留物は、非環及び環式の配位複合体の4:1混合物として存在する。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.49-0.92(2H,m),1.17-1.76(4H,m),2.03-2.18(0.8H,m),2.48-2.58(0.2H,m),3.01(1.6H,d),3.16-3.26(0.4H,m),3.49(0.8H,d),3.71(0.2H,d);m/z:(ES+)[M-H2O+H]+=187.
【0145】
(2S,3R)-2-アミノ-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸(95mg、0.47mmol)をMeOH(3mL)に溶解させ、パラ-トルエンスルホン酸一水和物(266mg、1.40mmol)を添加した。この反応物を、20時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を濃縮し、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18Aq、水中に0~100%MeCN)により直接精製して、(2S,3R)-2-アミノ-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸ジトシレート(180mg、71%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.74-0.87(2H,m),1.38-1.61(4H,m),2.40(6H,s),2.45-2.48(1H,m),3.15(2H,qd),4.01(1H,d),7.27-7.50(4H,m),7.63-7.79(4H,m);m/z:(ES+)[M-H2O-2TsOH+H]+=187.
【0146】
実施例2:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(モルホリノメチル)ヘキサン酸
【化31】
【0147】
中間体10:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(モルホリノメチル)ヘキサ-5-エノエート
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((メチルスルホニルオキシ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体6、513mg、1.20mmol)のDMF(5mL)溶液に、室温で、モルホリン(1.00mL、11.5mmol)及び炭酸カリウム(829mg、6.00mmol)を添加した。この反応混合物を80℃まで加熱し、16時間にわたりN2の雰囲気下で撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、水(50mL)で希釈した。層を分離し、水層をEt2O(3回×25mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(モルホリノメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体10、285mg、57%収率)を無色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.45(9H,s),1.63-2.61(9H,m),3.54-3.79(4H,m),4.44(1H,br d),4.95-5.16(4H,m),5.63-5.87(1H,m),7.05(1H,br d),7.25-7.39(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=419.
【0148】
中間体11:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(モルホリノメチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(14mg、0.020mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(16mg、0.040mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。固形物をDCM(3mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.22mL、1.5mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(モルホリノメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体10、285mg、0.680mmol)をDCM(2mL)溶液として添加し、この反応混合物を一晩撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(2mL)及び水(10mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(モルホリノメチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体11、228mg、61%収率)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.64-0.83(2H,br t),1.20(12H,s),1.28-1.53(13H,m),1.93-2.63(4H,m),3.06-4.00(4H,m),4.26-4.61(1H,m),4.99-5.18(2H,m),7.26-7.39(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=547.
【0149】
実施例2:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(モルホリノメチル)ヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(モルホリノメチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体11、228mg、0.420mmol)を、6M aq.HCl(4.0mL)に溶解させ、この溶液を16時間にわたり100℃まで加熱した。この反応物を室温まで冷却し、水(5mL)で希釈し、Et2O(3回×10mL)で洗浄した。水層を凍結乾燥させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20ccカラム)により精製した。樹脂をMeOH(15mL)で洗浄し、続いてMeOH(15mL)中のNH3の5%溶液で洗浄して、生成物を溶出させた。生成物含有画分を回収して濃縮して、(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(モルホリノメチル)ヘキサン酸(実施例2、69mg、60%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.72-0.88(2H,m),1.24-1.38(1H,m),1.40-1.58(3H,m),2.19-2.34(1H,m),2.43-2.58(4H,m),2.62-2.77(2H,m),3.71-3.85(4H,m),3.88(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=275.
【0150】
実施例3:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(ピペリジン-1-イルメチル)ヘキサン酸
【化32】
【0151】
中間体12:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)ヘキサ-5-エノエート
塩化オキサリルの溶液(DCM中に2M、0.72mL、1.4mmol)を、オーブンで乾燥させたフラスコに入れ、DCM(3mL)で希釈し、N2の雰囲気下で-78℃まで冷却した。DMSO(0.15mL、2.2mmol)を滴下し、この反応物を10分にわたり-78℃で撹拌した。(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体4、250mg、0.72mmol)をDCM(3mL)溶液として緩やかに添加し、この反応物を30分にわたり-78℃で撹拌した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.50mL、2.9mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり-78℃で撹拌した後、さらに15分にわたり撹拌しつつ0℃まで温めた。この反応混合物を、飽和水性NaHCO3(10mL)でクエンチし、DCM(50mL)で希釈した。層を分離し、aq.層をDCM(2回×20mL)で抽出した。まとめた有機質を無水Na2SO4で脱水し、ろ過し、乾燥させ、ろ過し、残存する溶媒が約8mLとなるまで濃縮した。この粗アルデヒドを、ピペリジン(0.14mL、1.4mmol)、トリアセトキシボロヒドリドナトリウム(379mg、1.79mmol)、及び酢酸(0.041mL、0.72mmol)で処理し、得られた懸濁液を16時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物DCM(50mL)及び飽和水性NaHCO3(10mL)で希釈し、層を分離した。aq.層を、DCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質を、Na2SO4で脱水し、ろ過し、蒸発乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体12、269mg、90%)を無色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ ppm 1.39-1.53(15H,m),1.86-1.94(1H,m),2.07-2.46(8H,m),4.32(1H,d),5.03-5.15(4H,m),5.73-5.85(1H,m),7.26-7.35(5H,m),7.90(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=417.
【0152】
中間体13:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(16mg、0.022mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(24mg、0.062mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。この固形物をDCM(3mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.20mL、1.4mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体12、265mg、0.636mmol)をDCM(3mL)溶液として添加し、この反応混合物を一晩撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(2mL)及び水(10mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体13、240mg、69%収率)を無色油状物として得た。m/z:(ES+)[M+H]+=545。
【0153】
実施例3:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(ピペリジン-1-イルメチル)ヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ピペリジン-1-イルメチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体13、240mg、0.44mmol)を、6M aq.HCl(12mL)に溶解させ、この溶液を16時間にわたり100℃まで加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、H2O(25mL)で希釈し、EtOAc(2回×15mL)で洗浄した。水層を減圧下で濃縮し、得られた残留物を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18、水中に0~50%アセトニトリル)で精製して、(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(ピペリジン-1-イルメチル)ヘキサン酸(実施例3、79mg、36%収率)を白色固形物として得た。得られた物質は、標題の生成物とC3ジアステレオマーとの5.7:1混合物であった。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.81-0.84(2H,m),1.42-1.58(5H,m),1.75-1.86(3H,m),1.93-1.99(2H,m),2.49(0.2H,s,br),2.62-2.64(0.76H,m),2.92-3.05(2H,m),3.16-3.43(2H,m),3.53-3.66(2H,m),4.15(0.8H,d),4.23(0.2H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=273.
【0154】
実施例4:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-((メチルアミノ)メチル)ヘキサン酸
【化33】
【0155】
中間体14:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((4-メトキシベンジル)(メチル)アミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート
塩化オキサリルの溶液(DCM中に2M、0.57mL、1.1mmol)を、オーブンで乾燥させたフラスコに入れ、DCM(2mL)で希釈し、N2の雰囲気下で-78℃まで冷却した。DMSO(0.12mL、1.7mmol)を滴下し、この反応物を10分にわたり-78℃で撹拌した。(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体4、200mg、0.57mmol)をDCM(3mL)溶液として緩やかに添加し、この反応物を30分にわたり-78℃で撹拌した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.40mL、2.3mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり-78℃で撹拌した後、さらに15分にわたり撹拌しつつ0℃まで温めた。この反応混合物を飽和水性NaHCO3(10mL)でクエンチし、DCM(20mL)で希釈した。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質を無水Na2SO4で脱水し、ろ過し、残存する溶媒が約8mLになるまで濃縮した。この粗アルデヒドを、1-(4-メトキシフェニル)-N-メチルメタンアミン(173mg、1.14mmol)、トリアセトキシボロヒドリドナトリウム(415mg、1.96mmol)、及び酢酸(0.033mL、0.57mmol)で処理し、得られた懸濁液を4時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物をDCM(30mL)及び飽和水性NaHCO3(20mL)で希釈し、層を分離した。aq.相を、DCM(3回×30mL)で抽出した。まとめた有機質を無水Na2SO4で脱水し、ろ過し、蒸発乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((4-メトキシベンジル)(メチル)アミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体14、221mg、80%収率)を無色油状物として得た。m/z:(ES+)[M+H]+=483。
【0156】
中間体15:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((4-メトキシベンジル)(メチル)アミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(11mg、0.017mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(17mg、0.046mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。この固形物をDCM(3mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.15mL、1.0mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((4-メトキシベンジル)(メチル)アミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体14、220mg、0.46mmol)をDCM(3mL)溶液として添加し、この反応混合物を一晩撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(2mL)及び水(10mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((4-メトキシベンジル)(メチル)アミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体15、182mg、65%収率)を無色油状物として得た。m/z:(ES+)[M+H]+=610。
【0157】
実施例4:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-((メチルアミノ)メチル)ヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((4-メトキシベンジル)(メチル)アミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体15、162mg、0.27mmol)のMeOH(10mL)溶液に、Pd/C(10重量%、280mg、0.26mmol)を添加した。この懸濁液を、4時間にわたり、室温で、水素雰囲気下(バルーン、フラスコを排気し、水素を3回再充填した)にて撹拌した。この反応混合物をMeOHで希釈し、珪藻土に通してろ過し、ろ液を濃縮乾固させた。得られた残留物を、6M aq.HCl(10mL)に溶解させ、2時間にわたり100℃まで加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、H2O(10mL)で希釈し、DCM(2回×15mL)で洗浄した。水層を減圧下で濃縮し、得られた残留物を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18、水中に0~30%アセトニトリル)により精製して、(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-((メチルアミノ)メチル)ヘキサン酸(実施例4、33mg、43%収率)を白色固体として得た。得られた物質は、標題の生成物とC3ジアステレオマーとの6.1:1混合物であった。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.73-0.81(2H,m),1.35-1.55(4H,m),2.27-2.45(1H,m),2.74(3H,s),3.05-3.22(1.82H,m),3.29-3.37(0.12H,m),3.85-3.93(0.81H,m),3.99-4.03(0.12H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=219.
【0158】
実施例5:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-((ジメチルアミノ)メチル)ヘキサン酸
【化34】
【0159】
中間体16:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((ジメチルアミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート
塩化オキサリルの溶液(DCM中に2M、2.54mL、5.08mmol)を、オーブンで乾燥させたフラスコに入れ、DCM(10mL)で希釈し、N2の雰囲気下で-78℃まで冷却した。DMSO(0.54mL、7.6mmol)を滴下し、この反応混合物を10分にわたり-78℃で撹拌した。(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体4、888mg、2.54mmol)をDCM(10mL)溶液として緩やかに添加し、この反応物を30分にわたり-78℃で撹拌した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.50mL、2.9mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり-78℃で撹拌した後、さらに15分にわたり撹拌しつつ0℃まで温めた。この反応混合物を飽和水性NaHCO3(20mL)でクエンチし、DCM(40mL)で希釈した。層を分離し、aq.層をDCM(2回×20mL)で抽出した。まとめた有機質を無水Na2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗アルデヒドの一部(294mg、0.847mmol)をDCM(20mL)に溶解させ、ジメチルアミンの溶液(THF中に2M、1.70mL、3.40mmol)を添加し、続いてトリアセトキシボロヒドリドナトリウム(448mg、2.12mmol)及び酢酸(0.048mL、0.85mmol)を添加した。得られた懸濁液を、15時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物をDCM(50mL)及び飽和水性NaHCO3(10mL)で希釈し、層を分離した。aq.層を、DCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をNa2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((ジメチルアミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体16、253mg、79%収率)を無色油状物として得た。m/z:(ES+)[M+H]+=377。
【0160】
中間体17:(4R,5S)-5-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-tert-ブトキシ-4-((ジメチルアミノ)メチル)-6-オキソヘキシルボロン酸
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(16mg、0.025mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(26mg、0.067mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。この固形物をDCM(3mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.22mL、1.5mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((ジメチルアミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体16、253mg、0.672mmol)をDCM(3mL)溶液として添加し、この反応混合物を一晩混合した。この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(2mL)及び水(10mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(4R,5S)-5-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-tert-ブトキシ-4-((ジメチルアミノ)メチル)-6-オキソヘキシルボロン酸(中間体17、223mg、79%収率)を得た。m/z:(ES+)[M+H]+=422。
【0161】
実施例5:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-((ジメチルアミノ)メチル)ヘキサン酸
(4R,5S)-5-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-tert-ブトキシ-4-((ジメチルアミノ)メチル)-6-オキシヘキシルボロン酸(中間体17、223mg、0.528mmol)を、6M aq.HCl(15mL)に溶解させ、この溶液を20時間にわたり100℃まで加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、固形物をろ過により除去し、水で洗浄した。水性ろ液をDCM(3回×20mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。得られた残留物をMeOH(3mL)に溶解させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20ccカラム)により精製した。MeOH中5%アンモニア溶液(20mL)を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。生成物含有画分を回収して濃縮し、(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-((ジメチルアミノ)メチル)ヘキサン酸(実施例5、68mg、56%収率)を白色固形物として得た。得られた物質は、標題の化合物とC3ジアステレオマーとの10:1混合物であった。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.77(2H,m),1.25-1.48(4H,m),2.25(1H,m),2.69(6H,s),2.85-3.05(2H,m),3.62(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=233.
【0162】
実施例6:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(グアニジノメチル)ヘキサン酸二塩酸塩
【化35】
【0163】
中間体18:tert-ブチル(2S,3R)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-(((2,2,10,10-テトラメチル-4,8-ジオキソ-3,9-ジオキサ-5,7-ジアザウンデカン-6-イリデン)アミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体4、500mg、1.43mmol)を、無水トルエン(14mL)に溶解させた。トリフェニルホスフィン(826mg、3.15mmol)及び1.3-ビス(tert-ブトキシカルボニル)グアニジン(742mg、2.86mmol)を添加し、この溶液を0℃まで冷却した。DIAD(637mg、3.15mmol)を滴下し、この反応混合物を室温まで温め、次いで30分にわたり100℃までさらに加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、水(5mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、tert-ブチル(2S,3R)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-(((2,2,10,10-テトラメチル-4,8-ジオキソ-3,9-ジオキサ-5,7-ジアザウンデカン-6-イリデン)アミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体18、300mg、35.5%)を粘着性油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.40(9H,s),1.49-1.61(18H,m),2.11-2.50(3H,m),3.75-4.05(2H,m),4.21(1H,br d),4.97-5.17(4H,m),5.67-5.91(1H,m),6.20(1H,br s),7.27-7.40(5H,m),9.01-9.60(2H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=591.
【0164】
中間体19:tert-ブチル(2S,3R)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(((2,2,10,10-テトラメチル-4,8-ジオキソ-3,9-ジオキサ-5,7-ジアザウンデカン-6-イリデン)アミノ)メチル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(13mg、0.019mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(16mg、0.042mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。この固形物をDCM(8mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.18mL、1.3mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、tert-ブチル(2S,3R)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-(((2,2,10,10-テトラメチル-4,8-ジオキソ-3,9-ジオキサ-5,7-ジアザウンデカン-6-イリデン)アミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体18、300mg、0.51mmol)をDCM(2mL)溶液として添加し、この反応物を24時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を濃縮乾固させ、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により直接精製して、tert-ブチル(2S,3R)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(((2,2,10,10-テトラメチル-4,8-ジオキソ-3,9-ジオキサ-5,7-ジアザウンデカン-6-イリデン)アミノ)メチル)ヘキサノエート(中間体19、190mg、52%収率)を無色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.75(2H,t),1.12-1.24(14H,m),1.33-1.42(10H,m),1.46(9H,s),1.48-1.55(10H,m),2.23-2.42(1H,m),3.54-3.87(1H,m),3.91-4.09(1H,m),4.13-4.27(1H,m),4.99-5.19(2H,m),6.12-6.50(1H,m),7.27-7.40(5H,m),9.11-9.55(2H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=719.
【0165】
実施例6:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(グアニジノメチル)ヘキサン酸二塩酸塩
tert-ブチル(2S,3R)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(((2,2,10,10-テトラメチル-4,8-ジオキソ-3,9-ジオキサ-5,7-ジアザウンデカン-6-イリデン)アミノ)メチル)ヘキサノエート(中間体19、45mg、0.063mmol)を、6M aq.HCl(2.08mL、12.5mmol)に溶解させ、この反応混合物を30分にわたり90℃まで加熱した。この反応物を70℃まで冷却し、さらに1時間にわたり撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、水(2mL)で希釈し、EtOAc(3回×1mL)で抽出した。水層を凍結乾燥させて、(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3(グアニジノメチル)ヘキサン酸二塩酸塩(実施例6、10mg、50%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.80(2H,br d),1.37-1.62(4H,m),2.41(1H,br d),3.34(2H,dd),4.09(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=247.
【0166】
実施例7:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(ウレイドメチル)ヘキサン酸
【化36】
【0167】
中間体20:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(ウレイドメチル)ヘキサノエート
EtOAc(40mL)中の(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アジドメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体8、485mg、1.04 mmol)及びイソシアナトトリメチルシラン(0.35mL、2.6mmol)の溶液に、Pd/C(10重量%、220mg、0.21mmol)を添加した。この混合物を排気して窒素を3回再充填し、次いで排気して水素を再充填した。この懸濁液を、3時間にわたり、室温にて、水素雰囲気下で撹拌した。イソシアナトトリメチルシランの追加分(0.15mL、1.1mmol)を添加し、この懸濁液をさらに20分にわたり室温で撹拌した。この反応混合物をDCMで希釈し、珪藻土に通してろ過し、ろ液を濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(ウレイドメチル)ヘキサノエート(中間体20、242mg、48%収率)を白色固形物として得た。m/z:(ES+)[M+H]+=486。
【0168】
実施例7:(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(ウレイドメチル)ヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3-(ウレイドメチル)ヘキサノエート(中間体20、242mg、0.466mmol)のDCM(6mL)撹拌溶液に、トリフルオロ酢酸(6.00mL、77.9mmol)を緩やかに添加し、この反応物を6時間にわたり室温で撹拌した。この溶液を減圧下で濃縮し、得られた残留物を1M aq.HCl(5mL)及びEt2O(5mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(117mg、0.96mmol)を添加し、この透明な二相溶液を16時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物をEt2O及び水で希釈し、層を分離した。水層をEt2O(2回×30mL)で洗浄し、水層を凍結乾燥させた。粗物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18、水中に0~50%アセトニトリル)により精製して、(2S,3R)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(ウレイドメチル)ヘキサン酸(実施例7、5.0mg、4%収率)を白色固形物として得た。
1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.77-0.82(2H,m),1.24-1.49(4H,m),2.11-2.20(1H,m),3.07-3.22(2H,m),3.71(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=248.
【0169】
実施例8:(2S,3R)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
【化37】
【0170】
中間体21:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(トリメチルシリル)エチルスルホンアミド)メチル)ヘキサ-5-エノエート
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体4、938mg、2.68mmol)及びtert-ブチル((2-(トリメチルシリル)エチル)スルホニル)カルバメート(1.1g、3.9mmol)を、THF(10mL)に溶解させ、0℃まで冷却した。トリフェニルホスフィン(1.06mg、4.03mmol)及びDIAD(1.1mL、5.7mmol)を添加し、この反応物を、室温まで緩やかに温めつつ16時間にわたり撹拌した。この反応物を飽和水性炭酸水素ナトリウム(10mL)によりクエンチし、層を分離した。水層を、EtOAc(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機層をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(トリメチルシリル)エチルスルホンアミド)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体21、1.56g、95%)を無色ゴム状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.04(9H,s),0.81-0.99(2H,m),1.46(9H,s),1.49(9H,m),2.05-2.29(2H,m),2.44-2.58(1H,m),3.34-3.54(2H,m),3.55-3.81(2H,m),4.35(1H,br dd),4.93-5.20(4H,m),5.42(1H,br d),5.69-5.96(1H,m),7.26-7.45(5H,m);m/z:(ES+)[M+NH4]+=630.
【0171】
中間体22:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(トリメチルシリル)エチルスルホンアミド)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体21、1.40g、2.28mmol)を、TBAFの溶液(THF中に1M、12.0mL、12.0mmol)に溶解させ、得られた溶液を16時間にわたり室温で撹拌した。この反応物をEt2O(40mL)で希釈し、続いて水(3回×25mL)及び飽和水性炭酸水素ナトリウム(20mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体22、576mg、56%収率)を無色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.43(9H,s),1.44(9H,s),1.74-1.88(1H,m),1.89-2.00(1H,m),2.17-2.30(1H,m),2.41-2.60(1H,m),3.38-3.62(1H,m),4.46(1H,dd),4.98-5.08(2H,m),5.09(2H,s),5.40(1H,br d),5.52-5.88(2H,m),7.27-7.38(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=449.
【0172】
中間体23:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(13mg、0.065mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(49mg、0.13mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。この固形物をDCM(4mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.50mL、3.5mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体22、576mg、1.28mmol)をDCM(3mL)溶液として添加し、この反応物を3日にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(2mL)及び水(15mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体23、424mg、57%収率)を淡黄色ゴム状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.57-0.81(2H,m),0.94-1.15(2H,m),1.19(12H,s),1.28-1.59(20H,m),2.05-2.23(1H,m),2.40-2.57(1H,m),3.39-3.60(1H,m),4.43(1H,dd),5.08(2H,s),5.41(1H,br d),5.53-5.78(1H,m),7.27-7.38(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=577.
【0173】
中間体24:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体23、424mg、0.740mmol)のジオキサン(1.5mL)溶液に、0℃で、HClの溶液(ジオキサン中に4M、1.5mL、6.0mmol)を添加した。この反応物を、室温まで緩やかに温めつつ6時間にわたり撹拌した。この溶液を濃縮して黄色ゴム状物を得、このゴム状物を、精製することなく直接使用した。別個のフラスコ中において、Boc-L-Val-OH(354mg、1.63mmol)のDMF(3.5mL)溶液に、HATU(619mg、1.63mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。粗アミンをDMF(3.5mL)に溶解させ、この別の反応フラスコに入れた。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.45mL、2.6mmol)を添加し、この反応物を16時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物をEtOAc(15mL)で希釈し、1M aqHCl(60mL)及び5%水性塩化リチウム(10mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体24、476mg、95%収率)を淡黄色ゴム状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.59-0.82(2H,m),0.87-0.98(6H,m),1.18(12H,s),1.28-1.55(22H,m),2.07-2.24(2H,m),2.31-2.51(1H,m),3.38-3.54(1H,m),3.74-3.89(1H,m),3.89-4.06(1H,m),4.35(1H,dd),5.08(2H,s),5.50(1H,br d),6.92(1H,br s),7.26-7.37(5H,m);m/z:(ES-)[M+HCOO-]-=720.
【0174】
実施例8:(2S,3R)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体24、476mg、0.700mmol)を、HBrの溶液(AcOH中に33重量%、3.5mL、21mmol)に溶解させ、この反応物を20分にわたり室温で撹拌した。この反応物をEt2O(10mL)で希釈し、濃縮した。この工程を、さらに2回繰り返した。得られた残留物を、2M aq.HCl(5mL)及びEt2O(5mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(172mg、1.41mmol)を添加し、この透明な二相溶液を2時間にわたり室温で撹拌した。層を分離し、水層をEt2O(3回×10mL)で洗浄し、凍結乾燥させた。得られた固形物をMeOH(1mL)に溶解させ、イオン交換クロマトグラフィー(HyperSep Retain CXカラム)により精製した。MeOH中5%アンモニア溶液(15mL)を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。得られた物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18、水中に0~100%アセトニトリル)によりさらに精製して、(2S,3R)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸(実施例8、46mg、21%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.70-0.85(2H,m),0.96(6H,dd),1.24-1.59(4H,m),2.00(1H,六重項),2.16-2.35(1H,m),3.23-3.43(3H,m),3.68(1H,d);m/z:(ES-)[M-H]-=302.
【0175】
実施例9:(2S,3R)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
【化38】
【0176】
中間体25:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体23、1.27g、2.20mmol)のジオキサン(1.5mL)溶液に、0℃で、HClの溶液(ジオキサン中に4M、4.40mL、17.6mmol)を添加した。この反応物を、室温まで緩やかに温めつつ4.5時間にわたり撹拌した。この溶液を濃縮して黄色ゴム状物を得、このゴム状物を、精製することなく直接使用した。別個のフラスコ中において、Boc-Abu-OH(335mg、1.65mmol)のDMF(5mL)溶液に、HATU(619mg、1.63mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。先の作業からの粗アミンを2つの等しい部分(仮定524mg、1.10mmol)に分け、1つの部分をDMF(5mL)に溶解させ、この別の反応フラスコに入れた。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.60mL、3.4mmol)を添加し、この反応物を2時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物をEtOAc(15mL)で希釈し、1M aq.HCl(60mL)及び5%水性塩化リチウム(10mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体25、516mg、71%収率)を無色ゴム状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.58-0.82(2H,m),0.93(3H,t),1.19(12H,s),1.38-1.45(22H,m),1.60-1.76(1H,m),1.77-1.97(2H,m),2.10-2.26(1H,m),2.40(1H,dt),3.78-3.90(1H,m),4.03-4.16(1H,m),4.34(1H,dd),5.08(2H,s),5.15-5.24(1H,m),5.48(1H,br d),7.27-7.39(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=662.
【0177】
実施例9:(2S,3R)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体25、516mg、0.780mmol)を、HBrの溶液(AcOH中に33重量%、4.0mL、24mmol)に溶解させ、この反応物を20分にわたり室温で撹拌した。この反応物をEt2O(10mL)で希釈し、濃縮した。この工程を、さらに2回繰り返した。得られた残留物を、2M aq.HCl(5mL)及びEt2O(7mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(190mg、1.6mmol)を添加し、この透明な二相溶液を2時間にわたり室温で撹拌した。層を分離し、水層をEt2O(3回×10mL)で洗浄し、凍結乾燥させた。得られた固形物をMeOH(1mL)に溶解させ、イオン交換クロマトグラフィー(Silicycle SPE-R51230B-20Xカラム)により精製した。MeOH中5%アンモニア溶液(15mL)を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。得られた物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18、水中に0~100%アセトニトリル)によりさらに精製して、(2S,3R)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸(実施例9、101mg、45%収率)を白色固体として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.66-0.85(2H,m),0.92(3H,t),1.24-1.55(4H,m),1.65-1.83(2H,m),2.16-2.31(1H,m),3.24-3.39(2H,m),3.56(1H,t),3.65(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=290.
【0178】
実施例10:(2S,3R)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノプロパンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
【化39】
【0179】
中間体26:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体23、375mg、0.650mmol)のジオキサン(2mL)溶液に、0℃で、HClの溶液(ジオキサン中に4M、0.34mL、1.4mmol)を添加し、この反応物を50分にわたり0℃で撹拌した。HClの追加分(ジオキサン中に4M、0.34mL、1.4mmol)を添加し、この反応物をさらに1時間にわたり撹拌した。HClの追加分(ジオキサン中に4M、0.70mL、2.7mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり撹拌し、次いで16時間にわたり-20℃の冷凍庫に入れた。この反応物を室温まで昇温させ、20分にわたり撹拌した。この溶液を濃縮して黄色ゴム状物を得、このゴム状物を、精製することなく直接使用した。別個のフラスコ中において、Boc-Ala-OH(271mg、1.43mmol)のDMF(3mL)溶液にHATU(544mg、1.43mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。粗アミンをDMF(3mL)に溶解させ、この別の反応フラスコに入れた。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.38mL、2.2mmol)を添加し、この反応物を2時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物をEtOAc(15mL)で希釈し、1M aqHCl(60mL)及び5%水性塩化リチウム(30mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体26、268mg、64%収率)を淡黄色ゴム状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.55-0.84(2H,m),0.96-1.27(14H,m),1.30-1.52(23H,m),2.07-2.27(1H,m),2.34-2.63(1H,m),2.74-2.99(1H,m),3.61-3.93(1H,m),3.99-4.23(1H,m),4.23-4.42(1H,m),4.90-5.24(3H,m),5.41-5.60(1H,m),7.33(5H,br s);m/z:(ES+)[M+H]+=648.
【0180】
実施例10:(2S,3R)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノプロパンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体26、268mg、0.410mmol)を、HBrの溶液(AcOH中に33重量%、2.0mL、12mmol)に溶解させ、この反応物を20分にわたり室温で撹拌した。この反応物をEt2O(5mL)で希釈し、濃縮した。この工程を、さらに2回繰り返した。得られた残留物を、2M aq.HCl(2.5mL)及びEt2O(5mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(100mg、0.83mmol)を添加し、この透明な二相溶液を2時間にわたり室温で撹拌した。層を分離し、水層をEt2O(3回×10mL)で洗浄し、凍結乾燥させた。得られた固形物をMeOH(1mL)に溶解させ、イオン交換クロマトグラフィー(HyperSep Retain CXカラム)により精製した。MeOH中5%アンモニア溶液(15mL)を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。得られた物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18、水中に0~100%アセトニトリル)によりさらに精製して、(2S,3R)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノプロパンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸(実施例10、45mg、39%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.63-0.84(2H,m),1.20-1.55(7H,m),2.14-2.25(1H,m),3.20-3.36(2H,m),3.62(1H,d),3.74(1H,q);m/z(ES+)[M+H]+=276.
【0181】
実施例11:(2S,3R)-3-(アセトアミドメチル)-2-アミノ-6-ボロノヘキサン酸
【化40】
【0182】
中間体27:(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アセトアミドメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体23、1.27g、2.20mmol)のジオキサン(1.5mL)溶液に、0℃で、HClの溶液(ジオキサン中に4M、4.40mL、17.6mmol)を添加した。この反応物を、室温まで緩やかに温めつつ4.5時間にわたり撹拌した。この溶液を濃縮して黄色ゴム状物を得、このゴム状物を、精製することなく直接使用した。粗アミンを2つの等しい部分(仮定524mg、1.10mmol)に分け、1つの部分をDMF(5mL)に溶解させた。トリエチルアミン(0.40mL、2.9mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。塩化アセチル(0.10mL、1.4mmol)を添加し、この反応物をさらに2時間にわたり撹拌した。この反応物を水(15mL)でクエンチし、DCM(20mL)で希釈した。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機層を飽和水性炭酸水素ナトリウム(20mL)で洗浄し、次いでMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アセトアミドメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体27、538mg、94%収率)を無色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.55-0.81(2H,m),1.19(12H,s),1.26-1.59(13H,m),1.98(3H,s),2.07-2.20(1H,m),2.33-2.45(1H,m),3.84(1H,ddd),4.36(1H,dd),5.08(2H,s),5.49(1H,br d),6.76-6.90(1H,m),7.26-7.40(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=519.
【0183】
実施例11:(2S,3R)-3-(アセトアミドメチル)-2-アミノ-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アセトアミドメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体27、538mg、1.04mmol)を、HBrの溶液(AcOH中に33重量%、5.0mL、30mmol)に溶解させ、この反応物を20分にわたり室温で撹拌した。この反応物をEt2O(10mL)で希釈し、濃縮した。この工程を、さらに2回繰り返した。得られた残留物を、2M aq.HCl(7mL)及びEt2O(7mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(253mg、2.08mmol)を添加し、この透明な二相溶液を2時間にわたり室温で撹拌した。層を分離し、水層をEt2O(3回×10mL)で洗浄し、凍結乾燥させた。得られた固形物をMeOH(1mL)に溶解させ、イオン交換クロマトグラフィー(Silicycle SPE-R51230B-20Xカラム)により精製した。MeOH中5%アンモニア溶液(15mL)を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。得られた物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18、水中に0~100%アセトニトリル)によりさらに精製して、(2S,3R)-3-(アセトアミドメチル)-2-アミノ-6-ボロノヘキサン酸(実施例11、84mg、33%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.67-0.86(2H,m),1.26-1.59(4H,m),2.01(3H,s),2.14-2.31(1H,m),3.15-3.39(2H,m),3.71(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=247.
【0184】
実施例12:(2S,3R)-3-(アミノメチル)-6-ボロノ-2-(メチルアミノ)ヘキサン酸
【化41】
【0185】
中間体28:(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アジドメチル)-2-((ベンジルオキシカルボニル)(メチル)アミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アジドメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体8、155mg、0.310mmol)をDMF(2mL)に溶解させ、この溶液を0℃まで冷却した。水素化ナトリウム(油中に60重量%分散、15mg、0.37mmol)を添加し、この反応物を室温まで温め、15分にわたり撹拌した。ヨードメタン(0.05mL、0.8mmol)を添加し、この反応物を16時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を水(15ml)で希釈し、Et2O(3回×15mL)で抽出した。まとめた有機質を、5%水性塩化リチウム(10mL)で洗浄して、MgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アジドメチル)-2-((ベンジルオキシカルボニル)(メチル)アミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体28、109mg、68%収率)を無色油状物として且つ回転異性体の55:45混合物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.66-0.82(2H,m),1.21(12H,s),1.23-1.37(3H,m),1.40(5H,s),1.42(4H,s)1.46-1.53(1H,m),2.06-2.22(1H,m),2.86(3H,s),3.37-3.55(2H,m),4.50(0.55H,br d),4.65(0.45H,br d),4.95-5.30(2H,m),7.26-7.41(5H,m);m/z:(ES+)[M+NH4]+=534.
【0186】
実施例12:(2S,3R)-3-(アミノメチル)-6-ボロノ-2-(メチルアミノ)ヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 3-(アジドメチル)-2-((ベンジルオキシカルボニル)(メチル)アミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体28、109mg、0.210mmol)のEtOAc(2mL)溶液に、Pd/C(10重量%、22mg、0.020mmol)及びジ-tert-ブチル-ジカルボネート(115mg、0.530mmol)を添加した。このフラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を16時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を珪藻土に通してろ過し、EtOAcですすいだ。ろ液を濃縮乾固させ、DCM(3mL)に溶解させた。HBrの溶液(AcOH中に33%、0.50mL、3.0mmol)を添加し、この反応物を20分にわたり室温で撹拌した。この反応物をEt2O(5mL)で希釈し、濃縮した。この工程を、さらに2回繰り返した。得られた残留物を、2M aq.HCl(2mL)及びEt2O(2mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(51mg、0.42mmol)を添加し、この透明な二相溶液を2時間にわたり室温で撹拌した。層を分離し、水層をEt2O(3回×10mL)で洗浄し、凍結乾燥させた。得られた固形物を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18、水中に0~100%アセトニトリル)により精製して、暗黄色固形物を得た。得られた物質をMeOH(1mL)に再度溶解させ、予め平衡化したHypersep Retain CX(2g)イオン交換カラムにロードした。樹脂をMeOH(15mL)で洗浄し、続いてMeOH(15mL)中のNH3の5%溶液で洗浄して、生成物を溶出させた。生成物含有画分を濃縮して無色残留物を得、この残留物を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18Aq、水中に0~100%MeCN)によりさらに精製して、(2S,3R)-3-(アミノメチル)-6-ボロノ-2-(メチルアミノ)ヘキサン酸(実施例12、15mg、33%)を白色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.68-0.91(2H,m),1.34-1.59(4H,m),2.11-2.26(1H,m),2.60(3H,s),3.07(2H,qd),3.51(1H,d);m/z:(ES+)[M-H2O+H]+=201.
【0187】
実施例13:(2S,3R)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸
【化42】
【0188】
中間体29:(2S,3R)-tert-ブチル 2-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタンアミド)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体23、950mg、1.65mmol)のEtOAc(12mL)溶液に、Pd/C(10重量%、180mg、0.16mmol)を添加した。このフラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を16時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を珪藻土に通してろ過し、EtOAc(50mL)ですすいだ。ろ液を濃縮して淡黄色油状物を得、この油状物を、さらに精製することなく直接使用した。別個のフラスコ中において、Boc-L-Val-OH(210mg、0.95mmol)のDMF(4mL)溶液に、HATU(363mg、0.95mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。先の作業からの粗アミンを2つの等しい部分(仮定364mg、0.825mmol)に分け、1つの部分をDMF(5mL)に溶解させ、この別の反応フラスコに入れた。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.35mL、2.0mmol)を添加し、この反応物を2時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物をEtOAc(15mL)で希釈し、1M aq.HCl(80mL)及び飽和水性塩化ナトリウム(20mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で脱水し、ろ過して、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタンアミド)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体29、400mg、72%収率)を無色ゴム状物として得た。1H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ 0.55-0.69(2H,m),0.84(6H,dd),1.16(12H,s),1.31-1.43(31H,m),1.83-2.07(2H,m),2.55-2.66(1H,m),2.98-3.13(1H,m),3.83(1H,br t),4.30-4.47(1H,m),6.29-6.44(1H,m),6.72(1H,br d),7.83-7.94(1H,m);m/z:(ES-)[M+HCOO-]-=686.
【0189】
実施例13:(2S,3R)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 2-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタンアミド)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体29、200mg、0.31mmol)のDCM(4mL)溶液に、HBrの溶液(AcOH中に33重量%、0.75mL、4.6mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり室温で撹拌した。この反応物をEt2O(5mL)で希釈し、濃縮した。この工程を、さらに2回繰り返した。得られた残留物を、1M aq.HCl(7mL)及びEt2O(5mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(114mg、0.940mmol)を添加し、この透明な二相溶液を2時間にわたり室温で撹拌した。層を分離し、水層をEt2O(3回×10mL)で洗浄し、凍結乾燥させた。得られた固形物をMeOH(1mL)に溶解させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20 ccカラム)により精製した。MeOH中5%アンモニア溶液(15mL)を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。得られた物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18、水中に0~100%アセトニトリル)によりさらに精製して、(2S,3R)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸(実施例13、57mg、61%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.67-0.85(2H,m),0.97(6H,dd),1.16-1.56(4H,m),1.95-2.15(1H,六重項),2.38(1H,td),2.76(1H,dd),3.14(1H,dd),3.47(1H,d),4.41(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=304.
【0190】
実施例14:(2S,3R)-3-(アミノメチル)-2-((S)-2-アミノプロパンアミド)-6-ボロノヘキサン酸
【化43】
【0191】
中間体30:(2S,3R)-tert-ブチル 3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-2-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体23、950mg、1.65mmol)のEtOAc(12mL)溶液に、Pd/C(10重量%、180mg、0.16mmol)を添加した。このフラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を16時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を珪藻土に通してろ過し、EtOAc(50mL)ですすいだ。ろ液を濃縮して淡黄色油状物を得、この油状物を、さらに精製することなく直接使用した。別個のフラスコ中において、Boc-Ala-OH(180mg、0.95mmol)のDMF(4mL)溶液にHATU(363mg、0.95mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。先の作業からの粗アミンを2つの等しい部分(仮定364mg、0.825mmol)に分け、1つの部分をDMF(5mL)に溶解させ、この別の反応フラスコに入れた。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.35mL、2.0mmol)を添加し、この反応物を16時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物をEtOAc(15mL)で希釈し、1M aq.HCl(80mL)及び飽和水性塩化ナトリウム(20mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-2-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体30、191mg、36%収率)を無色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.54-0.82(2H,m),0.84-1.12(2H,m),1.19(12H,s),1.29-1.38(4H,m),1.38-1.58(28H,m),2.07-2.24(1H,m),2.25-2.44(1H,m),3.29-3.61(1H,m),4.05-4.19(1H,m),4.55-4.71(1H,m),4.86-5.14(1H,m),5.60-6.01(1H,m),6.66(1H,br d);m/z:(ES+)[M+H]+=614.
【0192】
実施例14:(2S,3R)-3-(アミノメチル)-2-((S)-2-アミノプロパンアミド)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3R)-tert-ブチル 3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-2-((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体30、191mg、0.310mmol)のDCM(4mL)溶液に、HBrの溶液(AcOH中に33重量%、0.75mL、4.6mmol)を添加し、この反応物を1.5時間にわたり室温で撹拌した。この反応物をEt2O(5mL)で希釈し、濃縮した。この工程を、さらに2回繰り返した。得られた残留物を、1M aq.HCl(7mL)及びEt2O(7mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(114mg、0.940mmol)を添加し、この透明な二相溶液を2時間にわたり室温で撹拌した。層を分離し、水層をEt2O(3回×5mL)で洗浄し、凍結乾燥させた。得られた固形物をMeOH(1mL)に溶解させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20 ccカラム)により精製した。MeOH中5%アンモニア溶液(15mL)を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。得られた物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18、水中に0~100%アセトニトリル)によりさらに精製して、(2S,3R)-3-(アミノメチル)-2-((S)-2-アミノプロパンアミド)-6-ボロノヘキサン酸(実施例14、59mg、68%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.67-0.87(2H,m),1.17-1.55(7H,m),2.39(1H,tq),2.74(1H,dd),3.12(1H,dd),3.79(1H,q),4.40(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=276.
【0193】
実施例15:(2S,3R)-2-アミノ-3-(2-アミノエチル)-6-ボロノヘキサン酸二塩酸塩
【化44】
【0194】
中間体31:(S,E)-tert-ブチル 4-(3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エニル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート
tert-ブチル (R)-4-ホルミル-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート(6.00g、26.2mmol)のトルエン(220mL)溶液に、0℃で、メチル(トリフェニルホスホラニリデン)アセテート(9.62g、28.8mmol)を添加した。添加後、この反応物を室温まで温め、40時間にわたり撹拌した。この反応混合物を濃縮し、得られた残留物をEt2O(50mL)で希釈した。固形物をろ過により除去し、Et2O(20mL)で洗浄した。ろ液を、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(S,E)-tert-ブチル 4-(3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エニル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート(中間体31、5.74g、77%収率)を回転異性体の混合物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.37-1.50(9H,m),1.51-1.57(3H,m),1.63(3H,br s),3.70-3.83(4H,m),4.05-4.12(1H,m),4.33-4.64(1H,m),5.84-6.03(1H,m),6.85(1H,br dd);m/z:(ES+)[M+H]+=286.
【0195】
中間体32:(S)-tert-ブチル 4-((S)-1-エトキシ-1-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート
3首フラスコを、N2下で乾燥させた。ヨウ化銅(I)(23.4g、123mmol)を入れ、この固形物をTHF(100mL)で希釈した。この懸濁液を5℃まで冷却し、プロパ-1-エン-1-イルマグネシウム ブロミド(THF中に0.5M、491mL、245mmol)の溶液を、N2の雰囲気下で、さらなる漏斗により滴下した。この混合物を30分にわたり5℃で撹拌し、次いで-78℃まで冷却した。10分にわたる-78℃での撹拌後、塩化トリメチルシリル(15.68mL、122.7mmol)を添加し、続いて(S,E)-tert-ブチル 4-(3-エトキシ-3-オキソプロパ-1-エニル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート(中間体31、7.00g、24.5mmol)のTHF(20mL)溶液を添加した。添加後、この反応物を30分にわたり-78℃で撹拌し、次いで、さらに30分にわたり撹拌しつつ-30℃~-20℃まで温めた。この反応物を、-20℃で、濃縮aq.NH4OH:飽和aq.NH4Cl(1:9、200mL)により注意深くクエンチした。この粗混合物を室温まで温め、固形物を真空ろ過により除去した。二相ろ液を分離し、水層をEtOAc(3回×100mL)で抽出した。まとめた有機質をNa2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(S)-tert-ブチル 4-((S)-1-エトキシ-1-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート(中間体32、6.80g、85%収率)を回転異性体及びE/Zオレフィンの混合物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.40-1.52(12H,m),1.54-1.75(6H,m),2.14-2.36(1H,m),2.42-2.65(1H,m),3.29-3.55(1H,m),3.63(3H,m),3.73-4.01(3H,m),5.10-5.37(1H,m),5.46-5.70(1H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=328.
【0196】
中間体33:(S)-tert-ブチル 4-((S)-1-ヒドロキシヘキサ-4-エン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート
(S)-tert-ブチル 4-((S)-1-エトキシ-1-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート(中間体32、3.50g、10.7mmol)を無水THF(18mL)に溶解させ、この溶液を、N2の雰囲気下で0℃まで冷却した。この反応物に、LAHの溶液(THF中に2M、5.34mL、10.7mmol)を滴下し、この反応混合物を1時間にわたり0℃で撹拌した。この反応物を、0℃で、水(0.4mL)、15%aq.NaOH(0.4mL)、及び水(1.2mL)により注意深くクエンチした。得られた懸濁液を室温まで温め、10分にわたり撹拌した。Na2SO4(5g)を添加し、この懸濁液をろ過し、固形物ケーキをEtOAc(50mL)で洗浄した。ろ液を、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(S)-tert-ブチル 4-((S)-1-ヒドロキシヘキサ-4-エン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート(中間体33、3.10g、97%収率)を回転異性体及びE/Zオレフィンの混合物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.43-1.52(14H,m),1.54-1.72(6H,m),1.73-1.88(1H,m),2.48-3.17(1H,m),3.50-3.73(2H,m),3.75-4.01(3H,m),5.12-5.38(1H,m),5.43-5.77(1H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=300.
【0197】
中間体34:(S)-tert-ブチル 2,2-ジメチル-4-((S)-1-(メチルスルホニルオキシ)ヘキサ-4-エン-3-イル)オキサゾリジン-3-カルボキシレート
(S)-tert-ブチル 4-((S)-1-ヒドロキシヘキサ-4-エン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート(中間体33、3.00g、10.0mmol)のDCM(25mL)溶液に、0℃で、トリエチルアミン(1.96mL、14.0mmol)及びメタンスルホン酸無水物(2.27g、13.0mmol)を連続的に添加した。この反応物を室温まで温め、1時間にわたり撹拌した。この粗反応混合物をDCM(25ml)で希釈し、1M aq.HCl(10mL)及び飽和NaHCO3(5mL)で洗浄した。有機質をNa2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させて、(S)-tert-ブチル 2,2-ジメチル-4-((S)-1-(メチルスルホニルオキシ)ヘキサ-4-エン-3-イル)オキサゾリジン-3-カルボキシレート(中間体34)を回転異性体及びE/Zオレフィンの混合物として得、この混合物を、さらに精製することなく使用した。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.39-1.51(12H,m),1.53-1.64(4H,m),1.66-1.77(3H,m),1.89-2.12(1H,m),2.97(3H,s),3.07-3.20(1H,m),3.74-4.00(3H,m),4.03-4.17(1H,m),4.22-4.35(1H,m),5.05-5.27(1H,m),5.54-5.84(m,1H);m/z:(ES+)[M+H]+=378.
【0198】
中間体35:(S)-tert-ブチル 4-((S)-1-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサ-4-エン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート
ジ-tert-ブチル イミノジカルボキシレート(2.319g、10.68mmol)のDMF(30mL)溶液に、0℃で、水素化ナトリウム(油中に60重量%、427mg、10.68mmol)を添加し、この懸濁液を20分にわたり0℃で撹拌した後、さらに10分にわたり、撹拌しつつ室温まで温めた。(S)-tert-ブチル 2,2-ジメチル-4-((S)-1-(メチルスルホニルオキシ)ヘキサ-4-エン-3-イル)オキサゾリジン-3-カルボキシレート(中間体34、2.60g、6.89mmol)のDMF(3mL)溶液を添加し、この反応物を、N2の雰囲気下で、3時間にわたり95℃まで加熱した。この反応混合液を室温まで冷却し、濃縮した。得られた残留物を水(10mL)及びEtOAc(20mL)で希釈し、層を分離した。有機相をNa2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(S)-tert-ブチル 4-((S)-1-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサ-4-エン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート(中間体35、2.60g、76%収率)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.36-1.52(30H,m),1.53-1.95(8H,m),2.26-2.97(1H,m),3.28-3.44(1H,m),3.48-3.66(1H,m),3.70-4.00(3H,m),5.14-5.29(1H,m),5.40-5.83(1H,m);m/z:(ES+)[M+Na]+=521.
【0199】
中間体36:tert-ブチル(tert-ブトキシカルボニル)((S)-3-((S)-1-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-ヒドロキシエチル)ヘキサ-4-エン-1-イル)カルバメート
(S)-tert-ブチル 4-((S)-1-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサ-4-エン-3-イル)-2,2-ジメチルオキサゾリジン-3-カルボキシレート(中間体35、1.50g、3.01mmol)のアセトニトリル(30mL)溶液に、室温で、塩化セリウム(III)七水和物(3.36g、9.02mmol)及びシュウ酸(0.027g、0.30mmol)を連続的に添加した。得られた懸濁液を、2時間にわたり室温で撹拌した。この懸濁液をろ過し、固形物をEtOAcで洗浄した。ろ液を濃縮し、次いでEtOAc(50mL)で希釈し、水(20mL)及びブライン(10mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、tert-ブチル(tert-ブトキシカルボニル)((S)-3-((S)-1-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-ヒドロキシエチル)ヘキサ-4-エン-1-イル)カルバメート(中間体36、830mg、60%収率)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.43(9H,s),1.49(18H,s),1.56-1.85(5H,m),2.17-2.77(1H,m),3.34-3.72(5H,m),4.52-4.76(1H,m),5.13-5.35(1H,m),5.47-5.78(1H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=459.
【0200】
中間体37:(2S,3S)-3-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサ-4-エン酸
tert-ブチル(tert-ブトキシカルボニル)((S)-3-((S)-1-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-ヒドロキシエチル)ヘキサ-4-エン-1-イル)カルバメート(中間体36、400mg、0.87mmol)をアセトン(5mL)に溶解させ、N2の雰囲気下で-20℃まで冷却した。Jones試薬(aq H2SO4中に2.37M、1.14mL、3.05mmol)を緩やかに添加し、この溶液を5時間にわたり-20~-10℃で撹拌した。この反応混合物を濃縮し、残留物を水(10mL)とEtOAc(10mL)との間で分割した。水相を、EtOAc(3回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をNa2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、不純物を含む(2S,3S)-3-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサ-4-エン酸(中間体37、200mg、48%収率)を得た。m/z:(ES+)[M+H]+=471。
【0201】
中間体38:(2S,3S)-tert-ブチル 3-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサ-4-エノエート
(2S,3S)-3-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサ-4-エン酸(中間体37、250mg、0.53mmol)のDCM(5mL)溶液に、2-tert-ブチル-1,3-ジイソプロピルイソ尿素(0.42mL、1.9mmol)を添加し、この反応物を、16時間にわたり、N2の雰囲気下で室温にて撹拌した。この反応懸濁液をろ過して、不溶性固形物を除去した。ろ液に、2-tert-ブチル-1,3-ジイソプロピルイソ尿素(0.05mL、0.2mmol)を添加し、この反応物をさらに48時間にわたり室温で撹拌した。この粗混合物を濃縮乾固させ、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により直接精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 3-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサ-4-エノエート(中間体38、120mg、43%収率)を粘着性油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.33-1.57(37H,m),1.60-1.68(3H,m),1.71-1.90(1H,m),2.45-3.06(1H,m),3.37-3.66(2H,m),4.20-4.28(1H,m),4.90-5.08(1H,m),5.18(1H,td),5.44-5.87(1H,m);m/z:(ES+)[M+Na]+=551.
【0202】
中間体39:(2S,3R)-tert-ブチル 3-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(15mg、0.022mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(17mg、0.046mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。固形物をDCM(2.6mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.21mL、1.4mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3S)-tert-ブチル 3-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサ-4-エノエート(中間体38、300mg、0.57mmol)をDCM(2mL)溶液として添加し、この反応物を24時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を濃縮乾固させ、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により直接精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 3-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体39、100mg、27%収率)を無色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.73(2H,t),1.22(12H,s),1.43(12H,s),1.46-1.74(30H,m),1.80-1.90(1H,br d),3.42-3.77(2H,m),4.28(1H,br dd),5.03(1H,br d);m/z:(ES+)[M+Na]+=679.
【0203】
実施例15:(2S,3R)-2-アミノ-3-(2-アミノエチル)-6-ボロノヘキサン酸二塩酸塩
(2S,3R)-tert-ブチル 3-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体39、230mg、0.35mmol)をHCl(ジオキサン中に4M、1.75mL、7.01mmol)に溶解させ、この反応物を、30分にわたり、N2の雰囲気下で室温にて撹拌した。この反応物を60℃まで加熱し、1時間にわたり撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、1M aq.HCl(1mL)で希釈した。フェニルボロン酸(214mg、1.75mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり60℃まで加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、揮発性物質を真空下で除去した。この粗溶液を水(5mL)で希釈し、EtOAc(4回×3mL)で洗浄した。水相を凍結乾燥させて、(2S,3R)-2-アミノ-3-(2-アミノエチル)-6-ボロノヘキサン酸二塩酸塩(実施例15、80mg、78%収率)を乾燥薄膜状物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.81(2H,br t),1.35-1.55(4H,m),1.72-1.91(2H,m),2.06-2.30(1H,m),3.05-3.23(2H,m),4.07(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=219.
【0204】
実施例16:(2S,3S)-2-アミノ-6-ボロノ-3-カルバモイルヘキサン酸
【化45】
【0205】
中間体40:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-カルバモイルヘキサ-5-エノエート
2-((S)-1-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)ペンタ-4-エン酸(中間体3、270mg、0.74mmol)のDMF(3mL)溶液に、HATU(311mg、0.818mmol)、塩化アンモニウム(159mg、2.97mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.78mL、4.5mmol)を添加し、この反応物を15時間にわたり室温で撹拌した。この混合物をDCM及び飽和水性塩化アンモニウムで希釈した。層を分離し、水層をDCMで抽出した。まとめた有機質をNa2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、純粋なジアステレオマーである(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-カルバモイルヘキサ-5-エノエート(中間体40、148mg、55%収率)及び(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-カルバモイルヘキサ-5-エノエート(86mg、32%収率)を得た。主要なジアステレオマーの立体化学を、先の類似物からの類推により割りあてた。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 1.39(9H,s),2.26-2.47(2H,m),2.78-3.00(1H,m),4.19-4.43(1H,m),5.01-5.16(4H,m),5.71-5.81(1H,m),5.82-5.87(1H,m),5.96-6.05(1H,m),6.13-6.21(1H,m),7.25-7.37(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=363.
【0206】
中間体41:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-カルバモイル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(15mg、0.022mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(18mg、0.045mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。この固形物をDCM(1.5mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(67μL、0.46mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-カルバモイルヘキサ-5-エノエート(中間体40、84mg、0.23mmol)をDCM(1mL)溶液として添加し、この反応物を15時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(2mL)及び水(10mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-カルバモイル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体41、73mg、64%収率)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.72-0.82(2H,m),1.20(12H,s),1.34-1.41(9H,m),1.43-1.52(2H,m),1.53-1.62(1H,m),1.62-1.72(1H,m),2.68-2.93(1H,m),4.19-4.40(1H,m),5.01-5.09(1H,m),5.09-5.16(1H,m),5.67-5.94(2H,m),6.04-6.25(1H,m),7.24-7.35(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=491.
【0207】
実施例16:(2S,3S)-2-アミノ-6-ボロノ-3-カルバモイルヘキサン酸
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-カルバモイル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体41、73mg、0.15mmol)のDCM(2mL)溶液に、HBrの溶液(AcOH中に33重量%、0.5mL、2.8mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり室温で撹拌した。この反応物を濃縮し、得られた残留物をEt2O(2mL)及び2M aq.HCl(2mL)で希釈した。フェニルボロン酸(36mg、0.30mmol)を添加し、この透明な二相溶液を15時間にわたり室温で撹拌した。層を分離し、水層をEt2O(3回×10mL)で洗浄し、凍結乾燥させた。得られた固形物をMeOH(1mL)に溶解させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20ccカラム)により精製した。MeOH中5%アンモニア溶液(15mL)を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させて、(2S,3S)-2-アミノ-6-ボロノ-3-カルバモイルヘキサン酸(実施例16、31mg、96%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,D2O)δ 0.79(2H,td),1.44(2H,quin),1.53-1.61(1H,m),1.64-1.73(1H,m),2.87-3.00(1H,m),3.77(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=219.
【0208】
実施例17:(2S,3S)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(メチルカルバモイル)ヘキサン酸
【化46】
【0209】
中間体42:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(メチルカルバモイル)ヘキサ-5-エノエート
2-((S)-1-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)ペンタ-4-エン酸(中間体3、231mg、0.64mmol)のDMF(3mL)溶液に、HATU(266mg、0.699mmol)、メチルアミン塩酸塩(172mg、2.54mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.67mL、3.8mmol)を添加し、この反応物を15時間にわたり室温で撹拌した。この混合物を、DCM及び飽和水性塩化アンモニウムで希釈した。層を分離し、水層をDCMで抽出した。まとめた有機質をNa2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、純粋なジアステレオマーである(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(メチルカルバモイル)ヘキサ-5-エノエート(中間体42、133mg、56%収率)及び(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(メチルカルバモイル)ヘキサ-5-エノエート(77mg、32%収率)を得た。主要なジアステレオマーの立体化学を、先の類似物からの類推により割りあてた。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 1.37(9H,s),2.24-2.45(2H,m),2.71(3H,d),2.81(1H,td),4.19-4.41(1H,m),4.96-5.18(4H,m),5.66-5.77(1H,m),5.77-5.84(1H,m),6.09-6.35(1H,m),7.24-7.36(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=377.
【0210】
中間体43:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(メチルカルバモイル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(8.1mg、0.012mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(9.7mg、0.024mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。この固形物をDCM(1mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(59μL、0.40mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(メチルカルバモイル)ヘキサ-5-エノエート(中間体42、76mg、0.20mmol)をDCM(1.5mL)溶液として添加し、この反応物を15時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(2mL)及び水(10mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(メチルカルバモイル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体43、70mg、69%収率)を得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.64-0.87(2H,m),1.20(13H,s),1.31-1.45(10H,m),1.49-1.60(1H,m),1.63-1.72(1H,m),2.60-2.77(4H,m),4.30(1H,br dd),5.02-5.09(1H,m),5.09-5.16(1H,m),5.75-5.91(1H,m),6.28(1H,br d),7.24-7.35(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=505.
【0211】
実施例17:(2S,3S)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(メチルカルバモイル)ヘキサン酸
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(メチルカルバモイル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体43、70mg、0.14mmol)のDCM(2mL)溶液に、HBrの溶液(AcOH中に33重量%、0.5mL、2.8mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり室温で撹拌した。この反応物を濃縮し、得られた残留物をEt2O(2mL)及び2M aq.HCl(2mL)で希釈した。フェニルボロン酸(34mg、0.28mmol)を添加し、この透明な二相溶液を15時間にわたり室温で撹拌した。層を分離し、水層をEt2O(3回×10mL)で洗浄し、凍結乾燥させた。得られた固形物をMeOH(1mL)に溶解させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20ccカラム)により精製した。MeOH中5%アンモニア溶液(15mL)を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させて、(2S,3S)-2-アミノ-6-ボロノ-3-(メチルカルバモイル)ヘキサン酸(実施例17、30mg、93%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,D2O)δ 0.71-0.85(2H,m),1.31-1.45(2H,m),1.51-1.60(1H,m),1.62-1.73(1H,m),2.67(3H,s),2.89(1H,dt),3.80(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=233.
【0212】
実施例18:(2S,3S)-2-アミノ-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸二塩酸塩
【化47】
【0213】
中間体44:(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((メチルスルホニルオキシ)メチル)ヘキサ-5-エノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体5、1.00g、2.86mmol)のDCM(20mL)溶液に、0℃で、トリエチルアミン(1.70mL、12.2mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.60mL、7.7mmol)を添加した。この反応物を室温まで温め、90分にわたり撹拌した。この粗混合物をDCM(10mL)で希釈し、飽和水性炭酸水素ナトリウム、水、及びブライン(それぞれ25mL)で連続的に洗浄した。有機層をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固した。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((メチルスルホニルオキシ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体44、1.17g、96%収率)を淡黄色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.46(9H,s),1.94-2.11(1H,m),2.18-2.32(1H,m),2.34-2.53(1H,m),2.97(3H,s),4.12-4.24(2H,m),4.45(1H,br dd),5.00-5.18(4H,m),5.42(1H,br d),5.63-5.89(1H,m),7.25-7.37(5H,m);m/z:(ES+)[M+NH4]+=445.
【0214】
中間体45:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)ヘキサ-5-エノエート
フタルイミドカリウム(0.558g、3.01mmol)及びヨウ化カリウム(0.227g、1.37mmol)を、N2の雰囲気下で、オーブンで乾燥させたフラスコに入れた。(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((メチルスルホニルオキシ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体44、1.17g、2.74mmol)をDMF(15mL)溶液として添加し、この反応物を3時間にわたり95℃まで加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、水(30mL)で希釈した。層を分離し、aq.層をEt2O(3回×20mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体45、0.725g、55%収率)を無色油状物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.20(9H,s),2.04-2.26(2H,m),2.69(1H,pentet),3.61(2H,d),4.47(1H,br d),4.98-5.22(4H,m),5.75-5.94(1H,m),5.99(1H,br d),7.25-7.42(5H,m),7.63-7.72(2H,m),7.77-7.87(2H,m);m/z:(ES+)[M+NH4]+=496.
【0215】
中間体46:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(31mg、0.046mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(35mg、0.090mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。この固形物をDCM(5mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.50mL、3.5mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体45、725mg、1.52mmol)をDCM(4mL)溶液として添加し、この反応物を15時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(2mL)及び水(10mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体46、612mg、67%収率)をガラス状の無色残留物として得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 0.79(2H,br t),1.19(12H,s),1.21(9H,s),1.25-1.54(3H,m),1.59-1.77(1H,m),2.51-2.66(1H,m),3.49-3.67(2H,m),4.44(1H,br d),5.11(2H,s),5.96(1H,br d),7.26-7.41(5H,m),7.61-7.72(2H,m),7.75-7.85(2H,m);m/z:(ES+)[M+NH4]+=624.
【0216】
実施例18:(2S,3S)-2-アミノ-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸二塩酸塩
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体46、315mg、0.520mmol)を、6M aq.HCl(5mL)に溶解させ、この溶液を16時間にわたり100℃まで加熱した。この反応物を室温まで冷却し、水(10mL)で希釈し、エーテル(3回×10mL)で洗浄した。水層を凍結乾燥させ、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18Aq、水中に0~100%MeCN)により精製して、(2S,3S)-2-アミノ-3-(アミノメチル)-6-ボロノヘキサン酸二塩酸塩(実施例18、94mg、65%収率)を黄色固形物として得た。1H NMR(300MHz,D2O)δ 0.73-0.91(2H,m),1.34-1.64(4H,m),2.29-2.45(1H,m),3.27(2H,qd),4.16(1H,d);m/z:(ES+)[M-H2O+H]+=187.
【0217】
実施例19:(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
【化48】
【0218】
中間体47:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(トリメチルシリル)エチルスルホンアミド)メチル)ヘキサ-5-エノエート
(2S,3R)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(ヒドロキシメチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体5、747mg、2.14mmol)及びtert-ブチル((2-(トリメチルシリル)エチル)スルホニル)カルバメート(602mg、2.14mmol)をTHF(10mL)に溶解させ、0℃まで冷却した。トリフェニルホスフィン(842mg、3.21mmol)及びDIAD(0.85mL、4.4mmol)を添加し、この反応物を、室温まで緩やかに温めつつ16時間にわたり撹拌した。この反応物を飽和水性炭酸水素ナトリウム(20mL)でクエンチし、層を分離した。水層を、EtOAc(2回×15mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(トリメチルシリル)エチルスルホンアミド)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体47、860mg、66%収率)を得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)0.04(9H,s),0.91-1.01(2H,m),1.46(9H,s),1.50(9H,s),2.04-2.13(2H,m),2.41-2.65(1H,m),3.33-3.47(2H,m),3.58-3.81(2H,m),4.40(1H,br d),4.96-5.19(4H,m),5.66(1H,br d),5.72-5.96(1H,m),7.25-7.41(5H,m);m/z:(ES+)[M+NH4]+=630.
【0219】
中間体48:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(トリメチルシリル)エチルスルホンアミド)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体47、1.23g、2.01mmol)のTHF(6mL)溶液に、TBAFの溶液(THF中に1M、6.0mL、6.0mmol)を添加し、この反応物を30分にわたり室温で撹拌した。この反応物をEt2O(30mL)で希釈し、続いて水(3回×15mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体48、834mg、93%収率)を淡黄色油状物として得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 1.41(9H,s),1.45(9H,s),1.90-1.99(1H,m),2.06-2.16(1H,m),2.17-2.30(1H,m),2.92-3.14(1H,m),3.14-3.27(1H,m),4.36(1H,br dd),4.46-4.69(1H,m),5.03-5.15(4H,m),5.70-5.92(2H,m),7.26-7.39(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=449.
【0220】
中間体49:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)ジクロリド(48mg、0.071mmol)及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(55mg、0.14mmol)を、オーブンで乾燥させた丸底フラスコに入れた。このフラスコを密封し、N2でパージした。この固形物をDCM(7mL)に溶解させ、この溶液に、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.76mL、5.2mmol)を緩やかに添加した。この反応物を、10分にわたり室温で撹拌した。この反応物に、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)ヘキサ-5-エノエート(中間体48、1.071g、2.39mmol)をDCM(6mL)溶液として添加し、この反応物を15時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、MeOH(2mL)及び水(15mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(2回×10mL)で抽出した。まとめた有機質をMgSO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体49、1.01g、73%収率)を淡黄色ゴム状物として得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.75(2H,br t),1.20(12H,s),1.30-1.38(2H,m),1.40(9H,s),1.43(9H,s),1.46-1.51(2H,m),2.09(1H,br s),2.98-3.12(1H,m),3.12-3.25(1H,m),4.30(1H,br dd),4.55-4.79(1H,m),5.01-5.18(2H,m),5.77(1H,br d),7.25-7.38(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=577.
【0221】
中間体50:(2S,3S)-tert-ブチル 3-(アミノメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体49、773mg、1.34mmol)のジオキサン(3.5mL)溶液に、0℃で、HClの溶液(ジオキサン中に4M、3.35mL、13.4mmol)を添加した。この反応物を、室温まで緩やかに温めつつ2時間にわたり撹拌した。この溶液を濃縮乾固させて、(2S,3S)-tert-ブチル 3-(アミノメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体50、639mg、100%収率)をオフホワイトの固形物として得、この固形物を、さらに精製することなく使用した。m/z:(ES+)[M+H]+=476.
【0222】
中間体51:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
Boc-Val-OH(220mg、1.01mmol)のDMF(4mL)溶液に、HATU(385mg、1.01mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。次いで、この反応物に、(2S,3S)-tert-ブチル 3-(アミノメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体50、438mg、0.919mmol)をDMF(6mL)溶液として添加した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.80mL、4.6mmol)を添加し、この反応物を3時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を飽和水性NH4Cl及びDCMで希釈し、層を分離した。水層を、DCM(3回×20mL)で抽出した。まとめた有機質を、Na2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体51、450mg、72%収率)を白色泡状物として得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.72(2H,br t),0.80-0.97(6H,m),1.13-1.35(13H,m),1.37-1.63(21H,m),1.95(1H,br s),2.07-2.17(1H,m),3.07-3.31(1H,m),3.34-3.54(1H,m),3.80-4.00(1H,m),4.14-4.28(1H,m),5.00-5.23(3H,m),5.50-5.78(1H,m),6.28-6.70(1H,m),7.25-7.45(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=676.
【0223】
実施例19:(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体51、450mg、0.67mmol)のEtOAc(10mL)溶液に、Pd/C(10重量%、71mg、0.070mmol)を添加した。フラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を珪藻土に通してろ過し、EtOAc及びメタノールですすいだ。ろ液を濃縮乾固させ、得られた残留物をHCl(ジオキサン中に4M、10.0mL、40.0mmol)に溶解させた。この反応物を50℃まで加熱し、1.5時間にわたり撹拌した。この反応物を室温まで冷却し、濃縮した。得られた残留物を、1M aq.HCl(15ml)及びEt2O(15mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(155mg、1.27mmol)を添加し、この反応物を4時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、Et2Oで洗浄した。水層を凍結乾燥させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20ccカラム)により精製した。2.5M アンモニア/メタノールを使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させて、(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸(実施例19、147mg、76%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,D2O)δ 0.70-0.85(2H,m),0.91-1.01(6H,m),1.29-1.56(4H,m),1.94-2.05(1H,m),2.17-2.31(1H,m),3.26-3.44(3H,m),3.70(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=304.
【0224】
実施例20:(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノプロパンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
【化49】
【0225】
中間体52:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
Boc-Ala-OH(279mg、1.48mmol)のDMF(4mL)溶液に、HATU(561mg、1.48mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。次いで、この反応物に、(2S,3S)-tert-ブチル 3-(アミノメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体50、639mg、1.34mmol)をDMF(6mL)溶液として添加した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.17mL、6.71mmol)を添加し、この反応物を3時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を飽和水性NH4Cl及びDCMで希釈し、層を分離した。水層を、DCM(3回×30mL)で抽出した。まとめた有機質を、Na2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体52、662mg、76%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.65-0.78(2H,m),1.19(12H,s),1.32(3H,br d),1.37-1.55(22H,m),1.95-2.07(1H,m),3.10-3.27(1H,m),3.30-3.50(1H,m),3.87-4.45(2H,m),5.08(2H,br s),5.13-5.23(1H,m),5.76(1H,br s),6.52-6.80(1H,m),7.25-7.44(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=648.
【0226】
実施例20:(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノプロパンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体52、662mg、1.02mmol)のEt2O(10mL)溶液に、Pd/C(10重量%、110mg、0.10mmol)を添加した。フラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を珪藻土に通してろ過し、EtOAc及びメタノールですすいだ。ろ液を濃縮乾固させ、得られた残留物をHCl(ジオキサン中に4M、10.0mL、40.0mmol)に溶解させ、この反応物を3.5時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を濃縮し、得られた固形物をEt2Oで粉砕した。この固形物を、1M aq.HCl(15ml)及びEt2O(15mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(245mg、2.01mmol)を添加し、この反応物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、Et2Oで洗浄した。水層を凍結乾燥させ、イオン交換クロマトグラフィー(Silicycle SPE-R51230B-20Xカラム)により精製した。2.5M アンモニア/メタノールを使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させて、(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノプロパンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸(実施例20、250mg、91%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,D2O)δ 0.68-0.79(2H,m),1.26(3H,br d),1.29-1.36(2H,m),1.37-1.49(2H,m),2.10-2.27(1H,m),3.16-3.37(2H,m),3.50-3.64(2H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=276.
【0227】
実施例21:(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
【化50】
【0228】
中間体53:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
DCM(3mL)中のHATU(220mg,0.58mmol)及びBoc-Abu-OH(230mg、1.13mmol)の懸濁液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.49mL、2.8mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。この懸濁液にDMF(1mL)を添加し、この反応物をさらに5分にわたり室温で撹拌した。(2S,3S)-tert-ブチル 3-(アミノメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体50、238mg、0.499mmol)のDCM(2mL)溶液を添加し、この反応物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水及びDCMで希釈し、層を分離した。水層を、DCM(2回×20mL)で抽出した。まとめた有機質を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、Na2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体53、110mg、29%収率)を得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.73(2H,br s),0.91(3H,br s),1.21(13H,br s),1.30-1.37(1H,m),1.39-1.43(9H,m),1.45(9H,br s),1.49-1.65(2H,m),1.86(1H,br s),2.00(1H,br s),2.14-2.69(1H,m),3.20(1H,br s),3.31-3.61(1H,m),3.99(1H,br s),4.13-4.34(1H,m),5.09(3H,br s),5.66-5.88(1H,m),6.46-6.72(1H,m),7.28-7.39(5H,m).
【0229】
実施例21:(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体53、107mg、0.162mmol)の酢酸エチル(5mL)溶液に、Pd/C(10重量%、43mg、0.040mmol)を添加した。フラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を珪藻土に通してろ過し、EtOAc及びメタノールですすいだ。ろ液を濃縮し、得られた残留物をDCM(1mL)及びトリフルオロ酢酸(3mL)に溶解させ、この反応物を一晩室温で撹拌した。この反応物を濃縮し、残留物を1M aq.HCl(2mL)及びEt2O(2mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(38mg、0.31mmol)を添加し、この反応物を3時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、Et2Oで洗浄した。水層を凍結乾燥させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20ccカラム)により精製した。メタノール中のアンモニアの5%溶液を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させて、(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸(実施例21、40mg、89%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,D2O)δ 0.74(2H,td),0.85(3H,br t),1.27-1.36(2H,m),1.37-1.47(2H,m),1.56-1.71(2H,m),2.11-2.20(1H,m),3.20-3.35(2H,m),3.39(1H,t),3.60(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=290.
【0230】
実施例22:(2S,3S)-2-アミノ-3-(((2S,3S)-2-アミノ-3-メチルペンタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
【化51】
【0231】
中間体54:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((2S,3S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルペンタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
DCM(3mL)及びDMF(3mL)中のHATU(365mg、0.960mmol)及びBoc-Ile-OH(462mg、2.00mmol)の懸濁液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.84mL、4.8mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。(2S,3S)-tert-ブチル 3-(アミノメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体50、336mg、0.705mmol)のDCM(3mL)溶液を添加し、この反応物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水及びDCMで希釈し、層を分離した。水層を、DCM(2回×20mL)で抽出した。まとめた有機質を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、Na2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((2S,3S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルペンタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体54、260mg、47%収率)を得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.73(2H,br t),0.83-0.97(6H,m),1.08(1H,br s),1.21(13H,br s),1.29-1.63(22H,m),1.82-1.92(1H,m),1.92-2.04(1H,m),3.18(1H,br s),3.43(1H,br d),3.96(1H,br s),4.21(1H,br d),5.09(3H,br s),5.58-5.80(1H,m),6.40-6.69(1H,m),7.29-7.40(5H,m).
【0232】
実施例22:(2S,3S)-2-アミノ-3-(((2S,3S)-2-アミノ-3-メチルペンタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((2S,3S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチルペンタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体54、256mg、0.371mmol)の酢酸エチル(8mL)溶液に、Pd/C(10重量%、99mg、0.093mmol)を添加した。フラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を珪藻土に通してろ過し、EtOAc及びメタノールですすいだ。ろ液を濃縮し、得られた残留物をDCM(2mL)及びトリフルオロ酢酸(6mL)に溶解させ、この反応物を3時間にわたり室温で撹拌した。この反応物を濃縮し、残留物を1M aq.HCl(2mL)及びEt2O(5mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(82mg、0.67mmol)を添加し、この反応物を一晩室温で撹拌した。この反応混合液を水で希釈して、Et2Oで洗浄した。水層を凍結乾燥させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20ccカラム)により精製した。メタノール中のアンモニアの5%溶液を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させて、(2S,3S)-2-アミノ-3-(((2S,3S)-2-アミノ-3-メチルペンタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸(実施例22、93mg、87%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,D2O)δ 0.68-0.78(2H,m),0.80-0.91(6H,m),1.07-1.18(1H,m),1.27-1.48(5H,m),1.69(1H,br d),2.14(1H,br d),3.21-3.36(3H,m),3.62(1H,br d);m/z:(ES+)[M+H]+=318.
【0233】
実施例23:(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノ-3,3-ジメチルブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
【化52】
【0234】
中間体55:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3,3-ジメチルブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
DCM(3mL)及びDMF(3mL)中のHATU(472mg、1.24mmol)及びBoc-Tle-OH(550mg、2.4mmol)の懸濁液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.08mL、6.20mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。(2S,3S)-tert-ブチル 3-(アミノメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体50、434mg、0.911mmol)のDCM(4.5mL)溶液を添加し、この反応物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水及びDCMで希釈し、層を分離した。水層を、DCM(2回×20mL)で抽出した。まとめた有機質を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、Na2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3,3-ジメチルブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体55、560mg、79%収率)を無色油状物として得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.75(2H,br t),0.95-1.05(9H,m),1.18-1.25(13H,m),1.32-1.40(1H,m),1.42-1.45(9H,m),1.46-1.51(9H,m),1.52-1.62(1H,m),1.64-1.73(1H,m),1.88-2.04(1H,m),3.08-3.27(1H,m),3.39-3.56(1H,m),3.74-3.90(1H,m),4.18-4.30(1H,m),5.05-5.17(2H,m),5.31(1H,s),5.47-5.80(1H,m),6.14-6.44(1H,m),7.30-7.40(5H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=690.
【0235】
実施例23:(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノ-3,3-ジメチルブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(((S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3,3-ジメチルブタンアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体55、359mg、0.521mmol)の酢酸エチル(12mL)溶液に、Pd/C(10重量%、138mg、0.130mmol)を添加した。フラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を珪藻土に通してろ過し、EtOAc及びメタノールですすいだ。ろ液を濃縮し、得られた残留物をDCM(3mL)及びトリフルオロ酢酸(9mL)に溶解させ、この反応物を3時間にわたり室温で撹拌した。この反応物を濃縮し、残留物を1M aq.HCl(3mL)及びEt2O(5mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(127mg、1.04mmol)を添加し、この反応物を一晩室温で撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、Et2Oで洗浄した。水層を凍結乾燥させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20ccカラム)により精製した。メタノール中のアンモニアの5%溶液を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。得られた物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18Aq、水中に0~10%アセトニトリル)によりさらに精製して、(2S,3S)-2-アミノ-3-(((S)-2-アミノ-3,3-ジメチルブタンアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸(実施例23、96mg、58%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,D2O w/ TFA)δ 0.52-0.73(2H,m),0.90(9H,s),1.17-1.41(4H,m),2.11-2.23(1H,m),3.21-3.34(2H,m),3.49-3.55(1H,m),3.91-4.00(1H,m);m/z:(ES+)[M+H]+=318.
【0236】
実施例24:(2S,3S)-2-アミノ-3-((2-アミノアセトアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
【化53】
【0237】
中間体56:(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセトアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
DCM(3mL)及びDMF(3mL)中のHATU(434mg、1.14mmol)及びBoc-Gly-OH(400mg、2.28mmol)の懸濁液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.92mL、5.3mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。(2S,3S)-tert-ブチル 3-(アミノメチル)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体50、369mg、0.775mmol)のDCM(3mL)溶液を添加し、この反応物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水及びDCMで希釈し、層を分離した。水層を、DCM(2回×20mL)で抽出した。まとめた有機質を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、Na2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセトアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体56、259mg、47%収率)を得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.72(2H,br s),1.19(13H,br s),1.28-1.36(1H,m),1.36-1.45(18H,m),1.45-1.56(2H,m),2.03-2.13(1H,m),3.12(1H,br s),3.41(1H,br d),3.61-3.89(2H,m),4.16-4.38(1H,m),5.07(2H,br s),5.30-5.43(1H,m),5.95(1H,br s),6.73(1H,br s),7.22-7.36(5H,m).
【0238】
実施例24:(2S,3S)-2-アミノ-3-((2-アミノアセトアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)アセトアミド)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体56、256mg、0.404mmol)の酢酸エチル(8mL)溶液に、Pd/C(10重量%、107mg、0.101mmol)を添加した。フラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を珪藻土に通してろ過し、EtOAc及びメタノールですすいだ。ろ液を濃縮し、得られた残留物をDCM(2mL)及びトリフルオロ酢酸(6mL)に溶解させ、この反応物を3時間にわたり室温で撹拌した。この反応物を濃縮し、残留物を、1M aq.HCl(3mL)及びEt2O(5mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(98mg、0.80mmol)を添加し、この反応物を一晩室温で撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、Et2Oで洗浄した。水層を凍結乾燥させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20ccカラム)により精製した。メタノール中のアンモニアの5%溶液を使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。得られた物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18Aq、水中に0~5%アセトニトリル)によりさらに精製して、(2S,3S)-2-アミノ-3-((2-アミノアセトアミド)メチル)-6-ボロノヘキサン酸(実施例24、20mg、19%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,D2O w/ TFA)δ 0.53-0.74(2H,m),1.16-1.45(4H,m),2.17-2.31(1H,m),3.16-3.36(2H,m),3.57-3.71(2H,m),3.96(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=262.
【0239】
実施例25:(2S,3S)-3-(アミノメチル)-2-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-6-ボロノ-ヘキサン酸
【化54】
【0240】
中間体57:tert-ブチル (2S,3S)-2-アミノ-3-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
(2S,3S)-tert-ブチル 2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体49、1.40g、2.43mmol)のEtOAc(50mL)溶液に、Pd/C(10重量%、243mg、0.228mmol)を添加した。フラスコはH2のバルーンを備えており、この懸濁液を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を珪藻土で通してろ過し、EtOAcですすいだ。ろ液を蒸発乾固させて、粗物質を無色油状物として得た。粗物質を、キラルSFC[Chiral Pak ICカラム、21×250mm、5μm、温度=40℃、移動相=15%イソプロパノール(0.2% NH4OHを含む):CO2、流速=4mL/分、出口圧=100バール]に供して、tert-ブチル(2S,3S)-2-アミノ-3-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体57、855mg、80%収率、>98:2 dr)を無色油状物として得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.80(2H,t),1.19-1.33(14H,m),1.35-1.56(20H,m),1.61-1.85(2H,m),1.88-2.00(1H,m),3.10-3.31(2H,m),3.39(1H,d),5.25(1H,br s);m/z:(ES+)[M+H]+=444.
【0241】
中間体58:tert-ブチル(2S,3S)-3-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
Boc-Ala-OH(70mg、0.37mmol)のDMF(6mL)溶液に、HATU(142mg、0.373mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。次いで、この反応物に、tert-ブチル(2S,3S)-2-アミノ-3-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体57、150mg、0.34mmol)をDMF(2mL)溶液として添加した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.12mL、0.68mmol)を添加し、この反応物を一晩室温で撹拌した。この反応混合物を飽和水性NH4Cl及びDCMで希釈し、層を分離した。水層を、DCM(3回×20mL)で抽出した。まとめた有機質を、Na2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、tert-ブチル(2S,3S)-3-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体58、125mg、60%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.71-0.82(2H,m),1.16-1.36(14H,m),1.37-1.69(34H,m),2.14-2.28(1H,m),3.01-3.10(1H,m),3.19-3.35(1H,m),4.21-4.36(1H,m),4.52-4.63(1H,m),4.66-4.80(1H,m),5.21-5.32(1H,m),7.13-7.25(1H,m).
【0242】
実施例25:(2S,3S)-3-(アミノメチル)-2-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-6-ボロノ-ヘキサン酸
tert-ブチル(2S,3S)-3-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノイル]アミノ]-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体58、125mg、0.204mmol)を、HCl(ジオキサン中に4M、7.0mL、28mmol)に溶解させ、この反応物を50℃まで加熱し、2時間にわたり撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去した。得られた白色固形物を、1M aq.HCl(10mL)及びEt2O(10mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(49mg、0.41mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、Et2Oで洗浄した。水層を凍結乾燥させ、イオン交換クロマトグラフィー(PoraPak Rxn CX 20 ccカラム)により精製した。2.5M アンモニア/メタノールを使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。得られた物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18Aq、水中に0~20%アセトニトリル)によりさらに精製して、(2S,3S)-3-(アミノメチル)-2-[[(2S)-2-アミノプロパノイル]アミノ]-6-ボロノ-ヘキサン酸(実施例25、38mg、67%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,D2O)δ 0.74(2H,t),1.31(3H,d),1.33-1.54(4H,m),2.14-2.25(1H,m),2.98-3.04(1H,m),3.06-3.15(1H,m),3.64(1H,q),4.36(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=276.
【0243】
実施例26:(2S,3S)-3-(アミノメチル)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-6-ボロノ-ヘキサン酸
【化55】
【0244】
中間体59:tert-ブチル(2S,3S)-3-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート
Boc-Val-OH(186mg、0.857mmol)のDMF(10mL)溶液に、HATU(326mg、0.857mmol)を添加し、この反応物を10分にわたり室温で撹拌した。次いで、この反応物に、tert-ブチル(2S,3S)-2-アミノ-3-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体57、345mg、0.780mmol)をDMF(5mL)溶液として添加した。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.27mL、1.6mmol)を添加し、この反応物を一晩室温で撹拌した。この反応混合物を飽和水性NH4Cl及びDCMで希釈し、層を分離した。水層を、DCM(3回×40mL)で抽出した。まとめた有機質をNa2SO4で脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、tert-ブチル(2S,3S)-3-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体59、422mg、84%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 0.77(2H,m),0.90-1.04(6H,m),1.13-1.36(14H,m),1.37-1.72(31H,m),2.12-2.31(2H,m),2.94-3.08(1H,m),3.18-3.37(1H,m),4.00-4.11(1H,m),4.61(1H,br d),4.70(1H,br d),5.22(1H,m),7.08-7.20(1H,m).
【0245】
実施例26:(2S,3S)-3-(アミノメチル)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-6-ボロノ-ヘキサン酸
tert-ブチル(2S,3S)-3-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル]-2-[[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ヘキサノエート(中間体59、422、0.658mmol)をHCl(ジオキサン中に4M、10.0mL、48.0mmol)に溶解させ、この反応物を50℃まで加熱し、2時間にわたり撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去した。得られた白色固形物を、1M aq.HCl(15mL)及びEt2O(15mL)に溶解させた。フェニルボロン酸(160mg、1.32mmol)を添加し、この反応物を1時間にわたり室温で撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、Et2Oで洗浄した。水層を凍結乾燥させ、イオン交換クロマトグラフィー(Silicycle SPE-R51230B-20Xカラム)により精製した。2.5M アンモニア/メタノールを使用して、このカラムから所望の生成物を溶出させた。得られた物質を、逆相クロマトグラフィー(RediSep Rf Gold(登録商標)C18Aq、水中に0~20%アセトニトリル)によりさらに精製して、(2S,3S)-3-(アミノメチル)-2-[[(2S)-2-アミノ-3-メチル-ブタノイル]アミノ]-6-ボロノ-ヘキサン酸(実施例26、162mg、81%収率)を白色固形物として得た。1H NMR(500MHz,D2O)δ 0.76(2H,t),0.91(3H,d),0.95(3H,d),1.28-1.52(4H,m),1.99(1H,dq),2.18(1H,dq),2.98-3.07(1H,m),3.08-3.17(1H,m),3.31(1H,d),4.37(1H,d);m/z:(ES+)[M+H]+=304.
【0246】
実施例27:実施例1~26の生物活性
大腸菌(E.coli)から産生された組換えアルギナーゼ1又はアルギナーゼ2を使用して、チオアルギニン(thioarginine)由来のチオール基の形成を測定することにより、ヒトアルギナーゼ1の活性及びアルギナーゼ2活性への実施例1~26の阻害効果を定量化した。このチオール基を、エルマン試薬、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)で検出した。DTNBは、チオールと反応して混合ジスルフィド及び2-ニトロ-5-チオ安息香酸(TNB)を生じ、このことを、アニオン(TNB2-)の412nmでの吸光度により定量化する。
【0247】
このアッセイを、透明な384ウェルプレート(Greiner カタログ番号781101)内で実行した。Echoアコースティックディスペンサを使用して、DMSO 300nL中の様々な濃度の実施例1~26をアッセイプレートに分注し、続いて直ちにプレートを密封して遠心分離した。アッセイプレートに添加する直前に解凍した試薬から、2つのプレミックスを調製した。プレミックス1は、ヒトアルギナーゼ1又はヒトアルギナーゼ2(アッセイバッファ中に5nM及び0.5mM DTNBの最終濃度)、45mM HEPES pH7.5、brij 35、0.045%(w/v)、及び100μM MnCl2を含んだ。プレミックス2は、アッセイバッファ中に新たに解凍した0.5mM チオアルギニンを含んだ。プレミックス1 15マイクロリットルを、実施例1~9が入っており、遠心分離して室温で30分にわたりインキュベートしたアッセイプレートに分注した後、プレミックス2 15マイクロリットルを入れた。
【0248】
アッセイプレートを遠心分離した後、Pherastarマルチモードプレートリーダで、412nmでの吸光度を読み取り、時点0(T0)でのデータを収集した。このプレートを60分にわたり室温でインキュベートした後に再度読み取り、時点1(T1)でのデータを収集した。データを、T0(時点0)にて測定したA412シグナルを、T1(時点1)にて測定したA412シグナルから減算することにより導き出した。このデータを、下記方程式:
化合物の効果%=100×[(X-最小)/(最大-最小)]
(式中、Xは、最小(ビヒクル)及び最大(基準化合物)阻害対照に基づいて、化合物に関して正規化した値を表す)を使用して効果%に変換した。
【0249】
活性を50%阻害する実施例1~26の濃度(即ちIC50)を、効果%に対して試験化合物濃度をプロットし、Genedata Screener Smartフィットアルゴリズムを使用してデータを使用してフィットさせることによって算出した。これらのアッセイの結果を、表2に示す。
【0250】
【0251】
実施例28:バイオアベイラビリティ研究
実施例14は、実施例1のプロドラッグ形態である。実施例19~22及び24~26は、実施例18のプロドラッグである。実施例19からの実施例18のバイオアベイラビリティを実証するために、下記の薬物動態研究を実施した。IV投与のために、実施例19を、0.9w/v%生理食塩水 pH4(1M HClで調整)に配合した。この配合物を、大腿カテーテルにより、2匹の雄ラットにそれぞれ2mg/kgにて投与した(170~250g)。投与の0.033、0.083、0.167、0.5、1,2、4、8、及び24時間後に、頸静脈カテーテルの連続血液サンプルを採取した。PO投与のために、実施例19を、脱イオン水 pH4(1M HClで調整)に配合し、強制経口投与により2匹の雄ラットにそれぞれ5mg/kgにて投与した(170~250g)。投与の0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、8、及び24時間後に、頸静脈カテーテルにより連続血液サンプルを採取した。低速遠心分離を使用して、血液から血漿サンプルを生成した。ブランク血漿をスパイクすることにより、実施例18及び実施例19を含む単一系列の較正標準を調製した。このサンプル及び標準を、2容量のアセトニトリルによる析出及びその後の遠心分離により抽出した。得られた結果を使用して、実施例18及び実施例19の両方に関して、Cl(mL/min/kg)、Vdss(L/kg)、Cmax(μM)、AUC(μMh)、tmax(h)、及び%Fを決定した。実施例19として投与した場合に実施例18のPO投与で補正したAUCを、実施例18として投与した場合に実施例18のIV投与で補正したAUCに対して比較することにより、絶対バイオアベイラビリティを決定した。この算出では、必要に応じて、名目用量ではなく測定された用量を使用した。類似して、同じ手順を、実施例14、20~22、及び24~26に関して繰り返した。結果を、表3~表10に示す。これらの結果は、ある特定のアミノ酸部分をプロドラッグとして組み込むことによりバイオアベイラビリティを向上させ得ることを示す。
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